JP2013076001A - ポリアミド樹脂組成物 - Google Patents
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Abstract
【課題】
LEDの製造工程を想定した高温加熱処理を行っても、変色せずに、高い白色度を維持し、可視光領域での反射率特性に優れ、透明封止材と密着性の良いLED用リフレクタを与えるポリアミド樹脂組成物を提供する。
【解決手段】
テレフタル酸から誘導されるジカルボン酸成分10〜40重量%(a−1−1)および炭素原子数6〜20の脂肪族ジカルボン酸成分0〜40重量%(a−1−2)からなるジカルボン酸成分(a−1)、炭素原子数6〜20のジアミン成分10〜50重量%(a−2)並びに炭素原子数が6〜12のアミノ酸またはラクタム成分0〜80重量%(a−3)を共重合して得られるポリアミド樹脂(A)100重量部に対し、水酸化マグネシウム(B)0.5〜20重量部、酸化チタン(C)10〜100重量部、耐候剤(D)0.1〜2重量部および強化材(E)5〜40重量部を含むポリアミド樹脂組成物。
【選択図】なし
LEDの製造工程を想定した高温加熱処理を行っても、変色せずに、高い白色度を維持し、可視光領域での反射率特性に優れ、透明封止材と密着性の良いLED用リフレクタを与えるポリアミド樹脂組成物を提供する。
【解決手段】
テレフタル酸から誘導されるジカルボン酸成分10〜40重量%(a−1−1)および炭素原子数6〜20の脂肪族ジカルボン酸成分0〜40重量%(a−1−2)からなるジカルボン酸成分(a−1)、炭素原子数6〜20のジアミン成分10〜50重量%(a−2)並びに炭素原子数が6〜12のアミノ酸またはラクタム成分0〜80重量%(a−3)を共重合して得られるポリアミド樹脂(A)100重量部に対し、水酸化マグネシウム(B)0.5〜20重量部、酸化チタン(C)10〜100重量部、耐候剤(D)0.1〜2重量部および強化材(E)5〜40重量部を含むポリアミド樹脂組成物。
【選択図】なし
Description
本発明は、耐熱性、白色度、可視光領域での反射率特性に優れたポリアミド樹脂組成物、およびそれからなるLED(発光ダイオード素子;Light Emitting Diode)リフレクタに関するものである。
近年、LED、有機ELなどの新しい光源が、低電力、高寿命などのメリットを活かして、照明、表示素子などとして需要を拡大しつつある。特にLEDは、携帯電話などの移動通信機器、ディスプレイ、自動車コンソールパネル、信号機、その他の家電用品など種々の用途の電気電子機器製品に使用されている。
LEDは、一般に、発光する半導体部、リード線、ハウジングを兼ねたリフレクタ、半導体を封止する透明な封止剤から構成されている。このうち、リフレクタ部分はセラミックや耐熱プラスチックなど種々の材料で製品化されているが、セラミックの場合には生産性が課題とされている。一方、耐熱プラスチックの場合には、射出成形工程(330℃、数分間)、導電接着剤や封止剤の熱硬化工程(100〜200℃、数時間)、ハンダ付け工程(特に、表面実装技術(SMT)における鉛フリーハンダ(錫−銀−銅アロイ系ハンダなど)使用時のピーク温度260℃以上、数分間)や実際の使用環境下において、変色による光反射率の低下が課題となっている。特に、汎用されている耐熱ポリアミドは加熱により変色しやすく、その光反射率の低下が無視できない。
また、近年のLED光源の発展により、赤(R;630nm)、緑(G;525nm)、青(B;470nm)などRGBの色の再現がLEDで可能となっており、更に、白色LEDの発明により液晶表示板や照明などの用途で市場が急成長している。白色LEDで求められるLEDリフレクタに対しては、青色LEDの波長に対応した平均波長470nm付近の反射率が高いほど輝度が高くなるため、平均波長470nm付近の反射率が高いことが求められる。
ところで、ランプリフレクタ等の反射鏡等に成形可能なポリアミド樹脂組成物として、テレフタル酸単位を60〜100モル%含有するジカルボン酸単位と、炭素数6〜18の脂肪族アルキレンジアミン単位とからなるポリアミドに対して、特定の平均粒径を有する無機充填剤を配合したポリアミド組成物が知られている(特許文献1参照)。このポリアミド組成物は、吸湿時の耐熱性、寸法安定性、表面平滑性に優れており、しかも表面外観が美麗である成形品を与えるとされており、また、無機充填剤として、ガラス繊維や酸化チタン等を1種または2種以上を使用している。しかしながら、特許文献1には、ランプリフレクタの中でも、より高い反射率が求められるLEDリフレクタの分野において、このような高い光反射率を有するリフレクタを与えるポリアミド樹脂組成物を示唆する記載はなく、しかも、このポリアミド組成物では、変色による光反射率の低下を十分に防止することができないという課題があった。
また、LED等の発光装置用反射板材料として好適に使用できる反射板用樹脂組成物として、特定の半芳香族ポリアミドにチタン酸カリウム繊維及び/又はワラストナイトをそれぞれ特定量含有した反射板用樹脂組成物が提案されている(特許文献2参照)。この反射板用樹脂組成物は、半芳香族ポリアミドが持つ有用な物性を損なうことなく、光反射率、白色度、成形加工性、機械的強度、寸法安定性、耐熱性、吸湿性において高水準の物性を有し、特に、遮光性に優れ、高温に晒されても変色を起こすことなく高い白色度を維持できるとされている。しかしながら、この反射板用樹脂組成物に対しても、変色による光反射率の低下の防止は十分とはいえず、より高いレベルで防止することが求められていた。
そこで、白色度が高く、表面反射率が高い成形品を与え、ランプリフレクタ材料となる有用なポリアミド組成物として、テレフタル酸単位を含有するジカルボン酸単位と1,9−ノナンジアミン単位を有するジアミン単位とからなる半芳香族ポリアミドに、特定の酸化チタンと特定量の水酸化マグネシウムを含有させたポリアミド樹脂組成物が提案されている(特許文献3参照)。このポリアミド樹脂組成物は、PA6TあるいはPA46などの従来の耐熱性ポリアミドを使用した樹脂組成物と比較して著しくハンダ耐熱性が高く、白色度、表面反射率が高いとされている。
しかしながら、特許文献3に記載されたポリアミド樹脂組成物は、加熱による変色が改善されているが、実際にLED部材として使用される場合、発光ダイオードの透明封止材との密着性を評価すると密着性が劣る結果であった。この結果はLEDの寿命を短くする要因になる。
本発明は、LEDの製造工程を想定した高温加熱処理を行っても、変色が少なく、高い白色度を維持し、LEDの寿命に影響する透明封止材との密着性のバランスが取れたLED用リフレクタを与えるポリアミド組成物を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意研究した結果、本発明に到達した。すなわち本発明は、
(1)テレフタル酸から誘導されるジカルボン酸成分10〜40重量%(a−1−1)および炭素原子数6〜20の脂肪族ジカルボン酸成分0〜40重量%(a−1−2)からなるジカルボン酸成分(a−1)、炭素原子数6〜20のジアミン成分10〜50重量%(a−2)並びに炭素原子数6〜12のアミノ酸またはラクタム成分0〜80重量%(a−3)を共重合して得られるポリアミド樹脂(A)100重量部に対し、水酸化マグネシウム(B)0.5〜20重量部、酸化チタン(C)10〜100重量部、耐候剤(D)0.1〜2重量部および強化材(E)5〜40重量部を含むポリアミド樹脂組成物
(2)ポリアミド樹脂(A)が、80℃95%RHの条件下で平衡吸水率が5.0重量%以下であることを特徴とする上記(1)記載のポリアミド樹脂組成物。
(3)酸化チタン(C)の表面がシランカップリング剤で処理されてなる上記(1)または(2)記載のポリアミド樹脂組成物。
(4)耐候剤(D)がヒンダードアミン系耐候剤である上記(1)〜(3)のいずれかに記載のポリアミド樹脂組成物。
(5)耐候剤(D)が分子量900以上であるヒンダードアミン系耐候剤である上記(4)に記載のポリアミド樹脂組成物。
(6)上記(1)〜(5)のいずれかに記載のポリアミド樹脂組成物からなるLEDリフレクタ。
(1)テレフタル酸から誘導されるジカルボン酸成分10〜40重量%(a−1−1)および炭素原子数6〜20の脂肪族ジカルボン酸成分0〜40重量%(a−1−2)からなるジカルボン酸成分(a−1)、炭素原子数6〜20のジアミン成分10〜50重量%(a−2)並びに炭素原子数6〜12のアミノ酸またはラクタム成分0〜80重量%(a−3)を共重合して得られるポリアミド樹脂(A)100重量部に対し、水酸化マグネシウム(B)0.5〜20重量部、酸化チタン(C)10〜100重量部、耐候剤(D)0.1〜2重量部および強化材(E)5〜40重量部を含むポリアミド樹脂組成物
(2)ポリアミド樹脂(A)が、80℃95%RHの条件下で平衡吸水率が5.0重量%以下であることを特徴とする上記(1)記載のポリアミド樹脂組成物。
(3)酸化チタン(C)の表面がシランカップリング剤で処理されてなる上記(1)または(2)記載のポリアミド樹脂組成物。
(4)耐候剤(D)がヒンダードアミン系耐候剤である上記(1)〜(3)のいずれかに記載のポリアミド樹脂組成物。
(5)耐候剤(D)が分子量900以上であるヒンダードアミン系耐候剤である上記(4)に記載のポリアミド樹脂組成物。
(6)上記(1)〜(5)のいずれかに記載のポリアミド樹脂組成物からなるLEDリフレクタ。
本発明のポリアミド樹脂組成物は、耐熱性に優れているだけでなく、LEDの製造工程を想定した高温加熱処理を行っても、高い白色度を維持し、かつ、可視光領域での反射率特性に優れており、またLED発光素子の透明封止剤との密着性が良好である。従って、最終製品(例えば、携帯電話機の液晶表示画面など)の高輝度化および長寿命化に貢献するLEDリフレクタに成形できる。
本発明で用いるポリアミド樹脂とは、(a−1−1)、(a−1−2)、(a−2)および(a−3)の合計を100重量%として、テレフタル酸から誘導されるジカルボン酸成分10〜40重量%(a−1−1)および炭素原子数6〜20の脂肪族ジカルボン酸成分0〜40重量%(a−1−2)からなるジカルボン酸成分(a−1)、炭素原子数6〜20のジアミン成分10〜50重量%(a−2)並びに炭素原子数が6〜12のアミノ酸またはラクタム成分0〜80重量%(a−3)を共重合して得られるものである。
ジカルボン酸成分(a−1−1)が10重量%未満の場合、リフロー特性が悪化し、40重量%より多くなると成形性が悪化し、さらに透明封止材との密着性も悪化する。
炭素原子数6〜20の脂肪族ジカルボン酸成分(a−1−2)は、炭素原子数は6〜12が好ましい。このような脂肪族ジカルボン酸の例としては、例えば、アジピン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、デカンジカルボン酸、ウンデカンジカルボン酸、ドデカンジカルボン酸などが挙げられる。
また上記脂肪族ジカルボン酸成分は、1種単独で用いても良いし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
上記脂肪族ジカルボン酸成分が40重量%より多い場合、耐熱性が低下し、リフロー特性が悪化する。
炭素原子数6〜20のジアミン成分(a−2)は、直鎖および/または側鎖を有する炭素原子数6〜20であり、6〜12の脂肪族ジアミンが好ましい。直鎖脂肪族ジアミン成分の具体的な例としては、1,6−ジアミノヘキサン、1,7−ジアミノヘプタン、1,8−ジアミノオクタン、1,9−ジアミノノナン、1,10−ジアミノデカン、1,11−ジアミノウンデカン、1,12−ジアミノドデカン等が挙げられる。これらの中でも、1,6−ジアミノヘキサンが好ましい。また、側鎖を有する直鎖脂肪族ジアミン成分の具体的な例としては、2−メチル−1,5−ジアミノペタン、2−メチル−1,6−ジアミノヘキサン、2−メチル−1,7−ジアミノヘプタン、2−メチル−1,8−ジアミノオクタン、2−メチル−1,9−ジアミノノナン、2−メチル−1,10−ジアミノデカン、2−メチル−1,11−ジアミノウンデカン等が挙げられる。この中では、2−メチル−1,7−ジアミノヘプタン、2−メチル−1,8−ジアミノオクタン、2−メチル−1,9−ジアミノノナンが好ましい。
また上記ジアミン成分は、1種単独で用いても良いし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
炭素原子数6〜12のアミノ酸またはラクタム成分(a−3)は6−アミノカプロン酸、11−アミノウンデカン酸、12−アミノドデカン酸、パラアミノメチル安息香酸などのアミノ酸またはε−カプロラクタム、ω−ラウロラクタムなどのラクタム類でもよい。
本発明のポリアミド樹脂(A)における、前記ジカルボン酸成分(a−1)、前記ジアミン成分(a−2)並びに前記アミノ酸またはラクタム成分(a−3)が、前記配合比の範囲を外れると、耐熱性、高温加熱処理時の白色度、可視光領域での反射率特性、またはLED発光素子の透明封止剤との密着性が悪化する。
ポリアミド樹脂(A)は、公知の何れの方法を採用して製造してもよい。一般的には、前述のテレフタル酸から誘導されるジカルボン酸成分10〜40重量%(a−1−1)および炭素原子数6〜20の脂肪族ジカルボン酸成分0〜40重量%(a−1−2)からなるジカルボン酸成分(a−1)、炭素原子数6〜20のジアミン成分10〜50重量%(a−2)並びに炭素原子数が6〜12のアミノ酸又はラクタム成分0〜80重量%(a−3)とを反応系中に加えて、触媒の存在下で加熱することにより製造することができる。
この反応は、通常は不活性ガス雰囲気下で行なわれ、一般には反応容器内を窒素ガスなどの不活性ガスで置換する。また、ポリアミドの重縮合反応を制御するために、水を予め封入しておくことが好ましい。封入される水には、水に可溶な有機溶媒(例えばメタノール、エタノールなどのアルコール類)が含有されていてもよい。
ポリアミド樹脂(A)を製造するための重縮合反応で用いられる触媒の例には、リン酸、その塩およびリン酸エステル化合物;亜リン酸、その塩およびエステル化合物;並びに、次亜リン酸、その塩およびエステル化合物などが含まれる。これらの中でも、リン酸ナトリウム、亜リン酸ナトリウム、次亜リン酸カリウム、次亜リン酸ナトリウムなどが好ましい。これらのリン酸化合物は、単独であるいは組み合わせて触媒として使用することができる。触媒の使用量は、ジカルボン酸100モルに対して、通常は0.01〜5モル、好ましくは0.05〜2モルである。
ポリアミド樹脂(A)を製造するために、末端封止剤を使用することが好ましい。末端封止剤は、重縮合体の末端と反応して封止することにより、さらなる重縮合を防止することができる。末端封止剤の例には、安息香酸、安息香酸のアルカリ金属塩、酢酸などが含まれる。末端封止剤の使用量は、ジカルボン酸100モルに対して、通常は0.1〜5モル、好ましくは0.5〜2モルの範囲内である。末端封止剤の使用量を調整することにより、得られる重縮合物の極限粘度[η]を制御することができる。
このような重縮合物を調製する際の重縮合反応の条件は、具体的には、反応温度を通常200〜320℃、好ましくは220〜310℃として、反応時間を通常0.5〜5時間、好ましくは1〜3時間とする。さらにこの反応は、常圧から加圧のいずれの圧力条件でも行うことができるが、加圧条件で行うことが好ましい。反応圧は、通常2〜5MPa、好ましくは2.5〜4MPaの範囲内に設定される。
このようにして重縮合反応を行うことにより、25℃の98%硫酸中でウベローデ型粘度計を用いて測定した相対粘度が、通常は0.5〜1.8の範囲内にある低次縮合物を得ることができる。こうして水性媒体中に生成したポリアミド低次縮合物は、反応液と分離される。ポリアミド低次縮合物と反応液との分離は、例えば濾過や遠心分離などにより行うこともできる。
上記のようにして得られたポリアミド低次縮合物を、さらに後重合させることによりポリアミド樹脂(A)を製造することが好ましい。具体的には、ポリアミド低次縮合物を乾燥した後に加熱して溶融状態にし、この溶融物に剪断応力を付与しながら後重合を行うことが好ましい。後重合反応に際しては、乾燥したポリアミド低次縮合物を、少なくとも溶融するまで加熱する。通常は、乾燥ポリアミド低次縮合物の融点以上の温度、好ましくはこの融点よりも10〜60℃高い温度にまで加熱する。剪断応力は、例えばベント付き二軸押出機、またはニーダーなどを用いることにより溶融物に付与することができる。溶融物に剪断応力を付与することにより、溶融状態にある乾燥したポリアミド低次縮合物が相互に重縮合するとともに、重縮合物同士、または低次縮合物と重縮合物との間の重縮合反応も進行するものと考えられる。前記方法で測定される相対粘度が1.7〜4.0の範囲のものが好ましく、1.8〜3.5の範囲のものが特に好ましい。相対粘度がこの範囲に有ると成形性、機械特性に優れ、本発明に好適である。
ポリアミド樹脂(A)が、80℃95%RHの条件下での平衡吸水率については、特に制限はないが、平衡吸水率5.0重量%以下が好ましく、4.0重量%以下がさらに好ましい。平衡吸水率が5.0重量%以下になるとハンダ付け工程時にブリスターが発生しにくく、リフロー特性が向上する。
平衡給水率の測定方法としては、ポリアミド樹脂(A)の融点よりも約20℃高い温度で射出成形を行い、厚さ0.38mm、幅12.7mm、長さ127mmの成形品を作製し、その後成形品を80℃95RH%の条件にて500時間放置し、試験前と試験後の重量変化から平衡吸水率を決定する方法が挙げられる。
本発明のポリアミド樹脂組成物は、必須成分として水酸化マグネシウム(B)を含有する。これにより、特に長時間加熱処理を行った際においても、黄変等の変色や白色度の低下を抑制することができる。
水酸化マグネシウム(B)の平均粒径は特に制限はないが、物性向上の観点から0.05〜10μmが好ましく、より好ましくは0.1〜5μmである。また、ポリアミド樹脂(A)との密着性および分散性を向上させるために表面処理を施したものを使用してもよい。表面処理剤としては、例えば、アミノシラン、エポキシシランなどのシランカップリング剤、チタンカップリング剤、有機酸、ポリオール、シリコーン等の有機物などが挙げられる。
水酸化マグネシウム(B)の含有量は、ポリアミド樹脂(A)100重量部に対して0.5〜20重量部の範囲であり、好ましくは3〜15重量部である。該含有量が0.5重量部未満では白色度低下の抑制に対する効果が小さく、20重量部を超えると成形性、機械物性が低下するからである。
本発明においては光の反射率を向上させる目的で酸化チタン(C)を配合することが必須である。かかる酸化チタン(C)としては、例えば、酸化チタン(TiO)、三酸化二チタン(Ti2O3)、二酸化チタン(TiO2)などが挙げられ、これらのいずれを使用してもよいが、二酸化チタンが好ましい。また、酸化チタン(C)としては、通常、ルチル型の結晶構造を有するものが使用される。
酸化チタン(C)の平均粒径は、光反射率を向上させる観点から、好ましくは0.1〜0.5μm、より好ましくは0.15〜0.40μm、特に好ましくは0.2〜0.3μmの範囲内である。
また、酸化チタン(C)として、表面処理を施したものを使用してもよい。表面処理剤としては、例えば、シリカ、アルミナ、酸化亜鉛等の金属酸化物;シランカップリング剤、チタンカップリング剤、有機酸、ポリオール、シリコーン等の有機物などが挙げられる。その中で、シランカップリング剤を使用したものが好適である。シランカップリング剤で表面処理を実施するとポリアミド樹脂(A)と酸化チタンの密着性が向上し機械強度が向上する。
本発明において、酸化チタン(C)の使用量は、ポリアミド樹脂(A)100重量部に対して10〜100重量部、好ましくは10〜70重量部、より好ましくは10〜50重量部である。10重量部未満であると光反射率が低下し、100重量部を超えると表面平滑性や成形加工性が低下するからである。このように、酸化チタン(C)の使用量を上記の範囲内とすることにより、白色度が高く、表面反射率の高い成形品を与えるポリアミド樹脂組成物を得ることができる。
本発明のポリアミド樹脂組成物は、変色を防止し、光反射率の低下を抑制することを目的として、耐候剤(D)を含有する。耐候剤としては、ベンゾフェノン系化合物、サリチレート系化合物、ベンゾトリアゾール系化合物、アクリロニトリル系化合物、その他の共役系化合物などの紫外線吸収効果のある化合物、ヒンダードアミン系化合物、ヒンダードフェノール系化合物などのラジカル捕捉能力のある化合物等を挙げることができる。特に、ポリアミド樹脂(A)への溶解性が高い、ヒンダードアミン系耐候剤がよい。その中でもさらに耐熱性の観点から分子量が大きい(分子量:900以上)化合物が好ましい。また、紫外線吸収効果のある化合物とラジカル捕捉能力のある化合物を併用すると、より高い安定化効果が現れる。
耐候剤(D)の使用量は、ポリアミド樹脂組成物の変色の防止と光反射率の低下の抑制という効果と、過度に製造コストを増大させないという観点とを考慮すると、ポリアミド樹脂(A)100重量部に対して0.1〜2重量部とする。なお、これらの耐候剤は2種以上を併用して使用することも可能である。
本発明のポリアミド樹脂組成物は、さらに必須成分として強化材(E)を含有する。かかる強化材(E)としては、例えば繊維状充填剤および針状充填剤からなる群より選ばれる少なくとも1種が挙げられる。これにより、本発明のポリアミド樹脂組成物から得られる成形品の強度や耐熱性を高めることができる。上記繊維状充填剤としては、例えば、ガラス繊維、炭素繊維、ホウ素繊維、アラミド繊維、液晶ポリエステル繊維などが挙げられ、また、上記針状充填剤としては、例えば、ワラストナイト(メタ珪酸カルシウム)、チタン酸カリウムウィスカー、ホウ酸アルミニウムウィスカー、酸化亜鉛ウィスカー、炭酸カルシウムウィスカーなどが挙げられる。上記強化材を2種以上含有していてもよい。中でも、強化材(E)としては、高強度、低コストの観点からはガラス繊維を使用することが好ましく、表面平滑性の高い成形品が得られる観点からは針状充填剤を使用することが好ましい。特に、白色度を保持する観点からガラス繊維、ワラストナイト(メタ珪酸カルシウム)、チタン酸カリウムウィスカー、ホウ酸アルミニウムウィスカーを好ましく使用できる。
このような強化材(E)は、ポリアミド樹脂(A)への分散性を高めるため、あるいは、ポリアミド樹脂(A)との接着性を高めるために、シランカップリング剤、および/または、アクリル樹脂、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂などで表面処理されていることが好ましい。
本発明のポリアミド樹脂組成物中における強化材(E)の含有量は、ポリアミド(A)100重量部に対して5〜40重量部、好ましくは5〜30重量部の範囲内である。5重量部未満であると、本発明のポリアミド樹脂組成物からなる成形品の機械的強度が低下し、40重量部を超えると、該成形品を得る際の成形加工性が低下するからである。
本発明のポリアミド樹脂組成物には、成形加工性を向上させる目的で、金属石鹸、高級脂肪族エステル類およびその部分けん化物、低分子量ポリオレフィン化合物、シリコーンオイル、フッ素系オイルなどの離型剤を配合することができる。特に、金型離型効果が高く、金属腐食性の小さい低分子量ポリエチレンを好ましく使用できる。
さらに、本発明のポリアミド樹脂組成物には、必要に応じて、難燃剤;難燃助剤;着色剤;帯電防止剤;可塑剤;結晶核剤;ハロゲンキャッチャ等の添加剤を添加しても良い。また必要に応じてPPS(ポリフェニレンサルファイド)、PPE(ポリフェニレンエーテル)、LCP(液晶ポリマー)などの他種ポリマーなどを配合することもできる。
本発明のポリアミド樹脂組成物製造方法は特に制限はなく、例えば単軸または2軸の押出機やニーダー等の混練機を用いて溶融混練する方法等が挙げられる。
混練温度としてはポリアミド樹脂(A)の融点より5℃高い温度以上から350℃以下の範囲内であることが好ましい。また、ガラス繊維など、繊維状もしくは針状充填剤の、その直径に対する長手方向の長さの割合が高いほど高い補強効果が発現するため、樹脂成分が溶融した後に無機強化材を配合する製造方法が好ましい。
本発明のポリアミド樹脂組成物は、目的とする成形品の種類、用途、形状などに応じて、射出成形、押出成形、プレス成形、ブロー成形、カレンダー成形、流延成形などの一般に熱可塑性樹脂組成物に対して用いられる成形方法により、各種の成形品とすることができる。また上記の成形方法を組み合わせた成形方法を採用することもできる。特に、成形の容易さ、量産性、コストなどの面で射出成形が好ましい。また、本発明のポリアミド樹脂組成物と他のポリマーとを複合成形することもできる。さらに、本発明のポリアミド樹脂組成物を、金属からなる成形体や布帛などと複合化することも可能である。
以下、実施例を挙げてさらに本発明を詳細に説明するが、本発明はこれらにより限定されるものではない。実施例および比較例に用いた測定方法を以下に示す。
(1)材料強度
以下の標準方法に従って測定した。
引張強度:ISO 527−1、−2
曲げ強さ:ISO 178
曲げ弾性率:ISO 178
以下の標準方法に従って測定した。
引張強度:ISO 527−1、−2
曲げ強さ:ISO 178
曲げ弾性率:ISO 178
(2)硫酸相対粘度
JIS−K6810に従って98%硫酸での相対粘度を測定した。
JIS−K6810に従って98%硫酸での相対粘度を測定した。
(3)平衡吸水率
下記の実施例および比較例で使用したポリアミドの融点よりも約20℃高い温度で射出成形を行い、厚さ0.38mm、幅12.7mm、長さ127mmの成形品を作製した。その後成形品を80℃95RH%の条件にて500時間放置し、試験前と試験後の重量変化から吸水率を決定した。
下記の実施例および比較例で使用したポリアミドの融点よりも約20℃高い温度で射出成形を行い、厚さ0.38mm、幅12.7mm、長さ127mmの成形品を作製した。その後成形品を80℃95RH%の条件にて500時間放置し、試験前と試験後の重量変化から吸水率を決定した。
(4)白色度および反射率
下記の実施例および比較例で使用したポリアミドの融点よりも約20℃高い温度で射出成形(金型温度:120℃)を行い、厚さ3mm、幅80mm、長さ80mmの板を作製した。また、1.成形後(初期値)、2.封止剤の熱硬化工程を想定した170℃、2hの加熱処理を行い白色度、反射率を以下の方法で求めた。
下記の実施例および比較例で使用したポリアミドの融点よりも約20℃高い温度で射出成形(金型温度:120℃)を行い、厚さ3mm、幅80mm、長さ80mmの板を作製した。また、1.成形後(初期値)、2.封止剤の熱硬化工程を想定した170℃、2hの加熱処理を行い白色度、反射率を以下の方法で求めた。
白色度
この板を使用し、SMカラーコンピューター(スガ試験機(株)製)を用いて、JISZ8730に規定されるハンターの色差式による明度(L値)、赤色度(a値)および黄色度(b値)を求めた。また、以下の式(2)に従って、白色度(ハンター式)を算出した。以下式(2)中、中aは上記赤色度(a値)を表し、bは上記黄色度(b値)を表し、Lは上記明度(L値)を表す。
W(白色度)=100−sqr〔(100−L)^2+(a^2+b^2)〕
この板を使用し、SMカラーコンピューター(スガ試験機(株)製)を用いて、JISZ8730に規定されるハンターの色差式による明度(L値)、赤色度(a値)および黄色度(b値)を求めた。また、以下の式(2)に従って、白色度(ハンター式)を算出した。以下式(2)中、中aは上記赤色度(a値)を表し、bは上記黄色度(b値)を表し、Lは上記明度(L値)を表す。
W(白色度)=100−sqr〔(100−L)^2+(a^2+b^2)〕
反射率
下記の実施例および比較例で使用したポリアミドの融点よりも約20℃高い温度で射出成形(金型温度:120℃)を行い、厚さ3mm、幅80mm、長さ80mmの板を作製した。この板を使用し、スペクトロフォトメーター(日立製作所(株)製)を用いて、460nmの波長における反射率を求めた。
下記の実施例および比較例で使用したポリアミドの融点よりも約20℃高い温度で射出成形(金型温度:120℃)を行い、厚さ3mm、幅80mm、長さ80mmの板を作製した。この板を使用し、スペクトロフォトメーター(日立製作所(株)製)を用いて、460nmの波長における反射率を求めた。
(5)リフロー特性
下記の実施例および比較例で使用したポリアミドの融点よりも約20℃高い温度で射出成形を行い、厚さ0.38mm、幅12.7mm、長さ127mmの成形品を作製した。この板を80℃、95%RH(相対湿度)の雰囲気中に48時間放置した。その後、23℃50%RHにて1日放置し、この試験片をあらかじめ280℃に予熱した熱風乾燥機で5分間加熱し、試験片の表面状態を観察した。成形品20本中に表面にブリスター発生が0〜5本までを○、5〜10本までを△、それ以上を×とした。
下記の実施例および比較例で使用したポリアミドの融点よりも約20℃高い温度で射出成形を行い、厚さ0.38mm、幅12.7mm、長さ127mmの成形品を作製した。この板を80℃、95%RH(相対湿度)の雰囲気中に48時間放置した。その後、23℃50%RHにて1日放置し、この試験片をあらかじめ280℃に予熱した熱風乾燥機で5分間加熱し、試験片の表面状態を観察した。成形品20本中に表面にブリスター発生が0〜5本までを○、5〜10本までを△、それ以上を×とした。
(6)封止材との密着性評価
フェニル基含有シリコーン樹脂(OE6630 東レ・ダウコーニング(株)製)をポリアミドの融点より20℃高い温度で射出成形(金型温度:120℃)した厚さ3mm、幅80mm、長さ80mmの角板の表面にOE6630未硬化品を塗布し、150℃ 1h 加熱し硬化させた。
フェニル基含有シリコーン樹脂(OE6630 東レ・ダウコーニング(株)製)をポリアミドの融点より20℃高い温度で射出成形(金型温度:120℃)した厚さ3mm、幅80mm、長さ80mmの角板の表面にOE6630未硬化品を塗布し、150℃ 1h 加熱し硬化させた。
その後、JIS K5400−1990規格に規定されている通り、碁盤目傷を入れてテープでの剥離試験を行い、塗膜残りの状況を図1の基準から目視にて0〜10点で評価を行った。
また、以下の実施例および比較例では、下記のものを使用した。
〔ポリアミド〕
(参考例1)
PA6T/12(A−1)
ω−ラウロラクタム40重量%、テレフタル酸/ヘキサメチレンジアミン=35.3/24.7重量%、安息香酸0.01倍モル、イオン交換水60重量%および次亜リン酸ナトリウム0.05重量%を、スクリューと槽の間隔が槽の半径1〜3%のところで液面以下の側面の95%を占める0.10m3のバッチ式加圧重合槽に仕込み、窒素置換を充分行った後、160℃に昇温し、撹拌下圧力3.0kg/cm2−Gで濃度85重量%まで濃縮した。引き続いて撹拌下4時間かけて最高到達温度300℃に昇温、最高重合圧力を35kg/cm2−Gとした。吐出はイオン交換水を定量ポンプにより、3l/hrの割合で供給し、水蒸気圧を35kg/cm2−Gに保持しながら、0.5時間かけて行った。
(参考例1)
PA6T/12(A−1)
ω−ラウロラクタム40重量%、テレフタル酸/ヘキサメチレンジアミン=35.3/24.7重量%、安息香酸0.01倍モル、イオン交換水60重量%および次亜リン酸ナトリウム0.05重量%を、スクリューと槽の間隔が槽の半径1〜3%のところで液面以下の側面の95%を占める0.10m3のバッチ式加圧重合槽に仕込み、窒素置換を充分行った後、160℃に昇温し、撹拌下圧力3.0kg/cm2−Gで濃度85重量%まで濃縮した。引き続いて撹拌下4時間かけて最高到達温度300℃に昇温、最高重合圧力を35kg/cm2−Gとした。吐出はイオン交換水を定量ポンプにより、3l/hrの割合で供給し、水蒸気圧を35kg/cm2−Gに保持しながら、0.5時間かけて行った。
得られた一次縮合物を100℃で24hr真空乾燥した後、押出機で高重合度化した。用いた押出機は、30mmφのベント式二軸押出機(L/D=45.5)であり、同方向回転、深溝タイプである。また、スクリューはL/Dが2以下の順フルフライトと順フルフライト以外のセグメントの100%で構成され、順フルフライト以外のセグメント(L/D=0.5〜1の順ニーディング、逆ニーディング、逆フルフライト、シールリングの組合せ)部分はその内30%であり、3ヵ所に分けて配置したものを用いた。滞留時間100秒、L/D=5のロングベントから真空度−500mmHgで脱気し、スクリュー回転数150rpm、最高樹脂温度310℃で溶融高重合度化した。水浴中に吐出したポリマーをストランドカッターでペレタイズした。ペレットは80℃で20時間以上乾燥した。得られたペレットの硫酸相対粘度を測定した結果、その値は2.10であり、平衡吸水率は3.1%、融点は303℃であった。
(参考例2)
PA6T/610(A−2)
セバシン酸/ヘキサメチレンジアミン=25.3/15.7重量%、テレフタル酸/ヘキサメチレンジアミン=35.3/23.6重量%、安息香酸0.01倍モル、イオン交換水60重量%および次亜リン酸ナトリウム0.05重量%を(参考例1)の製造方法と同様な方法にて重合、高重合度化を実施した。得られたペレットの硫酸相対粘度を測定した結果、その値は2.25であり、平衡吸水率は4.3%、融点は302℃であった。
PA6T/610(A−2)
セバシン酸/ヘキサメチレンジアミン=25.3/15.7重量%、テレフタル酸/ヘキサメチレンジアミン=35.3/23.6重量%、安息香酸0.01倍モル、イオン交換水60重量%および次亜リン酸ナトリウム0.05重量%を(参考例1)の製造方法と同様な方法にて重合、高重合度化を実施した。得られたペレットの硫酸相対粘度を測定した結果、その値は2.25であり、平衡吸水率は4.3%、融点は302℃であった。
(参考例3)
PA6T/66(A−3)
アジピン酸/ヘキサメチレンジアミン=25.1/19.9重量%、テレフタル酸/ヘキサメチレンジアミン32.4/22.6重量%、安息香酸0.01倍モル、イオン交換水60重量%および次亜リン酸ナトリウム0.05重量%を(参考例1)の製造方法と同様な方法にて重合、高重合度化を実施した。得られたペレットの硫酸相対粘度を測定した結果、その値は2.30であり、平衡吸水率は5.8%、融点は305℃であった。
PA6T/66(A−3)
アジピン酸/ヘキサメチレンジアミン=25.1/19.9重量%、テレフタル酸/ヘキサメチレンジアミン32.4/22.6重量%、安息香酸0.01倍モル、イオン交換水60重量%および次亜リン酸ナトリウム0.05重量%を(参考例1)の製造方法と同様な方法にて重合、高重合度化を実施した。得られたペレットの硫酸相対粘度を測定した結果、その値は2.30であり、平衡吸水率は5.8%、融点は305℃であった。
(参考例4)
PA9T(A−4)
特開平7−228689号公報の実施例1に記載された方法に従って調製した、テレフタル酸単位と、1,9−ノナンジアミン単位および2−メチル−1,8オクタンジアミン単位(1,9−ノナンジアミン単位:2−メチル−1,8オクタンジアミン単位のモル比が85:15)からなり、硫酸相対粘度を測定した結果、その値は2.50であり、平衡吸水率は2.6%、融点が306℃であった。
PA9T(A−4)
特開平7−228689号公報の実施例1に記載された方法に従って調製した、テレフタル酸単位と、1,9−ノナンジアミン単位および2−メチル−1,8オクタンジアミン単位(1,9−ノナンジアミン単位:2−メチル−1,8オクタンジアミン単位のモル比が85:15)からなり、硫酸相対粘度を測定した結果、その値は2.50であり、平衡吸水率は2.6%、融点が306℃であった。
(参考例5)
PA66(A−5)
比較例で用いたポリアミド66樹脂は以下の方法で重合した。ヘキサメチレンジアミンとアジピン酸1500g、イオン交換水375gを秤量し、重合缶に仕込み、常圧、窒素フロー下で攪拌しながら最終到達温度260℃とし反応させた。水浴中に吐出したポリマーをストランドカッターでペレタイズした。得られたペレットは95℃熱水中で20時間処理し、未反応モノマーや低重合物を抽出除去した。抽出後のペレットは80℃で50時間以上乾燥した。得られたペレットの硫酸相対粘度を測定した結果、その値は2.48であり、平衡吸水率は7.1%、融点は265℃であった。
PA66(A−5)
比較例で用いたポリアミド66樹脂は以下の方法で重合した。ヘキサメチレンジアミンとアジピン酸1500g、イオン交換水375gを秤量し、重合缶に仕込み、常圧、窒素フロー下で攪拌しながら最終到達温度260℃とし反応させた。水浴中に吐出したポリマーをストランドカッターでペレタイズした。得られたペレットは95℃熱水中で20時間処理し、未反応モノマーや低重合物を抽出除去した。抽出後のペレットは80℃で50時間以上乾燥した。得られたペレットの硫酸相対粘度を測定した結果、その値は2.48であり、平衡吸水率は7.1%、融点は265℃であった。
参考例1〜5で重合したポリアミド樹脂について表1に特性をまとめた。
〔水酸化マグネシウム(B)〕
協和化学工業(株)社製「キスマー5EU」(水酸化マグネシウム;平均粒径0.1−0.6μm)
〔酸化チタン(C)〕
C−1:石原産業(株)社製、「タイペークCR−63」(二酸化チタン;平均粒径0.2μm シランカップリング剤により表面処理有)
C−2: 石原産業(株)社製、「タイペークCR−60」(二酸化チタン;平均粒径0.2μm)
〔耐候剤(D)〕
D−1:BASF(株)社製、「CHIMASSORB2020」(ヒンダードアミン系耐候剤)(分子量:2600〜3400)
D−2:BASF(株)社製TINUVIN770DF(分子量:481)
D−3:クラリアントジャパン(株)社製「ナイロスタブS−EED」(2−エチル−2’−エトキシ−オキザルアニリド)(分子量:443)
〔強化材(E)〕
E−1:日本電気硝子(株)社製、「T−289」(ガラス繊維:φ13μm)
E−2:キンセイマテック(株)社製、「FPW400S」(ワラステナイト)
〔熱安定剤〕
BASF(株)社製、「IRGANOX1098」
〔実施例1〜9〕
表1に示すようにポリアミド、水酸化マグネシウム、酸化チタン、耐候剤および熱安定材(0.3部(ポリアミド、その他添加剤含めてすべて成分に対して0.3部添加)をドライブレンドし、得られた混合物を2軸押出機(スクリュー径:30mm、L/D=28、シリンダー温度320℃、回転数150rpm)のホッパーからフィードして、同時に、サイドフィーダーより表1に示す量の強化材を添加して溶融混練し、ストランド状に押出した後、ペレタイザにより切断してペレット状のポリアミド樹脂組成物を得た。得られたポリアミド樹脂組成物を使用し、前記した方法に従って所定形状の試験片を作製し、各種物性を評価した。結果を表2に示す。
協和化学工業(株)社製「キスマー5EU」(水酸化マグネシウム;平均粒径0.1−0.6μm)
〔酸化チタン(C)〕
C−1:石原産業(株)社製、「タイペークCR−63」(二酸化チタン;平均粒径0.2μm シランカップリング剤により表面処理有)
C−2: 石原産業(株)社製、「タイペークCR−60」(二酸化チタン;平均粒径0.2μm)
〔耐候剤(D)〕
D−1:BASF(株)社製、「CHIMASSORB2020」(ヒンダードアミン系耐候剤)(分子量:2600〜3400)
D−2:BASF(株)社製TINUVIN770DF(分子量:481)
D−3:クラリアントジャパン(株)社製「ナイロスタブS−EED」(2−エチル−2’−エトキシ−オキザルアニリド)(分子量:443)
〔強化材(E)〕
E−1:日本電気硝子(株)社製、「T−289」(ガラス繊維:φ13μm)
E−2:キンセイマテック(株)社製、「FPW400S」(ワラステナイト)
〔熱安定剤〕
BASF(株)社製、「IRGANOX1098」
〔実施例1〜9〕
表1に示すようにポリアミド、水酸化マグネシウム、酸化チタン、耐候剤および熱安定材(0.3部(ポリアミド、その他添加剤含めてすべて成分に対して0.3部添加)をドライブレンドし、得られた混合物を2軸押出機(スクリュー径:30mm、L/D=28、シリンダー温度320℃、回転数150rpm)のホッパーからフィードして、同時に、サイドフィーダーより表1に示す量の強化材を添加して溶融混練し、ストランド状に押出した後、ペレタイザにより切断してペレット状のポリアミド樹脂組成物を得た。得られたポリアミド樹脂組成物を使用し、前記した方法に従って所定形状の試験片を作製し、各種物性を評価した。結果を表2に示す。
実施例1〜9の本発明ポリアミド樹脂組成物はポリアミド樹脂、水酸化マグネシウム、酸化チタン、耐候剤および強化材を配合することによって、高温加熱処理を行っても、変色が少なく、高い白色度を維持し、LEDの寿命に影響する透明封止材との密着性を満足できるものであった。
しかしながら比較例1はポリアミド樹脂がPA9Tのため、ジカルボン酸成分(a−1−1)が適正添加量以上であるため、成形性が悪く、透明封止材との密着性が悪い。比較例2はポリアミド樹脂がPA66のため、ジカルボン酸成分(a−1−1)が未添加であり、かつ脂肪族ジカルボン酸成分(a−1−2)が適正添加量以上であるため、耐熱性が低下し、リフロー特性が悪い。比較例3は水酸化マグネシウムが未添加のため、耐熱処理時の変色が大きい。比較例4は、水酸化マグネシウムを適正添加量以上添加した場合、機械物性の低下を招く。比較例5は強化材が添加されていないため機械物性が低く、製品使用時に割れ、変形を招く可能性がある。比較例6は、酸化チタンを適正添加量以上添加しているため、表面平滑性や成形加工性が低下している。
本発明のポリアミド樹脂組成物は、鉛フリーハンダを使用したSMT工程で使用できる耐熱性を有し、LED製造工程で必要な高温加熱工程で変色が小さく、高い反射率を維持することができる。本発明のポリアミド樹脂組成物は、LED光源を使用した様々な部品用のリクレクタ素材で好適に使用することができる。LED光源は従来の蛍光灯に比較して省電力・長寿命を特長としたものであるが、本発明は、該LED光源の発展に寄与する技術であり、産業上の利点は非常に大きいものである。
Claims (6)
- テレフタル酸から誘導されるジカルボン酸成分10〜40重量%(a−1−1)および炭素原子数6〜20の脂肪族ジカルボン酸成分0〜40重量%(a−1−2)からなるジカルボン酸成分(a−1)、炭素原子数6〜20のジアミン成分10〜50重量%(a−2)並びに炭素原子数6〜12のアミノ酸またはラクタム成分0〜80重量%(a−3)を共重合して得られるポリアミド樹脂(A)100重量部に対し、水酸化マグネシウム(B)0.5〜20重量部、酸化チタン(C)10〜100重量部、耐候剤(D)0.1〜2重量部および強化材(E)5〜40重量部を含むポリアミド樹脂組成物。
- ポリアミド樹脂(A)が、80℃95%RHの条件下で平衡吸水率が5.0重量%以下であることを特徴とする請求項1記載のポリアミド樹脂組成物。
- 酸化チタン(C)の表面がシランカップリング剤で処理されてなる請求項1または2記載のポリアミド樹脂組成物。
- 耐候剤(D)がヒンダードアミン系耐候剤である請求項1〜3のいずれかに記載のポリアミド樹脂組成物。
- 耐候剤(D)が分子量900以上であるヒンダードアミン系耐候剤である請求項4に記載のポリアミド樹脂組成物。
- 請求項1〜5のいずれかに記載のポリアミド樹脂組成物からなるLEDリフレクタ。
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---|---|---|---|
JP2011217021A JP2013076001A (ja) | 2011-09-30 | 2011-09-30 | ポリアミド樹脂組成物 |
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Cited By (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CN103665850A (zh) * | 2013-12-07 | 2014-03-26 | 天津市华鑫达投资有限公司 | 一种导热绝缘树脂组合物 |
JP2014055286A (ja) * | 2012-08-10 | 2014-03-27 | Toray Ind Inc | 照明用放熱部材 |
JP2015028155A (ja) * | 2013-06-28 | 2015-02-12 | 東レ株式会社 | ポリアミド樹脂組成物 |
JP2018027698A (ja) * | 2013-08-12 | 2018-02-22 | 宇部興産株式会社 | 熱可塑性樹脂と金属との複合体 |
-
2011
- 2011-09-30 JP JP2011217021A patent/JP2013076001A/ja not_active Withdrawn
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CN103665850A (zh) * | 2013-12-07 | 2014-03-26 | 天津市华鑫达投资有限公司 | 一种导热绝缘树脂组合物 |
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