JP2017189825A - 切削工具 - Google Patents

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    • B23B2250/121Insert with coolant channels

Abstract

【課題】切削加工時における温度上昇を抑制して長寿命化を図れる切削工具を提供する。【解決手段】本発明の切削工具(1)は、被削材を切削する切れ刃(11)と、切れ刃から後方へ連なるすくい面(12)とを備える。さらに、すくい面の少なくとも一部から内部へ向かって形成された溝状または穴状の内向路(14)を備え、内向路は、すくい面側にある前縁から内部後方へ連なる傾斜面(15)を有し、傾斜面は、少なくとも前縁側に、前縁から内部後方へ延びる凸条または凹条からなる条面部(150)を有する。本発明の切削工具を用いると、切屑とすくい面の接触面積を抑制できると共に、クーラントが傾斜面の凹条から高温な刃先近傍へ確実に供給される。このため切削工具の温度上昇を大幅に抑制でき、切削工具の長寿命化を図れる。【選択図】図1

Description

本発明は、工具寿命の長期化を図れる切削工具に関する。
精度を要求される機械部品等には、鋳物や金属素材などの被削材を切削した切削品が用いられる。高品質化な切削品を低コストで製造(加工)するために、切削性の改善の他、工具寿命の長期化が重要となる。
特に難削材(例えば、Ti系材料、Ni系材料等)を切削加工するような場合、発生する切削熱によって切削工具(チップ)が相当な高温となり、熱的摩耗(工具摩耗機構の一つ)により工具寿命が短くなり易い。これに関連する記載が、例えば、下記の非特許文献1にある。
このような観点から、加工時に用いる加工液(クーラント)の刃先(加工点)への供給性を向上させて、切削工具の長寿命化を図る提案が、例えば、下記の特許文献1でなされている。
特開2015−213972号公報 特開2015−213992号公報
難削材の切削加工概論,鳴瀧則彦,精密工学会誌 58(12),1949-1952,1992
もっとも特許文献1は、刃具とは別に設けた(チップ)ブレーカの通路(局所空間)から、刃具と切り屑の間へクーラントを供給して、クーラントの圧力低下を抑制することを提案しているに過ぎない。つまり特許文献1は、刃具(切削工具)自体に関するものではない。
特許文献2は、すくい面とは別に設けた拘束面から切屑を誘導路へ導き、切屑を加工点に戻さないようにすることによって、切削品の高品質化を図れる切削工具(拘束工具)を提案している。もっとも特許文献2は、切削工具(特に平面工具)の長寿命化等に関して具体的な提案はしていない。
本発明はこのような事情に鑑みて為されたものであり、長寿命化を図れる新たな切削工具を提供することを目的とする。
本発明者はこの課題を解決すべく鋭意研究した結果、高温な切屑から切削工具へ伝達される熱量の抑制またはその放熱促進を図り、切削時の温度上昇を大幅に低減し得る新たな形態の切削工具を着想した。この着想を具現化すると共に発展させることによって、以降に述べる本発明を完成するに至った。
《切削工具》
(1)本発明の切削工具は、被削材を切削する切れ刃と、該切れ刃から後方へ連なるすくい面と、を備える切削工具であって、さらに、前記すくい面の少なくとも一部から内部へ向かって形成された溝状または穴状の内向路を備え、該内向路は、前記すくい面側にある前縁から内部後方へ連なる傾斜面を有し、該傾斜面は、少なくとも該前縁側に、該前縁から内部後方へ延びる凸条または凹条からなる条面部を有することを特徴とする。
(2)本発明の切削工具によれば、切削工具の長寿命化を図れ、ひいては切削品の製造(加工)コストの低減を図れる。この理由は次のように推察される。切れ刃(「工具刃先」または単に「刃先」ともいう。)で切削された被削材から生じた切屑は、刃先から後方(切屑の流出方向)へ連なるすくい面(少なくとも刃先側領域)に接触しつつ流動する。この切屑は非常に高温であるため、切屑に接触する切削工具も熱伝達により相当な高温となる。
本発明の切削工具は、刃先後方のすくい面から内部(特に斜め後方)へ連なる傾斜面を有する内向路を備えると共に、その傾斜面には、少なくとも前縁側(すくい面側)近傍の領域に、内部(斜め下方)後方へ延びる凸条または凹条を有する条面部が形成されている。この条面部(凸条または凹条)の存在により、切屑と傾斜面の密着は回避され、少なくとも傾斜面の前縁近傍(すくい面の後縁近傍)にまで、クーラント(切削液、加工液、冷却液等)の流路が確保される。この結果、最も高温となり易い刃先近傍にまでクーラントを安定的に供給することが可能となる。
これにより、例えば、被削材の切取厚さ(つまり切屑の厚さ)が比較的大きくて、従来の切削工具であれば刃先近傍にまでクーラントが十分に供給されないような場合でも、本発明の切削工具によれば、刃先近傍にまでクーラントが十分に供給することが可能となる。従って、本発明の切削工具は、クーラントが供給されるウエット環境下で切削加工を行うような場合、切削工具の温度上昇を大幅に低減できる。
また、傾斜面の前縁近傍にある条面部(凸条または凹条)の形状に対応して、刃先から傾斜面の前縁までのすくい面(「先端すくい面」という。)の後縁にも、凸部と凹部が形成される。このため、凹凸がない従来のすくい面よりも、本発明に係る先端すくい面の方が切屑との接触面積が少ない。その結果、本発明の切削工具は、切屑からの入熱量や切屑との摩擦で生じる熱量がより抑制される。
また、先端すくい面の後縁側が凹凸形状となっていることにより、切屑との接触面積の減少を図れるだけではなく、切屑の流出方向の制御も図れる。被削材の切取厚さが小さいとき、切屑はすくい面に沿って流出するが、切取厚さが大きくなると、切屑はすくい面よりも下方へ流出し易くなる。特に、特許文献2にあるように切屑が厚くなると、切屑は内向路へ流入し易くなる。しかし、本発明の場合、切取厚さが大きい場合でも、切屑は、その流出方向(または刃先稜線に対する略直交方向)に相対的に長い先端すくい面の凸部により支えられた状態となる。このため、切取厚さが先端すくい面の凹部の長さよりも長い場合でも、切屑は内向路よりもすくい面に沿った方向へ流出し易くなる。このため、本発明の切削工具は、高温の切屑との接触がより抑制されて、温度上昇や熱的摩耗の低減が図られる。
仮に、切取厚さが大きくて、切屑が先端すくい面から内向路の傾斜面に沿って流動する場合があっても、やはり、本発明の切削工具によれば、高温の切屑との接触が抑制される。このような場合、切屑は傾斜面の凸条とだけ接触して流動し易くなるからである。このため、切削工具の傾斜面においても、高温な切屑との間で生じる伝熱、摩擦、摩耗等が抑制される。このような本発明の作用効果は、クーラントの供給が無いか、若しくは僅かであるようなドライ環境下で切削加工がなされるような場合にも当てはまる。従って、本発明の切削工具は、ウエット環境下での切削加工は勿論、ドライ環境下での切削加工に用いられてもよい。
《加工方法》
本発明は、上述した切削工具としてのみならず、上述した切削工具を用いて被削材を切削することを特徴とする加工方法としても把握できる。このような加工方法は、切削工具と切屑が接触する種々の加工に有効である。例えば、本発明の加工方法は、旋削加工のように、一つの切削工具と被削材または切屑と連続的に接触するような連続加工でも良い。また本発明の加工方法は、フライス加工のように、一つの切削工具と被削材または切屑が断続的に接触するような断続加工でも良い。さらに本発明の加工方法は、上述したように、ウエット環境下でなされても、ドライ環境下でなされてもよい。なお、加工方法は、切削工具を用いて被削材を切削した切削品の製造方法としても把握できる。
《その他》
(1)本明細書では、説明の便宜上、刃先近傍における切屑の流出方向(または刃先稜線に対して略直角方向)に沿って、上流側を「前」(前側、前方等)といい、下流側を「後」(後側、後方等)という。また、便宜上、すくい面から切削工具の内部に向かう方向(またはすくい面を境としてすくい角が増大する方向)を下方、その反対方向(またはすくい面を境としてすくい角が減少する方向)を上方ともいう。
(2)特に断らない限り本明細書でいう「x〜y」は下限値xおよび上限値yを含む。本明細書に記載した種々の数値または数値範囲に含まれる任意の数値を新たな下限値または上限値として「a〜b」のような範囲を新設し得る。
本発明の切削工具の一例として、切れ刃が直線であるときを示す模式図である。 図1の切削工具を用いて、クーラントが供給されるウエット環境下で被削材を切削加工する様子を示す模式図である。 先端すくい面と傾斜面の条面部に係る種々の形態を示す模式図である。 本発明の切削工具の他例として、切れ刃が曲線を含むときを示す模式図である。 刃先温度のシミュレーションに用いた切削工具のモデル図である。 実施例に用いた切削工具の先端すくい面と傾斜面の条面部とを部分的に拡大した写真である。 本発明の切削工具を用いて炭素鋼を旋削加工する様子を示す写真である。 本発明の切削工具を用いてチタンを旋削加工する様子を示す写真である。
本明細書で説明する内容は、本発明の切削工具のみならず、それを用いた加工方法(製造方法)にも該当し得る。上述した本発明の構成要素に、本明細書中から任意に選択した一以上の構成要素を付加し得る。方法に関する構成要素は、一定の場合(構造または特性により「物」を直接特定することが不可能であるかまたは非実際的である事情(不可能・非実際的事情)等がある場合)、プロダクトバイプロセスとして「物」に関する構成要素ともなり得る。いずれの実施形態が最良であるか否かは、対象、要求性能等によって異なる。
《内向路》
本発明に係る内向路は、刃先近傍にあるすくい面(先端すくい面)の後縁から内部へ向かって形成された溝状または穴状の通路である。内向路は、切削工具を貫通していても良いし、貫通していなくてもよい。内向路が貫通したクーラントの供給路(油路)となっていると好ましい。
《傾斜面/凸条・凹条/条面部》
内向路は、その前縁(先端すくい面の後縁)から内部後方(斜め下方)へ連なる傾斜面を有する。この傾斜面は平面状でも曲面状(湾曲状)でもよい。この傾斜面の少なくとも前縁側には、その前縁から内部後方(斜め下方)へ延びる凸条(または山筋)または凹条(または谷筋)からなる条面部を有する。この条面部の存在により、切屑と先端すくい面または傾斜面の接触面積の低減や摩擦の低減等を図れると共に、切取厚さが大きい場合でも、クーラントを加工点である刃先側へ確実に供給し得る。なお、凸条と凹条の各形状や組合わせは種々あり得るが、通常、それらは一対となっている。但し、一方のみを形成する場合、例えば、傾斜面に沿って溝(凹条)のみを形成する場合でもよい。
このような凸条と凹条、またはそれらが集合した条面部は、種々の形態が考えられる。例えば、凸条または凹条は、頂部または底部が滑らかに湾曲した丸形でもよし、頂部または底部が所定角をなすような角形でもよい。凸条または凹条は単数でも良いが、通常は複数あると好ましい。複数の凸条または凹条により条面部が形成される場合、それぞれの凸条または凹条は同形状でも異形状でもよい。また、それらの配置は規則的でもよいし、不規則でもよい。典型例として、条面部は、凸条または凹条が規則的(特に周期的)に複数配列された波面部であると好ましい。さらに、凸条と凹条が対称的な形状であるとより好ましい。
《切削工具》
(1)本発明の一形態である切削工具1を図1に示した。切削工具1は、旋削加工用の略三角板状をしたチップ(平面工具)である。切削工具1は、従来のチップと同様に、切れ刃11と、すくい面12と、逃げ面13を有するが、従来のチップには無い傾斜面15を伴う内向路14をも有する。
切れ刃11と内向路14の前端との間は、すくい面12の一部である先端すくい面121となっている。内向路14は、先端すくい面121の後(端)縁から後方に延びる開溝状をしている。内向路14の前方壁は、先端すくい面121の後縁から斜め下方に連なって延びる傾斜面15となっている。傾斜面15の表面は、その前端縁(先端すくい面121の後端縁)から斜め下方に延びる複数の凸条151と凹条152が等ピッチ間隔で配列された波面部150(条面部)となっている。
凸条151は断面が半円状の山筋であり、凹条152は断面が半円状の谷筋である。それぞれの断面形状は対称的であり、隣接する凸条151と凹条152の遷移域は、平面または曲面(断面でいうと直線または曲線)により滑らかに接続されている。
(2)切削工具1を用いて、クーラントが供給されるウエット環境下で被削材wを切削加工する様子を図2に示した。被削材wを切れ刃11で切削した際に生じた切屑dは、切れ刃11から先端すくい面121に密着しつつ流出する。また、傾斜面15の下方から供給されるクーラントcは、波面部150の凹条152に沿って流動し、切屑dに遮蔽されること無く、先端すくい面121へ供給される。
先端すくい面121の後縁も、波面部150の形状に対応して、凸部1211と凹部1212からなる波形状となっている。凹部1212は、加工中に最も冷却を必要とする切れ刃11側へ食い込んでいるため、凹条152から凹部1212を介して流入するクーラントcにより切れ刃11近傍は確実に冷却される。
なお、凸部1211と凹部1212とでは、切屑dとの接触長さが異なる。これらの接触長さを調整することにより、クーラントcによる冷却を確保することも可能である。例えば、凸部1211を長くすると、切取厚さを大きくしたときでも、クーラントcによる冷却を確保しつつ、切屑dをすくい面12に沿って後方へ流出させることができる。
(3)切削工具の条面部は、上述した他に、例えば、図3のような形態としてもよい。図3(1)には、断面が略台形状で対称的な凸条21と凹条22を等ピッチで配列した条面部を示した。図3(2)には、断面が略三角形状で対称的な凸条31と凹条32を等ピッチで配列した条面部を示した。図3(3)には、断面が略台形(または略矩形状)状をした凸条41と断面が略半円状をした凹条42をそれぞれ等ピッチで配列した条面部を示した。図3(4)には、断面が略半円状をした凸条51と断面が略台形状(または略矩形状)をした凹条52をそれぞれ等ピッチで配列した条面部を示した。なお、便宜上、凸条と凹条以外の部位には、既述した符号を付して、それらの説明を省略した。
(4)本発明の切削工具は、切れ刃が直線状に延在しているものに限らず、切れ刃が曲線状または屈曲状等に延在しているものでもよい。そして、内向路、傾斜面または条面部も、切れ刃に対応して適切な形態であると好ましい。このような一例として、本発明の他形態である切削工具8を図4に示した。切削工具8も、略三角板状のチップからなるが、その先端すくい面821は、コーナ状の刃先81に沿った略屈曲(V文)状となっている。この先端すくい面821に対応して、内向路84は断面が略三角形(V字)状をした暗渠状となっている。また内向路84の側面を構成する傾斜面85は、先端すくい面821の後縁から斜め下方(チップ中央下方)へすり鉢状に連なって延びている。傾斜面85の表面には、その前端縁(先端すくい面821の後端縁)から斜め下方に延びる複数の凸条851と凹条852が等ピッチ間隔で配列された波面部850(条面部)となっている。
《その他》
(1)切削工具は、加工形態(旋削加工やフライス加工等)に応じて種々の形態が考えられる。例えば、本発明の切削工具は、チップのみでもよいし、ホルダーやシャンクを含むものでもよい。被削材は、鉄系材料(ステンレス鋼等)でも活性金属材料(アルミニウム系、チタン系、マグネシウム材料、銅系材料等)でもよい。その形態も、棒状、ブロック状、管状等のいずれでも良い。本発明の切削工具は、クーラントが供給されるウエット環境下で使用されると好適であるが、クーラントが供給されないドライ環境下で使用されてもよい。なお、本明細書でいうクーラントは、単なる冷却液のみならず、切削油(加工油)も含む。それらの供給方法は、掛け流し、シャワー、ミスト等のいずれでもよい。さらに、冷却媒体(クーラント)は、液体に限らず、エアーや特定ガス(不活性ガス等)などの気体でもよい。
切れ刃が直線状である切削工具について、以下のような解析と実験を行った。この結果に基づいて本発明をより具体的に説明する。
《解析》
(1)条面部を有する傾斜面を備えた内向路の影響を評価するため、図5に示すような切削工具1(実施例)と切削工具C1(比較例)のモデルを作成し、FEM解析により刃先中央の温度(単に「刃先温度」という。)をシミュレーションした。
切削工具1の概形は図1または図2に示したものと同様であるが、さらにその詳細形状は図6に示す通りである。具体的にいうと、条面部150を構成する凸条151(凸部1211)と凹条152(凹部1212)は、それぞれ断面が対称的な半円状からなる。各部の寸法は以下の通りとした。なお、凹部(凹条)の内幅は、凹部(凹条)の最深位置と凸部(凸条)の最頂位置との中央位置で規定(測定)した。
内向路14の内幅(刃先稜線に平行な長さ)L:2.8mm、
傾斜面15の傾角(すくい面からの角度) θ:45°、
凸部長さ(切れ刃から凸条前縁までの長さ)L:0.35mm、
凹部長さ(切れ刃から凹条前縁までの長さ)L:0.1mm、
凹部(凹条)の内幅L:0.2mm、
ピッチP:0.4mm
シミュレーションは、解析ソフト(Abaqus 6.12/Dassault Systemes製) を用いて行った。この際、加工時の入熱(Qin)は、図5に示す入熱範囲(加工点近傍のすくい面)から導入されると仮定した。具体的にいうと、切削工具1では、先端すくい面121を入熱範囲(刃先稜線方向の長さ:2mm)とし、切削工具C1では平らなすくい面上の刃先側の特定範囲(2mm×0.7mm)を入熱範囲とした。
シミュレーションに用いた解析パラメータは次の通りとした。
入熱量 Qin:35 [MW]
熱伝導率 K :42 [W/K・m]
比熱 C :300[J/kg・K]
密度 D :11.7[kg/m
工具-ホルダ間の熱伝達率ht:5000[W/K・m
雰囲気温度T :26[℃]
ホルダ温度Tt:26[℃]
シミュレーションは、クーラントを供給せずに切削加工を行う場合(ドライ環境下)と、クーラントを供給しつつ切削加工を行う場合(ウエット環境下)との両方について行った。この際、ドライ環境下における周囲と切削工具との熱伝達率h:13[W/K・m]とし、ウエット環境下における周囲と切削工具との熱伝達率h:10000[W/K・m]とした。
(2)上記のシミュレーションにより、刃先温度は次のように求まった。
ドライ環境下 →切削工具1 :606.1℃ (実施例)
切削工具C1:905.9℃ (比較例)
ウエット環境下 →切削工具1 :394.1℃ (実施例)
切削工具C1:661.3℃ (比較例)
これらの結果から、本発明の切削工具を用いると、ドライ環境下でもウエット環境下でも、刃先温度を従来よりも大幅に低減することができ、ひいては切削工具の長寿命化を図れることが明らかとなった。
《実験》
図6に示した切削工具1(L:0.35mm、L:0.1mm、P:0.4mm)で、炭素鋼からなる被削材とチタンからなる被削材を、それぞれ旋削加工(二次元切削加工)したときの様子を図7Aと図7B(両者を併せて単に「図7」という。)にそれぞれ示した。なお、いずれの場合も、切取厚さt:0.17mmとした。
図7からわかるように、凹部長さLは切取厚さtよりも小さいが、凸部長さLが切取厚さtよりも大きい。このため、切屑はその凸部に支えられ、切屑の剛性によりその形状を維持したまま、傾斜面に接触することなく、すくい面にほぼ平行な方向へ流出していた。
《まとめ》
上述した内容を踏まえて、本発明に係る凸条または凹条のピッチ(P)は0.3〜1mmさらには0.4〜0.7mmであると好適である。凹条の内幅(L)は0.15〜0.6mmさらには0.2〜0.4mmであると好適である。すくい面の一部からなり切れ刃と傾斜面の前縁との間にある先端すくい面は、切れ刃から凸条の前縁までの長さ(凸部長さL)が0.25〜0.5mmさらには0.3〜0.4mmであると好適である。すくい面の一部からなり切れ刃と傾斜面の前縁との間にある先端すくい面は、切れ刃から凹条の前縁までの長さ(凹部長さL)が0.05〜0.3mmさらには0.1〜0.2mmであると好適である。傾斜面のすくい面に対する角度(傾角:θ)は10〜90°さらには30〜60°であると好適である。
1 切削工具
11 切れ刃(工具刃先)
12 すくい面
121 先端すくい面
14 内向路
15 傾斜面
150 条面部
151 凸条
152 凹条

Claims (6)

  1. 被削材を切削する切れ刃と、
    該切れ刃から後方へ連なるすくい面と、
    を備える切削工具であって、
    さらに、前記すくい面の少なくとも一部から内部へ向かって形成された溝状または穴状の内向路を備え、
    該内向路は、前記すくい面側にある前縁から内部後方へ連なる傾斜面を有し、
    該傾斜面は、少なくとも該前縁側に、該前縁から内部後方へ延びる凸条または凹条からなる条面部を有することを特徴とする切削工具。
  2. 前記条面部は、前記凸条または前記凹条が規則的に複数配列された波面部である請求項1に記載の切削工具。
  3. 前記凸条または前記凹条のピッチは、0.3〜1mmである請求項2に記載の切削工具。
  4. 前記凹条の内幅は0.15〜0.6mmである請求項2または3に記載の切削工具。
  5. 前記すくい面の一部からなり前記切れ刃と前記傾斜面の前縁との間にある先端すくい面は、該切れ刃から前記凸条の前縁までの長さが0.25〜0.5mmである請求項1〜4のいずれかに記載の切削工具。
  6. 前記すくい面の一部からなり前記切れ刃と前記傾斜面の前縁との間にある先端すくい面は、該切れ刃から前記凹条の前縁までの長さが0.05〜0.3mmである請求項1〜5のいずれかに記載の切削工具。
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