JP2017198147A - 内燃機関の制御装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】パイロット噴射が実行される場合であってもメイン噴射により噴射される燃料の着火時期を正確に推定する。【解決手段】筒内圧センサ30とクランク角センサ42とを有する内燃機関の制御装置において、熱発生率が略ゼロから正の値に切り替わるときのクランク角、熱発生率の微分値である1階微分値が負の値から正の値に切り替わるときのクランク角、および、1階微分値の微分値である2階微分値が負の値から正の値に切り替わるときのクランク角を選択的に用い、メイン噴射により噴射される燃料の着火時期を推定する。クランク角−熱発生率特性曲線上の点であって、熱発生率が最大値になる点を通る着火時期推定用直線を算出する。着火時期推定用直線上の点であって、熱発生率がゼロになる点のクランク角の値を、メイン噴射により噴射される燃料の着火時期と推定する。【選択図】図3

Description

本発明は筒内圧センサを有する内燃機関の制御装置に関する。
従来から、筒内圧センサを有する内燃機関の制御装置が知られている。この種の内燃機関の制御装置の例としては、例えば特許文献1に記載されたものがある。
特許文献1に記載された内燃機関の制御装置では、燃料噴射弁から噴射される燃料の着火時期(燃焼開始時期)を推定するために、筒内圧の2階微分値が用いられる。また、特許文献1には、燃料噴射弁から噴射される燃料の着火時期(燃焼開始時期)を推定するために、筒内圧の2階微分値を用いる代わりに、熱発生率の上昇開始時期を用いることもできる旨が記載されている。
特開2010−196528号公報
ところで、特許文献1には、例えば、燃料噴射弁によって、メイン噴射の他にパイロット噴射が実行される場合、例えば、パイロット噴射とメイン噴射とのインターバルが大きいときに、着火時期をどのように推定すべきであって、パイロット噴射とメイン噴射とのインターバルが小さいときに、着火時期をどのように推定すべきであるかについて記載されていない。
そのため、特許文献1に記載された内燃機関の制御装置では、パイロット噴射とメイン噴射とのインターバルが大きいときに、パイロット噴射とメイン噴射とのインターバルが小さい場合の着火時期の推定に適した手法が採用されたり、パイロット噴射とメイン噴射とのインターバルが小さいときに、パイロット噴射とメイン噴射とのインターバルが大きい場合の着火時期の推定に適した手法が採用されたりするおそれがある。
つまり、特許文献1に記載された内燃機関の制御装置では、パイロット噴射が実行される場合に、メイン噴射により噴射される燃料の着火時期を正確に推定できないおそれがある。
前記問題点に鑑み、本発明は、パイロット噴射が実行される場合であってもメイン噴射により噴射される燃料の着火時期を正確に推定することができる内燃機関の制御装置を提供することを目的とする。
本発明によれば、気筒と、
前記気筒内の燃焼圧である筒内圧を検出する筒内圧センサと、
燃料噴射弁と、
クランク角センサとを具備する内燃機関の制御装置において、
前記筒内圧に基づいて熱発生量を算出する熱発生量算出部と、
単位クランク角当たりの前記熱発生量である熱発生率を算出する熱発生率算出部と、
前記熱発生率の微分値である1階微分値を算出する1階微分値算出部と、
前記1階微分値の微分値である2階微分値を算出する2階微分値算出部と、
前記熱発生率が最大値になるときのクランク角である熱発生率最大値クランク角を算出する熱発生率最大値クランク角算出部と、
前記熱発生率が略ゼロから正の値に切り替わるときのクランク角であって、前記熱発生率最大値クランク角よりも進角側のクランク角である第1クランク角を算出する第1クランク角算出部と、
前記1階微分値が負の値から正の値に切り替わるときのクランク角であって、前記熱発生率最大値クランク角よりも進角側のクランク角である第2クランク角を算出する第2クランク角算出部と、
前記2階微分値が負の値から正の値に切り替わるときのクランク角であって、熱発生率最大値クランク角よりも進角側のクランク角である第3クランク角を算出する第3クランク角算出部と、
前記第1クランク角から前記熱発生率最大値クランク角までのクランク角期間である第1クランク角期間を算出する第1クランク角期間算出部と、
前記第2クランク角から前記熱発生率最大値クランク角までのクランク角期間である第2クランク角期間を算出する第2クランク角期間算出部と、
前記第3クランク角から前記熱発生率最大値クランク角までのクランク角期間である第3クランク角期間を算出する第3クランク角期間算出部と、
前記第1クランク角期間、前記第2クランク角期間および前記第3クランク角期間のうちの最も短いクランク角期間である最小クランク角期間を選択する最小クランク角期間選択部と、
前記熱発生率とクランク角との関係を示すクランク角−熱発生率特性曲線を算出するクランク角−熱発生率特性曲線算出部と、
前記クランク角−熱発生率特性曲線上の点であって、前記熱発生率が最大値になる点である第1点を算出する第1点算出部と、
前記最小クランク角期間における前記クランク角−熱発生率特性曲線の傾きである最小クランク角期間熱発生率傾きを算出する最小クランク角期間熱発生率傾き算出部と、
前記第1点を通る直線であって、前記最小クランク角期間熱発生率傾きを傾きとして有する直線である着火時期推定用直線を算出する着火時期推定用直線算出部と、
前記着火時期推定用直線上の点であって、前記熱発生率がゼロになる点である第2点を算出する第2点算出部と、
前記第2点のクランク角の値が、前記燃料噴射弁から噴射される燃料の着火時期である、と推定する着火時期推定部とを具備することを特徴とする内燃機関の制御装置が提供される。
本発明者の鋭意研究において、パイロット噴射とメイン噴射とのインターバルが大きい第1の場合には、熱発生率が略ゼロから正の値に切り替わる時点から、熱発生率が最大値になる時点までの期間中に、熱発生率の微分値である1階微分値が負の値から正の値に切り替わったり、1階微分値の微分値である2階微分値が負の値から正の値に切り替わったりしないことが、見い出された。そのため、パイロット噴射とメイン噴射とのインターバルが大きい第1の場合には、熱発生率が略ゼロから正の値に切り替わるときのクランク角を用いることにより、メイン噴射により噴射される燃料の着火時期を正確に推定できることが、本発明者の鋭意研究において見い出された。
この点に鑑み、本発明の内燃機関の制御装置では、パイロット噴射とメイン噴射とのインターバルが大きい第1の場合に、熱発生率が略ゼロから正の値に切り替わるときのクランク角が、メイン噴射により噴射される燃料の着火時期の推定に用いられる。
詳細には、本発明の内燃機関の制御装置では、パイロット噴射とメイン噴射とのインターバルが大きい第1の場合に、熱発生率が略ゼロから正の値に切り替わるときのクランク角から熱発生率が最大値になるときのクランク角までのクランク角期間である第1クランク角期間が、最小クランク角期間として選択される。さらに、クランク角−熱発生率特性曲線上の点であって、熱発生率が最大値になる点である第1点が算出される。また、最小クランク角期間におけるクランク角−熱発生率特性曲線の傾きである最小クランク角期間熱発生率傾きが算出される。さらに、第1点を通る直線であって、最小クランク角期間熱発生率傾きを傾きとして有する直線である着火時期推定用直線が算出される。また、着火時期推定用直線上の点であって、熱発生率がゼロになる点である第2点が算出される。さらに、第2点のクランク角の値が、メイン噴射により噴射される燃料の着火時期である、と推定される。
そのため、本発明の内燃機関の制御装置では、パイロット噴射とメイン噴射とのインターバルが大きい第1の場合に、熱発生率の微分値である1階微分値が負の値から正の値に切り替わるときのクランク角から熱発生率が最大値になるときのクランク角までのクランク角期間である第2クランク角期間が最小クランク角期間として選択される手法や、1階微分値の微分値である2階微分値が負の値から正の値に切り替わるときのクランク角から熱発生率が最大値になるときのクランク角までのクランク角期間である第3クランク角期間が最小クランク角期間として選択される手法よりも、メイン噴射により噴射される燃料の着火時期を正確に推定することができる。
また、本発明者の鋭意研究において、パイロット噴射とメイン噴射とのインターバルが第1の場合より小さい第2の場合には、熱発生率の微分値である1階微分値が負の値から正の値に切り替わる時点から、熱発生率が最大値になる時点までの期間中に、熱発生率が略ゼロから正の値に切り替わったり、1階微分値の微分値である2階微分値が負の値から正の値に切り替わったりしないことが、見い出された。そのため、パイロット噴射とメイン噴射とのインターバルが第1の場合より小さい第2の場合には、熱発生率の微分値である1階微分値が負の値から正の値に切り替わるときのクランク角を用いることにより、メイン噴射により噴射される燃料の着火時期を正確に推定できることが、本発明者の鋭意研究において見い出された。
この点に鑑み、本発明の内燃機関の制御装置では、パイロット噴射とメイン噴射とのインターバルが第1の場合より小さい第2の場合に、熱発生率の微分値である1階微分値が負の値から正の値に切り替わるときのクランク角が、メイン噴射により噴射される燃料の着火時期の推定に用いられる。
詳細には、本発明の内燃機関の制御装置では、パイロット噴射とメイン噴射とのインターバルが第1の場合より小さい第2の場合に、熱発生率の微分値である1階微分値が負の値から正の値に切り替わるときのクランク角から熱発生率が最大値になるときのクランク角までのクランク角期間である第2クランク角期間が、最小クランク角期間として選択される。さらに、クランク角−熱発生率特性曲線上の点であって、熱発生率が最大値になる点である第1点が算出される。また、最小クランク角期間におけるクランク角−熱発生率特性曲線の傾きである最小クランク角期間熱発生率傾きが算出される。さらに、第1点を通る直線であって、最小クランク角期間熱発生率傾きを傾きとして有する直線である着火時期推定用直線が算出される。また、着火時期推定用直線上の点であって、熱発生率がゼロになる点である第2点が算出される。さらに、第2点のクランク角の値が、メイン噴射により噴射される燃料の着火時期である、と推定される。
そのため、本発明の内燃機関の制御装置では、パイロット噴射とメイン噴射とのインターバルが第1の場合より小さい第2の場合に、熱発生率が略ゼロから正の値に切り替わるときのクランク角から熱発生率が最大値になるときのクランク角までのクランク角期間である第1クランク角期間が最小クランク角期間として選択される手法や、1階微分値の微分値である2階微分値が負の値から正の値に切り替わるときのクランク角から熱発生率が最大値になるときのクランク角までのクランク角期間である第3クランク角期間が最小クランク角期間として選択される手法よりも、メイン噴射により噴射される燃料の着火時期を正確に推定することができる。
さらに、本発明者の鋭意研究において、パイロット噴射とメイン噴射とのインターバルが第2の場合より小さい第3の場合には、1階微分値の微分値である2階微分値が負の値から正の値に切り替わる時点から、熱発生率が最大値になる時点までの期間中に、熱発生率が略ゼロから正の値に切り替わったり、熱発生率の微分値である1階微分値が負の値から正の値に切り替わったりしないことが、見い出された。そのため、パイロット噴射とメイン噴射とのインターバルが第2の場合より小さい第3の場合には、1階微分値の微分値である2階微分値が負の値から正の値に切り替わるときのクランク角を用いることにより、メイン噴射により噴射される燃料の着火時期を正確に推定できることが、本発明者の鋭意研究において見い出された。
この点に鑑み、本発明の内燃機関の制御装置では、パイロット噴射とメイン噴射とのインターバルが第2の場合より小さい第3の場合に、1階微分値の微分値である2階微分値が負の値から正の値に切り替わるときのクランク角が、メイン噴射により噴射される燃料の着火時期の推定に用いられる。
詳細には、本発明の内燃機関の制御装置では、パイロット噴射とメイン噴射とのインターバルが第2の場合より小さい第3の場合に、1階微分値の微分値である2階微分値が負の値から正の値に切り替わるときのクランク角から熱発生率が最大値になるときのクランク角までのクランク角期間である第3クランク角期間が、最小クランク角期間として選択される。さらに、クランク角−熱発生率特性曲線上の点であって、熱発生率が最大値になる点である第1点が算出される。また、最小クランク角期間におけるクランク角−熱発生率特性曲線の傾きである最小クランク角期間熱発生率傾きが算出される。さらに、第1点を通る直線であって、最小クランク角期間熱発生率傾きを傾きとして有する直線である着火時期推定用直線が算出される。また、着火時期推定用直線上の点であって、熱発生率がゼロになる点である第2点が算出される。さらに、第2点のクランク角の値が、メイン噴射により噴射される燃料の着火時期である、と推定される。
そのため、本発明の内燃機関の制御装置では、パイロット噴射とメイン噴射とのインターバルが第2の場合より小さい第3の場合に、熱発生率が略ゼロから正の値に切り替わるときのクランク角から熱発生率が最大値になるときのクランク角までのクランク角期間である第1クランク角期間が最小クランク角期間として選択される手法や、熱発生率の微分値である1階微分値が負の値から正の値に切り替わるときのクランク角から熱発生率が最大値になるときのクランク角までのクランク角期間である第2クランク角期間が最小クランク角期間として選択される手法よりも、メイン噴射により噴射される燃料の着火時期を正確に推定することができる。
本発明によれば、パイロット噴射が実行される場合であってもメイン噴射により噴射される燃料の着火時期を正確に推定することができる。
第1の実施形態の内燃機関の制御装置が適用されたエンジンシステムの概略構成図である。 図1中のECU40の機能的なブロック図である。 第1の実施形態の内燃機関の制御装置においてパイロット噴射とメイン噴射とのインターバルが第1の場合、第2の場合および第3の場合のいずれに該当するかを判別する処理などを説明するためのフローチャートである。 第1の実施形態の内燃機関の制御装置が適用された第1の場合におけるクランク角−熱発生率特性曲線、第1点Aa、第1点Aaを通る直線La、直線La上の第2点Ca、第2点Caのクランク角CAaxなどの関係を説明するための図である。 第1の実施形態の内燃機関の制御装置が適用された第1の場合における熱発生率最大値クランク角CAamax、第1クランク角CAa1、第2クランク角CAa2、第3クランク角CAa3などの関係を説明するための図である。 パイロット噴射とメイン噴射とのインターバルが大きい第1の場合に第1の実施形態の内燃機関の制御装置が適用された例を説明するための図である。 第1の実施形態の内燃機関の制御装置が適用された第2の場合におけるクランク角−熱発生率特性曲線、第1点Ab、第1点Abを通る直線Lb、直線Lb上の第2点Cb、第2点Cbのクランク角CAbxなどの関係を説明するための図である。 第1の実施形態の内燃機関の制御装置が適用された第2の場合における熱発生率最大値クランク角CAbmax、第1クランク角CAb1、第2クランク角CAb2、第3クランク角CAb3などの関係を説明するための図である。 パイロット噴射とメイン噴射とのインターバルが第1の場合より小さい第2の場合に第1の実施形態の内燃機関の制御装置が適用された例を説明するための図である。 第1の実施形態の内燃機関の制御装置が適用された第3の場合におけるクランク角−熱発生率特性曲線、第1点Ac、第1点Acを通る直線Lc、直線Lc上の第2点Cc、第2点Ccのクランク角CAcxなどの関係を説明するための図である。 第1の実施形態の内燃機関の制御装置が適用された第3の場合における熱発生率最大値クランク角CAcmax、第1クランク角CAc1、第2クランク角CAc2、第3クランク角CAc3などの関係を説明するための図である。 パイロット噴射とメイン噴射とのインターバルが第2の場合より小さい第3の場合に第1の実施形態の内燃機関の制御装置が適用された例を説明するための図である。 比較例を説明するための図である。 他の比較例を説明するための図である。
以下、本発明の内燃機関の制御装置の第1の実施形態について説明する。図1は第1の実施形態の内燃機関の制御装置が適用されたエンジンシステムの概略構成図である。図2は図1中のECU40の機能的なブロック図である。
第1の実施形態の内燃機関の制御装置が適用されたエンジンシステムの図1に示す例では、内燃機関10が設けられている。内燃機関10の気筒14’内には、ピストン12が配置されている。気筒14’内におけるピストン12の頂部側には、燃焼室14が形成されている。燃焼室14には、吸気通路16および排気通路18が連通している。
吸気通路16の一部を構成する吸気ポートには、吸気ポートを開閉する吸気弁20が設けられている。さらに、排気通路18の一部を構成する排気ポートには、排気ポートを開閉する排気弁22が設けられている。また、吸気通路16には、スロットルバルブ24が設けられている。
図1には、一つの気筒14’のみが示されているが、図1に示す例では、気筒14’以外にも、他の気筒(図示せず)が設けられている。
図1に示す例では、複数の気筒を有する内燃機関10に対して第1の実施形態の内燃機関の制御装置が適用されているが、他の例では、一つの気筒のみを有する内燃機関に対して第1の実施形態の内燃機関の制御装置を適用することもできる。
第1の実施形態の内燃機関の制御装置が適用されたエンジンシステムの図1に示す例では、内燃機関10の各気筒に、燃焼室14内(気筒14’内)に燃料を直接噴射するための燃料噴射弁26と、混合気に点火するための点火プラグ28とが設けられている。さらに、各気筒には、気筒内の燃焼圧である筒内圧Pを検出するための筒内圧センサ30が組み込まれている。
図1に示す例では、複数の気筒のすべてに対して筒内圧センサ30が配置されているが、他の例では、代わりに、筒内圧センサ30が配置されている気筒と、筒内圧センサ30が配置されていない気筒とを設け、筒内圧センサ30が配置されている気筒において筒内圧センサ30によって検出された筒内圧Pから、筒内圧センサ30が配置されていない気筒の筒内圧Pを推定することもできる。
図1に示す例では、燃料噴射弁26から気筒14’内に燃料が直接噴射される内燃機関10に対して第1の実施形態の内燃機関の制御装置が適用されているが、他の例では、燃料噴射弁から吸気ポート内に燃料が噴射される内燃機関に対して第1の実施形態の内燃機関の制御装置を適用することもできる。
また、図1に示す例では、点火プラグ28が設けられている内燃機関10に対して第1の実施形態の内燃機関の制御装置が適用されているが、他の例では、点火プラグ28が設けられていない内燃機関10に対して第1の実施形態の内燃機関の制御装置を適用することもできる。
さらに、図1に示すエンジンシステムは、制御装置として機能するECU(電子制御ユニット)40を備えている。ECU40の入力部には、上述した筒内圧センサ30に加え、エンジン回転速度を取得するためのクランク角センサ42、および、吸入空気量を計測するためのエアフローメータ44等の内燃機関10の運転状態を取得するための各種センサが接続されている。また、ECU40の出力部には、上述したスロットルバルブ24、燃料噴射弁26および点火プラグ28等の内燃機関10の運転を制御するための各種アクチュエータが接続されている。ECU40は、それらのセンサ出力と所定のプログラムとに基づいて上記各種のアクチュエータを駆動することにより、燃料噴射量制御および点火時期制御等の所定のエンジン制御を行う。また、ECU40は、筒内圧センサ30の出力信号を、クランク角と同期させてAD変換して取得する機能を有している。これにより、AD変換の分解能が許す範囲で、任意のクランク角タイミングにおける筒内圧Pを検出することができる。
筒内圧センサ30とクランク角センサ42とを備える図1に示すエンジンシステムでは、内燃機関10の各サイクルにおいて、クランク角ベースで筒内圧データ(筒内圧波形)を取得することができる。そして、公知の手法で絶対圧補正を行った後の筒内圧波形を用いて、燃焼質量割合MFBを算出することができる。
具体的には、筒内圧データを用いて、任意のクランク角θでの気筒14’内の熱発生量Qを例えば次の式1にしたがって算出することができる。そして、算出された気筒14’内の熱発生量Qのデータを用いて、任意のクランク角θにおける燃焼質量割合MFB[%]を例えば次の式2にしたがって算出することができる。したがって、この式2を利用して、燃焼質量割合MFBが所定割合β[%]となる時のクランク角CAβを取得することができる。
Figure 2017198147
Figure 2017198147
上記式1において、Pは筒内圧、Vは筒内容積、κは筒内ガスの比熱比である。また、PおよびVは、計算開始点θ(想定される燃焼開始点に対して余裕をもって定められた圧縮行程中(ただし、吸気弁20の閉弁後)の所定クランク角θ)での筒内圧および筒内容積である。また、上記式2において、θstaは燃焼開始点(CA0)であり、θfinは燃焼終了点(CA100)である。
つまり、第1の実施形態の内燃機関の制御装置が適用された図1および図2に示す例では、ECU40(図1および図2参照)の熱発生量算出部40a(図2参照)において、筒内圧センサ30により検出される筒内圧Pと、筒内容積Vと、例えば式1とに基づいて熱発生量Qが算出される。また、ECU40は熱発生量算出部40aにより算出される熱発生量Qと、例えば式2とに基づいて燃焼質量割合MFBを算出することができる。さらに、ECU40の熱発生率算出部40b(図2参照)において、例えば次の式3に基づいて、単位クランク角当たりの熱発生量Qである熱発生率(dQ/dθ)(図6(A)参照)が算出される。
Figure 2017198147
また、第1の実施形態の内燃機関の制御装置が適用された図1および図2に示す例では、熱発生率(dQ/dθ)の微分値である1階微分値(d2Q/dθ2)(図6(B)参照)を算出する1階微分値算出部40c(図2参照)がECU40(図1および図2参照)に設けられている。さらに、1階微分値(d2Q/dθ2)の微分値である2階微分値(d3Q/dθ3)(図6(C)参照)を算出する2階微分値算出部40d(図2参照)がECU40に設けられている。
さらに、第1の実施形態の内燃機関の制御装置が適用された図1および図2に示す例では、熱発生率(dQ/dθ)が最大値になるときのクランク角である熱発生率最大値クランク角CAamax(図6参照)、CAbmax(図9参照)、CAcmax(図12参照)を算出する熱発生率最大値クランク角算出部40e(図2参照)がECU40に設けられている。また、熱発生率(dQ/dθ)が略ゼロの閾値α(図6(A)参照)から正の値に切り替わるときのクランク角であって、熱発生率最大値クランク角CAamax、CAbmax、CAcmaxよりも進角側(図6、図9および図12の左側)のクランク角である第1クランク角CAa1(図6参照)、CAb1(図9参照)、CAc1(図12参照)を算出する第1クランク角算出部40f(図2参照)がECU40に設けられている。
また、第1の実施形態の内燃機関の制御装置が適用された図1および図2に示す例では、1階微分値(d2Q/dθ2)が負の値から正の値に切り替わるときのクランク角であって、熱発生率最大値クランク角CAamax、CAbmax、CAcmaxよりも進角側のクランク角である第2クランク角CAa2(図6参照)、CAb2(図9参照)、CAc2(図12参照)を算出する第2クランク角算出部40g(図2参照)がECU40に設けられている。さらに、2階微分値(d3Q/dθ3)が負の値から正の値に切り替わるときのクランク角であって、熱発生率最大値クランク角CAamax、CAbmax、CAcmaxよりも進角側のクランク角である第3クランク角CAa3(図6参照)、CAb3(図9参照)、CAc3(図12参照)を算出する第3クランク角算出部40h(図2参照)がECU40に設けられている。
さらに、第1の実施形態の内燃機関の制御装置が適用された図1および図2に示す例では、第1クランク角CAa1(図6参照)、CAb1(図9参照)、CAc1(図12参照)から熱発生率最大値クランク角CAamax(図6参照)、CAbmax(図9参照)、CAcmax(図12参照)までのクランク角期間である第1クランク角期間Pa1(図6(A)参照)、Pb1(図9(A)参照)、Pc1(図12(A)参照)を算出する第1クランク角期間算出部40i(図2参照)がECU40(図1および図2参照)に設けられている。また、第2クランク角CAa2(図6参照)、CAb2(図9参照)、CAc2(図12参照)から熱発生率最大値クランク角CAamax、CAbmax、CAcmaxまでのクランク角期間である第2クランク角期間Pa2(図6(B)参照)、Pb2(図9(B)参照)、Pc2(図12(B)参照)を算出する第2クランク角期間算出部40j(図2参照)がECU40に設けられている。さらに、第3クランク角CAa3(図6参照)、CAb3(図9参照)、CAc3(図12参照)から熱発生率最大値クランク角CAamax、CAbmax、CAcmaxまでのクランク角期間である第3クランク角期間Pa3(図6(C)参照)、Pb3(図9(C)参照)、Pc3(図12(C)参照)を算出する第3クランク角期間算出部40k(図2参照)がECU40に設けられている。
また、第1の実施形態の内燃機関の制御装置が適用された図1および図2に示す例では、第1クランク角期間Pa1、Pb1、Pc1、第2クランク角期間Pa2、Pb2、Pc2、および、第3クランク角期間Pa3、Pb3、Pc3のうちの最も短いクランク角期間である最小クランク角期間Pamin(図6(A)参照)(=CAa1〜CAamax)、Pbmin(図9(B)参照)(=CAb2〜CAbmax)、Pcmin(図12(C)参照)(=CAc3〜CAcmax)を選択する最小クランク角期間選択部40l(図2参照)がECU40に設けられている。さらに、熱発生率(dQ/dθ)とクランク角との関係を示すクランク角−熱発生率特性曲線(図4、図7および図10参照)を算出するクランク角−熱発生率特性曲線算出部40m(図2参照)がECU40に設けられている。
また、第1の実施形態の内燃機関の制御装置が適用された図1および図2に示す例では、クランク角−熱発生率特性曲線(図4、図7および図10参照)上の点であって、熱発生率(dQ/dθ)が最大値になる点である第1点Aa(図4参照)、Ab(図7参照)、Ac(図10参照)を算出する第1点算出部40n(図2参照)がECU40(図1および図2参照)に設けられている。さらに、最小クランク角期間(CAa1〜CAamax)(図4参照)、(CAb2〜CAbmax)(図7参照)、(CAc3〜CAcmax)(図10参照)におけるクランク角−熱発生率特性曲線の傾き(図4、図7および図10参照)を算出する最小クランク角期間熱発生率傾き算出部40o(図2参照)がECU40に設けられている。
さらに、第1の実施形態の内燃機関の制御装置が適用された図1および図2に示す例では、第1点Aa、Ab、Acを通る直線であって、最小クランク角期間(CAa1〜CAamax)、(CAb2〜CAbmax)、(CAc3〜CAcmax)におけるクランク角−熱発生率特性曲線の傾き(図4、図7および図10参照)を傾きとして有する直線La(図4参照)、Lb(図7参照)、Lc(図10参照)を算出する着火時期推定用直線算出部40p(図2参照)がECU40に設けられている。また、直線La、Lb、Lc上の点であって、熱発生率(dQ/dθ)がゼロになる点である第2点Ca(図4参照)、Cb(図7参照)、Cc(図10参照)を算出する第2点算出部40q(図2参照)がECU40に設けられている。
また、第1の実施形態の内燃機関の制御装置が適用された図1および図2に示す例では、第2点Ca、Cb、Ccのクランク角CAax(図4参照)、CAbx(図7参照)、CAcx(図10参照)の値が、燃料噴射弁26(図1参照)から噴射される燃料の着火時期である、詳細には、メイン噴射により燃料噴射弁26から噴射される燃料の着火時期である、と推定する着火時期推定部40r(図2参照)がECU40に設けられている。
図4〜図6はパイロット噴射とメイン噴射とのインターバルが大きい第1の場合を説明するための図である。
詳細には、図4は第1の実施形態の内燃機関の制御装置が適用された第1の場合におけるクランク角−熱発生率特性曲線、第1点Aa、第1点Aaを通る直線La、直線La上の第2点Ca、第2点Caのクランク角CAaxなどの関係を説明するための図である。
図5は第1の実施形態の内燃機関の制御装置が適用された第1の場合における熱発生率最大値クランク角CAamax、第1クランク角CAa1、第2クランク角CAa2、第3クランク角CAa3などの関係を説明するための図である。
図6(A)は第1の実施形態の内燃機関の制御装置が適用された第1の場合における熱発生率(dQ/dθ)、第1クランク角期間Pa1などの関係を説明するための図である。図6(B)は第1の実施形態の内燃機関の制御装置が適用された第1の場合における1階微分値(d2Q/dθ2)、第2クランク角期間Pa2などの関係を説明するための図である。図6(C)は第1の実施形態の内燃機関の制御装置が適用された第1の場合における2階微分値(d3Q/dθ3)、第3クランク角期間Pa3などの関係を説明するための図である。
図4および図5に示す例では、第1の場合に、パイロット噴射に伴うクランク角−熱発生率特性曲線の山と、メイン噴射に伴うクランク角−熱発生率特性曲線の山とが、完全に独立している。つまり、図4および図5に示す第1の場合には、パイロット噴射に伴うクランク角−熱発生率特性曲線の山と、メイン噴射に伴うクランク角−熱発生率特性曲線の山との間に、無噴射に伴って熱発生率が変動しないクランク角期間が存在する。そのため、メイン噴射に伴うクランク角−熱発生率特性曲線の山には、パイロット噴射の影響がないと推定される。
本発明者の鋭意研究において、パイロット噴射(図4および図5参照)とメイン噴射(図4および図5参照)とのインターバルが大きい第1の場合(図4、図5および図6参照)には、熱発生率(dQ/dθ)が略ゼロの閾値α(図4、図5および図6(A)参照)から正の値に切り替わる時点(クランク角CAa1(図4、図5および図6参照)に相当する時点)から、熱発生率(dQ/dθ)が最大値になる時点(クランク角CAamax(図4、図5および図6参照)に相当する時点)までのクランク角期間Pa1(図6(A)参照)中に、熱発生率(dQ/dθ)の微分値である1階微分値(d2Q/dθ2)(図6(B)参照)が負の値から正の値に切り替わったり、1階微分値(d2Q/dθ2)の微分値である2階微分値(d3Q/dθ3)(図6(C)参照)が負の値から正の値に切り替わったりしないことが、見い出された。そのため、パイロット噴射とメイン噴射とのインターバルが大きい第1の場合には、熱発生率(dQ/dθ)が略ゼロの閾値αから正の値に切り替わるときのクランク角CAa1を用いることにより、メイン噴射により噴射される燃料の着火時期(クランク角CAax(図4参照)に相当する時点)を正確に推定できることが、本発明者の鋭意研究において見い出された。
この点に鑑み、第1の実施形態の内燃機関の制御装置では、パイロット噴射とメイン噴射とのインターバルが大きい第1の場合に、熱発生率(dQ/dθ)(図6(A)参照)が略ゼロの閾値α(図6(A)参照)から正の値に切り替わるときのクランク角CAa1が、メイン噴射により噴射される燃料の着火時期(クランク角CAaxに相当する時点)の推定に用いられる。
詳細には、第1の実施形態の内燃機関の制御装置では、パイロット噴射(図4および図5参照)とメイン噴射(図4および図5参照)とのインターバルが大きい第1の場合(図4、図5および図6参照)に、熱発生率(dQ/dθ)(図6(A)参照)が略ゼロの閾値α(図6(A)参照)から正の値に切り替わるときのクランク角CAa1(図6参照)から熱発生率(dQ/dθ)が最大値になるときのクランク角CAamax(図6参照)までのクランク角期間である第1クランク角期間Pa1(図6(A)参照)が、最小クランク角期間選択部40l(図2参照)によって、最小クランク角期間Pamin(図6(A)参照)として選択される。
さらに、クランク角−熱発生率特性曲線(図4および図5参照)上の点であって、熱発生率(dQ/dθ)が最大値になる点である第1点Aa(図4、図5および図6(A)参照)が、第1点算出部40n(図2参照)によって算出される。
また、最小クランク角期間Pamin(図6(A)参照)におけるクランク角−熱発生率特性曲線の傾き(図4参照)が、最小クランク角期間熱発生率傾き算出部40o(図2参照)によって算出される。
さらに、第1点Aa(図4参照)を通る直線であって、上述した傾き(図4参照)を有する直線である着火時期推定用直線La(図4参照)が、着火時期推定用直線算出部40p(図2参照)によって算出される。
また、着火時期推定用直線La上の点であって、熱発生率(dQ/dθ)がゼロになる点である第2点Ca(図4参照)が、第2点算出部40q(図2参照)によって算出される。さらに、第2点Caのクランク角CAax(図4参照)の値が、メイン噴射(図4および図5参照)により噴射される燃料の着火時期である、と着火時期推定部40r(図2参照)によって推定される。
そのため、第1の実施形態の内燃機関の制御装置では、パイロット噴射(図4および図5参照)とメイン噴射(図4および図5参照)とのインターバルが大きい第1の場合(図4、図5および図6参照)に、熱発生率(dQ/dθ)の微分値である1階微分値(d2Q/dθ2)(図6(B)参照)が負の値から正の値に切り替わるときのクランク角CAa2(図5および図6参照)から熱発生率(dQ/dθ)が最大値になるときのクランク角CAamax(図5および図6参照)までのクランク角期間である第2クランク角期間Pa2(図6(B)参照)が最小クランク角期間Pamin(図6(A)参照)として選択される手法や、1階微分値(d2Q/dθ2)の微分値である2階微分値(d3Q/dθ3)(図6(C)参照)が負の値から正の値に切り替わるときのクランク角CAa3(図5および図6参照)から熱発生率(dQ/dθ)が最大値になるときのクランク角CAamaxまでのクランク角期間である第3クランク角期間Pa3(図6(C)参照)が最小クランク角期間Paminとして選択される手法よりも、メイン噴射により噴射される燃料の着火時期(クランク角CAax(図4参照)に相当する時点)を正確に推定することができる。
図7〜図9はパイロット噴射とメイン噴射とのインターバルが第1の場合より小さい第2の場合を説明するための図である。
詳細には、図7は第1の実施形態の内燃機関の制御装置が適用された第2の場合におけるクランク角−熱発生率特性曲線、第1点Ab、第1点Abを通る直線Lb、直線Lb上の第2点Cb、第2点Cbのクランク角CAbxなどの関係を説明するための図である。
図8は第1の実施形態の内燃機関の制御装置が適用された第2の場合における熱発生率最大値クランク角CAbmax、第1クランク角CAb1、第2クランク角CAb2、第3クランク角CAb3などの関係を説明するための図である。
図9(A)は第1の実施形態の内燃機関の制御装置が適用された第2の場合における熱発生率(dQ/dθ)、第1クランク角期間Pb1などの関係を説明するための図である。図9(B)は第1の実施形態の内燃機関の制御装置が適用された第2の場合における1階微分値(d2Q/dθ2)、第2クランク角期間Pb2などの関係を説明するための図である。図9(C)は第1の実施形態の内燃機関の制御装置が適用された第2の場合における2階微分値(d3Q/dθ3)、第3クランク角期間Pb3などの関係を説明するための図である。
図7および図8に示す例では、第2の場合に、パイロット噴射に伴うクランク角−熱発生率特性曲線の山の裾部とメイン噴射に伴うクランク角−熱発生率特性曲線の山の裾部とが重複しているものの、パイロット噴射に伴うクランク角−熱発生率特性曲線の山のピークを識別することができる。つまり、図7および図8に示す第2の場合には、パイロット噴射とメイン噴射との間の無噴射期間の影響により、パイロット噴射に伴うクランク角−熱発生率特性曲線の山の遅角側の裾部において熱発生率が減少し、メイン噴射に伴うクランク角−熱発生率特性曲線の山の進角側の裾部において熱発生率が増加すると推定される。
本発明者の鋭意研究において、パイロット噴射(図7および図8参照)とメイン噴射(図7および図8参照)とのインターバルが第1の場合(図4、図5および図6参照)より小さい第2の場合(図7、図8および図9参照)には、熱発生率(dQ/dθ)の微分値である1階微分値(d2Q/dθ2)(図9(B)参照)が負の値から正の値に切り替わる時点(クランク角CAb2(図7、図8および図9参照)に相当する時点)から、熱発生率(dQ/dθ)が最大値になる時点(クランク角CAbmax(図7、図8および図9参照)に相当する時点)までのクランク角期間Pb2(図9(B)参照)中に、熱発生率(dQ/dθ)(図9(A)参照)が略ゼロの閾値α(図9(A)参照)から正の値に切り替わったり、1階微分値(d2Q/dθ2)の微分値である2階微分値(d3Q/dθ3)(図9(C)参照)が負の値から正の値に切り替わったりしないことが、見い出された。そのため、パイロット噴射とメイン噴射とのインターバルが第1の場合より小さい第2の場合には、熱発生率(dQ/dθ)の微分値である1階微分値(d2Q/dθ2)が負の値から正の値に切り替わるときのクランク角CAb2を用いることにより、メイン噴射により噴射される燃料の着火時期(クランク角CAbx(図7参照)に相当する時点)を正確に推定できることが、本発明者の鋭意研究において見い出された。
この点に鑑み、第1の実施形態の内燃機関の制御装置では、パイロット噴射とメイン噴射とのインターバルが第1の場合より小さい第2の場合に、熱発生率(dQ/dθ)の微分値である1階微分値(d2Q/dθ2)(図9(B)参照)が負の値から正の値に切り替わるときのクランク角CAb2が、メイン噴射により噴射される燃料の着火時期(クランク角CAbxに相当する時点)の推定に用いられる。
詳細には、第1の実施形態の内燃機関の制御装置では、パイロット噴射(図7および図8参照)とメイン噴射(図7および図8参照)とのインターバルが第1の場合(図4、図5および図6参照)より小さい第2の場合(図7、図8および図9参照)に、熱発生率(dQ/dθ)の微分値である1階微分値(d2Q/dθ2)(図9(B)参照)が負の値から正の値に切り替わるときのクランク角CAb2(図9参照)から熱発生率(dQ/dθ)(図9(A)参照)が最大値になるときのクランク角CAbmax(図9参照)までのクランク角期間である第2クランク角期間Pb2(図9(B)参照)が、最小クランク角期間選択部40l(図2参照)によって、最小クランク角期間Pbmin(図9(B)参照)として選択される。
さらに、クランク角−熱発生率特性曲線(図7および図8参照)上の点であって、熱発生率(dQ/dθ)が最大値になる点である第1点Ab(図7、図8および図9(A)参照)が、第1点算出部40n(図2参照)によって算出される。
また、最小クランク角期間Pbmin(図9(B)参照)におけるクランク角−熱発生率特性曲線の傾き(図7参照)が、最小クランク角期間熱発生率傾き算出部40o(図2参照)によって算出される。
さらに、第1点Ab(図7参照)を通る直線であって、上述した傾き(図7参照)を有する直線である着火時期推定用直線Lb(図7参照)が、着火時期推定用直線算出部40p(図2参照)によって算出される。
また、着火時期推定用直線Lb上の点であって、熱発生率(dQ/dθ)がゼロになる点である第2点Cb(図7参照)が、第2点算出部40q(図2参照)によって算出される。さらに、第2点Cbのクランク角CAbx(図7参照)の値が、メイン噴射(図7および図8参照)により噴射される燃料の着火時期である、と着火時期推定部40r(図2参照)によって推定される。
そのため、第1の実施形態の内燃機関の制御装置では、パイロット噴射(図7および図8参照)とメイン噴射(図7および図8参照)とのインターバルが第1の場合(図4、図5および図6参照)より小さい第2の場合(図7、図8および図9参照)に、熱発生率(dQ/dθ)(図9(A)参照)が略ゼロの閾値α(図9(A)参照)から正の値に切り替わるときのクランク角CAb1(図8および図9参照)から熱発生率(dQ/dθ)が最大値になるときのクランク角CAbmax(図8および図9参照)までのクランク角期間である第1クランク角期間Pb1(図9(A)参照)が最小クランク角期間Pbmin(図9(B)参照)として選択される手法や、1階微分値(d2Q/dθ2)の微分値である2階微分値(d3Q/dθ3)(図9(C)参照)が負の値から正の値に切り替わるときのクランク角CAb3(図8および図9参照)から熱発生率(dQ/dθ)が最大値になるときのクランク角CAbmaxまでのクランク角期間である第3クランク角期間Pb3(図9(C)参照)が最小クランク角期間Pbminとして選択される手法よりも、メイン噴射により噴射される燃料の着火時期(クランク角CAbx(図7参照)に相当する時点)を正確に推定することができる。
図10〜図12はパイロット噴射とメイン噴射とのインターバルが第2の場合より小さい第3の場合を説明するための図である。
詳細には、図10は第1の実施形態の内燃機関の制御装置が適用された第3の場合におけるクランク角−熱発生率特性曲線、第1点Ac、第1点Acを通る直線Lc、直線Lc上の第2点Cc、第2点Ccのクランク角CAcxなどの関係を説明するための図である。
図11は第1の実施形態の内燃機関の制御装置が適用された第3の場合における熱発生率最大値クランク角CAcmax、第1クランク角CAc1、第2クランク角CAc2、第3クランク角CAc3などの関係を説明するための図である。
図12(A)は第1の実施形態の内燃機関の制御装置が適用された第3の場合における熱発生率(dQ/dθ)、第1クランク角期間Pc1などの関係を説明するための図である。図12(B)は第1の実施形態の内燃機関の制御装置が適用された第3の場合における1階微分値(d2Q/dθ2)、第2クランク角期間Pc2などの関係を説明するための図である。図12(C)は第1の実施形態の内燃機関の制御装置が適用された第3の場合における2階微分値(d3Q/dθ3)、第3クランク角期間Pc3などの関係を説明するための図である。
図10および図11に示す例では、第3の場合に、パイロット噴射に伴うクランク角−熱発生率特性曲線の山とメイン噴射に伴うクランク角−熱発生率特性曲線の山の裾部とが重複しており、パイロット噴射に伴うクランク角−熱発生率特性曲線の山のピークを識別することができない。つまり、図10および図11に示す第3の場合には、パイロット噴射の終了の影響によって1階微分値(d2Q/dθ2)(図12(B)参照)が減少し、次いで、メイン噴射の開始の影響によって1階微分値(d2Q/dθ2)(図12(B)参照)が増加する瞬間が存在すると推定される。
本発明者の鋭意研究において、パイロット噴射(図10および図11参照)とメイン噴射(図10および図11参照)とのインターバルが第2の場合(図7、図8および図9参照)より小さい第3の場合(図10、図11および図12参照)には、1階微分値(d2Q/dθ2)の微分値である2階微分値(d3Q/dθ3)(図12(C)参照)が負の値から正の値に切り替わる時点(クランク角CAc3(図10、図11および図12参照)に相当する時点)から、熱発生率(dQ/dθ)が最大値になる時点(クランク角CAcmax(図10、図11および図12参照)に相当する時点)までのクランク角期間Pc3(図12(C)参照)中に、熱発生率(dQ/dθ)(図12(A)参照)が略ゼロの閾値α(図12(A)参照)から正の値に切り替わったり、熱発生率(dQ/dθ)の微分値である1階微分値(d2Q/dθ2)(図12(B)参照)が負の値から正の値に切り替わったりしないことが、見い出された。そのため、パイロット噴射とメイン噴射とのインターバルが第2の場合より小さい第3の場合には、1階微分値(d2Q/dθ2)の微分値である2階微分値(d3Q/dθ3)が負の値から正の値に切り替わるときのクランク角CAc3を用いることにより、メイン噴射により噴射される燃料の着火時期(クランク角CAcx(図10参照)に相当する時点)を正確に推定できることが、本発明者の鋭意研究において見い出された。
この点に鑑み、第1の実施形態の内燃機関の制御装置では、パイロット噴射とメイン噴射とのインターバルが第2の場合より小さい第3の場合に、1階微分値(d2Q/dθ2)の微分値である2階微分値(d3Q/dθ3)が負の値から正の値に切り替わるときのクランク角CAc3が、メイン噴射により噴射される燃料の着火時期(クランク角CAcxに相当する時点)の推定に用いられる。
詳細には、第1の実施形態の内燃機関の制御装置では、パイロット噴射(図10および図11参照)とメイン噴射(図10および図11参照)とのインターバルが第2の場合(図7、図8および図9参照)より小さい第3の場合(図10、図11および図12参照)に、1階微分値(d2Q/dθ2)の微分値である2階微分値(d3Q/dθ3)(図12(C)参照)が負の値から正の値に切り替わるときのクランク角CAc3(図12参照)から熱発生率(dQ/dθ)(図12(A)参照)が最大値になるときのクランク角CAcmax(図12参照)までのクランク角期間である第3クランク角期間Pc3(図12(C)参照)が、最小クランク角期間選択部40l(図2参照)によって、最小クランク角期間Pcmin(図12(C)参照)として選択される。
さらに、クランク角−熱発生率特性曲線(図10および図11参照)上の点であって、熱発生率(dQ/dθ)が最大値になる点である第1点Ac(図10、図11および図12(A)参照)が、第1点算出部40n(図2参照)によって算出される。
また、最小クランク角期間Pcmin(図12(C)参照)におけるクランク角−熱発生率特性曲線の傾き(図10参照)が、最小クランク角期間熱発生率傾き算出部40o(図2参照)によって算出される。
さらに、第1点Ac(図10参照)を通る直線であって、上述した傾き(図10参照)を有する直線である着火時期推定用直線Lc(図10参照)が、着火時期推定用直線算出部40p(図2参照)によって算出される。
また、着火時期推定用直線Lc上の点であって、熱発生率(dQ/dθ)がゼロになる点である第2点Cc(図10参照)が、第2点算出部40q(図2参照)によって算出される。さらに、第2点Ccのクランク角CAcx(図10参照)の値が、メイン噴射(図10および図11参照)により噴射される燃料の着火時期である、と着火時期推定部40r(図2参照)によって推定される。
そのため、第1の実施形態の内燃機関の制御装置では、パイロット噴射(図10および図11参照)とメイン噴射(図10および図11参照)とのインターバルが第2の場合(図7、図8および図9参照)より小さい第3の場合(図10、図11および図12参照)に、熱発生率(dQ/dθ)(図12(A)参照)が略ゼロの閾値α(図12(A)参照)から正の値に切り替わるときのクランク角CAc1(図11および図12参照)から熱発生率(dQ/dθ)が最大値になるときのクランク角CAcmax(図11および図12参照)までのクランク角期間である第1クランク角期間Pc1(図12(A)参照)が最小クランク角期間Pcmin(図12(C)参照)として選択される手法や、熱発生率(dQ/dθ)の微分値である1階微分値(d2Q/dθ2)(図12(B)参照)が負の値から正の値に切り替わるときのクランク角CAc2(図11および図12参照)から熱発生率(dQ/dθ)が最大値になるときのクランク角CAcmaxまでのクランク角期間である第2クランク角期間Pc2(図12(B)参照)が最小クランク角期間Pcmin(図12(C)参照)として選択される手法よりも、メイン噴射により噴射される燃料の着火時期(クランク角CAcx(図10参照)に相当する時点)を正確に推定することができる。
図3は第1の実施形態の内燃機関の制御装置においてパイロット噴射とメイン噴射とのインターバルが上述した第1の場合、第2の場合および第3の場合のいずれに該当するかを判別する処理などを説明するためのフローチャートである。
図3に示すルーチンは、例えばメイン噴射(図4、図7および図10参照)の開始時期に開始される。まずステップS100では、カウンタの値pがゼロにセットされる。次いで、ステップS101では、クランク角センサ42(図1参照)によって検出されたクランク角の値、および、筒内圧センサ30(図1参照)によって検出された筒内圧Pの値が、ECU40(図1参照)にバッファされる。
次いで、ステップS102では、クランク角センサ42によって検出されたクランク角が、例えばATDC45°のような所定値以上になったか否かが、例えばECU40によって判定される。YESのときには、ステップS104に進み、NOのときには、ステップS103に進む。
ステップS103では、カウンタの値pがインクリメントされ、ステップS101に戻る。ステップS104では、クランク角の値および筒内圧Pの値をバッファする処理が終了せしめられる。図4、図7および図10中の「バッファ区間」は、ステップS101が実行されてから、ステップS104が実行されるまでのクランク角期間を示している。
次いで、ステップS105では、図4、図7および図10中の「バッファ区間」にステップS101においてバッファされた筒内圧Pに基づき、熱発生量算出部40a(図1参照)によって、バッファ区間における熱発生量Qが算出される。また、熱発生量Qに基づき、熱発生率算出部40b(図1参照)によって、バッファ区間における熱発生率(dQ/dθ)(図6(A)、図9(A)および図12(A)参照)が算出される。さらに、熱発生率(dQ/dθ)に基づき、1階微分値算出部40c(図1参照)によって、バッファ区間における1階微分値(d2Q/dθ2)(図6(B)、図9(B)および図12(B)参照)が算出される。また、1階微分値(d2Q/dθ2)に基づき、2階微分値算出部40d(図1参照)によって、バッファ区間における2階微分値(d3Q/dθ3)(図6(C)、図9(C)および図12(C)参照)が算出される。
次いで、ステップS106では、バッファ区間における熱発生率(dQ/dθ)(図6(A)、図9(A)および図12(A)参照)に基づき、第1点算出部40n(図2参照)によって、熱発生率(dQ/dθ)が最大値になる点である第1点Aa(図6(A)参照)、Ab(図9(A)参照)、Ac(図12(A)参照)が算出される。
次いで、ステップS107では、第1点Aa、Ab、Acのクランク角CAamax(図6(A)参照)、CAbmax(図9(A)参照)、CAcmax(図12(A)参照)よりも進角側のバッファ区間における熱発生率(dQ/dθ)、1階微分値(d2Q/dθ2)および2階微分値(d3Q/dθ3)が取得される。
次いで、ステップS108では、熱発生率(dQ/dθ)が略ゼロの閾値αから正の値に切り替わるときの第1クランク角CAa1(図6参照)、CAb1(図9参照)、CAc1(図12参照)が取得される。また、1階微分値(d2Q/dθ2)が負の値から正の値に切り替わるときの第2クランク角CAa2(図6参照)、CAb2(図9参照)、CAc2(図12参照)が取得される。さらに、2階微分値(d3Q/dθ3)が負の値から正の値に切り替わるときの第3クランク角CAa3(図6参照)、CAb3(図9参照)、CAc3(図12参照)が取得される。
次いで、ステップS109では、第1クランク角CAa1、CAb1、CAc1から熱発生率最大値クランク角CAamax、CAbmax、CAcmaxまでのクランク角期間である第1クランク角期間Pa1(図6(A)参照)、Pb1(図9(A)参照)、Pc1(図12(A)参照)が算出される。また、第2クランク角CAa2、CAb2、CAc2から熱発生率最大値クランク角CAamax、CAbmax、CAcmaxまでのクランク角期間である第2クランク角期間Pa2(図6(B)参照)、Pb2(図9(B)参照)、Pc2(図12(B)参照)が算出される。さらに、第3クランク角CAa3、CAb3、CAc3から熱発生率最大値クランク角CAamax、CAbmax、CAcmaxまでのクランク角期間である第3クランク角期間Pa3(図6(C)参照)、Pb3(図9(C)参照)、Pc3(図12(C)参照)が算出される。
また、ステップS109では、第1クランク角期間Pa1、Pb1、Pc1、第2クランク角期間Pa2、Pb2、Pc2、および、第3クランク角期間Pa3、Pb3、Pc3のうちの最も短いクランク角期間である最小クランク角期間Pamin(図6(A)参照)(=CAa1〜CAamax)、Pbmin(図9(B)参照)(=CAb2〜CAbmax)、Pcmin(図12(C)参照)(=CAc3〜CAcmax)が選択される。
次いで、ステップS110では、最小クランク角期間(CAa1〜CAamax)(図4参照)、(CAb2〜CAbmax)(図7参照)、(CAc3〜CAcmax)(図10参照)におけるクランク角−熱発生率特性曲線の傾き(図4、図7および図10参照)が算出される。
図3に示す例では、例えば、最小クランク角期間(CAa1〜CAamax)(図4参照)、(CAb2〜CAbmax)(図7参照)、(CAc3〜CAcmax)(図10参照)におけるクランク角−熱発生率特性曲線上の任意の2点(例えば、第1点Aa、Ab、Ac、および、他の1点)を結ぶ直線の傾きが、ステップS110において算出される傾きとして用いられる。
他の例では、代わりに、例えば、最小クランク角期間Pamin(図6(A)参照)(=CAa1〜CAamax)、Pbmin(図9(B)参照)(=CAb2〜CAbmax)、Pcmin(図12(C)参照)(=CAc3〜CAcmax)における1階微分値(d2Q/dθ2)(図6(B)、図9(B)および図12(B)参照)の移動平均値を、ステップS110において算出される傾きとして用いることもできる。この例によれば、2点の筒内圧Pのデータのみに基づいて傾き(図4、図7および図10参照)が算出される場合よりも、筒内圧センサ30(図1参照)のノイズの影響を軽減することができる。
次いで、ステップS111では、第1点Aa(図4参照)、Ab(図7参照)、Ac(図10参照)を通る直線であって、最小クランク角期間(CAa1〜CAamax)、(CAb2〜CAbmax)、(CAc3〜CAcmax)におけるクランク角−熱発生率特性曲線の傾き(図4、図7および図10参照)を傾きとして有する直線La(図4参照)、Lb(図7参照)、Lc(図10参照)が算出される。また、直線La、Lb、Lc上の点であって、熱発生率(dQ/dθ)がゼロになる点である第2点Ca(図4参照)、Cb(図7参照)、Cc(図10参照)が算出される。さらに、第2点Ca、Cb、Ccのクランク角CAax(図4参照)、CAbx(図7参照)、CAcx(図10参照)が算出され、メイン噴射により燃料噴射弁26(図1参照)から噴射される燃料の着火時期であると推定される。
上述したように、第1の実施形態の内燃機関の制御装置では、パイロット噴射の影響が除外された最小クランク角期間Pamin(図6(A)参照)(=CAa1〜CAamax)、Pbmin(図9(B)参照)(=CAb2〜CAbmax)、Pcmin(図12(C)参照)(=CAc3〜CAcmax)における筒内圧Pを用いることにより、メイン噴射により噴射される燃料の着火時期が推定される。そのため、第1の実施形態の内燃機関の制御装置では、パイロット噴射が実行される場合であってもメイン噴射により噴射される燃料の着火時期を正確に推定することができる。
また、第1の実施形態の内燃機関の制御装置では、メイン噴射により噴射される燃料の着火時期を推定するために、熱発生率最大値クランク角CAamax(図6参照)、CAbmax(図9参照)、CAcmax(図12参照)以降の筒内圧Pが用いられない。そのため、第1の実施形態の内燃機関の制御装置では、アフター噴射、あるいは、メイン噴射により噴射される燃料の燃焼後半に生じるヒステリシスの影響などを除外することができる。
図13は比較例を説明するための図である。
詳細には、図13(A)および図13(B)に示す比較例では、燃料噴射弁から噴射される燃料の着火時期(燃焼開始時期)を推定するために、熱発生率(dQ/dθ)の上昇開始時期が用いられる。
パイロット噴射とメイン噴射とのインターバルが大きい図13(A)に示す例では、熱発生率(dQ/dθ)が略ゼロの着火時期判定閾値を設定することによって、メイン噴射により噴射される燃料の着火時期であるメイン着火時期を推定することができる。ところが、パイロット噴射とメイン噴射とのインターバルが小さい図13(B)に示す例では、パイロット噴射により噴射された燃料の燃焼による熱発生率が、メイン噴射により噴射された燃料の燃焼による熱発生率に重畳してしまうため、熱発生率(dQ/dθ)が略ゼロの着火時期判定閾値を設定することによっては、メイン噴射により噴射される燃料の着火時期であるメイン着火時期を推定することができない。
つまり、燃料噴射弁から噴射される燃料の着火時期(燃焼開始時期)を推定するために熱発生率(dQ/dθ)の上昇開始時期のみが用いられる図13(A)および図13(B)に示す比較例では、パイロット噴射とメイン噴射とのインターバルが異なる場合に、着火時期判定閾値を変更しなければ、メイン噴射により噴射される燃料の着火時期を推定することができない。
図13(C)および図13(D)に示す比較例では、燃料噴射弁から噴射される燃料の着火時期(燃焼開始時期)を推定するために、筒内圧Pの2階微分値(d2P/dθ2)が用いられる。
パイロット噴射とメイン噴射とのインターバルが大きい図13(C)に示す例では、筒内圧Pの2階微分値(d2P/dθ2)が略ゼロの着火時期判定閾値を設定することによって、メイン噴射により噴射される燃料の着火時期であるメイン着火時期を推定することができる。ところが、パイロット噴射とメイン噴射とのインターバルが小さい図13(D)に示す例では、パイロット噴射により噴射された燃料の燃焼による熱発生率が、メイン噴射により噴射された燃料の燃焼による熱発生率に重畳してしまうため、筒内圧Pの2階微分値(d2P/dθ2)が略ゼロの着火時期判定閾値を設定することによっては、メイン噴射により噴射される燃料の着火時期であるメイン着火時期を検出(推定)することができない。
つまり、燃料噴射弁から噴射される燃料の着火時期(燃焼開始時期)を推定するために筒内圧Pの2階微分値(d2P/dθ2)のみが用いられる図13(C)および図13(D)に示す比較例では、パイロット噴射とメイン噴射とのインターバルが異なる場合に、着火時期判定閾値を変更しなければ、メイン噴射により噴射される燃料の着火時期を推定することができない。
図14は他の比較例を説明するための図である。詳細には、図14において、「正常センサ」は筒内圧センサが正常な場合におけるクランク角−熱発生率特性曲線を示しており、「異常センサ」はデポジットの堆積などによって筒内圧センサの出力が異常になった場合におけるクランク角−熱発生率特性曲線を示している。
図14に示す他の比較例では、上述した燃焼質量割合MFBが特定の値になったときが燃料噴射弁から噴射される燃料の着火時期であると推定される。
つまり、図14に示す他の比較例では、熱発生区間の全域を用いることによって、燃焼質量割合MFBが100%になるクランク角が算出され、さらに、燃焼質量割合MFBが特定の値になるクランク角が算出され、燃料噴射弁から噴射される燃料の着火時期が推定される。その結果、図14に示すように筒内圧センサの出力に異常がある場合に、燃焼後半(図14参照)におけるヒステリシスの影響などが、着火時期の推定誤差につながってしまう。
すなわち、図14に示す他の比較例では、燃料噴射弁から噴射される燃料の着火時期を正確に推定することができない。
第1の実施形態の内燃機関の制御装置が適用された図3に示す例では、図3に示す処理が例えばメイン噴射(図4、図7および図10参照)の開始時期に開始されるが、他の例では、代わりに、例えば、パイロット噴射により噴射された燃料の燃焼による熱発生率が、メイン噴射により噴射された燃料の燃焼による熱発生率に重畳する場合にのみ、図3に示す処理を実行することもできる。つまり、図3に示す処理は、エンジン回転速度NE、熱発生量Qマップ(図示せず)の全域で実行しなくてもよい。
具体的には、他の例では、エンジン回転速度NEを換算することによって得られるパイロット噴射とメイン噴射とのインターバルが、上述した第2の場合(図7、図8および図9参照)および第3の場合(図10、図11および図12参照)に該当するときに、図3に示す処理が実行される。一方、他の例では、上述した第1の場合(図4、図5および図6参照)に該当するとき、あるいは、パイロット噴射が存在しないときに、図3に示す処理が実行されず、クランク角CAa1(図4、図5および図6参照)に基づき、メイン噴射により噴射される燃料の着火時期(クランク角CAax(図4参照)に相当する時点)が推定される。
第1の実施形態の内燃機関の制御装置では、メイン噴射により噴射される燃料の着火時期を正確に推定するために熱発生率最大値クランク角CAamax(図4参照)、CAbmax(図7参照)、CAcmax(図10参照)が用いられるが、本発明に関連する発明の実施形態の内燃機関の制御装置では、代わりに、例えば、筒内圧センサ30(図1参照)のノイズの影響などによって熱発生率最大値の精度が低い場合に、筒内圧センサ30のノイズの影響などを避けるために、熱発生率最大値クランク角CAamax、CAbmax、CAcmaxよりも進角側のクランク角の値を用いることもできる。
詳細には、本発明に関連する発明の実施形態の内燃機関の制御装置では、1階微分値(d2Q/dθ2)の値が所定の閾値より大きいクランク角の値が、熱発生率最大値クランク角CAamax、CAbmax、CAcmaxよりも進角側のクランク角の値として用いられる。
第2の実施形態では、上述した第1の実施形態および各例を適宜組み合わせることもできる。
10 内燃機関
12 ピストン
14 燃焼室
14’ 気筒
16 吸気通路
18 排気通路
20 吸気弁
22 排気弁
24 スロットルバルブ
26 燃料噴射弁
28 点火プラグ
30 筒内圧センサ
40 ECU
40a 熱発生量算出部
40b 熱発生率算出部
40c 1階微分値算出部
40d 2階微分値算出部
40e 熱発生率最大値クランク角算出部
40f 第1クランク角算出部
40g 第2クランク角算出部
40h 第3クランク角算出部
40i 第1クランク角期間算出部
40j 第2クランク角期間算出部
40k 第3クランク角期間算出部
40l 最小クランク角期間選択部
40m クランク角−熱発生率特性曲線算出部
40n 第1点算出部
40o 最小クランク角期間熱発生率傾き算出部
40p 着火時期推定用直線算出部
40q 第2点算出部
40r 着火時期推定部
42 クランク角センサ
44 エアフローメータ

Claims (1)

  1. 気筒と、
    前記気筒内の燃焼圧である筒内圧を検出する筒内圧センサと、
    燃料噴射弁と、
    クランク角センサとを具備する内燃機関の制御装置において、
    前記筒内圧に基づいて熱発生量を算出する熱発生量算出部と、
    単位クランク角当たりの前記熱発生量である熱発生率を算出する熱発生率算出部と、
    前記熱発生率の微分値である1階微分値を算出する1階微分値算出部と、
    前記1階微分値の微分値である2階微分値を算出する2階微分値算出部と、
    前記熱発生率が最大値になるときのクランク角である熱発生率最大値クランク角を算出する熱発生率最大値クランク角算出部と、
    前記熱発生率が略ゼロから正の値に切り替わるときのクランク角であって、前記熱発生率最大値クランク角よりも進角側のクランク角である第1クランク角を算出する第1クランク角算出部と、
    前記1階微分値が負の値から正の値に切り替わるときのクランク角であって、前記熱発生率最大値クランク角よりも進角側のクランク角である第2クランク角を算出する第2クランク角算出部と、
    前記2階微分値が負の値から正の値に切り替わるときのクランク角であって、熱発生率最大値クランク角よりも進角側のクランク角である第3クランク角を算出する第3クランク角算出部と、
    前記第1クランク角から前記熱発生率最大値クランク角までのクランク角期間である第1クランク角期間を算出する第1クランク角期間算出部と、
    前記第2クランク角から前記熱発生率最大値クランク角までのクランク角期間である第2クランク角期間を算出する第2クランク角期間算出部と、
    前記第3クランク角から前記熱発生率最大値クランク角までのクランク角期間である第3クランク角期間を算出する第3クランク角期間算出部と、
    前記第1クランク角期間、前記第2クランク角期間および前記第3クランク角期間のうちの最も短いクランク角期間である最小クランク角期間を選択する最小クランク角期間選択部と、
    前記熱発生率とクランク角との関係を示すクランク角−熱発生率特性曲線を算出するクランク角−熱発生率特性曲線算出部と、
    前記クランク角−熱発生率特性曲線上の点であって、前記熱発生率が最大値になる点である第1点を算出する第1点算出部と、
    前記最小クランク角期間における前記クランク角−熱発生率特性曲線の傾きである最小クランク角期間熱発生率傾きを算出する最小クランク角期間熱発生率傾き算出部と、
    前記第1点を通る直線であって、前記最小クランク角期間熱発生率傾きを傾きとして有する直線である着火時期推定用直線を算出する着火時期推定用直線算出部と、
    前記着火時期推定用直線上の点であって、前記熱発生率がゼロになる点である第2点を算出する第2点算出部と、
    前記第2点のクランク角の値が、前記燃料噴射弁から噴射される燃料の着火時期である、と推定する着火時期推定部とを具備することを特徴とする内燃機関の制御装置。
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