JP2017196597A - 親水性物質を疎水性物質から分離する方法及び装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】比重が異なる親水性物質と疎水性物質を分離する方法、特に資源採掘に伴い生じる随伴水中の油を水から分離する方法及び装置の提供。【解決手段】少なくとも親水性物質と該親水性物質より比重が小さい疎水性物質を含む被処理液を、親水化表面を有するフィルターを通して該親水性物質と該疎水性物質とに分離する方法であって、その一部又は全部を該フィルターで構成した被処理液溜めに、該被処理液を満たす工程;該被処理液を満たした該被処理液溜めを、ろ液溜めに満たした親水性物質中に浸漬する工程;及び該被処理液溜め内の該被処理液の液面を、該ろ液溜め内の親水性物質の液面より高く維持することにより、該被処理液溜め内の該被処理液に含まれる親水性物質を、該フィルターを介して、該ろ液溜め内の親水性物質中に移動させて、該疎水性物質から分離しつつ、該ろ液溜めの下部から親水性物質を排出させる工程;を含む分離方法及び装置。【選択図】図1
Description
本発明は、親水性物質を疎水性物質から分離する方法、特に、比重が近い非相容物質の濁水、特に資源採掘に伴い発生する随伴水を油から分離する方法及び装置に関する。
石油、石炭、ガス等の掘削において、主生産物とともに、塩の水溶液と油分との混合物である随伴水が産出される。
在来型の油田及びガス田では、採掘が進むにつれて油ガス田が老化して行くため、該老化に伴って概ね以下のような採掘態様となる。
先ず、採掘初期においては、石油又はガスのみが地中圧によって自噴する。次いで、油ガス田の老化に伴って、油ガスとともに、地下水等が随伴水となって産出されるようになる。更に老化して油ガスの自噴ができなくなると、油ガス田に水又は海水を注入して地中圧を増加させて油ガスを噴出させる方法が採られる。この最終段階においては、油ガス田の老化時以上に随伴水が産出されることになる。
在来型の油田及びガス田では、採掘が進むにつれて油ガス田が老化して行くため、該老化に伴って概ね以下のような採掘態様となる。
先ず、採掘初期においては、石油又はガスのみが地中圧によって自噴する。次いで、油ガス田の老化に伴って、油ガスとともに、地下水等が随伴水となって産出されるようになる。更に老化して油ガスの自噴ができなくなると、油ガス田に水又は海水を注入して地中圧を増加させて油ガスを噴出させる方法が採られる。この最終段階においては、油ガス田の老化時以上に随伴水が産出されることになる。
また、シェール油ガス田においては、油ガスを生産する時に、地盤を水圧破壊するためにフラッキング水を注入する。従って、油ガスの生産時には、この注入水がフローバック水となって産出され、また随伴水も同時に産出される。これらの油ガス生産時には土壌由来の固形成分(岩、石、砂利、砂、粘土等)が随伴水とともに産出される油ガスの生産時には、これらの随伴水を効率よく高い精度で水相と油相と固相とに分けることが求められている。
図4に示すように、随伴水は、先ず重力分離(タンク)によって、油相と水相とに分けられる。重力分離処理は同時に大きな固形成分を除去することができるが、細かい砂や粘土は水相又は油相に移行する。油相は回収され、精製工程に組み入れられる。他方、水相は、相当量の塩とともに少量の油分を含むことから、再利用又は廃棄するためには浄化を要する。特に、海上油田掘削のためのプラットホームや掘削船において、不要の水相を海中投棄する際には、厳しい環境基準が課せられている。また、浄化水を飲料水・生活水として使用する場合には、極めて高度の精製が必要となる。
重力分離した後の水相を精製するには、先ず水相中に混入している残存油分を除去する油分分離工程と、油分が除去された水相から更に溶解物(例えば、無機塩)を除去する溶解物分離工程を含む少なくとも2段階の方法が採用されている。
前記油分分離工程においては、固形成分も同時に捕捉する高分子凝集剤によって残存油分と固形成分を捕捉する方法が採用されており、通常は更に、コアレッサによる精製が併用されている。高分子凝集剤によって捕捉された残存油分と固相は、高分子凝集剤とともに廃棄される。この方法によると、回収油の利用が不可能となること、高分子凝集剤コスト及び廃棄コストが発生することに加え、浄化の程度が不十分であって浄化水が有意量の油分を含有するという問題がある。
前記油分分離工程においては、固形成分も同時に捕捉する高分子凝集剤によって残存油分と固形成分を捕捉する方法が採用されており、通常は更に、コアレッサによる精製が併用されている。高分子凝集剤によって捕捉された残存油分と固相は、高分子凝集剤とともに廃棄される。この方法によると、回収油の利用が不可能となること、高分子凝集剤コスト及び廃棄コストが発生することに加え、浄化の程度が不十分であって浄化水が有意量の油分を含有するという問題がある。
前記溶解物分離工程においては、例えば、蒸留、油水分離フィルター蒸留、正浸透油水分離フィルター法、逆浸透油水分離フィルター法等の方法が採用されている。これらの方法は、水に溶解した塩を除去するには極めて有効な方法である。
しかしながら、正浸透油水分離フィルター法、逆浸透油水分離フィルター法において、被処理水として油分を含む水を供給すると、これらの方法に用いられる半透油水分離フィルターの表面に油分がファウリングする現象が起こるため、処理の経過とともに、透水量(浄化処理量)が著しく低下し、油水分離フィルター自体の耐久性が損なわれる、精製性能が損なわれる等の問題が発生する。
しかしながら、正浸透油水分離フィルター法、逆浸透油水分離フィルター法において、被処理水として油分を含む水を供給すると、これらの方法に用いられる半透油水分離フィルターの表面に油分がファウリングする現象が起こるため、処理の経過とともに、透水量(浄化処理量)が著しく低下し、油水分離フィルター自体の耐久性が損なわれる、精製性能が損なわれる等の問題が発生する。
このような問題を生じさせないためには、油分分離工程後の水に少量混入した油分を除去し、同時に固形成分を除去したうえで、溶解物分離工程に供することが有効である。
そこで、通常、油水分離後、溶解物分離工程前に、残存油分と固形成分を除去する前処理が行われる。この前処理は、フィルターの目詰まりを避けるために、以下のような多段階で行われることが多い。
油水分離後の処理水を、先ずはコアレッサ等で処理して、残存油分と固形成分の大部分を除いた後、好ましくは中空糸状のMF(マイクロフィルター)又は中空糸状のUF(ウルトラフィルター)を使用する処理が行われ、細かな固形成分を取り除く。
このような多段階からなる前処理を、1段階で行うことができれば、プロセス上もコスト上も非常に有用である。また、これらの処理によって除去された油分を回収して再利用することは困難である。さらに油水分離時に残存油分と固形成分を、フィルターを目詰りさせずに水相から分離することは一般に困難である。通常、重力による水相の透水であるため、残存油分と固形成分が水相の透水方向とフィルターへの目詰りの方向が上から下へと同じ方向であり、透水すればするほど残存油分や固形成分がフィルターに堆積する。さらに透水を大きくすると残存油分と固形成分がさらにフィルターに押し付けられ、さらに詰まりを発生し、圧縮によって固化してしまうので、さらに透水を阻害してしまう。
そこで、通常、油水分離後、溶解物分離工程前に、残存油分と固形成分を除去する前処理が行われる。この前処理は、フィルターの目詰まりを避けるために、以下のような多段階で行われることが多い。
油水分離後の処理水を、先ずはコアレッサ等で処理して、残存油分と固形成分の大部分を除いた後、好ましくは中空糸状のMF(マイクロフィルター)又は中空糸状のUF(ウルトラフィルター)を使用する処理が行われ、細かな固形成分を取り除く。
このような多段階からなる前処理を、1段階で行うことができれば、プロセス上もコスト上も非常に有用である。また、これらの処理によって除去された油分を回収して再利用することは困難である。さらに油水分離時に残存油分と固形成分を、フィルターを目詰りさせずに水相から分離することは一般に困難である。通常、重力による水相の透水であるため、残存油分と固形成分が水相の透水方向とフィルターへの目詰りの方向が上から下へと同じ方向であり、透水すればするほど残存油分や固形成分がフィルターに堆積する。さらに透水を大きくすると残存油分と固形成分がさらにフィルターに押し付けられ、さらに詰まりを発生し、圧縮によって固化してしまうので、さらに透水を阻害してしまう。
通常、比重が近い非相用の濁水を分離する場合、液相である油相と水相は重力分離で、固相はろ過分離が用いられるが、油相、水相、固相を1段階で分離できる方法は少なく、このような濁水をろ過分離を行うと油水分離フィルターに油相、固相が付着し、油水分離フィルター表面に油相を介した固相が固着し、油水分離フィルターが目詰りを生じ、透水能力を著しく低下するという問題がある。かかる問題は、パーティクル径が小さい場合は甚大であり、油水分離フィルター交換頻度を多くする、別の方法で多くのプロセスを並べて処理する等の必要性が生じてしまう。
そこで、随伴水を重力分離した後の水相から、残留油分と固形成分を安価且つ効率的に除去することができ、さらに除去した油分を回収・再利用できる手段が望まれている。特に、海上プラットホームや船上においては、使用可能なエネルギー資源が限られているから、稼働のために自然力以外のエネルギーを使用しないことや、少なくとも極力省力化することが好ましい。
かかる従来技術の水準に鑑み、本発明が解決しようとする課題は、親水性物質を疎水性物質から安価且つ効率的に分離する方法、特に、比重が近い非相容物質の濁水、特に資源採掘に伴い発生する随伴水を油から分離し、さらに分離した油分を回収・再利用できる方法及び装置を提供することである。
すなわち、本発明は、以下のとおりものである。
[1]少なくとも親水性物質と該親水性物質より比重が小さい疎水性物質を含む被処理液を、親水化表面を有するフィルターを通して該親水性物質と該疎水性物質とに分離する方法であって、以下の工程:
その一部又は全部を該フィルターで構成した被処理液溜めに、該被処理液を満たす工程;
該被処理液を満たした該被処理液溜めを、ろ液溜めに満たした該親水性物質中に浸漬する工程;及び
該被処理液溜め内の該被処理液の液面を、該ろ液溜め内の該親水性物質の液面より高く維持することにより、該被処理液溜め内の該被処理液に含まれる親水性物質を、該フィルターを介して、該ろ液溜め内の親水性物質中に移動させて、該疎水性物質から分離しつつ、該ろ液溜めの下部から親水性物質を排出させる工程;
を含む、前記分離方法。
[2]前記被処理液に含まれる親水性物質が水であり、疎水性物質が油である、前記[1]に記載の分離方法。
[3]前記ろ液溜めの下部から排出させた親水性物質を、さらに、親水性物質中に含まれる溶質を分離する工程に供する、前記[1]又は[2]に記載の分離方法。
[4]前記親水性物質中に含まれる溶質を分離する工程が、蒸留法、膜蒸留法、正浸透法、及び逆浸透法からなる群から選ばれる少なくとも1つの方法に係る工程である、前記[3]に記載の分離方法。
[5]前記正浸透法に係る工程に供する親水性物質は、油を50ppm以上100ppm以下で含有する、油田・ガス田の随伴水である、前記[4]に記載の分離方法。
[6]前記親水化表面を有するフィルターが、親水化処理された不織布から構成される、前記[1]〜[5]のいずれかに記載の分離方法。
[7]前記親水化処理された不織布が、ガラス繊維、ポリエステル繊維、及びポリアミド繊維からなる群から選ばれるいずれか1種以上から構成される不織布である、前記[6]に記載の分離方法。
[8]前記不織布の目付けが、1〜500g/m2であり、前記不織布を構成する繊維の太さ(直径)が、0.1μm〜10μmであり、そして前記不織布の平均孔径が、0.1μm〜10μmである、前記[6]又は[7]に記載の分離方法。
[9]前記フィルターの親水化表面が、不織布に非フッ素系親水材料を被覆したものである、前記[6]〜[8]のいずれかに記載の分離方法。
[10]前記非フッ素系親水材料が、アクリルエマルジョン粒子、スチレンエマルジョン粒子、アクリルスチレンエマルジョン粒子、アクリルシリコンエマルジョン粒子、シリコンエマルジョン粒子、ウレタン樹脂エマルジョン粒子、及び加水分解性ケイ素化合物の縮合物からなる群から選ばれるいずれか1種以上である、前記[9]に記載の分離方法。
[11]少なくとも親水性物質と該親水性物質より比重が小さい疎水性物質を含む被処理液を、親水化表面を有するフィルターを通して該親水性物質と該疎水性物質とに分離するための前記[1]〜[10]のいずれかに記載の分離方法に使用する装置であって、以下の:
その一部又は全部を該フィルターで構成した被処理液溜め;
該被処理液溜めをその内に収容し、その下部から親水性物質を排出することができるろ液溜め;及び
該被処理液溜め内の該被処理液の液面を、該ろ液溜め内の親水性物質の液面より高く維持することができる手段;
を具備する前記装置。
[1]少なくとも親水性物質と該親水性物質より比重が小さい疎水性物質を含む被処理液を、親水化表面を有するフィルターを通して該親水性物質と該疎水性物質とに分離する方法であって、以下の工程:
その一部又は全部を該フィルターで構成した被処理液溜めに、該被処理液を満たす工程;
該被処理液を満たした該被処理液溜めを、ろ液溜めに満たした該親水性物質中に浸漬する工程;及び
該被処理液溜め内の該被処理液の液面を、該ろ液溜め内の該親水性物質の液面より高く維持することにより、該被処理液溜め内の該被処理液に含まれる親水性物質を、該フィルターを介して、該ろ液溜め内の親水性物質中に移動させて、該疎水性物質から分離しつつ、該ろ液溜めの下部から親水性物質を排出させる工程;
を含む、前記分離方法。
[2]前記被処理液に含まれる親水性物質が水であり、疎水性物質が油である、前記[1]に記載の分離方法。
[3]前記ろ液溜めの下部から排出させた親水性物質を、さらに、親水性物質中に含まれる溶質を分離する工程に供する、前記[1]又は[2]に記載の分離方法。
[4]前記親水性物質中に含まれる溶質を分離する工程が、蒸留法、膜蒸留法、正浸透法、及び逆浸透法からなる群から選ばれる少なくとも1つの方法に係る工程である、前記[3]に記載の分離方法。
[5]前記正浸透法に係る工程に供する親水性物質は、油を50ppm以上100ppm以下で含有する、油田・ガス田の随伴水である、前記[4]に記載の分離方法。
[6]前記親水化表面を有するフィルターが、親水化処理された不織布から構成される、前記[1]〜[5]のいずれかに記載の分離方法。
[7]前記親水化処理された不織布が、ガラス繊維、ポリエステル繊維、及びポリアミド繊維からなる群から選ばれるいずれか1種以上から構成される不織布である、前記[6]に記載の分離方法。
[8]前記不織布の目付けが、1〜500g/m2であり、前記不織布を構成する繊維の太さ(直径)が、0.1μm〜10μmであり、そして前記不織布の平均孔径が、0.1μm〜10μmである、前記[6]又は[7]に記載の分離方法。
[9]前記フィルターの親水化表面が、不織布に非フッ素系親水材料を被覆したものである、前記[6]〜[8]のいずれかに記載の分離方法。
[10]前記非フッ素系親水材料が、アクリルエマルジョン粒子、スチレンエマルジョン粒子、アクリルスチレンエマルジョン粒子、アクリルシリコンエマルジョン粒子、シリコンエマルジョン粒子、ウレタン樹脂エマルジョン粒子、及び加水分解性ケイ素化合物の縮合物からなる群から選ばれるいずれか1種以上である、前記[9]に記載の分離方法。
[11]少なくとも親水性物質と該親水性物質より比重が小さい疎水性物質を含む被処理液を、親水化表面を有するフィルターを通して該親水性物質と該疎水性物質とに分離するための前記[1]〜[10]のいずれかに記載の分離方法に使用する装置であって、以下の:
その一部又は全部を該フィルターで構成した被処理液溜め;
該被処理液溜めをその内に収容し、その下部から親水性物質を排出することができるろ液溜め;及び
該被処理液溜め内の該被処理液の液面を、該ろ液溜め内の親水性物質の液面より高く維持することができる手段;
を具備する前記装置。
本発明に係る分離方法・装置は、比重が互いに近い非相容物質の濁水に含まれる物質を分離するときに使用できる分離方法である。本発明では、油水分離フィルターの少なくとも一部が水相中に配置されること、油水分離フィルター表面が親水化処理されていることで、油相や細かな固相が水相中に浮遊することで油水分離フィルターのろ過面にこれらが付着することを回避しつつ、水相を優先的に油水分離フィルターに透過することができる。特に、本発明は、少なくとも2種類以上の非相溶の物質からなる濁水中の水相、油相、固相の比重差が5g/cm3以内である物質の分離方法に有効である。また、油水分離フィルターの表面が親水化処理をされているので、油水分離フィルターの表面が親水性であるため、油相は油水分離フィルター表面から反発し、これに付着することなく、水相に浮遊することになる。それゆえ、油水分離フィルター内側部分に油相が蓄積されるので、かかる蓄積された油相を回収することができる。
以下、本発明の実施形態を詳細に説明する。
また、透水したい相(油相又は水相)に合わせて、分離に使用される油水分離フィルターの処理を変更することで対応でき、親水化処理を施すことによって水相を優先的に透水させることができ、又は親油化処理を施すことによって油相を優先的に透水させることもできる。尚、一般に、固相は油水分離フィルターを透過することができず、油水分離フィルターのろ過面内に残る。好ましくは、油水分離フィルターは親水化処理を施し、水相を優先的に透水することで、油相は軽(低)比重のため、油水分離フィルターのろ過内面内の上部に、固相は重(高)比重のために油水分離フィルターのろ過面の下部に分離することができ、簡単に水相、油相、固相の分離が可能となる。
また、透水したい相(油相又は水相)に合わせて、分離に使用される油水分離フィルターの処理を変更することで対応でき、親水化処理を施すことによって水相を優先的に透水させることができ、又は親油化処理を施すことによって油相を優先的に透水させることもできる。尚、一般に、固相は油水分離フィルターを透過することができず、油水分離フィルターのろ過面内に残る。好ましくは、油水分離フィルターは親水化処理を施し、水相を優先的に透水することで、油相は軽(低)比重のため、油水分離フィルターのろ過内面内の上部に、固相は重(高)比重のために油水分離フィルターのろ過面の下部に分離することができ、簡単に水相、油相、固相の分離が可能となる。
前記したように、本発明の1の実施形態は、少なくとも親水性物質と該親水性物質より比重が小さい疎水性物質を含む被処理液を、親水化表面を有するフィルターを通して該親水性物質と該疎水性物質とに分離する方法であって、以下の工程:
その一部又は全部を該フィルターで構成した被処理液溜めに、該被処理液を満たす工程;
該被処理液を満たした該被処理液溜めを、ろ液溜めに満たした該親水性物質中に浸漬する工程;及び
該被処理液溜め内の該被処理液の液面を、該ろ液溜め内の該親水性物質の液面より高く維持することにより、該被処理液溜め内の該被処理液に含まれる親水性物質を、該フィルターを介して、該ろ液溜め内の親水性物質中に移動させて、該疎水性物質から分離しつつ、該ろ液溜めの下部から親水性物質を排出させる工程;
を含む、前記分離方法である。
その一部又は全部を該フィルターで構成した被処理液溜めに、該被処理液を満たす工程;
該被処理液を満たした該被処理液溜めを、ろ液溜めに満たした該親水性物質中に浸漬する工程;及び
該被処理液溜め内の該被処理液の液面を、該ろ液溜め内の該親水性物質の液面より高く維持することにより、該被処理液溜め内の該被処理液に含まれる親水性物質を、該フィルターを介して、該ろ液溜め内の親水性物質中に移動させて、該疎水性物質から分離しつつ、該ろ液溜めの下部から親水性物質を排出させる工程;
を含む、前記分離方法である。
前記した効果に加え、本実施形態の分離方法は以下の効果をも奏する。
親水化を施す基体が不織布の場合、融着により袋状、筒状、籠状等の成型が容易にできる。また、不織布の線径を細くすることにより、最大平均孔径を小さくすることができ、分離する油相や固相のパーティクル径を小さくすることができ、分離精度をより高めることができる。
本実施形態の分離方法は、油分が混入した水を、安価且つ効率的に油分から分離除去することができる。そのため、本実施形態の分離方法と、蒸留システム、油水分離フィルター蒸留システム、正浸透浄水システム、逆浸透浄水システム等の水溶液から溶質を除去する工程を含む溶解物分離方法(以下、場合により、「随伴水浄化工程」ともいう。)をとを、接続して、連続浄水システムとすることができる。本実施形態の分離方法は、水溶液から溶質を除去する手段を有する溶解物分離方法の前処理として、簡便で有用な方法である。
本実施形態の分離方法は、水相、油相、固相を含む資源採掘における随伴水(石油、石炭、ガス等の掘削において産出される随伴水)や油を含む排水処理に有効であり、好ましくは除去した油分を回収・再利用することができるものとなる。
親水化を施す基体が不織布の場合、融着により袋状、筒状、籠状等の成型が容易にできる。また、不織布の線径を細くすることにより、最大平均孔径を小さくすることができ、分離する油相や固相のパーティクル径を小さくすることができ、分離精度をより高めることができる。
本実施形態の分離方法は、油分が混入した水を、安価且つ効率的に油分から分離除去することができる。そのため、本実施形態の分離方法と、蒸留システム、油水分離フィルター蒸留システム、正浸透浄水システム、逆浸透浄水システム等の水溶液から溶質を除去する工程を含む溶解物分離方法(以下、場合により、「随伴水浄化工程」ともいう。)をとを、接続して、連続浄水システムとすることができる。本実施形態の分離方法は、水溶液から溶質を除去する手段を有する溶解物分離方法の前処理として、簡便で有用な方法である。
本実施形態の分離方法は、水相、油相、固相を含む資源採掘における随伴水(石油、石炭、ガス等の掘削において産出される随伴水)や油を含む排水処理に有効であり、好ましくは除去した油分を回収・再利用することができるものとなる。
<分離方法>
本実施形態の分離方法は、比重が互いに近い少なくとも2種類以上の非相溶物質からなる濁水から油水分離フィルターを介して水相、油相、固相に分離する方法である。油水分離フィルターに細かな孔があることで、固相をろ過で分離できる。また、本実施形態の分離方法の油水分離フィルターの表面は、親水化処理が施され、その少なくとも一部が水相中であることで、油相や細かな固相が水相中に浮遊することで、油水分離フィルターのろ過面にこれらが堆積することなく、水相を優先的に油水分離フィルターに透過させることができる。さらに油水分離フィルターの表面が親水化処理を施されていることで、油水分離フィルターのろ過面に油相や細かな固相が付着することを回避しつつ、水相を優先的に油水分離フィルターに透過することができる。
本実施形態の分離方法は、比重が互いに近い少なくとも2種類以上の非相溶物質からなる濁水から油水分離フィルターを介して水相、油相、固相に分離する方法である。油水分離フィルターに細かな孔があることで、固相をろ過で分離できる。また、本実施形態の分離方法の油水分離フィルターの表面は、親水化処理が施され、その少なくとも一部が水相中であることで、油相や細かな固相が水相中に浮遊することで、油水分離フィルターのろ過面にこれらが堆積することなく、水相を優先的に油水分離フィルターに透過させることができる。さらに油水分離フィルターの表面が親水化処理を施されていることで、油水分離フィルターのろ過面に油相や細かな固相が付着することを回避しつつ、水相を優先的に油水分離フィルターに透過することができる。
本実施形態の分離方法のろ過の駆動力は、油水分離フィルター外の水相液面と、袋状又は籠状の油水分離フィルターの内側に濁水を導入した後の濁水液面との差によって生じる重力が駆動力である。すなわち、濁水の重力圧を使用して油水分離フィルターを介して水から油を分離する方法である。通常のろ過分離では、濁水自体の重力の全てを使用してフィルターを透過する物質と透過しない物質とに分離するが、本実施形態の分離方法は、濁水中の液相と固相を分離するだけでなく、液相中の非相溶の物質同士をも分離することができる。
比重が近い非相溶の濁水を分離する場合、液相である油相と水相は重力分離で、固相はろ過分離が用いられるが、一つのプロセスで一気に油相、水相、固相を分離できる方法が少なく、このような濁水のろ過分離を行うと油水分離フィルターに油相、固相が付着して、油水分離フィルター表面に油相を介した固相が固着して、油水分離フィルターが目詰りを生じ、透水能力を著しく低下することが知られている。これは、特にパーティクル径が小さい場合に顕著であり、油水分離フィルター交換頻度を多くしたとしても、所望の分離性能を発揮できないこともある。本実施形態の分離方法では、油水分離フィルターの少なくとも一部が水相中に配置され、かつ、油水分離フィルター表面が親水化されているため、油相や細かな固相が水相中に浮遊することで油水分離フィルターのろ過面にこれらが付着することを避けつつ、水相を優先的に油水分離フィルターに透過させることができる。特に、本実施形態の分離方法は、少なくとも2種類以上の非相溶の物質からなる濁水中の水相、油相、固相の比重差が5g/cm3以内である物質同士を互いに分離するために有効である。好ましくは、油相、水相、固相の順により高密度となる。
より好ましくは、油水分離フィルターを安定して水相に少なくとも一部存在させる観点から、分離機能を発揮する油水分離フィルターの密度は、低密度から順に、油相、水相、油水分離フィルター、固相であることが好ましい。油相の比重は1g/cm3以下、水相の比重は1−1.25g/cm3、油水分離フィルターの比重は1〜2g/cm3、固相の比重は1〜6g/cm3であることより好ましい。水相中に油水分離フィルターの少なくとも一部を安定して存在させるためには、濁水の導入水圧による力や水量による油水分離フィルター内外の液面差さによる位置エネルギーによる力を利用してもよく、さらに、水相の比重よりも油水分離フィルターの比重を大きく(高く)してもよい。本実施形態の油水分離フィルターは、ガラス、ポリエステル又はポリアミドから構成される不織布であることが好ましい。
より好ましくは、油水分離フィルターを安定して水相に少なくとも一部存在させる観点から、分離機能を発揮する油水分離フィルターの密度は、低密度から順に、油相、水相、油水分離フィルター、固相であることが好ましい。油相の比重は1g/cm3以下、水相の比重は1−1.25g/cm3、油水分離フィルターの比重は1〜2g/cm3、固相の比重は1〜6g/cm3であることより好ましい。水相中に油水分離フィルターの少なくとも一部を安定して存在させるためには、濁水の導入水圧による力や水量による油水分離フィルター内外の液面差さによる位置エネルギーによる力を利用してもよく、さらに、水相の比重よりも油水分離フィルターの比重を大きく(高く)してもよい。本実施形態の油水分離フィルターは、ガラス、ポリエステル又はポリアミドから構成される不織布であることが好ましい。
<分離装置>
本実施形態の分離装置は、少なくとも親水性物質と該親水性物質より比重が小さい(低い)疎水性物質とを含む被処理液を、親水化表面を有するフィルターを通して該親水性物質と該疎水性物質とに分離するための装置であって、以下の:
その一部又は全部を該フィルターで構成した被処理液溜め;
該被処理液溜めをその内に収容し、その下部から親水性物質を排出することができるろ液溜め;及び
該被処理液溜め内の該被処理液の液面を、該ろ液溜め内の親水性物質の液面より高く維持することができる手段;
を具備する、前記分離方法に使用するための前記装置である。
本実施形態の分離装置は、少なくとも親水性物質と該親水性物質より比重が小さい(低い)疎水性物質とを含む被処理液を、親水化表面を有するフィルターを通して該親水性物質と該疎水性物質とに分離するための装置であって、以下の:
その一部又は全部を該フィルターで構成した被処理液溜め;
該被処理液溜めをその内に収容し、その下部から親水性物質を排出することができるろ液溜め;及び
該被処理液溜め内の該被処理液の液面を、該ろ液溜め内の親水性物質の液面より高く維持することができる手段;
を具備する、前記分離方法に使用するための前記装置である。
本実施形態の油水分離装置は、図1に示すように、例えば、油水混合液入口を有するその一部又は全部を前記フィルターで構成した被処理液溜め;該被処理液溜めをその内に収容し、その下部から親水性物質(例えば、分離水)を排出することができる、例えば、分離水の出口を有するろ液溜め;及び該被処理液溜め内の該被処理液の液面を、該ろ液溜め内の親水性物質の液面より高く維持することができる手段;を具備する。
図1は、比重が近い少なくとも2種類以上の非相溶物質からなる濁水を油水混合液入口から油水分離フィルター内面に導入し、油水分離フィルターが少なくとも一部が水相中であり、油水分離フィルターを介して水相、油相、固相を分離するための装置の一例を示したものである。濁水水面が水相水面よりも高い位置に維持することによる位置エネルギー差により、油水分離フィルターを介して水を油と固形分から分離することができる。
図1は、比重が近い少なくとも2種類以上の非相溶物質からなる濁水を油水混合液入口から油水分離フィルター内面に導入し、油水分離フィルターが少なくとも一部が水相中であり、油水分離フィルターを介して水相、油相、固相を分離するための装置の一例を示したものである。濁水水面が水相水面よりも高い位置に維持することによる位置エネルギー差により、油水分離フィルターを介して水を油と固形分から分離することができる。
本実施形態の油水分離装置は、図1の構造や構成には限定されない。例えば、油水混合液入口となる開口部の少なくとも1つと、分離水出口となる開口部の少なくとも1つとを備え、流体が前記入口から流入して前記出口から排出される構造を有する適当なハウジング内に前記油水分離フィルターが配置されるような構造であることもできる。ここで、前記入口から流入した油水混合液は、前記油水分離フィルターを通過した分離水として、前記出口から排出されることになる。本実施形態の油水分離装置では、油水分離フィルター面以外に、流体が流通する経路を持たないことが、油水分離の効率性の観点から好ましい。
前記油水混合液入口及び分離水出口は、それぞれ、1個のみであってもよく、複数個であってもよい。例えば、平面に1個又は複数個の孔を穿った場合、メッシュ状の筺体を用いる場合等も、本発明の範囲に包含される。
ハウジングの形状としては、例えば、円筒状、多面体状、円盤状、球状、楕球状、チューブ状、スパイラル状等、凡そその内部を流体が流通し得る形状であれば、制限はない。
ハウジングの形状としては、例えば、円筒状、多面体状、円盤状、球状、楕球状、チューブ状、スパイラル状等、凡そその内部を流体が流通し得る形状であれば、制限はない。
親水化表面を有するフィルターの形状としては、例えば、平油水分離フィルター型、袋型、プリーツ型、籠状等であることができ、カートリッジ型であっても構わない。好ましくは一方のみ開口部を有する袋状又は籠状であることが、固形分の分離回収、水を安定してろ過する観点から、好ましい。本実施形態の油水分離装置では、これらのフィルターの1種又は複数種が多段に配置された態様も、好ましく採用することができる。この場合、前記入口から流入した油水混合液は、複数の油水分離フィルターを通過した分離水として、前記出口から排出されることになる。これらのうちの1種又は2種以上をパッケージ化した油水分離フィルターカートリッジも好ましく使用することができる。
本実施形態の油水分離装置への油水混合液の供給量としては、油水分離フィルターの単位面積当たり、単位時間あたり、1〜10,000L/(m2/分)とすることが好ましく、5〜5,000L/(m2/分)とすることがより好ましい。この範囲の供給量とすることにより、高い分離効率と高い透水量とを両立することができる。
本実施形態の油水分離装置では、供給された油水混合液から、水相のみを選択的に透過させて、油分が除去された分離水を排出する。油分は、油水分離フィルターにトラップされ、該フィルターを通過しない。ここで、油水混合液中の油分は、油水分離フィルターの撥油性によって、フィルターの油水混合液入口側の面上に油滴となって捕捉される。この油滴は、油水分離処理量の増加に連れて結合して油層を形成するから、これを回収・再利用することができる。これは、前記したように、本発明の有利な効果の1つである。
本実施形態の油水分離装置では、供給された油水混合液から、水相のみを選択的に透過させて、油分が除去された分離水を排出する。油分は、油水分離フィルターにトラップされ、該フィルターを通過しない。ここで、油水混合液中の油分は、油水分離フィルターの撥油性によって、フィルターの油水混合液入口側の面上に油滴となって捕捉される。この油滴は、油水分離処理量の増加に連れて結合して油層を形成するから、これを回収・再利用することができる。これは、前記したように、本発明の有利な効果の1つである。
<油水分離フィルター>
前記油水分離フィルターは、(親水化処理された)親水化表面を有する不織布であり、好ましくは、ぬれ張力25.4mN/m以下の不織布から構成される。かかる不織布としては、水含浸した後のヘキサデカン接触角が5°以上であるものが好ましい。
本実施形態の油水分離フィルターは、親水化処理又は親油化処理を施したものであることができる。好ましくは少なくとも一部が水相中に配置されること、及び油水分離フィルター表面が親水性であることで、油相や細かな固相が水相中に浮遊し、油水分離フィルターのろ過面にこれらが付着することを避けつつ、水相のみを優先的に油水分離フィルターに透過することができる。油水分離フィルターに親水化処理を施すことにより、油水分離フィルターの表面が親水性となることで、油相は油水分離フィルター表面から反発し、付着せずに、水相に浮遊することになる。そのため、油水分離フィルター内側部分に油相が蓄積され、かかる蓄積された油相を回収することができる。また、透水したい相(油相又は水相)に合わせて、分離に使用される油水分離フィルターの処理を変更することもでき、親水化処理を施すことによって水相を優先的に透水させたり、親油化処理を施すことによって油相を優先的に透水させたりすることもできる。
前記油水分離フィルターは、(親水化処理された)親水化表面を有する不織布であり、好ましくは、ぬれ張力25.4mN/m以下の不織布から構成される。かかる不織布としては、水含浸した後のヘキサデカン接触角が5°以上であるものが好ましい。
本実施形態の油水分離フィルターは、親水化処理又は親油化処理を施したものであることができる。好ましくは少なくとも一部が水相中に配置されること、及び油水分離フィルター表面が親水性であることで、油相や細かな固相が水相中に浮遊し、油水分離フィルターのろ過面にこれらが付着することを避けつつ、水相のみを優先的に油水分離フィルターに透過することができる。油水分離フィルターに親水化処理を施すことにより、油水分離フィルターの表面が親水性となることで、油相は油水分離フィルター表面から反発し、付着せずに、水相に浮遊することになる。そのため、油水分離フィルター内側部分に油相が蓄積され、かかる蓄積された油相を回収することができる。また、透水したい相(油相又は水相)に合わせて、分離に使用される油水分離フィルターの処理を変更することもでき、親水化処理を施すことによって水相を優先的に透水させたり、親油化処理を施すことによって油相を優先的に透水させたりすることもできる。
表面処理(親水化処理又は親油化処理)としては、いかなる公知の方法を用いてもよい。親水化は、水酸基、スルホン基、アミノ基等の極性分子を、化学結合やコーティング等で導入することで実現できる。他方、親油化は、極性基のアルキル基導入等の疎水化処理によって実現することができる。
公知の化学修飾、塗布処理、プラズマ処理やコロナ処理等いかなる方法を用いてもよい。例えば、化学修飾の場合、親水化処理として発煙硫酸等でスルホン基の導入をしてもよい。塗布処理の場合、親水化処理として界面活性剤の塗布、親水化剤の塗布等が挙げられる。簡便に親水化処理する方法としては、界面活性剤等の塗布等もあるが、耐久性等の問題があるため、親水化材料を安定的に基体に化学結合、水素結合等により導入することが好ましい。塗布処理の場合、塗布液を公知のいかなる方法によって塗布してもよい。例えば、スプレー塗布、ディップ塗布、グラビア塗工等が挙げられる。また、プラズマ処理、コロナ処理等の電気的な表面処理を行ってもよい。
公知の化学修飾、塗布処理、プラズマ処理やコロナ処理等いかなる方法を用いてもよい。例えば、化学修飾の場合、親水化処理として発煙硫酸等でスルホン基の導入をしてもよい。塗布処理の場合、親水化処理として界面活性剤の塗布、親水化剤の塗布等が挙げられる。簡便に親水化処理する方法としては、界面活性剤等の塗布等もあるが、耐久性等の問題があるため、親水化材料を安定的に基体に化学結合、水素結合等により導入することが好ましい。塗布処理の場合、塗布液を公知のいかなる方法によって塗布してもよい。例えば、スプレー塗布、ディップ塗布、グラビア塗工等が挙げられる。また、プラズマ処理、コロナ処理等の電気的な表面処理を行ってもよい。
本実施形態の油水分離フィルターは、不織布であることが製袋等の加工の観点より、好ましい。不織布の場合、融着により袋状、筒状、籠状等の成型が容易にできる。また、不織布の線径を細くすることにより、最大平均孔径を小さくすることができ、分離性能を所望のサイズに調整することができる。例えば、不織布の繊維径を細くすることにより最大平均孔径を小さくすることができ、分離する油相や固相のパーティクル径を小さくすることができ、分離精度をより高めることができる。さらに本実施形態の分離方法では、不織布の表面処理を施し、少なくとも油水分離フィルターの一部を水相中に存在させるだけである点で、安価且つ効率的なものである。
(I)基材(A)
[不織布]
前記不織布の材質としては、例えば、アラミド、セルロース、ガラス、ナイロン、ビニロン、ポリエステル、ポリオレフィン、レーヨン、ポリアミド、ポリアルキレンテレフタレート、ポリアルキレンナフタレート等を挙げることができる。親水性(及び撥油性)の程度を任意にコントロールし得る観点から、ポリエステル及びポリオレフィンから選択される材料から成る不織布が好ましく、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレン、ポリプロピレン、及びEVA(エチレン/酢酸ビニル共重合体)より成る群から選択される1種以上の材料から成ることがより好ましい。特に好ましくはポリプロピレン又はポリエチレンテレフタレートである。
[不織布]
前記不織布の材質としては、例えば、アラミド、セルロース、ガラス、ナイロン、ビニロン、ポリエステル、ポリオレフィン、レーヨン、ポリアミド、ポリアルキレンテレフタレート、ポリアルキレンナフタレート等を挙げることができる。親水性(及び撥油性)の程度を任意にコントロールし得る観点から、ポリエステル及びポリオレフィンから選択される材料から成る不織布が好ましく、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレン、ポリプロピレン、及びEVA(エチレン/酢酸ビニル共重合体)より成る群から選択される1種以上の材料から成ることがより好ましい。特に好ましくはポリプロピレン又はポリエチレンテレフタレートである。
本実施形態の油水分離装置は、油水分離フィルターの少なくとも一部が透過液に水没した状態でろ過することを特徴とするため、安定して水没していることが好ましく、水流の加圧状態又は油水分離フィルター自身が水没することが好ましい。油水分離フィルターの底部に重りを付加する手間を省くため、油水分離フィルター自身が、比重1を超えるものであることがより好ましい。フィルターの材質としては、ポリエステル、ガラス、ポリアミドであることが好ましい。また、不織布の材質がこれらの樹脂であれば、熱による融着が可能であり、通常のシールバー等の加熱装置を用いて、袋状又は籠状に容易に成形することができる。
[不織布の特性]
不織布の平均孔径を緻密にする方法としては、「目付を大きくする」、「空隙を小さくする」、「構成される繊維径を小さくする」、これらを組み合わせた方法が挙げられる。不織布(基材)には、緻密な平均孔径と低い流量抵抗が求められる。そのため、不織布の構造としては、高空隙でありながら平均孔径を50μm以下にする必要がある。好ましくは不織布の平均繊維径を0.1〜10μm、目付1〜500g/m2、空隙率60〜90%、とすることで平均孔径0.1〜10μm、所望の流量抵抗を達成することができる。親水加工特性や基材の親水性の観点から、基材の材質としては、ナイロン6、ナイロン66、PET、PBTが好ましい。
不織布の平均孔径を緻密にする方法としては、「目付を大きくする」、「空隙を小さくする」、「構成される繊維径を小さくする」、これらを組み合わせた方法が挙げられる。不織布(基材)には、緻密な平均孔径と低い流量抵抗が求められる。そのため、不織布の構造としては、高空隙でありながら平均孔径を50μm以下にする必要がある。好ましくは不織布の平均繊維径を0.1〜10μm、目付1〜500g/m2、空隙率60〜90%、とすることで平均孔径0.1〜10μm、所望の流量抵抗を達成することができる。親水加工特性や基材の親水性の観点から、基材の材質としては、ナイロン6、ナイロン66、PET、PBTが好ましい。
不織布の製造法としては、特に限定されないが、平均繊維径を10μ以下にできるメルトブロー法、スパンボンド法、エレクトロスピニング法、フォーススピニング法、公知の製造法で製造された10μm以下の短繊維を用いる抄造法、エアーレイド法、カード法が挙げられる。また、これらの方法で得られたウェブを柱状流法(スパンレース法)による水交絡、熱気体による交絡、熱や圧力によるロール圧着法などで結合させ、本実施形態に用いる不織布にすることができる。上記製造法の2種類以上の不織布を積層しても構わない。
本実施形態の分離装置に用いる不織布としては、メルトブロー法によって製造されたものが好ましい。メルトブロー法によって製造された不織布は、(i)繊維径が細い、(ii)繊維間の平均孔径が小さい、(iii)不織布の平均孔径のばらつきが少ない、(iv)繊維表面面積が大きい、(v)製袋性、プリーツ適性があるという特徴があること、また、生産性、加工性の観点から、好ましい。メルトブロー法不織布では、ノズルから吐出された溶融樹脂が紡糸ガスや重力による牽引を受けて細繊化され、コレクターに設けられた吸引ファンによって、コレクターネット上に細繊化された糸が集積され、ロール圧着法で不織布を形成される。そのため、前記(i)〜(iii)の特性により安定したろ過機能を、また、前記(iv)の特性により表面処理機能を最大限に発揮することができる。また、メルトブロー法で得られた不織布と補強層とを一体化させることで、強度、保形性や寸法安定を付与することができる。
空隙率は、60%より小さくなると流量抵抗が大きくなり、また、閉塞しやすく寿命が短くなるため好ましくない。90%より大きくなると、強度や形体保持の面で問題があるだけでなく、平均孔径のばらつきも大きくなり好ましくない。空隙率は、より好ましくは60〜85%である。
本実施形態の不織布は、単層であても多層であってもよい。多層の場合は不織布の強度や高い透水量を維持をするため、目付は低いが高強度である樹脂による層(補強層)と油水分離を発揮する層(分離層)等とに機能分担をしてもよい。
前記不織布は、油水分離フィルターの分離の役割を担う不織布の厚みが0.1〜5mmであることが好ましい。使用する不織布の厚みを0.1mm以上とすることにより、効率的な油水分離が担保され、他方、厚みを5mm以下とすることにより、単位時間あたりの透水量を多く維持することができ、油水分離のプロセス時間が短縮される。不織布の厚みの合計は、好ましくは0.2〜3mmであり、より好ましくは0.5〜2mmである。前記範囲よりも薄い不織布の2枚以上を重ねて使用し、前記範囲の厚みとした場合も、本発明における好ましい態様に包含される。
本実施形態の不織布は、単層であても多層であってもよい。多層の場合は不織布の強度や高い透水量を維持をするため、目付は低いが高強度である樹脂による層(補強層)と油水分離を発揮する層(分離層)等とに機能分担をしてもよい。
前記不織布は、油水分離フィルターの分離の役割を担う不織布の厚みが0.1〜5mmであることが好ましい。使用する不織布の厚みを0.1mm以上とすることにより、効率的な油水分離が担保され、他方、厚みを5mm以下とすることにより、単位時間あたりの透水量を多く維持することができ、油水分離のプロセス時間が短縮される。不織布の厚みの合計は、好ましくは0.2〜3mmであり、より好ましくは0.5〜2mmである。前記範囲よりも薄い不織布の2枚以上を重ねて使用し、前記範囲の厚みとした場合も、本発明における好ましい態様に包含される。
不織布の目付けは、1〜500g/m2であることが好ましい。本明細書中、「目付け」とは、不織布の単位面積あたりの質量をいう。この目付けが前記の範囲内であることにより、油水分離効率及び透水量の双方が高くなり、好ましい。目付けは、10〜250g/m2であることがより好ましく、50〜150g/m2であることが更に好ましい。不織布の2枚以上を重ねて使用する場合には、この目付けとは、各層の目付の合計を意味する。
不織布の平均繊維径(繊維の太さ)は、0.1〜10μmであることが好ましい。不織布を構成する繊維の太さが0.1μm以上であることにより、好ましくは親水化処理された不織布の繊維表面が、供給される油水混合液に対する接触する面積を有意な範囲で確保することができる。他方、不織布の繊維の太さを10μm以下とすることにより、所望の透水量を得るための平均孔径を小さく保つことができる。従って、油水分離フィルターとして上記範囲の太さの繊維から成る不織布を用いることにより、好適な油水分離能を発揮し得ることになる。不織布の繊維の太さは、より好ましくは0.1〜7μmであり、更に好ましくは0.2〜5μmである。
不織布の平均孔径は、0.1〜10μmであることが好ましい。不織布における平均孔径が0.1μm以上であることにより、実質的な透水量を確保することができる。他方、平均孔径が10μm以下であることにより、エマルジョン形態の油分をも透過させない性能が確実に付与されることとなる。不織布の平均孔径は、より好ましくは0.2〜10μmであり、更に好ましくは0.5〜10μmである。
以上述べた理由により、目付けが1〜500g/m2であり、繊維の太さ(平均繊維径)が0.1〜10μmであり、平均孔径が0.1〜10μmである不織布が特に好ましい。
以上述べた理由により、目付けが1〜500g/m2であり、繊維の太さ(平均繊維径)が0.1〜10μmであり、平均孔径が0.1〜10μmである不織布が特に好ましい。
[親水化処理]
前記したように、不織布は、親水化処理されたものであることが好ましい。不織布を親水化処理することにより、該不織布に適当な親水性及び撥油性を付与することができる。親水化処理された不織布上に油水混合液が供給された場合に、水は該不織布に浸透して通過することができるが、油分は該不織布上に好ましくは油滴となって保持され、従って効率的な油水分離を行うことができることとなる。
親水化処理の方法としては、化学的処理及び物理的処理のどちらも行うことができる。化学的処理としては、例えば、スルホン化処理、グラフト化処理、コーティング処理等を;物理的処理としては、例えば、表面粗化処理、プラズマ処理、コロナ処理、紫外線処理、フレーム(火炎)処理等を、それぞれ挙げることができる。これらのうち、親水化の程度を所望の範囲に容易にコントロールし得ることから化学的処理が好ましい。
前記したように、不織布は、親水化処理されたものであることが好ましい。不織布を親水化処理することにより、該不織布に適当な親水性及び撥油性を付与することができる。親水化処理された不織布上に油水混合液が供給された場合に、水は該不織布に浸透して通過することができるが、油分は該不織布上に好ましくは油滴となって保持され、従って効率的な油水分離を行うことができることとなる。
親水化処理の方法としては、化学的処理及び物理的処理のどちらも行うことができる。化学的処理としては、例えば、スルホン化処理、グラフト化処理、コーティング処理等を;物理的処理としては、例えば、表面粗化処理、プラズマ処理、コロナ処理、紫外線処理、フレーム(火炎)処理等を、それぞれ挙げることができる。これらのうち、親水化の程度を所望の範囲に容易にコントロールし得ることから化学的処理が好ましい。
親水化は、公知の方法によって行うことができ、例えば、スルホン化処理は、基材不織布を硫酸又はその水溶液中に浸漬する方法により、行うことができる。グラフト化処理は、不織布を構成するポリマーの主鎖に対して、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、ポリメチルピロリジノン、ポリアルキレングリコール、及びポリエーテルより成る群から選択される1種以上のモノマー(又はマクロモノマー)のグラフト重合を行うことにより、実施することができる。このグラフト重合は、例えば、基材不織布を、所望のモノマー又はモノマー混合物と、適当な重合開始剤と、を含有するグラフト処理溶液中に浸漬し、必要に応じて、加熱、放射線(例えば紫外線、マイクロ波、電子線等)の照射等を施す方法によることができる。また、コーティングの際は環境問題の観点より非フッ素系の親水材料を塗工することが簡易に機能付与することができる。塗工方法は公知の方法を用いればよい。例えば、ディップ塗工、スプレー塗工、グラビア塗工等が挙げられる。好ましくは不織布の内部にも親水材料が含浸することができるディップ塗工、スプレー塗工がよい。
<(II)非フッ素系親水材料(B)>
環境問題の観点から、非フッ素系親水材料が不織布(基材(A))上にコーティングされていることが好ましい。例えば、親水化処理としては、非フッ素系親水材料(B)用いることが、親水性と耐久性の観点から好ましい。
非フッ素系親水材料(B)は、アクリルエマルジョン粒子、スチレンエマルジョン粒子、アクリルスチレンエマルジョン粒子、アクリルシリコンエマルジョン粒子、シリコンエマルジョン粒子、ウレタン樹脂エマルジョン粒子、又は加水分解性ケイ素化合物(C)の縮合物のいずれか一つから選ばれることがさらに好ましい。非フッ素系親水材料(B)に加水分解性ケイ素化合物(C)の縮合物が含まれているもの、これにさらに金属酸化物粒子(D)が含まれているものが、より好ましい。以下に述べるように、金属酸化物微粒子(D)は、親水化機能を付与する物質であり、該金属酸化物微粒子(D)の数平均微粒子径が1〜400nmである場合、効果的に親水性(撥油性)を付与することができる。
環境問題の観点から、非フッ素系親水材料が不織布(基材(A))上にコーティングされていることが好ましい。例えば、親水化処理としては、非フッ素系親水材料(B)用いることが、親水性と耐久性の観点から好ましい。
非フッ素系親水材料(B)は、アクリルエマルジョン粒子、スチレンエマルジョン粒子、アクリルスチレンエマルジョン粒子、アクリルシリコンエマルジョン粒子、シリコンエマルジョン粒子、ウレタン樹脂エマルジョン粒子、又は加水分解性ケイ素化合物(C)の縮合物のいずれか一つから選ばれることがさらに好ましい。非フッ素系親水材料(B)に加水分解性ケイ素化合物(C)の縮合物が含まれているもの、これにさらに金属酸化物粒子(D)が含まれているものが、より好ましい。以下に述べるように、金属酸化物微粒子(D)は、親水化機能を付与する物質であり、該金属酸化物微粒子(D)の数平均微粒子径が1〜400nmである場合、効果的に親水性(撥油性)を付与することができる。
非フッ素系親水材料(B)は、不飽和結合を有する単量体成分を、ラジカル、カチオン及びアニオン等の介在によって重合することにより得られるフッ素原子を含まないエマルジョン粒子であって、少なくとも親水性官能基を含む高分子である。例えば、アクリルエマルジョン粒子、スチレンエマルジョン粒子、アクリルスチレンエマルジョン粒子、アクリルシリコンエマルジョン粒子、シリコンエマルジョン粒子、ウレタン樹脂エマルジョン粒子等が挙げられる。好ましくは(B)成分には(b1)成分:加水分解性珪素化合物及び/又は(b2)成分:ビニル単量体を含有することが好ましい。
<(b1)成分:加水分解性珪素化合物>
(b1)成分としては、下記式(i):
R1 nSiX4−n ・・・(i)
で表される加水分解性珪素含有化合物(h1)、下記式(ii):
X3Si−R2 n−SiX3 ・・・(ii)
で表される加水分解性珪素含有化合物(h2)、及び下記式(iii):
R3−(O−Si(OR3)2)n−OR3 ・・・(iii)
で表される加水分解性珪素含有化合物(h3)からなる群より選ばれる1種以上を適用することができる。
ここで、前記式(i)中、R1は水素原子、ハロゲン基、ヒドロキシ基、メルカプト基、アミノ基、(メタ)アクリロイル基、又はエポキシ基を有していてもよい、炭素数1〜10のアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、又はアリール基から選択されるいずれかを示し、Xは、加水分解性基を示し、そしてnは0〜3の整数である。ここで、前記加水分解性基は、加水分解により水酸基が生じる基であれば、特に限定されず、例えば、ハロゲン原子、アルコキシ基、アシルオキシ基、アミノ基、フェノキシ基、オキシム基等が挙げられる。
前記式(ii)中、Xは加水分解性基を示し、R2は炭素数1〜6のアルキレン基又はフェニレン基を示し、そしてnは0又は1である。
前記式(iii)中、R3は、炭素数1〜6のアルキル基を示し、そしてnは2〜8の整数である。
(b1)成分としては、下記式(i):
R1 nSiX4−n ・・・(i)
で表される加水分解性珪素含有化合物(h1)、下記式(ii):
X3Si−R2 n−SiX3 ・・・(ii)
で表される加水分解性珪素含有化合物(h2)、及び下記式(iii):
R3−(O−Si(OR3)2)n−OR3 ・・・(iii)
で表される加水分解性珪素含有化合物(h3)からなる群より選ばれる1種以上を適用することができる。
ここで、前記式(i)中、R1は水素原子、ハロゲン基、ヒドロキシ基、メルカプト基、アミノ基、(メタ)アクリロイル基、又はエポキシ基を有していてもよい、炭素数1〜10のアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、又はアリール基から選択されるいずれかを示し、Xは、加水分解性基を示し、そしてnは0〜3の整数である。ここで、前記加水分解性基は、加水分解により水酸基が生じる基であれば、特に限定されず、例えば、ハロゲン原子、アルコキシ基、アシルオキシ基、アミノ基、フェノキシ基、オキシム基等が挙げられる。
前記式(ii)中、Xは加水分解性基を示し、R2は炭素数1〜6のアルキレン基又はフェニレン基を示し、そしてnは0又は1である。
前記式(iii)中、R3は、炭素数1〜6のアルキル基を示し、そしてnは2〜8の整数である。
加水分解性珪素含有化合物(h1)及び(h2)として、例えば、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラ(n−プロポキシ)シラン、テトラ(i−プロポキシ)シラン、テトラ(n−ブトキシ)シラン、テトラ(i−ブトキシ)シラン、テトラ−sec−ブトキシシラン、テトラ−tert−ブトキシシラン、トリメトキシシラン、トリエトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、プロピルトリメトキシシラン、プロピルトリエトキシシラン、イソブチルトリエトキシシラン、シクロヘキシルトリメトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、ジメトキシシラン、ジエトキシシラン、メチルジメトキシシラン、メチルジエトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、ビス(トリメトキシシリル)メタン、ビス(トリエトキシシリル)メタン、ビス(トリフェノキシシリル)メタン、ビス(トリメトキシシリル)エタン、ビス(トリエトキシシリル)エタン、ビス(トリフェノキシシリル)エタン、1,3−ビス(トリメトキシシリル)プロパン、1,3−ビス(トリエトキシシリル)プロパン、1,3−ビス(トリフェノキシシリル)プロパン、1,4−ビス(トリメトキシシリル)ベンゼン、1,4−ビス(トリエトキシシリル)ベンゼン、3−クロロプロピルトリメトキシシラン、3−クロロプロピルトリエトキシシラン、3−ヒドロキシプロピルトリメトキシシラン、3−ヒドロキシプロピルトリエトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、3−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−アクリロキシプロピルトリエトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、テトラアセトキシシラン、テトラキス(トリクロロアセトキシ)シラン、テトラキス(トリフルオロアセトキシ)シラン、トリアセトキシシラン、トリス(トリクロロアセトキシ)シラン、トリス(トリフルオロアセトキシ)シラン、メチルトリアセトキシシラン、メチルトリス(トリクロロアセトキシ)シラン、テトラクロロシラン、テトラブロモシラン、テトラフルオロシラン、トリクロロシラン、トリブロモシラン、トリフルオロシラン、メチルトリクロロシラン、メチルトリブロモシラン、メチルトリフルオロシラン、テトラキス(メチルエチルケトキシム)シラン、トリス(メチルエチルケトキシム)シラン、メチルトリス(メチルエチルケトキシム)シラン、フェニルトリス(メチルエチルケトキシム)シラン、ビス(メチルエチルケトキシム)シラン、メチルビス(メチルエチルケトキシム)シラン、ヘキサメチルジシラザン、ヘキサメチルシクロトリシラザン、ビス(ジメチルアミノ)ジメチルシラン、ビス(ジエチルアミノ)ジメチルシラン、ビス(ジメチルアミノ)メチルシラン、ビス(ジエチルアミノ)メチルシラン等が挙げられる。これらは、1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
前記式(iii)で表される加水分解性珪素含有化合物(h3)としては、例えば、テトラメトキシシランの部分加水分解縮合物(例えば、多摩化学工業社製の商品名「Mシリケート51」、コルコート社製の商品名「MSI51」、三菱化学社製の「MS51」、同「MS56」)、テトラエトキシシランの部分加水分解縮合物(多摩化学工業社製の商品名「シリケート35」、同「シリケート45」、コルコート社製の商品名「ESI40」、同「ESI48」)、テトラメトキシシランとテトラエトキシシランとの共部分加水分解縮合物(多摩化学工業社製の商品名「FR−3」、コルコート社製の商品名「EMSi48」)等が挙げられる。
これらは1種のみを単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
これらは1種のみを単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
<(b2)成分:ビニル単量体>
(b2)成分は、水酸基、カルボキシル基、アミノ基、及びエーテル基、アミド基、エポキシ基、スルホン酸基からなる群より選ばれる少なくとも1種の親水性官能基を有するビニル単量体である。
(b2)成分:ビニル単量体が、かかる官能基を有するビニル単量体であることにより、親水性を高めることができる。(b2)成分として挙げられる水酸基を有するビニル単量体としては、例えば、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート若しくは4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレートのような各種のヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート類;2−ヒドロキシエチルビニルエーテル若しくは4−ヒドロキシブチルビニルエーテルのような各種の水酸基含有ビニルエーテル類;2−ヒドロキシエチルアリルエーテルのような各種の水酸基含有アリルエーテル類;ポリエチレングリコールに代表される種々のポリエーテルポリオールと、(メタ)アクリル酸に代表される種々の不飽和カルボン酸とから得られるポリオキシアルキレングリコールのモノエステル類;上述の各種の水酸基含有単量体類とε−カプロラクトンに代表される種々のラクトン類との付加物;グリシジル(メタ)アクリレートに代表される種々のエポキシ基含有不飽和単量体と酢酸に代表される種々の酸類との付加物;(メタ)アクリル酸に代表される種々の不飽和カルボン酸類と「カーデュラ E」(オランダ国シェル社製の商品名、登録商標)に代表されるα−オレフィンのエポキサイド以外の種々のモノエポキシ化合物との付加物等が挙げられる。
(b2)成分は、水酸基、カルボキシル基、アミノ基、及びエーテル基、アミド基、エポキシ基、スルホン酸基からなる群より選ばれる少なくとも1種の親水性官能基を有するビニル単量体である。
(b2)成分:ビニル単量体が、かかる官能基を有するビニル単量体であることにより、親水性を高めることができる。(b2)成分として挙げられる水酸基を有するビニル単量体としては、例えば、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート若しくは4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレートのような各種のヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート類;2−ヒドロキシエチルビニルエーテル若しくは4−ヒドロキシブチルビニルエーテルのような各種の水酸基含有ビニルエーテル類;2−ヒドロキシエチルアリルエーテルのような各種の水酸基含有アリルエーテル類;ポリエチレングリコールに代表される種々のポリエーテルポリオールと、(メタ)アクリル酸に代表される種々の不飽和カルボン酸とから得られるポリオキシアルキレングリコールのモノエステル類;上述の各種の水酸基含有単量体類とε−カプロラクトンに代表される種々のラクトン類との付加物;グリシジル(メタ)アクリレートに代表される種々のエポキシ基含有不飽和単量体と酢酸に代表される種々の酸類との付加物;(メタ)アクリル酸に代表される種々の不飽和カルボン酸類と「カーデュラ E」(オランダ国シェル社製の商品名、登録商標)に代表されるα−オレフィンのエポキサイド以外の種々のモノエポキシ化合物との付加物等が挙げられる。
(b2)成分として挙げられるカルボキシル基を有するビニル単量体としては、例えば、(メタ)アクリル酸、2−カルボキシエチル(メタ)アクリレート、クロトン酸、イタコン酸、マレイン酸若しくはフマル酸のような各種の不飽和カルボン酸類;イタコン酸モノメチル、イタコン酸モノ−n−ブチル、マレイン酸モノメチル、マレイン酸モノ−n−ブチル、フマル酸モノメチル、フマル酸モノ−n−ブチルのような不飽和ジカルボン酸類と飽和1価アルコール類とのモノエステル類(ハーフエステル類);アジピン酸モノビニル若しくはコハク酸モノビニルのような各種の飽和ジカルボン酸のモノビニルエステル類;無水コハク酸、無水グルタル酸、無水フタル酸若しくは無水トリメリット酸のような各種の飽和ポリカルボン酸の無水物類と上述の各種の水酸基含有ビニル系単量体類との付加反応生成物;上述の各種のカルボキシル基含有単量体類とラクトン類とを付加反応して得られる単量体類等が挙げられる。
(b2)成分として挙げられるアミノ基を有するビニル単量体としては、例えば、2−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、2−ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、2−ジ−n−プロピルアミノエチル(メタ)アクリレート、3−ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリレート、4−ジメチルアミノブチル(メタ)アクリレート若しくはN−[2−(メタ)アクリロイルオキシ]エチルモルホリンのような各種の3級アミノ基含有(メタ)アクリル酸エステル類;ビニルピリジン、N−ビニルカルバゾール、N−ビニルキノリンのような各種の3級アミノ基含有芳香族ビニル系単量体類;N−(2−ジメチルアミノ)エチル(メタ)アクリルアミド、N−(2−ジエチルアミノ)エチル(メタ)アクリルアミド、N−(2−ジ−n−プロピルアミノ)エチル(メタ)アクリルアミド、N−(3−ジメチルアミノ)プロピル(メタ)アクリルアミド、N−(4−ジメチルアミノ)ブチル(メタ)アクリルアミド若しくはN−[2−(メタ)アクリルアミド]エチルモルホリンのような各種の3級アミノ基含有(メタ)アクリルアミド類;N−(2−ジメチルアミノ)エチルクロトン酸アミド、N−(2−ジエチルアミノ)エチルクロトン酸アミド、N−(2−ジ−n−プロピルアミノ)エチルクロトン酸アミド、N−(3−ジメチルアミノ)プロピルクロトン酸アミド若しくはN−(4−ジメチルアミノ)ブチルクロトン酸アミドのような各種の3級アミノ基含有クロトン酸アミド類;2−ジメチルアミノエチルビニルエーテル、2−ジエチルアミノエチルビニルエーテル、3−ジメチルアミノプロピルビニルエーテル若しくは4−ジメチルアミノブチルビニルエーテルのような各種の3級アミノ基含有ビニルエーテル類等が挙げられる。
(b2)成分として挙げられるエーテル基を有するビニル単量体としては、例えば、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレン高級脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレンブロック共重合体のような各種のポリエーテル鎖を側鎖に有するビニルエーテル類、アリルエーテル類又は(メタ)アクリル酸エステル類のビニル単量体類が挙げられる。
エーテル基を有するビニル単量体は、市販品を用いることもでき、例えば、ブレンマーPE−90、PE−200、PE−350、PME−100、PME−200、PME−400、AE−350(以上、日本油脂社製、商品名)、MA−30、MA−50、MA−100、MA−150、RA−1120、RA−2614、RMA−564、RMA−568、RMA−1114、MPG130−MA(以上、日本乳化剤社製、商品名)等が挙げられる。
エーテル基を有するビニル単量体は、市販品を用いることもでき、例えば、ブレンマーPE−90、PE−200、PE−350、PME−100、PME−200、PME−400、AE−350(以上、日本油脂社製、商品名)、MA−30、MA−50、MA−100、MA−150、RA−1120、RA−2614、RMA−564、RMA−568、RMA−1114、MPG130−MA(以上、日本乳化剤社製、商品名)等が挙げられる。
ここで、ポリオキシエチレン鎖のオキシエチレン単位の数は2〜30が好ましい。2未満では、本実施形態の複合組成物を用いた塗油水分離フィルターの柔軟性が不十分になる傾向があり、30を超えると、塗油水分離フィルターが軟らかくなり、耐ブロッキング性に劣る傾向にある。
(b2)成分として挙げられるアミド基を有するビニル単量体としては、例えば、N−アルキル又はN−アルキレン置換(メタ)アクリルアミドが挙げられる。具体的には、N−メチルアクリルアミド、N−メチルメタクリルアミド、N−エチルアクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミド、N,N−ジメチルメタクリルアミド、N,N−ジエチルアクリルアミド、N−エチルメタクリルアミド、N−メチル−N−エチルアクリルアミド、N−メチル−N−エチルメタクリルアミド、N−イソプロピルアクリルアミド、N−n−プロピルアクリルアミド、N−イソプロピルメタクリルアミド、N−n−プロピルメタクリルアミド、N−メチル−N−n−プロピルアクリルアミド、N−メチル−N−イソプロピルアクリルアミド、N−アクリロイルピロリジン、N−メタクリロイルピロリジン、N−アクリロイルピペリジン、N−メタクリロイルピペリジン、N−アクリロイルヘキサヒドロアゼピン、N−アクリロイルモルホリン、N−メタクリロイルモルホリン、N−ビニルピロリドン、N−ビニルカプロラクタム、N,N’−メチレンビスアクリルアミド、N,N’−メチレンビスメタクリルアミド、N−ビニルアセトアミド、ダイアセトンアクリルアミド、ダイアセトンメタクリルアミド、N−メチロールアクリルアミド、N−メチロールメタクリルアミド等が挙げられる。
(b2)成分として挙げられるアミド基を有するビニル単量体としては、例えば、N−アルキル又はN−アルキレン置換(メタ)アクリルアミドが挙げられる。具体的には、N−メチルアクリルアミド、N−メチルメタクリルアミド、N−エチルアクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミド、N,N−ジメチルメタクリルアミド、N,N−ジエチルアクリルアミド、N−エチルメタクリルアミド、N−メチル−N−エチルアクリルアミド、N−メチル−N−エチルメタクリルアミド、N−イソプロピルアクリルアミド、N−n−プロピルアクリルアミド、N−イソプロピルメタクリルアミド、N−n−プロピルメタクリルアミド、N−メチル−N−n−プロピルアクリルアミド、N−メチル−N−イソプロピルアクリルアミド、N−アクリロイルピロリジン、N−メタクリロイルピロリジン、N−アクリロイルピペリジン、N−メタクリロイルピペリジン、N−アクリロイルヘキサヒドロアゼピン、N−アクリロイルモルホリン、N−メタクリロイルモルホリン、N−ビニルピロリドン、N−ビニルカプロラクタム、N,N’−メチレンビスアクリルアミド、N,N’−メチレンビスメタクリルアミド、N−ビニルアセトアミド、ダイアセトンアクリルアミド、ダイアセトンメタクリルアミド、N−メチロールアクリルアミド、N−メチロールメタクリルアミド等が挙げられる。
(b2)成分として挙げられるエポキシ基を有するビニル単量体としては、例えば、グリシジル基含有ビニル単量体等が挙げられる。当該グリシジル基含有ビニル単量体としては、例えば、グリシジル(メタ)アクリレート、アリルグリシジルエーテル、アリルジメチルグリシジルエーテル等を挙げることができる。
エポキシ基含有ビニル単量体の使用量は、全ビニル単量体中において好ましくは0.01〜50質量%、さらに好ましくは0.05〜20質量%である。
(b2)成分として挙げられるスルホン酸基を有するビニル単量体としては、例えば、ビニルスルホン酸等を挙げる事ができる。
(b2)成分は、親水性を高める観点から、1級アミド基、2級アミド基、3級アミド基あるいはその両方を有するビニル単量体であることが好ましい。
(b2)成分は、1種単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
エポキシ基含有ビニル単量体の使用量は、全ビニル単量体中において好ましくは0.01〜50質量%、さらに好ましくは0.05〜20質量%である。
(b2)成分として挙げられるスルホン酸基を有するビニル単量体としては、例えば、ビニルスルホン酸等を挙げる事ができる。
(b2)成分は、親水性を高める観点から、1級アミド基、2級アミド基、3級アミド基あるいはその両方を有するビニル単量体であることが好ましい。
(b2)成分は、1種単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
(B)成分としてはこの他にも、アニオン型ポリウレタン粒子として第一工業製薬社製スーパーフレックス126,130,150,170,210,300、420,460,470,740,800,860、DMS社製 NeoRez R−9660、R−972,R−9637、R−9679,R−989,R−2150,R−966,R−967,R−9603,R−940,R−9403などが挙げられる。非イオン型ポリウレタン粒子としては第一工業製薬社製スーパーフレックス500M,E2000、E4800、カチオン型ポリウレタン粒子としては第一工業製薬社製スーパーフレックス620,650等が挙げられる。
(B)成分の重合体粒子の水分散状態での数平均粒子径は10nm〜800nmであることが好ましい。本実施形態の複合組成物の塗油水分離フィルターの耐久性向上の観点から、(B)成分の重合体粒子の数平均粒子径は10nm〜100nmであることがより好ましい。尚、(B)成分の数平均粒子径は、後述の実施例に記載の方法で測定することができる。
<(III)加水分解性珪素化合物(C)>
(B)成分としては、加水分解性珪素含有化合物(C)の縮合物を含むものであってもよい。
加水分解性珪素含有化合物(C)としては、例えば、下記式(3):
R1 nSiX4−n ・・・(3)
で表される加水分解性珪素含有化合物(c1)、下記式(4):
X3Si−R2 n−SiX3 ・・・(4)
で表される加水分解性珪素含有化合物(c2)、及び下記式(5):
R3−(O−Si(OR3)2)n−OR3 ・・・(5)
で表される加水分解性珪素含有化合物(c3)からなる群より選ばれる1種以上が挙げられる。
ここで、前記式(3)中、R1は水素原子、ハロゲン基、ヒドロキシ基、メルカプト基、アミノ基、(メタ)アクリロイル基又はエポキシ基を有していてもよい、炭素数1〜10のアルキル基、アルケニル基、アルキニル基若しくはアリール基を示し、Xは、加水分解性基を示し、そしてnは0〜3の整数である。前記加水分解性基は、加水分解により水酸基が生じる基であれば特に限定されず、例えば、ハロゲン原子、アルコキシ基、アシルオキシ基、アミノ基、フェノキシ基、オキシム基等が挙げられる。
前記式(4)中、Xは加水分解性基を示し、R2は炭素数1〜6のアルキレン基又はフェニレン基を示し、そしてnは0又は1である。
前記式(5)中、R3は炭素数1〜6のアルキル基を示し、そしてnは2〜8の整数である。
(B)成分としては、加水分解性珪素含有化合物(C)の縮合物を含むものであってもよい。
加水分解性珪素含有化合物(C)としては、例えば、下記式(3):
R1 nSiX4−n ・・・(3)
で表される加水分解性珪素含有化合物(c1)、下記式(4):
X3Si−R2 n−SiX3 ・・・(4)
で表される加水分解性珪素含有化合物(c2)、及び下記式(5):
R3−(O−Si(OR3)2)n−OR3 ・・・(5)
で表される加水分解性珪素含有化合物(c3)からなる群より選ばれる1種以上が挙げられる。
ここで、前記式(3)中、R1は水素原子、ハロゲン基、ヒドロキシ基、メルカプト基、アミノ基、(メタ)アクリロイル基又はエポキシ基を有していてもよい、炭素数1〜10のアルキル基、アルケニル基、アルキニル基若しくはアリール基を示し、Xは、加水分解性基を示し、そしてnは0〜3の整数である。前記加水分解性基は、加水分解により水酸基が生じる基であれば特に限定されず、例えば、ハロゲン原子、アルコキシ基、アシルオキシ基、アミノ基、フェノキシ基、オキシム基等が挙げられる。
前記式(4)中、Xは加水分解性基を示し、R2は炭素数1〜6のアルキレン基又はフェニレン基を示し、そしてnは0又は1である。
前記式(5)中、R3は炭素数1〜6のアルキル基を示し、そしてnは2〜8の整数である。
加水分解性珪素含有化合物(c1)及び(c2)としては、例えば、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラ(n−プロポキシ)シラン、テトラ(i−プロポキシ)シラン、テトラ(n−ブトキシ)シラン、テトラ(i−ブトキシ)シラン、テトラ−sec−ブトキシシラン、テトラ−tert−ブトキシシラン、トリメトキシシラン、トリエトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、プロピルトリメトキシシラン、プロピルトリエトキシシラン、イソブチルトリエトキシシラン、シクロヘキシルトリメトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、ジメトキシシラン、ジエトキシシラン、メチルジメトキシシラン、メチルジエトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、ビス(トリメトキシシリル)メタン、ビス(トリエトキシシリル)メタン、ビス(トリフェノキシシリル)メタン、ビス(トリメトキシシリル)エタン、ビス(トリエトキシシリル)エタン、ビス(トリフェノキシシリル)エタン、1,3−ビス(トリメトキシシリル)プロパン、1,3−ビス(トリエトキシシリル)プロパン、1,3−ビス(トリフェノキシシリル)プロパン、1,4−ビス(トリメトキシシリル)ベンゼン、1,4−ビス(トリエトキシシリル)ベンゼン、3−クロロプロピルトリメトキシシラン、3−クロロプロピルトリエトキシシラン、3−ヒドロキシプロピルトリメトキシシラン、3−ヒドロキシプロピルトリエトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、3−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−アクリロキシプロピルトリエトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、テトラアセトキシシラン、テトラキス(トリクロロアセトキシ)シラン、テトラキス(トリフルオロアセトキシ)シラン、トリアセトキシシラン、トリス(トリクロロアセトキシ)シラン、トリス(トリフルオロアセトキシ)シラン、メチルトリアセトキシシラン、メチルトリス(トリクロロアセトキシ)シラン、テトラクロロシラン、テトラブロモシラン、テトラフルオロシラン、トリクロロシラン、トリブロモシラン、トリフルオロシラン、メチルトリクロロシラン、メチルトリブロモシラン、メチルトリフルオロシラン、テトラキス(メチルエチルケトキシム)シラン、トリス(メチルエチルケトキシム)シラン、メチルトリス(メチルエチルケトキシム)シラン、フェニルトリス(メチルエチルケトキシム)シラン、ビス(メチルエチルケトキシム)シラン、メチルビス(メチルエチルケトキシム)シラン、ヘキサメチルジシラザン、ヘキサメチルシクロトリシラザン、ビス(ジメチルアミノ)ジメチルシラン、ビス(ジエチルアミノ)ジメチルシラン、ビス(ジメチルアミノ)メチルシラン、ビス(ジエチルアミノ)メチルシラン等が挙げられる。
これらは、1種単独で用いてもよく、2種以上併用してもよい。
これらは、1種単独で用いてもよく、2種以上併用してもよい。
前記式(5)で表される加水分解性珪素含有化合物(c3)としては、例えば、テトラメトキシシランの部分加水分解縮合物(例えば、多摩化学工業社製の商品名「Mシリケート51」、コルコート社製の商品名「MSI51」、三菱化学社製の「MS51」、同「MS56」)、テトエトキシシランの部分加水分解縮合物(多摩化学工業社製の商品名「シリケート35」、同「シリケート45」、コルコート社製の商品名「ESI40」、同「ESI48」)、テトラメトキシシランとテトラエトキシシランとの共部分加水分解縮合物(多摩化学工業社製の商品名「FR−3」、コルコート社製の商品名「EMSi48」)等が挙げられる。これらは1種単独で用いてもよく、2種以上併用してもよい。その他にも、信越化学社製の商品名「KBE-402」「KBM-803」「KBM-802」「KBE-403」「KBM-303」「KBM-1403」「KBM-9659」「KBM-585」「KBM-846」「KBM-9007」などの各種シランカップリング剤を使用することができる。
加水分解性珪素含有化合物(c3)の縮合物のポリスチレン換算の重量平均分子量としては5000〜85000、より好ましくは8000〜80000、さらには10000〜50000が好ましい。5000より小さいと被油水分離フィルターの親水性が劣り、85000を超えると被油水分離フィルターが脆くなり剥離しやすくなる。分子量の測定方法としては、東ソー社製 HLC−8220GPC、カラム:TSKgel superAWM−H、溶離液:DMF(LiBr 5mmol/L、試料量50μl(1mg/ml)、検出器RI、ポリスチレン換算分子量)を用いて測定できる。
<(IV)数平均粒子径1〜400nmの金属酸化物粒子(D)>
(D)成分の数平均粒子径(一次粒子と二次粒子との混合物であってもよく、一次粒子及び二次粒子のいずれか一方のみであってもよい。)は、上述したように1nm〜400nmであり、好ましくは1nm〜100nm、より好ましくは3nm〜80nm、さらに好ましくは5nm〜50nmである。(D)成分の数平均粒子径を上記範囲とすることで、本実施形態の親水性と撥油性の両立に寄与し得る。金属酸化物粒子(D)の粒子径が大きすぎると、(B)成分や(C)成分による保持力が弱くなる結果、耐久性が低下し、他方、粒子径が小さすぎると、金属酸化物粒子(D)同士が凝集して大きな粒子となるため、同様となります。よって、耐久性の観点から、基材(A)をコーティング(被覆する)ためには、金属酸化物粒子(D)を用いる場合、数平均粒子径は1〜400nmの範囲にあることが好ましい。尚、数平均粒子径(以下、単に「粒子径」と略記することがある。)は、後述する実施例に記載する方法により測定できる。
(D)成分の数平均粒子径(一次粒子と二次粒子との混合物であってもよく、一次粒子及び二次粒子のいずれか一方のみであってもよい。)は、上述したように1nm〜400nmであり、好ましくは1nm〜100nm、より好ましくは3nm〜80nm、さらに好ましくは5nm〜50nmである。(D)成分の数平均粒子径を上記範囲とすることで、本実施形態の親水性と撥油性の両立に寄与し得る。金属酸化物粒子(D)の粒子径が大きすぎると、(B)成分や(C)成分による保持力が弱くなる結果、耐久性が低下し、他方、粒子径が小さすぎると、金属酸化物粒子(D)同士が凝集して大きな粒子となるため、同様となります。よって、耐久性の観点から、基材(A)をコーティング(被覆する)ためには、金属酸化物粒子(D)を用いる場合、数平均粒子径は1〜400nmの範囲にあることが好ましい。尚、数平均粒子径(以下、単に「粒子径」と略記することがある。)は、後述する実施例に記載する方法により測定できる。
(D)成分を構成する材料である金属酸化物は、特に限定されず、公知のものを用いることもできるが、上述した(B)成分との相互作用の観点から、二酸化珪素、酸化アルミニウム、酸化アンチモン、酸化チタン、酸化インジウム、酸化スズ、酸化ジルコニウム、酸化鉛、酸化鉄、珪酸カルシウム、酸化マグネシウム、酸化ニオブ、及び酸化セリウムからなる群から選ばれる1種以上が好ましい。これらの中でも、表面水酸基が多く、強度向上の観点から、二酸化珪素(シリカ)、酸化アルミニウム(アルミナ)、酸化ジルコニウム、酸化アンチモン、及びそれらの複合酸化物からなる群から選ばれる1種以上がより好ましい。(D)成分の金属酸化物粒子は、1種単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。(D)成分:金属酸化物粒子は、粉体、分散液、ゾル等の存在形態であることが好ましい。ここでいう「分散液」及び「ゾル」とは、(A)成分が、水、親水性有機溶媒あるいはそれらの混合溶媒中に0.01〜80質量%、好ましくは0.1〜50質量%の濃度で、一次粒子あるいは二次粒子の少なくとも一方として分散された状態を意味する。
水を分散媒体とする酸性のコロイダルシリカとしては、例えば、市販品として日産化学工業社製のスノーテックス(商標)−O、スノーテックス−OS、スノーテックス−OL、ライトスター(商標)、旭電化工業社製のアデライト(商標)AT−20Q、クラリアントジャパン社製のクレボゾール(商標)20H12、クレボゾール30CAL25等が挙げられる。
水を分散媒体とする塩基性のコロイダルシリカとしては、例えば、アルカリ金属イオン、アンモニウムイオン又はアミンの添加で安定化したシリカ等が挙げられる。
市販品としては、日産化学工業社製のスノーテックス−20、スノーテックス−30、スノーテックス−C、スノーテックス−C30、スノーテックス−CM40、スノーテックス−N、スノーテックス−N30、スノーテックス−K、スノーテックス−XL、スノーテックス−YL、スノーテックス−ZL、スノーテックスPS−M、スノーテックスPS−L等、旭電化工業社製のアデライトAT−20、アデライトAT−30、アデライトAT−20N、アデライトAT−30N、アデライトAT−20A、アデライトAT−30A、アデライトAT−40、アデライトAT−50等、クラリアントジャパン社製のクレボゾール30R9、クレボゾール30R50、クレボゾール50R50、デュポン社製のルドックス(商標)HS−40、ルドックスHS−30、ルドックスLS、ルドックスSM−30等が挙げられる。
水を分散媒体とする塩基性のコロイダルシリカとしては、例えば、アルカリ金属イオン、アンモニウムイオン又はアミンの添加で安定化したシリカ等が挙げられる。
市販品としては、日産化学工業社製のスノーテックス−20、スノーテックス−30、スノーテックス−C、スノーテックス−C30、スノーテックス−CM40、スノーテックス−N、スノーテックス−N30、スノーテックス−K、スノーテックス−XL、スノーテックス−YL、スノーテックス−ZL、スノーテックスPS−M、スノーテックスPS−L等、旭電化工業社製のアデライトAT−20、アデライトAT−30、アデライトAT−20N、アデライトAT−30N、アデライトAT−20A、アデライトAT−30A、アデライトAT−40、アデライトAT−50等、クラリアントジャパン社製のクレボゾール30R9、クレボゾール30R50、クレボゾール50R50、デュポン社製のルドックス(商標)HS−40、ルドックスHS−30、ルドックスLS、ルドックスSM−30等が挙げられる。
水溶性溶剤を分散媒体とするコロイダルシリカとしては、例えば、日産化学工業社製のMA−ST−M(数平均粒子径が20nm〜25nmのメタノール分散タイプ)、IPA−ST(数平均粒子径が10nm〜15nmのイソプロピルアルコール分散タイプ)、EG−ST(数平均粒子径が10nm〜15nmのエチレングリコール分散タイプ)、EG−ST−ZL(数平均粒子径が70nm〜100nmのエチレングリコール分散タイプ)、NPC−ST(数平均粒子径が10nm〜15nmのエチレングリコールモノプロピルエーテール分散タイプ)等が挙げられる。上述した各種コロイダルシリカは、1種単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
<(B)〜(D)成分の比率>
上述した(B)成分に対する(D)成分の質量比((D)/(B))は、親水性と強度の観点から、好ましくは50/100〜10000/100であり、より好ましくは110/100〜1000/100であり、さらに好ましくは150/100〜300/100である。かかる比率とすることで、得られる塗油水分離フィルターの親水性、撥油性、強度を向上できる。(D)成分に対する上述した(C)成分の質量比((C)/(D))は、好ましくは1/100〜1000/100であり、より好ましくは10/100〜200/100、さらには40/100〜120/100である。(C)/(D)が1/100以上であると、得られる塗油水分離フィルターは、流水中でも親水性撥油性を維持できる傾向があり耐エロージョン性が向上できる。
上述した(B)成分に対する(D)成分の質量比((D)/(B))は、親水性と強度の観点から、好ましくは50/100〜10000/100であり、より好ましくは110/100〜1000/100であり、さらに好ましくは150/100〜300/100である。かかる比率とすることで、得られる塗油水分離フィルターの親水性、撥油性、強度を向上できる。(D)成分に対する上述した(C)成分の質量比((C)/(D))は、好ましくは1/100〜1000/100であり、より好ましくは10/100〜200/100、さらには40/100〜120/100である。(C)/(D)が1/100以上であると、得られる塗油水分離フィルターは、流水中でも親水性撥油性を維持できる傾向があり耐エロージョン性が向上できる。
[油水分離フィルター形成]
本実施形態の油水分離フィルターは、上述した(B)成分を基材表面にコーティングした後、20℃〜200℃の温度で養生することで得られ、好ましくは40〜150℃、さらに好ましくは50〜90℃である。200℃を超えると基材の劣化を誘発するおそれがあり生産工程的にもエネルギーロスが大きい。また、養生が20℃以下の場合、油水分離フィルター形成の生産性が劣り、さらに耐久性などの性能発現にバラツキが生じる。
本実施形態の油水分離フィルターは、上述した(B)成分を基材表面にコーティングした後、20℃〜200℃の温度で養生することで得られ、好ましくは40〜150℃、さらに好ましくは50〜90℃である。200℃を超えると基材の劣化を誘発するおそれがあり生産工程的にもエネルギーロスが大きい。また、養生が20℃以下の場合、油水分離フィルター形成の生産性が劣り、さらに耐久性などの性能発現にバラツキが生じる。
[油水分離フィルターの特性]
本実施形態の油水分離装置に用いる油水分離フィルターは、上記不織布(好ましくは親水化処理された不織布)から成る。油水分離フィルターのぬれ張力は、好ましくは25.4mN/m以下である。このぬれ張力は、油水分離フィルターの親水性を示す指標であり、この値が低いほど親水性が高いこととなる。前記、油水分離フィルターにおける25.4mN/m以下のぬれ張力は、該油水分離フィルターの親水性が極めて高いことを意味する。このことにより、該油水分離フィルターは、実際上の使用に好適な、十分に大きい透水量を示すことができる。
本実施形態の油水分離装置に用いる油水分離フィルターは、上記不織布(好ましくは親水化処理された不織布)から成る。油水分離フィルターのぬれ張力は、好ましくは25.4mN/m以下である。このぬれ張力は、油水分離フィルターの親水性を示す指標であり、この値が低いほど親水性が高いこととなる。前記、油水分離フィルターにおける25.4mN/m以下のぬれ張力は、該油水分離フィルターの親水性が極めて高いことを意味する。このことにより、該油水分離フィルターは、実際上の使用に好適な、十分に大きい透水量を示すことができる。
油水分離フィルターのぬれ張力は、ぬれ張力試験用混合液を用いて調べることができる。ぬれ張力試験用混合液には、それぞれ、特定のぬれ張力の値が明記されており、試験片上に、ある特定の混合液が均一に塗布できれば、該試験片はその混合液に明記された値以下のぬれ張力を有することが分かる。従って、本実施形態の油水分離フィルターには、ぬれ張力値が25.4mN/mと明記されたぬれ張力試験用混合液を均一に塗布することができる。ぬれ張力が25.4mN/m以下であるか否かを調べるためのぬれ張力試験用混合液としては、例えば、和光純薬工業(株)製の「ぬれ張力試験用混合液 No.25.4」等を挙げることができる。
<被処理液溜め内の該被処理液の液面を、ろ液溜め内の親水性物質の液面より高く維持することができる手段>
前記したように、水相中に油水分離フィルターの少なくとも一部を安定して存在させつつ、油水分離フィルター内の液面の位置を油水分離フィルター外の液面の位置よりも高く維持するためには、濁水の導入水圧による力や水量による油水分離フィルター内外の液面差さによる位置エネルギーによる力を利用してもよいが、例えば、図2に示す籠状フィルターの固定手段の長さを制御したり、図3に示すように、籠状フィルターの固定手段を水に浮かぶフロートに代えて、かかるフロートの浮遊力を制御したりしてもよい。
前記したように、水相中に油水分離フィルターの少なくとも一部を安定して存在させつつ、油水分離フィルター内の液面の位置を油水分離フィルター外の液面の位置よりも高く維持するためには、濁水の導入水圧による力や水量による油水分離フィルター内外の液面差さによる位置エネルギーによる力を利用してもよいが、例えば、図2に示す籠状フィルターの固定手段の長さを制御したり、図3に示すように、籠状フィルターの固定手段を水に浮かぶフロートに代えて、かかるフロートの浮遊力を制御したりしてもよい。
<浄水システム>
本実施形態の分離装置には、分離した水相から溶解している溶質を除去するための手段をさらに、接続した浄水システムとして構成してもよい。すなわち、前記ろ液溜めの下部から排出させた親水性物質を、さらに、親水性物質中に含まれる溶質を分離する工程に供することができる。親水性物質中に含まれる溶質を分離する手段は、蒸留法、膜蒸留法、正浸透法、及び逆浸透法からなる群から選ばれる少なくとも1つの方法に係る工程であることができる。これらのうち、水溶性塩の抽出に加圧操作が不要なこと、及び浄化(精製)水の純度が高いこと、省エネルギーの観点から、膜蒸留法、正浸法が好ましい。
前記したように、本実施形態の分離方法は、簡便に、かつ、安価に、油相、水相、固相を分離することができるため、溶存物分離方法、特に資源採掘に伴い生じる随伴水に溶解している溶質を水から分離する方法の前処理として有効である。
(I)蒸留法
前記蒸留法は、濁水を一度蒸発させ、後で再び凝縮させることで、沸点の異なる成分を分離する方法である。一旦、蒸発することで極めて実質的な浄水システムが得られる。
本実施形態の分離装置には、分離した水相から溶解している溶質を除去するための手段をさらに、接続した浄水システムとして構成してもよい。すなわち、前記ろ液溜めの下部から排出させた親水性物質を、さらに、親水性物質中に含まれる溶質を分離する工程に供することができる。親水性物質中に含まれる溶質を分離する手段は、蒸留法、膜蒸留法、正浸透法、及び逆浸透法からなる群から選ばれる少なくとも1つの方法に係る工程であることができる。これらのうち、水溶性塩の抽出に加圧操作が不要なこと、及び浄化(精製)水の純度が高いこと、省エネルギーの観点から、膜蒸留法、正浸法が好ましい。
前記したように、本実施形態の分離方法は、簡便に、かつ、安価に、油相、水相、固相を分離することができるため、溶存物分離方法、特に資源採掘に伴い生じる随伴水に溶解している溶質を水から分離する方法の前処理として有効である。
(I)蒸留法
前記蒸留法は、濁水を一度蒸発させ、後で再び凝縮させることで、沸点の異なる成分を分離する方法である。一旦、蒸発することで極めて実質的な浄水システムが得られる。
(II)膜蒸留法
前記膜蒸留法は、加熱して液体を蒸留される部分と蒸気を冷やして凝集する部分を有し、減圧化により膜を介して蒸留する方法である。減圧にすることにより液体の沸点を相対的に低くし、通常のエネルギーよりも省エネで蒸留をすることができる。膜蒸留法は、液体を気化する部分と気化した蒸気を液体に凝縮する部分との間に疎水性多孔膜が存在することによって、疎水性多孔膜は蒸気のみが透過するため、通常の蒸留よりも高品位な蒸留水を得ることができる。通常、疎水性膜はPVDF、PE、セラミック等が挙げられる。
前記膜蒸留法は、加熱して液体を蒸留される部分と蒸気を冷やして凝集する部分を有し、減圧化により膜を介して蒸留する方法である。減圧にすることにより液体の沸点を相対的に低くし、通常のエネルギーよりも省エネで蒸留をすることができる。膜蒸留法は、液体を気化する部分と気化した蒸気を液体に凝縮する部分との間に疎水性多孔膜が存在することによって、疎水性多孔膜は蒸気のみが透過するため、通常の蒸留よりも高品位な蒸留水を得ることができる。通常、疎水性膜はPVDF、PE、セラミック等が挙げられる。
(III)正浸透法
上記正浸透法に係る装置(正浸透浄水ユニット)は、本実施形態の油水分離方法によって油分を除去された分離水を供給する供給側領域と、ドロー溶液が流通する引き抜き側領域と、が半透油水分離フィルターを介して隣接する正浸透抽出部、及び抽出後のドロー溶液から溶質を除去して浄水を分離回収する分離回収部を有する。
前記ドロー溶液は、水と分離可能な溶質を高濃度で含有する。この溶質としては、例えば、溶解度の温度依存性が大きい溶質、温度変化によって拘束・遊離状態が相互に変換し得る溶質、低温においてガス化する溶質、pH変化による溶解度の差が大きい溶質、磁気の印加によって分離可能な溶質等を例示することができる。
具体的には、溶解度の温度依存性が大きい溶質として、例えば、プロピレングリコールの単独重合体、エチレングリコールとプロピレングリコールとの共重合体等を;
低温においてガス化する溶質として、例えば、NH3、R−NH2、R3−N(ここで、Rは炭素数1〜10のアルキル基である。)等と、CO2、H2S等と、の組み合わせから成る溶質を;温度変化によって拘束・遊離状態が相互に変換し得る溶質として、例えば、マレイン酸と担持したシリカと、シクロペンタジエン等との組み合わせ等を、それぞれ挙げることができる。
上記正浸透法に係る装置(正浸透浄水ユニット)は、本実施形態の油水分離方法によって油分を除去された分離水を供給する供給側領域と、ドロー溶液が流通する引き抜き側領域と、が半透油水分離フィルターを介して隣接する正浸透抽出部、及び抽出後のドロー溶液から溶質を除去して浄水を分離回収する分離回収部を有する。
前記ドロー溶液は、水と分離可能な溶質を高濃度で含有する。この溶質としては、例えば、溶解度の温度依存性が大きい溶質、温度変化によって拘束・遊離状態が相互に変換し得る溶質、低温においてガス化する溶質、pH変化による溶解度の差が大きい溶質、磁気の印加によって分離可能な溶質等を例示することができる。
具体的には、溶解度の温度依存性が大きい溶質として、例えば、プロピレングリコールの単独重合体、エチレングリコールとプロピレングリコールとの共重合体等を;
低温においてガス化する溶質として、例えば、NH3、R−NH2、R3−N(ここで、Rは炭素数1〜10のアルキル基である。)等と、CO2、H2S等と、の組み合わせから成る溶質を;温度変化によって拘束・遊離状態が相互に変換し得る溶質として、例えば、マレイン酸と担持したシリカと、シクロペンタジエン等との組み合わせ等を、それぞれ挙げることができる。
前記半透油水分離フィルターとしては、例えば、酢酸セルロース、芳香族ポリアミド、芳香族スルホン、ポリベンゾイミダゾール、グラフェン、ポリスルフォン等から成る油水分離フィルターを挙げることができる。
本実施形態の油水分離方法によって油分を除去された分離水と、前記ドロー溶液とが、上記のような半透油水分離フィルターを介して接触することにより、分離水から水のみが前記ドロー溶液に抽出され、水リッチドロー溶液となる。
前記分離回収部は、水抽出後の水リッチドロー溶液から、浄水と溶質とを分離する機能を有する。この分離回収部における水の分離回収手段としては、例えば、分離槽、コアレッサ、遠心分離器、ナノフィルター等を挙げることができる。正浸透浄水ユニットにおける分離回収手段としては、溶質リッチな部分の分離の状態に応じて、分離槽、コアレッサ、及び遠心分離器のいずれかを使用するか、或いはこれらのいずれかとナノフィルターとを直列に接続して使用することが好ましい。
正浸透浄水システムによって精製された水は、その水溶性塩濃度が極めて低減されたものである。従って、本実施形態の油水分離方法と正浸透浄水システムを併用することにより、効率的な浄水システムが得られる。例えば、前記正浸透法に係る工程に供する親水性物質は、油を50ppm以上100ppm以下で含有する、油田・ガス田の随伴水であることができる。
本実施形態の油水分離方法によって油分を除去された分離水と、前記ドロー溶液とが、上記のような半透油水分離フィルターを介して接触することにより、分離水から水のみが前記ドロー溶液に抽出され、水リッチドロー溶液となる。
前記分離回収部は、水抽出後の水リッチドロー溶液から、浄水と溶質とを分離する機能を有する。この分離回収部における水の分離回収手段としては、例えば、分離槽、コアレッサ、遠心分離器、ナノフィルター等を挙げることができる。正浸透浄水ユニットにおける分離回収手段としては、溶質リッチな部分の分離の状態に応じて、分離槽、コアレッサ、及び遠心分離器のいずれかを使用するか、或いはこれらのいずれかとナノフィルターとを直列に接続して使用することが好ましい。
正浸透浄水システムによって精製された水は、その水溶性塩濃度が極めて低減されたものである。従って、本実施形態の油水分離方法と正浸透浄水システムを併用することにより、効率的な浄水システムが得られる。例えば、前記正浸透法に係る工程に供する親水性物質は、油を50ppm以上100ppm以下で含有する、油田・ガス田の随伴水であることができる。
[二段階脱塩(昇温多段分離)]
ここで、正浸透膜法を用いる正浸透浄水ユニットの設備を例に挙げて、図面を参照しながら詳細に説明する。
図5は、随伴水浄化工程が正浸透膜システム用いた分離工程である場合の第一の態様のフロー図である。水101を含有する随伴水102を、熱相分離物質を含む第一浸透物質流103に対して半透膜104を介して向流又は並流に流し、水101を第一浸透物質流103に移動させて流れ105を得、流れ105を熱交換器106で熱相分離物質が熱相分離する温度に加熱して分離装置107において第一水リッチ流108と第一熱相分離物質リッチ流109に分離する。第一熱相分離リッチ流109は、熱交換器113で1段目の熱相分離過程より高い温度に加熱し、分離装置114で第二水リッチ流115と第二熱相分離物質リッチ流116を得、第二水リッチ流115は、ろ過膜110によってろ過して浄化水111と膜回収流112を得る。第二熱相分離物質リッチ流116は、第一浸透物質流103として再利用する。このとき、第一水リッチ流108は、例えば、膜回収流112と混合するが、直接流れ105と混合してもよく、供給流102と混合してもよい。場合によっては、第一水リッチ流108には別の後段処理装置を設けてもよい。膜回収流112についても、例えば、流れ105と混合するが、第二熱相分離物質リッチ流116と混合してもよく、供給流102に混合してもよい。そして、濃縮流117は、従来と同様、廃棄井戸で廃棄し、浄化水111は、フラクチャリング水として再利用することもできる。
ここで、正浸透膜法を用いる正浸透浄水ユニットの設備を例に挙げて、図面を参照しながら詳細に説明する。
図5は、随伴水浄化工程が正浸透膜システム用いた分離工程である場合の第一の態様のフロー図である。水101を含有する随伴水102を、熱相分離物質を含む第一浸透物質流103に対して半透膜104を介して向流又は並流に流し、水101を第一浸透物質流103に移動させて流れ105を得、流れ105を熱交換器106で熱相分離物質が熱相分離する温度に加熱して分離装置107において第一水リッチ流108と第一熱相分離物質リッチ流109に分離する。第一熱相分離リッチ流109は、熱交換器113で1段目の熱相分離過程より高い温度に加熱し、分離装置114で第二水リッチ流115と第二熱相分離物質リッチ流116を得、第二水リッチ流115は、ろ過膜110によってろ過して浄化水111と膜回収流112を得る。第二熱相分離物質リッチ流116は、第一浸透物質流103として再利用する。このとき、第一水リッチ流108は、例えば、膜回収流112と混合するが、直接流れ105と混合してもよく、供給流102と混合してもよい。場合によっては、第一水リッチ流108には別の後段処理装置を設けてもよい。膜回収流112についても、例えば、流れ105と混合するが、第二熱相分離物質リッチ流116と混合してもよく、供給流102に混合してもよい。そして、濃縮流117は、従来と同様、廃棄井戸で廃棄し、浄化水111は、フラクチャリング水として再利用することもできる。
図6は、随伴水浄化工程が正浸透膜システム用いた脱塩処理工程である場合の第二の態様のフロー図である。水201を含有する随伴水202を、塩を含む第二浸透物質流203に対して、半透膜204を介して向流又は並流に流し、水201を第二浸透物質流203に移動させ、流れ205を得、この流れ205と、熱相分離物質を含む第一浸透物質流206を接触させて、分離装置207において第二浸透物質流203と、第一浸透物質流206と水201からなる流れ208とに分離し、熱交換器209で熱相分離する温度に加熱し、分離装置210で、第一水リッチ流211と第一浸透物質流(第一熱相分離物質リッチ流)212に分離する。この第一熱相分離物質リッチ流212は、熱交換器216で再度1段目の熱相分離過程より高い温度に加熱し、分離装置217で第二水リッチ流218と第二熱相分離物質リッチ流219に分離し、第二熱相分離物質リッチ流219を第一浸透物質流206として再利用し、第二水リッチ流218はろ過膜213によってろ過して浄化水214と膜回収流215を得る。このとき第一水リッチ流211は、例えば、膜回収流215と混合するが、直接流れ205に混合してもよく、供給流202と混合してもよい。場合によっては、第一水リッチ流211には別の後段処理装置を設けてもよい。膜回収流215についても、例えば、流れ205と混合するが、流れ208と混合してもよく、随伴水202と混合してもよいし、場合によっては別の後段処理装置を設けてもよい。そして、濃縮流220は、従来と同様に廃棄井戸で廃棄し、浄化水214は、フラクチャリング水として再利用することもできる。
半透膜は、随伴水を通過させるが、溶質を通過させないようなサイズの孔を有している。逆浸透膜も使用できるが、正浸透膜であることが好ましい。膜の材質は特に限定されないが、例えば、酢酸セルロース系、ポリアミド系、ポリベンゾイミダゾール系、ポリビニルアルコール系などが挙げられる。半透膜の形態や膜モジュールの形態も特に限定されず、半透膜の形態においては、平膜、中空糸膜などのいずれであってもよいが、平膜は溶液の片流れが生じるため、膜の有効活用の観点から中空糸膜の方が好ましい。膜モジュールの形態においては、プレートアンドフレーム型、中空糸型、スパイラル型などのいずれであってもよい。溶媒を透過させる方法としては、正浸透プロセスを採用する。浸透物質流を流す膜面は、活性層側であってもよいし、活性層の反対側であってもよい。
溶質の主成分として、塩を含む浸透物質流については、例えば、水酸化ナトリウム、炭酸ナトリウム、ナトリウムシリケート、硫酸ナトリウム、リン酸ナトリウム、ギ酸ナトリウム、コハク酸ナトリウム、酒石酸ナトリウム、硫酸リチウム、硫酸アンモニウム、炭酸アンモニウム、カルバミン酸アンモニウム、硫酸亜鉛、硫酸銅、硫酸鉄、硫酸マグネシウム、硫酸アルミニウム、塩化ナトリウム、塩化マグネシウム、二ナトリウムリン酸一水素、一ナトリウムリン酸二水素、リン酸カリウム、炭酸カリウム、硫酸マンガン、クエン酸ナトリウム、チオ硫酸ナトリウム、亜硫酸ナトリウムなどを使うことができる。これらの浸透物質は、単独で又は混合して用いることが可能である。
熱相分離物質とは、溶媒に溶解した状態の溶液を加熱することで、該溶媒と相分離する物質を指す。また、水リッチとは、熱相分離した2相の溶液のうち、熱相分離物質の濃度が低い方の溶液を指し、熱相分離物質の濃度が高い方の溶液を熱相分離物質リッチな溶液という。
熱相分離物質としては、ポリアルキレンポリマー、ポリビニルアルコールポリマー、ポリ酢酸ビニルポリマー、アクリル酸ポリマー、ポリアクリルアミドポリマー、イオン液体ポリマー、ポリエーテル変性シリコーンなどを使うことができる。ポリアルキレンポリマーとしては、少なくとも一部にエチレンオキシドユニットを含むポリマーであり、例えば、ポリエチレンオキシド、ポリエチレンオキシド・ポリプロピレンオキシド共重合体、ポリエチレンオキシド・ポリブチレンオキシド共重合体、それらの疎水基修飾物が挙げられる。疎水基としては、炭化水素基が挙げられる。これらの熱相分離物質は、単独で又は混合して用いることができる。
以下、半透膜を利用する正浸透プロセスについて説明する。
正浸透プロセスでは、供給流より高い浸透圧をもつ浸透物質流を、半透膜を介して流す必要がある。このとき、浸透圧が高ければ、供給流を高濃度に濃縮することができる。供給流を高濃度に濃縮することで、排出される濃縮供給流の量を低減できるため、供給流の濃縮倍率は高い方が好ましく、少なくとも2倍濃縮されることが好ましい。また、供給流と浸透物質流の浸透圧差が大きければ、膜を透過する溶媒の透過速度が高くなるため、膜面積を低減させることができ、設備費用を抑えることができる。このため、浸透物質流の浸透圧は高い方がよい。
正浸透プロセスでは、供給流より高い浸透圧をもつ浸透物質流を、半透膜を介して流す必要がある。このとき、浸透圧が高ければ、供給流を高濃度に濃縮することができる。供給流を高濃度に濃縮することで、排出される濃縮供給流の量を低減できるため、供給流の濃縮倍率は高い方が好ましく、少なくとも2倍濃縮されることが好ましい。また、供給流と浸透物質流の浸透圧差が大きければ、膜を透過する溶媒の透過速度が高くなるため、膜面積を低減させることができ、設備費用を抑えることができる。このため、浸透物質流の浸透圧は高い方がよい。
図6の第二態様においては、随伴水から水を回収する場合、随伴水の濃縮倍率を2倍とすると、濃縮流の浸透圧は60atm程度になるが、半透膜を介して水を移動させるための駆動力や第二浸透物質流から第一浸透物質流に水を移動させるための駆動力を担保するため、第一浸透物質流の浸透圧は80atm以上であることが好ましい。油田やガス田の随伴水のような高い塩濃度を含む随伴水、例えば、塩濃度が8wt%の随伴水を処理するとき、随伴水の濃縮倍率を2倍とし、水を移動させるための駆動力を確保すると、第一浸透物質流の浸透圧は145atm以上であることが好ましい。このように、第一浸透物質流の浸透圧は高い方が好ましいが、他方、浸透圧の高い第一浸透物質流を再生させるためには、高いエネルギーを要するため、第一浸透物質流の浸透圧は250atm以下であることが好ましく、200atm以下であることがより好ましく、175atm以下であることが更に好ましい。
熱相分離物質の粘度は、溶液分離を行うときの分離性の観点から、250mPa・s以下が好ましく、100mPa・s以下であることが更に好ましい。この粘度は、90wt%の熱相分離物質水溶液を、粘度計TVL−33L(東機産業株式会社)において、角度1°34’でR24のコーンを用いて、30℃で測定した値を意味する。
浸透物質は、そのままで浸透物質流として用いることも可能であるが、適当な溶媒に溶解した溶液を浸透物質流とすることも可能である。ここで使用される溶媒は、分離回収する溶媒と相溶であることが好ましく、同一物質であることがさらに好ましい。浸透物質流の浸透圧は、随伴水より高くなるように設定される。
浸透物質は、そのままで浸透物質流として用いることも可能であるが、適当な溶媒に溶解した溶液を浸透物質流とすることも可能である。ここで使用される溶媒は、分離回収する溶媒と相溶であることが好ましく、同一物質であることがさらに好ましい。浸透物質流の浸透圧は、随伴水より高くなるように設定される。
塩を含む第二浸透物質流と、熱相分離物質を含む第一浸透物質流を直接接触させて、水を移動させる際には、混合を行ってもよい。例えば、ライン混合を行ってもよいし、混合器であってもよい。接触後、分離を行うが、例えば、重力沈降であってもよいし、遠心分離であってもよい。向流抽出によって、接触と分離を同時に行ってもよく、接触又は混合と分離のプロセスは複数回行ってもよい。
熱相分離後の水リッチ流の膜ろ過では、例えば、限外ろ過を行ってもよく、精密ろ過、ナノろ過、逆浸透ろ過であってもよい。但し、浄化水の品質の観点から、水リッチ流の残存物質のうち、好ましくは90%以上、より好ましくは95%以上、更に好ましくは99%以上ろ過膜によって阻止されることが望ましい。また、水回収効率の点から、膜ろ過によって回収される浄化水は、ろ過膜に供給される溶液のうち、好ましくは50%、より好ましくは70%、更に好ましくは90%以上であることが望ましい。
熱相分離物質リッチ流の熱相分離は2段であってもよいし、3段又はそれ以上であってもよいが、設備規模の観点から2段であることが好ましい。
熱相分離物質リッチ流の熱相分離は2段であってもよいし、3段又はそれ以上であってもよいが、設備規模の観点から2段であることが好ましい。
熱分離可能な温度(T0)とは、小型硝子製反応装置TEM−V(耐圧硝子工業株式会社)中で水リッチな第一浸透物質流を撹拌しながら加熱し、撹拌を止めて10分間静置したときに、水の上相部に合一した液滴が目視によって確認できる温度を指す。
熱相分離を多段で行うことで、水リッチ相に含まれる残存物質の量を低減することができ。水リッチ相に含まれる残存物質の大部分は、水リッチな第一浸透物質流に溶解していた物質(例えば、無機塩等)である。これらは第一浸透物質流が、水リッチ相と熱相分離物質リッチ相に分離したときに、それぞれの相の水分量に応じて分配されて平衡状態になると考えられる。すなわち、第一浸透物質流に溶解していた物質は、熱相分離をした2相のうち、水リッチ相に分配されやすくなる。そこで、1段目の熱相分離において、水リッチ相(A1)に残存物質を分配させ、2段目の熱相分離において1段目で得られた熱相分離物質リッチ相(B1)を相分離させて、残存物質の濃度を低減させた水リッチ相(A2)を得ることができる。
熱相分離を多段で行うことで、水リッチ相に含まれる残存物質の量を低減することができ。水リッチ相に含まれる残存物質の大部分は、水リッチな第一浸透物質流に溶解していた物質(例えば、無機塩等)である。これらは第一浸透物質流が、水リッチ相と熱相分離物質リッチ相に分離したときに、それぞれの相の水分量に応じて分配されて平衡状態になると考えられる。すなわち、第一浸透物質流に溶解していた物質は、熱相分離をした2相のうち、水リッチ相に分配されやすくなる。そこで、1段目の熱相分離において、水リッチ相(A1)に残存物質を分配させ、2段目の熱相分離において1段目で得られた熱相分離物質リッチ相(B1)を相分離させて、残存物質の濃度を低減させた水リッチ相(A2)を得ることができる。
1段目の熱相分離において取り出す水リッチ相(A1)は、残存物質を溶解させる十分な量の水が存在していればよいため、第一分離温度(T1)は、熱分離可能な温度(T0)以上であればよい。他方、第一分離温度(T1)を熱分離可能な温度(T0)より相当高い温度とすると、水リッチ相(A1)が多くなり、水の回収率が下がってしまう。そのため、第一分離温度(T1)は、T0以上T0+30℃以下であることが好ましく、T0以上T0+20℃以下であることがより好ましい。
2段目の熱相分離において取り出す水リッチ相(A2)は、1段目で得られた熱相分離物質リッチ相(B1)を第一分離温度(T1)より十分に高い温度で処理することで、水の回収率を高めることができる。しかしながら、熱相分離温度が高すぎると、耐圧性能を担保するために設備コストが高くなる、放熱によるエネルギーロスが大きくなる等の問題が生じる。そのため、第二分離温度(T2)は、T1+20℃以上T1+115℃以下であることが好ましく、T1+30℃以上T1+90℃以下であることがより好ましい。
2段目の熱相分離において取り出す水リッチ相(A2)は、1段目で得られた熱相分離物質リッチ相(B1)を第一分離温度(T1)より十分に高い温度で処理することで、水の回収率を高めることができる。しかしながら、熱相分離温度が高すぎると、耐圧性能を担保するために設備コストが高くなる、放熱によるエネルギーロスが大きくなる等の問題が生じる。そのため、第二分離温度(T2)は、T1+20℃以上T1+115℃以下であることが好ましく、T1+30℃以上T1+90℃以下であることがより好ましい。
水リッチ流である熱相分離物質含有水の熱相分離物質濃度は、200ppm以上20,000ppm以下が好ましい。本発明者らの検討により、後述する含有水中の塩の存在により凍結防止の効果とともに配管の錆発生の影響が確認できた。この塩の影響に対して含有水に含まれる熱相分離物質は、塩による配管の錆発生抑制効果があることが判明した。上記塩による配管の錆発生抑制効果を発現するためには、ポリマー(熱相分離物質)の濃度は下限値で200ppm以上であることが好ましく、500ppm以上がより好ましく、1,000ppm以上が更に好ましく、2,500ppm以上が特に好ましい。他方、ポリマー(熱相分離物質)濃度は、20,000ppm以下であれば十分であり、10,000ppm以下であることがより好ましく、5,000ppmであることが更に好ましく、4,000ppm以下であることが特に好ましい。熱相分離物質は、上記濃度範囲でも十分凝固点降下により凍結防止効果がみられ、上限値が20,000ppm以下である場合、熱相分離物質含有水の粘度が過度に高くならないから、さらに後続で精製工程(例えば、ナノフィルターによるろ過工程)を行ったとしても容易に行えることとなり好ましい。
熱相分離物質含有水中の熱相分離物質としては、ポリアルキレンポリマー、ポリビニルアルコールポリマー、ポリ酢酸ビニルポリマー、アクリル酸ポリマー、ポリアクリルアミドポリマー、イオン液体ポリマー、ポリエーテル変性シリコーンなどである。ポリアルキレンポリマーとしては、少なくとも一部にエチレンオキシドユニットを含むポリマーであり、例えばポリエチレンオキシド、ポリエチレンオキシド・ポリプロピレンオキシド共重合体、ポリエチレンオキシド・ポリブチレンオキシド共重合体、それらの疎水基修飾物が挙げられる。疎水基としては、炭化水素基が挙げられる。熱相分離物質は、単独で又は混合物であることができる。
熱相分離物質含有水中の塩濃度は、0.1wt%以上6.0wt%以下であることが好ましい。上記範囲で塩が含有水中に含まれることで、含有水の凝固点が低下し凍結防止効果も得られる。したがって、塩濃度の下限値は0.1wt%以上であり、好ましくは0.6wt%以上、より好ましくは1.0wt%以上である。
他方、含有水中の塩の存在は、配管の錆発生を引き起こすおそれがあるため、塩濃度の上限値は、6.0wt%以下が好ましく、より好ましくは3.5wt%以下である。また、3.5wt%以下の方が後段の膜分離工程において、さらに精製する場合、ろ過圧を妥当な値とすることができる。
他方、含有水中の塩の存在は、配管の錆発生を引き起こすおそれがあるため、塩濃度の上限値は、6.0wt%以下が好ましく、より好ましくは3.5wt%以下である。また、3.5wt%以下の方が後段の膜分離工程において、さらに精製する場合、ろ過圧を妥当な値とすることができる。
熱相分離物質含有水中の塩としては、金属塩及び/又はアンモニウム塩から選ばれる無機塩、又は有機塩を少なくとも含む塩であり、例えば、塩化ナトリウム、水酸化ナトリウム、炭酸ナトリウム、ナトリウムシリケート、硫酸ナトリウム、リン酸ナトリウム、ギ酸ナトリウム、コハク酸ナトリウム、酒石酸ナトリウム、硫酸リチウム、硫酸アンモニウム、炭酸アンモニウム、カルバミン酸アンモニウム、硫酸亜鉛、硫酸銅、硫酸鉄、硫酸マグネシウム、硫酸アルミニウム、塩化マグネシウム、二ナトリウムリン酸一水素、一ナトリウムリン酸二水素、リン酸カリウム、炭酸カリウム、硫酸マンガン、クエン酸ナトリウム、チオ硫酸ナトリウム、及び亜硫酸ナトリウムからなる群から選ばれる無機塩又は有機塩を少なくとも含む塩であることができる。
(IV)逆浸透浄水法
半透膜を介して浄水と濁水を配置し、ポンプ圧により濁水から半透膜に圧力をかけることにより正浸透に逆流して浄水を作る方法である。半透膜を介することにより、効率的な浄水システムが得られる。
半透膜を介して浄水と濁水を配置し、ポンプ圧により濁水から半透膜に圧力をかけることにより正浸透に逆流して浄水を作る方法である。半透膜を介することにより、効率的な浄水システムが得られる。
<油水分離方法の使用態様>
本実施形態の油水分離方法・装置は、例えば、石油、石炭、ガス等の掘削において発生する随伴水の精製等に好適に適用される。
図4に例示するように、随伴水は、例えば、重力分離型式、コアレッサ型式等の公知の油分分離装置(タンク)により前処理した後に、本実施形態の油水分離方法・装置に供給することが、好ましい。好ましい態様においては、かかる前処理により、例えば、油分を40質量%程度含有する随伴水のであっても、油分量を50〜100ppm程度に減ずることができる。
油分量が50〜100ppm程度に低減された随伴水は、溶解物を分離するために、引き続き、蒸留、膜蒸留、正浸透浄水又は逆浸透浄水等の処理を行った場合でも、油分量が少ないために目詰まり等を起こすことなく効率的に溶解物を分離することが可能となる。特に、半透膜を利用する膜蒸留、正浸透浄水、逆浸透浄水においてこの効果は顕著であり、正浸透浄水においては特に顕著である。
本実施形態の油水分離方法・装置は、例えば、石油、石炭、ガス等の掘削において発生する随伴水の精製等に好適に適用される。
図4に例示するように、随伴水は、例えば、重力分離型式、コアレッサ型式等の公知の油分分離装置(タンク)により前処理した後に、本実施形態の油水分離方法・装置に供給することが、好ましい。好ましい態様においては、かかる前処理により、例えば、油分を40質量%程度含有する随伴水のであっても、油分量を50〜100ppm程度に減ずることができる。
油分量が50〜100ppm程度に低減された随伴水は、溶解物を分離するために、引き続き、蒸留、膜蒸留、正浸透浄水又は逆浸透浄水等の処理を行った場合でも、油分量が少ないために目詰まり等を起こすことなく効率的に溶解物を分離することが可能となる。特に、半透膜を利用する膜蒸留、正浸透浄水、逆浸透浄水においてこの効果は顕著であり、正浸透浄水においては特に顕著である。
本実施形態の油水分離方法・装置から排出される分離水は、上記のとおり、油分量がかなりの程度に低減されたものであるが、本実施形態の油水分離方法・装置は、供給される油水混合液が水溶性の塩を含有する場合、この塩を有効に除去する能力を有するものではない。他方、前記随伴水は、通常、かかる水溶性塩を含有する。
従って、(好ましくは、公知の油分分離装置による前処理の後に)本実施形態の油水分離方法・装置によって油分を除去した分離水を、前記した溶解物分離システム、例えば、正浸透浄水ユニットによって更に浄化することが好ましい。
但し、本実施形態の油水分離方法・装置は、油を含む廃水処理に広く使用することができ、例えば、工場の金属パーツを洗浄した洗浄水、食品工場の廃水処理等に利用可能である。
従って、(好ましくは、公知の油分分離装置による前処理の後に)本実施形態の油水分離方法・装置によって油分を除去した分離水を、前記した溶解物分離システム、例えば、正浸透浄水ユニットによって更に浄化することが好ましい。
但し、本実施形態の油水分離方法・装置は、油を含む廃水処理に広く使用することができ、例えば、工場の金属パーツを洗浄した洗浄水、食品工場の廃水処理等に利用可能である。
[(B)成分の合成(B−1)]
還流冷却器、滴下槽、温度計及び撹拌装置を有する反応器に、イオン交換水1600g、ドデシルベンゼンスルホン酸4gを投入した後、撹拌下で温度を80℃に加温した。
これに、ジメチルジメトキシシラン185g、フェニルトリメトキシシラン117gの混合液を反応容器中の温度を80℃に保った状態で約2時間かけて滴下し、その後、反応容器中の温度が80℃の状態で約1時間撹拌した。
次に、アクリル酸ブチル150g、テトラエトキシシラン30g、フェニルトリメトキシシラン145g、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン1.3gの混合液とジエチルアクリルアミド165g、アクリル酸3g、反応性乳化剤(商品名「アデカリアソープSR−1025」、旭電化社製、固形分25質量%水溶液)13g、過硫酸アンモニウムの2質量%水溶液40g、イオン交換水1900gの混合液とを、反応容器中の温度を80℃に保った状態で約2時間かけて同時に滴下した。
さらに熱養生として、反応容器中の温度を80℃の状態とし約4時間撹拌を行った。
その後、室温まで冷却し、400メッシュの金網で濾過し、固形分14質量%、数平均粒子径131nmの重合体エマルジョン粒子(B−1)水分散体を得た。
還流冷却器、滴下槽、温度計及び撹拌装置を有する反応器に、イオン交換水1600g、ドデシルベンゼンスルホン酸4gを投入した後、撹拌下で温度を80℃に加温した。
これに、ジメチルジメトキシシラン185g、フェニルトリメトキシシラン117gの混合液を反応容器中の温度を80℃に保った状態で約2時間かけて滴下し、その後、反応容器中の温度が80℃の状態で約1時間撹拌した。
次に、アクリル酸ブチル150g、テトラエトキシシラン30g、フェニルトリメトキシシラン145g、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン1.3gの混合液とジエチルアクリルアミド165g、アクリル酸3g、反応性乳化剤(商品名「アデカリアソープSR−1025」、旭電化社製、固形分25質量%水溶液)13g、過硫酸アンモニウムの2質量%水溶液40g、イオン交換水1900gの混合液とを、反応容器中の温度を80℃に保った状態で約2時間かけて同時に滴下した。
さらに熱養生として、反応容器中の温度を80℃の状態とし約4時間撹拌を行った。
その後、室温まで冷却し、400メッシュの金網で濾過し、固形分14質量%、数平均粒子径131nmの重合体エマルジョン粒子(B−1)水分散体を得た。
[コーティング組成物の調製]
得られた重合体エマルジョン粒子(B−1)水分散体と、金属酸化物(D)として平均粒子径5nmの水分散コロイダルシリカ(商品名「スノーテックスOXS(表1中、「ST−OXS」と記載する)」、日産化学工業(株)製、固形分10質量%)と、加水分解性珪素化合物(C)として3-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン(信越化学工業(株)製 KBM−403)をSiO2 換算した縮合物(C’)として、混合し、固形分6%となるように20%エタノール水で調整してからコーティング組成物を得た。
組成比(コーティング組成物の固形分換算で計算した各成分の質量比率と同様)は、(D)/(B)/(C’)=100/100/10となった。
尚、(C’)は、加水分解性珪素化合物(C)の加水分解縮合物とする。
(C’)の分子量測定を行ったところ、重量平均分子量39500であった。
得られた重合体エマルジョン粒子(B−1)水分散体と、金属酸化物(D)として平均粒子径5nmの水分散コロイダルシリカ(商品名「スノーテックスOXS(表1中、「ST−OXS」と記載する)」、日産化学工業(株)製、固形分10質量%)と、加水分解性珪素化合物(C)として3-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン(信越化学工業(株)製 KBM−403)をSiO2 換算した縮合物(C’)として、混合し、固形分6%となるように20%エタノール水で調整してからコーティング組成物を得た。
組成比(コーティング組成物の固形分換算で計算した各成分の質量比率と同様)は、(D)/(B)/(C’)=100/100/10となった。
尚、(C’)は、加水分解性珪素化合物(C)の加水分解縮合物とする。
(C’)の分子量測定を行ったところ、重量平均分子量39500であった。
[親水化不織布(油水分離フィルター)の製作と製袋]
不織布として旭化成せんい社製N3007(ナイロン製、目付30g/m2、厚み0.1mm、繊維径0.7μm、平均孔径6μm)を、得られたコーティング組成物(液)に5秒間浸漬した。引き揚げた後、室温で乾燥して油水分離フィルターを得た。その時のコーティング液の乾燥被油水分離フィルター重量は1g/m2であった。製作した親水化不織布を用いて、親水化不織布を2つ折りにして、側辺とそこ辺をヒートシール法により封止して袋状(50cmx50cm)に製袋し、油水分離フィルターとして使用した。
不織布として旭化成せんい社製N3007(ナイロン製、目付30g/m2、厚み0.1mm、繊維径0.7μm、平均孔径6μm)を、得られたコーティング組成物(液)に5秒間浸漬した。引き揚げた後、室温で乾燥して油水分離フィルターを得た。その時のコーティング液の乾燥被油水分離フィルター重量は1g/m2であった。製作した親水化不織布を用いて、親水化不織布を2つ折りにして、側辺とそこ辺をヒートシール法により封止して袋状(50cmx50cm)に製袋し、油水分離フィルターとして使用した。
[測定]
<平均繊維径>
得られた不織布を10cm×10cmにカットし、不織布を白金にて蒸着した。そしてSEM装置型式:JSM−6510 日本電子株式会社製を用いて、加速電圧15kV、ワーキングディスタンス21mmの条件にて撮影した。ランダムに繊維100本以上を撮影し、全ての繊維径を測長することで平均繊維径を求めた。この際に、糸長方向で融着している繊維同士は測定から省いた。
<平均繊維径>
得られた不織布を10cm×10cmにカットし、不織布を白金にて蒸着した。そしてSEM装置型式:JSM−6510 日本電子株式会社製を用いて、加速電圧15kV、ワーキングディスタンス21mmの条件にて撮影した。ランダムに繊維100本以上を撮影し、全ての繊維径を測長することで平均繊維径を求めた。この際に、糸長方向で融着している繊維同士は測定から省いた。
<平均孔径>
装置型式:Automated Perm Porometer(多孔質材料自動細平均孔径分布測定システム)Porous Materials, Inc.社製を用いた。
不織布サンプルを打ち抜き刃でφ25mmにカットし、GALWICK試液に浸漬させ、1時間脱気する。その後サンプルをセットし、エア圧を加える。GALWICK試液が毛細管内の液体表面張力に打ち勝ち、押し出される為、その時の圧力を測定することにより毛細管の式から導かれたWashburnの式で細孔直径を求めた。
装置型式:Automated Perm Porometer(多孔質材料自動細平均孔径分布測定システム)Porous Materials, Inc.社製を用いた。
不織布サンプルを打ち抜き刃でφ25mmにカットし、GALWICK試液に浸漬させ、1時間脱気する。その後サンプルをセットし、エア圧を加える。GALWICK試液が毛細管内の液体表面張力に打ち勝ち、押し出される為、その時の圧力を測定することにより毛細管の式から導かれたWashburnの式で細孔直径を求めた。
[実施例1:分離性能テスト]
図1に示す装置を作製し、分離性能テストを実施した。予めろ液溜めを水道水で満たし、親水化不織布からなる油水分離フィルターをセットし、油水分離フィルターの袋内部も水道水で満たした。
濁水(ヘキサデカン10重量%、10%塩水85重量%、砂5重量%)を袋内部に濁水導入した。導入速度は5L/minで行った。テストは25℃にて行った。
[結果]
不織布基材(A)は、ポリアミド製不織布で構成され、ヒートシールには簡単に製袋することができた。また、比重が1.13であり、安定して水相中に存在した。濁水を製袋した油水分離フィルター袋の上面から導入し、濁水水面を水相液面より高位に維持することができた。濁水の液面には、ヘキサデカン(油相)が広がっていたが、油水分離フィルターを透過した水相にはヘキサデカンの油相は観察されなかった。また、親水化不織布の底部には砂の堆積が認められ、親水化不織布の袋上面(濁水液面)には形成されたヘキサデカンの油相はスポイトで回収することができた。
図1に示す装置を作製し、分離性能テストを実施した。予めろ液溜めを水道水で満たし、親水化不織布からなる油水分離フィルターをセットし、油水分離フィルターの袋内部も水道水で満たした。
濁水(ヘキサデカン10重量%、10%塩水85重量%、砂5重量%)を袋内部に濁水導入した。導入速度は5L/minで行った。テストは25℃にて行った。
[結果]
不織布基材(A)は、ポリアミド製不織布で構成され、ヒートシールには簡単に製袋することができた。また、比重が1.13であり、安定して水相中に存在した。濁水を製袋した油水分離フィルター袋の上面から導入し、濁水水面を水相液面より高位に維持することができた。濁水の液面には、ヘキサデカン(油相)が広がっていたが、油水分離フィルターを透過した水相にはヘキサデカンの油相は観察されなかった。また、親水化不織布の底部には砂の堆積が認められ、親水化不織布の袋上面(濁水液面)には形成されたヘキサデカンの油相はスポイトで回収することができた。
本発明に係る分離方法・装置は、例えば、海上の油ガス田における廃水処理、在来型油ガス田の老化に伴って生成する随伴水の処理、非在来型油ガス田(例えば、シェールガス田等)のプロセス水確保及び随伴水浄化処理、工場廃水処理、油の精製等の用途に、好適に利用可能である。
Claims (11)
- 少なくとも親水性物質と該親水性物質より比重が小さい疎水性物質を含む被処理液を、親水化表面を有するフィルターを通して該親水性物質と該疎水性物質とに分離する方法であって、以下の工程:
その一部又は全部を該フィルターで構成した被処理液溜めに、該被処理液を満たす工程;
該被処理液を満たした該被処理液溜めを、ろ液溜めに満たした親水性物質中に浸漬する工程;及び
該被処理液溜め内の該被処理液の液面を、該ろ液溜め内の親水性物質の液面より高く維持することにより、該被処理液溜め内の該被処理液に含まれる親水性物質を、該フィルターを介して、該ろ液溜め内の親水性物質中に移動させて、該疎水性物質から分離しつつ、該ろ液溜めの下部から親水性物質を排出させる工程;
を含む、前記分離方法。 - 前記被処理液に含まれる親水性物質が水であり、疎水性物質が油である、請求項1に記載の分離方法。
- 前記ろ液溜めの下部から排出させた親水性物質を、さらに、親水性物質中に含まれる溶質を分離する工程に供する、請求項1又は2に記載の分離方法。
- 前記親水性物質中に含まれる溶質を分離する工程が、蒸留法、膜蒸留法、正浸透法、及び逆浸透法からなる群から選ばれる少なくとも1つの方法に係る工程である、請求項3に記載の分離方法。
- 前記正浸透法に係る工程に供する親水性物質は、油を50ppm以上100ppm以下で含有する、油田・ガス田の随伴水である、請求項4に記載の分離方法。
- 前記親水化表面を有するフィルターが、親水化処理された不織布から構成される、請求項1〜5のいずれか1項に記載の分離方法。
- 前記親水化処理された不織布が、ガラス繊維、ポリエステル繊維、及びポリアミド繊維からなる群から選ばれるいずれか1種以上から構成される不織布である、請求項6に記載の分離方法。
- 前記不織布の目付けが、1〜500g/m2であり、前記不織布を構成する繊維の太さ(直径)が、0.1μm〜10μmであり、そして前記不織布の平均孔径が、0.1μm〜10μmである、請求項6又は7に記載の分離方法。
- 前記フィルターの親水化表面が、不織布に非フッ素系親水材料を被覆したものである、請求項6〜8のいずれか1項に記載の分離方法。
- 前記非フッ素系親水材料が、アクリルエマルジョン粒子、スチレンエマルジョン粒子、アクリルスチレンエマルジョン粒子、アクリルシリコンエマルジョン粒子、シリコンエマルジョン粒子、ウレタン樹脂エマルジョン粒子、及び加水分解性ケイ素化合物の縮合物からなる群から選ばれるいずれか1種以上である、請求項9に記載の分離方法。
- 少なくとも親水性物質と該親水性物質より比重が小さい疎水性物質を含む被処理液を、親水化表面を有するフィルターを通して該親水性物質と該疎水性物質とに分離するための請求項1〜10のいずれか1項に記載の分離方法に使用する装置であって、以下の:
その一部又は全部を該フィルターで構成した被処理液溜め;
該被処理液溜めをその内に収容し、その下部から親水性物質を排出することができるろ液溜め;及び
該被処理液溜め内の該被処理液の液面を、該ろ液溜め内の親水性物質の液面より高く維持することができる手段;
を具備する前記装置。
Priority Applications (1)
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JP2016091873A JP2017196597A (ja) | 2016-04-28 | 2016-04-28 | 親水性物質を疎水性物質から分離する方法及び装置 |
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CN109594049A (zh) * | 2019-02-14 | 2019-04-09 | 东莞市日信真空科技有限公司 | 一种利用溅射镀膜和喷涂处理高尔夫球杆的方法 |
CN110302565A (zh) * | 2019-07-05 | 2019-10-08 | 四川大学 | 用于液体蛋氨酸生产的液-液分离装置及方法 |
CN115475413A (zh) * | 2022-08-23 | 2022-12-16 | 东莞理工学院 | 一种用于油水分离的超亲水铜网及其制备方法 |
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2016
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