JP2017186272A - ジエン化合物の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】原料としての再使用が不可能な副生物(不純物)の生成が少ない、1,3−ジオール型の原料から対応するジエン化合物を製造する方法の提供。【解決手段】アルカリ土類元素及び希土類元素から選ばれる一種以上のドーパントを含有し、ジルコニウム原子1モルに、ドーパントの合計が0.010〜0.500モルであるドーパント含有ジルコニアを触媒として、ジオール化合物から不飽和アルコールを製造する第一脱水工程、及び第二脱水工程として、金属無機酸塩、金属酸化物又は無機酸から選択される一種以上の化合物からなる脱水触媒の存在下、不飽和アルコールから式(3)で示されるジエン化合物を製造する方法。(R1〜R6は夫々独立にH、C1〜5のアルキル基又はC6〜12のアリール基)【選択図】なし

Description

本発明はジオールの脱水反応によるジエン化合物、特にブタジエンに代表される1,3−ジエン化合物の効率的な製造方法に関する。より詳細には、本発明は特定の触媒存在下、ジオールの脱水反応を二段階で行うジエン化合物の製造方法に関する。
1,3−ブタジエン、イソプレンなどのジエンモノマーは、合成ゴム、プラスチックなどの樹脂原料としての工業的価値が高く、その効率的な製造法の開発が求められている。
従来、ジエンモノマーはナフサの熱分解炉(クラッカー)の反応生成物を蒸留分離し、その一留分として得られている。しかしながら、この留分精製による方法ではジエンモノマーを選択的に得ることができず、他のモノマー留分を含めたバランス又は採算性を考慮せねばならないため、製造量のコントロールが難しいなどの問題があった。
そこで、入手の容易なエチレンなどの低分子量の化合物を原料としたジエンモノマーの製造方法が検討されている。一例として、エチレンの二量化を行った後にMo−Bi−X系触媒の存在下で酸化脱水素処理を行う、1,3−ブタジエンの製造法が開示されている(特許文献1及び2)。しかしこの方法では、酸素を用いることによる爆発の危険性があるほか、未反応ブテンの分離などを行うための付帯設備などが必要となるため、一般に製造設備の規模が大型化するといった問題があった。
エタノール原料から一段階で1,3−ブタジエンを合成する例も知られている(特許文献3)。しかし、この方法ではエタノールからの収率は通常80%以下にとどまり、ジエンのみを高選択的に得ることは難しい。
別の方法として、1,3−ブタンジオールなどのアルカンジオール類の脱水による合成法が挙げられる。このような1,3−ジオールの製造方法は、例えば特許文献4及び5に開示されている。
I.G.Farbenindustrieにより開示された方法(特許文献6)では、1,3−ブタンジオールに対しリン酸ナトリウム系触媒を用いた場合に85%以上の収率でブタジエンが得られることが報告されている。しかし、本発明者らが実際に検討を行ったところ、ブタジエンが得られるとともに、相当量のプロピレン、ブチルアルデヒドなどの不純物を生じることが分かった。
2,3−ブタンジオールを原料とした共役ジエンの製造方法として、たとえば特許文献7に示された方法が報告されている。しかしこの方法では、目的のブタジエンは最大でも75%の反応選択率でしか得られず、脱水反応の進行したメチルエチルケトンが多量に副生する。
1,4−ブタンジオールを原料に用いた場合(非特許文献1)も同様に1,3−ブタジエンを得ることができるが、この場合は通常環状エーテル体であるテトラヒドロフランの副生を伴うため、収率は向上しない。
このように、一段階でジオールを対応する共役ジエンに変換する既知の方法は、いずれも目的物に対し十分な選択性が得られているとは言い難い。
特許第5371692号公報 特許第5648319号公報 特表2013−535465号公報 特許第4397495号公報 特許第3285439号公報 独国特許発明第610371号明細書 特開2014−172883号公報
S. Sato, R. Takahashi, T. Sodesawa and N. Yamamoto,CATAL. Commun., 2004, 5, 397−400.
本発明の課題は、原料としての再使用が不可能な副生物(不純物)の生成が少ない、1,3−ジオール型の原料から対応するジエン化合物を効率よく製造する方法を提供することである。
本発明者らは検討の結果、アルカリ土類元素及び希土類元素からなる群より選ばれる少なくとも一種のドーパントを含有し、且つジルコニウム原子1モルに対し、前記ドーパント原子の含有量の合計が0.010モル以上0.500モル以下であるジルコニア(ドーパント含有ジルコニア)を第一脱水触媒として、一般式(1)で示されるジオール化合物から一般式(2)−1及び一般式(2)−2で示される不飽和アルコールを製造する第一脱水工程、及び第二脱水触媒の存在下、前記二種の不飽和アルコールの脱水反応を同時に行い、一般式(3)で示されるジエン化合物を製造する第二脱水工程を実施することにより、原料としての再使用が不可能な副生物(不純物)の生成が少なく、対応するジエン化合物を非常に高い選択率で製造できることを見いだし、本発明を完成させるに至った。
Figure 2017186272
Figure 2017186272
Figure 2017186272
Figure 2017186272
(式中、R〜Rはそれぞれ独立に水素原子、炭素数1〜5のアルキル基、又は炭素数6〜12のアリール基を示す。)
すなわち本発明は以下の[1]〜[11]に関する。
[1]少なくとも以下の2工程を含むことを特徴とするジエン化合物の製造方法。
(I)アルカリ土類元素及び希土類元素からなる群より選ばれる少なくとも一種のドーパントを含有し、且つジルコニウム原子1モルに対し、前記ドーパント原子の含有量の合計が0.010モル以上0.500モル以下であるドーパント含有ジルコニアを触媒として、一般式(1)で示されるジオール化合物から一般式(2)−1及び一般式(2)−2で示される不飽和アルコールを製造する第一脱水工程
Figure 2017186272
(式中、R〜Rはそれぞれ独立に水素原子、炭素数1〜5のアルキル基、又は炭素数6〜12のアリール基を示す。)
Figure 2017186272
(式中、R〜Rは一般式(1)と同一のものを示す。)
Figure 2017186272
(式中、R〜Rは一般式(1)と同一のものを示す。)
(II)脱水触媒の存在下、前記一般式(2)−1及び一般式(2)−2で示される不飽和アルコールの脱水反応を同時に行い、一般式(3)で示されるジエン化合物を製造する第二脱水工程
Figure 2017186272
(式中、R〜Rは一般式(1)と同一のものを示す。)
[2]第一脱水工程で用いる触媒のX線回折における蛍石型正方晶及び蛍石型立方晶結晶の合計含有率が70%以上である[1]に記載のジエン化合物の製造方法。
[3]第一脱水工程で用いる触媒のX線回折における蛍石型正方晶及び蛍石型立方晶結晶の合計含有率が90%以上である[1]に記載のジエン化合物の製造方法。
[4]第一脱水工程で用いる触媒においてジルコニウム原子1モルに対し、前記ドーパント原子の含有量の合計が0.040モル以上0.100モル以下である[1]〜[3]のいずれかに記載のジエン化合物の製造方法。
[5]第一脱水工程の触媒において、ドーパントがカルシウム、ストロンチウム、イットリウム、ネオジム、エルビウム及びイッテルビウムからなる群より選ばれる少なくとも一種である[1]〜[4]のいずれかに記載のジエン化合物の製造方法。
[6]第二脱水工程で用いる脱水触媒が金属リン酸塩、金属縮合リン酸塩、金属硫酸塩、金属塩酸塩、典型金属の酸化物、及び無機酸からなる群より選ばれる少なくとも一種である[1]〜[5]のいずれかに記載のジエン化合物の製造方法。
[7]前記典型金属の金属酸化物がシリカ、アルミナ、マグネシア、チタニア、ジルコニア、ニオビア、シリカアルミナ、シリカマグネシア、及びゼオライトからなる群より選ばれる少なくとも一種である[6]に記載のジエン化合物の製造方法。
[8]前記金属リン酸塩、金属縮合リン酸塩、金属硫酸塩、又は金属塩酸塩の金属がアルカリ金属、アルカリ土類金属、チタン、ジルコニウム、ハフニウム、ニオブ、タンタル、アルミニウム、ホウ素、及びスズからなる群より選ばれる少なくとも一種である[6]に記載のジエン化合物の製造方法。
[9]第二脱水工程の前記脱水触媒が担体に担持された触媒である[6]〜[8]のいずれかに記載のジエン化合物の製造方法。
[10]一般式(1)のR〜Rがすべて水素原子である[1]〜[9]のいずれかに記載のジエン化合物の製造方法。
[11]第一脱水工程における脱水副生物である式(6)で示されるγ,δ−不飽和アルコールの選択率が8.0%以下、脱水素副生物である式(7)−1〜(7)−4で示されるケトン・アルデヒド類の合計選択率が8.0%以下である[1]〜[10]のいずれかに記載のジエン化合物の製造方法。
Figure 2017186272
(式中、R〜Rは一般式(1)と同一のものを示す。)
Figure 2017186272
(式中、R、R、及びR〜Rは一般式(1)と同一のものを示す。ただし、一般式(1)においてR=Hの場合に限る。)
Figure 2017186272
(式中、R、R、及びR〜Rは一般式(1)と同一のものを示す。ただし、一般式(1)においてR=Hの場合に限る。)
Figure 2017186272
(式中、R〜R、及びRは一般式(1)と同一のものを示す。ただし、一般式(1)においてR=Hの場合に限る。)
Figure 2017186272
(式中、R〜R、及びRは一般式(1)と同一のものを示す。ただし、一般式(1)においてR=Hの場合に限る。)
本発明によれば、未反応の原料を蒸留等により分離回収して、再度反応原料として使用する際、原料としての再使用が不可能であるか分離が困難である副生物(不純物)の生成が少ないため、原料の無駄が少なく、目的とするジエン化合物を高効率で製造することができる。
触媒AのX線回折スペクトル図である。 触媒BのX線回折スペクトル図である。 触媒CのX線回折スペクトル図である。 触媒DのX線回折スペクトル図である。 比較触媒EのX線回折スペクトル図である。 実施例5(第二脱水工程)の反応時間と原料である不飽和アルコールの転化率及び1,3−ブタジエンの選択率を示すグラフである。
本発明は以下の2工程を少なくとも含む。
(I)第一脱水工程
アルカリ土類元素及び希土類元素からなる群より選ばれる少なくとも一種のドーパントを含有し、且つジルコニウム原子1モルに対し、前記ドーパント原子の含有量の合計が0.010モル以上0.500モル以下であるジルコニアを触媒(第一脱水触媒)として、一般式(1)で示されるジオールから一般式(2)−1及び(2)−2で示される不飽和アルコールを製造する第一脱水工程(反応式(4))
Figure 2017186272
(式中、R〜Rはそれぞれ独立に水素原子、炭素数1〜5のアルキル基、又は炭素数6〜12のアリール基を示す。)
(I)第二脱水工程
脱水触媒(第二脱水触媒)の存在下、一般式(2)−1及び(2)−2で示される不飽和アルコールの脱水反応により一般式(3)で示されるジエン化合物を製造する第二脱水工程(反応式(5))
Figure 2017186272
(式中、R〜Rは反応式(4)と同一のものを示す。)
炭素数1〜5のアルキル基としてはメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基等の直鎖又は分岐のアルキル基が挙げられる。炭素数6〜12のアリール基としては、フェニル基、トリル基、メシチル基、ナフチル基等が挙げられる。R〜Rはそれぞれ独立に、水素原子、又は炭素数1〜5のアルキル基であることが好ましく、得られる共役ジエン化合物の有用性から水素原子であることがより好ましい。R〜Rは互いに同じであっても、異なっていてもよいが、すべて水素原子であることが最も好ましい。
<第一脱水工程>
第一脱水工程で触媒として用いられるドーパント含有ジルコニアは、ジルコニウム原子1モルに対しドーパント原子を合計して0.010モル以上0.500モル以下の含有量で含む。ドーパント含有ジルコニアは、その結晶構造が蛍石型正方晶及び/又は蛍石型立方晶であることがより望ましい。
本明細書では特に断らない限り、「ドーパント」とは、アルカリ土類元素及び希土類元素からなる群より選ばれる少なくとも一種の元素を指すものとする。
一般に、ジルコニウムを主成分とし、ドーパントを含む複合酸化物は「安定化ジルコニア」と呼ばれることがある。本発明のドーパント含有ジルコニアは安定化ジルコニアの一種であり、ドーパントがジルコニアの骨格内のジルコニウムサイトの一部を置換した触媒である。
ドーパントが骨格内のジルコニウムサイトを置換することにより、結晶構造が蛍石型正方晶又は蛍石型立方晶となり、そのような結晶構造を有する複合酸化物が1,3−ジオールの一分子脱水反応に対して高活性かつ高選択性を示す触媒として機能する。
第一脱水工程で用いる触媒の蛍石型正方晶及び蛍石型立方晶結晶の合計含有率は70%以上であることが好ましく、90%以上であることがより好ましい。蛍石型正方晶及び蛍石型立方晶結晶の合計含有率が70%以上であることで副反応が抑制され、脱水反応の選択性が良好になる。
蛍石型正方晶及び蛍石型立方晶のそれぞれの含有率を求めることは、それらのXRD(X線回折)パターンがほぼ同一であるため困難であり、一般的な測定手法では見分けがつかない。そのため、単斜晶の含有率から蛍石型正方晶及び蛍石型立方晶の合計含有率を算出する。すなわち、X線回折における単斜晶ジルコニアの最強線(11−1)面のピーク積分強度(28.30°±0.02)(Imと略す)、蛍石型正方晶又は蛍石型立方晶ジルコニアの最強線(101)面又は(111)面のピーク積分強度(30.2°±0.2)(It−cと略す)を用いて、下記式から求めることができる。
Figure 2017186272
ドーパントとして用いられるアルカリ土類元素として、カルシウム、ストロンチウム、及びバリウムが好ましい。希土類元素として、スカンジウム、イットリウム、ランタン、セリウム、ネオジム、エルビウム、イッテルビウム及びルテチウムが好ましい。更に好ましいドーパントは、カルシウム、ストロンチウム、イットリウム、ネオジム、エルビウム及びイッテルビウムであり、最も好ましいドーパントはカルシウム及びイットリウムである。
ドーパントは、ジルコニウム原子1モルに対してドーパント原子の含有量の合計が0.010〜0.500モルとなる量でジルコニアに導入される。ジルコニウム原子1モルに対してドーパント原子の含有量の合計が0.020〜0.300モルであることがより好ましく、0.040〜0.100モルであることがさらに好ましい。ドーパントの含有量が0.010モル以上であることで、蛍石型正方晶又は蛍石型立方晶のジルコニアの割合を多くできるために触媒の活性と選択性を高めることができる。一方、ドーパントの含有量が0.500モル以下であると、余剰のドーパント由来の酸化物の表面析出を抑えることができるために副反応の割合を少なくすることができる。
ドーパントの導入量は、蛍光X線、SEM−EDX、ICP等の元素分析により求めることができる。
ドーパント含有ジルコニアのBET比表面積は2〜80m/gの範囲であることが好ましく、3〜50m/gであることがより好ましく、5〜30m/gであることが特に好ましい。BET比表面積は2m/g以上であることで、基質との接触を高めることができ活性を向上することができる。80m/g以下であると粒子の結晶化に伴う、反応活性点が形成されるため、反応選択性を高めることができる。
<第一脱水触媒の製造方法>
ドーパント含有ジルコニアの調製方法として、例えばジルコニウムを含む化合物とドーパントとなる元素を含む化合物とから必要に応じて仮焼成を経て触媒前駆体を得、これを成型及び焼成(本焼成)する方法が挙げられる。触媒前駆体を得る方法としては、固相法、メカニカルアロイング法、共沈法、均一沈殿法、錯体重合法などが挙げられるが、最終的に得られる触媒が同様の物であれば、これらの調製法には特に限定されない。
ジルコニウムを含む化合物としては、ジルコニウム単体、並びにジルコニウムの塩及び酸化物が挙げられる。ジルコニウムの塩は塩基性、中性、及び酸性塩のいずれでもよい。ジルコニウムの塩としては、具体的には水酸化ジルコニウム、オキシ硝酸ジルコニウム、オキシ塩化ジルコニウム、及びオキシ酢酸ジルコニウムが挙げられる。ジルコニウムの酸化物としては酸化ジルコニウム(ジルコニア)が挙げられる。
ドーパントとなる元素を含む化合物としては、ドーパント元素の塩及び酸化物が挙げられる。共沈法などを適用する場合には溶媒中でドーパント元素を含む成分がイオン状となる化合物が好ましい。そのような化合物としてドーパント元素の水酸化物、硝酸塩、炭酸塩、硫酸塩、塩化物、酢酸塩、及びシュウ酸塩が挙げられる。
触媒前駆体の焼成(本焼成)は600℃以上の温度で行うことが好ましい。上限温度に特に制限はないが、1000℃を超えると触媒表面積が維持できず、活性が低下するおそれがある。特に好ましい焼成温度は700〜900℃の範囲である。焼成時の雰囲気に制約はないが、特に空気雰囲気で行うことが好ましい。
本発明の触媒の形状はそれぞれ独立した粒子であってもよいし、粒子を固めてペレットとしてもよい。反応器への充填などハンドリングの観点からはペレットが好ましい。触媒は本発明の反応に不活性な担体に担持されたものであってもよい。担体の例としてはシリカ、アルミナ、チタニア、ジルコニア、シリカアルミナ、ゼオライト、活性炭、グラファイトなどが挙げられるが、特に限定はされない。
<第一脱水工程の反応>
第一脱水工程で使用される反応装置は連続式の気相流通反応装置が好適である。触媒は固定床又は流動床のいずれの方式でもよく、特にメンテナンスの面などから固定床が望ましい。
反応装置の一例として上部に反応原料であるジオールの気化器を備えた直管型反応器が挙げられる。反応器に触媒を充填し、原料のジオールを気化器で蒸発させて生じた原料ストリームを反応器に導入する。反応器下部の熱交換器で反応生成物を冷却し、目的の不飽和アルコールと未反応の原料を回収する。原料濃度を調節して副反応を抑制するため、気化した原料ジオールを窒素ガス、水蒸気などの不活性ガスで希釈して反応に供してもよい。
第一脱水工程の反応温度は250〜400℃の範囲が適している。250℃以上であると、反応が速やかに進む。400℃以下とすると副反応による選択率低下の影響が小さくなる。より好ましい温度範囲は300〜350℃である。
直管型反応器において、触媒充填容積当たりのジオールの導入量は0.1〜20kg/(h・L−cat)の範囲とすることができ、好ましくは0.2〜15kg/(h・L−cat)であり、最も好ましくは0.5〜10kg/(h・L−cat)である。導入量が、0.1kg/(h・L−cat)以上であれば、十分な生産量を得ることができる。20kg/(h・L−cat)以下であれば、未反応の原料が増加することなく、分離及び精製に労力が少なくて済む他、原料からの副反応も抑えることができる。
第一脱水工程における主な副生物は、脱水副生物である式(6)で示されるγ,δ−不飽和アルコールと、脱水素副生物である式(7)−1〜4で示されるケトン・アルデヒド類(それぞれ一般式(1)においてR又はR=Hの場合に限る。)である。γ,δ−不飽和アルコールは続く第二脱水工程において、一部が逆プリンス反応によりアルデヒド類へと変換されることで、プロセス全体の収率低下を招く。また、ケトン・アルデヒド類は重合活性が高く、触媒上に沈着することにより触媒の失活を促進させるほか、副反応生成物として目的のジエン化合物の精製を困難にするおそれがある。
Figure 2017186272
(式中、R〜Rは一般式(1)と同一のものを示す。)
Figure 2017186272
(式中、R、R、及びR〜Rは一般式(1)と同一のものを示す。ただし、一般式(1)においてR=Hの場合に限る。)
Figure 2017186272
(式中、R、R、及びR〜Rは一般式(1)と同一のものを示す。ただし、一般式(1)においてR=Hの場合に限る。)
Figure 2017186272
(式中、R〜R、及びRは一般式(1)と同一のものを示す。ただし、一般式(1)においてR=Hの場合に限る。)
Figure 2017186272
(式中、R〜R、及びRは一般式(1)と同一のものを示す。ただし、一般式(1)においてR=Hの場合に限る。)
第二脱水工程での副生物の発生を低減するためには第一脱水工程におけるγ,δ−不飽和アルコールの選択率は8.0%以下、ケトン・アルデヒド類の合計選択率は8.0%以下とすることが好ましく、γ,δ−不飽和アルコールの選択率は3.0%以下、ケトン・アルデヒド類の合計選択率は2.5%以下であることが更に好ましい。
<第二脱水工程>
本発明の第一脱水工程で使用する触媒は、前記不純物であるγ,δ−不飽和アルコール又はケトン・アルデヒド類の生成が少ないので、第一脱水工程において得られた不飽和アルコールを含む反応生成物に未反応原料(ジオール化合物)の除去のみを行って得られた組成物をそのまま第二脱水工程の反応原料として使用することが可能である。さらに反応生成物の精製を行い、不飽和アルコール中の不純物の一部乃至全部を除いた後に第二脱水工程に使用することもできる。精製方法としては、蒸留、再結晶、その他の一般的な精製方法を適用することができる。この時点で副生物を除去しておくことにより、続く第二脱水工程における反応性の改善、不純物の少ない高品位なジエン化合物の取得などが可能となる。第二脱水工程においては、第一脱水工程の副生物である前記式(6)で示されるγ,δ−不飽和アルコールと前記式(7)−1〜(7)−4で示されるケトン・アルデヒド類の含有量の合計が3.0質量%以下である、一般式(2)−1及び一般式(2)−2で示される不飽和アルコールを含む組成物を原料として用いることが好ましい。
第二脱水工程で使用する脱水触媒(第二脱水触媒)は、原料となる一般式(2)−1及び(2)−2で示される不飽和アルコールの脱水能力を示すものであれば特に限定されない。例えば金属リン酸塩、金属縮合リン酸塩、金属硫酸塩、金属塩酸塩、典型金属の酸化物、無機酸などが挙げられる。これらの触媒は単独で使用してもよく、併用してもよい。触媒を担体に担持して使用してもよい。例えば、脱水触媒の形状保持性が低い場合には、担体に担持させた触媒を脱水触媒として有利に使用することができる。
担体の例としてはシリカ、アルミナ、チタニア、ジルコニア、シリカアルミナ、ゼオライト、活性炭、グラファイトなどが挙げられるが、特に限定はされない。ここで担体は活性、反応選択性、温度応答性などのいずれか一つ以上の観点から、担持される触媒とは区別可能なものである。なお、後述のようにシリカアルミナなどは担体としてではなく、脱水触媒そのものとしての使用も可能である。
金属リン酸塩、金属縮合リン酸塩、金属硫酸塩、及び金属塩酸塩の金属としては、アルカリ金属、アルカリ土類金属、チタン、ジルコニウム、ハフニウム、ニオブ、タンタル、アルミニウム、ホウ素、スズなどが挙げられる。これら金属の中ではナトリウム、マグネシウム、及びアルミニウムが好ましい。
典型金属の酸化物としては、シリカ、アルミナ、マグネシア、チタニア、ジルコニア、ニオビア、シリカアルミナ、シリカマグネシア、ゼオライトなどが挙げられる。
無機酸としては、硫酸、硝酸、塩酸、リン酸などが挙げられる。
第二脱水工程で使用する触媒としては、目的のジエン選択率が高いことから、硫酸マグネシウム、リン酸アルミニウム、ポリリン酸ナトリウム、シリカアルミナ、及びゼオライトが好ましく、選択率の観点からシリカアルミナ、及びゼオライトがより好ましい。
第二脱水工程で使用する反応装置は第一脱水工程と同様に連続式の気相流通反応装置が好適である。触媒は固定床又は流動床のいずれの方式でもよく、特にメンテナンスの面などから固定床が望ましい。
反応装置の一例として上部に原料となる不飽和アルコールの気化器を備えた直管型反応器が挙げられる。反応器に触媒を充填し、原料の不飽和アルコールを気化器で蒸発させて生じた原料ストリームを反応器に導入する。反応器下部の熱交換器で反応生成物を冷却し、目的のジエン化合物と未反応の原料を回収する。副反応を抑制するため、気化した原料不飽和アルコールを窒素ガス、水蒸気などの不活性ガスで希釈して反応に供してもよい。
第二脱水工程の反応温度は200〜500℃の範囲が適している。反応温度は好ましくは250〜400℃である。200℃以上であると、反応が速やかに進む。500℃以下とすると副反応による選択率低下の影響が小さくなる。
触媒充填容積当たりの原料となる不飽和アルコールの導入量は0.05〜20kg/(h・L−cat)の範囲とすることができ、好ましくは0.1〜10kg/(h・L−cat)であり、最も好ましくは0.2〜5kg/(h・L−cat)である。導入量が、0.05kg/(h・L−cat)以上であれば、十分な生産量を得ることができる。20kg/(h・L−cat)以下であれば、未反応の原料が増加することなく、分離及び精製に労力が少なくて済む他、原料からの副反応も抑えることができる。
不飽和アルコールを含む原料ストリームの触媒充填容積に対する空間速度[SV]は100〜40000h−1の範囲とすることができ、特に500〜10000h−1が好適である。空間速度が、100h−1以上であれば、接触時間が過度に増加しないため、不飽和アルコール原料及び生成したジエン化合物からの副生物の生成を抑えることができる。空間速度が40000h−1以下であれば、転化率が低くならず、未反応の原料が少なくなるため、未反応の原料の分離に過剰なコストをかけなくてすむ。
第二脱水工程から得られたジエン化合物に対し、さらに水洗、蒸留等による精製操作を行うことで、純度を高めたジエン化合物を入手することもできる。
上記に述べた方法は、本発明の実施形態の一つであるが、実施において、このほかの形態をとることも可能である。
以下、実施例により本発明の効果を具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例により限定されるものではない。
[ドーパント原子含有量の測定]
ドーパント原子含有量を、株式会社リガク製ZSX Primus IIを使用し、EZスキャンプログラムにより測定した。ジルコニウム原子に対するドーパント原子のモル比を下記式から求めた。
Figure 2017186272
[X線回折測定]
株式会社リガク製MultiFlexを用いて触媒のX線回折測定を行った。測定は連続走査モードにて行った。測定条件は、管電圧40kV、管電流40mA、サンプリング幅0.02°、スキャンスピード3°/minとした。蛍石型正方晶及び蛍石型立方晶の合計含有率は下記式より求めた。
Figure 2017186272
第一脱水工程で使用した触媒A〜Fは、それぞれ以下の調製法により調製した。
[触媒A]:ジルコニア−カルシア複合酸化物触媒(ZrO−CaO)の調製
塩化カルシウム(関東化学株式会社、純度95%以上)0.497g(4.5mmol)に蒸留水50mLを加えて調製した水溶液及び尿素100g(関東化学株式会社、純度99%以上)に蒸留水200mLを加えて調製した水溶液を、オキシ塩化ジルコニウム八水和物(和光純薬工業株式会社、純度99%以上)29.94g(92.92mol)に蒸留水200mLを加えて調製した水溶液に対して添加し、100℃に加熱し、5時間撹拌した。その後、吸引濾過器にて固液分離した後、固形物を120℃で24時間乾燥し、室温まで放冷した後、メノウ乳鉢にて粉砕した。
得られた粉末を500℃で仮焼成した後、メノウ乳鉢にて再粉砕したものをペレットに成形し粒径1.4〜2.8mmに整粒した後に、空気雰囲気中、900℃で3時間焼成(本焼成)して触媒Aを得た。
触媒Aのジルコニウム原子に対するカルシウム原子のモル比は0.045であった。XRD分析を行ったところ、そのスペクトルとPDF(Powder diffraction database)のカード番号(00−000−6209)のスペクトルとの比較から蛍石型正方晶又は蛍石型立方晶であることがわかった。蛍石型正方晶及び蛍石型立方晶の合計含有率は97%であった。触媒AのBET比表面積は9.5m/gであった。X線回折のスペクトルを図1に示す。
[触媒B]:ジルコニア−カルシア複合酸化物触媒(ZrO−CaO)の調製
硝酸カルシウム四水和物(和光純薬工業株式会社、純度98.5%以上)1.88g(8.0mmol)に蒸留水50mLを加えて調製した水溶液及び尿素80g(関東化学株式会社、純度99%以上)に蒸留水200mLを加えて調製した水溶液を、水酸化ジルコニウムスラリー(第一稀元素化学工業株式会社、ZSL−10T)200g(水酸化ジルコニウム量:165mol)に対して添加し、100℃に加熱し、5時間撹拌した。その後、吸引濾過器にて固液分離した後、固形物を120℃で24時間乾燥し、室温まで放冷した後、メノウ乳鉢にて粉砕した。
得られた粉末を500℃で仮焼成した後、メノウ乳鉢にて再粉砕したものをペレットに成形し粒径1.4〜2.8mmに整粒した後に、空気雰囲気中、900℃で3時間焼成(本焼成)して触媒Bを得た。
触媒Bのジルコニウム原子に対するカルシウム原子のモル比は0.049であった。XRD分析を行ったところ、PDFのカード番号(00−000−6209)のスペクトルとの比較から蛍石型正方晶又は蛍石型立方晶であることがわかった。蛍石型正方晶及び蛍石型立方晶の合計含有率は97%であった。触媒BのBET比表面積は20.9m/gであった。X線回折のスペクトルを図2に示す。
[触媒C]:ジルコニア−イットリア複合酸化物触媒(ZrO−Y)の調製
塩化カルシウムの代わりに硝酸イットリウムn水和物(和光純薬工業株式会社、純度99.9%以上)1.72g(4.5mmol)を用いて、触媒Aと同様の手順でジルコニア−イットリア複合酸化物触媒(ZrO−Y)(触媒C)を調製した。触媒Cのジルコニウム原子に対するイットリウム原子のモル比は0.051であった。XRD分析を行ったところ、PDFのカード番号(00−000−6364)のスペクトルとの比較から蛍石型正方晶又は蛍石型立方晶であることがわかった。蛍石型正方晶及び蛍石型立方晶の合計含有率は99%超であった。触媒CのBET比表面積は10.5m/gであった。X線回折のスペクトルを図3に示す。
[触媒D]:ジルコニア−酸化イッテルビウム複合酸化物触媒(ZrO−Yb)の調製
塩化カルシウムの代わりに硝酸イッテルビウムn水和物(和光純薬工業株式会社、純度99.9%以上)2.66g(4.5mmol)を用いて、触媒Aと同様の手順でジルコニア−酸化イッテルビウム複合酸化物触媒(ZrO−Yb)(触媒D)を調製した。触媒Dのジルコニウム原子に対するイッテルビウム原子のモル比は0.057であった。XRD分析を行ったところ、YのPDFのカード番号(00−000−6364)のスペクトルとの比較から蛍石型正方晶又は蛍石型立方晶であると推定された。蛍石型正方晶及び蛍石型立方晶の合計含有率は99%であった。触媒DのBET比表面積は2.6m/gであった。X線回折のスペクトルを図4に示す。
[比較触媒E]:ジルコニア担持カルシア触媒(CaO/ZrO)の調製
硝酸カルシウム四水和物(和光純薬工業株式会社、純度98.5%以上)5.86g(24.8mmol)に蒸留水11mLを加えて調製した水溶液を、ジルコニア(第一稀元素化学工業株式会社、JRC−ZRO−4、比表面積29m/g)19g(154mmol)に対して少量ずつ添加し、混練を行った後に110℃で一晩乾燥させた。得られた粉末をペレットに成形し粒径1.4〜2.8mmに整粒した後に、空気雰囲気中、800℃で3時間焼成して比較触媒Eを得た。比較触媒Eのジルコニウム原子に対するカルシウム原子のモル比は0.16であった。なお、当該モル比について、カルシウム原子はジルコニアに担持されているカルシアに由来し、ジルコニアにドープされたカルシウム原子のモル比は0.0である。XRD分析を行ったところ、PDFのカード番号(00−000−3395)のスペクトルとの比較から単斜晶系であることがわかった。蛍石型正方晶及び蛍石型立方晶の合計含有率は0%であった。触媒のBET比表面積は23.3m/gであった。X線回折のスペクトルを図5に示す。
第二脱水工程で使用した触媒G及びHは、それぞれ以下の調製法により調製した。
[触媒G]:シリカアルミナ触媒(Al−SiO)の調製
硝酸アルミニウム・九水和物(和光純薬工業株式会社製、特級)5.3gと硝酸(和光純薬工業株式会社製、特級、60%)19.5gと蒸留水(和光純薬工業株式会社製)100mLの混合液をメカニカルスターラーに接続したテフロン(登録商標)製撹拌翼で撹拌した。ケイ酸ナトリウム溶液(和光純薬工業株式会社製、濃度55質量%、SiO/NaO=2.2)27.9gと蒸留水(和光純薬工業株式会社製)100mLの混合溶液を、硝酸アルミニウム水溶液に滴下した。30分間熟成したのち、アンモニア水溶液でpHを9にして沈殿を析出させ、さらに3時間撹拌を継続した。析出物に対し、ろ過、水洗浄、1%硝酸アンモニウム(和光純薬工業株式会社製)水溶液洗浄、水洗浄の順に処置を行った後、得られた析出物を50℃に加温したpH9のアンモニア水溶液中で48時間熟成させた。イオン交換水で2回洗浄後、70℃で12時間乾燥したのち、マッフル炉(ADVANTEC製KM−280)で空気中、500℃で2時間焼成した。
得られた粉末を、ポリ塩化ビニル製のセル(30mmφ)に入れ、7kN/cmの圧力で1分間プレスした。ディスク状のセルを破砕し、1.4〜2.8mmのふるい間に残るものを回収し、その後、マッフル炉(ADVANTEC製KM−280)で空気中、600℃で5時間焼成し、シリカアルミナ触媒(触媒G)を得た。
[触媒H]:グラファイト担持ポリリン酸ナトリウム触媒(NaPO−graphite)の調製
リン酸ブチルアミン8.8g(85%リン酸とブチルアミンより調製)を40gの水に溶かし、撹拌しながら無水リン酸ナトリウム100gとグラファイト粉末(和光純薬工業株式会社製)20gを加えた。撹拌しながら蒸発乾固させて粉末を得たのち、80℃のオーブン中で12時間風乾を行った。ポリ塩化ビニル製のセル(30mmφ)に入れ、13kN/cmの圧力で1分間プレスした。得られたディスク状のセルを破砕し、1.4〜2.8mmのメッシュ分を回収した。破砕物をマッフル炉(ADVANTEC製KM−280)で空気中、300℃で2時間焼成を行い、グラファイト担持ポリリン酸ナトリウム触媒(触媒H)を得た。
[反応装置]
以下の実施例及び比較例の脱水反応には、いずれも固定床の常圧気相流通反応装置を使用した。反応管(ステンレス製)は内径16mm、全長300mmで、上部に原料を蒸発させるための気化器、及び希釈剤(窒素ガス)の導入口が接続され、下部には冷却器、及び気液分離器が設置されていた。
[ガスクロマトグラフィー]
脱水反応後の生成物ガスは5℃でほぼ全量を凝縮して液化し、ガスクロマトグラフィーで分析し、反応転化率及び選択率を計算した。分析装置として、ジーエルサイエンス株式会社製キャピラリーカラムTC−1(60m、0.25mmφ)を接続した株式会社島津製作所製GC−17Aを使用した。キャリアガスにはヘリウムを使用し、検出はFID検出器にて行った。定量は内標準法によって行った。検量線補正後、目的物の収量及び原料残量を求め、これらより転化率及び選択率を求めた。
第一脱水工程において、転化率及び式(2)−1及び式(2)−2で示される不飽和アルコールの選択率の計算には以下の式を用いた。
Figure 2017186272
Figure 2017186272
第一脱水工程において、式(6)で示される脱水副生物選択率(δ,γ−不飽和アルコール)、式(7)−1〜4で示される脱水素生成物選択率(ケトン・アルデヒド類)の計算には以下の式を用いた。
Figure 2017186272
第二脱水工程において、式(2)−1及び式(2)−2で示される不飽和アルコールから式(3)で示されるジエン化合物への転化率及び選択率の計算には以下の式を用いた。なお、ここで「不飽和アルコール導入量」、「不飽和アルコール消費量」は式(2)−1、式(2)−2で示される各不飽和アルコールの合計量である。
Figure 2017186272
Figure 2017186272
触媒寿命は、第二脱水工程の原料である不飽和アルコール(式(2)−1及び式(2)−2の合計)の転化率と反応時間とのグラフから、転化率が約100%から低下して、98.5%となるまでの時間を読み取り、その値とした。
[第一脱水工程]
(実施例1)
調製した触媒A(ジルコニア−カルシア複合酸化物触媒:ZrO−CaO)4mLを上記常圧気相流通反応装置に充填し、原料の1,3−ジオールとして1,3−ブタンジオール(キシダ化学株式会社、特級)をガス化して、25.8mL/h(25.8g/h)の速度で供給した。脱水反応は340℃で行った。このときの1,3−ブタンジオールの転化率と、不飽和アルコールであるクロチルアルコール(幾何異性体を含む)、3−ブテン−2−オール、3−ブテン−1−オール、及びケトン・アルデヒド類の選択率を表1に示す。
(実施例2〜4)
触媒Aの代わりにそれぞれ触媒B〜触媒D(ジルコニア−カルシア複合酸化物触媒:ZrO−CaO、ジルコニア−イットリア複合酸化物触媒:ZrO−Y、及びジルコニア−酸化イッテルビウム複合酸化物触媒:ZrO−Yb)を用いたこと以外は実施例1と同様の方法で脱水反応を行った。結果を表1に示す。
(比較例1)
触媒Aの代わりに比較触媒E(ジルコニア担持カルシア触媒:CaO/ZrO)を用いたこと以外は実施例1と同様の方法で脱水反応を行った。結果を表1に示す。
(比較例2)
酸化ジルコニウム(第一稀元素化学工業株式会社、HP、ペレット品粉砕、比表面積100m/g)を800℃で焼成し、比較触媒Fとし、脱水反応を行った。比較触媒F 0.5gを上記常圧式気相流通反応装置に充填し、希釈ガスとして窒素ガスを30mL/分の速度で、原料の1,3−ジオールとして1,3−ブタンジオール(和光純薬工業株式会社、特級)を1.67mL/hの速度でそれぞれ供給した。脱水反応は325℃で行った。結果を表1に示す。
Figure 2017186272
[蒸留工程]
実施例2で得られた反応液約10L(9.1kg)に対し、一塔式の蒸留塔を用いて蒸留操作を行った。充填剤としてマクマホンパッキンを使用し、塔底温度170℃、還還流比R=20、圧力−0.08MPaGの条件で運転を行い、初留0.3Lを除去したのちに、本留として不飽和アルコール水溶液α7.0L(6.1kg)を得た。この蒸留液の初留と本留(不飽和アルコール水溶液α)の組成を表2に示す。
Figure 2017186272
[第二脱水工程]
(実施例5)
触媒G(シリカアルミナ触媒)を用い、上記蒸留工程で分離した本留(不飽和アルコール水溶液α)を基質とし、水蒸気及び窒素ガスを希釈剤として第二脱水工程を行った。反応液中の不飽和アルコールの導入量は触媒1mLあたり毎時0.32g、水蒸気導入量は触媒1mLあたり毎時0.20L、窒素ガスの導入量は触媒1mLあたり毎時0.10Lで、反応器内温度は300℃に設定した。SVは400h−1であった。転化率が98.5%を下回った時間(触媒寿命)は133時間で、1,3−ブタジエンの平均選択率は96.2%であった。この反応の反応時間ごとの原料転化率と1,3−ブタジエン(BD)の選択率をプロットしたものを図6に示す。
[一段脱水反応]
(比較例3)
触媒H(グラファイト担持ポリリン酸ナトリウム触媒)を用い、1,3−ブタンジオールを基質、水蒸気及び窒素ガスを希釈剤とし、一段階で1,3−ブタジエンを製造する脱水反応を行った。1,3−ブタンジオールの導入量は触媒1mLあたり毎時0.081g、水蒸気(ガス)の導入量は触媒1mLあたり毎時0.025L、窒素ガスの導入量は触媒1mLあたり毎時0.140Lで、反応器内温度は270℃に設定した。SVは400h−1であった。
この比較例における133時間経過後の1,3−ブタンジオールの転化率は100%、1,3−ブタジエン選択率は76.3%であった。また、この反応では、時間の経過とともに徐々に1,3−ブタジエンの選択率が低下する傾向が見られた。
上記の実施例のとおり、本発明の方法に従って1,3−ジオール型の原料から二段階の工程を経て、対応するジエン化合物を高選択的に得ることが可能である。

Claims (11)

  1. 少なくとも以下の2工程を含むことを特徴とするジエン化合物の製造方法。
    (I)アルカリ土類元素及び希土類元素からなる群より選ばれる少なくとも一種のドーパントを含有し、且つジルコニウム原子1モルに対し、前記ドーパント原子の含有量の合計が0.010モル以上0.500モル以下であるドーパント含有ジルコニアを触媒として、一般式(1)で示されるジオール化合物から一般式(2)−1及び一般式(2)−2で示される不飽和アルコールを製造する第一脱水工程
    Figure 2017186272
    (式中、R〜Rはそれぞれ独立に水素原子、炭素数1〜5のアルキル基、又は炭素数6〜12のアリール基を示す。)
    Figure 2017186272
    (式中、R〜Rは一般式(1)と同一のものを示す。)
    Figure 2017186272
    (式中、R〜Rは一般式(1)と同一のものを示す。)
    (II)脱水触媒の存在下、前記一般式(2)−1及び一般式(2)−2で示される不飽和アルコールの脱水反応を同時に行い、一般式(3)で示されるジエン化合物を製造する第二脱水工程
    Figure 2017186272
    (式中、R〜Rは一般式(1)と同一のものを示す。)
  2. 第一脱水工程で用いる触媒のX線回折における蛍石型正方晶及び蛍石型立方晶結晶の合計含有率が70%以上である請求項1に記載のジエン化合物の製造方法。
  3. 第一脱水工程で用いる触媒のX線回折における蛍石型正方晶及び蛍石型立方晶結晶の合計含有率が90%以上である請求項1に記載のジエン化合物の製造方法。
  4. 第一脱水工程で用いる触媒においてジルコニウム原子1モルに対し、前記ドーパント原子の含有量の合計が0.040モル以上0.100モル以下である請求項1〜3のいずれか一項に記載のジエン化合物の製造方法。
  5. 第一脱水工程の触媒において、ドーパントがカルシウム、ストロンチウム、イットリウム、ネオジム、エルビウム及びイッテルビウムからなる群より選ばれる少なくとも一種である請求項1〜4のいずれか一項に記載のジエン化合物の製造方法。
  6. 第二脱水工程で用いる脱水触媒が金属リン酸塩、金属縮合リン酸塩、金属硫酸塩、金属塩酸塩、典型金属の酸化物、及び無機酸からなる群より選ばれる少なくとも一種である請求項1〜5のいずれか一項に記載のジエン化合物の製造方法。
  7. 前記典型金属の金属酸化物がシリカ、アルミナ、マグネシア、チタニア、ジルコニア、ニオビア、シリカアルミナ、シリカマグネシア、及びゼオライトからなる群より選ばれる少なくとも一種である請求項6に記載のジエン化合物の製造方法。
  8. 前記金属リン酸塩、金属縮合リン酸塩、金属硫酸塩、又は金属塩酸塩の金属がアルカリ金属、アルカリ土類金属、チタン、ジルコニウム、ハフニウム、ニオブ、タンタル、アルミニウム、ホウ素、及びスズからなる群より選ばれる少なくとも一種である請求項6に記載のジエン化合物の製造方法。
  9. 第二脱水工程の前記脱水触媒が担体に担持された触媒である請求項6〜8のいずれか一項に記載のジエン化合物の製造方法。
  10. 一般式(1)のR〜Rがすべて水素原子である請求項1〜9のいずれか一項に記載のジエン化合物の製造方法。
  11. 第一脱水工程における脱水副生物である式(6)で示されるγ,δ−不飽和アルコールの選択率が8.0%以下、脱水素副生物である式(7)−1〜(7)−4で示されるケトン・アルデヒド類の合計選択率が8.0%以下である請求項1〜10のいずれか一項に記載のジエン化合物の製造方法。
    Figure 2017186272
    (式中、R〜Rは一般式(1)と同一のものを示す。)
    Figure 2017186272
    (式中、R、R、及びR〜Rは一般式(1)と同一のものを示す。ただし、一般式(1)においてR=Hの場合に限る。)
    Figure 2017186272
    (式中、R、R、及びR〜Rは一般式(1)と同一のものを示す。ただし、一般式(1)においてR=Hの場合に限る。)
    Figure 2017186272
    (式中、R〜R、及びRは一般式(1)と同一のものを示す。ただし、一般式(1)においてR=Hの場合に限る。)
    Figure 2017186272
    (式中、R〜R、及びRは一般式(1)と同一のものを示す。ただし、一般式(1)においてR=Hの場合に限る。)
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