JP2017193638A - ポリアミド樹脂組成物、その製造方法およびそれからなる成形体 - Google Patents

ポリアミド樹脂組成物、その製造方法およびそれからなる成形体 Download PDF

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Abstract

【課題】反射率、耐熱性に優れるとともに、耐熱変色性に優れた反射板を成形することができるポリアミド樹脂組成物を提供する。【解決手段】融点が270〜350℃のポリアミド(A)と、白色顔料(B)とを含有するポリアミド樹脂組成物であって、ポリアミド(A)と白色顔料(B)の質量比(A/B)が40/60〜95/5であり、170℃、2時間熱処理後の黄色度(YI1)と熱処理前の黄色度(YI0)の比(YI1/YI0)が1.0〜2.0であることを特徴とするポリアミド樹脂組成物。【選択図】なし

Description

本発明は、ポリアミド樹脂組成物、その製造方法およびそれからなる成形体に関するものである。
発光ダイオード(LED)は、低消費電力、長寿命であることから、新しい照明光源や表示素子として、需要が急速に拡大しており、大型化、ハイパワー化が進んでいる。
LEDにおけるハウジングを兼ねた反射板は、光を効率的に利用するために、反射板を構成する樹脂材料には、優れた反射率が求められている。例えば、もっとも発光効率が優れ、広く使われている白色LEDの発光においては、LEDの青色光と、その光で蛍光体が発する補色の黄色光とを組み合わせるため、反射板には、青色光、特に440〜460nmの波長の光の反射率が、最重要視されている。
また、反射板は、LED実装時に、最高温度260℃程度の高温となるリフロー半田工程を経るために、反射板を構成する樹脂材料には、耐熱性(耐リフロー性)が求められている。また、LED反射板は、その実装工程中で、LEDチップをリードフレーム上に硬化接着させるためのダイボンディング工程を経る際に、100〜170℃程度で数十分〜数時間程度の熱を受ける。このとき、あらかじめリードフレーム上にインサート成形されている反射板は、むき出しのため、熱劣化・酸化劣化を受けやすく、樹脂組成物の黄変が起こり、結果として反射板の反射率の低下、ひいてはLEDパッケージの輝度・光度の低下を招きやすい。
LED反射板を構成する樹脂材料として、酸化チタンなどの白色顔料を含有させたポリアミド樹脂組成物が知られている。例えば、特許文献1には、特定の構造を有する半芳香族ポリアミドと白色顔料を含有する樹脂組成物が開示されている。
特許文献1に記載された樹脂組成物を成形して得られる反射板は、反射率に優れるとともに、耐熱性(耐リフロー性)にも優れるものであるが、加熱により熱変色し、黄色度(イエローインデックス、YI)が上昇することがあった。
特許第5646120号公報
本発明は、上記課題を解決するものであって、反射率、耐熱性に優れるとともに、耐熱変色性に優れた反射板を成形することができるポリアミド樹脂組成物を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記課題を解決するため鋭意研究を重ねた結果、特定の条件で製造したポリアミド樹脂組成物が、耐熱変色性に優れ、加熱処理後の黄色度の上昇を抑制できることを見出し、本発明に到達した。
すなわち、本発明の要旨は下記の通りである。
(1)融点が270〜350℃のポリアミド(A)と、白色顔料(B)とを含有するポリアミド樹脂組成物であって、
ポリアミド(A)と白色顔料(B)の質量比(A/B)が40/60〜95/5であり、170℃、2時間熱処理後の黄色度(YI)と熱処理前の黄色度(YI)の比(YI/YI)が1.0〜2.0であることを特徴とするポリアミド樹脂組成物。
(2)黄色度(YI)が0.1〜10であることを特徴とする(1)記載のポリアミド樹脂組成物。
(3)さらにマグネシウム化合物(C)を含有し、マグネシウム化合物(C)が酸化マグネシウムおよび/または水酸化マグネシウムであり、含有量が、ポリアミド(A)と白色顔料(B)の合計100質量部に対して、0.05〜10質量部であることを特徴とする(1)または(2)記載のポリアミド樹脂組成物。
(4)さらに強化材(D)を含有し、含有量が、ポリアミド(A)と白色顔料(B)の合計100質量部に対して、2〜70質量部であることを特徴とする(1)〜(3)のいずれかに記載のポリアミド樹脂組成物。
(5)上記(1)〜(4)のいずれかに記載のポリアミド樹脂組成物を製造するための方法であって、ポリアミド(A)と白色顔料(B)の溶融混練において、白色顔料(B)を複数回に分けてポリアミド(A)に供給することを特徴とするポリアミド樹脂組成物の製造方法。
(6)上記(4)記載のポリアミド樹脂組成物を製造するための方法であって、ポリアミド(A)と強化材(D)の溶融混練において、強化材(D)を複数回に分けてポリアミド(A)に供給することを特徴とするポリアミド樹脂組成物の製造方法。
(7)ポリアミド(A)の重合および/または樹脂組成物の溶融混練を、不活性ガス雰囲気下にて実施することを特徴とする(5)または(6)記載のポリアミド樹脂組成物の製造方法。
(8)上記(1)〜(4)のいずれかに記載のポリアミド樹脂組成物を成形してなることを特徴とする成形体。
(9)上記(1)〜(4)のいずれかに記載のポリアミド樹脂組成物を成形してなる反射板。
(10)上記(9)記載の反射板を備えるLEDパッケージ。
(11)上記(10)記載のLEDパッケージを備える照明装置。
本発明によれば、実装工程中に熱を受けた際の、熱劣化・酸化劣化による反射板の反射率低下や熱変色が大幅に抑制され、ひいてはLEDパッケージの輝度・光度が高度に維持され、高輝度のLEDパッケージおよびそれを用いた照明装置に使用することができるポリアミド樹脂組成物を提供することができる。
本発明の樹脂組成物を反射板に用いた表面実装型LEDパッケージの断面を示す模式断面図である。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明のポリアミド樹脂組成物は、融点が270〜350℃のポリアミド(A)および白色顔料(B)を含有する。
本発明において、ポリアミド(A)は、融点が270℃〜350℃であることが必要である。ポリアミド(A)は、融点が270℃以上であることにより、耐熱性を有し、最高温度が260℃程度となるリフロー工程に耐えることができる。一方、ポリアミド(A)は、融点が350℃を超えると、アミド結合の分解温度が約350℃であるため、溶融加工時に炭化や分解が進行することがある。
ポリアミド(A)は、モノマー成分の分類から、脂肪族ポリアミド、半芳香族ポリアミド、脂環族ポリアミド、およびそれらの共重合体が挙げられる。
脂肪族ポリアミドの具体例としては、ポリアミド46などが挙げられる。
半芳香族ポリアミドとしては、芳香族ジカルボン酸成分と脂肪族ジアミン成分とから構成されるポリアミドが挙げられ、具体例として、ポリアミド4I(I:イソフタル酸)、ポリアミド6I、ポリアミド7T(T:テレフタル酸)、ポリアミド8T、ポリアミド9T、ポリアミド10T、ポリアミド11T、ポリアミド12Tなどが挙げられる。
脂環族ポリアミドの具体例として、ポリアミド6C(C:1,4−シクロヘキサンジカルボン酸)、ポリアミド7C、ポリアミド8C、ポリアミド9C、ポリアミド10C、ポリアミド11C、ポリアミド12Cなどが挙げられる。
さらに、共重合体としては、例えばジアミンの炭素数が6の場合、PA6T/6、PA6T/12、PA6T/66、PA6T/610、PA6T/612、PA6T/6I、PA6T/6I/66、PA6T/M5T(M5:メチルペンタジアミン)、PA6T/TM6T(TM6:2,2,4−または2,4,4−トリメチルヘキサメチレンジアミン)、PA6T/MMCT(MMC:4,4′−メチレンビス(2−メチルシクロヘキシルアミン))などが挙げられる。
ポリアミド(A)として、これらポリアミドを単独で使用してもよいし、共重合体や2種類以上ポリアミドの混合物を使用してもよい。
本発明において、ポリアミド(A)としては、工業的な汎用性が高いことから、ポリアミド46、ポリアミド6T、ポリアミド9T、ポリアミド10T、およびそれらの共重合体が好適な例として挙げられる。さらに、ポリアミド6T、ポリアミド9T、ポリアミド10T、およびそれらの共重合体は、高耐熱性や低吸水率の観点から、耐リフロー性に特に優れるためさらに好ましく、中でもポリアミド10Tおよびその共重合体が特に好ましい。
本発明において、ポリアミド(A)は、モノカルボン酸成分を構成成分とすることが好ましい。モノカルボン酸を含有することにより、ポリアミド(A)は、末端の遊離アミノ基量を低く保つことが可能となり、熱を受けた際の、熱劣化や酸化劣化によるポリアミドの分解や変色が抑えられる。その結果、反射板の反射率の低下が抑制できたり、ひいてはLEDパッケージの輝度・光度の低下も抑制できる効果がある。
モノカルボン酸成分の含有量は、ポリアミド(A)を構成する全モノマー成分に対して0.3〜4.0モル%であることが好ましく、0.3〜3.0モル%であることがさらに好ましく、0.3〜2.5モル%であることがより好ましく、0.8〜2.5モル%であることが特に好ましい。上記範囲内でモノカルボン酸成分を含有することにより、ポリアミド(A)は、熱を受けた際の、熱劣化や酸化劣化による分解や変色が抑えられるとともに、重合時の分子量分布を小さくできたり、成形加工時の離型性の向上がみられたり、成形加工時においてガスの発生量を抑制することができたりする。一方、ポリアミド(A)は、モノカルボン酸成分の含有量が上記範囲を超えると、機械的特性が低下することがある。なお、本発明において、モノカルボン酸の含有量は、ポリアミド(A)中のモノカルボン酸の残基、すなわち、モノカルボン酸から末端の水酸基が脱離したものが占める割合をいう。
本発明において、モノカルボン酸成分の分子量は、140以上であることが好ましく、170以上であることがさらに好ましい。ポリアミド(A)は、モノカルボン酸の分子量が140以上であると、熱を受けた際の、熱劣化や酸化劣化による分解や変色が抑えられるとともに、離型性が向上し、成形加工時の温度においてガスの発生量を抑制することができ、また成形流動性も向上することができる。
モノカルボン酸成分としては、脂肪族モノカルボン酸、脂環族モノカルボン酸、芳香族モノカルボン酸が挙げられ、中でも、脂肪族モノカルボン酸が好ましい。
分子量が140以上の脂肪族モノカルボン酸としては、例えば、カプリル酸、ノナン酸、デカン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘン酸が挙げられる。中でも、汎用性が高いことから、ステアリン酸が好ましい。
分子量が140以上の脂環族モノカルボン酸としては、例えば、4−エチルシクロヘキサンカルボン酸、4−へキシルシクロヘキサンカルボン酸、4−ラウリルシクロヘキサンカルボン酸が挙げられる。
分子量が140以上の芳香族モノカルボン酸としては、例えば、4−エチル安息香酸、4−へキシル安息香酸、4−ラウリル安息香酸、1−ナフトエ酸、2−ナフトエ酸およびそれらの誘導体が挙げられる。
モノカルボン酸成分は、単独で用いてもよいし、併用してもよい。また、分子量が140以上のモノカルボン酸と分子量が140未満のモノカルボン酸を併用してもよい。
なお、本発明において、モノカルボン酸の分子量は、原料のモノカルボン酸の分子量を指す。
一般に、ポリマーには結晶相と非晶相が存在し、融点等の結晶特性はもっぱら結晶相の状態によって定まることが知られている。ポリマー中の末端基は非晶相に存在するので、末端基の有無、種類によってポリアミドの融点が変化することはない。そして、ポリアミド鎖の末端に結合しているモノカルボン酸も非晶相に存在するので、モノカルボン酸の含有によってポリアミドの融点が下がることはない。
本発明において、ポリアミド(A)は、メルトフローレート(MFR)が1〜200g/10分であることが好ましく、10〜150g/10分であることがより好ましく、20〜100g/10分であることがさらに好ましい。MFRは、成形流動性の指標とすることができ、MFRの値が高いほど流動性が高いことを示す。ポリアミド(A)のMFRが200g/10分を超えると、得られる樹脂組成物の機械的特性が低下する場合があり、ポリアミド(A)のMFRが1g/10分未満であると、流動性が著しく低く、溶融加工できない場合がある。
ポリアミド(A)は、従来から知られている加熱重合法や溶液重合法の方法を用いて製造することができる。中でも、工業的に有利である点から、加熱重合法が好ましく用いられる。ポリアミド(A)の重合は、窒素、二酸化炭素、アルゴンなどの不活性ガスを重合釜中に封入して、不活性ガス雰囲気下で実施することが好ましい。それにより、重合中のポリアミドの酸化劣化による変色が抑えられると同時に、重合以後の工程における変色も抑えられる効果がある。
ポリアミド(A)の製造において、重合の効率を高めるため重合触媒を用いてもよい。重合触媒としては、例えば、リン酸、亜リン酸、次亜リン酸またはそれらの塩が挙げられ、重合触媒の添加量は、通常、ジカルボン酸とジアミンの総モルに対して、2モル%以下であることが好ましい。
本発明のポリアミド樹脂組成物は、白色顔料(B)を含有する。
白色顔料(B)としては、例えば、酸化チタン、酸化亜鉛、硫化亜鉛、硫酸亜鉛、硫酸バリウム、炭酸カルシウム、酸化アルミナが挙げられ、中でも、酸化チタン、硫酸バリウム、炭酸カルシウムが好ましく、特に酸化チタンが好ましい。
酸化チタンは、屈折率が高く光安定性が良好なルチル型が好ましい。酸化チタンの粒子径は、0.05〜2.0μmであることが好ましく、0.05〜0.5μmであることがより好ましい。
硫酸バリウムとしては、天然に産出するものでも合成品でもよく、前者としては、重晶石(バライト)、後者としては、沈降性硫酸バリウムが挙げられる。硫酸バリウムの粒径は、0.005〜10μmであることが好ましく、0.01〜1μmであることがより好ましい。
炭酸カルシウムとしては、例えば、方解石(カルサイト)、霰石(アラゴナイト)、天然炭酸カルシウム(重質炭酸カルシウム)、合成炭酸カルシウム(沈降炭酸カルシウム)が挙げられ、中でも、方解石、霰石が好ましい。炭酸カルシウムの粒子径は、0.05〜10μmであることが好ましく、0.1〜5μmであることがより好ましい。
白色顔料は、中性化のためや、光触媒作用の低減のためや、ポリアミド(A)との濡れ性改善のために、表面処理されていてもよい。表面処理剤としては、例えば、アルミナ、シリカ、酸化亜鉛、酸化ジルコニウム等の金属酸化物、ステアリン酸等の有機酸またはそれらの金属塩、ポリオール、シランカップリング剤、チタンカップリング剤が挙げられる。
本発明のポリアミド樹脂組成物は、ポリアミド(A)と白色顔料(B)との質量比(ポリアミド(A)/白色顔料(B))は、40/60〜95/5であることが必要であり、50/50〜80/20であることが好ましい。白色顔料(B)の割合が、5質量%未満であると、樹脂組成物は、反射率が低下することがあり、一方、60質量%を超えると、樹脂組成物は、反射率に優れる反面、溶融混練が困難となったり、成形性が損なわれたりすることがあり、また得られる成形体は機械的特性が不十分となることがある。
本発明のポリアミド樹脂組成物は、170℃、2時間熱処理後の黄色度(YI)と熱処理前の黄色度(YI)の比(YI/YI)が1.0〜2.0であることが必要であり、1.0〜1.8であることが好ましく、1.0〜1.5であることがより好ましい。ポリアミド樹脂組成物の黄色度比(YI/YI)が上記範囲であることで、この樹脂組成物を成形して得られた成形体は、優れた耐熱変色性を有し、成形体を加熱しても青色光の吸収増加が抑制されるので、青色光の反射率が維持され、したがって、実装工程中における反射率の低下が抑制され、得られたLEDパッケージの輝度・光度を高く維持することが可能となる。
また、本発明のポリアミド樹脂組成物は、170℃、2時間熱処理後の黄色度(YI)が0.1〜10であることが好ましく、1.0〜8.0であることがより好ましく、1.0〜6.0であることがさらに好ましい。YIが上記範囲であることで、この樹脂組成物を成形して得られた成形体は、青色光の吸収がきわめて少ないために、青色光の反射率が高く、また優れた耐熱変色性を有しているので、実装工程中における反射率の低下が抑制され、得られたLEDパッケージの輝度・光度を高くすることができる。
本発明のポリアミド樹脂組成物には、耐熱変色性の向上の観点から、酸化マグネシウムおよび水酸化マグネシウムから選択される1種以上のマグネシウム化合物(C)を含有してもよい。マグネシウム化合物(C)を含有することにより、樹脂組成物は、熱を受けた際の変色および反射率の低下が抑えられる。
マグネシウム化合物(C)の平均粒径は、特に制限はないが、0.01〜10μmであることが好ましく、0.1〜5μmであることがより好ましい。
マグネシウム化合物(C)として、ポリアミド(A)との密着性および分散性を向上させるために、表面処理を施したものを使用してもよい。表面処理剤としては、例えば、アミノシラン、エポキシシランなどのシランカップリング剤、チタンカップリング剤、シリコーン化合物、ポリオール化合物などが挙げられる。
マグネシウム化合物(C)の含有量は、ポリアミド(A)と白色顔料(B)の合計100質量部に対して、0.05〜10質量部であることが好ましく、0.2〜5質量部であることがより好ましく、0.5〜3質量部であることがさらに好ましい。マグネシウム化合物(C)は、含有量が0.2質量部未満では、熱変色の抑制効果が小さく、10質量部を超えると、樹脂組成物の溶融混練が困難となったり、成形性が損なわれたりすることがあり、また得られる成形体は機械的特性が不十分となることがある。
本発明のポリアミド樹脂組成物には、強化材(D)を含有してもよい。
強化材(D)として、例えば、ガラス繊維、チタン酸カリウム繊維、アルミナ繊維、シリカ繊維、ジルコニア繊維、炭化ケイ素繊維、セラミックス繊維、ワラストナイト、セピオライト、アタパルジャイトなどの繊維状強化材や、タルク、粘土鉱物などの板状強化材や、シリカ、アルミナ、ガラスビーズなどの粒状強化材が挙げられる。中でも、機械的強度の向上の観点から、繊維状強化材が好ましく、高い反射率を保持する点で、ガラス繊維、チタン酸カリウム繊維、ワラストナイト、セピオライト、アタパルジャイトが好ましく、ガラス繊維とチタン酸カリウム繊維、ガラス繊維とワラストナイトの併用が好ましい。
ガラス繊維は、シランカップリング剤で表面処理されたものであることが好ましい。また、シランカップリング剤が分散した集束剤により表面処理されたものでもよい。シランカップリング剤としては、例えば、ビニルシラン系、アクリルシラン系、エポキシシラン系、アミノシラン系のものが挙げられ、ポリアミド(A)とガラス繊維との密着効果を得やすいことから、アミノシラン系のものが好ましい。
強化材(D)の繊維長は、0.1〜7mmであることが好ましく、0.5〜6mmであることがより好ましい。また、繊維径は3〜20μmであることが好ましく、5〜13μmであることがより好ましい。繊維長が0.1〜7mmであり、繊維径が3〜20μmである強化材(D)は、成形性に悪影響を及ぼすことなく、効率よく樹脂組成物を補強することができる。
強化材(D)の含有量は、ポリアミド(A)と白色顔料(B)の合計100質量部に対して、2〜70質量部であることが好ましく、15〜60質量部であることがより好ましく、20〜40質量部であることがさらに好ましい。強化材(D)は、含有量が2質量部未満であると、機械的強度向上効果が得られない場合があり、一方、70質量部を超えると、機械的強度の補強効率が低下したり、溶融混練時の作業性が低下したり、樹脂組成物のペレットを得ることが難しくなる場合があり、また、繊維状強化材が成形体表面に浮き出ることにより、反射率が低下する場合がある。
本発明の半芳香族ポリアミド樹脂組成物には、さらに酸化防止剤を含有してもよい。
酸化防止剤の含有量は、ポリアミド(A)100質量部あたり、0.05〜5質量部であることが好ましく、0.2〜5質量部であることがさらに好ましい。酸化防止剤は、含有量が0.05質量部未満であると、溶融混練時、成形時、実装時の耐熱変色性の効果が小さく、5質量部を超えると、成形時に金型が汚れやすく、成形不良が発生する場合がある。
酸化防止剤としては、例えば、リン系酸化防止剤、ヒンダードフェノール系酸化防止剤、ヒンダードアミン系酸化防止剤、トリアジン系化合物、硫黄系化合物、ホスフィン酸塩が挙げられ、リン系酸化防止剤、ヒンダードフェノール系酸化防止剤、硫黄系化合物が好ましい。
リン系酸化防止剤は、無機化合物でも有機化合物でもよく、例えば、リン酸一ナトリウム、リン酸二ナトリウム、リン酸三ナトリウム、亜リン酸ナトリウム、亜リン酸カルシウム、亜リン酸マグネシウム、亜リン酸マンガン等の無機リン酸塩、トリフェニルホスファイト、トリオクタデシルホスファイト、トリデシルホスファイト、トリノニルフェニルホスファイト、ジフェニルイソデシルホスファイト、ビス(2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、トリス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ホスファイト、ジステアリルペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(ノニルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、テトラキス(2,4−ジt−ブチルフェニル)−4,4−ビフェニリレンジフォスファイトが挙げられる。中でも、ビス(2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、テトラキス(2,4−ジt−ブチルフェニル)−4,4−ビフェニリレンジフォスファイトが好ましい。これらは単独で用いてもよいし、併用してもよい。市販のリン系酸化防止剤としては、例えば、アデカ社製アデカスタブPEP−8、PEP−36、PEP−4C、クラリアント社製ホスタノックスP−EPQが挙げられる。
ヒンダードフェノール系酸化防止剤としては、例えば、n−オクタデシル−3−(3′,5′−ジ−t−ブチル−4′−ヒドロキシフェニル)−プロピオネート、n−オクタデシル−3−(3′−メチル−5′−t−ブチル−4′−ヒドロキシフェニル)−プロピオネート、n−テトラデシル−3−(3′,5′−ジ−t−ブチル−4′−ヒドロキシフェニル)−プロピオネート、1,6−ヘキサンジオール−ビス−[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)−プロピオネート]、1,4−ブタンジオール−ビス−[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)−プロピオネート]、2,2′−メチレンビス−(4−メチル−t−ブチルフェノール)、トリエチレングリコール−ビス−[3−(3−t−ブチル−5−メチル−4−ヒドロキシフェニル)−プロピオネート]、テトラキス[メチレン−3−(3′,5′−ジ−t−ブチル−4′−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタン、3,9−ビス[2−{3−(3−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオニルオキシ}−1,1−ジメチルエチル]2,4,8,10−テトラオキサスピロ(5,5)ウンデカン、N,N′−ビス−3−(3′,5′−ジ−t−ブチル−4′−ヒドロキシフェニル)プロピオニルヘキサメチレンジアミン、N,N′−テトラメチレン−ビス−3−(3′−メチル−5′−t−ブチル−4′−ヒドロキシフェノール)プロピオニルジアミン、N,N′−ビス−[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェノール)プロピオニル]ヒドラジン、N−サリチロイル−N′−サリチリデンヒドラジン、3−(N−サリチロイル)アミノ−1,2,4−トリアゾール、N,N′−ビス[2−{3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシ}エチル]オキシアミド、ペンタエリスリチル−テトラキス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、N,N′−ヘキサメチレンビス−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシ−ヒドロシンナマイドが挙げられる。中でも、トリエチレングリコール−ビス−[3−(3−t−ブチル−5−メチル−4−ヒドロキシフェニル)−プロピオネート]、テトラキス[メチレン−3−(3′,5′−ジ−t−ブチル−4′−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタン、1,6−ヘキサンジオール−ビス−[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)−プロピオネート]、ペンタエリスリチル−テトラキス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、N,N′−ヘキサメチレンビス−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシ−ヒドロシンナマイドが好ましい。これらは単独で用いてもよいし、併用してもよい。市販のヒンダードフェノール系酸化防止剤としては、例えば、アデカ社製アデカスタブAO−20、AO−30、AO−40、AO−50、AO−60、AO−70、AO−80、AO−330、チバスペシャリティケミカル社製イルガノックス245、259、565、1010、1035、1076、1098、1222、1330、1425、1520、3114、5057、住友化学工業社製スミライザーBHT−R、MDP−S、BBM−S、WX−R、NW、BP−76、BP−101、GA−80、GM、GS、サイアナミド社製サイアノックスCY−1790が挙げられる。
硫黄系酸化防止剤としては、例えば、ジステアリル3,3′−チオジプロピオネート、ペンタエリスリチルテトラキス(3−ラウリルチオプロピオネート)、2−メルカプトベンズイミダゾール、ジドデシル3,3′−チオジプロピオネート、ジオクタデシル3,3′−チオジプロピオネート、ジトリデシル3,4′−チオジプロピオネート、2,2−ビス[[3−(ドデシルチオ)−1−オキソプロポキシ]メチル]−1,3−プロパンジイルエステル挙げられる。中でも、ジステアリル3,3′−チオジプロピオネート、ペンタエリスリチルテトラキス(3−ラウリルチオプロピオネート)が好ましい。これらは単独で用いてもよいし、併用してもよい。市販の硫黄系酸化防止剤としては、例えば、住友化学工業社製スミライザーTP−Dが挙げられる。
本発明の半芳香族ポリアミド樹脂組成物は、さらに光安定剤を含有してもよい。特に、白色顔料として酸化チタンを用いる場合は、酸化チタンが光分解を促進する場合があるので、光安定剤を含有することが好ましい。
光安定剤としては、例えば、ベンゾフェノン系化合物、ベンゾトリアゾール系化合物、サリシレート系化合物、ヒンダードアミン系化合物(HALS)、ヒンダードフェノール系化合物が挙げられ、中でも、半芳香族ポリアミドとの親和性や耐熱性が高いことからヒンダードアミン系化合物が好ましい。市販の光安定剤としては、例えば、クラリアントジャパン社製ナイロスタブS−EED、共同薬品社製バイオソーブ04、チバ・スペシャリティ・ケミカルズ社製チヌビン622、765、Cytec社製サイアソーブUV−3346、旭電化工業社製アデカスタブLA−57、BASF社製チマソーブ119、944が挙げられる。
光安定剤の含有量は、半芳香族ポリアミド(A)100質量部に対し、0.1〜5質量部であることが好ましく、0.2〜5質量部であることがさらに好ましい。光安定剤の含有量が0.1〜5質量部であることにより、樹脂組成物は、熱を受けた際の変色および反射率の低下が抑えられる。光安定剤は、含有量が0.1質量部未満であると、溶融混練時、成形時、実装時の耐熱変色性の効果が小さく、5質量部を超えると、成形時に金型が汚れやすく、成形不良が発生する場合がある。
本発明のポリアミド樹脂組成物において、酸化防止剤と光安定剤を併用することが好ましい。酸化防止剤と光安定剤の併用は、溶融混練時、成形時、実装時、LED点灯時を通じて、樹脂組成物における熱劣化、酸化劣化、光劣化を効率的に防止し、反射板の反射率やLEDパッケージの輝度・光度を高水準で維持させる効果がある。
本発明の樹脂組成物を製造する方法としては、ポリアミド(A)、白色顔料(B)および必要に応じて添加されるマグネシウム化合物(C)や強化材(D)やその他添加剤などを配合して、溶融混練する方法が好ましい。
溶融混練法としては、ブラベンダー等のバッチ式ニーダー、バンバリーミキサー、ヘンシェルミキサー、ヘリカルローター、ロール、一軸押出機、二軸押出機等を用いる方法が挙げられる。
溶融混練温度は、ポリアミド(A)が溶融するが、ポリアミド(A)が分解しない領域から選ばれる。溶融混練温度が高すぎると、ポリアミド(A)、各種添加剤、および各種添加剤の表面処理剤等の有機成分が分解したり熱変色して、得られる反射板の反射率が低下するおそれがあることから、ポリアミド(A)の融点をTmとすると、溶融混練温度は、(Tm−20℃)〜(Tm+50℃)であることが好ましい。
本発明の樹脂組成物を溶融混練で製造する際には、白色顔料(B)および必要に応じて添加される強化材(D)を、複数回に分けてポリアミド(A)に供給することが好ましい。ポリアミド(A)と白色顔料(B)の溶融混練時に、白色顔料(B)あるいは強化材(D)を一度にポリアミド(A)に添加すると、樹脂組成物は、温度が一時的に急激に低下するために、粘度が急上昇し、さらには大きなせん断がかかることとなる。その結果、樹脂組成物は、実温度が装置の設定温度よりも高温になり、有機成分が分解したり熱変色したりするおそれがある。
白色顔料(B)あるいは強化材(D)を複数回に分けてポリアミド(A)に供給する方法としては、例えば、溶融混練機として連続式の二軸押出機を使用する場合、トップフィーダーとサイドフィーダーとの2か所に分けて白色顔料(B)あるいは強化材(D)を供給する方法が挙げられ、溶融混練機としてバッチ式のミキサーを使用する場合は、複数回に分けて供給する方法が挙げられる。
白色顔料(B)あるいは強化材(D)を複数回に分けてポリアミド(A)に供給することにより、樹脂組成物の実温度の過度な上昇を抑え、溶融混練中の熱劣化、酸化劣化による変色を抑制することができ、また樹脂組成物から得られた成形体においても、熱劣化、酸化劣化による変色を抑制することができる。
樹脂組成物の溶融混練においては、窒素、二酸化炭素、アルゴンなどの不活性ガスを、機台の原料供給部から加熱部までの全体に封入して、不活性ガス雰囲気下で溶融混練することが好ましい。それにより、溶融混練中のポリアミドおよび各種表面処理剤等の有機成分の酸化劣化による変色が抑えられると同時に、溶融混練以後の工程における変色も抑えられる効果がある。
本発明のポリアミド樹脂組成物を様々な形状に加工する方法としては、溶融混合物をストランド状に押出しペレット形状にする方法や、溶融混合物をホットカット、アンダーウォーターカットしてペレット形状にする方法や、シート状に押出しカッティングする方法、ブロック状に押出し粉砕してパウダー形状にする方法が挙げられる。
本発明のポリアミド樹脂組成物を成形して成形体を製造する方法としては、例えば、射出成形法、押出成形法、ブロー成形法、焼結成形法が挙げられ、機械的特性、成形性の向上効果が大きいことから、射出成形法が好ましい。
射出成形機としては、特に限定されず、例えば、スクリューインライン式射出成形機またはプランジャ式射出成形機が挙げられる。射出成形機のシリンダー内で加熱溶融されたポリアミド樹脂組成物は、ショットごとに計量され、金型内に溶融状態で射出され、所定の形状で冷却、固化された後、成形体として金型から取り出される。射出成形時の樹脂温度は、ポリアミド(A)の融点(Tm)以上で加熱溶融することが好ましく、(Tm+50℃)未満とすることがより好ましい。
なお、ポリアミド樹脂組成物の加熱溶融時には、十分に乾燥されたポリアミド樹脂組成物ペレットを用いることが好ましい。含有する水分量が多いと、射出成形機のシリンダー内で樹脂が発泡し、最適な成形体を得ることが困難となることがある。射出成形に用いるポリアミド樹脂組成物ペレットの水分率は、ポリアミド樹脂組成物100質量部に対して、0.3質量部未満であることが好ましく、0.1質量部未満であることがより好ましい。
成形時は、窒素、二酸化炭素、アルゴンなどの不活性ガスを、機台の原料供給部から加熱部までの全体に封入して、不活性ガス雰囲気下で成形することが好ましい。それにより、成形中のポリアミド(A)および各種表面処理剤等の有機成分の酸化劣化による変色が抑えられると同時に、成形工程以後の工程においても変色も抑えることができる。
本発明のポリアミド樹脂組成物を成形してなる成形体は、耐熱変色性と反射率に優れ、LED反射板に好適であり、この反射板を備えるLEDパッケージは、優れた輝度および光度を発揮し、LED照明装置や液晶ディスプレイのバックライトなどに好適に使用できる。
以下、実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例により限定されるものではない。
1.測定方法
ポリアミド(A)およびポリアミド樹脂組成物の特性は、以下の方法により測定、評価した。
(1)融点
示差走査熱量計DSC−7型(パーキンエルマー社製)用い、昇温速度20℃/分で350℃まで昇温した後、350℃で5分間保持し、降温速度20℃/分で25℃まで降温し、さらに25℃で5分間保持後、再び昇温速度20℃/分で昇温測定した際の吸熱ピークのトップを融点(Tm)とした。
(2)メルトフローレート(MFR)
JIS K7210に従い、(融点+15℃)の温度、1.2kgfの荷重で測定した。
MFRは、成形流動性の指標とすることができ、MFRの値が高いほど流動性が高いことを示す。
(3)反射率
ポリアミド樹脂組成物を十分に乾燥した後、射出成形機(日本製鋼所社製 J35−AD)を用いて、シリンダー温度(融点+15℃)、金型温度(融点−185℃)、成形サイクル25秒の条件で、20mm×20mm×0.5mmの成形体を作製した。表3に示すように、実施例23、24を除く実施例、比較例においては、この成形において、成形機の原料供給部に窒素ガスを導通し、酸素濃度が1%以下となるように窒素封入した。
得られた成形体を用いて、日立ハイテクサイエンス社製分光光度計(U−4000)により、460nmの波長における反射率を求めた。100%標準合わせは、酸化アルミニウムの白板を用いた。
(4)黄色度(イエローインデックス、YI)
上記(3)と同じ方法で得られた成形体を、170℃で2時間、オーブンで加熱し、熱処理した。
熱処理後の成形体の黄色度(YI)と、熱処理前の成形体の黄色度(YI)とを、日本電色社製分光色差計(SE6000)により、C光源、2度視野における三刺激値XYZの値を求め、JIS K7313にしたがって、次式により算出した。
YI=100(1.2769X−1.0592Z)/Y
(5)耐リフロー性
上記(4)で得られた熱処理後の成形体を試験片とし、85℃×85%RHにて168時間吸湿処理を行った後、赤外線加熱式のリフロー炉中にて、150℃で1分間加熱し、100℃/分の速度で265℃まで昇温し、10秒間保持した。
試験片について、ブリスター(水ぶくれ)発生、溶融の有無などを観察した。ブリスター発生、溶融などの外観変化がない場合を「○」と評価した。
(6)機械的特性
ポリアミド樹脂組成物を、射出成形機S2000i−100B型(ファナック社製)を用いて、シリンダー温度(融点+15℃)、金型温度(融点−185℃)、窒素封入なしの条件で射出成形し、試験片(ダンベル片)を作製した。
得られた試験片を用いて、ISO178に準拠して曲げ強度や曲げ弾性率を測定した。
2.原料
実施例および比較例で用いた原料を以下に示す。
(1)ポリアミド(A)
・ポリアミド(A−1)
ジカルボン酸成分として粉末状のテレフタル酸(TPA)4.70kgと、モノカルボン酸成分としてステアリン酸(STA)0.32kgと、重合触媒として次亜リン酸ナトリウム一水和物9.3gとを、リボンブレンダー式の反応装置に入れ、窒素密閉下、回転数30rpmで撹拌しながら170℃に加熱した。その後、温度を170℃に保ち、かつ回転数を30rpmに保ったまま、液注装置を用いて、ジアミン成分として100℃に加温した1,10−デカンジアミン(DDA)4.98kgを、2.5時間かけて連続的(連続液注方式)に添加し反応物を得た。なお、原料モノマーのモル比は、TPA:DDA:STA=48.5:49.6:1.9(原料モノマーの官能基の当量比率は、TPA:DDA:STA=49.0:50.0:1.0)であった。
続いて、得られた反応物を、同じ反応装置で、窒素気流下、250℃、回転数30rpmで8時間加熱して重合し、ポリアミドの粉末を作製した。
その後、得られたポリアミドの粉末を、二軸混練機を用いてストランド状とし、ストランドを水槽に通して冷却固化し、それをペレタイザーでカッティングしてポリアミド(A−1)ペレットを得た。
・ポリアミド(A−2)〜(A−4)
樹脂組成を表1に示すように変更した以外は、ポリアミド(A−1)と同様にして、ポリアミド(A−2)〜(A−4)を得た。
・ポリアミド(A−5):ポリアミド46(DSM社製 TW300)
・ポリアミド(A−6):ポリアミド66(ユニチカ社製 A125J)
上記ポリアミド(A−1)〜(A−6)の樹脂組成と特性値を表1に示す。
Figure 2017193638
(2)白色顔料(B)
・B−1:酸化チタン(石原産業社製 タイペーク PC−3)、平均粒径0.21μm
・B−2:硫酸バリウム(堺化学工業社製 バリファインBF−20)、平均粒径0.03μm
(3)マグネシウム化合物(C)
・C−1:酸化マグネシウム(協和化学工業社製 キョーワマグ MF150)、平均粒径0.72μm
・C−2:水酸化マグネシウム(協和化学工業社製 キスマ 5P)、平均粒径0.78μm
(4)強化材(D)
・D−1:ガラス繊維(旭ファイバーグラス社製 03JAFT692)、平均繊維径10μm、平均繊維長3mm
・D−2:タルク(林化成社製 GH7)、平均粒子径5.8μm
(5)酸化防止剤
・AO−1:リン系酸化防止剤 ビス(2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト(アデカ社製 アデカスタブPEP−36)
・AO−2:ヒンダードフェノール系酸化防止剤 3,9−ビス[2−{3−(3−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオニルオキシ}−1,1−ジメチルエチル]2,4,8,10−テトラオキサスピロ(5,5)ウンデカン(アデカ社製 AO−80)
・AO−3:フェニルホスフィン酸ナトリウム
(6)光安定剤
・LS:ヒンダードアミン系光安定剤 2−エチル−2−エトキシ−オキザルアニリド(クラリアントジャパン社製 ナイロスタブ S−EED)
実施例1
ポリアミド(A−1)64質量部、白色顔料(B−1)18質量部(全体の半量)、マグネシウム化合物(C−1)2質量部、酸化防止剤(AO−1)0.5質量部、酸化防止剤(AO−2)0.5質量部をドライブレンドし、ロスインウェイト式連続定量供給装置(クボタ社製 CE−W−1型)を用いて計量し、スクリュー径26mm、L/D50の同方向二軸押出機(東芝機械社製 TEM26SS型)の主供給口に供給して、溶融混練を行った。途中、サイドフィーダーより白色顔料(B−1)18質量部(残りの半量)を供給し、さらに混練を行った。定量供給装置、押出機の主供給口およびサイドフィーダーから窒素ガスを導通し、酸素濃度が1%以下となるように維持した。ダイスからストランド状に引き取った後、水槽に通して冷却固化し、それをペレタイザーでカッティングしてポリアミド樹脂組成物のペレットを得た。押出機のバレル温度設定は、(融点−5〜+15℃)、スクリュー回転数250rpm、吐出量25kg/hとした。
実施例2〜24、比較例1〜5
ポリアミド樹脂組成物の組成、および溶融混練時の条件を表2に示すように変更した以外は、実施例1と同様の操作をおこなってポリアミド樹脂組成物ペレットを得た。
なお、実施例14、15、17、18においては、強化材(D)の全量をサイドフィーダーより供給し、実施例16においては、主供給口とサイドフィーダーよりそれぞれ半量ずつ供給した。また、比較例1、3、5においては、白色顔料(B−1)の全量を主供給口より供給した。
得られたポリアミド樹脂組成物ペレットを用い、各種評価試験を行った。その結果を表2、3に示す。
Figure 2017193638
Figure 2017193638
実施例1〜24の樹脂組成物は、高い反射率を示し、耐熱性(耐リフロー性)に優れるとともに、熱処理前後のYIの比が小さく、耐熱変色性に優れるものであった。
ポリアミド(A)のモノカルボン酸成分として、分子量が140以上のモノカルボン酸を含有した実施例1、2、4の樹脂組成物は、実施例3の樹脂組成物と比較して、熱処理前後のYIの比が小さく、反射率が高かった。ポリアミド(A)のモノカルボン酸成分として脂肪族モノカルボン酸を用いた実施例1の樹脂組成物は、芳香族モノカルボン酸を用いた実施例3の樹脂組成物よりも、熱処理前後のYIの比が小さく、反射率が高かった。ポリアミド(A)の脂肪族ジアミン成分として、1,9−ノナンジアミンを用いた実施例2の樹脂組成物よりも、1,10−デカンジアミンを用いた実施例1の樹脂組成物の方が、機械的特性が優れていた。
融点が259℃のポリアミド(A−6)を含有する比較例2の樹脂組成物は、耐リフロー性評価試験において試験片が溶融し、また、融点が285℃であるが、吸水率が高い脂肪族ポリアミド(A−5)を含有する実施例5の樹脂組成物は、同試験において試験片にブリスターの発生がみられた。しかし、テレフタル酸成分を含有して吸水率が低い半芳香族ポリアミドを含有する他のすべての実施例の樹脂組成物は、耐リフロー性に優れ、試験片の外観に変化はみられなかった。
溶融混練時に白色顔料を2回に分けて供給した実施例1、21の樹脂組成物の方が、比較例1、5の樹脂組成物に比較して、それぞれ熱処理前のYI、熱処理後のYI、およびYIの比がすべて低く抑えられており、反射率も高かった。また、溶融混練時に強化材を2回に分けて供給した実施例16の樹脂組成物の方が、実施例15の樹脂組成物に比較して、熱処理前のYI、熱処理後のYI、およびYIの比がすべて低く抑えられており、反射率も高かった。
溶融混練時および/または射出成形時に不活性ガス封入した実施例1、22、23の樹脂組成物は、実施例24の樹脂組成物に比較して、熱処理前のYI、熱処理後のYI、YIの比がすべて低く抑えられており、反射率も高かった。
酸化防止剤としてリン系のものとフェノール系のものを併用した実施例1の樹脂組成物は、フェニルホスフィン酸ナトリウムを単独で使用した実施例21の樹脂組成物に比較して、熱処理前後のYIの比が小さく、反射率も高かった。
比較例3の樹脂組成物は、白色顔料の含有量が少ないため、反射率が低かった。比較例4の樹脂組成物は、白色顔料の含有量が多すぎるため、溶融混練時のストランドの引き取りを行うことができず、樹脂組成物のペレットを採取することができなかった。
1 反射板
2 リードフレーム
3 金線
4 透明封止樹脂
5 発光ダイオード(LED)チップ

Claims (11)

  1. 融点が270〜350℃のポリアミド(A)と、白色顔料(B)とを含有するポリアミド樹脂組成物であって、
    ポリアミド(A)と白色顔料(B)の質量比(A/B)が40/60〜95/5であり、170℃、2時間熱処理後の黄色度(YI)と熱処理前の黄色度(YI)の比(YI/YI)が1.0〜2.0であることを特徴とするポリアミド樹脂組成物。
  2. 黄色度(YI)が0.1〜10であることを特徴とする請求項1記載のポリアミド樹脂組成物。
  3. さらにマグネシウム化合物(C)を含有し、マグネシウム化合物(C)が酸化マグネシウムおよび/または水酸化マグネシウムであり、含有量が、ポリアミド(A)と白色顔料(B)の合計100質量部に対して、0.05〜10質量部であることを特徴とする請求項1または2記載のポリアミド樹脂組成物。
  4. さらに強化材(D)を含有し、含有量が、ポリアミド(A)と白色顔料(B)の合計100質量部に対して、2〜70質量部であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のポリアミド樹脂組成物。
  5. 請求項1〜4のいずれかに記載のポリアミド樹脂組成物を製造するための方法であって、ポリアミド(A)と白色顔料(B)の溶融混練において、白色顔料(B)を複数回に分けてポリアミド(A)に供給することを特徴とするポリアミド樹脂組成物の製造方法。
  6. 請求項4記載のポリアミド樹脂組成物を製造するための方法であって、ポリアミド(A)と強化材(D)の溶融混練において、強化材(D)を複数回に分けてポリアミド(A)に供給することを特徴とするポリアミド樹脂組成物の製造方法。
  7. ポリアミド(A)の重合および/または樹脂組成物の溶融混練を、不活性ガス雰囲気下にて実施することを特徴とする請求項5または6記載のポリアミド樹脂組成物の製造方法。
  8. 請求項1〜4のいずれかに記載のポリアミド樹脂組成物を成形してなることを特徴とする成形体。
  9. 請求項1〜4のいずれかに記載のポリアミド樹脂組成物を成形してなる反射板。
  10. 請求項9記載の反射板を備えるLEDパッケージ。
  11. 請求項10記載のLEDパッケージを備える照明装置。

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CN114891268A (zh) * 2022-03-31 2022-08-12 杭州本松新材料技术股份有限公司 纳米TiO2作为调色剂在纤维增强热塑性树脂材料中的用途

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* Cited by examiner, † Cited by third party
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CN114891268A (zh) * 2022-03-31 2022-08-12 杭州本松新材料技术股份有限公司 纳米TiO2作为调色剂在纤维增强热塑性树脂材料中的用途

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