JP2017194012A - 異常診断装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】水蒸気透過膜を有する水蒸気分離部を備えると共に、水蒸気透過膜を隔てた内側と外側の空間の水蒸気分圧を減圧するシステムにおいて、水蒸気分離部の分離機能の低下を診断する。【解決手段】各モジュールでの水蒸気の目標分離量と、各モジュールでの実際の水蒸気分離量との差が、所定値未満であるか否かが判定される(ステップS108)。本ステップにおいてはモジュール34に対する判定と、モジュール36に対する判定とが別々に行われる。その結果、水蒸気の目標分離量と実際の水蒸気分離量の差が所定値未満であると判定されたモジュールがある場合、そのモジュールの分離機能が正常であると判定される(ステップS110)。そうでないと判定されたモジュールがある場合、そのモジュールの分離機能が異常であると判定される(ステップS112)。【選択図】図7

Description

この発明は異常診断装置に関する。
従来、EGR通路を介して過給機のタービンよりも下流側の排気通路に流す排気の一部を、当該過給機のコンプレッサよりも上流側の吸気通路に還流させるEGRシステムを備える内燃機関が公知である。このようなEGRシステムは、EGR通路を介してタービンよりも上流側の排気通路に流す排気の一部を、コンプレッサよりも下流側の吸気通路に還流させるEGRシステムと区別して、LPL−EGRシステムと称される。
LPL−EGRシステムを備える内燃機関に関し、例えば特開2015−209782号公報には、コンプレッサよりも下流側の吸気通路に設けられて当該コンプレッサで圧縮したガス(新気または新気とEGRガスの混合ガス)を冷却するインタークーラと、当該インタークーラの直下流であって重力方向下側の吸気通路の内壁面に形成された溝と、を備える内燃機関が開示されている。インタークーラを通過することでガス中の水蒸気が露点以下まで冷やされると凝縮水が発生する。この点、上記公報の機関構成によれば、インタークーラでの冷却に伴い発生した凝縮水を上記溝内に一時的に捕集することができる。
特開2015−209782号公報
ところで上記公報では、上述した機関構成において、EGRガスの還流中に車両を減速させる場合であって、EGRガスと凝縮水の両者が筒内に流入することが予測されたときに、EGRガスの吸気通路への還流を制限する制御を行っている。この制御自体は、車両減速時にEGRガスと凝縮水の両者が筒内に流入することで起こる燃焼悪化への対策として有効である。しかし、上記溝の構成が凝縮水を一時的に捕集する構成であり、また、上記溝の容量にも上限があることから、上記溝から溢れ出た凝縮水が意図しないタイミングで筒内に流入して失火を引き起こす可能性が少なくない。
また、LPL−EGRシステムでは、EGRガスを冷却するEGRクーラをEGR通路に設けることが一般的であり、当該EGRクーラでは上述したインタークーラでの現象と同様の現象が認められる。すなわち、EGRクーラを通過することでEGRガス中の水蒸気が露点以下まで冷やされると凝縮水が発生する。そして、上記公報では言及されていないが、EGRクーラでの冷却に伴い発生した凝縮水にEGRガス中の成分が溶解すると凝縮水が酸性化し、EGRクーラを通過したEGRガスの経路上に、すなわち吸気通路上に位置するコンプレッサやインタークーラを腐食する原因となる。
しかし、上記公報にはEGRクーラが開示されていないことから、上記公報の機関構成ではEGRクーラでのEGRガスの冷却に伴う凝縮水の酸性化を抑えることができるかどうかがそもそも不明である。また、このような酸性化は、上記溝に一時的に捕集した凝縮水においても同様に起こり得る。しかし、上記公報の機関構成はインタークーラでのガスの冷却に伴う凝縮水の発生を許容するものである。従って上記公報の機関構成では、インタークーラでのガスの冷却に伴う凝縮水の酸性化を抑えることもできない。
このような問題への対策として、本発明者は、吸気通路のうちのEGR通路との接続部よりもガス流れ方向の上流側と、EGR通路のうちのEGRクーラよりもガス流れ方向の上流側とに、水蒸気分圧の異なる2つの空間を隔てるように設置された場合に水蒸気分圧が高い空間から水蒸気分圧の低い空間に向かって水蒸気を透過させる水蒸気透過膜を備える水蒸気分離部を設け、更に、吸気通路またはEGR通路を流れるガスが流れる水蒸気透過膜の内側の空間と、水蒸気透過膜によって当該内側の空間と隔てられる外側の空間との間に水蒸気分圧の差が生じるように、当該外側の空間の水蒸気分圧を減圧するシステムを検討・開発しているところである。
上記システムに使用される水蒸気透過膜は、水蒸気以外のガスが透過し難い構成とされているので、水蒸気透過膜の外側の空間の水蒸気分圧を減圧することで、インタークーラやEGRクーラに流入する前のガスから、水蒸気を選択的に取り除くことができる。よって、上記システムによれば、インタークーラやEGRクーラでの凝縮水の発生自体を抑えることができる。しかし、このシステムには改善の余地がある。何故なら、使用環境によってはオイル等の異物が水蒸気分離部に流入することがあり、この異物が原因で水蒸気透過膜の表面の目詰りや汚損が生じると、水蒸気分離部の分離機能を低下させるおそれがあるからである。
本発明は、上述した課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、水蒸気透過膜を有する水蒸気分離部を備えると共に、水蒸気透過膜を隔てた内側と外側の空間の水蒸気分圧を減圧するシステムにおいて、水蒸気分離部の分離機能の低下を診断する異常診断装置を提供することにある。
本発明に係る異常診断装置は、LPL−EGRシステムを構成する過給機のコンプレッサよりも上流側の吸気通路に設けられて前記吸気通路内を流れるガスを冷却するインタークーラと、前記LPL−EGRシステムを構成するEGR通路に設けられて前記EGR通路内を流れるEGRガスを冷却するEGRクーラと、新気用水蒸気分離部と、EGRガス用水蒸気分離部と、第1減圧部と、第2減圧部と、第1減圧量調整部と、第2減圧量調整部と、第1判定部と、第2判定部とを備えている。前記新気用水蒸気分離部は、前記吸気通路の前記EGR通路との接続部よりも上流側において前記吸気通路の一部を構成する新気用水蒸気分離部であって、水蒸気分圧の異なる2つの空間を隔てるように設置された場合に水蒸気分圧が高い空間から水蒸気分圧の低い空間に向かって水蒸気を透過させる第1水蒸気透過膜を備えている。前記EGRガス用水蒸気分離部は、前記EGR通路の前記EGRクーラよりも上流側において前記EGR通路の一部を構成するEGRガス用水蒸気分離部であって、前記第1水蒸気透過膜と同一の構成の第2水蒸気透過膜を備えている。前記第1減圧部は、前記吸気通路から前記新気用水蒸気分離部に流入した新気が流れる前記第1水蒸気透過膜の内側の空間と、前記第1水蒸気透過膜によって前記第1水蒸気透過膜の内側の空間と隔てられた外側の空間との間に水蒸気分圧の差が生じるように、前記第1水蒸気透過膜の外側の空間の水蒸気分圧を減圧する。前記第2減圧部は、前記EGR通路から前記EGRガス用水蒸気分離部に流入したEGRガスが流れる前記第2水蒸気透過膜の内側の空間と、前記第2水蒸気透過膜によって前記第2水蒸気透過膜の内側の空間と隔てられた外側の空間との間に水蒸気分圧の差が生じるように、前記第2水蒸気透過膜の外側の空間の水蒸気分圧を減圧する。前記第1減圧量調整部は、前記インタークーラの下流におけるガス中の水蒸気分圧が前記インタークーラの下流における飽和水蒸気圧よりも高い場合、前記インタークーラの下流におけるガス中の水蒸気分圧が前記インタークーラの下流における飽和水蒸気圧よりも低くなるように、前記新気用水蒸気分離部での水蒸気の目標分離量に基づいて、前記第1減圧部によって減圧する前記第1水蒸気透過膜の外側の空間の水蒸気分圧の量を調整する。前記第2減圧量調整部は、前記インタークーラの下流におけるガス中の水蒸気分圧が前記インタークーラの下流における飽和水蒸気圧よりも低い場合であって、前記EGRクーラにおけるガス中の水蒸気分圧が前記EGRクーラの下流における飽和水蒸気圧よりも高いときに、前記EGRクーラにおけるガス中の水蒸気分圧が前記EGRクーラの下流における飽和水蒸気圧よりも低くなるように、前記EGRガス用水蒸気分離部での水蒸気の目標分離量に基づいて、前記第2減圧部によって減圧する前記第2水蒸気透過膜の外側の空間の水蒸気分圧の量を調整する。前記第1判定部は、前記新気用水蒸気分離部での水蒸気の目標分離量と、前記新気用水蒸気分離部において実際に分離される水蒸気の実分離量との差が第1所定値よりも大きい場合に、前記第1水蒸気透過膜に異常が発生していると判定する。前記第2判定部は、前記EGRガス用水蒸気分離部での水蒸気の目標分離量と、前記EGRガス用水蒸気分離部において空間に実際に分離される水蒸気の実分離量との差が第2所定値よりも大きい場合に、前記第2水蒸気透過膜に異常が発生していると判定する。
本発明に係る異常診断装置によれば、水蒸気透過膜に異常が発生していることを判定することができる。つまり、水蒸気分離部の分離機能の低下を診断することができる。
本発明の実施の形態1に係る異常診断装置の全体構成を示す概略図である。 モジュール34,36の構成を示す概略図である。 モジュール34,36に流入したガスの流れを説明する図である。 管状膜48における水蒸気の透過原理を説明する図である。 凝縮水の発生原理を示した図である。 本発明の実施の形態1の水蒸気分離による水蒸気分圧の変化を示す図である。 本発明の実施の形態1においてECU60が実行する処理の一例を示すフローチャートである。 本発明の実施の形態1においてECU60が実行する処理の一例を示すフローチャートである。 本発明の実施の形態1の変形例においてECU60が実行する処理の一例を示すフローチャートである。 外壁面48bによって囲まれる空間の水蒸気分圧を相対的に低くする他の手段を説明する図である。 本発明の実施の形態2に係る異常診断装置の全体構成を示す概略図である。 管状膜48の内部を移動する水蒸気の移動方向を示した図である。 本発明の実施の形態2において、ECU60が実行する処理の一例を示すフローチャートである。 本発明の実施の形態2において、ECU60が実行する処理の一例を示すフローチャートである。
以下、図面に基づいて本発明の実施の形態について説明する。尚、各図において共通する要素には、同一の符号を付して重複する説明を省略する。また、以下の実施の形態によりこの発明が限定されるものではない。
実施の形態1.
先ず、図1乃至図10を参照して、本発明の実施の形態1について説明する。
[異常診断装置の構成の説明]
図1は、本発明の実施の形態1に係る異常診断装置の全体構成を示す概略図である。図1に示す異常診断装置1は、車両に搭載されるLPL−EGRシステム付きの内燃機関に適用される。異常診断装置1は、直列4気筒型のエンジン本体10を備えている。但し、エンジン本体10の気筒数および気筒配列はこれに限定されない。エンジン本体10の各気筒には、吸気通路12および排気通路14が接続されている。
吸気通路12の入口近傍には、エアクリーナ16が取り付けられている。エアクリーナ16の下流には、過給機18のコンプレッサ18aが設置されている。コンプレッサ18aは、排気通路14に配置されたタービン18bの回転により駆動される。コンプレッサ18aよりも下流側の吸気通路12には、電子制御式のスロットルバルブ20が設けられている。スロットルバルブ20よりも下流側の吸気通路12は、各気筒の吸気ポート(図示省略)に接続されるサージタンク22が設けられている。サージタンク22には、コンプレッサ18aで圧縮されたガスを冷却するインタークーラ24が内蔵されている。
排気通路14のタービン18bよりも下流側には、エンジン本体10の各気筒からの排気を浄化する触媒(一例として三元触媒)26が備えられている。触媒26よりも下流側の排気通路14には、EGR通路28の一端が接続されている。EGR通路28の他端は、コンプレッサ18aよりも上流側の吸気通路12と接続されている。EGR通路28の途中には、EGRバルブ30が設けられている。EGRバルブ30を開くことで、排気通路14を流れる排気の一部がEGRガスとして吸気通路12に導入される。EGRバルブ30よりも上流側(EGRガスの流れ方向の上流側)のEGR通路28には、EGR通路28を流れるEGRガスを冷却するEGRクーラ32が設けられている。
過給機18、インタークーラ24、EGR通路28、EGRバルブ30やEGRクーラ32が、LPL−EGRシステムを構成する。本実施の形態の異常診断装置1は、このようなLPL−EGRシステムに加え、新気用とEGRガス用の2つの水蒸気分離膜モジュールを備えている。新気用のモジュール34は、EGR通路28の接続部とエアクリーナ16の間の吸気通路12に設けられている。一方、EGRガス用のモジュール36は、EGRクーラ32よりも上流側のEGR通路28に設けられている。モジュール34とモジュール36の基本的な構成は共通しており、モジュール34は吸引通路38を介して減圧ポンプ40と接続され、モジュール36は吸引通路42を介して減圧ポンプ44に接続されている。
[水蒸気分離膜モジュールの構成の説明]
図2は、モジュール34,36の構成を示す概略図である。図2に示すように、モジュール34,36は、円管状のハウジング46と、ハウジング46内に充填された多数の管状膜48と、を備えている。ハウジング46は、例えば樹脂から構成され、その側面には、図1に示した吸引通路38,42の一端に接続される排出口50が形成されている。モジュール34のハウジング46の側面は吸気通路12の外壁面と連続し、モジュール36のハウジング46の側面はEGR通路28の外壁面と連続している。つまり、モジュール34のハウジング46の側面は、吸気通路12の外壁面の一部を構成し、モジュール36のハウジング46の側面は、EGR通路28の外壁面の一部を構成している。管状膜48は、例えば親水性高分子、ゼオライト等から構成された中空糸膜であり、内壁面48aと外壁面48bとを備えている。管状膜48のそれぞれは、ハウジング46の開口方向(図2中に示す矢印の方向)に沿って互いに平行かつ密に集合すると共に、ハウジング46に対して一体的に固定されている。
ハウジング46の一端からモジュール34流入した新気、または、ハウジング46の一端からモジュール36に流入したEGRガスは、ハウジング46の他端から排出される。図3は、モジュール34,36に流入したガスの流れを説明する図であり、この図には図2に示した多数の管状膜48のうちの1本が描かれている。この図に太い矢印で示すように、管状膜48に流入したガスは、内壁面48aの内側を流れて下流に向かう。また、膜厚方向に細い矢印で示すように、内壁面48aの内側を流れるガスに含まれる水蒸気の一部は、内壁面48aから外壁面48bに向かって管状膜48の内部を移動する。
管状膜48の膜厚方向に水蒸気の一部が移動する理由は、管状膜48を隔てた2つの空間の水蒸気分圧に差が生じているからである。図4は、管状膜48における水蒸気の透過原理を説明する図であり、この図には図3に示した管状膜48の一部が模式的に描かれている。図4に示す管状膜48の左方空間の水蒸気分圧pが右方空間の水蒸気分圧pより高い場合、左方空間との界面を形成する管状膜48の表面に水蒸気が溶解することで膜内に濃度勾配が生じ、この濃度勾配を駆動力として、左方空間側から右方空間側に水蒸気(より正確には水分子)が移動する。この水蒸気の移動は、2つの空間の水蒸気分圧差Δp(=p−p)が無くなるまで続く。なお、管状膜48は、水蒸気以外のガスが内部移動し難い構成とされており、故に、基本的には水蒸気のみが管状膜48を隔てた2つの空間を移動する。
図1に戻り、異常診断装置1の構成の説明を続ける。図1に示す異常診断装置1は、減圧ポンプ40よりも上流側の吸引通路38に設けられた制御バルブ52と、減圧ポンプ44よりも上流側の吸引通路42に設けられた制御バルブ54と、これらの開度を制御するECU60と、を備えている。制御バルブ52,54は何れも電子制御式のバルブであり、ECU60の出力側に接続されている。
ECU60の入力側には、各種センサが接続されている。各種センサには、エアクリーナ16の近傍に取り付けられて新気流量Gaを検出するエアフローメータ61、大気温度Tを検出する温度センサ62、大気圧Pを検出する圧力センサ63、大気湿度RHを検出する湿度センサ64が含まれる。また、各種センサには、エンジン本体10の気筒に流入するガス(新気または新気とEGRガスの混合ガスをいう。以下、新気とEGRガスの混合ガスを単に「混合ガス」と称す。また、新気または混合ガスを「ガス(新気または混合ガス)」と称す。)の温度と圧力をそれぞれ検出する複数の温度センサと複数の圧力センサが更に含まれる。
これらのセンサは具体的に次のとおりである。すなわち、コンプレッサ18aよりも下流側かつインタークーラ24の上流側のガスの温度(以下「I/C前温度」と称す。)TI/Cinを検出する温度センサ65、コンプレッサ18aよりも下流側かつインタークーラ24の上流側のガスの圧力(以下「I/C前圧力」と称す。)PI/Cinを検出する圧力センサ66、インタークーラ24よりも下流側のガスの温度(以下「I/C後温度」と称す。)TI/Coutを検出する温度センサ67、EGRクーラ32よりも上流側のガスの温度(以下「EGR/C前温度」と称す。)TEGR/Cinを検出する温度センサ68、EGRクーラ32よりも上流側のガスの圧力(以下「EGR/C前圧力」と称す。)PEGR/Cinを検出する圧力センサ69、および、EGRクーラ32よりも下流側のガスの温度(以下「EGR/C後温度」と称す。)TEGR/Coutを検出する温度センサ70である。
また、各種センサには、吸引通路38を流れるガスの流量FR38と湿度RH38をそれぞれ検出するエアフローメータ71と湿度センサ72と、吸引通路42を流れるガスの流量FR42と湿度RH42をそれぞれ検出するエアフローメータ73と湿度センサ74が更に含まれる。
[実施の形態1における水蒸気分離]
本実施の形態では、図1に示した減圧ポンプ40,44が駆動されており、減圧ポンプ40,44よりも下流側の吸引通路38,42に送り出されるガス量が所定量に保たれている。そのため、減圧ポンプ40,44の駆動中は、図3に示した内壁面48aによって囲まれる空間よりも、外壁面48bを囲む空間の方が水蒸気分圧において低くなる。モジュール34では、内壁面48aの内側を流れる新気に含まれる水蒸気の一部が、内壁面48aから外壁面48bに向かって移動する。そして、外壁面48bを囲む空間に移動した水蒸気は、排出口50を介して吸引通路38に流入する。モジュール36においても同様である。すなわち、モジュール36では、内壁面48aの内側を流れるEGRガスに含まれる水蒸気の一部が外壁面48bを囲む空間に移動し、排出口50を介して吸引通路42に流入する。
内壁面48aの内側から吸引通路38(または吸引通路42)に流入した水蒸気は、吸引通路38(または吸引通路42)の減圧ポンプ40(または減圧ポンプ44)よりも下流側にそのまま放出され、または、当該下流側において収集される。一方、吸引通路38に流入しなかった水蒸気、つまり、モジュール34の内壁面48aから外壁面48bに向かって移動しなかった水蒸気は、新気と共に内壁面48aの内側を流れ、モジュール34の下流に位置するコンプレッサ18aに向かう。同様に、吸引通路42に流入しなかった水蒸気、つまり、モジュール36の内壁面48aから外壁面48bに向かって移動しなかった水蒸気は、EGRガスと共に内壁面48aの内側を流れ、モジュール36の下流に位置するEGRクーラ32に向かう。
また、本実施の形態では、ECU60においてインタークーラ24の下流におけるガス(新気または混合ガス)中の水蒸気分圧と、EGRクーラ32の下流におけるEGRガス中の水蒸気分圧とを予測する。そして、予測したインタークーラ24の下流におけるガス(新気または混合ガス)中の水蒸気分圧が、インタークーラ24の下流における飽和水蒸気圧よりも高い場合には、当該ガス(新気または混合ガス)中の水蒸気分圧がインタークーラ24の下流における飽和水蒸気圧よりも低くなるように制御バルブ52の開度を調整する。また、予測したインタークーラ24の下流におけるガス(新気または混合ガス)中の水蒸気分圧が、インタークーラ24の下流における飽和水蒸気圧未満の場合であっても、予測したEGRクーラ32の下流におけるEGRガス中の水蒸気分圧が、EGRクーラ32の下流における飽和水蒸気圧よりも高い場合には、当該EGRガス中の水蒸気分圧がEGRクーラ32の下流における飽和水蒸気圧よりも低くなるように制御バルブ54の開度を調整する。
図5は、凝縮水の発生原理を示した図である。この図に「圧縮、冷却前」として示す相対湿度が100%未満のガスを等圧条件のもとで冷却した場合において、当該ガスの水蒸気分圧が低下して飽和水蒸気圧を上回ったときに凝縮水が発生する。「圧縮、冷却前」のガスを等温条件のもとで圧縮した場合において、当該ガスの水蒸気分圧が上昇して飽和水蒸気圧を上回ったときにも凝縮水が発生する。この原理に従えば、図1に示したインタークーラ24での冷却に伴い、ガス(新気または混合ガス)中の水蒸気分圧が飽和水蒸気圧を上回ったときに凝縮水が発生することになる。EGRクーラ32での冷却に伴いEGRガス中の水蒸気分圧が飽和水蒸気圧を上回ったとき、および、コンプレッサ18aでの圧縮に伴いガス(新気または混合ガス)中の水蒸気分圧が飽和水蒸気圧を上回ったときにも、凝縮水が発生することになる。
この点、図2乃至図3で説明した管状膜48は、水蒸気以外のガスが透過し難い構成とされているので、上述した制御バルブ52,54の開度の調整を行うことで、インタークーラ24に流入する前のガス(新気または混合ガス)や、EGRクーラ32に流入する前のEGRガスから、水蒸気を選択的に取り除くことができる。図6は、本発明の実施の形態1の水蒸気分離による水蒸気分圧の変化を示す図である。図5と図6を比較すると分かるように、本実施の形態の水蒸気分離によれば、圧縮後、または、冷却後に凝縮水が発生しそうな状態にある「圧縮、冷却前」のガス中の水蒸気分圧を予め下げておくことができる。従って、図1に示したコンプレッサ18aでの圧縮、インタークーラ24やEGRクーラ32での冷却に伴う凝縮水の発生を抑えることができる。
[モジュール34,36の異常診断]
ところで、モジュール34,36での新気やEGRガスの流路壁面を形成する内壁面48aには、これらのガスに含まれる水分子以外の分子が付着することがある。水分子以外の分子が内壁面48aに付着することで、管状膜48の目詰りが発生することがある。モジュール36では、EGRガスに含まれるオイル等の異物が内壁面48aに付着することで、管状膜48の汚損が発生することもある。そして、このような目詰まりや汚損が発生すれば、モジュール34,36の分離機能が低下するおそれがある。そこで本実施の形態では、制御バルブ52,54の開度調整と平行して、モジュール34,36の分離機能の低下をECU60において判定している。
図7乃至図8は、本発明の実施の形態1においてECU60が実行する処理の一例を示すフローチャートである。なお、この図に示すルーチンは、所定の制御周期毎に繰り返し実行されるものとする。
図7に示すルーチンでは、外気条件およびエンジン運転状態が検出される(ステップS100)。本ステップにおいてECU60は、外気条件として、温度センサ62、圧力センサ63および湿度センサ64を用いて、大気温度T、大気圧Pおよび大気湿度RHを検出する。また、ECU60は、エンジン運転状態として、新気流量Ga、I/C前温度TI/Cin、I/C前圧力PI/Cin、I/C後温度TI/Cout、EGR/C前温度TEGR/Cin、EGR/C前圧力PEGR/Cin、EGR/C後温度TEGR/Cout、流量FR38、流量FR42、湿度RH38および湿度RH42を検出する。これらのパラメータは、上述した各種センサから取得される。また、ECU60は、エンジン運転状態として、EGR通路28から吸気通路12に流入するEGRガス流量GEGRと、筒内に噴射される燃料流量GFを検出する。
ステップS100に続いて、各モジュールでの水蒸気の目標分離量が算出される(ステップS102)。本ステップにおいてECU60は、先ず、インタークーラ24での冷却に伴い発生する凝縮水の予測値aと、EGRクーラ32での冷却に伴い発生する凝縮水の予測値bとを、下記式(1),(2)に基づいて算出する。
予測値a[g/s]
=(水蒸気流量GH20,air[g/s]+水蒸気流量GH20,EGR[g/s])−飽和水蒸気流量GH20max,I/C[g/s] ・・・(1)
予測値b[g/s]
=水蒸気流量GH20,EGR[g/s]−飽和水蒸気流量GH20max,EGR/C[g/s] ・・・(2)
ここで、式(1)中の水蒸気流量GH20,airは、ステップS100での検出値と次式(3)とに基づいて算出される。
水蒸気流量GH20,air[g/s]
=新気流量Ga[g/s]×(大気の飽和水蒸気圧[kPa]×大気湿度RH/大気圧力P)×(HO分子量[g/mol]/新気分子量[g/mol]) ・・・(3)
なお、式(3)中の新気分子量とHO分子量は設定値であり、大気の飽和水蒸気圧はステップS100で検出した大気温度Tに基づいて別途算出されるものとする。
また、式(1),(2)中の水蒸気流量GH20,EGRは、ステップS100での検出値と、次式(4)〜(6)とに基づいて算出される。
水蒸気流量GH20,EGR[g/s]
=EGRガス流量GEGR[g/s]×EGRガス中の水蒸気の割合×(HO分子量[g/mol]/排気分子量[g/mol]) ・・・(4)
EGRガス中の水蒸気の割合
=排気中の水蒸気の割合
=燃焼ガスの水蒸気流量GH20,CG[g/s]/(新気流量Ga[g/s]+燃料流量GF[g/s]) ・・・(5)
燃焼ガスの水蒸気流量GH20,CG[g/s]
=水蒸気流量GH20,air[g/s]+燃料流量GF[g/s]×(8×HO分子量[g/mol]/燃料分子量[g/mol]) ・・・(6)
なお、式(4)中の排気分子量や式(6)中の燃料分子量は、使用燃料がヘプタンであると仮定したときの下記の反応式(7)に基づいて別途計算される設定値であり、式(6)中のHO分子量の係数もこの反応式(7)に基づいている。使用燃料に応じて式(4)中の排気分子量や式(6)中の燃料分子量が変わることは言うまでもない。
16+11O→7CO+8HO ・・・(7)
また、式(1)中の飽和水蒸気流量GH20max,I/Cは、ステップS100での検出値と次式(8)とに基づいて算出される。
飽和水蒸気流量GH20max,I/C
混合ガスの流量[g/s]×(混合ガスの飽和水蒸気圧[kPa]/I/C前圧力PI/Cin[kPa])×(HO分子量[g/mol]/混合ガスの分子量[g/mol]) ・・・(8)
なお、式(8)中の混合ガスの分子量は、新気分子量や式(4)中の排気分子量とから算出される設定値である。また、式(8)中の混合ガスの飽和水蒸気圧は、I/C後温度TI/Coutに基づいて別途算出されるものとする。
また、式(2)中の飽和水蒸気流量GH20max,EGR/Cは、ステップS100での検出値と次式(9)とに基づいて算出される。
飽和水蒸気流量GH20max,EGR/C
EGRガスの流量[g/s]×(EGRガスの飽和水蒸気圧[kPa]/EGR/C前圧力PEGR/Cin[kPa])×(HO分子量[g/mol]/混合ガスの分子量[g/mol]) ・・・(9)
なお、式(9)中のEGRガスの飽和水蒸気圧は、EGR/C後温度TEGR/Coutに基づいて別途算出されるものとする。
ステップS102において予測値a,bが算出されたら、ECU60は、図8に示すルーチンに従い、予測値a,bに関する判定を行う。具体的には先ず、ステップS102で算出した予測値aについて、a>0が成立するか否かが判定される(ステップS120)。その結果、a>0が成立すると判定された場合(“YES”の場合)は、モジュール34で除湿をしないとインタークーラ24での冷却に伴い凝縮水が発生すると予測できるので、ステップS122に進む。そうでないと判定された場合(“NO”の場合)は、モジュール34で除湿をしなくてもインタークーラ24での冷却に伴い凝縮水は発生しないと予測できるので、ステップS124に進む。
ステップS122では、ステップS102で算出した予測値aについて、a>dが成立するか否かが判定される。本ステップにおいて予測値aと比較されるのは、モジュール36の分離限界値dであり、具体的には次式(10)に基づいて設定されている。
分離限界値d[g/s]
=透過係数PH20,EGR[g/(s・m・kPa)]×膜面積AEGR[m]×水蒸気分圧の最大差圧ΔPH20max,EGR[kPa]/膜厚δEGR[m] ・・・(10)
なお、式(10)における透過係数PH20,EGRは、図2で説明した管状膜48に固有の係数である。また、膜面積AEGRおよび膜厚δEGRは、管状膜48の膜面積と膜厚にそれぞれ相当している。また、最大差圧ΔPH20max,EGRは、減圧ポンプ44から送り出すガス量を最大としたときに、管状膜48で隔てられた2つの空間に生じる水蒸気分圧差に相当している。
ステップS122においてa>dが成立すると判定された場合(“YES”の場合)は、モジュール34,36の両方で除湿が必要と予測できるので、ステップS126に進み、モジュール36での水蒸気の目標分離量を分離限界値dと等しい値に設定し、モジュール34での水蒸気の目標分離量を予測値aと分離限界値dの差に等しい値に設定する。そうでないと判定された場合(“NO”の場合)は、モジュール36で除湿してしまえば、モジュール34で除湿をしなくてもインタークーラ24での除湿に伴い凝縮水は発生しないと予測できるので、ステップS128に進む。
ステップS128では、ステップS102で算出した予測値a,bについて、a>bが成立するか否かが判定される。その結果、a>bが成立すると判定された場合(“YES”の場合)は、モジュール36で予め多めに除湿しておけばインタークーラ24での除湿に伴い凝縮水は発生しないと予測できるので、ステップS130に進み、モジュール36での水蒸気の目標分離量を予測値aと等しい値に設定すると共に、モジュール34での水蒸気の目標分離量をゼロに設定する。そうでないと判定された場合(“NO”の場合)は、ステップS132に進み、モジュール36での水蒸気の目標分離量を予測値bと等しい値に設定すると共に、モジュール34での水蒸気の目標分離量をゼロに設定する。
ステップS124では、ステップS102で算出した予測値bについて、b>0が成立するか否かが判定される。その結果、b>0が成立すると判定された場合(“YES”の場合)は、モジュール36で除湿をしないとEGRクーラ32での冷却に伴い凝縮水が発生すると予測できるので、ステップS134に進み、モジュール36での水蒸気の目標分離量を予測値bと等しい値に設定すると共に、モジュール34での水蒸気の目標分離量をゼロに設定する。そうでないと判定された場合(“NO”の場合)は、モジュール36で除湿をしなくてもEGRクーラ32での冷却に伴い凝縮水は発生しないと予測できるので、ステップS136に進み、モジュール34,36の両方での水蒸気の目標分離量をゼロに設定する。
図7に戻り、ステップS102に続いて、各制御バルブの開度が調整される(ステップS104)。本ステップにおいてECU60は、先ず、各モジュールでの目標減圧量を式(11),(12)に基づいて算出する。
モジュール34での目標減圧量[kPa]
=モジュール34での目標水蒸気分圧差[kPa]−大気圧力P[kPa]×大気湿度RH ・・・(11)
モジュール36での目標減圧量[kPa]
=モジュール36での目標水蒸気分圧差[kPa]−EGR/C前圧力PEGR/Cin[kPa]×EGRガス中の水蒸気の割合 ・・・(12)
ここで、式(11)中のモジュール34での目標水蒸気分圧差は、図8のステップS126,S130〜S136の何れかで算出されたモジュール34での水蒸気の目標分離量と、次式(13)とに基づいて算出される。
モジュール34での目標水蒸気分圧差[kPa]
=モジュール34での水蒸気の目標分離量[g/s]×膜厚δair[m]/透過係数PH20,air[g/(s・m・kPa)]/膜面積Aair[m] ・・・(13)
なお、式(13)の透過係数PH20,airは、図2で説明した管状膜48に固有の係数である。また、式(13)の膜厚δairおよび膜面積Aairは、管状膜48の膜厚および膜面積にそれぞれ相当している。
また、式(12)中のモジュール36での目標水蒸気分圧差は、図8のステップS126,S130〜S136の何れかで算出されたモジュール36での水蒸気の目標分離量と、次式(14)とに基づいて算出される。
モジュール36での目標水蒸気分圧差[kPa]
=モジュール36での水蒸気の目標分離量[g/s]×膜厚δEGR[m]/透過係数PH20,EGR[g/(s・m・kPa)]/膜面積AEGR[m] ・・・(14)
また、式(12)中のEGRガス中の水蒸気の割合は、式(5)から算出される。
ステップS104において各モジュールでの目標減圧量が算出されたら、ECU60は、これらの目標減圧量が実現されるように、制御バルブ52,54の開度をフィードバック制御によって調整する。
ステップS104に続いて、各モジュールでの実際の水蒸気分離量が算出される(ステップS106)。本ステップにおいてECU60は、モジュール34での実際の水蒸気分離量を、ステップS100で検出した流量FR38および湿度RH38に基づいて算出すると共に、モジュール36での実際の水蒸気分離量を、ステップS100で検出した流量FR42および湿度RH42に基づいて算出する。
ステップS106に続いて、図8のステップS126,S130〜S136の何れかで算出した各モジュールでの水蒸気の目標分離量と、ステップS106で算出した各モジュールでの実際の水蒸気分離量との差が、所定値未満であるか否かが判定される(ステップS108)。この所定値は、管状膜48の透過機能が担保されると判断できる閾値として設定したものであり、基本的にはモジュール34,36で共通の値が使用される。但し、目詰りに加えて汚損が生じるモジュール36の所定値(第2所定値)を、モジュール34の所定値(第1所定値)と異ならせてもよい。本ステップにおいてはモジュール34に対する判定と、モジュール36に対する判定とが別々に行われる。その結果、水蒸気の目標分離量と実際の水蒸気分離量の差が所定値未満であると判定されたモジュールがある場合(“YES”の場合)、そのモジュールの分離機能が正常であると判定される(ステップS110)。そうでないと判定されたモジュールがある場合(“NO”の場合)、そのモジュールの分離機能が異常であると判定される(ステップS112)。
以上、図7乃至図8に示したルーチンによれば、インタークーラ24の下流におけるガス(新気または混合ガス)中の水蒸気分圧が、I/C前温度TI/Cinでの飽和水蒸気圧よりも高い場合に、当該ガス(新気または混合ガス)中の水蒸気分圧を、I/C前温度TI/Cinでの飽和水蒸気圧と等しくすることができる。I/C後温度TI/CoutはI/C前温度TI/Cinよりも低いので、I/C後温度TI/Coutでの飽和水蒸気圧はI/C前温度TI/Cinでの飽和水蒸気圧よりも低くなる。従って、インタークーラ24の下流におけるガス(新気または混合ガス)中の水蒸気分圧をI/C前温度TI/Cinでの飽和水蒸気圧と等しくした場合には、当該水蒸気分圧は、I/C後温度TI/Coutでの飽和水蒸気圧よりも低くなる。以上のことから、図7乃至図8に示したルーチンによれば、インタークーラ24の下流におけるガス(新気または混合ガス)中の水蒸気分圧が、I/C後温度TI/Coutでの飽和水蒸気圧よりも高い場合に、当該ガス(新気または混合ガス)中の水蒸気分圧を、I/C後温度TI/Coutでの飽和水蒸気圧よりも低くすることができる。従って、インタークーラ24での冷却に伴う凝縮水の発生を抑えることができる。
また、図7乃至図8に示したルーチンによれば、インタークーラ24の下流におけるガス(新気または混合ガス)中の水蒸気分圧がI/C前温度TI/Cinでの飽和水蒸気圧以下の場合であっても、EGRクーラ32の下流におけるEGRガス中の水蒸気分圧がEGR/C前温度TEGR/Cinでの飽和水蒸気圧よりも高いときには、当該EGRガス中の水蒸気分圧を、EGR/C前温度TEGR/Cinでの飽和水蒸気圧と等しくすることができる。EGR/C後温度TEGR/CoutはEGR/C前温度TEGR/Cinよりも低いので、EGR/C後温度TEGR/Coutでの飽和水蒸気圧はEGR/C前温度TEGR/Cinでの飽和水蒸気圧よりも低くなる。従って、EGRクーラ32の下流におけるEGRガス中の水蒸気分圧をEGR/C前温度TEGR/Cinでの飽和水蒸気圧と等しくした場合には、当該水蒸気分圧は、EGR/C後温度TEGR/Coutでの飽和水蒸気圧よりも低くなる。以上のことから、図7乃至図8に示したルーチンによれば、インタークーラ24の下流におけるガス(新気または混合ガス)中の水蒸気分圧がI/C前温度TI/Cinでの飽和水蒸気圧以下の場合であっても、EGRクーラ32の下流におけるEGRガス中の水蒸気分圧がEGR/C後温度TEGR/Coutでの飽和水蒸気圧よりも高いときには、当該EGRガス中の水蒸気分圧を、EGR/C後温度TEGR/Coutでの飽和水蒸気圧よりも低くすることができる。従って、EGRクーラ32での冷却に伴う凝縮水の発生を抑えることもできる。
また、図7乃至図8に示したルーチンによれば、モジュール34,36の分離機能の低下を判定することもできる。以上をまとめると、図7乃至図8に示したルーチンによれば、インタークーラ24やEGRクーラ32での冷却に伴う凝縮水の発生を抑え、尚且つ、モジュール34,36の分離機能の低下を判定できる。
なお、上記実施の形態1においては、図3に示した管状膜48が本発明の「第1水蒸気透過膜」および「第2水蒸気透過膜」に、図2に示したモジュール34が本発明の「新気用水蒸気分離部」に、図2に示したモジュール36が本発明の「EGRガス用水蒸気分離部」に、図1に示した吸引通路38および減圧ポンプ40が本発明の「第1減圧部」に、図1に示した吸引通路42および減圧ポンプ44が本発明の「第2減圧部」に、それぞれ相当している。
また、図1に示したECU60が図7のステップS100〜S104の処理を実行することにより本発明の「第1減圧量調整部」および「第2減圧量調整部」が、ステップS106〜S112の処理を実行することにより本発明の「第1判定部」および「第2判定部」が、それぞれ実現されている。
[各モジュールでの水蒸気の目標分離量の他の算出例]
ところで、上記実施の形態1では、図8に示したルーチンにおいて、予測値a,bにモジュール36の分離限界値dを組み合わせてモジュール34,36での水蒸気の目標分離量を算出した。しかし、分離限界値dの代わりにモジュール34の分離限界値cを使用してモジュール34,36での水蒸気の目標分離量を算出してもよい。図9は、分離限界値cを使用してモジュール34,36での水蒸気の目標分離量を算出する場合において、ECU60により実行される処理の一例を示すフローチャートである。
図9に示すステップS140およびステップS144,S148〜S156の処理は、図8に示したステップS120およびステップS124,S128〜S136の処理と同じである。図8と図9の処理における第1の違いは、ステップS142において予測値aと比較されるのが分離限界値cである点である。分離限界値cは具体的には次式(15)に基づいて設定されている。
分離限界値c[g/s]
=透過係数PH20,air[g/(s・m・kPa)]×膜面積Aair[m]×水蒸気分圧の最大差圧ΔPH20max,air[kPa]/膜厚δair[m] ・・・(15)
なお、式(15)における最大差圧ΔPH20max,airは、減圧ポンプ40から送り出すガス量を最大としたときに、管状膜48で隔てられた2つの空間に生じる水蒸気分圧差に相当している。
図8と図9の処理における第2の違いは、ステップS142においてa>cが成立すると判定された場合(“YES”の場合)に、モジュール34での水蒸気の目標分離量を分離限界値cと等しい値に設定し、モジュール36での水蒸気の目標分離量を予測値aと分離限界値cの差に等しい値に設定する点である。
以上説明したように、分離限界値dの代わりに、予測値a,bにモジュール36の分離限界値cを組み合わせてモジュール34,36での水蒸気の目標分離量を算出することもできる。図8に示したルーチンによれば、モジュール36で最大限除湿しつつモジュール34で不足分を補うことができる。図9に示したルーチンによれば、モジュール34で最大限除湿しつつモジュール36で不足分を補うことができる。
[減圧部の他の構成例]
また、上記実施の形態1では、モジュール34,36と組み合わせた減圧ポンプ40,44の駆動によって、内壁面48aで囲まれる空間よりも外壁面48bによって囲まれる空間の水蒸気分圧を低くした。しかし、減圧ポンプ40,44とは異なる手段によって外壁面48bによって囲まれる空間の水蒸気分圧を相対的に低くしてもよい。図10は、外壁面48bによって囲まれる空間の水蒸気分圧を相対的に低くする他の手段を説明する図である。この図に示すハウジング78は、図2に示したハウジング46の代わりにモジュール34,36に備え付けられるものであり、その側面には、供給口80と排出口82が形成されている。供給口80は乾燥ガス(パージガス)を送り出すガス供給装置(図示しない)に接続されており、排出口82は大気開放されている。モジュール34,36が備える管状膜48の構成については、図3の説明の際に述べたとおりである。
図4の説明の際に述べたように、管状膜48は水蒸気以外のガスが通過し難い膜構成とされていることから、ガス供給装置の駆動によって供給口80からハウジング78の内部に流入した乾燥ガスは、管状膜48の内部を移動することなく外壁面48bに沿って流れ、排出口82に向かう。乾燥ガスが外壁面48bに沿って流れることで、外壁面48bによって囲まれる空間の水蒸気分圧が内壁面48aによって囲まれる空間の水蒸気分圧よりも低くなるので、図4で説明した水蒸気の移動が起こることになる。このように、モジュール34,36と組み合わせたガス供給装置の駆動によっても、外壁面48bによって囲まれる空間の水蒸気分圧を相対的に低くできる。
[モジュールの他の構成例]
また、上記実施の形態1では、モジュール34,36が多数の管状膜48を備える中空糸タイプであることを前提として説明した。しかし、中空糸タイプのモジュール構造に代えて、ハニカムモノリスタイプのモジュール構造、平膜タイプのモジュール構造、または、シェルアンドチューブタイプのモジュール構造を採用することができる。中空糸タイプのモジュール構造と同様に、新気やEGRガスから水蒸気のみを分離できる機能を有する限りにおいて、モジュール構造は各種の変形が可能である。
実施の形態2.
次に、図11乃至図14を参照して、本発明の実施の形態2について説明する。
[異常診断装置の構成の説明]
図11は、本発明の実施の形態2に係る異常診断装置の全体構成を示す概略図である。図11に示す異常診断装置2は、LPL−EGRシステムと、新気用とEGRガス用の2つの水蒸気分離膜モジュール(つまり、モジュール34,36)を備える構成において図1に示した異常診断装置1と共通する。従って、これらの構成の説明については省略する。
図11に示す異常診断装置2は、触媒26よりも下流側の排気通路14に設けられたNSR触媒56と、SCR触媒58とを備えている。NSR触媒56は、NSR触媒56に流入する排気の酸素濃度が高いときは排気中のNOxを吸蔵(または吸着)し、NSR触媒56に流入する排気の酸素濃度が低下し、尚且つ、還元剤が存在するときは吸蔵(または吸着)していたNOxを還元する吸蔵還元型NOx触媒である。SCR触媒58は、還元剤を含む排気が流入したときに還元剤を吸着し、NOxを含む排気がSCR触媒58に流入したときに、吸着していた還元剤を利用してNOxを還元する選択還元型NOx触媒である。
SCR触媒58よりも下流側の排気通路14には、接続通路84の一端が接続されている。接続通路84の他端はモジュール34に接続されている。接続通路84の途中には、制御バルブ86が設けられている。制御バルブ86は常閉(ノーマル・クローズ)の電磁弁であり、ECU60の出力側に接続されている。排気通路14には、接続通路84および制御バルブ86と同様の接続通路および制御バルブの組み合わせが更に2つ設けられている。具体的に述べると、タービン18bよりも上流側の排気通路14には接続通路88の一端が接続されており、タービン18bと触媒26の間の排気通路14には接続通路92の一端が接続されている。接続通路88,92の他端は何れもモジュール36に接続されている。接続通路88,92の途中には、制御バルブ90,94がそれぞれ設けられている。制御バルブ90,94は常閉の電磁弁であり、ECU60の出力側に接続されている。但し、制御バルブ90の開度は調整可能に構成されている。
[モジュールの分離機能に異常があると判定された場合の対策]
上記実施の形態1においては、モジュール34,36の分離機能の異常を判定した。本実施の形態では、モジュール34,36の分離機能に異常であると判定された場合に、凝縮水が発生しないようにエンジン運転状態を制御し、尚且つ、異常と判定されたモジュールの内壁面48aによって囲まれる空間の水蒸気分圧よりも外壁面48bによって囲まれる空間の水蒸気分圧の方が高くなるように、制御バルブ86,90,94を制御する。
図12は、管状膜48の内部を移動する水蒸気の移動方向を示した図である。図12に示す3つの管状膜48は何れも、図2に示した多数の管状膜48のうちの1本に相当している。図12の上段は、管状膜48の透過機能が正常である場合に相当している。この場合は、図3で説明したように、内壁面48aの内側を流れるガスに含まれる水蒸気の一部が、内壁面48aから外壁面48bに向かって管状膜48の内部を移動することになる。図12の中段は、管状膜48の透過機能が異常である場合に相当している。この場合は、管状膜48の内部を移動する水蒸気の量が減少する。そして、図12の下段は、制御バルブ86,90,94を制御した場合に相当している。この場合は、図12の上段に示した場合と水蒸気分圧の高低関係が逆転するので、外壁面48bによって囲まれる空間に存在する水蒸気の一部が、外壁面48bから内壁面48aに向かって管状膜48の内部を移動することになる。
図12の下段に示した水蒸気移動を生じさせることで、内壁面48aに付着した異物を剥離させることができる。従って、異常と判定されたモジュールの分離機能を回復させることができる。但し、このような水蒸気移動は、各モジュールにおいて、内壁面48aの内側を流れるガス中の水蒸気分圧よりも、外壁面48bによって囲まれる空間の水蒸気分圧の方が高くなければ成立しない。そのため、本実施の形態では、新気よりも水蒸気分圧の高い排気を接続通路84からモジュール34に導入している。同様の理由により、EGRガスよりも水蒸気分圧の高い排気を接続通路88からモジュール36に導入している。なお、接続通路84からモジュール34に導入した排気は、外壁面48bによって囲まれる空間を流れて吸引通路38に流入する。また、接続通路88からモジュール36に導入した排気は、外壁面48bによって囲まれる空間を流れ、接続通路92を経由して触媒26よりも上流側の排気通路14に戻される。
[具体的処理]
図13乃至図14は、本発明の実施の形態2において、ECU60が実行する処理の一例を示すフローチャートである。なお、図13のフローチャートはモジュール34に対応したものであり、図14のフローチャートはモジュール36に対応したものである。また、これらの図に示すルーチンは、所定の制御周期毎に繰り返し実行されるものとする。
図13に示すルーチンでは、先ず、モジュール34の異常検出がなされたか否かが判定される(ステップS160)。本ステップにおいてECU60は、図7のルーチンのステップS112の処理においてモジュール34の分離機能が異常であると判定された場合に、モジュール34の異常検出がなされたと判定する。そして、モジュール34の異常検出がなされたと判定された場合には、制御バルブ52を全閉に制御する(ステップS162)。制御バルブ52を全閉に制御することで、内壁面48aから外壁面48bに向かう水蒸気の移動が止まる。
ステップS162に続いて、インタークーラ24の下流における凝縮水の発生量が推定される(ステップS164)。本ステップにおいてECU60は、図7のステップS100と同様に外気条件およびエンジン運転状態を検出すると共に、検出したパラメータと式(1)とに基づいてインタークーラ24の下流における凝縮水の発生量(つまり、インタークーラ24での冷却に伴い発生する凝縮水の予測値a)を算出する。
ステップS164に続いて、ステップS164で算出した予測値aについて、a<0が成立するか否かが判定される(ステップS166)。その結果、a<0が成立すると判定された場合(“YES”の場合)は、モジュール34で除湿をしなくてもインタークーラ24での冷却に伴い凝縮水は発生しないと予測できるので、ステップS168に進む。そうでないと判定された場合(“NO”の場合)は、インタークーラ24での冷却に伴い凝縮水が発生すると予測できるので、ステップS170に進み、インタークーラ24の下流におけるガス(新気または混合ガス)の露点を下げる、または、インタークーラ24の下流におけるガス(新気または混合ガス)中の飽和水蒸気圧を上げるように、エンジン運転状態を制御する(例えば、過給圧が下がるようにタービン18bの可変ノズルベーンの開度を制御する、インタークーラ24の下流におけるガス(新気または混合ガス)の温度が上がるようインタークーラ24の内部に流す冷却水の流量を減らす、スロットルバルブ20を閉じ側に制御して筒内に流入するガス(新気または混合ガス)の量を減らす等)。
ステップS168では、モジュール34での水蒸気の目標富化量が算出される。本ステップにおいてECU60は、ステップS164において検出したパラメータと、式(16)とに基づいて、モジュール34での水蒸気の目標富化量を算出する。
モジュール34での水蒸気の目標富化量
=飽和水蒸気流量GH20max,I/C[g/s]−水蒸気流量GH20,air[g/s] ・・・(16)
なお、式(16)中の飽和水蒸気流量GH20max,I/Cは式(8)により算出され、水蒸気流量GH20,airは式(3)により算出される。
ステップS168に続いて、モジュール34での目標減圧量が算出される(ステップS172)。本ステップにおいてECU60は、ステップS168で算出されたモジュール34での水蒸気の目標富化量に基づいて、モジュール34での目標減圧量を算出する。なお、モジュール34での目標減圧量の算出に、別途検出した接続通路84の接続部よりも上流側かつSCR触媒58よりも下流側の排気の圧力を用いると、当該目標減圧量の精度が高まるので望ましい。
ステップS172に続いて、制御バルブ52,86が開かれると共に、制御バルブ52の開度が調整される(ステップS174)。本ステップにおいてECU60は、ステップS172で算出した目標減圧量に到達するまで、制御バルブ52の開度をフィードバック制御によって調整する。
ステップS174に続いて、モジュール34での実際の水蒸気富化量が算出される(ステップS176)。本ステップにおいてECU60は、モジュール34での実際の水蒸気富化量を、ステップS164での検出値(具体的には流量FR38と湿度RH38)に基づいて算出する。
ステップS176に続いて、ステップS172で算出された水蒸気の目標富化量と、ステップS176で算出された実際の水蒸気富化量が等しいか否かが判定される(ステップS178)。その結果、目標富化量と実際の水蒸気富化量が等しいと判定された場合(“YES”の場合)は、内壁面48aに付着した異物が剥離したと判断できるので、制御バルブ86を全閉状態に戻し、通常のバルブ制御(つまり、制御バルブ52の開度調整による水蒸気分離制御)に移行する(ステップS180)。ステップS178において目標富化量と実際の水蒸気富化量が等しくないと判定された場合(“NO”の場合)は、ステップS182に進む。
ステップS182では、ステップS172で算出された水蒸気の目標富化量が、ステップS176で算出された実際の水蒸気富化量よりも小さいか否かが判定される。その結果、水蒸気の目標富化量が実際の水蒸気富化量よりも大きいと判定された場合(“NO”の場合)は、モジュール34の異常の原因が管状膜48の目詰りまたは汚損にあり、制御バルブ52の開度の調整にも関わらず依然としてこの原因が解消していないと判定される(ステップS184)。そのため、ステップS164に戻り、インタークーラ24の下流における凝縮水の発生量が推定される。ステップS182において水蒸気の目標富化量が実際の水蒸気富化量よりも小さいと判定された場合(“YES”の場合)は、モジュール34の異常が管状膜48の破損に起因したものであると判定される(ステップS186)。そのため、制御バルブ52の開度の調整自体が中止され(ステップS188)、車両のインストルメントパネルに配置されたMIL(Malfunction Indication Lamp)が点灯される(ステップS190)。
図14に示すルーチンでは、先ず、モジュール36の異常検出がなされたか否かが判定される(ステップS200)。本ステップにおいてECU60は、図7のルーチンのステップS112の処理においてモジュール36の分離機能が異常であると判定された場合に、モジュール36の異常検出がなされたと判定する。そして、モジュール36の異常検出がなされたと判定された場合には、制御バルブ54を全閉に制御する(ステップS202)。制御バルブ54を全閉に制御することで、内壁面48aから外壁面48bに向かう水蒸気の移動が止まる。
ステップS202に続いて、EGRクーラ32の下流における凝縮水の発生量が推定される(ステップS204)。本ステップにおいてECU60は、図7のステップS100と同様に外気条件およびエンジン運転状態を検出すると共に、検出したパラメータと式(2)とに基づいてEGRクーラ32の下流における凝縮水の発生量(つまり、EGRクーラ32での冷却に伴い発生する凝縮水の予測値b)を算出する。
ステップS204に続いて、ステップS204で算出した予測値bについて、b<0が成立するか否かが判定される(ステップS206)。その結果、b<0が成立すると判定された場合(“YES”の場合)は、モジュール36で除湿をしなくてもEGRクーラ32での冷却に伴い凝縮水は発生しないと予測できるので、ステップS208に進む。そうでないと判定された場合(“NO”の場合)は、EGRクーラ32での冷却に伴い凝縮水が発生すると予測できるので、ステップS210に進み、EGRクーラ32の下流におけるEGRガスの露点を下げる、または、EGRクーラ32の下流におけるEGRガス中の飽和水蒸気圧を上げるように、エンジン運転状態を制御する(例えば、モジュール34での水蒸気の目標分離量を増やす、EGRクーラ32の下流におけるEGRガスの温度が上がるようEGRクーラ32の内部に流す冷却水の流量を減らす、スロットルバルブ20を閉じ側に制御して筒内に流入するガス(新気または混合ガス)の量を減らす等)。
ステップS208では、モジュール36での水蒸気の目標富化量が算出される。本ステップにおいてECU60は、ステップS204において検出したパラメータと、式(17)とに基づいて、モジュール36での水蒸気の目標富化量を算出する。
モジュール36での水蒸気の目標富化量
=飽和水蒸気流量GH20max,EGR/C[g/s]−水蒸気流量GH20,EGR[g/s] ・・・(17)
なお、式(17)中の飽和水蒸気流量GH20max,EGR/Cは式(9)により算出され、水蒸気流量GH20,EGRは式(4)により算出される。
ステップS208に続いて、モジュール36での目標減圧量が算出される(ステップS212)。本ステップにおいてECU60は、ステップS208で算出されたモジュール36での水蒸気の目標富化量に基づいて、モジュール36での目標減圧量を算出する。なお、モジュール36での目標減圧量の算出に、別途検出したタービン18bよりも上流側の排気の圧力を用いると、当該目標減圧量の精度が高まるので望ましい。
ステップS212に続いて、制御バルブ90,94が開かれると共に、制御バルブ90の開度が調整される(ステップS214)。本ステップにおいてECU60は、ステップS212で算出した目標減圧量に到達するまで、制御バルブ90の開度をフィードバック制御によって調整する。
ステップS214に続いて、モジュール36での実際の水蒸気富化量が算出される(ステップS216)。本ステップにおいてECU60は、モジュール36での実際の水蒸気富化量を、ステップS204での検出値(具体的には流量FR42と湿度RH42)に基づいて算出する。
ステップS216に続いて、ステップS212で算出された水蒸気の目標富化量と、ステップS216で算出された実際の水蒸気富化量が等しいか否かが判定される(ステップS218)。その結果、目標富化量と実際の水蒸気富化量が等しいと判定された場合(“YES”の場合)は、内壁面48aに付着した異物が剥離したと判断できるので、制御バルブ90,94を全閉状態に戻し、通常のバルブ制御(つまり、制御バルブ54の開度調整による水蒸気分離制御)に移行する(ステップS220)。ステップS218において目標富化量と実際の水蒸気富化量が等しくないと判定された場合(“NO”の場合)は、ステップS222に進む。
ステップS222では、ステップS212で算出された水蒸気の目標富化量が、ステップS216で算出された実際の水蒸気富化量よりも小さいか否かが判定される。その結果、水蒸気の目標富化量が実際の水蒸気富化量よりも大きいと判定された場合(“NO”の場合)は、モジュール36の異常の原因が管状膜48の目詰りまたは汚損にあり、制御バルブ90の開度の調整にも関わらず依然としてこの原因が解消していないと判定される(ステップS224)。そのため、ステップS204に戻り、EGRクーラ32の下流における凝縮水の発生量が推定される。ステップS222において水蒸気の目標富化量が実際の水蒸気富化量よりも小さいと判定された場合(“YES”の場合)は、モジュール36の異常が管状膜48の破損に起因したものであると判定される(ステップS226)。そのため、制御バルブ90の開度の調整自体が中止され(ステップS228)、MILが点灯される(ステップS230)。
以上、図13乃至図14に示したルーチンによれば、モジュール34,36の分離機能に異常があると判定された場合において、その異常の原因を特定して最適な対策を講ずることができる。
1,2 異常診断装置
10 エンジン本体
12 吸気通路
14 排気通路
18 過給機
18a コンプレッサ
18b タービン
22 サージタンク
24 インタークーラ
28 EGR通路
32 EGRクーラ
34,36 水蒸気分離膜モジュール
38,42 吸引通路
40,44 減圧ポンプ
46,78 ハウジング
48 管状膜
48a 内壁面
48b 外壁面
50,82 排出口
52,54,86,90,94 制御バルブ
60 ECU
61,71,73 エアフローメータ
62,65,67,68,70 温度センサ
63,66,69 圧力センサ
64,72,74 湿度センサ
80 供給口

Claims (1)

  1. LPL−EGRシステムを構成する過給機のコンプレッサよりも上流側の吸気通路に設けられて前記吸気通路内を流れるガスを冷却するインタークーラと、
    前記LPL−EGRシステムを構成するEGR通路に設けられて前記EGR通路内を流れるEGRガスを冷却するEGRクーラと、
    前記吸気通路の前記EGR通路との接続部よりも上流側において前記吸気通路の一部を構成する新気用水蒸気分離部であって、水蒸気分圧の異なる2つの空間を隔てるように設置された場合に水蒸気分圧が高い空間から水蒸気分圧の低い空間に向かって水蒸気を透過させる第1水蒸気透過膜を備える新気用水蒸気分離部と、
    前記EGR通路の前記EGRクーラよりも上流側において前記EGR通路の一部を構成するEGRガス用水蒸気分離部であって、前記第1水蒸気透過膜と同一の構成の第2水蒸気透過膜を備えるEGRガス用水蒸気分離部と、
    前記吸気通路から前記新気用水蒸気分離部に流入した新気が流れる前記第1水蒸気透過膜の内側の空間と、前記第1水蒸気透過膜によって前記第1水蒸気透過膜の内側の空間と隔てられた外側の空間との間に水蒸気分圧の差が生じるように、前記第1水蒸気透過膜の外側の空間の水蒸気分圧を減圧する第1減圧部と、
    前記EGR通路から前記EGRガス用水蒸気分離部に流入したEGRガスが流れる前記第2水蒸気透過膜の内側の空間と、前記第2水蒸気透過膜によって前記第2水蒸気透過膜の内側の空間と隔てられた外側の空間との間に水蒸気分圧の差が生じるように、前記第2水蒸気透過膜の外側の空間の水蒸気分圧を減圧する第2減圧部と、
    前記インタークーラの下流におけるガス中の水蒸気分圧が前記インタークーラの下流における飽和水蒸気圧よりも高い場合、前記インタークーラの下流におけるガス中の水蒸気分圧が前記インタークーラの下流における飽和水蒸気圧よりも低くなるように、前記新気用水蒸気分離部での水蒸気の目標分離量に基づいて、前記第1減圧部によって減圧する前記第1水蒸気透過膜の外側の空間の水蒸気分圧の量を調整する第1減圧量調整部と、
    前記インタークーラの下流におけるガス中の水蒸気分圧が前記インタークーラの下流における飽和水蒸気圧よりも低い場合であって、前記EGRクーラにおけるガス中の水蒸気分圧が前記EGRクーラの下流における飽和水蒸気圧よりも高いときに、前記EGRクーラにおけるガス中の水蒸気分圧が前記EGRクーラの下流における飽和水蒸気圧よりも低くなるように、前記EGRガス用水蒸気分離部での水蒸気の目標分離量に基づいて、前記第2減圧部によって減圧する前記第2水蒸気透過膜の外側の空間の水蒸気分圧の量を調整する第2減圧量調整部と、
    前記新気用水蒸気分離部での水蒸気の目標分離量と、前記新気用水蒸気分離部において実際に分離される水蒸気の実分離量との差が第1所定値よりも大きい場合に、前記第1水蒸気透過膜に異常が発生していると判定する第1判定部と、
    前記EGRガス用水蒸気分離部での水蒸気の目標分離量と、前記EGRガス用水蒸気分離部において空間に実際に分離される水蒸気の実分離量との差が第2所定値よりも大きい場合に、前記第2水蒸気透過膜に異常が発生していると判定する第2判定部と、
    を備える異常診断装置。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2020008119A (ja) * 2018-07-10 2020-01-16 川崎重工業株式会社 露点温度調整装置および露点温度調整方法
CN112834124A (zh) * 2021-01-11 2021-05-25 潍柴动力股份有限公司 一种egr冷却器内漏判定方法及相关装置

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