JP2017188033A - 送り軸制御装置における周波数特性測定方法 - Google Patents
送り軸制御装置における周波数特性測定方法 Download PDFInfo
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Abstract
Description
このような測定方法として、例えば特許文献1には、ホワイトノイズを位置指令あるいは速度指令として与え、開ループ特性を測定する方法が開示されている。
また、特許文献2には、速度フィードバックを速度制御系のフィードバックループから切離し、速度指令としてホワイトノイズを与えることで、速度開ループ特性を測定し、速度ループゲインを変更する方法が開示されている。
さらに、特許文献3には、操作量に正弦波信号やM系列信号を重畳させ、開ループ周波数特性、閉ループ周波数特性を測定する手法が開示されている。
特に、特許文献3の発明のように正弦波信号を掃引する場合、測定する全周波数範囲で正弦波加振する必要があるため、測定に時間を要し、また、微小振幅の正弦波で加振され続けるため、ベアリングやガイド部分でグリスや潤滑油が切れ、フレッチングが発生するといった課題がある。
一方、特許文献4の発明では、ロストモーションの変位範囲内で見られる低剛性バネ特性、及びロストモーションの変位範囲外で見られる高剛性バネ特性、それぞれを周波数領域で評価していないため、共振特性や安定性を考慮することができず、フィードバック制御コントローラを最適化できないといった課題がある。
前記送り軸の移動速度が一定となる前記速度参照値を指令して前記送り軸を一方向に移動させる移動ステップと、
前記速度参照値の大きさ未満の振幅を持つ正弦波を前記掃引信号に与えて加振する加振ステップと、
前記モータを含む送り軸駆動系の周波数特性を測定する測定ステップと、を実行することを特徴とする。
請求項2に記載の発明は、請求項1の構成において、前記測定ステップは、測定する伝達特性の入出力信号の周波数スペクトルを計算する周波数スペクトル計算ステップと、
当該周波数における伝達特性を所定の周波数範囲内で計算する周波数測定ステップと、を含むものであり、
前記周波数スペクトル計算ステップでは、前記入出力信号を掃引周波数の整数倍のサンプリング周波数でリサンプリングして前記入出力信号の少なくとも1周期分の定常応答データを切り出し、切り出した前記定常応答データに含まれる掃引周波数に対する周波数スペクトルを計算して、リサンプリングしたことによる周波数特性の振幅減衰を補正することを特徴とする。
上記目的を達成するために、請求項3に記載の発明は、上位装置又は速度指令演算器からの速度参照値と、周波数特性を測定するために掃引される掃引信号とからなる速度指令値に従ってモータを駆動し、被駆動体の可動部の速度又は位置を制御する送り軸制御装置において、周波数特性を測定する方法であって、
前記送り軸の移動速度が一定となる前記速度参照値を指令して前記送り軸を一方向に移動させる移動ステップと、
前記所定の振幅を持つ正弦波を前記掃引信号に与えて加振する加振ステップと、
前記モータを含む送り軸駆動系の周波数特性を測定する測定ステップと、を実行すると共に、
前記正弦波の振幅を、円周率と、掃引する前記正弦波の周波数と、前記送り軸駆動系のロストモーション量との積より小さい値で決定し、前記速度参照値の大きさを、前記正弦波の振幅未満で決定し、
前記測定ステップは、測定する伝達特性の入出力信号の周波数スペクトルを計算する周波数スペクトル計算ステップと、
当該周波数における伝達特性を所定の周波数範囲内で計算する周波数測定ステップと、を含むものであり、
前記周波数スペクトル計算ステップでは、前記入出力信号を掃引周波数の整数倍のサンプリング周波数でリサンプリングして前記入出力信号の少なくとも1周期分の定常応答データを切り出し、切り出した前記定常応答データに含まれる掃引周波数に対する周波数スペクトルを計算して、リサンプリングしたことによる周波数特性の振幅減衰を補正することを特徴とする。
特に、請求項2に記載の発明によれば、上記効果に加えて、測定ステップを、周波数スペクトル計算ステップと周波数測定ステップとを含むものとして、周波数スペクトル計算ステップでは、入出力信号を掃引周波数の整数倍のサンプリング周波数でリサンプリングして入出力信号の少なくとも1周期分の定常応答データを切り出し、切り出した定常応答データに含まれる掃引周波数に対する周波数スペクトルを計算して、リサンプリングしたことによる周波数特性の振幅減衰を補正することで、各周波数成分での正弦波加振に要する時間を、定常状態の正弦波1周期分と、定常状態に達するまでの過渡状態の極僅かな時間に限定することができる。よって、周波数特性の測定に要する時間を最小化することができ、ベアリングやガイド部分でグリスや潤滑油が切れ、フレッチングに至るリスクを抑えることが可能となる。
特に、請求項3に記載の発明によれば、上記効果に加えて、正弦波の振幅を、円周率と、掃引する正弦波の周波数と、送り軸駆動系のロストモーション量との積より小さい値で決定し、速度参照値の大きさを、正弦波の振幅未満で決定するので、ロストモーションが示す非線形バネ特性のうち、低剛性バネ特性に焦点を当てた周波数特性を測定することが可能となる。
図1は、速度制御を行う送り軸制御装置の一例を示す構成図である。図1において、減算器1は、速度指令値Vcと、対象プラント(工作機械等)3内のモータ(工作機械ではサーボモータ)或いは被駆動体(工作機械では加工テーブル等)に取り付けられた位置検出器の位置検出値Pdを微分して得られる速度検出値、或いは対象プラント3内のモータ或いは被駆動体に取り付けられた速度検出器から直接得られる速度検出値Vdとの差分から、速度偏差Vdifを算出する。
算出された速度偏差Vdifは、トルク指令演算器2で増幅され、トルク指令値Tcとなる。対象プラント3は、トルク指令値Tcに相当するトルクを、対象プラント3内のモータで発生させ、例えばボールねじを介して、対象プラント3内に配置された被駆動体を駆動する。
速度指令値Vcは、図示しない上位装置(工作機械ではNC装置等)から指令された速度参照値Vrefと、周波数特性を測定するために掃引される掃引信号Vaddとを加算器4で加算して算出する。
図2に示す減算器5は、図示しない上位装置から指令された位置指令値Pcと、対象プラント3内のモータ或いは被駆動体に取り付けられた位置検出器から直接得られる位置検出値、あるいは対象プラント3内のモータ或いは被駆動体に取り付けられた速度検出器の速度検出値Vdを積分して得られる位置検出値Pdとの差分を計算する。
減算器5から出力された値は、速度指令演算器6で増幅され、位置指令値Pcを微分器7で微分して得られる速度フィードフォワードと加算器8で加算され、速度参照値Vrefとなる。その他の構成については図1と同様である。
Vd/Vdif=Cv・P ・・(1)
Vd/Vc =Cv・P/(1+Cv・P) ・・(2)
同様に、上記(2)式は、速度指令値Vcの周波数スペクトルと速度検出値Vdの周波数スペクトルとから、速度制御系の閉ループ伝達特性:Cv・P/(1+Cv・P)が計算できることを意味している。これらの伝達特性を得るためには、掃引信号Vaddとして、正弦波信号を与えれば良い。
図3は、本発明の周波数特性測定方法における第1の実施形態を示したフローチャートである。
始めに、Step1Aで、送り軸の移動速度が一定となるよう速度参照値Vrefを与える。速度参照値Vrefは、図1の構成の場合、上位装置から直接与えられるものであり、図2の構成の場合、上位装置から指令された位置指令値Pcの微分値に相当するものであるから、Step1Aは、例えば工作機械の送り軸ではNCプログラムなどでF指令を与えることに相当する。このStep1Aが移動ステップとなる。
なお、周波数スペクトルの計算方法としては、FFT(高速フーリエ変換)が良く知られているが、これに限定されるものではない。例えば、掃引信号Vaddで加振する周波数は既知であるから、DFT(離散フーリエ変換)のような手法で単一周波数のスペクトルのみを抽出する手法であっても良い。更に、リアルタイムに演算を行うことを考慮してSDFT(スライディング離散フーリエ変換)を用いることも可能である。
図4は、本発明の周波数特性測定方法における第2の実施形態を示したフローチャートであり、第1の実施形態(図3)のStep5(周波数スペクトル計算ステップ)を改良したものである。それ以外のステップは形態1と同じであるため、異なる手順のみを説明する。
Step4で正弦波を掃引信号Vaddに与えた後、続くStep5-1では、測定する伝達特性の入出力信号の測定を開始し、Step5-2で、掃引周波数の整数倍のサンプリング周波数でリサンプリングする。但し、予め掃引周波数の整数倍のサンプリング周波数で入出力信号の測定を開始すれば、このStep5-2は不要となる。
図5は、本発明の周波数特性測定方法における第3の実施形態を示したフローチャートであり、第1の実施形態(図3)のStep1A、Step2AをStep1B、Step2Bに改め、更に、Step5を第2の実施形態(図4)のStep5-1〜Step5-5としたものである。
まず、Step1Bで、掃引信号Vaddに与える正弦波の振幅を決定する。ここで、正弦波の振幅は、円周率πと、正弦波の周波数fと、測定する送り軸駆動系のロストモーション量LMとの積より小さい値に設定する。これは、(正弦波の振幅)/2πfをLM/2未満とすることを意味し、(正弦波の振幅)/2πfは、速度信号に正弦波を与えたときに、これを積分して得られる変位量の振幅に相当する。一方、ロストモーション量LMは、例えば、当該送り軸を正方向から位置決めした場合と負方向から位置決めした場合の位置決め誤差として観測可能である。すなわち、Step1Bでは、正弦波で加振した際の変位がロストモーションの範囲内に収まるように正弦波の振幅を規定するものである。
Claims (3)
- 上位装置又は速度指令演算器からの速度参照値と、周波数特性を測定するために掃引される掃引信号とからなる速度指令値に従ってモータを駆動し、被駆動体の可動部の速度又は位置を制御する送り軸制御装置において、周波数特性を測定する方法であって、
前記送り軸の移動速度が一定となる前記速度参照値を指令して前記送り軸を一方向に移動させる移動ステップと、
前記速度参照値の大きさ未満の振幅を持つ正弦波を前記掃引信号に与えて加振する加振ステップと、
前記モータを含む送り軸駆動系の周波数特性を測定する測定ステップと、を実行することを特徴とする送り軸制御装置における周波数特性測定方法。 - 前記測定ステップは、測定する伝達特性の入出力信号の周波数スペクトルを計算する周波数スペクトル計算ステップと、
当該周波数における伝達特性を所定の周波数範囲内で計算する周波数測定ステップと、を含むものであり、
前記周波数スペクトル計算ステップでは、前記入出力信号を掃引周波数の整数倍のサンプリング周波数でリサンプリングして前記入出力信号の少なくとも1周期分の定常応答データを切り出し、切り出した前記定常応答データに含まれる掃引周波数に対する周波数スペクトルを計算して、リサンプリングしたことによる周波数特性の振幅減衰を補正することを特徴とする請求項1に記載の送り軸制御装置における周波数特性測定方法。 - 上位装置又は速度指令演算器からの速度参照値と、周波数特性を測定するために掃引される掃引信号とからなる速度指令値に従ってモータを駆動し、被駆動体の可動部の速度又は位置を制御する送り軸制御装置において、周波数特性を測定する方法であって、
前記送り軸の移動速度が一定となる前記速度参照値を指令して前記送り軸を一方向に移動させる移動ステップと、
前記所定の振幅を持つ正弦波を前記掃引信号に与えて加振する加振ステップと、
前記モータを含む送り軸駆動系の周波数特性を測定する測定ステップと、を実行すると共に、
前記正弦波の振幅を、円周率と、掃引する前記正弦波の周波数と、前記送り軸駆動系のロストモーション量との積より小さい値で決定し、前記速度参照値の大きさを、前記正弦波の振幅未満で決定し、
前記測定ステップは、測定する伝達特性の入出力信号の周波数スペクトルを計算する周波数スペクトル計算ステップと、
当該周波数における伝達特性を所定の周波数範囲内で計算する周波数測定ステップと、を含むものであり、
前記周波数スペクトル計算ステップでは、前記入出力信号を掃引周波数の整数倍のサンプリング周波数でリサンプリングして前記入出力信号の少なくとも1周期分の定常応答データを切り出し、切り出した前記定常応答データに含まれる掃引周波数に対する周波数スペクトルを計算して、リサンプリングしたことによる周波数特性の振幅減衰を補正することを特徴とする送り軸制御装置における周波数特性測定方法。
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