JP2017187366A - 液体用流量計校正装置 - Google Patents
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Abstract
Description
図1に示す従来の校正装置では、秤量タンク20aとダイバータ(転流器)10aを用いて、通液式静的秤量法を校正方法として実施するものである。図1では、揚水ポンプ2a、オーバーフローヘッドタンク3と流量調節バルブ7aから発生した安定流量を、被試験流量計6aを接続した試験管路5に供給する。被試験流量計6aを通過した試験液は、試験管路5の末端にあるノズル8aまで導かれ、ノズル8aからダイバータ10aに流入する。ダイバータ10aは、校正時に試験液を秤量タンク流路12aへ、校正時以外に試験液をバイパス流路11aへ転流する流路切換機構を持っている。校正開始時、ダイバータ10aはバイパス流路11aから秤量タンク流路12aへ切り換えて、試験液を秤量タンク20aに流入させる。校正開始と同時に、秤量タンク20aへの試験液流入時間の測定を開始させるスタートトリガー信号をダイバータ10aからタイマーへ送信される。所定の流入量に達したら、ダイバータ10aは再び秤量タンク流路12aからバイパス流路11aへ切り換えて、秤量タンク20aへの試験液流入を停止させる。校正終了と同時に、流入時間の測定を停止させるストップトリガー信号をダイバータ10aからタイマーへ送信される。秤量タンク20aへ取り込まれた試験液の質量もしくは体積を流入時間で除することで単位時間当たりの流入量、すなわち標準質量流量または標準体積流量が求められる。
図2は、1枚羽根式ダイバータであり、このような転流方式のダイバータ機構を採り入れる校正装置として、特許文献1の発明が知られている。しかし、ノズル8bからの流速分布の非対称やノズル8bと転流羽根14aの位置関係の変化により、流れを切り換える時に大きな流入時間の測定誤差(ダイバータタイミングエラー)が生じ、流量計の校正不確かさの大きな要因になっていた。
この流入開始、流入停止の過渡的な流入状態の非対称性の影響(誤差)を理論的に無くすことができるのは、特許文献2の発明である2枚羽根式直進型ダイバータであり、図3に示す。詳細について、特許文献2の中で詳述されているが、図3において、相対位置が固定された2枚の転流羽根(14b,14c)が一方向に直線的な動作をしてノズルからの流れを等速で横切る2枚羽根転流方式の例である。この方式のダイバータは、ISO4185に基づくダイバータタイミングエラー評価試験の結果により、ダイバータタイミングエラーを小さく調整することができ、高精度な流量計校正を実現できるが、ダイバータの駆動方式の特徴により、ISO4185評価試験を実施する際の非効率性が生じる。
ダイバータ評価に関連するこの運用上の効率性を改善し、コンパクトで簡単な構造設計も可能にするのは、特許文献3の発明である2枚羽根式回転型ダイバータであり、図4に示す。改善点の詳細について、特許文献3の中で詳述されているが、図4に示すように、この方式のダイバータは、ノズル8cからの流れと平行な回転軸15aを持ち、この回転軸に連結した2枚の転流羽根(14d,14e)の一側にバイパス流路11e、他側に秤量タンクへの流路12dが位置し、回転軸15aを中心に2枚の転流羽根(14d,14e)が同じ方向に回転することで、流路の切り換えを行う転流方式である。
上述した図2〜図4のダイバータ構造は、一般的に大流量や中流量域の液体流量計校正装置に導入されている。
図5に示す特許文献4の傾斜円板式回転型ダイバータ構造によると、小流量域の流量計校正時、ダイバータの切り換えによる試験液のサンプル量(秤量容器への取込量)の再現性が向上できる。詳細については、特許文献4の中で詳述されている。
図6に示す円錐状回転体のダイバータ26(本出願人による出願中の特許文献6参照)は、取込流路の構造として円錐面に小さい開口部27とその開口部の両縁に表面積の小さい転流羽根(14f,14g)を備えるとともに、バイパス側流路として円錐面28の構造をとることにより、2枚羽根式ダイバータの高精度と回転式ダイバータの効率性を活かしたまま、小流量域での校正において顕著化した蒸発量や液付着量、飛び散り量による誤差を低減し、小流量域での高精度な校正を可能にする。詳細については、特許文献6の中で詳述されている。
上述した図5と図6のダイバータ構造は、一般的に小流量域の液体流量計校正装置に用いられている。
図6に示す特許文献6の秤量容器20bは、取込口22や排液口23を小さくするとともに、取込口22にはダイバータの開口部近傍まで立ち上がる筒を設け、排液口23には蓋を備える等の形状設計であり、小流量域での校正において顕著化した蒸発量による誤差を低減させるものである。
図7に示す特許文献5の液体サンプル容器は、断面が円弧状に窪んだ形状または角状に曲がった形状の当て板34を容器の筒状部33の中に斜めに固定するような構造であり、試験液をサンプル容器の中に採集する際に、落下した試験液が連続流の状態で当て板34に到達し、さらに当て板34の先から容器部35の底まで滴下させることによって、落下した試験液の揮発量を抑制するものである。なお、36は底とのすきまである。
ダイバータがノズルからの流れを切るときに、転流羽根や流路の壁面に付着する試験液が生じる。油類のように液粘度が高い場合、液の付着量が多く、壁面から垂れ落ちる時間もかかる。流量範囲の小流量化に伴って試験液の取込量も少量化するため、液の付着量による誤差が顕著化する。従来のダイバータは、液付着や液垂れによる誤差を低減させるために、流量の小流量化に合わせて、表面積を小さくするなど流路切換構造の小規模化が図られている。
ところが、微小流量域になると、試験液の取込量が微量になるため、数滴の付着量でも大きな誤差となってしまう。このように、ダイバータの小型化には限界が生じ、ダイバータと試験液との接触方式の流れ切換によって、微小流量域における通液式静的秤量法の実施が困難である。
また、従来のダイバータ方式の試験液取込では、ノズルから流出した試験液が秤量容器に到達するまでの落下距離があり、落下中に試験液が周囲の空気との接触による揮発量は、微小流量域では、無視できなくなるほど大きな誤差をもたらすという問題がある。落下してくる試験液を漏れなく採集するために、秤量容器にはある程度の開口面積を有する取込口が必要になる。従って、取込口からの試験液蒸発量をある限界値以下に抑制できなくなり、この限界値は微小流量域では大きな誤差要因になるという問題がある。
また、流量が微小化するにつれ、細管ノズルであっても、落下した試験液が連続流の状態を保てなくなり、ノズル先端に液滴が形成され、滴下する状態になってしまう。その結果、ダイバータによる液滴の取込量の再現性が低下するとともに、液滴状態の試験液からの揮発量が増えるという問題がある。
そこで、本発明は、上記問題点を解決する手段を備えた液体用流量計校正装置を提供することを目的とする。
前記流路切換機構は、前記取込流路への試験液流入を制御する取込バルブと前記バイパス流路への試験液流入を制御するバイパスバルブから構成されたバルブ対、もしくはバルブ内部構造に1個の入口と2個の出口を有し、前記取込流路と前記バイパス流路への試験液流入を同時に制御する3方バルブから構成されており、
前記取込バルブと前記バイパスバルブから構成された前記バルブ対の場合、前記取込バルブと前記バイパスバルブがそれぞれ「閉」と「開」の状態から、それぞれが「開」と「閉」の状態へ両方のバルブを同時に切り換え、前記取込流路を通して試験液を前記秤量容器の中へ取り込み、試験液の取込が終了したら、同時にそれぞれのバルブを逆方向に切り換え、前記バイパス流路を通して試験液を前記排液槽に排出することで、前記秤量容器への試験液の取込を制御するものであり、
前記3方バルブから構成されている場合、前記取込流路への出口と前記バイパス流路への出口がそれぞれ「閉」と「開」の状態から、それぞれが「開」と「閉」の状態へ両方の出口を同時に切り換え、前記取込流路を通して試験液を前記秤量容器の中へ取り込み、試験液の取込が終了したら、同時にそれぞれの出口を逆方向に切り換え、前記バイパス流路を通して試験液を前記排液槽に排出することで、前記秤量容器への試験液の取込を制御するものであることを特徴とする。
従って、上記構成によれば、ダイバータによる流路切換機構を2個の開閉バルブもしくは1個の3方バルブに置き換え、さらに取込流路と注入ノズルを通して試験液を秤量容器まで導くことによって、閉じた流路内で試験液の流れを切り換え、空気に触れることなく試験液を秤量容器まで到達させることができる。このように、微小流量域での校正において顕著化した構造物壁面への液付着量や落下中の液蒸発量による誤差を低減し、微小流量域での高精度な校正を可能にする液体用流量計校正装置である。
従って、上記構成によれば、秤量容器の中の小容器を常に満液状態にし、小容器の液面下で試験液を注入ノズルから流出させることによって、試験液流量が微小化しても液滴状態にならず、常に連続流の状態で小容器に取り込むことができる。このように、連続流の状態を保っている試験液流量が非常に安定するとともに、蒸発しやすい液滴状態で空気中に秤量容器まで落下することを避けることができ、微小流量域での高精度な試験液取込を可能にする。また、注入穴と小容器との位置関係を固定させることで、注入ノズルの挿入動作に備えることができ、さらに上記構造によって、小容器に必要最低限の容積を持たせ、秤量容器の中で小容器の占有体積をなるべく小さくすることで、秤量容器に少しでも多くの試験液を取り込むことができる。
また、本発明は、上記液体用流量計校正装置において、前記小容器のオーバーフロー側壁を前記秤量容器の内壁に隙間を残して接近させる配置とし、さらに前記秤量容器の内壁と最も接近する位置において前記小容器のオーバーフロー側壁に切り欠きを備えるとともに、前記秤量容器の内壁に向かって下向くような勾配を前記小容器の外側底面に備えることを特徴とする。
従って、上記構成によれば、小容器から溢れた試験液を秤量容器の内壁に沿わせて流れ落ちさせることによって、秤量容器内の液面の波打ちや揺れを最小限に抑えることができ、試験液取込時の秤量値の変動を監視しやすくなるとともに、液面乱れによる液蒸発も軽減させることができる。さらに、小容器の切り欠きと外側底面の傾斜によって、小容器からの滴下を少なくし、より確実に秤量容器の内壁に試験液を誘導することができる。また、小容器の側壁が秤量容器の内壁と接触した場合、試験液の取込終了後も、表面張力の影響により、少量でありながら試験液が小容器から秤量容器の内壁に流れ落ち、小容器の液面が下がってしまうことがある。小容器のオーバーフロー側壁と秤量容器の内壁との間に僅かで適度な隙間を設けることによって、これを防ぐことができる。
また、本発明は、上記液体用流量計校正装置において、前記秤量計の秤量皿の上に前記秤量容器を保持するための秤量容器ホルダーを備え、さらに前記秤量容器ホルダーに前記秤量容器の出し入れが可能な構造を備えることを特徴とする。
従って、上記構成によれば、軽量で動かされやすい秤量容器が秤量皿からずれ落ちることを防ぐことができる。また、秤量容器の出し入れが可能な構造にすることで、メンテナンスや秤量容器交換、分銅による秤量計校正に備えることができる。
また、本発明は、上記液体用流量計校正装置において、前記秤量容器と前記秤量容器ホルダーとの装着の際、前記秤量容器の注入穴の位置決めのための位置決め構造部を前記秤量容器と前記秤量容器ホルダーのそれぞれに備えることを特徴とする。
従って、上記構成によれば、秤量容器ホルダーから秤量容器の出し入れを行う度に、注入ノズルの挿入動作に備えるために、秤量容器の注入穴の位置決めを確実に再現することができる。
また、本発明は、上記液体用流量計校正装置において、前記秤量容器を囲むような秤量容器チャンバーボックスを備え、さらに前記注入ノズルと前記吸引ノズルの挿入に備えるための注入口シャッタと吸引口シャッタを前記秤量容器チャンバーボックスに備え、さらに前記秤量容器チャンバーボックスと前記秤量計とは非接触な構造とし、さらに前記秤量容器チャンバーボックスに液位センサーを備え、さらに前記秤量容器チャンバーボックスから前記秤量容器の出し入れが可能な構造を備え、さらに前記注入ノズルと前記吸引ノズルからの液垂れの受け皿を前記秤量容器チャンバーボックスに備えることを特徴とする。
従って、上記構成によれば、秤量容器チャンバーボックスは、秤量計の計測精度を考慮した風防機能と非接触性を有するとともに、注入ノズルと吸引ノズルの操作に備える構造設計であり、さらに液位センサーによる秤量容器のオーバーフロー検知機能、秤量容器の出し入れの利便性、ノズルからの液垂れの受皿も兼ね備えて、機能性と安全性と使い勝手の良さを併せ持ったものになる。
また、本発明は、上記液体用流量計校正装置において、前記秤量容器チャンバーボックスの中に試験液溜めプールを備え、さらに前記秤量容器チャンバーボックスから前記試験液溜めプールの出し入れが可能な構造を備えることを特徴とする。
従って、上記構成によれば、試験液溜めプールからの蒸発により秤量容器チャンバーボックス内の試験液蒸気濃度が高まる効果を利用して、秤量容器からの試験液蒸発をより効果的に低減させることができる。また、秤量容器チャンバーボックスから試験液溜めプールの出し入れが可能な構造にすることで、試験液溜めプールのメンテナンスや液交換に備える利便性が得られる。
また、本発明は、上記液体用流量計校正装置において、前記流路切換機構から前記排液槽まで導かれた前記バイパス流路と、前記流路切換機構から前記秤量容器まで導かれた前記取込流路とは、対称的な流路構成になるように、同じ流路要素と同じ流路要素の配置で構成することを特徴とする。
従って、上記構成によれば、取込流路とバイパス流路は同じ流路抵抗を有し、両流路に流れる流量を統一させることができ、通液式静的秤量法による校正方法を実施する際、バルブによる流路切換に基づいた流入時間の計測タイミングエラーを低減させることができる。
また、本発明は、上記液体用流量計校正装置において、前記排液槽にエアブローノズルを備え、前記排液槽の中から前記注入ノズルと前記吸引ノズルを上昇させながら、エアブローを両ノズルの外周表面に吹き付けるような動作を行うことを特徴とする。
従って、上記構成によれば、注入ノズルと吸引ノズルに付着した液滴や液膜を取り除くことができ、試験液取込量の秤量値への誤差影響を低減させるとともに、ノズルからの液垂れを少なくし、測定環境の悪化を防ぐことができる。
また、本発明によれば、秤量容器の中に小容器を備え、その小容器を常に満液状態にし、小容器の液面下で試験液を注入ノズルから流出させることによって、試験液流量が微小化しても液滴状態にならず、常に連続流の状態で小容器に取り込むことができる。このように、連続流の状態を保っている試験液流量が非常に安定するとともに、蒸発しやすい液滴状態で空気中に秤量容器まで落下することを避けることができ、微小流量域での高精度な試験液取込を可能にする。また、注入穴と小容器との位置関係を固定させることで、注入ノズルの挿入に備えることができ、さらに小容器に必要最低限の容積を持たせ、秤量容器の中で小容器の占有体積をなるべく小さくすることで、秤量容器に少しでも多くの試験液を取り込むことができる。
また、本発明によれば、小容器から溢れた試験液を秤量容器の内壁に沿わせて流れ落ちさせることによって、秤量容器内の液面の波打ちや揺れを最小限に抑えることができ、試験液取込時の秤量値の変動を監視しやすくなるとともに、液面乱れによる液蒸発も軽減させることができる。さらに、小容器の切り欠きと外側底面の傾斜によって、小容器からの滴下を少なくし、より確実に秤量容器の内壁に試験液を誘導することができる。また、小容器のオーバーフロー側壁と秤量容器の内壁との間に僅かで適度な隙間を設けることによって、試験液取込後も、小容器内の液面を安定化させることができる。
また、本発明によれば、秤量容器ホルダーを備えることで、軽量で動かされやすい秤量容器が秤量皿からずれ落ちることを防ぐことができる。また、秤量容器ホルダーを秤量容器の出し入れが可能な構造にすることで、メンテナンスや秤量容器交換、分銅による秤量計校正に備えることができる。
また、本発明によれば、秤量容器ホルダーと秤量容器との間で位置決めができるような構造を備えることで、秤量容器ホルダーから秤量容器の出し入れを行う度に、注入ノズルの挿入動作に備えるために、秤量容器の注入穴の位置決めを確実に再現することができる。
また、本発明によれば、秤量容器チャンバーボックスは、秤量計の計測精度を考慮した風防機能と非接触性を有するとともに、注入ノズルと吸引ノズルの操作に備える構造設計であり、さらに液位センサーによる秤量容器のオーバーフロー検知機能、秤量容器の出し入れの利便性、ノズルからの液垂れの受皿も兼ね備えて、機能性と安全性と使い勝手の良さを併せ持ったものになる。
また、本発明によれば、秤量容器チャンバーボックスの中に試験液溜めプールを備えることで、試験液溜めプールからの蒸発により秤量容器チャンバーボックス内の試験液蒸気濃度が高まる効果を利用して、秤量容器からの試験液蒸発をより効果的に低減させることができる。また、秤量容器チャンバーボックスから試験液溜めプールの出し入れが可能な構造にすることで、試験液溜めプールのメンテナンスや液交換に備える利便性が得られる。
また、本発明によれば、取込流路とバイパス流路は同じ流路抵抗を有し、両流路に流れる流量を統一させることができ、通液式静的秤量法による校正方法を実施する際、バルブによる流路切換に基づいた流入時間の計測タイミングエラーを低減させることができる。
また、本発明によれば、排液槽の中にエアブローノズルを備え、注入ノズルと吸引ノズルにエアブローを吹き付けることで、注入ノズルと吸引ノズルに付着した液滴や液膜を取り除くことができ、試験液取込量の秤量値への誤差影響を低減させるとともに、ノズルからの液垂れを少なくし、測定環境の悪化を防ぐことができる。
以下は、試験液の流れに沿って、液体用流量計校正装置の実施例について説明する。図8が示す実施例では、ポンプ2bが流量の駆動源であり、試験液は貯蔵タンク1bからヘッダー4bへ送液され、その一部の流量が被試験流量計6bを設置した試験管路へ供給され、残りの流量が貯蔵タンク1bへ循環される。微小流量域での流量計校正を高精度で行う場合、試験液の温度安定性が非常に重要であり、この実施例ではポンプ2bの下流に熱交換器40と温調装置41が設置され、液温の調節が行われる。より効果的に液温を安定化させるために、ヘッダー4b、被試験流量計6bを設置した試験管路、秤量システムが恒温チャンバー110の中に設置される。試験管路を流れる流量の調節は、流量調節バルブ7bで行われる。被試験流量計6bを通過した流量は、流路切換機構52aにより、最終的に秤量容器20cまたは排液槽62aのどちらかに導かれる。被試験流量計6bの校正時、温度センサー(43a,43b)と圧力センサー(42a,42b)の測定値が制御PC84へ送信され、記録される。この実施例では、高精度の流量計校正を行う場合、流量計の上流と下流に温度センサー(43a,43b)と圧力センサー(42a,42b)が設置される。
図8と図9に示すように、この実施例の流路切換機構(52a,b)は、取込バルブ(50a,b)とバイパスバルブ(51a,b)の2個の開閉バルブから構成されている。微小流量の場合、電磁バルブのようにバルブの内部発熱により、ゆっくりとバルブを通過した試験液の温度が上昇し、試験液の体積が膨張して試験液の取込に悪影響を与えるため、この実施例では内部発熱のないエア駆動バルブが用いられている。秤量容器20cに試験液を取り込まない時、図8が示すように、バイパスバルブ51aが「開」、取込バルブ50aが「閉」の状態であり、試験液がバイパス流路54aを通して、排液槽62aに排出され、さらに排液槽62aの出口からバイパスライン13bを通して貯蔵タンク1bへ戻される。秤量容器20cに試験液を取り込む時、取込流路53aの先に接続された注入ノズル55aが秤量容器20cの中に挿入される。続いて、取込バルブ50aとバイパスバルブ51aがそれぞれ「閉」と「開」の状態から、それぞれが「開」と「閉」の状態へ同時に切り換えて、取込流路53aを通して試験液が秤量容器20cの中へ取り込まれる。秤量容器20cが満液になったら、取込バルブ50aとバイパスバルブ51aがそれぞれ逆方向に同時に切り換えて、試験液の取込を終了させる。秤量容器20cの計量が終わったら、吸引ノズル56aにより秤量容器20cから試験液が排出される。
また、取込流路の脱泡や液温安定化のために、大きめの流量を流したり、長時間に流量を流し続けたりする必要がある場合、図15の左図が示すように、取込流路の接続先である注入ノズル55eを排液槽62cの中に下降させ、取込流路からの試験液を排液槽62cの中に排出させ、貯蔵タンクに戻すという運用上の利便性が得られる。また、図15に示すように、排液槽62cの中に敷いたメッシュ150は、排液槽62cの底面に当たって跳ね返った試験液が排液槽62cの外側まで飛び散らないようにするためのものである。
S19で排液槽から注入ノズルと吸引ノズルを上昇させながら、エアブローをノズルに吹き付ける。そして、上昇した注入ノズルと吸引ノズルを排液槽側から秤量容器チャンバーボックス側へ移動させ、開いた注入口シャッタから注入ノズルを秤量容器の小容器の中へ下降させる。この時、吸引ノズルが上昇した状態で待機する。次にS20へ進んで、試験液取込前に、空の秤量容器を秤量計で計量して、その秤量値を制御PC84に収録される。次にS21へ進んで、取込バルブが「閉」から「開」へ、バイパスバルブが「開」から「閉」へ、それぞれのバルブが同時に切り換える。図8に示す実施例では、切換バルブとしてエア駆動の高速開閉バルブが用いられ、バルブの開閉応答速度が同じになるように、空気の操作圧力が調節されている。取込バルブが「閉」から「開」へ、バイパスバルブが「開」から「閉」へ、両者のバルブが同時に切り換えた瞬間に、バルブの操作信号と同期をとったスタートトリガー信号(パルス信号)を図8に図示されているゲート信号発生器80に送られ、それを基にゲート信号が発生され、流入時間タイマー81に送られる。S22において、ゲート信号発生器80からのゲート信号を基に、流入時間タイマー81が計測を開始する。流量計から出力される流量パルスは、スタートトリガー信号直後のパルスからカウントされる。ゲート信号発生器80は、流入時間タイマー81用のゲート信号とは別に、スタートトリガー信号直後の流量計パルスの立ち上がりと同時に、別のゲート信号を発生させ、流量計パルスカウンター83とパルス計数時間タイマー82に送信し、それぞれの計測を開始させる。この処理は、S23である。試験液取込中の状態を示すのは、図17の(b)である。
一つ目は、秤量計の計量値を監視しながら、試験液の取込秤量値が目標値に達するかどうかを判断する。
二つ目は、測定された試験液の流入時間から取込量を推定できることから、流入時間が目標の取込時間に達するかどうかを判断する。
三つ目は、被試験流量計の流量パルス信号に基づいて取込開始からの流量積算値を算出し、目標の試験液取込総量に達するかどうかを判断する。
これらの3つの条件の内に、どれか一つが満たされたら、取込バルブが「開」から「閉」へ、バイパスバルブが「閉」から「開」へ、両者のバルブが同時に切り換え、試験液の取込を終了させる。これはS26である。これによって、試験液の流れは取込流路からバイパス流路へ転流される。この2回目のバルブ切換と同時に、ストップトリガー信号(パルス信号)が発生される。S27において、ストップトリガー信号を基に、ゲート信号発生器80がゲート信号をOFF(立下り)にして、流入時間タイマー81の計測を停止させる。S28では、ストップトリガー直後の流量計パルスの立ち上がりに合わせて、流量計パルスカウンター83とパルス計数時間タイマー82へのゲート信号がOFFになり、それらの計測を停止させる。次に、S29へ進んで試験液を取り込んだ後の秤量容器を計量し、その秤量値を制御PC84に収録する。S30の時点では、全ての計測データが揃って、それらの計測データを基に、流量計校正値を演算する。最終的に、流量計校正値として、流量計を通過する単位質量もしくは単位体積の液量について、いくつのパルスを出力するかを表すKファクタを算出する。もしくは、Kファクタの逆数であるメーターファクタ、即ち1パルス当たりいくつの質量もしくは体積の液量が流れるかを示す校正値を算出する。
次は、S31に移って試験液の排出を始める。排液の動作順序として、まず注入ノズルを秤量容器の小容器から上昇させ、注入口シャッタを閉じる。続いて、吸引口シャッタを開いて、吸引ノズルを秤量容器の中へ下降させる。次に、排液ポンプを起動させ、秤量容器から試験液を排出する。S32では、秤量計の計量値を監視しながら、秤量容器の中の全ての試験液が排出されるかどうかを判断する。この段階の状態を示すのは、図17の(c)である。全ての試験液が排出されたら、排液ポンプを停止させ、吸引ノズルを上昇させて、吸引口シャッタを閉じるのは、S33である。これで排液作業が終了する。S34では、注入ノズルと吸引ノズルを秤量容器チャンバーボックス側から排液槽側へ移動させ、排液槽の中へ下降させる。これで、図17の(a)に示す試験液取込前の状態に戻る。S35において、校正を継続する場合、S15に戻って、再びS15〜S34までのステップを実施する。全ての校正試験が終了した場合に、S36へ進み、最後にポンプと温調装置を停止させる。
本発明で提唱する切換バルブの動作原理は、ダイバータに例えると、1枚羽根式ダイバータに当たる。1枚羽根式ダイバータについて前述したように、ダイバータタイミングエラーを小さくするには、ノズルからの流速分布の対称性が重要になってくる。これと同様に、図8の実施例では、切換バルブから取込流路とバイパス流路のそれぞれに流れる流量の対称性(同一性)は、流入時間の計測誤差を小さくするために、必要不可欠な条件である。両流路で同一流量を得るには、両流路の流れ抵抗を統一する方法と両流路に流量調節バルブを用いる方法とがある。図8の実施例では、前者を採用する。また、小さいタイミングエラーを得るには、バルブの開閉速度が均一で、速いことも重要である。本実施例では、開閉の応答速度がmsオーダーのエア駆動バルブを使用し、開閉速度が同じになるように、空気の操作圧力が調節され、固定されている。さらに、バルブの内部デッドボリュームが小さく、残存気泡が抜けやすい内部構造も重要な選定条件である。実際は、切換バルブの場合、ダイバータのように、タイミングエラーの評価試験を繰り返しながら、エラー時間が小さくなるまで調整するのが難しく、取込流路とバイパス流路の流量の対称性、バルブの開閉速度の均一性、バルブの内部構造という条件の組み合わせで、バルブのタイミングエラーが決定されてしまう。
また、図8の実施例において秤量容器からの蒸発量を評価した結果の一例は、図21の表に示す。評価方法として、秤量容器の最大容量に近い液量(この場合100mL)を秤量容器に取り込み、排液した後の秤量値変動を約1時間で監視する。排液後、秤量容器の中の空気が入れ替わり、試験液の蒸発が最も活発に発生すると考えられる。試験条件として、灯油と軽油の2液種のそれぞれについて、液温を15℃、20℃、35℃の3条件下で、蒸発量が評価された。この中で、最も蒸発しやすい条件は、35℃の灯油の場合であり、1時間でその蒸発量が0.0015g発生するとの計測結果を得た。各試験条件について蒸発量の評価試験を3回繰り返して行った結果は再現性が高く、その3回繰り返し計測の平均値は図20の表に示される値である。取込量10gに対して、蒸発量による相対誤差は、最も厳しい条件である灯油35℃の場合、0.015%であり、例えば、0.1%以下の流量計校正不確かさにとっては、この寄与分は無視できないが、0.1%の流量計校正不確かさを達成するには、十分に可能である。このように、図9に示されるような秤量システムは、厳しい試験条件でも、試験液の蒸発量を十分に抑制できて、微小流量条件で必要な長時間の取込校正も可能である。
2 揚水ポンプ
3 オーバーフローヘッドタンク
4 ヘッダー
5 試験管路
6 被試験流量計
7 流量調節バルブ
8 ノズル
10 ダイバータ、転流器
11 バイパス流路
12 秤量タンク流路
13 バイパスライン
14 転流羽根、1枚目転流羽根、2枚目転流羽根
15 回転軸
20 秤量タンク、秤量容器
21 秤量計
22 秤量容器の取込口
23 排液口
24 液垂れの受け皿(排液口)
25 吸引ノズル(排液用)
26 流路切換機構(円錐状回転体ダイバータ)
27 円錐面の開口部
28 円錐面のバイパス流路
29 秤量皿
30 円板状の面
31 秤量容器への開口部
32 遮蔽板
33 筒状部
34 当て板
35 容器部
36 底とのすきま
40 熱交換器
41 温調装置
42 圧力センサー
43 温度センサー
50 取込バルブ
51 バイパスバルブ
52 流路切換機構(切換バルブ)
53 取込流路
54 バイパス流路(切換バルブ)
55 注入ノズル
56 吸引ノズル
57 排液ライン
58 バイパス流路ノズル
59 排液ラインノズル
60 秤量容器チャンバーボックス
61 シャッタ
62 排液槽
63 排液ポンプ
64 エアブローノズル
65 側壁窓
66 液位センサー
67 秤量容器チャンバーボックス扉
68 液垂れ受け皿(秤量容器チャンバーボックス)
69 駆動アクチュエータ
70 小容器(秤量容器内)
71 秤量容器蓋
72 注入穴
73 吸引穴
74 位置決めネジ
75 切欠き
76 勾配をつけた底面
77 くびれ(秤量容器)
80 ゲート信号発生器
81 流入時間タイマー
82 パルス計数時間タイマー
83 流量計パルスカウンター
84 制御PC
90 ガイドレール
100 排出バルブ(排液用)
110 恒温チャンバー
111 秤量システムチャンバー
120 上の支え板
121 下の支え板
122 支柱
123 位置決め溝
124 位置決め段差
125 ゲート
126 留め具
127 秤量容器ホルダー
130 試験液溜めプール
140 バイパス流路小容器
150 メッシュ
200 分銅
Claims (9)
- 試験液を取り込む秤量容器と、前記秤量容器の重量を測定する秤量計と、試験液を前記秤量容器に導く取込流路と、前記秤量容器に試験液を注入する注入ノズルと、試験液を前記秤量容器に取り込まない時に試験液を排液槽に導くバイパス流路と、試験液を前記取込流路に導くか前記バイパス流路に導くかを切り換える流路切換機構と、前記秤量容器を囲む秤量容器チャンバーボックスと、前記秤量容器から試験液を排出するための吸引ノズルと、前記秤量容器と前記排液槽との間で前記注入ノズルと前記吸引ノズルを移動させるための手段と、を備える液体用流量計校正装置であって、
前記流路切換機構は、前記取込流路への試験液流入を制御する取込バルブと前記バイパス流路への試験液流入を制御するバイパスバルブから構成されたバルブ対、もしくはバルブ内部構造に1個の入口と2個の出口を有し、前記取込流路と前記バイパス流路への試験液流入を同時に制御する3方バルブから構成されており、
前記取込バルブと前記バイパスバルブから構成された前記バルブ対の場合、前記取込バルブと前記バイパスバルブがそれぞれ「閉」と「開」の状態から、それぞれが「開」と「閉」の状態へ両方のバルブを同時に切り換え、前記取込流路を通して試験液を前記秤量容器の中へ取り込み、試験液の取込が終了したら、同時にそれぞれのバルブを逆方向に切り換え、前記バイパス流路を通して試験液を前記排液槽に排出することで、前記秤量容器への試験液の取込を制御するものであり、
前記3方バルブから構成されている場合、前記取込流路への出口と前記バイパス流路への出口がそれぞれ「閉」と「開」の状態から、それぞれが「開」と「閉」の状態へ両方の出口を同時に切り換え、前記取込流路を通して試験液を前記秤量容器の中へ取り込み、試験液の取込が終了したら、同時にそれぞれの出口を逆方向に切り換え、前記バイパス流路を通して試験液を前記排液槽に排出することで、前記秤量容器への試験液の取込を制御するものであることを特徴とする液体用流量計校正装置。 - 前記秤量容器の中に試験液を取り込むための注入穴と、前記秤量容器から試験液を排出するための吸引穴とを前記秤量容器に備え、さらに前記秤量容器の中に小容器を備え、前記小容器が前記秤量容器の注入穴の直下に位置し、前記秤量容器の天井壁から固定支持され、前記小容器の底辺が前記秤量容器の底まで届かずに前記秤量容器の天井壁からぶら下がる構造とし、さらに試験液を前記小容器から溢れさせて前記秤量容器の中へ流入させるために、前記小容器にオーバーフロー側壁を備えることを特徴とする請求項1記載の液体用流量計校正装置。
- 前記小容器のオーバーフロー側壁を前記秤量容器の内壁に隙間を残して接近させる配置とし、さらに前記秤量容器の内壁と最も接近する位置において前記小容器のオーバーフロー側壁に切り欠きを備えるとともに、前記秤量容器の内壁に向かって下向くような勾配を前記小容器の外側底面に備えることを特徴とする請求項2記載の液体用流量計校正装置。
- 前記秤量計の秤量皿の上に前記秤量容器を保持するための秤量容器ホルダーを備え、さらに前記秤量容器ホルダーに前記秤量容器の出し入れが可能な構造を備えることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の液体用流量計校正装置。
- 前記秤量容器と前記秤量容器ホルダーとの装着の際、前記秤量容器の注入穴の位置決めのための位置決め構造部を前記秤量容器と前記秤量容器ホルダーのそれぞれに備えることを特徴とする請求項2乃至請求項4のいずれか1項に記載の液体用流量計校正装置。
- 前記秤量容器を囲むような秤量容器チャンバーボックスを備え、さらに前記注入ノズルと前記吸引ノズルの挿入に備えるための注入口シャッタと吸引口シャッタを前記秤量容器チャンバーボックスに備え、さらに前記秤量容器チャンバーボックスと前記秤量計とは非接触な構造とし、さらに前記秤量容器チャンバーボックスに液位センサーを備え、さらに前記秤量容器チャンバーボックスから前記秤量容器の出し入れが可能な構造を備え、さらに前記注入ノズルと前記吸引ノズルからの液垂れの受け皿を前記秤量容器チャンバーボックスに備えることを特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれか1項に記載の液体用流量計校正装置。
- 前記秤量容器チャンバーボックスの中に試験液溜めプールを備え、さらに前記秤量容器チャンバーボックスから前記試験液溜めプールの出し入れが可能な構造を備えることを特徴とする請求項1乃至請求項6のいずれか1項に記載の液体用流量計校正装置。
- 前記流路切換機構から前記排液槽まで導かれた前記バイパス流路と、前記流路切換機構から前記秤量容器まで導かれた前記取込流路とは、対称的な流路構成になるように、同じ流路要素と同じ流路要素の配置で構成することを特徴とする請求項1乃至請求項7のいずれか1項に記載の液体用流量計校正装置。
- 前記排液槽にエアブローノズルを備え、前記排液槽の中から前記注入ノズルと前記吸引ノズルを上昇させながら、エアブローを両ノズルの外周表面に吹き付けるような動作を行うことを特徴とする請求項1乃至請求項8のいずれか1項に記載の液体用流量計校正装置。
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