JP2017198805A - 熱線遮蔽フィルムおよび熱線遮蔽ガラス、並びにそれらの製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】高温高湿下に長時間暴露した場合であっても、熱線遮蔽特性の低下が抑制されている熱線遮蔽フィルム、および、熱線遮蔽ガラスを提供する。
【解決手段】脂肪酸、脂肪酸アミドのいずれか1種類以上と、複合タングステン酸化物微粒子を含むことを特徴とする耐湿熱性が優れた熱線遮蔽フィルム、および熱線遮蔽ガラスを提供する。
【選択図】なし
【解決手段】脂肪酸、脂肪酸アミドのいずれか1種類以上と、複合タングステン酸化物微粒子を含むことを特徴とする耐湿熱性が優れた熱線遮蔽フィルム、および熱線遮蔽ガラスを提供する。
【選択図】なし
Description
本発明は、熱線遮蔽フィルムおよび熱線遮蔽ガラス、並びにそれらの製造方法に関する。
良好な可視光透過率を有し透明性を保ちながら日射透過率を低下させる熱線遮蔽技術として、これまでさまざまな技術が提案されてきた。なかでも、導電性微粒子の分散体を用いた熱線遮蔽技術は、その他の技術と比較して熱線遮蔽特性に優れ低コストであり電波透過性があり、さらに耐候性が高い等のメリットがある。
特許文献1では、赤外線遮蔽材料微粒子が媒体中に分散してなる赤外線遮蔽材料微粒子分散体であって、前記赤外線遮蔽材料微粒子が、一般式MxWyOz(但し、元素Mは、H、He、アルカリ金属、アルカリ土類金属、希土類元素、Mg、Zr、Cr、Mn、Fe、Ru、Co、Rh、Ir、Ni、Pd、Pt、Cu、Ag、Au、Zn、Cd、Al、Ga、In、Tl、Si、Ge、Sn、Pb、Sb、B、F、P、S、Se、Br、Te、Ti、Nb、V、Mo、Ta、Re、Be、Hf、Os、Bi、Iのうちから選択される1種類以上の元素、Wはタングステン、Oは酸素、0.001≦x/y≦1、2.2≦z/y≦3.0)で表記される複合タングステン酸化物微粒子を含有し、当該複合タングステン酸化物微粒子が六方晶、正方晶、または立方晶の結晶構造を有する微粒子のいずれか1種類以上を含み、前記赤外線遮蔽材料微粒子の粒子径が1nm以上800nm以下であることを特徴とする熱線遮蔽分散体が開示されている。
特許文献1で開示したように、前記一般式MxWyOzで表される複合タングステン酸化物微粒子を用いた熱線遮蔽分散体は高い熱線遮蔽性能を示し、可視光透過率が70%のときの日射透過率は50%を下回るまでに改善された。とりわけ元素MとしてCsやRb、Tlなど特定の元素から選択される少なくとも1種類を採用し、結晶構造を六方晶とした複合タングステン酸化物微粒子を用いた熱線遮蔽微粒子分散体は卓越した熱線遮蔽性能を示し、可視光透過率が70%のときの日射透過率は37%を下回るまでに改善された。
また、特許文献2、特許文献3では、複合タングステン酸化物微粒子にカルボン酸の金属塩、金属の炭酸塩、金属の炭酸水酸化物、金属の水酸化物から選択される1種類以上、または、2種類以上を混合することで、複合タングステン酸化物微粒子を用いた熱線遮蔽合わせ構造体の耐候性が優れていることが開示されている。
特許文献4では、スメクタイトと複合タングステン酸化物微粒子を含む熱線遮蔽膜を80℃、95%相対湿度環境下に7日間暴露した際に光学特性の変化が抑制されることが開示されている。
特許文献5では、リン系酸化防止剤と複合タングステン酸化物微粒子とを含む熱線遮蔽粘着膜の80℃、95%相対湿度環境下に7日間暴露した際に光学特性の変化が抑制されることが開示されている。
特許文献6では、2−エチルヘキサン酸スズ、2−エチルヘキサン酸バリウム、ナフテン酸マグネシウムから選択される1種類以上の塩と、シラン化合物、ケイ酸塩、ポリリン酸塩、シリカアルミナ、チタニア、酸化セリウム、ジルコニアのいずれか1種類以上と複合タングステン酸化物微粒子とを含むバインダーとを含む熱線遮蔽分散体を85℃、90%相対湿度環境下に7日間暴露した際に光学特性の変化が抑制されることが開示されている。
特許文献7では、Ba化合物とP化合物とZn化合物との混合物と、シラン化合物、ケイ酸塩、ポリリン酸塩、シリカアルミナ、チタニア、酸化セリウム、ジルコニアのいずれか1種類以上を含むバインダーと、複合タングステン酸化物微粒子とを含む熱線遮蔽分散体を85℃、90%相対湿度環境下に7日間暴露した際に光学特性の変化が抑制されることが開示されている。
特許文献8では、水酸化亜鉛微粒子と複合タングステン酸化物微粒子とを含む熱線遮蔽分散体を85℃、90%相対湿度環境下に7日間暴露した際に光学特性の変化が抑制されることが開示されている。
特許文献5では、リン系酸化防止剤と複合タングステン酸化物微粒子とを含む熱線遮蔽粘着膜の80℃、95%相対湿度環境下に7日間暴露した際に光学特性の変化が抑制されることが開示されている。
特許文献6では、2−エチルヘキサン酸スズ、2−エチルヘキサン酸バリウム、ナフテン酸マグネシウムから選択される1種類以上の塩と、シラン化合物、ケイ酸塩、ポリリン酸塩、シリカアルミナ、チタニア、酸化セリウム、ジルコニアのいずれか1種類以上と複合タングステン酸化物微粒子とを含むバインダーとを含む熱線遮蔽分散体を85℃、90%相対湿度環境下に7日間暴露した際に光学特性の変化が抑制されることが開示されている。
特許文献7では、Ba化合物とP化合物とZn化合物との混合物と、シラン化合物、ケイ酸塩、ポリリン酸塩、シリカアルミナ、チタニア、酸化セリウム、ジルコニアのいずれか1種類以上を含むバインダーと、複合タングステン酸化物微粒子とを含む熱線遮蔽分散体を85℃、90%相対湿度環境下に7日間暴露した際に光学特性の変化が抑制されることが開示されている。
特許文献8では、水酸化亜鉛微粒子と複合タングステン酸化物微粒子とを含む熱線遮蔽分散体を85℃、90%相対湿度環境下に7日間暴露した際に光学特性の変化が抑制されることが開示されている。
また、特許文献9では、複合タングステン酸化物微粒子と、有機系紫外線吸収剤、無機系紫外線吸収剤、ヒンダードアミン系光安定剤、リン系酸化防止剤、フェノール系酸化防止剤、イオウ系酸化防止剤、ヒドロペルオキシド分解剤、金属不活性化剤から選ばれた少なくとも一種の透過率上昇抑制剤と含有することを特徴とする粘着剤組成物で65℃、90%相対湿度環境下に1000時間暴露した際に光学特性の変化が抑制されることが開示されている。
前記一般式MxWyOzで表される複合タングステン酸化物微粒子を適用した自動車などの車両用窓材、建築用の窓材では、高温、高湿の環境下に長時間暴露された場合であっても、熱線遮蔽特性の低下(劣化)が抑制されていることが求められる。
しかしながら、特許文献2、3で開示された前記複合タングステン酸化物微粒子を含む熱線遮蔽膜、前記熱線遮蔽膜を用いた熱線遮蔽合わせ構造体では、高温高湿環境下での暴露が検討されていない。
また、特許文献4〜8で開示された前記複合タングステン酸化物微粒子を含む熱線遮膜、熱線遮蔽分散体は、80℃、95%相対湿度環境下、または、85℃、90%相対湿度環境下に暴露されているが、暴露時間が7日と短い。この為、高い耐湿熱性が要求された場合、不十分となる場合もあった。
特許文献9で開示された複合タングステン酸化物微粒子を含む粘着剤組成物は、65℃、90%相対湿度環境下での評価となっていた。しかし、車両用窓材、建築用の窓材に用いるためには、より過酷な環境下での暴露に耐える必要がある。
また、特許文献4〜8で開示された前記複合タングステン酸化物微粒子を含む熱線遮膜、熱線遮蔽分散体は、80℃、95%相対湿度環境下、または、85℃、90%相対湿度環境下に暴露されているが、暴露時間が7日と短い。この為、高い耐湿熱性が要求された場合、不十分となる場合もあった。
特許文献9で開示された複合タングステン酸化物微粒子を含む粘着剤組成物は、65℃、90%相対湿度環境下での評価となっていた。しかし、車両用窓材、建築用の窓材に用いるためには、より過酷な環境下での暴露に耐える必要がある。
本発明は、上記課題に着目してなされたものである。そして、その解決しようとする課題は、例えば85℃、90%相対湿度環境下といった、高温高湿下に長時間暴露した場合であっても、熱線遮蔽特性の低下が抑制されている熱線遮蔽フィルムおよび熱線遮蔽ガラス、並びにそれらの製造方法を提供することである。
本発明者らは、上記課題を解決する為、さまざまな検討を行った。その結果、複合タングステン酸化物微粒子と、脂肪酸、脂肪酸アミドから選択される1種類以上とを、混合して併用した場合に、高温高湿下に暴露された後において、従来よりも熱線遮蔽特性の低下が抑制されている熱線遮蔽フィルムおよび熱線遮蔽ガラスが得られるという、画期的な知見を得て本発明を完成した。
すなわち、上述の課題を解決する第1の発明は、
複合タングステン酸化物微粒子と、脂肪酸、脂肪酸アミドから選択される1種類以上とを含む熱線遮蔽微粒子を、含むことを特徴とする熱線遮蔽フィルムまたは熱線遮蔽ガラスである。
第2の発明は、
前記複合タングステン酸化物微粒子が六方晶の結晶構造を含むことを特徴とする、第1の発明に記載の熱線遮蔽フィルムまたは熱線遮蔽ガラスである。
第3の発明は、
前記複合タングステン酸化物が、一般式MxWyOz(但し、Mは、Cs、Rb、K、Tl、In、Ba、Li、Ca、Sr、Fe、Sn、Al、Cuから選択される1種類以上の元素、y≦1.0、2.0≦z≦3.0)で表記されることを特徴とする、第1または2の発明に記載の熱線遮蔽フィルムまたは熱線遮蔽ガラスである。
第4の発明は、
前記複合タングステン酸化物微粒子の粒子径が1nm以上800nm以下であることを特徴とする、第1から3のいずれかの発明に記載の熱線遮蔽フィルムまたは熱線遮蔽ガラスである。
第5の発明は、
前記熱線遮蔽フィルムまたは熱線遮蔽ガラスに用いられている、透明フィルム基材または透明ガラス基材から選択される透明基材の少なくとも一方の面にコーティング層を有し、前記コーティング層は、前記熱線遮蔽微粒子を含むバインダー樹脂層であることを特徴とする、第1から4のいずれかの発明に記載の熱線遮蔽フィルムまたは熱線遮蔽ガラスである。
第6の発明は、
前記バインダー樹脂が、UV硬化性樹脂バインダーであることを特徴とする第5の発明に記載の熱線遮蔽フィルムまたは熱線遮蔽ガラスである。
第7の発明は、
前記コーティング層の厚さが10μm以下であることを特徴とする第5または第6の発明に記載の熱線遮蔽フィルムまたは熱線遮蔽ガラスである。
第8の発明は、
前記透明フィルム基材が、ポリエステルフィルムであることを特徴とする第5から第7のいずれかの発明に記載の熱線遮蔽フィルムである。
第9の発明は、
前記コーティング層に含まれる前記熱線遮蔽微粒子の単位投影面積あたりの含有量が、0.1g/m2以上5.0g/m2以下である第5から8の発明いずれかに記載の熱線遮蔽フィルムまたは熱線遮蔽ガラスである。
第10の発明は、
前記複合タングステン酸化物微粒子100重量部に対して、脂肪酸、脂肪酸アミドから選択される1種類以上の総量が0.1重量部以上300重量部以下であることを特徴とする第1から第9の発明のいずれかに記載の熱線遮蔽フィルムまたは熱線遮蔽ガラスである。
第11の発明は、
前記脂肪酸が、ラウリン酸、ミリスチン酸、ペンタデシル酸、パルミチン酸、ステアリン酸、イソステアリン酸、ベヘン酸、ウンデシレン酸、12−ヒドロキシステアリン酸、パルミトレイン酸、オレイン酸、リノール酸、リノレイン酸、エルカ酸、ドコサヘキサエン酸、エイコサペンタエン酸、イソヘキサデカン酸から選択される1種類以上であることを特徴とする、第1から第10の発明のいずれかに記載の熱線遮蔽フィルムまたは熱線遮蔽ガラスである。
第12の発明は、
前記脂肪酸アミドが、ラウリン酸アミド、パルミチン酸アミド、ステアリン酸アミド、ベヘン酸アミド、ヒドロキシステアリン酸アミド、オレイン酸アミド、エルカ酸アミド、N,N’−エチレンビスカプリン酸アミド、N,N’−エチレンビスラウリン酸アミド、N,N’−エチレンビスステアリン酸アミド、N,N’−エチレンビスヒドロキシステアリン酸アミド、N,N’−エチレンビスベヘン酸アミド、N,N’−ヘキサメチレンビスステアリン酸アミド、N,N’−ヘキサメチレンビスベヘン酸アミド、N,N’−ジステアリルアジピン酸アミド、N,N’−ジステアリルセバシン酸アミド、N,N’−エチレンビスオレイン酸アミド、N,N’−エチレンビスエルカ酸アミド、N,N’−ヘキサメチレンビスオレイン酸アミド、N,N’−ジオレイルアジピン酸アミド、N,N’−ジオレイルセバシン酸アミド、N,N’−m−キシリレンビスステアリン酸アミド、N,N’−m−キシリレンビスヒドロキシステアリン酸アミド、N,N’−ジステアリルイソフタル酸アミドから選択される1種類以上であることを特徴とする、第1から第11の発明のいずれかに記載の熱線遮蔽フィルムまたは熱線遮蔽ガラスである。
第13の発明は、
脂肪酸、脂肪酸アミドから選択されるいずれか1種類以上と、複合タングステン酸化物微粒子とを、バインダー樹脂を含む溶媒へ均一に混合して熱線遮蔽微粒子分散液を得る工程と、
得られた熱線遮蔽微粒子分散液を、透明フィルム基材または透明ガラス基材上にコーティングする工程とを有することを特徴とする、熱線遮蔽フィルムまたは熱線遮蔽ガラスの製造方法である。
複合タングステン酸化物微粒子と、脂肪酸、脂肪酸アミドから選択される1種類以上とを含む熱線遮蔽微粒子を、含むことを特徴とする熱線遮蔽フィルムまたは熱線遮蔽ガラスである。
第2の発明は、
前記複合タングステン酸化物微粒子が六方晶の結晶構造を含むことを特徴とする、第1の発明に記載の熱線遮蔽フィルムまたは熱線遮蔽ガラスである。
第3の発明は、
前記複合タングステン酸化物が、一般式MxWyOz(但し、Mは、Cs、Rb、K、Tl、In、Ba、Li、Ca、Sr、Fe、Sn、Al、Cuから選択される1種類以上の元素、y≦1.0、2.0≦z≦3.0)で表記されることを特徴とする、第1または2の発明に記載の熱線遮蔽フィルムまたは熱線遮蔽ガラスである。
第4の発明は、
前記複合タングステン酸化物微粒子の粒子径が1nm以上800nm以下であることを特徴とする、第1から3のいずれかの発明に記載の熱線遮蔽フィルムまたは熱線遮蔽ガラスである。
第5の発明は、
前記熱線遮蔽フィルムまたは熱線遮蔽ガラスに用いられている、透明フィルム基材または透明ガラス基材から選択される透明基材の少なくとも一方の面にコーティング層を有し、前記コーティング層は、前記熱線遮蔽微粒子を含むバインダー樹脂層であることを特徴とする、第1から4のいずれかの発明に記載の熱線遮蔽フィルムまたは熱線遮蔽ガラスである。
第6の発明は、
前記バインダー樹脂が、UV硬化性樹脂バインダーであることを特徴とする第5の発明に記載の熱線遮蔽フィルムまたは熱線遮蔽ガラスである。
第7の発明は、
前記コーティング層の厚さが10μm以下であることを特徴とする第5または第6の発明に記載の熱線遮蔽フィルムまたは熱線遮蔽ガラスである。
第8の発明は、
前記透明フィルム基材が、ポリエステルフィルムであることを特徴とする第5から第7のいずれかの発明に記載の熱線遮蔽フィルムである。
第9の発明は、
前記コーティング層に含まれる前記熱線遮蔽微粒子の単位投影面積あたりの含有量が、0.1g/m2以上5.0g/m2以下である第5から8の発明いずれかに記載の熱線遮蔽フィルムまたは熱線遮蔽ガラスである。
第10の発明は、
前記複合タングステン酸化物微粒子100重量部に対して、脂肪酸、脂肪酸アミドから選択される1種類以上の総量が0.1重量部以上300重量部以下であることを特徴とする第1から第9の発明のいずれかに記載の熱線遮蔽フィルムまたは熱線遮蔽ガラスである。
第11の発明は、
前記脂肪酸が、ラウリン酸、ミリスチン酸、ペンタデシル酸、パルミチン酸、ステアリン酸、イソステアリン酸、ベヘン酸、ウンデシレン酸、12−ヒドロキシステアリン酸、パルミトレイン酸、オレイン酸、リノール酸、リノレイン酸、エルカ酸、ドコサヘキサエン酸、エイコサペンタエン酸、イソヘキサデカン酸から選択される1種類以上であることを特徴とする、第1から第10の発明のいずれかに記載の熱線遮蔽フィルムまたは熱線遮蔽ガラスである。
第12の発明は、
前記脂肪酸アミドが、ラウリン酸アミド、パルミチン酸アミド、ステアリン酸アミド、ベヘン酸アミド、ヒドロキシステアリン酸アミド、オレイン酸アミド、エルカ酸アミド、N,N’−エチレンビスカプリン酸アミド、N,N’−エチレンビスラウリン酸アミド、N,N’−エチレンビスステアリン酸アミド、N,N’−エチレンビスヒドロキシステアリン酸アミド、N,N’−エチレンビスベヘン酸アミド、N,N’−ヘキサメチレンビスステアリン酸アミド、N,N’−ヘキサメチレンビスベヘン酸アミド、N,N’−ジステアリルアジピン酸アミド、N,N’−ジステアリルセバシン酸アミド、N,N’−エチレンビスオレイン酸アミド、N,N’−エチレンビスエルカ酸アミド、N,N’−ヘキサメチレンビスオレイン酸アミド、N,N’−ジオレイルアジピン酸アミド、N,N’−ジオレイルセバシン酸アミド、N,N’−m−キシリレンビスステアリン酸アミド、N,N’−m−キシリレンビスヒドロキシステアリン酸アミド、N,N’−ジステアリルイソフタル酸アミドから選択される1種類以上であることを特徴とする、第1から第11の発明のいずれかに記載の熱線遮蔽フィルムまたは熱線遮蔽ガラスである。
第13の発明は、
脂肪酸、脂肪酸アミドから選択されるいずれか1種類以上と、複合タングステン酸化物微粒子とを、バインダー樹脂を含む溶媒へ均一に混合して熱線遮蔽微粒子分散液を得る工程と、
得られた熱線遮蔽微粒子分散液を、透明フィルム基材または透明ガラス基材上にコーティングする工程とを有することを特徴とする、熱線遮蔽フィルムまたは熱線遮蔽ガラスの製造方法である。
本発明によれば、高温高湿下に暴露された後において、従来の技術に係る熱線遮蔽フィルムや熱線遮蔽ガラスよりも熱線遮蔽特性の低下が抑制されている、熱線遮蔽フィルムや熱線遮蔽ガラスを得ることが出来た。
以下、本発明の実施の形態について、[a]熱線遮蔽微粒子、[b]脂肪酸、脂肪酸アミド、[c]熱線遮蔽微粒子分散液、[d]熱線遮蔽フィルムおよび熱線遮蔽ガラスの製造に好ましい熱線遮蔽微粒子含有分散液、[e]熱線遮蔽フィルム、熱線遮蔽ガラスの製造方法、の順で説明する。
[a]熱線遮蔽微粒子
本発明に係る熱線遮蔽微粒子は、一般式MxWyOzで表記される複合タングステン酸化物(Mは、H、He、アルカリ金属、アルカリ土類金属、希土類元素、Mg、Zr、Cr、Mn、Fe、Ru、Co、Rh、Ir、Ni、Pd、Pt、Cu、Ag、Au、Zn、Cd、Al、Ga、In、Tl、Si、Ge、Sn、Pb、Sb、B、F、P、S、Se、Br、Te、Ti、Nb、V、Mo、Ta、Re、Be、Hf、Os、Bi、Iのうちから選択される1種類以上の元素で、Wはタングステン、Oは酸素で、0.001≦x/y≦1、2.2≦z/y≦3.0)である。
尚、アルカリ金属は水素を除く周期表第1族元素、アルカリ土類金属は周期表第2族元素、希土類元素はSc、Yおよびランタノイド元素である。
本発明に係る熱線遮蔽微粒子は、一般式MxWyOzで表記される複合タングステン酸化物(Mは、H、He、アルカリ金属、アルカリ土類金属、希土類元素、Mg、Zr、Cr、Mn、Fe、Ru、Co、Rh、Ir、Ni、Pd、Pt、Cu、Ag、Au、Zn、Cd、Al、Ga、In、Tl、Si、Ge、Sn、Pb、Sb、B、F、P、S、Se、Br、Te、Ti、Nb、V、Mo、Ta、Re、Be、Hf、Os、Bi、Iのうちから選択される1種類以上の元素で、Wはタングステン、Oは酸素で、0.001≦x/y≦1、2.2≦z/y≦3.0)である。
尚、アルカリ金属は水素を除く周期表第1族元素、アルカリ土類金属は周期表第2族元素、希土類元素はSc、Yおよびランタノイド元素である。
本発明に用いられる熱線遮蔽微粒子が、MxWyOzで表記される複合タングステン酸化物の場合、元素Mが添加されている。この為、z/y=3.0の場合も含めて自由電子が生成され、近赤外線領域に自由電子由来の吸収特性が発現し、波長1000nm付近の近赤外線吸収材料として有効となる。
特に、近赤外線吸収材料としての光学特性を向上、および、耐候性を向上させる観点から、M元素が、Cs、Rb、K、Tl、In、Ba、Li、Ca、Sr、Fe、Snのうちの1種類以上であるものが好ましい。
元素Mの添加量を示すx/yの値が0.001より大きければ、十分な量の自由電子が生成され近赤外線吸収効果を十分に得ることが出来る。元素Mの添加量が多いほど、自由電子の供給量が増加し、近赤外線吸収効果も上昇するが、x/yの値が1程度で飽和する。また、x/yの値が1より小さければ、微粒子含有層中に不純物相が生成されるのを回避できるので好ましい。
次に、酸素量の制御を示すz/yの値については、MxWyOzで表記される複合タングステン酸化物においても、上述のWyOzで表記されるタングステン酸化物と同様の機構が働くことに加え、z/y=3.0においても、上述した元素Mの添加量による自由電子の供給があるため、2.2≦z/y≦3.0が好ましく、さらに好ましくは2.45≦z/y≦3.0である。
次に、酸素量の制御を示すz/yの値については、MxWyOzで表記される複合タングステン酸化物においても、上述のWyOzで表記されるタングステン酸化物と同様の機構が働くことに加え、z/y=3.0においても、上述した元素Mの添加量による自由電子の供給があるため、2.2≦z/y≦3.0が好ましく、さらに好ましくは2.45≦z/y≦3.0である。
さらに、近赤外線吸収材料微粒子である当該複合タングステン酸化物微粒子が六方晶の結晶構造を有する場合、当該微粒子の可視光領域の透過が向上し、近赤外領域の吸収が向上する。
この六角形の空隙に元素Mの陽イオンが添加されて存在するとき、可視光領域の透過が
向上し、近赤外領域の吸収が向上する。ここで、一般的には、イオン半径の大きな元素Mを添加したとき当該六方晶が形成され、具体的には、Cs、K、Rb、Tl、In、Ba、Sn、Li、Ca、Sr、Feを添加したとき六方晶が形成されやすい。勿論これら以外の元素でも、WO6単位で形成される六角形の空隙に添加元素Mが存在すれば良く、上記元素に限定される訳ではない。
六方晶の結晶構造を有する複合タングステン酸化物微粒子が均一な結晶構造を有するとき、添加元素Mの添加量は、x/yの値で0.2以上0.5以下が好ましく、更に好ましくは0.30以上0.35以下であり、理想的には0.33である。x/yの値が0.33となることで、添加元素Mが、六角形の空隙の全てに配置されると考えられる。
この六角形の空隙に元素Mの陽イオンが添加されて存在するとき、可視光領域の透過が
向上し、近赤外領域の吸収が向上する。ここで、一般的には、イオン半径の大きな元素Mを添加したとき当該六方晶が形成され、具体的には、Cs、K、Rb、Tl、In、Ba、Sn、Li、Ca、Sr、Feを添加したとき六方晶が形成されやすい。勿論これら以外の元素でも、WO6単位で形成される六角形の空隙に添加元素Mが存在すれば良く、上記元素に限定される訳ではない。
六方晶の結晶構造を有する複合タングステン酸化物微粒子が均一な結晶構造を有するとき、添加元素Mの添加量は、x/yの値で0.2以上0.5以下が好ましく、更に好ましくは0.30以上0.35以下であり、理想的には0.33である。x/yの値が0.33となることで、添加元素Mが、六角形の空隙の全てに配置されると考えられる。
また、六方晶以外では、正方晶、立方晶のタングステンブロンズも近赤外線吸収効果がある。そして、これらの結晶構造によって、近赤外線領域の吸収位置が変化する傾向があり、立方晶、正方晶、六方晶の順に、吸収位置が長波長側に移動する傾向がある。また、それに付随して可視光線領域の吸収が少ないのは、六方晶が最も少なく、次いで正方晶、立方晶の順である。このため、より可視光領域の光を透過して、より近赤外線領域の光を吸収する用途には、六方晶のタングステンブロンズを用いることが好ましい。
本発明に係る近赤外線吸収材料微粒子は、近赤外線領域、特に波長1000nm付近の光を大きく吸収するため、その透過色調は青色系から緑色系となる物が多い。また、当該近赤外線吸収材料の粒子の分散粒子径は、その使用目的によって、各々選定することができる。まず、透明性を保持した応用に使用する場合は、2000nm以下の分散粒子径を有していることが好ましい。これは、分散粒子径が2000nm以下であれば、透過率のピークと近赤外線領域の吸収とのボトムの差が大きくなり、可視光領域の透明性を有する近赤外線吸収材料としての効果が発揮出来るからである。さらに分散粒子径が2000nmよりも小さい粒子は、散乱により光を完全に遮蔽することが無く、可視光線領域の視認性を保持し、同時に効率良く透明性を保持することが出来るからである。
さらに可視光領域の透明性を重視する場合は、粒子による散乱を考慮することが好ましい。具体的には、近赤外線吸収材料微粒子の分散粒子径は200nm以下、好ましくは100nm以下が良い。理由は分散粒子径が小さければ、幾何学散乱もしくはミー散乱による、波長400nm〜780nmの可視光線領域の光の散乱が低減される結果、近赤外線吸収膜が曇りガラスのようになり、鮮明な透明性が得られなくなるのを回避できるからである。即ち、近赤外線吸収材料微粒子の分散粒子径が200nm以下になると、上記幾何学散乱もしくはミー散乱が低減し、レイリー散乱領域になる。レイリー散乱領域では、散乱光は分散粒子径の6乗に反比例して低減するため、分散粒子径の減少に伴い散乱が低減し透明性が向上するからである。さらに分散粒子径が100nm以下になると、散乱光は非常に少なくなり好ましい。光の散乱を回避する観点からは、分散粒子径が小さい方が好ましい。一方、分散粒子径が1nm以上あれば工業的な製造は容易である。
また、本発明の近赤外線吸収材料を構成する微粒子の表面が、Si、Ti、Zr、Alの一種類以上を含有する酸化物で被覆されていてもよい。
また、本発明の近赤外線吸収材料を構成する微粒子の表面が、Si、Ti、Zr、Alの一種類以上を含有する酸化物で被覆されていてもよい。
[b]脂肪酸、脂肪酸アミド
本発明において、複合タングステン酸化物微粒子へ脂肪酸、脂肪酸アミドのいずれか1種類以上を添加するのは、熱線遮蔽特性を発揮させながら、耐湿熱性を向上させ、高温、高湿の環境下に長時間暴露した場合において、光学特性の変化を抑制する目的のためである。
本発明者らの知見によれば、脂肪酸、脂肪酸アミドは高温、高湿の環境下で複合タングステン酸化物微粒子の劣化を抑制する効果を有する。劣化抑制の具体的な機構については未だ解明されていないが、脂肪酸はカルボキシル基を、脂肪酸アミドはアミノ基をそれぞれ有している。これら脂肪酸のカルボキシル基や脂肪酸アミドのアミノ基が、複合タングステン酸化物微粒子の吸着点に強く吸着するのではないかと考えられる。この結果、1つ1つの複合タングステン酸化物微粒子表面が脂肪酸、および/または、脂肪酸アミドの強固な被膜を有するようになり、耐湿熱性に優れた熱線遮蔽微粒子となったのではないかと推察される。
本発明において、複合タングステン酸化物微粒子へ脂肪酸、脂肪酸アミドのいずれか1種類以上を添加するのは、熱線遮蔽特性を発揮させながら、耐湿熱性を向上させ、高温、高湿の環境下に長時間暴露した場合において、光学特性の変化を抑制する目的のためである。
本発明者らの知見によれば、脂肪酸、脂肪酸アミドは高温、高湿の環境下で複合タングステン酸化物微粒子の劣化を抑制する効果を有する。劣化抑制の具体的な機構については未だ解明されていないが、脂肪酸はカルボキシル基を、脂肪酸アミドはアミノ基をそれぞれ有している。これら脂肪酸のカルボキシル基や脂肪酸アミドのアミノ基が、複合タングステン酸化物微粒子の吸着点に強く吸着するのではないかと考えられる。この結果、1つ1つの複合タングステン酸化物微粒子表面が脂肪酸、および/または、脂肪酸アミドの強固な被膜を有するようになり、耐湿熱性に優れた熱線遮蔽微粒子となったのではないかと推察される。
本発明者らの検討の結果、脂肪酸として、ラウリン酸、ミリスチン酸、ペンタデシル酸、パルミチン酸、ステアリン酸、イソステアリン酸、ベヘン酸、ウンデシレン酸、12−ヒドロキシステアリン酸、パルミトレイン酸、オレイン酸、リノール酸、リノレイン酸、エルカ酸、ドコサヘキサエン酸、エイコサペンタエン酸、イソヘキサデカン酸を用いることで、熱線遮蔽特性を発揮しつつ、高温、高湿の環境下で複合タングステン酸化物微粒子の劣化を抑制するという効果が確認された。
また、脂肪酸アミドとして、ラウリン酸アミド、パルミチン酸アミド、ステアリン酸アミド、ベヘン酸アミド、ヒドロキシステアリン酸アミド、オレイン酸アミド、エルカ酸アミド、N,N’−エチレンビスカプリン酸アミド、N,N’−エチレンビスラウリン酸アミド、N,N’−エチレンビスステアリン酸アミド、N,N’−エチレンビスヒドロキシステアリン酸アミド、N,N’−エチレンビスベヘン酸アミド、N,N’−ヘキサメチレンビスステアリン酸アミド、N,N’−ヘキサメチレンビスベヘン酸アミド、N,N’−ジステアリルアジピン酸アミド、N,N’−ジステアリルセバシン酸アミド、N,N’−エチレンビスオレイン酸アミド、N,N’−エチレンビスエルカ酸アミド、N,N’−ヘキサメチレンビスオレイン酸アミド、N,N’−ジオレイルアジピン酸アミド、N,N’−ジオレイルセバシン酸アミド、N,N’−m−キシリレンビスステアリン酸アミド、N,N’−m−キシリレンビスヒドロキシステアリン酸アミド、N,N’−ジステアリルイソフタル酸アミドを用いることで、熱線遮蔽特性を発揮しつつ、高温、高湿の環境下で複合タングステン酸化物微粒子の劣化を抑制するという効果が確認された。
また、本発明者らは検討の結果、これら脂肪酸、脂肪酸アミドから選択される2種以上の化合物を混合して使用する構成に想到した。従って、例えば、脂肪酸から2種以上の化合物を選択するという選択もある。同様に、脂肪酸アミドから2種以上の化合物を選択するという選択もある。一方、脂肪酸から1種以上の化合物、脂肪酸アミドから1種以上の化合物を選択し、それらを混合するという選択もある。
本発明において、脂肪酸、脂肪酸アミドを使用する態様としては、特に限定されるものではない。例えば、脂肪酸、脂肪酸アミドから選択される1種以上の化合物と複合タングステン酸化物微粒子とを機械的に混合し、得られた混合物を一体として使用する態様がある。また、異なる態様として、例えば、熱線遮蔽微粒子分散液の溶媒に脂肪酸、脂肪酸アミドから選択される1種以上の化合物を加えることにより混合物を得、得られた混合物を使用する態様もある。
尚、脂肪酸、脂肪酸アミドの好ましい形態は、特に限定されるものでなく、固体、液体、エマルジョンなど、いずれの形態の物を用いてもよい。
尚、脂肪酸、脂肪酸アミドの好ましい形態は、特に限定されるものでなく、固体、液体、エマルジョンなど、いずれの形態の物を用いてもよい。
複合タングステン酸化物微粒子100重量部に対する、脂肪酸、脂肪酸アミドから選択される1種類以上の総量は0.1重量部以上300重量部以下であることが好ましく、3.0重量部以上50重量部以下であることがより好ましい。
脂肪酸、脂肪酸アミドいずれか1種類以上の添加量の総量が、上記範囲にあれば、複合タングステン酸化物微粒子の耐湿熱性改善効果が大きいためである。
脂肪酸、脂肪酸アミドいずれか1種類以上の添加量の総量が、上記範囲にあれば、複合タングステン酸化物微粒子の耐湿熱性改善効果が大きいためである。
[c]熱線遮蔽微粒子分散液
本発明に係る熱線遮蔽微粒子を液状の媒体中に分散させることで、本発明に係る熱線遮蔽微粒子分散液を製造することができる。当該熱線遮蔽微粒子分散液は、従来の近赤外線を強く吸収する材料、例えば特許文献1で示された複合タングステン酸化物が用いられていたさまざまな分野において、従来の複合タングステン酸化物微粒子の分散液と同様の操作手順により用いることができる。
本発明に係る熱線遮蔽微粒子を液状の媒体中に分散させることで、本発明に係る熱線遮蔽微粒子分散液を製造することができる。当該熱線遮蔽微粒子分散液は、従来の近赤外線を強く吸収する材料、例えば特許文献1で示された複合タングステン酸化物が用いられていたさまざまな分野において、従来の複合タングステン酸化物微粒子の分散液と同様の操作手順により用いることができる。
以下、[1]熱線遮蔽微粒子分散液の製造方法、[2]熱線遮蔽微粒子分散液の使用例、の順に説明する。なお、本発明において、熱線遮蔽微粒子分散液を単に「分散液」と記載する場合がある。
[1]熱線遮蔽微粒子分散液の製造方法
本発明に係る熱線遮蔽微粒子、および所望により適量の分散剤、カップリング剤、界面活性剤等を、液状の媒体へ添加し分散処理を行うことで、本発明に係る熱線遮蔽微粒子分散液を得ることができる。当該熱線遮蔽微粒子分散液の媒体には、熱線遮蔽微粒子の分散性を保つための機能と、熱線遮蔽微粒子分散液を塗布する際に塗布欠陥を生じさせないための機能が要求される。
本発明に係る熱線遮蔽微粒子、および所望により適量の分散剤、カップリング剤、界面活性剤等を、液状の媒体へ添加し分散処理を行うことで、本発明に係る熱線遮蔽微粒子分散液を得ることができる。当該熱線遮蔽微粒子分散液の媒体には、熱線遮蔽微粒子の分散性を保つための機能と、熱線遮蔽微粒子分散液を塗布する際に塗布欠陥を生じさせないための機能が要求される。
上述した液状の媒体としては水、有機溶媒、石油系溶剤、油脂、液状樹脂、液状プラスチック用可塑剤のいずれか、または、これらから選択される2種以上の溶媒の混合物を挙げることが出来る。
上述の要求を満たす有機溶媒の具体例としては、アルコール系、ケトン系、炭化水素系、グリコール系、水系など、種々のものを選択することが可能である。さらに具体的には、メタノール、エタノール、1−プロパノール、イソプロパノール、ブタノール、ペンタノール、ベンジルアルコール、ジアセトンアルコールなどのアルコール系溶剤;アセトン、メチルエチルケトン、メチルプロピルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、イソホロンなどのケトン系溶剤;3−メチル−メトキシ−プロピオネートなどのエステル系溶剤;エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールイソプロピルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールエチルエーテルアセテートなどのグリコール誘導体;フォルムアミド、N−メチルフォルムアミド、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドンなどのアミド類;トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素類;エチレンクロライド、クロルベンゼンなどのハロゲン化炭化水素類などを挙げることができる。これらの中でも極性の低い有機溶剤が好ましく、特に、イソプロピルアルコール、エタノール、1−メトキシ−2−プロパノール、ジメチルケトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、トルエン、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、酢酸n−ブチルなどがより好ましい。これらの有機溶媒は、単独で用いることも、2種以上の有機溶剤を組み合わせて用いることもできる。
石油系溶剤の具体例としては、アイソパーE、エクソールHexane、エクソールHeptane、エクソールE、エクソールD30、エクソールD40、エクソールD60、エクソールD80、エクソールD95、エクソールD110、エクソールD130(以上、エクソンモービル製)などが好ましい。これらの石油系溶剤は、単独で用いることも、2種以上の石油系溶剤を組み合わせて用いることもできる。
液状の樹脂の具体例としては、メタクリル酸メチル等が好ましい。液状のプラスチック用可塑剤としては、一価アルコールと有機酸エステルとの化合物である可塑剤や、多価アルコール有機酸エステル化合物等のエステル系である可塑剤、有機リン酸系可塑剤等のリン酸系である可塑剤などが好ましい例として挙げられる。なかでもトリエチレングリコールジ−2−エチルヘキサオネート、トリエチレングリコールジ−2−エチルブチレート、テトラエチレングリコールジ−2−エチルヘキサオネートは、加水分解性が低い為、さらに好ましい。これらの液状の樹脂は、単独で用いることも、2種以上の液状の樹脂を組み合わせて用いることもできる。
本発明に係る分散液へ適宜加える分散剤、カップリング剤、界面活性剤は、当該分散液の用途に合わせて選定可能であるが、アミンを含有する基、水酸基、カルボキシル基、または、エポキシ基を官能基として有するものであることが好ましい。これらの官能基は、複合タングステン酸化物微粒子の表面に吸着し、複合タングステン酸化物微粒子の凝集を防ぎ、熱線遮蔽膜中でも本発明に係る熱線遮蔽微粒子を均一に分散させる効果を持つからである。
好適に用いることのできる分散剤の具体例としては、リン酸エステル化合物、高分子系分散剤、シラン系カップリング剤、チタネート系カップリング剤、アルミニウム系カップリング剤、等があるが、これらに限定されるものではない。高分子系分散剤の具体例としては、アクリル系高分子分散剤、ウレタン系高分子分散剤、アクリル・ブロックコポリマー系高分子分散剤、ポリエーテル類分散剤、ポリエステル系高分子分散剤などが挙げられる。これらの分散剤は、単独で用いることも、2種以上の分散剤を組み合わせて用いることもできる。
当該分散剤の添加量は、熱線遮蔽微粒子100重量部に対し10重量部以上1000重量部以下の範囲であることが望ましく、より好ましくは20重量部以上200重量部以下の範囲である。分散剤添加量が上記範囲にあれば、熱線遮蔽微粒子が液中で凝集を起こすことがなく、分散安定性が保たれる。
本発明に係る熱線遮蔽微粒子を均一に液状媒体中へ分散させる際の分散処理の方法は、公知の方法から任意に選択でき、たとえばビーズミル、ボールミル、サンドミル、超音波分散などの方法を用いることができる。
均一な分散液を得るために、各種添加剤や分散剤を添加したり、pH調整したりしても良い。
均一な分散液を得るために、各種添加剤や分散剤を添加したり、pH調整したりしても良い。
上述した分散液中における熱線遮蔽微粒子の含有量は、0.01質量%以上75質量%以下であることが好ましい。0.01質量%以上であれば後述するコーティング層やプラスチック成型体などの製造に好適に用いることができ、75質量%以下であれば工業的な生産が容易である。さらに好ましくは1質量%以上50質量%以下である。
[2]熱線遮蔽微粒子分散液の使用例
本発明にかかる熱線遮蔽微粒子または熱線遮蔽微粒子分散液を、固体状の媒体中へ分散させることで、分散粉やマスターバッチ、熱線遮蔽フィルム、熱線遮蔽プラスチック成形体などを製造することができる。
本発明にかかる熱線遮蔽微粒子または熱線遮蔽微粒子分散液を、固体状の媒体中へ分散させることで、分散粉やマスターバッチ、熱線遮蔽フィルム、熱線遮蔽プラスチック成形体などを製造することができる。
本発明にかかる熱線遮蔽微粒子分散液の一般的な使用方法として、熱線遮蔽フィルムの製造方法を例として説明する。
上述した分散液を、プラスチックあるいは樹脂モノマーと混合して塗布液を作製する。当該塗布液を、公知の方法で基材上に塗布し、コーティング層を形成することで、熱線遮蔽フィルムを作製することができる。
上述した分散液を、プラスチックあるいは樹脂モノマーと混合して塗布液を作製する。当該塗布液を、公知の方法で基材上に塗布し、コーティング層を形成することで、熱線遮蔽フィルムを作製することができる。
上述したコーティング層の基材の具体例としては、例えば、UV硬化樹脂、熱硬化樹脂、電子線硬化樹脂、常温硬化樹脂、熱可塑樹脂等が目的に応じて選定可能である。さらに具体的には、ポリエチレン樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリ塩化ビニリデン樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、エチレン酢酸ビニル共重合体、ポリエステル樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂、ふっ素樹脂、ポリカーボネート樹脂、アクリル樹脂、ポリビニルブチラール樹脂が挙げられる。これらの樹脂は、それらの単独使用であっても良いし、2種以上の混合使用であっても良い。
上述した基材としては、上述したようにフィルムの形状でも良いが、所望によってはボードでも良く、形状は限定されない。
ボード状の透明基材材料の具体例としては、PET樹脂、アクリル樹脂、ウレタン樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリエチレン樹脂、エチレン酢酸ビニル共重合体、塩化ビニル樹脂、ふっ素樹脂等が、各種目的に応じて使用可能である。また、樹脂以外では、ガラスを用いることができる。
ボード状の透明基材材料の具体例としては、PET樹脂、アクリル樹脂、ウレタン樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリエチレン樹脂、エチレン酢酸ビニル共重合体、塩化ビニル樹脂、ふっ素樹脂等が、各種目的に応じて使用可能である。また、樹脂以外では、ガラスを用いることができる。
上述したコーティング層において、金属アルコキシドを用いたバインダーの利用も可能である。上記金属アルコキシドとしては、Si、Ti、Al、Zr等のアルコキシドが代表的である。これら金属アルコキシドを用いたバインダーを、加熱等により加水分解・縮重合させることで、基材上に酸化物膜を形成することが可能である。
[d]熱線遮蔽フィルムおよび熱線遮蔽ガラス製造に好ましい熱線遮蔽微粒子含有分散液
本発明に係る熱線遮蔽微粒子分散液は、本発明に係る熱線遮蔽微粒子を液状の媒体中に分散させたものである。当該熱線遮蔽微粒子分散液は、本発明に係る複合タングステン酸化物微粒子と、所望により適量の分散剤と、カップリング剤と、界面活性剤等とを、液状の媒体へ添加し分散処理を行い、当該微粒子を液状の媒体へ分散し、分散液とすることで得ることができる。
本発明に係る熱線遮蔽微粒子分散液は、本発明に係る熱線遮蔽微粒子を液状の媒体中に分散させたものである。当該熱線遮蔽微粒子分散液は、本発明に係る複合タングステン酸化物微粒子と、所望により適量の分散剤と、カップリング剤と、界面活性剤等とを、液状の媒体へ添加し分散処理を行い、当該微粒子を液状の媒体へ分散し、分散液とすることで得ることができる。
熱線遮蔽微粒子分散液の媒体には、熱線遮蔽微粒子の分散性を保つための機能と、分散液を塗布する際に塗布欠陥を生じさせないための機能が要求される。
当該液状の培地体として、具体的には、水、有機溶媒、液状のプラスチックモノマーやプラスチック用可塑剤、または、これらの混合物を選択することができる。尤も、フィルム上やガラス上にコーティング層を形成する観点からは、媒体として低沸点の有機溶媒を選択することが好ましい。これは、媒体が低沸点の有機溶媒であると、コーティング層形成後の乾燥工程において容易に取り除くことが出来る為、コーティング層の特性、例えば硬度や透明性などを損なうことがないからである。
当該液状の培地体として、具体的には、水、有機溶媒、液状のプラスチックモノマーやプラスチック用可塑剤、または、これらの混合物を選択することができる。尤も、フィルム上やガラス上にコーティング層を形成する観点からは、媒体として低沸点の有機溶媒を選択することが好ましい。これは、媒体が低沸点の有機溶媒であると、コーティング層形成後の乾燥工程において容易に取り除くことが出来る為、コーティング層の特性、例えば硬度や透明性などを損なうことがないからである。
上述の要求を満たす有機溶媒としては、アルコール系、ケトン系、炭化水素系、グリコール系、水系など、種々のものを選択することが可能である。具体的には、メタノール、エタノール、1−プロパノール、イソプロパノール、ブタノール、ペンタノール、ベンジルアルコール、ジアセトンアルコールなどのアルコール系溶剤;アセトン、メチルエチルケトン、メチルプロピルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、イソホロンなどのケトン系溶剤;3−メチル−メトキシ−プロピオネートなどのエステル系溶剤;エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールイソプロピルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールエチルエーテルアセテートなどのグリコール誘導体;フォルムアミド、N−メチルフォルムアミド、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドンなどのアミド類;トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素類;エチレンクロライド、クロルベンゼンなどのハロゲン化炭化水素類などを挙げることができる。
尤も、これらの有機溶媒中でも、極性の低い有機溶剤が好ましい。具体的には、イソプロピルアルコール、エタノール、1−メトキシ−2−プロパノール、ジメチルケトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、トルエン、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、酢酸n−ブチルなどがより好ましい。これらの溶媒は単独で用いることも、2種以上で組み合わせて用いることもできる。
尤も、これらの有機溶媒中でも、極性の低い有機溶剤が好ましい。具体的には、イソプロピルアルコール、エタノール、1−メトキシ−2−プロパノール、ジメチルケトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、トルエン、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、酢酸n−ブチルなどがより好ましい。これらの溶媒は単独で用いることも、2種以上で組み合わせて用いることもできる。
分散処理の方法は、当該熱線遮蔽微粒子が均一に液状媒体中へ分散する方法であれば公知の方法から任意に選択できる。具体的には、たとえばビーズミル、ボールミル、サンドミル、超音波分散などの方法を用いることができる。
上述した有機溶媒分散液中における熱線遮蔽微粒子の含有量は、0.01質量%以上75質量%以下であることが好ましい。熱線遮蔽微粒子の含有量が0.01質量%以上であれば、後述する透明フィルム基材または透明ガラス基材から選択される透明基材上のコーティング層や、プラスチック成型体などの製造に好適な熱線遮蔽微粒子分散体を得ることが出来る。一方、熱線遮蔽微粒子の含有量が50質量%以下であれば、熱線遮蔽微粒子分散体の工業的な生産が容易である。当該観点から、さらに好ましい有機溶媒分散液中における熱線遮蔽微粒子の含有量は、1質量%以上35質量%以下である。
また、有機溶媒分散液中の熱線遮蔽微粒子は、平均分散粒子径が40nm以下で分散していることが好ましい。熱線遮蔽微粒子の平均分散粒子径が40nm以下であれば、本発明に係る熱線遮蔽微粒子分散体を用いて製造された熱線遮蔽膜におけるヘイズ等の光学特性が、より好ましく向上するからである。
上述の分散剤、カップリング剤、界面活性剤は、用途に合わせて選定可能であるが、アミンを含有する基、水酸基、カルボキシル基、または、エポキシ基を、官能基として有しているものであることが好ましい。これらの官能基は熱線遮蔽微粒子の表面に吸着し、当該熱線遮蔽微粒子の凝集を防ぐことで、後述する透明フィルム基材や透明ガラス基材という透明基材上のコーティング層中において、当該熱線遮蔽微粒子を均一に分散させる効果を発揮する。
好適に用いることのできる分散剤として、リン酸エステル化合物、高分子系分散剤、シラン系カップリング剤、チタネート系カップリング剤、アルミニウム系カップリング剤、等があるが、これらに限定されるものではない。高分子系分散剤としては、アクリル系高分子分散剤、ウレタン系高分子分散剤、アクリル・ブロックコポリマー系高分子分散剤、ポリエーテル類分散剤、ポリエステル系高分子分散剤などが挙げられる。これらの分散剤は、単独で用いることも、2種以上の分散剤を組み合わせて用いることもできる。
当該分散剤、カップリング剤、界面活性剤の添加量は、複合タングステン酸化物微粒子100重量部に対し10重量部以上1000重量部以下の範囲であることが望ましく、より好ましくは20重量部以上200重量部以下の範囲である。分散剤等の添加量が上記範囲にあれば、複合タングステン酸化物微粒子が液中で凝集を起こすことがなく、分散安定性が保たれる。
[e]熱線遮蔽フィルム、熱線遮蔽ガラスの製造方法
上述した熱線遮蔽微粒子分散液を用いて、フィルム基材またはガラス基材から選択される透明基板上へ熱線遮蔽微粒子を含有するコーティング層を形成することで、熱線遮蔽フィルムまたは熱線遮蔽ガラスを製造することが出来る。
上述した熱線遮蔽微粒子分散液を用いて、フィルム基材またはガラス基材から選択される透明基板上へ熱線遮蔽微粒子を含有するコーティング層を形成することで、熱線遮蔽フィルムまたは熱線遮蔽ガラスを製造することが出来る。
他方、上述した熱線遮蔽微粒子分散液を、プラスチックまたはモノマーと混合して塗布液を作製し、当該塗布液を用いて、フィルム基材またはガラス基材から選択される透明基板上へ熱線遮蔽微粒子を含有するコーティング層を形成することで、熱線遮蔽フィルム、熱線遮蔽ガラスを製造することができる。
以下、熱線遮蔽フィルム、熱線遮蔽ガラスの製造について具体的に説明する。
上述した熱線遮蔽微粒子分散液に、バインダーとして媒体樹脂を添加し、塗布液を得る方法がある。この塗布液をフィルム基材表面にコーティングした後、溶媒を蒸発させ所定の方法で樹脂を硬化させれば、当該熱線遮蔽微粒子が媒体樹脂中に分散したコーティング層の形成が可能となる。
上述した熱線遮蔽微粒子分散液に、バインダーとして媒体樹脂を添加し、塗布液を得る方法がある。この塗布液をフィルム基材表面にコーティングした後、溶媒を蒸発させ所定の方法で樹脂を硬化させれば、当該熱線遮蔽微粒子が媒体樹脂中に分散したコーティング層の形成が可能となる。
上述したコーティング層のバインダーに用いる媒体樹脂として、例えば、UV硬化樹脂、熱硬化樹脂、電子線硬化樹脂、常温硬化樹脂、熱可塑樹脂等が目的に応じて選定可能である。具体的には、ポリエチレン樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリ塩化ビニリデン樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、エチレン酢酸ビニル共重合体、ポリエステル樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂、ふっ素樹脂、ポリカーボネート樹脂、アクリル樹脂、ポリビニルブチラール樹脂が挙げられる。
これらの樹脂は、単独使用であっても混合使用であっても良い。尤も、当該コーティング層用の媒体のなかでも、生産性や装置コストなどの観点からUV硬化性樹脂をバインダーとして用いることが特に好ましい。
これらの樹脂は、単独使用であっても混合使用であっても良い。尤も、当該コーティング層用の媒体のなかでも、生産性や装置コストなどの観点からUV硬化性樹脂をバインダーとして用いることが特に好ましい。
また、上述したコーティング層のバインダーとして、金属アルコキシドを用いることも可能である。当該金属アルコキシドとしては、Si、Ti、Al、Zr等のアルコキシドが代表的である。これら金属アルコキシドを用いたバインダーは、加熱等により加水分解・縮重合させることで、酸化物膜からなるコーティング層を形成することも可能である。
尚、上述したフィルム基材は、フィルム形状に限定されることはなく、例えば、ボード状でもシート状でも良い。当該フィルム基材の材料としては、PET樹脂、アクリル樹脂、ウレタン樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリエチレン樹脂、エチレン酢酸ビニル共重合体、塩化ビニル樹脂、ふっ素樹脂等が、各種目的に応じて使用可能である。尤も、熱線遮蔽フィルムとしては、ポリエステル樹脂フィルムであることが好ましく、PET樹脂フィルムであることがより好ましい。
また、当該フィルム基材の表面は、コーティング層接着の容易さを実現するため、表面処理がなされていることが好ましい。また、ガラス基材もしくはフィルム基材とコーティング層との接着性を向上させるために、ガラス基材上もしくはフィルム基材上に中間層を形成し、当該中間層上にコーティング層を形成することも好ましい構成である。当該中間層の構成は特に限定されるものではなく、例えばポリマフィルム、金属層、無機層(例えば、シリカ、チタニア、ジルコニア等の無機酸化物層。)、有機/無機複合層等により構成することができる。
フィルム基材上またはガラス基材上へコーティング層を設ける方法は、当該基材表面へ熱線遮蔽微粒子含有分散液が均一に塗布できる方法であれば良く、特に限定されない。例えば、バーコート法、グラビヤコート法、スプレーコート法、ディップコート法等を挙げることが出来る。
例えば、バインダー樹脂としてUV硬化樹脂を用い、バーコート法によって分散液を塗布する場合であれば、適度なレベリング性を持つよう液濃度及び添加剤を適宜調整した塗布液を調製する。そして当該調製された塗布液を、コーティング層の厚みおよび前記熱線遮蔽微粒子の含有量を合目的的に満たすことのできるバー番号のワイヤーバーを用いて、フィルム基材またはガラス基材上に塗付膜を形成すれば良い。
そして、当該塗布液中に含まれる有機溶媒を揮散させて除去したのち、紫外線を照射し硬化させることで、フィルム基材またはガラス基材上にコーティング層を形成することができる。このとき、塗布膜中に含まれる有機溶媒を揮散させる為の乾燥条件としては、各成分、溶媒の種類や使用割合によっても異なるが、通常では60℃〜140℃の温度で20秒〜10分間程度である。また、紫外線の照射条件には特に制限はなく、例えば超高圧水銀灯などのUV露光機を好適に用いることができる。
そして、当該塗布液中に含まれる有機溶媒を揮散させて除去したのち、紫外線を照射し硬化させることで、フィルム基材またはガラス基材上にコーティング層を形成することができる。このとき、塗布膜中に含まれる有機溶媒を揮散させる為の乾燥条件としては、各成分、溶媒の種類や使用割合によっても異なるが、通常では60℃〜140℃の温度で20秒〜10分間程度である。また、紫外線の照射条件には特に制限はなく、例えば超高圧水銀灯などのUV露光機を好適に用いることができる。
その他、上述したコーティング層形成工程の前後の工程において、透明基材とコーティング層との密着性、コーティング時の塗膜の平滑性、有機溶媒の乾燥性などを操作することもできる。当該前の後工程としては、例えば、透明基材の表面処理工程、プリベーク(透明基材の前加熱処理)工程、ポストベーク(透明基材の後加熱処理)工程などが挙げられ、適宜選択することができる。尚、当該プリベーク工程およびポストベーク工程における加熱温度は80℃〜200℃、加熱時間は30秒〜240秒間であることが好ましい。
フィルム基材やガラス基材上におけるコーティング層の厚みは、特に限定されないが、実用上は10μm以下であることが好ましく、6μm以下であることがより好ましい。これはコーティング層の厚みが10μm以下であれば、十分な鉛筆硬度を発揮して耐擦過性を有することに加えて、コーティング層からの溶媒の揮散やバインダー樹脂の硬化の際に、フィルム基材における反り発生等の、工程異常発生を回避出来るからである。
コーティング層に含まれる前記熱線遮蔽微粒子の含有量は、特に限定されないが、フィルム基材/ガラス基材/コーティング層の投影面積あたりの含有量が0.1g/m2以上5.0g/m2以下であることが好ましい。これは、含有量が0.1g/m2以上であれば熱線遮蔽微粒子を含有しない場合と比較して有意に熱線遮蔽特性を発揮でき、含有量が5.0g/m2以下であれば、製造された熱線遮蔽フィルムや熱線遮蔽ガラスが、可視光の透過性を十分に担保するからである。
製造された熱線遮蔽フィルムや熱線遮蔽ガラスの光学特性は、可視光透過率が70%のときに、波長850nmにおける透過率が5%以上45%以下であり、且つ波長1200nm〜1500nmの範囲における透過率の平均値が20%以下である。尚、製造された熱線遮蔽フィルムや熱線遮蔽ガラスの可視光透過率を70%に調整することは、熱線遮蔽微粒子分散液中の熱線遮蔽微粒子濃度の調整、または、コーティング層の膜厚の調整により、容易になされる。
また、本発明に係る熱線遮蔽フィルムや熱線遮蔽ガラスへさらに紫外線遮蔽機能を付与させるため、無機系の酸化チタンや酸化亜鉛、酸化セリウムなどの粒子、有機系のベンゾフェノンやベンゾトリアゾールなどの少なくとも1種以上を添加してもよい。
また、本発明に係る熱線遮蔽フィルムや熱線遮蔽ガラスの可視光透過率を向上させるために、コーティング層へATO、ITO、アルミニウム添加酸化亜鉛、インジウム錫複合酸化物などの粒子をさらに混合してもよい。これらの透明粒子がコーティング層へ添加されることで、波長750nm付近の透過率が増加する一方、波長1200nmより長波長の赤外光を遮蔽するため、近赤外光の透過率が高く、且つ熱線遮蔽特性の高い熱線遮蔽体が得られる。
以下、実施例を参照しながら本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるわけではない。
尚、実施例における熱線遮蔽フィルム、熱線遮蔽ガラスの光学特性は、分光光度計U−4000(日立製作所(株)製)を用いて測定した。可視光透過率は、波長380nm〜780nmの光に対する透過率からJIS R 3106に従って測定を行った。
熱線遮蔽微粒子の平均分散粒子径は、日機装(株)製のマイクロトラック粒度分布計を用いて測定した。
耐湿熱性は、熱線遮蔽フィルム、熱線遮蔽ガラスを85℃、90%RH環境に設定した恒温恒湿槽に1000時間暴露し、暴露前後の近赤外線領域の波長850nmにおける透過率の変化を測定することにより評価した。
尚、実施例における熱線遮蔽フィルム、熱線遮蔽ガラスの光学特性は、分光光度計U−4000(日立製作所(株)製)を用いて測定した。可視光透過率は、波長380nm〜780nmの光に対する透過率からJIS R 3106に従って測定を行った。
熱線遮蔽微粒子の平均分散粒子径は、日機装(株)製のマイクロトラック粒度分布計を用いて測定した。
耐湿熱性は、熱線遮蔽フィルム、熱線遮蔽ガラスを85℃、90%RH環境に設定した恒温恒湿槽に1000時間暴露し、暴露前後の近赤外線領域の波長850nmにおける透過率の変化を測定することにより評価した。
[実施例1]
複合タングステン酸化物として六方晶のCs0.33WO3(本発明において「CWO(登録商標)」と略記する場合がある。)を20質量%、脂肪酸としてミリスチン酸を1.0質量%、分散剤として官能基としてアミンを含有する基を有するアクリル系高分子分散剤(アミン価48mgKOH/g)(以下、分散剤aと略称する。)を10質量%、液状の媒体としてプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGM−Ac)を69質量%、各々秤量した。これらを、0.3mmφZrO2ビーズを入れたペイントシェーカーに装填し、10時間粉砕・分散処理し、実施例1に係る複合タングステン酸化物微粒子分散液(以下、分散液Aと略称する。)を得た。
複合タングステン酸化物として六方晶のCs0.33WO3(本発明において「CWO(登録商標)」と略記する場合がある。)を20質量%、脂肪酸としてミリスチン酸を1.0質量%、分散剤として官能基としてアミンを含有する基を有するアクリル系高分子分散剤(アミン価48mgKOH/g)(以下、分散剤aと略称する。)を10質量%、液状の媒体としてプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGM−Ac)を69質量%、各々秤量した。これらを、0.3mmφZrO2ビーズを入れたペイントシェーカーに装填し、10時間粉砕・分散処理し、実施例1に係る複合タングステン酸化物微粒子分散液(以下、分散液Aと略称する。)を得た。
分散液A中のタングステン酸化物微粒子の分散粒子径をマイクロトラック粒度分布計で測定したところ19nmであった。
分散液Aの製造条件を表1に記載した。
分散液Aの製造条件を表1に記載した。
分散液A100重量部に対し、ハードコート用紫外線硬化樹脂として東亜合成製アロニックスUV−3701(以下、UV−3701と略称する。)を50重量部混合して熱線遮蔽微粒子塗布液(以下、塗布液Aと略称する。)とした。
塗布液Aを、透明基材であるPETフィルム(帝人製HPE−50)上へ、バーコーターを用いて塗布し塗布膜を形成した。尚、後述する他の実施例・比較例においても、同様のPETフィルムを用いた。
塗布膜を設けたPETフィルムを、80℃で60秒間乾燥し溶剤を揮散させた後、高圧水銀ランプで樹脂を硬化させ、熱線遮蔽微粒子を含有したコーティング層が設けられた実施例1に係る熱線遮蔽フィルム(以下、フィルムAと略称する。)を作製した。
塗布液Aを、透明基材であるPETフィルム(帝人製HPE−50)上へ、バーコーターを用いて塗布し塗布膜を形成した。尚、後述する他の実施例・比較例においても、同様のPETフィルムを用いた。
塗布膜を設けたPETフィルムを、80℃で60秒間乾燥し溶剤を揮散させた後、高圧水銀ランプで樹脂を硬化させ、熱線遮蔽微粒子を含有したコーティング層が設けられた実施例1に係る熱線遮蔽フィルム(以下、フィルムAと略称する。)を作製した。
フィルムAの可視光透過率は69.5%であった。また、近赤外線領域の波長850nmにおける透過率は9.8%であった。
フィルムAを85℃、90%RH環境下に1000時間暴露した後の波長850nmにおける透過率は14.4%であった。従って、暴露前後の波長850nmにおける透過率の変化は4.6%であった。
フィルムAの光学特性を表2に記載した。
フィルムAを85℃、90%RH環境下に1000時間暴露した後の波長850nmにおける透過率は14.4%であった。従って、暴露前後の波長850nmにおける透過率の変化は4.6%であった。
フィルムAの光学特性を表2に記載した。
[実施例2]
複合タングステン酸化物として六方晶のCs0.33WO3を20質量%、分散剤として官能基としてアミンを含有する基を有するアクリル・ブロックコポリマー系高分子分散剤(アミン価52−60mgKOH/g)(以下、分散剤bと略称する。)を10質量%、液状の媒体としてメチルイソブチルケトン(MIBK)を70質量%、各々秤量した。これらを0.3mmφZrO2ビーズを入れたペイントシェーカーに装填し、10時間粉砕・分散処理し、実施例2に係る複合タングステン酸化物微粒子分散液(以下、分散液bと略称する)を得た。
複合タングステン酸化物として六方晶のCs0.33WO3を20質量%、分散剤として官能基としてアミンを含有する基を有するアクリル・ブロックコポリマー系高分子分散剤(アミン価52−60mgKOH/g)(以下、分散剤bと略称する。)を10質量%、液状の媒体としてメチルイソブチルケトン(MIBK)を70質量%、各々秤量した。これらを0.3mmφZrO2ビーズを入れたペイントシェーカーに装填し、10時間粉砕・分散処理し、実施例2に係る複合タングステン酸化物微粒子分散液(以下、分散液bと略称する)を得た。
分散液b中におけるタングステン酸化物微粒子の分散粒子径を、マイクロトラック粒度分布計で測定したところ26nmであった。
次に、液状の媒体としてメチルイソブチルケトンを80重量部、脂肪酸としてステアリン酸20重量部、秤量した。これらを加熱溶解した液(以下、「脂肪酸溶解液b」と略称する。)を得た。
分散液bを100重量部と、脂肪酸溶解液bを10重量部とを混合、撹拌して、ステアリン酸を含む複合タングステン酸化物微粒子分散液(以下、分散液Bと略称する。)を得た。
分散液Bの製造条件を表1に記載した。
分散液bを100重量部と、脂肪酸溶解液bを10重量部とを混合、撹拌して、ステアリン酸を含む複合タングステン酸化物微粒子分散液(以下、分散液Bと略称する。)を得た。
分散液Bの製造条件を表1に記載した。
分散液B100重量部に対し、ハードコート用紫外線硬化樹脂としてUV−3701を50重量部混合して熱線遮蔽微粒子塗布液(以下、塗布液Bと略称する。)とした。
塗布液Bを用いて、実施例1と同様にしてPETフィルム上に塗布し、UV硬化して実施例2に係る熱線遮蔽フィルム(以下、フィルムBと略称する。)を作製した。
塗布液Bを用いて、実施例1と同様にしてPETフィルム上に塗布し、UV硬化して実施例2に係る熱線遮蔽フィルム(以下、フィルムBと略称する。)を作製した。
フィルムBの可視光透過率は68.8%であった。また、近赤外線領域の波長850nmの透過率は9.0%であった。
実施例2に係るフィルムBを85℃、90%RH環境下に1000時間暴露した後の波長850nmの透過率は13.6%であった。暴露前後の波長850nmの透過率の変化は4.7%であった。
フィルムBの光学特性を表2に記載した。
実施例2に係るフィルムBを85℃、90%RH環境下に1000時間暴露した後の波長850nmの透過率は13.6%であった。暴露前後の波長850nmの透過率の変化は4.7%であった。
フィルムBの光学特性を表2に記載した。
[実施例3]
複合タングステン酸化物として六方晶のCs0.33WO3を20質量%、パルミチン酸0.4質量%、プロピレングリコールモノエチルエーテル(PE)79.6質量%を秤量した。これらを、0.3mmφZrO2ビーズを入れたペイントシェーカーに装填し、15時間粉砕・分散処理し複合タングステン酸化物微粒子分散液(以下、分散液Cと略称する。)を得た。
複合タングステン酸化物として六方晶のCs0.33WO3を20質量%、パルミチン酸0.4質量%、プロピレングリコールモノエチルエーテル(PE)79.6質量%を秤量した。これらを、0.3mmφZrO2ビーズを入れたペイントシェーカーに装填し、15時間粉砕・分散処理し複合タングステン酸化物微粒子分散液(以下、分散液Cと略称する。)を得た。
分散液C中のタングステン酸化物微粒子の分散粒子径をマイクロトラック粒度分布計で測定したところ21nmであった。
分散液Cの製造条件を表1に記載した。
分散液Cの製造条件を表1に記載した。
分散液C100重量部に対し、ハードコート用紫外線硬化樹脂としてUV−3701を50重量部混合して熱線遮蔽微粒子塗布液(以下、塗布液Cと略称する。)とした。
塗布液Cを用いて、実施例1と同様にしてPETフィルム上に塗布し、UV硬化して実施例3に係る熱線遮蔽フィルム(以下、フィルムCと略称する。)を作製した。
塗布液Cを用いて、実施例1と同様にしてPETフィルム上に塗布し、UV硬化して実施例3に係る熱線遮蔽フィルム(以下、フィルムCと略称する。)を作製した。
フィルムCの可視光透過率は70.4%であった。また、近赤外線領域の波長850nmの透過率は11.0%であった。
実施例3に係るフィルムCを85℃、90%RH環境下に1000時間暴露した後の波長850nmの透過率は16.0%であった。従って、暴露前後の波長850nmの透過率の変化は5.0%であった。
フィルムCの光学特性を表1に記載した。
実施例3に係るフィルムCを85℃、90%RH環境下に1000時間暴露した後の波長850nmの透過率は16.0%であった。従って、暴露前後の波長850nmの透過率の変化は5.0%であった。
フィルムCの光学特性を表1に記載した。
[実施例4]
複合タングステン酸化物として六方晶のCs0.33WO3を20質量%、分散剤aを10質量%、液状の媒体としてメチルイソブチルケトンを70質量%、各々秤量した。これらを、0.3mmφZrO2ビーズを入れたペイントシェーカーに装填し、10時間粉砕・分散処理し、実施例4に係る複合タングステン酸化物微粒子分散液(以下、分散液dと略称する。)を得た。
複合タングステン酸化物として六方晶のCs0.33WO3を20質量%、分散剤aを10質量%、液状の媒体としてメチルイソブチルケトンを70質量%、各々秤量した。これらを、0.3mmφZrO2ビーズを入れたペイントシェーカーに装填し、10時間粉砕・分散処理し、実施例4に係る複合タングステン酸化物微粒子分散液(以下、分散液dと略称する。)を得た。
分散液d中における複合タングステン酸化物微粒子の分散粒子径を、粒度分布計(大塚電子製)で測定したところ28nmであった。
次に、液状の媒体としてメチルイソブチルケトン80重量部と、脂肪酸アミドとしてミリスチン酸アミド20重量部とを秤量し、これらを加熱溶解した液(以下、「脂肪酸溶解液d」と略称する。)を得た。
分散液d100重量部と、脂肪酸溶解液d6重量部とを混合、撹拌し、ミリスチン酸アミドを含む複合タングステン酸化物微粒子分散液(以下、分散液Dと略称する。)を得た。
分散液Dの製造条件を表1に記載した。
次に、液状の媒体としてメチルイソブチルケトン80重量部と、脂肪酸アミドとしてミリスチン酸アミド20重量部とを秤量し、これらを加熱溶解した液(以下、「脂肪酸溶解液d」と略称する。)を得た。
分散液d100重量部と、脂肪酸溶解液d6重量部とを混合、撹拌し、ミリスチン酸アミドを含む複合タングステン酸化物微粒子分散液(以下、分散液Dと略称する。)を得た。
分散液Dの製造条件を表1に記載した。
分散液D100重量部に対し、ハードコート用紫外線硬化樹脂としてUV−3701を50重量部混合して熱線遮蔽微粒子塗布液(以下、塗布液Dと略称する。)とした。
塗布液Dを用いて、実施例1と同様にしてPETフィルム上に塗布し、UV硬化して実施例2に係る熱線遮蔽フィルム(以下、フィルムDと略称する。)を作製した。
塗布液Dを用いて、実施例1と同様にしてPETフィルム上に塗布し、UV硬化して実施例2に係る熱線遮蔽フィルム(以下、フィルムDと略称する。)を作製した。
フィルムDの可視光透過率は71.0%であった。また、近赤外線領域の波長850nmの透過率は11.8%であった。
実施例4に係るフィルムDを85℃、90%RH環境下に1000時間暴露した後の波長850nmの透過率は17.4%であった。従って、暴露前後の波長850nmの透過率の変化は5.6%であった。
フィルムDの光学特性を表2に記載した。
実施例4に係るフィルムDを85℃、90%RH環境下に1000時間暴露した後の波長850nmの透過率は17.4%であった。従って、暴露前後の波長850nmの透過率の変化は5.6%であった。
フィルムDの光学特性を表2に記載した。
[実施例5]
複合タングステン酸化物として六方晶のCs0.33WO3を20質量%、脂肪酸アミドとしてステアリン酸アミド0.8質量%、液状の媒体としてプロピレングリコールモノエチルエーテル79.2質量%を秤量した。これらを、0.3mmφZrO2ビーズを入れたペイントシェーカーに装填し、20時間粉砕・分散処理し、複合タングステン酸化物微粒子分散液(以下、分散液Eと略称する。)を得た。
複合タングステン酸化物として六方晶のCs0.33WO3を20質量%、脂肪酸アミドとしてステアリン酸アミド0.8質量%、液状の媒体としてプロピレングリコールモノエチルエーテル79.2質量%を秤量した。これらを、0.3mmφZrO2ビーズを入れたペイントシェーカーに装填し、20時間粉砕・分散処理し、複合タングステン酸化物微粒子分散液(以下、分散液Eと略称する。)を得た。
分散液E中における複合タングステン酸化物微粒子の分散粒子径を、粒度分布計(大塚電子製)で測定したところ25nmであった。
分散液Eの製造条件を表1に記載した。
分散液Eの製造条件を表1に記載した。
分散液E100重量部に対し、ハードコート用紫外線硬化樹脂としてUV−3701を50重量部混合して熱線遮蔽微粒子塗布液(以下、塗布液Eと略称する。)とした。
塗布液Eを用いて、実施例1と同様にしてPETフィルム上に塗布し、UV硬化して実施例5に係る熱線遮蔽フィルム(以下、フィルムEと略称する。)を作製した。
塗布液Eを用いて、実施例1と同様にしてPETフィルム上に塗布し、UV硬化して実施例5に係る熱線遮蔽フィルム(以下、フィルムEと略称する。)を作製した。
フィルムEの可視光透過率は71.1%であった。また、近赤外線領域の波長850nmの透過率は11.9%であった。
実施例5に係るフィルムEを85℃、90%RH環境下に1000時間暴露した後の波長850nmの透過率は17.3%であった。従って、暴露前後の波長850nmの透過率の変化は5.3%であった。
フィルムEの光学特性を表2に記載した。
実施例5に係るフィルムEを85℃、90%RH環境下に1000時間暴露した後の波長850nmの透過率は17.3%であった。従って、暴露前後の波長850nmの透過率の変化は5.3%であった。
フィルムEの光学特性を表2に記載した。
[実施例6]
複合タングステン酸化物である六方晶Cs0.33WO3を20質量%、分散剤aを10質量%、液状の媒体としてプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートを80質量%、各々秤量した。これらを、0.3mmφZrO2ビーズを入れたペイントシェーカーに装填し、10時間粉砕・分散処理し、実施例6に係る複合タングステン酸化物微粒子分散液(以下、分散液fと略称する。)を得た。
複合タングステン酸化物である六方晶Cs0.33WO3を20質量%、分散剤aを10質量%、液状の媒体としてプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートを80質量%、各々秤量した。これらを、0.3mmφZrO2ビーズを入れたペイントシェーカーに装填し、10時間粉砕・分散処理し、実施例6に係る複合タングステン酸化物微粒子分散液(以下、分散液fと略称する。)を得た。
分散液f中における複合タングステン酸化物微粒子の分散粒子径を、粒度分布計(大塚電子製)で測定したところ30nmであった。
圧力容器に、脂肪酸アミドとしてパルミチン酸アミド40重量部、脂肪酸としてラウリン酸2.94重量部、pH調整剤として25重量%アンモニア水1.04重量部、液状の媒体として水118重量部を投入し、加圧下にて120℃に加熱した。その後、当該加熱物をホモミキサー(特殊機化工業株式会社製)で混合した、さらに高圧ホモジナイザー(A.P.V.Gaulin製)にて均質圧力20MPa下で均質化処理を行ってエマルジョンを得た。当該エマルジョンを、水45重量部へ60℃以下を保持しながら混合し、最終的にパルミチン酸アミドとラウリン酸の合計が20質量%となるように水を添加して調整し、パルミチン酸アミドとラウリン酸の合計が濃度20質量%のエマルジョン(以下、エマルジョンfと略称する。)を得た。
分散液f100重量部と、エマルジョンf6重量部とを混合、撹拌し、実施例6に係る複合タングステン酸化物微粒子分散液(以下、分散液Fと略称する。)を得た。
分散液Fの製造条件を表1に記載した。
分散液Fの製造条件を表1に記載した。
分散液F100重量部に対し、ハードコート用紫外線硬化樹脂としてUV−3701を50重量部混合して熱線遮蔽微粒子塗布液(以下、塗布液Fと略称する。)とした。
塗布液Fを用いて、実施例1と同様にしてPETフィルム上に塗布し、UV硬化して実施例6に係る熱線遮蔽フィルム(以下、フィルムFと略称する。)を作製した。
塗布液Fを用いて、実施例1と同様にしてPETフィルム上に塗布し、UV硬化して実施例6に係る熱線遮蔽フィルム(以下、フィルムFと略称する。)を作製した。
フィルムFの可視光透過率は70.7%であった。また、近赤外線領域の波長850nmの透過率は11.5%であった。
実施例6に係るフィルムFを85℃、90%RH環境下に1000時間暴露した後の波長850nmの透過率は16.4%であった。従って、暴露前後の波長850nmの透過率の変化は4.9%であった。
フィルムFの光学特性を表2に記載した。
実施例6に係るフィルムFを85℃、90%RH環境下に1000時間暴露した後の波長850nmの透過率は16.4%であった。従って、暴露前後の波長850nmの透過率の変化は4.9%であった。
フィルムFの光学特性を表2に記載した。
[比較例1]
複合タングステン酸化物である六方晶Cs0.33WO3を20質量%、分散剤aを10質量%、液状の媒体としてプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートを70質量%、各々秤量した。これらを、0.3mmφZrO2ビーズを入れたペイントシェーカーに装填し、10時間粉砕・分散処理し、比較例1に係る複合タングステン酸化物微粒子分散液(以下、分散液Gと略称する。)を得た。
複合タングステン酸化物である六方晶Cs0.33WO3を20質量%、分散剤aを10質量%、液状の媒体としてプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートを70質量%、各々秤量した。これらを、0.3mmφZrO2ビーズを入れたペイントシェーカーに装填し、10時間粉砕・分散処理し、比較例1に係る複合タングステン酸化物微粒子分散液(以下、分散液Gと略称する。)を得た。
分散液G中のタングステン酸化物微粒子の分散粒子径を、マイクロトラック粒度分布計で測定したところ22nmであった。
分散液Gの製造条件を表1に記載した。
分散液Gの製造条件を表1に記載した。
分散液G100重量部に対し、ハードコート用紫外線硬化樹脂としてUV−3701を50重量部混合して熱線遮蔽微粒子塗布液(以下、塗布液Gと略称する。)とした。
塗布液Gを用いて、実施例1と同様にしてPETフィルム上に塗布し、UV硬化して比較例1に係る熱線遮蔽フィルム(以下、フィルムGと略称する。)を作製した。
塗布液Gを用いて、実施例1と同様にしてPETフィルム上に塗布し、UV硬化して比較例1に係る熱線遮蔽フィルム(以下、フィルムGと略称する。)を作製した。
フィルムGの可視光透過率は70.4%であった。また、近赤外線領域の波長850nmの透過率は11.1%であった。
比較例1に係るフィルムGを85℃、90%RH環境下に1000時間暴露した後の波長850nmの透過率は20.6%であった。従って、暴露前後の波長850nmの透過率の変化は9.5%であった。
フィルムGの光学特性を表2に記載した。
比較例1に係るフィルムGを85℃、90%RH環境下に1000時間暴露した後の波長850nmの透過率は20.6%であった。従って、暴露前後の波長850nmの透過率の変化は9.5%であった。
フィルムGの光学特性を表2に記載した。
[比較例2]
複合タングステン酸化物である六方晶Cs0.33WO3を20質量%、脂肪酸金属塩としてステアリン酸マンガンを1.2質量%、分散剤aを10質量%、液状の媒体としてプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートを68.8質量%、各々秤量した。これらを、0.3mmφZrO2ビーズを入れたペイントシェーカーに装填し、10時間粉砕・分散処理し、複合タングステン酸化物微粒子分散液(以下、分散液Hと略称する。)を得た。
複合タングステン酸化物である六方晶Cs0.33WO3を20質量%、脂肪酸金属塩としてステアリン酸マンガンを1.2質量%、分散剤aを10質量%、液状の媒体としてプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートを68.8質量%、各々秤量した。これらを、0.3mmφZrO2ビーズを入れたペイントシェーカーに装填し、10時間粉砕・分散処理し、複合タングステン酸化物微粒子分散液(以下、分散液Hと略称する。)を得た。
分散液H中のタングステン酸化物微粒子の分散粒子径を、マイクロトラック粒度分布計で測定したところ24nmであった。
分散液Hの製造条件を表1に記載した。
分散液Hの製造条件を表1に記載した。
分散液H100重量部に対し、ハードコート用紫外線硬化樹脂としてUV−3701を50重量部混合して熱線遮蔽微粒子塗布液(以下、塗布液Hと略称する。)とした。
塗布液Hを用いて、実施例1と同様にしてPETフィルム上に塗布し、UV硬化して比較例2に係る熱線遮蔽フィルム(以下、フィルムHと略称する。)を作製した。
塗布液Hを用いて、実施例1と同様にしてPETフィルム上に塗布し、UV硬化して比較例2に係る熱線遮蔽フィルム(以下、フィルムHと略称する。)を作製した。
フィルムHの可視光透過率は69.8%であった。また、近赤外線領域の波長850nmの透過率は10.1%であった。
比較例2に係るフィルムHを85℃、90%RH環境下に1000時間暴露した後の波長850nmの透過率は18.4%であった。従って、暴露前後の波長850nmの透過率の変化は8.3%であった。
フィルムHの光学特性を表2に記載した。
比較例2に係るフィルムHを85℃、90%RH環境下に1000時間暴露した後の波長850nmの透過率は18.4%であった。従って、暴露前後の波長850nmの透過率の変化は8.3%であった。
フィルムHの光学特性を表2に記載した。
[実施例7]
塗布液Aを、10cm×10cm×3mmの無機クリアガラス上にバーコーターを用いて塗布し塗布膜を形成した。尚、他の実施例・比較例においても同様の無機クリアガラスを用いた。
塗布膜を80℃で60秒間乾燥し溶剤を蒸発させた後、高圧水銀ランプで硬化させることで、熱線遮蔽微粒子を含有したコーティング層が形成された熱線遮蔽ガラス(以下、ガラスAと略称する。)を作製した。
塗布液Aを、10cm×10cm×3mmの無機クリアガラス上にバーコーターを用いて塗布し塗布膜を形成した。尚、他の実施例・比較例においても同様の無機クリアガラスを用いた。
塗布膜を80℃で60秒間乾燥し溶剤を蒸発させた後、高圧水銀ランプで硬化させることで、熱線遮蔽微粒子を含有したコーティング層が形成された熱線遮蔽ガラス(以下、ガラスAと略称する。)を作製した。
ガラスAの可視光透過率は70.8%であった。また、近赤外線領域の波長850nmの透過率は9.5%であった。
実施例7に係るガラスAを85℃、90%RH環境下に1000時間暴露した後の波長850nmの透過率は14.9%であった。従って、暴露前後の波長850nmの透過率の変化は5.5%であった。
ガラスAの光学特性を表2に記載した。
実施例7に係るガラスAを85℃、90%RH環境下に1000時間暴露した後の波長850nmの透過率は14.9%であった。従って、暴露前後の波長850nmの透過率の変化は5.5%であった。
ガラスAの光学特性を表2に記載した。
[実施例8]
塗布液Bを用い、実施例7と同様の操作を行って、実施例8に係る熱線遮蔽微粒子を含有したコーティング層が形成された熱線遮蔽ガラス(以下、ガラスBと略称する。)を作製した。
塗布液Bを用い、実施例7と同様の操作を行って、実施例8に係る熱線遮蔽微粒子を含有したコーティング層が形成された熱線遮蔽ガラス(以下、ガラスBと略称する。)を作製した。
ガラスBの可視光透過率は70.7%であった。また、近赤外線領域の波長850nmの透過率は9.3%であった。
実施例8に係るガラスBを85℃、90%RH環境下に1000時間暴露した後の波長850nmの透過率は14.3%であった。従って、暴露前後の波長850nmの透過率の変化は5.0%であった。
ガラスBの光学特性を表2に記載した。
実施例8に係るガラスBを85℃、90%RH環境下に1000時間暴露した後の波長850nmの透過率は14.3%であった。従って、暴露前後の波長850nmの透過率の変化は5.0%であった。
ガラスBの光学特性を表2に記載した。
[実施例9]
塗布液Cを用い、実施例7と同様の操作を行って、実施例9に係る熱線遮蔽微粒子を含有したコーティング層が形成された熱線遮蔽ガラス(以下、ガラスCと略称する。)を作製した。
塗布液Cを用い、実施例7と同様の操作を行って、実施例9に係る熱線遮蔽微粒子を含有したコーティング層が形成された熱線遮蔽ガラス(以下、ガラスCと略称する。)を作製した。
ガラスCの可視光透過率は69.0%であった。また、近赤外線領域の波長850nmの透過率は7.4%であった。
実施例9に係るガラスCを85℃、90%RH環境下に1000時間暴露した後の波長850nmの透過率は12.4%であった。従って、暴露前後の波長850nmの透過率の変化は4.9%であった。
ガラスCの光学特性を表2に記載した。
実施例9に係るガラスCを85℃、90%RH環境下に1000時間暴露した後の波長850nmの透過率は12.4%であった。従って、暴露前後の波長850nmの透過率の変化は4.9%であった。
ガラスCの光学特性を表2に記載した。
[実施例10]
塗布液Dを用い、実施例7と同様の操作を行って、実施例10に係る熱線遮蔽微粒子を含有したコーティング層が形成された熱線遮蔽ガラス(以下、ガラスDと略称する。)を作製した。
塗布液Dを用い、実施例7と同様の操作を行って、実施例10に係る熱線遮蔽微粒子を含有したコーティング層が形成された熱線遮蔽ガラス(以下、ガラスDと略称する。)を作製した。
ガラスDの可視光透過率は69.4%であった。また、近赤外線領域の波長850nmの透過率は7.9%であった。
実施例10に係るガラスDを85℃、90%RH環境下に1000時間暴露した後の波長850nmの透過率は12.8%であった。従って、暴露前後の波長850nmの透過率の変化は4.9%であった。
ガラスDの光学特性を表2に記載した。
実施例10に係るガラスDを85℃、90%RH環境下に1000時間暴露した後の波長850nmの透過率は12.8%であった。従って、暴露前後の波長850nmの透過率の変化は4.9%であった。
ガラスDの光学特性を表2に記載した。
[実施例11]
塗布液Eを用い、実施例7と同様の操作を行って、実施例11に係る熱線遮蔽微粒子を含有したコーティング層が形成された熱線遮蔽ガラス(以下、ガラスEと略称する。)を作製した。
塗布液Eを用い、実施例7と同様の操作を行って、実施例11に係る熱線遮蔽微粒子を含有したコーティング層が形成された熱線遮蔽ガラス(以下、ガラスEと略称する。)を作製した。
ガラスEの可視光透過率は69.6%であった。また、近赤外線領域の波長850nmの透過率は8.1%であった。
実施例11に係るガラスEを85℃、90%RH環境下に1000時間暴露した後の波長850nmの透過率は13.4%であった。従って、暴露前後の波長850nmの透過率の変化は5.4%であった。
ガラスEの光学特性を表2に記載した。
実施例11に係るガラスEを85℃、90%RH環境下に1000時間暴露した後の波長850nmの透過率は13.4%であった。従って、暴露前後の波長850nmの透過率の変化は5.4%であった。
ガラスEの光学特性を表2に記載した。
[実施例12]
塗布液Fを用い、実施例7と同様の操作を行って、実施例12に係る熱線遮蔽微粒子を含有したコーティング層が形成された熱線遮蔽ガラス(以下、ガラスFと略称する。)を作製した。
塗布液Fを用い、実施例7と同様の操作を行って、実施例12に係る熱線遮蔽微粒子を含有したコーティング層が形成された熱線遮蔽ガラス(以下、ガラスFと略称する。)を作製した。
ガラスFの可視光透過率は70.2%であった。また、近赤外線領域の波長850nmの透過率は8.8%であった。
実施例12に係るガラスFを85℃、90%RH環境下に1000時間暴露した後の波長850nmの透過率は13.8%であった。暴露前後の波長850nmの透過率の変化は5.0%であった。
ガラスFの光学特性を表2に記載した。
実施例12に係るガラスFを85℃、90%RH環境下に1000時間暴露した後の波長850nmの透過率は13.8%であった。暴露前後の波長850nmの透過率の変化は5.0%であった。
ガラスFの光学特性を表2に記載した。
[比較例3]
塗布液Gを用い、実施例7と同様の操作を行って、比較例3に係る熱線遮蔽微粒子を含有したコーティング層が形成された熱線遮蔽ガラス(以下、ガラスGと略称する。)を作製した。
塗布液Gを用い、実施例7と同様の操作を行って、比較例3に係る熱線遮蔽微粒子を含有したコーティング層が形成された熱線遮蔽ガラス(以下、ガラスGと略称する。)を作製した。
ガラスGの可視光透過率は70.2%であった。また、近赤外線領域の波長850nmの透過率は8.7%であった。
比較例3に係るガラスGを85℃、90%RH環境下に1000時間暴露した後の波長850nmの透過率は19.0%であった。従って、暴露前後の波長850nmの透過率の変化は10.3%であった。
ガラスGの光学特性を表2に記載した。
比較例3に係るガラスGを85℃、90%RH環境下に1000時間暴露した後の波長850nmの透過率は19.0%であった。従って、暴露前後の波長850nmの透過率の変化は10.3%であった。
ガラスGの光学特性を表2に記載した。
[比較例4]
塗布液Hを用い、実施例7と同様の操作を行って、比較例4に係る熱線遮蔽微粒子を含有したコーティング層が形成された熱線遮蔽ガラス(以下、ガラスHと略称する。)を作製した。
塗布液Hを用い、実施例7と同様の操作を行って、比較例4に係る熱線遮蔽微粒子を含有したコーティング層が形成された熱線遮蔽ガラス(以下、ガラスHと略称する。)を作製した。
ガラスHの可視光透過率は69.5%であった。また、近赤外線領域の波長850nmの透過率は8.0%であった。
比較例4に係るガラスHを85℃、90%RH環境下に1000時間暴露した後の波長850nmの透過率は17.0%であった。従って、暴露前後の波長850nmの透過率の変化は9.0%であった。
ガラスHの光学特性を表2に記載した。
比較例4に係るガラスHを85℃、90%RH環境下に1000時間暴露した後の波長850nmの透過率は17.0%であった。従って、暴露前後の波長850nmの透過率の変化は9.0%であった。
ガラスHの光学特性を表2に記載した。
[実施例1〜12および比較例1〜4の評価]
実施例1〜6に係る熱線遮蔽フィルムおよび実施例7〜12に係る熱線遮蔽ガラスは、比較例1、2に係る従来の技術に係る複合タングステン酸化物微粒子を用いた熱線遮蔽フィルム、比較例3、4に係る従来の技術に係る複合タングステン酸化物微粒子を用いた熱線遮蔽ガラスと比較して、85℃、90%RH環境下に1000時間暴露した後、波長850nmにおける透過率の変化が小さいことが判明した。
以上の結果から、脂肪酸、脂肪酸アミドのいずれか1種類以上を含む複合タングステン酸化物微粒子を、含む本発明に係る熱線遮蔽フィルムおよび熱線遮蔽ガラスは、高温高湿下に暴露された後において、従来の技術に係る熱線遮蔽フィルムや熱線遮蔽ガラスよりも熱線遮蔽特性の低下が抑制されていることが判明した。
実施例1〜6に係る熱線遮蔽フィルムおよび実施例7〜12に係る熱線遮蔽ガラスは、比較例1、2に係る従来の技術に係る複合タングステン酸化物微粒子を用いた熱線遮蔽フィルム、比較例3、4に係る従来の技術に係る複合タングステン酸化物微粒子を用いた熱線遮蔽ガラスと比較して、85℃、90%RH環境下に1000時間暴露した後、波長850nmにおける透過率の変化が小さいことが判明した。
以上の結果から、脂肪酸、脂肪酸アミドのいずれか1種類以上を含む複合タングステン酸化物微粒子を、含む本発明に係る熱線遮蔽フィルムおよび熱線遮蔽ガラスは、高温高湿下に暴露された後において、従来の技術に係る熱線遮蔽フィルムや熱線遮蔽ガラスよりも熱線遮蔽特性の低下が抑制されていることが判明した。
Claims (13)
- 複合タングステン酸化物微粒子と、脂肪酸、脂肪酸アミドから選択される1種類以上とを含む熱線遮蔽微粒子を、含むことを特徴とする熱線遮蔽フィルムまたは熱線遮蔽ガラス。
- 前記複合タングステン酸化物微粒子が六方晶の結晶構造を含むことを特徴とする、請求項1に記載の熱線遮蔽フィルムまたは熱線遮蔽ガラス。
- 前記複合タングステン酸化物が、一般式MxWyOz(但し、Mは、Cs、Rb、K、Tl、In、Ba、Li、Ca、Sr、Fe、Sn、Al、Cuから選択される1種類以上の元素、y≦1.0、2.0≦z≦3.0)で表記されることを特徴とする、請求項1または2に記載の熱線遮蔽フィルムまたは熱線遮蔽ガラス。
- 前記複合タングステン酸化物微粒子の粒子径が1nm以上800nm以下であることを特徴とする、請求項1から3のいずれかに記載の熱線遮蔽フィルムまたは熱線遮蔽ガラス。
- 前記熱線遮蔽フィルムまたは熱線遮蔽ガラスに用いられている、透明フィルム基材または透明ガラス基材から選択される透明基材の少なくとも一方の面にコーティング層を有し、前記コーティング層は、前記熱線遮蔽微粒子を含むバインダー樹脂層であることを特徴とする、請求項1から4のいずれかに記載の熱線遮蔽フィルムまたは熱線遮蔽ガラス。
- 前記バインダー樹脂が、UV硬化性樹脂バインダーであることを特徴とする請求項5に記載の熱線遮蔽フィルムまたは熱線遮蔽ガラス。
- 前記コーティング層の厚さが10μm以下であることを特徴とする請求項5または6に記載の熱線遮蔽フィルムまたは熱線遮蔽ガラス。
- 前記透明フィルム基材が、ポリエステルフィルムであることを特徴とする請求項5から7のいずれかに記載の熱線遮蔽フィルム。
- 前記コーティング層に含まれる前記熱線遮蔽微粒子の単位投影面積あたりの含有量が、0.1g/m2以上5.0g/m2以下である請求項5から8のいずれかに記載の熱線遮蔽フィルムまたは熱線遮蔽ガラス。
- 前記複合タングステン酸化物微粒子100重量部に対して、脂肪酸、脂肪酸アミドから選択される1種類以上の総量が0.1重量部以上300重量部以下であることを特徴とする、請求項1から9のいずれかに記載の熱線遮蔽フィルムまたは熱線遮蔽ガラス。
- 前記脂肪酸が、ラウリン酸、ミリスチン酸、ペンタデシル酸、パルミチン酸、ステアリン酸、イソステアリン酸、ベヘン酸、ウンデシレン酸、12−ヒドロキシステアリン酸、パルミトレイン酸、オレイン酸、リノール酸、リノレイン酸、エルカ酸、ドコサヘキサエン酸、エイコサペンタエン酸、イソヘキサデカン酸から選択される1種類以上であることを特徴とする、請求項1から10のいずれかに記載の熱線遮蔽フィルムまたは熱線遮蔽ガラス。
- 前記脂肪酸アミドが、ラウリン酸アミド、パルミチン酸アミド、ステアリン酸アミド、ベヘン酸アミド、ヒドロキシステアリン酸アミド、オレイン酸アミド、エルカ酸アミド、N,N’−エチレンビスカプリン酸アミド、N,N’−エチレンビスラウリン酸アミド、N,N’−エチレンビスステアリン酸アミド、N,N’−エチレンビスヒドロキシステアリン酸アミド、N,N’−エチレンビスベヘン酸アミド、N,N’−ヘキサメチレンビスステアリン酸アミド、N,N’−ヘキサメチレンビスベヘン酸アミド、N,N’−ジステアリルアジピン酸アミド、N,N’−ジステアリルセバシン酸アミド、N,N’−エチレンビスオレイン酸アミド、N,N’−エチレンビスエルカ酸アミド、N,N’−ヘキサメチレンビスオレイン酸アミド、N,N’−ジオレイルアジピン酸アミド、N,N’−ジオレイルセバシン酸アミド、N,N’−m−キシリレンビスステアリン酸アミド、N,N’−m−キシリレンビスヒドロキシステアリン酸アミド、N,N’−ジステアリルイソフタル酸アミドから選択される1種類以上であることを特徴とする、請求項1から11のいずれかに記載の熱線遮蔽フィルムまたは熱線遮蔽ガラス。
- 脂肪酸、脂肪酸アミドから選択されるいずれか1種類以上と、複合タングステン酸化物微粒子とを、バインダー樹脂を含む溶媒へ均一に混合して熱線遮蔽微粒子分散液を得る工程と、
得られた熱線遮蔽微粒子分散液を、透明フィルム基材または透明ガラス基材上にコーティングする工程とを有することを特徴とする、熱線遮蔽フィルムまたは熱線遮蔽ガラスの製造方法。
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