JP2017197784A - めっき溶接形鋼及びめっき溶接形鋼の製造方法 - Google Patents

めっき溶接形鋼及びめっき溶接形鋼の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】めっき層が欠落している部位の耐食性を優れたものとしつつ、同時に溶接性に優れた、めっき溶接形鋼及びめっき溶接形鋼の製造方法を提供する。【解決手段】本発明に係るめっき溶接形鋼は、亜鉛系めっき鋼板よりなるウェブと、亜鉛系めっき鋼板よりなり、前記ウェブに溶接されたフランジと、前記ウェブと前記フランジとの溶接部位に位置する溶接ビードと、前記溶接ビードの少なくとも一部を被覆し、金属成分を含有する防錆膜と、を備え、金属成分は鉄に対して犠牲防食作用を有する粒子を含み、以下の式(1)で表されるIwは、0.5〜30μmであり、前記防錆膜の厚みは、30〜130μmである。Iw(μm)=T(μm)×(100−M(質量%))/100 ・・・ (1)ただし、式(1)中、Tは、前記防錆膜の厚さ(μm)であり、Mは、前記防錆膜中の前記金属成分の含有量(質量%)である。【選択図】図2

Description

本発明は、めっき溶接形鋼及びめっき溶接形鋼の製造方法に関する。
溶接軽量H形鋼等の様々な軽量形鋼が知られている。このうち、溶接軽量H形鋼は、熱間圧延鋼帯、冷間圧延鋼帯、又は、めっき鋼帯を利用し、連続した高周波抵抗溶接又は高周波誘導溶接の併用によって成形されたH形鋼である。溶接軽量H形鋼は、主に、プレファブ住宅・構造物の柱・梁等の建築構造材として用いられる。近年、溶接軽量H形鋼は、鉄骨造だけでなく、在来工法の木造住宅における柱・梁などの材料としても用いられており、その需要が拡大している。
近年、溶接軽量H形鋼は、太陽光発電の架台部品に代表されるように、厳しい屋外腐食環境での使用検討が進んでいる。このような環境で溶接軽量H形鋼を使用するに際しては耐食性を確保するために、非めっき鋼材を用いて製造された溶接軽量H形鋼に対し溶融亜鉛めっきを行う方法がある。しかしながら、めっき時の熱による形状変化や外注加工コストの問題があり、例えば下記特許文献1に開示されているような、めっき鋼帯を成形しためっき溶接軽量H形鋼の活用が期待される。
特開2003−275814号公報
上記特許文献1に開示されているようなめっき溶接軽量H形鋼は、予めめっき処理の施されためっき鋼帯を利用し、連続した溶接の併用によって成形されるが、フランジに対応する鋼帯とウェブに対応する鋼帯とを溶接する際に、発生する熱によって溶接部のめっき層が失われてしまう。また、フランジに対応する鋼帯をスリットにより製造する場合には、フランジ端面にはめっき層が存在しなくなる。
めっき層が存在しない溶接部や端面は、腐食による損壊が懸念されるため、用途環境に適した防食処理を施すことが重要であり、めっき層が欠落したこれらの部位を適切に補修可能な技術の確立が希求されている。
一般に、耐用年数はめっき付着量に比例すると考えられており、平面部のめっきと同等の耐食性を確保するためには、平面部のめっきと同等のめっき金属成分を同等の付着量で確保することが重要であると考えられる。このような観点で、十分な耐食性を確保する補修技術候補としては、亜鉛系溶射や亜鉛粉末含有塗装(以下、「ジンクリッチ塗装」ともいう。)が考えられる。しかしながら、乾式工程である溶射は、粉塵対策設備が必要であることから、簡便に処理を行うことができない。そこで、上記特許文献1においても、溶接部に対して亜鉛吹き付け塗装が行われる旨が記載されている。
一方、上記特許文献1にも開示されているようなジンクリッチ塗装は、防食処理仕様として、標準的な施工技術が確立されている。すなわち、ジンクリッチ塗装は、多量の金属亜鉛顔料を含み、残部のバインダ成分が非常に少ないため、付着性に欠け、清浄な鋼表面にしか付着しないという問題がある。そのため、ジンクリッチ塗装を施す際には高度な素地調整が要求されており、ブラスト処理が推奨されている。ブラスト処理に代わる素地調整として、酸洗処理や動力工具による素地調整も考えられるが、付着性はブラスト処理よりもやや劣る。また、一般的な塗装の素地調整として使用されるリン酸亜鉛処理もジンクリッチ塗装の付着性を低下させるため、素地調整としては使用することはできない。
上記のような状況にあるにも関わらず、上記特許文献1では、亜鉛吹き付け処理を実施する際の素地調整については、何も言及されていない。
ジンクリッチ塗膜を形成するために、めっき溶接軽量H形鋼の溶接部や端面の素地調整としてブラスト処理を実施する場合には、溶接部や端面の近傍に位置するめっき面もブラスト処理が施されてしまう。特に、端面に対してブラスト処理を実施した場合、少なくとも表側/裏側いずれかのめっき面がブラスト処理の影響を大きく受けてしまう。従って、溶接部や端面の耐食性を高めるためのジンクリッチ塗膜を施すために、溶接部や端面の近傍に位置するめっき面の耐食性が影響を受ける結果となり、ジンクリッチ塗膜の形成に先立つ素地調整として、ブラスト処理を採用することは好ましくないと考えられる。かかる状況から、特にめっき溶接軽量H形鋼の溶接部について、ブラスト処理に代わる素地調整技術が希求されている。
一方で、ジンクリッチ塗膜等の防錆膜を形成する際に防錆膜の素地への密着性を向上させることを目的として防錆膜の塗料に樹脂材料等の多量のバインダを含ませることが考えられる。しかしながら、めっき溶接軽量H形鋼等のめっき溶接軽量形鋼は、建築構造材などに使用される際に他の部材との溶接に供される場合がある。このような場合において、溶接時にバインダが引火してめっき溶接軽量形鋼の表面付近が劣化したり、多量のバインダにより導電性が低下することで溶接の安定性が低下したりする可能性がある。したがって、防錆膜を形成した場合であっても、めっき溶接軽量形鋼の溶接性を維持することが求められる。
そこで、本発明は、上記問題に鑑みてなされたものであり、本発明の目的とするところは、めっき層が欠落している部位の耐食性を優れたものとしつつ、同時に溶接性に優れた、めっき溶接形鋼及びめっき溶接形鋼の製造方法を提供することにある。
上記課題を解決するために、本発明者が鋭意検討を行った結果、めっき層が欠落している部位に防錆膜を配置するとともに、当該防錆膜が金属成分の含有量の他の成分の含有量を示す所定の指標を満足することにより上記課題が解決できることを見出し、以下で詳述するような本発明に係るめっき溶接形鋼及びめっき溶接形鋼の製造方法を完成するに至った。
かかる知見に基づき完成された本発明の要旨は、以下の通りである。
[1] 亜鉛系めっき鋼板よりなるウェブと、
亜鉛系めっき鋼板よりなり、前記ウェブに溶接されたフランジと、
前記ウェブと前記フランジとの溶接部位に位置する溶接ビードと、
前記溶接ビードの少なくとも一部を被覆し、金属成分を含有する防錆膜と、を備え、
前記金属成分は、鉄に対して犠牲防食作用を有する粒子を含み、
以下の式(1)で表されるIは、0.5〜30μmであり、
前記防錆膜の厚みは、30〜130μmである、めっき溶接形鋼、
(μm)=T(μm)×(100−M(質量%))/100 ・・・ (1)
ただし、式(1)中、Tは、前記防錆膜の厚さ(μm)であり、Mは、前記防錆膜中の前記金属成分の含有量(質量%)である。
[2] 前記防錆膜中の前記金属成分の含有量Mは、前記防錆膜の全質量に対して、50〜98質量%である、[1]に記載のめっき溶接形鋼。
[3] 前記犠牲防食作用を有する粒子は、アルミニウム、亜鉛の一方または両方を含んで構成される、[1]または[2]に記載のめっき溶接形鋼。
[4] 前記防錆膜は、ジンクリッチ塗膜を含んで構成されている、[1]〜[3]のいずれか一項に記載のめっき溶接形鋼。
[5] 前記防錆膜の少なくとも一部は、
前記溶接ビードと前記ウェブとの境界部から前記ウェブの表面に沿って、2〜25mmの幅で前記ウェブを覆い、かつ
前記溶接ビードと前記フランジとの境界部から前記フランジの幅方向端面へ向けて、2〜25mmの幅で前記フランジを覆うように、
前記溶接ビードに沿って配置されている、[1]〜[4]のいずれか一項に記載のめっき溶接形鋼。
[6] 前記防錆膜の少なくとも一部は、
前記溶接ビードと前記ウェブとの境界部から前記ウェブの表面に沿って、前記ウェブの幅に対して2〜45%の幅で覆い、かつ
前記溶接ビードと前記フランジとの境界部から前記フランジの幅方向端面へ向けて、当該境界部と前記フランジの幅方向端面との間の距離に対して3〜65%の幅で、前記フランジを覆うように、
前記溶接ビードに沿って配置されている、[1]〜[4]のいずれか一項に記載のめっき溶接形鋼。
[7] さらに、前記防錆膜は、前記フランジの端面の少なくとも一部を覆うように位置している、[1]〜[6]のいずれか一項に記載のめっき溶接形鋼。
[8] 前記防錆膜は複数の層を含む積層体であり、
前記複数の層のうち少なくとも一つの層は、前記金属成分を含む、[1]〜[7]のいずれか一項に記載のめっき溶接形鋼。
[9] 前記防錆膜の前記複数の層における最外層の少なくとも一部は、光輝性顔料を含む塗膜である、[8]に記載のめっき溶接形鋼。
[10] さらに、前記ウェブおよび/または前記フランジ上に位置し、ジルコニウム元素と有機酸とを含んで構成されるジルコニウム含有膜を備え、
前記防錆膜は、少なくともその一部が前記ジルコニウム含有膜上に位置している、[1]〜[9]のいずれか一項に記載のめっき溶接形鋼。
[11] 前記フランジを含む一対のフランジが、前記ウェブを介して対向するように配置された、めっき溶接H形鋼である、[1]〜[10]のいずれか一項に記載のめっき溶接形鋼。
[12] さらなる部材との溶接に供されるものであり、
前記フランジおよび/または前記ウェブの前記部材との溶接予定部位に、前記防錆膜が配置されていない、[1]〜[11]のいずれか一項に記載のめっき溶接形鋼。
[13] 亜鉛系めっき鋼板よりなるウェブと、亜鉛系めっき鋼板よりなり、前記ウェブに溶接されたフランジと、前記ウェブと前記フランジとの溶接部位に形成された溶接ビードと、を備えためっき溶接形鋼の前記溶接ビードの少なくとも一部を防錆膜で被覆する工程を有し、
前記防錆膜は、鉄に対して犠牲防食作用を有する粒子を含む金属成分を含有し、
以下の式(1)表されるIは、0.5μm〜30μmであり、
前記防錆膜の厚みは、30〜130μmである、めっき溶接形鋼の製造方法、
(μm)=T(μm)×(100−M(質量%))/100 ・・・ (1)
ただし、式(1)中、Tは、前記防錆膜の厚さ(μm)であり、Mは、前記防錆膜中の前記金属成分の含有量(質量%)である。
以上説明したように本発明によれば、めっき層が欠落している部位の耐食性を優れたものとしつつ、同時に溶接性に優れた、めっき溶接形鋼及びめっき溶接形鋼の製造方法を提供することが可能である。
本発明の実施形態に係るめっき溶接形鋼の構造を模式的に示した幅方向断面図である。 同実施形態にめっき溶接形鋼のフランジ付近の構造を拡大して示した幅方向断面図である。 めっき溶接H形鋼の層構造を示すめっき溶接H形鋼の電子顕微鏡写真である。 めっき溶接形鋼の溶接性評価に使用するサンプル片の斜視図である。 めっき溶接形鋼の溶接性評価に使用するサンプル片の斜視図である。 めっき溶接形鋼の溶接性評価に使用するサンプル片の斜視図である。
以下に添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施の形態について詳細に説明する。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
(めっき溶接形鋼について)
以下では、図1〜図2を参照しながら、本発明の実施形態に係るめっき溶接軽量形鋼(以下、単に、「めっき溶接形鋼」ともいう。)について、詳細に説明する。
図1は、本実施形態に係るめっき溶接形鋼の構造を模式的に示した幅方向断面図である。図2は、本実施形態にめっき溶接形鋼のフランジ付近の構造を拡大して示した幅方向断面図である。
<めっき溶接形鋼の全体的な構造について>
まず、図1を参照しながら、本実施形態に係るめっき溶接形鋼1の全体的な構造について、詳細に説明する。
本実施形態に係るめっき溶接軽量形鋼1は、めっき溶接H形鋼である。めっき溶接軽量形鋼1は、例えば、亜鉛系めっき鋼帯を巻き取ったコイルを巻き戻し所定幅にスリットしてフランジ用鋼帯としたものと、亜鉛系めっき鋼帯を巻き取ったコイルを巻き戻してウェブ用鋼帯としたものと、を当接させた状態で、高周波抵抗溶接や高周波誘導溶接等によって連続的に溶接することで、製造される。
このようにして製造されるめっき溶接形鋼1は、図1に模式的に示したように、互いに対向するように設けられた一対のフランジ3と、2つのフランジ3を連結するウェブ5と、から構成されている。
本実施形態に係るめっき溶接形鋼1において、フランジ3又はウェブ5の幅及び厚みについては、特に限定されるものではない。例えば、めっき溶接形鋼1は、典型的なめっき溶接H形鋼として、
フランジ3:幅75mm〜125mm、厚み3.2mm〜6.0mm
ウェブ5:高さ100mm〜300mm、厚み3.2mm〜4.5mm
程度の大きさである。
本実施形態に係るめっき溶接形鋼1では、先だって説明したように、フランジ3となる亜鉛系めっき鋼帯と、ウェブ5となる亜鉛系めっき鋼帯とが、溶接処理によって連結される。従って、フランジ3とウェブ5との連結部には、図1に模式的に示したように、溶接部7が形成される。
本実施形態に係るめっき溶接形鋼1では、原材料として亜鉛系めっき鋼帯が用いられるため、母材となる鋼板(以下、単に、「母材鋼板」ともいう。)11の表層には、亜鉛系めっき層13が形成されている。しかしながら、上記の溶接処理によって発生する熱により、溶接部7には、亜鉛系めっき層13が存在していない。また、フランジ3の端面9においても、亜鉛系めっき層13が存在していないことが多い。
従って、本実施形態に係るめっき溶接形鋼1において、フランジ3とウェブ5との連結部分とその近傍の領域であり、かつ、亜鉛系めっき層13が存在していない部分を、溶接部(溶接部位)7として考えることができる。また、フランジ3となる亜鉛系めっき鋼帯と、ウェブ5となる亜鉛系めっき鋼帯とは、圧接されながら溶接処理が施されるため、溶接直後には、ビード(溶接ビード)15が発生する。本実施形態に係るめっき溶接形鋼1では、溶接後にビード15をローラ等によって押しつぶすことで成形処理が施されており、ビード15は、図1に模式的に示したように、側面から見た形状が略三角形状となっている。従って、本実施形態に係るめっき溶接形鋼1において、ビード15が略三角形状となって存在している部分を、溶接部7として考えることができる。
なお、ビード15は、主に、母材鋼板11の成分や酸化鉄を主成分とするスケールから構成されており、亜鉛系めっき層13の成分等が含有されることもある。
ここで、母材鋼板11については、特に限定されるものではなく、通常、亜鉛系めっき鋼板の原板として使用される鋼板を適宜利用することが可能である。この原板の製造法、材質等も特に限定されるものではなく、通常の鋼片製造工程から熱間圧延、酸洗、冷間圧延、焼鈍、調質圧延等の工程を経て製造されるものを利用すればよい。また、原板は、後述するような化成処理被膜が形成されていてもよい。
また、亜鉛系めっき層13の種類についても、特に限定されるものではなく、溶融亜鉛めっきや電気亜鉛めっき等といった、公知の亜鉛系めっき処理を利用して、本実施形態に係る亜鉛系めっき層13を形成することが可能である。また、めっき成分についても特に限定されるものではなく、純亜鉛めっきであってもよいし、亜鉛合金系めっきであってもよい。亜鉛合金系めっきの成分としては、例えば、質量%で、Zn−11%Al−3%Mg−0.2%Si、Zn−6%Al−3%Mg、Zn−55%Al、又は、Zn−1〜3%Al−1〜3%Mg等を挙げることができるが、これらに限定されるものではない。
本実施形態に係るめっき溶接形鋼1では、上記のような亜鉛系めっき層13の形成された亜鉛系めっき鋼板を原材料として用いることで、亜鉛の犠牲防食能によって、形鋼全体としての耐食性を担保することが可能となる。
なお、亜鉛系めっき層13の厚みや付着量については、特に限定されるものではなく、めっき溶接形鋼1の要求性能やコスト等に応じて適宜設定すればよい。例えば、亜鉛系めっき層13は、片面当たり1μm〜80μmの厚み、より好ましくは片面当たり20μm程度の厚みで、母材鋼板11の表面に形成されていればよい。亜鉛系めっき層13の厚みが1μm未満である場合には、亜鉛の犠牲防食能を具現化することが困難となるため、好ましくない。また、亜鉛系めっき層13の厚みが80μm超過となる場合には、経済的なコストが増加するため、好ましくない。また、亜鉛系めっき層13の付着量は、片面当たりの金属Zn量で、例えば、7g/m〜560g/mとすることが好ましい。
<溶接部の構造について>
続いて、図2を参照しながら、本実施形態に係るめっき溶接形鋼1の溶接部7の構造について、具体的に説明する。
先だって説明したように、本実施形態に係るめっき溶接形鋼1では、フランジ3とウェブ5とを溶接により連結する際に、母材鋼板11の表面上に形成されている亜鉛系めっき層13が除去されてしまう。そのため、かかる溶接部7の耐食性は、亜鉛系めっき層13が形成されている部分と比べて低下してしまう。
そこで、本発明者らは、溶接部7に対して、防錆膜101を形成することを発案した。本発明者らは、加えて、防錆膜101を形成した場合において、防錆膜101が金属成分とそれ以外の成分との間における所定の関係を満足した場合に、めっき溶接形鋼1の溶接性が優れたものとなることを見出した。なお、防錆膜101については後述する。
従って、本実施形態に係るめっき溶接H形鋼1の溶接部7では、その断面構成は、図2に示したように、下地である母材鋼板11が存在し、母材鋼板11上にFeを主成分として含有するビード15が存在する。そして、かかるビード15上を覆うようにして防錆膜101が形成されている。上記のような層構成とすることで、亜鉛系めっき層13が存在していない溶接部7であっても、防錆膜101により、ビード15の耐食性が担保されることとなる。
<端面の構造について>
次に、図2を参照しながら、本実施形態に係るめっき溶接形鋼1の端面9の構造について、具体的に説明する。
先だって説明したように、本実施形態に係るめっき溶接形鋼1では、その製造過程に起因して、端面9についても亜鉛系めっき層13が存在せず、母材鋼板11が露出していることが多い。従って、かかる端面9の耐食性は、亜鉛系めっき層13が形成されている部分と比べて低下してしまう。
そこで、かかる端面9においても、図2に示したように、母材鋼板11の端面9上を覆うようにして防錆膜101が形成されている。
上記のような層構成とすることで、端面9に亜鉛系めっき層13が存在していない場合であっても、防錆膜101により、端面9における母材鋼板11の耐食性が担保されることとなる。
以上、本実施形態に係るめっき溶接形鋼1の全体的な構成について説明した。次に、上述しためっき溶接形鋼1に配置される、防錆膜101について詳細に説明する。
<防錆膜101について>
続いて、本実施形態に係るめっき溶接形鋼1の溶接部7や端面9に形成される防錆膜101について、詳細に説明する。
防錆膜101は、溶接部7のビード15および端面9の母材鋼板11を覆うことにより、これらの腐食を防止する。
また、防錆膜101は、金属成分を含む。本実施形態においては、このような金属成分は、鉄に対して犠牲防食能を有する粒子(以下「犠牲防食粒子」ともいう)を含むものである。めっき溶接形鋼1が酸化条件下にある場合において、このような犠牲防食粒子が消費されることにより母材鋼板11の酸化が防止され、錆の発生が防止される。
一方で、防錆膜101の上記のような腐食防止能を確実に有するためには、防錆膜101が、ビード15および端面9の母材鋼板11に対して密着して存在し、これらを覆うことが必要である。したがって、防錆膜101は、これをビード15および端面9の母材鋼板11に対して密着させるための有機系または無機系のバインダを含んでいる。しかしながら、このような金属成分以外の成分は、溶接時において引火して亜鉛系めっき層13等の周辺部位を劣化させたり、導電性に影響を与えて溶接の安定性を低下させたり、場合によっては燃焼によって臭気を発したりする場合がある。
したがって、本実施形態においては、防錆膜101は、以下の式(1)で表されるIが0.5〜30μmとなるように構成されている。
(μm)=T(μm)×(100−M(質量%))/100 ・・・ (1)
ただし、式(1)中、Tは、防錆膜101の厚さ(μm)であり、Mは、防錆膜101中の金属成分の含有量(質量%)である。
が上記範囲内を満足することにより、めっき溶接形鋼1の耐食性および溶接性を同時に優れたものとすることができる。したがって、溶接時において防錆膜101の金属成分以外の成分が引火したり、溶接の安定性を低下させたりすることを防止することができる。一方で、Iが上記下限値より小さいと、防錆膜101を十分にビード15および端面9の母材鋼板11に対して密着させることができないことにより、めっき溶接形鋼1の耐食性、特にビード15および端面9の母材鋼板11における耐食性が十分なものとならない。また、Iが上記上限値より大きいと、防錆膜101中に金属成分以外の成分が多量に含まれることとなり、めっき溶接形鋼1の溶接性を優れたものとすることができない。
は、上記範囲内であればよいが、好ましくは1.0〜27μmであり、より好ましくは1.5〜25μmである。これにより、上述した効果をより顕著に得ることができる。
また、金属成分の含有量M(質量%)は、特に限定されないが、例えば防錆膜の全質量に対して、50〜98質量%であることができ、好ましくは55〜96質量%、より好ましくは58〜95質量%である。これにより、十分な犠牲防食性が働き、耐食性が確保される。
また、本実施形態においては、防錆膜101の厚みは、30〜130μmである。防錆膜101の厚みが上記範囲内にあることにより、めっき溶接形鋼1の耐食性および溶接性を十分に優れたものとすることができる。一方で、防錆膜101の厚みが上記下限値より小さいと、防錆膜101による耐食性向上の効果を十分に得ることができない。また、防錆膜101の厚みが上記上限値より大きいと、例えば十分な導電性を得ることができず溶接が困難になるといった問題がある。
また、防錆膜101の厚みは、上述した範囲内であればよいが、好ましくは40〜120μmであり、より好ましくは50〜90μmである。これにより、上述した効果をより顕著に得ることができる。
本実施形態において、防錆膜101は、上述したようなものであれば、特に限定されないが、以下、防錆膜101についてより具体的に説明する。
上述したように、防錆膜101は、金属成分として犠牲防食粒子を含む。犠牲防食粒子としては、上述したような鉄に対する犠牲防食作用を発揮させるものであれば特に限定されず、例えば、ニッケル、ニッケル合金、真鍮、アルミニウム、マグネシウム、亜鉛、亜鉛−アルミニウム合金、アルミニウム−鉄合金、AlMgZn、MgZn、MgZnなどの微粒子が挙げられる。
上述した中でも、犠牲防食粒子は、鉄よりも卑な金属によって構成されることが好ましい。また、犠牲防食粒子は、アルミニウム、亜鉛の一方または両方を含んで構成されることが好ましく、亜鉛を含んで構成されることがより好ましい。これにより、犠牲防食粒子による犠牲防食作用を十分に高いものとすることができ、めっき溶接形鋼1の耐食性を十分に高いものとすることができる。
中でも、亜鉛を多量に含んだ塗膜は、ジンクリッチ塗膜として知られている。防錆膜101は、このようなジンクリッチ塗膜を含んで構成されることができる。ジンクリッチ塗膜を形成するためのジンクリッチ塗料は、用いる溶媒に応じて、水系ジンクリッチ塗料と、溶剤系ジンクリッチ塗料と、に大別され、用いるバインダ成分の種別に応じて、有機系ジンクリッチ塗料と、無機系ジンクリッチ塗料と、に大別される。
防錆膜101を形成するために用いられるジンクリッチ塗料には、主成分として、不揮発成分(固形分)の全体に対して50質量%以上の亜鉛粉末が含有されていることが好ましい。ここで、ジンクリッチ塗料に含まれる亜鉛粉末の含有量が、防錆膜101に含有される亜鉛粉末の含有量となる。上記のような含有量の亜鉛粉末が含有されていることで、防錆膜101は、優れた犠牲防食能を具現化することが可能となる。ジンクリッチ塗料に含有される亜鉛粉末の含有量は、より好ましくは、80質量%〜98質量%である。
また、かかるジンクリッチ塗料には、亜鉛粉末が50質量%以上含有されてさえいれば、その他に、アルミニウム、マグネシウム、ケイ素、鉄、ニッケル等の元素が更に含有されていてもよい。これらの元素の含有量については、特に限定するものではないが、例えば、5質量%〜40質量%、好ましくは、6〜20質量%とすることが好ましい。
防錆膜101に含有される亜鉛粉末の形状は、特に限定されるものではなく、球状、棒状、塊状、針状等、任意の形状であってよいし、ブレンドすることもできる。また、防錆膜101に含有される亜鉛粉末の平均粒径は、0.1μm〜100μmであることが好ましく、0.1μm〜50μmであることがより好ましい。なお、亜鉛粉末の平均粒径は、動的光散乱法、誘導回折格子法、レーザー回折・散乱法等の公知の方法を利用して測定することが可能である。なお、亜鉛粉末以外の犠牲防食粒子についても同様である。
ジンクリッチ塗料に含有されているバインダ成分としては、上記のように有機系または無機系のバインダ成分を利用することが可能である。
このような有機系バインダ成分としては、特に限定されないが、例えば上述したようなエポキシ系樹脂、アクリル樹脂、ウレタン系樹脂および/またはポリエステル系樹脂を含む樹脂とすることができる。
エポキシ系樹脂の具体例としては、例えば、ビスフェノールA型のエポキシ樹脂であるDIC製EPICLON(登録商標)840や850シリーズを挙げることができる。薄膜を塗布するには低粘度であることが有利であり、このような低粘度のエポキシ系樹脂として、EXA−850CRPが例示できる。
アクリル樹脂の具体例としては、例えば、常温・強制乾燥用アクリル樹脂である、DIC製アクリディック(登録商標)A−1371やA-1381シリーズ等を挙げることができる。
ウレタン系樹脂の具体例としては、例えば、湿気硬化型、ラッカー型、油変性型のウレタン樹脂を挙げることができる。このようなウレタン系樹脂として、例えば、DIC製のウレタン樹脂BURNOCK(登録商標)シリーズが例示できる。
ポリエステル系樹脂の具体例としては、例えば、ブロックイソシアネート硬化型ポリエステル樹脂や飽和ポリエステル樹脂を挙げることができる。このようなポリエステル系樹脂として、例えば、DIC製のファインディック(登録商標)M8020シリーズや日本ユピカ製のユピカコートGV110シリーズ等が例示できる。
また、無機系バインダとしては、トラアルコキシシリケート、アルキルトリアルコキシシリケート、ジアルキルジアルコキシシリケート等や、これらシリケートの部分縮合体及び/又はこれらシリケートを水及び酸触媒の存在下で縮合反応させた加水分解縮合体等といった、ケイ素を含有する無機バインダ樹脂を利用することができる。
ここで、テトラアルコキシシリケートとしては、例えば、テトラメトキシシリケート、テトラエトキシシリケート、テトラプロポキシシリケート、テトライソプロポキシシリケート、テトラブトキシシリケート、テトライソブトキシシリケート等を挙げることができる。また、アルキルトリアルコキシシリケートとしては、例えば、メチルトリメトキシシリケート、メチルトリエトキシシリケート、メチルトリプロポキシシリケート、エチルトリメトキシシリケート、エチルトリエトキシシリケート等を挙げることができる。また、ジアルキルジアルコキシシリケートとしては、例えば、ジメチルジメトキシシリケート、ジメチルジエトキシシリケート、ジエチルジメトキシシリケート、ジエチルジエトキシシリケート等を挙げることができる。これらのシリケート化合物は、単独で使用してもよいし、2種以上を組み合わせて使用してもよい。また、上記シリケート化合物に対して、水分散型コロイダルシリカ、溶剤分散型コロイダルシリカ等のコロイダルシリカを併用してもよい。
また、無機系バインダ成分として、必要に応じて、ケイ素以外の金属アルコキシド、金属コロイド、ポリビニルアルコール樹脂等の成分を添加してもよい。
なお、防錆膜101の形成に用いられるジンクリッチ塗料には、必要に応じて、通常の体質顔料、防錆顔料、着色顔料等を塗膜の緻密性を損なわない程度で添加してもよい。体質顔料としては、例えば、シリカ粉、硫酸バリウム、炭酸カルシウム、タルク、カオリン、クレー、シリカバルーン等を挙げることができ、防錆顔料及び着色顔料としては、例えば、酸化チタン、リン化鉄、雲母状酸化鉄、シアナミド鉛、ジンククロメート、リン酸亜鉛、リン酸カルシウム、メタホウ酸バリウム、モリブデン酸亜鉛、モリブデン酸アルミニウム、ベンガラ、シアニン系着色顔料、カーボンブラック、ルチル粉末、ジルコン粉末等を挙げることができる。
また、防錆膜101の形成に用いられるジンクリッチ塗料には、更に必要に応じて、沈降防止剤、タレ止め剤、湿潤剤、反応促進剤、付着性付与剤等の通常の塗料用添加剤が適宜添加されていてもよい。
以上説明したようなジンクリッチ塗料を用いて形成されるジンクリッチ塗膜の厚みは、母材鋼板11に形成されている亜鉛系めっき層13の厚みの約2倍程度とすることが好ましい。ジンクリッチ塗膜の厚みを、亜鉛系めっき層13の厚みの約2倍程度とすることで、防錆膜101が、亜鉛系めっき層13とほぼ同程度の耐食性を実現することが可能となる。
また、上記のようなジンクリッチ塗膜の厚みを付着量で表わした場合、その付着量は、金属Zn量換算で、18g/m〜700g/mであることが好ましく、35g/m〜700g/mであることがより好ましく、70g/m〜700g/mであることが更に好ましい。
以上、犠牲防食粒子を含む防錆膜101の具体例として、亜鉛粉末を用いた場合におけるジンクリッチ塗膜について説明した。ここで、亜鉛以外の犠牲防食粒子の場合も上述したようなジンクリッチ塗膜と同様に構成することができ、また、同様に塗料を調製することができる。
また、防錆膜101は、上述したような犠牲防食粒子を含む層のみによって構成されていてもよく、有機系ジンクリッチ塗料、無機系ジンクリッチ塗料の一方又は両方を用いて形成することができる。防錆膜101の密着性を考慮して、ビード15または母材鋼板11(亜鉛系めっき層13)の上に、有機系のジンクリッチ塗膜、無機系のジンクリッチ塗膜を順に形成してもよい。また、防錆膜101は、犠牲防食粒子を含む層と他の樹脂層とからなる複数層の積層体であってもよい。密着性を考慮すると、防錆膜101は、例えば、犠牲防食粒子を含む層と、当該層とビード15または母材鋼板11との間に配置される樹脂層とを含んで構成されることができる。このような樹脂層は、犠牲防食粒子を含む層とビード15または母材鋼板11との間の密着性を高いものとすることができる。また、耐食性を考慮すると、例えば、犠牲防食粒子を含む層の上層に樹脂層を設けても良い。このような樹脂層は下地の犠牲防食粒子を含む層の耐食性を高めることができる。すなわち、犠牲防食粒子を含む層上に配置された樹脂層は、母材鋼板11および犠牲防食粒子を含む層を保護するための表面保護塗膜層として機能する。
上記樹脂層を構成するための樹脂材料としては、上述した有機系バインダで列挙したものと同様の樹脂を用いることができる。また、上記樹脂層の厚みは、防錆膜101が上述した厚みを達成できる限り特に限定されないが、例えば、3〜30μm、好ましくは5〜20μm、より好ましくは7〜15μmである。上記のような範囲の場合、下層に位置する鋼成分と上層との間の密着性、及び、上層が形成されるまでの耐食性を十分に確保することできる。また、樹脂層の厚みが上記範囲内であると、塗装や乾燥などの所要時間を比較的短くできるとともに、樹脂層形成における作業性が良好となる。
なお、本実施形態に係る防錆層101は、図1、図2に模式的に示したように、ビード15や端面9における母材鋼板11のみならず、その周縁部における亜鉛系めっき層13上にも配置されている。これにより、ビード15および端面9の母材鋼板11を確実に防錆膜101により覆うことができ、亜鉛系めっき層13が欠損した部位の耐食性を十分に高いものとすることができる。
しかしながら、めっき溶接形鋼1が他の部材との溶接に供されることが判明している場合には、フランジ3および/またはウェブ5の他の部材との溶接予定部位に、防錆膜101が配置されていないことが好ましい。これにより、めっき溶接形鋼1の溶接予定部位における溶接性を十分に高いものとすることができる。
また、図1に示す防錆膜101において、ビード15とウェブ5との境界部からウェブ5の表面に沿って高さ方向へ向けてウェブ5を覆う幅、例えばWc1、Wc2は、好ましくは、2〜25mm、より好ましくは、5〜20mmである。さらに、上記幅Wc1、Wc2は、ビード15とウェブ5との境界部とウェブ5の高さ方向端面との間の距離Ww1、Ww2に対し、好ましくは2〜45%、より好ましくは、5〜35%である。これにより、ウェブ5において、他の部材を溶接するための溶接性が良好な領域を十分に確保することができる。
同様に、図2に示す防錆膜101において、ビード15とフランジ3との境界部からフランジ3の幅方向端面へ向けてフランジ3を覆う幅、例えばWc3は、好ましくは、2〜25mm、より好ましくは、5〜20mmである。さらに、上記幅Wc3は、ビード15とフランジ3との境界部とフランジ3の幅方向端面との間の距離Wに対し、好ましくは3〜65%、より好ましくは、5〜50%である。これにより、フランジ3において、他の部材を溶接するための溶接性が良好な領域を十分に確保することができる。
また、端面9の母材鋼板11上に形成された防錆膜101も、端面9からフランジ3の幅方向に向けてフランジ3を覆っている。この場合において、防錆膜101の端面9からフランジ3の幅方向に向けてフランジ3を覆う幅Wc4は、好ましくは、2〜10mm、より好ましくは、5〜8mmである。また、さらに、上記幅Wc4は、ビード15とフランジ3との境界部とフランジ3の幅方向端面との間の距離Wに対し、好ましくは2〜25%、より好ましくは、5〜20%である。これにより、フランジ3において、他の部材を溶接するための溶接性が良好な領域を十分に確保することができる。
以上、図1〜図2に基づいて、本実施形態に係るめっき溶接形鋼1の構成について説明した。
なお、めっき溶接形鋼1の防錆膜101の最外層の少なくとも一部には、光輝性顔料を含む塗膜を配置することができる(図示せず)。通常、ジンクリッチ塗膜の光沢は低いため、用途によっては補修塗装箇所が目立ち、意匠性が損なわれることがある。しかしながら、光輝性顔料を含む塗膜を防錆膜101の最外層に配することにより、めっき層が欠落していない健全部と同様のメタリック調の外観に仕上げること可能となる。
このような光輝性顔料としては、特に限定されないが、例えば、アルミニウム等の金属片、ガラスフレーク、シリカフレーク、酸化アルミニウムフレーク等のエフェクト顔料およびパール顔料等が挙げられる。これらのうち、光輝性顔料として、アルミニウム等の金属片を用いると、有機系塗膜105の存在をより目立たないものとすることができる。
また、上述した光輝性顔料を含む塗膜は、例えば、エポキシ系樹脂等の樹脂材料を含む塗料をスプレー等により塗布することにより形成できる。
なお、このような光輝性顔料を含む塗膜は、上述した防錆膜101の一部または全部のみならず、めっき溶接形鋼1の表面全体に形成することも可能である。
また、めっき溶接形鋼1のウェブ5およびフランジ3上には、化成処理被膜が形成されていてもよい。このような化成処理被膜としては、ジルコニウム(Zr)元素と有機酸とを含んで構成されるジルコニウム含有膜が挙げられる。化成処理被膜は、好ましくは、成分として、ジルコニウム元素および有機酸に加え、バナジウム(V)元素、リン(P)元素およびコバルト(Co)元素を含んで構成される。
また、有機酸としては、特に限定されるものではないが、例えば、グリコール酸、リンゴ酸、酒石酸、蓚酸、クエン酸、アスコルビン酸、乳酸、デヒドロ安息香酸、デヒドロアスコルビン酸、没食子酸、タンニン酸、フィチン酸が挙げられる。
このような化成処理被膜は、緻密な3次元構造を有する、バリアー性に優れ、耐食性が向上した複合被膜である。このような複合被膜は、有機酸と金属イオンが錯体形成により配位することにより、主にZr−Oによって緻密な三次元網目構造が形作られている。そして、三次元網目構造の間にバナジウム、有機酸、リン、コバルトが混ざるとともに、更にめっき表面のエッチングにより遊離した亜鉛などが取り込まれていると考えられる。なお、Zr−Oによる上記の三次元構造においては、一部のZrが他の元素に置換される場合もある。更に、化成処理被膜を形成する際の有機酸によるめっき表面のエッチングによって、被膜とめっき表面との界面における密着性が増し、耐食性と塗装密着性が向上している。
化成処理被膜は、好ましくは、Zr元素100質量部に対して有機酸を10〜90質量部、V元素を10〜45質量部、P元素を5〜100質量部、Co元素を0.1〜20質量部の比率で含有する。なお、化成処理被膜は、上述した成分以外の成分を含むものであってもよい。
このような化成処理被膜は、ウェブ5およびフランジ3の耐食性を十分に高いものとすることができる。一方で、このような化成処理被膜上には、塗料の組成によっては塗装が密着しにくい場合があるが、本実施形態の防錆膜101は上述したようなIが所定の範囲となることにより、化成処理被膜に対しても十分に密着することができる。
なお、上述したような光輝性顔料を含む塗膜が上述した防錆膜101と重複している場合には、好ましくは、これらの全ての塗膜を積層した積層膜が、上述した防錆膜101の厚さの範囲およびIの範囲を満足することが好ましい。
また、本実施形態に係るめっき溶接形鋼1は、めっき溶接H形鋼であるとして説明したが、本発明はこれに限定されない。例えば、本発明に係るめっき溶接形鋼は、例えば、溶接T形鋼、溶接溝形鋼、溶接コラムまたは溶接異形形鋼であってもよい。
<めっき溶接形鋼の製造方法について>
次に、めっき溶接形鋼の製造方法について説明する。
本実施形態に係るめっき溶接形鋼の製造方法では、亜鉛系めっき鋼板よりなるウェブ5と、亜鉛系めっき鋼板よりなり、ウェブ5に溶接されたフランジ3と、ウェブ5と前記フランジ3との溶接部位に形成されたビード15と、を備えためっき溶接形鋼1のビード15の少なくとも一部を防錆膜101で被覆する工程を有している。
まず、防錆膜101の被覆前のめっき溶接形鋼1としては、例えば、上述したように、亜鉛系めっき鋼帯を巻き取ったコイルを巻き戻し所定幅にスリットしてフランジ用鋼帯としたものと、亜鉛系めっき鋼帯を巻き取ったコイルを巻き戻してウェブ用鋼帯としたものと、を当接させた状態で、高周波抵抗溶接や高周波誘導溶接等によって連続的に溶接することで、製造される。
次に、めっき溶接形鋼1のビード15および端面9の母材鋼板11に対し、防錆膜101を形成する。かかる防錆膜101の形成方法は、特に限定されるものではなく、溶接部7のビード15や端面9における母材鋼板11に対して、防錆膜101を構成する塗料、例えばジンクリッチ塗料をスプレー塗装することにより形成することができる。また、所定付着量となるようにロールやガス吹き付けにより付着量を制御したり、ロールコータ等でジンクリッチ塗料を塗布したりすればよい。ジンクリッチ塗料を塗布した後、乾燥させることで、防錆膜101が形成される。厚い防錆膜101を形成する場合や、有機系のジンクリッチ塗膜及び無機系のジンクリッチ塗膜からなる防錆膜101を形成する場合など、ジンクリッチ塗料の塗布、乾燥を、適宜、繰り返してもよい。
なお、防錆膜101が樹脂層と犠牲防食粒子を含む層との積層体である場合には、適宜塗料の塗布および乾燥を上記のようにして繰り返すことにより、防錆膜101を形成可能である。
また、めっき溶接形鋼1を製造する際には、予め、防錆膜の形成に使用する塗料に含まれる金属成分の含有量と、所望の防錆膜の厚みから指標Iを算出して、適宜、使用する塗料の選定や防錆膜の厚みの調整を行うことが好ましい。防錆膜が複数層の積層体である場合、使用する塗料に含まれる金属成分の含有量(M、M、・・・M)と、防錆膜の各層の厚み(T、T、・・・T)とから、以下の式(2)によって指標Iを求めることができる。
(μm)=T(μm)×(100−M(質量%))/100+T(μm)×(100−M(質量%))/100+・・・+T(μm)×(100−M(質量%))/100 ・・・ (2)
ただし、式(2)中、T、T、・・・Tは、前記防錆膜を構成する各層の厚さ(μm)であり、M、M、・・・Mは、前記防錆膜を構成する各層中の前記金属成分の含有量(質量%)である。
以上により、本実施形態に係るめっき溶接形鋼1が製造される。このようなめっき溶接形鋼1は、防錆膜101により、亜鉛系めっき層13が欠損した部位の耐腐食性、ひいてはめっき溶接形鋼1全体の耐食性が十分に高いものとなっている。また、防錆膜101が所定の厚みおよびIの値を有することにより、防錆膜101の存在にも拘らず溶接性が優れたものとなっている。
<測定方法等について>
続いて、本実施形態に係るめっき溶接形鋼1の溶接部7や端面9における防錆膜101に関する各種の測定方法について、簡単に言及する。
防錆膜101の指標Iは、防錆膜101の厚みT(μm)および防錆膜中の金属成分の含有量M(質量%)を以下のように測定すれば算出することができる。防錆膜101が複数層の積層体である場合も、防錆膜101の全体の厚みTおよび防錆膜101に含まれる金属成分の含有量Mを測定すればよい。
防錆膜101の厚みTは、例えば、平板試験片の一部にマスキングを施したのち塗装を行い、非塗装部と塗装部の膜厚差を、例えば電磁膜厚計等で測定することで測定できる。また、溶接ビードのような形状部位では、塗装されためっき溶接形鋼から切り出したサンプルの断面を走査型電子顕微鏡(Scanning Electron Microscope:SEM)を用いて観察することで、防錆膜101の膜厚を測定することができる。防錆膜101が一層である場合も、複数層の積層体である場合も同様に測定することができる。
一方、防錆膜101の金属成分の含有量Mは、防錆膜101を形成しためっき溶接形鋼から一定面積で試料を切り出し、塗装成分を溶剤および酸等で溶解して測定すればよい。例えば、該当金属成分を誘導結合高周波プラズマ発光分光分析(Inductively Coupled Plasma−Atomic Emission Spectro−metry:ICP−AES)及び誘導結合高周波プラズマ質量分析(Inductively Coupled Plasma−Mass Spectro−metry:ICP−MS)を用いて定量することができる。
また、本実施形態に係るめっき溶接形鋼1の溶接部7や端面9に形成される防錆膜101の存在は、前述のように、製造されためっき溶接形鋼から切り出したサンプルの断面をSEMを用いて観察することで確認することができる。また、SEMによる断面観察を実施することで、防錆膜101を形成するための素地調整として、ブラスト処理が行われていないことも、あわせて確認することができる。また、SEMによる断面観察を実施することで、防錆膜101の厚みおよび存在範囲を観察、測定することが可能となる。
具体的な確認方法としては、例えば、以下のような方法を挙げることができる。
ここでは、より具体的な例として、亜鉛系めっき鋼帯を素材とするウェブ及びフランジとを接合しためっき溶接H形鋼の、ブラスト処理をせずスケールを有したままの溶接部に対し、膜厚が約70μmとなるように粒状の亜鉛粉末を含有した有機系ジンクリッチ塗装を施した。
この溶接H形鋼を、溶接ビード部を含んで切り出した。切り出したサンプルの表面を保護するための観察用保護塗膜として、表面を速乾性の塗料で保護し、その後、埋め込み用樹脂に埋め込んだ。凝固後、断面をバフ研磨仕上げとした。その後、チャージアップ防止のためC蒸着を施した。SEM観察した結果を、以下の図3に示す。図3のSEM写真の倍率は、20倍である。
図3から明らかなように、鋼の上層には溶接H形鋼のビードに対応するスケールが観察され、更にスケールの上層に、樹脂層、ジンクリッチ塗膜からなる防錆膜および観察用保護塗膜が観察されており、防錆膜の膜厚が評価可能であった。さらに、スケールを観察した結果、ブラスト処理が行われていないことも確認された。
また、本実施形態に係るめっき溶接H形鋼1の端面9についても、上記と同様にして観察用のサンプルを作製し、その断面をSEM観察することで、防錆膜の存在範囲および厚みを計測することが可能となる。
以上、本実施形態に係るめっき溶接形鋼1の溶接部7や端面9における防錆膜101に関する各種の測定方法について、簡単に説明した。
以下では、実施例を示しながら、本発明に係るめっき溶接形鋼及びめっき溶接形鋼の製造方法について、具体的に説明する。なお、以下に示した実施例は、本発明に係るめっき溶接形鋼及びめっき溶接形鋼の製造方法のあくまでも一例にすぎず、本発明に係るめっき溶接形鋼及びめっき溶接形鋼の製造方法が下記の例に限定されるものではない。
以下では、めっき溶接H形鋼および平板試験片を製造し、耐食性および溶接性についての評価を行った。
以下では、一般的な亜鉛系めっき鋼帯を用いて製造されためっき溶接H形鋼を利用し、かかるめっき溶接H形鋼のウェブとフランジとの溶接部に対して、以下のような処理を実施した。なお、用いた亜鉛系めっき鋼帯に形成されている亜鉛合金系めっき層の成分は、質量%で、Zn−11%Al−3%Mg−0.2%Siである。亜鉛系めっき鋼帯の亜鉛合金系めっき層の付着量は片面あたり140g/mのものを用いた。また、以下で用いためっき溶接H形鋼の溶接部には、母材鋼板の成分や酸化鉄を主成分とするスケールから構成されたビードが存在していることを確認している。一部の実施例では、亜鉛系めっき鋼帯上に化成処理被膜が形成されたものを用いた。化成処理被膜は、塩基性ジルコニウム化合物、バナジル(VO2+)含有化合物、リン酸化合物、コバルト化合物および有機酸塩を含有する水溶液を、ロールコートによって亜鉛系めっき鋼帯の両面に塗布、乾燥することにより、形成した。化成処理被膜の付着量は100mg/mとした。
なお、実施例で用いためっき成分は、上記のようにZn−11%Al−3%Mg−0.2%Siであるが、本発明が対象としている部位は溶接部であり、また、めっきが消失してスケールが存在していることが特徴であるため、めっき種については、Zn−11%Al−3%Mg−0.2%Siに限定されるものではない。以下に示す実施例では、上記亜鉛合金めっき以外に、片面あたり140g/mの付着量の純亜鉛めっき層を有する亜鉛めっき鋼帯も使用して、検証を行っている。
上記めっき溶接形鋼を、ウェブの中央で切断し、T形の試験片とした。この試験片の溶接ビード部および端部に関して防錆膜を形成した。
同様に、一般的な亜鉛系めっき鋼帯を切断し、平板試験片とし、T形試験片と同様に、防錆膜を形成した。
上記防錆膜の形成に際し、表1、表2に記載した量、金属成分を含有した塗料を、膜厚が表1、表2に記載した値となるようにスプレーで塗布を行った後、乾燥させた。防錆膜101の形成後、試料を採取して、SEMによる防錆膜の厚みT(μm)の測定、および、ICP分光分析法による防錆膜中の金属成分の含有量M(質量%)の測定を行い、Iを算出した。
尚、防錆膜が複数の積層体から構成されている場合は、上記記載のように防錆膜1を製膜した後、同様に、表1、表2に記載した量、金属成分を含有した防錆膜2を膜厚が表1、2に記載した値となるようにスプレーで塗布を行った後、乾燥させた。また、一部の実施例に関しては防錆膜1の形成後、または、防錆膜1および防錆膜2の形成後、色合わせ塗装として光輝性顔料を含む塗膜層(防錆膜3)を上塗り塗装した。この上塗り塗膜層(防錆膜3)は、光輝性顔料として燐片状のアルミニウム片を3質量%(固形分中8.5質量%)程度含有している神東塗料製のエポキシ系樹脂塗料(商品名:エスバ(登録商標)99シルバーを用いて、膜厚15μmとなるようにスプレー塗装した後、乾燥させて形成した。
以上のようにして得られた各試料に対して、耐食性および溶接性を評価した。評価方法は以下の通りである。
(耐食性)
耐食性は、防錆層にきずを付与することなく、JIS H8502に記載された腐食試験に供することで評価し、赤錆発生時間が135サイクル以上であったものを合格とし、表3、表4には「○」を記載した。また、赤錆発生時間が135サイクル未満であったものは不合格とし、表3、表4には「×」を記載した。
(溶接性)
溶接性は、得られたT形の試験片に、溶接ビードを形成するビードオン試験を実施して評価した。溶接手法は炭酸ガスシールドアーク溶接とした。溶接材料は日鐵住金溶接材料製の溶融亜鉛めっき鋼板向けソリッドワイヤである、NSSW YM28−Zを用いた。ワイヤの直径は1.2mmφのものを用いた。入熱量は150A、20Vの条件とし、30cm/mで試験片を移動させた。尚、アークトーチは垂直から25度傾斜させ、前進角を持たせた。T形の試験片に対しては、アーク溶接ビードを図4Aおよび図4Bに示した位置に形成した。また、平板の試験片に対しては、図5に示す位置に溶接ビードを形成した。
溶接性の評価は、防錆膜の引火性およびアーク溶接ビード形状の安定性によって行った。溶接後、防錆膜の消失や黒ずみがアーク溶接ビードから10mm以上に渡って観察されたものに関しては引火性不合格とし、表3、表4には「×」を記載した。またアーク溶接ビードがうまく形成されなかったものに関しては安定性不合格とし、表3、表4には「×」を記載した。上記2項目に関して問題なかったものを総合評価で合格とし、表3、表4には「○」を記載した。上記2項目に関して1項目でも不合格であったものに関しては、総合評価を不合格とした。
上記表3、表4から明らかなように、本発明例に対応する試料は、優れた耐食性および溶接性を同時に示すことが明らかとなった。一方で、比較例に対応する試料は、優れた耐食性と溶接性とを実現することが出来なかった。
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について詳細に説明したが、本発明はかかる例に限定されない。本発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者であれば、特許請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、これらについても、当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
1 めっき溶接H形鋼(めっき溶接軽量H形鋼)
3 フランジ
5 ウェブ
7 溶接部
9 端面
11 母材鋼板
13 亜鉛系めっき層
15 ビード
101 防錆膜

Claims (13)

  1. 亜鉛系めっき鋼板よりなるウェブと、
    亜鉛系めっき鋼板よりなり、前記ウェブに溶接されたフランジと、
    前記ウェブと前記フランジとの溶接部位に位置する溶接ビードと、
    前記溶接ビードの少なくとも一部を被覆し、金属成分を含有する防錆膜と、を備え、
    前記金属成分は、鉄に対して犠牲防食作用を有する粒子を含み、
    以下の式(1)で表されるIは、0.5〜30μmであり、
    前記防錆膜の厚みは、30〜130μmである、めっき溶接形鋼、
    (μm)=T(μm)×(100−M(質量%))/100 ・・・ (1)
    ただし、式(1)中、Tは、前記防錆膜の厚さ(μm)であり、Mは、前記防錆膜中の前記金属成分の含有量(質量%)である。
  2. 前記防錆膜中の前記金属成分の含有量Mは、前記防錆膜の全質量に対して、50〜98質量%である、請求項1に記載のめっき溶接形鋼。
  3. 前記犠牲防食作用を有する粒子は、アルミニウム、亜鉛の一方または両方を含んで構成される、請求項1または2に記載のめっき溶接形鋼。
  4. 前記防錆膜は、ジンクリッチ塗膜を含んで構成されている、請求項1〜3のいずれか一項に記載のめっき溶接形鋼。
  5. 前記防錆膜の少なくとも一部は、
    前記溶接ビードと前記ウェブとの境界部から前記ウェブの表面に沿って、2〜25mmの幅で前記ウェブを覆い、かつ
    前記溶接ビードと前記フランジとの境界部から前記フランジの幅方向端面へ向けて、2〜25mmの幅で前記フランジを覆うように、
    前記溶接ビードに沿って配置されている、請求項1〜4のいずれか一項に記載のめっき溶接形鋼。
  6. 前記防錆膜の少なくとも一部は、
    前記溶接ビードと前記ウェブとの境界部から前記ウェブの表面に沿って、前記ウェブの幅に対して2〜45%の幅で覆い、かつ
    前記溶接ビードと前記フランジとの境界部から前記フランジの幅方向端面へ向けて、当該境界部と前記フランジの幅方向端面との間の距離に対して3〜65%の幅で、前記フランジを覆うように、
    前記溶接ビードに沿って配置されている、請求項1〜4のいずれか一項に記載のめっき溶接形鋼。
  7. さらに、前記防錆膜は、前記フランジの端面の少なくとも一部を覆うように位置している、請求項1〜6のいずれか一項に記載のめっき溶接形鋼。
  8. 前記防錆膜は複数の層を含む積層体であり、
    前記複数の層のうち少なくとも一つの層は、前記金属成分を含む、請求項1〜7のいずれか一項に記載のめっき溶接形鋼。
  9. 前記防錆膜の前記複数の層における最外層の少なくとも一部は、光輝性顔料を含む塗膜である、請求項8に記載のめっき溶接形鋼。
  10. さらに、前記ウェブおよび/または前記フランジ上に位置し、ジルコニウム元素と有機酸とを含んで構成されるジルコニウム含有膜を備え、
    前記防錆膜は、少なくともその一部が前記ジルコニウム含有膜上に位置している、請求項1〜9のいずれか一項に記載のめっき溶接形鋼。
  11. 前記フランジを含む一対のフランジが、前記ウェブを介して対向するように配置された、めっき溶接H形鋼である、請求項1〜10のいずれか一項に記載のめっき溶接形鋼。
  12. さらなる部材との溶接に供されるものであり、
    前記フランジおよび/または前記ウェブの前記部材との溶接予定部位に、前記防錆膜が配置されていない、請求項1〜11のいずれか一項に記載のめっき溶接形鋼。
  13. 亜鉛系めっき鋼板よりなるウェブと、亜鉛系めっき鋼板よりなり、前記ウェブに溶接されたフランジと、前記ウェブと前記フランジとの溶接部位に形成された溶接ビードと、を備えためっき溶接形鋼の前記溶接ビードの少なくとも一部を防錆膜で被覆する工程を有し、
    前記防錆膜は、鉄に対して犠牲防食作用を有する粒子を含む金属成分を含有し、
    以下の式(1)表されるIは、0.5μm〜30μmであり、
    前記防錆膜の厚みは、30〜130μmである、めっき溶接形鋼の製造方法、
    (μm)=T(μm)×(100−M(質量%))/100 ・・・ (1)
    ただし、式(1)中、Tは、前記防錆膜の厚さ(μm)であり、Mは、前記防錆膜中の前記金属成分の含有量(質量%)である。
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