JP2017184727A - 水中油型乳化組成物の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】
パン類や菓子類のフィリング材として利用可能な、みずみずしい食感と良好な口溶け及び適度な保型性を有する新規な水中油型乳化組成物を、より簡便に製造することができる方法を提供することにある。
【解決手段】
40〜70重量%の水相と、15〜50重量%の油相からなる水中油型乳化物であって、2〜20重量%の無脂乳固形分を含む水中油型乳化物を有機酸または乳酸発酵によりpH5.8〜6.5にpH調整し、冷却することにより、みずみずしい食感と良好な口溶けを有するフィリング材として新規な水中油型乳化物を得る。
【選択図】なし
パン類や菓子類のフィリング材として利用可能な、みずみずしい食感と良好な口溶け及び適度な保型性を有する新規な水中油型乳化組成物を、より簡便に製造することができる方法を提供することにある。
【解決手段】
40〜70重量%の水相と、15〜50重量%の油相からなる水中油型乳化物であって、2〜20重量%の無脂乳固形分を含む水中油型乳化物を有機酸または乳酸発酵によりpH5.8〜6.5にpH調整し、冷却することにより、みずみずしい食感と良好な口溶けを有するフィリング材として新規な水中油型乳化物を得る。
【選択図】なし
Description
本発明は、油脂、乳蛋白質、乳化剤及び水を含む水中油型乳化組成物の製造方法に関し、更に詳しくは各種パン類やシュー、ケーキなどの菓子類のフィリングクリーム、サンドクリームとして使用できる水中油型乳化組成物の製造方法に関する。
パン類、シューやケーキなどの菓子類の嗜好性を高めるために、各種のフィリングクリームやサンドクリームが広く用いられている。代表的なものとしては、マーガリンやショートニングを糖類や各種風味剤とともに起泡させたバタークリーム、比較的多量の糖類を配合した水中油型乳化物を起泡させたホイップクリーム、澱粉ベースのフラワーペースト類が挙げられる。これらのフィリングクリーム、サンドクリームには一長一短があり、バタークリームは連続相が油脂であるため比較的長期の保存性を有するが、一方で口当たりが油っぽい食感になる傾向があり、耐熱性を付与するために比較的高融点の油脂を用いると口溶けが低下するという問題がある。ホイップクリームは軽い食感になるが、水分が比較的高いため保存性がやや弱い傾向にあり、保存性を高めようと水分活性を低下させると甘味が強すぎるものになり、耐熱性を付与するために高融点の油脂を用いるとやはり口溶けが低下する傾向にある。また、フラワーペーストは餡類やカスタードクリームなど嗜好性の高いものであるが、食感がやや重くしつこいという問題がある。上記を踏まえて、耐熱性及び食感に優れた新規なフィリング材を目指して、各種の水中油型乳化組成物が提案されている。
特許文献1は、良好な口溶けでしかも温度耐性に優れ、滑らかな組織を有するクリーム状食品に関し、油相と水相とを乳化剤の存在下に予備乳化、殺菌、及び均質化した液状の水中油型エマルジョンの脂肪球を凝集、及び合一させることにより可塑化し、比重0.7以上のクリーム状の水中油型乳化組成物を得る方法に関する。本方法による水中油型乳化組成物は、耐熱性、食感に優れた新規なフィリング材のひとつであるが、脂肪球を凝集、及び合一にピンマシン又はホイップマシンによる撹拌操作を必須とするとともに、可塑化後にさらに使用油脂の融点から−5〜−20℃で6〜24時間のテンパリングを必要とする方法であり、水中油型乳化組成物の調製法がかなり煩雑なものであった。
特許文献2には、本来流動性である水中油型乳化物を展延性を有するペースト状の水中油型乳化物に変換する方法に関し、脂肪率30%以上の水中油型乳化物を、該乳化物の構成油脂の上昇融点を中心として上下で約5℃以内の範囲の温度領域における恒温状態下に保持した後、緩徐に冷却して展延性を発現させて展延性を有する水中油型乳化物を得る方法である。本方法も、乳化物構成油脂の選択によっては耐熱性及び食感に優れた新規なフィリング材を得る有力な方法であるが、製造工程における恒温状態の保持や緩徐冷却など煩雑な温度制御を要する方法であった。
特許文献3は、油脂のSFCが25℃で40%以上、35℃で15%以下、塩類含量が0.01重量%未満である水中油型エマルジョンをホイップして成る、解乳化度が20〜60重量%の起泡済みクリームに関し、本方法によると、強い耐熱保型性とみずみずしい口溶け性を併せ持った起泡済みクリームが得られる。該起泡済みクリームは、殺菌乃至滅菌処理後、直ちに冷却を開始して30〜45℃になった時点でホイップ装置内に導入し、さらに冷却を続けながらホイップする方法であり、安定的な解乳化度にホイップする条件設定が容易でないという問題があった。
上記のように、耐熱性及び食感に優れた水中油型乳化組成物の製造方法が提案されているが、いずれも製造方法が煩雑で製造条件設定が容易でないものであり、食感に優れたパン類や菓子類のフィリング材として利用可能で、より簡便に製造できる新規な水中油型乳化組成物の製造方法が求められていた。
本発明の目的は、油脂、乳蛋白質、乳化剤及び水を含む水中油型乳化組成物において、パン類や菓子類のフィリング材として利用可能な、みずみずしい食感と良好な口溶け及び適度な保型性を有する新規な水中油型乳化組成物を、より簡便に製造することができる方法を提供することにある。
本発明者は、上記課題を達成するべく鋭意検討した結果、特定の構成油脂を有する油分15〜50重量%の水中油型乳化物を特定のpHに調整し、冷却することにより、極めて簡便に、みずみずしい食感と口溶け及び適度な保型性の水中油型乳化組成物が得られることを見い出し、本発明を完成させた。
即ち、本発明は、
(1) 40〜70重量%の水相と、15〜50重量%の油相からなる水中油型乳化物であって、2〜20重量%の無脂乳固形分を含む水中油型乳化物を有機酸または乳酸発酵によりpH5.8〜6.5にpH調整し、冷却することを特徴とする水中油型乳化組成物の製造方法。
(2)油相中の乳脂肪含量が水中油型乳化組成物に対し、5〜25重量%である、(1)記載の水中油型乳化組成物の製造方法。
(3)油相中の油脂成分として、ハイエルシン菜種油極度硬化油を水中油型乳化組成物に対し0.2〜2重量%含有する(1)または(2)記載の水中油型乳化組成物の製造方法。
(4)さらに安定剤を添加する(1)〜(3)のいずれか1に記載の水中油型乳化組成物の製造方法。
である。
(1) 40〜70重量%の水相と、15〜50重量%の油相からなる水中油型乳化物であって、2〜20重量%の無脂乳固形分を含む水中油型乳化物を有機酸または乳酸発酵によりpH5.8〜6.5にpH調整し、冷却することを特徴とする水中油型乳化組成物の製造方法。
(2)油相中の乳脂肪含量が水中油型乳化組成物に対し、5〜25重量%である、(1)記載の水中油型乳化組成物の製造方法。
(3)油相中の油脂成分として、ハイエルシン菜種油極度硬化油を水中油型乳化組成物に対し0.2〜2重量%含有する(1)または(2)記載の水中油型乳化組成物の製造方法。
(4)さらに安定剤を添加する(1)〜(3)のいずれか1に記載の水中油型乳化組成物の製造方法。
である。
本発明により、簡便な方法で耐熱保型性、みずみずしい食感及び口溶けに優れ、併せてパン類や菓子類のフィリングやサンドクリームに要求される保存性を有する水中油型乳化組成物の製造が可能となった。
本発明の水中油型乳化組成物は、40〜70重量%の水相と、15〜50重量%の油相からなる水中油型乳化物であって、2〜20重量%の無脂乳固形分を含む水中油型乳化物である。本発明における水相とは、水、無脂乳固形分、糖類、卵類、水溶性添加剤を含有するものである。無視乳固形分としては、生乳、牛乳、脱脂乳、生クリーム、濃縮乳、無糖練乳、加糖練乳、脱脂粉乳、全脂粉乳、ホエーたん白、乳糖、バターミルクパウダー、カゼイン類、またはトータルミルクプロテインなどが使用できる。無脂乳固形分は水中油型乳化組成物に乳味感を付与するとともに乳化の安定化に寄与するものであり、水中油型乳化組成物全量に対し、2〜20重量%、好ましくは3〜10重量%使用する。糖類としては、ブドウ糖、蔗糖、麦芽糖等の二糖類、ソルビトール等の糖アルコール、オリゴ糖等が例示でき、これらの単独または2種以上を併用することができる。卵類としては、全卵、卵黄、卵類粉末等を適宜風味調整用に使用することができる。水溶性添加剤としては、水溶性乳化剤、水溶性風味剤、水溶性抗菌剤を目的に沿って適宜添加することができる。
本発明における油相とは、油脂、油溶性添加物を含有するものである。本発明において用いる油脂は、食用として使用できるもので融点20〜40℃程度のものを広く採用することができ、例えばナタネ油、大豆油、ひまわり油、綿実油、落花生油、米糠油、コーン油、サフラワー油、オリーブ油、カポック油、胡麻油、月見草油、パーム油、シア脂、サル脂、カカオ脂、ヤシ油、パーム核油等の植物性油脂及び乳脂、牛脂、豚脂、魚油、鯨油等の動物性油脂が例示でき、上記油脂類の単独または混合油あるいはそれらの硬化、分別、エステル交換等を施した加工油脂が例示できる。油溶性添加剤としては、油溶性乳化剤、油溶性風味剤、油溶性の油脂結晶改質剤などを目的に沿って適宜添加することができる。
本発明の水中油型乳化組成物は、生クリームやバター、乳脂を原材料の一部として利用することにより、油相中に乳脂肪を水中油型乳化組成物に対し、5〜25重量%含有させることもできる。生クリームやバター、乳脂を原材料の一部として利用することにより、みずみずしい食感、良好な口溶けとともに格段に乳風味に優れる水中油型乳化組成物を得ることができる。乳脂肪含有量が5重量%未満であると、乳風味がやや弱くなる傾向がある。逆に、25重量%を超えると、乳風味は良好だが、みずみずしい食感が低下する傾向にある。
本発明の水中油型乳化組成物は、油相中の油脂成分として、ハイエルシン菜種油極度硬化油を水中油型乳化組成物に対し0.2〜2重量%、好ましくは0.3〜1重量%含有するのが好ましい。ハイエルシン菜種油極度硬化油を含有することにより、水中油型乳化組成物の保存時の経時的な離水やシマリを抑制することができ、長期に渡り、柔らかい展延性のあるペースト性状を有し、フィリング材としての絞り適正、スプレッド材としての展延性に優れる水中油型乳化組成物とすることができる。ハイエルシン菜種油極度硬化油の含有量が0.2重量%未満であると、経時的な離水やシマリの抑制効果が低下する傾向にある。逆に、2重量%を超えると、口溶けが低下するため好ましくない。
さらに、本発明においては、経時的な離水やシマリ抑制のために、みずみずしい食感と良好な口溶けを損なわない範囲で、安定剤を添加することもできる。安定剤としては、ガム類、例えばキサンタンガム、ローカストビーンガム、グァーガム、アラビアガム、ファーセラン、CMC、微結晶セルロース類のガム類、ペクチン、寒天、カラギーナン、ゼラチン、水溶性ヘミセルロース等が例示でき、これらの単独または2種以上を併用することができる。安定剤の添加量としては、概ね0.01〜2重量%である。例えば、ローカストビーンガムの場合は0.2%前後、ゼラチンの場合は0.2〜1重量%の添加により、みずみずしい食感と良好な口溶けを損なわずに経時的な離水やシマリを抑制することができる。
また、本発明においては、主要脂肪酸として炭素数16〜22の飽和脂肪酸を含有するHLB4.5以下のショ糖脂肪酸エステルまたはポリグリセリン脂肪酸エステルから選択される乳化剤1種以上を0.01〜0.5重量%を含有するのが好ましい。かかる乳化剤添加により、水中油型乳化組成物の保存時の経時的な離水やシマリを抑制することができる。前記乳化剤の含有量は0.01〜0.5重量%であり、より好ましくは0.03〜0.3重量%であり、最も好ましくは0.05〜0.2重量%である。該乳化剤の含有量が、0.01重量%未満であると、水中油型乳化組成物の保存時の経時的な離水やシマリを抑制する効果が低下する傾向にある。逆に、0.5重量%を超えると、水中油型乳化組成物の口溶けが低下するため好ましくない。
本発明においては、水中油型乳化組成物のpHを5.8〜6.5に調整する必要があるが、該pHとすることにより、日持ち性も向上するため、従来から使用されている安息香酸、ソルビン酸、プロタミン、あるいはポリリジンなどの保存料に代えて、より安全性の高い食品用日持ち向上剤であるアミノ酸や卵白リゾチームなどの添加により、パン類や菓子類のフィリングクリームやサンドクリームに要求される日持ち性、例えば20℃、4日、を有する水中油型乳化組成物を得ることができる。抗菌剤として、グリシン0.2〜1重量%、好ましくは0.3〜0.8重量%及び卵白リゾチーム0.001〜0.1重量%、好ましくは0.003〜0.008重量%の添加により、適度な日持ち性を付与することができる。
本発明の水中油型乳化組成物は、例えば以下の手順で調製することができる。
1)加熱融解した油脂及び油溶性成分を含有する油相と無脂乳固形分、糖類及びその他水溶性成分を含有する水相を撹拌混合して、予備乳化する。
2)予備乳化液に対し、乳酸などの有機酸を添加し、または予備乳化液を乳酸発酵して、予備乳化液のpHを5.8〜6.5に調整する。
3)均質化後、加熱して92℃前後達温で加熱殺菌する。
4)再均質化後、油脂の上昇融点より約10℃高い温度(40〜50℃)まで、撹拌しながら冷却する。
5)プラスチックフィルムチューブ等に充填、密封し、5℃冷蔵庫で2〜3日保管し、冷却する。
1)加熱融解した油脂及び油溶性成分を含有する油相と無脂乳固形分、糖類及びその他水溶性成分を含有する水相を撹拌混合して、予備乳化する。
2)予備乳化液に対し、乳酸などの有機酸を添加し、または予備乳化液を乳酸発酵して、予備乳化液のpHを5.8〜6.5に調整する。
3)均質化後、加熱して92℃前後達温で加熱殺菌する。
4)再均質化後、油脂の上昇融点より約10℃高い温度(40〜50℃)まで、撹拌しながら冷却する。
5)プラスチックフィルムチューブ等に充填、密封し、5℃冷蔵庫で2〜3日保管し、冷却する。
上記のpH調整に用いる有機酸としては、酢酸、乳酸、クエン酸、リンゴ酸、酒石酸、フマル酸、アジピン酸、グルコン酸から選択される1種または2種以上が使用できる。有機酸の濃度は特に制限はないが、20〜70重量%の水溶液の利用が好ましい。
また、乳酸発酵により上記pH調整を行う場合は、ヨーグルトスタ−タ−を用い、20〜50℃で、pH5.8〜pH6.5 になるまで行うが、pH3.8〜pH4.8まで醗酵後、アルカリ性塩を用いpH5.8〜pH6.5に調整することもできる。乳酸醗酵に供されるヨーグルト用乳酸菌は、通常のヨーグルトに利用できる高温菌に分類される乳酸菌でラクトバチルス属の単独菌、またはラクトバチルス属とストレプトコッカス属の混合菌ならば、何でも使用可能である。具体的には、ラクトバチルス属としては、ラクトバチルス・ブルガリクス、ラクトバチルス・ラクティス、ラクトバチルス・デルブルッキー、ラクトバチルス・ヘルベチカス、ラクトバチルス・アシドフィルスなどが例示でき、ストレプトコッカス属としてはスクレプトコッカス・サーモフィルスなどが挙げられる。
pH調整後のpHは5.8〜6.5である必要があり、より好ましくは6.0〜6.4であり、最も好ましくは6.2〜6.4である。pHが6.5より高くなると、解乳化不十分で十分な保型性が得られない傾向があるととともに日持ちが悪くなる傾向を示す。pHが5.8より低くなると、解乳化が進みすぎて硬く展延性が低いものになる傾向があり、しかも酸味を感じやすくなる傾向である。本発明においては、pHを5.8〜6.5と調整することにより、殺菌、冷却後に解乳化され、結果としてみずみずしい食感と良好な口溶けを有するペースト性状の水中油型乳化組成物を得ることができる。
次いで、加熱殺菌を、60〜95℃、より好ましくは85〜95℃にて実施する。加熱殺菌後は、必要に応じて前記安定剤を添加する。
殺菌後は、最終段階として冷却を行う。冷却は、油脂の上昇融点より約10℃高い温度(40〜50℃)まで、撹拌しながら冷却し、プラスチックフィルムチューブ等に充填、密封し、5℃冷蔵庫で2〜3日保管し、冷却する。なお、より滑らかな組織のペースト性状とするために、殺菌前または殺菌後に再均質化するのが好ましい。殺菌後の再均質化は、冷却前または冷却後のいずれであってもよい。再均質化圧力は、概ね0〜200Kg/cm2、好ましくは10〜100Kg/cm2である。
上記の工程で得られた水中油型乳化組成物は、柔らかい展延性のあるペースト性状を示し、かつみずみずしい食感と良好な口溶けを有する。また、その硬さはレオメーター測定値として10〜500g/7.065cm2 、好ましくは20〜300g/7.065cm2 (但し、測定条件:品温5℃、直径3cmプランジャー、テーブルスピード5cm/分、不動工業(株)製)の範囲内にあるのが、その他の製菓材料とのすりあわせが容易でフィリング材としての絞り適正、スプレッド材としての展延性を有している点において好ましい。
本発明の水中油型乳化組成物は、みずみずしい食感と良好な口溶けを有するとともに、日持ち性も優れているため、パン類や菓子類の新規なフィリングクリーム、サンドクリームとして幅広く利用することができる。
以下に本発明の実施例を示し本発明をより詳細に説明するが、本発明の精神は以下の実施例に限定されるものではない。なお、例中、%及び部は、いずれも重量基準を意味する。
実施例1
予備乳化タンクへの仕込み総重量40kgにて、油相、水相を調合し、予備乳化を行った。油相は、それぞれ60℃、30分以上の加熱で融解したパーム油中融点部(上昇融点34℃)60部、ヤシ硬化油(上昇融点32℃)40部との混合油40部を油相とし、水46部に脱脂粉乳5部、バターミルクパウダー2部、砂糖7部を加えて水相としたものとを混合し、ホモミキサーにより58℃、30分間予備乳化した後、50%乳酸でpHを6.3に調整した。その後、5,000kPaの均質化圧力で均質化し、撹拌しながら92℃に達するまで加熱し殺菌した。殺菌後に、ホモゲナイザーで10,000kPaの圧力下で再均質化を行い、42℃まで冷却してから、プラスチックフィルムチューブに充填、密封し、5℃冷蔵庫で3日間冷却し、水中油型乳化組成物を得た。かくして得られた水中油型乳化組成物は、みずみずしい食感と良好な口溶けを有するペースト性状を示し、かつ5〜20℃の温度域で優れた保型性を有するものであった。
予備乳化タンクへの仕込み総重量40kgにて、油相、水相を調合し、予備乳化を行った。油相は、それぞれ60℃、30分以上の加熱で融解したパーム油中融点部(上昇融点34℃)60部、ヤシ硬化油(上昇融点32℃)40部との混合油40部を油相とし、水46部に脱脂粉乳5部、バターミルクパウダー2部、砂糖7部を加えて水相としたものとを混合し、ホモミキサーにより58℃、30分間予備乳化した後、50%乳酸でpHを6.3に調整した。その後、5,000kPaの均質化圧力で均質化し、撹拌しながら92℃に達するまで加熱し殺菌した。殺菌後に、ホモゲナイザーで10,000kPaの圧力下で再均質化を行い、42℃まで冷却してから、プラスチックフィルムチューブに充填、密封し、5℃冷蔵庫で3日間冷却し、水中油型乳化組成物を得た。かくして得られた水中油型乳化組成物は、みずみずしい食感と良好な口溶けを有するペースト性状を示し、かつ5〜20℃の温度域で優れた保型性を有するものであった。
比較例1
実施例1において、50%乳酸でpH調整することなく、実施例1同様に水中油型乳化組成物を調製した。得られた水中油型乳化組成物は、粘性の高い液状のものであり、フィリング材として使用し得るものではなかった。
実施例1において、50%乳酸でpH調整することなく、実施例1同様に水中油型乳化組成物を調製した。得られた水中油型乳化組成物は、粘性の高い液状のものであり、フィリング材として使用し得るものではなかった。
実施例2
実施例1の50%乳酸でのpH調整に代えて、実施例1の予備乳化液にヨーグルトスターター1部(ラクトコッカス・ラクチス)を添加し、37℃で10時間発酵を行い、pH4.8の醗酵液を得た。本発酵液を60℃加熱後、炭酸Naを添加してpHを6.3に調整した。その後、実施例1同様に水中油型乳化組成物を調製した。かくして得られた水中油型乳化組成物は、みずみずしい食感と良好な口溶けを有するペースト性状を示し、かつ5〜20℃の温度域で優れた保型性を有するものであった。また、風味的にも独特のコク味を有するものであった。
実施例1の50%乳酸でのpH調整に代えて、実施例1の予備乳化液にヨーグルトスターター1部(ラクトコッカス・ラクチス)を添加し、37℃で10時間発酵を行い、pH4.8の醗酵液を得た。本発酵液を60℃加熱後、炭酸Naを添加してpHを6.3に調整した。その後、実施例1同様に水中油型乳化組成物を調製した。かくして得られた水中油型乳化組成物は、みずみずしい食感と良好な口溶けを有するペースト性状を示し、かつ5〜20℃の温度域で優れた保型性を有するものであった。また、風味的にも独特のコク味を有するものであった。
実施例3
実施例1において、油相40部を32部に、水相の水60部を68部に代えて、また50%乳酸によるpH調整を6.3から5.8に代えて、実施例1同様に水中油型乳化組成物を調製した。得られた水中油型乳化組成物は、みずみずしい食感と良好な口溶けを有するペースト性状を示し、かつ5〜20℃の温度域で優れた保型性を有するものであった。但し、やや酸味のあるものであった。
実施例1において、油相40部を32部に、水相の水60部を68部に代えて、また50%乳酸によるpH調整を6.3から5.8に代えて、実施例1同様に水中油型乳化組成物を調製した。得られた水中油型乳化組成物は、みずみずしい食感と良好な口溶けを有するペースト性状を示し、かつ5〜20℃の温度域で優れた保型性を有するものであった。但し、やや酸味のあるものであった。
実施例4
実施例1において、油相40部を48部に、水相の水60部を52部に代えて、また50%乳酸によるpH調整を6.3から6.5に代えて、実施例1同様に水中油型乳化組成物を調製した。得られた水中油型乳化組成物は、みずみずしい食感と良好な口溶けを有するペースト性状を示し、かつ5〜20℃の温度域で優れた保型性を有するものであった。
実施例1において、油相40部を48部に、水相の水60部を52部に代えて、また50%乳酸によるpH調整を6.3から6.5に代えて、実施例1同様に水中油型乳化組成物を調製した。得られた水中油型乳化組成物は、みずみずしい食感と良好な口溶けを有するペースト性状を示し、かつ5〜20℃の温度域で優れた保型性を有するものであった。
比較例2
実施例1において、油相40部を24部に、水相の60部を76部に代えて、また50%乳酸によるpH調整を6.3から6.2に代えて、実施例1同様に水中油型乳化組成物を調製した。得られた水中油型乳化組成物は、やや保型性に乏しく、フィリング材としての展延性が不十分なものであった。
実施例1において、油相40部を24部に、水相の60部を76部に代えて、また50%乳酸によるpH調整を6.3から6.2に代えて、実施例1同様に水中油型乳化組成物を調製した。得られた水中油型乳化組成物は、やや保型性に乏しく、フィリング材としての展延性が不十分なものであった。
比較例3
実施例1において、油相40部を52部に、水相の水60部を48部に代えて、また50%乳酸によるpH調整を6.3から6.5に代えて、実施例1同様に水中油型乳化組成物を調製した。得られた水中油型乳化組成物は、良好な口溶けであったが、やや油っぽい食感であり、フィリング材としてはやや硬すぎて展延性が不十分なものであった。
実施例1において、油相40部を52部に、水相の水60部を48部に代えて、また50%乳酸によるpH調整を6.3から6.5に代えて、実施例1同様に水中油型乳化組成物を調製した。得られた水中油型乳化組成物は、良好な口溶けであったが、やや油っぽい食感であり、フィリング材としてはやや硬すぎて展延性が不十分なものであった。
表1に、実施例1〜4、比較例1〜3の評価結果を示した。
なお、各評価項目は以下の評価基準で、5℃保存品について、食感、口溶け、展延性を10人のパネラーで官能評価した。保型性は20℃、1日保存後の状態を評価した。評価結果はパネラー評価の平均点で評価し、いずれの項目も ○ 以上を合格とした。
(食感)
◎:みずみずしい ○:やや冷感あり △:冷感に乏しい ×:液状
(口溶け)
◎:非常に良好 ○:良好 △:やや悪い ×:液状
(展延性)
◎:非常に良好 ○:良好 △:やや悪い ×:液状
(保型性)
◎:非常に良好 ○:良好 △:やや悪い ×:液状
なお、各評価項目は以下の評価基準で、5℃保存品について、食感、口溶け、展延性を10人のパネラーで官能評価した。保型性は20℃、1日保存後の状態を評価した。評価結果はパネラー評価の平均点で評価し、いずれの項目も ○ 以上を合格とした。
(食感)
◎:みずみずしい ○:やや冷感あり △:冷感に乏しい ×:液状
(口溶け)
◎:非常に良好 ○:良好 △:やや悪い ×:液状
(展延性)
◎:非常に良好 ○:良好 △:やや悪い ×:液状
(保型性)
◎:非常に良好 ○:良好 △:やや悪い ×:液状
表1に示すように、油脂分32〜48%で、pHを5.8〜6.5に調整した実施例1〜実施例4の水中油型乳化組成物は、いずれもみずみずしい食感と良好な口溶けを有するペースト性状を示し、かつ5〜20℃の温度域で優れた保型性を有するものであった。一方、pH調整しなかった比較例1、油脂分が24%の比較例2では、保型性に乏しく、フィリング材としての展延性が不十分なものであった。また、油脂分が52%の比較例3では、やや油っぽい食感であり、フィリング材としてはやや硬すぎるものであった。
実施例5
予備乳化タンクへの仕込み総重量40kgにて、油相、水相を調合し、予備乳化を行った。油相は、それぞれ60℃、30分以上の加熱で融解したパーム油50部とパーム核油中融点部のエステル交換油(上昇融点32℃)5.6部、ヤシ硬化油(上昇融点32℃)12.8部、パーム低融点部(上昇融点5℃)7部及びバターオイル5.4部との混合油30.8部を油相とし、水46.2部に脱脂粉乳4部、バターミルクパウダー2部、生クリーム(油分47%)10部、砂糖7部、グリシン(昭和電工社製)0.5部、卵白リゾチーム(キューピー社製)0.005部を加えて水相としたものとを混合し、ホモミキサーにより58℃、30分間予備乳化した後、50%乳酸でpHを6.3に調整した。その後、5,000kPaの均質化圧力で均質化し、撹拌しながら92℃に達するまで加熱し殺菌した。殺菌後に、ホモゲナイザーで10,000kPaの圧力下で再均質化を行い、42℃まで冷却してから、プラスチックフィルムチューブに充填、密封し、5℃冷蔵庫で3日間冷却し、水中油型乳化組成物を得た。かくして得られた水中油型乳化組成物は、みずみずしい食感と良好な口溶けを有するペースト性状を示し、かつ5〜20℃の温度域で優れた保型性を有するものであった。また、優れた乳味を有するものであった。
予備乳化タンクへの仕込み総重量40kgにて、油相、水相を調合し、予備乳化を行った。油相は、それぞれ60℃、30分以上の加熱で融解したパーム油50部とパーム核油中融点部のエステル交換油(上昇融点32℃)5.6部、ヤシ硬化油(上昇融点32℃)12.8部、パーム低融点部(上昇融点5℃)7部及びバターオイル5.4部との混合油30.8部を油相とし、水46.2部に脱脂粉乳4部、バターミルクパウダー2部、生クリーム(油分47%)10部、砂糖7部、グリシン(昭和電工社製)0.5部、卵白リゾチーム(キューピー社製)0.005部を加えて水相としたものとを混合し、ホモミキサーにより58℃、30分間予備乳化した後、50%乳酸でpHを6.3に調整した。その後、5,000kPaの均質化圧力で均質化し、撹拌しながら92℃に達するまで加熱し殺菌した。殺菌後に、ホモゲナイザーで10,000kPaの圧力下で再均質化を行い、42℃まで冷却してから、プラスチックフィルムチューブに充填、密封し、5℃冷蔵庫で3日間冷却し、水中油型乳化組成物を得た。かくして得られた水中油型乳化組成物は、みずみずしい食感と良好な口溶けを有するペースト性状を示し、かつ5〜20℃の温度域で優れた保型性を有するものであった。また、優れた乳味を有するものであった。
比較例4
実施例5において、50%乳酸でpH調整することなく、実施例5同様に水中油型乳化組成物を調製した。得られた水中油型乳化組成物は、粘性の高い液状のものであり、フィリング材として使用し得るものではなかった。
実施例5において、50%乳酸でpH調整することなく、実施例5同様に水中油型乳化組成物を調製した。得られた水中油型乳化組成物は、粘性の高い液状のものであり、フィリング材として使用し得るものではなかった。
比較例5
実施例5において、50%乳酸によるpH調整を6.3から5.7に代えて、実施例1同様に水中油型乳化組成物を調製した。得られた水中油型乳化組成物は、良好な口溶けであったが、酸味が強く、やや油っぽい食感であり、フィリング材としてはやや硬すぎて展延性が不十分なものであった。
実施例5において、50%乳酸によるpH調整を6.3から5.7に代えて、実施例1同様に水中油型乳化組成物を調製した。得られた水中油型乳化組成物は、良好な口溶けであったが、酸味が強く、やや油っぽい食感であり、フィリング材としてはやや硬すぎて展延性が不十分なものであった。
比較例6
実施例5において、50%乳酸によるpH調整を6.3から6.6に代えて、実施例1同様に水中油型乳化組成物を調製した。得られた水中油型乳化組成物は、やや保型性に乏しく、フィリング材としての展延性が不十分なものであった。
実施例5において、50%乳酸によるpH調整を6.3から6.6に代えて、実施例1同様に水中油型乳化組成物を調製した。得られた水中油型乳化組成物は、やや保型性に乏しく、フィリング材としての展延性が不十分なものであった。
実施例6
実施例5において、ヤシ硬化油12.8部を8部に、水46.2部を41部に、生クリーム10部を20部に代えて、実施例5同様に水中油型乳化組成物を調製した。かくして得られた水中油型乳化組成物は、みずみずしい食感と良好な口溶けを有するペースト性状を示し、かつ5〜20℃の温度域で優れた保型性を有するものであった。また、乳味も格段に優れるものであった。なお、製造直後の5℃におけるレオメーター測定値は44gであった。
実施例5において、ヤシ硬化油12.8部を8部に、水46.2部を41部に、生クリーム10部を20部に代えて、実施例5同様に水中油型乳化組成物を調製した。かくして得られた水中油型乳化組成物は、みずみずしい食感と良好な口溶けを有するペースト性状を示し、かつ5〜20℃の温度域で優れた保型性を有するものであった。また、乳味も格段に優れるものであった。なお、製造直後の5℃におけるレオメーター測定値は44gであった。
実施例7
実施例6において、ヤシ硬化油8部をヤシ硬化油7.5部とハイエルシン菜種極度硬化油0.5部に代えて、実施例6同様に水中油型乳化組成物を調製した。かくして得られた水中油型乳化組成物は、みずみずしい食感を有するペースト性状を示し、かつ5〜20℃の温度域で優れた保型性を有するものであった。口溶けは実施例6対比でやや悪くなる傾向であったが、乳味は優れるものであった。なお、製造直後の5℃におけるレオメーター測定値は80gであった。
実施例6において、ヤシ硬化油8部をヤシ硬化油7.5部とハイエルシン菜種極度硬化油0.5部に代えて、実施例6同様に水中油型乳化組成物を調製した。かくして得られた水中油型乳化組成物は、みずみずしい食感を有するペースト性状を示し、かつ5〜20℃の温度域で優れた保型性を有するものであった。口溶けは実施例6対比でやや悪くなる傾向であったが、乳味は優れるものであった。なお、製造直後の5℃におけるレオメーター測定値は80gであった。
実施例8
実施例6において、ヤシ硬化油8部をヤシ硬化油7.6部、ハイエルシン菜種極度硬化油0.3部及びショ糖脂肪酸エステル(商品名:DKエステル F−10,HLB1、第一工業製薬株式会社製)0.1部に代えて、実施例6同様に水中油型乳化組成物を調製した。かくして得られた水中油型乳化組成物は、みずみずしい食感を有するペースト性状を示し、かつ5〜20℃の温度域で優れた保型性を有するものであった。口溶けは実施例6対比でやや悪くなる傾向であったが、乳味は優れるものであった。なお、製造直後の5℃におけるレオメーター測定値は60gであった。
実施例6において、ヤシ硬化油8部をヤシ硬化油7.6部、ハイエルシン菜種極度硬化油0.3部及びショ糖脂肪酸エステル(商品名:DKエステル F−10,HLB1、第一工業製薬株式会社製)0.1部に代えて、実施例6同様に水中油型乳化組成物を調製した。かくして得られた水中油型乳化組成物は、みずみずしい食感を有するペースト性状を示し、かつ5〜20℃の温度域で優れた保型性を有するものであった。口溶けは実施例6対比でやや悪くなる傾向であったが、乳味は優れるものであった。なお、製造直後の5℃におけるレオメーター測定値は60gであった。
実施例9
実施例5において、加熱殺菌後の予備乳化液100部に対し、ローカストビーンガム0.2部(セサルピニアL−A:CESALPINIA FOOD SPA社製)を添加し、実施例5同様に水中油型乳化組成物を調製した。かくして得られた水中油型乳化組成物は、みずみずしい食感を有するペースト性状を示し、かつ5〜20℃の温度域で優れた保型性を有するものであった。口溶けは実施例6対比でやや悪くなる傾向であったが、乳味は優れるものであった。なお、製造直後の5℃におけるレオメーター測定値は90gであった。
実施例5において、加熱殺菌後の予備乳化液100部に対し、ローカストビーンガム0.2部(セサルピニアL−A:CESALPINIA FOOD SPA社製)を添加し、実施例5同様に水中油型乳化組成物を調製した。かくして得られた水中油型乳化組成物は、みずみずしい食感を有するペースト性状を示し、かつ5〜20℃の温度域で優れた保型性を有するものであった。口溶けは実施例6対比でやや悪くなる傾向であったが、乳味は優れるものであった。なお、製造直後の5℃におけるレオメーター測定値は90gであった。
実施例10
実施例5において、加熱殺菌後の予備乳化液100部に対し、ゼラチン(ゼラチン BP−230F:ニッピ社製)]0.5部を添加し、実施例5同様に水中油型乳化組成物を調製した。かくして得られた水中油型乳化組成物は、みずみずしい食感を有するペースト性状を示し、かつ5〜20℃の温度域で優れた保型性を有するものであった。口溶けは、実施例7及び実施例8より良好であるが実施例6対比ではやや悪くなる傾向であった。乳味は優れるものであった。なお、製造直後の5℃におけるレオメーター測定値は360gであった。
実施例5において、加熱殺菌後の予備乳化液100部に対し、ゼラチン(ゼラチン BP−230F:ニッピ社製)]0.5部を添加し、実施例5同様に水中油型乳化組成物を調製した。かくして得られた水中油型乳化組成物は、みずみずしい食感を有するペースト性状を示し、かつ5〜20℃の温度域で優れた保型性を有するものであった。口溶けは、実施例7及び実施例8より良好であるが実施例6対比ではやや悪くなる傾向であった。乳味は優れるものであった。なお、製造直後の5℃におけるレオメーター測定値は360gであった。
実施例11
実施例6において、ヤシ硬化油8部をヤシ硬化油7.5部とハイエルシン菜種極度硬化油0.5部に代えて、また加熱殺菌後の予備乳化液100部に対し、ゼラチン0.3部を添加し、実施例5同様に水中油型乳化組成物を調製した。かくして得られた水中油型乳化組成物は、みずみずしい食感と良好な口溶けを有するペースト性状を示し、かつ5〜20℃の温度域で優れた保型性を有するものであった。また、乳味も格段に優れるものであった。なお、製造直後の5℃におけるレオメーター測定値は120gであった。
実施例6において、ヤシ硬化油8部をヤシ硬化油7.5部とハイエルシン菜種極度硬化油0.5部に代えて、また加熱殺菌後の予備乳化液100部に対し、ゼラチン0.3部を添加し、実施例5同様に水中油型乳化組成物を調製した。かくして得られた水中油型乳化組成物は、みずみずしい食感と良好な口溶けを有するペースト性状を示し、かつ5〜20℃の温度域で優れた保型性を有するものであった。また、乳味も格段に優れるものであった。なお、製造直後の5℃におけるレオメーター測定値は120gであった。
実施例6〜実施例11で調製した水中油型乳化組成物はいずれも食感、口溶け、展延性、保型性に優れるものであったが、これらの製造直後(5℃、3日冷却後)の水中油型乳化組成物を5℃、2週間保存し、経時的に離水とシマリを評価した。離水耐性は ± 以上、シマリは ○ 以上を合格とした。
(離水耐性)
−:離水なし ±:わずかに離水あり +:離水あり ++:離水多い
(シマリ)
◎:シマリなし ○:わずかにシマリ △:シマリあり ×:シマリが激しい
なお、シマリについてはレオメーター測定で、硬さが製造直後の1.2倍以内を◎、1.2〜1.5倍を○、1.5〜2倍を△、2倍以上を×と評価した。
(離水耐性)
−:離水なし ±:わずかに離水あり +:離水あり ++:離水多い
(シマリ)
◎:シマリなし ○:わずかにシマリ △:シマリあり ×:シマリが激しい
なお、シマリについてはレオメーター測定で、硬さが製造直後の1.2倍以内を◎、1.2〜1.5倍を○、1.5〜2倍を△、2倍以上を×と評価した。
表3に示すように、ハイエルシン菜種極度硬化油、安定剤のローカストビーンガム、ゼラチン及び炭素数16〜22の飽和脂肪酸を含有するHLB4.5以下のショ糖脂肪酸エステルのいずれか1種または2種以上を添加した実施例7〜実施例11は、いずれも無添加の実施例6より優れた離水耐性とシマリ耐性を示した。
本発明により、パン類や菓子類のフィリング材として利用可能な、みずみずしい食感と良好な口溶け及び適度な保型性を有する新規な水中油型乳化組成物を、より簡便に製造することができる方法の提供が可能となった。
Claims (4)
- 40〜70重量%の水相と、15〜50重量%の油相からなる水中油型乳化物であって、2〜20重量%の無脂乳固形分を含む水中油型乳化物を有機酸または乳酸発酵によりpH5.8〜6.5にpH調整し、冷却することを特徴とする水中油型乳化組成物の製造方法。
- 油相中の乳脂肪含量が水中油型乳化組成物に対し、5〜25重量%である、請求項1記載の水中油型乳化組成物の製造方法。
- 油相中の油脂成分として、ハイエルシン菜種油極度硬化油を水中油型乳化組成物に対し0.2〜2重量%含有する請求項1または請求項2記載の水中油型乳化組成物の製造方法。
- さらに安定剤を添加する請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の水中油型乳化組成物の製造方法。
Applications Claiming Priority (2)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
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