JP2017199647A - プラズマ発生方法及びそのための装置、並びドライ薄膜を有する構造体 - Google Patents
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Abstract
【課題】多用な形状の空孔を有する被処理基材の内面に成膜又は改質処理可能なプラズマ発生方法及びそのための装置を提供する。【解決手段】反応容器内に、内部に空孔を有する一方電極と、必要に応じて補助電極とを設置するとともに、内部に空孔を有する被処理基材を前記反応容器及び補助電極から絶縁された状態で設置し、真空排気された前記反応容器内に原料ガスを導入し、前記反応容器又は前記補助電極を他方電極として、前記一方電極との間にパルス状のDC電圧を印加することにより、前記一方電極の空孔内部に局所的にプラズマ濃度の高い状態のプラズマを生成させ、生成した局所的に濃度の高いプラズマを当該電極の開口部から突出させるとともに、前記被処理基材の空孔開口部を前記突出するプラズマ方向に向けて配置することで、生成したプラズマを前記被処理基材の開口部から該被処理基材の空孔内部に向かって照射することにより、前記被処理基材の空孔内面に表面処理を行う。【選択図】 図1
Description
本発明は、プラズマの発生方法、該方法により発生したプラズマによる成膜または改質方法、該成膜・改質方法によるドライ薄膜を有する構造体、並びに該方法のための成膜または表面改質装置に関し、特に、パイプ、ホース、配管、ノズル、注射針、ピペット、試験管、バイアル、シリンジ、シリンダ、チューブ、マニフォールド、流路、収納容器、キャビティー、多孔質体、多層繊維体、高アスペクトの座繰りを有する構造体等、構造体内部に空孔又は略空孔形状を有する構造体(以下、「空孔体」ということもある)の表面処理または表面改質方法に関する。
金属、樹脂、セラミクス、ゴム、紙その他多様な液体や流体、固体搬送用のパイプ(管)や、収納用の容器が市場にて使用されている。これら空孔体の閉じられた内部の表層に非晶質炭素膜等を始めとしたドライ薄膜を形成するニーズがある。
例えば、非晶質炭素膜をパイプ内部に形成することにより、パイプ内部への異物、汚れ、生体の付着防止や、ガスバリア性、抗菌性、錆び発生防止などの耐食性の向上、また耐摩耗性や摺動性の向上などを行う要求がある。
さらには、SiOxや、TiOx(TiO2含む)ZnOよりなる親水性の薄膜や、光触媒膜等、所望のバンドギャップを有するドライ薄膜をパイプ内部に形成することにより、水などの液体の濡れ性を向上させ、水や液体の流動効率を確保し、抗菌性や静電気除電性、さらには起電性(力)を基材に付与する要求などもある。
加えてSiやTi、Al,Zrを有する非晶質炭素膜やSiOx、TiOx等からなるドライ薄膜等は撥水撥油性のフッ素カップリング剤よりなる膜等、例えば、基材と−O−M結合(ここで、Mは、Ti、Al、又はZr)可能な元素Mを含むカップリング剤より成る皮膜を強力に固定可能なプライマー層となるため、パイプ内部へ定着性の良い撥水撥油性の表面処理、カップリング剤よりなる単層、または第2の層との接着層等の形成を行うにあたり、同様に前記ドライ薄膜をパイプ内部に密着良く形成したい要求がある。
例えば、非晶質炭素膜をパイプ内部に形成することにより、パイプ内部への異物、汚れ、生体の付着防止や、ガスバリア性、抗菌性、錆び発生防止などの耐食性の向上、また耐摩耗性や摺動性の向上などを行う要求がある。
さらには、SiOxや、TiOx(TiO2含む)ZnOよりなる親水性の薄膜や、光触媒膜等、所望のバンドギャップを有するドライ薄膜をパイプ内部に形成することにより、水などの液体の濡れ性を向上させ、水や液体の流動効率を確保し、抗菌性や静電気除電性、さらには起電性(力)を基材に付与する要求などもある。
加えてSiやTi、Al,Zrを有する非晶質炭素膜やSiOx、TiOx等からなるドライ薄膜等は撥水撥油性のフッ素カップリング剤よりなる膜等、例えば、基材と−O−M結合(ここで、Mは、Ti、Al、又はZr)可能な元素Mを含むカップリング剤より成る皮膜を強力に固定可能なプライマー層となるため、パイプ内部へ定着性の良い撥水撥油性の表面処理、カップリング剤よりなる単層、または第2の層との接着層等の形成を行うにあたり、同様に前記ドライ薄膜をパイプ内部に密着良く形成したい要求がある。
ところが、一般的にドライ薄膜と呼ばれる、例えば、固形の原材料ターゲット等に電子ビーム等を照射して蒸発させ、蒸発した原子を表面処理を行いたい基材表面に堆積させる方法や、さらに例えば固形の原料ターゲットに大気圧下でレーザ光を宛て蒸発させ同様に表面処理を行う方法(レーザアブレーション)や、原材料を真空中でプラズマ化して表面処理を行う、プラズマCVDやプラズマPVD法、溶射や熱プラズマなど様々な液体中で基材の表面処理を行わない所謂「ドライプロセス」において、長い管状ワークの管内部に表面処理を行うことは困難な場合が多い。
これは細く長い管状基材(空孔体)の空孔内部表面に原材料を予め配置し、前記プラズマや蒸発物、溶融物の生成を当該管状基材の管内部で行うことが困難なこと、また、前記プラズマや蒸発物、溶融物の生成を前記基材の外部で行う場合、生成したプラズマや蒸発物、溶融物は一般に空孔体の開口部から進入すると、被処理基材である空孔体の空孔内部表面に対して平行の方向性を持つこと、さらには、前記プラズマや蒸発物、溶融物は生成源から離れると失活して、被処理基材に対して良好な密着や良好な皮膜が得られ難いことによる。
これは細く長い管状基材(空孔体)の空孔内部表面に原材料を予め配置し、前記プラズマや蒸発物、溶融物の生成を当該管状基材の管内部で行うことが困難なこと、また、前記プラズマや蒸発物、溶融物の生成を前記基材の外部で行う場合、生成したプラズマや蒸発物、溶融物は一般に空孔体の開口部から進入すると、被処理基材である空孔体の空孔内部表面に対して平行の方向性を持つこと、さらには、前記プラズマや蒸発物、溶融物は生成源から離れると失活して、被処理基材に対して良好な密着や良好な皮膜が得られ難いことによる。
空孔体として、具体的には、ビン、ボトル、パイプ、ホース、配管、ノズル、注射針、ピペット、試験管、バイアル、シリンジ、シリンダ、チューブ、マニフォールド、流路、キャピラリー電気泳動などの分析装置のキャピラリーやバイアルやバイアルラック、人口血管、ステント、カテーテル、バルーンカテーテル、インジェクション、インクジェットプリンター(3Dインクジェット等の溶融樹脂などのノズルも含む)のノズルやインク配管、インク容器、μ―TASの閉塞された微細な流路、マイクロ/ナノバブルを発生させるための流路、錠剤のカプセル、内視鏡の管部等、医薬機器構成部品、身近なものでは水や飲料、燃料、溶剤等の液体やスラリー、また、固体では小麦粉などの食料原料粉、研磨粉などの工業原料粉、薬剤分など医薬原料粉等の前記液体や固体(粉体等)搬送用配管、各種ホース、ノズル、ダクト、シュート、ホッパー、シャワーノズル、ネジのタップ、ピンの受け穴、等を挙げることができる。
さらには、活性炭、陽極酸化を行ったアルミニウム(アルマイト)などは、表層に微小な開口部を有し、該表層から内部に複雑な形状でその深く入り組んだ微細な穴を有するもの、繊維をすいて形成され、その内部に繊維の多層構造からなる複雑な空間を有すもの、繊維やメッシュなどの単層、複数層からなる精密フィルター、グリッドテープルや吸着穴あきプレート、さらには電子部品等の分野においては、インターポーザ基板や多層基板に形成されたキャビティーやスルーホール、ビアホール、などの穴を有するもの等も例として挙げられる。
また、精密金型、印刷用の凸版、凹版、孔版などにも微細な穴や孔があるものが存在している。
さらには、活性炭、陽極酸化を行ったアルミニウム(アルマイト)などは、表層に微小な開口部を有し、該表層から内部に複雑な形状でその深く入り組んだ微細な穴を有するもの、繊維をすいて形成され、その内部に繊維の多層構造からなる複雑な空間を有すもの、繊維やメッシュなどの単層、複数層からなる精密フィルター、グリッドテープルや吸着穴あきプレート、さらには電子部品等の分野においては、インターポーザ基板や多層基板に形成されたキャビティーやスルーホール、ビアホール、などの穴を有するもの等も例として挙げられる。
また、精密金型、印刷用の凸版、凹版、孔版などにも微細な穴や孔があるものが存在している。
ところが、例えばパイプなどの空孔体内部に、固形状の原料を使用せず、気体状の原料を拡散させて供給するCVD装置やCVD法等の、空孔体の内部に原料を流動させ送り込み易い装置やプロセスを用いて、各種表面処理やドライ薄膜等の薄膜形成をしようとした場合でも、空孔体内部で起こる反応や原料の消費に対して継続的に行われるべきプラズマ原料ガスの供給状態が悪く、空孔体内部で原料ガスの枯渇によりプラズマが十分生成されない、閉塞した空間でプラズマ電界の適正な形成が困難である等の問題が発生する。また、一方、原料ガスの供給を上手く行った場合でも、空孔体の空孔内でプラズマに乖離した余剰電子等の副生成物の行き場がなく、例えば前記余剰電子過剰状態の中、余剰電子により原料ガスのプラズマ化が急激に進み、制御不能なホローカソードなどの異常放電状態が発生し、安定した成膜が困難な状態になりやすい。
特に、プラズマCVDにおけるドライ薄膜の形成は、真空装置内で圧力10−4Pa〜50Pa程度の雰囲気下で気体を励起させ、バイアスで基板上に供給する、いわゆる従来の真空(低圧)プラズマ法では、プラズマシースが10mm〜数十mm存在するため、シース長の2倍以下の内径を有する管の内側にはプラズマを発生させることができず、プラズマCVD法によるコーティングを行うことができないことが知られている。
特に、プラズマCVDにおけるドライ薄膜の形成は、真空装置内で圧力10−4Pa〜50Pa程度の雰囲気下で気体を励起させ、バイアスで基板上に供給する、いわゆる従来の真空(低圧)プラズマ法では、プラズマシースが10mm〜数十mm存在するため、シース長の2倍以下の内径を有する管の内側にはプラズマを発生させることができず、プラズマCVD法によるコーティングを行うことができないことが知られている。
さらに、スパッタ装置や蒸着装置、トーチ型のCVD装置等、プラズマ源を持ち、ワークの外部からワークに向かって該プラズマを供給するタイプの成膜装置の場合、プラズマ源付近のプラズマが直射する直交面には成膜が容易であるが、プラズマと並行する面などには成膜しにくいため、プラズマを供給する対象ワークの形状に合わせてプラズマ条件や配置を細かく変更する必要がある。また、プラズマ源から処理基材が遠くなる部分の膜質や基材密着性が悪いなど、またプラズマ源からの基材空孔内部への入射角度が大きくなり、空孔の奥にプラズマが届かない等、十分なプラズマが供給(形成)できず、管内部の内壁に表面処理薄膜の形成や表面改質を行うことが困難な状態が生じる。
こうした、真空プラズマ法を用いた成膜又はイオン注入における問題を解決するために、種々の方法が提案されている。
例えば、特許文献1には、真空容器内にボトル状の容器を配置し、該容器形状に合わせた形状をもつパルス電極と、真空容器内でかつ前記パルス電極の外側に絶縁性のスペーサを介して配置されたアース電極を設け、パルス電極に負電圧パルスを印加することにより、ボトル内部に放電を生成させると同時にイオンを注入して容器内面に成膜又はイオン注入を行うことが開示されている。
しかしながら、特許文献1に記載の方法では、容器(被処理基材)の形状に合わせたパルス電極を必要とするため、様々な形状のワークに適宜対応できないという問題がある。
例えば、特許文献1には、真空容器内にボトル状の容器を配置し、該容器形状に合わせた形状をもつパルス電極と、真空容器内でかつ前記パルス電極の外側に絶縁性のスペーサを介して配置されたアース電極を設け、パルス電極に負電圧パルスを印加することにより、ボトル内部に放電を生成させると同時にイオンを注入して容器内面に成膜又はイオン注入を行うことが開示されている。
しかしながら、特許文献1に記載の方法では、容器(被処理基材)の形状に合わせたパルス電極を必要とするため、様々な形状のワークに適宜対応できないという問題がある。
また、空孔を有する被処理物の内部に電極を配置する方法も提案されている。
例えば、特許文献2には、管状ワーク(被処理物)の内部に黒鉛電極を配置し大量のプラズマ原料ガスを管状ワークの内部に供給することで、直接管状ワークの内部にプラズマを発生させる方法が開示されている。
また、特許文献3には、真空容器内に配置された開口を有する試料の開口中央部に、接地電位に接続された棒状の電極を挿入し、原料ガスを導入した後、試料に高周波電圧又は負の直流電圧を印加してプラズマを発生させ、試料の開口内面に硬質炭素膜を形成することが開示されている。
例えば、特許文献2には、管状ワーク(被処理物)の内部に黒鉛電極を配置し大量のプラズマ原料ガスを管状ワークの内部に供給することで、直接管状ワークの内部にプラズマを発生させる方法が開示されている。
また、特許文献3には、真空容器内に配置された開口を有する試料の開口中央部に、接地電位に接続された棒状の電極を挿入し、原料ガスを導入した後、試料に高周波電圧又は負の直流電圧を印加してプラズマを発生させ、試料の開口内面に硬質炭素膜を形成することが開示されている。
しかしながら、特許文献2又は特許文献3の方法では、黒鉛電極又は補助電極を挿入できる管の内径には限界があり、微小な内径を有する管状ワークの内部に黒鉛電極を挿入できない場合が生じる。また、管の内径が変化する基材、管が曲がっている基材等に対して、均一な処理が困難になる場合がある。さらには、この方法では空孔を有する絶縁物に対して有効に表面処理を行うことができない。また、低温で変形する一般的に低融点の素材例えば有機高分子素材等に対しても、処理が困難な場合があり得る。
また、特許文献3のように、開口内部に補助電極を配置する場合には、該電極と被処理物内面との間にプラズマ形成領域としての隙間が必要であり、開口部が小径のものにはコーティングできないという問題もある。
また、特許文献3のように、開口内部に補助電極を配置する場合には、該電極と被処理物内面との間にプラズマ形成領域としての隙間が必要であり、開口部が小径のものにはコーティングできないという問題もある。
そこで、特許文献4では、前記特許文献3に記載されたような補助電極を用いることなく、ホロー放電を積極的に利用することで、内面コーティングを実現させる方法が提案されている。該方法は、真空槽内に筒状の被処理物を設置し、この真空槽内を排気した後、放電用ガスとしてのアルゴンガスを導入するとともに、パルス電源装置から各被処理物に非対称パルス電圧を印加するものである。これによって、放電用ガスの粒子(分子または原子)が放電(電離)して、プラズマが発生し、また、この放電に伴って、被処理物の中空部にホロー放電が生じる。このホロー放電は、一種の異常放電であるが、当該ホロー放電を積極的に利用することで良好な内面コーティングを実現する、としている。
該方法は、被処理物の中空部に当該中空部の両端間にわたって略均一な分布(略一定の形状)の、いわば安定したホロー放電を生じさせ得ることを見いだしたものであり、該知見に基づき、圧力制御過程において、かかる安定したホロー放電が生じるように、真空槽内の圧力が制御され、材料ガス導入過程において、被膜の材料となる材料ガスが真空槽内に導入されると、被処理物の内面に被膜が形成され、つまり内面コーティングが施されるものである、としている。
しかしながら、特許文献4の方法は有力ではあるが、まず、筒状の被処理基材が絶縁物である場合はプラズマを生成すること自体が困難となり、異なる径や長さを有する空孔を有する被処理基材を一括に処理し難く、さらには、被処理基材である空孔体自体がプラズマを生成するため、空孔を有する被処理基材の材質の違い(例えば導電率などプラズマ生成に変動を与える要素)により一括処理が困難となる場合がある。また、被処理基材がアスペクト比1:10のような長尺物である場合、内面にプラズマを生成させること自体が困難であるなどの解決すべき課題を有する。
さらに、被処理基材(ワーク)が同じ形状、同じ材質である場合の一括での複数処理の場合、個々のワークの配置場所、向き、電極や原料ガス供給配管からの距離等により、各ワークからのホロー放電の発生時期が必ずしも同期しない場合があり、全てのワークをほぼ同時にホロー放電させることは相当困難であり、ホロー放電に至らないワークや、ワーク間の膜厚差が大きくなってしまう等の問題も生じうる。加えて、プラズマシースが10mm〜数十mm存在するため、シース長の2倍以下の内径を有する管の内側にはプラズマを発生させることができない問題も依然存在する。
該方法は、被処理物の中空部に当該中空部の両端間にわたって略均一な分布(略一定の形状)の、いわば安定したホロー放電を生じさせ得ることを見いだしたものであり、該知見に基づき、圧力制御過程において、かかる安定したホロー放電が生じるように、真空槽内の圧力が制御され、材料ガス導入過程において、被膜の材料となる材料ガスが真空槽内に導入されると、被処理物の内面に被膜が形成され、つまり内面コーティングが施されるものである、としている。
しかしながら、特許文献4の方法は有力ではあるが、まず、筒状の被処理基材が絶縁物である場合はプラズマを生成すること自体が困難となり、異なる径や長さを有する空孔を有する被処理基材を一括に処理し難く、さらには、被処理基材である空孔体自体がプラズマを生成するため、空孔を有する被処理基材の材質の違い(例えば導電率などプラズマ生成に変動を与える要素)により一括処理が困難となる場合がある。また、被処理基材がアスペクト比1:10のような長尺物である場合、内面にプラズマを生成させること自体が困難であるなどの解決すべき課題を有する。
さらに、被処理基材(ワーク)が同じ形状、同じ材質である場合の一括での複数処理の場合、個々のワークの配置場所、向き、電極や原料ガス供給配管からの距離等により、各ワークからのホロー放電の発生時期が必ずしも同期しない場合があり、全てのワークをほぼ同時にホロー放電させることは相当困難であり、ホロー放電に至らないワークや、ワーク間の膜厚差が大きくなってしまう等の問題も生じうる。加えて、プラズマシースが10mm〜数十mm存在するため、シース長の2倍以下の内径を有する管の内側にはプラズマを発生させることができない問題も依然存在する。
一方、従来からの技術として、管状ワークの内部空孔表面を処理するための技術に大気圧プラズマがある。大気圧プラズマは、プラズマ化する原料ガスの供給管の外界に向かった先端部が、例えばステンレス鋼等の導電物より成る管状ノズルとなっており、前記ノズル管に薄くセラミクスやガラスなどの誘電体層を貼り付け、当該ノズル管内に前記プラズマ化する原料ガスの供給管を通じて空気、酸素、窒素、水素、または炭化水素系の原料ガス等を供給すると共に、前記導電物と誘電体層より成る管状ノズル(電極)部分に高周波電源から高周波等、またはパルス電源からパルス状の電圧を印加することで、前記管状ノズル内部からノズル開口外部の一方方向に大気、準大気下でプラズマの噴射を形成し、処理対象基材へ当該プラズマを照射するもので、(例えば誘電体バリア放電法として周知され普及している)被処理基材が例えば管状の内部空孔を有する基材(の内部空孔表面)に前記プラズマ噴射を照射することで、表面改質を行うことができるものである。
しかしながら、大気圧プラズマは、比較的簡単な構造や機材で安価に構成することが可能で、広く普及しているものの、大気圧下、準大気圧下などのガス濃度が極めて濃い状況下で原料ガスをプラズマ化する設計のため、前記ノズルからの活性の高いプラズマの到達範囲(有効距離)が、プラズマが濃度の高い外気(大気等)により失活し易く、ノズル先端部から(有効距離が)例えば10mm程度と非常に短く、突出方向に向かってプラズマの活性が劣化して行くため、長い管状の空孔体の内部にその入り口付近から奥に向かって一様な膜質の皮膜形成や表面改質が行い難い。また、プラズマの突出口から広がりを持って直進し難いため、入り口が狭く、内部に向かって空間の広がりを見せる空孔体の内部への均一な処理が困難となる。さらには、大気圧プラズマで形成される皮膜の膜密度や膜硬度が真空プロセスで形成されるものに比べて低く、有底(留め穴状の)空孔体や、先端がテーパ状に細くなる空孔体、先端が階段状に狭くなる空孔体等の内部に噴射処理を行うと、未反応原料ガスの行き場所に乏しく、空孔体の内部に未反応プラズマ原料の残渣等が発生するなどの問題がある。
加えて、一般的に行われているように大気圧プラズマにて基材の表面改質のみを行うのでは無く、非晶質炭素膜などの堆積膜を堆積膜の原料ガスを大気圧下でプラズマ化して基材上に堆積させる場合、現状ではHeなどの不活性ガスをアシストガスとし、前記堆積膜の原料ガスのプラズマ化した部分の周囲を囲う「エア・カーテン」を伴うようなプラズマ形成方法が必要で、前記不活性ガスの「エア・カーテン部分」にも「形成幅」は必要となり、現状の前記大気圧プラズマ形成方法では、例えば数十μmの微細な径を有し、アスペクト比の大きい(長い)管状ワークの空孔内部等に(空孔径)に対応可能な細く長い堆積ガスによる大気圧プラズマを形成することは困難であると言える。
また、堆積ガス、例えば炭化水素系の原料ガスは可燃性であり、シラン系ガスなどは人体に有毒である場合も有り、ノズル内で完全にプラズマ化されないで外気に排出される未反応ガスの処理の問題があり、さらには、原料ガスが大気や酸素などの酸素を含むガスのプラズマ化の場合、副生成物として人体に有害なオゾンなどが発生し、前記未反応な可燃性、有害ガス等の漏洩防止を装置全体への物理的な囲いや不活性ガス流によるエアカーテン等を作って行う必要がり、可燃性や有毒な堆積ガス、酸素等を原料として、成膜を行う場合に改善すべき課題を有している。
さらに例えばSiを含む非晶質炭素膜を形成するにあたり、テトラメチルシランなどの大気中の酸素や水と反応し易い液体状のプラズマ原料を大気雰囲気中で気化させた後、必要に応じて不活性ガスや窒素ガス、水素ガスなどのキャリアガスとの混合気原料を調整し大気圧プラズマ装置に送り込み、安定した大気圧プラズマを生成し、ポリマー状部分を含まない良質のSiを含む非晶質炭素膜を形成することなどは困難である。
加えて、一般的に行われているように大気圧プラズマにて基材の表面改質のみを行うのでは無く、非晶質炭素膜などの堆積膜を堆積膜の原料ガスを大気圧下でプラズマ化して基材上に堆積させる場合、現状ではHeなどの不活性ガスをアシストガスとし、前記堆積膜の原料ガスのプラズマ化した部分の周囲を囲う「エア・カーテン」を伴うようなプラズマ形成方法が必要で、前記不活性ガスの「エア・カーテン部分」にも「形成幅」は必要となり、現状の前記大気圧プラズマ形成方法では、例えば数十μmの微細な径を有し、アスペクト比の大きい(長い)管状ワークの空孔内部等に(空孔径)に対応可能な細く長い堆積ガスによる大気圧プラズマを形成することは困難であると言える。
また、堆積ガス、例えば炭化水素系の原料ガスは可燃性であり、シラン系ガスなどは人体に有毒である場合も有り、ノズル内で完全にプラズマ化されないで外気に排出される未反応ガスの処理の問題があり、さらには、原料ガスが大気や酸素などの酸素を含むガスのプラズマ化の場合、副生成物として人体に有害なオゾンなどが発生し、前記未反応な可燃性、有害ガス等の漏洩防止を装置全体への物理的な囲いや不活性ガス流によるエアカーテン等を作って行う必要がり、可燃性や有毒な堆積ガス、酸素等を原料として、成膜を行う場合に改善すべき課題を有している。
さらに例えばSiを含む非晶質炭素膜を形成するにあたり、テトラメチルシランなどの大気中の酸素や水と反応し易い液体状のプラズマ原料を大気雰囲気中で気化させた後、必要に応じて不活性ガスや窒素ガス、水素ガスなどのキャリアガスとの混合気原料を調整し大気圧プラズマ装置に送り込み、安定した大気圧プラズマを生成し、ポリマー状部分を含まない良質のSiを含む非晶質炭素膜を形成することなどは困難である。
さらに大気圧プラズマの発生方法として、DCナノパルス電源等を使用し、ヘリウムガスをアシストガスとしてアセチレンなどの原料ガスを大気圧下、準大気圧下でプラズマ化し、非晶質炭素膜等を基材に形成する優れた方法もあるが、ナノパルスを発生する電源が容易に入手できない、ヘリウムガスのコストが高いなどの改善すべき課題もある。
上記のように、空孔を有する被処理基材(空孔体)の内壁にドライプロセス(プラズマプロセス等)を用いた硬質膜、プライマー層、または抵抗加熱法などによる蒸着膜(フッ素膜など)などを所望の定着性で形成することが困難な状況である。
以上のように、内部に空孔を有する被処理基材(空孔体)の内面に、特に、複雑な形状を有する空孔の内面や、長尺な空孔の内面に、簡単に膜質の良い均一な皮膜の形成、又は表面改質を可能とする方法及び装置がないのが現状である。
本発明は、こうした従来技術における課題を解決するものであって、多用な形状の空孔を有する被処理基材の内面に成膜又は改質処理可能なプラズマ発生方法及びそのための装置を提供することを目的とするものである。
本発明は、こうした従来技術における課題を解決するものであって、多用な形状の空孔を有する被処理基材の内面に成膜又は改質処理可能なプラズマ発生方法及びそのための装置を提供することを目的とするものである。
上記特許文献1には、平面状のメッシュ電極を用いる例も記載されているが、平面状のメッシュ電極から染み出してくるプラズマでは、活性の高いプラズマ照射範囲は狭く、さらには照射方向が制御されておらず、例えば方向性のある深い空孔を有する基材の空孔奥深く内部まで十分なプラズマを供給できない場合があることが判明した。
また、上記特許文献5では、真空プラズマ法を用いた成膜方法ないし表面改質方法において、一方電極の少なくとも一部を、原料ガスが透過可能な電極とすると共に、一方電極が被処理基材と直接接触しないように配置し、且つ、該一方電極に−2kV〜−20kVのパルス状のDC電圧を印加することにより、絶縁性の被処理物、特に耐熱性の低い絶縁性被処理物にも成膜ないし表面処理が可能となることを報告している。しかしながら、この方法では、多用な形状の空孔を有する被処理基材の内面に十分な成膜又は改質処理を行うことは困難であった。
また、上記特許文献5では、真空プラズマ法を用いた成膜方法ないし表面改質方法において、一方電極の少なくとも一部を、原料ガスが透過可能な電極とすると共に、一方電極が被処理基材と直接接触しないように配置し、且つ、該一方電極に−2kV〜−20kVのパルス状のDC電圧を印加することにより、絶縁性の被処理物、特に耐熱性の低い絶縁性被処理物にも成膜ないし表面処理が可能となることを報告している。しかしながら、この方法では、多用な形状の空孔を有する被処理基材の内面に十分な成膜又は改質処理を行うことは困難であった。
そこで、上記目的を達成すべく、さらに検討を重ねた結果、内部の少なくとも一部に空孔を有する一方電極を用い、該一方電極のいずれかの部分(特には該電極空孔内部)に「局所的に濃い状態」でプラズマを生成させ、当該電極の前記局所的に濃いプラズマ部分(プラズマ密度の高い部分)から当該電極(特には該電極空孔の開口部から)外部に突出するようにプラズマを生成させることにより、被処理基材である空孔体の空孔内面に該プラズマ照射による均一な成膜又は表面処理が可能となることが判明した。
また、前記被処理基材の少なくとも一部の空孔端と前記一方電極の少なくとも一部の空孔端とを100mm未満の距離で対面させて設置することにより、あるいは、前記被処理基材の空孔の少なくとも一部の外形構造表層面を前記一方電極の一部分のみが包み込むように設置することにより、あるいは、前記被処理基材の少なくとも一部の空孔内部に、前記一方電極の一部分のみを挿入するように設置することにより、被処理基材の空孔内面にプラズマ照射による成膜又は表面処理が可能となることも判明した。
さらに、前記一方電極の空孔内部に局所的にプラズマ濃度の高い状態のプラズマを生成させ、生成した局所的に濃度の高いプラズマを、一定の方向性を持って制御し突出させ得ること、さらには、当該電極の開口部からプラズマシースを介さずプラズマを突出させるとともに、前記被処理基材の空孔開口部を、前記突出するプラズマ方向に向けて前記一方電極から100mm未満の間隔で配置することにより、被処理基材の空孔内面にプラズマ照射による成膜又は表面処理が可能となることも判明した。
また、前記被処理基材の少なくとも一部の空孔端と前記一方電極の少なくとも一部の空孔端とを100mm未満の距離で対面させて設置することにより、あるいは、前記被処理基材の空孔の少なくとも一部の外形構造表層面を前記一方電極の一部分のみが包み込むように設置することにより、あるいは、前記被処理基材の少なくとも一部の空孔内部に、前記一方電極の一部分のみを挿入するように設置することにより、被処理基材の空孔内面にプラズマ照射による成膜又は表面処理が可能となることも判明した。
さらに、前記一方電極の空孔内部に局所的にプラズマ濃度の高い状態のプラズマを生成させ、生成した局所的に濃度の高いプラズマを、一定の方向性を持って制御し突出させ得ること、さらには、当該電極の開口部からプラズマシースを介さずプラズマを突出させるとともに、前記被処理基材の空孔開口部を、前記突出するプラズマ方向に向けて前記一方電極から100mm未満の間隔で配置することにより、被処理基材の空孔内面にプラズマ照射による成膜又は表面処理が可能となることも判明した。
本発明はこれらの知見に基づいて完成に至ったものであり、本発明によれば、以下の発明が提供される。
[1]内部の少なくとも一部に空孔を有する被処理基材の空孔内面に表面処理を行うためのプラズマ発生方法であって、
反応容器内に、内部の少なくとも一部に空孔を有する一方電極と、必要に応じて補助電極とを設置するとともに、前記被処理基材を前記反応容器及び補助電極から絶縁された状態で設置し、
真空排気された前記反応容器内に原料ガスを導入し、前記反応容器又は前記補助電極を他方電極として、前記一方電極との間にパルス状のDC電圧を印加することにより、前記一方電極の空孔内部に局所的にプラズマ濃度の高い状態のプラズマを生成させ、生成した局所的に濃度の高いプラズマを当該電極の開口部から突出させるとともに、前記被処理基材の空孔開口部を前記突出するプラズマ方向に向けて配置することで、前記生成したプラズマを、前記被処理基材の開口部から該被処理基材の空孔内部に向かって照射することを特徴とするプラズマ発生方法。
[2]内部の少なくとも一部に空孔を有する被処理基材の空孔内面に表面処理を行うためのプラズマ発生方法であって、
反応容器内に、内部の少なくとも一部に空孔を有する一方電極と、必要に応じて補助電極とを設置するとともに、
前記被処理基材を、前記反応容器及び補助電極から絶縁された状態で、かつ、該被処理基材の少なくとも一部の空孔端と前記一方電極の少なくとも一部の空孔端とを100mm未満の距離で対面させて設置し、
真空排気された前記反応容器内に原料ガスを導入し、前記反応容器又は前記補助電極を他方電極として、前記一方電極との間にパルス状のDC電圧を印加することを特徴とするプラズマ発生方法。
[3]内部の少なくとも一部に空孔を有する被処理基材の空孔内面に表面処理を行うためのプラズマ発生方法であって、
反応容器内に、内部の少なくとも一部に空孔を有する一方電極と、必要に応じて補助電極とを設置するとともに、
前記被処理基材を、前記反応容器及び補助電極から絶縁された状態で、かつ、該被処理基材の空孔の少なくとも一部の外形構造表層面を前記一方電極の一部分のみが包み込むように設置し、
真空排気された前記反応容器内に原料ガスを導入し、前記反応容器又は前記補助電極を他方電極として、前記一方電極との間にパルス状のDC電圧を印加することを特徴とするプラズマ発生方法。
[4]内部の少なくとも一部に空孔を有する被処理基材の空孔内面に表面処理を行うためのプラズマ発生方法であって、
反応容器内に、内部の少なくとも一部に空孔を有する一方電極と、必要に応じて補助電極とを設置するとともに、
前記被処理基材を、前記反応容器及び補助電極から絶縁された状態で、かつ、該被処理基材の少なくとも一部の空孔内部に、前記一方電極の一部分のみを挿入するように設置し、
真空排気された前記反応容器内に原料ガスを導入し、前記反応容器又は前記補助電極を他方電極として、前記一方電極との間にパルス状のDC電圧を印加することを特徴とするプラズマ発生方法。
[5]少なくとも一部の内部に空孔を有する被処理基材の空孔内面に表面処理を行うためのプラズマ発生方法であって、
反応容器内に、少なくとも一部の内部に空孔を有する一方電極と、必要に応じて補助電極とを設置するとともに、前記被処理基材を前記反応容器及び補助電極から絶縁された状態で設置し、
真空排気された前記反応容器内に原料ガスを導入し、前記反応容器又は前記補助電極を他方電極として、前記一方電極との間にパルス状のDC電圧を印加することにより、前記一方電極の空孔内部に局所的にプラズマ濃度の高い状態のプラズマを生成させ、生成した局所的に濃度の高いプラズマを、当該電極の開口部からプラズマシースを介さず突出させるとともに、前記被処理基材の空孔開口部を、前記突出するプラズマ方向に向けて前記一方電極から15mm未満の間隔で配置することで、前記生成したプラズマを、前記被処理基材の開口部から該被処理基材の空孔内部に向かって照射することを特徴とするプラズマ発生方法。
[6]前記一方電極が、実質的に三次元立体形状を有し、前記立体形状内部に実質的な空孔を有することを特徴とする[1]〜[5]のいずれかに記載のプラズマ発生方法。
[7]前記一方電極が、筒状電極であることを特徴とする[6]に記載のプラズマ発生方法。
[8]前記筒状電極の両端開口部の径と筒の長さの比(アスペクト比)が0.1以上10未満であることを特徴とする[7]に記載のプラズマ発生方法。
[9]前記筒状電極が、両端を含め、少なくとも3つ以上の開口部を有することを特徴とする[7]に記載のプラズマ発生方法。
[10]前記両端以外の開口部が、一方電極の空孔の内外を貫通する微小な貫通口であることを特徴とする[9]に記載のプラズマ発生方法。
[11]前記両端以外の開口部の形状が、メッシュ形状、螺旋形状、スリット形状、又は穴あき形状であることを特徴とする[9]又は[10]に記載のプラズマ発生方法。
[12]前記メッシュ形状、螺旋形状、スリット形状、又は穴あき形状の開口率が5〜99%であることを特徴とする[11]に記載のプラズマ発生方法。
[13][1]〜[12]のいずれかに記載のプラズマ発生方法を用い、被処理基材上に非晶質炭素膜を成膜することを特徴とする成膜方法。
[14][1]〜[12]のいずれかに記載のプラズマ発生方法を用いることを特徴とする表面改質方法。
[15]内部に一方開口部から他方開口部まで続く空孔を有する管状基材と、該管状基材の空孔面に形成された少なくとも、炭素、水素、酸素、窒素、フッ素、アルゴン、ヘリウム、Si、Ti、Al、Zr、Wのいずれか一つを含むドライ薄膜を有し、
前記ドライ薄膜は、前記管状基材内の空孔が収束する部分、或いは収束開始又は終了端部のいずれかの部分において、他の空孔内部の少なくとも一部より厚いことを特徴とする表面処理構造体。
[16]内部に一方開口部から他方開口部まで続く空孔を有する管状基材と、該管状基材の空孔面に形成された少なくとも、炭素、水素、酸素、窒素、フッ素、アルゴン、ヘリウム、Si、Ti、Al、Zr、Wのいずれか一つを含むドライ薄膜を有し、
前記ドライ薄膜は、前記管状基材の両端の内部開口部付近において、他の空孔内部の少なくとも一部より厚いことを特徴とする表面処理構造体。
[17]前記ドライ薄膜が、少なくとも前記基材の空孔内部を含まない表層側の両端部(開口部断面を含む)において、中間に位置する表層部よりも厚いことを特徴とする[16]に記載の表面処理構造体。
[18]内部に一方開口部から他方開口部まで続く空孔を有する管状基材と、該管状基材の空孔面に形成された少なくとも、炭素、水素、酸素、窒素、フッ素、アルゴン、ヘリウム、Si、Ti、Al、Zr、Wのいずれか一つを含むドライ薄膜を有し、
前記ドライ薄膜が、前記管状基材の開口部において、実質的に表面処理された空孔内面から開口断面部及び表層部へと続く一連の膜から形成されていることを特徴とする表面処理構造体。
[19]内部に一方開口部から他方開口部まで続く空孔を有する管状基材と、該管状基材の空孔面に形成された少なくとも、炭素、水素、酸素、窒素、フッ素、アルゴン、ヘリウム、Si、Ti、Al、Zr、Wのいずれか一つを含むドライ薄膜を有し、
前記ドライ薄膜が、前記管状基材の開口部付近において、渦を巻くような曲線状部分を伴って形成されていることを特徴とする表面処理構造体。
[20]内部に一方開口部から他方開口部まで続く空孔を有する管状基材と、該管状基材の空孔面に形成された少なくとも、炭素、水素、酸素、窒素、フッ素、アルゴン、ヘリウム、Si、Ti、Al、Zr、Wのいずれか一つを含むドライ薄膜を有し、
前記ドライ薄膜が、前記管状基材の中間部で部分的に径の広くなる部分の内壁にも形成されていることを特徴とする表面処理構造体。
[21]前記ドライ薄膜が、非晶質炭素膜、又はSi、Ti、Al、Zr、Wのいずれか一つを含む非晶質炭素膜からなることを特徴とする[15]〜[20]のいずれかに記載の表面処理構造体。
[1]内部の少なくとも一部に空孔を有する被処理基材の空孔内面に表面処理を行うためのプラズマ発生方法であって、
反応容器内に、内部の少なくとも一部に空孔を有する一方電極と、必要に応じて補助電極とを設置するとともに、前記被処理基材を前記反応容器及び補助電極から絶縁された状態で設置し、
真空排気された前記反応容器内に原料ガスを導入し、前記反応容器又は前記補助電極を他方電極として、前記一方電極との間にパルス状のDC電圧を印加することにより、前記一方電極の空孔内部に局所的にプラズマ濃度の高い状態のプラズマを生成させ、生成した局所的に濃度の高いプラズマを当該電極の開口部から突出させるとともに、前記被処理基材の空孔開口部を前記突出するプラズマ方向に向けて配置することで、前記生成したプラズマを、前記被処理基材の開口部から該被処理基材の空孔内部に向かって照射することを特徴とするプラズマ発生方法。
[2]内部の少なくとも一部に空孔を有する被処理基材の空孔内面に表面処理を行うためのプラズマ発生方法であって、
反応容器内に、内部の少なくとも一部に空孔を有する一方電極と、必要に応じて補助電極とを設置するとともに、
前記被処理基材を、前記反応容器及び補助電極から絶縁された状態で、かつ、該被処理基材の少なくとも一部の空孔端と前記一方電極の少なくとも一部の空孔端とを100mm未満の距離で対面させて設置し、
真空排気された前記反応容器内に原料ガスを導入し、前記反応容器又は前記補助電極を他方電極として、前記一方電極との間にパルス状のDC電圧を印加することを特徴とするプラズマ発生方法。
[3]内部の少なくとも一部に空孔を有する被処理基材の空孔内面に表面処理を行うためのプラズマ発生方法であって、
反応容器内に、内部の少なくとも一部に空孔を有する一方電極と、必要に応じて補助電極とを設置するとともに、
前記被処理基材を、前記反応容器及び補助電極から絶縁された状態で、かつ、該被処理基材の空孔の少なくとも一部の外形構造表層面を前記一方電極の一部分のみが包み込むように設置し、
真空排気された前記反応容器内に原料ガスを導入し、前記反応容器又は前記補助電極を他方電極として、前記一方電極との間にパルス状のDC電圧を印加することを特徴とするプラズマ発生方法。
[4]内部の少なくとも一部に空孔を有する被処理基材の空孔内面に表面処理を行うためのプラズマ発生方法であって、
反応容器内に、内部の少なくとも一部に空孔を有する一方電極と、必要に応じて補助電極とを設置するとともに、
前記被処理基材を、前記反応容器及び補助電極から絶縁された状態で、かつ、該被処理基材の少なくとも一部の空孔内部に、前記一方電極の一部分のみを挿入するように設置し、
真空排気された前記反応容器内に原料ガスを導入し、前記反応容器又は前記補助電極を他方電極として、前記一方電極との間にパルス状のDC電圧を印加することを特徴とするプラズマ発生方法。
[5]少なくとも一部の内部に空孔を有する被処理基材の空孔内面に表面処理を行うためのプラズマ発生方法であって、
反応容器内に、少なくとも一部の内部に空孔を有する一方電極と、必要に応じて補助電極とを設置するとともに、前記被処理基材を前記反応容器及び補助電極から絶縁された状態で設置し、
真空排気された前記反応容器内に原料ガスを導入し、前記反応容器又は前記補助電極を他方電極として、前記一方電極との間にパルス状のDC電圧を印加することにより、前記一方電極の空孔内部に局所的にプラズマ濃度の高い状態のプラズマを生成させ、生成した局所的に濃度の高いプラズマを、当該電極の開口部からプラズマシースを介さず突出させるとともに、前記被処理基材の空孔開口部を、前記突出するプラズマ方向に向けて前記一方電極から15mm未満の間隔で配置することで、前記生成したプラズマを、前記被処理基材の開口部から該被処理基材の空孔内部に向かって照射することを特徴とするプラズマ発生方法。
[6]前記一方電極が、実質的に三次元立体形状を有し、前記立体形状内部に実質的な空孔を有することを特徴とする[1]〜[5]のいずれかに記載のプラズマ発生方法。
[7]前記一方電極が、筒状電極であることを特徴とする[6]に記載のプラズマ発生方法。
[8]前記筒状電極の両端開口部の径と筒の長さの比(アスペクト比)が0.1以上10未満であることを特徴とする[7]に記載のプラズマ発生方法。
[9]前記筒状電極が、両端を含め、少なくとも3つ以上の開口部を有することを特徴とする[7]に記載のプラズマ発生方法。
[10]前記両端以外の開口部が、一方電極の空孔の内外を貫通する微小な貫通口であることを特徴とする[9]に記載のプラズマ発生方法。
[11]前記両端以外の開口部の形状が、メッシュ形状、螺旋形状、スリット形状、又は穴あき形状であることを特徴とする[9]又は[10]に記載のプラズマ発生方法。
[12]前記メッシュ形状、螺旋形状、スリット形状、又は穴あき形状の開口率が5〜99%であることを特徴とする[11]に記載のプラズマ発生方法。
[13][1]〜[12]のいずれかに記載のプラズマ発生方法を用い、被処理基材上に非晶質炭素膜を成膜することを特徴とする成膜方法。
[14][1]〜[12]のいずれかに記載のプラズマ発生方法を用いることを特徴とする表面改質方法。
[15]内部に一方開口部から他方開口部まで続く空孔を有する管状基材と、該管状基材の空孔面に形成された少なくとも、炭素、水素、酸素、窒素、フッ素、アルゴン、ヘリウム、Si、Ti、Al、Zr、Wのいずれか一つを含むドライ薄膜を有し、
前記ドライ薄膜は、前記管状基材内の空孔が収束する部分、或いは収束開始又は終了端部のいずれかの部分において、他の空孔内部の少なくとも一部より厚いことを特徴とする表面処理構造体。
[16]内部に一方開口部から他方開口部まで続く空孔を有する管状基材と、該管状基材の空孔面に形成された少なくとも、炭素、水素、酸素、窒素、フッ素、アルゴン、ヘリウム、Si、Ti、Al、Zr、Wのいずれか一つを含むドライ薄膜を有し、
前記ドライ薄膜は、前記管状基材の両端の内部開口部付近において、他の空孔内部の少なくとも一部より厚いことを特徴とする表面処理構造体。
[17]前記ドライ薄膜が、少なくとも前記基材の空孔内部を含まない表層側の両端部(開口部断面を含む)において、中間に位置する表層部よりも厚いことを特徴とする[16]に記載の表面処理構造体。
[18]内部に一方開口部から他方開口部まで続く空孔を有する管状基材と、該管状基材の空孔面に形成された少なくとも、炭素、水素、酸素、窒素、フッ素、アルゴン、ヘリウム、Si、Ti、Al、Zr、Wのいずれか一つを含むドライ薄膜を有し、
前記ドライ薄膜が、前記管状基材の開口部において、実質的に表面処理された空孔内面から開口断面部及び表層部へと続く一連の膜から形成されていることを特徴とする表面処理構造体。
[19]内部に一方開口部から他方開口部まで続く空孔を有する管状基材と、該管状基材の空孔面に形成された少なくとも、炭素、水素、酸素、窒素、フッ素、アルゴン、ヘリウム、Si、Ti、Al、Zr、Wのいずれか一つを含むドライ薄膜を有し、
前記ドライ薄膜が、前記管状基材の開口部付近において、渦を巻くような曲線状部分を伴って形成されていることを特徴とする表面処理構造体。
[20]内部に一方開口部から他方開口部まで続く空孔を有する管状基材と、該管状基材の空孔面に形成された少なくとも、炭素、水素、酸素、窒素、フッ素、アルゴン、ヘリウム、Si、Ti、Al、Zr、Wのいずれか一つを含むドライ薄膜を有し、
前記ドライ薄膜が、前記管状基材の中間部で部分的に径の広くなる部分の内壁にも形成されていることを特徴とする表面処理構造体。
[21]前記ドライ薄膜が、非晶質炭素膜、又はSi、Ti、Al、Zr、Wのいずれか一つを含む非晶質炭素膜からなることを特徴とする[15]〜[20]のいずれかに記載の表面処理構造体。
本発明によれば、内部に空孔を有する被処理基材(空孔体)の内部内面に、安定したプラズマでの皮膜の形成又は表面改質が可能になる。
その他の効果は本明細書全体の記載により明らかにされる。
その他の効果は本明細書全体の記載により明らかにされる。
本発明の方法は、空孔を有する基材(空孔体)の内部内面に表面処理や表面改質を行いたい場合において、真空プラズマCVD装置の成膜容器内に、空孔を有する一方電極(補助電極)を設置し、真空装置の内壁または、必要に応じて設置される補助電極(グランド)を他方電極とすると共に、前記成膜容器内に原料ガスを供給し、前記どちらか一方の電極にパルス状の電圧を印加することにより前記一方電極の電極空孔内部に「局所的に濃い状態」でプラズマを生成させ、当該電極の前記局所的に濃いプラズマ部分から当該電極の外部に突出するようにプラズマを生成させ、前記電極のプラズマ突出方向に、前記一方電極、また他方電極双方から絶縁された状態(距離)で空孔体基材を設置し、前記処理を行いたい空孔の開口部を前記突出するプラズマ方向に向け配置することで、前記生成したプラズマを空孔体基材の電極側の前記開口部から空孔体基材の空孔内部に向かって照射することにより空孔体の内部に表面処理を行い、または表面改質を行うものである。
図1は、本発明の方法を実施するための装置の1つの実施形態の概要を示す模式図であり、図中、1は、反応容器、2は、内部に空孔を有する被処理基材、3は、内部に空孔を有する一方電極、4は、DCパルス電源、5は、絶縁ガイシなどの絶縁性支持手段を示している。
図1に示すように、本発明の装置は、真空排気可能であり、かつ内部に被処理基材2を収容可能な反応容器1と、前記反応容器1内にプラズマ生成源となる原料ガスを導入する手段と、前記反応容器内に設置された一方電極3と、前記一方電極3に電圧を印加する手段4とを備えており、空孔を有する被処理基材(空孔体)2は、絶縁ガイシなどの絶縁性支持手段5を介して、反応容器1内に配置されている。
一方電極は、内部に空孔を有する円筒状電極(図では、メッシュ電極)からなり、DCパルス電源4に電気的に接続されている。一方、反応容器は接地(アース)されて、一方電極の対極となっている。そして、該円筒状電極は、その空孔内に発生したプラズマが、円筒状電極の一端の開口部から前記被処理基材2の内部の空孔に向けて照射されるように配置されている。
すなわち、該装置によれば、前記電圧印加手段により発生した電界によって、前記反応容器内に導入された前記原料ガスをプラズマ化させると共に、円筒状電極の空孔内部に局所的に濃いプラズマ部分が発生し、発生したプラズマが、円筒状電極の一端の開口部から前記前記被処理基材の内部の空孔に向かって照射されることにより、空孔体の内部に表面処理または表面改質を行うことができる。
図1に示すように、本発明の装置は、真空排気可能であり、かつ内部に被処理基材2を収容可能な反応容器1と、前記反応容器1内にプラズマ生成源となる原料ガスを導入する手段と、前記反応容器内に設置された一方電極3と、前記一方電極3に電圧を印加する手段4とを備えており、空孔を有する被処理基材(空孔体)2は、絶縁ガイシなどの絶縁性支持手段5を介して、反応容器1内に配置されている。
一方電極は、内部に空孔を有する円筒状電極(図では、メッシュ電極)からなり、DCパルス電源4に電気的に接続されている。一方、反応容器は接地(アース)されて、一方電極の対極となっている。そして、該円筒状電極は、その空孔内に発生したプラズマが、円筒状電極の一端の開口部から前記被処理基材2の内部の空孔に向けて照射されるように配置されている。
すなわち、該装置によれば、前記電圧印加手段により発生した電界によって、前記反応容器内に導入された前記原料ガスをプラズマ化させると共に、円筒状電極の空孔内部に局所的に濃いプラズマ部分が発生し、発生したプラズマが、円筒状電極の一端の開口部から前記前記被処理基材の内部の空孔に向かって照射されることにより、空孔体の内部に表面処理または表面改質を行うことができる。
本発明の一実施形態において、内部に空孔を有する被処理基材の一例である筒状ワークの空孔内部に一定方向のプラズマを吹き込むことにより、プラズマの角度を持って衝突する面や、収束する部分、特に収束端部、細くなる部分、集まる部分などのいずれかの膜厚を大きくすることが可能となり、被処理基材である空孔体基材の処理後、該ワークの使用にあたり、同様方向から該ワーク空孔内に注入され、プラズマと同様の経路を進む収容物(空孔内充填物、空孔内移動体)が衝突して抵抗、流速等の大きい部分の耐久性の向上に有効であることが理解できる。具体的には、例えば先端部が円錐状に細くなっているノズル内部においては、プラズマを大きな開口部から細い先端部に照射することで、先端部の処理膜厚を大きくすることが可能となり得る。
また、本発明の一実施形態において、内部に空孔を有する被処理基材の一例である筒状ワークの空孔内部に一定方向のプラズマを吹き込むことにより、該円筒状ワークの本発明にかかる電極側開口部付近で膜厚が厚く、場合によっては、内部に向かって傾斜的に薄くなり、最後に、前記電極とは反対部分の該円状ワーク開口部周辺で、前記空孔体基材の空孔の入口部分と出口部分の間部分の空孔内部表面に比べ再び膜厚が厚くなることが可能となり得る。該部分(前記膜厚が厚くなる部分)は筒状ワーク内部への他のワークへの繋ぎ込み部分として、また内容物の移動流速が上がる部分として他の内部空孔面に比べて(強く)摩擦される場合が想定され、本発明の一方方向からのみプラズマ照射により、該筒状ワークの反対側出口付近内部部分と電極側入り口部分双方の耐久性の向上に有効であることが理解できる。
本発明の一実施形態において、内部に空孔を有する被処理基材の一例である筒状ワークの空孔内部に、前記円筒状ワークの一方の端と他方端の開口径より広い径へと広がった中間部分が存在する筒状ワーク(中央部分が太くなっている中空パイプ状ワークなど)に対して、一方の端から一定方向のプラズマを吹き込むことにより、前記プラズマは筒状ワークの空孔内部表面に沿って「広がり」をもちながら進むため、該円筒状ワークの一方の端と他方端の径より広い径の部分の表面にも表面処理を行うことが可能となり得る。
また、本発明の一実施形態において、内部に空孔を有する被処理基材の一例であるディスペンサノズルなどの筒状ワークの突出口先端、小開口部を、一方電極側に向けて表面処理を行うことにより、ディスペンサノズルの実質的に表面処理される空孔内面から先端部の突出口断面(肉厚部分)、ノズル先端外面(表層部)へと続く1枚の成膜部分が滑らかに続く「一連の同種の膜」が形成される。したがって、本発明によれば、従来ノズル先端部の突出口断面(肉厚部分)と、空孔内面、ノズル先端外面とを分けて、複数回部分処理していたために発生していた、複数回成膜による一部の膜厚が重なる、一部が未膜になる、異なる膜が段差を形成する、或いは成膜が重なる部分で膜に界面が発生し、剥離の原因になること、前記段差に起因して発生する表面濡れ性の変化(例えば段差による濡れ性のピン止め効果による変動や物理的摩擦抵抗の発生等)の不具合を抑制しながら、1回の処理で必要部分を一括処理可能となり得る。
すなわち、従来の筒状ワークの処理方法では、筒状ワークの表層部、開口断面部には一連の表面処理を行うことが可能ではあるが、筒状ワークの内部においては、当該筒状ワークの開口部断面から僅かに筒状ワークの空孔内部にプラズマが拡散しで処理される部分(例えば開口径にも依存するが、開口端から内部深さで開口径に対してアスペクト比で0.2〜0.5付近まで)しかプラズマが届かないため、つまり実質的に表面処理されない空孔内面を有し、実質的には筒状ワークの空孔内部から開口断面部及び筒状ワーク表層部への「一連の同種の膜」処理が行われず、前記課題を解決できない状態となる。
また、従来の筒状ワークの処理方法では、筒状ワークの内部において、当該筒状ワークの開口部断面から僅かに筒状ワークの空孔内部にプラズマが拡散しで処理される前記の部分は、その膜の基材密着が悪い、膜厚が薄い、膜質が悪いなどの正規所望の表面処理ではなく、該部分(前記膜厚が厚くなる部分)は、筒状ワーク内部への他のワークへの繋ぎ込み部分として、また内容物の移動流速が上がる部分として他の内部空孔面に比べて(強く)摩擦され、早期に機能障害を起こすことが懸念され得る。
また、従来の筒状ワークの処理方法では、筒状ワークの内部において、当該筒状ワークの開口部断面から僅かに筒状ワークの空孔内部にプラズマが拡散しで処理される前記の部分は、その膜の基材密着が悪い、膜厚が薄い、膜質が悪いなどの正規所望の表面処理ではなく、該部分(前記膜厚が厚くなる部分)は、筒状ワーク内部への他のワークへの繋ぎ込み部分として、また内容物の移動流速が上がる部分として他の内部空孔面に比べて(強く)摩擦され、早期に機能障害を起こすことが懸念され得る。
こうした従来法に対し、本発明の一実施形態において、内部に空孔を有する被処理基材の一例であるディスペンサノズル先端部(断面、内面、外周面)は、その部分の(表面処理による)段差、(断)面積や粗さ、濡れ性変動に起因する、該当面への突出液這い上がり(濡れ上がり)状態の変動を惹起し、塗布量ばらつき精度に大きく影響する部分であり、前記一連の表面処理を一挙に連続面として形成可能なことが非常に重要となる場合がある。
また、本発明の一実施形態において、内部に空孔を有する被処理基材の一例である筒状ワークへの表面処理は、設計された基材の外形に従い、外形に沿って内部空孔部から、開口断面部、及び被処理基材の表層部へと続く一連の表面処理を行うことが可能となり得る。
また、本発明の一実施形態において、内部に空孔を有する被処理基材の一例である筒状ワークへの表面処理は、設計された基材の外形に従い、外形に沿って内部空孔部から、開口断面部、及び被処理基材の表層部へと続く一連の表面処理を行うことが可能となり得る。
本発明の他の実施形態において、内部に空孔を有する被処理基材の一例である筒状ワークへの表面処理は、筒状ワークの外周部を予め従来の公知のドライ薄膜表面処理方法で一度処理した後、本発明にかかるプラズマを照射する方法で処理する方法を併用することも可能であり、この場合にも前記基材に従来の公知のドライ薄膜表面処理方法で形成された下地を含む基材表層(外形)に沿って内部空孔部、開口断面部、及び表層部へと続く一連の表面処理を行うことが可能となり得る。
また逆に、本発明にかかるプラズマを照射する方法で筒状ワークの空孔内に表面処理を行った後に前記基材に従来の公知のドライ薄膜表面処理方法で基材表層部の表面処理を行うこと、また前記の従来処理と本発明にかかる処理を交互に複数回行うことも可能となり得る。
例えば従来処理方法による表面処理の硬度や密着力が筒状ワークの外周部や開口部断面等でより必要(重要)な場合などが該当する。
以下、順に詳しく説明する。
また逆に、本発明にかかるプラズマを照射する方法で筒状ワークの空孔内に表面処理を行った後に前記基材に従来の公知のドライ薄膜表面処理方法で基材表層部の表面処理を行うこと、また前記の従来処理と本発明にかかる処理を交互に複数回行うことも可能となり得る。
例えば従来処理方法による表面処理の硬度や密着力が筒状ワークの外周部や開口部断面等でより必要(重要)な場合などが該当する。
以下、順に詳しく説明する。
<被処理基材>
本発明における「内部の少なくとも1部に空孔を有する被処理基材」(単に、「被処理基材である空孔体」ということもある)は、少なくとも1つ以上の、貫通形状や留め穴形状等の空孔を有するものであればよく、その形状は特に限定されない。また空孔についても、特に形状や大きさは限定されず、数nm程度の開口や深さを有するものから、数十cm〜数mの管状基材の空孔(例えばメートル長の配管やホース)であっても構わない。
また、空孔体における空孔の形状は、直線状のストレート形状に限定されず、規則的、不規則的に曲がっているもの、鍾乳洞の様な内部で広がりを持ち、複雑な形状をしているもの、或いは空孔の径や形状などが連続的、または非連続的に変化するものであっても良い。
また、空孔体における空孔の形状は、円筒系のもの等、特に限定されず、円錐状でも、三角柱や四角柱、多角柱、三角錘や四角錘、多角錘、球状、卵型、または鍾乳洞のように複雑で入り組んだ形状のものであても良い。
さらには、活性炭やグラファイトカーボンなどのポーラス構造体、綾織や平織りその他多様な折方の織物や編み物など、メッシュなども繊維の太さと目開きで規定される空孔を有するものとして扱うことが可能であり、また紙のように個々の繊維が絡まって積層されながらも内部に空間(空洞)的な隙間を有するものであっても良い。
本発明における「内部の少なくとも1部に空孔を有する被処理基材」(単に、「被処理基材である空孔体」ということもある)は、少なくとも1つ以上の、貫通形状や留め穴形状等の空孔を有するものであればよく、その形状は特に限定されない。また空孔についても、特に形状や大きさは限定されず、数nm程度の開口や深さを有するものから、数十cm〜数mの管状基材の空孔(例えばメートル長の配管やホース)であっても構わない。
また、空孔体における空孔の形状は、直線状のストレート形状に限定されず、規則的、不規則的に曲がっているもの、鍾乳洞の様な内部で広がりを持ち、複雑な形状をしているもの、或いは空孔の径や形状などが連続的、または非連続的に変化するものであっても良い。
また、空孔体における空孔の形状は、円筒系のもの等、特に限定されず、円錐状でも、三角柱や四角柱、多角柱、三角錘や四角錘、多角錘、球状、卵型、または鍾乳洞のように複雑で入り組んだ形状のものであても良い。
さらには、活性炭やグラファイトカーボンなどのポーラス構造体、綾織や平織りその他多様な折方の織物や編み物など、メッシュなども繊維の太さと目開きで規定される空孔を有するものとして扱うことが可能であり、また紙のように個々の繊維が絡まって積層されながらも内部に空間(空洞)的な隙間を有するものであっても良い。
また、被処理基材である空孔体の材質についても、任意に選定可能である。
一例として、空孔体の材質は、金属や金属合金であっても良く、導電性のカーボンなどであっても良い。さらには、電気を通さない絶縁性の各種樹脂、ゴム、セラミクス材料、ガラス、紙、繊維、半導体であるSiやGeなど、さらにまた、前記の材料が複合された材料、めっきで形成された電鋳品、また前記各種基材に湿式めっき、乾式めっきがされたもの、さらには、前記各基材に機械研磨、化学研磨、ブラスト、エッチィング加工、塗装を行ったものなどであっても構わない。
さらに、被処理基材である空孔体が樹脂やガラスなどの絶縁物材質の場合、該基材
の表層にアルミニウム箔等の金属箔、金属メッシュ、金属めっきや金属スパッタ、蒸着
膜等を被服することも可能である。
一例として、空孔体の材質は、金属や金属合金であっても良く、導電性のカーボンなどであっても良い。さらには、電気を通さない絶縁性の各種樹脂、ゴム、セラミクス材料、ガラス、紙、繊維、半導体であるSiやGeなど、さらにまた、前記の材料が複合された材料、めっきで形成された電鋳品、また前記各種基材に湿式めっき、乾式めっきがされたもの、さらには、前記各基材に機械研磨、化学研磨、ブラスト、エッチィング加工、塗装を行ったものなどであっても構わない。
さらに、被処理基材である空孔体が樹脂やガラスなどの絶縁物材質の場合、該基材
の表層にアルミニウム箔等の金属箔、金属メッシュ、金属めっきや金属スパッタ、蒸着
膜等を被服することも可能である。
<一方電極>
本発明における一方電極は、内部の少なくとも一部に空孔を有するものであって、該一方電極の外部に生成されるプラズマ(例えば、一方電極の空孔部を含まない外形の表層部と真空装置のグランドとの間に生成されるプラズマ)に比較して、該一方電極の空孔内部に「局所的に濃い状態でプラズマを生成させ」、当該電極の前記局所的に濃いプラズマ部分から当該電極の外部に突出するようにプラズマを生成させることができるものであれば良く、電極の材質、形状は特に限定されない。
また、前記一方電極の空孔内部に生成される濃い状態のプラズマ中において、さらに局所的に濃い状態でプラズマを生成させる方法が好適である。
本発明における一方電極は、内部の少なくとも一部に空孔を有するものであって、該一方電極の外部に生成されるプラズマ(例えば、一方電極の空孔部を含まない外形の表層部と真空装置のグランドとの間に生成されるプラズマ)に比較して、該一方電極の空孔内部に「局所的に濃い状態でプラズマを生成させ」、当該電極の前記局所的に濃いプラズマ部分から当該電極の外部に突出するようにプラズマを生成させることができるものであれば良く、電極の材質、形状は特に限定されない。
また、前記一方電極の空孔内部に生成される濃い状態のプラズマ中において、さらに局所的に濃い状態でプラズマを生成させる方法が好適である。
本発明にかかる一方電極は、多様な材質で構成され特に限定されないが、基本的には、鉄、アルミニウム、銅、ニッケル、タングステンなどの各種金属、ステンレス鋼やジュラルミンなどのアルミニウム合金、さらにはインバー、コバールなどのニッケル−鉄合金、ニッケル−コバルト合金、ニッケル−タングステン合金などの各種金属合金、カーボン等の導電材料により構成されるが、例えば、絶縁物や半導体より成る基材と導電体との複合体、絶縁物や半導体などの表層に導電性の湿式めっきや乾式めっき等で表面処理したもの、電鋳で形成したものなどでも良い。
さらには、本発明にかかる一方電極は、空孔体への本発明の実施形態にかかる表面処理を行った後、さらに繰り返しの処理に使用することも可能である。
さらには、本発明にかかる一方電極は、空孔体への本発明の実施形態にかかる表面処理を行った後、さらに繰り返しの処理に使用することも可能である。
本発明の一実施形態としての空孔を有する電極は、例えば、メッシュを中空円筒形にしたもの、コイル(バネ)、多数のパンチング穴を開けた中空円筒等、前記空孔を有する電極の壁を構成する部分に当該電極の構造強度を保った範囲で大量の穴(貫通孔)を開けた電極が好適である。
前記大量の穴(貫通孔)を開けた電極とすることにより、該穴から、電極外部から内部にプラズマ源となるプラズマ原料ガスの供給を確保し、一方、空孔内部で大量に生成される余剰電子を適宜プラズマがホローカソード状態に移行しないように、または、ホローカソード状態が出現しても、前記ホローカソード状態のプラズマ(電流)が、意図せず制御不能に上昇し、「制御不能なホローカソード状態」に移行しないように、「安全弁」的に弾力的に前記余剰電子を該電極の空孔外部へ排出することができる。
以って、前記大量の穴(貫通孔)を開けた電極に高い電圧を印加し高エネルギー状態に乖離したプラズマを安定的に形成可能とすることが可能になるとともに、空孔を有する該電極に意図的に設計された開口部(例えば、前記メッシュを中空円筒形にしたものの円筒端部のメッシュの存在しない開口部)から近傍に設置された被処理基材である空孔体基材の空孔に向けて活性の高い前記プラズマを当該開口部を通じて奥深く、隅々に供給することが可能となり得る。
さらに、前記大量の穴(貫通孔)を開けた電極とすることにより、通常、電極基材表層から10mm〜数十mm存在するプラズマシースの影響を排除し、前記プラズマシース長の2倍以下の内径を有する前記大量の穴(貫通孔)を開けた電極の内側にプラズマを発生させることが可能と成り得る。
前記大量の穴(貫通孔)を開けた電極とすることにより、該穴から、電極外部から内部にプラズマ源となるプラズマ原料ガスの供給を確保し、一方、空孔内部で大量に生成される余剰電子を適宜プラズマがホローカソード状態に移行しないように、または、ホローカソード状態が出現しても、前記ホローカソード状態のプラズマ(電流)が、意図せず制御不能に上昇し、「制御不能なホローカソード状態」に移行しないように、「安全弁」的に弾力的に前記余剰電子を該電極の空孔外部へ排出することができる。
以って、前記大量の穴(貫通孔)を開けた電極に高い電圧を印加し高エネルギー状態に乖離したプラズマを安定的に形成可能とすることが可能になるとともに、空孔を有する該電極に意図的に設計された開口部(例えば、前記メッシュを中空円筒形にしたものの円筒端部のメッシュの存在しない開口部)から近傍に設置された被処理基材である空孔体基材の空孔に向けて活性の高い前記プラズマを当該開口部を通じて奥深く、隅々に供給することが可能となり得る。
さらに、前記大量の穴(貫通孔)を開けた電極とすることにより、通常、電極基材表層から10mm〜数十mm存在するプラズマシースの影響を排除し、前記プラズマシース長の2倍以下の内径を有する前記大量の穴(貫通孔)を開けた電極の内側にプラズマを発生させることが可能と成り得る。
この点において、前記大量の穴(貫通孔)を開けた電極と異なり、例えば本発明の一実施形態に於ける空孔を有する電極の壁を構成する部分に外部との貫通孔の全く無い、または、貫通孔の構成割合が極端に低い電極は、前記プラズマシースの影響も受け、その管内にプラズマを安定的に形成し、維持させる得る電極の内径には制約があり、プラズマの安定生成条件領域は極めて狭いため、真空装置の真空容器全体へのガス供給状態(ガス拡散状態)の揺らぎや、被処理基材の表面状態(例えば異常放電を起こし易い、汚れ、異物、酸化物などの付着したもの)、また複数基材を混載をした際の複数投入基材同士の遮蔽による電界条件やガス拡散状態の、例えば単品投入時との相違等により、安定して空孔を有する前記電極の内部にプラズマを発生維持させることが難しいため、本明細書の前記のように、空孔を有する電極の壁を構成する部分に外部との貫通穴(貫通孔)を一定割合で有することが実用的、安定的である。
さらに、本発明の一実施形態にかかる空孔を有する電極の内部で大量に生成されるプラズマ状に乖離した電子、さらには原料ガスがプラズマ化して生成されるイオンは、電極の外部に排出され易い空孔を有する電極の開口部から、近傍に配置した被処理基材(例えばパイプ状基材)の空孔部に入射進入し、空孔体である被処理基材(例えばパイプ状基材)の空孔部を通過してさらにパイプ状基材の他端開口部から(真空装置内の)外部に排出される。
この時、プラズマ状に乖離した電子は、前記パイプ状基材の他端開口部からさらに(真空装置内の)外部に位置する成膜装置の壁(グランド)や、必要に応じて特別に真空容器内に追加設置する電極に対して、該空孔体である被処理基材の空孔開口部の向いていない方向に比較して、真空装置中の真空空間により強い「プラズマ電流」を形成する状態となり得る。
このプラズマ(例えば乖離した電子)から成るプラズマ電流は、被処理基材である空孔体(例えば前記パイプ状基材)の空孔部内部を、空孔を有する電極側とは反対側の他の一方の空孔体の空孔開口部(出口)に進み、前記空孔を有する電極から生成され、空孔体の内部空孔内に照射拡散供給されるプラズマ原料ガスのイオン化したもの、またはラジカル化したもの、さらには前記電極から離れて失活し、大きなクラスター状に再結合したものと衝突し、それらを更に高いエネルギーを有するプラズマ状態に乖離させ、または、高いエネルギーを有するプラズマ状態に留めることに貢献する場合があると考えることもできる。
さらに被処理基材である空孔体の空孔部内部を空孔体基材の空孔を有する電極側とは反対方向の他の一方空孔体の空孔開口部(出口)に進み、該出口から真空装置の容器内の空間に出た電子は、真空容器内に別途拡散供給されている原料ガス等に衝突し、当該ガスを空孔体の空孔を有する電極側とは反対方向の他の一方空孔体の空孔開口部(出口)付近でプラズマを生成する場合も有り得ると考えることもできる。
さらに、空孔体の空孔内を通過する電界(プラズマ電流)は、電流の進行方向に対して、「右ネジの法則」で周囲に磁界を形成することが可能となり得る。
このように形成される磁界は、生成されたプラズマイオンを被処理基材である空孔体の空孔内で磁界に沿って回転させ、空孔体の空孔内壁、特に、空孔体の空孔の内径が変化するような場合の空孔内壁(具体的には管状空孔の途中部に径が大きい(太い)部分を有するものの内壁)に、さらに場合によっては処理基材の外部表層にプラズマイオンを均一に密着良く着床させることに貢献すると想定できる。
さらに加えて、処理基材が電子を閉じ込めることが可能な素材である場合は、処理基材の空孔が、直線状でない曲線や角度を有する基材であても、プラズマ電子は当該空孔に従い進行することになるため、例えば曲がった処理基材の空孔内にも良質なプラズマを供給できるものと推定できる。
この時、プラズマ状に乖離した電子は、前記パイプ状基材の他端開口部からさらに(真空装置内の)外部に位置する成膜装置の壁(グランド)や、必要に応じて特別に真空容器内に追加設置する電極に対して、該空孔体である被処理基材の空孔開口部の向いていない方向に比較して、真空装置中の真空空間により強い「プラズマ電流」を形成する状態となり得る。
このプラズマ(例えば乖離した電子)から成るプラズマ電流は、被処理基材である空孔体(例えば前記パイプ状基材)の空孔部内部を、空孔を有する電極側とは反対側の他の一方の空孔体の空孔開口部(出口)に進み、前記空孔を有する電極から生成され、空孔体の内部空孔内に照射拡散供給されるプラズマ原料ガスのイオン化したもの、またはラジカル化したもの、さらには前記電極から離れて失活し、大きなクラスター状に再結合したものと衝突し、それらを更に高いエネルギーを有するプラズマ状態に乖離させ、または、高いエネルギーを有するプラズマ状態に留めることに貢献する場合があると考えることもできる。
さらに被処理基材である空孔体の空孔部内部を空孔体基材の空孔を有する電極側とは反対方向の他の一方空孔体の空孔開口部(出口)に進み、該出口から真空装置の容器内の空間に出た電子は、真空容器内に別途拡散供給されている原料ガス等に衝突し、当該ガスを空孔体の空孔を有する電極側とは反対方向の他の一方空孔体の空孔開口部(出口)付近でプラズマを生成する場合も有り得ると考えることもできる。
さらに、空孔体の空孔内を通過する電界(プラズマ電流)は、電流の進行方向に対して、「右ネジの法則」で周囲に磁界を形成することが可能となり得る。
このように形成される磁界は、生成されたプラズマイオンを被処理基材である空孔体の空孔内で磁界に沿って回転させ、空孔体の空孔内壁、特に、空孔体の空孔の内径が変化するような場合の空孔内壁(具体的には管状空孔の途中部に径が大きい(太い)部分を有するものの内壁)に、さらに場合によっては処理基材の外部表層にプラズマイオンを均一に密着良く着床させることに貢献すると想定できる。
さらに加えて、処理基材が電子を閉じ込めることが可能な素材である場合は、処理基材の空孔が、直線状でない曲線や角度を有する基材であても、プラズマ電子は当該空孔に従い進行することになるため、例えば曲がった処理基材の空孔内にも良質なプラズマを供給できるものと推定できる。
本発明の他の実施形態としては前記空孔を有する電極は、前記壁面に穴(貫通孔)を有しない管状の電極とすることも可能である。
ただし、この場合、空孔を有する電極の内部にプラズマを生成するには、プラズマを連続的に電極に形成してしまうと、プラズマ原料ガスを空孔の内部に導入する前に空孔を有する電極の外周部で原料ガスがプラズマ化し、空孔内部へプラズマ原料ガスが供給されない場合や、空孔を有する電極内部のプラズマ乖離状態が高くなり、余剰電子の排出が上手く行かず制御不能な異常放電に移行し、安定したプラズマが維持できない場合があるので、パルス状に電圧を印加可能な電源を使用し、該電極に断続的にプラズマを生成することで、原料ガスを空孔内部に供給可能な状態を確保すること、または、空孔内の余剰電子を排出する手段を講じることが好適である。
なお、本発明の各実施形態に於ける電極はいずれも制御不可能なホローカソードに移行しやすい電極(一方電極)になるため、いずれのケースもパルス状に電圧を印加可能な電源を使用することが望ましい。
さらに本発明の他の実施形態としては、プラズマ発生電極を部分的に強いプラズマ電流が流れる形状とし、その強いプラズマ電流を処理基材の空孔部に向けることが可能な電極を使用すれば良く、例えば、避雷針のような先端が他の部分に比べて凸状の電極、先端が鋭利な電極等を処理基材の空孔体の空孔方向に向けて電圧を印加し、基材の空孔方向にプラズマ電界(電流)を生成することも可能となり得る。
ただし、この場合、空孔を有する電極の内部にプラズマを生成するには、プラズマを連続的に電極に形成してしまうと、プラズマ原料ガスを空孔の内部に導入する前に空孔を有する電極の外周部で原料ガスがプラズマ化し、空孔内部へプラズマ原料ガスが供給されない場合や、空孔を有する電極内部のプラズマ乖離状態が高くなり、余剰電子の排出が上手く行かず制御不能な異常放電に移行し、安定したプラズマが維持できない場合があるので、パルス状に電圧を印加可能な電源を使用し、該電極に断続的にプラズマを生成することで、原料ガスを空孔内部に供給可能な状態を確保すること、または、空孔内の余剰電子を排出する手段を講じることが好適である。
なお、本発明の各実施形態に於ける電極はいずれも制御不可能なホローカソードに移行しやすい電極(一方電極)になるため、いずれのケースもパルス状に電圧を印加可能な電源を使用することが望ましい。
さらに本発明の他の実施形態としては、プラズマ発生電極を部分的に強いプラズマ電流が流れる形状とし、その強いプラズマ電流を処理基材の空孔部に向けることが可能な電極を使用すれば良く、例えば、避雷針のような先端が他の部分に比べて凸状の電極、先端が鋭利な電極等を処理基材の空孔体の空孔方向に向けて電圧を印加し、基材の空孔方向にプラズマ電界(電流)を生成することも可能となり得る。
以下、具体的な例を幾つか挙げて説明する。
(筒状電極)
例えば、筒状の両端に開口部を有する電極がある。当該筒状電極の場合、電極の内部空孔で形成されたプラズマは、筒の両端の開口部から勢い良く外部に筒の中心線(中心軸)の延長方向に「方向性」をもって噴出すことになるので、前記プラズマの突出方向に概ね直列で中心軸が一直線上に、表面処理を行いたい被処理空孔体の空孔(空孔の軸等)が位置するように空孔体を電極の傍に直線状等に配置すれば良い。
なお、本発明の一実施形態にかかる前記筒状電極は、側壁に貫通孔が無く、完全に閉じた筒型形状(例えば筒の断面がアルファベットの「0」の形状)や略筒型形状のみではなく、側壁の一部に、一端の開口部から他端の開口部に続くスリットなどの切れ込みを有する不完全な筒型形状のもの、前記完全な円筒状のもの、または不完全な筒形状を繋ぎ合わせたようなもの(例えば筒(電極)の断面が略アルファベットの「C」「E」「H」「J」「M」「N」「S」「U」「X」「W」「Z」のような形状や、略、数字の「8」のような形状、略オリンピックの「5輪」のような形状等)であっても、実質的に内部に空孔を有するもので、部分的に濃度の高いプラズマを形成可能なものであれば特に限定されず、いずれの形状でも本発明の一実施形態として有効に使用可能である。目安としては、本発明の一実施形態において、例えば円柱状の前記筒状電極の側壁断面部において、180度を超える部分で閉じていれば、360度完全な円形筒状を有さないものでも使用可能となり得る。
(筒状電極)
例えば、筒状の両端に開口部を有する電極がある。当該筒状電極の場合、電極の内部空孔で形成されたプラズマは、筒の両端の開口部から勢い良く外部に筒の中心線(中心軸)の延長方向に「方向性」をもって噴出すことになるので、前記プラズマの突出方向に概ね直列で中心軸が一直線上に、表面処理を行いたい被処理空孔体の空孔(空孔の軸等)が位置するように空孔体を電極の傍に直線状等に配置すれば良い。
なお、本発明の一実施形態にかかる前記筒状電極は、側壁に貫通孔が無く、完全に閉じた筒型形状(例えば筒の断面がアルファベットの「0」の形状)や略筒型形状のみではなく、側壁の一部に、一端の開口部から他端の開口部に続くスリットなどの切れ込みを有する不完全な筒型形状のもの、前記完全な円筒状のもの、または不完全な筒形状を繋ぎ合わせたようなもの(例えば筒(電極)の断面が略アルファベットの「C」「E」「H」「J」「M」「N」「S」「U」「X」「W」「Z」のような形状や、略、数字の「8」のような形状、略オリンピックの「5輪」のような形状等)であっても、実質的に内部に空孔を有するもので、部分的に濃度の高いプラズマを形成可能なものであれば特に限定されず、いずれの形状でも本発明の一実施形態として有効に使用可能である。目安としては、本発明の一実施形態において、例えば円柱状の前記筒状電極の側壁断面部において、180度を超える部分で閉じていれば、360度完全な円形筒状を有さないものでも使用可能となり得る。
本発明の一実施形態にかかる筒状電極の端部開口部断面は、被処理基材である空孔体の内部空孔部の開口部穴断面と接触せずに所定の距離で対面して並ぶように配置することが多いが、本発明にかかる他の一実施形態として、当該空孔体の内部空孔部の中の空間一部に前記筒状電極の一部のみが空孔体に電気的に接触しないように挿入されていても良い。なお、被処理基材である空孔体が絶縁物の場合は、被処理対象物は電気的に絶縁された状態「電気的に浮いた状態」となり得るので、筒状電極の一部が物理的に空孔体に接触していても、当該接触部に、目的とする表面処理等が不要であれば問題はない場合もある。
さらに、被処理基材である空孔体が絶縁物の場合は、当該空孔体が電気的に絶縁された状態「電気的に浮いた状態」となり得るので、本発明にかかる「他方電極」の一部が物理的に空孔体に接触していても問題にならない場合もある。
この場合、空孔体の内部に挿入された部分の筒状電極は、空孔体の存在により、外部からの電界形成や原料ガス供給を阻まれ、挿入された部分に於いて電極として十分機能しない状態になる場合が有り得るが、空孔体の空孔の外に位置する円筒電極部分が本願の電極の機能を果たせば特に問題にならない。
さらに、被処理基材である空孔体が絶縁物の場合は、当該空孔体が電気的に絶縁された状態「電気的に浮いた状態」となり得るので、本発明にかかる「他方電極」の一部が物理的に空孔体に接触していても問題にならない場合もある。
この場合、空孔体の内部に挿入された部分の筒状電極は、空孔体の存在により、外部からの電界形成や原料ガス供給を阻まれ、挿入された部分に於いて電極として十分機能しない状態になる場合が有り得るが、空孔体の空孔の外に位置する円筒電極部分が本願の電極の機能を果たせば特に問題にならない。
さらに本発明の他の実施形態にかかる筒状電極は、被処理基材である空孔体の少なくとも一部の外形構造表層面、例えばパイプの一端の開口部付近の外周部を、前記筒状電極の一端の一部のみが包含するように、接触しないで重なって配置されてもかまわない。なおこの場合も同様に、被処理基材である空孔体が絶縁物の場合は、本発明にかかる一方電極である筒状電極の一部や、本発明にかかるグランドなどの「他方電極」が物理的に空孔体に接触していても問題無い場合もある。
この場合、空孔体の空孔一端の開口部付近の外周部を、前記筒状電極の一端の一部内部が包含するように重なっている部分において、筒状電極は外部からの電界形成や原料ガス供給を阻まれ電極として機能しない状態になる場合が有り得るが、空孔体を包含する部分の外に位置する円筒電極部分が本願の電極の機能を果たせば特に問題にならない。
この場合、空孔体の空孔一端の開口部付近の外周部を、前記筒状電極の一端の一部内部が包含するように重なっている部分において、筒状電極は外部からの電界形成や原料ガス供給を阻まれ電極として機能しない状態になる場合が有り得るが、空孔体を包含する部分の外に位置する円筒電極部分が本願の電極の機能を果たせば特に問題にならない。
さらにこの場合、被処理基材である空孔体の空孔一端の開口部付近の外周部を、前記筒状電極の一端の一部内部が接触せず包含するように重なっている部分において筒状電極から空孔体の外周部分の間にプラズマが発生するような配置(離反距離)の場合も有り得る。
この場合においては、筒状電極の内部空孔面と被処理基材である空孔体の外面(空孔の内面ではない)の間には筒状電極の総体中で最も濃いプラズマ部分が発生せず、筒状電極中で当該空孔体と重なっていない部分に、前記筒状電極中で当該空孔体と重なっている部分よりも濃いプラズマが発生できるようにすることが重要である。その理由は、筒状電極から当該空孔体の外周面に供給されるプラズマが空孔体の内部空孔面には直進直射せずに前記空孔体の外面を直射することで当該空孔体の空孔内部の処理へのプラズマの寄与が希薄となることを避けるためである。
この場合においては、筒状電極の内部空孔面と被処理基材である空孔体の外面(空孔の内面ではない)の間には筒状電極の総体中で最も濃いプラズマ部分が発生せず、筒状電極中で当該空孔体と重なっていない部分に、前記筒状電極中で当該空孔体と重なっている部分よりも濃いプラズマが発生できるようにすることが重要である。その理由は、筒状電極から当該空孔体の外周面に供給されるプラズマが空孔体の内部空孔面には直進直射せずに前記空孔体の外面を直射することで当該空孔体の空孔内部の処理へのプラズマの寄与が希薄となることを避けるためである。
さらに、筒状電極と被処理基材である空孔体の空孔との配置距離があまり離れ過ぎると、筒状電極で発生したプラズマが当該空孔体の内部空孔部表層に到達するまでに失活するため、特に限定はされないが、概ね100mm未満、さらには50mm未満、好適には5mm未満程度の近接距離を保つことが望ましい。
但し、本発明の他の実施形態において、被処理基材である空孔体がビン(瓶)のような有底の「止め穴」状の空孔体である場合、前記筒状電極と当該空孔体の空孔との配置距離があまり近すぎると筒状電極で発生したプラズマが当該空孔体の内部空孔部表層に到達した後、外部に逃げる隙間が無くなり、異常放電が極めて発生し易い状態となるため、当該空孔体がビンのような有底の「止め穴」状の空孔体である場合は、前記筒状電極との距離を少なくとも2mm以上、好適には3mm以上、さらに好適には5mm以上離し、プラズマの空孔体内部からの逆流を逃がす空間を形成することが極めて重要となる。
例えば、一方電極を1枚のシート状の金属等の導電性メッシュや板とし、その金属メッシュ電極等から染み出すプラズマを被処理基材である空孔体の空孔内部に着膜させる場合は、前記金属メッシュ電極等は周囲にプラズマシースを形成するため、少なくとも当該空孔体の空孔内部等の被処理面と前記メッシュの間を、プラズマシースの幅分(条件にも依存するが概ね一般に5〜15mm前後)以上は離して設置する必要が発生する。
これは、例えば、平面状のワークの表層に、それに平行状に、プラズマシースの距離(範囲)内に設置した平面状の金属メッシュ電極からの染み出しプラズマでは表面処理が不安定になる場合があること、または、当該金属メッシュ形状の「影」が表面処理上に現れ、平滑な表面処理が行いに悔いこと、また導電性の穴の無い平板からはプラズマ自体が生成されない場合があることなどを防ぐ為である。
よって、1枚のシート状の金属メッシュ電極の場合、前記本発明の一実施形態にかかる円筒電極とは異なり、例えば幅1mm程度等の至近距離まで空孔体の処理面を近づけて
被処理基材の表層に連続性のある表面処理(例えば、金属メッシュ電極様の膜厚ムラの無い表面処理)を行い難い。
また、1枚のシート状の金属メッシュ電極の場合、プラズマ濃度の濃い部分を該金属メッシュシート中に局所に形成することは難しい。よってプラズマは、まさに「染み出す」ようなものとなり、本発明にかかる円筒状電極のように特定方向に勢い良く「突出」するような状況にはなり難く、空孔体の深い空孔を処理することが困難となり得る。
これは、例えば、平面状のワークの表層に、それに平行状に、プラズマシースの距離(範囲)内に設置した平面状の金属メッシュ電極からの染み出しプラズマでは表面処理が不安定になる場合があること、または、当該金属メッシュ形状の「影」が表面処理上に現れ、平滑な表面処理が行いに悔いこと、また導電性の穴の無い平板からはプラズマ自体が生成されない場合があることなどを防ぐ為である。
よって、1枚のシート状の金属メッシュ電極の場合、前記本発明の一実施形態にかかる円筒電極とは異なり、例えば幅1mm程度等の至近距離まで空孔体の処理面を近づけて
被処理基材の表層に連続性のある表面処理(例えば、金属メッシュ電極様の膜厚ムラの無い表面処理)を行い難い。
また、1枚のシート状の金属メッシュ電極の場合、プラズマ濃度の濃い部分を該金属メッシュシート中に局所に形成することは難しい。よってプラズマは、まさに「染み出す」ようなものとなり、本発明にかかる円筒状電極のように特定方向に勢い良く「突出」するような状況にはなり難く、空孔体の深い空孔を処理することが困難となり得る。
本発明の一実施形態にかかる筒状電極や、後述する立体電極は、該電極の内部に高いプラズマ濃度を有し、該部分から噴出するプラズマを利用するため、内部に空孔を有する電極自体の最外部の骨格部分が形成するプラズマシースの影響を受けず該電極の内部の濃いプラズマの噴出を利用することができると推定することも可能である。
(両端の開口部以外に開口のある筒状電極)
さらに、前記の筒状電極の両端の開口部以外に、該筒の外周面を構成する任意の位置に穴やスリット(貫通孔)を設けても良い。このような場合、筒状電極の内部に生成されるプラズマは、両端の開口部以外の前記設計された穴やスリット(貫通孔)からも勢い良く外部に突出することになり、このプラズマの突出方向に表面処理を行いたい被処理基材である空孔体の空孔が位置するように当該空孔体を電極の傍に配置すれば良い。
さらに、前記の筒状電極の両端の開口部以外に、該筒の外周面を構成する任意の位置に穴やスリット(貫通孔)を設けても良い。このような場合、筒状電極の内部に生成されるプラズマは、両端の開口部以外の前記設計された穴やスリット(貫通孔)からも勢い良く外部に突出することになり、このプラズマの突出方向に表面処理を行いたい被処理基材である空孔体の空孔が位置するように当該空孔体を電極の傍に配置すれば良い。
前述のように、好ましくは、例えば筒状電極の両端の空孔開口部以外に、空孔を有する電極の空孔部を包囲している壁面(電極の外形)に空孔内外を貫通する微小な貫通孔を多数有するものが望ましい。
例えば、本発明にかかる筒状電極の管(パイプ)を、各種開口部を有するメッシュ、パンチングメタル、スリット、コイル等より形成することにより、管の内部から外部に通じる多数の穴(貫通孔)を確保する方法がある。
例えば、本発明にかかる筒状電極の管(パイプ)を、各種開口部を有するメッシュ、パンチングメタル、スリット、コイル等より形成することにより、管の内部から外部に通じる多数の穴(貫通孔)を確保する方法がある。
この筒状電極の筒部分が開口部を有するメッシュ、パンチングメタル、スリット、コイル等の場合の両端、または、一端の大きな開口部を除く、筒(壁)部分(例えばメッシュ部分)の少なくとも一部の開口率は、平面視で5%〜99%の間で、筒状電極内にプラズマが形成可能な任意の開口率に調整することができる。
また、前記開口率は、1つの筒状電極の筒部分の中で均一でなく、部分によって異なる開口率になっていても良い。
例えば、筒状電極内でプラズマ生成状況を制御し、またはプラズマ突出方向を制御する等の目的で筒の任意の部分の開口率を変更するような場合である。開口率があまり大きいと、非常に細い糸状構造体などの特種で高価な材料で電極を構成する必要が発生しコストの上昇を招くとともに、筒状電極の構造体強度も弱くなるため、任意の電極形状への加工や電極自体の保持も困難となるため、開口率の大きい方で90%程度が好ましく、また、開口率が小さいと、筒状電極内に制御可能な安定したプラズマ(安定したホーローカソード状態を含む)を形成可能な条件が狭くなり、高エネルギー状態のプラズマ生成の為、高電圧バイアス印加状態で濃度の高い局所プラズマを筒状電極内部に形成することも困難となり易い。よってプラズマの雪崩崩壊状に分解が促進される制御不能なホローカソードの発生を抑制し、高い電圧を印加することによる高エネルギー状態のプラズマを形成し被処理基材である空孔体の空孔部に供給できるようにするため、開口率の少ない方では10%程度(より大きい開口率)とするのが望ましい。
例えばメッシュで構成される筒状電極の開口率を大きく99%程度とする場合、メッシュなどの線径を極細として、メッシュ数を減らせば良く、開口率が大きく、構造体の強度が不十分になる場合は、電極を吊り下げ方式にするなどの方法を採れば良い。
このような電極は、例えばフォトリソグラフィーを用いた電鋳などの方法で、線の太さを概ね3μm付近まで細く形成することができ、開口は任意に調整することが可能となり得る。
また、前記開口率は、1つの筒状電極の筒部分の中で均一でなく、部分によって異なる開口率になっていても良い。
例えば、筒状電極内でプラズマ生成状況を制御し、またはプラズマ突出方向を制御する等の目的で筒の任意の部分の開口率を変更するような場合である。開口率があまり大きいと、非常に細い糸状構造体などの特種で高価な材料で電極を構成する必要が発生しコストの上昇を招くとともに、筒状電極の構造体強度も弱くなるため、任意の電極形状への加工や電極自体の保持も困難となるため、開口率の大きい方で90%程度が好ましく、また、開口率が小さいと、筒状電極内に制御可能な安定したプラズマ(安定したホーローカソード状態を含む)を形成可能な条件が狭くなり、高エネルギー状態のプラズマ生成の為、高電圧バイアス印加状態で濃度の高い局所プラズマを筒状電極内部に形成することも困難となり易い。よってプラズマの雪崩崩壊状に分解が促進される制御不能なホローカソードの発生を抑制し、高い電圧を印加することによる高エネルギー状態のプラズマを形成し被処理基材である空孔体の空孔部に供給できるようにするため、開口率の少ない方では10%程度(より大きい開口率)とするのが望ましい。
例えばメッシュで構成される筒状電極の開口率を大きく99%程度とする場合、メッシュなどの線径を極細として、メッシュ数を減らせば良く、開口率が大きく、構造体の強度が不十分になる場合は、電極を吊り下げ方式にするなどの方法を採れば良い。
このような電極は、例えばフォトリソグラフィーを用いた電鋳などの方法で、線の太さを概ね3μm付近まで細く形成することができ、開口は任意に調整することが可能となり得る。
例えば、筒状電極の筒部分の側壁に十分な開口部を有するメッシュ、パンチングメタル、スリット、コイル等の筒状電極の場合、その両端部の円筒開口部径と筒状電極の円筒長さのアスペクト比が例えば10を超えるような大きいもの(筒状電極の長いもの)の場合でも、例えばDCパルス電源により該筒状電極にバイアスを印加する場合、多様なプラズマ形成条件で該円筒電極の内部に安定した(フォロカソードを含む)プラズマを容易に形成することが可能となる。
一方、前記メッシュ、パンチングメタル、スリット、コイル等の、筒の壁面に細かな開口部を有する筒状電極の筒の壁面部分の開口率が5%未満等小さい場合は、筒状電極自体の筒の開口部(前記筒の壁面の細かな開口部ではない)の径と筒の幅(高さ)の比(アスペクト比)が概ね0.1以上10未満とすることが好ましい。
アスペクト比が小さいと筒状電極の空孔内に局所的に濃度の高いプラズマを形成することが困難になり、またアスペクトが10を超えると、筒状電極自体の内部空孔にプラズマを安定して形成すること自体が困難となるためである。
より好ましくは、アスペクト比が概ね0.3以上5未満とすることが好ましく、さらには、0.5以上、3未満とすることが好適である。
一方、前記メッシュ、パンチングメタル、スリット、コイル等の、筒の壁面に細かな開口部を有する筒状電極の筒の壁面部分の開口率が5%未満等小さい場合は、筒状電極自体の筒の開口部(前記筒の壁面の細かな開口部ではない)の径と筒の幅(高さ)の比(アスペクト比)が概ね0.1以上10未満とすることが好ましい。
アスペクト比が小さいと筒状電極の空孔内に局所的に濃度の高いプラズマを形成することが困難になり、またアスペクトが10を超えると、筒状電極自体の内部空孔にプラズマを安定して形成すること自体が困難となるためである。
より好ましくは、アスペクト比が概ね0.3以上5未満とすることが好ましく、さらには、0.5以上、3未満とすることが好適である。
筒状電極は、前記にように筒状のもの、さらにはメッシュ、パンチングメタル、スリット、コイル等の筒に開口部を有する筒状電極(以下、単に筒状電極と呼ぶ場合もある)の筒状のもの単体で構成され、それぞれが単体の被処理基材である空孔体の空孔部に向けて形成するプラズマを照射するような配置や構成でも良いが、本発明にかかる他の一実施形態においては、例えば前記の筒状電極を個々の円筒電極の空孔部分がシャワーノズルの個々の穴に該当するように、シャワーノズル様に複数面状に束ねて(並べて)、プラズマを形成し、同様に複数配置した(単数でも良いが)被処理基材である空孔体の空孔内部を一括(ワンバッチ)で処理可能な配置にすることも可能である。
(原料ガス導入手段を兼ねた筒状電極)
本発明の一方電極は、特に該電極への固定された原料ガス供給方法(ガス管)などを保持する必要はなく、真空容器中に原料ガス配管等から供給され、真空容器中に拡散する原料ガスを、前記真空容器中の任意の位置に適宜配置された電極の空孔中に拡散導入することにより、前記プラズマ濃度の高い部分を任意の位置に適宜配置された前記電極に形成し、任意の位置に適宜配置する被処理基材である空孔体を処理することができる。
しかしながら、本発明の一実施形態において、メッシュ、パンチングメタル、スリット、コイル等の筒(の壁部分に)に開口部を有する筒状電極を原料ガス供給管の真空成膜容器内部への先端部(噴出し部分)から一定の範囲とすることも可能である場合もある。
仮にガス配管の先端部分をメッシュ状として、原料ガス供給管で供給されてきたガスがメッシュ部分に到達、電界が印加できれば、その部分から本願の筒状電極と看做すことができる。また、このメッシュ状電極部分はもはやガス「供給(=輸送)」配管では無いとも言える。
本発明の一方電極は、特に該電極への固定された原料ガス供給方法(ガス管)などを保持する必要はなく、真空容器中に原料ガス配管等から供給され、真空容器中に拡散する原料ガスを、前記真空容器中の任意の位置に適宜配置された電極の空孔中に拡散導入することにより、前記プラズマ濃度の高い部分を任意の位置に適宜配置された前記電極に形成し、任意の位置に適宜配置する被処理基材である空孔体を処理することができる。
しかしながら、本発明の一実施形態において、メッシュ、パンチングメタル、スリット、コイル等の筒(の壁部分に)に開口部を有する筒状電極を原料ガス供給管の真空成膜容器内部への先端部(噴出し部分)から一定の範囲とすることも可能である場合もある。
仮にガス配管の先端部分をメッシュ状として、原料ガス供給管で供給されてきたガスがメッシュ部分に到達、電界が印加できれば、その部分から本願の筒状電極と看做すことができる。また、このメッシュ状電極部分はもはやガス「供給(=輸送)」配管では無いとも言える。
本発明の一実施形態において、筒状電極(空孔を有する電極)は、実質的に当該電極の空孔内部にプラズマを生成する必要がある。よってガス供給管の一部が筒状電極(空孔を有する電極)を兼ねる場合は前記ガス供給管の実質的な内部空孔部にプラズマを生成する必要があり非常に危険である。
通常、ガス供給管が電極を兼ねる場合、該ガス供給管の内部ではプラズマが生成しないような条件、例えば、ガス供給管の中を通って真空成膜容器内に供給される原料ガスが該ガス管の開口部(例えばメッシュ部やスリット部)を出た付近のガス供給管の外側で原料ガスがプラズマ状に乖離するように設計されているのが通例である。
通常、ガス供給管が電極を兼ねる場合、該ガス供給管の内部ではプラズマが生成しないような条件、例えば、ガス供給管の中を通って真空成膜容器内に供給される原料ガスが該ガス管の開口部(例えばメッシュ部やスリット部)を出た付近のガス供給管の外側で原料ガスがプラズマ状に乖離するように設計されているのが通例である。
原料ガス導入手段を兼ねた筒状電極の場合、メッシュ、パンチングメタル、スリット、コイル等の筒に開口部を有する筒状電極の全部を、処理対象基材である空孔体の内部空孔の中には挿入しないようにする。
その理由はメッシュ、パンチングメタル、スリット、コイル等の筒に開口部を有する筒状電極の一部を、処理対象基材である空孔体の内部空孔の中には挿入する場合は、空孔体の中に挿入された電極部一部においては、空孔体に覆われ(遮蔽され)原料ガスの濃度が空孔体の外部に位置する電極部分のガス濃度に比べ濃い状況となり、電界形成や、プラズマの形成で生じるイオンに対して、反対の電荷である電子の移動も空孔体に覆われ遮蔽されることにより、空孔体の外部に位置する他の一部の電極部分とは異なる状態が生じる。
このため、メッシュ、パンチングメタル、スリット、コイル等の筒に開口部を有する筒状電極の一部を、処理対象基材である空孔体の内部空孔の中に挿入する場合は、特定の空孔体の誘電率等の材質、形状、副生成ガス(基材からの出ガス等含む)の発生状況に合わせた他方電極等の配置も重要となり、特定の空孔体処理向けの専用設計となり、多様な材質、形状の空孔体を同じメッシュ、パンチングメタル、スリット、コイル等の筒に開口部を有する筒状電極と、該筒状電極に対する他方電極で処理することが困難な場合が発生し得る。
その理由はメッシュ、パンチングメタル、スリット、コイル等の筒に開口部を有する筒状電極の一部を、処理対象基材である空孔体の内部空孔の中には挿入する場合は、空孔体の中に挿入された電極部一部においては、空孔体に覆われ(遮蔽され)原料ガスの濃度が空孔体の外部に位置する電極部分のガス濃度に比べ濃い状況となり、電界形成や、プラズマの形成で生じるイオンに対して、反対の電荷である電子の移動も空孔体に覆われ遮蔽されることにより、空孔体の外部に位置する他の一部の電極部分とは異なる状態が生じる。
このため、メッシュ、パンチングメタル、スリット、コイル等の筒に開口部を有する筒状電極の一部を、処理対象基材である空孔体の内部空孔の中に挿入する場合は、特定の空孔体の誘電率等の材質、形状、副生成ガス(基材からの出ガス等含む)の発生状況に合わせた他方電極等の配置も重要となり、特定の空孔体処理向けの専用設計となり、多様な材質、形状の空孔体を同じメッシュ、パンチングメタル、スリット、コイル等の筒に開口部を有する筒状電極と、該筒状電極に対する他方電極で処理することが困難な場合が発生し得る。
(筒状以外の形状の立体電極)
本発明の一実施形態においては、局所的に濃度の高いプラズマを発生させる筒状電極に替えて、導電体部を骨格として、総体として空間を内包するように形成された立体形状で内部に空洞を有する電極(以下、単に立体電極と呼ぶ場合もある)を使用することも可能である。例えばジャングルジムのような三次元の立体的に直方体、立方体、円錐体、円柱、多角柱、球形、楕円系、不定形、ピラミッドのような多角錐、を骨組みのように梁(格子)で形成した構造や、3Dスクリーンメッシュのように編み物を立体的に編んだ形状、メッシュやパンチングメタルを複数層張り合わせた形状、陽極酸化アルミニウムやゼオライト、活性炭のように固体の表層から内部に続く一以上の穴を有する構造、フラーレンのような格子構造でも良い。
編み物メッシュの単層体のような平面構造の電極がその表層に均一なプラズマを形成し周囲の被処理対象物に均一にプラズマを供給するのと異なり、立体電極の場合、例えば立体電極の中央部付近の導電体部よりなる骨格部分のプラズマ発生濃度は自然に高くなるため立体電極の中央部付近に濃度の高いプラズマを簡単に形成することができる。
さらに、前記立体電極の周囲に空孔体の空孔の開口部を向けて配置することで空孔体の空孔部の表層にプラズマを照射し表面処理を行うことができる。
本発明の一実施形態においては、局所的に濃度の高いプラズマを発生させる筒状電極に替えて、導電体部を骨格として、総体として空間を内包するように形成された立体形状で内部に空洞を有する電極(以下、単に立体電極と呼ぶ場合もある)を使用することも可能である。例えばジャングルジムのような三次元の立体的に直方体、立方体、円錐体、円柱、多角柱、球形、楕円系、不定形、ピラミッドのような多角錐、を骨組みのように梁(格子)で形成した構造や、3Dスクリーンメッシュのように編み物を立体的に編んだ形状、メッシュやパンチングメタルを複数層張り合わせた形状、陽極酸化アルミニウムやゼオライト、活性炭のように固体の表層から内部に続く一以上の穴を有する構造、フラーレンのような格子構造でも良い。
編み物メッシュの単層体のような平面構造の電極がその表層に均一なプラズマを形成し周囲の被処理対象物に均一にプラズマを供給するのと異なり、立体電極の場合、例えば立体電極の中央部付近の導電体部よりなる骨格部分のプラズマ発生濃度は自然に高くなるため立体電極の中央部付近に濃度の高いプラズマを簡単に形成することができる。
さらに、前記立体電極の周囲に空孔体の空孔の開口部を向けて配置することで空孔体の空孔部の表層にプラズマを照射し表面処理を行うことができる。
立体電極と被処理基材である空孔体の空孔との配置において、配置距離があまり離れ過ぎると立体電極で発生したプラズマが空孔体の内部空孔部表層に到達するまでに失活するため、特に限定はされないが概ね100mm未満、さらには50mm未満、好適には5mm未満程度の近接距離を保つことが望ましい。
このような立体電極は特別に形成することも可能であるが、例えばフィルム状のメッシュ、パンチングメタル等を複数重ねることで形成しても良く、複数のコイルの巻き線部分を噛み合わせたものとして良く、金属タワシのようなものでも良い。
例えば、複数枚の同様開口形状、または同様開口率、または異なる開口形状、または異なる開口率のメッシュ、パンチングメタル、スリットのフィルムを、実質的に接触させず複数枚平行平板状に積層配置することで、前記フィルム間に少なくとも一定の空間を設けることができ、当該空間等に面状の濃いプラズマを形成することも可能であり、当該濃いプラズマ部分から外側へプラズマを放射することも行い得る。よってプラズマの濃い部分は必ずしも「点」状に存在(形成)する必要は無く、「面状」や「複雑立体形状」に形成することも可能である。
例えば、複数枚の同様開口形状、または同様開口率、または異なる開口形状、または異なる開口率のメッシュ、パンチングメタル、スリットのフィルムを、実質的に接触させず複数枚平行平板状に積層配置することで、前記フィルム間に少なくとも一定の空間を設けることができ、当該空間等に面状の濃いプラズマを形成することも可能であり、当該濃いプラズマ部分から外側へプラズマを放射することも行い得る。よってプラズマの濃い部分は必ずしも「点」状に存在(形成)する必要は無く、「面状」や「複雑立体形状」に形成することも可能である。
以上、種々の筒状電極、及び筒状以外の形状の立体電極を例に挙げて説明したが、いずれの場合も、例えばプラズマの濃い部分を「点」状に形成した場合、(例えば1つのメッシュからなる円筒電極の中央部)、プラズマは当該プラズマの濃い部分を中心に一定の広がりを持って進むことになり、基材の空孔体の表層に対して、一定の「入射角度」を得られるようになり、電極と空孔体の処理面が直列関係の配置になる場合に有利になり得る。また前記のようにプラズマの濃い部分を「面状」や「複雑(立体)形状」に形成すると、処理対象基材の空孔内部、特に止め穴のような有底の空孔の底部に安定したプラズマをムラ無く供給することが可能となり得る。
一般に、装置の電源から電極部までは、給電用の配線を伴うことになり、通常、前記の電極に至るまでの導電性の配線は、当然電極付近では電界を発生させ所謂「電極」の一部となってしまう場合がある。
本発明の一実施形態にかかるメッシュ、パンチングメタル、スリット、コイル等の筒に開口部を有する筒状電極や前記「立体電極」は、前記のような給電用の配線(例えば単線)で給電され、該給電用の配線がプラズマを生成する擬似電極になってしまっても、前記筒状電極や前記立体電極の内部がより濃度の高いプラズマを形成するため空孔電極のプラズマ濃度の濃い部分の設計に大きな影響を与え難いため、電極への給電配線の影響を大きく抑制することが可能となり得る。
この点、例えば、被処理基材である空孔体の空孔内部に電極を挿入するような方法の場合、内部に挿入する電極までの給電配線が空孔体の空孔の外部に位置し、空孔内部に位置する正規電極よりも原料ガスや開放された空間でプラズマを生成し易い状態になる場合もあり、当該空孔体の入り口付近で不用意にプラズマを生成して原料ガスを消費し、当該空孔体の内部電極への原料ガスの供給状態を悪化させたり、当該空孔体の空孔入り口付近の電界の設計を変動させ空孔体内部の電界に悪い影響を与えるような事態を発生さたり、また電極への1方向からの給電の場合は、当該空孔体の給電線側の開口部分と、他の開口部分の成膜状態が大きく異なるような場合があり得る。
本発明の一実施形態にかかるプラズマ発生方法はこのような給電配線の影響を大きく抑制することが可能となり得る。
本発明の一実施形態にかかるメッシュ、パンチングメタル、スリット、コイル等の筒に開口部を有する筒状電極や前記「立体電極」は、前記のような給電用の配線(例えば単線)で給電され、該給電用の配線がプラズマを生成する擬似電極になってしまっても、前記筒状電極や前記立体電極の内部がより濃度の高いプラズマを形成するため空孔電極のプラズマ濃度の濃い部分の設計に大きな影響を与え難いため、電極への給電配線の影響を大きく抑制することが可能となり得る。
この点、例えば、被処理基材である空孔体の空孔内部に電極を挿入するような方法の場合、内部に挿入する電極までの給電配線が空孔体の空孔の外部に位置し、空孔内部に位置する正規電極よりも原料ガスや開放された空間でプラズマを生成し易い状態になる場合もあり、当該空孔体の入り口付近で不用意にプラズマを生成して原料ガスを消費し、当該空孔体の内部電極への原料ガスの供給状態を悪化させたり、当該空孔体の空孔入り口付近の電界の設計を変動させ空孔体内部の電界に悪い影響を与えるような事態を発生さたり、また電極への1方向からの給電の場合は、当該空孔体の給電線側の開口部分と、他の開口部分の成膜状態が大きく異なるような場合があり得る。
本発明の一実施形態にかかるプラズマ発生方法はこのような給電配線の影響を大きく抑制することが可能となり得る。
本発明の一実施形態にかかる一方電極について説明してきたが、一方電極は、一方電極の構成要件を満たすものであれば特に専用の電極でなくても良く、これまで述べた構成要件を満たせば、例えは表面処理を行う被処理基材である空孔を有する基材自体を電極として他の被処理基材である空孔体を処理してしまうことも可能である。
<他方電極>
本発明においては、前述のとおり、内部の少なくとも一部に空孔を有する電極を「一方電極」とするものであるが、「他方電極」としては、反応容器を用いるか、或いは、必要に応じて設置された補助電極を他方電極を用いることもできる。
本発明においては、前記一方電極、或いは前記反応容器又は前記補助電極にパルス状のDC電圧を印加して、プラズマを発生させる。
本発明においては、前述のとおり、内部の少なくとも一部に空孔を有する電極を「一方電極」とするものであるが、「他方電極」としては、反応容器を用いるか、或いは、必要に応じて設置された補助電極を他方電極を用いることもできる。
本発明においては、前記一方電極、或いは前記反応容器又は前記補助電極にパルス状のDC電圧を印加して、プラズマを発生させる。
<被処理基材の配置>
本発明の各実施例のいずれの形態においても、内部の少なくとも一部に空孔を有する被処理基材(空孔体)は、直接「電気的に」成膜装置(表面改質装置)や電極に接地していない状態(電気的に浮いた状態)で保持される。
例えば、被処理基材が絶縁物で構成される場合は、仮にグランドである反応容器や補助電極と物理的に直接接触していても、「電気的には接地していない状態」と看做すことができる。
よって、被処理基材にプラズマイオン等が堆積してくると電気的にチャージアップを引き起こし易いため、電源をパルス状に印加可能として、例えば堆積したイオンで正電荷に帯電し易い被処理基材(表層)と、同様の電荷で前記基材の表層に継続的に供給されつづけるプラズマイオンとの電気的反発を抑制し継続的に成膜や、改質が可能とできるものが望ましい。
また、本発明の各実施例のいずれの形態においても、内部の少なくとも一部に空孔を有する被処理基材(空孔体)は、直接電気的に成膜装置(表面改質装置)及び電極に接地していない状態(電気的に浮いた状態)で保持されるので、被処理基材に電流が流れない絶縁物であっても処理が可能となり、また電流が流れ無いため、電流が流れると故障を引き起こす電子装置やデバイスなどの処理も可能であり、さらには融点、沸点等の低い、例えば各種有機高分子より構成される樹脂やゴムなど、また前記有機高分子材料よりは高温処理が可能であるが、Sn(180℃付近が融点)などの低融点金属、焼入れ加工され、焼きなましのできない鉄系金属(概ね200℃)、アルミニウム、アルミニウム合金など、200〜300℃付近で寸法変化しやすい「再結晶温度」を有する素材や、熱線膨張係数が1桁以上異なる複合材料からなる複合材料基材で、加熱により変形しやすい基材、例えば、概ね23×10−6/℃付近の熱線膨張係数を有するアルミニウム合金やマグネシウム合金(概ね25×10−6/℃)に例えばDLC膜などの非晶質炭素膜(概ね2×10−6/℃前後)、炭化ケイ素(概ね6.6×10−6/℃)の熱線膨張係数を有するドライ硬質薄膜を表面処理したもの等の加熱変形構造物(材質)にも効果的に適用が可能である。
さらに、本発明の実施形態は真空装置中で行われるため、本発明に各実施形態にかかる電極が被処理基材(ワーク)と離れていれば、加熱される電極からの熱は空気などの熱伝導体(媒体)が存在しないため(熱の対流などが無いため)、より低温での処理が可能となる。
本発明の各実施例のいずれの形態においても、内部の少なくとも一部に空孔を有する被処理基材(空孔体)は、直接「電気的に」成膜装置(表面改質装置)や電極に接地していない状態(電気的に浮いた状態)で保持される。
例えば、被処理基材が絶縁物で構成される場合は、仮にグランドである反応容器や補助電極と物理的に直接接触していても、「電気的には接地していない状態」と看做すことができる。
よって、被処理基材にプラズマイオン等が堆積してくると電気的にチャージアップを引き起こし易いため、電源をパルス状に印加可能として、例えば堆積したイオンで正電荷に帯電し易い被処理基材(表層)と、同様の電荷で前記基材の表層に継続的に供給されつづけるプラズマイオンとの電気的反発を抑制し継続的に成膜や、改質が可能とできるものが望ましい。
また、本発明の各実施例のいずれの形態においても、内部の少なくとも一部に空孔を有する被処理基材(空孔体)は、直接電気的に成膜装置(表面改質装置)及び電極に接地していない状態(電気的に浮いた状態)で保持されるので、被処理基材に電流が流れない絶縁物であっても処理が可能となり、また電流が流れ無いため、電流が流れると故障を引き起こす電子装置やデバイスなどの処理も可能であり、さらには融点、沸点等の低い、例えば各種有機高分子より構成される樹脂やゴムなど、また前記有機高分子材料よりは高温処理が可能であるが、Sn(180℃付近が融点)などの低融点金属、焼入れ加工され、焼きなましのできない鉄系金属(概ね200℃)、アルミニウム、アルミニウム合金など、200〜300℃付近で寸法変化しやすい「再結晶温度」を有する素材や、熱線膨張係数が1桁以上異なる複合材料からなる複合材料基材で、加熱により変形しやすい基材、例えば、概ね23×10−6/℃付近の熱線膨張係数を有するアルミニウム合金やマグネシウム合金(概ね25×10−6/℃)に例えばDLC膜などの非晶質炭素膜(概ね2×10−6/℃前後)、炭化ケイ素(概ね6.6×10−6/℃)の熱線膨張係数を有するドライ硬質薄膜を表面処理したもの等の加熱変形構造物(材質)にも効果的に適用が可能である。
さらに、本発明の実施形態は真空装置中で行われるため、本発明に各実施形態にかかる電極が被処理基材(ワーク)と離れていれば、加熱される電極からの熱は空気などの熱伝導体(媒体)が存在しないため(熱の対流などが無いため)、より低温での処理が可能となる。
被処理基材である空孔体は、その少なくとも一部の空孔の開口部の少なくとも一部の空孔内部の表面が、本発明にかかる電極で生成される前記濃度の高いプラズマの照射を受けられるように配置されていれば良く、真空装置(容器)内の任意の位置、向き、状態で設置することが可能となり得る。
<直流パルスCVD方式>
本発明の一実施形態にかかるプラズマ発生方法による空孔体の成膜や改質方法は、直流パルスCVD方式において、被処理基材である空孔体(の処理対象表層部)を直接一方電極としてバイアスを掛けないため、形成されたプラズマ中の高エネルギーのイオンが高速で空孔体の表層に注入される状況を避けることができ、空孔体(の表層)から、空孔体中の不要や有害な元素、またプラズマ処理で発生する不要や有害な副生成物等が、前記イオン等が加速され空孔体に衝突することにより空孔体の表層がスパッタリングされて発生し、装置や空孔体自体を汚染を起こすことを抑制することができる。
例えば、ソーダライムガラスなど基材中にK、Na、Ca、その他アルカリ成分を有しているが、このような基材の表層に形成される堆積ガス(成膜ガス)のプラズマ中の高エネルギーのイオンが高速、高エネルギーで基材表層に注入され、基材成分と前記イオンとのミクスチャー層が形成され、表面処理された膜(堆積した膜)の厚み側表層部付近まで前記のアルカリ成分が混合存在するようになると、後の基材使用時に於ける表層への水分吸着により高濃度のアルカリ水溶液が発生、例えば炭素膜などのアルカリに弱い表面処理部分を腐食させる要因の一つになり得る。
本発明の一実施形態にかかるプラズマ発生、処理方法は被処理基材である空孔体自体にはバイアスをかけず、プラズマ源から放射されるイオンを使用するためイオンの基材表層への衝突が比較的には穏やかになるため、前記のソーダライムガラスのように基材中の不要、有害元素(アルカリなど)を掻き混ぜて表面処理の表層に出すことを抑制し得る。
本発明の一実施形態にかかるプラズマ発生方法による空孔体の成膜や改質方法は、直流パルスCVD方式において、被処理基材である空孔体(の処理対象表層部)を直接一方電極としてバイアスを掛けないため、形成されたプラズマ中の高エネルギーのイオンが高速で空孔体の表層に注入される状況を避けることができ、空孔体(の表層)から、空孔体中の不要や有害な元素、またプラズマ処理で発生する不要や有害な副生成物等が、前記イオン等が加速され空孔体に衝突することにより空孔体の表層がスパッタリングされて発生し、装置や空孔体自体を汚染を起こすことを抑制することができる。
例えば、ソーダライムガラスなど基材中にK、Na、Ca、その他アルカリ成分を有しているが、このような基材の表層に形成される堆積ガス(成膜ガス)のプラズマ中の高エネルギーのイオンが高速、高エネルギーで基材表層に注入され、基材成分と前記イオンとのミクスチャー層が形成され、表面処理された膜(堆積した膜)の厚み側表層部付近まで前記のアルカリ成分が混合存在するようになると、後の基材使用時に於ける表層への水分吸着により高濃度のアルカリ水溶液が発生、例えば炭素膜などのアルカリに弱い表面処理部分を腐食させる要因の一つになり得る。
本発明の一実施形態にかかるプラズマ発生、処理方法は被処理基材である空孔体自体にはバイアスをかけず、プラズマ源から放射されるイオンを使用するためイオンの基材表層への衝突が比較的には穏やかになるため、前記のソーダライムガラスのように基材中の不要、有害元素(アルカリなど)を掻き混ぜて表面処理の表層に出すことを抑制し得る。
このように本発明の一実施形態にかかる電極を使用したプラズマ発生方法、成膜、表面改質方法は、必ずしも処理対象が空孔体でなく、多様なワーク形状であっても、処理対象基材への加熱抑制が可能な点で、樹脂やゴム、Snなどの低融点金属、合金等の処理に有効に活用することが可能となる。さらに、前記のように、基材に対して高い圧力やエネルギーでイオン注入などを行なわないため、比較的に内部残留応力の小さい皮膜(例えばHv700程度の非晶質炭素膜)を形成することが可能となり、基材から表面処理皮膜が高い内部残留応力で剥離するのを抑制可能となるとともに、生成するプラズマからの基材の保護(保存)に優れ、さらに基材からの不要成分のスパッタリングによる汚染や、基材表層に基材成分と成膜成分の混合層の形成を抑制することが可能になり、前記一例であるソーダライムガラス表層等へのアルカリ表出抑制等の優れた効果を発揮する。
さらには、基材に電流を流さないため、回路基板や半導体デバイス、その他受動部品など、電気回路を有し、表面処理により所定以上の電流を流したくないものを比較的安全に処理することが可能となり得る。
さらには、基材に電流を流さないため、回路基板や半導体デバイス、その他受動部品など、電気回路を有し、表面処理により所定以上の電流を流したくないものを比較的安全に処理することが可能となり得る。
<真空装置>
本発明にかかるプラズマ発生装置は、特に限定されないが、基材や電極を収納する反応容器を大気圧未満の真空環境下とすることが可能であり、ガス化した原料を本発明の一実施形態にかかるいずれかの電極を用いることでプラズマ化可能であるものであれば特に限定されず適宜使用することができる
例えば、直流(DC)プラズマCVD法、低周波プラズマCVD法、高周波(RF)プラズマCVD法、マイクロ波プラズマCVD法等、様々なガス化原料をプラズマ化する方法で行うことができ得る。また前記の併用方法で、例えばRFとDCパルス電源の双方を備え、それらの電源を並列的、直列的、マッチングさせて重畳的に使用するものであってもよいが、好適には、DCパルス電源を備えた真空プラズマCVD装置がある。
また、上記プラズマCVD方法と真空プラズマPDV法等の併用可能な装置等も適宜利用可能であり、様々な公知のドライプロセスとの併用装置によっても適宜形成され得る。
本発明にかかるプラズマ発生装置は、特に限定されないが、基材や電極を収納する反応容器を大気圧未満の真空環境下とすることが可能であり、ガス化した原料を本発明の一実施形態にかかるいずれかの電極を用いることでプラズマ化可能であるものであれば特に限定されず適宜使用することができる
例えば、直流(DC)プラズマCVD法、低周波プラズマCVD法、高周波(RF)プラズマCVD法、マイクロ波プラズマCVD法等、様々なガス化原料をプラズマ化する方法で行うことができ得る。また前記の併用方法で、例えばRFとDCパルス電源の双方を備え、それらの電源を並列的、直列的、マッチングさせて重畳的に使用するものであってもよいが、好適には、DCパルス電源を備えた真空プラズマCVD装置がある。
また、上記プラズマCVD方法と真空プラズマPDV法等の併用可能な装置等も適宜利用可能であり、様々な公知のドライプロセスとの併用装置によっても適宜形成され得る。
<印加電圧>
本発明の一実施形態にかかるDCパルス電源を備えた真空プラズマCVD装置に於ける直流パルス電源のパルス周波数とパルス幅は特に限定されないが、パルス周波数は0.1〜30kHz、好適には1〜10kHzであり、パルス幅はナノ秒のナノパルス含め〜30μs程度であり、好適には〜10μsである。
パルス周波数が高く、パルス幅が長いと直流プラズマの方向に移行するので、例えば管状電の内部に安定したプラズマが形成しにくくなり、処理温度も上昇する。逆にパルス周波数が低く、パルス幅が長いと、プラズマの処理レートが極めて悪くなることや、プラズマの発生自体が困難になる場合があるためである。
さらに印加電圧も特に限定されないが概ね0.1〜20kVp、好適には1kVp〜7kVpである。
本発明の一実施形態にかかるDCパルス電源を備えた真空プラズマCVD装置に於ける直流パルス電源のパルス周波数とパルス幅は特に限定されないが、パルス周波数は0.1〜30kHz、好適には1〜10kHzであり、パルス幅はナノ秒のナノパルス含め〜30μs程度であり、好適には〜10μsである。
パルス周波数が高く、パルス幅が長いと直流プラズマの方向に移行するので、例えば管状電の内部に安定したプラズマが形成しにくくなり、処理温度も上昇する。逆にパルス周波数が低く、パルス幅が長いと、プラズマの処理レートが極めて悪くなることや、プラズマの発生自体が困難になる場合があるためである。
さらに印加電圧も特に限定されないが概ね0.1〜20kVp、好適には1kVp〜7kVpである。
<原料ガス>
また、本発明の一実施形態において、DCパルスプラズマCVD法を用いて、例えば空孔体に非晶質炭素膜を成膜する場合には、基材、および一方電極を前記DCパルスプラズマCVD装置の真空容器内に適宜配置して、真空排気した後、原料ガスとしてアセチレンなどの炭化水素系の原料ガスを真空容器内に導入し、所定の電圧を一方電極に印加することにより、一方電極(管状電極など)に炭化水素系の原料ガスのプラズマを形成し、空孔体の内部に非晶質炭素膜を堆積させることができる。
原料ガスとしては、様々なガスを用いることができる。例えば、Si又はSiと酸素などを含む薄膜である場合には、トリメチルシラン、テトラメチルシラン、テトラエトキシシラン(TEOS)などの、Si又はSiと酸素を含むガスを原料ガスとして用いることができる。また、ドライ薄膜がTi又はその化合物である場合には、チタンクロライド(TiCl4)、チタンアイオダイド(TiI4)、チタンイソプロポキシドTi(i−OC3H7)4などのTiを含むガスを原料ガスとして用いることができる。ドライ薄膜がアルミニウム又はその化合物である場合には、トリメチルアルミニウム(Al(CH3))3)、アルミニウムクロライド(AlCl3)などの主原料ガス用いることができる。
また、本発明の一実施形態において、DCパルスプラズマCVD法を用いて、例えば空孔体に非晶質炭素膜を成膜する場合には、基材、および一方電極を前記DCパルスプラズマCVD装置の真空容器内に適宜配置して、真空排気した後、原料ガスとしてアセチレンなどの炭化水素系の原料ガスを真空容器内に導入し、所定の電圧を一方電極に印加することにより、一方電極(管状電極など)に炭化水素系の原料ガスのプラズマを形成し、空孔体の内部に非晶質炭素膜を堆積させることができる。
原料ガスとしては、様々なガスを用いることができる。例えば、Si又はSiと酸素などを含む薄膜である場合には、トリメチルシラン、テトラメチルシラン、テトラエトキシシラン(TEOS)などの、Si又はSiと酸素を含むガスを原料ガスとして用いることができる。また、ドライ薄膜がTi又はその化合物である場合には、チタンクロライド(TiCl4)、チタンアイオダイド(TiI4)、チタンイソプロポキシドTi(i−OC3H7)4などのTiを含むガスを原料ガスとして用いることができる。ドライ薄膜がアルミニウム又はその化合物である場合には、トリメチルアルミニウム(Al(CH3))3)、アルミニウムクロライド(AlCl3)などの主原料ガス用いることができる。
また、前記のような堆積物を形成する主原料ガスに混合ガスとして、酸素、窒素、水素フッ素、二酸化炭素等の炭酸ガス、オゾン、アルゴン、キセノン、ヘリウムなどの不活性ガスを含むガス、又は前記ガスの少なくとも一つを含むガス(例えば大気)を混合使用することや、前記のような堆積物を形成する主原料ガスでドライ薄膜を形成した後に、または基材の表層を清掃、または改質、さらにはドライエッチィングするために別に改質ガスとして酸素、窒素、水素、フッ素、アルゴン、キセノン、ヘリウムなどの不活性ガスを含むガス、又は前記ガスの少なくとも一つを含むガス(例えば大気)単体、または前記ガスを適宜混合して基材に照射することも可能である。
例えば、Siを含む非晶質炭素膜をテトラメチルシランガス等で形成する際、アルゴンガス、窒素ガスなどをキャリアガスとして使用する場合や、一旦形成した各種ドライ薄膜の表面のエッチィングのためにアルゴンガスをプラズマ化して照射する場合、前記ドライ薄膜の表層を酸素ガスをプラズマ化して照射することで酸化させる場合、窒素ガスをプラズマ化して窒化させる場合や、前記ドライ薄膜の表層を水素ガスをプラズマ化して還元する場合などが例示できる。
例えば、Siを含む非晶質炭素膜をテトラメチルシランガス等で形成する際、アルゴンガス、窒素ガスなどをキャリアガスとして使用する場合や、一旦形成した各種ドライ薄膜の表面のエッチィングのためにアルゴンガスをプラズマ化して照射する場合、前記ドライ薄膜の表層を酸素ガスをプラズマ化して照射することで酸化させる場合、窒素ガスをプラズマ化して窒化させる場合や、前記ドライ薄膜の表層を水素ガスをプラズマ化して還元する場合などが例示できる。
また、本発明にかかる他の実施形態としてドライエッチングを行う場合のガスとして、酸素、酸素以外にも六フッ化硫黄、四フッ化炭素、トリフルオロメタンなどのエッチングガスを使用することができる。
<カップリング剤>
基体上に直接または間接的に設けられたSiやTi、Al,Zrを有する非晶質炭素膜やSiOx、TiOx,Al2Ox、ZrOXまたは、各種金属酸化物等の、表層に水酸基、その他の極性の官能基等を発現するドライ薄膜等の表面に、前記基材表層の水酸基、その他の極性の官能基等の官能基と縮合反応により−O−M結合(ここで、Mは、Ti、Al、又はZr)、可能な元素Mを含むカップリング剤や、酸エステル結合可能なカップリング剤等、化学結合可能な表面処理層を介して撥水性及び/又は撥油性の層を固定する、或いは、フッ素を含有し、基材の官能基と縮合反応により−O−M結合(ここで、Mは、Ti、Al、又はZr)可能な元素Mを含むフッ素系カップリング剤や、酸エステル結合可能なフッ素系カップリング剤等、化学結合可能な層からなる撥水性及び/又は撥油性の層を固定する方法がある。
さらには、例えば、前記基材表層の官能基と縮合反応により−O−M結合(ここで、Mは、Ti、Al、又はZr)可能な元素Mを含むカップリング剤よりなる層で、該層の上層に第2の膜、または物質等を固定可能な(接着可能な)プライマー層を形成することも可能である。
上記のような液体の出発材料より形成される撥水層、撥水撥油層、プライマー層は例えば10〜30nm程度の薄膜で、基材の凹凸に対して付きまわりや密着良く形成されるため、このような空孔体の内部に、空孔を閉塞しないよう、また空孔の寸法精度を大きく変化させないように形成することに優れている。また劣化した場合等は再塗布等も可能である。
基体上に直接または間接的に設けられたSiやTi、Al,Zrを有する非晶質炭素膜やSiOx、TiOx,Al2Ox、ZrOXまたは、各種金属酸化物等の、表層に水酸基、その他の極性の官能基等を発現するドライ薄膜等の表面に、前記基材表層の水酸基、その他の極性の官能基等の官能基と縮合反応により−O−M結合(ここで、Mは、Ti、Al、又はZr)、可能な元素Mを含むカップリング剤や、酸エステル結合可能なカップリング剤等、化学結合可能な表面処理層を介して撥水性及び/又は撥油性の層を固定する、或いは、フッ素を含有し、基材の官能基と縮合反応により−O−M結合(ここで、Mは、Ti、Al、又はZr)可能な元素Mを含むフッ素系カップリング剤や、酸エステル結合可能なフッ素系カップリング剤等、化学結合可能な層からなる撥水性及び/又は撥油性の層を固定する方法がある。
さらには、例えば、前記基材表層の官能基と縮合反応により−O−M結合(ここで、Mは、Ti、Al、又はZr)可能な元素Mを含むカップリング剤よりなる層で、該層の上層に第2の膜、または物質等を固定可能な(接着可能な)プライマー層を形成することも可能である。
上記のような液体の出発材料より形成される撥水層、撥水撥油層、プライマー層は例えば10〜30nm程度の薄膜で、基材の凹凸に対して付きまわりや密着良く形成されるため、このような空孔体の内部に、空孔を閉塞しないよう、また空孔の寸法精度を大きく変化させないように形成することに優れている。また劣化した場合等は再塗布等も可能である。
以下、本発明について、実施例を用いて説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
[実施例1:メッシュで形成した円筒電極を用いた成膜]
<基材>
基材1:空孔内径が概ねφ3mm、外形がφ5mm、長さ300mmのアルミニウム合金
製の中空パイプ
基材2:空孔内径が概ねφ3mm、外形がφ5mm、長さ150mmのアルミニウム合金
製の中空パイプをパイプベンダーで曲げ、R(半径)300mm曲線で、パイプ
の長さの概ね中間点を頂点に曲がった形状のもの
基材3:先端の開口部の内径はφ120μmで、後端の内径開口が大きく、φ5mmで、
全長概ね18mmで後端部から概ね10mmの長さ部分から先端部に向かって略
テーパ状に内部空孔が先細りするステンレス製のディスペンサノズル
の3種を準備した。
<基材>
基材1:空孔内径が概ねφ3mm、外形がφ5mm、長さ300mmのアルミニウム合金
製の中空パイプ
基材2:空孔内径が概ねφ3mm、外形がφ5mm、長さ150mmのアルミニウム合金
製の中空パイプをパイプベンダーで曲げ、R(半径)300mm曲線で、パイプ
の長さの概ね中間点を頂点に曲がった形状のもの
基材3:先端の開口部の内径はφ120μmで、後端の内径開口が大きく、φ5mmで、
全長概ね18mmで後端部から概ね10mmの長さ部分から先端部に向かって略
テーパ状に内部空孔が先細りするステンレス製のディスペンサノズル
の3種を準備した。
<空孔を有するメッシュで形成した円筒電極>
電極1:粗いタイプ(メッシュ数 #10、線径 0.47mm、開口 2.07mm)
のステンレス鋼メッシュを、長さ20mm、内径が概ねφ8〜9mmの中空円筒状
に丸めた電極。丸めた円筒状メッシュ電極の直径は、前記基材1、2のアルミニ
ウムパイプの外径より直径で概ね4mm太いサイズに加工し、前記ディスペンサ
ノズルの広い開口部に対しても同様に概ね直径で4mm太い円筒サイズに加工し
たものとした。
電極2:細かいタイプ(メッシュ数 #80、線径 0.1mm、開口 0.218mm
のステンレス鋼メッシュを、長さ25mm、内径が概ねφ4〜5mmの中空円筒
状に丸めた電極
の2種を準備した。
電極1:粗いタイプ(メッシュ数 #10、線径 0.47mm、開口 2.07mm)
のステンレス鋼メッシュを、長さ20mm、内径が概ねφ8〜9mmの中空円筒状
に丸めた電極。丸めた円筒状メッシュ電極の直径は、前記基材1、2のアルミニ
ウムパイプの外径より直径で概ね4mm太いサイズに加工し、前記ディスペンサ
ノズルの広い開口部に対しても同様に概ね直径で4mm太い円筒サイズに加工し
たものとした。
電極2:細かいタイプ(メッシュ数 #80、線径 0.1mm、開口 0.218mm
のステンレス鋼メッシュを、長さ25mm、内径が概ねφ4〜5mmの中空円筒
状に丸めた電極
の2種を準備した。
公知のDCマイクロパルス電源を有するプラズマCVD装置の内部に、前記電極1、電極2を、電圧が印加可能なように配置した。
続いて、基材1又は2の管状内部の空孔の中心と(基材2について曲がっているので、パイプ端部開口部の切り口の平面の円の中心)、電極1又は2の管状電極の空孔の内部の中心が概ね一直線になるように、電極の空孔の開口部の一端から概ね1mm離れた部分に、前記基材1又は2の一端の開口部がくるように各基材をセットした。
各基材は絶縁ガイシを経て電気的には成膜装置の容器内壁とも、前記電極とも離れた状態(電気的に浮いた状態)でセットした。
また、基材3(ディスペンサノズル)については、電極1に対して、
1)小開口部を向けたもの
2)大開口部を向けたもの
3)小開口部先端を電極空孔の入り口から概ね1mm程度空孔内部に挿入したもの(接触はしない)
4)小開口部先端を電極空孔と同じ位置(面一から1mm程度離れた状態)でセットしたもの(接触はしない)
を準備した。
続いて、基材1又は2の管状内部の空孔の中心と(基材2について曲がっているので、パイプ端部開口部の切り口の平面の円の中心)、電極1又は2の管状電極の空孔の内部の中心が概ね一直線になるように、電極の空孔の開口部の一端から概ね1mm離れた部分に、前記基材1又は2の一端の開口部がくるように各基材をセットした。
各基材は絶縁ガイシを経て電気的には成膜装置の容器内壁とも、前記電極とも離れた状態(電気的に浮いた状態)でセットした。
また、基材3(ディスペンサノズル)については、電極1に対して、
1)小開口部を向けたもの
2)大開口部を向けたもの
3)小開口部先端を電極空孔の入り口から概ね1mm程度空孔内部に挿入したもの(接触はしない)
4)小開口部先端を電極空孔と同じ位置(面一から1mm程度離れた状態)でセットしたもの(接触はしない)
を準備した。
<成膜、改質条件>
DCマイクロパルス電源を有するプラズマCVD装置の真空容器を真空排気した後
1)アセチレンガス(流量30SCCM、1.5Pa、印加電圧3.5kVp、パルス周波数10kHz、パルス幅10μs)を使用して非晶質炭素膜を30分間形成したもの
2)トリメチルシランガス(流量30SCCM、1.5Pa、印加電圧3.5kVp、パルス周波数10kHz、パルス幅10μs)を原料ガスとしSiを含む非晶質炭素膜を30分間形成したもの
3)前記2)にさらに酸素プラズマ(流量30SCCM、1.5Pa、印加電圧2kVp、パルス周波数10kHz、パルス幅10μs)を1分間照射したもの
4)Arガス(流量30SCCM、1.5Pa、印加電圧3.5kVp、パルス周波数10kHz、パルス幅10μs)にて10分間表面改質したもの
を形成した。
なお、いずれの場合も、原料ガス導入前の初期の真空排気は1×10−3Pa、パルス周波数10kHz、パルス幅10μs、とした。
DCマイクロパルス電源を有するプラズマCVD装置の真空容器を真空排気した後
1)アセチレンガス(流量30SCCM、1.5Pa、印加電圧3.5kVp、パルス周波数10kHz、パルス幅10μs)を使用して非晶質炭素膜を30分間形成したもの
2)トリメチルシランガス(流量30SCCM、1.5Pa、印加電圧3.5kVp、パルス周波数10kHz、パルス幅10μs)を原料ガスとしSiを含む非晶質炭素膜を30分間形成したもの
3)前記2)にさらに酸素プラズマ(流量30SCCM、1.5Pa、印加電圧2kVp、パルス周波数10kHz、パルス幅10μs)を1分間照射したもの
4)Arガス(流量30SCCM、1.5Pa、印加電圧3.5kVp、パルス周波数10kHz、パルス幅10μs)にて10分間表面改質したもの
を形成した。
なお、いずれの場合も、原料ガス導入前の初期の真空排気は1×10−3Pa、パルス周波数10kHz、パルス幅10μs、とした。
<基材の観察>
基材1に対して、電極1及び電極2を用い、上記処理条件1)、2)、3)、4)で成膜又は改質を行ったものについて、電極側の基材端部から5mm入った幅5mm部分と、概ね30cm離れた、電極の反対側の基材端部から5mm入った5mm幅程度の部分とを、それぞれ半割りにして管内部の処理状況(膜の堆積による着色状況)を確認した。
改質条件4を除き、全ての組み合わせで成膜又は表面処理が行われていることが着膜による変色で目視確認された。
この変色は、前記各電極で形成され、空孔体である各基材の空孔中に噴出した原料ガスのイオンや電気的には中性のラジカルなどのプラズマが各基材の空孔内部表面に堆積したためと考えることができる。なお、電気的には中性の原料ガスがラジカル化したものについては、基材の電荷(電位)や、空孔体基材の空孔内部の空間電界などには大きく左右されず、電極から勢い良くプラズマ噴出した方向により遠く拡散し、基材に堆積して行くと考えることもできる。
基材1に対して、電極1及び電極2を用い、上記処理条件1)、2)、3)、4)で成膜又は改質を行ったものについて、電極側の基材端部から5mm入った幅5mm部分と、概ね30cm離れた、電極の反対側の基材端部から5mm入った5mm幅程度の部分とを、それぞれ半割りにして管内部の処理状況(膜の堆積による着色状況)を確認した。
改質条件4を除き、全ての組み合わせで成膜又は表面処理が行われていることが着膜による変色で目視確認された。
この変色は、前記各電極で形成され、空孔体である各基材の空孔中に噴出した原料ガスのイオンや電気的には中性のラジカルなどのプラズマが各基材の空孔内部表面に堆積したためと考えることができる。なお、電気的には中性の原料ガスがラジカル化したものについては、基材の電荷(電位)や、空孔体基材の空孔内部の空間電界などには大きく左右されず、電極から勢い良くプラズマ噴出した方向により遠く拡散し、基材に堆積して行くと考えることもできる。
なお、前記基材1を前記円筒電極1)、成膜、改質条件2)の組み合わせで処理した検証実施例において、基材1の電極1)側の空孔部入り口(パイプの外側の面)に、予め120℃で変色するサーモラベルを貼り付けた後に本件成膜処理を行っているが、処理温度が120℃に到達したことを示す前記サーモラベルに変色は確認できなかった。
上記検証、<成膜、改質条件>の3)において、酸素プラズマを基材に照射しているが、酸素プラズマ(酸素を含むプラズマ)は通常の空孔を伴わない基材への処理において、さらには空孔を伴う基材への空孔内部処理の場合は特に顕著に、同一処理条件下であっても処理開始から処理時間の経過に伴いプラズマへの乖離状態が進み、プラズマ電流が急激に上昇して行く処理で、空孔体の内部処理において特にプラズマ電流の制御(特に、制御不能なホローカソード等、異常放電の発生抑制)が困難であるが、今回検証では極めて安定的に空孔体の内部に酸素プラズマを照射できることが確認され、酸素、または酸素を含むプラズマ処理に非常に有効であることが確認された。
さらに、電極1)について上記の<成膜、改質条件>に於ける、処理条件2)処理条件3)処理条件4)の検証で使用した後、使用済みの前記各電極1)にて、再度新しい基材1、処理条件2)にて処理を行い、使いまわし電極による着膜の状況を確認したが、特に異常放電の発生は無く、ほぼ初回処理時と同様の各新品の基材1への着膜が確認でき、電極は連続使用が可能であることが確認できた。
また、基材2に電極1を組み合わせたものについて、基材の曲線部の頂点付近から円筒電極と反対側に概ね2cm進んだ部分(地点)に、アルミニウムパイプの直径の半分ほどまで、パイプ曲線のR(半径)の内側方向から鋸を入れ、鋸で形成したパイプの鋸の刃の厚みとほぼ同じ幅の開口部(概ね2mm幅程度切断部)から、基材2の中の空孔内部表層への着膜状況を確認したところ、干渉色を示す着膜が確認できた。
さらに、基材1に対して、電極1を用い、処理条件2)で成膜を行ったものについて、円筒電極側の基材端部外周部(パイプの外部表面側)の空孔開口部入り口側部分(この部分は円筒電極からのプラズマの噴出した部分の近傍なので、膜厚が濃くなることが想定可能な結果となっている)に厚い表面処理が形成され、一旦、基材の円筒電極側と反対の出口に向かって進むにつれ表面処理はパイプの外周面部で薄くなった後、及び円筒電極とは反対側の基材端部外周部の空孔開口部入り口側から概ね5〜10mm前後の部分で再度膜厚が厚くなる現象(着膜の色が濃くなる現象)が確認できた。
この現象は、曲線状に全体が曲がったパイプ基材である基材2に、例えば電極1を用いて表面処理を行った場合にも、円筒電極側と反対側に位置し、円筒電極の空孔の向く方向(プラズマの噴出す直進方向)の延長線上には無い、円筒電極と反対側の曲がった基材出口付近でも表面処理による着色が濃くなる(膜厚が厚くなる)ことが確認できることから、円筒電極から直進の方向性をもったプラズマの拡散付着要因以外の作用が働いていることが推察できる。
この現象は、曲線状に全体が曲がったパイプ基材である基材2に、例えば電極1を用いて表面処理を行った場合にも、円筒電極側と反対側に位置し、円筒電極の空孔の向く方向(プラズマの噴出す直進方向)の延長線上には無い、円筒電極と反対側の曲がった基材出口付近でも表面処理による着色が濃くなる(膜厚が厚くなる)ことが確認できることから、円筒電極から直進の方向性をもったプラズマの拡散付着要因以外の作用が働いていることが推察できる。
これは、パイプ状基材である基材1や基材2の空孔内を円筒電極側から進んできたプラズマ状に乖離した電子が円筒電極と反対側の基材1、または基材2の出口から成膜装置内の解放された空間に放出される際、円筒電極と反対側の出口付近の成膜装置内に供給されている原料ガスをプラズマ状(イオンやラジカル)に分解し、基材の空孔の出口付近(断面部含む)に厚く着膜させるからと考えることもできる。
一般に空孔体、例えばホース、パイプなどの端部の一部は他の機構やパーツへのジョイント部分となり、他の構造体(素材)等に接触させ(咥えるように)接合される場合も多く、端部において厚い膜厚を確保できることは耐磨耗性の必要な部分により多くの膜厚を確保できる、有効な成膜方法、また、成膜部材とすることができることが確認できた。
さらに、実験等以外の実用上においては、微細で長いパイプなどの空孔体の内部空孔表面の状態(例えば表面処理状態)は、該空孔体の外部から容易に観察することができず、表面処理時、空孔体の内部空孔に着膜ができているか確認するには空孔体を破壊して、破壊した部分からの空孔内部の観察が必要になる場合が多い。
本発明にかかるプラズマ発生方法による空孔体の内部空孔成膜は、今回の検証結果が示すように、空孔体の双方の空孔入り口付近から一定距離の「外部」(パイプの外側など)にも着膜が確認できるため、細長く、空孔の微細な空孔体の空孔内部の表面処理が確実に行われているか等の確認を容易に行うことが可能となり得る。
さらに、実験等以外の実用上においては、微細で長いパイプなどの空孔体の内部空孔表面の状態(例えば表面処理状態)は、該空孔体の外部から容易に観察することができず、表面処理時、空孔体の内部空孔に着膜ができているか確認するには空孔体を破壊して、破壊した部分からの空孔内部の観察が必要になる場合が多い。
本発明にかかるプラズマ発生方法による空孔体の内部空孔成膜は、今回の検証結果が示すように、空孔体の双方の空孔入り口付近から一定距離の「外部」(パイプの外側など)にも着膜が確認できるため、細長く、空孔の微細な空孔体の空孔内部の表面処理が確実に行われているか等の確認を容易に行うことが可能となり得る。
基材1は300mmの部分に他端開口部があり、円筒電極側から基材(パイプ)の外部(成膜装置内)の面の他端部付近に至るまでの外周面には、円筒電極側から概ね150mm部分程度までは、基材の外周面に拡散されたプラズマによる着色(着膜)が確認できるが、それ以上離れた外周部(円筒電極と反対側の基材出口付近の外周部には着膜が確認できる)には着膜は確認できないため、基材の円筒電極と反対側の他端開口部付近の着膜は、基材外側(成膜装置内での)プラズマの拡散の膜でないことが推定できる。
また、基材3については、全ての基材と円筒電極の組み合わせ方法で、同一バッチで複数同時にセットし処理したが、全ての組み合わせで処理した基材の開口部付近含め内部(テーパ部)に概ね均一な表面処理(着膜による着色)が観察された。
特にトリメチルシランガスを原料ガスとするSiを含む非晶質炭素膜の成膜の場合は、その成膜の色によって膜の厚みが推定可能であるが、概ね薄青から黄色付近で概ね80〜120nm程度の膜厚が基材3の両端部で確認でき、基材3の空孔内内壁で一定程度均一な表面処理ができていることが判った。
これは、小開口部からプラズマ照射を行うことで、その先の内部に広がるような空孔内壁についても処理が可能なことを意味している。
また、基材3の「小開口部を(電極側に)向けたもの」を観察すると、ディスペンサノズル先端部の突出口断面(肉厚部分)と、空孔内面、ノズル先端外面に「一連の同種の膜」が形成されており、従来方法のようなノズル先端部の突出口断面(肉厚部分)と、空孔内面、ノズル先端外面を分けて複数回処理する方法で、複数回成膜により一部の膜厚が重なる、一部が未膜になる、膜が重なる部分で界面が発生し、剥離の原因になることを抑制しながら1回の処理で必要部分を一括処理可能であることが確認できた。
ディスペンサノズル先端部(断面、内面、外周面)は、その部分の(断)面積や粗さ、濡れ性変動に起因する、該当面への突出液這い上がり(濡れ上がり)状態の変動を惹起し塗布量ばらつき精度に大きく影響する部分であり、一連の表面処理を一挙に連続面として形成可能なことが非常に重要となり得る。
特にトリメチルシランガスを原料ガスとするSiを含む非晶質炭素膜の成膜の場合は、その成膜の色によって膜の厚みが推定可能であるが、概ね薄青から黄色付近で概ね80〜120nm程度の膜厚が基材3の両端部で確認でき、基材3の空孔内内壁で一定程度均一な表面処理ができていることが判った。
これは、小開口部からプラズマ照射を行うことで、その先の内部に広がるような空孔内壁についても処理が可能なことを意味している。
また、基材3の「小開口部を(電極側に)向けたもの」を観察すると、ディスペンサノズル先端部の突出口断面(肉厚部分)と、空孔内面、ノズル先端外面に「一連の同種の膜」が形成されており、従来方法のようなノズル先端部の突出口断面(肉厚部分)と、空孔内面、ノズル先端外面を分けて複数回処理する方法で、複数回成膜により一部の膜厚が重なる、一部が未膜になる、膜が重なる部分で界面が発生し、剥離の原因になることを抑制しながら1回の処理で必要部分を一括処理可能であることが確認できた。
ディスペンサノズル先端部(断面、内面、外周面)は、その部分の(断)面積や粗さ、濡れ性変動に起因する、該当面への突出液這い上がり(濡れ上がり)状態の変動を惹起し塗布量ばらつき精度に大きく影響する部分であり、一連の表面処理を一挙に連続面として形成可能なことが非常に重要となり得る。
また、上記基材3の成膜処理にように、同一バッチ内に異なる円筒電極、異なる向きでセットされた基材を配置し一括同一バッチで処理(同一の印加電圧、ガス圧、パルス処理条件)を行ってもプラズマの放電状態は概ね安定していた。このように、本発明の一実施形態にかかるプラズマ発生方法は多様な円筒電極や基材配置の状態の一括処理に対して優れた安定性や汎用性があることが合わせて確認できた。
また、基材3のディスペンサノズルをジルコニア製のものに変更し、ステンレス鋼ノズルと同様の<成膜、改質条件>の条件2)トリメチルシランガス(流量30SCCM、1.5Pa、印加電圧3.5kVp、パルス周波数10kHz、パルス幅10μs)を原料ガスとしSiを含む非晶質炭素膜を30分間形成する条件にて、電極1に対して、基材を前記2)の「ノズルの大開口部を向けた」状態で成膜した。
図2は、成膜した後のディスペンサノズルを、開口端から撮影した写真である。
なお、通常金属光沢を有する基材上にトリメチルシランガスを原料ガスとするSiを含む非晶質炭素膜を形成すると複数の異なる干渉色が発生するが、ジルコニアなどのセラミクス素材上に前記皮膜を形成した場合、薄茶色(膜厚は薄い)、グレー、黒(膜厚は厚い)と、膜厚に応じて色がモノトーンで変化するのが通例である。
図2は、成膜した後のディスペンサノズルを、開口端から撮影した写真である。
なお、通常金属光沢を有する基材上にトリメチルシランガスを原料ガスとするSiを含む非晶質炭素膜を形成すると複数の異なる干渉色が発生するが、ジルコニアなどのセラミクス素材上に前記皮膜を形成した場合、薄茶色(膜厚は薄い)、グレー、黒(膜厚は厚い)と、膜厚に応じて色がモノトーンで変化するのが通例である。
図2の、大きな入り口の開口部から写真中央右上の先端に向けテーパ状に細くなる写真から、まず表面処理部分が渦を巻くように形成されており、内径に表面処理膜厚の若干の膜厚ムラ(色ムラ)が確認できる。このことから水流のドレン部のようにプラズマが渦巻き状に基材内部を回転(旋回)して進んでいることが推定できる。
このことは、例えば円筒状電極と、円筒状ワークの空孔円筒部の中心軸がずれて配置されていても、円筒電極から円筒ワーク空孔に突出されるプラズマが円筒ワーク空孔内を旋回するため、円筒内に漏れなく表面処理を行い易いことを示唆している。
さらに、写真中央部のノズル先端部分の色が濃く、膜厚が厚くなっていることが確認できている。このように本発明の一実施形態において、照射プラズマの被処理物の空孔内部に於ける流れ(動き)がワークが実用される場合(例えばノズルの大開口部分から重点され小開口方向に集められながら排出される流体)の内部流動物と同様な動きを採りやすいため、実用上の流動物が太い入り口から狭い先端部出口に集まり、流速や面圧力の上昇しやすい部分に於ける摩擦磨耗耐久性を一層向上させやすい(実施例ではノズル先端部分内側)。
このことは、例えば円筒状電極と、円筒状ワークの空孔円筒部の中心軸がずれて配置されていても、円筒電極から円筒ワーク空孔に突出されるプラズマが円筒ワーク空孔内を旋回するため、円筒内に漏れなく表面処理を行い易いことを示唆している。
さらに、写真中央部のノズル先端部分の色が濃く、膜厚が厚くなっていることが確認できている。このように本発明の一実施形態において、照射プラズマの被処理物の空孔内部に於ける流れ(動き)がワークが実用される場合(例えばノズルの大開口部分から重点され小開口方向に集められながら排出される流体)の内部流動物と同様な動きを採りやすいため、実用上の流動物が太い入り口から狭い先端部出口に集まり、流速や面圧力の上昇しやすい部分に於ける摩擦磨耗耐久性を一層向上させやすい(実施例ではノズル先端部分内側)。
[実施例2:円筒壁面に穴のない円筒電極を用いた例]
<基材と電極の準備>
円筒電極:ステンレス製内径φ125mm 長さ250mmの壁面に穴の無い円筒状電極基材:600mm×600mmのアルミニウム箔
を準備した。
<基材と電極の準備>
円筒電極:ステンレス製内径φ125mm 長さ250mmの壁面に穴の無い円筒状電極基材:600mm×600mmのアルミニウム箔
を準備した。
前記円筒電極のみを、(被処理基材をセットせずに)公知のDCマイクロパルス電源を有するプラズマCVD装置の内部に前記円筒電極に電圧が印加可能なように配置した。
また、真空装置容器の内壁(他方電極となるグランド部分)で、前記円筒電極の開口部の向いた方向の直線上交わる部分付近、電極開口部端から概ね200mmの距離部分に600mm×600mmのアルミニウム箔を貼付した。
真空排気した後、トリメチルシランガス(流量30SCCM、0.1Pa)を原料ガスとしプラズマを形成した。
なお、真空排気は1×10−3Pa、パルス周波数10kHz、パルス幅10μs、印加電圧は−2.5kVpとした。
また、真空装置容器の内壁(他方電極となるグランド部分)で、前記円筒電極の開口部の向いた方向の直線上交わる部分付近、電極開口部端から概ね200mmの距離部分に600mm×600mmのアルミニウム箔を貼付した。
真空排気した後、トリメチルシランガス(流量30SCCM、0.1Pa)を原料ガスとしプラズマを形成した。
なお、真空排気は1×10−3Pa、パルス周波数10kHz、パルス幅10μs、印加電圧は−2.5kVpとした。
この状態では円筒電極の空孔内部にプラズマを生成することができず、円筒電極の外部表面と開口部(内部除く)にプラズマが生成されるだけであることが確認できた。
次にパルス周波数10kHz、パルス幅10μs、印加電圧を−3kVpまで昇圧したところ、20Aを超える激しい制御不能な電流(異常電流)が流れ装置の安全装置が作動し電源がカットされ処理を中断した。
続いてパルス周波数10kHz、パルス幅を5μsまで短くし、印加電圧を−2.5kVpとしたところ、(他の条件は変えないで)電極内部に安定した濃いプラズマを生成することができた。
次にパルス周波数10kHz、パルス幅10μs、印加電圧を−3kVpまで昇圧したところ、20Aを超える激しい制御不能な電流(異常電流)が流れ装置の安全装置が作動し電源がカットされ処理を中断した。
続いてパルス周波数10kHz、パルス幅を5μsまで短くし、印加電圧を−2.5kVpとしたところ、(他の条件は変えないで)電極内部に安定した濃いプラズマを生成することができた。
円筒電極の空孔内部に濃いプラズマが形成されたことは、成膜容器内に取り付けられた円筒電極の円筒内部内面、及び外部外面も同時にプラズマを形成して発光している様子が観察できるが、円筒電極の内部の方が外部に比べ圧倒的に明るく、プラズマ発生状態が強いことは一目瞭然であり、成膜容器内に局所的に濃いプラズマ部分(=円筒電極内部)を形成できていることが確認できた。
さらには円筒電極の外部外面、内部内面それぞれに形成されたプラズマで着膜、変色するため、管のプラズマ濃度の高い部分がより着膜で変色することになるが、円筒電極の外部外面(処理1時間後もなお膜厚500nm未満程度を示す干渉色)より内部内面(処理1時間後膜厚が概ね少なくとも1μm以上を示す灰黒色)の方が圧倒的に着膜(膜厚)が厚いことが着色で確認できた。
さらには円筒電極の外部外面、内部内面それぞれに形成されたプラズマで着膜、変色するため、管のプラズマ濃度の高い部分がより着膜で変色することになるが、円筒電極の外部外面(処理1時間後もなお膜厚500nm未満程度を示す干渉色)より内部内面(処理1時間後膜厚が概ね少なくとも1μm以上を示す灰黒色)の方が圧倒的に着膜(膜厚)が厚いことが着色で確認できた。
前記にように円筒電極で概ね1時間処理を続けた後、前記円筒電極から概ね200mmの距離に配置した600mm×600mmのアルミニウム箔の状態を観察した。
前記アルミニウム箔の円筒電極の開口部延長が交わる付近でスポット的に表面の濃い着膜が確認でき、円筒電極から噴出したプラズマイオンやラジカルがアルミニウム箔近傍まで達したものと推定できる。
前記アルミニウム箔の円筒電極の開口部延長が交わる付近でスポット的に表面の濃い着膜が確認でき、円筒電極から噴出したプラズマイオンやラジカルがアルミニウム箔近傍まで達したものと推定できる。
[比較例:平板状メッシュを用いた例]
前記の電極1に用いた粗いタイプ(メッシュ数:#10、線径:0.47mm、開口:2.07mm)のステンレス鋼メッシュ、及び電極2に用いた細かいタイプ(メッシュ数:#80、線径:0.1mm、開口:0.218mm)のステンレス鋼メッシュを、それぞれ、額縁状の枠に100mm×100mmの大きさでフィルム状に貼り付けた状態になるようにテンションをかけて貼り付けた。
前記実施例1で用いた基材1の開口部(切り口の平面)が、前記メッシュ水平面から1mm離れ、また、もう1本別に準備した基材1がメッシュ水平面から30mm離れ(概ねプラズマシース幅分以上)かつ各基材(基材1が2本)の穴の輪郭面(断面)が前記それぞれのメッシュが形成する面と平行に対面するようにセットし、前記電極1又は2を使用した実施例1の表面処理と同じ条件で処理を行った。
処理後、前記それぞれの目開きのメッシュ2種にて処理した基材1(2本とも)の反対側の端部に表面処理がされていないことが確認できた。
本比較例により、平板状の金網から染み出したプラズマでは、円筒形の立体物の内部に十分な表面処理を行うことが不可能であることが確認できた。
この結果から、平網のメッシュ電極から染み出したプラズマでは、長い空孔を有する基材の空孔体内部を処理することが困難であることが確認できた。
前記の電極1に用いた粗いタイプ(メッシュ数:#10、線径:0.47mm、開口:2.07mm)のステンレス鋼メッシュ、及び電極2に用いた細かいタイプ(メッシュ数:#80、線径:0.1mm、開口:0.218mm)のステンレス鋼メッシュを、それぞれ、額縁状の枠に100mm×100mmの大きさでフィルム状に貼り付けた状態になるようにテンションをかけて貼り付けた。
前記実施例1で用いた基材1の開口部(切り口の平面)が、前記メッシュ水平面から1mm離れ、また、もう1本別に準備した基材1がメッシュ水平面から30mm離れ(概ねプラズマシース幅分以上)かつ各基材(基材1が2本)の穴の輪郭面(断面)が前記それぞれのメッシュが形成する面と平行に対面するようにセットし、前記電極1又は2を使用した実施例1の表面処理と同じ条件で処理を行った。
処理後、前記それぞれの目開きのメッシュ2種にて処理した基材1(2本とも)の反対側の端部に表面処理がされていないことが確認できた。
本比較例により、平板状の金網から染み出したプラズマでは、円筒形の立体物の内部に十分な表面処理を行うことが不可能であることが確認できた。
この結果から、平網のメッシュ電極から染み出したプラズマでは、長い空孔を有する基材の空孔体内部を処理することが困難であることが確認できた。
[実施例3:注射器形状のガラス製基材への処理]
本実施例では、被処理基材として、ガラス製注射器(シリンダ部分)で先端の細いガラス製金属針取り付け部に金属針の取り付けて無い状態の筒状基材(空孔体)で、太い部分で内径が概ねφ10mm、筒の長さが概ね100mm程度で、注射器(シリンダ部)の太い円筒部分の先端部分付近で金属針を装着可能なように内径φ2mmの円錐状に絞られたガラス空孔体(注射器シリンダ部分)を準備した。
DCパルスプラズマCVD装置の真空容器の中に前記ガラス空孔体の太い開口部側に1mmの距離を置いて、空孔内の中心線がほぼ一直線となるような配置で、メッシュ数:#10、線径:0.47mm、開口:2.07mmのステンレス鋼メッシュを長さ概ね25mm、φ11mmの円筒状にした電極(空孔を有する電極)を配置した。
本実施例では、被処理基材として、ガラス製注射器(シリンダ部分)で先端の細いガラス製金属針取り付け部に金属針の取り付けて無い状態の筒状基材(空孔体)で、太い部分で内径が概ねφ10mm、筒の長さが概ね100mm程度で、注射器(シリンダ部)の太い円筒部分の先端部分付近で金属針を装着可能なように内径φ2mmの円錐状に絞られたガラス空孔体(注射器シリンダ部分)を準備した。
DCパルスプラズマCVD装置の真空容器の中に前記ガラス空孔体の太い開口部側に1mmの距離を置いて、空孔内の中心線がほぼ一直線となるような配置で、メッシュ数:#10、線径:0.47mm、開口:2.07mmのステンレス鋼メッシュを長さ概ね25mm、φ11mmの円筒状にした電極(空孔を有する電極)を配置した。
続いて真空排気を1×10−3Paまで行い、トリメチルシランガスを流量30SCCM、ガス圧1.5Paで供給し、パルス周波数10kHz、パルス幅10μsにて印加電圧2.4kVpで原料ガスを安定したホローカソード状態のプラズマ状態とし、前記空孔体ガラスの空孔内に供給し、Siを含む非晶質炭素膜を形成している状態を観察した。
その結果、メッシュで形成された空孔を有する電極からのホローカソード状のプラズマが、注射器の概ねφ10mmと太い円筒部分を通過して、注射器空孔体ガラスの反対側の内径φ2mmに円錐状に絞られたガラス空孔体出口部によって同様に細く絞られ、注射器のガラス空孔体の細い側の開口出口から外部(成膜容器の内部)に白色で柱状に(前記電極で生成させたプラズマが)噴出していることが確認できた。
さらに、内径φ2mmに円錐状に絞られたガラス空孔体中を進んだ白色のプラズマは注射器の外部に突出した後、概ね注射器ガラス空孔体出口部から3〜5mm程度の一定部分までは柱状で、その後放射状に広がりを持って進んでいることも確認できた。
さらに、内径φ2mmに円錐状に絞られたガラス空孔体中を進んだ白色のプラズマは注射器の外部に突出した後、概ね注射器ガラス空孔体出口部から3〜5mm程度の一定部分までは柱状で、その後放射状に広がりを持って進んでいることも確認できた。
この検証から、本発明の一実施形態において、空孔を有する電極が生成するプラズマを、空孔を有し、電極側と反対側が前記電極側よりも細くなっている空孔体の空孔内を通過させることで、プラズマの径を任意に調整でき得ることも確認できる。
このような、空孔を有する電極と空孔径が異なる空孔体を備えるプラズマ発生方法、および装置は、プラズマを所望の照射範囲径に調整することが可能となり、多様な基材の部分表面処理に使用可能であることが確認できた。
このような、空孔を有する電極と空孔径が異なる空孔体を備えるプラズマ発生方法、および装置は、プラズマを所望の照射範囲径に調整することが可能となり、多様な基材の部分表面処理に使用可能であることが確認できた。
[実施例4:止め穴形状の空孔体への処理]
<基材と電極の準備>
基材:入り口の直径が概ねφ10mm、入り口から底までの深さが概ね50mm、底部近の内径が概ね14mmの概ね円筒状のガラス瓶を準備した。
空孔を有するメッシュで形成した円筒電極:粗いタイプ(メッシュ数:#10、線径:0.47mm、開口:2.07mm)のステンレス鋼メッシュを、長さ30mm内径φ10mmの中空円筒状に丸めた電極準備した。
<基材と電極の準備>
基材:入り口の直径が概ねφ10mm、入り口から底までの深さが概ね50mm、底部近の内径が概ね14mmの概ね円筒状のガラス瓶を準備した。
空孔を有するメッシュで形成した円筒電極:粗いタイプ(メッシュ数:#10、線径:0.47mm、開口:2.07mm)のステンレス鋼メッシュを、長さ30mm内径φ10mmの中空円筒状に丸めた電極準備した。
公知のDCマイクロパルス電源を有するプラズマCVD装置の内部に、前記基材と電極を、電極に電圧が印加可能なように配置した。
続いて、基材の管状内部の空孔の中心線と前記管状電極の空孔の内部の中心が概ね一直線になるように、電極の空孔の開口部の一端から概ね1mm離れた部分に、前記基材の開口部がくるようセットしたものと、2mm離れた部分に、前記基材の開口部がくるようセットしたものとを準備した。
各基材は絶縁ガイシを経て電気的には成膜装置の容器内壁とも電極とも離れた状態(電気的に浮いた状態)でセットした。
真空排気を1×10−3Paまで行い、トリメチルシランガスを流量30SCCM、1.5Paで供給し、パルス周波数10kHz、パルス幅10μsにて印加電圧2.4kVpで原料ガスをプラズマ状態とし、前記空孔体ガラスの空孔内に供給し、Siを含む非晶質炭素膜を形成している状態を観察した。
続いて、基材の管状内部の空孔の中心線と前記管状電極の空孔の内部の中心が概ね一直線になるように、電極の空孔の開口部の一端から概ね1mm離れた部分に、前記基材の開口部がくるようセットしたものと、2mm離れた部分に、前記基材の開口部がくるようセットしたものとを準備した。
各基材は絶縁ガイシを経て電気的には成膜装置の容器内壁とも電極とも離れた状態(電気的に浮いた状態)でセットした。
真空排気を1×10−3Paまで行い、トリメチルシランガスを流量30SCCM、1.5Paで供給し、パルス周波数10kHz、パルス幅10μsにて印加電圧2.4kVpで原料ガスをプラズマ状態とし、前記空孔体ガラスの空孔内に供給し、Siを含む非晶質炭素膜を形成している状態を観察した。
電極の空孔の開口部の一端から概ね1mm離れた部分にセットしたガラス基材は円筒電極のプラズマ生成が不安定になり、これ以上電圧を印加できない状況で15分間成膜を行い処理を終了した後、真空容器を常圧に戻し、ガラス瓶2個ともを取り出して観察したが表面に着膜による変色が殆ど認められなかった。
前記一方のガラス瓶と対応する円筒電極(電極から1mmの距離のもの)を除去した後、前記同様真空装置を排気し、残りのガラス瓶(電極から2mm離れたもの)にトリメチルシランガス(流量30SCCM、1.5Pa、印加電圧3.5kVp、パルス周波数10kHz、パルス幅10μs)を原料ガスとしSiを含む非晶質炭素膜を15分間形成した後取り出した。ガラス瓶の中は茶色に変色しているこが明瞭に観察できた。
電極の空孔の開口部の一端から概ね1mm離れた部分に配置したガラス瓶の印加電圧を異常放電により高くできない理由は、有底の空孔体(ガラス瓶)の場合、閉塞された空間である空孔内部に照射された電子の逃げ場が無く、前記1mm(1mm未満)の基材と電極の隙間ではガラス瓶の中に入った電子が十分ガラス瓶の内部から真空容器内部に排出できなかったためと推定することができる。
前記一方のガラス瓶と対応する円筒電極(電極から1mmの距離のもの)を除去した後、前記同様真空装置を排気し、残りのガラス瓶(電極から2mm離れたもの)にトリメチルシランガス(流量30SCCM、1.5Pa、印加電圧3.5kVp、パルス周波数10kHz、パルス幅10μs)を原料ガスとしSiを含む非晶質炭素膜を15分間形成した後取り出した。ガラス瓶の中は茶色に変色しているこが明瞭に観察できた。
電極の空孔の開口部の一端から概ね1mm離れた部分に配置したガラス瓶の印加電圧を異常放電により高くできない理由は、有底の空孔体(ガラス瓶)の場合、閉塞された空間である空孔内部に照射された電子の逃げ場が無く、前記1mm(1mm未満)の基材と電極の隙間ではガラス瓶の中に入った電子が十分ガラス瓶の内部から真空容器内部に排出できなかったためと推定することができる。
[実施例5:円筒パイプ内部の着膜確認]
<基材>
基材1:厚さ0,1mmのステンレス鋼(SUS304)の矩形平板を筒状に丸めて空孔
内径が概ねφ30mm、長さ300mmの円筒型のパイプワークを作成した。
基材2:空孔内径が概ねφ10mm、外形がφ14mm、長さ120mmのガラスの円筒
型の注射器シリンダで、金属製の注射針をセットする先端部分が概ね円筒の筒面
に対して直角の底面となり、該底面の一部分にさらに細い先端ガラスノズルが突
起しているものを準備した。
<基材>
基材1:厚さ0,1mmのステンレス鋼(SUS304)の矩形平板を筒状に丸めて空孔
内径が概ねφ30mm、長さ300mmの円筒型のパイプワークを作成した。
基材2:空孔内径が概ねφ10mm、外形がφ14mm、長さ120mmのガラスの円筒
型の注射器シリンダで、金属製の注射針をセットする先端部分が概ね円筒の筒面
に対して直角の底面となり、該底面の一部分にさらに細い先端ガラスノズルが突
起しているものを準備した。
<基材への空孔を有するメッシュで形成した円筒電極の配置>
前記基材1に対する電極1:
粗いタイプ(メッシュ数:#10、線径:0.47mm、開口:2.07mm)
のステンレス鋼メッシュを、長さ20mm、内径が概ねφ30mmの中空円筒状
に丸めた電極。を前記基材1の一方入り口から5mm離した距離で、双方の円筒
中空の中心線が一直線となるように配置した。なお、基材1は電気的に「浮いた
状態」(電極にも、グランドにも電気的に接続されていない状態)で真空装置の
容器内にセットした。
前記基材2に対する電極2:
前記電極1と同様のステンレス鋼メッシュを、長さ25mm、内径が概ねφ10
mmの中空円筒状に丸めた電極を前記基材2の一方入り口(先端部が広く開口し
ている注射器ピストン挿入側の開口部(入り口)から5mm離した距離で、双方
の円筒中空の中心線が一直線となるように配置した。なお、基材2は電気的に「
浮いた状態」(電極にも、グランドにも電気的に接続されていない状態)で真空
装置容器内にセットした。
前記基材1に対する電極1:
粗いタイプ(メッシュ数:#10、線径:0.47mm、開口:2.07mm)
のステンレス鋼メッシュを、長さ20mm、内径が概ねφ30mmの中空円筒状
に丸めた電極。を前記基材1の一方入り口から5mm離した距離で、双方の円筒
中空の中心線が一直線となるように配置した。なお、基材1は電気的に「浮いた
状態」(電極にも、グランドにも電気的に接続されていない状態)で真空装置の
容器内にセットした。
前記基材2に対する電極2:
前記電極1と同様のステンレス鋼メッシュを、長さ25mm、内径が概ねφ10
mmの中空円筒状に丸めた電極を前記基材2の一方入り口(先端部が広く開口し
ている注射器ピストン挿入側の開口部(入り口)から5mm離した距離で、双方
の円筒中空の中心線が一直線となるように配置した。なお、基材2は電気的に「
浮いた状態」(電極にも、グランドにも電気的に接続されていない状態)で真空
装置容器内にセットした。
公知のDCマイクロパルス電源を有するプラズマCVD装置の内部に、前記電極1、電極2を、電圧が印加可能なように配置した。
各基材は絶縁ガイシを経て電気的には成膜装置の容器内壁とも電極とも離れた状態(電気的に浮いた状態)でセットした。
各基材は絶縁ガイシを経て電気的には成膜装置の容器内壁とも電極とも離れた状態(電気的に浮いた状態)でセットした。
<成膜条件>
真空排気した後、双方をトリメチルシランガス(流量30SCCM、1.5Pa、印加電圧4kVp、パルス周波数10kHz、パルス幅10μs)を原料ガスとしSiを含む非晶質炭素膜を基材2については25分間成膜して途中、真空ブレイクして取り出し、基材1については合計の成膜時間が40分間となるよう再度真空排気して同様条件で表面処理を行った。
トリメチルシランガスで皮膜を形成した理由は、形成される膜厚が色(干渉色)で容易に判断可能なためである。
真空排気した後、双方をトリメチルシランガス(流量30SCCM、1.5Pa、印加電圧4kVp、パルス周波数10kHz、パルス幅10μs)を原料ガスとしSiを含む非晶質炭素膜を基材2については25分間成膜して途中、真空ブレイクして取り出し、基材1については合計の成膜時間が40分間となるよう再度真空排気して同様条件で表面処理を行った。
トリメチルシランガスで皮膜を形成した理由は、形成される膜厚が色(干渉色)で容易に判断可能なためである。
成膜後、真空をブレイクし、基材1、2を真空装置から取り出した。
まず筒状の基材1を矩形の平板状に展開し、筒状の内部に形成された皮膜の状態、主に膜厚(形成された干渉色)から確認した。
まず筒状の基材1を矩形の平板状に展開し、筒状の内部に形成された皮膜の状態、主に膜厚(形成された干渉色)から確認した。
図3に、円筒電極側の、形成された干渉色を撮影した写真を示す。
図3の写真に示すように、電極側の筒状(だった)ワークの入り口端の円筒内部(写真向かって左側の辺)から、円筒中央に向かって(写真右側に向かって)概ね80mm幅程度の距離のところまでは、入り口付近が最も膜厚の厚いことを示す「赤」系色(概ね膜厚170nm程度)から黄色(膜厚、概ね120nm)、青(概ね80nm)、紫(概ね40nm)薄茶(20nm)と続くグラデーション状の配色となり円筒中央に向かって概ね傾斜的に膜厚が連続的に薄くなっていることが確認できる。
さらに、この膜厚の傾斜(干渉色は)は、ワークの入り口の端(写真向かって左側の辺)から、円筒中央に向かって(写真右側に向かって)概ね80mm幅程度の距離より右の部分では概ね20nm弱程度の膜厚を示す色である薄茶色が続き、円筒内部に向かって極めて少ない膜厚の変動を示す色彩となっている。
よって、皮膜の厚みは、一番厚い入り口縁部から円筒内部に向かって、一端大きな膜厚傾斜で形成され、その後は前記傾斜に比べかなり緩い傾斜の2段の傾斜で形成されることが確認できる。
図3の写真に示すように、電極側の筒状(だった)ワークの入り口端の円筒内部(写真向かって左側の辺)から、円筒中央に向かって(写真右側に向かって)概ね80mm幅程度の距離のところまでは、入り口付近が最も膜厚の厚いことを示す「赤」系色(概ね膜厚170nm程度)から黄色(膜厚、概ね120nm)、青(概ね80nm)、紫(概ね40nm)薄茶(20nm)と続くグラデーション状の配色となり円筒中央に向かって概ね傾斜的に膜厚が連続的に薄くなっていることが確認できる。
さらに、この膜厚の傾斜(干渉色は)は、ワークの入り口の端(写真向かって左側の辺)から、円筒中央に向かって(写真右側に向かって)概ね80mm幅程度の距離より右の部分では概ね20nm弱程度の膜厚を示す色である薄茶色が続き、円筒内部に向かって極めて少ない膜厚の変動を示す色彩となっている。
よって、皮膜の厚みは、一番厚い入り口縁部から円筒内部に向かって、一端大きな膜厚傾斜で形成され、その後は前記傾斜に比べかなり緩い傾斜の2段の傾斜で形成されることが確認できる。
図4に、円筒電極とは反対側部分内部に形成された干渉色を撮影した写真を示す。
図4の写真において、向かって右側の辺は、円筒状ワークを構成していた時点で電極と反対側の円筒出口の端の円筒内部となった部分であるが、写真右側の辺から10mm幅程度で他の部分より若干膜厚が厚いことを示す他の部分に比べ濃い茶色が写真右端に向かって確認でき特に写真最右の辺部1〜2mm幅でより茶色が濃くなっていることが確認できることにより、該部分でこの写真内では他の部分より一番膜厚が厚くなっていることが確認できる。このように、本発明の一実施形態において、筒状ワークの内径内壁膜厚は、程度の差はあるにせよ双方の出口付近で厚くなる(膜厚20〜30nm程度の色)ことが確認できた。
つまり、円筒電極側の円筒開口部で膜厚は一番厚く、前記入り口付近から傾斜勾配的に内部に向かって膜厚は薄くなり、その後膜厚が一定又は極めて緩い勾配で膜厚が薄い部分が形成され、最後、電極とは反対部分の開口部周辺で再び膜厚が若干厚くなることが確認できた。
図4の写真において、向かって右側の辺は、円筒状ワークを構成していた時点で電極と反対側の円筒出口の端の円筒内部となった部分であるが、写真右側の辺から10mm幅程度で他の部分より若干膜厚が厚いことを示す他の部分に比べ濃い茶色が写真右端に向かって確認でき特に写真最右の辺部1〜2mm幅でより茶色が濃くなっていることが確認できることにより、該部分でこの写真内では他の部分より一番膜厚が厚くなっていることが確認できる。このように、本発明の一実施形態において、筒状ワークの内径内壁膜厚は、程度の差はあるにせよ双方の出口付近で厚くなる(膜厚20〜30nm程度の色)ことが確認できた。
つまり、円筒電極側の円筒開口部で膜厚は一番厚く、前記入り口付近から傾斜勾配的に内部に向かって膜厚は薄くなり、その後膜厚が一定又は極めて緩い勾配で膜厚が薄い部分が形成され、最後、電極とは反対部分の開口部周辺で再び膜厚が若干厚くなることが確認できた。
次に筒状の基材2(注射器のシリンダ)に形成された皮膜の状態、主に膜厚を形成された皮膜の色から確認した。
図5は、基材2(金属製の注射針をセットする先端部分が、概ね円筒の筒面に対して直角の底面となり、該底面の一部分にさらに細い先端ガラスノズル突起部が設けられている注射器)の、成膜後のシリンダ部を撮影した写真である。
図5の写真では、円筒電極は、写真右側に配置され、該電極から吹き込まれたプラズマは、右側から注射器シリンダの太い本体部を進んだ後、写真左部の先端突起部分に進むことになるが、シリンダ内を直進してきたプラズマが角度を持って衝突する面(例えばシリンダ底面)などの膜厚は他の円筒途中の面(電極側入り口付近から膜厚の大きい一定距離は除く)より厚い膜厚である濃い着色が確認でき、特に、細い管部の付け根付近が非常に濃くなり、また本体より極端に細い径の突起部の円筒内部の膜厚が大きいことが、着色により確認できた。
なお、通常金属光沢を有する基材上にトリメチルシランガスを原料ガスとするSiを含む非晶質炭素膜を形成すると複数の異なる干渉色が発生するが、ガラスやセラミクス素材上に前記皮膜を形成した場合、薄茶色(膜厚は薄い)、グレー、黒(膜厚は厚い)と、膜厚に応じて色がモノトーンで変化するのが通例である。
本発明の一実施形態において、筒状ワークの空孔内部に一定方向のプラズマを吹き込むことにより、プラズマの角度を持って衝突する面や、収束する部分、特に収束端部、細くなる部分、集まる部分などの膜厚を大きくすることが可能となり、処理後、該ワークの使用にあたり、同様方向から該ワーク空孔内に注入されプラズマと同様の経路を進む収容物の衝突する部分、抵抗、流速等の大きい部分の耐久性の向上に有効であることが理解できる。
本発明の一実施形態において、筒状ワークの空孔内部に一定方向のプラズマを吹き込むことにより、プラズマの角度を持って衝突する面や、収束する部分、特に収束端部、細くなる部分、集まる部分などの膜厚を大きくすることが可能となり、処理後、該ワークの使用にあたり、同様方向から該ワーク空孔内に注入されプラズマと同様の経路を進む収容物の衝突する部分、抵抗、流速等の大きい部分の耐久性の向上に有効であることが理解できる。
Claims (21)
- 内部の少なくとも一部に空孔を有する被処理基材の空孔内面に表面処理を行うためのプラズマ発生方法であって、
反応容器内に、内部の少なくとも一部に空孔を有する一方電極と、必要に応じて補助電極とを設置するとともに、前記被処理基材を前記反応容器及び補助電極から絶縁された状態で設置し、
真空排気された前記反応容器内に原料ガスを導入し、前記反応容器又は前記補助電極を他方電極として、前記一方電極との間にパルス状のDC電圧を印加することにより、前記一方電極の空孔内部に局所的にプラズマ濃度の高い状態のプラズマを生成させ、生成した局所的に濃度の高いプラズマを当該電極の開口部から突出させるとともに、前記被処理基材の空孔開口部を前記突出するプラズマ方向に向けて配置することで、前記生成したプラズマを、前記被処理基材の開口部から該被処理基材の空孔内部に向かって照射することを特徴とするプラズマ発生方法。 - 内部の少なくとも一部に空孔を有する被処理基材の空孔内面に表面処理を行うためのプラズマ発生方法であって、
反応容器内に、内部の少なくとも一部に空孔を有する一方電極と、必要に応じて補助電極とを設置するとともに、
前記被処理基材を、前記反応容器及び補助電極から絶縁された状態で、かつ、該被処理基材の少なくとも一部の空孔端と前記一方電極の少なくとも一部の空孔端とを100mm未満の距離で対面させて設置し、
真空排気された前記反応容器内に原料ガスを導入し、前記反応容器又は前記補助電極を他方電極として、前記一方電極との間にパルス状のDC電圧を印加することを特徴とするプラズマ発生方法。 - 内部の少なくとも一部に空孔を有する被処理基材の空孔内面に表面処理を行うためのプラズマ発生方法であって、
反応容器内に、内部の少なくとも一部に空孔を有する一方電極と、必要に応じて補助電極とを設置するとともに、
前記被処理基材を、前記反応容器及び補助電極から絶縁された状態で、かつ、該被処理基材の空孔の少なくとも一部の外形構造表層面を前記一方電極の一部分のみが包み込むように設置し、
真空排気された前記反応容器内に原料ガスを導入し、前記反応容器又は前記補助電極を他方電極として、前記一方電極との間にパルス状のDC電圧を印加することを特徴とするプラズマ発生方法。 - 内部の少なくとも一部に空孔を有する被処理基材の空孔内面に表面処理を行うためのプラズマ発生方法であって、
反応容器内に、内部の少なくとも一部に空孔を有する一方電極と、必要に応じて補助電極とを設置するとともに、
前記被処理基材を、前記反応容器及び補助電極から絶縁された状態で、かつ、該被処理基材の少なくとも一部の空孔内部に、前記一方電極の一部分のみを挿入するように設置し、
真空排気された前記反応容器内に原料ガスを導入し、前記反応容器又は前記補助電極を他方電極として、前記一方電極との間にパルス状のDC電圧を印加することを特徴とするプラズマ発生方法。 - 少なくとも一部の内部に空孔を有する被処理基材の空孔内面に表面処理を行うためのプラズマ発生方法であって、
反応容器内に、少なくとも一部の内部に空孔を有する一方電極と、必要に応じて補助電極とを設置するとともに、前記被処理基材を前記反応容器及び補助電極から絶縁された状態で設置し、
真空排気された前記反応容器内に原料ガスを導入し、前記反応容器又は前記補助電極を他方電極として、前記一方電極との間にパルス状のDC電圧を印加することにより、前記一方電極の空孔内部に局所的にプラズマ濃度の高い状態のプラズマを生成させ、生成した局所的に濃度の高いプラズマを、当該電極の開口部からプラズマシースを介さず突出させるとともに、前記被処理基材の空孔開口部を、前記突出するプラズマ方向に向けて前記一方電極から15mm未満の間隔で配置することで、前記生成したプラズマを、前記被処理基材の開口部から該被処理基材の空孔内部に向かって照射することを特徴とするプラズマ発生方法。 - 前記一方電極が、実質的に三次元立体形状を有し、前記立体形状内部に実質的な空孔を有することを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載のプラズマ発生方法。
- 前記一方電極が、筒状電極であることを特徴とする請求項6に記載のプラズマ発生方法。
- 前記筒状電極の両端開口部の径と筒の長さの比(アスペクト比)が0.1以上10未満であることを特徴とする請求項7に記載のプラズマ発生方法。
- 前記筒状電極が、両端を含め、少なくとも3つ以上の開口部を有することを特徴とする請求項7に記載のプラズマ発生方法。
- 前記両端以外の開口部が、一方電極の空孔の内外を貫通する微小な貫通口であることを特徴とする請求項9に記載のプラズマ発生方法。
- 前記両端以外の開口部の形状が、メッシュ形状、螺旋形状、スリット形状、又は穴あき形状であることを特徴とする請求項9又は10に記載のプラズマ発生方法。
- 前記メッシュ形状、螺旋形状、スリット形状、又は穴あき形状の開口率が5〜99%であることを特徴とする請求項11に記載のプラズマ発生方法。
- 請求項1〜12のいずれか1項に記載のプラズマ発生方法を用い、被処理基材上に非晶質炭素膜を成膜することを特徴とする成膜方法。
- 請求項1〜12のいずれか1項に記載のプラズマ発生方法を用いることを特徴とする表面改質方法。
- 内部に一方開口部から他方開口部まで続く空孔を有する管状基材と、該管状基材の空孔面に形成された少なくとも、炭素、水素、酸素、窒素、フッ素、アルゴン、ヘリウム、Si、Ti、Al、Zr、Wのいずれか一つを含むドライ薄膜を有し、
前記ドライ薄膜は、前記管状基材内の空孔が収束する部分、或いは収束開始又は終了端部のいずれかの部分において、他の空孔内部の少なくとも一部より厚いことを特徴とする表面処理構造体。 - 内部に一方開口部から他方開口部まで続く空孔を有する管状基材と、該管状基材の空孔面に形成された少なくとも、炭素、水素、酸素、窒素、フッ素、アルゴン、ヘリウム、Si、Ti、Al、Zr、Wのいずれか一つを含むドライ薄膜を有し、
前記ドライ薄膜は、前記管状基材の両端の内部開口部付近において、他の空孔内部の少なくとも一部より厚いことを特徴とする表面処理構造体。 - 前記ドライ薄膜が、少なくとも前記基材の空孔内部を含まない表層側の両端部(開口部断面を含む)において、中間に位置する表層部よりも厚いことを特徴とする請求項16に記載の表面処理構造体。
- 内部に一方開口部から他方開口部まで続く空孔を有する管状基材と、該管状基材の空孔面に形成された少なくとも、炭素、水素、酸素、窒素、フッ素、アルゴン、ヘリウム、Si、Ti、Al、Zr、Wのいずれか一つを含むドライ薄膜を有し、
前記ドライ薄膜が、前記管状基材の開口部において、実質的に表面処理された空孔内面から開口断面部及び表層部へと続く一連の膜から形成されていることを特徴とする表面処理構造体。 - 内部に一方開口部から他方開口部まで続く空孔を有する管状基材と、該管状基材の空孔面に形成された少なくとも、炭素、水素、酸素、窒素、フッ素、アルゴン、ヘリウム、Si、Ti、Al、Zr、Wのいずれか一つを含むドライ薄膜を有し、
前記ドライ薄膜が、前記管状基材の開口部付近において、渦を巻くような曲線状部分を伴って形成されていることを特徴とする表面処理構造体。 - 内部に一方開口部から他方開口部まで続く空孔を有する管状基材と、該管状基材の空孔面に形成された少なくとも、炭素、水素、酸素、窒素、フッ素、アルゴン、ヘリウム、Si、Ti、Al、Zr、Wのいずれか一つを含むドライ薄膜を有し、
前記ドライ薄膜が、前記管状基材の中間部で部分的に径の広くなる部分の内壁にも形成されていることを特徴とする表面処理構造体。 - 前記ドライ薄膜が、非晶質炭素膜、又はSi、Ti、Al、Zr、Wのいずれか一つを含む非晶質炭素膜からなることを特徴とする請求項15〜20のいずれか1項に記載の表面処理構造体。
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CN110349823A (zh) * | 2018-04-02 | 2019-10-18 | 日本电产株式会社 | 等离子体处理装置 |
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2016
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Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CN110349823A (zh) * | 2018-04-02 | 2019-10-18 | 日本电产株式会社 | 等离子体处理装置 |
JP2019185849A (ja) * | 2018-04-02 | 2019-10-24 | 日本電産株式会社 | プラズマ処理装置 |
JP7127334B2 (ja) | 2018-04-02 | 2022-08-30 | 日本電産株式会社 | プラズマ処理装置 |
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