JP2017192332A - 動植物の制限シート、植物の根の制限システム - Google Patents
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Abstract
Description
この方法で用いる育苗箱は、水稲の育苗箱であって、育成されるマット状苗群を田植機の植付爪が掻き取る箇所に相当する位置に沿った縦のすじ蒔溝を仕切壁により配設し、すじ蒔溝の配設について、その開口上位に種籾が置かれるように、底壁より起立する仕切壁の上端が床土の上層面ですれすれに覆い隠される程度の高さに形成している。
このように根が縦に伸び過ぎた苗を、育苗箱から剥がす際には、排水孔から下方に飛び出して箱に絡んだ根(特に、根の成長に必要な根の先端部)を切り落とさなくてはならず、根を切ることで育てた苗を痛め、苗の発育不良を招く虞がある。
更には、切り落とす作業分だけ負担が増加し、作業効率が低下する。
従って、例えば、植物Pの根Nであれば、伸び過ぎた根Nを、その根Nの先端部等を切り落とすことなく、育苗箱等の容器12から剥がすことが可能となると共に、根Nを切り落とすなどの作業分の負担がなく、作業効率が向上する。
更に加えて、例えば、植物Pの根Nであれば、表1〜3、図4〜8に示すように、根Nを制限しているにも関わらず、シート状物1を使用していない場合と略同様の植物丈T及び葉齢Yとなることから、動植物BPを痛めたり、発育不良を招くことはない。
尚、特許文献1の育苗箱のように、銀、銅等の制限物質2を含有せず、目が詰まった紙や不織布、ネットなどによって、ただ単に物理的に植物Pの根Nや、動物Bの行動を制限した場合、確かに、植物Pの根Nや、動物Bの行動を制限できるものの、根Nが十分に発達しなかったり、魚類等が壁やネットに激突するため、動植物BPを痛めたり、発育不良を招く可能性がある。
そして、それらの制限繊維3で、不織布、織物、編物、ネットのうち少なくとも1つである制限布帛4の少なくとも一部を構成することによって、シート状物1における表面積が非常に多くなって、シート状物1が多孔質な構造となり、制限繊維3に結合した銀、銅等の制限物質2が、動植物BPに作用し易くなると共に、制限布帛4によって、シート状物1自体に柔らかさ・強度を持たせつつ、軽量化等を図ることが出来る。
更に加えて、例えば、植物Pの根Nであれば、表1〜3、図4〜8に示すように、根Nを制限するために、シート状物1を2回使用したとしても、1回目の効果と2回目使用の効果に違いはほとんどなく、3回目以降も繰り返し使用可能であることがわかる。
これに対して、例えば、水酸化第2銅などの水不溶性銅化合物を所定のシートやトレー等に含有させた場合であれば、当該シート等を一度使用した際に、水不溶性銅化合物が浸み出し、2回目以降に使用してもその効果が落ちることから、シート状物1を使用することで、長寿命化や経済性の向上が図れる。
更に加えて、シート状物1は、その上に容器12は置かれているため、シート状物1が風で飛ぶようなことが抑制される。
尚、当然に、図4〜6に示すように、当該制限システム10におけるシート状物1を越えて植物Pの根Nが伸びることを抑制でき、根Nの先端部等を切り落とすことなく、根Nを切り落とすなどの作業分の負担がなく、作業効率が向上する。
そして、表1〜3、図4〜8に示すように、根Nを制限しているにも関わらず、シート状物1を使用していない場合と略同様の植物丈T及び葉齢Yとなることから、植物Pの根Nを痛めたり、発育不良を招くことはない。
又、本発明に係る植物の根の制限システムによると、上述のシート状物を貯水槽の底に敷き、このシート状物の上に植物を植えた容器を載置すること等で、植物の根を痛めることなく、その根を制限できる。
以下、本発明の実施形態を、図面を参照して説明する。
図1には、本発明に係るシート状物1が示されている。
シート状物1は、制限物質2を含有したシート状のものであれば、何れの構成であっても良いが、例えば、制限部材2を含有していない非制限部材2’(例えば、繊維強化プラスチック様のもの)も同時に有していても良い。
シート状物1は、制限物質2が繊維状のもの(後述する制限繊維3)のみに含有されていたり、制限物質2が繊維状ではなくフィルム状や板状、テープ状等の制限非繊維部材3’のみに含有されていたり、制限繊維3と制限非繊維部材3’の両方に含有されていても良い。
又、制限非繊維部材3’における制限物質2以外の素材も、特に限定はないが、合成樹脂などの有機材料や、ガラスやセラミックスなどの無機材料、鉄鋼などの金属、そして、これらの複合材料であっても良い。
非制限繊維5や非制限非繊維部材5’の素材も、特に限定はないが、合成樹脂などの有機材料であっても良く、繊維状になるのであれば、ガラスやセラミックスなどの無機材料、鉄鋼などの金属、そして、これらの複合材料であっても良い。
以下、主に、シート状物1が制限物質2を含有した制限繊維3を少なくとも備えている場合(パターン<1>、<2>、<5>)について詳解する。
図1に示したように、制限物質2は、上述したように、当該シート状物1(詳しくは、制限繊維3及び/又は制限非繊維部材3’)に含有されている。
制限物質2は、銀(Ag)、銅(Cu)、金(Au)、硫化銀(Ag2 S、AgS、Ag2 S3 )、硫化銅(Cu2 S、CuS)、硫化金(Au2 S、Au2 S3 )のうち少なくとも1つである。
以下同様に、制限物質2は、銀、銅、金、アルミニウム、硫化銀、硫化銅、硫化金のうち何れか3つ、4つ、5つ、6つ、又は、7つ全てであっても構わない。
銀、銅、金、アルミニウムの具体的な電気抵抗率の値は、温度によって変化するが、例えば、20℃であれば、銀は1.62×10-8(Ω・m)、銅は1.72×10-8(Ω・m)、金は2.40×10-8(Ω・m)、アルミニウムは2.75×10-8(Ω・m)であるとも言える。
又、上述した制限物質2のうち、硫化銀、硫化銅、硫化金は、溶液中において、銀原子、銅原子、金原子は、上述したように、イオン化して正イオンとなる一方で、硫黄原子(S)は、イオン化して陰イオン(S2-等)となる。
図1に示したように、制限繊維3は、上述の制限物質2を含有した繊維である。
つまり、制限繊維3は、上述したように、制限物質2とそれ以外の素材からなる。
この他、制限繊維3における制限物質2以外の素材は、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)等のポリオレフィン系繊維、レーヨン繊維、キュプラ繊維、アセテート繊維、ポリビニルアルコール(PVA)繊維(ビニロン繊維)、ポリウレタン(PU)繊維などの合成繊維、そして、羊毛、絹などの天然繊維等の有機材料の他、繊維状になるのであれば、ガラスやセラミックスなどの無機材料、鉄鋼などの金属、そして、これらを組み合わせた複合材料でも良い。
ここまで述べたように、シート状物1において、制限繊維3及び/又は制限非繊維部材3’に制限物質2が含有されているが、この「含有」について、以下に詳解する。
本発明における「含有」とは、制限物質2が、制限繊維3及び/又は制限非繊維部材3’において、その表面及び/又は内部に存在していることを意味する。
この他、制限繊維3及び/又は制限非繊維部材3’の表面に、制限物質2の鍍金(メッキ)を施しても良く、浸漬や塗布、スプレ―塗布等によって、制限繊維3及び/又は制限非繊維部材3’の表面における凹凸に制限物質2を沈着(付着・付与)させても良く、この場合、制限繊維3及び/又は制限非繊維部材3’の表面に存在した状態で「含有」されていると言える。
このとき、制限繊維3における制限物質2以外の素材がアクリル繊維やアクリル系繊維である場合に、制限物質2のうち銀、銅、金、アルミニウムを含有させるには、1価の正イオンを含む溶液、又は、2価の正イオンと還元剤を含む溶液を、アクリル繊維やアクリル系繊維に接触させて行っても良い(この接触により、アクリル繊維やアクリル系繊維における電子吸引性基であるシアノ基(−CN)に対して、溶液中においてイオン化した銀、銅、金、アルミニウムの正イオン(特に1価の正イオンAg+ 、Cu+ 等)が共有結合(配位結合)することで、制限繊維3の表面に強固に付着(吸着)するとも言える)。
又、当該溶液中に、2価の正イオンを与える化合物としては、特に限定はないが、例えば、塩化第2銅、臭化第2銅、硫酸第2銅、硝酸第2銅、酢酸第2銅等の第2銅塩や、塩化第2金(八塩化四金)等の第2金塩などでも良い。
この場合も、制限物質2のうち銀、銅、金、アルミニウムが、制限繊維3の表面に存在した状態で「含有」されていると言える。
このとき、第1工程の溶液中に、1価の正イオンを与える化合物としては、上述したように、特に限定はないが、例えば、第1銀塩や、第1銅塩、第1金塩などでも良く、2価の正イオンを与える化合物としても、上述したように、特に限定はないが、例えば、第2銅塩や、第2金塩などでも良い。
又、第2工程における硫化剤としては、上述したように、特に限定はないが、例えば、硫化ナトリウム、亜ニチオン酸、亜ニチオン酸ナトリウム、チオ硫酸ナトリウム、チオ硫酸カリウム、ロンガリットC、ロンガリットZなどでも良い。
この1段処理では、1価の正イオンと硫化剤を含む溶液や、2価の正イオンと硫化剤を含む溶液、又は、2価の正イオンと還元剤と硫化剤を含む溶液を、アクリル繊維やアクリル系繊維に接触させて行っても構わない。
この場合も、制限物質2のうち硫化銀、硫化銅、硫化金が、制限繊維3の表面に存在した状態で「含有」されていると言える。
この他、制限繊維3における制限物質2以外の素材がポリアミド繊維である場合にも、上述したアクリル繊維やアクリル系繊維である場合と同様で、制限物質2のうち銀、銅、金、アルミニウムを含有させるには、1価の正イオンを含む溶液、又は、2価の正イオンと還元剤を含む溶液を、ポリアミド繊維に接触させて行っても良い(この接触により、ポリアミド繊維における電子供与基であるアミノ基(−NH2 )に対して、溶液中においてイオン化した銀、銅、金、アルミニウムの正イオンが結合することで、制限繊維3の表面に強固に付着(吸着)するとも言える)。
又、制限繊維3における制限物質2以外の素材がポリアミド繊維である場合においても、制限物質2のうち硫化銀、硫化銅、硫化金を含有させるには、上述した第1工程と第2工程や、上述した1段処理によって、硫化銀、硫化銅、硫化金を、制限繊維3(ポリアミド繊維)の表面に付着(吸着)させても良い。
この場合も、制限物質2の銀、銅、金、アルミニウム、硫化銀、硫化銅、硫化金が、制限繊維3の表面に存在した状態で「含有」されていると言える。
一方、制限繊維3における制限物質2以外の素材がポリエステル繊維である場合には、まずポリエステル繊維をアルカリ水溶液との接触下において加熱処理しても良い。
このとき用いるアルカリ水溶液としては、特に限定はないが、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム等の水酸化アルカリや、炭酸ナトリウム、ケイ酸ナトリウム等のアルカリ金属塩を含むものでも良い。
このとき、正イオン捕捉基は、特に限定はないが、例えば、シアノ基(−CN)やアミノ基(−NH2 )、メルカプト基(−SH)、チオカルボニル基(>CS)、イソシアネート基(−NCO)、第4級有機アンモニウム基(−NR4 ・X(ここで、Rはアルキル、アリールアラルキル等の炭化水素基であり、Xは塩素イオン、硫酸イオン等の陰イオンである。))などであっても良い。
このように正イオン捕捉基を付着結合されたポリエステル繊維に対しては、上述したアクリル繊維やアクリル系繊維、ポリアミド繊維である場合と同様で、制限物質2のうち銀、銅、金、アルミニウムを含有させるには、1価の正イオンを含む溶液、又は、2価の正イオンと還元剤を含む溶液を、当該ポリエステル繊維に接触させて行っても良い。
この場合も、制限物質2の銀、銅、金、アルミニウム、硫化銀、硫化銅、硫化金が、制限繊維3の表面に存在した状態で「含有」されていると言える。
ここまで述べた制限繊維3は、後述する不織布等である制限布帛4の少なくとも一部を構成したものであっても良く、その他、制限繊維3は、布帛状以外のもの(例えば、押し固めて板状等にしたものであって、制限繊維3が少なくとも一部を構成しているもの)である制限非布帛部材4’を構成しても良い。
以下、主に、制限繊維3が制限布帛4の少なくとも一部のみを構成する場合(パターン<1−A>、<2−A>、<5−A>)について、更に詳解する。
図1に示したように、制限布帛4は、上述したように、その少なくとも一部が制限繊維3によって構成されている。
つまり、制限布帛4は、制限繊維3が少なくとも一部を構成していれば良く、制限布帛4の全部が制限繊維3から構成されていたり、制限布帛4が制限繊維3と非制限繊維5から構成されていても良い。
つまり、制限布帛4は、不織布、織物、編物、ネットのうち何れか1つである場合以外に、不織布、織物、編物、ネットのうち何れか2つであっても良い。
制限布帛4が不織布の場合、何れの方法で構成されて構わないが、例えば、往復するニードルに繊維を引っ掛けて繊維相互間を交絡したニードルパンチ不織布であっても良く、その他、熱融着性繊維を含有し加熱により成形されたサーマルボンド不織布、吹き付け加工により成形されたケミカルボンド不織布、ノズルから紡糸された長繊維(フィラメント)を動くスクリーン上に積層して結合させたスパンボンド不織布、ステッチボンド不織布等をニードルパンチ法などによって結合させたものであっても良い。
制限布帛4が編物の場合、何れの編組織でも構わないが、例えば、デンビー編(トリコット編)や、ラッシェル編、ダブルラッシェル編、バンダイク編(アトラス編)、コード編などの経編や、平編(天竺編)、ゴム編(リブ編)、パール編などの緯編などであっても良い。
制限布帛4が織物や編物、ネットである場合、それらを構成(織成、編成等)する制限繊維3や非制限繊維5の繊度も、何れの値でも良いが、例えば、総繊度で、1dtex以上3000dtex以下であっても良い。
更に加えて、例えば、植物Pの根Nであれば、表1〜3、図4〜8に示すように、根Nを制限するために、シート状物1を2回使用したとしても、1回目の効果と2回目使用の効果に違いはほとんどなく、3回目以降も繰り返し使用可能であることがわかる。
これに対して、例えば、水酸化第2銅などの水不溶性銅化合物を所定のシートやトレー等に含有させた場合であれば、当該シート等を一度使用した際に、水不溶性銅化合物が浸み出し、2回目以降に使用してもその効果が落ちることから、シート状物1を使用することで、長寿命化や経済性の向上が図れる。
又、シート状物1は、一旦、所定の溶液に浸漬されても、制限物質2が脱落し難いと言え、浸漬前に含有していた制限物質2の質量と、浸漬後に含有する制限物質2の質量の差は、特に制限はないが、例えば、0.01g以上20.00g以下、好ましくは0.05g以上15.00g以下、更に好ましくは0.10g以上10.00g以下であっても良い。
従って、例えば、植物Pの根Nであれば、伸び過ぎた根Nを、その根Nの先端部等を切り落とすことなく、育苗箱等の容器12から剥がすことが可能となると共に、根Nを切り落とすなどの作業分の負担がなく、作業効率が向上する。
更に加えて、例えば、植物Pの根Nであれば、後述の表1〜3、図4〜8に示すように、根Nを制限しているにも関わらず、シート状物1を使用していない場合と略同様の植物丈T及び葉齢Yとなることから、動植物BPを痛めたり、発育不良を招くことはない。
尚、特許文献1の育苗箱のように、銀、銅等の制限物質2を含有せず、目が詰まった紙や不織布、ネット(例えば、クラパピー(登録商標))などによって、ただ単に物理的に植物Pの根Nや、動物Bの行動を制限した場合、確かに、植物Pの根Nや、動物Bの行動を制限できるものの、根Nが十分に発達しなかったり、魚類等が壁やネットに激突するため、動植物BPを痛めたり、発育不良を招く可能性がある。
図2、3に示したように、制限システム10は、植物Pの根Nを制限するものである。
制限システム10で制限する「植物P」とは、動物Bでなく且つ根Nを持つもの(種子植物(被子植物(単子葉植物、双子葉植物(合弁花類、離弁花類))、裸子植物)、シダ植物など)であれば、何れでも良いが、より具体的には、例えば、苗を育てる育苗箱などの容器(植物容器)12に植えられた植物や、その他、既に田畑や山野等に生えている植物など分けても良い。
その他、容器12に植えられた植物としては、例えば、果樹や野菜(詳解すれば、モモやイチゴ、リンゴ、ナシ、ウメ、ビワ、サクラ、バラ等のバラ科植物、ブドウ、ノブドウ、ヤブガラシ等のブドウ科植物、キャベツ、ダイコン、ナズナ、カブ、ワサビ、クレソン、カラシ等のアブラナ科植物、エンドウ、ダイズ、ソラマメ、フジ、レンゲソウ、シロツメクサ、クズ、オジギソウ、ネムノ等のマメ科植物などをはじめとする双子葉植物の離弁花類(裸子植物))であったり、例えば、花や草木、その他の野菜(詳解すれば、キク、ヒマワリ、タンポポ、コスモス、ダリア、ヒメジョオン、アザミ等のキク科植物、ヒルガオ、アサガオ、サツマイモ等のヒルガオ科植物、ツツジ、シャクナゲ、アセビ等のツツジ科植物、ナス、トマト、ピーマン、ジャガイモ、タバコ、トウガラシ等のナス科植物、カボチャ、ヘチマ、キュウリ、スイカ、ヒョウタン、ユウガオ等のウリ科植物などをはじめとする双子葉植物の合弁花類(裸子植物))、ソテツ、マツ、イチョウ等の裸子植物、ワラビ、ゼンマイ、クサソテツ、ヘゴ、オオタニワタリ、イワヒバ、マツバラン等のシダ植物や、これらの苗などであっても良い。
又、「植物P」のうち、既に生えている植物は、山野等に自然に生えているものであっても良い。
以下は、まず、「植物P」が容器12に植えられたものである場合の容器制限システム10’について述べる。
以下、主に、貯水槽11の底11aに敷いたシート状物1の上に、容器12を載せる構成について詳解する。
図2に示すように、貯水槽11は、容器制限システム10’の一部であり、その底(槽内底)11aに、上述したシート状物1を敷くものである。
貯水槽11は、槽内底11aにシート状物1を敷け、且つ、更にその上に容器12を載置できるのであれば、何れの構成であっても良いが、例えば、地面等に窪みを作り水等の液体を貯めるプール様のものであったり、水等の液体を貯蔵できる水槽様のものであっても良い。
貯水槽11の側面視形状も、特に限定はなく、例えば、略矩形状、略台形状、底11a側の角が取れた略矩形状・略台形状、略円形状、略楕円形状、略三角形状などであっても良い。
又、貯水槽11の深さについても、特に限定はなく、育苗箱等の容器12(例えば、容器(育苗箱等)12の深さは約3cmなど)が少なくとも1つは入る深さであれば良いが、例えば、5cm以上50cm以下、好ましくは7cm以上40cm以下、更に好ましくは10cm以上30cm以下であっても良い。
貯水槽11の内部には、液体以外に土や、窒素、リン、カリウムなどの栄養素その他の物質が入っていても良く、貯水槽11の槽内底11aは、溝や隆起等があっても良いが、略面一(略フラット)であっても良い。
図2に示したように、容器12は、苗などの根Nを制限したい「植物P」が植えられ器である。
容器12は、その内部に植物Pが植えられるのであれば、何れの構成であっても良いが、例えば、苗を育てる育苗箱や育苗トレー、育苗ポットであったり、その他、苗以外も植える植木鉢などであっても良い。
容器12の側面視形状も、特に限定はなく、例えば、略矩形状、略台形状、その底(器内底)12a側の角が取れた略矩形状・略台形状、略円形状、略楕円形状、略三角形状などであっても良い。
又、容器12の深さについても、特に限定はなく、例えば、0.5cm以上100.0cm以下、好ましくは1.0cm以上50.0cm以下、更に好ましくは1.5cm以上30.0cm以下(約3cmなど)であっても良い。
容器12の底(器内底)12aは、略面一(略フラット)としても良く、又、器外底12bを略面一(略フラット)としても良い。
更に加えて、シート状物1は、その上に容器12は置かれているため、シート状物1が風で飛ぶようなことが抑制される。
尚、図4〜6に示すように、当然に、当該制限システム10(容器制限システム10’)におけるシート状物1を越えて植物Pの根Nが伸びることを抑制でき、根Nの先端部等を切り落とすことなく、根Nを切り落とすなどの作業分の負担がなく、作業効率が向上する。
そして、表1〜3、図4〜8に示すように、根Nを制限しているにも関わらず、シート状物1を使用していない場合と略同様の植物丈T及び葉齢Yとなることから、植物Pの根Nを痛めたり、発育不良を招くことはない。
又、容器制限システム10’で根Nを制限する植物Pが、育苗箱12に植えられたイネの苗である場合には、このイネの苗を田植機で田植えする際には、イネの株の抜けが抑制される。
この非容器制限システム10”においても、上述の容器制限システム10’と同様で、シート状物1を越えて植物Pの根Nが伸びることを抑制でき、根Nの先端部等を切り落とすことなく、根Nを切り落とすなどの作業分の負担がなく、作業効率が向上する。
そして、根Nを制限しているにも関わらず、シート状物1を使用していない場合と略同様の成長具合となり、植物Pの根Nを痛めたり、発育不良を招くことはない。
又、地上からは通常は、根Nが見えないが、非容器制限システム10”によって、どこまで延びたか把握できるとも言える。
ここからは、まず本発明に係る植物の根の制限システム10における実施例1−1〜1−5、実施例2−1〜2−5と、比較例1−1〜1−5について試験1をする。
尚、この試験1における制限システム10としては、まず上述した容器制限システム10’について言及する。
実施例1−1〜1−5は、上述したように、本発明に係るシート状物1を貯水槽11の底11aに敷き、当該シート状物1の上に、植物Pを植えた容器12を5つ載置した制限システム10(容器制限システム10’)を用意する。
この容器制限システム10’において、シート状物1上に載置した5つの容器12それぞれを、実施例1−1〜1−5とする。
尚、これらの実施例1−1〜1−5において、シート状物1は、硫化銅を含有させたアクリル繊維(又はアクリル系繊維)を制限繊維3とし、この制限繊維3で少なくとも一部が構成された不織布(制限布帛)4である。
又、実施例1−1〜1−5において、貯水槽11はプールであり、容器12は育苗箱(平面視形状が略矩形状であって、約60cm×約30cm=約0.18m2 )である。
実施例1−1〜1−5で用いた制限システム10(容器制限システム10’)において、シート状物1を、容器制限システム10’にて一度使用したシート状物(再利用シート状物)1’に変えたものを用意する。
この容器制限システム10’において、再利用シート状物1’上に載置した5つの容器12それぞれを、実施例2−1〜2−5とする。
尚、これらの実施例2−1〜2−5における再利用シート状物1’は、一度使用した以外は、シート状物1と同様で、硫化銅を含有させたアクリル繊維(又はアクリル系繊維)を制限繊維3とし、この制限繊維3で少なくとも一部が構成された不織布(制限布帛)4である。
実施例1−1〜1−5で用いた制限システム10(容器制限システム10’)において、シート状物1や再利用シート状物1’を用いないものを用意する。
従って、このシステムにおいては、貯水槽11の底11a上に直接載置した5つの容器12それぞれを、比較例1−1〜1−5とする。
上述した実施例1−1〜1−5、実施例2−1〜2−5と、比較例1−1〜1−5の各容器に対し、まずは、2015年5月28日にイネの種(種籾)を播種した。
尚、この種籾は、事前に消毒していても良く、又、発芽(催芽)した種籾を播種しても良く、育苗後の苗は、育苗ポットへ定植した(苗床で育てた苗を田や畑に本式に移し植えた)。
播種から1週間後の2015年6月4日における各実施例、各比較例の植物丈(草丈)Tと葉齢Yを表1に、播種から2週間後の2015年6月11日における各実施例、各比較例の植物丈(草丈)Tと葉齢Yを表2に、播種から3週間後の2015年6月18日における各実施例、各比較例の植物丈(草丈)Tと葉齢Yを表3に示す。
尚、葉齢Yの数え方は、初生葉や鞘葉なども含め最初の葉を第1葉とし、この第1葉がついた時を葉齢「1」枚、第2葉がついた時を葉齢「2」枚、以下同様に、第3葉がついた時を葉齢「3」枚・・・と数えても良い。
表1〜3で示されたように、播種から1週間後、2週間後、3週間後の何れの時期においても、実施例1−1〜1−5のシート状物1や、実施例2−1〜2−5の再利用シート状物1’を使用した制限システム10(容器制限システム10’)は、シート状物1(1’)を使用していない比較例1−1〜1−5と遜色ない植物丈Tや葉齢Yとなっている。
以下に詳解する。
表1においては、シート状物1によって根Nを制限されているはずの実施例1−1〜1−5の一部は、シート状物1(1’)がなく根Nが伸び放題である比較例1−1〜1−5の一部よりも、植物丈Tや葉齢Yが大きくなっており、例えば、実施例1−1、1−4、1−5の植物丈Tは、比較例1−3の植物丈Tよりも大きく、実施例1−1、1−2、1−4、1−5の葉齢Yは、比較例1−4、1−5の葉齢Yより大きいか又は同じ値となっている。
表1には、一度使用した再利用シート状物1’によって根Nを制限されているはずの実施例2−1〜2−5の一部も、シート状物1(1’)がなく根Nが伸び放題である比較例1−1〜1−5の一部よりも、植物丈Tや葉齢Yが大きくなっていることが示されており、例えば、実施例2−1、2−2、2−5の植物丈Tは、比較例1−1〜1−3の植物丈Tよりも大きく、実施例2−1、2−5の葉齢Yは、比較例1−3〜1−5の葉齢Yより大きいか又は同じ値となっていることも示されている。
これに加えて、比較例1−1〜1−5は、根切りの手間がかかると共に、成長に必要な根Nの先端部を切ることとなるため、定植した後は、イネの生育がかえって悪くなる。
逆に、再利用シート状物1’を用いた実施例2−1〜2−5の植物丈Tの平均値の方が、実施例2−1〜2−5の植物丈Tの平均値よりも、かえって大きくなる(良くなる)こともあり、少なくとも一度使用した再利用シート状物1’であるからと言って、効果が下がるとは言えない。
同様に、表2においても、実施例1−1〜1−5の一部は、比較例1−1〜1−5の一部よりも、植物丈Tや葉齢Yが大きくなっており、例えば、実施例1−1、1−2の植物丈Tは、比較例1−3〜1−5の植物丈Tよりも大きく、実施例1−1、1−2、1−4、1−5の葉齢Yは、比較例1−3〜1−5の葉齢Yより大きくなっている。
表2には、実施例2−1〜2−5の一部も、比較例1−1〜1−5の一部よりも、植物丈Tや葉齢Yが大きくなっていることが示されており、例えば、全ての実施例2−1〜2−5の植物丈Tは、比較例1−3〜1−5の植物丈Tよりも大きく、全ての実施例2−1〜2−5の葉齢Yは、比較例1−3〜1−5の葉齢Yより大きいか又は同じ値となっていることも示されている。
尚、播種から2週間後においても、実施例1−1〜1−5と、実施例2−1〜2−5の効果に違いは殆どなく、具体的には、実施例1−1〜1−5における植物丈Tの平均値11.70cm及び葉齢Yの平均値2.12枚は、実施例2−1〜2−5における植物丈Tの平均値13.32cm及び葉齢Yの平均値2.14枚と、植物丈Tの差が「1.62cm」で葉齢Yの差が「0.02枚」であることから大差はなく、逆に、播種から2週間後でも 実施例2−1〜2−5の植物丈Tの平均値の方が、実施例2−1〜2−5の植物丈Tの平均値よりも大きくなっており、表2からも、少なくとも一度使用した再利用シート状物1’であるからと言って、効果が下がるとは言えない。
同様に、表3においても、実施例1−1〜1−5の一部は、比較例1−1〜1−5の一部よりも、植物丈Tや葉齢Yが大きくなっており、例えば、実施例1−1、1−2の植物丈Tは、比較例1−5の植物丈Tよりも大きく、実施例1−1、1−2、1−4の葉齢Yは、比較例1−2〜1−4の葉齢Yより大きいか又は同じ値となっている。
表3には、実施例2−1〜2−5の一部も、比較例1−1〜1−5の一部よりも、植物丈Tや葉齢Yが大きくなっていることが示されており、例えば、全ての実施例2−1、2−3、2−5の植物丈Tは、比較例1−4、1−5の植物丈Tよりも大きく、全ての実施例2−1〜2−5の葉齢Yは、全ての比較例1−1〜1−5の葉齢Yより大きいか又は同じ値となっていることも示されている。
尚、播種から3週間後においても、実施例1−1〜1−5と、実施例2−1〜2−5の効果に違いは殆どなく、具体的には、実施例1−1〜1−5における植物丈Tの平均値15.64cm及び葉齢Yの平均値3.38枚は、実施例2−1〜2−5における植物丈Tの平均値15.72cm及び葉齢Yの平均値3.32枚と、植物丈Tの差が「0.08cm」で葉齢Yの差が「0.06枚」であることからほぼ差はなく、逆に、播種から3週間後でも 実施例2−1〜2−5の植物丈Tの平均値の方が、実施例2−1〜2−5の植物丈Tの平均値よりも大きくなっており、表3からも、少なくとも一度使用した再利用シート状物1’であるからと言って、効果が下がるとは言えない。
又、シート状物1を植物Pに2回使用して場合でも、1回目使用における植物丈Tと2回目使用における植物丈Tの差を0.00cm以上5.00cm以下にする、及び/又は、1回目使用における葉齢Yと2回目使用における葉齢Yの差を0.00枚以上4.00枚以下とすることで、植物の根の制限システム10において、3回目以降も繰り返し使用してもその効果が落ちることが抑制され、長寿命化や経済性の向上が図れる。
又、本発明にかかるシート状物1は、苗等の植物Pの根Nにおける制限で効果があれば、苗以外の植物Pにも効果があるとも言え、更には、同じ生き物として、植物P以外の動物Bにも作用するとも言える。
次に、本発明に係る植物の根の制限システム10における実施例3−1、3−2と、比較例2について試験2をする。
尚、この試験2においても、制限システム10としては、まず上述した容器制限システム10’について言及する。
実施例3−1でも、上述した実施1−1〜1−5と同様に、本発明に係るシート状物1を貯水槽11の底11aに敷き、当該シート状物1の上に、植物Pを植えた容器12を載置した制限システム10(容器制限システム10’)を用意する。
尚、この実施例3−1においても、シート状物1は、硫化銅を含有させたアクリル繊維(又はアクリル系繊維)を制限繊維3とし、この制限繊維3で少なくとも一部が構成された不織布(制限布帛)4である。
実施例3−1で用いた制限システム10(容器制限システム10’)において、シート状物1を、容器制限システム10’にて一度使用したシート状物(再利用シート状物)1’に変えたものを用意する。
この容器制限システム10’において、再利用シート状物1’上に載置した容器12を、実施例3−2とする。
尚、この実施例3−2においても、再利用シート状物1’は、一度使用した以外は、シート状物1と同様で、硫化銅を含有させたアクリル繊維(又はアクリル系繊維)を制限繊維3とし、この制限繊維3で少なくとも一部が構成された不織布(制限布帛)4である。
実施例3−1で用いた制限システム10(容器制限システム10’)において、シート状物1や再利用シート状物1’を用いないものを用意する。
従って、このシステムにおいては、貯水槽11の底11a上に直接載置した容器12を、比較例2とする。
上述した実施例3−1、3−2と、比較例2の各容器に対し、まずイネの種(種籾)を播種した。
尚、この種籾は、事前に消毒していても良く、又、発芽(催芽)した種籾を播種しても良く、育苗後の苗は、育苗ポットへ定植した(苗床で育てた苗を田や畑に本式に移し植えた)。
詳解すれば、播種から1週間後(播種後7日)の各実施例、比較例における根Nの伸長程度を図4に示し、播種から2週間後(播種後14日)の各実施例、比較例における根Nの伸長程度を図5に示し、播種から3週間後(播種後21日)の各実施例、比較例における根Nの伸長程度を図6に示し、同じく、播種から3週間後(播種後21日)の各実施例、比較例における根N以外の部分(地上部)の様子を図7に示す。
又、播種から1週間後(播種後7日)の各実施例、比較例における植物丈(草丈)Tと葉齢Yと、播種から2週間後(播種後14日)の各実施例、比較例における植物丈(草丈)Tと葉齢Yと、播種から3週間後(播種後21日)の各実施例、比較例における植物丈(草丈)Tと葉齢Yを図8に示す。
尚、葉齢Yの数え方は、初生葉や鞘葉なども含め最初の葉を第1葉とし、この第1葉がついた時を葉齢「1」枚、第2葉がついた時を葉齢「2」枚、以下同様に、第3葉がついた時を葉齢「3」枚・・・と数えても良い点も、試験1と同様である。
図4〜6で示されたように、播種から1週間後、2週間後、3週間後の何れの時期においても、実施例3−1のシート状物1や、実施例3−2の再利用シート状物1’を使用した制限システム10(容器制限システム10’)は、シート状物1(1’)を使用していない比較例2より、根Nの伸長程度が抑制されている。
又、図7、8で示されたように、播種から1週間後、2週間後、3週間後の何れの時期においても、実施例3−1のシート状物1や、実施例3−2の再利用シート状物1’を使用した制限システム10(容器制限システム10’)は、シート状物1(1’)を使用していない比較例2と遜色ない植物丈Tや葉齢Yとなっている。
従って、実施例3−1、3−2は、植物Pの根N(根域)を制限すると共に、根N以外の部分(地上部)の生長には影響を及ぼさないで、育苗箱(苗箱)等の容器12からのイネの脱着を容易にすることが認められ、当該シート状物1の再利用も可能であることが分かる。
尚、本発明は、前述した実施形態に限定されるものではない。シート状物1、植物の根の制限システム10等の各構成又は全体の構造、形状、寸法などは、本発明の趣旨に沿って適宜変更することが出来る。
植物の根の制限システム10(容器制限システム10’)は、上述したように、シート状物1が貯水槽11の底11aに敷かれ、当該シート状物1の上には、植物Pを植えた容器12が載置されていても良いが、その他、シート状物1を、育苗箱、育苗トレー、育苗ポット等の容器12の底12aに敷いたものであっても構わない。
2 制限物質
3 制限繊維
4 制限布帛
10 植物の根の制限システム
11 貯水槽
11a 貯水槽の底
12 植物を植えた容器(植物容器)
BP 動植物
P 植物
N 植物の根
T 植物丈(草丈)
Y 葉齢
Claims (4)
- 動植物の少なくとも一部を制限するシート状物であって、
当該シート状物は、銀、銅、金、アルミニウム、硫化銀、硫化銅、硫化金のうち少なくとも1つである制限物質を含有していることを特徴とするシート状物。 - 当該シート状物は、制限物質を含有した制限繊維を備えており、
この制限繊維における制限物質以外の素材は、アクリル繊維、アクリル系繊維、ポリアミド繊維又はポリエステル繊維であり、
前記制限繊維は、不織布、織物、編物、ネットのうち少なくとも1つである制限布帛の少なくとも一部を構成していることを特徴とする請求項1に記載のシート状物。 - 請求項1又は2に記載のシート状物が貯水槽の底に敷かれ、当該シート状物の上には、植物を植えた容器が載置されていることを特徴とする植物の根の制限システム。
- 請求項1又は2に記載のシート状物を使用した植物の根の制限システムであって、
当該シート状物を植物に2回使用した場合でも、1回目使用における植物丈と2回目使用における植物丈の差が0.00cm以上5.00cm以下である、及び/又は、1回目使用における葉齢と2回目使用における葉齢の差が0.00枚以上4.00枚以下であることを特徴とする植物の根の制限システム。
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