JP2017188032A - ポリマー組成物の性能の予測方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】複数のポリマー及び複数の配合剤を含む個々の材料から構成されたポリマー組成物の性能を予測する。【解決手段】複数のポリマー及び複数の配合剤を含む個々の材料について、分子に関する情報を含む第1データを入力する工程S1、材料のいくつかを混合した複数種類のポリマー組成物について、材料の配合割合を含む第2データを入力する工程S2、第2データの各ポリマー組成物に対応する第1性能を含む第3データを入力する工程S3、第1データと、第2データと、第3データとの関係を示す近似応答関数を構築する工程S4、評価対象のポリマー組成物の材料の配合割合と、各材料の分子に関する情報とを入力する工程S6、及び、近似応答関数と、評価対象のポリマー組成物の材料の配合割合と、各材料の分子に関する情報とに基づいて、評価対象のポリマー組成物の第1性能を計算する工程S9を含む。【選択図】図1

Description

本発明は、ポリマー組成物の性能を予測するための方法に関する。
従来、複数のポリマーや配合剤を含む材料が配合されることによって、新たな性能を有する種々のポリマー組成物が開発されている。配合された個々のポリマーと、新たに開発されたポリマー組成物等とは、性能が異なる。このため、ポリマー組成物の性能を事前に予測することは難しい。
ポリマー組成物の開発には、例えば、複数のポリマーを異なる割合で配合し、ポリマー成物が所望の性能を有するまで繰り返し製造されている。このように、ポリマー組成物の開発には、多くのコストが必要となるため、ポリマー組成物の性能を事前に予測することができる方法が強く求められていた。
また、ポリマー組成物の製造工程の設計では、ポリマー組成物の性能が大きく影響する。従って、ポリマー組成物の物性を事前に予測することは、製造工程でのトラブルを未然に防ぐためにも重要である。
特開2010−024414号公報
本発明は、以上のような実状に鑑み案出されたもので、複数のポリマー及び複数の配合剤を含む個々の材料から構成されたポリマー組成物の性能を予測することができる方法を提供することを主たる目的としている。
本発明は、ポリマー組成物の予め定められた第1性能を予測するための方法であって、コンピュータに、複数のポリマー及び複数の配合剤を含む個々の材料について、分子に関する情報を含む第1データを入力する工程、前記コンピュータに、前記材料のいくつかを混合した複数種類のポリマー組成物について、前記材料の配合割合を含む第2データを入力する工程、前記コンピュータに、前記第2データの前記各ポリマー組成物に対応する第1性能を含む第3データを入力する工程、前記コンピュータが、前記第1データと、前記第2データと、前記第3データとの関係を示す近似応答関数を構築する工程、前記コンピュータに、評価対象のポリマー組成物の材料の配合割合と、前記各材料の分子に関する情報とを入力する工程、及び前記コンピュータが、前記近似応答関数と、前記評価対象のポリマー組成物の材料の配合割合と、前記分子に関する情報とに基づいて、前記評価対象のポリマー組成物の第1性能を計算する工程を含むことを特徴とする。
本発明に係る前記ポリマー組成物の性能の予測方法において、前記第1性能は、せん断粘度を含むのが望ましい。
本発明に係る前記ポリマー組成物の性能の予測方法において、前記分子に関する情報は、数平均分子量、重量平均分子量、分子量分布、又は、分子鎖の分岐度の少なくとも一つを含むのが望ましい。
本発明のポリマー組成物の性能の予測方法は、コンピュータに、複数のポリマー及び複数の配合剤を含む個々の材料について、分子に関する情報を含む第1データを入力する工程、材料のいくつかを混合した複数種類のポリマー組成物について、材料の配合割合を含む第2データを入力する工程、及び、第2データの各ポリマー組成物に対応する第1性能を含む第3データを入力する工程を含んでいる。
さらに、本発明のポリマー組成物の性能の予測方法は、コンピュータが、第1データと、第2データと、第3データとの関係を示す近似応答関数を構築する工程、コンピュータに、評価対象のポリマー組成物の材料の配合割合と、各材料の分子に関する情報とを入力する工程、及び、コンピュータが、近似応答関数と、評価対象のポリマー組成物の材料の配合割合と、材料の分子に関する情報とに基づいて、評価対象のポリマー組成物の第1性能を計算する工程を含んでいる。
本発明の近似応答関数は、第2データに含まれていない未知のポリマー組成物の第1性能を、第3データに含まれるポリマー組成物の第1性能を用いて補完して予測することができる。従って、近似応答関数に、評価対象のポリマー組成物の材料の配合割合を入力されることにより、評価対象のポリマー組成物の第1性能を予測することができる。
本実施形態のポリマー組成物の性能の予測方法の処理手順の一例を示すフローチャートである。 ポリマー組成物1〜ポリマー組成物20の第1性能(せん断粘度ηのべき乗n)の予測値と、ポリマー組成物1〜ポリマー組成物20の第1性能(せん断粘度ηのべき乗n)の実測値との関係を示すグラフである。
以下、本発明の実施の一形態が図面に基づき説明される。
本発明のポリマー組成物の性能の予測方法(以下、単に「予測方法」ということがある)は、ポリマー及び配合剤を含む材料から構成されたポリマー組成物の性能を、近似応答関数に基づいて予測するための方法である。本実施形態のポリマー組成物は、複数のポリマーが配合されかつ混練された未加硫ゴムである場合が例示されるが、これに限定されるわけではない。
ポリマーとしては、例えば、一般的なポリマー組成物(本実施形態では、未加硫ゴム)に配合される未加硫の原料ゴムである。原料ゴムの一例としては、天然ゴム(NR)、ブタジエンゴム(BR)、又は、スチレンブタジエンゴム(SBR)等である。配合材としては、例えば、カーボンやシリカ等のフィラー、オイル、又は、加工助剤が含まれる。
本実施形態の予測方法では、コンピュータが用いられる。図1は、本実施形態の予測方法を実行するためのコンピュータの一例を示す斜視図である。コンピュータ1は、本体1a、キーボード1b、マウス1c及びディスプレイ装置1dを含んでいる。この本体1aには、例えば、演算処理装置(CPU)、ROM、作業用メモリ、磁気ディスクなどの記憶装置、及び、ディスクドライブ装置1a1、1a2が設けられている。記憶装置には、本実施形態の予測方法を実行するためのソフトウェア等が予め記憶されている。
図2は、本実施形態の予測方法の処理手順の一例を示すフローチャートである。本実施形態の予測方法では、先ず、コンピュータ1に、複数のポリマー及び複数の配合剤を含む個々の材料について、分子に関する情報を含む第1データが入力される(工程S1)。
ポリマーの分子に関する情報としては、例えば、数平均分子量、重量平均分子量、分子量分布、又は、分子鎖の分岐度の少なくとも一つを含んでいる。本実施形態では、これらの全ての分子に関する情報が含まれる。なお、ポリマーの分子に関する情報には、例えば、他のポリマーとの相溶性を示す指標である溶解性パラメータδが含まれてもよい。
数平均分子量Mnは、ポリマーを構成する分子鎖1本あたりの平均分子量を示すための指標である。即ち、ポリマーの数平均分子量Mnは、ポリマー全体の質量を、ポリマー全体の分子数で除した値である。このようなポリマーの数平均分子量Mnは、例えば、末端定量法、浸透圧法、蒸気圧法又はGPC(ゲル浸透クロマトグラフィー)法等によって測定することができる。
重量平均分子量Mwは、ポリマーの分子鎖の質量で加重平均した分子量を示すための指標である。即ち、ポリマーの重量平均分子量Mwは、ポリマーを構成する分子鎖1本あたりの分子量と質量とを乗じた値のポリマー全体の和を、ポリマー全体の質量で除した値である。このような重量平均分子量Mwは、ポリマーの物性を把握するのに役立つ。なお、ポリマーの重量平均分子量Mwは、例えば、光散乱法、又は、超遠心法(沈降速度法)等によって測定することができる。
分子量分布Mw/Mnは、ポリマーの分子量の分布の広がりを示す指標である。ポリマーの分子量分布Mw/Mnは、ポリマーの重量平均分子量Mw、及び、ポリマーの数平均分子量Mnをそれぞれ測定した後に、ポリマーの重量平均分子量Mwを、ポリマーの数平均分子量Mnで除することによって求めることができる。なお、分子量分布Mw/Mnは、例えば、GPC(ゲル浸透クロマトグラフィー)法によって直接測定することもできる。
分子量分布Mw/Mnが大きいほど、ポリマーの分子量の分布が広いことを示している。逆に、分子量分布Mw/Mnが小さいほど、ポリマーの分子量の分布が狭いことを示している。さらに、分子量分布Mw/Mnが1に近づくほど、単分数に近いことを示している。従って、分子量分布Mw/Mnは、ポリマーを構成する分子量の分布を把握するのに役立つ。
分子鎖の分岐度(ポリマーリニアリティ)は、分子鎖での分岐構造の大きさを示す指標である。分岐度は、GPC(ゲル浸透クロマトグラフィー)法によって測定することができる。分岐度が大きいほど、分子鎖の広がりが小さくなり、ポリマーの粘度が小さくなる傾向がある。逆に、分岐度が小さいほど、分子鎖の広がりが大きくなり、ポリマーの粘度が大きくなる傾向がある。従って、分岐度は、ポリマーの粘度の大きさを把握するのに役立つ。
これらの数平均分子量、重量平均分子量、分子量分布、又は、分子鎖の分岐度は、上記した測定方法で取得され、第1データのポリマーの分子に関する情報として、コンピュータ1に入力される。なお、数平均分子量、重量平均分子量、分子量分布、又は、分子鎖の分岐度が既知の場合は、既知の情報がコンピュータ1に入力される。
配合剤の分子に関する情報としては、例えば、カーボンやシリカ等のフィラーの場合、例えば、粒子径、CTAB吸着比表面積、又は、BET吸着比表面積の少なくとも一つを含んでいる。本実施形態では、これらの全ての分子に関する情報が含まれる。
カーボンやシリカの粒子径、CTAB吸着比表面積又はBET吸着比表面積は、材料(ポリマーや配合物)を混合したポリマー組成物の性能に大きな影響を与えるものである。これらの分子に関する情報は、例えば、既知の測定方法によって取得された情報、又は、製造元から提供される情報に基づいて、コンピュータ1に入力される。
本実施形態では、1種類のオイル及び加工助剤が配合されるため、ポリマーやフィラーのように、第1データに、オイル及び加工助剤の分子に関する情報が入力されていない。なお、複数種類のオイル及び加工助剤が配合される場合は、オイル及び加工助剤についても、分子に関する情報が入力されるのが望ましい。オイルの分子に関する情報としては、例えば、分子量、粘度、又は、動粘度の少なくとも一つを含んでいる。加工助剤の分子に関する情報としては、例えば、溶解度パラメータ又は融点等の少なくとも1つを含んでいる。
次に、本実施形態の予測方法では、コンピュータ1に、上記したポリマー及び配合剤を含む材料のいくつかを混合した複数種類のポリマー組成物について、材料の配合割合を含む第2データが入力される(工程S2)。
第2データが入力されるポリマー組成物は、既知のポリマー組成物である。各ポリマー組成物は、異なる配合割合で、材料がそれぞれ混合されている。本実施形態の工程S2では、これらの既知のポリマー組成物について、材料の配合割合が、コンピュータ1に入力される。
次に、本実施形態の予測方法では、コンピュータ1に、第2データの各ポリマー組成物に対応する第1性能を含む第3データが入力される(工程S3)。
本実施形態の第1性能としては、ポリマー組成物のせん断粘度η、本実施形態では、ポリマー組成物のせん断粘度ηのべき乗nが含まれている。ポリマー組成物のせん断粘度ηは、例えば、未加硫のポリマー組成物の粘弾性特性(貯蔵せん断弾性率G'及び損失せん断弾性率G")が複数の温度条件で測定され、例えば、下記式(1)で示されるCox-Merz則を用いてせん断粘度に変換することで得られる。このようにして得られたせん断粘度ηは、例えば下記式(2)のべき乗法則で近似することができる。なお、未加硫のポリマー組成物の粘弾性特性(G'及びG")の測定には、動的粘弾性測定装置が用いられる。

ここで、ω:角速度
上記式(2)においてべき乗nは、せん断粘度ηとせん断速度γ'との傾きを示している。べき乗nが変化すると、ポリマー組成物の粘度の分布が変化し、さらに、ポリマー組成物の速度の分布が変化する。例えば、ポリマー組成物の速度が速くなると、ポリマー組成物のせん断速度が大きくなり、ポリマー組成物が膨張しやすくなる。このように、べき乗nは、例えば、ゴム押出機のダイ(口金)を通過した直後の未加硫ゴムの膨張率を予測するのに用いることができる。従って、せん断粘度ηのべき乗nは、未加硫ゴムの膨張率を考慮したダイの形状を設計するのに役立つ。
次に、本実施形態の予測方法では、コンピュータ1が、第1データ、第2データ及び第3データの関係を示す近似応答関数を構築する(工程S4)。
本実施形態の工程S4では、近似応答関数の構築に先立ち、第2データに含まれる各ポリマー組成物について、各ポリマー組成物の分子に関する情報が計算される。各ポリマー組成物の分子に関する情報は、ポリマー組成物の材料の配合割合(充填量)に基づいて、第1データの材料の分子に関する情報を加重平均することによって計算される。
発明者らは、鋭意研究を重ねた結果、ポリマー組成物の分子に関する情報が、ポリマー組成物を構成する各材料の分子に関する情報と、材料の配合割合(充填量)とを乗じた値に依存することを知見した。このような知見に基づいて計算されたポリマー組成物の分子に関する情報は、実際に測定されなくても、実際のポリマー組成物の各材料の分子に関する情報に近似させることができるため、測定時間やコストの増大を抑制することができる。
工程S4で計算されるポリマー組成物の分子に関する情報は、材料の分子に関する情報(本実施形態では、数平均分子量Mn、重量平均分子量Mw、分子量分布、分岐度、カーボンやシリカの粒子径、CTAB吸着比表面積、又は、BET吸着比表面積)である。例えば、ポリマー組成物が2種類のポリマー(第1ポリマー、第2ポリマー)から構成される場合、ポリマー組成物のポリマーの分子に関する情報Mwfは、下記式(3)に基づいて求められる。
そして、工程S4では、第1データとして入力された材料の分子に関する情報、第2データとして入力された各ポリマー組成物の材料の配合割合、第2データから求められた各ポリマー組成物の分子に関する情報、及び、第3データとして入力された各ポリマー組成物に対応する第1性能を用いて、第1データと、第2データと、第3データとの関係を示す近似応答関数が生成される。このような近似応答関数は、例えば、第2データに含まれていない未知のポリマー組成物の第1性能を、第2データに含まれるポリマー組成物の第1性能を用いて補完して予測することができる。従って、このような近似応答関数を予め構築しておくことにより、ポリマー組成物を実際に製造しなくても、ポリマー組成物の第1性能を予測することができる。
近似応答関数は、慣例に従って、種々の方法で構築することができる。例えば応答曲面法(RSM:Response Surface Methodology)、動径基底関数(RBF:Radial Basis Function)、又は、Kriging法などが好適に用いられる。RSM、RBF、Kriging法の順に近似精度は向上するが、同時に計算コストも増大する。本実施形態では、精度とコストとのバランスに優れたRBFが用いられる。
RBFは、ニューラルネットワークの一種であり、ガウス関数を重ね合わせていくことで表現される近似応答曲面である。RBFでは、入力(設計変数(本実施形態では、各ポリマーの物理量))と出力(目的関数(本実施形態では、各ポリマーの性能))とが、非常に非線形の強い関係であっても精度良く表現することが可能である。また、RBFは、測定結果の中に異常なデータが含まれている場合であっても、ガウス関数の重ね合わせを最小二乗法で行うため、異常データに振り回されることなく応答関数を生成できる。さらに、RBFでは、通常のニューラルネットワークとは異なり、バックプロパゲーションを必要としないため、近似応答関数を構築するための計算コストをより小さく抑えることができる。このような近似応答関数は、市販のコンピュータソフトウエア(例えば、The MathWorks 社製のMATLABや、ESTECO社製のmodeFRONTIER 等)を用いることによって構築することができる。
次に、本実施形態の予測方法では、近似応答関数の精度が、良好か否かが判断される(工程S5)。工程S5では、近似応答関数について、ブラインドテストが実施される。本実施形態では、先ず、第2データに含まれる少なくとも一つのポリマー組成物が選択される。次に、選択されたポリマー組成物を除く第2データのポリマー組成物を用いて、上記した工程S4の手順に従って、近似応答関数を構築する。そして、選択されたポリマー組成物の材料の配合割合と、選択されたポリマー組成物の分子に関する情報が、近似応答関数に代入される。これにより、選択されたポリマー組成物の第1性能が計算される。
そして、工程S5では、計算された第1性能と、実際のポリマー組成物の第1性能とが比較される。計算された第1性能(せん断粘度ηのべき乗n)と、実際のポリマー組成物の第1性能(せん断粘度ηのべき乗n)との相関係数が、予め定められた許容範囲内にある場合、近似応答関数の精度が良好であると判断される。
許容範囲については、求められる計算精度に応じて、適宜設定することができる。本実施形態では、例えば、相関係数が0.75以上、より好ましくは0.90以上であれば、近似応答関数の精度が良好であると判断されている。
工程S5では、近似応答関数の精度が良好であると判断された場合(工程S5で、「Y」)、次の工程S6が実施される。他方、近似応答関数の精度が良好でないと判断された場合(工程S5で、「N」)、第2データに新たなポリマー組成物の材料の配合割合が追加され(工程S7)、かつ、第3データに、新たなポリマー組成物に対応する第1性能が追加される(工程S8)。そして、第1データと、新たなポリマー組成物が追加された第2データ及び第3データとを用いて、近似応答関数が再構築される(工程S4)。このように、本実施形態では、ブラインドテストが実施されることにより、精度の高い近似応答関数を構築することができる。
ブラインドテストは、第2データを構成する全てのポリマー組成物について実施されるのが望ましい。これにより、精度の高い近似応答関数を、より確実に構築することができる。また、第2データに新たに追加されるポリマー組成物が、第1データに含まれない新たな材料が用いられる場合、第1データに、新たな材料の分子に関する情報が追加される。
次に、本実施形態の予測方法では、コンピュータ1に、評価対象のポリマー組成物の材料の配合割合と、各材料の分子に関する情報とが入力される(工程S6)。評価対象のポリマー組成物は、第2データに含まれない未知のポリマー組成物である。評価対象のポリマー組成物の材料は、第1データの材料から選択され、それらの材料の配合割合が決定される。そして、評価対象のポリマー組成物の材料の配合割合と、各材料の分子に関する情報とに基づいて、第1データの材料の分子に関する情報を加重平均することによって、評価対象のポリマー組成物の分子に関する情報が計算される。この計算には、上記式(3)が用いられる。評価対象のポリマー組成物の材料の配合割合、及び、評価対象のポリマー組成物の分子に関する情報は、コンピュータ1に入力される。
次に、本実施形態の予測方法では、コンピュータ1が、評価対象のポリマー組成物の第1性能を計算する(工程S9)。工程S9では、近似応答関数と、評価対象のポリマー組成物の材料の配合割合と、評価対象のポリマー組成物の分子に関する情報とに基づいて、評価対象のポリマー組成物の第1性能が計算される。工程S9では、評価対象のポリマー組成物の材料の配合割合、及び、評価対象のポリマー組成物の分子に関する情報が、近似応答関数に代入される。これにより、評価対象のポリマー組成物の第1性能が計算される。
上述したように、近似応答関数は、例えば、第2データに含まれていない未知のポリマー組成物の第1性能を、第2データに含まれるポリマー組成物の第1性能を用いて補完して予測を可能とするものである。従って、評価対象のポリマー組成物の材料の配合割合、及び、評価対象のポリマー組成物の分子に関する情報が、近似応答関数に代入されることにより、評価対象のポリマー組成物の性能(本実施形態では、せん断粘度ηのべき乗n)を容易に予測することができる。
評価対象のポリマー組成物のせん断粘度ηのべき乗nは、ゴム押出機のダイ(口金)を通過した未加硫ゴムの膨張量を予測するのに用いることができる。従って、せん断粘度ηのべき乗nは、未知のポリマー組成物の製造に用いられるダイの設計に役立つ。このように、本実施形態の予測方法では、評価対象のポリマー組成物を製造することなく、評価対象のポリマー組成物の性能を容易に予測することができるため、開発コストを大幅に低減することができる。
本実施形態では、近似応答関数、評価対象のポリマー組成物の材料の配合割合、及び、評価対象のポリマー組成物の分子に関する情報に基づいて、評価対象のポリマー組成物の第1性能が計算されるものが例示されたが、このような態様に限定されるわけではない。例えば、近似応答関数に、所望の第1性能が代入されることにより、所望の第1性能を有するポリマー組成物の材料の配合割合が計算(即ち、逆解析)されてもよい。
以上、本発明の特に好ましい実施形態について詳述したが、本発明は図示の実施形態に限定されることなく、種々の態様に変形して実施しうる。
図1に示した処理手順に従い、ポリマー(ポリマー1〜ポリマー14)及び配合剤(フィラー1〜フィラー4)について、分子に関する情報を含む第1データが、コンピュータに入力された。分子に関する情報は、ポリマーの数平均分子量Mn、ポリマーの重量平均分子量Mw、ポリマーの分子量分布及びポリマーを構成する分子鎖の分岐度である。フィラーの分子に関する情報は、粒子径、CTAB吸着比表面積、又は、BET吸着比表面積である。第1データは、表1のとおりである。
さらに、表1に示した材料のいくつかを混合した複数種類のポリマー組成物(ポリマー組成物1〜ポリマー組成物20)について、材料の配合割合を含む第2データが、コンピュータに入力された。さらに、第2データの各ポリマー組成物に対応する第1性能を含む第3データが、コンピュータに入力された。第1性能は、120℃での組成物のせん断粘度ηのべき乗nである。第2データ及び第3データは、表2のとおりである。
そして、第1データ、第2データ及び第3データに基づいて、近似応答関数が構築された。構築された近似応答関数の精度が良好であるか否かが、ポリマー組成物1〜ポリマー組成物20の材料の配合割合、及び、各材料の分子に関する情報に基づいて、ブラインドテストが実施された。ブライドテストでは、ポリマー組成物1〜20のうち、1つのポリマー組成物を除いた第1データ、第2データ及び第3データを用いて、近似応答関数を構築し、その1種類のポリマー組成物の材料の配合割合、及び、分子に関する情報に基づいて、第1性能が予測された。
図2は、ポリマー組成物1〜ポリマー組成物20の第1性能(即ち、せん断粘度ηのべき乗n)の予測値と、ポリマー組成物1〜ポリマー組成物20の第1性能(即ち、せん断粘度ηのべき乗n)の実測値との関係を示すグラフである。ブラインドテストの結果、ポリマー組成物1〜ポリマー組成物20について、第1性能の予測値と、第1性能の実測値との相関係数は、0.9422であり、近似応答関数の精度が良好であると判断された。このような近似応答関数が用いられることにより、未知のポリマー組成物の第1性能を予測しうることを確認できた。
S1 個々の材料の第1データを入力する工程
S2 複数種類のポリマー組成物の第2データを入力する工程
S3 各ポリマー組成物に対応する第1性能を含む第3データを入力する工程
S4 近似応答関数を構築する工程
S6 評価対象のポリマー組成物の材料の配合割合と、各材料の分子に関する情報とを入力する工程
S9 評価対象のポリマー組成物の第1性能を計算する工程

Claims (3)

  1. ポリマー組成物の予め定められた第1性能を予測するための方法であって、
    コンピュータに、複数のポリマー及び複数の配合剤を含む個々の材料について、分子に関する情報を含む第1データを入力する工程、
    前記コンピュータに、前記材料のいくつかを混合した複数種類のポリマー組成物について、前記材料の配合割合を含む第2データを入力する工程、
    前記コンピュータに、前記第2データの前記各ポリマー組成物に対応する第1性能を含む第3データを入力する工程、
    前記コンピュータが、前記第1データと、前記第2データと、前記第3データとの関係を示す近似応答関数を構築する工程、
    前記コンピュータに、評価対象のポリマー組成物の材料の配合割合と、前記各材料の分子に関する情報とを入力する工程、
    及び
    前記コンピュータが、前記近似応答関数と、前記評価対象のポリマー組成物の材料の配合割合と、前記分子に関する情報とに基づいて、前記評価対象のポリマー組成物の第1性能を計算する工程を含むことを特徴とするポリマー組成物の性能の予測方法。
  2. 前記第1性能は、せん断粘度を含む請求項1記載のポリマー組成物の性能の予測方法。
  3. 前記分子に関する情報は、数平均分子量、重量平均分子量、分子量分布、又は、分子鎖の分岐度の少なくとも一つを含む請求項1又は2記載のポリマー組成物の性能の予測方法。
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