JP2014144441A - 複合半透膜 - Google Patents

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Abstract

【課題】高い耐剥離性と透水性を両立した複合半透膜を提供すること。
【解決手段】基材および前記基材上に設けられる多孔性支持層を含む微多孔性支持膜と、前記多孔性支持層上に設けられる分離機能層とを備える複合半透膜であって、前記多孔性支持層が第1層、第2層及び第3層を有する多層構造であり、基材と多孔性支持層との剥離強度が1.0N/25mm以上である複合半透膜とする。
【選択図】なし

Description

本発明は、液状混合物の選択的分離に有用な複合半透膜およびその製造方法に関する。本発明によって得られる複合半透膜は、例えば海水やかん水の淡水化に好適に用いることができる。
混合物の分離に関して、溶媒(例えば水)に溶解した物質(例えば塩類)を除くための技術には様々なものがあるが、近年、省エネルギーおよび省資源のためのプロセスとして膜分離法の利用が拡大している。膜分離法に使用される膜には、精密ろ過膜、限外ろ過膜、ナノろ過膜、逆浸透膜などがあり、これらの膜は、例えば海水、かん水、有害物を含んだ水などから飲料水を得る場合や、工業用超純水の製造、排水処理、有価物の回収などに用いられている。
現在市販されている逆浸透膜およびナノろ過膜の大部分は複合半透膜であり、微多孔性支持膜上にゲル層とポリマーを架橋した活性層を有するものと、微多孔性支持膜上でモノマーを重縮合した活性層を有するものとの2種類がある。なかでも、多官能アミンと多官能酸ハロゲン化物との重縮合反応によって得られる架橋ポリアミドからなる分離機能層を微多孔性支持膜上に被覆して得られる複合半透膜は、透過性や選択分離性の高い分離膜として広く用いられている(特許文献1、2)。
逆浸透膜を用いて分離を行うに際し、膜には機械的強度が求められる。例えば、水中に含まれる不純物が逆浸透膜表面に沈積し、このため逆浸透膜の目詰まりを引き起こしたり、純水の製造効率が低下したりした場合、高圧水流で逆浸透膜をフラッシングする方法が取られることがある。この際逆浸透膜の強度が弱いと、膜の剥離が発生し損傷することで、満足な塩除去率が得られなくなる。微多孔性支持膜は、一般的に基材および多孔性支持層からなるが、この基材と多孔性支持層の界面付近において、剥離が発生しやすい。
特許文献3には、基材に複合繊維の素材を採用することにより薬品存在下での耐久性を向上させ、剥離を防止することが開示されている。
特許文献4には、基材と多孔性支持層を融着することによって、破れやすさを改善することが開示されている。
特開昭55−14706号公報 特開平5−76740号公報 特開2001−17842号公報 特開2011−101837号公報
上述した種々の提案にもかかわらず、逆浸透膜における機械的強度の向上および透水性とは充分には両立できていない。本発明の目的は、高い耐剥離性と透水性を両立した複合半透膜を提供することにある。
上記目的を達成するための本発明は、以下の構成をとる。
(1)基材および前記基材上に設けられる多孔性支持層を含む微多孔性支持膜と、前記多孔性支持層上に設けられる分離機能層とを備える複合半透膜であって、
前記多孔性支持層が、基材上に形成される第1層と、前記第1層の上に形成される第2層と、前記第2層の上に形成される第3層とを有する多層構造であり、かつ、テンシロン引張試験機を用いて、25℃の温度条件下、10mm/minのつかみ移動速度で、剥離方向180°で前記基材から前記多孔性支持層を剥がしたときの剥離力の最大値を10回測定して得られた値の平均値である剥離強度が、1.0N/25mm以上である複合半透膜。
(2)前記第1層と前記第2層との界面及び前記第2層と前記第3層との界面が連続構造である上記(1)記載の複合半透膜。
(3)前記多孔性支持層が、前記基材上に第1層を形成する高分子溶液Aを塗布すると同時に第2層を形成する高分子溶液Bとさらに第3層を形成する高分子溶液Cとを塗布した後に、凝固浴に接触させて相分離させることで形成される上記(2)記載の複合半透膜。
(4)前記高分子溶液Aと前記高分子溶液Bの組成が異なり、前記高分子溶液Cと前記高分子溶液Bの組成が異なる上記(3)記載の複合半透膜。
(5)前記高分子溶液Aの固形分濃度a(重量%)および前記高分子溶液Cの固形分濃度c(重量%)よりも前記高分子溶液Bの固形分濃度b(重量%)が低濃度である上記(4)記載の複合半透膜。
(6)前記高分子溶液Aの固形分濃度a(重量%)、前記高分子溶液Bの固形分濃度b(重量%)、及び前記高分子溶液Cの固形分濃度c(重量%)が、a≧c>bの関係式を満たす、上記(4)または(5)記載の複合半透膜。
(7)前記基材が、ポリエステルを含有する長繊維不織布である(1)〜(6)のいずれかに記載の複合半透膜。
(8)NaClの濃度が3.5重量%、温度が25℃、pHが6.5の水溶液を5.5MPaの圧力で24時間透過させた後の造水量が1.6m/m/日以上、かつ脱塩率が99.85%以上である(1)〜(7)のいずれかに記載の複合半透膜。
本発明によって、複合半透膜における高い耐剥離性と透水性との両立が実現される。
1.複合半透膜
複合半透膜は、基材および多孔性支持層を含む微多孔性支持膜と、前記多孔性支持層上に設けられた分離機能層とを備える。本発明の複合半透膜は、該基材と多孔性支持層との剥離強度が1.0N/25mm以上であることを特徴とする。ここで剥離強度とは、テンシロン引張試験機を用いて、25℃の温度条件下、10mm/minのつかみ移動速度で、剥離方向180°で基材から多孔性支持層を剥がしたときの剥離力の最大値を10回測定して得られた値の平均値である。
(1−1)微多孔性支持膜
本発明において微多孔性支持膜は、基材と多孔性支持層とを備え、イオン等の分離性能を実質的に有さず、分離性能を実質的に有する分離機能層に強度を与えるための膜である。
多孔性支持層の素材にはポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリアミド、ポリエステル、セルロース系ポリマー、ビニルポリマー、ポリフェニレンスルフィド、ポリフェニレンスルフィドスルホン、ポリフェニレンスルホン、ポリフェニレンオキシドなどのホモポリマーあるいはコポリマーを単独であるいはブレンドして使用することができる。ここでセルロース系ポリマーとしては酢酸セルロース、硝酸セルロースなど、ビニルポリマーとしてはポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、ポリアクリロニトリルなどが使用できる。中でもポリスルホン、ポリアミド、ポリエステル、酢酸セルロース、硝酸セルロース、ポリ塩化ビニル、ポリアクリロニトリル、ポリフェニレンスルフィド、ポリフェニレンスルフィドスルホンなどのホモポリマーまたはコポリマーが好ましい。より好ましくは酢酸セルロース、ポリスルホン、ポリフェニレンスルフィドスルホン、またはポリフェニレンスルホンが挙げられ、さらに、これらの素材の中では化学的、機械的、熱的に安定性が高く、成型が容易であることからポリスルホンが一般的に使用できる。
具体的には、次の化学式に示す繰り返し単位を含むポリスルホンを用いると、孔径が制御しやすく、寸法安定性が高いため好ましい。
Figure 2014144441
例えば、上記ポリスルホンのN,N−ジメチルホルムアミド(以下、DMF)溶液を、基材上に一定の厚さに注型し、それを水中で湿式凝固させることによって、表面の大部分が直径数1〜30nmの微細な孔を有する微多孔性支持膜を得ることができる。
上記の微多孔性支持膜の厚みは、複合半透膜の強度およびそれを膜エレメントにしたときの充填密度に影響を与える。十分な機械的強度および充填密度を得るためには、微多孔性支持膜の厚みは30〜300μmの範囲内にあることが好ましく、より好ましくは50〜250μmの範囲内である。また、多孔性支持層の厚みは、10〜200μmの範囲内にあることが好ましく、より好ましくは20〜100μmの範囲内である。基材の厚みは10〜250μmの範囲内にあることが好ましく、より好ましくは20〜200μmの範囲内である。
なお、本書において、特に付記しない限り、各層および膜の厚みとは、平均値を意味する。ここで平均値とは相加平均値を表す。すなわち、各層および膜の厚みは、断面観察で厚み方向に直交する方向(膜の面方向)に20μm間隔で測定した20点の厚みの平均値を算出することで求められる。
本発明において、多孔性支持層は多層構造を有する。多孔構造を有する多孔性支持層は、基材と接触する第1層と、アミン等のモノマー水溶液を保持・移送する第2層と、分離機能層と接触する第3層の3つからなる。第1層は、基材と密着され、高い剥離強度を実現する。第2層は、分離機能層の形成に必要なアミン等のモノマーの保持と重合場へ移送する役割を果たす。第3層は、界面重合の場となり、かつモノマーを保持および放出することで、形成される分離機能層へモノマーを供給すると共に、分離機能層のひだ成長の起点としての役割も果たす。
基材と多孔性支持層との剥離強度は、支持層のミクロ相分離構造、ポリマーの占める体積分率、およびポリマー素材の強度等によって最適に制御することができる。しかし、強度の高い支持層が、同時に最適な界面重合場として機能するとは限らない。
例えば、ポリマーの占める体積分率が高い多孔性支持層は高い剥離強度を有するが、モノマー水溶液を保持できる空間が小さいことから、重合場としては不適である。
さらに、ポリマーの占める体積分率の低い多孔性支持層は、モノマー水溶液を保持できる空間を大きくなる反面、膜が剥がれやすくなり、圧力印加および通水(温度25℃、pH6.5の海水、操作圧力5.5MPa、24時間に渡ってろ過処理)を行うと、膜が圧縮され透過流速が低下してしまう。
よって、剥離強度を担う第1層と、分離機能層の形成に必要なアミン等のモノマーを重合場へ移送する役割を果たす第2層、界面重合の場となり、かつモノマーを保持および放出することで、形成される分離機能層へモノマーを供給する第3層は、機能的に分離されるべきである。
本発明における多孔性支持層の第1層は、基材と多孔性支持層とを密着し、多孔性支持層を支持する役割を果たす。基材と多孔性支持層との剥離強度は、ポリマーの占める体積分率等によって最適に制御することができる。第2層は、分離機能層の形成に必要な多官能アミン水溶液を重合場へ移送する役割を果たす。モノマーを効率的に移送するためには連続した細孔を有することが好ましく、その孔径は0.1μm以上1μm以下であることが好ましい。第3層は、重合の場となり、かつモノマーを保持および放出することで、形成される分離機能層へモノマーを供給する役割を果たすと共に、分離機能層のひだ成長の起点としての役割も果たす。界面重合によって形成される分離機能層は凸部と凹部が連続的に繰り返されるひだ構造を有しており、ひだの形状や高さ等の構造によって、複合半透膜の分離性能が異なる。したがって、ひだ成長の起点となる第3層を制御することにより分離性能を向上させることができる。第3層のモノマー保持容量、放出速度および供給量、ならびに第3層の構造を調整することによって、ひだ構造の凹部の高さ、多孔性支持層表面と接触している隣接する凹部間の距離および凸部内側の空洞部の幅などを制御することができる。
本発明者らによる鋭意検討の結果、第1層が密な構造であり、第2層は疎な構造であり、第3層が密な構造かつ均一な表面であると、基材との剥離強度が高く、分離機能層のひだの形状が、分離性能上好ましい細長い柱状となることを見出した。第1層を密な構造にするには、例えば原液ポリマー溶液の濃度を高くする方法がある。第2層を疎な構造にするには、例えば原液ポリマー溶液の濃度を低くする方法がある。第3層を密な構造かつ均一な表面にするには、例えば原液ポリマー溶液の濃度を高くする方法がある。
さらに本発明の多孔性支持層は第1層と前記第1層上に形成される第2層との界面および前記第2層上に形成される第3層との界面が連続構造であることが好ましい。本発明における「連続構造」とは、界面にスキン層を形成しない構造を指す。ここでいうスキン層とは、高い密度を有する部分を意味する。具体的には、スキン層の表面細孔は、1nm以上50nm以下の範囲内にある。第1層と第2層および第3層との界面にスキン層が形成された場合には、多孔性支持層中に高い抵抗が生じるため、その結果、透過流速は劇的に低下する。
微多孔性支持膜を構成する基材としては、多孔性であることが好ましく、例えば、ポリエステル系重合体、ポリアミド系重合体、ポリオレフィン系重合体、あるいはこれらの混合物や共重合体等のポリマーを材料とした布帛が挙げられる。より優れた機械的強度、耐熱性、耐水性等を有する微多孔性支持膜を得ることができることから、ポリエステル系重合体が好ましい。
本発明で用いられるポリエステル系重合体とは、酸成分とアルコール成分からなるポリエステルである。酸成分としては、テレフタル酸、イソフタル酸およびフタル酸などの芳香族カルボン酸、アジピン酸やセバシン酸などの脂肪族ジカルボン酸、およびシクロヘキサンカルボン酸等の脂環族ジカルボン酸などを用いることができる。また、アルコール成分としては、エチレングリコール、ジエチレングリコールおよびポリエチレングリコールなどを用いることができる。
ポリエステル系重合体の例としては、ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリブチレンテレフタレート樹脂、ポリトリメチレンテレフタレート樹脂、ポリエチレンナフタレート樹脂、ポリ乳酸樹脂およびポリブチレンサクシネート樹脂等が挙げられ、またこれらの樹脂の共重合体も挙げられる。
基材に用いられる布帛には、強度、凹凸形成能、流体透過性の点で繊維状基材を用いることが好ましい。繊維状基材としては、長繊維不織布及び短繊維不織布のいずれも好ましく用いることができる。特に、長繊維不織布は基材には高分子重合体の溶液を流延した際の浸透性に優れ、多孔性支持層が剥離すること、さらには基材の毛羽立ち等により複合半透膜が不均一化すること、及びピンホール等の欠点が生じたりすることを抑制できる。また、基材が熱可塑性連続フィラメントより構成される長繊維不織布からなることにより、短繊維不織布を用いたときに起こる、毛羽立ちによって生じる高分子溶液流延時の不均一化や、膜欠点を抑制することができる。また、複合半透膜の連続製膜においては、製膜方向に対し張力がかけられることからも、基材にはより寸法安定性に優れる長繊維不織布を用いることが好ましい。
長繊維不織布は、成形性、強度の点で、多孔性支持層側とは反対側の表層における繊維が、多孔性支持層側の表層の繊維よりも縦配向であることが好ましい。そのような構造によれば、強度を保つことで膜破れ等を防ぐ高い効果が実現されるだけでなく、分離機能層に凹凸を付与する際の、多孔性支持層と基材とを含む積層体としての成形性も向上し、分離機能層表面の凹凸形状が安定するので好ましい。より具体的には、長繊維不織布の、多孔性支持層側とは反対側の表層における繊維配向度は、0°〜25°であることが好ましく、また、多孔性支持層側表層における繊維配向度との配向度差が10°〜90°であることが好ましい。
分離膜の製造工程やエレメントの製造工程においては加熱する工程が含まれるが、加熱により多孔性支持層または分離機能層が収縮する現象が起きる。特に連続製膜において張力が付与されていない幅方向において顕著である。収縮することにより、寸法安定性等に問題が生じるため、基材としては熱寸法変化率が小さいものが望まれる。不織布において多孔性支持層とは反対側の表層における繊維配向度と多孔性支持層側表層における繊維配向度との差が10°〜90°であると、熱による幅方向の変化を抑制することもでき、好ましい。
ここで、繊維配向度とは、不織布基材の繊維の向きを示す指標であり、連続製膜を行う際の製膜方向を0°とし、製膜方向と直角方向、すなわち不織布基材の幅方向を90°としたときの、不織布基材を構成する繊維の平均の角度のことを言う。よって、繊維配向度が0°に近いほど縦配向であり、90°に近いほど横配向であることを示す。
繊維配向度は、不織布からランダムに小片サンプル10個を採取し、該サンプルの表面を走査型電子顕微鏡で100〜1000倍で撮影し、各サンプルから10本ずつ、計100本の繊維について、不織布の長手方向(縦方向、製膜方向)を0°とし、不織布の幅方向(横方向)を90°としたときの角度を測定し、それらの平均値を、小数点以下第一位を四捨五入して繊維配向度として求める。
(1−2)分離機能層
分離機能層は、複合半透膜において溶質の分離機能を担う層である。分離機能層の組成および厚み等の構成は、複合半透膜の使用目的に合わせて設定される。
(ポリアミド製分離機能層)
例えば、分離機能層は、ポリアミドを主成分として含有してもよい。分離機能層を構成するポリアミドは、多官能アミンと多官能酸ハロゲン化物との界面重縮合により形成することができる。ここで、多官能アミンまたは多官能酸ハロゲン化物の少なくとも一方が3官能以上の化合物を含んでいることが好ましい。
なお、本書において、「XがYを主成分として含有する」とは、YがXの60重量%以上、80重量%以上、又は90重量%以上を占めることを意味し、Xが実質的にYのみを含有する構成を含む。
ポリアミド分離機能層の厚みは、十分な分離性能および透過水量を得るために、通常0.01〜1μmの範囲内が好ましく、0.1〜0.5μmの範囲内がより好ましい。
ここで、多官能アミンとは、一分子中に第一級アミノ基及び第二級アミノ基のうち少なくとも一方を2個以上有し、そのアミノ基のうち少なくとも1つは第一級アミノ基であるアミンを言う。例えば、2個のアミノ基がオルト位やメタ位、パラ位のいずれかの位置関係でベンゼン環に結合したフェニレンジアミン、キシリレンジアミン、1,3,5−トリアミノベンゼン、1,2,4−トリアミノベンゼン、3,5−ジアミノ安息香酸、3−アミノベンジルアミン、4−アミノベンジルアミンなどの芳香族多官能アミン、エチレンジアミン、プロピレンジアミンなどの脂肪族アミン、1,2−ジアミノシクロヘキサン、1,4−ジアミノシクロヘキサン、4−アミノピペリジン、4−アミノエチルピペラジンなどの脂環式多官能アミン等を挙げることができる。中でも、膜の選択分離性や透過性、耐熱性を考慮すると、一分子中に第一級アミノ基および第二級アミノ基のうち少なくとも一方を2〜4個有する芳香族多官能アミンであることが好ましい。このような多官能芳香族アミンとしては、m−フェニレンジアミン、p−フェニレンジアミン、1,3,5−トリアミノベンゼンが好適に用いられる。中でも、入手の容易性や取り扱いのしやすさから、m−フェニレンジアミン(以下、m−PDA)を用いることがより好ましい。これらの多官能アミンは、単独で用いても、2種以上を併用してもよい。2種以上を併用する場合、上記アミン同士を組み合わせてもよく、上記アミンと一分子中に少なくとも2個の第二級アミノ基を有するアミンを組み合わせてもよい。一分子中に少なくとも2個の第二級アミノ基を有するアミンとして、例えば、ピペラジン、1,3−ビスピペリジルプロパン等を挙げることができる。
多官能酸ハロゲン化物とは、一分子中に少なくとも2個のハロゲン化カルボニル基を有する酸ハロゲン化物をいう。例えば、3官能酸ハロゲン化物としては、トリメシン酸クロリド、1,3,5−シクロヘキサントリカルボン酸トリクロリド、1,2,4−シクロブタントリカルボン酸トリクロリドなどを挙げることができ、2官能酸ハロゲン化物としては、ビフェニルジカルボン酸ジクロリド、アゾベンゼンジカルボン酸ジクロリド、テレフタル酸クロリド、イソフタル酸クロリド、ナフタレンジカルボン酸クロリドなどの芳香族2官能酸ハロゲン化物、アジポイルクロリド、セバコイルクロリドなどの脂肪族2官能酸ハロゲン化物、シクロペンタンジカルボン酸ジクロリド、シクロヘキサンジカルボン酸ジクロリド、テトラヒドロフランジカルボン酸ジクロリドなどの脂環式2官能酸ハロゲン化物を挙げることができる。多官能アミンとの反応性を考慮すると、多官能酸ハロゲン化物は多官能酸塩化物であることが好ましい。また、膜の選択分離性、耐熱性を考慮すると、多官能酸塩化物は一分子中に2〜4個の塩化カルボニル基を有する多官能芳香族酸塩化物であることがより好ましい。中でも、入手の容易性や取り扱いのしやすさの観点から、トリメシン酸クロリドを用いるとさらに好ましい。これらの多官能酸ハロゲン化物は、単独で用いても、2種以上を同時に用いてもよい。
(有機−無機ハイブリッド分離機能層)
分離機能層は、Si元素などを有する有機−無機ハイブリッド構造であってもよい。このような分離機能層を有機無機ハイブリッド膜とも称する。有機無機ハイブリッド膜は、成形性および耐薬品性の点で優れる。有機無機ハイブリッド構造を有する分離機能層の組成は、特に限定されないが、分離機能層は、例えば、(A)エチレン性不飽和基を有する反応性基および加水分解性基がケイ素原子に直接結合したケイ素化合物、ならびに(B)前記化合物(A)以外の化合物であってエチレン性不飽和基を有する化合物を含有することができる。具体的には、分離機能層は、化合物(A)の加水分解性基の縮合物ならびに化合物(A)および/または(B)のエチレン性不飽和基の重合物を含有してもよい。すなわち、分離機能層は、
・化合物(A)のみの重合物
・化合物(B)のみの重合物、並びに
・化合物(A)と化合物(B)との共重合物
のうちの少なくとも1種を含有することができる。なお、重合物には縮合物が含まれる。また、化合物(A)と化合物(B)との共重合体中で、化合物(A)は、加水分解性基を介して縮合していてもよい。
分離機能層において、化合物(A)の含有率は、好ましくは10重量%以上であり、より好ましくは20重量%〜50重量%である。また、分離機能層における化合物(B)の含有率は、好ましくは90重量%以下であり、より好ましくは50重量%〜80重量%である。また、化合物(A):化合物(B)の重量比率は、1:9〜1:1であってもよい。これらの範囲においては、分離機能層に含まれる縮重合体において比較的高い架橋度が得られるので、膜ろ過時に分離機能層からの成分の溶出が抑制され、その結果、安定なろ過性能が実現される。
なお、化合物(A)、化合物(B)及びその他の化合物は、重合物(縮合物を含む)等の化合物を形成していることがある。よって、例えば「分離機能層における化合物(A)の含有率」を論じる場合、化合物(A)には、縮重合物中で、化合物(A)に由来する成分の量も含まれる。化合物(B)およびその他の化合物についても同様である。
また、分離機能層は、化合物(A)の他に、エチレン性不飽和基を有する反応性基を有しないが、加水分解性基を有するケイ素化合物(C)を含有してもよい。このような化合物(C)の例については後述する。化合物(C)は、化合物(C)のみの縮合物として含まれてもよいし、化合物(A)と化合物(B)の重合物との縮合物として含まれてもよい。
まず、化合物(A)について説明する。
化合物(A)において、エチレン性不飽和基を有する反応性基はケイ素原子に直接結合している。このような反応性基としては、ビニル基、アリル基、メタクリロキシエチル基、メタクリロキシプロピル基、アクリロキシエチル基、アクリロキシプロピル基、スチリル基が例示される。重合性の観点から、メタクリロキシプロピル基、アクリロキシプロピル基、スチリル基が好ましい。
化合物(A)の縮合物は、化合物(A)においてケイ素原子に直接結合している加水分解性基が水酸基に変化するなどのプロセスを経て、化合物(A)同士がシロキサン結合で結ばれることにより形成されていてもよい。
化合物(A)における加水分解性基としてはアルコキシ基、アルケニルオキシ基、カルボキシ基、ケトオキシム基、アミノヒドロキシ基、ハロゲン原子およびイソシアネート基などの官能基が例示される。アルコキシ基としては、炭素数1〜10のものが好ましく、さらに好ましくは炭素数1〜2のものである。アルケニルオキシ基としては炭素数2〜10のものが好ましく、さらに好ましくは炭素数2〜4、特に好ましくは炭素数3のものである。カルボキシ基としては、炭素数2〜10のものが好ましく、さらに好ましくは炭素数2のもの、すなわちアセトキシ基である。ケトオキシム基としては、メチルエチルケトオキシム基、ジメチルケトオキシム基、ジエチルケトオキシム基が例示される。アミノヒドロキシ基は、アミノ基が酸素原子を介してケイ素原子に結合しているものである。このようなものとしては、ジメチルアミノヒドロキシ基、ジエチルアミノヒドロキシ基、メチルエチルアミノヒドロキシ基が例示される。ハロゲン原子としては、塩素原子が好ましく使用される。
分離機能層の形成にあたっては、上記加水分解性基の一部が加水分解し、シラノール構造をとっているケイ素化合物も使用できる。また2以上のケイ素化合物が、加水分解性基の一部が加水分解、縮合し架橋しない程度に高分子量化したものも使用できる。
ケイ素化合物(A)としては下記一般式(a)で表されるものであることが好ましい。
Si(R1)(R2)(R3)4−m−n ・・・(a)
(R1はエチレン性不飽和基を含む反応性基を示す。R2はアルコキシ基、アルケニルオキシ基、カルボキシ基、ケトオキシム基、ハロゲン原子またはイソシアネート基のいずれかを表す。R3はHまたはアルキル基を表す。m、nはm≧1、n≧1、m+n≦4を満たす整数である。R1、R2、R3それぞれにおいて2以上の官能基がケイ素原子に結合している場合、同一であっても異なっていてもよい。)
R1はエチレン性不飽和基を含む反応性基であり、上で説明したとおりである。
R2は加水分解性基であり、これらは上で説明したとおりである。R3に当てはまるアルキル基の炭素数としては1〜10のものが好ましく、さらに1〜2のものが好ましい。
加水分解性基としては、アルコキシ基が好ましい。加水分解性基がアルコキシ基であることで、分離機能層の形成において調製される反応液が、高い粘性を持つからである。
このようなケイ素化合物(A)としては、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、スチリルトリメトキシシラン、メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、メタクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン、メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、アクリロキシプロピルトリメトキシシランが例示される。
化合物(A)の他、上述したように、エチレン性不飽和基を有する反応性基を有しないが、加水分解性基を有するケイ素化合物(C)を併せて使用することもできる。このような化合物(C)としては、一般式(a)においてmがゼロである化合物が例示される。このような化合物としては、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシランが例示される。
次に化合物(B)について説明する。化合物(B)は、上記化合物(A)以外のものであって、エチレン性不飽和基を有する化合物である。
エチレン性不飽和基は付加重合性を有する。このような基を有する化合物(B)としてはエチレン、プロピレン、メタアクリル酸、アクリル酸、スチレンおよびこれらの誘導体が例示される。
また、この化合物(B)は、複合半透膜を水溶液の分離などに用いたときに水の選択的透過性を高め、塩の阻止率を上げるために、酸基を有するアルカリ可溶性の化合物であることが好ましい。
好ましい酸基としては、カルボン酸基、ホスホン酸基、リン酸基およびスルホン酸基等が挙げられ、これらの酸基の構造としては、酸の形態、エステル化合物、および金属塩のいずれの状態で存在してもよい。これらのエチレン性不飽和基を1個以上有する化合物は、2つ以上の酸基を含有し得るが、中でも1個〜2個の酸基を含有する化合物が好ましい。
上記のエチレン性不飽和基を1個以上有する化合物の中でカルボン酸基を有する化合物としては、以下のものが例示される。マレイン酸、無水マレイン酸、アクリル酸、メタクリル酸、2−(ヒドロキシメチル)アクリル酸、4−(メタ)アクリロイルオキシエチルトリメリト酸および対応する無水物、10−メタクリロイルオキシデシルマロン酸、N−(2−ヒドロキシ−3−メタクリロイルオキシプロピル)−N−フェニルグリシンおよび4−ビニル安息香酸が挙げられる。
上記のエチレン性不飽和基を1個以上有する化合物の中でホスホン酸基を有する化合物としては、ビニルホスホン酸、4−ビニルフェニルホスホン酸、4−ビニルベンジルホスホン酸、2−メタクリロイルオキシエチルホスホン酸、2−メタクリルアミドエチルホスホン酸、4−メタクリルアミド−4−メチル−フェニル−ホスホン酸、2−[4−(ジヒドロキシホスホリル)−2−オキサ−ブチル]−アクリル酸および2−[2−ジヒドロキシホスホリル)−エトキシメチル]−アクリル酸−2,4,6−トリメチル−フェニルエステルが例示される。
上記のエチレン性不飽和基を1個以上有する化合物の中でリン酸エステルの化合物としては、2−メタクリロイルオキシプロピル一水素リン酸および2−メタクリロイルオキシプロピル二水素リン酸、2−メタクリロイルオキシエチル一水素リン酸および2−メタクリロイルオキシエチル二水素リン酸、2−メタクリロイルオキシエチル−フェニル−水素リン酸、ジペンタエリトリトール−ペンタメタクリロイルオキシホスフェート、10−メタクリロイルオキシデシル−二水素リン酸、ジペンタエリトリトールペンタメタクリロイルオキシホスフェート、リン酸モノ−(1−アクリロイル−ピペリジン−4−イル)−エステル、6−(メタクリルアミド)ヘキシル二水素ホスフェートならびに1,3−ビス−(N−アクリロイル−N−プロピル−アミノ)−プロパン−2−イル−二水素ホスフェートが例示される。
上記のエチレン性不飽和基を1個以上有する化合物の中でスルホン酸基を有する化合物としては、ビニルスルホン酸、4−ビニルフェニルスルホン酸または3−(メタクリルアミド)プロピルスルホン酸が挙げられる。
2.複合半透膜の製造方法
次に、上記複合半透膜の製造方法について説明する。製造方法は、微多孔性支持膜の形成工程および分離機能層の形成工程を含む。なお、本発明の複合半透膜は、本書に記載された製造方法および各層の形成方法に限定されない。
(2−1)微多孔性支持膜の形成工程
微多孔性支持膜の形成工程は、基材に多孔性支持層の成分である高分子の溶液を塗布する工程、および前記溶液を塗布した前記基材を、高分子の良溶媒と比較して前記高分子の溶解度が小さい凝固浴に浸漬させて前記高分子を凝固させ、三次元網目構造を形成させる工程を含んでもよい。また、微多孔性支持膜の形成工程は、多孔性支持層の成分である高分子を、その高分子の良溶媒に溶解して高分子溶液を調製する工程を、さらに含んでいてもよい。
本発明において、多孔性支持層は、基材側から第1層、第2層、及び第3層を積層した多層構造である。このような構造を形成するためには、基材に高分子溶液を塗布する工程において、基材上に第1層を形成する高分子溶液Aを塗布すると同時に第2層を形成する高分子溶液Bおよび第3層を形成する高分子溶液Cを塗布することが好ましい。高分子溶液Aもしくは高分子溶液Bを塗布後に硬化時間を設けた場合には、高分子溶液Aもしくは高分子溶液Bの相分離によって形成される第1層もしくは第2層の表面に密度の高いスキン層が形成され、透過流速を大幅に低下させる。そのため、高分子溶液Aが相分離により密度の高いスキン層を形成しない程度に、同時に高分子溶液Bおよび高分子溶液Cを塗布することが重要である。例えば、「同時に塗布される」とは、高分子溶液Aが基材に到達する前に、高分子溶液Bと高分子溶液Cとが接触している状態、つまり、高分子溶液Aが基材に塗布されたときには、高分子溶液Bおよび高分子溶液Cが高分子溶液A上に塗布されている状態を含む。
基材上への高分子溶液の塗布は、種々のコーティング法によって実施できるが、正確な量のコーティング溶液を供給できるダイコーティング、スライドコーティング、カーテンコーティング等の前計量コーティング法が好ましく適用される。さらに、本発明の多層構造を有する多孔性支持層の形成においては、第1層を形成する高分子溶液と第2層を形成する高分子溶液および第3層を形成する高分子溶液を同時に塗布する三重スリットダイ法がさらに好ましく用いられる。
第1層を形成する高分子溶液Aが多孔性支持層の材料としてポリスルホンを含有する場合、高分子溶液Aのポリスルホン濃度(すなわち固形分濃度a)は、好ましくは15重量%以上であり、より好ましくは17重量%以上である。また、高分子溶液Aのポリスルホン濃度は、好ましくは30重量%以下であり、より好ましくは25重量%以下である。高分子濃度が16重量%以上であることで、必要な剥離強度が得られる。
第2層を形成する高分子溶液Bが、同じくポリスルホンを含有する場合、高分子溶液Bのポリスルホン濃度(すなわち固形分濃度b)は、好ましくは12重量%以上であり、より好ましくは13重量%以上である。また、高分子溶液Bのポリスルホン濃度は、好ましくは20重量%以下であり、より好ましくは17重量%以下である。この範囲内であれば、ポリアミド分離機能層を形成する際、相分離によって形成した細孔からアミン水溶液を供給することができる。
第3層を形成する高分子溶液Cが多孔性支持層の材料としてポリスルホンを含有する場合、高分子溶液Cのポリスルホン濃度(すなわち固形分濃度c)は、好ましくは15重量%以上であり、より好ましくは17重量%以上である。また、高分子溶液Cのポリスルホン濃度は、好ましくは30重量%以下であり、より好ましくは25重量%以下である。高分子濃度が16重量%以上であることで必要な剥離強度が得られる。また、高分子濃度が30重量%以下であることで、透水性を有する構造を得ることができる。
ここで、高分子溶液Aと前記高分子溶液Bの組成が異なり、高分子溶液Cと高分子溶液Bの組成が異なることが、複合半透膜の性能および耐久性の観点から好ましい。ここで組成が異なるとは、少なくとも、固形分の濃度が異なることをいう。すなわち、固形分濃度a(重量%)と固形分濃度b(重量%)とが異なり、かつ、固形分濃度b(重量%)と固形分濃度c(重量%)とが異なることが好ましい。これにより、形成される第1層から第3層において、隣接する層同士、すなわち第1層と第2層、第2層と第3層の密度を異なるものとすることができ、複合半透膜の性能および耐久性の観点から好ましい。
この場合において、固形分濃度aと固形分濃度bの差は0重量%を超え10重量%以下が好ましく、固形分濃度bと固形分濃度cの差は0重量%を超え10重量%以下が好ましい。
また、高分子溶液Aの固形分濃度a(重量%)および高分子溶液Cの固形分濃度c(重量%)よりも高分子溶液Bの固形分濃度b(重量%)が低濃度になることが好ましい。すなわち、固形分濃度a〜cがa>bかつb<cの関係式を満たすことが好ましい。固形分濃度a〜cのうち、固形分濃度bが最も低いことにより、第1層が密な構造であり、第2層は疎な構造であり、第3層が密な構造である多孔性支持層を得ることができる。
この場合において、固形分濃度aと固形分濃度bの差は0.5重量%〜10重量%が好ましく、固形分濃度bと固形分濃度cの差は0.5重量%〜10重量%が好ましい。
なお、前記高分子溶液Aの固形分濃度a(重量%)、前記高分子溶液Bの固形分濃度b(重量%)、及び前記高分子溶液Cの固形分濃度c(重量%)が、a≧c>bの関係式を満たすことが好ましい。また、固形分濃度aと固形分濃度bおよび固形分濃度cとが、上述のそれぞれの好ましい数値範囲を満たしつつ、かつ上記関係式を満たすことがより好ましい。
高分子溶液塗布時の高分子溶液の温度は、ポリスルホンを用いる場合、通常10〜60℃の範囲内で塗布するとよい。この範囲内であれば、高分子溶液が析出することなく、高分子を含む有機溶媒溶液が基材の繊維間にまで充分含浸したのち固化される。その結果、アンカー効果により微多孔性支持膜が基材に強固に接合し、本発明の微多孔性支持膜を得ることができる。なお、高分子溶液の好ましい温度範囲は、用いる高分子溶液の粘度などによって適宜調整すればよい。
なお、高分子溶液A、高分子溶液Bおよび高分子溶液Cが含有する高分子は、同一の化合物でも、互いに異なる化合物でもよい。適宜、製造する微多孔性支持膜の強度特性、透過特性、表面特性などの諸特性を勘案して調整することができる。
なお、高分子溶液A、高分子溶液Bおよび高分子溶液Cが含有する溶媒は、高分子の良溶媒であれば同一の溶媒でも、異なる溶媒でもよい。適宜、製造する微多孔性支持膜の強度特性、高分子溶液の基材への含浸を勘案して、調整することができる。
本発明の良溶媒とは、高分子材料を溶解するものである。良溶媒としては、例えばN−メチル−2−ピロリドン(NMP)、テトラヒドロフラン、ジメチルスルホキシド、テトラメチル尿素・ジメチルアセトアミド・ジメチルホルムアミド等のアミド、アセトン・メチルエチルケトン等の低級アルキルケトン、リン酸トリメチル、γ−ブチロラクトン等のエステルやラクトンおよびその混合溶媒が挙げられる。
また、高分子の非溶媒としては、例えば水、ヘキサン、ペンタン、ベンゼン、トルエン、メタノール、エタノール、トリクロルエチレン、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、ペンタンジオール、ヘキサンジオール、低分子量のポリエチレングリコール等の脂肪族炭化水素、芳香族炭化水素、脂肪族アルコール、またはこれらの混合溶媒などが挙げられる。
また、上記高分子溶液は、多孔性支持層の孔径、空孔率、親水性、弾性率などを調節するための添加剤を含有してもよい。孔径および空孔率を調節するための添加剤としては、水、アルコール類、ポリエチレングリコール、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール、ポリアクリル酸等の水溶性高分子またはその塩、さらに塩化リチウム、塩化ナトリウム、塩化カルシウム、硝酸リチウム等の無機塩、ホルムアルデヒド、ホルムアミド等が例示されるが、これらに限定されるものではない。親水性や弾性率を調節するための添加剤としては、種々の界面活性剤が挙げられる。
上記のように基材に高分子溶液を塗布することにより、基材中に高分子溶液が含浸するが、所定の構造をもつ微多孔性支持膜を得るためには、高分子溶液の基材への含浸を制御する必要がある。高分子溶液の基材への含浸を制御するためには、例えば、基材上に高分子溶液を塗布した後、凝固浴に浸漬させるまでの時間を制御する方法、或いは高分子溶液の温度または濃度を制御することにより粘度を調節する方法が挙げられ、これらの方法を組み合わせることも可能である。
基材上に高分子溶液を塗布した後、凝固浴に浸漬させるまでの時間は、通常0.1〜5秒間の範囲であることが好ましい。凝固浴に浸漬するまでの時間がこの範囲であれば、高分子溶液が基材の繊維間にまで充分含浸したのち固化される。なお、凝固浴に浸漬するまでの時間の好ましい範囲は、用いる高分子溶液の粘度などによって適宜調節すればよい。
凝固浴としては、通常水が使われるが、重合体を溶解しないものであればよい。組成によって微多孔性支持膜の膜形態が変化し、それによって複合半透膜の膜形成性も変化する。また、凝固浴の温度は、−20℃〜100℃が好ましく、さらに好ましくは10〜30℃である。上記上限以下であれば、熱運動による凝固浴面の振動が激化せず、形成後の膜表面の平滑性が良好である。また上記下限以上であれば十分な凝固速度が得られ、製膜性が良好である。
次に、得られた微多孔性支持膜を、膜中に残存する製膜溶媒を除去するために熱水洗浄することが好ましい。このときの熱水の温度は50〜100℃が好ましく、さらに好ましくは60〜95℃である。この範囲より高いと、微多孔性支持膜の収縮度が大きくなり、透水性が低下する。逆に、低いと洗浄効果が小さい。
(2−2)分離機能層の形成工程
(ポリアミド分離機能層)
次に、複合半透膜を構成する分離機能層の形成工程の一例として、ポリアミドを主成分とする分離機能層の形成を挙げて説明する。ポリアミド分離機能層の形成工程では、前述の多官能アミンを含有する水溶液と、多官能酸ハロゲン化物を含有する水と非混和性の有機溶媒溶液とを用い、微多孔性支持膜の表面で界面重縮合を行うことにより、ポリアミド骨格を形成することができる。
多官能アミン水溶液における多官能アミンの濃度は0.1重量%以上20重量%以下の範囲内であることが好ましく、より好ましくは0.5重量%以上15重量%以下の範囲内である。この範囲であると十分な透水性と塩およびホウ素の除去性能を得ることができる。多官能アミン水溶液には、多官能アミンと多官能酸ハロゲン化物との反応を妨害しないものであれば、界面活性剤や有機溶媒、アルカリ性化合物、酸化防止剤などが含まれていてもよい。界面活性剤は、微多孔性支持膜表面の濡れ性を向上させ、アミン水溶液と非極性溶媒との間の界面張力を減少させる効果がある。有機溶媒は界面重縮合反応の触媒として働くことがあり、添加することにより界面重縮合反応を効率よく行える場合がある。
界面重縮合を微多孔性支持膜上で行うために、まず、上述の多官能アミン水溶液を微多孔性支持膜に接触させる。接触は、微多孔性支持膜面上に均一にかつ連続的に行うことが好ましい。具体的には、例えば、多官能アミン水溶液を微多孔性支持膜にコーティングする方法や微多孔性支持膜を多官能アミン水溶液に浸漬する方法を挙げることができる。微多孔性支持膜と多官能アミン水溶液との接触時間は、5秒以上10分以下の範囲内であることが好ましく、10秒以上3分以下の範囲内であるとさらに好ましい。
多官能アミン水溶液を微多孔性支持膜に接触させた後は、膜上に液滴が残らないように十分に液切りする。十分に液切りすることで、複合半透膜形成後に液滴残存部分が欠点となって複合半透膜の除去性能が低下することを防ぐことができる。液切りの方法としては、例えば、特開平2−78428号公報に記載されているように、多官能アミン水溶液接触後の微多孔性支持膜を垂直方向に把持して過剰の水溶液を自然流下させる方法や、エアーノズルから窒素などの気流を吹き付け、強制的に液切りする方法などを用いることができる。また、液切り後、膜面を乾燥させて水溶液の水分を一部除去することもできる。
次いで、多官能アミン水溶液接触後の微多孔性支持膜に、多官能酸ハロゲン化物を含む水と非混和性の有機溶媒溶液を接触させ、界面重縮合により架橋ポリアミド分離機能層を形成させる。
水と非混和性の有機溶媒溶液中の多官能酸ハロゲン化物濃度は、0.01重量%以上10重量%以下の範囲内であると好ましく、0.02重量%以上2.0重量%以下の範囲内であるとさらに好ましい。多官能酸ハロゲン化物濃度が0.01重量%以上であることで十分な反応速度が得られ、また、10重量%以下であることで副反応の発生を抑制することができる。さらに、この有機溶媒溶液にDMFのようなアシル化触媒を含有させると、界面重縮合が促進され、さらに好ましい。
水と非混和性の有機溶媒は、多官能酸ハロゲン化物を溶解し、微多孔性支持膜を破壊しないものが望ましく、多官能アミン化合物および多官能酸ハロゲン化物に対して不活性であるものであればよい。好ましい例として、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、ノナン、デカンなどの炭化水素化合物が挙げられる。
多官能酸ハロゲン化物を含む有機溶媒溶液を微多孔性支持膜へ接触させる方法は、多官能アミン水溶液を微多孔性支持膜へ被覆する方法と同様に行えばよい。
界面重縮合工程においては、微多孔性支持膜上を架橋ポリアミド薄膜で十分に覆い、かつ、接触させた多官能酸ハロゲン化物を含む水と非混和性の有機溶媒溶液を微多孔性支持膜上に残存させておくことが肝要である。このため、界面重縮合を実施する時間は、0.1秒以上3分以下が好ましく、0.1秒以上1分以下であるとより好ましい。界面重縮合を実施する時間が0.1秒以上3分以下であることで、微多孔性支持膜上を架橋ポリアミド薄膜で十分に覆うことができ、かつ多官能酸ハロゲン化物を含む有機溶媒溶液を微多孔性支持膜上に保持することができる。
界面重縮合によって微多孔性支持膜上にポリアミド分離機能層を形成した後は、余剰の溶媒を液切りする。液切りの方法は、例えば、膜を垂直方向に把持して過剰の有機溶媒を自然流下して除去する方法を用いることができる。この場合、垂直方向に把持する時間としては、1分以上5分以下であることが好ましく、1分以上3分以下であるとより好ましい。かかる範囲であれば分離機能層が十分に形成され、有機溶媒が過乾燥とならないためポリアミド分離機能層に欠損部が発生せず、十分に高い膜性能が得られる。
(有機無機ハイブリッド分離機能層)
次に、有機無機ハイブリッド分離機能層を多孔性支持層上に形成する方法について説明する。
分離機能層を形成するために、上記した化合物(A)以外に、上記したエチレン性不飽和基を1個以上有する化合物(B)、および重合開始剤を含んだ反応液を用いることができる。具体的には、分離機能層は、この反応液を多孔性支持層上に塗布し、さらに加水分解性基を縮合することに加えて、エチレン性不飽和基の重合によって、これら化合物を高分子量化することで形成可能である。化合物(A)を単独で縮合させた場合、ケイ素原子に架橋鎖の結合が集中し、ケイ素原子周辺とケイ素原子から離れた部分との密度差が大きくなるため、分離機能層中の孔径が不均一となる場合がある。一方、化合物(A)自身の高分子量化および架橋に加え、化合物(B)を共重合させることで、加水分解性基の縮合による架橋点とエチレン性不飽和基の重合による架橋点が適度に分散される。このように適度に架橋点を分散させることで、均一な孔径を有する分離機能層が構成され、透水性能と除去性能のバランスが取れた複合半透膜を得ることができる。また、エチレン性不飽和基を1個以上有する化合物は、高分子量化していることで、複合半透膜の使用時に溶出しにくくなるので、膜性能低下を引き起こしにくい。
分離機能層において、化合物(A)の含有量は、反応液に含有される固形分量100重量部に対し10重量部以上であることが好ましく、さらに好ましくは20重量部〜50重量部である。ここで、反応液に含有される固形分とは、反応液に含有される全成分のうち、溶媒および縮合反応で生成する水やアルコールなどの留去成分を除いた、得られる複合半透膜に最終的に分離機能層として含まれる成分のことを指す。化合物(A)の量が少ないと、架橋度が不足する傾向があるので、膜ろ過時に分離機能層が溶出し分離性能が低下するなどの不具合が発生するおそれがある。
化合物(B)の含有量は、反応液に含有される固形分量100重量部に対し90重量部以下であることが好ましく、さらに好ましくは50重量部〜80重量部である。化合物(B)の化合物の含有量がこれらの範囲にあるとき、得られる分離機能層は架橋度が高くなるため、分離機能層が溶出することなく安定に膜ろ過ができる。
次に、分離機能層を多孔性支持層上に形成する工程について説明する。
分離機能層は、化合物(A)および化合物(B)を含有する反応液を塗布する工程、溶媒を除去する工程、エチレン性不飽和基を重合させる工程、加水分解性基を縮合させる工程をこの順に行うことで形成可能である。エチレン不飽和基を重合させる工程において、加水分解性基が同時に縮合してもよい。
まず、化合物(A)および化合物(B)を含有する反応液を多孔性支持層に接触させる。かかる反応液は、通常溶媒を含有する溶液であるが、かかる溶媒は多孔性支持層を破壊せず、化合物(A)および化合物(B)、および必要に応じて添加される重合開始剤を溶解するものであれば特に限定されない。この反応液には、化合物(A)のモル数に対して1〜10倍モル量、好ましくは1〜5倍モル量の水を無機酸または有機酸と共に添加して、化合物(A)の加水分解を促すことが好ましい。
反応液の溶媒としては、水、アルコール系有機溶媒、エーテル系有機溶媒、ケトン系有機溶媒および、これらを混ぜ合わせたものが好ましい。例えば、アルコール系有機溶媒として、メタノール、エトキシメタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、アミルアルコール、シクロヘキサノール、メチルシクロヘキサノール、エチレングリコールモノメチルエーテル(2−メトキシエタノール)、エチレングリコールモノアセトエステル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノアセテート、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、メトキシブタノール等が挙げられる。また、エーテル系有機溶媒として、メチラール、ジエチルエーテル、ジプロピルエーテル、ジブチルエーテル、ジアミルエーテル、ジエチルアセタール、ジヘキシルエーテル、トリオキサン、ジオキサン等が挙げられる。また、ケトン系有機溶媒として、アセトン、メチルエチルケトン、メチルプロピルケトン、メチルイソブチルケトン、メチルアミルケトン、メチルシクロヘキシルケトン、ジエチルケトン、エチルブチルケトン、トリメチルノナノン、アセトニトリルアセトン、ジメチルオキシド、ホロン、シクロヘキサノン、ジアセトンアルコール等が挙げられる。また、溶媒の添加量としては、反応液に含有される固形分量100重量部に対し50〜99重量部が好ましく、さらには80〜99重量部が好ましい。溶剤の添加量が多すぎると膜中に欠点が生じやすい傾向があり、少なすぎると得られる複合半透膜の透水性が低くなる傾向がある。
多孔性支持層と反応液との接触は、多孔性支持層面上で均一にかつ連続的に行うことが好ましい。具体的には、例えば、反応液をスピンコーター、ワイヤーバー、フローコーター、ダイコーター、ロールコーター、スプレーなどの塗布装置を用いて多孔性支持層にコーティングする方法があげられる。また多孔性支持層を、反応液に浸漬する方法を挙げることができる。
浸漬させる場合、多孔性支持層と反応液との接触時間は、0.5〜10分間の範囲内であることが好ましく、1〜3分間の範囲内であるとさらに好ましい。反応液を多孔性支持層に接触させたあとは、膜上に液滴が残らないように十分に液切りすることが好ましい。十分に液切りすることで、膜形成後に液滴残存部分が膜欠点となって膜性能が低下することを防ぐことができる。液切りの方法としては、反応液接触後の多孔性支持層を垂直方向に把持して過剰の反応液を自然流下させる方法や、エアーノズルから窒素などの風を吹き付け、強制的に液切りする方法などを用いることができる。また、液切り後、膜面を乾燥させ、反応液の溶媒分の一部を除去することもできる。
ケイ素の加水分解性基を縮合させる工程は、多孔性支持層上に反応液を接触させた後に加熱処理することによって行われる。このときの加熱温度は、多孔性支持層が溶融し複合半透膜としての性能が低下する温度より低いことが要求される。縮合反応を速やかに進行させるために通常0℃以上で加熱を行うことが好ましく、20℃以上がより好ましい。また、前記反応温度は、150℃以下が好ましく、100℃以下がより好ましい。反応温度が0℃以上であれば、加水分解および縮合反応が速やかに進行し、150℃以下であれば、加水分解および縮合反応の制御が容易になる。また、加水分解または縮合を促進する触媒を添加することで、より低温でも反応を進行させることが可能である。さらに、縮合反応が適切に進行することで分離機能層が細孔を有するように、加熱条件および湿度条件を選定することができる。
化合物(A)および化合物(B)のエチレン性不飽和基の重合方法としては、熱処理、電磁波照射、電子線照射、プラズマ照射により行うことができる。ここで電磁波とは赤外線、紫外線、X線、γ線などを含む。重合方法は適宜最適な選択をすればよいが、ランニングコスト、生産性などの点から電磁波照射による重合が好ましい。電磁波の中でも赤外線照射や紫外線照射が簡便性の点からより好ましい。実際に赤外線または紫外線を用いて重合を行う際、これらの光源は選択的にこの波長域の光のみを発生する必要はなく、これらの波長域の電磁波を含むものであればよい。しかし、重合時間の短縮、重合条件の制御などのしやすさの点から、これらの電磁波の強度がその他の波長域の電磁波に比べ高いことが好ましい。
電磁波は、ハロゲンランプ、キセノンランプ、UVランプ、エキシマランプ、メタルハライドランプ、希ガス蛍光ランプ、水銀灯などから発生させることができる。電磁波のエネルギーは重合できれば特に制限しないが、中でも高効率で低波長の紫外線は高い薄膜形成性を有する。このような紫外線は低圧水銀灯、エキシマレーザーランプにより発生させることができる。分離機能層の厚み、形態はそれぞれの重合条件によっても大きく変化することがあり、電磁波による重合であれば電磁波の波長、強度、被照射物との距離、処理時間により大きく変化することがある。そのためこれらの条件は適宜最適化されてもよい。
重合速度を速める目的で分離機能層形成の際に重合開始剤、重合促進剤等を添加することが好ましい。ここで、重合開始剤、重合促進剤とは特に限定されるものではなく、用いる化合物の構造、重合手法などに合わせて適宜選択されるものである。
重合開始剤を以下例示する。電磁波による重合の開始剤としては、ベンゾインエーテル、ジアルキルベンジルケタール、ジアルコキシアセトフェノン、アシルホスフィンオキシドもしくはビスアシルホスフィンオキシド、α−ジケトン(例えば、9,10−フェナントレンキノン)、ジアセチルキノン、フリルキノン、アニシルキノン、4,4’−ジクロロベンジルキノンおよび4,4’−ジアルコキシベンジルキノン、およびショウノウキノンが、例示される。熱による重合の開始剤としては、アゾ化合物(例えば、2,2’−アゾビス(イソブチロニトリル)(AIBN)もしくはアゾビス−(4−シアノバレリアン酸))、または過酸化物(例えば、過酸化ジベンゾイル、過酸化ジラウロイル、過オクタン酸tert−ブチル、過安息香酸tert−ブチルもしくはジ−(tert−ブチル)ペルオキシド)、さらに芳香族ジアゾニウム塩、ビススルホニウム塩、芳香族ヨードニウム塩、芳香族スルホニウム塩、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム、アルキルリチウム、クミルカリウム、ナトリウムナフタレン、ジスチリルジアニオンが例示される。なかでもベンゾピナコールおよび2,2’−ジアルキルベンゾピナコールは、ラジカル重合のための開始剤として特に好ましい。
過酸化物およびα−ジケトンは、開始を加速するために、好ましくは、芳香族アミンと組み合わせて使用される。この組み合わせはレドックス系とも呼ばれる。このような系の例としては、過酸化ベンゾイルまたはショウノウキノンと、アミン(例えば、N,N−ジメチル−p−トルイジン、N,N−ジヒドロキシエチル−p−トルイジン、p−ジメチル−アミノ安息香酸エチルエステルまたはその誘導体)との組み合わせである。さらに、過酸化物を、還元剤としてのアスコルビン酸、バルビツレートまたはスルフィン酸と組み合わせて含有する系もまた好ましい。
次いで、これを約100〜200℃で加熱処理すると重縮合反応が起こり、多孔性支持層表面にシランカップリング剤由来の分離機能層が形成された複合半透膜を得ることができる。加熱温度は多孔性支持層の素材にもよるが、高すぎると溶解が起こり多孔性支持層の細孔が閉塞するため、複合半透膜の造水量が低下する。一方低すぎた場合には、重縮合反応が不十分となり機能層の溶出により除去率が低下するようになる。
なお上記の製造方法において、シランカップリング剤とエチレン性不飽和基を1個以上有する化合物とを高分子量化する工程は、シランカップリング剤の重縮合工程の前に行ってもよいし、後に行ってもよい。また、同時に行ってもよい。
さらに、本発明では、形成されたポリアミド分離機能層をアミン反応性試薬と接触させてもよい。この工程によりポリアミド中のアミノ基量が減少することで複合半透膜の耐薬品性をさらに向上できる。アミン反応性試薬としては、酸ハロゲン化物、酸無水物、エステル、ニトロシル化合物、亜硝酸およびその塩、次亜塩素酸塩などが例示される。特に、ポリアミド分離機能層中の一級アミノ基と反応してジアゾニウム塩またはその誘導体を生成するニトロシル化合物、亜硝酸およびその塩と接触させることが好ましい。
一級アミノ基と反応してジアゾニウム塩またはその誘導体を生成する化合物をポリアミド分離機能層に接触させる方法は、分離機能層表面と前記化合物が接触するならば、特に限定されず、公知の種々の方法を用いることができる。
本発明では、一級アミノ基と反応してジアゾニウム塩またはその誘導体を生成する化合物は、水溶液として用いることが好ましい。ニトロシル化合物や亜硝酸の水溶液は気体を発生して分解しやすいので、例えば亜硝酸塩と酸性溶液との反応によって亜硝酸を逐次生成するのが好ましい。一般に、亜硝酸塩は水素イオンと反応して亜硝酸を生成するが、20℃で水溶液のpHが7以下、好ましくは5以下、さらに好ましくは4以下で効率よく生成する。中でも、取り扱いの簡便性から水溶液中で塩酸または硫酸と反応させた亜硝酸ナトリウムの水溶液が特に好ましい。
一級アミノ基と反応してジアゾニウム塩またはその誘導体を生成する化合物溶液中の亜硝酸や亜硝酸塩の濃度は、好ましくは20℃において0.01〜1重量%の範囲である。0.01重量%よりも低い濃度では十分な効果が得られず、亜硝酸、亜硝酸塩濃度が1重量%よりも高いと溶液の取扱いが困難となる。
亜硝酸水溶液の温度は15℃〜45℃が好ましい。15℃未満であると反応に時間がかかり、45℃を超えると亜硝酸の分解が早く取り扱いが困難である。亜硝酸水溶液と一級アミノ基との接触時間は、ジアゾニウム塩が生成する時間であればよく、高濃度では短時間で処理が可能であるが低濃度であると長時間の接触が必要である。低濃度で長時間掛けてジアゾニウム塩を生成させると、生成したジアゾニウム塩が、反応性化合物と反応する前にジアゾニウム塩が水と反応するため、高濃度で短時間処理を行う方が望ましい。たとえば、2,000mg/リットルの亜硝酸水溶液では30秒から10分の処理を行うことが好ましい。
このようにして得られた複合半透膜はこのままでも使用できるが、使用する前に例えばアルコール含有水溶液、アルカリ水溶液によって膜の表面を親水化させることが好ましい。
3.複合半透膜の使用
本発明の複合半透膜は、プラスチックネットなどの原水流路材と、トリコットなどの透過水流路材と、必要に応じて耐圧性を高めるためのフィルムと共に、多数の孔を穿設した筒状の集水管の周りに巻回され、スパイラル型の複合半透膜エレメントとして好適に用いられる。さらに、このエレメントは、直列または並列に接続されて圧力容器に収納されることで、複合半透膜モジュールを構成することもできる。
また、上記の複合半透膜やそのエレメント、モジュールは、それらに原水を供給するポンプや、その原水を前処理する装置などと組み合わせて、流体分離装置を構成することができる。この分離装置を用いることにより、原水を飲料水などの透過水と膜を透過しなかった濃縮水とに分離して、目的にあった水を得ることができる。
流体分離装置の操作圧力は高い方が塩除去率は向上するが、運転に必要なエネルギーも増加すること、また、複合半透膜の耐久性を考慮すると、複合半透膜に被処理水を透過する際の操作圧力は、1.0MPa以上、10MPa以下が好ましい。供給水温度は、高くなると塩除去率が低下するが、低くなるにしたがい膜透過流束も減少するので、5℃以上、45℃以下が好ましい。また、供給水pHは、高くなると海水などの高塩濃度の供給水の場合、マグネシウムなどのスケールが発生する恐れがあり、また、高pH運転による膜の劣化が懸念されるため、中性領域での運転が好ましい。
複合半透膜によって処理される原水としては、海水、かん水、排水等の500mg/L〜100g/LのTDS(Total Dissolved Solids:総溶解固形分)を含有する液状混合物が挙げられる。一般に、TDSは総溶解固形分量を指し、「質量÷体積」で表されるが、1Lを1kgと見なして「重量比」で表されることもある。定義によれば、0.45ミクロンのフィルターで濾過した溶液を39.5〜40.5℃の温度で蒸発させ残留物の重さから算出できるが、より簡便には実用塩分から換算する。
以下に実施例によって本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例によってなんら限定されるものではない。
<複合半透膜の作製>
以下の実施例及び比較例では、ポリスルホンとしてソルベイアドバンストポリマーズ株式会社製ポリスルホンUDEL p−3500を用いた。
(実施例1)
ポリスルホン17重量%のDMF溶液(高分子溶液A)およびポリスルホン20重量%のDMF溶液(高分子溶液B)とポリスルホン18重量%のDMF溶液(高分子溶液C)を、各溶媒および溶質の混合物を攪拌しながら90℃で2時間加熱保持することで調製した。
調製した高分子溶液はそれぞれ室温まで冷却し、別々の押出機に供給して高精度濾過した。その後、濾過した高分子溶液は三重スリットダイを介し、ポリエチレンテレフタレート繊維からなる不織布(糸径:1デシテックス、厚み:約90μm、通気度:1cc/cm/sec)上に、高分子溶液A、高分子溶液B、高分子溶液Cの順で同時にキャストし、直ちに純水中に浸漬して5分間洗浄することによって微多孔性支持膜を得た。なお、各高分子溶液のキャストは、第1層の厚みが50μm、第2層の厚みが60μm、第3層の厚みが50μmとなるように行った。
得られた微多孔性支持膜を、m−PDAの4.0重量%水溶液中に2分間浸漬した後、膜面が鉛直になるようにゆっくりと引き上げた。エアーノズルから窒素を吹き付け支持膜表面から余分な水溶液を取り除いた後、トリメシン酸クロリド0.12重量%を含む25℃のn−デカン溶液を膜表面が完全に濡れるように塗布した。1分間静置した後、膜から余分な溶液を除去するために膜面を1分間鉛直に保持して液切りした。その後、45℃の水で2分間洗浄することで、基材、多孔性支持層、およびポリアミド分離機能層を備える複合半透膜を得た。
(実施例2)
実施例1において、高分子溶液Aとしてポリスルホン20重量%のDMF溶液を、高分子溶液Bとしてポリスルホン17重量%のDMF溶液を、高分子溶液Cとしてポリスルホン15重量%のDMF溶液を用いた以外は、実施例1と同様にして、実施例2の複合半透膜を得た。
(実施例3)
実施例1において、高分子溶液Aとしてポリスルホン20重量%のDMF溶液を、高分子溶液Bとしてポリスルホン15重量%のDMF溶液を、高分子溶液Cとしてポリスルホン20重量%のDMF溶液を用いた以外は、実施例1と同様にして、実施例3の複合半透膜を得た。
(実施例4)
実施例1において、高分子溶液Aとしてポリスルホン20重量%のDMF溶液を、高分子溶液Bとしてポリスルホン13重量%のDMF溶液を、高分子溶液Cとしてポリスルホン20重量%のDMF溶液を用いた以外は、実施例1と同様にして、実施例4の複合半透膜を得た。
(実施例5)
実施例1において、高分子溶液Aとしてポリスルホン20重量%のDMF溶液を、高分子溶液Bとしてポリスルホン13重量%のDMF溶液を、高分子溶液Cとしてポリスルホン20重量%のDMF溶液を用いた以外は、実施例1と同様にして複合半透膜を得た。さらにこの複合半透膜を硫酸でpH3.0に調整した0.3重量%の亜硝酸ナトリウム水溶液に35℃で30秒浸漬した後、直ちに水浴中へ浸漬することで、実施例5の複合半透膜を得た。
(実施例6)
実施例1において、高分子溶液Aとしてポリスルホン22重量%のDMF溶液を、高分子溶液Bとしてポリスルホン13重量%のDMF溶液を、高分子溶液Cとしてポリスルホン20重量%のDMF溶液を用いた以外は、実施例1と同様にして、実施例6の複合半透膜を得た。
(実施例7)
実施例1において、高分子溶液Aとしてポリスルホン20重量%のDMF溶液を、高分子溶液Bとしてポリスルホン13重量%のDMF溶液を、高分子溶液Cとしてポリスルホン22重量%のDMF溶液を用いた以外は、実施例1と同様にして、実施例7の複合半透膜を得た。
(実施例8)
実施例1において、高分子溶液Aとしてポリスルホン17重量%のDMF溶液を、高分子溶液Bとしてポリスルホン17重量%のDMF溶液を、高分子溶液Cとしてポリスルホン17重量%のDMF溶液を用いた以外は、実施例1と同様にして、実施例8の複合半透膜を得た。
(比較例1)
実施例1において、ポリスルホン13重量%のDMF溶液のみを、三重スリットダイではなく単スリットダイコーターを用いて、220μmの厚みとなるように不織布上に塗布した以外は、実施例1と同様の手順によって微多孔性支持膜を得た。
得られた微多孔性支持膜上に、実施例1と同様の手順によって分離機能層を形成し比較例1の複合半透膜を得た。
(比較例2)
高分子溶液としてポリスルホン15重量%のDMF溶液を用いた以外は、比較例1と同様にして、比較例2の複合半透膜を得た。
(比較例3)
高分子溶液としてポリスルホン20重量%のDMF溶液を用いた以外は、比較例1と同様にして、比較例3の複合半透膜を得た。
(比較例4)
高分子溶液Aとしてポリスルホン13重量%のDMF溶液を、高分子溶液Bとしてポリスルホン20重量%のDMF溶液を用い、高分子溶液Cを用いず、三重スリットダイではなく二重スリットダイを用いた以外は、実施例1と同様にして、比較例4の複合半透膜を得た。
(比較例5)
高分子溶液Aとしてポリスルホン15重量%のDMF溶液を、高分子溶液Bとしてポリスルホン20重量%のDMF溶液を用い、高分子溶液Cを用いず、三重スリットダイではなく二重スリットダイを用いた以外は、実施例1と同様にして、比較例5の複合半透膜を得た。
(比較例6)
高分子溶液Aとしてポリスルホン15重量%のDMF溶液を、高分子溶液Bとしてポリスルホン20重量%のDMF溶液を用い、高分子溶液Cを用いず、三重スリットダイではなく二重スリットダイを用いた以外は、実施例1と同様にして複合半透膜を得た。この複合半透膜を硫酸でpH3.0に調製した0.3重量%の亜硝酸ナトリウム水溶液に35℃で30秒浸漬した後、直ちに水浴中へ浸漬することで、比較例6の複合半透膜を得た。
(比較例7)
高分子溶液Aとしてポリスルホン20重量%のDMF溶液を、高分子溶液Bとしてポリスルホン15重量%のDMF溶液を用い、高分子溶液Cを用いず、三重スリットダイではなく二重スリットダイを用いた以外は、実施例1と同様にして、比較例7の複合半透膜を得た。
<耐剥離性の測定>
実施例、比較例における複合半透膜の耐剥離性は、テンシロン試験機(RTG−1210)を用いて測定した。圧力印加および通水を経ていない新品の膜試料に対し、25℃において、10mm/minのつかみ移動速度で、剥離方向180°で剥離を行うことで、剥離力の最大値を求めた。この操作を1つの試料について10回行い、得られた値の平均を算出することにより、剥離強度を得た。
<脱塩率(TDS除去率)>
温度25℃、pH6.5の海水(供給水に該当)を、操作圧力5.5MPaで複合半透膜に供給することで、24時間に渡ってろ過処理を行った。得られた透過水を、TDS除去率の測定に用いた。
東亜電波工業株式会社製電気伝導度計で供給水および透過水の電気伝導度を測定することにより、実用塩分を得た。この実用塩分を換算して得られるTDS濃度から、次の式により脱塩率すなわちTDS除去率を求めた。
TDS除去率(%)=100×{1−(透過水中のTDS濃度/供給水中のTDS濃度)}
<膜透過流束>
24時間の上記ろ過処理により得られた透過水量を、膜面1平方メートルあたり、1日あたりの透水量(立方メートル)に換算し、膜透過流束(m/m/日)として表した。
<評価後の半透膜の圧縮率測定>
実施例、比較例における半透膜の厚み測定は、マイクロメーター(Mitutoyo.Corp ID−C112XBS)を用いて測定した。圧力印加および通水を経てない新品の膜試料と、圧力印加および通水(温度25℃、pH6.5の海水、操作圧力5.5MPa、24時間に渡ってろ過処理)を行った膜試料の厚みを、室温雰囲気下で求めた。この操作は1つの試料について10箇所の厚みを測定し、得られた値の平均値を算出、次の式により、評価後の膜の厚みの圧縮率を求めた。
評価後の膜の厚みの圧縮率=100×(圧力印加後の厚み÷圧力印加前の厚み)
以上の結果を表1に示す。比較例1〜7の半透膜では、高分子溶液の濃度が高いことにより大きな剥離強度は得られたものの、高い剥離強度を有する膜は透水性が低くなることが分かる。一方、実施例1〜8から、本発明により1.1N/25mm以上の高い耐剥離性と、高い透水性を両立した複合半透膜が得られることが分かる。また、実施例1〜8の半透膜はいずれも評価後の膜の圧縮率が高く、運転後も膜厚を保持できていることが分かる。
Figure 2014144441
本発明の複合半透膜は、特に、かん水や海水の脱塩に好適に用いることができる。

Claims (8)

  1. 基材および前記基材上に設けられる多孔性支持層を含む微多孔性支持膜と、前記多孔性支持層上に設けられる分離機能層とを備える複合半透膜であって、
    前記多孔性支持層が、基材上に形成される第1層と、前記第1層の上に形成される第2層と、前記第2層の上に形成される第3層とを有する多層構造であり、かつ、テンシロン引張試験機を用いて、25℃の温度条件下、10mm/minのつかみ移動速度で、剥離方向180°で前記基材から前記多孔性支持層を剥がしたときの剥離力の最大値を10回測定して得られた値の平均値である剥離強度が、1.0N/25mm以上である複合半透膜。
  2. 前記第1層と前記第2層との界面及び前記第2層と前記第3層との界面が連続構造である請求項1記載の複合半透膜。
  3. 前記多孔性支持層が、前記基材上に第1層を形成する高分子溶液Aを塗布すると同時に第2層を形成する高分子溶液Bとさらに第3層を形成する高分子溶液Cとを塗布した後に、凝固浴に接触させて相分離させることで形成される請求項2記載の複合半透膜。
  4. 前記高分子溶液Aと前記高分子溶液Bの組成が異なり、前記高分子溶液Cと前記高分子溶液Bの組成が異なる請求項3記載の複合半透膜。
  5. 前記高分子溶液Aの固形分濃度a(重量%)および前記高分子溶液Cの固形分濃度c(重量%)よりも前記高分子溶液Bの固形分濃度b(重量%)が低濃度である請求項4記載の複合半透膜。
  6. 前記高分子溶液Aの固形分濃度a(重量%)、前記高分子溶液Bの固形分濃度b(重量%)、及び前記高分子溶液Cの固形分濃度c(重量%)が、a≧c>bの関係式を満たす、請求項4または5記載の複合半透膜。
  7. 前記基材が、ポリエステルを含有する長繊維不織布である請求項1〜6のいずれか1項に記載の複合半透膜。
  8. NaClの濃度が3.5重量%、温度が25℃、pHが6.5の水溶液を5.5MPaの圧力で24時間透過させた後の造水量が1.6m/m/日以上、かつ脱塩率が99.85%以上である請求項1〜7のいずれか1項に記載の複合半透膜。
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