JP2004313989A - 積層多孔質膜の製造方法 - Google Patents

積層多孔質膜の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】膜を積層した後に、圧延や延伸によることなく膜を多孔質化して積層多孔質膜を製造する。
【解決手段】3種類の多孔質膜原料を良溶媒に溶解して多孔質膜原料溶液とし、この3種類の多孔質膜原料溶液を攪拌混合機1,2,3にそれぞれ入れる。攪拌混合機1,2,3でそれぞれ多孔質膜原料溶液を混合し、多孔質膜原料溶液を流延用ダイ7に移す。スロット17から多孔質膜原料溶液を重ねて流延しゲル状成型物8とする。このゲル状成型物8を凝固浴槽12内の、多孔質膜原料の貧溶媒と良溶媒が混合された凝固液11に浸漬して、ゲル状成型物8の液膜表面から内部へと、凝固液11中の貧溶媒をゲル状成型物8の良溶媒と置換させ、細孔を形成するとともに凝固を徐々に進行させる。
【選択図】 図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、分離膜に使用される積層多孔質膜の製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
多孔質の膜を積層することにより、1層の多孔質層では得られない機能を付与することが可能である。その目的は多岐にわたるが、一般的に言われていることは、孔径の異なる多孔質膜を積層することにより透過性に優れた非対称構造を得ること、強度の異なる多孔質膜を積層することにより多孔質膜の自己保持性を担保すること、同種の多孔質膜の積層によるピンホールの防止、表面性質の異なる多孔質膜を積層することによる接着性の改善などがあげられる。
【0003】
分子生物学・医療分野においては遺伝子発現解析などの分野で多孔質膜が利用されている。例えば、ホルモン類、腫瘍マーカー、酵素、抗体、抗原、アブザイム、その他のタンパク質、核酸、cDNA、DNA、RNAなど、生体由来の物質と特異的に結合可能で、かつ、塩基配列や塩基の長さ、組成、特性などが既知のリガンドまたはレセプタを含む溶液を多孔質膜上に滴下し、標識物質を利用して、生体から採取された、あるいは採取された後に化学的処理などが施されたホルモン類、腫瘍マーカー、酵素、抗体、抗原、アブザイム、その他のタンパク質、核酸、DNA、mRNAなどのレセプタまたはリガンドを解析するマクロアレイやマイクロアレイを用いる解析システムがあげられる。これらのアレイを用いるシステムは1枚の多孔質膜上において多数、多種類の試料を一度に解析することが可能であることから、分子生物学・医療分野で多用されている。
【0004】
上記多孔質膜が孔径の同じ1つの層からなる多孔質層の場合には、リガンドまたはレセプタが多孔質膜の上下方向全体に固定される。このため、多孔質膜に固定されたリガンドまたはレセプタに、解析しようとするレセプタまたはリガンドを特異的に結合させる等し、標識物質の信号を利用してレセプタまたはリガンドを検出する場合、多孔質膜の表面から遠い位置に固定されたリガンドまたはレセプタに結合したレセプタまたはリガンドからの信号(シグナル)が減衰するといった問題がある。
【0005】
このような問題を解決するためには、例えば多孔質膜を孔径の異なる2層の多孔質層からなるものとし、一層の多孔質層にはリガンドまたはレセプタを固定する機能を付与し、もう一層の多孔質層にはリガンドまたはレセプタが添加されている溶液を多孔質膜全体に均一に分配させるとともに、多孔質膜の自己保持性を付与するというように、2層の多孔質層の孔径を変えることによって2層のそれぞれに機能を付与するといった方法が考えられる。
【0006】
しかし、多孔質層を形成した後にこれを2層以上積層する方法の場合、積層時に孔が閉塞しないような温度で熱圧着すると層間の充分な接着力が得られず、層間を充分に接着できるような温度で熱圧着すると積層時に孔が閉塞されてしまい、多孔性の保持と接着性を兼ね備えた多孔質膜とすることは困難である。
【0007】
また、接着剤によって膜を一体化する方法では接着剤が孔に浸透してしまう問題がある上、上述した分子生物学・医療分野で多用される多孔質膜は界面活性剤を含んだ溶剤にさらされるため、使用時に接着剤が溶解したり、この接着剤の溶解によって多層形成された多孔質膜が剥がれるといった問題が懸念される。
【0008】
積層多孔質膜を製造するに際して接着剤を使用しない方法として、例えば、特開平6−55629号公報には熱可塑性樹脂を成形しフィルム状にしたものを、2枚以上加熱して一体化後、延伸して多孔質化する方法が記載されている。また、特開2001−260217号公報には、ポリオレフィン樹脂層をシート状に成形したものを2枚以上加熱して一体化後、圧延して多孔質化する方法、特開2002−36459号公報には、ポリオレフィン樹脂層およびポリオレフィンと可撓性樹脂を含む層を積層して、延伸により多孔質化する方法が記載されている。
【0009】
【特許文献1】
特開平6−55629号公報
【0010】
【特許文献2】
特開2001−260217号公報
【0011】
【特許文献3】
特開2002−36459号公報
【0012】
【発明が解決しようとする課題】
上記方法はいずれも、多孔質層を積層するために接着剤を使用する必要がなく、積層した後に多孔質化するため、孔の閉塞を考慮することなく層間を充分に接着できるような温度で熱圧着することが可能である。
【0013】
しかし、特開平6−55629号公報に記載されている延伸して多孔質化する方法では、所定値以上のドラフト条件でフィルムを成形しなければ、充分な多孔化を図ることができない。また、特開2001−260217号公報に記載されている圧延して多孔質化する方法では、シート状成型物の成形時の冷却速度が遅いときは、溶融混連によって引き延ばされ絡み合っている繊維が糸毬状に戻って太い繊維を形成するため、細かく、かつ均一な繊維からなる微多孔構造が形成されにくく、大きな貫通孔を有する多孔質構造が形成されてしまうという問題がある。さらに、特開2002−36459号公報に記載されている延伸により多孔質化する方法においても、積層物を急冷しなければ均一な多孔質膜が得られないという問題がある。
【0014】
本発明は上記事情に鑑みなされたものであり、膜を積層した後、圧延や延伸によることなく膜を多孔質化して積層多孔質膜を製造することが可能な積層多孔質膜の製造方法を提供することを目的とするものである。
【0015】
【課題を解決するための手段】
本発明の積層多孔質膜の製造方法は、多孔質膜原料溶液を2層以上重ねて流延してゲル状成型物とし、該ゲル状成型物を凝固液に浸漬して多孔質化させるとともに凝固させることを特徴とするものである。
【0016】
前記多孔質膜原料溶液を2層以上重ねて流延して得られるゲル状成型物は、多孔質膜原料溶液を2層以上逐次積層する方法によって積層されるものであってもよい。
【0017】
【発明の効果】
本発明の積層多孔質膜の製造方法は、多孔質膜原料溶液を2層以上重ねて流延してゲル状成型物とし、このゲル状成型物を凝固液に浸漬して多孔質化させるとともに凝固させる、すなわち、多孔質膜となるゲル状成型物を積層した後にこれを多孔質化させるとともに凝固させるので、熱圧着による孔の閉塞を考慮する必要がない。
【0018】
また、多孔質膜原料溶液を2層以上重ねて流延してゲル状成型物とするので、接着剤を使用することなく多孔質膜を積層可能であり、界面活性剤のような溶剤を多用する分子生物学・医療分野に用いられるメンブレンにも好適に用いることが可能である。
【0019】
さらに、ゲル状成型物を凝固液に浸漬することで多孔質化させるとともに凝固させるので、フィルムの積層時において、充分な多孔質化のために特定のドラフト条件や温度管理を必要とする圧延や延伸による多孔質化に比べて、容易に積層多孔質膜を得ることができる。
【0020】
【発明の実施の形態】
本発明の積層多孔質膜の製造方法は、まず、多孔質膜原料溶液を2層以上重ねて流延してゲル状成型物とする。多孔質膜原料としては、多孔質材料あるいは繊維材料が好ましく使用される。多孔質材料と繊維材料は併用してもよい。
【0021】
本発明において使用される多孔質材料は有機材料であって、溶媒にある程度以上、具体的には10重量%以上溶解するポリマーであって、凝固によって細孔を形成して多孔質化が可能な材料が好ましく用いられる。
【0022】
例えば、セルロース誘導体(セルロースエステル、例えば、セルロースアセテート,セルロースプロピオネート,セルロースブチレート,セルロースアセテートプロピオネート,セルロースアセテートブチレート,セルロースアセテートフタレートなどの有機酸エステル;硝酸セルロース,硫酸セルロース,リン酸セルロースなどの無機酸エステル;硝酸酢酸セルロースなどの混酸エステルのセルロースエーテル、例えば、メチルセルロース,エチルセルロース,イソプロピルセルロース,ブチルセルロース,ベンジルセルロース,ヒドロキシエチルセルロース,ヒドロキシプロピルセルロース,カルボキシメチルセルロース,カルボキシエチルセルロース,シアノエチルセルロース、ニトロセルロース、再生セルロースなど)、脂肪族ポリアミド類(例えば、ナイロン6,ナイロン6/6,ナイロン4/10,ナイロン11,ナイロン12,ナイロン6/11,ナイロン6/12など)、ポリスチレン、オレフィル類と共重合性単量体との共重合体(エチレン−酢酸ビニル共重合体,エチレン−(メタ)アクリル酸共重合体,エチレン−(メタ)アクリル酸エステル共重合体、変性ポリオレフィンなど)、ハロゲン含有ビニル単量体と共重合性単量体との共重合体(塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体,塩化ビニリデン−酢酸ビニル共重合体,塩化ビニリデン−(メタ)アクリルアミド共重合体,塩化ビニリデン−(メタ)アクリル酸共重合体,塩化ビニリデン−(メタ)アクリル酸エステル共重合体など)、ポリカーボネート(芳香族ポリカーボネート、例えばビスフェノールA型ポリカーボネートなど)、ポリスルフォン系重合体(ポリスルフォンなど)、アルギン酸及びその誘導体(例えば、アルギン酸,アルギン酸カルシウム,アルギン酸/ポリリシンポリイオンコンプレックスなど)、コラーゲンなどがあげられ、これらポリマーの共重合体や複合体(混合体)も用いることができる。
【0023】
また、繊維材料としては、特に限定されるものではないが、好ましくは前述したセルロース誘導体類、脂肪族ポリアミド類などがあげられる。
【0024】
多孔質膜原料溶液の溶媒は多孔質膜原料の良溶媒である。良溶媒としては、多孔質膜原料の種類などに応じて、例えば、ケトン類(アセトン,メチルエチルケトン,メチルプロピルケトンなどのC3−5 ジアルキルケトン,シクロヘキサノンなど)、エステル類(ギ酸エチルなどのギ酸C1−4 アルキルエステル、酢酸メチル,酢酸エチル,酢酸ブチルなどの酢酸C1−4 アルキルエステル,プロピオン酸エチル,乳酸エチルなど)、エーテル類(1,4−ジオキサン,テトラヒドロフラン,テトラヒドロピラン,ジエチルエーテル,ジイソプロピルエーテル,ジメトキシエタンなどの環状又は鎖状C4−6 エーテル)、セロソルブ類(メチルセロソルブ,エチルセロソルブ,ブチルセロソルブなどのC1−4 アルキル−セロソルブ)、セロソルブアセテート類(メチルセロソルブアセテート,エチルセロソルブアセテートなどのC1−4 アルキル−セロソルブアセテート)、芳香族炭化水素類(ベンゼン,トルエン,キシレンなど)、ハロゲン化炭化水素類(塩化メチレン,塩化エチレンなど)、アミド類(ホルムアミド,アセトアミドなどのアシルアミド類、N−メチルホルムアミド,N−メチルアセトアミド,N,N−ジメチルホルムアミド,N,N−ジメチルアセトアミドなどのモノ又はジC1−4 アシルアミド類)、スルホキシド類(ジメチルスルホキシドなどのジC1−3 アルキルスルホキシド)、ニトリル類(アセトニトリル,クロロアセトニトリル,プロピオニトリル,ブチロニトリルなどC1−6 アルキルニトリル,ベンゾニトリルなど)、有機酸類(ギ酸,酢酸,プロピオン酸など)、有機酸無水物(無水マレイン酸,無水酢酸など)、およびこれらの混合物から選択できる。良溶媒は、ニトロ化合物(ニトロメタン,ニトロエタン,ニトロプロパンなど)、低級アルコール類(メタノール,エタノールなどのC1−4 アルコール、ジアセトンアルコールなど)を含んでいてもよい。
【0025】
良溶媒は多孔質膜原料の種類に応じて選択できる。より具体的には、セルロース誘導体には、メチルエチルケトンなどのC3−5 ジアルキルケトン類(特にアセトン,メチルエチルケトン)、酢酸エチルなどの酢酸C1−4 アルキルエステル類(特に酢酸メチル,酢酸エチル)、ジオキサン,ジメトキシエタンなどの環状又は鎖状C4−6 エーテル類、メチルセロソルブなどのC1−4 アルキル−セロソルブ類(特にメチルセロソルブ、エチルセロソルブ)、メチルセロソルブアセテートなどのC1−4 アルキル−セロソルブアセテート類(特にメチルセロソルブアセテート,エチルセロソルブアセテート)およびこれらの混合溶媒などが好ましく用いられる。セルロース誘導体がセルロースアセテートである場合、C1−2 アルキル−セロソルブ類(中でもメチルセロソルブ)を含む溶媒がより好ましく用いられる。
【0026】
ビニル系重合体のうちアクリロニトリル系重合体には、アミド類(ホルムアミド,N,N−ジメチルホルムアミド,アセトアミド、N,N−ジメチルアセトアミドなど)、スルホキシド類(ジメチルスルホキシドなど)、エーテル類(テトラヒドロフラン,テトラヒドロピラン,1,4−ジオキサンなどの環状エーテルなど)、ニトリル類(アセトニトリル,クロロアセトニトリル,プロピオニトリル,ブチロニトリル,マロニトリル,フマロニトリルなど)、有機酸無水物(無水マレイン酸、無水酢酸など)およびこれらの混合溶媒が好ましく用いられ、少なくともアミド類(特にN,N−ジメチルホルムアミドなど)を含んでいることがより好ましい。
【0027】
ビニル系重合体のうち(メタ)アクリル酸系重合体には、ケトン類(アセトン,メチルエチルケトン,メチルプロピルケトンなどのC3−5 ジアルキルケトン、シクロヘキサノンなど)、エステル類(ギ酸エチルなどのギ酸C1−4 アルキルエステル、酢酸メチル,酢酸エチル,酢酸ブチルなどの酢酸C1−4 アルキルエステル、プロピオン酸エチル,乳酸エチルなど)、芳香族炭化水素類(ベンゼン,トルエン,キシレンなど)、ハロゲン化炭化水素類(塩化メチレン,塩化エチレンなど)、アミド類(N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミドなど)、スルホキシド類(ジメチルスルホキシドなど)、エーテル類(テトラヒドロフラン,1,4−ジオキサンなどの環状エーテルなど)およびこれらの混合溶媒などが好ましく用いられる。
【0028】
ポリスルフォン系重合体には、アミド類(N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミドなど)、スルホキシド類(ジメチルスルホキシドなど)およびこれらの混合溶媒などが好ましく用いられる。
【0029】
良溶媒の沸点は、35〜200℃(例えば、35〜180℃)、好ましくは35〜170℃(例えば、35〜160℃)、さらに好ましくは40〜160℃(例えば、40〜125℃)程度の範囲から選択でき、通常、35〜150℃(例えば、35〜130℃)程度である。
【0030】
多孔質膜原料溶液の溶媒を全て良溶媒としてもよいが、溶媒全量の1〜20重量%の範囲で貧溶媒を添加してもよい。添加した貧溶媒の濃度に応じて形成される細孔の大きさを調整することが可能である。貧溶媒とは、高分子に対する溶解性がないか、又は溶解性の低い溶媒を意味し、良溶媒よりも沸点が高く、良溶媒と相溶するものであればいずれの溶媒も使用できる。そのため貧溶媒の種類は、特に制限されない。
【0031】
貧溶媒としては、例えば、水、エステル類(ギ酸アミル,ギ酸イソアミルなどのギ酸C5−8 アルキルエステル、酢酸ブチル,酢酸アミル,酢酸ヘキシル,酢酸オクチル,酢酸3−メトキシブチル,酢酸3−エトキシブチル,プロピオン酸ブチル,プロピオン酸3−メトキシブチルなどのC1−4 アルコキシ基を有していてもよいC2−4 脂肪族カルボン酸C3−10 アルキルエステル(例えば、C1−4 アルコキシ基を有していてもよい酢酸C4−10 アルキルエステル)、安息香酸メチル,安息香酸エチル,安息香酸プロピルなどの安息香酸C1−4 アルキルエステル類)、アルコール類(シクロペンタノール,シクロヘキサノール,メチルシクロヘキサノール,ジメチルシクロヘキサノール,シクロオクタノールなどのC1−4 アルキル基が置換していてもよいC4−8 シクロアルカノール、アミルアルコール,イソアミルアルコール,ヘキシルアルコールなどのC5−8 アルコール類、2−ブトキシエタノール,3−ブトキシプロパノールなどのC2−6 アルコキシ−C1−4 アルコール類、フルフリルアルコールなどの複素環式アルコールなど)、ケトン類(メチルブチルケトン,メチルイソブチルケトン,メチルペンチルケトン,メチルイソペンチルケトン,2,6−ジメチル−4−ヘプタノンなどのC3−10 ジアルキルケトン(特にC6−10 ジアルキルケトン)、アセトニルアセトン,アセトフェノンなど)、エーテル類(メチルフェニルエーテル,メトキシトルエン,ジブチルエーテル,ベンジルエチルエーテルなどのC7−10 エーテル)、脂肪族炭化水素類(ヘキサン,オクタン,ノナン,デカンなどのC5−20 脂肪族炭化水素類)およびこれらの混合物があげられる。
【0032】
セルロース誘導体の好ましい貧溶媒には、エステル類(ギ酸C5−8 アルキルエステル、安息香酸C1−4 アルキルエステルなど)、C4−8 シクロアルカノール、C6−10 ジアルキルケトンおよびC7−10 エーテルから選択された少なくとも一種の溶媒、特に少なくともC5−7 シクロアルカノール(中でもシクロヘキサノール類)を含む溶媒が含まれる。シクロヘキサノール類には、シクロヘキサノール,メチルシクロヘキサノール,ジメチルシクロヘキサノールなどのモノ又はジC1−2 アルキル置換体が含まれる。
【0033】
アクリロニトリル系重合体、(メタ)アクリル酸エステル系重合体、ポリスルホン系重合体の好ましい貧溶媒には、C1−4 アルコキシ基を有していてもよい酢酸アルキルエステル(酢酸3−メトキシブチル,酢酸3−メトキシペンチルなどの酢酸C1−4 アルコキシC3−7 アルキルエステルなど)、2−ブトキシエタノール,2−ヘキシルオキシエタノールなどのC4−8 アルコキシC1−4 アルキルアルコール、ケトン類(メチルブチルケトン,メチルイソブチルケトン,メチルペンチルケトン,メチルイソペンチルケトンなどのC6−10 ジアルキルケトン,アセトニルアセトン,アセトフェノン)などが含まれる。
【0034】
貧溶媒の沸点は、通常、100〜230℃、さらには120〜200℃程度であることが好ましい。貧溶媒は、通常、上記良溶媒よりも20℃以上(20〜60℃程度)、さらには30〜50℃程度高い沸点を有していることが好ましい。
【0035】
多孔質膜原料溶液の多孔質膜原料濃度は、ゲル状態での膜厚みが極端に大きくなることを避けるために、2%以上、さらには4%以上であることが好ましく、多孔質膜原料溶液の流れ、例えば流延用ダイのスロット部における流れを安定させるため、粘度が1000Pa以下、さらには500Pa以下となるように調整されることが好ましい。また、流延用ダイの先端と多孔質膜原料溶液を支持する支持体との間に形成される多孔質膜原料溶液の液膜が、断裂などを起こさずに安定に形成されるように、液膜にかかる伸張応力は10000Pa以下、さらには5000Pa以下となるようにすることが好ましい。伸張応力は多孔質膜原料溶液の伸張粘度(およそ剪断粘度の3倍)と伸張速度の積であるため、伸張速度すなわち、支持体を搬送する速度に対して、多孔質膜原料溶液の伸張粘度の上限が決定される。
【0036】
2層以上重ねられる複数の多孔質膜原料溶液に用いられる溶媒は、共通であれば貧溶媒と良溶媒の比率は異なっていてもよく、また、2層以上重ねられる複数の多孔質膜原料は種類、分子量、官能基が異なっていてもよい。但し、複数の多孔質膜原料溶液間の粘度比は1:10、好ましくは1:5を越えないことが好ましい。この範囲を超えると、流延用ダイ内部で多孔質膜原料溶液を積層して流延する場合に、低粘度の層が高粘度の層を包み込んだ状態で積層されることになるため好ましくない。
【0037】
なお、多孔質膜原料溶液には、多孔質膜の特性を損なわない範囲で慣用の添加剤、例えば、消泡剤、塗布性改良剤、増粘剤、滑剤、安定剤(酸化防止剤,紫外線吸収剤,熱安定剤など)、帯電防止剤、アンチブロッキング剤などを添加してもよい。
【0038】
多孔質膜原料溶液は、慣用の流延方法、例えば、スプレー法あるいはドクターブレード法を用いてコーティングする方法、Tダイから押し出す方法など、どのような方法であってもよいが、好適には可動する支持体上に複数のダイから押し出した多孔質膜原料溶液を流延する方法が用いられる。
【0039】
支持体は溶媒に浸食されない素材であって、可撓性があれば特に限定されないが、凝固液が支持体とゲル状成型物の界面に浸透しやすい素材であることが好ましく、例えば、表面に金属膜を蒸着したプラスチックフィルムを好ましく用いることができる。
【0040】
ゲル状成型物凝固液に浸漬して多孔質化させるとともに凝固させる。凝固液は、多孔質膜原料溶液を調製した良溶媒と貧溶媒を混合したものであって、その比率は多孔質膜原料溶液を調製した際と異なっていてもよい。多孔質膜原料溶液が良溶媒のみで調製されている場合には、凝固液には多孔質膜原料溶液の調製に使用した良溶媒と、多孔質膜原料の貧溶媒を適宜選択して用いる。凝固液の貧溶媒の割合が多すぎる場合にはゲル状成型物の液膜表面に細孔が形成されない緻密な層が形成され、また良溶媒の割合が多すぎる場合には細孔のサイズが大きくなる傾向がある。従って、良溶媒と貧溶媒の組成比は2:8〜8:2の間で適宜調製することが好ましい。
【0041】
孔径の異なる多孔質膜を作製するためには、具体的には、例えば、高分子量のナイロン6,6と低分子量のナイロン6,6をそれぞれギ酸に溶解して16wt%の溶液を調製し、貧溶媒として水を15wt%となるように添加する。これを後述するような流延用ダイで積層して流延し、ギ酸と水が45:55の凝固浴に浸漬することによって、高分子量のナイロン6,6の方は小さい孔径を有する層となり、低分子量のナイロン6,6の方は大きい孔径を有する層となる。
【0042】
また、上記のように分子量の異なるポリマーを使用することなく、例えば、同一のナイロン6,6を用いた溶液に、貧溶媒、例えば水の添加量を変えた多孔質膜原料溶液を調製し、これを積層しても孔径の異なる多孔質膜を作製することができる。この場合、貧溶媒の割合が大きい方は孔径が小さい層に、割合が小さい方は孔径が大きい層となる。
【0043】
ゲル状成型物は凝固浴に入れた凝固液に浸漬すると、ゲル状成型物液膜内部で多孔質膜原料が細かく析出し、ゲル状成型物液膜の表面から内部へと凝固液の貧溶媒がゲル状成型物の良溶媒と置換され、細孔が形成されると同時に、凝固が徐々に進行する。
【0044】
本発明の積層多孔質膜の製造方法を実施するための積層多孔質膜製造装置の例として、3層多孔質膜を製造する装置を図1に示す。図1に示す積層多孔質膜製造装置は3つの多孔質膜原料溶液をそれぞれ攪拌混合する3つの攪拌混合機1、2、3と、攪拌混合機1、2、3で攪拌混合された多孔質膜原料溶液を流延用ダイ7にそれぞれ送るポンプ4、5、6と、ポンプ4、5、6よりそれぞれ送られた多孔質膜原料溶液を重ねて流延するための流延用ダイ7と、流延されたゲル状成型物8を支持する支持体9を送り出すバックアップロール10と、凝固液11が収容された凝固浴槽12と、洗浄液13が収容された洗浄浴槽14と、多孔質化され凝固された3層多孔質膜を乾燥する乾燥機15とからなる。
【0045】
流延用ダイ7にはポンプ4、5、6から送られた3種類の多孔質膜原料溶液を流延の幅方向に広げるマニホールド16と、多孔質膜原料溶液の幅方向の流量を均一にするスロット17が設けられている。凝固浴槽12および洗浄浴槽14のそれぞれにはゲル状成型物8を支持した支持体を搬送するための凝固浴槽内搬送ロール18、洗浄浴槽内搬送ロール19が設けられ、凝固浴槽12と洗浄浴槽14の間にも同様の搬送ロール20が配置されている。なお、洗浄浴槽13内の洗浄液は凝固液で用いた貧溶媒である。
【0046】
3つの攪拌混合機1、2、3でそれぞれ攪拌混合された多孔質膜原料溶液は、ポンプ4、5、6によってマニホールド16に送られる。バックアップロール10より送り出された支持体9をスロット17の下方に位置させ、支持体9を搬送しながら、マニホールド16に送られた3種類の多孔質膜原料溶液をスロット17によって重ねて流延し、ゲル状成型物8とする。続いて、ゲル状成型物8を支持した支持体9を搬送して、凝固浴槽12内の凝固液11に浸漬する。なお、図1では凝固浴槽12に浸漬されるゲル状成型物8は図面の簡略化のため、1層で示している。
【0047】
凝固液11によってゲル状成型物8の液膜内部では多孔質膜原料が細かく析出し、ゲル状成型物8の液膜表面から内部へと、凝固液11中の貧溶媒がゲル状成型物8の良溶媒と置換され細孔が形成されると同時に凝固が徐々に進行する。多孔質化され凝固した3層多孔質膜を凝固浴槽12から取り出し、搬送ロール20によって洗浄浴槽14に搬送し、洗浄浴槽14内の洗浄液13に浸漬して溶媒を除去する。その後、乾燥機15に搬送して洗浄液13を除去し、乾燥機15から取り出した後、3層多孔質膜は支持体9から剥がされる。なお、3層多孔質膜を支持体9から剥がす段階は、洗浄浴槽14から取り出した後、乾燥機15に搬入する前であってもよい。
【0048】
次に、本発明の積層多孔質膜の製造方法を実施するための積層多孔質膜製造装置の例として、ゲル状成型物を逐次積層した後、2層多孔質膜を製造する装置を図2に示す。図2に示す積層多孔質膜製造装置は第一多孔質膜原料溶液を攪拌混合する第一攪拌混合機21と、第二多孔質膜原料溶液を攪拌混合する第二攪拌混合機22と、第一攪拌混合機21で攪拌混合された第一多孔質膜原料溶液を流延用ダイ26に送るためのポンプ24と、第二攪拌混合機22で攪拌混合された第二多孔質膜原料溶液を流延用ダイ27に送るためのポンプ25と、ポンプ24より送られた第一多孔質膜原料溶液を流延するための第一流延用ダイ26と、ポンプ25より送られた第二多孔質膜原料溶液を流延するための第二流延用ダイ27と、流延されたゲル状成型物を支持する支持体29を送り出すバックアップロール30と、凝固液31が収容された凝固浴槽32と、洗浄液33が収容された洗浄浴槽34と、多孔質化され凝固された2層多孔質膜を乾燥する乾燥機35とからなる。
【0049】
第一流延用ダイ26および第二流延用ダイ27にはそれぞれ、ポンプ24、25から送られた第一多孔質膜原料溶液、第二多孔質膜原料溶液を流延の幅方向に広げるマニホールド36、37と、多孔質膜原料溶液の幅方向の流量を均一にするスロット38、39が設けられている。
【0050】
第一攪拌混合機21で調製された第一多孔質膜原料溶液は、ポンプ24によってマニホールド36に送られる。一方、第二攪拌混合機22で調製された第二多孔質膜原料溶液は、ポンプ25によってマニホールド37に送られる。バックアップロール30から送り出された支持体29をスロット38の下方に位置させ、支持体29を搬送しながら、マニホールド36に送られた第一多孔質膜原料溶液をスロット38によって流延する。続いて第一多孔質膜原料溶液からなるゲル状成型物を支持した支持体29を搬送し、支持体29をスロット39の下方に位置させ、支持体29を搬送しながら、マニホールド37に送られた第二多孔質膜原料溶液をスロット39によって第一多孔質膜原料溶液からなるゲル状成型物の上に流延し、第一多孔質膜原料溶液と第二多孔質膜原料溶液からなるゲル状成型物29とする。以下、第1の実施の形態で説明したと同様にして2層多孔質膜を製造することができる。
【0051】
なお、ここでは2層および3層の多孔質膜を積層する場合を例にとって説明したが、本発明の積層多孔質膜の製造方法では、これ以上の多孔質膜を積層した積層多孔質膜を製造することが可能である。
【0052】
以上のように、本発明の積層多孔質膜の製造方法は、多孔質膜原料溶液を2層以上重ねて流延してゲル状成型物とし、このゲル状成型物を凝固液に浸漬して多孔質化させるとともに凝固させるため、接着剤を使用する必要がなく、界面活性剤のような溶剤を多様する分子生物学・医療分野に用いられるメンブレンに好適に用いることが可能である。
【0053】
また、ゲル状成型物を凝固液に浸漬することで多孔質化させるとともに凝固させるので、特定のドラフト条件や温度管理を必要とする圧延や延伸による多孔質化に比べて、容易に積層多孔質膜を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の積層多孔質膜を製造する積層多孔質膜製造装置の一の実施の形態を示す概略図
【図2】本発明の積層多孔質膜を製造する積層多孔質膜製造装置の別の実施の形態を示す概略図
【符号の説明】
1 多孔質膜原料溶液の攪拌混合機
2 多孔質膜原料溶液の攪拌混合機
3 多孔質膜原料溶液の攪拌混合機
7 流延用ダイ
8 ゲル状成型物
11 凝固液

Claims (1)

  1. 多孔質膜原料溶液を2層以上重ねて流延してゲル状成型物とし、該ゲル状成型物を凝固液に浸漬して多孔質化させるとともに凝固させることを特徴とする積層多孔質膜の製造方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2013132579A (ja) * 2011-12-26 2013-07-08 Sekisui Chem Co Ltd 高分子水処理膜
JP2014144441A (ja) * 2013-01-30 2014-08-14 Toray Ind Inc 複合半透膜

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