以下、図面を参照しつつ、本発明の各実施形態について説明する。以下の説明では、同一の部品には同一の符号を付してある。それらの名称および機能も同じである。したがって、それらについての詳細な説明は繰り返さない。
<第1の実施形態>
第1の実施形態では、本発明にかかる収納容器を冷蔵庫の扉の内側に取り付けた構成例について説明する。但し、本発明は、この構成に限定はされない。例えば、冷蔵庫以外の収納庫(貯蔵庫)の扉に本発明の収納容器を取り付けてもよい。
<冷蔵庫の全体構成>
図1には、本実施形態に係る冷蔵庫1の概略構成を示す。図1に示すように、冷蔵庫1は、最上段に冷蔵室11が配置され、最下段に第1の冷凍室12が配置されている。また、冷蔵庫1の中段には、右側に第2の冷蔵室13が配置され、左側の上段に製氷室14が配置され、左側の下段に第2の冷凍室15が配置されている。
本実施形態では、扉が設けられている面を冷蔵庫の前面とする。そして、前面を基準にして、冷蔵庫1を通常の状態で設置した場合に存在する位置に基づいて、冷蔵庫1の各面を、上面、側面、背面、及び底面とする。したがって、本明細書中において、「前面側」または「背面側」と規定するときは、任意の位置を基準として前面又は背面が設けられている側、あるいは、任意の位置から前面又は背面へ向かう方向のことを意味する。また、本明細書では、冷蔵庫の背面側から前面側へ向かう方向、あるいは、前面側から背面側へ向かう方向を、前後方向と呼ぶ。
また、冷蔵庫1の各貯蔵空間の前面には、開閉可能な扉がそれぞれ設けられている。例えば、本実施形態では、第1の冷蔵室(収納室)11の扉として、観音開き方式の冷蔵室扉(左側の冷蔵室扉11a及び右側の冷蔵室扉11b)が備えられている。左側の冷蔵室扉11aは、右側の冷蔵室扉11bよりもやや小さいサイズとなっている。また、図示はしていないが、第1の冷凍室12、第2の冷蔵室13、製氷室14、および第2の冷凍室15には、引き出し式の扉などが設けられている。
なお、本発明の冷蔵庫における各扉の構成は、上記のものに限定はされない。各貯蔵室の扉は、各貯蔵室の構造、用途、位置などに応じて、例えば、観音開き方式、左右の何れかの端部から開閉する方式、左右両側から開閉可能な方式、引き出し方式などを適宜採用することができる。
図2には、第1の冷蔵室11内の断面構成を示す。冷蔵室11の周囲は、断熱箱体2で形成されている。冷蔵室11内には、複数の仕切棚3a・3b・3c・3d、チルドケース4、製氷用の給水タンク5などが備えられている。また、左側の冷蔵室扉11aの内側(冷蔵室11側)には、上段と中段に、取り外し可能な収納容器10がそれぞれ取り付けられている。また、左側の冷蔵室扉11aの内側の下段には、ペットボトルD、大型の紙パックEなどの大型の飲料容器を主に収納するための収納容器20が取り付けられている。
冷蔵室扉11aの上段と中段に取り付けられている2つの収納容器10は、同一のものである。説明の便宜上、上段に取り付けられている収納容器を10aとし、下段に取り付けられている収納容器を10bとする。図2に示すように、収納容器10は、前後方向に列状に並んだ3個の収納空間を有している。各収納空間には、ビン、プラスチック容器(ペットボトル)、チューブ状容器などのような大きさ及び高さの異なる収容物A・B・Cが収容されている。
<収納容器の構成>
続いて、収納容器10の詳細な構成について、図3から図7を参照しながら説明する。図3から図6には、冷蔵室扉11aから取り外した状態の収納容器10を、様々な方向から見た場合の図を示す。また、図7は、図3に示す収納容器10の破線部分の断面図である。
なお、説明の便宜上、図3に示す状態の収納容器10を、収納容器10の正面とし、正面側に位置する収納容器10の外周面を前面とする。そして、前面を基準として、収納容器10の各面の位置を規定する。例えば、前面の反対側に位置する収納容器10の外周面を、背面(後面)とする。また、収納容器10の背面側から前面側へ向かう方向、あるいは、前面側から背面側へ向かう方向を、前後方向と呼ぶ。
各図に示されるように、収納容器10は、その外形を構成する部材として、主として、前面部31、背面部32、左側面部(側面部、外枠)33、右側面部34(外枠)、第1の仕切り壁35、第2の仕切り壁36、及び各底面部37・38・39を有している。また、収納容器10は、前後方向に列状に並んだ3個の収納空間21・22・23を有している。なお、本実施形態では、収納空間の数は3個であるが、本発明の収納容器においては、収納空間の数は、3個に限定はされない。本発明にかかる収納容器においては、前後方向に複数列の収納空間を有していることが好ましい。これにより、比較的小さなサイズの収容物を、横に整列させた状態で複数列配置することができる。
最前列(冷蔵室扉11aの裏面から最も離れた列)の収納空間21(前列に位置する収納空間)は、主として、前面部31と、第1の仕切り壁35と、底面部37とで形成されている。収納空間21は、深さL1を有している(図7参照)。本実施形態では、収納空間21の右側の端部の底面部37には、凸部42が形成されている。凸部42が形成されている部分は、収納空間21の他の部分の深さL1と比較して、深さが大きくなっている。
中央列の収納空間22は、主として、第1の仕切り壁35と、第2の仕切り壁36と、底面部38とで形成されている。収納空間22は、深さL2を有している(図7参照)。また、図4に示すように、収納空間22は、第3の仕切り壁43によって、さらに2つの部分に区分けされている。第3の仕切り壁43は、第2の仕切り壁36の表面から略垂直に立設するように設けられている。
最後列の収納空間23(後列に位置する収納空間)は、主として、第2の仕切り壁36と、背面部32と、底面部39とで形成されている。収納空間23は、深さL3を有している(図7参照)。
図5に示すように、各収納空間21・22・23の底面部37・38・39は、異なる高さに位置している。すなわち、収納容器10の底部には、段差が形成されている。これに伴って、各収納空間21・22・23の深さL1・L2・L3は、それぞれ異なっている。収納容器10においては、中央列の収納空間22の深さL2が最も大きくなっている。つまり、収納容器10では、収納空間22の底面部38が、下方に突出した形状となっている。
また、図4に示すように、収納容器10の各収納空間21・22・23の外枠の幅(すなわち、左側面部33と右側面部34との距離)を、それぞれWa・Wb・Wcとすると、各幅の大小関係は以下のようになっている。
Wa<Wb<Wc
すなわち、3列の収納空間21・22・23を囲う外枠(すなわち、左側面部33および右側面部34)は、前列の収納空間21から後列の収納空間23へ向けて、徐々に幅が大きくなっている。
この構成によれば、冷蔵室扉11aの壁面側に最も幅の広い収納空間23が当接する。これにより、扉の壁面への圧力が分散し、扉壁面の変形を抑えることができる。また、扉の回動半径が大きくなる外周側に最も幅の狭い収納空間21が位置するため、扉の回動時に、収納容器10と他の部材との衝突を起こりにくくすることができる。
また、収納容器10の各収納空間21・22・23は、冷蔵室扉11aに取り付けたときに、上方へ向かうにつれて前方へ傾斜するような構成となっている。このように、前方に傾斜するように収容物を収納することで、収容物を取出し易くすることができる。なお、収容物を傾斜させて収納することで、収容物の上端が上方へ出っ張り、冷蔵室扉11aの開閉時に他方の冷蔵室扉に11bとぶつかる可能性が生じる。そこで、収納容器10では、最前列の収納空間21の深さL1を、そのすぐ後方に位置する中央列の収納空間22の深さL1よりも浅くしている。これにより、背高の収容物を最前列の収納空間21に入れようとしても安定しないため、使用者は、後列側の収納空間22または23を、背高の収容物の収納空間として選択することになる。その結果、最前列の収納空間21には、比較的背の低い収容物を入れることになるので、収容物の出っ張りを抑えることができる。
このように、各収納空間21・22・23の深さL1・L2・L3をそれぞれ異ならせることで、高さの異なる種々の収容物を、収容物ごとに適した深さを有する収納空間に配置することができる。なお、最前列の収納空間21の深さL1と、最後列の収納空間23の深さL3との大小関係は特に限定はされない。例えば、本実施の形態の収納容器10のように、最前列の収納空間21の深さL1を最も小さくしてもよい。これにより、収納空間21の底面部37の位置(図2のP1及びP2)を高くすることができる。そのため、図2に示すように、収納容器10a及び10bを冷蔵室扉11aの上段と中段に取り付けた場合に、その下方に収納される収容物の出し入れをより容易に行うことができる。
また、各収納空間21・22・23の前後方向の幅(奥行き)W1・W2・W3(図7参照)も、それぞれ異ならせることが好ましい。これにより、サイズの異なる種々の収容物を、収容物ごとに適した幅を有する収納空間に配置することができる。
例えば、最前列の収納空間21の幅W1は、中央列の収納空間22の幅W2よりも小さくなっていることが好ましい。これにより、各収納空間21・22の深さL1・L2の大小関係と、各収納空間21・22の幅W1・W2の大小関係とを合わせることができる。そのため、収納空間21は全体的に小さなサイズの収容物により適した収納空間となり、収納空間22は全体的に大きなサイズの収容物により適した収納空間となる。これにより、底面が大きな収容物を最前列の収納区間21に収納しにくくなるため、最前列に配置された収容物による出っ張りをより確実に抑えることができる。なお、最前列の収納空間21の幅W1と、最後列の収納空間23の幅W3との大小関係は特に限定はされない。例えば、本実施の形態の収納容器10のように、最前列の収納空間21の幅W1を最も小さくしてもよい。
なお、第2の仕切り壁36において、第3の仕切り壁43の取り付け位置の近傍には、段差部36aが形成されている。このような段差部36aを設けることで、第2の仕切り壁36によって区分けされる2つの収納空間22及び23内の大きさを、段差部36aを境界として変更することができる。これにより、各収納空間の大きさを、サイズの異なる種々の収容物により適した大きさに区分けすることができる。
また、図4に示すように、第1の仕切り壁35の右側の端部は、右側面部34と接続されている一方、第1の仕切り壁35の左側の端部は、左側面部33と接続されていない。すなわち、第1の仕切り壁35の左側の端部と、左側面部33との間には、スペースS1が設けられている。このようなスペースS1が設けられていることによって、後述するように、冷蔵室扉11aの開閉動作時に、収納空間21の左端に配置されている収容物の逃げ場をつくることができる。これにより、冷蔵室扉11aの開閉動作時に、収納空間21の左端に配置されている収容物が、右側の冷蔵室扉11bの開放端部に衝突することを回避したり、万一衝突した場合の衝撃を緩和したりすることができる。
また、図4に示すように、第2の仕切り壁36の右側の端部44は、後方(すなわち、収納空間23側)に折れ曲がっている。そして、第2の仕切り壁36の右側の端部は、左側面部33とある程度の距離を保って離間している。このような屈曲した端部44を有することで、後述するように、冷蔵室扉11aの開閉動作時に、収納空間22の左端に配置されている収容物の逃げ場をつくることができる。これにより、冷蔵室扉11aの開閉動作時に、収納空間22の左端に配置されている収容物が、右側の冷蔵室扉11bの開放端部に衝突することを回避したり、万一衝突した場合の衝撃を緩和したりすることができる。
また、例えば、図8の収容物Cのような背高の収容物を、収容空間23における冷蔵室扉11aの開放端部側(図10では右端)に収容すると、所定半径Rからはみ出すおそれがある。しかし、屈曲した端部44が形成されていることで、収納空間23に収容される収容物が右側の冷蔵室扉11bの開放端部に衝突することを回避することができる。
以上のように、第1の仕切り壁35の左側端部及び第2の仕切り壁36の左側端部は、何れも左側面部33と離間していることが好ましい。このように、左側面部33に対して、各仕切り壁が接続されていないことで、収納容器10の樹脂成形加工時に発生し得る成形表面のヒケ及びムラの発生を抑えることができる。そのため、左側面部33の外側表面を滑らかな状態に仕上げることができる。さらに、収納容器10を透明の素材で形成した場合に、各仕切り壁の左側端部が左側面部33と離間している構成とすることで、収納容器10の意匠性を向上させることができる。
収納容器10の背面には、小さな溝状の小物収納スペース45が形成されている。この小物収納スペース45には、例えば、わさび、ショウガなどのような薬味パック、ソース、しょうゆなどの調味料パックなどを収容することができる。
また、小物収納スペース45の左右両側の端部には、冷蔵室扉11aに取り付けるためのフック(係合部)46が形成されている。フック46は、冷蔵室扉11aに形成された溝(係止部)に嵌め込まれる。これにより、収納容器10は、冷蔵室扉11aに固定される。フック46および溝(係止部)の形成位置は、冷蔵室扉11aに対して収納容器10を安定した状態で固定できる位置であればよい。例えば、フック46は、左右両側の側面部33・34の後方側に形成することができる(図4、図5など参照)。また、溝(係止部)は、フック46が嵌合できるように、冷蔵室扉11aの側壁71に形成することができる。
さらに、収納容器10の左側面部33および右側面部34には、補強リブ(補強部材)41a及び41bがそれぞれ形成されている。補強リブ41a及び41bは、収納容器10を冷蔵室扉11aに取り付けた際に、冷蔵室扉11aの側壁71に当接するような形状となっている(図8参照)。補強リブ41a及び41bが設けられていることで、収納容器10を冷蔵室扉11aにより安定した状態で固定させることができる。また、補強リブ41a及び41bの端部を折り曲げた形状とすることで、強度を向上させることができる。
収納容器10を、フック46と補強リブ41a、41bとで冷蔵室扉11aに固定することで、収納容器10へかかる収納物の重量を分散させることができる。特に各収納空間が前傾していると、収容物の重心が収納容器10の前方に偏りがちとなる。これにより、フック46を軸とした下方への回転モーメントが起こる。このような場合に、補強リブ41a及び41bが、冷蔵室扉11aの側壁71と当接していることで、この回転モーメントを冷蔵室扉11aの側壁71の頭頂部の面で分散して受けることができる。そのため、冷蔵室扉11aの側壁71や収納容器10の局所に応力が集中して、冷蔵室扉11a及び収納容器10が、変形したり破損したりすることを抑えることができる。
なお、図4に示すように、小物収納スペース45は、左右両側のフック46と連結するように形成された突出部45aによって形成されている。このような突出部45aを備えることで、収納容器10の強度を向上させることができる。
<収納容器を取り付けた冷蔵室扉の構成>
続いて、収納容器10を取り付けた状態の冷蔵室扉11aの構成と、冷蔵室扉11aの開閉動作について、図8から図10を参照しながら説明する。図8は、冷蔵室扉11aの内側の状態を示す。図8では、冷蔵室扉11aの開放端部側を手前に示す。図9および図10には、冷蔵室扉11aが閉状態から開状態となるまでの動きを、(a)から(c)に順に示す。
図8に示すように、冷蔵室扉11aの内側(裏面)には、上段から順に、収納容器10a、収納容器10b、大型の収納容器20が取り付けられている。収納容器10a及び10bは、上述の収納容器10と同一の構成である。
冷蔵室扉11aの裏面の左右両側の端部近傍には、裏面から突出した側壁71が、端部に沿うようにして配置されている。各収納容器10a・10b・20は、左右両側の側壁71・71同士の間に嵌め込まれている。そして、収納容器10a及び10bの左側面部33及び右側面部34に形成された補強リブ41a及び41bは、冷蔵室扉11aの各側壁71の頭頂部に当接している。
図8に示すように、冷蔵室扉11aの下段に取り付けられた収納容器20には、大型のペットボトルD、紙パックEなどの比較的背の高い収容物が配置される。収納容器20については、従来の冷蔵庫扉に取り付けられた収納容器と同様の構成を有している。
冷蔵室扉11aの上段及び中段に取り付けられた収納容器10a及び10bには、中小型のペットボトル、中小型のビン、円筒形状の容器、チューブ状の容器などが配置される。上述したように、収納容器10は、前後方向に3列の収納空間を有している。そして、各収納空間21・22・23の深さは、それぞれ異なっている。そのため、冷蔵室扉11aに取り付けた際に、各収納空間21・22・23の深さ及び幅に合った収容物A・B・Cを、それぞれの収納空間21・22・23に配置することが好ましい。
例えば、最も深い中央列の収納空間22には、比較的背の高い中型のビン、円筒容器などの収容物Bを配置するのがよい。また、中間の深さを有する最後列の収納空間23には、中型の収容物Cを配置するのがよい。
また、最も浅い最前列の収納空間21には、比較的背の低い小型の円筒容器などの収容物Aを配置するのがよい。なお、収納空間21には、底面部37の一部には凸部42が形成されている。収納空間21において、凸部42が形成されている部分は、他の部分よりも深さが大きくなっている。そこで、この凸部42が形成されている部分には、チューブ状容器などの細長い形状の収容物を配置するのがよい。
図2および図8に示すように、収納容器10は、冷蔵室扉11aに取り付けた状態で、各収納空間21・22・23が、水平面に対して傾斜するような構成となっている。これにより、各収納空間が水平面に垂直となっている従来の収納容器と比較して、より高さのある収容物を、冷蔵室扉11aの収納容器に配置することができる。また、各収納空間21・22・23が、水平面に対して傾斜するような構成となっていることで、冷蔵室扉11aの内側の空間を有効利用することができる。
さらに、収納容器10は、最前列の収納空間21が最も浅くなっていることで、図8に示すように、第1の仕切り壁35の前面側に空間ができる。これにより、上段から順に、収納容器10a、収納容器10b、及び収納容器20と並べて取り付けた状態で、収納容器10aと収納容器10bとの間、並びに、収納容器10bと収納容器20との間に形成される空間を拡張させることができる。
上記の構成により、収納容器10の最後列の収納空間23や、収納容器20の後列の収納空間に、より高い収容物を収納することができる。また、図2に示すように、第1の仕切り壁35の前面側に空間があり、かつ、収納空間23が水平面に対して傾斜していることで、後列側に位置する収容物の取り出しを容易に行うことができる。
なお、中段に配置される収納容器10bと、下段に配置される収納容器20とは、次のような位置関係を有していることがより好ましい。すなわち、収納容器20の後列側の収納空間の底面の中央位置からの法線Lが、収納容器20の第1の仕切り壁35と交差する点の高さHが、中段の収納容器10bの収納空間21の最下点P1の高さよりも低いことが好ましい(図2参照)。これにより、収納容器20からの収納物の取り出し性をより良くすることができる。さらに、下段の収納容器20の後列の収納容積(特に、高さ)を拡張させることができる。
また、本実施形態にかかる収納容器10は、観音開き式の冷蔵室扉の左側の扉に取り付けられる。そのため、収納容器10は、左側の冷蔵室扉の開放端部側に位置する側面(すなわち、左側面部33)の形状が曲面状となっている。
より具体的には、収納容器10の左側面部33の表面(外周面)は、開閉動作を行う冷蔵室扉11aの回転中心Xから所定半径Rを有する円弧(図9において一点鎖線で示す)に沿って湾曲した形状となっている(図9参照)。これにより、冷蔵室扉11aの開閉動作時に、左側面部33は、冷蔵庫1の他の部位と接触することを回避できる。なお、半径Rの長さは、例えば、冷蔵室扉11aの回転中心Xから冷蔵室扉11aの開放端部までの距離よりも、数センチ程度小さい長さとすることができる。
図10には、収納容器10に収容物A・B・Cを収容した状態での冷蔵室扉11aの動きを示す。収納容器10が上記のような構成を有していることで、収納容器10の各収納空間に収容されている各収容物A・B・Cも、冷蔵室扉11aの開閉動作中、回転中心Xから所定半径R内に略収まるように、冷蔵室扉11aの開閉動作を行うことができる。
なお、収納容器10の最前列の収納空間21の左側面部33側に位置する収容物は、その高さによっては、冷蔵室扉11aの開閉動作時に、他方の冷蔵室扉11bの開放端部などに接触する可能性がある。
そこで、本実施形態にかかる収納容器10では、第1の仕切り壁35の左側の端部と、左側面部33との間に、スペースS1が設けられている。これにより、冷蔵室扉11aの開閉動作時に、万一、収納空間21の左側面部33側に位置する収容物が冷蔵室扉11bの開放端部などに接触した場合に、収容物をスペースS1の方へ移動させることができる。これにより、接触時の衝撃を和らげ、収容物及び冷蔵庫1内の部品の破損を抑えることができる。
また同様に、収納容器10の中央列の収納空間22の左側面部33側に位置する収容物は、その高さによっては、冷蔵室扉11aの開閉動作時に、他方の冷蔵室扉11bの開放端部などに接触する可能性がある。
そこで、本実施形態にかかる収納容器10では、第2の仕切り壁36の端部44が、後方(すなわち、収納空間23側)に折れ曲がっている。これにより、冷蔵室扉11aの開閉動作時に、万一、収納空間22の左側面部33側に位置する収容物が冷蔵室扉11bの開放端部などに接触した場合に、収容物を端部44の形状に沿って後方側へ移動させることができる。これにより、接触時の衝撃を和らげ、収容物及び冷蔵庫1内の部品の破損を抑えることができる。
以上のように、本実施形態にかかる収納容器10は、左側の冷蔵室扉11aの開放端部側に位置する側面(すなわち、左側面部33)の形状が所定半径Rを有する円弧状となっている。しかし、本発明にかかる収納容器は、この構成に限定されない。本発明の収納容器では、冷蔵庫の扉に取り付けた時に、扉の開放端部側に位置する収納容器の側面部が、扉の開閉動作時に、冷蔵庫の他の部位と接触しないような曲面状に形成されていればよい。
例えば、本発明を右側の冷蔵室扉11bに取り付ける収納容器に適用する場合には、本実施形態の収納容器10の左右の構成を入れ換えることが好ましい。また、冷蔵庫の扉が、左右両開き式である場合には、収納容器の左右両側の側面部が曲面状に形成されていてもよい。
上記の構成を有する収納容器によれば、冷蔵庫の扉の内側に、より広い収納空間を確保することができる。そのため、冷蔵庫内の収納スペースをより有効に活用することができる。
なお、冷蔵庫に取り付けられる従来の収納容器においては、冷蔵庫の扉の内側に取り付けて使用する際に、前方から後方へ向かって収納空間を複数列設けると、後列側の収納空間に収納された物が取り出しにくいという問題があった。つまり、冷蔵庫に取り付けて使用する収納容器において、前方から後方へ向かって収納空間を複数列設けると、ユーザにとって使いづらい面があった。
これに対して、本実施形態にかかる収納容器では、列状に並んで配置された3個の収納空間のうち、中央列に位置する収納空間の深さが最も深くなっている。そのため、最前列の収納空間の底面の位置が、中央列に位置する収納空間の底面の位置よりも高くすることができる。これにより、収納容器の前面側の底部に空間が形成され、収納容器を上下に配置した際に、下方に位置する収納容器への収容物の出し入れがし易くなる。したがって、本実施形態によれば、収納容器の使用時の利便性をより高めることができる。
また、本実施形態にかかる収納容器10は、上述したように、列状に並んで配置された3個の収納空間21・22・23を有している。そして、3個の収納空間21・22・23のうち、中央列に位置する収納空間22の深さが最も深くなっている。すなわち、図7に示すように、収納空間22の底面部38が、最も下方に突き出た形状となっている。
これにより、第2の実施形態で後述するように、収納容器10を平面上にも安定して載置することができる。またこのとき、各収納空間21・22・23が、載置面に対して傾斜した形状となる。そのため、各収容物の出し入れを容易に行うことができる。さらに、収納空間21及び収納空間23の何れの側を下側にした場合にも、安定した状態で、収納容器10を載置することができる。
<収納容器の変形例>
ここで、収納容器10の変形例について説明する。図11には、第1の変形例にかかる収納容器110を示す。図12には、第2の変形例にかかる収納容器210を示す。図13には、第3の変形例にかかる収納容器310を示す。
図11に示す収納容器110には、最前列の収納空間21内の前面部31に2つの突起部111・111が形成されている。それ以外の構成については、収納容器10と同じである。突起部111が設けられていることにより、冷蔵室扉11aの開閉動作時に、収納空間21内に配置される収容物が横に転がることを抑えることができる。
収納容器110では、最前列の収納空間21内に突起部111が設けられているが、他の収納空間22・23にも、同様の突起部を設けてもよい。また、収納容器110では、収納空間21内の前方側の内壁に突起部111を設けている。
図12は、第2の変形例にかかる収納容器210の断面図である。図12では、収納容器210を、地面に対して略垂直な壁W(例えば、冷蔵室扉11a)に取り付けた状態を示す。
収納容器210は、中央列の収納空間222の底部の形状が収納容器10とは異なっている。それ以外の構成については、収納容器10と同じである。図12に示すように、収納空間222の底部は、第1の底面部238aと第2の底面部238bとで形成されている。
第1の底面部238aと第2の底面部238bとは、約90度の角度をなして接続されている。そして、例えば、冷蔵室扉11aの裏面などのような壁面に収納容器210を取り付けた場合、第2の底面部238bは、壁Wと接触するように配置される。これにより、第1の底面部238aは、略水平(すなわち、壁Wに対して略垂直)な位置に固定される。
収納容器210のような構成を有することで、中央列の収納空間222に、より高さのある収容物を安定した状態で収容することができる。また、収納容器210によれば、冷蔵室扉11aの裏面の空間をより有効に利用することができる。
図13は、第3の変形例にかかる収納容器310の断面図である。図13では、収納容器310を、地面に対して略垂直な壁W(例えば、冷蔵室扉11a)に取り付けた状態を示す。
収納容器310は、中央列の収納空間322の底部の形状が収納容器10とは異なっている。それ以外の構成については、収納容器10と同じである。図13に示すように、収納空間322の底部は、底面部338で形成されている。例えば、冷蔵室扉11aの裏面などのような壁面に収納容器310を取り付けた場合、底面部338は、壁Wと接触するように配置される。そして、第1の仕切り壁335と底面部338とは、鋭角をなして接続されている。
収納容器310のような構成を有することで、中央列の収納空間322に、より高さのある収容物を安定した状態で収容することができる。このような収納空間322は、特に、先細の形状を有し、かつより高さのある収容物を収容するのに適している。また、収納容器310によれば、冷蔵室扉11aの裏面の空間をより有効に利用することができる。
<第2の実施形態>
続いて、本発明の第2の実施形態について説明する。第1の実施形態では、収納容器10を冷蔵室扉11aに取り付けて使用する例について説明した。しかし、本発明の収納容器は、このような用途のみに限定はされない。そこで、本実施形態では、収納容器を、冷蔵室内の仕切棚3a・3b・3c・3d(図2参照)のような平面上に収納容器を載置する例について説明する。
図14には、本実施形態にかかる収納容器10を平面(載置面)Pに載置した状態を示す。なお、収納容器10の構成自体は、第1の実施形態の収納容器10と同じ構成が適用できる。
図14では、収納空間21を下側にした状態で収納容器10を平面P上に載置している。この載置状態では、2つのポイントP1とP2が、平面P上に接触している。ここで、平面Pとの接触位置P1と、平面Pとの接触位置P2との間の領域を、平面Pとの第1の接触領域Aと呼ぶ。
本実施形態では、収納空間21を下側にして収納容器10を載置したとき(図14参照)に、平面Pとの第1の接触領域A(第2の載置面)内の鉛直上方に、収納容器10の重心が位置するように、収納容器10が成形されている。具体的には、収納空間21を下側にして収納容器10を載置したとき(図14参照)に、平面Pとの第1の接触領域A内に、収納容器10の底面部39の端部P3が位置する。
次に、図15には、収納空間23を下側にした状態で収納容器10を平面P上に載置した状態を示す。この載置状態では、2つのポイントP4とP5が、平面P上に接触している。ここで、平面Pとの接触位置P4と、平面Pとの接触位置P5との間の領域を、平面Pとの第2の接触領域Bと呼ぶ。
本実施形態では、収納空間23を下側にして収納容器10を載置したとき(図15参照)にも、平面Pとの第2の接触領域B(第1の載置面)内の鉛直上方に、収納容器10の重心が位置するように、収納容器10が成形されている。具体的には、収納空間23を下側にして収納容器10を載置したとき(図14参照)に、平面Pとの第2の接触領域B内に、収納容器10の底面部37の端部P6が位置する。
以上のように、平面Pとの第1の接触領域A内に、収納容器10の重心が位置するように、収納容器10が成形されていることで、図16に示すように、各収納空間21・22・23に収容物A・B・Cを入れた状態で、収納容器10を安定した状態で維持できる。なお、収納容器10を冷蔵室扉11aに取り付けて使用する場合には、上記の第1の載置面が冷蔵室扉11aの内側壁面に当接するように収納容器10を取り付ける。
また、平面Pとの第2の接触領域B内に、収納容器10の重心が位置するように、収納容器10が成形されていることで、図17に示すように、各収納空間21・22・23に収容物A・B・Cを入れた状態で、収納容器10を安定した状態で維持できる。
また、本実施形態では、図14に示すように、収納容器10の各収納空間21・22・23は、収納方向が載置面Pに対して傾斜している。これにより、収納容器10を平面上に載置した状態で、各収納空間21・22・23への収容物の出し入れを容易に行うことができる。
以上のように、本実施形態にかかる収納容器10は、収納空間21を下側にして載置した場合にも、収納空間23を下側にして載置した場合にも、安定した状態で平面上に載置できる。
また、第2の実施形態のように収納容器10を平面上に載置して使用した場合にも、上記のような構成を有する収納容器10を用いることで、種々の大きさの収容物を適切な収納空間に収容することができる。また、上記のような構成を有する収納容器によれば、複数列並んだ収納空間を有する収納容器において、載置方向を反転させることができる。このような収納容器は、例えば、冷蔵室内の棚の上、冷蔵庫外の食卓の上、調理用のキッチンカウンターの上などのような様々な場所に載置することができる。すなわち、本実施形態にかかる収納容器10は、様々な載置場所に適応できる汎用性を有する。
なお、収納容器10を平面上に載置するという用途のみに使用する場合には、補強リブ(補強部材)41a・41b、フック46などは、必ずしも設けなくてもよい。
但し、収納容器10を平面上に載置する場合にも、補強リブ41a・41bを設けてもよい。このとき、補強リブ41a・41bは、収納容器10の両側面(すなわち、左側面部33および右側面部34)に、上下方向に延在する突起面を有する。このような補強リブ41a・41bが設けられていることで、収納容器10を平面上に載置した場合に、収納容器10の転動を抑制することができる。なお、補強リブ41a・41bは、収納容器の第1の載置面(図15の第2の接触領域B)寄りに設けられていることが好ましい。
なお、本実施形態にかかる収納容器10では、各収納空間21・22・23の深さL1・L2・L3は、それぞれ異なっている。具体的には、収納容器10においては、中央列の収納空間22の深さL2が最も大きくなっている(図7参照)。
また、本実施形態にかかる収納容器10では、図4に示すように、収納容器10の各収納空間21・22・23の外枠の幅を、それぞれWa・Wb・Wcとすると、各幅の大小関係は以下のようになっている。
Wa<Wb<Wc
以上のように、収納容器10の3列の収納空間21・22・23のうち、中央列の収納空間22深さが最も深いので、載置面に対して収納空間を傾斜した状態で使用することができる(図14および図15参照)。そして、前列から後列に向けて段々と外枠の幅が大きくなっている(すなわち、Wa<Wb<Wc)ので、使用者の使い勝手に合わせて、載置方向を変更することができる。また、使用者の使い勝手に合わせて、種々のサイズの収容物を各収容空間21・22・23のうちの最適な収容空間に収容できる。
例えば、小さなサイズの収容物を手前に置きたい場合は前列側を下(第2の載置面を下)に配置し、より多くの収容物を手前に置きたい場合は後列側を下(第1の載置面を下)載置するなどすることができる。また、第1の載置面を下にして置いた際には、より幅の広い(すなわち、幅Wcを有する)収納空間23が載置面となるので安定性や、外観上の安定感が向上する。
また、各収納空間21・22・23の前後方向の幅(奥行き)W1・W2・W3(図7参照)については、例えば、収納空間21の奥行きW1をその他の収納空間の奥行きW2・W3よりも小さくすることが好ましい。これにより、前列の収納空間21は小さいサイズ用、後列の収納空間23は大容量の収容物用と、より明確に規定することができる。
さらに、本実施形態の収納容器10では、収納空間21を下側にした状態で収納容器10を平面P上に載置した場合(図14参照)と、収納空間23を下側にした状態で収納容器10を平面P上に載置した場合(図15参照)とで、収納空間の収納方向の傾斜角度を異ならせることが好ましい。
例えば、図14および図15に示すように、収納空間21を下側にした状態で収納容器10を平面P上に載置した場合の傾斜角度に比べて、収納空間23を下側にした状態で収納容器10を平面P上に載置した場合の傾斜角度が大きくすることができる。すなわち、第1の載置面を載置面としたときの収納空間の収納方向の傾斜角度(図15参照)は、前記第2の載置面を載置面としたときの前記収納空間の収納方向の傾斜角度(図14参照)よりも大きくすることができる。これは、収納空間23の幅Wcの方が、収納空間21の幅Waよりも大きく、傾斜角度をより大きくしても、平面載置時の安定性を維持できるためである。図15に示すように、傾斜角度をより大きくすることで、収納空間23に重量物が収容された場合であっても、重心が前方に移動しにくくなり、収納容器を倒れにくくすることができる。
これに対して、図14に示す載置状態は、図15に示す載置状態ほど安定性は高くないが、傾斜角度を小さくしているため、転動しにくいという効果を有する。また、図14に示す載置状態では、重量物は上方の収納空間21に収容される可能性が高い。重量物を上方の収納空間に収容する場合、傾斜角度が大きいと収納容器が後ろに倒れるおそれがある。そこで、図14に示す載置状態では、傾斜角度がより小さいことが好ましい。これにより、図14に示し載置状態での安定性を維持することができる。
したがって、収納空間の大きさと傾斜角度を上記の組み合わせとすることで、どちらの載置面で載置しても収容物を安定して収納することができる。
<収納容器の変形例>
ここで、収納容器10の変形例について説明する。図18は、第4の変形例にかかる収納容器410の断面図である。図18では、収納容器410を、図17に示す収納容器10と同様の方法で載置した状態を示す。
収納容器410は、最後列の収納空間423(下側に位置する収納空間423)の形状が収納容器10とは異なっている。それ以外の構成については、収納容器10と同じである。図17に示すように、収納容器410では、背面部432からより背面側に突出した突出部443が形成されている。
そして、収納容器410では、2つのポイントP4とP5’が、平面P上に接触している。図17と図18とを比較すれば分かるように、収納容器410の方が、第2の接触領域Bがより大きくなっている。
そのため、収納容器410は、収納空間423を下側にして載置した場合に、載置状態をより安定させることができる。また、収納容器410のような構成を有することで、より幅の大きな収容物Dを、収納空間423に収容することができる。
<第3の実施形態>
上述の第1及び第2の実施形態では、本発明の収納容器を冷蔵庫内で使用する場合の例について説明した。しかし、本発明にかかる収納容器の用途は、冷蔵庫内の使用に限定されない。そこで、第3の実施形態では、冷蔵庫以外の場所で収納容器を使用する例について説明する。
第3の実施形態にかかる収納容器10の構成は、上述した第1の実施形態及び第2の実施形態で説明した収納容器の構成を同様に適用することができる。また、収納容器10の載置方法は、第2の実施形態において説明した平面上に収納容器を載置する方法を適用することができる。収納容器10の載置場所としては、例えば、キッチンの調理用カウンター、食卓、デスクなどの上が挙げられる。また、載置場所、用途などに応じて、最前列の収納空間21及び最後列の収納空間23の何れを下方にするかを適宜決めることができる。
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。また、本明細書で説明した異なる実施形態の構成を互いに組み合わせて得られる構成についても、本発明の範疇に含まれる。