JP2017193643A - カルボキシル基含有ポリヒドロキシウレタン樹脂、ポリヒドロキシウレタン樹脂の水分散体及びポリヒドロキシウレタン樹脂水分散体の製造方法 - Google Patents

カルボキシル基含有ポリヒドロキシウレタン樹脂、ポリヒドロキシウレタン樹脂の水分散体及びポリヒドロキシウレタン樹脂水分散体の製造方法 Download PDF

Info

Publication number
JP2017193643A
JP2017193643A JP2016085098A JP2016085098A JP2017193643A JP 2017193643 A JP2017193643 A JP 2017193643A JP 2016085098 A JP2016085098 A JP 2016085098A JP 2016085098 A JP2016085098 A JP 2016085098A JP 2017193643 A JP2017193643 A JP 2017193643A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
group
carboxyl group
resin
polyhydroxyurethane resin
compound
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP2016085098A
Other languages
English (en)
Other versions
JP6803680B2 (ja
Inventor
千也 木村
Kazuya Kimura
千也 木村
高橋 賢一
Kenichi Takahashi
賢一 高橋
学 宇留野
Manabu Uruno
学 宇留野
多昭 武藤
Kazuaki Muto
多昭 武藤
昌志 谷川
Masashi Tanigawa
昌志 谷川
暁子 見波
Akiko Minami
暁子 見波
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Dainichiseika Color and Chemicals Mfg Co Ltd
Original Assignee
Dainichiseika Color and Chemicals Mfg Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Dainichiseika Color and Chemicals Mfg Co Ltd filed Critical Dainichiseika Color and Chemicals Mfg Co Ltd
Priority to JP2016085098A priority Critical patent/JP6803680B2/ja
Publication of JP2017193643A publication Critical patent/JP2017193643A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP6803680B2 publication Critical patent/JP6803680B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Landscapes

  • Processes Of Treating Macromolecular Substances (AREA)
  • Polyurethanes Or Polyureas (AREA)
  • Paints Or Removers (AREA)

Abstract

【課題】水系塗料やコーティング剤として使用可能であり、上記した従来技術の問題点を克服した、ガスバリア性を有する機能性材料として機能を損なうことなく、特に水分散体とした場合に、良好な安定性を有するポリヒドロキシウレタン樹脂及びその水分散体の製造方法を提供すること。【解決手段】一以上のカルボキシル基と一以上のイソシアネート基の両方を有する化合物が、一般式(1)で示される繰り返し単位を有するポリヒドロキシウレタン樹脂中のZに含まれるいずれかの水酸基に反応して、前記カルボキシル基が構造中に導入されてなるカルボキシル基含有ポリヒドロキシウレタン樹脂。【選択図】なし

Description

本発明は、水系の塗料用やコーティング剤用の樹脂として有用なポリヒドロキシウレタン樹脂、ポリヒドロキシウレタン樹脂の水分散体及びポリヒドロキシウレタン樹脂の水分散体の製造方法に関する。本発明の技術によれば、例えば、高いガスバリア性を有するなど機能性材料としての応用が期待されるポリヒドロキシウレタン樹脂の構造中にカルボキシル基を導入したことで、ポリヒドロキシウレタン樹脂の機能性を損なうことなく、安定性に優れるポリヒドロキシウレタン樹脂の水分散体を容易に製造することが可能になる。これにより、各種塗料やコーティング剤のベース樹脂としてのポリヒドロキシウレタン樹脂の利用が容易になる。また、本発明のポリヒドロキシウレタン樹脂の水分散体は、水性の塗料などに利用されて環境対応型製品を形成できることに加え、特に、樹脂の化学構造中に二酸化炭素を組み込んで樹脂の形成材料として利用することも可能であることから、より高い環境対応性を有した製品の実現が可能になる。
ポリウレタン樹脂は、強度、柔軟性、耐摩耗性、耐油性に優れた樹脂であり、塗料や接着剤用の樹脂として広く使用されている。近年、新規なポリウレタン系の樹脂として、化学構造中にウレタン結合と水酸基を併せ持つポリヒドロキシウレタン樹脂が開発され、その工業的応用が期待されている(特許文献1)。ポリヒドロキシウレタン樹脂は、既存のポリウレタン樹脂が、イソシアネート化合物とポリオールから得られるのに対して、エポキシ化合物と二酸化炭素とアミン化合物の組み合わせにより製造される。使用された二酸化炭素は、ポリヒドロキシウレタン樹脂の化学構造中に−CO−O−結合として組み込まれ、樹脂の構成材料となることにより、世界的に問題となっている温室効果ガスである二酸化炭素の有効利用の観点からも注目されるべき樹脂材料である。ポリヒドロキシウレタン樹脂は、既存ポリウレタン樹脂と同様に機械強度に優れた樹脂であるが、既存ポリウレタン樹脂には無い水酸基に由来した機能性を生かした応用が検討されている。例えば、水酸基の架橋反応を利用した耐熱性塗料としての応用(特許文献2参照)や、水酸基由来のガスバリア性を利用したガスバリア性フィルムへの応用が検討されている(特許文献3参照)。
このように、ポリヒドロキシウレタンの応用用途として、塗料やコーティング分野が有望であるが、これまでに開発されているポリヒドロキシウレタン樹脂は、ウレタン結合と共に水酸基を有する化学構造のため親水性に富み、有機溶剤に対する溶解性が低く、各用途で使用される基材や加工装置によって異なる多様な溶剤組成への対応が困難である点が応用上の問題となっている。そこで、ポリヒドロキシウレタン樹脂を水分散体とすることで前記の問題を解消し、近年、溶剤系塗料からの置き換えが進んでいる水系の塗料として応用することが検討されている(特許文献4参照)。また、別の手法として、カルボン酸を含有するアミン化合物を使用しカルボキシル基を有するポリヒドロキシウレタンを得る方法が考案されている(特許文献5参照)。
米国特許第3072613号明細書 特開2011−102005号公報 特開2012−172144号公報 特開2007−297544号公報 特開平6−25409号公報
しかしながら、上記した特許文献4に記載の技術は、水分散体を得るために、ポリヒドロキシウレタン樹脂の水酸基をハーフエステル法によりカルボキシル基化したものであることから、本発明者らの検討によれば、ハーフエステル部分の加水分解により水分散体の保存安定性が悪い点で課題が残っており、問題を完全に解決したものでは無かった。また、本発明者らの検討によれば、上記した特許文献5に記載の技術では、合成反応系内で、カルボキシル基とアミノ基がイオン結合を形成して、環状カーボネートとの反応が進行しにくいことから、高分子量化も困難であるといった欠点を有するものであった。
従って、本発明の目的は、水系塗料やコーティング剤として使用可能であり、上記した従来技術の問題点を克服した、ガスバリア性を有する機能性材料として機能を損なうことなく、特に水分散体とした場合に、良好な安定性を有するポリヒドロキシウレタン樹脂、その水分散体の製造方法及びポリヒドロキシウレタン樹脂の水分散体を提供することにある。
上記課題は、下記の本発明によって解決される。すなわち、本発明は、少なくとも一つのカルボキシル基と少なくとも一つのイソシアネート基の両方を有する化合物が、下記一般式(1)で示される繰り返し単位を有するポリヒドロキシウレタン樹脂中のZに含まれるいずれかの水酸基に反応して、前記カルボキシル基が構造中に導入されてなることを特徴とするカルボキシル基含有ポリヒドロキシウレタン樹脂を提供する。
[一般式(1)中、Xは、直接結合か、炭素数1〜30の脂肪族炭化水素基、炭素数4〜40の脂環式炭化水素基又は炭素数6〜40の芳香族炭化水素基のいずれかであり、該構造中には、エーテル結合、アミノ結合、スルホニル結合、エステル結合、水酸基、ハロゲン原子及び繰り返し単位1〜30の炭素数2〜6からなるポリアルキレングリコール鎖を含んでもよい。一般式(1)中、Yは、炭素数1〜15の脂肪族炭化水素基、炭素数4〜15の脂環式炭化水素基又は炭素数6〜15の芳香族炭化水素基であり、該構造中には、エーテル結合、スルホニル結合、水酸基及びハロゲン原子を含んでもよい。Zは、下記一般式(2)〜(5)のいずれかを示し、且つ、前記繰り返し単位内及び前記繰り返し単位間のいずれにおいても、これらの一般式(2)〜(5)の群から選ばれる1種又は2種以上が混在してもよい。]なお、上記における「芳香族炭化水素基」には、「芳香脂肪族炭化水素基」も含まれる。
[一般式(2)〜(5)中、Rは、水素原子又はメチル基を示し、左側の結合手は、一般式(1)中のXと結合し、Xが直接結合の場合は、他方のZと結合し、右側の結合手は、酸素原子と結合する。]
本発明のカルボキシル基含有ポリヒドロキシウレタン樹脂の好ましい形態としては、下記の構成のものが挙げられる。前記ポリヒドロキシウレタン樹脂が、エポキシ化合物と二酸化炭素を反応させて得られる5員環環状カーボネート化合物を原料の一部に使用して製造されてなる、重量平均分子量が10000〜100000の範囲内にあり、水酸基価が100mgKOH/g〜250mgKOH/gの範囲内にあるポリヒドロキシウレタン樹脂であること;前記少なくとも一つのカルボキシル基と少なくとも一つのイソシアネート基の両方を有する化合物が、少なくとも一つのアミノ基と少なくとも一つのカルボキシル基の両方を有する化合物と、2つ以上のイソシアネート基を有する化合物とを、前記アミノ基と前記イソシアネート基の官能基当量比がNCO/NH2=2.0〜1.5の範囲で反応させてなる反応物であること;前記少なくとも一つのアミノ基と少なくとも一つのカルボキシル基の両方を有する化合物が、2−アミノプロパン酸(α−アラニン)、3−アミノプロパン酸(β−アラニン)、2−アミノブタン酸(α−アミノ酪酸)、3−アミノブタン酸(βアミノ酪酸)、4−アミノブタン酸(γ−アミノ酪酸)、アミノペンタン酸、アミノカプロン酸、グリシン、グルタミン酸、アスパラギン酸、プロリン、バリン、ロイシン、イソロイシン、o−アミノ安息香酸、m−アミノ安息香酸、p−アミノ安息香酸及びピペコリン酸からなる群より選択される少なくともいずれかであること;前記2つ以上のイソシアネート基を有する化合物が、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、ペンタメチレンジイソシアネート、リジンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート及びトルエンジイソシアネートからなる群より選択される少なくともいずれかであることが挙げられる。
本発明は、別の実施の形態として、上記いずれかのカルボキシル基含有ポリヒドロキシウレタン樹脂が水中に乳化してなる樹脂粒子の水分散体であり、且つ、前記粒子の大きさが、メジアン径(d50)で0.01μm〜10μmの範囲内にあることを特徴とするポリヒドロキシウレタン樹脂の水分散体を提供する。
本発明は、別の実施の形態として、酸価として15mgKOH/g〜55mgKOH/gの範囲となるようにカルボキシル基が導入されている上記いずれかのカルボキシル基含有ポリヒドロキシウレタン樹脂を用い、該カルボキシル基含有ポリヒドロキシウレタン樹脂を親水性溶剤に溶解させた状態で、中和剤により前記カルボキシル基を中和した後に水を添加し、転相乳化させる工程を有することを特徴とするポリヒドロキシウレタン樹脂水分散体の製造方法を提供する。
本発明によれば、水系の塗料やコーティング剤の樹脂材料として有用な、カルボキシル基含有ポリヒドロキシウレタン樹脂、該樹脂を用いて得たポリヒドロキシウレタン樹脂の水分散体及び該水分散体の製造方法が提供される。本発明によれば、ポリヒドロキシウレタン樹脂の水酸基をハーフエステル法によりカルボキシル基化した従来技術によって得られたものと比較し、特に、水分散体とした場合に、安定性に優れ、長期間の保存が可能であり、且つ、ポリヒドロキシウレタン樹脂の水酸基を一定量にコントロールしたものであることから、水分散体を利用して得られる塗膜の性能も任意に制御でき、従来の、機能性材料として有用な溶剤型ポリヒドロキシウレタン樹脂の特徴を損なわずに、有用な水分散体を簡便に得ることができる。また、本発明を特徴づけるカルボキシル基含有ポリヒドロキシウレタン樹脂を得る際に使用されるポリヒドロキシウレタン樹脂は、二酸化炭素を原材料(形成材料)として使用することが可能な化合物であり、環境負荷の低減にも貢献することができる材料であるため、本発明は、温室効果ガスである二酸化炭素の有効利用の観点からも有用な技術である。さらに、本発明のポリヒドロキシウレタン樹脂の水分散体を水系の塗料などに利用することで、使用時の有機溶剤の環境中への放出が無くなるので、本発明の技術によって、環境負荷をさらに低減することができる。
実施例1のカルボキシル基含有ポリヒドロキシウレタン樹脂が水中に乳化してなる樹脂粒子の水分散体について測定した、粒子の粒度分布の結果である。
次に、発明を実施するための好ましい形態を挙げて本発明を詳細に説明する。本発明のカルボキシル基含有ポリヒドロキシウレタン樹脂は、少なくとも一つのカルボキシル基と少なくとも一つのイソシアネート基の両方を有する化合物が、下記一般式(1)で示される繰り返し単位を有するポリヒドロキシウレタン樹脂中のZに含まれるいずれかの水酸基に反応して、前記カルボキシル基が構造中に導入されてなることを特徴とする。
[一般式(1)中、Xは、直接結合か、炭素数1〜30の脂肪族炭化水素基、炭素数4〜40の脂環式炭化水素基又は炭素数6〜40の芳香族炭化水素基のいずれかであり、該構造中には、エーテル結合、アミノ結合、スルホニル結合、エステル結合、水酸基、ハロゲン原子及び繰り返し単位1〜30の炭素数2〜6からなるポリアルキレングリコール鎖を含んでもよい。一般式(1)中、Yは、炭素数1〜15の脂肪族炭化水素基、炭素数4〜15の脂環式炭化水素基又は炭素数6〜15の芳香族炭化水素基であり、該構造中には、エーテル結合、スルホニル結合、水酸基及びハロゲン原子を含んでもよい。Zは、下記一般式(2)〜(5)のいずれかを示し、且つ、前記繰り返し単位内及び前記繰り返し単位間のいずれにおいても、これらの一般式(2)〜(5)の群から選ばれる1種又は2種以上が混在してもよい。]先述したように、上記における「芳香族炭化水素基」には、「芳香脂肪族炭化水素基」も含まれる。
[一般式(2)〜(5)中、Rは、水素原子又はメチル基を示し、左側の結合手は、一般式(1)中のXと結合し、Xが直接結合の場合は、他方のZと結合し、右側の結合手は、酸素原子と結合する。]
本発明のカルボキシル基含有ポリヒドロキシウレタン樹脂は、下記に述べるように、例えば、エポキシ化合物と二酸化炭素との反応によって得られる5員環環状カーボネート化合物とアミン化合物との反応生成物であるポリヒドロキシウレタン樹脂を中間体とし、該樹脂の構造中の水酸基に、少なくとも一つのカルボキシル基と少なくとも一つのイソシアネート基の両方を有する化合物が反応して、その構造中にカルボキシル基が導入されたことを特徴とする重合体(ポリマー)であり、その特定を、樹脂を得るためのプロセス(製法)でしている。
ここで、重合体が、分子量の異なる種々のポリマー分子の集合体(混合物)であることは、当該技術分野において周知の事実である。上記したベースとなる中間体のポリヒドロキシウレタン樹脂は勿論、さらに、該樹脂の構造中の水酸基に、少なくとも一つのカルボキシル基と少なくとも一つのイソシアネート基の両方を有する特有の化合物が反応してカルボキシル基が導入された、カルボキシル基含有ポリヒドロキシウレタン樹脂は、使用するモノマーの構造やモノマー同士の配合比や、中間体である樹脂と上記特有の化合物との配合比等々の相違によって、分子量だけでなく、分子構造も相違する様々なポリマー分子の複雑な集合体になる。そのような複雑な集合体(混合物)に含まれる個々のポリマー分子の構造や物性を直接特定することは不可能であるとともに、およそ実際的でもなく、その特定は、重合体を得るためのプロセス(製法)によって初めて特定することが可能になる。上記事情から、本発明では、カルボキシル基含有ポリヒドロキシウレタン樹脂を、当該樹脂を得るためのプロセス(製法)によって特定している。
本発明のカルボキシル基含有ポリヒドロキシウレタン樹脂のベースとなる一般式(1)で示される構造のポリヒドロキシウレタン樹脂は、以下の工程により製造される。すなわち、1分子中に少なくとも二つの5員環環状カーボネート(以下単に環状カーボネートと略す)を有する化合物Aと、1分子中に少なくとも二つのアミノ基を有する化合物Bの重付加反応より得られる樹脂である。高分子鎖を形成する環状カーボネートとアミンとの反応においては、環状カーボネートの開裂は2種類であり、以下のモデル反応が示す、下記の一般式で表される2種類の構造が発生することが知られている。
従って、重付加反応により得られるポリヒドロキシウレタンを表す一般式(1)中のZの構造は、上記に示した2種類の何れかの構造となりその存在はランダムである。
本発明に使用する上記の環状カーボネート化合物は、エポキシ化合物と二酸化炭素との反応によって得られたものであることが好ましい。具体的には、例えば、原材料であるエポキシ化合物を、触媒の存在下で、0℃〜160℃の温度にて、大気圧〜1MPa程度に加圧した二酸化炭素雰囲気下で4〜24時間反応させる。この結果、二酸化炭素を、エステル部位に固定化した環状カーボネート化合物を得ることができる。
二酸化炭素を原料として合成された環状カーボネート化合物を使用することによって、得られたポリヒドロキシウレタン樹脂は、その構造中に二酸化炭素が固定化された−O−CO−結合を有したものとなる。二酸化炭素由来の−O−CO−結合(二酸化炭素の固定化量)の樹脂中における含有量は、二酸化炭素の有効利用の立場からはできるだけ高くなる方がよいが、例えば、本発明では、得られるポリヒドロキシウレタン樹脂の構造中に1〜20質量%の範囲で含有させることができる。
エポキシ化合物と二酸化炭素との反応に使用される触媒としては、塩化リチウム、臭化リチウム、ヨウ化リチウム、塩化ナトリウム、臭化ナトリウム、ヨウ化ナトリウムなどの塩類や、4級アンモニウム塩が好ましいものとして挙げられる。その使用量は、エポキシ化合物100質量部当たり1〜50質量部、好ましくは1〜20質量部である。またこれら触媒となる塩類の溶解性を向上させるためにトリフェニルホスフィンなどを同時に使用してもよい。
エポキシ化合物と二酸化炭素との反応は、有機溶剤の存在下で行うこともできる。有機溶剤としては、前述の触媒を溶解するものであれば使用可能である。例えば、N,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、ジメチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドンなどのアミド系溶剤、メタノール、エタノール、プロパノール、エチレングリコール、プロピレングリコールなどのアルコール系溶剤、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル、プロピレングリコールメチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、テトラヒドロフランなどのエーテル系溶剤が、好ましい有機溶剤として挙げられる。
本発明で使用可能な環状カーボネート化合物の構造には特に制限がなく、一分子中に二つ以上の環状カーボネート構造を有するものであれば使用可能である。例えば、ベンゼン骨格、芳香族多環骨格、縮合多環芳香族骨格を持つものや、脂肪族系や脂環式系のいずれの環状カーボネートも使用可能である。以下に使用可能な化合物を例示する。なお、以下に列挙した構造式中にあるRは、水素原子、CH3のいずれかである。
ベンゼン骨格、芳香族多環骨格、縮合多環芳香族骨格を持つものとして、以下の化合物が例示される。
脂肪族系や脂環式系の環状カーボネートとして、以下の化合物が例示される。
本発明に使用されるポリヒドロキシウレタン樹脂の製造において、使用可能なアミン化合物は、従来公知のいずれのものも使用できる。好ましいものとして、例えば、エチレンジアミン、1,3−ジアミノプロパン、1,4−ジアミノブタン、1,6−ジアミノへキサン、1,8−ジアミノオクタン、1,10−ジアミノデカン、1,12−ジアミノドデカンなどの鎖状脂肪族ポリアミン、イソホロンジアミン、ノルボルナンジアミン、1,6−シクロヘキサンジアミン、ピペラジン、2,5−ジアミノピリジンなどの環状脂肪族ポリアミン、キシリレンジアミンなどの芳香環を持つ脂肪族ポリアミン、メタフェニレンジアミン、ジアミノジフェニルメタンなどの芳香族ポリアミンが挙げられる。
前記した環状カーボネート化合物とアミン化合物との反応は、両者を混合し40〜200℃の温度で4〜24時間反応させることで得ることができる。
反応は無溶剤で行うことも可能であるが、本発明においては、次工程の反応及び乳化工程を考慮し、親水性溶剤中で行うことが好ましい。好ましい溶剤を例示すると、テトラヒドロフラン、ジオキサン、ジメチルホルムアミド、N−メチルピロリドン、ジメチルスルホキシド、エチレングリコールジメチルエーテル、プロピレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、プロピレングリコールジエチルエーテルなどが挙げられる。特に好ましい溶剤としては、転相乳化後の蒸発留去が容易な沸点を有するものであり、例えば、テトラヒドロフランが挙げられる。
本発明に使用されるポリヒドロキシウレタン樹脂の製造は、上記したように特に触媒を使用せずに行うことができるが、反応を促進させるために、下記に挙げるような触媒の存在下で行うことも可能である。例えば、トリエチルアミン、トリブチルアミン、ジアザビシクロウンデセン(DBU)、トリエチレンジアミン(DABCO)、ピリジン、ヒドロキシピリジンなどの塩基性触媒、テトラブチル錫、ジブチル錫ジラウレートなどのルイス酸触媒などが使用できる。これらの触媒の好ましい使用量は、使用するカーボネート化合物とアミン化合物の総量(100質量部)に対して、0.01〜10質量部である。
本発明で中間体として使用するポリヒドロキシウレタン樹脂の好ましい性状値としては、下記のことが挙げられる。重量平均分子量としては10000〜100000の範囲であり、分子量が低すぎるとカルボキシル基導入後の被膜形成が悪くなる傾向があり、分子量が高すぎると、カルボキシル基導入時に3次元化によるゲル化や転相時の粘度が高くなり、転相が困難になる傾向があるので好ましくない。また、水酸基価の好ましい範囲は100mgKOH/g〜250mgKOH/gの範囲である。本発明では、中間体であるポリヒドロキシウレタン樹脂の構造中の水酸基を修飾反応に利用するため、水酸基価が低すぎると、カルボキシル基を構造中に導入してなる本発明のカルボキシル基含有ポリヒドロキシウレタン樹脂において、ポリヒドロキシウレタン樹脂固有のガスバリア性等の性能を引き出すことが困難となるおそれがあり、一方、水酸基価が高すぎると、ポリヒドロキシウレタン樹脂は、疎水性有機溶剤への溶解性が悪くなることから、カルボキシル基を構造中に導入するための修飾反応を行うことが難しくなるので好ましくない。
次に、上記したようなポリヒドロキシウレタン樹脂へのカルボキシル基導入反応について説明する。本発明のカルボキシル基含有ポリヒドロキシウレタン樹脂は、上記したような中間体としてのポリヒドロキシウレタン樹脂の水酸基に対して、少なくとも一つのカルボキシル基と少なくとも一つのイソシアネート基の両方を有する化合物を反応させることで、得られる。すなわち、下記一般式(1)で示される繰り返し単位を有するポリヒドロキシウレタン樹脂中の、Zに含まれるいずれかの水酸基に上記化合物のイソシアネートが反応することで、より具体的には、下記一般式(2)〜(5)中に含まれるいずれかの水酸基に上記化合物のイソシアネートが反応することで、上記化合物中のカルボキシル基が導入された構造の、カルボキシル基含有ポリヒドロキシウレタン樹脂となる。
[一般式(1)中、Xは、直接結合か、炭素数1〜30の脂肪族炭化水素基、炭素数4〜40の脂環式炭化水素基又は炭素数6〜40の芳香族炭化水素基のいずれかであり、該構造中には、エーテル結合、アミノ結合、スルホニル結合、エステル結合、水酸基、ハロゲン原子及び繰り返し単位1〜30の炭素数2〜6からなるポリアルキレングリコール鎖を含んでもよい。一般式(1)中、Yは、炭素数1〜15の脂肪族炭化水素基、炭素数4〜15の脂環式炭化水素基又は炭素数6〜15の芳香族炭化水素基であり、該構造中には、エーテル結合、スルホニル結合、水酸基及びハロゲン原子を含んでもよい。Zは、下記一般式(2)〜(5)のいずれかを示し、且つ、前記繰り返し単位内及び前記繰り返し単位間のいずれにおいても、これらの一般式(2)〜(5)の群から選ばれる1種又は2種以上が混在してもよい。]なお、先述したように、上記における「芳香族炭化水素基」には、「芳香脂肪族炭化水素基」も含まれる。
[一般式(2)〜(5)中、Rは、水素原子又はメチル基を示し、左側の結合手は、一般式(1)中のXと結合し、Xが直接結合の場合は、他方のZと結合し、右側の結合手は、酸素原子と結合する。]
本発明のカルボキシル基含有ポリヒドロキシウレタン樹脂を得るために必須となる、少なくとも一つのカルボキシル基と少なくとも一つのイソシアネート基の両方を有する化合物としては、これらの基を有するものであれば特に限定されないが、下記の反応物を用いることが好ましい。まず、少なくとも二つのイソシアネート基を有する化合物と、少なくとも一つのカルボキシル基とアミノ基の両方を有する化合物との反応物であることが好ましい。少なくとも二つのイソシアネート基と反応させるカルボキシル基含有化合物としては、カルボキシル基と水酸基の両方を有する化合物を使用する方法も考えられる。しかし、水酸基とイソシアネート基を反応させる反応条件下ではカルボキシル基もイソシアネート基と反応してしまうことより、通常の製造条件下での製造は困難である。これに対し、アミノ基とイソシアネート基の反応は室温下でも定量的に反応が可能であるため、アミノ基とカルボキシル基の両方を有する化合物を使用することが好ましい。本発明者らの検討によれば、上記反応物を用いることで、本発明のカルボキシル基含有ポリヒドロキシウレタン樹脂のガスバリア性をより高め、また、機会的強度を向上させることができる。
ここで、本発明では、本発明のカルボキシル基含有ポリヒドロキシウレタン樹脂を構成する必須の材料である「少なくとも一つのカルボキシル基と少なくとも一つのイソシアネート基の両方を有する化合物」の好ましい物について、「少なくとも一つのアミノ基と少なくとも一つのカルボキシル基の両方を有する化合物と、2つ以上のイソシアネート基を有する化合物とを、前記アミノ基と前記イソシアネート基の官能基当量比がNCO/NH2=2.0〜1.5の範囲で反応させてなる反応物である」とし、その特定を、上記化合物を得るためのプロセス(製法)でしている。
先に述べたように、本発明のカルボキシル基含有ポリヒドロキシウレタン樹脂は重合体(ポリマー)であり、「少なくとも一つのカルボキシル基と少なくとも一つのイソシアネート基の両方を有する化合物」は、ベースとなる中間体のポリヒドロキシウレタン樹脂の構造中にカルボキシル基を導入するための材料である。本発明を構成する上記化合物において重要なことは、ベースとなる中間体のポリヒドロキシウレタン樹脂の構造中の水酸基と反応するイソシアネート基を有すると同時に、カルボキシル基が導入できる構成のものであればよい。一方、このような特性を持つ化合物は、多数で多様にあり、物質名などで直接特定することは不可能であるとともに、およそ実際的でもなく、その特定は、化合物を得るためのプロセス(製法)によって初めて特定することが可能になる。上記事情から、本発明では、「少なくとも一つのカルボキシル基と少なくとも一つのイソシアネート基の両方を有する化合物」の好適な形態を、当該化合物を得るためのプロセス(製法)によって特定している。
本発明で使用する好適な「少なくとも一つのカルボキシル基と少なくとも一つのイソシアネート基の両方を有する化合物」を得るために使用する、少なくとも一つのカルボキシル基とアミノ基とを有する化合物は、いわゆるアミノ酸として知られている。本発明で使用可能な化合物は、特に天然のアミノ酸に限定されず、どのような化学構造を有する化合物でも使用可能である。カルボキシル基の数は複数でも可能であるが、アミノ基は通常一つのみ有した化合物であることが好ましい。本発明で好適に使用可能な化合物を例示すると、2−アミノプロパン酸(α−アラニン)、3−アミノプロパン酸(β−アラニン)、2−アミノブタン酸(α−アミノ酪酸)、3−アミノブタン酸(βアミノ酪酸)、4−アミノブタン酸(γ−アミノ酪酸)、アミノペンタン酸、アミノカプロン酸、グリシン、グルタミン酸、アスパラギン酸、プロリン、バリン、ロイシン、イソロイシン、o−アミノ安息香酸、m−アミノ安息香酸、p−アミノ安息香酸及びピペコリン酸などが挙げられる。使用できる化合物の範囲は、反応物を得るために組み合わせるイソシアネート化合物により異なり、得られる反応物のイソシアネート基濃度が5%以上となる組みあわせが好ましい。
上記したアミノ酸のような「少なくとも一つのカルボキシル基とアミノ基とを有する化合」と反応させる、少なくとも二つ以上のイソシアネート基を有する化合物としては特に限定されない。本発明者らの検討によれば、分子量が大きなイソシアネート基を有する化合物を使用すると、NCOの%濃度が低くなることにより相対的に変性剤の分子量が大きくなり、変性後の樹脂のカルボキシル基濃度が下がる場合があるので、この点を勘案して材料選択を行うことが好ましい。好ましい化合物を例示すると、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、ペンタメチレンジイソシアネート、リジンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、トルエンジイソシアネートなどが挙げられる。先に述べたように、「少なくとも一つのカルボキシル基とアミノ基とを有する化合物」とは、得られる反応物のイソシアネート基の濃度が5%以上となる組み合わせで、使用することが好ましい。
アミノ基とカルボキシル基を有するアミノ酸などの化合物は、一般的に固体であることから、反応は有機溶剤の存在下で行うことが好ましい。その際に使用する有機溶剤としては、親水性溶剤であることが好ましく、例えば、N,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、ジメチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドン、テトラヒドロフランなどが挙げられる。
一般に、アミノ基とカルボキシル基を有するアミノ酸などの化合物は有機溶剤への溶解性が悪く、反応初期に不溶であっても反応させながら溶解させる反応も可能であり、反応物が溶解する溶剤であれば使用可能である。アミノ基とイソシアネート基の反応は、無触媒条件下で室温でも迅速に進むことからその反応条件は特に限定されないが、上記の溶解性の問題から温度を上げる場合、温度が高くなるとカルボキシル基とイソシアネート基の反応が進んでしまうことから、60℃以下の温度であることが好ましい。
また、少なくとも二つのイソシアネート基を有する化合物と、少なくとも一つのカルボキシル基とアミノ基の両方を有する化合物との反応は、反応を官能基のモル当量比でイソシアネート基÷アミノ基が、NCO/NH2=2.0〜1.5の範囲で行うことが好ましい。当量比が1.5未満の条件では、イソシアネート基を含まない化合物が多く生成し、一方、2.0超ではフリーのイソシアネートが多くなり、ポリヒドロキシウレタンとの変性反応時(構造中へのカルボキシル基導入時)に、ゲル化を引き起こす要因となる。2.0超の量で反応を行う場合は、過剰量のイソシアネートを蒸留により留去する方法の適用も可能であるが、その場合は製造工程が煩雑になることから、留去不要な条件にて反応を行う方が工業的には有利である。
前記手法により得られた少なくとも一つのカルボキシル基と少なくとも一つのイソシアネート基の両方を有する化合物と、前記したポリヒドロキシウレタン樹脂との反応は、ポリヒドロキシウレタン樹脂に、少なくとも一つのカルボキシル基と少なくとも一つのイソシアネート基の両方を有する化合物を添加して行う。利用する反応は、水酸基とイソシアネート基の反応であり、特別な条件を必要としない。本発明者らの検討によれば、前記した好ましい溶剤中で製造されたもの同士を混合する方法により行うことが最も好ましい。反応温度としては室温〜120℃程度の条件が可能であるが、テトラヒドロフランを溶剤に使用する場合は、沸点の関係で反応温度は70℃以下が好ましい。
反応は無触媒下でも可能であるが、より円滑に進行させるために一般的なウレタン反応用の触媒を添加することが好ましい。例えば、トリエチルアミン、トリブチルアミン、ジアザビシクロウンデセン(DBU)、トリエチレンジアミン(DABCO)、ピリジン及びヒドロキシピリジンなどの塩基性触媒、テトラブチル錫やジブチル錫ジラウレートなどのルイス酸触媒などが使用できる。これらの触媒の好ましい使用量は、反応物の総量(100質量部)に対して、0.001〜0.1質量部程度である。
ポリヒドロキシウレタン樹脂と、少なくとも一つのカルボキシル基と少なくとも一つのイソシアネート基の両方を有する化合物との反応比率は、その組み合わせにより異なり、反応物である本発明のカルボキシル基含有ポリヒドロキシウレタン樹脂が所望する特性に応じて、適宜に決定すればよい。例えば、反応物として得られた樹脂に、ポリヒドロキシウレタン樹脂の水酸基由来の特性を期待する場合は、水酸基量が80mgKOH/g以上となる反応比率を選択することが好ましい。また、本発明者らの検討によれば、一方の酸価は、15mgKOH/g〜55mgKOH/gの範囲となる比率であることが好ましい。上記範囲よりも酸価が高すぎると有機溶剤への溶解性が悪くなり、後述するように、反応物である本発明のカルボキシル基含有ポリヒドロキシウレタン樹脂を用いて水分散体を製造する際に行う転相前の状態が不安定となり、上記範囲よりも低すぎると乳化粒子が安定せず、転相することできなくなるので好ましくない。
次に、上記したようにして得られる本発明のカルボキシル基含有ポリヒドロキシウレタン樹脂を用いることで簡便に得られる本発明のポリヒドロキシウレタン樹脂の水分散体、該ポリヒドロキシウレタン樹脂水分散体の製造方法について説明する。本発明者らは鋭意検討した結果、その構造中に水酸基とカルボキシル基を有する本発明のカルボキシル基含有ポリヒドロキシウレタン樹脂のカルボキシル基を利用することで、簡易に水分散体(ポリマーエマルジョン)を得ることができることを見出した。一般に、ポリマーエマルジョンの製造方法は、界面活性剤を乳化剤として使用する強制乳化法と、ポリマー鎖中に親水性基を導入し、ポリマー鎖自らに乳化粒子を形成させる自己乳化法がある。本発明の水分散体の製造方法は、ポリマー鎖中に親水性基であるカルボキシル基を導入したポリマーを用いた自己乳化型に属するものである。すなわち、乳化に必要な親水性基としてアニオン性基であるカルボキシル基を利用する。そして、良好な状態で、本発明のカルボキシル基含有ポリヒドロキシウレタン樹脂のポリマー鎖自らに乳化粒子を形成させるために、本発明の製造方法では、その酸価が、15mgKOH/g〜55mgKOH/gの範囲内にある樹脂を使用する。
すなわち、本発明の製造方法は、酸価として15mgKOH/g〜55mgKOH/gの範囲となるようにカルボキシル基が導入されている、上記で説明した本発明のカルボキシル基含有ポリヒドロキシウレタン樹脂を用い、該カルボキシル基含有ポリヒドロキシウレタン樹脂を親水性溶剤に溶解させた状態で、中和剤により前記カルボキシル基を中和した後に水を添加し、転相乳化させる工程を有することを特徴とする。上記したような方法で、本発明のカルボキシル基含有ポリヒドロキシウレタン樹脂のポリマー鎖自らに乳化粒子を形成させることで、カルボキシル基含有ポリヒドロキシウレタン樹脂が水中に乳化してなる樹脂粒子の水分散体である本発明のポリヒドロキシウレタン樹脂の水分散体が簡便に得られる。そして、本発明者らの検討によれば、上記したようにして簡便に得られる本発明のポリヒドロキシウレタン樹脂粒子の水分散体は、粒子が、メジアン径(d50)で0.01μm〜10μmの範囲内の大きさである、粒子が水中に乳化した状態で安定して存在する水分散体となる。本発明者らの検討によれば、粒子径が大きくなりすぎると経時での沈降が発生し、粒子破壊が起こりやすくなることから、水分散体の安定性の観点からは、樹脂粒子が、メジアン径(d50)で1μm以下の粒子径であることが好ましい。より好ましくは、粒子が、メジアン径(d50)で、0.01〜0.1μmの範囲内であること、更に好ましくは、0.01〜0.07μmの範囲内であるとよい。
上記で行う自己乳化に際し、本発明のカルボキシル基含有ポリヒドロキシウレタン樹脂の構造中に導入されているカルボキシル基はそのまま使用してもよいが、本発明の製造方法で規定するように、水中でのイオン化を促進するために、カルボキシル基の一部、好ましくは全部を中和し中和塩とし、その後に水を添加することが好ましい。カルボキシル基を架橋や修飾反応に使用するために中和せずに残すことも可能であるが、乳化のためのイオン性基としてのみ利用する場合は、中和剤をカルボキシル基の当モル量か1〜10%程度の過剰量使用することが好ましい。
中和に使用する塩基性化合物としては、例えば、エチルアミン、トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリイソプロピルアミン、トリブチルアミン、トリエタノールアミン、N−メチルジエタノールアミン、N−フェニルジエタノールアミン、モノエタノールアミン、ジメチルエタノールアミン、ジエチルエタノールアミン、モルホリン、N−メチルモルホリン、2−アミノ−2−エチル−1−プロパノール、トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリプロピルアミン、トリブチルアミン、N−メチルジエタノールアミン、トリエタノールアミンなどの有機アミン、リチウム、カリウム、ナトリウムなどのアルカリ金属、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウム、水酸化カリウム、アンモニアなどの無機塩基などが挙げられ、これらは併用できる。これら塩基性化合物の中でも特に好ましい化合物は、塗膜形成時に揮発可能なものであり、このようなものとしてはトリエチルアミンが挙げられる。本発明者らの検討によれば、得られた水分散体を用いて塗膜を形成した場合に、塗膜形成時に塩基性化合物が揮発することで塗膜の耐水性が向上する。
本発明のポリヒドロキシウレタン樹脂水分散体の製造方法では、上記したようにして得られたカルボキシル基の中和塩を含有するポリヒドロキシウレタン樹脂溶液に、水を徐々に添加することで転相させ、O/W型のエマルジョンを得ている。この際に添加する水の使用量は、ポリヒドロキシウレタンの樹脂の化学構造、溶剤の種類、樹脂濃度、粘度、といったファクターに依存するが、概ね50質量部〜200質量部である。転相に使用する装置は反応に使用する装置と同様の装置でよいが、連続式の乳化機や分散機を使用することもできる。通常、転相工程は特に加熱する必要は無く、転相前の樹脂溶液に対する水の溶解性を低くするために10℃〜30℃程度の温度で行うことが効率的であり、好ましい。
転相乳化して作成したO/W型エマルジョンを減圧条件下で加熱することで、ポリヒドロキシウレタン樹脂の製造に使用した溶剤を揮発させ、樹脂分のみが水中に分散した水分散体を得ることができる。加熱条件及び減圧条件は、揮発させる溶剤の沸点により異なるが、水が先に蒸発しないことが好ましい条件であり、概ね、300Torr〜50Torr、20℃〜70℃の範囲で調整する。本発明の製造方法で得られるポリヒドロキシウレタン樹脂水分散体は、水中にポリヒドロキシウレタン樹脂製の粒子を分散させたものであるが、最終的な溶媒が必ずしも水単独である必要は無く、転相前の溶剤が残存していても使用可能であり、用途に合わせて調節すればよい。
本発明のポリヒドロキシウレタン樹脂の水分散体は、加工時の必要特性に合わせて、各種レオロジー調整剤を添加して使用することができる。また、必要に応じて各種添加剤を加えてもよく、例えば、酸化防止剤、光安定剤、紫外線吸収剤などを適宜に添加することができる。
本発明のポリヒドロキシウレタン樹脂の水分散体は、水に溶解・分散可能な硬化剤を配合して、架橋塗膜を作成することができる。この際に使用できる硬化剤に特に制限は無いが、例えば、ポリヒドロキシウレタン樹脂の構造中の水酸基と反応可能な水分散性成分、ポリイソシアネート類、ブロックイソシアネート類、エポキシ化合物、アルミニウムやチタニウムなどの金属キレート化合物、メラミン樹脂、アルデヒド化合物、などが挙げられる。また、ポリヒドロキシウレタン樹脂の構造中のカルボキシル基と反応可能な架橋剤も使用可能であり、例えば、前記化合物に加えて水分散性カルボジイミドなども使用可能である。
また、本発明のポリヒドロキシウレタン樹脂の水分散体の応用用途として、塗膜を得ることができる。塗膜を得る方法としては、特に限定されない。例えば、グラビアコーター、ナイフコーター、リバースコーター、バーコーター、スプレーコーター、スリットコーターなどによって、基材となるフィルムに、本発明のポリヒドロキシウレタン樹脂の水分散体を塗布し、水及び溶剤を揮発させることにより塗膜を得ることができる。
上記において、基材として使用できるフィルム材料は特に限定されるものではなく、従来から包装材料として使用される高分子材料は全て使用可能である。例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレンなどのポリオレフィン系樹脂や、ポリエチレンテレフタレート、ポリ乳酸などのポリエステル系樹脂や、ナイロン6やナイロン66などのポリアミド系樹脂や、その他ポリイミドなど、さらに、これらの樹脂の共重合体などが挙げられる。またこれらの高分子材料には必要に応じて、例えば、公知の帯電防止剤、紫外線吸収剤、可塑剤、滑剤、着色剤などの添加剤を含ませることができる。
次に、具体的な製造例、実施例及び比較例を挙げて本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。なお、以下の例における「部」及び「%」は、特に断りのない限り質量基準である。
[製造例1:環状カーボネート含有化合物(I−A)の合成]
エポキシ当量192のビスフェノールAジグリシジルエーテル(商品名:jER828、ジャパンエポキシレジン社製)100部と、ヨウ化ナトリウム(和光純薬社製)20部と、N−メチル−2−ピロリドン100部とを、撹拌装置及び大気開放口のある還流器を備えた反応容器内に仕込んだ。次いで、撹拌しながら二酸化炭素を連続して吹き込み、100℃にて10時間反応を行った。そして、反応終了後の溶液に、イソプロパノール1400部を加え、反応物を白色の沈殿として析出させ、濾別した。得られた沈殿をトルエンにて再結晶を行い、白色の粉末52部を得た(収率42%)。
上記で得られた粉末をIR(堀場製作所製、FT−720、以下の製造例或いは実施例も同様)にて分析でしたところ、910cm-1付近の原材料のエポキシ基由来の吸収は消失しており、1800cm-1付近に、原材料には存在しないカーボネート基のカルボニル由来の吸収が確認された。また、HPLC(日本分光製、LC−2000;カラムFinepakSIL C18−T5;移動相 アセトニトリル+水)による分析の結果、原材料のピークは消失し、高極性側に新たなピークが出現し、その純度は98%であった。また、DSC測定(示差走査熱量測定)の結果、融点は178℃であり、融点範囲は±5℃であった。以上のことから、この粉末は、エポキシ基と二酸化炭素の反応により環状カーボネート基が導入された下記式で表わされる構造の化合物と確認された。これをI−Aと略称した。I−Aの化学構造中に二酸化炭素由来の成分が占める割合は、20.5%であった(計算値)。
[製造例2:環状カーボネート含有化合物(I−B)の合成]
エポキシ化合物に、エポキシ当量115のハイドロキノンジグリシジルエーテル(商品名:デナコールEX203、ナガセケムテックス社製)を用いた以外は、製造例1と同様の方法で、下記式で表わされる構造の環状カーボネート化合物(I−B)を合成した。得られたI−Bは、白色の結晶であり、融点は141℃であった。収率は55%であり、IR分析の結果は、I−Aと同様に910cm-1付近の原材料のエポキシ基由来の吸収は消失しており、1800cm-1付近に原材料には存在しないカーボネート基のカルボニル由来の吸収が確認された。HPLC分析による純度は97%であった。I−Bの化学構造中に二酸化炭素由来の成分が占める割合は、28.0%であった(計算値)。
[製造例3:ポリヒドロキシウレタン樹脂(II−A)の合成]
撹拌装置及び大気開放口のある還流器を備えた反応容器内に、製造例1で得た化合物I−Aを100部、ヘキサメチレンジアミン(旭化成ケミカルズ社製)27.1部、さらに、反応溶媒としてテトラヒドロフラン296部を加え、60℃の温度で撹拌しながら、24時間の反応を行い淡黄色粘稠な樹脂溶液を得た。得られた溶液をIRにて分析したところ、1800cm-1付近の環状カーボネートのカルボニル基由来のピークは消失し、1760cm-1付近にウレタン結合のカルボニル基由来の吸収が確認された。DMFを移動相としたGPC測定(東ソー製、GPC−8220;カラムSuper AW2500+AW3000+AW4000+AW5000;以下の製造例も同様)による重量平均分子量は、43000(ポリスチレン換算)であり、得られた樹脂の水酸基当量を測定したところ、204mgKOH/gの水酸基を有しており、目的とするポリヒドロキシウレタン樹脂が合成できていることを確認した。この樹脂をII−Aと称す。また、この樹脂がその化学構造中に有する二酸化炭素由来の成分が占める割合は16.1%である(化合物I−Aの含有量からの計算値)。
[製造例4:ポリヒドロキシウレタン樹脂(II−B)の合成]
製造例3と同様の方法で、製造例2で得た化合物I−Bを100部、メタキシリレンジアミン(三菱ガス化学社製)43.9部、テトラヒドロフラン336部を用い、淡黄色粘稠な樹脂溶液を得た。IR分析による反応状況の確認は製造例3と同様であり、重量平均分子量は、39000(ポリスチレン換算)であり、得られた樹脂の水酸基当量は241mgKOH/gであった。製造例3同様に、目的とするポリヒドロキシウレタン樹脂が合成できていることが確認された。この樹脂をII−Bと称す。また、この樹脂がその化学構造中に有する二酸化炭素由来の成分が占める割合は19.5%である(化合物I−Bの含有量からの計算値)。
<実施例1>
(カルボキシル基含有ポリヒドロキシウレタン樹脂)
撹拌装置及び大気開放口のある還流器を備えた反応容器内に、β−アラニン(東京化成工業社製)8.9部と、イソホロンジイソシアネート(エボニックジャパン社製)22.2部と、反応溶剤として、N,N−ジメチルホルムアミド53.3部を仕込み、反応温度60℃で反応を行った。反応の進行と共にβアラニンは溶解することから、β−アラニン溶解した時点で反応を終了した。反応液のNCO%(JIS−K1603)を測定すると7.6%であった。
次いで、別の反応容器に、上記で得たNCO溶液の18部、製造例3で得られた樹脂溶液II−Aを100部仕込み、60℃で反応を行った。反応の進行はIRにて確認し、イソシアネート基由来の2260cm-1のピークが消失した時点で反応を終了させた。得られた樹脂は本発明で規定する構造の、水酸基とカルボキシル基を有するポリヒドロキシウレタン樹脂である。
上記で得た樹脂単独の性能評価用のサンプルとして、樹脂溶液を離型紙上にバーコーターで塗布し乾燥させることで、厚さ約50μmの単層フィルムを作成した。作成した単層フィルムについて、後述する方法で、外観評価、酸価、水酸基価、機械強度、ガスバリア性を評価した。得られた結果は、表1にまとめて示した。
(カルボキシル基含有ポリヒドロキシウレタン樹脂の水分散体)
また、反応終了後の樹脂溶液に、中和剤としてトリエチルアミン(東京化成工業社製)1.7部を加えて、カルボキシル基含有ポリヒドロキシウレタン樹脂中のカルボキシル基を中和した。さらに、室温にて撹拌しながらイオン交換水140部を徐々に添加し、転相乳化を行った。そして、反応容器を50℃に加温、減圧しTHFを留去することにより、ポリヒドロキシウレタンの水分散体を得た。得られたものは、外観上均一な水分散体であり、ポリマー分散粒子の粒度分布は(日機装社製の「UPA−EX150(商品名)」にて測定)はd50=0.04μmであった。分散体の安定性を50℃の恒温槽中で保存して評価したところ、良好な安定を示した。得られた水分散体の粒度分布を図1に示した。
(カルボキシル基含有ポリヒドロキシウレタン樹脂製品)
また、得られた水分散体に、レオロジー調整剤としてプライマルRM−8W(ローム&ハースジャパン社製)0.5部を添加して塗料を作製し、評価した。具体的には、上記で得られた塗料を、厚み40μmのCPPフィルム(東洋紡社製、パイレンP1111;酸素透過率=1500cc20μm/m2・day・atm)のコロナ処理面上に、乾燥時の膜厚が10μmになるように塗布し、80℃にて乾燥することで複層フィルムを得た。そして、得られた複層フィルムについて、塗膜外観、密着性、耐水性、及び、上記CPP層を含む複層フィルムのガスバリア性を評価した。別途、SUS板に塗料を塗布し、70℃で乾燥させた塗膜についても密着性を評価した。結果を表1にまとめて示した。
<実施例2>
実施例1と同様にして、β−アラニン17.8部と、イソホロンジイソシアネート66.7部とを、N,N−ジメチルホルムアミド84.5部を反応溶剤に用いて反応させた。得られた反応液のNCO%は7.2%であった。次いで、上記で得たNCO溶液の18部と、製造例3で得られた樹脂溶液II−Aの100部とを反応させ、カルボキシル基を含有するポリヒドロキシウレタン樹脂の樹脂溶液を得た。得られた樹脂溶液を用い、樹脂単独の性能評価用のサンプルを作成し、その物性評価を、実施例1と同様にして実施した。
さらに、上記で得られた樹脂溶液にトリエチルアミン1.1部を加え、水140部を使用し、実施例1と同様の操作をすることにより、ポリヒドロキシウレタン樹脂の水分散体を得た。得られた水分散体の分散粒子の粒度分布は、d50=0.41μmであった。また、得られた水分散体に、実施例1と同様に、レオロジー調整剤としてプライマルRM−8Wを加え塗料を作製し、実施例1と同様の基材及び条件にて複層フィルムを作製した。上記で得られた水分散体及び複層フィルムについて、実施例1と同様の評価を行った。得られた結果を表1に示した。
<実施例3>
実施例1と同様にして、β−アラニン17.8部と、ヘキサメチレンジイソシアネート(旭化成ケミカルズ社製)50.5部とを、N,N−ジメチルホルムアミド68.3部を反応溶剤に用いて反応させた。得られた反応液のNCO%は8.9%であった。次いで、上記で得たNCO溶液の30部と、製造例4で得られた樹脂溶液II−Bの100部とを反応させ、カルボキシル基を含有するポリヒドロキシウレタン樹脂の樹脂溶液を得た。得られた樹脂溶液を用い、樹脂単独の性能評価用のサンプルを作成し、その物性評価を、実施例1と同様にして実施した。
さらに、得られた樹脂溶液にトリエチルアミン2.3部を加え、水160部を使用し、実施例1と同様の操作をすることによりポリヒドロキシウレタン樹脂の水分散体を得た。得られた水分散体の分散粒子の粒度分布d50=0.13μmであった。また、得られた水分散体に、実施例1と同様にプライマルRM−8Wを加え、塗料を作製し、実施例1と同様の基材及び条件にて複層フィルムを作製した。上記で得られた水分散体及び複層フィルムについて、実施例1と同様の評価を行った。そして、得られた結果を表1に示した。
<実施例4>
実施例1と同様にして、L−グルタミン酸(東京化成工業社製)14.7部と、イソホロンジイソシアネート44.4部とを、N,N−ジメチルホルムアミド59.1部を反応溶剤に用いて反応させた。得られた反応液のNCO%は7.0%であった。次いで、上記で得たNCO溶液の12部と、製造例3で得られた樹脂溶液II−Aの100部とを反応させ、カルボキシル基を含有するポリヒドロキシウレタン樹脂の樹脂溶液を得た。得られた樹脂溶液を用い、樹脂単独の性能評価用のサンプルを作成し、その物性評価を、実施例1と同様にして実施した。
さらに、上記で得られた樹脂溶液に、トリエチルアミン2.4部を加え、水120部を使用し、実施例1と同様の操作をすることにより、ポリヒドロキシウレタンの水分散体を得た。得られた水分散体の分散粒子の粒度分布は、d50=0.02μmであった。また、得られた水分散体に、実施例1と同様にプライマルRM−8Wを加え、塗料を作製し、実施例1と同様の基材及び条件にて複層フィルムを作製した。上記で得られた水分散体及び複層フィルムについて、実施例1と同様の評価を行った。そして、得られた結果を表1に示した。
<実施例5>
実施例1と同様にして、L−グルタミン酸(東京化成工業社製)14.7部と、イソホロンジイソシアネート44.4部とを、N,N−ジメチルホルムアミド59.1部を反応溶剤に用いて反応させた。得られた反応液のNCO%は7.0%であった。次いで、上記で得たNCO溶液の6部と、製造例3で得られた樹脂溶液II−Aの100部とを反応させ、カルボキシル基を含有するポリヒドロキシウレタン樹脂の樹脂溶液を得た。得られた樹脂溶液を用い、樹脂単独の性能評価用のサンプルを作成し、その物性評価を実施例1と同様にして実施した。
さらに、上記で得られた樹脂溶液に、トリエチルアミン1.1部を加え、水130部を使用し、実施例1と同様の操作をすることにより、ポリヒドロキシウレタンの水分散体を得た。得られた水分散体の分散粒子の粒度分布d50=0.55μmであった。また、得られた水分散体に、実施例1と同様にプライマルRM−8Wを加え、塗料を作製し、実施例1と同様の基材及び条件にて複層フィルムを作製した。上記で得られた水分散体及び複層フィルムについて、実施例1と同様の評価を行った。そして、得られた結果を表1に示した。
<実施例6>
実施例1と同様にして、β−アラニン89.1部と、イソホロンジイソシアネート44.4部とを、N,N−ジメチルホルムアミド53.3部を反応溶剤に用いて反応させた。反応液のNCO%は7.4%であった。次いで、上記で得たNCO溶液の6部と、製造例4で得られたII−Bの100部とを反応させ、カルボキシル基を含有するポリヒドロキシウレタン樹脂の樹脂溶液を得た。得られた樹脂溶液を用い、樹脂単独の性能評価用のサンプルを作成し、その物性評価を実施例1と同様にして実施した。
さらに、得られた樹脂溶液にトリエチルアミン1.7部を加え、水140部を使用し、実施例1と同様の操作をすることにより、ポリヒドロキシウレタン樹脂の水分散体を得た。得られた水分散体の分散粒子の粒度分布d50=0.02μmであった。また、得られた水分散体に、実施例1と同様にプライマルRM−8Wを加え塗料を作製し、実施例1と同様の基材及び条件にて複層フィルムを作製した。上記で得られた水分散体及び複層フィルムについて、実施例1と同様の評価を行った。そして、得られた結果を表1に示した。
<比較例1>
実施例1と同様にして、β−アラニン89.1部と、イソホロンジイソシアネート(IPDI)22.2部を、N,N−ジメチルホルムアミド31.1部を反応溶剤に用いて反応させた。反応液のNCO%は0%であり、この反応液は、IPDIとβ−アラニンの当モル反応物である。
そして、上記で得た反応溶液の18部と、製造例3で得られた樹脂溶液II−Aの100部とを反応させ、カルボキシル基を含有するポリヒドロキシウレタン樹脂の樹脂溶液を得た。得られた樹脂溶液にトリエチルアミン2.9部を加え、水140部を使用し、実施例1と同様の操作によってポリヒドロキシウレタン水分散体を得ようとした。しかし、水を80部添加した段階で樹脂が凝集分離してしまい、転相乳化ができなかった。
<比較例2>
(ポリヒドロキシウレタンの水酸基をハーフエステル法によりカルボキシル基化する処方)
撹拌装置及び大気開放口のある還流器を備えた反応容器内に、製造例3で得た樹脂溶液II−Aを127.1部、無水マレイン酸(東京化成工業社製)9.2部、反応溶媒としてテトラヒドロフラン204部、触媒兼中和剤としてトリエチルアミン9.4部を加え、60℃の温度で撹拌しながら、2時間の反応を行った。反応後の樹脂溶液をIRで分析したところ、酸無水物カルボニル由来の1800cm-1のピークは完全に消失していた。
そして、得られた樹脂溶液に水150部を加え、実施例1と同様の手法によりポリヒドロキシウレタンの水分散体を得た。得られた水分散体の分散粒子の粒度分布はd50=0.02μmであった。さらに、得られた水分散体に、実施例1と同様にプライマルRM−8Wを加え塗料を作製し、実施例1と同様の基材及び条件にて複層フィルムを作製した。上記で得られた水分散体及びフィルムについて、実施例1と同様の評価を行った。得られた評価結果を表1に示した。
<評価>
上記実施例1〜6及び比較例1、2でそれぞれ得た、樹脂、該樹脂の水分散体及び該樹脂を含む塗膜層と基材とからなる複層フィルム試料の特性を、それぞれ評価した。評価及びその方法は、以下の、試験項目及び評価方法によるものである。結果を表1にまとめて示した。
[フィルム外観]
複層フィルムの外観について、以下の基準を満たすか否かの基準で2段階評価した。この際の評価に用いた全光線透過率及びヘイズは、JIS K−7105に準拠して、いずれもヘイズメーター(スガ試験機社製、HZ−1)により測定した。このヘイズメータで測定される全ての光量が全光線透過率であり、全光線透過率に対する拡散透過光の割合がヘイズである。
(評価基準)
〇:全光線透過率90%以上で、ヘイズ0.5%以下
×:〇に該当しないもの
[酸価、水酸基価]
いずれも各樹脂について、JIS K−1557に準拠した滴定法により測定し、樹脂1gあたりの各官能基の含有量を、KOHのmg当量で表した。なお、単位はmgKOH/gである。
[機械強度]
各単層フィルムの機械強度として、破断点強度及び破断点伸度を測定した。測定は、JIS K−6251に準拠して、オートグラフAGS−J(商品名、島津製作所社製)を使用した測定法によって、室温(25℃)で測定を実施した。
[ガスバリア性(酸素透過率)]
各複層フィルムについて、JIS K−7126に準拠して酸素の透過率を測定し、これをガスバリア性の評価値とした。すなわち、この値が低いほどガスバリア性に優れると判断できる。具体的には、酸素透過率測定装置OX−TRAN 2/21ML(商品名、MOCON社製)を使用して、温度23℃湿度30%、湿度65%湿度90%、とした各恒温恒湿条件下にて、酸素透過率を測定した。表1における樹脂単体の酸素透過率は、20μm厚における換算値であり、単位は、cc20μm/m2・day・atmである。また、複層フィルムの酸素透過率は、フィルムそのものの測定値であり、単位は、cc/m2・day・atmである。
なお、複層フィルムを構成している塗膜層は10μm程度である。また、前記したように、複層フィルムを構成している基材のCPPフィルムの酸素透過率は1500ccである。よって、上記複層フィルムの酸素透過率から、酸素透過率が1500ccの基材に、10μm程度の薄い塗膜層を設けることによって、複層フィルムの酸素透過率がどの程度まで低下させることができたかがわかる。したがって、上記では、この値を用いることで、フィルムの形成に使用された状態の樹脂のガスバリア性の効果を評価した。
[粒子径]
動的光散乱式ナノトラック粒度分析計UPA−EX150(商品名、日機装社製)を使用し、樹脂の水分散体における粒度分布を測定した。そして、計算により得られたメジアン径(=d50値)を評価値とした。
[安定性]
樹脂の水分散体を密閉したポリ容器に入れ、50℃の恒温槽で保存した。一ヶ月、三ヶ月、六ヶ月後の状態を目視観察して、下記の基準で評価した。
(評価基準)
〇:粒子の沈降は無く、外観上の変化が見られない
△:粒子が沈降しているが撹拌により簡単に再分散する
×:乳化粒子が破壊され樹脂分が沈降。撹拌しても再分散できない
[塗膜外観]
樹脂を含む塗膜層と基材とからなる複層フィルムにおける、塗布面の外観を目視にて観察し、以下の基準で評価した。
(評価基準)
〇:透明均一で光沢のある塗膜表面である
△:塗膜表面の光沢が無く濁っている
×:集物による凹凸がある
[密着性:対PET]
各複層フィルムの、実施例記載の方法で作成した塗膜表面の一部にセロテープ(登録商標)を圧着し、ゆっくりと手で引きはがし、膜の剥がれ具合を目視で観察し、以下の基準で評価した。
(評価基準)
〇:塗膜の剥がれが無し
△:塗膜の一部が剥離
×:塗膜が完全に剥離
[密着性:対SUS]
SUS304板に、膜厚5μmになるように、実施例及び比較例の各樹脂を塗布乾燥して塗膜を形成し、JIS5400碁盤目試験を実施した。具体的には、形成した塗膜にカッターにて100マスの切込みをいれ、セロテープ(登録商標)を圧着し、ゆっくりと手で引きはがし、塗膜の密着性を以下の基準で評価した。
(評価基準)
〇:剥がれたマスが無い
△:剥がれが1〜20マス
×:21マス以上の剥がれがあった
[耐水性]
各複層フィルムを水に浸漬し、室温で24時間後の塗膜表面状態を目視で観察し、下記の基準で評価した。
(評価基準)
〇:変化は見られない
△:塗膜の一部が白化している
×:塗膜が膨潤している
表1に示したように、本発明の製造方法は、従来のポリヒドロキシウレタンの水酸基をハーフエステル法によりカルボキシル基化する処方と同様に、水酸基量のコントロールが可能であり、ベースとなるポリヒドロキシウレタン樹脂の種類を特に選ばなくても適用が可能であることから、種々の物性を有するカルボキシル基含有ポリヒドロキシウレタン樹脂を提供することができる。ポリヒドロキシウレタン樹脂の特徴の一つであるガスバリア性については、従来処方と同等の性能を示す処方も可能である。また、本発明のカルボキシル基含有ポリヒドロキシウレタン樹脂は、樹脂の柔軟性が向上することより種々の基材への密着力が向上する。基材への密着力向上は塗布した際のアンカー効果と基材への追隋性の両方が寄与したものである。具体的には、金属への密着性はヒドロキシウレタン樹脂のOHが寄与したものであり、本発明のカルボキシル基含有ポリヒドロキシウレタン樹脂は、金属及び樹脂の両方への密着性に優れた樹脂として、接着剤、プライマー、塗料用のベース樹脂としての応用が期待できる。
表1に示したように、本発明によって提供されるポリヒドロキシウレタン水分散体は、比較例2の従来処方により得られた水分散体と比較し安定性が格段に優れる。これは従来の水分散体は、カルボキシル基の導入をハーフエステルにより行っていたために、加水分解によりカルボキシル基変性部位が脱離してしまうのに対し、ウレタン結合を介してカルボキシル基を導入した本発明の製造処方で得られるポリヒドロキシウレタン樹脂は加水分解を起こしにくいことが理由である。従来処方により得られた水分散体の安定性が一ヶ月以下という性能は、工業製品としての適用範囲が著しく制限されるものであることから本発明の製造処方は有用である。さらに、ベースとなるポリヒドロキシウレタン樹脂として、二酸化炭素を原料に使用して製造された物を使用することで、環境対応製品としての貢献も期待できる。
以上の通り本発明によれば、ポリヒドロキシウレタン樹脂をベースとして、簡易に水酸基とカルボキシル基を有するポリヒドロキシウレタン樹脂を製造することができる。本発明の製造方法で得られたポリヒドロキシウレタン樹脂を利用することで、工業的に要求される長期間の保存が可能なポリヒドロキシウレタン水分散体を提供することができる。本発明では、安定な水分散体状態を得るためにポリヒドロキシウレタンにカルボキシル基を導入したが、水酸基も同時に存在していることより、従来のポリヒドロキシウレタン樹脂同様のガスバリア性や、金属への密着性を有しており、従来の想定用途への応用が期待できる。さらに、本発明を特徴づけるポリヒドロキシウレタン樹脂は、その原料に二酸化炭素を使用することができるものであるので、地球環境保護の面からも期待される技術である。

Claims (7)

  1. 少なくとも一つのカルボキシル基と少なくとも一つのイソシアネート基の両方を有する化合物が、下記一般式(1)で示される繰り返し単位を有するポリヒドロキシウレタン樹脂中のZに含まれるいずれかの水酸基に反応して、前記カルボキシル基が構造中に導入されてなることを特徴とするカルボキシル基含有ポリヒドロキシウレタン樹脂。
    [一般式(1)中、Xは、直接結合か、炭素数1〜30の脂肪族炭化水素基、炭素数4〜40の脂環式炭化水素基又は炭素数6〜40の芳香族炭化水素基のいずれかであり、該構造中には、エーテル結合、アミノ結合、スルホニル結合、エステル結合、水酸基、ハロゲン原子及び繰り返し単位1〜30の炭素数2〜6からなるポリアルキレングリコール鎖を含んでもよい。一般式(1)中、Yは、炭素数1〜15の脂肪族炭化水素基、炭素数4〜15の脂環式炭化水素基又は炭素数6〜15の芳香族炭化水素基であり、該構造中には、エーテル結合、スルホニル結合、水酸基及びハロゲン原子を含んでもよい。Zは、下記一般式(2)〜(5)のいずれかを示し、且つ、前記繰り返し単位内及び前記繰り返し単位間のいずれにおいても、これらの一般式(2)〜(5)の群から選ばれる1種又は2種以上が混在してもよい。]
    [一般式(2)〜(5)中、Rは、水素原子又はメチル基を示し、左側の結合手は、一般式(1)中のXと結合し、Xが直接結合の場合は、他方のZと結合し、右側の結合手は、酸素原子と結合する。]
  2. 前記ポリヒドロキシウレタン樹脂が、エポキシ化合物と二酸化炭素を反応させて得られる5員環環状カーボネート化合物を原料の一部に使用して製造されてなる、重量平均分子量が10000〜100000の範囲内にあり、水酸基価が100mgKOH/g〜250mgKOH/gの範囲内にあるポリヒドロキシウレタン樹脂である請求項1に記載のカルボキシル基含有ポリヒドロキシウレタン樹脂。
  3. 前記少なくとも一つのカルボキシル基と少なくとも一つのイソシアネート基の両方を有する化合物が、少なくとも一つのアミノ基と少なくとも一つのカルボキシル基の両方を有する化合物と、2つ以上のイソシアネート基を有する化合物とを、前記アミノ基と前記イソシアネート基の官能基当量比がNCO/NH2=2.0〜1.5の範囲で反応させてなる反応物である請求項1又は2に記載のカルボキシル基含有ポリヒドロキシウレタン樹脂。
  4. 前記少なくとも一つのアミノ基と少なくとも一つのカルボキシル基の両方を有する化合物が、2−アミノプロパン酸(α−アラニン)、3−アミノプロパン酸(β−アラニン)、2−アミノブタン酸(α−アミノ酪酸)、3−アミノブタン酸(βアミノ酪酸)、4−アミノブタン酸(γ−アミノ酪酸)、アミノペンタン酸、アミノカプロン酸、グリシン、グルタミン酸、アスパラギン酸、プロリン、バリン、ロイシン、イソロイシン、o−アミノ安息香酸、m−アミノ安息香酸、p−アミノ安息香酸及びピペコリン酸からなる群より選択される少なくともいずれかである請求項3に記載のカルボキシル基含有ポリヒドロキシウレタン樹脂。
  5. 前記2つ以上のイソシアネート基を有する化合物が、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、ペンタメチレンジイソシアネート、リジンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート及びトルエンジイソシアネートからなる群より選択される少なくともいずれかである請求項3又は4に記載のカルボキシル基含有ポリヒドロキシウレタン樹脂。
  6. 請求項1〜5のいずれか1項に記載のカルボキシル基含有ポリヒドロキシウレタン樹脂が水中に乳化してなる樹脂粒子の水分散体であり、且つ、前記粒子の大きさが、メジアン径(d50)で0.01μm〜10μmの範囲内にあることを特徴とするポリヒドロキシウレタン樹脂の水分散体。
  7. 酸価として15mgKOH/g〜55mgKOH/gの範囲となるようにカルボキシル基が導入されている請求項1〜5のいずれか1項に記載のカルボキシル基含有ポリヒドロキシウレタン樹脂を用い、該カルボキシル基含有ポリヒドロキシウレタン樹脂を親水性溶剤に溶解させた状態で、中和剤により前記カルボキシル基を中和した後に水を添加し、転相乳化させる工程を有することを特徴とするポリヒドロキシウレタン樹脂水分散体の製造方法。
JP2016085098A 2016-04-21 2016-04-21 カルボキシル基含有ポリヒドロキシウレタン樹脂、ポリヒドロキシウレタン樹脂の水分散体及びポリヒドロキシウレタン樹脂水分散体の製造方法 Active JP6803680B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2016085098A JP6803680B2 (ja) 2016-04-21 2016-04-21 カルボキシル基含有ポリヒドロキシウレタン樹脂、ポリヒドロキシウレタン樹脂の水分散体及びポリヒドロキシウレタン樹脂水分散体の製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2016085098A JP6803680B2 (ja) 2016-04-21 2016-04-21 カルボキシル基含有ポリヒドロキシウレタン樹脂、ポリヒドロキシウレタン樹脂の水分散体及びポリヒドロキシウレタン樹脂水分散体の製造方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2017193643A true JP2017193643A (ja) 2017-10-26
JP6803680B2 JP6803680B2 (ja) 2020-12-23

Family

ID=60155898

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2016085098A Active JP6803680B2 (ja) 2016-04-21 2016-04-21 カルボキシル基含有ポリヒドロキシウレタン樹脂、ポリヒドロキシウレタン樹脂の水分散体及びポリヒドロキシウレタン樹脂水分散体の製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP6803680B2 (ja)

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2020122048A (ja) * 2019-01-29 2020-08-13 大日精化工業株式会社 接着剤組成物及び積層体
JP7033636B1 (ja) 2020-10-02 2022-03-10 大日精化工業株式会社 ポリヒドロキシウレタン樹脂の水分散体、及びガスバリア性フィルム、並びにポリヒドロキシウレタン樹脂の水分散体の製造方法

Citations (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN106008900A (zh) * 2016-07-29 2016-10-12 河北工业大学 一种聚氨酯-聚酰胺酯复合物及其制备方法
JP2016194029A (ja) * 2015-03-31 2016-11-17 大日精化工業株式会社 ポリヒドロキシウレタン樹脂の水分散体、水分散体の製造方法及び該水分散体を用いてなるガスバリア性フィルム
JP2016204592A (ja) * 2015-04-28 2016-12-08 大日精化工業株式会社 ポリヒドロキシウレタン水分散体組成物、及び該水分散体組成物を用いてなるガスバリア性水性コーティング剤、ガスバリア性フィルム

Patent Citations (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2016194029A (ja) * 2015-03-31 2016-11-17 大日精化工業株式会社 ポリヒドロキシウレタン樹脂の水分散体、水分散体の製造方法及び該水分散体を用いてなるガスバリア性フィルム
JP2016204592A (ja) * 2015-04-28 2016-12-08 大日精化工業株式会社 ポリヒドロキシウレタン水分散体組成物、及び該水分散体組成物を用いてなるガスバリア性水性コーティング剤、ガスバリア性フィルム
CN106008900A (zh) * 2016-07-29 2016-10-12 河北工业大学 一种聚氨酯-聚酰胺酯复合物及其制备方法

Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2020122048A (ja) * 2019-01-29 2020-08-13 大日精化工業株式会社 接着剤組成物及び積層体
JP7033636B1 (ja) 2020-10-02 2022-03-10 大日精化工業株式会社 ポリヒドロキシウレタン樹脂の水分散体、及びガスバリア性フィルム、並びにポリヒドロキシウレタン樹脂の水分散体の製造方法
JP2022059860A (ja) * 2020-10-02 2022-04-14 大日精化工業株式会社 ポリヒドロキシウレタン樹脂の水分散体、及びガスバリア性フィルム、並びにポリヒドロキシウレタン樹脂の水分散体の製造方法

Also Published As

Publication number Publication date
JP6803680B2 (ja) 2020-12-23

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP6563242B2 (ja) ポリヒドロキシウレタン樹脂の水分散体、水分散体の製造方法及び該水分散体を用いてなるガスバリア性フィルム
JP6298421B2 (ja) ポリヒドロキシウレタン水分散体組成物、及び該水分散体組成物を用いてなるガスバリア性水性コーティング剤、ガスバリア性フィルム
US8410229B2 (en) Polyurethane-modified acrylic resin and preparing method thereof
KR102019641B1 (ko) 폴리히드록시우레탄 수지의 수분산체, 해당 수분산체의 제조 방법, 해당 수분산체를 사용하여 이루어지는 가스 배리어성 수지 필름, 점토 광물 함유의 폴리히드록시우레탄 수지 수분산체 조성물, 해당 조성물을 사용하여 이루어지는 가스 배리어성 코팅제 및 가스 배리어성 수지 필름
US20090318634A1 (en) Aqueous Polyurethane/Polyurea Dispersions
US10894856B2 (en) Polyurethane-vinyl hybrid polymers, methods of making them and their use
CN102822220A (zh) 水性阴离子型聚氨酯分散体
JP6803680B2 (ja) カルボキシル基含有ポリヒドロキシウレタン樹脂、ポリヒドロキシウレタン樹脂の水分散体及びポリヒドロキシウレタン樹脂水分散体の製造方法
JP6861174B2 (ja) ヒドロキシポリウレタン樹脂の水分散体、該水分散体を用いてなるガスバリア性フィルム及びヒドロキシポリウレタン樹脂の水分散体の製造方法
JP5596363B2 (ja) カルボニル基含有ウレタンウレア樹脂の水分散体
JP2008530329A (ja) 複合シートを積層するためのポリウレタン分散液
CN108779233B (zh) 用于环氧树脂基涂料组合物的硬化剂组合物,其制备方法和用途
JP6813337B2 (ja) ポリヒドロキシウレタン樹脂の水分散体、該水分散体の製造方法及び該水分散体を用いてなるガスバリア性樹脂フィルム
JP7066664B2 (ja) ポリヒドロキシウレタン樹脂及びポリヒドロキシウレタン樹脂の製造方法
JP2006257141A (ja) 二液硬化型水性被覆組成物及び塗膜形成方法
JP6934480B2 (ja) ポリヒドロキシウレタン塗料組成物及び塗料皮膜
US20070112129A1 (en) Polyurethane dispersion comprising siloxane groups
JP2013253159A (ja) 変性ウレタン樹脂、その水分散体、及び該水分散体を含む水性塗料組成物
JP6808664B2 (ja) ヒドロキシポリウレタン樹脂の水分散体組成物、これを用いたガスバリア性コーティング剤及びガスバリア性フィルム
JP6176648B2 (ja) ポリウレタン樹脂水分散体、該組成物を用いた硬化物
JP6813338B2 (ja) 粘土鉱物含有のポリヒドロキシウレタン樹脂水分散体組成物、該水分散体組成物を用いてなるガスバリア性コーティング剤及びガスバリア性樹脂フィルム
JP2013035972A (ja) カルボニル基及びチオエーテル基を含有する変性エポキシ樹脂、その水分散体、及び該水分散体を含む水性塗料組成物
WO2020196845A1 (ja) 塗料組成物及び塗料皮膜
JP7033636B1 (ja) ポリヒドロキシウレタン樹脂の水分散体、及びガスバリア性フィルム、並びにポリヒドロキシウレタン樹脂の水分散体の製造方法
JP2007238753A (ja) 水性樹脂用硬化剤、およびそれを用いたコーティング剤

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20180724

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20190417

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20190604

A601 Written request for extension of time

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A601

Effective date: 20190802

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20190930

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20200218

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20200415

A02 Decision of refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02

Effective date: 20200602

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20200901

C60 Trial request (containing other claim documents, opposition documents)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: C60

Effective date: 20200901

A911 Transfer to examiner for re-examination before appeal (zenchi)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A911

Effective date: 20200908

C21 Notice of transfer of a case for reconsideration by examiners before appeal proceedings

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: C21

Effective date: 20200915

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20201124

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20201201

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 6803680

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250