JP2017192244A - 回転電機の積層鉄心、および回転電機の積層鉄心の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】ダボ位置にずれが生じている場合でも嵌合強度の低下がなく、高精度な積層鉄心を得ること。
【解決手段】片面側が開口する凹部であり他面側が凸部であるダボが設けられた鉄心板が複数、ダボの凸部が隣接して積層する鉄心板のダボの凹部に嵌合して、積層された回転電機の積層鉄心において、ダボの凹部の側面が開口側に向けて広がるテーパとなり、このテーパの底近傍の側面に突起が形成されているようにした。
【選択図】図1
【解決手段】片面側が開口する凹部であり他面側が凸部であるダボが設けられた鉄心板が複数、ダボの凸部が隣接して積層する鉄心板のダボの凹部に嵌合して、積層された回転電機の積層鉄心において、ダボの凹部の側面が開口側に向けて広がるテーパとなり、このテーパの底近傍の側面に突起が形成されているようにした。
【選択図】図1
Description
この発明は、回転電機の積層鉄心の製造に関するものである。
回転電機は、積層鉄心として、鉄心用鋼板をプレス機などで円筒状に成形される回転子、および、円筒形状かつ、円筒の内径側にティースと呼ばれる櫛形状を複数成形する固定子の2つがある。これらの積層鉄心は、同形状の鋼板を軸方向に任意の枚数積層し、円柱状に組み立て、それらを連結、固定する。円筒状に組立てられた固定子積層鉄心は各ティースに絶縁被覆された金属線であるコイルが組み付けられる。また、回転子積層鉄心は、円筒状に組立てられた積層鉄心の中心部にシャフトなどと呼ばれる軸が挿入、固定される。その後、コイルが組み付けられた固定子積層鉄心と、シャフトが組み付けられた回転子積層鉄心を同軸状に配置させ、コイルに電流を流すことで電磁誘導効果により、回転子積層鉄心とそれに付随するシャフトが回転する。
このようなプレス打ち抜きされた積層鉄心においては、相互に連結、固定させる方法として円筒状に積層した積層鉄心の外周をTIG溶接などで溶融させて連結、固定する方法、
積層鉄心の外周に凹溝を複数個所設けて等辺山形断面に折り曲げた板を円筒状に積層した積層鉄心の凹溝に挿入し、外周から板を加圧変形させることによって凹溝内で板をかしめて連結、固定する方法、積層鉄心の表面にダボと呼ばれる凹凸を複数箇所設け、積層鉄心を上下に重ねる際に、ダボを相互に嵌め合せることによって連結、固定させる方法などがある。
積層鉄心の外周に凹溝を複数個所設けて等辺山形断面に折り曲げた板を円筒状に積層した積層鉄心の凹溝に挿入し、外周から板を加圧変形させることによって凹溝内で板をかしめて連結、固定する方法、積層鉄心の表面にダボと呼ばれる凹凸を複数箇所設け、積層鉄心を上下に重ねる際に、ダボを相互に嵌め合せることによって連結、固定させる方法などがある。
ダボを用いて積層鉄心を連結、固定する方法は、積層鉄心をプレス抜きすると同時にその下方に既にプレス抜きした積層鉄心を配置させ、積層鉄心の受け面に上方向への圧力をかけておくことでプレス抜きすると同時に相互のダボを嵌合させることができるため他の固定方法と比べて加工工数、製作コストを低減することができる。
一般に積層鉄心の材料である鉄心用鋼板をプレス打ち抜きする場合、コイル状に巻かれた数百ミクロンから1mm前後の板厚の鉄心用鋼板を材料メーカから購入し、アンコイラなどと呼ばれる搬送設備に鉄心用鋼板を取りつけてプレスに引き込み、打ち抜き成形する。鉄心用鋼板は幅方向に対して板厚偏差が存在しており、積層鉄心をプレス打ち抜きして積層する場合、その積層枚数は積層鉄心1個当たり数百枚程度になるため、抜き落とした向きのまま積層していくと同じ打ち抜き位置の板厚偏差が積み上げられ、積層鉄心が円筒状に成形された際に、製品精度として定められた幾何公差を満足できなくなる問題がある。
この対策として、プレス成形されるダボを積層鉄心の中心に対して円周状に複数個配置させ、積層鉄心が任意の枚数だけ嵌合、積層されると積層鉄心を180°または任意の角度だけ間欠的に回転させ、そこへ引き続きプレス打ち抜きされた積層鉄心を嵌合、積層し、積層鉄心1個を成形する中でこの動作を1回ないし複数回繰り返すことで鉄心用鋼板の板厚偏差を相殺する方法がある。しかし、プレス金型の工作精度、組立精度の関係から、ダボを厳密に設計時の所定の位置に成形することは難しく、必ず積層鉄心の平面に対してダボ位置のずれが生じてしまう。このため、嵌合、積層した積層鉄心を任意の角度に回転させ、そこへ次にプレス打ち抜きされた積層鉄心を嵌合させた場合、ダボ位置のずれによって、ダボ同士が嵌合されないという課題があった。
特許文献1はこのような問題を解決するために考案されたもので、積層鉄心をプレス打ち抜きするパンチの下面と、嵌合、積層された積層鉄心を受ける下受けパット間を平行に保ち、下受けパットに対して垂直はガイド面を有する金型のダイで積層鉄心の側面を押圧、拘束するように構成している。特許文献1に記載されている方法によれば、プレス打ち抜きされた積層鉄心は、パンチと下受けパット、ダイで上下、側面を拘束されるため、鉄心用鋼板の単板の板厚偏差の大小に影響されることなく上下面の平行度が均一で高精度な積層鉄心を得ることができる。
しかし、前述した積層鉄心の平面内のダボの位置ずれの他に、プレス打ち抜きされた積層鉄心をダイ内に嵌め入れる際に、ダイの側面と積層鉄心の側面が擦れ合い、積層鉄心にそりが発生することによって、既にプレス打ち抜きされてダイ内に拘束されている積層鉄心のダボと、嵌合しようとする積層鉄心のダボが干渉し、相互のダボを変形させる、または完全な嵌合が行われずに積層鉄心の嵌合強度を低下させるという課題があった。
特許文献2はこのような問題を解決するために考案されたもので、打ち抜きパンチの下方への切り込み長を、パンチによる打ち抜きが開始される直前に、ダイ内に積層された積層鉄心の嵌合部と、新たに嵌合、積層される嵌合部が接触もしくはわずかに嵌入する状態になるようにあらかじめ構成している。特許文献2に記載された方法によれば、積層鉄心が嵌入される際に打ち抜きによるそりが発生しても、ダボが相互にガイドされているため、ダボの変形を抑制することができ、積層鉄心の板厚方向のそりに影響されることなく積層鉄心を相互に嵌合することができる。
このような回転電機の積層鉄心においては、嵌合、積層された積層鉄心の積層密度が大きいほど回転電機に発生する損失が少なく、効率よく回転電機を動作できることが知られている。しかしながら、特許文献1の技術は鉄心用鋼板が持つ板厚偏差によって相互に嵌合、積層された鉄心用鋼板の間に隙間が生じるという問題があった。
また、特許文献2の技術は鉄心用鋼板をプレス打ち抜きし、嵌合、積層した際の板厚偏差の影響と打ち抜きされた鉄心用鋼板の平面内のダボ位置ずれの影響を抑制して積層鉄心を精度よく、かつ、嵌合強度を低下させることなく成形することができないという問題があった。
本発明は、このような問題点を解決するためになされたものであり、嵌合する相互の鉄心用鋼板のダボ位置にずれが生じている場合でも嵌合強度の低下がなく、高精度な積層鉄心を得ることを目的としている。
本発明の回転電機の積層鉄心は、片面側が開口する凹部であり他面側が凸部であるダボが設けられた鉄心板が複数、ダボの凸部が隣接して積層する鉄心板のダボの凹部に嵌合して、積層された回転電機の積層鉄心において、ダボの凹部の側面が開口側に向けて広がるテーパとなり、このテーパの底近傍の側面に突起が形成されているものである。
また、本発明の、回転電機の積層鉄心の製造方法は、鉄心用鋼板を、ダボを形成するための側面が鉄心用鋼板の面に垂直となる凸形状を有する金型により半抜きしてダボを形成するダボ形成工程と、凸形状の側面がテーパ形状を有する凸形状となったパンチにより、ダボ形成工程において形成されたダボの凹部側面を凹部の開口側に向けて広がったテーパ形状にするとともに、ダボの凹部のテーパ形状の側面の底近傍に突起を形成するテーパ形成工程と、テーパ形成工程により凹部の側面がテーパ形状となったダボを有する鉄心用鋼板を所定の外周形状にプレス打ち抜きして金型内に鉄心板を得る第一鉄心板形成工程と、金型内の最上部の鉄心板の上方に、テーパ形成工程により凹部の側面がテーパ形状となったダボを有する鉄心用鋼板を配置し、所定の外周形状にプレス打ち抜きして新たな鉄心板を形成するとともに、新たな鉄心板に形成されているダボを最上部の鉄心板のダボに嵌合させて、最上部の鉄心板の上に新たな鉄心板を積層して、新たな鉄心板を新たに最上部の鉄心板とする工程を繰り返して、金型内に複数枚の鉄心板が積層された積層鉄心を得る積層工程と、を備えたものである。
この発明によれば、ダボにテーパと突起を設けたことにより、相互に嵌合される鉄心板のダボに位置ずれが生じた場合でも鉄心板を嵌合、積層させることができ、高精度な積層鉄心を得ることができる。
実施の形態1.
図1は本発明の実施の形態1による回転電機の積層鉄心の断面の一部を拡大して示す拡大断面図である。図2は積層鉄心の一例として、鉄心板1を任意の枚数だけ嵌合、積層し、コイルを組み付けて回転電機に組み入れられる前の固定子の積層鉄心2の構成を示す斜視図である。図1に示した断面図は図2のダボ3を含む部分の断面の一部を示したものである。ダボ3の数は、積層鋼板の機能上、必要な数が加工されるべきであり、図2に示すダボ3の数に限られるものではない。各鉄心板1には、凹部5、凸部4から成るダボ3が任意の数だけ設けられている。ダボ3の凹部5の側面は外周角部6からテーパ7となっている。ダボ3の凸部4は当該鉄心板1の下方に隣接して積層される鉄心板1の凹部5に嵌合しており、鉄心板1の各ダボ3において、同様に嵌合している。
図1は本発明の実施の形態1による回転電機の積層鉄心の断面の一部を拡大して示す拡大断面図である。図2は積層鉄心の一例として、鉄心板1を任意の枚数だけ嵌合、積層し、コイルを組み付けて回転電機に組み入れられる前の固定子の積層鉄心2の構成を示す斜視図である。図1に示した断面図は図2のダボ3を含む部分の断面の一部を示したものである。ダボ3の数は、積層鋼板の機能上、必要な数が加工されるべきであり、図2に示すダボ3の数に限られるものではない。各鉄心板1には、凹部5、凸部4から成るダボ3が任意の数だけ設けられている。ダボ3の凹部5の側面は外周角部6からテーパ7となっている。ダボ3の凸部4は当該鉄心板1の下方に隣接して積層される鉄心板1の凹部5に嵌合しており、鉄心板1の各ダボ3において、同様に嵌合している。
次に鉄心板1の製造方法について示す。鉄心板1はプレス機と金型を用いて成形される。成形に用いる金型は1ピッチ送りごとに任意の形状を成形可能な順送金型を用いることが経済的である。順送金型は、打ち抜く製品の形状を同様な形状ごとに分け、それらの形状を金型の1区画ごとに上下金型に転写する。各区画にはガイドピンと呼ばれる凸形の金型部品を配置させ、金型内に鉄心用金型が送り入れられると、まずはガイドピンと同形状の穴を鉄心用鋼板に打ち抜き、鉄心用鋼板が間欠的に金型内で搬送される際に、この穴とガイドピンとを嵌合させることによって間欠的に搬送される鉄心用鋼板の搬送距離を金型の1区画分の距離と合せる。このようにして、金型の1区画ごとに成形された打ち抜き形状を鉄心用鋼板に転写していくものである。
本発明では、必ずしもこのような順送金型を用いて積層鉄心を製造する必要はないが、以下順送金型を用いて製造する製造方法を図3のフロー図を参照して説明する。まず鉄心用鋼板にダボ3が次に示す手順で成形される。上金型に、側面が鉄心用鋼板の面に垂直となる下向き凸形で円形状のパンチなどと呼ばれる金型部品を配置し、当該金型部品の下方に位置する下金型の領域に、円形状の金型部品と同形状の溝部または、穴部を配置する。この円形状部品と溝部、または穴部で鉄心用鋼板を打ち抜く際に、円形状部品の打ち抜き長さを鉄心用鋼板の板厚よりも小さくするか、下金型に配置した溝部の深さを鉄心用鋼板の板厚よりも小さくすることによって鉄心用鋼板の加工部は、せん断打ち抜きされる直前の、半抜きされた状態となり、側面が鉄心用鋼板の面に垂直な面である凹部50、凸部4から成るダボ30が形成される(ステップST1)。ステップST1をダボ形成工程と称することにする。図4に半抜き成形された後のダボ30を示す。
鉄心用鋼板はダボ30の部分が図4の形状に成形された後、順送金型の中で搬送され、次に凹部5の周囲面に凹部の開口側に向けて広がるテーパ7と、テーパ7の底の周囲に突起8が成形される(ステップST2)。ステップST2をテーパ形成工程と称することにする。テーパ7と突起8を加工する際は、図5に示すように、上金型に配置する円形状の金型部品の先端部を段付き形状にし、かつ段の側面部をテーパ形状に加工されたパンチ10でプレス加工する。図5では、ダボの凸部4側を受ける下金型の部品を省略している。具体的には、図4に示す側面が鉄心用鋼板の面に垂直な面であるダボ30の凹部50を上方からテーパ形状を有するパンチ10で加圧すると同時に、ダボ30の凸部4下方から、下金型の部品であるダイなどを用いてダボ30を受けることにより、ダボ30の凹部50の外周角部6が塑性変形してパンチ10のテーパ形状が鉄心用鋼板に転写されて凹部50の側面にテーパ7を加工することができ、側面がテーパ7となった凹部5を有するダボ3が得られる。また、テーパ形状が転写されると同時に、図4に示すダボ30の凹部50の外周角部6にあった鉄心用鋼板が塑性変形して下方へ押し込まれることによって、側面がテーパ7となった凹部5の底近傍の側面に突起8が成形される。
ダボ3の形状を成形後、金型の中で鉄心用鋼板を搬送し、外周部、ティースなど、鉄心板1の外周形状をプレス打ち抜き加工を行うとともに、鉄心板1のダボ3を相互に嵌合、積層する(ステップST5)。鉄心用鋼板は打ち抜き加工されると同時に、打ち抜き加工に用いる上金型に組み付けた金型部品によって下金型内の下方へ押し下げられる。この時、図6に示すように、打ち抜かれた鉄心板1の各ダボ3の凹部5は、上金型に設けた押え部品11を用いて押える。なお、一枚目の鉄心板(ステップST3 YES)は積層する必要が無いため、プレス打ち抜き加工を行い、下金型内の下部に配置されるだけである(ステップST4)。ステップST4を第一鉄心板形成工程と称することにする。
打ち抜き加工された鉄心板1の下方には、鉄心板1の外周と同形状の穴部を下金型に設けておき、さらにその下方に鉄心板1を受けるための受け部品を配置させ、油圧シリンダなどの駆動源を用いて受け部品に対して下金型から上金型の方向に向けて圧力を負荷しておく。このような構成にすることで、加工が完了した鉄心板1は受け部品の上にあり、下金型の内部で拘束、保持されていることになる。予め設定された枚数の鉄心板を積層するまで(ステップST6 NO)ステップST1、ST2、ST5を繰り返すことにより、予め設定された枚数の鉄心板が積層された積層鉄心を得ることができる(ステップST6 YES)。この、鉄心板を繰り返し積層する工程を積層工程と称することにする。
以上では、順送金型を用いて製造する方法を例に説明したが、図3のフロー図により示される工程で製造する方法であれば、必ずしも順送金型を用いる必要は無い。また、ここでは、回転電機の固定子の積層鉄心を例に説明したが、回転子の積層鉄心であっても、上記のテーパ付のダボ3を設けることにより固定子と同様の効果を奏することは言うまでもない。また、図1とは上下が反転、すなわち凹部5が下面側で、凸部4が上面側となるようダボが形成されていても構わない。
以上の方法によって、新たにプレス打ち抜きされた鉄心板1のダボ3の凸部4と既に打ち抜かれ下金型の最上部にある鉄心板1のダボ3の凹部5が嵌合、積層されることになり、相互のダボ3に位置ずれが生じた場合でも、ダボ3のテーパ7にダボ3の凸部4が倣って嵌合されると同時に、ダボ3の凹部5の突起8、またはダボ3の凸部4の側面部が塑性変形し、鉄心板1を相互に嵌合、積層し積層鉄心2を製造することが可能となる。
実施の形態2.
図7は、本発明の実施の形態2による回転電機の積層鉄心の構成を示す拡大断面図である。実施の形態2では、図7に示すように、ダボ3の凹部5にテーパ7と突起8を加工する際に、鉄心板1の凹部5の開口を取り囲むように溝12が設けられている。図7の例では、テーパ7の開始端に溝12が設けられている。この例では、テーパ7の開始端に断面が三角形状で円周状の溝12を設けている。次にこの溝12の成形方法を述べる。実施の形態1で説明した、テーパ7と突起8を成形する際に用いる上金型内に配置される円形状かつ先端部がテーパ形状の段付きに加工されたパンチ10の段付き根元部側のテーパ形状の開始端に、断面が三角形状で、かつ、パンチ10のテーパ形状の周囲を円形状に囲んだ山形状突起13を設ける。このような構成にすることで、ダボ3の凹部5にテーパ7と突起8をプレス成型する際に、同時に断面が三角形状の溝12を鉄心板1に成形することができる。図8に、上金型内に設けられたパンチ10によって鉄心板1のダボ3の凹部5にテーパ7と突起8、および開口を取り囲む溝12を成形する際の、ダボ3周辺の断面図を示す。その他の鉄心板1の成形方法と、鉄心板1を相互に嵌合、積層する方法は、実施の形態1と同様である。
図7は、本発明の実施の形態2による回転電機の積層鉄心の構成を示す拡大断面図である。実施の形態2では、図7に示すように、ダボ3の凹部5にテーパ7と突起8を加工する際に、鉄心板1の凹部5の開口を取り囲むように溝12が設けられている。図7の例では、テーパ7の開始端に溝12が設けられている。この例では、テーパ7の開始端に断面が三角形状で円周状の溝12を設けている。次にこの溝12の成形方法を述べる。実施の形態1で説明した、テーパ7と突起8を成形する際に用いる上金型内に配置される円形状かつ先端部がテーパ形状の段付きに加工されたパンチ10の段付き根元部側のテーパ形状の開始端に、断面が三角形状で、かつ、パンチ10のテーパ形状の周囲を円形状に囲んだ山形状突起13を設ける。このような構成にすることで、ダボ3の凹部5にテーパ7と突起8をプレス成型する際に、同時に断面が三角形状の溝12を鉄心板1に成形することができる。図8に、上金型内に設けられたパンチ10によって鉄心板1のダボ3の凹部5にテーパ7と突起8、および開口を取り囲む溝12を成形する際の、ダボ3周辺の断面図を示す。その他の鉄心板1の成形方法と、鉄心板1を相互に嵌合、積層する方法は、実施の形態1と同様である。
この構成によれば、鉄心板1にテーパ7と突起8を成形する際に、ダボ3の凹部5の外周角部6が塑性変形してパンチ10のテーパ形状が鉄心板1に転写されてダボ3の凹部5にテーパ7が加工され、それと同時にダボ3の凹部5の外周角部6にあった鉄心板1が塑性変形する際に、パンチ10の段付き根元部に設けた山形状突起13によって、塑性変形する鉄心板1が、ダボ3の凹部5の外周へ移動することを防ぐことができるので、ダボ3の凹部5のテーパ7と突起8を簡単に形成することができる。
実施の形態3.
図9から図11は、本発明の実施の形態3による回転電機の積層鉄心の構成を示す図である。本実施の形態3は、本発明を、いわゆる分割積層鉄心に適用した実施の形態である。分割積層鉄心とは、図2で示すような円筒形状の積層鉄心2を円周方向に任意の数に分割したものであり、積層鉄心が分割された分割積層鉄心体を連結して円筒形状の固定子に組み立てる。図9に分割積層鉄心の概略構成を平面図により示す。図9に示すように、複数の分割積層鉄心体140を、ある分割積層鉄心体140の連結凸部15と隣接する分割積層鉄心体140の連結凹部16とを当接させて円筒形状の固定子に仕上げる。図10および図11により、詳細を説明する。図10は一つの分割積層鉄心体140の一部を取り出して示す斜視図であり、図11は分割積層鉄心体140を構成する一枚の鉄心板、すなわち、鉄心用鋼板をプレス打ち抜きした分割鉄心板14の形状の例を示す平面図である。
図9から図11は、本発明の実施の形態3による回転電機の積層鉄心の構成を示す図である。本実施の形態3は、本発明を、いわゆる分割積層鉄心に適用した実施の形態である。分割積層鉄心とは、図2で示すような円筒形状の積層鉄心2を円周方向に任意の数に分割したものであり、積層鉄心が分割された分割積層鉄心体を連結して円筒形状の固定子に組み立てる。図9に分割積層鉄心の概略構成を平面図により示す。図9に示すように、複数の分割積層鉄心体140を、ある分割積層鉄心体140の連結凸部15と隣接する分割積層鉄心体140の連結凹部16とを当接させて円筒形状の固定子に仕上げる。図10および図11により、詳細を説明する。図10は一つの分割積層鉄心体140の一部を取り出して示す斜視図であり、図11は分割積層鉄心体140を構成する一枚の鉄心板、すなわち、鉄心用鋼板をプレス打ち抜きした分割鉄心板14の形状の例を示す平面図である。
図11に示すように、分割鉄心板14の周方向の両翼の片側は、分割積層鉄心体140の連結凸部15となる凸形状となっており、反対側は、分割積層鉄心体140の連結凹部16となる凹形状となっている。この凸形状部分を分割鉄心板連結凸部150、凹形状となっている部分を分割鉄心板連結凹部160と称することにする。また積層したときに図10に示す分割積層鉄心体140のティース9を形成するように、分割鉄心板14はティース部90が突き出した形状となっている。分割鉄心板14のティース部90の基部となる位置には、分割鉄心板14を積層し、相互に固定して立体形状の分割積層鉄心体140に成形するためのダボ3が設けられている。ダボ3は、実施の形態1と同様、上下の分割鉄心板14が嵌合、積層するために用いられる。さらに、分割鉄心板連結凸部150にも、ダボ3と同じテーパ形状と突起を有するダボ153が形成されている。ダボ153は上下の分割鉄心板14が嵌合、積層するためと、周方向に隣接する分割積層鉄心体140を連結するために用いられる。これらのダボ3およびダボ153、およびその周辺は、図1または図7の断面図と同様の構成となっている。
分割積層鉄心体140は、図11に示す分割鉄心板14を複数枚積層し、その上にさらに図11と左右が反転した分割鉄心板14を複数枚積層し、この積層を複数回繰り返したもので構成されている。こうすることで、分割積層鉄心体140の一部を取り出して示す図10に示すように、図10の手前側と奥側両側に連結凸部15と連結凹部16を交互に備えた分割積層鉄心体140が形成される。すなわち、連結凸部15の周方向反対側は連結凹部16であり、逆に連結凹部16の周方向反対側は連結凸部15となる。この分割積層鉄心体140の連結凸部15を、隣に配置される分割積層鉄心体140の連結凹部に当接させることにより、複数の分割積層鉄心体140を繋げることができる。
次に円筒形状に成形される積層鉄心と分割積層鉄心の違いについて述べる。円筒形状に成形した積層鉄心のティースにコイルを巻きつける場合、回転電機の性能改善のため、コイルの巻き密度の改善が有効である。例えば1つの分割積層鉄心に1つのティース9が付属する形状に積層鉄心を分割し、分割積層鉄心にコイルを巻きつければ、実施の形態1で説明した円筒形状に成形した積層鉄心にコイルを巻きつける場合よりもより簡単に、かつコイルの巻き密度を大きく巻きつけることが可能になる。また、分割積層鉄心は、プレス打ち抜き形状によって、円筒状に成形する積層鉄心に比べて鉄心用鋼板の材料歩留まりを改善することができる。
次に分割積層鉄心体140の形成方法について、図12に示すフロー図により説明する。分割鉄心板14のダボ3とその凹部5にテーパ7と突起8を設ける方法は、実施の形態1、図3のステップST1およびステップST2と同様である。また、分割鉄心板連結凸部150に設けるダボ153も実施の形態1に示すダボ3の成形方法と同様の方法で加工する(ステップST1、ST2)。片側に分割鉄心板連結凸部150と反対側に分割鉄心板連結凹部160の外周形状を有する分割鉄心板14の成形方法について示す。分割鉄心板14を成形するためのプレス金型において、分割鉄心板14の外周形状を打ち抜く工程において、断面が分割鉄心板連結凸部150と分割鉄心板連結凹部160の外周と同形状
である下向き凸形の金型部品を上金型に設け、任意に当該金型部品を出し入れ可能な金型構造とする。当該金型部品を出して鉄心用鋼板を打ち抜き、その他形状を成形して分割鉄心板14の外周形状を打ち抜いた場合、この部分は図11に示す分割鉄心板連結凹部160のように成形される。逆に、当該金型部品を上金型内に引き入れたまま鉄心用鋼板を打ち抜き成形した場合、この部分は図11に示す分割鉄心板連結凸部150のように成形される。まず、片側が分割鉄心板連結凸部150、反対側が分割鉄心板連結凹部160となる外周形状を打ち抜きながら、ダボ3とダボ153をそれぞれ相互に嵌合、積層する。嵌合、積層は、実施の形態1と同様の方法で、凹部5上方から金型部品でダボ3とダボ153をそれぞれ押え、凸部4下方から、受け部品でダボ3とダボ153を受ける。このような構成で分割鉄心板14を打ち抜き加工し、予め設定した枚数だけ分割鉄心板14のダボ3とダボ153を相互に嵌合、積層させる(ステップST10)。ステップST10の工程を第一積層工程と称することにする。また実施の形態1のステップST4の第一鉄心板形成工程と同様、金型内に一枚目の分割鉄心板を打ち抜いて形成して配置する工程(図12のステップST4)を、第一分割鉄心板形成工程と称することとする。
である下向き凸形の金型部品を上金型に設け、任意に当該金型部品を出し入れ可能な金型構造とする。当該金型部品を出して鉄心用鋼板を打ち抜き、その他形状を成形して分割鉄心板14の外周形状を打ち抜いた場合、この部分は図11に示す分割鉄心板連結凹部160のように成形される。逆に、当該金型部品を上金型内に引き入れたまま鉄心用鋼板を打ち抜き成形した場合、この部分は図11に示す分割鉄心板連結凸部150のように成形される。まず、片側が分割鉄心板連結凸部150、反対側が分割鉄心板連結凹部160となる外周形状を打ち抜きながら、ダボ3とダボ153をそれぞれ相互に嵌合、積層する。嵌合、積層は、実施の形態1と同様の方法で、凹部5上方から金型部品でダボ3とダボ153をそれぞれ押え、凸部4下方から、受け部品でダボ3とダボ153を受ける。このような構成で分割鉄心板14を打ち抜き加工し、予め設定した枚数だけ分割鉄心板14のダボ3とダボ153を相互に嵌合、積層させる(ステップST10)。ステップST10の工程を第一積層工程と称することにする。また実施の形態1のステップST4の第一鉄心板形成工程と同様、金型内に一枚目の分割鉄心板を打ち抜いて形成して配置する工程(図12のステップST4)を、第一分割鉄心板形成工程と称することとする。
次に、ダボ3およびダボ153が形成された(ステップST1、ST2)鉄心用鋼板から分割鉄心板連結凸部150と分割鉄心板連結凹部160の位置がステップST10とは反転した分割鉄心板14を形成するため、分割鉄心板連結凸部150と分割鉄心板連結凹部160を成形する金型部品の出入りを逆転させ、外周形状を打ち抜きながら、予め設定した枚数(この枚数は必ずしも上記の予め設定した枚数、すなわち左右が反転している外周形状の分割鉄心板が積層されている枚数と同じでなくても良い)だけ分割鉄心板14のダボ3とダボ153を相互に嵌合、積層させる(ステップST12)。ステップST12の工程を第二積層工程と称することにする。さらに第一積層工程に戻り(ステップST11 NO)、分割鉄心板連結凸部150と分割鉄心板連結凹部160を成形する金型部品の出入りを逆転させることにより、ステップST10と同じ向きに分割鉄心板連結凸部150と分割鉄心板連結凹部160が形成された分割鉄心板を積層する。このように第一積層工程と第二積層工程を、所定の全枚数が積層されて分割積層鉄心体が形成される(ステップST11 YES)まで繰り返して行うことにより、図10に示すような、分割積層鉄心体140が組み立てられる。ただし、以上の工程中、ステップST10およびステップST12において、形状を反転させた最初の分割鉄心板14を積層するときに、この分割鉄心板14の分割鉄心板連結凸部150と、この分割鉄心板14を積層する、金型内の最上部の分割鉄心板14の分割鉄心板連結凸部150とは反対側になるため、分割鉄心板連結凸部150のダボ153同士は嵌合しない。以上のように第一分割鉄心板形成工程の後、第一積層工程と、第二積層工程とを交互に繰り返して一つの分割積層鉄心体140を形成する工程を、分割積層鉄心体形成工程と称することとする。ここで、分割積層鉄心体形成工程における各第一積層工程、各第二積層工程で積層する分割鉄心の枚数は、全て同じであっても、全て異なっていてもよい。
図10は組み立てられた分割積層鉄心体140の一部を取り出して示したものであり、分割積層鉄心体140の全体としては、連結凸部15が周方向の片側に固定子の軸方向に離れて複数個形成されている。また、連結凸部15の軸方向の間は連結凹部16となっている。さらに、連結凸部15の周方方向反対側は連結凹部16となり、連結凹部16の周方向反対側は連結凸部15となっている。分割積層鉄心体形成工程を繰り返すことにより複数の分割積層鉄心体140を形成し、形成した各分割積層鉄心体140を相互に隣接させ、連結凸部15を隣接する分割積層鉄心体140の連結凹部16に当接させることにより、図9に示すような円筒形状の積層鉄心を組み立てる。このとき、軸方向には隣接する分割積層鉄心体140の連結凸部15同士が当接することになり、軸方向に隣接する連結凸部15に形成されているダボ153同士が嵌合して、周方向に隣接する分割積層鉄心体140の連結部17同士が連結されることになる。ここで、周方向に隣接する分割積層鉄心体140の連結部17同士が連結される部分のダボ153の形状は、ダボの凹部の側面がテーパおよび突起を有しない、従来の形状のダボのほうが望ましい。隣接する分割積層鉄心体140を相互に連結しコイルを巻きつける、または分割積層鉄心体140にコイルを巻き付けた後、隣接する分割積層鉄心体140を相互に連結する場合、ダボ153を支点として分割積層鉄心体140を回転させるため、この部分のダボにテーパおよび突起が設けられていると、ダボを回転させることで突起部が変形し、十分な嵌合力が得られなくなる場合が考えられるからである。このように、ダボ153は全てがテーパを有するダボでなくてもよい。
上述のように、複数の分割積層鉄心体140を形成する各第一積層工程、各第二積層工程で積層する分割鉄心の枚数は、全て同じであっても、全て異なっていてもよい。ただし、複数の分割積層鉄心体の各分割積層鉄心体140において、下から同じ位置の連結凸部15を形成する分割鉄心板14の枚数は同じ枚数となる必要がある。各分割積層鉄心体140をこのように形成することで、ある分割積層鉄心体140の連結凸部15と、この連結凸部15に当接する、すなわち周方向に隣接する分割積層鉄心体140の連結凹部16の軸方向の寸法はほぼ同じとなるが、積層された状態の分割積層鉄心体140では、積層されている分割鉄心板間にわずかな隙間が生じている。この隙間が軸方向に複数存在することにより連結凸部15および連結凹部16の寸法に遊びが生じており、この遊びを利用して連結凸部15を連結凹部16に挿入することができる。挿入した後、連結凸部15のダボ153同士をきつく嵌合させるべく、軸方向に圧力をかけることにより遊びを少なくして当接する分割積層鉄心体140同士を連結することができる。前述の説明から、コイルは円筒形状に組み立てられる前の各分割鉄心板14に巻きつけられているべきであるが、本発明には直接関係が無いため図9ではコイルの描画を省略している。
この構成によれば、ダボ3とダボ153それぞれの凹部に成形されたテーパ部と突起(実施の形態1の凹部5、テーパ7、突起8と同様の)にダボ3とダボ153それぞれの凸部(実施の形態1の凸部4と同様の)が嵌合、積層されることになる。これにより、分割鉄心板14をプレス打ち抜き加工する際に、相互に嵌合、積層されるダボ3とダボ153それぞれに上下方向の位置ずれ、分割鉄心板14の平面方向の位置ずれが生じた場合であっても、突起または凸部の側面部が塑性変形し、分割鉄心板14を相互に嵌合、積層することができる。
実施の形態4.
実施の形態4においては、分割積層鉄心を用いた回転電機の積層鉄心の製造方法の、実施の形態3とは別の例について述べる。分割鉄心板14のプレス打ち抜き、嵌合、積層を行うに当たり、鉄心用鋼板の幅方向の許す限り、分割鉄心板14を同時に打ち抜きながら分割積層鉄心体140を連結してもよい。図13に複数の分割鉄心板14を同時に複数個プレス打ち抜きするとともに、ダボ3、ダボ153を嵌合して積層し、複数の分割積層鉄心体140が連結された分割積層鉄心連結体240が形成された様子を示す。複数の分割鉄心板14を同時に打ち抜く工程を説明する。まず、鉄心用鋼板の所定の位置にダボ3、ダボ153を形成し、次に複数の分割鉄心板14が連なった外形形状の金型を用い、さらに、実施の形態3で述べた、分割鉄心板14の分割鉄心板連結凸部150および分割鉄心板連結凹部160を成形するための金型部品を、一度に打ち抜き加工する分割鉄心板14の数に応じて金型内に配置する。この金型部品を用い、各分割鉄心板14相互に当接するように分割鉄心板連結凸部150および分割鉄心板連結凹部160を成形するためのパンチを任意に出し入れし、各分割鉄心板14の分割鉄心板連結凸部150および分割鉄心板連結凹部160を成形するとともに、各分割鉄心板14を切り離して打ち抜く。打ち抜き後の分割鉄心板14を受けるため下金型内に配置される受け部品は、成形する分割鉄心板14の数に応じて、その受け面を広げる必要がある。
実施の形態4においては、分割積層鉄心を用いた回転電機の積層鉄心の製造方法の、実施の形態3とは別の例について述べる。分割鉄心板14のプレス打ち抜き、嵌合、積層を行うに当たり、鉄心用鋼板の幅方向の許す限り、分割鉄心板14を同時に打ち抜きながら分割積層鉄心体140を連結してもよい。図13に複数の分割鉄心板14を同時に複数個プレス打ち抜きするとともに、ダボ3、ダボ153を嵌合して積層し、複数の分割積層鉄心体140が連結された分割積層鉄心連結体240が形成された様子を示す。複数の分割鉄心板14を同時に打ち抜く工程を説明する。まず、鉄心用鋼板の所定の位置にダボ3、ダボ153を形成し、次に複数の分割鉄心板14が連なった外形形状の金型を用い、さらに、実施の形態3で述べた、分割鉄心板14の分割鉄心板連結凸部150および分割鉄心板連結凹部160を成形するための金型部品を、一度に打ち抜き加工する分割鉄心板14の数に応じて金型内に配置する。この金型部品を用い、各分割鉄心板14相互に当接するように分割鉄心板連結凸部150および分割鉄心板連結凹部160を成形するためのパンチを任意に出し入れし、各分割鉄心板14の分割鉄心板連結凸部150および分割鉄心板連結凹部160を成形するとともに、各分割鉄心板14を切り離して打ち抜く。打ち抜き後の分割鉄心板14を受けるため下金型内に配置される受け部品は、成形する分割鉄心板14の数に応じて、その受け面を広げる必要がある。
本実施の形態4による製造方法では、実施の形態3とは異なり、以下のように、隣り合う分割積層鉄心体は連結された状態で製造される。まず、鉄心用鋼板の所定の位置に、実施の形態1で説明した、凹部の側面にテーパと突起を有するダボ3、ダボ153を形成する。次に、この鉄心用鋼板から、図13における左側が分割鉄心板連結凸部150となり右側が分割鉄心板連結凹部160となる外周形状の複数の分割鉄心板14が下金型内に打ち抜かれる。その上に、ダボ3、ダボ153を有する同じ外周形状の複数の分割鉄心板14が打ち抜かれて、打ち抜かれた新たな分割鉄心板14のダボ3、ダボ153と、下金型内の最上部の複数の分割鉄心板14のダボ3、ダボ153とが嵌合され、複数の分割鉄心板14が積層される。この工程を、予め設定した枚数だけ分割鉄心板14が積層されるまで繰り返す。
その後、打ち抜く外周形状が、右側が分割鉄心板連結凸部150となり左側が分割鉄心板連結凹部160となるよう金型部品を入れ替えて、あるいは金型部品を出し入れして、所定の位置にダボ3、ダボ153か形成された鉄心用鋼板から複数の分割鉄心板14を打ち抜く。新たに打ち抜かれた複数の分割鉄心板14のダボ3、ダボ153と、下金型内の最上部の複数の分割鉄心板14のダボ3、ダボ153とを嵌合させて、並んだ複数の分割鉄心板14をそれぞれ一度に積層する。このとき、新たな分割鉄心板14のダボ153は、直下に積層されている最上部の分割鉄心板14ではなく、隣接して積層された、すなわち隣接する分割積層鉄心体140の最上部の分割鉄心板のダボ153と嵌合されることになる。ここで、隣接する2個の分割積層鉄心体140の分割鉄心板同士が連結されることになる。なお、実施の形態3で説明したように、この部分で嵌合するダボ153の凹部だけは側面にテーパの無いダボであることが望ましい。さらに、同じ外周形状、すなわち右側が分割鉄心板連結凸部150となり左側が分割鉄心板連結凹部160となる複数の分割鉄心板14を打ち抜き、打ち抜かれた新たな複数の分割鉄心板14のダボ3、ダボ153と、下金型内の最上部の複数の分割鉄心板14のダボ3、ダボ153とが嵌合され、複数の分割鉄心板14が積層される。この工程を分割鉄心板14が予め設定した枚数(この枚数は必ずしも上記の予め設定した枚数、すなわち左右が反転している外周形状の分割鉄心板が積層されている枚数と同じでなくても良い)だけ積層されるまで繰り返す。
その後、打ち抜く外周形状が、再び左側が分割鉄心板連結凸部150となり右側が分割鉄心板連結凹部160となるよう金型部品を入れ替えて、あるいは金型部品を出し入れして、複数の分割鉄心板14を打ち抜き、新たに打ち抜かれた複数の分割鉄心板14のダボ3、ダボ153と、下金型内の最上部の複数の分割鉄心板14のダボ3、ダボ153とを嵌合させて積層する。このとき、新たな分割鉄心板14のダボ153は、直下に積層されている最上部の分割鉄心板14ではなく、隣接して積層された、すなわち隣接する分割積層鉄心体140の最上部の分割鉄心板14のダボ153と嵌合されることになる。さらに、同じ外周形状、すなわち左側が分割鉄心板連結凸部150となり右側が分割鉄心板連結凹部160となる複数の分割鉄心板14を打ち抜き、下金型内の最上部の複数の分割鉄心板14のダボ3、ダボ153とが嵌合され、複数の分割鉄心板14が積層される。
以上の、外周形状を反転させながら複数の分割鉄心板14をそれぞれ予め設定した枚数積層する工程を繰り返すことにより、図13に示すように、複数の分割積層鉄心体140が連結された分割積層鉄心連結体240が出来上がる。図13では6個の分割積層鉄心体140が連結された分割積層鉄心連結体240となっている。なお、図13の左端の分割積層鉄心体140の左側の分割鉄心板連結凸部150およびダボ153は、最上部の分割鉄心板14の分割鉄心板連結凸部150およびダボ153ではなく、下方に位置する分割鉄心板14の分割鉄心板連結凸部150およびダボ153が上方から見えている様子を描いたものである。この分割積層鉄心連結体240を2個用いて、円筒形状に連結することにより図9に示すような、分割積層鉄心体140が12個連結された固定子の積層鉄心が出来上がる。
この構成によれば、プレス打ち抜き加工する際、一度に複数個の分割積層鉄心体140を組立てでき、分割積層鉄心体140を相互に連結しながら、組立てることができるため、加工工数を短縮することが可能である。
なお、本発明は、その発明の範囲内において、各実施の形態を組み合わせたり、各実施の形態を適宜、変形、省略したりすることが可能である。
1 鉄心板、2 固定子積層鉄心、3 ダボ、4 凸部、5 凹部、6 外周角部、7 テーパ形状、8 突起、 9 ティース、10 パンチ、11 押え部品、12 溝、13 山形状突起、14 分割鉄心板、15 連結凸部、16 連結凹部、17 連結部、140 分割積層鉄心体、150 分割鉄心板連結凸部、153 ダボ、160 分割鉄心板連結凹部、240 分割積層鉄心連結体
Claims (12)
- 片面側が開口する凹部であり他面側が凸部であるダボが設けられた鉄心板が複数、前記ダボの凸部が隣接して積層する鉄心板の前記ダボの凹部に嵌合して、積層された回転電機の積層鉄心において、
前記ダボの凹部の側面が前記開口側に向けて広がるテーパとなり、このテーパの底近傍の側面に突起が形成されていることを特徴とする回転電機の積層鉄心。 - 前記ダボの凹部の前記開口の周囲の前記鉄心板の面に、前記開口を取り囲むように溝が形成されていることを特徴とする請求項1に記載の回転電機の積層鉄心。
- 前記回転電機の積層鉄心は、軸に垂直な断面が円筒形状の固定子となる積層鉄心であり、当該積層鉄心は周方向に複数に分割され、ティースおよび連結部を有する分割積層鉄心体が複数、前記連結部で連結された積層鉄心であることを特徴とする請求項1または2に記載の回転電機の積層鉄心。
- 前記分割積層鉄心体の前記連結部として、隣接する分割積層鉄心体の側に突き出した連結凸部が、前記周方向の片側に前記固定子の軸方向に離れて複数個形成され、前記連結凸部の前記周方向の反対側は連結凹部となることにより、前記軸方向に離れて隣り合う前記連結凸部の間が前記連結凹部となっており、前記分割積層鉄心体を構成する各分割鉄心板の前記連結凸部の位置および前記ティースの基部の位置には前記ダボが形成され、一つの分割積層鉄心体の前記連結凸部が当該分割積層鉄心体に隣接する分割積層鉄心体の前記連結凹部に入り込み、隣接する2個の前記分割積層鉄心体の前記連結凸部同士が前記軸方向に当接するとともに当接する前記連結凸部の位置に形成された前記ダボ同士が嵌合して、隣接する2個の前記分割積層鉄心体同士が連結されていることを特徴とする請求項3に記載の回転電機の積層鉄心。
- 前記当接する前記連結凸部の位置に形成され、当接して嵌合するダボの凹部の側面は前記テーパおよび前記突起を有しないダボであることを特徴とする請求項4に記載の回転電機の積層鉄心。
- 鉄心用鋼板を、ダボを形成するための側面が前記鉄心用鋼板の面に垂直となる凸形状を有する金型により半抜きしてダボを形成するダボ形成工程と、
凸形状の側面がテーパ形状を有する凸形状となったパンチにより、前記ダボ形成工程において形成された前記ダボの凹部側面を前記凹部の開口側に向けて広がったテーパ形状にするとともに、前記ダボの凹部のテーパ形状の側面の底近傍に突起を形成するテーパ形成工程と、
前記テーパ形成工程により前記凹部の側面がテーパ形状となったダボを有する前記鉄心用鋼板を所定の外周形状にプレス打ち抜きして金型内に鉄心板を得る第一鉄心板形成工程と、
前記金型内の最上部の鉄心板の上方に、前記テーパ形成工程により前記凹部の側面がテーパ形状となったダボを有する前記鉄心用鋼板を配置し、所定の外周形状にプレス打ち抜きして新たな鉄心板を形成するとともに、前記新たな鉄心板に形成されている前記ダボを前記最上部の鉄心板の前記ダボに嵌合させて、前記最上部の鉄心板の上に前記新たな鉄心板を積層して、前記新たな鉄心板を新たに最上部の鉄心板とする工程を繰り返して、前記金型内に複数枚の鉄心板が積層された積層鉄心を得る積層工程と、
を備えたことを特徴とする回転電機の積層鉄心の製造方法。 - 前記テーパ形成工程において、前記パンチの凸形状の周囲に突起が設けられており、前記鉄心用鋼板に形成される前記ダボの開口を取り囲む溝を形成することを特徴とする請求
項6に記載の回転電機の積層鉄心の製造方法。 - 請求項4に記載の回転電機の積層鉄心の製造方法であって、
鉄心用鋼板を、前記連結凸部を含む位置に相当する位置および前記ティースの基部の位置に相当する位置にダボを形成するための、側面が前記鉄心用鋼板の面に垂直となる凸形状を有する金型により半抜きしてダボを形成するダボ形成工程と、
凸形状の側面がテーパ形状を有する凸形状となったパンチにより、前記ダボ形成工程において形成された前記ダボの凹部側面をテーパ形状にするとともに、前記ダボの凹部のテーパ形状の側面の底近傍に突起を形成するテーパ形成工程と、
前記テーパ形成工程により前記凹部の側面が前記凹部の開口側に向けて広がったテーパ形状となったダボを有する前記鉄心用鋼板を前記ティースと、前記周方向の片側に前記連結凸部を構成する分割鉄心板連結凸部と、前記周方向の反対側に前記連結凹部を構成する分割鉄心板連結凹部とを有する外周形状にプレス打ち抜きして金型内に分割鉄心板を得る第一分割鉄心板形成工程と、
前記金型内の最上部の分割鉄心板の上方に、前記テーパ形成工程により前記凹部の側面がテーパ形状となったダボを有する前記鉄心用鋼板を配置し、前記ティースと、前記周方向の片側に前記分割鉄心板連結凸部と前記周方向の反対側に前記分割鉄心板連結凹部とを有する外周形状にプレス打ち抜きして新たな分割鉄心板を形成するとともに、前記新たな分割鉄心板に形成されている前記ダボを前記最上部の分割鉄心板の前記ダボに嵌合させて、前記最上部の分割鉄心板の上に前記新たな分割鉄心板を積層して、前記新たな分割鉄心板を新たに最上部の分割鉄心板とする工程を繰り返して、前記金型内に予め設定した枚数の分割鉄心板を積層する第一積層工程と、
前記金型内の最上部の分割鉄心板の上方に、前記テーパ形成工程により前記凹部の側面がテーパ形状となったダボを有する前記鉄心用鋼板を配置し、前記ティースと、前記周方向の前記片側に前記分割鉄心板連結凹部と前記周方向の前記反対側に前記分割鉄心板連結凸部とを有する外周形状にプレス打ち抜きして新たな分割鉄心板を形成するとともに、前記新たな分割鉄心板に形成されている前記ダボを前記最上部の分割鉄心板の前記ダボに嵌合させて、前記最上部の分割鉄心板の上に前記新たな分割鉄心板を積層して、前記新たな分割鉄心板を新たに最上部の分割鉄心板とする工程を繰り返して、前記第一積層工程の分割鉄心板とは反転した位置に前記分割鉄心板連結凸部と前記分割鉄心板連結凹部とを有する予め設定した枚数の分割鉄心板を前記金型内に積層する第二積層工程とを備え、
前記第一分割鉄心板形成工程の後、前記第一積層工程と、前記第二積層工程とを交互に繰り返して前記分割積層鉄心体を形成する分割積層鉄心体形成工程を繰り返して前記分割積層鉄心体を複数個形成し、一個の前記分割積層鉄心体の前記連結凸部を当該分割積層鉄心体に隣接する分割積層鉄心体の前記連結凹部に挿入して、隣り合う2個の前記分割積層鉄心体の前記連結凸部と前記連結凹部を当接させるとともに、前記隣り合う2個の前記分割積層鉄心体の前記連結凸部同士を軸方向に当接させて、軸方向に当接する前記連結凸部の位置に形成された前記ダボ同士を嵌合して、前記隣り合う2個の前記分割積層鉄心体同士を連結することにより、形成された複数の分割積層鉄心体を連結することを特徴とする回転電機の積層鉄心の製造方法。 - 前記軸方向に当接する前記連結凸部の位置に形成され、当接して嵌合する凹部となるダボは前記テーパ形成工程を経ないで形成されたダボであることを特徴とする請求項8に記載の回転電機の積層鉄心の製造方法。
- 前記テーパ形成工程において、前記パンチの凸形状の周囲に突起が設けられており、前記鉄心用鋼板に形成される前記ダボの開口を取り囲む溝を形成することを特徴とする請求項8または9に記載の回転電機の積層鉄心の製造方法。
- 前記分割積層鉄心体形成工程を繰り返して前記分割積層鉄心体を複数形成した後、当該
複数の分割積層鉄心体を連結する代わりに、
前記分割積層鉄心体形成工程において、前記鉄心用鋼板から前記分割鉄心板をプレス打ち抜きするとき、前記鉄心用鋼板の幅方向に、前記分割鉄心板が前記分割鉄心板連結凹部と前記分割鉄心板連結凸部とが隣接して複数並ぶようにプレス打ち抜きして、当該複数並んだ分割鉄心板を前記ダボを嵌合させながら積層させ、前記第一積層工程および前記第二積層工程における最初の分割鉄心板が前記金型内の最上部の分割鉄心板と嵌合するとき、前記最初の分割鉄心板の前記分割鉄心板連結凸部の前記ダボは、隣接する前記最上部の分割鉄心板の前記分割鉄心板連結凸部の前記ダボと嵌合することで、連結した複数の分割積層鉄心体を形成することを特徴とする請求項8から10のいずれか1項に記載の回転電機の積層鉄心の製造方法。 - 順送金型を用いることを特徴とする請求項6から11のいずれか1項に記載の回転電機の積層鉄心の製造方法。
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CN111819774A (zh) * | 2018-03-08 | 2020-10-23 | 日本电产株式会社 | 转子铁芯部件制造方法以及模具 |
CN111819774B (zh) * | 2018-03-08 | 2023-05-12 | 日本电产株式会社 | 转子铁芯部件制造方法以及模具 |
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