JP2017188675A - 放熱基板 - Google Patents

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英児 橋野
宇野 智裕
Tomohiro Uno
智裕 宇野
石川 信二
Shinji Ishikawa
信二 石川
石井 守
Mamoru Ishii
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Abstract

【課題】より長期信頼性を向上することができる放熱基板を提供する。【解決手段】Cu又はCu合金からなるCu層12と、Mo又はMo合金からなるMo層14とが、交互に積層された矩形状の放熱基板10において、前記Cu層12と前記Mo層14とが合計5又は9層積層され、前記Mo層14の厚さ方向における断面16のうち、結晶方位<110>が長辺方向に対して角度差が15°以内にある結晶粒の占める面積の比率が40%以上であり、前記放熱基板10の全体厚さに対し、前記Mo層14の厚さの合計の比率が5%以上40%未満であることを特徴とする。【選択図】図1

Description

本発明は、電子部品に適用される放熱基板に関する。
電気自動車、ハイブリッド自動車や風力発電では、電力制御用の部品としてパワーモジュールが用いられる。パワーモジュールは、セラミックスで形成された絶縁基板と、金属で形成された放熱基板が接合されていると共に、接合材を介して半導体デバイス、特に、大電力で動作するLSI、IC、パワートランジスタ等が接合される。大電力で動作する半導体デバイスは、使用時において熱を発生する。
放熱基板は、これらの半導体デバイスから発生する熱を効率よく拡散・放熱することが要求される。ところが、パワーモジュールは、上記の通り、異種材料からなる接合体であるため、製造時だけでなく、使用時における温度変化によって生じる熱膨張、熱収縮が、拘束されることにより熱応力が発生する。この内部応力によって、放熱基板が変形してしまうという問題がある。そのため、放熱基板は、高い機械的強度と高い熱伝導率とを備えることが望まれる。
これに対して、例えば特許文献1には、3層構造の放熱基板としてCu層、Mo層、Cu層を順に積層したクラッド材が開示されている。この3層構造のクラッド材におけるMoの体積比を20%から99.6%の範囲で変化させることにより、熱伝導率と熱膨張係数を制御し、Mo単体よりも高い熱伝導率と、Cu単体よりも小さい熱膨張係数とを得ている。
また、特許文献2にはCu層、Mo層、Cu層を順に積層した3層構造のクラッド材の熱膨張係数とCuの体積比の関係が開示されている。この構造のクラッド材においては、Mo層が1層の場合には、例えば熱膨張係数を12×10-6/K以下とするためには、熱伝導率が低いMoの使用量を全体の質量の20%以上としなければならない。そのため、このクラッド材の厚さ方向における熱伝導率は、230W/(m・K)程度にとどまる。
さらに特許文献3には、Cu層と、Mo層とが交互に5層以上積層されたクラッド材が開示されている。この場合、5層以上積層することにより、熱膨張係数がより小さく、かつ熱伝導率がより高いクラッド材を得ることができる。
特開平2−102551号公報 特開平6−268115号公報 特開2007−115731号公報
放熱基板は、パワーモジュールに対する大電力化への要求にこたえられる、より高い信頼性が求められている。特に、積層されたCu層とMo層の層間や、放熱基板上に接合される半導体デバイスを実装した後の長期信頼性が注目されている。熱膨張率の異なるSi、SiCなどの半導体デバイスあるいはコンデンサなどの電子部品と、セラミックス基板上の銅電極が、放熱基板により接合される。半導体デバイスは、動作時に、Siの場合100℃〜150℃、SiCの場合は200℃以上の温度上昇が見込まれるため、異なる材料である放熱基板との間には熱膨張差による熱応力が発生する。実際の使用時において、パワーモジュールは、半導体デバイスのON/OFFによって、温度の昇降が頻発することで、半導体デバイスとの間に熱応力が繰り返しかかることにより、最終的に半導体デバイスにクラックが発生するという問題がある。また、放熱基板は、熱膨張率の異なるCu層、Mo層の積層構造であるため、加熱されることで、反りが発生することがある。そうすると放熱基板は、熱応力に加えて反りによる曲げ応力が働くことで、半導体デバイスのクラック発生を加速させる問題がある。放熱基板は、製品開発時において、上記問題に関連して、熱サイクル試験を実施することにより長期信頼性の確認がされているが、近年のパワーデバイスの高温動作のニーズによりこれらの半導体デバイスの故障の問題が顕著となっている。
そこで本発明は、より長期信頼性を向上することができる放熱基板を提供することを目的とする。
本発明に係る放熱基板は、Cu又はCu合金からなるCu層と、Mo又はMo合金からなるMo層とが、交互に積層された矩形状の放熱基板において、前記Cu層と前記Mo層とが合計5又は9層積層され、前記Mo層の厚さ方向における断面のうち、結晶方位<110>が長辺方向に対して角度差が15°以内にある結晶粒の占める面積の比率が40%以上であり、前記放熱基板の全体厚さに対し、前記Mo層の厚さの合計の比率が5%以上40%未満であることを特徴とする。
本発明によれば、長辺方向の熱膨張を低減することにより、動作時における半導体デバイスの温度上昇により発生する接合部の熱応力の発生を抑制することができるので、実装後の長期信頼性を向上することができる。
本実施形態に係る放熱基板の構成を模式的に示す斜視図である。
以下、図面を参照して本発明の実施形態について詳細に説明する。
1.実施形態
(全体構成)
図1に示す放熱基板10は、矩形状であって、Cu又はCu合金からなるCu層12と、Mo又はMo合金からなるMo層14とが、交互に積層されている。本図の場合、放熱基板10は、厚さ方向の中央にCu層12、当該Cu層12の両側にMo層14、さらに外表面にそれぞれCu層12が積層され、合計5層で形成されている。中央のCu層12と、外表面に積層されたCu層12の厚さは適宜選択することができ、同じ厚さでも、異なる厚さでもよい。なお、厚さ方向の中心から数えて同じ位置にある層は、同じ厚さであるのが好ましい。本実施形態の場合、外表面に配置されたCu層12は互いに同じ厚さであるのが好ましい。またMo層14は互いに同じ厚さであるのが好ましい。
本明細書において、長辺方向とは長辺に平行な方向(本図中x方向)、短辺方向とは短辺に平行な方向(本図中y方向)、厚さ方向とは放熱基板10の表面に垂直な方向(本図中z方向)をいう。放熱基板10は、図示しないが、例えば一側表面に半導体デバイス(以下、チップともいう)が接合材を用いて接合され、他側表面に絶縁基板がろう材を用いて接合される。
(結晶方位)
Mo層14は、加工集合組織あるいは再結晶集合組織を利用することにより、結晶方位<hkl>を制御することができる。Mo層14は、Moが体心立方構造であることから、最稠密面と関連する結晶方位<110>の比率を高めることにより、結晶方位<110>と平行な方向の結晶格子のすべり変形を抑制することができる。本発明者らは、Mo層14の結晶方位<110>を制御することにより、弾性率・強度・伸びなどの機械的特性、熱膨張などの熱的特性、加工性、放熱基板10の使用性能、実装後の長期信頼性などを向上できることを見出した。
放熱基板10は、Mo層14の厚さ方向(z方向)における断面のうち、結晶方位<110>が長辺方向(x方向)に対して角度差が15°以内にある結晶粒の占める面積の比率が40%以上であり、前記放熱基板10の全体厚さに対し、前記Mo層14の厚さの合計の比率が5%以上40%未満である。
Mo層14の厚さ方向における断面は、例えば、Mo層14の長辺方向(x方向)と厚さ方向(z方向)を含む断面16とする。当該断面16における面積をA1とし、当該断面16において、結晶方位<110>が長辺方向(x方向)に対して角度差が15°以内にある結晶粒の占める面積をA2とする。したがって、Mo層14の厚さ方向における断面のうち、結晶方位<110>が長辺方向に対して角度差が15°以内にある結晶粒の占める面積の比率(以下、<110>方位比率と称す)は、(A2/ A1)×100(%)で表される。
放熱基板10の全体厚さは、5層全体の厚さである。Mo層14の厚さの合計は、2個のMo層14の厚さの合計である。したがって、前記放熱基板10の全体厚さに対し、前記Mo層14の厚さの合計の比率(以下、Mo厚さ比率と称す)は、全体厚さをT1、Mo層14の厚さの合計をT2とすると、(T2/ T1)×100(%)で表される。
上記構成により放熱基板10は、長辺方向の熱膨張を低減することにより、動作時における半導体デバイスの温度上昇により発生する接合部の熱応力の発生を抑制することができる。これにより放熱基板10は、実装後の長期信頼性を向上することができる。
放熱基板10は、Mo層14の長辺方向に対する<110>方位比率が40%以上であり、Mo層14の厚さ比率が5%以上40%未満であることにより、半導体デバイスの動作時の温度上昇による放熱基板10の長辺方向の伸びを低減できるため、接合部の熱応力を抑え、半導体デバイスなどのON/OFFによる熱疲労を低減する効果が得られると考えられる。
従来のCu層およびMo層からなる多層構造は、Cu層とMo層間の熱膨張率の違いから半導体デバイスの動作時の温度上昇によって熱応力が発生し、使用中に半導体デバイスのクラックに起因する故障が発生することがあった。これに対し放熱基板10は、<110>方位比率が40%以上であり、Mo厚さ比率が5%以上40%未満であることにより、Cu層12とMo層14間の熱膨張率の違いによる影響を低減し、クラックの発生を低減する効果があるとともに、過度な熱膨張を抑え、適度な放熱性を確保できる。
放熱基板10は、Mo層14の長辺方向に対する<110>方位比率が40%以上であることにより、長辺方向の熱変形が抑制される。これにより放熱基板10は、特に、矩形状のチップを、長手方向が放熱基板10の長辺方向に平行となるように配置した場合、チップのクラックが抑えられ、長期信頼性を向上することができる。したがって放熱基板10は、従来に比べ長尺なチップの搭載が可能であり、配置の自由度が増すので、半導体デバイスの数の増加や、次世代の実装構造にも適応できる。<110>方位比率の上限は、特に限定されないが、95%以下であれば工業的に安定して製造することができる。
放熱基板10は、Mo厚さ比率が5%以上40%未満であることにより、放熱基板10の熱膨張を適正化して、長期信頼性を向上することができる。すなわち、放熱基板10は、Mo厚さ比率が5%以上40%未満の範囲であればMo層14の厚さに関係なく、上記<110>方位比率が40%以上による信頼性を改善する効果が得られる。放熱基板10は、Mo厚さ比率が5%未満であるとCuの熱膨張を抑える効果が小さく、全体としての性能を維持することが困難である。また放熱基板10は、Mo厚さ比率が40%以上であると放熱性が過剰に小さくなり、本来の機能が損なわれる。
長期信頼性は、一般に低温/高温に設定された試験槽内を行き来する熱サイクル試験によって評価される。熱サイクル試験は、例えば、上記低温を−40℃、上記高温を+200℃とし、各槽間内に放熱基板上に半導体デバイスを接合したサンプルを、それぞれ15分間保持する。低温、高温の保持時間の合計が1時間になった回数を1サイクルとする。長期信頼性は、所定サイクル数を経過後のチップにおけるクラックの有無を評価することができる。
放熱基板10は、Mo層14の厚さ方向(z方向)における断面のうち、結晶方位<110>が長辺方向(x方向)に対して角度差が15°以内にある結晶粒の占める面積の比率が40%以上であると、-40℃/200℃の熱サイクル試験を500サイクル繰り返した後のチップのクラックの発生を抑制することができる。
好ましくは、<110>方位比率が50%以上であることにより、より長時間の熱サイクルでも信頼性を向上することができ、-40℃/200℃の熱サイクル試験を1000サイクル繰り返した後のチップのクラックの発生を抑制することができる。
放熱基板10は、前記Mo層14の厚さ方向(z方向)における断面のうち、結晶方位<100>が厚さ方向(z方向)に対して角度差が15°以内にある結晶粒の占める面積の比率が15%以上であるのが好ましく、30%以上であるのがさらに好ましい。Mo層14の厚さ方向における断面は、上記した通り、特に限定されない。例えば、Mo層14の長辺方向(x方向)と厚さ方向(z方向)を含む断面16における面積をA1とし、当該断面積A1において結晶方位<100>が厚さ方向(z方向)に対して角度差が15°以内にある結晶粒の占める面積をA3とする。この場合、Mo層14の厚さ方向における断面のうち、結晶方位<100>が厚さ方向に対して角度差が15°以内にある結晶粒の占める面積の比率(以下、<100>方位比率と称す)は、(A3/ A1)×100(%)で表される。これにより放熱基板10は、放熱基板10のサイズが多少大きくなっても温度上昇に伴う長辺方向に伸びる変形を抑制することができ設計の自由度を向上することができる。放熱基板10は、鉛直方向に対する<100>方位比率の制御を、前記の長辺方向に対する<110>方位比率の制御と組み合わせることで、従来の結晶方位を制御されていない放熱基板に比べ、チップのクラックをより確実に抑制することができる。
すなわち放熱基板10は、Mo層14の厚さ方向における断面のうち、結晶方位<110>が長辺方向に対して角度差が15°以内にある結晶粒の占める面積の比率が40%以上であり、結晶方位<100>が厚さ方向に対して角度差が15°以内にある結晶粒の占める面積の比率が15%以上、さらに好ましくは30%以上であり、前記放熱基板10の全体厚さに対し、前記Mo層14の厚さの合計の比率が5%以上40%未満であることにより、放熱性を確保しつつチップのクラックを低減し長期信頼性をより向上することに有効である。
放熱基板10は、前記Mo層14の厚さ方向(z方向)における断面のうち、結晶方位<100>が厚さ方向(z方向)に対して角度差が15°以内にある結晶粒の占める面積の比率が15%以上であれば、より厳しい-40℃/250℃の熱サイクル試験を300サイクル繰り返した後のチップのクラックの発生を抑制することができる。
好ましくは、結晶方位<100>が厚さ方向(z方向)に対して角度差が15°以内にある結晶粒の占める面積の比率が30%以上であれば、-40℃/250℃の熱サイクル試験を500サイクル繰り返した後のチップのクラックの発生を抑制することができる。
より好ましくは、<100>方位比率が50%以上であれば、より長時間の熱サイクルでも信頼性を向上することができ、-40℃/250℃の熱サイクル試験を1000サイクル繰り返した後のチップのクラックの発生を抑制することができる。
また、<100>方位比率が30%以上であることにより、長辺長さがより長い場合であっても、-40℃/250℃の熱サイクル試験を500サイクル繰り返した後のチップのクラックの発生を抑制することができる。
(結晶粒径)
放熱基板10は、Mo層14における前記放熱基板10の長辺方向(x方向)の平均結晶粒長さLと、厚さ方向(z方向)の平均結晶粒長さtの比(L/t、以下、平均アスペクト比という)が、1.3以上8未満であることが好ましい。これにより放熱基板10は、Cu層12とMo層14を接合した後の放熱基板10単体の反り量を低減することができる。平均アスペクト比L/tが1.3以上8未満であることにより、長辺方向の曲げ変形を抑制すること、Cu層12とMo層14との界面の接合強度を高めることなどにより、結果として放熱基板10単体の反り量を低減できると考えられる。平均アスペクト比L/tが1.3未満では、Cu層12に生じる加熱による熱膨張及び冷却による熱収縮を十分に抑制できないため、Cu層12とMo層14を接合した直後の放熱基板10の反り量を抑制することができない。また、平均アスペクト比L/tが8以上であると、反り量を抑制する効果は飽和する。
好ましくは平均アスペクト比L/tが2以上であることにより、放熱基板10の反り量を低減する効果をより向上でき、ろう付けしない放熱基板10単体で500℃まで加熱する加速評価においても反り量を低減できる。通常の製造工程では、放熱基板10単体の加熱は行わないが、上記の加速評価により放熱基板10自体の反り量を加速して評価するのに有効である。より好ましくは平均アスペクト比L/tが3以上であることにより、700℃まで加熱する加速評価においても反り量を低減する効果が得られる。
(観察方法)
Moの結晶方位の測定には、後方散乱電子線回折法(EBSD、Electron Backscattered Diffraction)を用いるのが好ましい。EBSD法は観察面の結晶方位を観察し、隣り合う測定点間での結晶方位の角度差を図示できるという特徴を有し、比較的簡便ながら精度よく結晶方位を観察できる。EBSD法による測定結果の解析では、装置に装備されている解析ソフトを利用することで、上述した測定面積に対する各方位の結晶粒の面積が占める面積比、測定エリアの中で結晶方位が識別できる結晶粒又は領域の総面積を母集団として各結晶方位が占める比率等を算出できる。ここで結晶方位の面積を算出する最小単位は、結晶粒又は、結晶粒内の一部の微小領域でも構わない。放熱基板10の長辺方向と厚さ方向を含むMo層14の断面16において、結晶方位の観察を行うことが望ましい。
また、結晶粒の平均長さL、tの算出においても、長辺方向と厚さ方向を含むMo層14の断面16においてEBSD法で観察し、解析ソフトにより結晶粒の厚さ方向断面における平均サイズを算出した値とする。
1試料あたりの測定エリアは2ヶ所以上であることが望ましい。測定エリアが3ヶ所以上であれば再現性の精度が向上する。放熱基板10は複数のMo層14が存在しており、Mo層14の厚さ、組織がほぼ同等である場合には、1枚のMo層14の結晶方位、粒径の測定結果で代表させても構わない。Mo層14の厚さ、組織などが異なる場合には、それら異なるMo層14で結晶方位、粒径を求めておき、それら各Mo層14の結果から平均値を求めて代表して用いても構わない。
(製造方法、評価方法)
本実施形態に係る放熱基板10は、Cu板とMo板を交互に重ねて高温で1軸方向に加圧する熱間プレス加工を施すことにより製造することができる。以下、所望の結晶方位あるいは結晶粒を有するMo層14を形成する方法を説明する。
Mo層14の組織を制御する製造法について、原料としてのMo板単体の製造技術と、Cu板とMo板を接合する接合技術を組み合わせることが有効である。Mo層14に使用するMo箔、Mo板などの製造過程では、多種の結晶方位がいろいろな割合で形成される。加工、熱処理によりこれらの組織を調整することができる。
Mo層14の結晶方位<110>を配向させるには、Mo板の圧延の加工度、加工工程の間の中間熱処理を制御することが有効である。圧延率を増やして、加工集合組織を発達させることで、結晶方位<110>を増やすことが可能である。さらに加工工程の間に中間熱処理を適宜利用することで、結晶方位<110>の配向を揃える効果に加えて、加工時の歪みの低減、割れの抑制により量産性を向上できる。
結晶方位<110>を40%以上にするには、加工工程で結晶方位<110>を増やすことが望ましく、圧延条件では圧延率を高めること及び、圧延速度を調整することが有効である。また中間熱処理は、結晶方位<110>が減少しないように、圧延前のMo板の厚さにもよるが圧延途中に1〜3回施すのが望ましい。中間熱処理を施さないで連続的に圧延を行う場合の連続圧延率は30%以上である。また加工性を高めるため中間熱処理を施す場合には、温度をMoの再結晶温度以下とするか、又は加熱時間を例えば10分以下の短時間にすることが望ましい。ここで、「連続圧延率(%)=(加工前の板厚−熱処理なしの加工後の板厚)/加工前の板厚×100」で表される。長辺方向に結晶方位<110>を配向させるために、長辺をMo層14の圧延方向と平行又は平行に近い角度でMo層14を切り出すことが有効である。
具体的な製造条件の一例として、純度99.99%で5mm厚のMo板を所定厚さまで薄く圧延する製造工程を例として説明する。連続圧延率を30〜95%の範囲とし、圧延速度は0.2〜3m/分の範囲で作製することで、結晶方位<110>の配向を増やすことができる。結晶方位<110>を40%以上95%以下の範囲にする熱処理は、厚さが0.1〜3mmの圧延途中で行う中間熱処理を2回実施し、熱処理条件として温度を400〜1000℃の範囲、時間を5〜60分の範囲で調整することが有効である。圧延方向が放熱基板10の長辺方向(x方向)と平行になるように原板を切断して小片化することで、所定サイズの放熱基板10が得られる。
また、上記の圧延条件及び熱処理条件により、Mo層14の断面において厚さ方向に対する<100>方位の占める割合を高めることができる。さらに15%以上95%以下の範囲で安定して調整する条件の一例として、1パスの圧延における圧延率を3〜20%の範囲とすることが望ましい。1mm厚から最終厚さまでの間に行う熱処理条件について、温度を500〜900℃の範囲、時間を5〜30分の範囲で調整することが有効である。
Cu板とMo板の接合法として、1軸方向の熱間圧延である熱間プレス加工が望ましいが、熱間ロール圧延なども利用できる。ここで熱間プレス工程の条件により、結晶方位<110>の配向を制御することも可能である。Moの再結晶温度(1000〜1200℃)より低温で加圧することで、結晶方位<110>の比率を高めつつ、良好な接合界面を得ることができる。製造条件の一例として、温度は800〜1050℃の範囲、加圧力は10〜40MPa程度、加圧時間は0.2〜1.5時間の範囲で調整することが好ましい。
また、Mo層14における平均アスペクト比L/tを1.3以上8未満の範囲にするためには、基本的に前述した<100>方位を配向させる製造条件の範囲で適正化することにより製造できる。さらに、結晶粒長さのばらつきを抑えて安定して平均アスペクト比L/tを上記範囲内に制御するためには、再結晶の進行を抑えるために最終の熱処理温度をMoの再結晶温度より200度以上低い温度にすることが好ましい。
製造条件は、上記記載に限定されるものではなく、熱処理温度などの条件を適正化することで、所望の結晶方位を得るなど、結晶組織を制御することができる。
Cuは、純度が99.3%以上であることが好ましく、無酸素銅、タフピッチ銅などを利用することができる。Moは、純度が99.3%以上の市販の素材を利用することができる。また、放熱基板10に高強度が求められる用途などには、5%以下の添加元素を含有する、Cu合金やMo合金を利用することもできる。
(変形例)
本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨の範囲内で適宜変更することが可能である。上記実施形態の場合、放熱基板は、5層構造である場合について説明したが、本発明はこれに限らず、9層構造でもよい。9層構造の場合、図1の外表面であるCu層上にさらにMo層、及びCu層がそれぞれ積層される。
2.実施例
(1)試料
上記「製造方法」で説明した手順にしたがい、試料として5層又は9層構造の放熱基板を作製した。まず、所定の厚さのCu板とMo板を用意した。次いで接合界面での密着性を向上するため、洗浄処理を行った。Mo板は酸化膜を除去するため50℃程度のお湯で洗浄処理し、Cu板は希硫酸などで酸洗処理をした。洗浄の後は水洗、乾燥を施した。最後にCu板とMo板を交互に積層して、汎用の熱間プレス機械を用いて真空中で接合し、実施例及び比較例に係る放熱基板(原板)を作製した。熱間プレスの条件は、温度を800〜1050℃の範囲、加圧力を10〜50MPa程度、加圧時間を0.2〜1.5時間の範囲で調整した。作製した原板から打ち抜き加工により試料を切り出した。試料サイズは、長辺方向長さ/短辺方向長さが20mm/10mm(放熱基板サイズA)及び、25mm/10mm(放熱基板サイズB)の2種類とした。作製した試料の仕様を表1に示す。
(2)評価
実施例及び比較例に係る放熱基板について、Mo層の結晶方位、結晶粒長さL、tを、放熱基板の長辺方向と厚さ方向を含む断面においてEBSD装置(Zeiss社製、Ultra55)で測定した。測定エリアは40×200μmとして、2か所以上で測定した。装置に装備されている解析ソフトを利用することで、上述した測定面積に対する各方位の結晶粒の面積が占める面積比を算出した。ここで結晶方位の面積を算出する最小単位は、結晶粒又は、結晶粒内の一部の微小領域でも構わない。求められた結晶方位の比率から平均比率を求めた。結晶粒のサイズも、同様にMo層の断面においてEBSD装置で観察し、解析ソフトにより結晶粒の長辺方向、厚さ方向における平均サイズを算出した。全てのMo層の結晶方位、粒径を求めておき、それら異なるMo層で結晶方位、粒径を求めておき、それら各Mo層の結果を平均して求めた。
長期信頼性の評価として、熱サイクル試験を実施した。試料は、一側表面にSiのチップを、他側表面にアルミナDCB(Direct Copper Bond)基板を接合した放熱基板を用いた。放熱基板とSiのチップは、AuSn合金で接合した。放熱基板とアルミナDCB(Direct Copper Bond)基板は、Cu電極をNi合金ろうで接合した。熱サイクル試験は、加熱温度が異なる2種の試験条件を用いた。すなわち熱サイクル試験条件は、温度範囲が、-40/+200℃、-40/+250℃の2種とした。
熱サイクル試験は、-40/+200℃で500サイクルを試験条件(1)、-40/+200℃で1000サイクルを試験条件(2)、-40/+250℃で300サイクルを試験条件(3)、-40/+250℃で500サイクルを試験条件(4)、-40/+250℃で500サイクルを試験条件(5)とし、それぞれ試験後に放熱基板の長辺方向と厚さ方向を含む断面を観察して評価した。試料数は各20個とした。断面観察のために、熱サイクル試験後のチップと共に放熱基板を切断し、機械的研磨を行った。チップの断面観察では、チップ/放熱基板の接合部に着目し、チップ長手方向全域をSEMで観察し、クラックの有無を確認した。クラックは、主に線状の亀裂とした。クラックが全くないものを◎、5μm未満のクラックが1個以上発生したものを○、5μm以上10μm未満のクラックが1個以上発生したものを△、10μm以上のクラックが1個以上発生したものを×とし、それぞれ表2に表記した。
また実装していない放熱基板を試料として、高温加熱後の放熱基板の熱変形による反りを評価した。高温加熱条件は、加熱なし(試験条件(6))、500℃で10分間加熱(試験条件(7))、700℃で10分間加熱(試験条件(8))を準備した。試料数は2個とした。反りの評価は、表面粗さ測定機(株式会社東京精密製、サーフコム130A)を用い、対角線方向に中心から端までの長さE、中央部と端部の高さの差Gを測定し、G/Eを反り比とする。反り比が0.1%未満であれば熱変形が少なく良好であるため○印、0.1以上0.5%以下の範囲であれば実用上は問題ないが品質上は改善することが望ましいと判断して△印、0.5%超であれば反りによる密着性低下が問題となると判断し×印を、それぞれ表2に表記した。
(3)結果
表1、2から明らかなように、実施例1〜19は、<110>方位比率が40%以上であり、Mo厚さ比率が5%以上40%未満であることにより、放熱基板サイズAにおいて試験条件(1) (-40/+200℃の範囲を500サイクル)後にチップのクラックは発生しておらず、温度サイクル試験の結果が良好であった。これに対し比較例1〜6は、長辺方向に対してMo層の結晶粒の<110>方位比率が40%未満であるため、試験条件(1)において10μm以上のチップのクラックが発生しており、熱サイクル試験の結果は×であった。
実施例1、2、4〜8、10、11、13、15〜19は、<110>方位比率が50%以上であることにより、放熱基板サイズAにおいて試験条件(2)((-40/+200℃の範囲を1000サイクル))の熱サイクル試験後、チップのクラックの観察の結果が良好であった。
実施例1〜18は、<100>方位比率が15%以上であることにより、温度条件がより厳しい試験条件(3)(-40/+250℃の範囲を300サイクル)の熱サイクル試験後、チップのクラックの観察の結果が良好であった。
実施例1、2、4〜8、10〜17は、<100>方位比率が30%以上であることにより、温度条件がより厳しい試験条件(4)(-40/+250℃の範囲を500サイクル)の熱サイクル試験後、チップのクラックの観察の結果が良好であった。
実施例2、4〜8、11、13、15〜17は、厚さ方向に対してMo層の結晶粒の<100>方位比率が50%以上であることにより、温度範囲が広い試験条件(5)(-40/+250℃の範囲を1000サイクル)の熱サイクル試験後、チップのクラックの観察の結果が良好であった。
実施例1、2、4〜8、10〜17は、<100>方位比率が30%以上であることにより、長辺長さが少し長い放熱基板サイズBにおいて試験条件(4)(-40/+250℃の範囲を500サイクル)の熱サイクル試験後、チップのクラックの観察の結果が良好であった。
実施例1、2、4〜19は、平均アスペクト比L/tが1.3以上8未満であることにより、通常の加熱しない試験条件(6)における放熱基板単体の反りを観察した結果が良好であった。
実施例1、2、4〜6、8、10〜13、15〜17は、平均アスペクト比L/tが2以上8未満であることにより、試験条件(7)(500℃で10分間加熱)の加速試験後における放熱基板単体の反りを観察した結果が良好であった。
実施例2、5、8、11、13、15、17は、平均アスペクト比L/tが3以上8未満であることにより、試験条件(8)(700℃で10分間加熱)の加速試験後における放熱基板単体の反りを観察した結果が良好であった。
Figure 2017188675
Figure 2017188675
10 放熱基板
12 Cu層
14 Mo層
16 断面(厚さ方向の断面)

Claims (4)

  1. Cu又はCu合金からなるCu層と、Mo又はMo合金からなるMo層とが、交互に積層された矩形状の放熱基板において、
    前記Cu層と前記Mo層とが合計5又は9層積層され、
    前記Mo層の厚さ方向における断面のうち、結晶方位<110>が長辺方向に対して角度差が15°以内にある結晶粒の占める面積の比率が40%以上であり、
    前記放熱基板の全体厚さに対し、前記Mo層の厚さの合計の比率が5%以上40%未満である
    ことを特徴とする放熱基板。
  2. 前記Mo層の厚さ方向における断面のうち、結晶方位<100>が厚さ方向に対して角度差が15°以内にある結晶粒の占める面積の比率が15%以上であることを特徴とする請求項1記載の放熱基板。
  3. 前記Mo層の厚さ方向における断面のうち、結晶方位<100>が厚さ方向に対して角度差が15°以内にある結晶粒の占める面積の比率が30%以上であることを特徴とする請求項1記載の放熱基板。
  4. 前記Mo層における前記放熱基板の長辺方向の平均結晶粒長さLと、厚さ方向の平均結晶粒長さtの比(L/t)が、1.3以上8未満であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項記載の放熱基板。
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