JP2017189826A - バレル研磨工程を備えた金属製品の製造方法 - Google Patents

バレル研磨工程を備えた金属製品の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】研磨処理後の金属製品の表面を従来よりも清浄化することができる製造方法を提供する。【解決手段】本発明に係る金属製品の製造方法は、成形加工を施して形成された金属部品1に研磨加工を施して金属製品を製造する研磨工程を具備する製造方法であって、前記研磨工程の前に、前記金属部品1の表面から油脂類の加工編成により形成された油脂固着層2を除去する第1洗浄段階を含む研磨前洗浄工程を具備することを特徴とする。【選択図】図1

Description

本発明はバレル研磨工程を備えた金属製品の製造方法に係り、特に、バレル研磨工程による金属製品の表面汚染を防止するための方法に関する。
一般に、プレス加工や切削加工などで成形された金属部品の表面仕上げ(表面整形やバリ取りなど)がバレル研磨によって行われている。一般的な湿式のバレル研磨方法では、金属部品に脱脂処理を施した後に、金属部品を、研磨メディア、コンパウンド、水などとともにバレル槽内に投入し、研磨を行う。バレル研磨装置としては、流動バレル装置、遠心バレル装置、振動バレル装置などが広く知られている。また、バレル研磨の前後にそれぞれ洗浄工程を設けることも知られている(例えば、以下の特許文献1および2参照)。
また、湿式のバレル研磨において用いられる上記コンパウンドには、界面活性剤、石けん、有機溶剤、酸性若しくはアルカリ性の洗浄剤などが含まれ、研磨中の潤滑作用、ワークの清浄化作用、研磨作業後のワーク洗浄を容易にする作用などが得られるように配慮されている(例えば、以下の特許文献3および4参照)。
特開平6−91516号公報 特開2011−148023号公報 特開2005−305624号公報 特開2011−5355号公報
ところで、上記従来のバレル研磨方法において、金属部品を研磨した後に洗浄処理を行っても、処理後の金属製品の表面に粘着性の付着物が残留し、この付着物によって、他の製品を汚染したり、後に行われる他の製造工程で不具合が生じたりすることがあった。例えば、金属製品の表面にメッキ処理を施す場合には、メッキ層が上記付着物とともに部分的に剥離してしまうという不具合(メッキ不良)が報告されている。
そこで、本発明は上記問題点を解決するものであり、その課題は、研磨処理後の金属製品の表面を従来よりも清浄化することができる製造方法を実現することにある。
斯かる実情に鑑み、本発明の金属製品の製造方法は、成形加工を施して形成された金属部品に研磨加工を施して金属製品を製造する研磨工程を具備する製造方法であって、前記研磨工程の前に、前記金属部品の表面上において油脂類の加工変性により形成された油脂固着層を除去する段階を含む研磨前洗浄工程を具備することを特徴とする。
本発明において、前記研磨工程は、湿式のバレル研磨により前記金属部品を研磨加工する工程であることが好ましい。
本発明において、前記研磨前洗浄工程は、前記金属部品を加熱した洗浄液に浸漬させる前記段階を含むことが好ましい。この場合には、80℃以上であることが望ましく、特に、85−95℃の範囲内であることが最適である。また、この段階においては、前記金属部品を煮沸した前記洗浄液に浸漬させることが望ましい。さらに、上記洗浄液は、水系洗浄剤若しくは準水系洗浄剤であることが好ましく、中性洗浄剤若しくはアルカリ性洗浄剤であることが望ましい。特に、アルカリ性洗浄剤が効果的である。
本発明において、前記研磨前洗浄工程は、金属部品の表面から油脂類の加工変性により形成された油脂固着層を除去する前記段階である第1洗浄段階と、該第1洗浄工程の後に前記金属部品の表面上から微粉状の汚染物を除去する第2洗浄段階と、を含むことが好ましい。
この場合に、前記第2洗浄段階は、洗浄液を用いた超音波洗浄により施されることが好ましい。特に、前記洗浄液は水であることが望ましい。また、加熱された前記洗浄液(例えば、湯)を用いることが望ましい。
本発明において、前記研磨工程の後に前記金属製品の表面から汚染物を除去する研磨後洗浄工程をさらに具備することが好ましい。
この場合において、研磨後洗浄工程は、前記金属製品の表面から汚染物を離脱させる第3洗浄段階と、該第3洗浄段階の後に前記金属製品の表面から離脱された前記汚染物を除去する第4洗浄段階と、を含むことが好ましい。
また、上記の第3洗浄段階は、炭素化合物の除去と、界面活性剤による汚染物の離脱とを行うことが好ましい。この場合に、超音波洗浄によることが望ましい。
本発明において、前記第4洗浄段階は、洗浄液を用いた超音波洗浄により施されることが好ましい。特に、前記洗浄液は水であることが望ましい。
本発明によれば、処理後の金属製品の表面を従来よりも清浄化することができるという優れた効果を奏し得る。
本発明に係る金属製品の製造方法の実施形態の概略工程図である。 金属部品の表面状態を拡大して模式的に示す拡大説明図である。 金属部品に従来の洗浄工程を施した表面状態を模式的に示す拡大説明図(A)および(B)である。 従来の研磨工程中の表面状態を模式的に示した拡大説明図(A)および(B)である。 従来の研磨工程後の表面状態を模式的に示す拡大説明図(A)および(B)である。 本発明に係る実施形態の第1洗浄段階後の表面状態を模式的に示す拡大説明図である。 同実施形態の第2洗浄段階後の表面状態を模式的に示す拡大説明図である。 同実施形態の研磨後の表面状態を模式的に示す拡大説明図である。 同実施形態の第3洗浄段階後の表面状態を模式的に示す拡大説明図である。 同実施形態の第4洗浄段階後の表面状態を模式的に示す拡大説明図である。 同実施形態の各工程後の金属部品若しくは金属製品の表面状態を示す写真(A)〜(D)である。 従来の金属製品の研磨工程後の表面状態を示すSEM(走査型電子顕微鏡)像(A)と、EDS(エネルギー分散型X線分光器)による元素分析チャート(B)である。 研磨工程後に研磨後洗浄工程を実施したときの表面状態を示すSEM(走査型電子顕微鏡)像(A)と、EDS(エネルギー分散型X線分光器)による元素分析チャート(B)である。 従来の炭化水素系洗浄剤を用いた研磨前洗浄工程を含む製造方法の金属部品の初期の表面状態を示す写真(A)、および、各工程後の金属部品若しくは金属製品の表面状態を示す写真(B)〜(F)である。 従来のアルカリ洗浄剤を用いた研磨前洗浄工程を含む製造方法の金属製品の付着物および表面写真を示す写真であり、(A1)は付着物採取前の楊枝の先端状態、(A2)は付着物採取前の表面状態、(B1)は付着物採取後の楊枝の先端状態、(B2)は付着物採取後の表面状態を示す各写真である。
次に、添付図面を参照して本発明の実施形態について詳細に説明する。最初に、図2−図5、並びに、図12-図15を参照して、比較例の製造方法について説明する。
この比較例は、従来の製造方法と実質的に等価な表面状態をもたらす方法と考えられるが、従来技術そのものを示す方法ではない。本願発明者らが試行した結果、本願発明の実施形態による効果は得られないという面で、この比較例を従来の製造方法と同じ効果をもたらすものと評価した。この方法でも、後述する実施形態の方法でも、金属部品は同じものであり、プレス加工、切削加工、転造加工などの成形工程を経て形成されたものである。その表面状態は図2に模式的に示す状態となっているものと考えられる。ここで、金属部品1は鉄系材料、銅系材料、アルミニウム系材料など、種々の合金組成を備えたものが考えられるが、特に限定されない。通常は、金属部品1の表面1a上には、図2に示すように、防錆用の油脂類4が付着している。従来は、この油脂類4を除去するために、研磨前洗浄工程として脱脂工程を行っていた。しかし、実際には、油脂類4だけでなく、成形加工時に発生した金属粉などの微粉状の汚染物3も付着している。
そして、本願発明者が鋭意検討したところ、上記汚染物3や油脂類4だけでなく、さらに、表面1a上に油脂固着層2が形成されていることが見いだされた。すなわち、油脂固着層2は、上記成形加工時において金属部品1の表面に付着した油脂類(切削油、プレス加工油、転造加工油などの鉱物油、添加剤など)4が加工変性により変質し、表面1aに強固に付着している。この油脂固着層2は、上記従来の脱脂工程では全く除去できず、また、通常の炭化水素系洗浄剤や水系洗浄剤でも除去することは困難である。このことを確認するために、金属部品1の表面1aを楊枝の先端で既定の態様で擦ることにより、表面上の物質を削り取った。ここで、本願明細書では、楊枝で擦り取る場合には、表面1a上で一辺の長さ10mmの正方形の四辺を繰り返し4周、一定の圧力で擦った後の先端の状態を拡大して撮影した。油脂固着層2は、製造工程に適した大量処理や一括処理の態様ではない方法、例えば、上述の楊枝などで物理的に擦り取ることはできるが、製造工程に適した一般的な従来の洗浄技術、特に、界面活性剤を主体とした油滴の巻き上げ作用では除去することができないものである。
図14(A)は、炭化水素系洗浄剤で洗浄した後の金属部品1の表面1aを上述のように擦り取った楊枝の先端を撮影した拡大写真である。金属部品1の表面1aには、炭化水素系洗浄剤で洗浄することにより、油脂類4は除去されるが、図14(A)に示すように、汚染物3を含む油脂固着層2が付着している。また、炭化水素系洗浄剤で洗浄すると、図3(A)に示すように、油脂類4の代わりに表面1a上に炭化水素からなる被膜5が付着する場合もある。なお、図14(B)は、図14(A)に示す金属部品1に脱磁処理を施した後に表面を擦り取った楊枝の先端状態を示す。このように、脱磁処理を行うと、汚染物3がさらに容易に擦り取れるようになる。
一方、水系洗浄剤であるアルカリ系洗浄剤で洗浄した場合でも、図3(B)に示すように、表面に露出した汚染物3は除去されるが、油脂固着層2はやはり除去できない。ただし、この場合には、被膜5は形成されない。図14(C)には、上記図14(B)に示す金属部品1にアルカリ性洗浄剤を用いて洗浄した後に超音波洗浄によりさらに水洗した後に表面を擦り取った楊枝の先端状態を示す。この場合にも、上記と同様に油脂固着層2は表面1a上に残存したままである。
その後、湿式のバレル研磨を行った後に同様に金属製品の表面を擦り取った楊枝の先端状態を図14(D)に示す。そして、さらに脱磁処理を実施した後の状態を図14(E)に示し、最終的に研磨後洗浄を実施して超音波洗浄で水洗した後の状態を図14(F)に示す。いずれにしても、最終的に金属製品の表面には汚染物が残留する。そして、炭化水素系洗浄後の研磨工程中の様子を示す図4(A)と、アルカリ性洗浄後の研磨工程中の様子を模式的に示す図4(B)に示すように、研磨液(コンパウンド)6の中で金属部品1の表面が削られていくに従って、油脂固着層2や油脂固着層2内に混入していた汚染物3が金属部品1の研磨による研磨粉や砥粒、洗剤などの有機物とともに研磨液6中に分散し、酸化して、最終的に図5(A)および(B)に示すように、金属粉7、洗剤などの有機物8、砥粒粉9などを含む粘着性の被膜10を形成する。ここで、被膜10中の樹脂複合体11は、油脂固着層2や有機物8などが研磨工程中に変質して形成されたポリイソプレン粘着材であると推測される。
より具体的に述べると、上記ポリイソプレン粘着材は、上記比較例の方法で製造された金属製品の表面にメッキ被膜を形成したとき、メッキ被膜が金属製品の表面上の表面被膜10とともに剥がれ落ちたため、この表面被膜10の剥離片をフーリエ変換赤外分光法(FTIR)、電子線マイクロアナライザ(EPMA)を用いて分析したところ、この剥離片の化合物として、ポリイソプレン、カオリン、炭酸カルシウムが検出され、元素として、銅、酸素、アルミニウムなどが検出された。したがって、研磨工程前に付着していた油脂固着層2の油脂類や炭化水素類が研磨工程において研磨液6中に分散し、酸化などの変質が生じたことによって、上記被膜10内にポリイソプレン粘着材が生成されたものと考えられる。その結果、被膜10は金属製品1′の表面に強固に付着し、通常の研磨後洗浄工程では除去できなくなることが判明した。
次に、本願発明に係る実施形態について説明する。
上記のようなことが判明したため、本願発明者は、研磨工程の前に行われる研磨前洗浄工程において、上記油脂固着層2を除去することを目的として種々の洗浄実験を行った。その結果、研磨前洗浄工程の第1洗浄段階として、洗浄液を加熱し、温度を高めることによって油脂固着層2を除去できることが発見された。具体的には、水系洗浄剤若しくは準水系洗浄剤(中性洗浄剤又はアルカリ性洗浄剤)を含む洗浄液において、洗浄液の温度を通常よりも高くして浸漬することにより、油脂固着層2を除去することができる。浸漬時間としては、10分〜1時間程度である。
特に、温度を80度以上にすることで、油脂固着層2を20分〜40分程度の洗浄時間で除去できる。特に、温度を85−95度の範囲とすることにより、15−30分といった短時間で油脂固着層2を短時間に除去できる。上記洗浄時間は、洗浄剤を沸騰させることにより、10−15分まで短縮化された。すなわち、洗浄能力を高める上でも、洗浄液の加熱温度は80℃以上が好ましく、特に、85−95℃の範囲が望ましい。特に、洗浄液を沸騰させることによって油脂固着層2の除去作用が高められる。なお、第1洗浄段階の前には、金属部品1の金属の種類や処理態様に応じた事前処理、例えば、脱磁処理、脱脂処理などを別途行うようにしてもよい。
洗浄液は、水系洗浄剤若しくは 準水系洗浄剤を含むことが好ましく、アルカリ性洗浄剤、中性洗浄剤、酸性洗浄剤のうち、特に、油脂類の除去に適した中性洗浄剤又はアルカリ性洗浄剤を用いることで効果的に油脂固着層2を除去できた。中性洗浄剤は主として界面活性作用により、アルカリ性洗浄剤は主としてケン化や中和作用、キレート効果などにより洗浄作用を生ずる。特に、上述のように比較的短時間に洗浄効果を得ることができる点で、鉱物油などの無極性汚れに強いアルカリ性洗浄剤を用いることが効果的であった。アルカリ性洗浄剤は、0.5〜5wt%濃度の水溶液であることが好ましい。その含有物のうちの無機ビルダー(アルカリビルダー)としては、炭酸塩、ケイ酸塩、リン酸塩などを含み、典型的には、水酸化ナトリウム、メタケイ酸ナトリウム、炭酸ナトリウム、リン酸ナトリウム、ピロリン酸ナトリウムなどが挙げられる。また、界面活性剤を0.1〜0.2wt%程度含むことが好ましく、界面活性剤としては、ノニオン系界面活性剤(ポリオキシエチレンアルキルエーテルなど)が望ましい。他の含有物としては、キレート剤や有機酸などの有機ビルダーがある。アルカリ性洗浄剤が本発明において有効である理由は、加熱によって油脂のケン化が強力に生ずるためと考えられる。例えば、アルカリ性洗浄剤としては、「PK−5310NP」(製品名、株式会社パーカーコーポレーション製、水系洗浄剤−アルカリ性洗浄剤)が挙げられる。この洗浄剤の概略組成は、水酸化カリウム1〜5wt%、その他がリン酸塩、ケイ酸塩、界面活性剤、有機アルカリ、グリコールエーテル、水である。一般に、汚れには、水溶性汚れ、油溶性汚れ、固体汚れがあり、水溶性汚れのうちの難溶性汚れや、油溶性汚れのうちの無極性汚れは除去しにくいとされている。しかし、これらはアルカリ性洗浄剤によって除去することができ、特に、強アルカリと加熱によって生ずるケン化によって好適に除去できる。
なお、洗浄剤(特に、研磨前洗浄工程、或いは、第1洗浄段階の洗浄液)には、バレル研磨用コンパウンドとして市販されているものを添加して用いることもできる。上記の各洗浄剤に対して添加可能なものとしては、「PK−RF520」(製品名、株式会社パーカーコーポレーション製、バレル用コンパウンド)、「PK−RF530」(製品名、株式会社パーカーコーポレーション製、バレル用コンパウンド)、「PK−RF450M」(製品名、株式会社パーカーコーポレーション製、バレル用コンパウンド)、「ニッカサンクリーン BC−30」(製品名、日華化学株式会社製、金属洗浄剤(脱脂用))、「トリーストンFCL」、「トリーストンEM」(製品名、木村石鹸工業株式会社、金属研磨用脱脂用)、「新東ロルココンパウンドパナクリーンL−3」(新東工業株式会社製、パレル研磨用コンパウンド)、「新東ロルココンパウンドGLR」(製品名、新東工業株式会社製、パレル研磨用コンパウンド)、「新東ロルココンパウンドGLB」(製品名、新東工業株式会社製、パレル研磨用コンパウンド)、「新東ロルココンパウンドCAL−M」(製品名、新東工業株式会社製、パレル研磨用コンパウンド)、「新東ロルココンパウンドCAL」(製品名、新東工業株式会社製、パレル研磨用コンパウンド)、などが挙げられる。
本実施形態の製造方法では、図1に示すように、研磨前洗浄工程と、研磨工程と、研磨後洗浄工程とを有する。研磨前洗浄工程は、上記油脂固着層2を除去するための工程であり、好ましくは、上記油脂固着層2を除去するための第1洗浄段階と、微分状の汚染物を除去するための第2洗浄段階とを含むことが望ましい。
上記の第1洗浄段階により、図6に示すように、油脂固着層2が除去される。このとき、第1洗浄段階を十分な時間行うことによって、当該段階のみで、金属部品1の表面1aは清浄化される場合もあるが、多くの場合、金属部品1の表面1a上に或る程度の微粉状の汚染物3(金属粉など)のみが残った状態となる。したがって、これを、次の第2洗浄段階において、図7に示すように、水や湯によって超音波洗浄を行うことで、完全に除去する。洗浄時間は2〜3分程度である。
第1洗浄段階の洗浄液としては、実際には、上記の「PK−5310NP」を100cc、上記の「PK−RF520」(モルホリン1〜10wt%、界面活性剤、インヒビター、水)を50cc、上記の「ニッカサンクリーン BC−30」(ポリ(オキシエチレン)=アルキルエーテル(C=12〜15)約15wt%、グリコール系溶剤約5wt%、イソプロピルアルコール約2wt%)を100ccの割合で混合したものを用いた。第2洗浄段階の超音波洗浄では、洗浄作用を有する洗浄液(例えば、界面活性剤やアルコールなどを含むもの)を用いてもよいが、例えば、水(湯)を用いて好適に汚染物3を除去できる。なお、上記二種の製品に対して、上記の「ニッカサンクリーン BC−30」の代わりに、上記「PK−RF450M」(ジエタノールアミン1〜5wt%、その他の成分として、グリコールエーテル、多価アルコール、キレート剤、界面活性剤、水を含む。)を100cc混合してもよい。
その後、上記と同様に、研磨工程において、湿式のバレル研磨を行うことにより、図8に示すように、金属部品1の表面が研磨加工され、金属製品1′の表面1a′が得られる。このとき、表面1a′上には、金属粉7、洗剤などの有機物8、砥粒粉9などが付着した状態とされる。しかしながら、この表面1a′上には、ポリイソプレン粘着材は生成されない。これは、研磨加工前に油脂固着層2が完全に除去されているため、ポリイソプレン粘着材が生成され難いからである。なお、研磨工程の後には、金属製品1′の金属の種類や処理態様に応じた事後処理、例えば、脱磁処理、脱脂処理などを行うようにしてもよい。
ただし、金属製品1′の表面1a′上において上記の金属粉7、有機物8、砥粒粉9などは、研磨工程における研磨作用により、表面1a′に吸着されているため、簡単に除去できない場合がある。このため、研磨後洗浄工程では、第3洗浄段階として、上記の金属粉7、有機物8、砥粒粉9などを表面1a′から脱離させるための洗浄を行う。この洗浄段階では、以下の種々の洗浄剤を用いることができる。また、これによって、上記の金属粉7、有機物8、砥粒粉9などを表面1a′上から完全に除去されるわけではないが、図9に示すように、それらの吸着状態が脱離される。
研磨後洗浄工程においては、上記の水系洗浄剤若しくは準水系洗浄剤の他に、非水系洗浄剤である炭化水素系洗浄剤や有機溶剤系洗浄剤を用いることができる。例えば、以下のような各種の製品を用いることができる。例えば、炭化水素系洗浄剤としては、ノルマルパラフィン系(NSクリーン、HC−250、SPクリーンなど)、イソパラフィン系(アクアソルベント、シェルゾール、キョーワゾール、アクトレル、ダフニークリーナーなど)、ナフテン系(アクトレル、ナフテゾール、ダフニーアルファクリーナーなど)、芳香族系(EMクリーン、ソルファインクリーナー、ダストクリーン、スワゾールなど)、混合系(炭化水素+グリコール系)(ソルファインクリーナー、ファイントップ、TIYOSOLなど)がある。さらに、有機溶剤系洗浄剤としては、フッ素系洗浄剤、臭素系洗浄剤、塩素系洗浄剤などが挙げられる。
第3洗浄段階の洗浄液としても、水系洗浄剤若しくは準水系洗浄剤であることが好ましく、中性洗浄剤やアルカリ性洗浄剤が望ましく、特に、アルカリ性洗浄剤が望ましい。実際には、上記の「PK−5310NP」を100cc、上記の「PK−RF520」を50cc、上記の「新東ロルココンパウンドGLB」(バレル研磨用コンパウンド、有機酸塩、界面活性剤などを含有。)を100ccの割合で混合したものを用いた。洗浄時間は2〜3分程度である。この研磨後洗浄工程では、固体汚れ(固体粒子汚れ)を主として除去する必要があるため、界面活性剤と機械力による洗浄作用が有効である。固体汚れのうちの親油性汚れ(カーボンブラックなどの疎水性物質)は第3洗浄段階の界面活性剤によって分離され、これが次の第4洗浄段階の超音波洗浄によって親水性汚れとともに除去される。
最後に、第4洗浄段階として、水や湯などを用いた超音波洗浄を実施し、図10に示すように、上記の金属粉7、有機物8、砥粒粉9などを表面1a′上から除去する。この第4洗浄段階では、洗浄作用を有する洗浄液(例えば、界面活性剤やアルコールなどを含むもの)を用いてもよいが、例えば、水(湯)を用いて好適に上記の金属粉7、有機物8、砥粒粉9などを除去できる。洗浄時間は2〜3分程度である。なお、実際には、研磨後洗浄工程の後には、金属製品の種類などに応じて、或いは、客先の要求に応じて、乾燥処理や防錆油付加処理などの後処理工程を実施する。
図11には、本実施形態の各工程後の表面からの楊枝による擦り落とし状態を写真で示す。図11(A)は第1洗浄段階後の表面を擦った楊枝の先端写真であり、多少の微粉状の汚染物が視認できる。図11(B)は第2洗浄段階後の表面を擦った楊枝の先端写真であり、汚染物の付着は全くない。図11(C)は研磨工程後の表面を擦った楊枝の先端写真であり、微粉状の汚染物は存在するものの、粘着性の付着物は見られない。図11(D)は第4洗浄段階後の表面を擦った楊枝の先端写真であり、付着物は全く見られなかった。
以上述べたように、本実施形態では、研磨前洗浄工程において、成形加工により形成された油脂固着層2を除去してから研磨工程を実施するため、油脂固着層2の微細化物質が研磨中に変質してポリイソプレン粘着材を生成することがなくなるため、研磨後洗浄工程で除去困難な粘着性の被膜10が形成されることがなくなり、清浄な表面を備えた金属製品を製造することができた。
尚、本発明に係る金属製品の製造方法は、上記実施形態に記載の構成に限定されるものではなく、本発明の趣旨に基づく種々の異なる態様を含む。たとえば、上記実施形態では、研磨前洗浄工程において第1洗浄段階と第2洗浄段階を設け、研磨後洗浄工程において第3洗浄段階と第4洗浄段階とを設けているが、研磨前洗浄工程において、実質的に油脂固着層2の除去や研磨による汚染物が除去できれば、上記各段階を行うものに限られない。また、研磨後洗浄工程についても、研磨工程で付着した異物を除去できれば特に限定されるものではない。さらに、上記実施形態では、研磨工程として湿式のバレル研磨を行っているが、研磨液を用いたものであり、かつ、物理的な研磨作用を伴う工程であれば、粘着性の被膜が形成される理由は同じであるため、バレル研磨に限らず、種々の研磨処理に適用可能である。
1…金属部品、1a…表面、2…油脂固着層、3…微粉状の汚染物、4…油脂類、5…炭化水素の被膜、6…研磨液、7…金属粉、8…有機物、9…砥粒粉、10…粘着性の被膜、11…樹脂複合体

Claims (8)

  1. 成形加工を施して形成された金属部品に研磨加工を施して金属製品を製造する研磨工程を具備する製造方法であって、
    前記研磨工程の前に、前記金属部品の表面上において油脂類の加工変性により形成された油脂固着層を除去する段階を含む研磨前洗浄工程を具備することを特徴とする金属製品の製造方法。
  2. 前記研磨工程は、湿式のバレル研磨により前記金属部品を研磨加工する工程であることを特徴とする請求項1に記載の金属製品の製造方法。
  3. 前記研磨前洗浄工程は、前記金属部品を80℃以上に加熱した洗浄液に浸漬させる前記段階を含むことを特徴とする請求項1又は2に記載の金属製品の製造方法。
  4. 前記研磨前洗浄工程は、前記金属部品を煮沸した前記洗浄液に浸漬させる前記段階を含むことを特徴とする請求項3に記載の金属製品の製造方法。
  5. 前記研磨前洗浄工程は、金属部品の表面から油脂類の加工変性により形成された油脂固着層を除去する前記段階である第1洗浄段階と、該第1洗浄工程の後に前記金属部品の表面上から微粉状の汚染物を除去する第2洗浄段階と、を含むことを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の金属製品の製造方法。
  6. 前記洗浄液は、水系洗浄剤若しくは準水系洗浄剤のうちの中性洗浄剤又はアルカリ性洗浄剤であることを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載の金属製品の製造方法。
  7. 前記洗浄液はアルカリ性洗浄剤であることを特徴とする請求項6に記載の金属製品の製造方法。
  8. 前記研磨工程の後に前記金属製品の表面から汚染物を除去する研磨後洗浄工程をさらに具備することを特徴とする請求項1〜7のいずれか一項に記載の金属製品の製造方法。
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