JP2017183510A - 有機el素子 - Google Patents

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Abstract

【課題】寿命を向上させた有機EL素子を提供する。
【解決手段】陽極と、ホール輸送層13と、発光層14と、電子輸送層15と、陰極とを順に備えた有機EL素子において、ホール輸送層のLUMO準位131と発光層のLUMO準位141の差ΔE1と、発光層のLUMO準位141と電子輸送層のLUMO準位151の差ΔE2と、ホール輸送層の電子移動度μe1と、発光層の電子移動度μe2と、電子輸送層の電子移動度μe3とが、それぞれ特定の関係式を満たし、発光層のHOMO準位142と電子輸送層のHOMO準位152の差ΔHと、発光層のホール移動度μh2と、電子輸送層のホール移動度μh3とが、特定の関係式を満たす有機EL素子。
【選択図】図2

Description

本発明は、有機EL素子における電荷注入性に関する。
近年、表示装置や照明装置に有機EL素子が利用されつつある。
有機EL素子は、陽極および陰極の間に、少なくとも発光層が挟まれた構成を有している。そして、有機EL素子は、多くの場合、ホール輸送層が陽極と発光層との間に挟まれ、電子輸送層が発光層と陰極との間にさらに挟まれた構成を有している。
ホール輸送層は、電子移動度よりもホール移動度が大きい材料(以下、「ホール輸送性材料」)で構成され、発光層にホールを供給するために設けられる。電子輸送層は、ホール移動度よりも電子移動度が大きい材料(以下、「電子輸送性材料」)で構成され、発光層に電子を供給するために設けられる。
陽極と陰極との間に電圧が印加されると、電子輸送層から発光層の最低空軌道(LUMO:Lowest Unoccupied Molecular Orbital)に電子が注入され、ホール輸送層から発光層の最高被占軌道(HOMO:Highest Occupied Molecular Orbital)にホールが注入される。発光層内には、陽極と陰極との間に印加された電圧により電界が発生している。発光層のLUMOに注入された電子は、電界の影響を受けて発光層内を陽極に向けて移動する。一方、発光層のHOMOに注入されたホールは、電界の影響を受けて発光層内を陰極に向けて移動する。こうして発光層内を移動した電子とホールとが再結合すると励起子が生成される。この励起子が励起状態から基底状態に戻る際に発光が生じる(特許文献1)。
特開2004−514257公報
有機EL素子の寿命に影響する因子は種々存在する。その中に発光層を形成する有機材料の劣化がある。有機材料の劣化は、有機EL素子の駆動により促進されることが知られている。これは、有機EL素子の駆動時に励起子は一定の割合で光を放射せずに失活(以下、「無放射失活」)するが、無放射失活する励起子のエネルギーの一部が熱や振動となり有機材料を劣化させるためである。
通常、発光層内の膜厚方向における励起子の密度分布は、発光層が電子輸送性材料で構成されているとホール輸送層との界面近傍に集中し、発光層がホール輸送性材料で構成されていると電子輸送層との界面近傍に集中する(以下、「分布」は、特に指定のない限り、膜厚方向の分布を指すこととする)。その結果、励起子の密度分布が集中する位置では、有機材料の劣化が特に促進される。
このような有機材料の局所的な劣化は発光層の寿命を律速すると考えられるので、励起子の密度分布が一か所に集中することは、有機EL素子の長寿命化の阻害要因になるという問題がある。
本発明は、上記の問題点に鑑みてなされたものであり、寿命を向上させた有機EL素子を提供することを目的とする。
上記目的を達成するために、本発明の一態様に係る有機EL素子は、陽極と、前記陽極の上方に配され、最高被占軌道(HOMO)と最低空軌道(LUMO)を有する第1有機半導体を含有するホール輸送層と、前記ホール輸送層上に配され、HOMOとLUMOを有する第2有機半導体を含有する発光層と、前記発光層上に配され、HOMOとLUMOを有する第3有機半導体を含有する電子輸送層と、前記電子輸送層の上方に配された陰極とを備え、前記第2有機半導体の電子移動度は、前記第2有機半導体のホール移動度よりも大きく、前記第1有機半導体のLUMOのエネルギー準位と前記第2有機半導体のLUMOのエネルギー準位の差ΔE1[eV]と、前記第1有機半導体の電子移動度μe1と、前記第2有機半導体の電子移動度μe2とが、μe1<μe2において、
Figure 2017183510
の関係式を満たし、μe1≧μe2において、
Figure 2017183510
の関係式を満たし、前記第2有機半導体のLUMOのエネルギー準位と前記第3有機半導体のLUMOのエネルギー準位の差ΔE2[eV]と、前記第2有機半導体の電子移動度μe2と、前記第3有機半導体の電子移動度μe3とが、μe2<μe3において、
Figure 2017183510
の関係式を満たし、μe2≧μe3において、
Figure 2017183510
の関係式を満たし、前記第2有機半導体のHOMOのエネルギー準位と前記第3有機半導体のHOMOのエネルギー準位の差ΔH[eV]と、前記第2有機半導体のホール移動度μh2と、前記第3有機半導体のホール移動度μh3とが、μh3<μh2において、
Figure 2017183510
の関係式を満たし、μh3≧μh2において、
Figure 2017183510
の関係式を満たす。
上記目的を達成するために、本発明の他の一態様に係る有機EL素子は、陽極と、前記陽極の上方に配され、最高被占軌道(HOMO)と最低空軌道(LUMO)を有する第1有機半導体を含有するホール輸送層と、前記ホール輸送層上に配され、HOMOとLUMOを有する第2有機半導体を含有する発光層と、前記発光層上に配され、HOMOとLUMOを有する第3有機半導体を含有する電子輸送層と、前記電子輸送層の上方に配された陰極とを備え、前記第2有機半導体のホール移動度は、前記第2有機半導体の電子移動度よりも大きく、前記第3有機半導体のHOMOのエネルギー準位と前記第2有機半導体のHOMOのエネルギー準位の差ΔH1[eV]と、前記第3有機半導体のホール移動度μh3と、前記第2有機半導体のホール移動度μh2とが、μh3<μh2において、
Figure 2017183510
の関係式を満たし、μh3≧μh2において、
Figure 2017183510
の関係式を満たし、前記第2有機半導体のHOMOのエネルギー準位と前記第1有機半導体のHOMOのエネルギー準位の差ΔH2[eV]と、前記第2有機半導体のホール移動度μh2と、前記第1有機半導体のホール移動度μh1とが、μh2<μh1において、
Figure 2017183510
の関係式を満たし、μh2≧μh1において、
Figure 2017183510
の関係式を満たし、前記第2有機半導体のLUMOのエネルギー準位と前記第1有機半導体のLUMOのエネルギー準位の差ΔE[eV]と、前記第2有機半導体の電子移動度μe2と、前記第1有機半導体の電子移動度μe1とが、μe1<μe2において、
Figure 2017183510
の関係式を満たし、μe1≧μe2において、
Figure 2017183510
の関係式を満たす。
上記目的を達成するために、本発明のさらに他の一態様に係る有機EL素子は、陽極と、前記陽極の上方に配され、最高被占軌道(HOMO)と最低空軌道(LUMO)を有する第1有機半導体を含有するホール輸送層と、前記ホール輸送層上に配され、HOMOとLUMOを有する第2有機半導体を含有する発光層と、前記発光層上に配され、HOMOとLUMOを有する第3有機半導体を含有する電子輸送層と、前記電子輸送層の上方に配された陰極とを備え、前記第2有機半導体の電子移動度と、前記第2有機半導体のホール移動度とが同等であり、前記第1有機半導体のLUMOのエネルギー準位と前記第2有機半導体のLUMOのエネルギー準位の差ΔE[eV]と、前記第1有機半導体の電子移動度μe1と、前記第2有機半導体の電子移動度μe2とが、μe1<μe2において、
Figure 2017183510
の関係式を満たし、μe1≧μe2において、
Figure 2017183510
の関係式を満たし、前記第2有機半導体のHOMOのエネルギー準位と前記第3有機半導体のHOMOのエネルギー準位の差ΔH[eV]と、前記第2有機半導体のホール移動度μh2と、前記第3有機半導体のホール移動度μh3とが、μh3<μh2において、
Figure 2017183510
の関係式を満たし、μh3≧μh2において、
Figure 2017183510
の関係式を満たす。
本発明に係る有機EL素子では、発光層内において電子輸送層との界面近傍と、ホール輸送層との界面近傍との2つの位置で励起子の密度のピークが生じる。この場合、それぞれのピークの高さは、ホール輸送層との界面近傍と電子輸送層その界面近傍との何れか一方にのみ励起子の密度のピークが生じる場合に比べて低く抑えられる。
従って、本発明に係る有機EL素子では、発光層の局所的な劣化を抑制して長寿命化を実現することができる。
第1の実施形態に係る有機EL素子の構成を模式的に示す図である。 第1の実施形態に係る有機EL素子のエネルギーバンド構造を示すバンドダイアグラムである。 励起子の密度分布および再結合レートを示す図であり、(a)は比較例を示し、(b)は実施例においてΔE2が0.14[eV]である場合を示し、(b)は実施例においてΔE2が0.325[eV]である場合を示す。 励起子の密度分布および再結合レートを示す図であり、(a)は実施例においてΔE2が0.35[eV]である場合を示し、(b)は実施例においてΔE2が0.44[eV]である場合を示し、(b)は実施例においてΔE2が0.5[eV]である場合を示す。 (a)は、比較例とエネルギー障壁ΔE2の値が異なる実施例毎に、ホール輸送層との界面近傍での励起子の密度ピーク値を示したグラフであり、(b)は、比較例とエネルギー障壁ΔE2の値が異なる実施例毎に、電子輸送層との界面近傍での励起子の密度ピーク値を示したグラフであり、(c)は、比較例とエネルギー障壁ΔE2の値が異なる実施例毎に、励起子密度比を示したグラフである。 (a)は、比較例とエネルギー障壁ΔE2の値が異なる実施例毎に、ホール輸送層との界面近傍での再結合レートのピーク値を示したグラフであり、(b)は、比較例とエネルギー障壁ΔE2の値が異なる実施例毎に、電子輸送層との界面近傍での再結合レートのピーク値を示したグラフであり、(c)は、比較例とエネルギー障壁ΔE2の値が異なる実施例毎に、再結合レート比を示したグラフである。 (a)は、エネルギー障壁ΔE2と励起子密度比との関係を示したグラフであり、(b)は、パラメータP2と励起子密度比との関係を示したグラフである。 エネルギー障壁φから算出したexp(-qφ/kT)と、移動度比μy/μxとの等価関係を示すテーブルである。 (a)は、エネルギー障壁ΔHの値毎に、発光層と電子輸送層との界面近傍でのホールの密度分布を示したグラフであり、(b)は、エネルギー障壁ΔHと発光層内におけるホールの密度ピーク値との関係を示したグラフである。 (a)は、エネルギー障壁ΔHの値毎に、発光層と電子輸送層との界面近傍での再結合レートを示したグラフであり、(b)は、エネルギー障壁ΔHと発光層内における再結合レートのピーク値との関係を示したグラフである。 変形例1に係る有機EL素子のエネルギーバンド構造を示すバンドダイアグラムである。 第2の実施形態に係る有機EL表示パネルの部分断面図である。 第2の実施形態に係る有機EL素子の製造過程の一部を模式的に示す部分断面図であって、(a)は、TFT基板であり、(b)は、TFT基板上に陽極が形成された状態、(c)は、TFT基板および陽極上に隔壁層が形成された状態、(d)は、隔壁層の開口部内において陽極上にホール注入層が形成された状態、(e)は、隔壁層の開口部内においてホール注入層上にホール輸送層が形成された状態、(f)は、隔壁層の開口部内においてホール輸送層上に発光層が形成された状態を示す。 図13の続きの有機EL素子の製造過程の一部を模式的に示す部分断面図であって、(a)は、発光層および隔壁層上に電子輸送層が形成された状態、(b)は、電子輸送層上に電子注入層が形成された状態(c)は、電子輸送層上に対向電極が形成された状態、(d)は、対向電極上に封止層が形成された状態を示す。 第2の実施形態に係る有機EL素子を備えた有機EL表示装置の構成を示すブロック図である。
以下、実施の形態にかかる有機EL素子について説明する。なお、以下の説明は、本発明の一態様に係る構成および作用・効果を説明するための例示であって、本発明の本質的部分以外は以下の形態に限定されない。
<第1の実施形態>
[1.有機EL素子の構成]
図1は、本実施形態に係る有機EL素子1の断面構造を模式的に示す図である。有機EL素子1は、陽極11、ホール注入層12、ホール輸送層13、発光層14、電子輸送層15、電子注入層16、および陰極17を備える。
有機EL素子1において、陽極11の上方にホール輸送層13が配され、ホール輸送層上に発光層14が配され、発光層14上に電子輸送層15が配され、電子輸送層15の上方に陰極17が配されている。
ホール注入層12は、陽極11から発光層14へのホールの注入を促進させる機能を有する。
ホール輸送層13は、第1有機半導体を含有する。第1有機半導体としてはホール輸送性材料である公知の有機材料を利用することができ、ホール輸送層13は、ホール注入層12から注入されたホールを発光層14へ輸送する機能を有する。
ホール輸送層13と電子輸送層15とに挟まれて、この両方に接して形成されている発光層14は、ホールと電子の再結合により光を出射する機能を有する。発光層14は、第2有機半導体を含有する。第2有機半導体としては、電子輸送性材料である公知の有機材料を利用することができる。
電子輸送層15は、第3有機半導体を含有する。第3有機半導体としては電子輸送性材料である公知の有機材料を利用することができ、電子輸送層15は、電子注入層16から注入された電子を発光層14へ輸送する機能を有する。
電子注入層16は、金属および金属酸化物の何れかを含む機能層である。電子注入層16は、陰極17から電子輸送層15への電子注入性を高める機能を有する。
以上が有機EL素子1の構成である。
[2.キャリアの蓄積の特性]
励起子の形成には、電子とホールとを近接させる必要があり、一般に、励起子の形成位置は、有機EL素子1の定常状態における電子とホールとの密度分布と相関することが知られている。
発光層14において、電子およびホールといった電荷のキャリアの蓄積は、ホール輸送層13との界面、および電子輸送層15との界面で生じる。そこで、電子輸送層15と発光層14との界面、および発光層14とホール輸送層13との界面におけるキャリアの蓄積の特性を、有機半導体Xと有機EL素子Yとを接合したモデルを用いて検討した。ここでは、キャリアの移動度がμxである有機半導体Xと、キャリアの移動度がμyである有機半導体Yとを接合し、電界Eを加えて有機半導体Xから有機半導体Yへキャリアを注入することを想定する。
例えば、有機半導体におけるキャリア移動度を示すプール・フレンケル伝導モデルを参考にすると、有機半導体Xと有機EL素子Yとを接合したモデルでは、移動度μxより移動度μyが小さいと、有機半導体Yに注入されたキャリアが界面近傍のトラップサイトから対極へ向けて拡散しきる前に、有機半導体Xから新たなキャリアの注入が生じることがある。この場合、新たなキャリアの注入が阻害されることによって、有機半導体Xから有機半導体Yへの注入電流Jが制限され、有機半導体Xでは、界面近傍でキャリアの蓄積が生じる。
そのため、有機半導体Xにおいて有機半導体Yとの界面近傍におけるキャリアの蓄積の特性は、注入電流Jの大きさと相関関係にあると考えられる。
一般に金属−半導体界面での電荷注入モデルとしては、熱電子放出−拡散モデルが知られている。熱電子放出−拡散モデルにおいて注入電流Jは、式1で表される。
Figure 2017183510
φは界面におけるキャリア注入のエネルギー障壁であり、μは半導体におけるキャリアの移動度である。kはボルツマン定数、Tは温度である。
式1で注入電流Jは、注入障壁φだけではなく、移動度μにも依存している。そこで、式1の移動度μに、有機半導体におけるキャリア移動度を示すプール・フレンケル伝導モデルの式2を代入することで、式3が得られる。
Figure 2017183510
Figure 2017183510
εaは、有機半導体における無電界でのトラップキャリアの活性化エネルギーである(以下、トラップキャリアの活性化エネルギーを、単に「活性化エネルギー」と表記する)。μ0はμ0・exp(−εa/kT)によって無電界での移動度が得られる定数である。
つまり、注入電流Jは式4のように、exp[−(εa+qφ)/kT]に比例する。
Figure 2017183510
よって、式3で「活性化エネルギーεa」と「注入障壁φ」とが、注入電流Jに及ぼす影響は、等価であると考えられる。
ここで式3は金属−半導体界面での電荷注入に関する熱電子放出−拡散モデルをベースにしたものである。これを有機半導体Xと有機半導体Yとを接合したモデルに拡張するために、有機半導体Xにおける無電界での活性化エネルギーがεaxであり、有機半導体Yにおける無電界での活性化エネルギーがεayであることを想定し、εa=εay−εaxの関係を導入する。これにより、式3は、式5のように変形できる。
Figure 2017183510
さらに、プール・フレンケル伝導モデルの式2に活性化エネルギーεax、εayを用いることで、有機半導体Xでのキャリアの移動度μx、有機半導体Yでのキャリアの移動度μyは、それぞれ式6、式7で表すことができる。
Figure 2017183510
Figure 2017183510
式6、式7において無電界での移動度に関する定数μ0、および電界係数βが同じ値であるとすると、移動度μxに対する移動度μyの比率μy/μxと、活性化エネルギーとの関係を示す式8を導出することができる。(以下、キャリア注入元の移動度に対するキャリア注入先の移動度の比率を「移動度比」という。)
Figure 2017183510
式8における活性化エネルギーと移動度比μy/μxとの関係から、式5は、式9のように表すことができる。
Figure 2017183510
よって、式4は、有機半導体Xと有機半導体Yとを接合したモデルに拡張した場合、式10のように表すことができる。
Figure 2017183510
つまり、「移動度比μy/μx」と、注入障壁φを用いた「exp(-qφ/kT)」とが注入電流Jに及ぼす影響が等価であると考えられる。例えば、電界Eが1.00×10-5[cm2/Vs]である場合に、素電荷qに1.602176565×10-19[c]、ボルツマン定数kに1.3806488×10-23[J/K]、温度Tに300[K]の各値を用いて、0.05から0.2までの範囲で注入障壁φから算出したexp(-qφ/kT)の値は、図8の表のように、μy/μxの値と対応付けることができる。
この表において二重線で区切った行に示すように、電界Eが1.00×10-5[cm2/Vs]である場合に、注入障壁φが0.1[eV]であることと、移動度比μy/μxが2.090×10-2であることとは注入電流Jに及ぼす影響が等価である。そのため、注入障壁φが0[eV]であっても注入障壁φが0.1[eV]である場合と同じ注入電流Jを実現するためには、移動度μxが2.090×10-2である有機半導体Xを用いる場合、有機半導体Yとして移動度μyが4.37×10-4である有機材料を用いればよい。
ここで、有機半導体Xにおいて有機半導体Yとの界面近傍におけるキャリアの蓄積の特性は、上述のように注入電流Jの大きさと相関すると考えられるため、μy/μxとexp(-qφ/kT)との積であるパラメータPに影響を受けると考えられる。
具体的には、パラメータPは、キャリアの注入性、蓄積性を指標する。注入先の有機半導体Yにおける移動度μyが注入元の有機半導体Xにおける移動度μxに比べて小さい程、パラメータPは小さくなり、キャリアが注入しにくくなる。この時、有機半導体Xでは有機半導体Yとの界面近傍におけるキャリアの蓄積性が高まる。また、注入障壁φが大きい程、パラメータPが小さくなり、キャリアが注入しにくくなる。この時にも、有機半導体Xでは有機半導体Yとの界面近傍におけるキャリアの蓄積性が高まる。
Figure 2017183510
Figure 2017183510
Figure 2017183510
そこで、本実施の形態に係る有機EL素子1では、発光層14からホール輸送層13への電子注入性に関するパラメータP1、電子輸送層15から発光層14への電子注入性に関するパラメータP2、および発光層14から電子輸送層15へのホール注入性に関するパラメータP3が、後述する範囲の値となるように、第1有機半導体、第2有機半導体、および第3有機半導体に用いる有機材料を、適宜、選択している。
なお、注入先の移動度μyが注入元の移動度μxより小さいとき、即ち、μy<μxのときは、注入先の有機半導体Yにおいてキャリアが界面近傍のトラップサイトから拡散しづらいため、有機半導体Yへキャリアを注入しにくくなる。そのため、注入障壁φだけではなく、移動度比μy/μxがキャリアの注入性、蓄積性に寄与する。
しかし、逆に注入先の移動度μyが注入元の移動度μxより大きい、または、注入先の移動度μyが注入元の移動度μxと同じであるとき、即ち、μy≧μxのときは、有機半導体Yの界面近傍におけるトラップサイトでキャリアの供給より拡散が大きく、または同等になる。そのため、トラップサイトの空きの少なさによる有機半導体Yへのキャリア注入のしにくさはなくなり、移動度比μy/μxがキャリアの注入性、蓄積性に寄与しなくなる。この場合、パラメータPでは、移動度比μy/μxが1とみなされ、注入障壁φのみに支配される。
そのため、パラメータP1は、電子移動度μe1が電子移動度μe2よりも小さく、μe1/μe2が発光層14からホール輸送層13への電子注入性に寄与する場合、図2に示すエネルギーバンド図におけるエネルギー障壁ΔE1、ホール輸送層13の電子移動度μe1、発光層14の電子移動度μe2を用いて式12で示される。
Figure 2017183510
また、電子移動度μe1が電子移動度μe2と同じ、または、電子移動度μe1が電子移動度μe2よりも大きく、μe1/μe2が発光層14からホール輸送層13への電子注入性に寄与しない場合、パラメータP1は、エネルギー障壁ΔE1を用いて式13で示される。
Figure 2017183510
パラメータP2は、電子移動度μe2が電子移動度μe3よりも小さく、μe2/μe3が電子輸送層15から発光層14への電子注入性に寄与する場合、エネルギー障壁ΔE2、発光層14の電子移動度μe2、電子輸送層15の電子移動度μe3を用いて式14で示される。
Figure 2017183510
また、電子移動度μe2が電子移動度μe3と同じ、または電子移動度μe2が電子移動度μe3よりも大きく、μe2/μe3が電子輸送層15から発光層14への電子注入性に寄与しない場合、パラメータP2は、エネルギー障壁ΔE2を用いて式15で示される。
Figure 2017183510
パラメータP3は、ホール移動度μh3がホール移動度μh2よりも小さく、μh3/μh2が発光層14から電子輸送層15へのホール注入性に寄与する場合、エネルギー障壁ΔH、電子輸送層15のホール移動度μh3、発光層14のホール移動度μh2を用いて式16で示される。
Figure 2017183510
また、ホール移動度μh3がホール移動度μh2と同じ、またはホール移動度μh3がホール移動度μh2よりも大きく、μh3/μh2が発光層14から電子輸送層15へのホール注入性に寄与しない場合、パラメータP3は、エネルギー障壁ΔHを用いて式17で示される。
Figure 2017183510
なお、図2では、第1有機半導体のLUMOのエネルギー準位(以下、「LUMO準位」)およびHOMOのエネルギー準位(以下、「HOMO準位」)をホール輸送層13のLUMO準位131およびHOMO準位132として示し、第2有機半導体のLUMO準位およびHOMO準位を発光層14のLUMO準位141およびHOMO準位142として示し、第3有機半導体のLUMO準位およびHOMO準位を電子輸送層15のLUMO準位151およびHOMO準位152として示している。以下、各層に含有される有機半導体のLUMO準位およびHOMO準位を、それぞれの層のLUMO準位およびHOMO準位と表記する。
[3.パラメータP2]
計算実験により、有機EL素子1の膜厚方向における励起子の密度分布および再結合レート分布を求め、適切なパラメータP2の値を検討した。
先ず比較例として、エネルギー障壁ΔE1を0.26[eV]、エネルギー障壁ΔE2を0.01[eV]、エネルギー障壁ΔHを0[eV]とした有機EL素子における励起子の密度分布および再結合レートを、計算実験により求めた。この計算実験では、発光層での電子移動度μe2に対するホール輸送層での電子移動度μe1の移動度比μe1/μe2は、4.444×101とし、電子輸送層での電子移動度μe3に対する発光層での電子移動度μe2の移動度比μe2/μe3は、9.818×10-2とし、発光層でのホール移動度μh2に対する電子輸送層でのホール移動度μh3の移動度比μh3/μh2は、6.667×10-1とした。また、発光層において電子移動度μe2をホール移動度μh2よりも3倍程度大きく設定した。
その結果、比較例では、図3(a)に示すように、発光層内における励起子の密度が、ホール輸送層との界面近傍で最大となり、電子輸送層に近づくほど低下した。特に、発光層内で電子輸送層との界面近傍で励起子の密度分布にピークは生じなかった。
再結合レートも、発光層内ではホール輸送層との界面近傍で最大となった。発光層と電子輸送層15との界面では、再結合レートのピークが電子輸送層側に生じ、発光層側では低いものとなった。
これらのことから、比較例では、励起子の密度および再結合レートの両方でピークが生じたホール輸送層との界面近傍の位置で発光層が劣化することが推定される。
次に、本実施の形態に係る有機EL素子1の計算実験では、エネルギー障壁ΔE1を0.26[eV]、エネルギー障壁ΔHを0.47[eV]に固定し、エネルギー障壁ΔE2を様々な値に変化させて、励起子の密度分布および再結合レートを求めた。この計算実験では、発光層14での電子移動度μe2に対するホール輸送層13での電子移動度μe1の移動度比μe1/μe2を4.444×101とし、電子輸送層15での電子移動度μe3に対する発光層14での電子移動度μe2の移動度比μe2/μe3を9.818×10-2とし、発光層14でのホール移動度μh2に対する電子輸送層15でのホール移動度μh3の移動度比μh3/μh2を6.667×10-1とした。また、本計算実験では、発光層14における電子移動度μe2をホール移動度μh2よりも3倍程度大きい値に設定した。
エネルギー障壁ΔE2は、発光層14のLUMO準位141と電子輸送層15のLUMO準位151との差であり、電子輸送層15から発光層14へ電子を注入する際の注入障壁となる。エネルギー障壁ΔE2を様々な値に設定したところ、発光層14内でホール輸送層13側の界面近傍と電子輸送層15側の界面近傍とに蓄積する励起子のバランスに、エネルギー障壁ΔE2が影響を及ぼすことが確認できた。
図3(b)、(c)および図4(a)〜(c)は、有機EL素子1の計算実験による励起子の密度分布および再結合レートを示す図である。図3(b)はΔE=0.14[eV]である場合、図3(c)はΔE2=0.325[eV]である場合、図4(a)はΔE=0.35[eV]である場合、図4(b)はΔE2=0.44[eV]である場合、図4(c)はΔE2=0.5[eV]である場合をそれぞれ示している。
例えば、ΔE=0.14[eV]である場合、図3(b)に示すように、発光層14内における励起子の密度分布のピークが、ホール輸送層13との界面近傍だけではなく、電子輸送層15との界面近傍にも生じた。再結合レートも同様に、発光層内でホール輸送層13との界面近傍だけではなく、電子輸送層15との界面近傍にもピークが生じた。
ピークが1か所のみの比較例と同じ発光輝度を実現する場合、ピークが2か所に分散するΔE=0.14[eV]の例では、それぞれのピーク値を比較例でのピーク値より低く抑えることができる。そのため、ΔE=0.14[eV]の例では、比較例に比べて、ホール輸送層13との界面近傍での発光層14の劣化が抑制されると考えられる。
さらに、ΔE2を増大させ0.325[eV]にすると、図3(c)に示すように、励起子の密度分布および再結合レートの何れもΔE=0.14[eV]の場合に比べて、ホール輸送層13との界面近傍のピーク値が低下し、電子輸送層15との界面近傍のピーク値が上昇した。特に、ΔE2=0.35[eV]の場合では、図4(a)に示すように、励起子の密度分布および再結合レートの何れも、ホール輸送層13との界面近傍のピークと、電子輸送層15との界面近傍のピークとが同程度の値になった。
このようなΔEを増大させることによる励起子の密度分布、および再結合レートへの影響を詳細に検討するため、計算実験の結果を整理した。
図5(a)は、比較例とエネルギー障壁ΔE2の値が異なる例毎に、発光層14内におけるホール輸送層13との界面近傍での励起子の密度ピーク値を示したグラフであり、図5(b)は、比較例とエネルギー障壁ΔE2の値が異なる例毎に、発光層14内における電子輸送層15との界面近傍での励起子の密度ピーク値を示したグラフである。図5(c)は、発光層14内におけるホール輸送層13との界面近傍での励起子の密度ピーク値に対する電子輸送層15との界面近傍での励起子の密度ピーク値の比率(以下、「励起子密度比」という)を、比較例とエネルギー障壁ΔE2の値が異なる例毎に示したグラフである。
また、図6(a)は、比較例とエネルギー障壁ΔE2の値が異なる例毎に、発光層14内におけるホール輸送層13との界面近傍での再結合レートのピーク値を示したグラフであり、図6(b)は、比較例とエネルギー障壁ΔE2の値が異なる例毎に、発光層14内における電子輸送層15との界面近傍での再結合レートのピーク値を示したグラフである。図6(c)は、再結合レートに関し、発光層14内におけるホール輸送層13との界面近傍でピーク値に対する電子輸送層15との界面近傍でのピーク値の比率(以下、「再結合レート比」という)を、比較例とエネルギー障壁ΔE2の値が異なる例毎に示したグラフである。
図5(a)(b)、図6(a)(b)では、励起子の密度、および再結合レートの何れも、ΔE2が大きいほど、ホール輸送層13との界面近傍のピーク値が低下し、電子輸送層15との界面近傍のピーク値が上昇する傾向がみられた。
また、図5(c)、図6(c)では、ΔE2が大きいほど、再結合レート比と再結合レート比とは、何れも大きくなる傾向がみられた。
図7(a)、(b)を参照して、ΔE2とパラメータP2との適切な値の範囲を検討する。図7(a)は、有機EL素子1の計算実験におけるΔE2の値と、励起子密度比との関係を示したグラフである。図7(b)は、パラメータP2と励起子密度比との関係を示したグラフである。
図7(a)のグラフから、ΔE2が0[eV]以上、0.14[eV]未満の範囲では、励起子密度比の変化は小さく、励起子の密度分布がホール輸送層13側の界面近傍に大きく偏る傾向の改善効果は小さいと考えられる。
しかし、ΔE2が0.14[eV]以上になると、ΔE2の増加に伴う励起子密度比の変化が大きくなり、特に、ΔE2が0.325[eV]以上になると、励起子密度比の増加が顕著である。さらに、ΔE2が0.35[eV]では、励起子密度比が0.832となり、励起子の分布がホール輸送層13側の界面と電子輸送層15側の界面とでおおよそ同程度になることがわかる。
ΔE2をさらに増加させると、ΔE2が0.44[eV]で励起子密度比は7.397に達する。この値は、ΔE2が0[eV]である場合の励起子密度比0.161の逆数である6.211に近い値である。このことから、ΔE2が0.44[eV]を超える値では、励起子の分布が電子輸送層15側の界面に過度に偏り、ΔE2が0[eV]である場合よりも、有機EL素子1の寿命が短くなると考えられる。
以上のように、本計算実験では、ΔE2が0.14[eV]以上の値であれば、ホール輸送層13との界面近傍における励起子の集中が緩和され、有機EL素子1の長寿命化を図ることができた。このΔE2の範囲に対応するパラメータP2の範囲は、計算実験で用いた移動度比μe2/μe3が9.818×10-2であったことから、式14を用いて4.367×10-4以下になる。よって、パラメータP2は、4.367×10-4以下の値であることが好ましい。
また、本計算実験では、ΔE2が0.44[eV]を超えると、励起子の分布が電子輸送層15側の界面に過度に偏った。そのため長寿命化の効果を得るには、ΔE2は0.14[eV]以上、0.44[eV]以下の値であることがより好ましい。このΔE2の範囲に対応するパラメータP2の範囲は、式14を用いて3.984×10-9以上、4.367×10-4以下になる。よって、パラメータP2は、3.984×10-9以上、4.367×10-4以下の範囲の値であることがより好ましい。
さらに、本計算実験では、ΔE2が0.325[eV]以上の値であれば、ΔE2がそれ以下の値である場合よりも励起子の密度分布のバランスを改善する効果が顕著であり、長寿命化の効果も顕著になると考えられる。また、ΔE2が0.35[eV]である場合、励起子の分布がホール輸送層13側の界面と電子輸送層15側の界面とでおおよそ同程度になることから、有機EL素子1を最も長寿命化することができる。そのためΔE2は、0.325[eV]以上、0.35[eV]以下の範囲の値であることがさらに好ましい。このΔE2の範囲に対応するパラメータP2の範囲は、式14を用いて1.295×10-7以上、3.406×10-7以下になる。よって、パラメータP2は、1.295×10-7以上、3.406×10-7以下の範囲の値であることがさらに好ましい。
なお、ホール輸送層13、発光層14、電子輸送層15における励起子の寿命および拡散長によって、発光層14から隣接する他の層への励起子の抜けやすさが定まるが、通常、現実的な発光効率を実現するために、発光層14からホール輸送層13と電子輸送層15とへ励起子が抜けにくい材料が選択される。そのため、本計算実験においても、ホール輸送層13と電子輸送層15とには発光層14から励起子が拡散しづらくなる励起子寿命および拡散長を用いている。
また、本計算実験では、発光層14における励起子の拡散長として10[nm]を設定した。しかし、励起子の拡散長を変化させた場合にも、ΔE2の値毎の励起子密度比に変化は見られなかった。そのため、発光層14における励起子の拡散長の値が、パラメータP2の好ましい値の範囲に及ぼす影響は小さく、無視できる。
また、本計算実験では、発光層14における電子移動度μe2がホール移動度μh2よりも3倍程度大きい値に設定したが、この値は第2有機半導体として現実的に選択可能な有機材料において、一般的な値を考慮したものである。本実施形態に係る有機EL素子1では、第2有機半導体におけるホール移動度μh2に対する電子移動度μe2の比率μe2/μh2が、2以上の範囲の値であればよい。
なお、電子移動度μe2がホール移動度μh2よりも2桁ほど大きい場合、ΔE2の値毎の励起子密度比が、本計算実験の結果よりも小さくなる傾向がある。しかし、発光層14で生成される励起子のうち、非放射失活時に有機半導体材料を劣化させる励起子の割合が、通常10-20程度と非常に小さいため、電子移動度μe2がホール移動度μh2よりも2桁ほど大きい場合にも、パラメータP2が本計算実験から求めた好ましい値の範囲にあれば、有機EL素子1の長寿命化の効果が得られると考えられる。
[4.パラメータP1、P3]
計算実験により、適切なパラメータP3の値を検討した。
本計算実験では、ΔE1、ΔE2を固定して、有機EL素子1の膜厚方向におけるホールの密度分布および再結合レート分布を、ΔHが0[eV]、0.05[eV]、0.1[eV]、0.15[eV]、0.2[eV]、0.47[eV]、0.9[eV]の各値で求めた。この計算実験では、発光層14でのホール移動度μh2に対する電子輸送層15でのホール移動度μh3の移動度比μh3/μh2を12とした。
図9(a)は、計算実験におけるエネルギー障壁ΔHの値毎に、発光層14と電子輸送層15との界面近傍でのホールの密度分布を示したグラフであり、図9(b)は、エネルギー障壁ΔHと、発光層14内におけるホールの密度ピーク値との関係を示したグラフである。
図10(a)は、計算実験におけるエネルギー障壁ΔHの値毎に、発光層14と電子輸送層15との界面近傍での再結合レートを示したグラフであり、図9(b)は、エネルギー障壁ΔHと、発光層14内における再結合レートのピーク値との関係を示したグラフである。
図9(a)に示すように、ΔHが0.05[eV]以上で、発光層14において電子輸送層15との界面近傍にホールの密度にピークが生じた。
また、図9(b)に示すように、ΔHが0.2[eV]で、ホールの密度ピーク値が飽和した。ΔHが0.1[eV]である場合、ホールの密度ピーク値が飽和値の1/10程度となった。
再結合レートに関しても、ホールの密度と同様に、図10(a)に示すように、ΔHが0.05[eV]以上でピークが生じ、図10(b)に示すように、ΔHが0.2[eV]で飽和した。ΔHが0.1[eV]である場合に、再結合レートのピーク値が飽和値の1/10程度となることも、ホール密度と同様であった。
これは、エネルギー障壁ΔHが発光層14から電子輸送層15へホールを注入する際の注入障壁となることで、発光層14において電子輸送層15との界面近傍でのホールの蓄積性に影響を及ぼし、そこでの再結合を生起させるためである。発光層14において電子輸送層15との界面近傍で再結合を生起させるためには、飽和値の1/10程度にホールが蓄積されることが望ましいと考えられる。
そのため、本計算実験においてΔHが0.1[eV]以上の範囲の値であれば、再結合を生起させるために十分なホールの蓄積が得られる効果が見込まれる。
このΔHの範囲に対応するパラメータP3の範囲は、計算実験で用いたホール移動度μh3がホール移動度μh2より大きく移動度比μh3/μh2がホール注入性に寄与しないことから、式17を用いて2.090×10-2以下になる。よって、パラメータP3は、2.090×10-2以下の範囲の値であることが好ましい。
さらに、本計算実験では、ΔHが0.2[eV]であれば、ホールの密度ピーク値が飽和値となり、再結合を生起させるためにより好ましいと考えられる。ただし、ΔHが大きい程、有機EL素子1の駆動電圧が上昇するにもかかわらず、ΔHが0.2[eV]を超える値では、ホールの密度ピーク値が飽和しているために、発光層14において電子輸送層15との界面近傍での再結合レートのさらなる向上は見込めない。そのため、ΔHは、0.1[eV]以上、0.2[eV]の範囲の値であることがより好ましい。
このΔHの範囲に対応するパラメータP3の範囲は、式17を用いて4.367×10-4以上、2.090×10-2以下になる。よって、パラメータP3は、4.367×10-4以上、2.090×10-2以下の範囲の値であることがより好ましい。
また、ΔHに様々な値を用いた本計算実験は、発光層14内を輸送されてきたホールが電子輸送層15との界面近傍に蓄積する条件を得るためのものであるが、ΔE1に様々な値を用い他のエネルギー障壁を固定して計算実験を行った場合にも、本計算実験と同じ数値結果が得られる。そのため、パラメータP1の好ましい値の範囲は、上述のパラメータP3の好ましい値の範囲と等しくなる。
具体的には、パラメータP1は、2.090×10-2以下の範囲の値であることが好ましい。さらに、パラメータP1は、4.367×10-4以上、2.090×10-2以下の範囲の値であることがより好ましい。
[5.まとめ]
以上説明したように本実施形態に係る有機EL素子1は、パラメータP1が2.090×10-2以下の範囲の値であり、パラメータP2が4.367×10-4以下の範囲の値であり、パラメータP3が2.090×10-2以下の範囲の値であることで、発光層14内においてホール輸送層13との界面近傍に電子が蓄積され、電子輸送層15との界面近傍にホールが蓄積され、それぞれの界面近傍で再結合が生起する。これにより、励起子の密度分布が、ホール輸送層13との界面近傍のみに集中することを緩和できる。
そのため、有機EL素子1では、発光層14内において一方の界面近傍のみで再結合が生起する従来の有機EL素子と比べ、発光輝度が同一の条件において、再結合レートのピーク値が低くなる。その結果、発光層14の局所的な劣化を抑制して長寿命化を実現することができる。
また、パラメータP2が3.984×10-9以上、4.367×10-4以下の範囲の値である場合、励起子の分布が電子輸送層15側の界面に過度に偏ることなく、長寿命化の効果を得ることができる。
さらに、パラメータP2が、1.295×10-7以上、3.406×10-7以下の範囲の値である場合、有機EL素子1は、発光層14内におけるホール輸送層13との界面近傍の位置と、電子輸送層15との界面近傍の位置とで、励起子の密度および再結合レートのピーク値がより近い値になり、さらなる長寿命化を実現することができる。
さらに、パラメータP1が4.367×10-4以上、2.090×10-2以下の範囲の値である場合、有機EL素子1の駆動電圧を過度に上昇させることなく、長寿命化を実現することができる。
さらに、パラメータP3が4.367×10-4以上、2.090×10-2以下の範囲の値である場合、有機EL素子1の駆動電圧を過度に上昇させることなく、長寿命化を実現することができる。
ここで、パラメータP1、パラメータP2、パラメータP3のそれぞれが上述の範囲となるように、第1有機半導体、第2有機半導体、および第3有機半導体に用いる有機材料のそれぞれを選択するための、有機材料のHOMO準位、LUMO準位、電子移動度、ホール移動度のそれぞれの測定方法について説明する。
HOMO準位は、X線光電子分光法(XPS;X−ray Photoelectron Spectroscopy)やUPS(Ultraviolet Photoelectron Spectroscopy)の光電子分光測定を行うことで測定できる。これは、有機半導体表面の占有準位の電子状態を知ることができるからである。
LUMO準位は、逆光電子分光法(IPES;Inverse Photoelectron Spectroscopy)により測定できる。これは、有機半導体表面の非占有準位の電子状態を知ることができるからである。
電子移動度、及び、ホール移動度のそれぞれは、Time−of−Flight法、インピーダンス分光法により測定することができる。特に、「有機発光ダイオードの移動度・局在状態の評価」(内藤裕義、表面科学Vol. 33, No. 2, pp. 69-74, 2012)に示されているインピーダンス分光法では、移動度測定用素子を用いず、OLEDのような機能素子状態にて移動度を測定することができる。
[6.変形例1]
図11は、変形例1に係る有機EL素子のエネルギーバンド構造を示すバンドダイアグラムである。変形例1では、発光層14に含有される第2有機半導体が、ホール輸送性材料である点で、図2に示す例と相違している。変形例1における第2有機半導体としては、ホール輸送性材料である公知の有機材料を利用することができる。特に本変形例1において第2有機半導体に用いる材料は、ホール移動度μh2に対する電子移動度μe2の比率μe2/μh2が、0.5以下の範囲の値であることが好ましい。
その他の点で図11の変形例1は、図2のものと同一である。また、変形例1における発光層14と電子輸送層15との界面におけるホールの蓄積特性、ホール輸送層13と発光層14との界面におけるホールの蓄積特性、および、発光層14とホール輸送層13との界面における電子の蓄積特性は、それぞれ図2の実施例における発光層14とホール輸送層13との界面における電子の蓄積特性、電子輸送層15と発光層14との界面における電子の蓄積特性、および発光層14と電子輸送層15との界面におけるホールの蓄積特性と同一になる。
具体的には、変形例1では、発光層14から電子輸送層15へのホール注入性に関するパラメータP4、ホール輸送層13から発光層14へのホール注入性に影響に関するパラメータP5、および発光層14からホール輸送層13への電子注入性に関するパラメータP6が、下記の範囲の値となるように、第1有機半導体、第2有機半導体、および第3有機半導体に用いる有機材料を、適宜、選択している。
パラメータP4、およびパラメータP6は、2.090×10-2以下の範囲の値であることが好ましい。パラメータP4、およびパラメータP6はさらに、4.367×10-4以上、2.090×10-2以下の範囲の値であることがより好ましい。
パラメータP5は、4.367×10-4以下の範囲の値であることが好ましい。パラメータP5は、3.984×10-9以上、4.367×10-4以下の範囲の値であることがより好ましい。パラメータP5はさらに、1.295×10-7以上、3.406×10-7以下の範囲の値であることがさらにより好ましい。
ここでパラメータP4は、ホール移動度μh3がホール移動度μh2よりも小さく、μh3/μh2が発光層14から電子輸送層15へのホール注入性に寄与する場合、エネルギー障壁ΔH1、電子輸送層15のホール移動度μh3、発光層14のホール移動度μh2を用いて式18で示される。
Figure 2017183510
また、ホール移動度μh3がホール移動度μh2と同じ、または、ホール移動度μh3がホール移動度μh2よりも大きく、μh3/μh2が発光層14から電子輸送層15へのホール注入性に寄与しない場合、パラメータP4は、エネルギー障壁ΔH1を用いて式19で示される。
Figure 2017183510
パラメータP5は、ホール移動度μh2がホール移動度μh1よりも小さく、μh2/μh1がホール輸送層13から発光層14へのホール注入性に寄与する場合、エネルギー障壁ΔH2、ホール輸送層13のホール移動度μh1、発光層14のホール移動度μh2を用いて式20で示される。
Figure 2017183510
また、ホール移動度μh2がホール移動度μh1と同じ、またはホール移動度μh2がホール移動度μh1よりも大きく、μh2/μh1がホール輸送層13から発光層14へのホール注入性に寄与しない場合、パラメータP5は、エネルギー障壁ΔH2を用いて式21で示される。
Figure 2017183510
パラメータP6は、電子移動度μe1が電子移動度μe2よりも小さく、μe1/μe2が発光層14からホール輸送層13への電子注入性に寄与する場合、エネルギー障壁ΔE、ホール輸送層13の電子移動度μe1、発光層14の電子移動度μe2を用いて式22で示される。
Figure 2017183510
また、電子移動度μe1が電子移動度μe2と同じ、または、電子移動度μe1が電子移動度μe2よりも大きく、μe1/μe2が発光層14からホール輸送層13への電子注入性に寄与しない場合、パラメータP6は、エネルギー障壁ΔEを用いて式23で示される。
Figure 2017183510
以上の変形例1では、パラメータP4が2.090×10-2以下の範囲の値であり、パラメータP5が4.367×10-4以下の範囲の値であり、パラメータP6が2.090×10-2以下の範囲の値であることで、発光層14内においてホール輸送層13との界面近傍に電子が蓄積され、電子輸送層15との界面近傍にホールが蓄積され、それぞれの界面近傍で再結合が生起する。これにより、第2有機半導体がホール輸送性材料でありながら、励起子の密度分布が電子輸送層15との界面近傍のみに集中することを緩和できる。
そのため、変形例1では、発光層14内において一方の界面近傍のみで再結合が生起する従来の有機EL素子と比べ、発光輝度が同一の条件において、再結合レートのピーク値が低くなる。その結果、発光層14の局所的な劣化を抑制して長寿命化を実現することができる。
また、パラメータP5が3.984×10-9以上、4.367×10-4以下の範囲の値である場合、励起子の分布がホール輸送層13側の界面に過度に偏ることなく、長寿命化の効果を得ることができる。
さらに、パラメータP5が、1.295×10-7以上、3.406×10-7以下の範囲の値である場合、変形例1では、発光層14内におけるホール輸送層13との界面近傍の位置と、電子輸送層15との界面近傍の位置とで、励起子の密度ピーク値がより近い値になり、さらなる長寿命化を実現することができる。
さらに、パラメータP4が4.367×10-4以上、2.090×10-2以下の範囲の値である場合、有機EL素子1の駆動電圧を過度に上昇させることなく、長寿命化を実現することができる。
さらに、パラメータP6が4.367×10-4以上、2.090×10-2以下の範囲の値である場合、有機EL素子1の駆動電圧を過度に上昇させることなく、長寿命化を実現することができる。
[7.変形例2]
変形例2では、発光層14に含有される第2有機半導体の電子移動度とホール移動度とが同程度である点で、実施例、および変形例1と相違する。ここで「電子移動度とホール移動度とが同程度」とは、第2有機半導体におけるホール移動度μh2に対する電子移動度μe2の比率μe2/μh2が、0.5より大きく、2より小さい範囲の値であることを指す。
変形例2における第2有機半導体としては、電子移動度とホール移動度とが同程度である公知の有機材料を利用することができる。
その他の点で変形例2は、図2の実施例と同一であり、変形例2における発光層14とホール輸送層13との界面における電子の蓄積特性、および発光層14と電子輸送層15との界面におけるホールの蓄積特性は、それぞれ図2の実施例における発光層14とホール輸送層13との界面における電子の蓄積特性、および発光層14と電子輸送層15との界面におけるホールの蓄積特性と同一になる。
具体的には、変形例2では、発光層14からホール輸送層13への電子注入性に関するパラメータP7、および発光層14から電子輸送層15へのホール注入性に関するパラメータP8が、下記の範囲の値となるように、第1有機半導体、第2有機半導体、および第3有機半導体に用いる有機材料を、適宜、選択している。
パラメータP7、およびパラメータP8は、2.090×10-2以下の範囲の値であることが好ましい。パラメータP7、およびパラメータP8はさらに、4.367×10-4以上、2.090×10-2以下の範囲の値であることがより好ましい。
ここでパラメータP7は、電子移動度μe1が電子移動度μe2よりも小さく、μe1/μe2が発光層14からホール輸送層13への電子注入性に寄与する場合、ホール輸送層13のLUMO準位131と発光層14のLUMO準位141の差であるエネルギー障壁ΔE、ホール輸送層13の電子移動度μe1、発光層14の電子移動度μe2を用いて式24で示される。
Figure 2017183510
また、電子移動度μe1が電子移動度μe2と同じ、または、電子移動度μe1が電子移動度μe2よりも大きく、μe1/μe2が発光層14からホール輸送層13への電子注入性に寄与しない場合、パラメータP7は、エネルギー障壁ΔEを用いて式25で示される。
Figure 2017183510
パラメータP8は、ホール移動度μh3がホール移動度μh2よりも小さく、μh3/μh2が発光層14から電子輸送層15へのホール注入性に寄与する場合、
発光層14のHOMO準位142と電子輸送層15のHOMO準位152の差であるエネルギー障壁ΔH、電子輸送層15のホール移動度μh3、発光層14のホール移動度μh2を用いて式26で示される。
Figure 2017183510
また、ホール移動度μh3がホール移動度μh2と同じ、または、ホール移動度μh3がホール移動度μh2よりも大きく、μh3/μh2が発光層14から電子輸送層15へのホール注入性に寄与しない場合、パラメータP8は、エネルギー障壁ΔHを用いて式27で示される。
Figure 2017183510
以上の変形例2では、パラメータP7が2.090×10-2以下の範囲の値であり、パラメータP8が2.090×10-2以下の範囲の値であることで、発光層14内においてホール輸送層13との界面近傍に電子が蓄積され、電子輸送層15との界面近傍にホールが蓄積され、それぞれの界面近傍で再結合が生起する。
そのため、変形例2では、発光層14内において一方の界面近傍のみで再結合が生起する従来の有機EL素子と比べ、発光輝度が同一の条件において、再結合レートのピーク値が低くなる。その結果、発光層14の局所的な劣化を抑制して長寿命化を実現することができる。
さらに、パラメータP7が4.367×10-4以上、2.090×10-2以下の範囲の値である場合、有機EL素子1の駆動電圧を過度に上昇させることなく、長寿命化を実現することができる。
さらに、パラメータP8が4.367×10-4以上、2.090×10-2以下の範囲の値である場合、有機EL素子1の駆動電圧を過度に上昇させることなく、長寿命化を実現することができる。
<第2の実施形態>
第2の実施形態では、第1の実施形態で説明した有機EL素子1を基板上に複数配列して構成した有機EL表示パネル100について説明する。
[1.有機EL表示パネルの構成]
図12は、第2の実施形態に係る有機EL表示パネル100(図15参照)の部分断面図である。有機EL表示パネル100は、3つの色(赤色、緑色、青色)を発光する有機EL素子1(R)、1(G)、1(B)で構成される画素を複数備えている。図12では、その1つの青色の有機EL素子1(B)を中心としてその周辺の断面を示している。
有機EL表示パネル100において、各有機EL素子1は、前方(図12における紙面上方)に光を出射するいわゆるトップエミッション型である。
有機EL素子1(R)と、有機EL素子1(G)と、有機EL素子1(B)は、ほぼ同様の構成を有するので、以下では、まとめて有機EL素子1として説明する。
図12に示すように、有機EL素子1は、TFT基板21、陽極11、隔壁層22、ホール注入層12、ホール輸送層13、発光層14、電子輸送層15、電子注入層16、陰極17、および封止層23を備える。なお、TFT基板21、電子輸送層15、電子注入層16、陰極17、および封止層23は、画素ごとに形成されているのではなく、有機EL表示パネル100が備える複数の有機EL素子1に共通して形成されている。
以下、有機EL素子1の構成については、第1の実施形態での説明と重複する内容を省略し、主にその材料について説明する。
TFT基板21は、絶縁材料である基材と、TFT(Thin Film Transistor)層と、層間絶縁層とを含む。TFT層には、画素毎に駆動回路が形成されている。基材は、例えばガラス材料からなる基板である。ガラス材料としては、無アルカリガラス、ソーダガラス、無蛍光ガラス、燐酸系ガラス、硼酸系ガラス、石英等のガラスなどが挙げられる。層間絶縁層は、樹脂材料からなり、TFT層の上面の段差を平坦化するためのものである。樹脂材料としては、例えば、ポジ型の感光性材料が挙げられる。また、このような感光性材料として、アクリル系樹脂、ポリイミド系樹脂、シロキサン系樹脂、フェノール系樹脂が挙げられる。
また、図12の断面図には示されていないが、TFT基板21の層間絶縁層には、画素毎にコンタクトホールが形成されている。
陽極11は、TFT基板21の層間絶縁層上に形成されている。陽極11は、画素毎に個々に設けられ、コンタクトホールを通じてTFT層と電気的に接続されている。陽極11は、光反射性の金属材料からなる金属層を含む。光反射性を具備する金属材料の具体例としては、銀(Ag)、アルミニウム(Al)、アルミニウム合金、モリブデン(Mo)、APC(銀、パラジウム、銅の合金)、ARA(銀、ルビジウム、金の合金)、MoCr(モリブデンとクロムの合金)、MoW(モリブデンとタングステンの合金)、NiCr(ニッケルとクロムの合金)などが挙げられる。さらに、陽極11は、金属層単独で構成してもよいが、金属層の上に、ITOやIZOのような金属酸化物からなる層を積層した積層構造としてもよい。
隔壁層22は、陽極11の上面の一部の領域を露出させ、その周辺の領域を被覆した状態で陽極11上に形成されている。陽極11上面において隔壁層22で被覆されていない領域(以下、「開口部」という)は、サブピクセルに対応している。即ち、隔壁層22は、サブピクセル毎に設けられた開口部22aを有する。
ホール注入層12、ホール輸送層13、および発光層14は、陽極11上の開口部22a内に、この順で積層して設けられている。
ホール注入層12は、例えば、Ag、Mo、クロム(Cr)、バナジウム(V)、タングステン(W)、ニッケル(Ni)、イリジウム(Ir)などの酸化物、あるいは、PEDOT(ポリチオフェンとポリスチレンスルホン酸との混合物)などの導電性ポリマー材料からなる。
ホール輸送層13は、第1有機半導体を含有する。第1有機半導体には、例えば、ポリフルオレンやその誘導体、あるいはポリアリールアミンやその誘導体などの高分子化合物などを用いることができる。
発光層14は、第2有機半導体を含有する。第2有機半導体には、例えば、オキシノイド化合物、ペリレン化合物、クマリン化合物、アザクマリン化合物、オキサゾール化合物、オキサジアゾール化合物、ペリノン化合物、ピロロピロール化合物、ナフタレン化合物、アントラセン化合物、フルオレン化合物、フルオランテン化合物、テトラセン化合物、ピレン化合物、コロネン化合物、キノロン化合物及びアザキノロン化合物、ピラゾリン誘導体及びピラゾロン誘導体、ローダミン化合物、クリセン化合物、フェナントレン化合物、シクロペンタジエン化合物、スチルベン化合物、ジフェニルキノン化合物、スチリル化合物、ブタジエン化合物、ジシアノメチレンピラン化合物、ジシアノメチレンチオピラン化合物、フルオレセイン化合物、ピリリウム化合物、チアピリリウム化合物、セレナピリリウム化合物、テルロピリリウム化合物、芳香族アルダジエン化合物、オリゴフェニレン化合物、チオキサンテン化合物、シアニン化合物、アクリジン化合物、8−ヒドロキシキノリン化合物の金属錯体、2−ビピリジン化合物の金属錯体、シッフ塩とIII族金属との錯体、オキシン金属錯体、希土類錯体等の蛍光物質や、トリス(2-フェニルピリジン)イリジウムなどの燐光を発光する金属錯体等の燐光物質を用いることができる。
電子輸送層15は、例えば、電子輸送性材料である第3有機半導体に、アルカリ金属またはアルカリ土類金属から選択されるドープ金属がドープされて形成されている。電子輸送層15に用いられる第3有機半導体としては、例えば、オキサジアゾール誘導体(OXD)、トリアゾール誘導体(TAZ)、フェナンスロリン誘導体(BCP、Bphen)などのπ電子系低分子有機材料が挙げられる。
電子注入層16は、金属および金属酸化物の何れかを含む機能層である。電子注入層21の材料としては、例えばフッ化リチウム(LiF)、フッ化ナトリウム(NaF)、キノリノールLi錯体(Liq)、Ba、Ag等の電子注入性材料が選択される。
本実施形態においては、隔壁層22は、陽極11が形成されていない部分においては、TFT基板21上に形成されている。即ち、陽極11が形成されていない部分においては、隔壁層22の底面はTFT基板21の上面と接している。
隔壁層22は、例えば、絶縁性の有機材料(例えばアクリル系樹脂、ポリイミド系樹脂、ノボラック樹脂、フェノール樹脂等)からなる。隔壁層22は、発光層14を塗布法で形成する場合には塗布されたインクがあふれ出ないようにするための構造物として機能し、発光層14を蒸着法で形成する場合には蒸着マスクを載置するための構造物として機能する。本実施形態では、隔壁層22は、樹脂材料からなり、隔壁層22の材料としては、例えば、ポジ型の感光性材料が挙げられる。また、このような感光性材料として、アクリル系樹脂、ポリイミド系樹脂、シロキサン系樹脂、フェノール系樹脂が挙げられる。本実施形態においては、フェノール系樹脂が用いられている。
陰極17は、各サブピクセル共通に設けられている。陰極17は、金属材料で形成された金属層および金属酸化物で形成された金属酸化物層の少なくとも一方を含んでいる。陰極17に含まれる金属層の膜厚は1nm〜50nm程度に薄く設定されて光透過性を有している。金属材料は光反射性の材料であるが、金属層の膜厚を50nm以下と薄くすることによって、光透過性を確保することができる。従って、発光層14からの光の一部は陰極17において反射されるが、残りの一部は陰極17を透過する。
陰極17に含まれる金属層を形成する金属材料としては、Ag、Agを主成分とする銀合金、Al、Alを主成分とするAl合金が挙げられる。Ag合金としては、マグネシウム−銀合金(MgAg)、インジウム−銀合金が挙げられる。Agは、基本的に低抵抗率を有し、Ag合金は、耐熱性、耐腐食性に優れ、長期にわたって良好な電気伝導性を維持できる点で好ましい。Al合金としては、マグネシウム−アルミニウム合金(MgAl)、リチウム−アルミニウム合金(LiAl)が挙げられる。その他の合金として、リチウム−マグネシウム合金、リチウム−インジウム合金、が挙げられる。
陰極17に含まれる金属層は、例えばAg層あるいはMgAg合金層の単層で構成してもよいし、Mg層とAg層の積層構造(Mg/Ag)、あるいは、MgAg合金層とAg層の積層構造(MgAg/Ag)にしてもよい。
また、陰極17は、金属層単独、または金属酸化物層単独で構成してもよいが、金属層の上に、ITOやIZOのような金属酸化物からなる金属酸化物層を積層した積層構造としてもよい。
各サブピクセル共通に設けられている陰極17の上には、発光層14が水分や酸素等に触れて劣化することを抑制する目的で封止層23が設けられている。有機EL表示パネル100はトップエミッション型であるため、封止層23の材料としては、例えばSiN(窒化シリコン)、SiON(酸窒化シリコン)等の光透過性材料が選択される。
なお図12には示されないが、封止層23の上に、封止樹脂を介してカラーフィルタや上部基板を貼り合せてもよい。上部基板を貼り合せることによって、ホール輸送層13、発光層14、電子輸送層15を水分および空気などから保護できる。
[2.有機EL素子の製造方法]
有機EL素子1の製造方法について、図13、および図14を参照しながら説明する。図13、および図14は、有機EL素子1の製造過程を模式的に示す断面図である。
まず、図13(a)に示すように、TFT基板21を準備する。そして、サブピクセル毎に、金属材料を真空蒸着法またはスパッタ法で50nm〜500nmの膜厚で成膜して、図13(b)に示すように、陽極11を形成する。
次に、陽極11上に、隔壁層22の材料である隔壁層用樹脂を一様に塗布し、隔壁材料層を形成する。隔壁層用樹脂には、例えば、ポジ型の感光性材料であるフェノール樹脂が用いられる。この隔壁材料層に露光と現像を行うことで隔壁層22の形状にパターン形成し、焼成することによって隔壁層22を形成する(図13(c))。この焼成は、例えば、150℃以上210℃以下の温度で60分間行う。形成された隔壁層22によって、発光層14の形成領域となる開口部22aが規定される。
隔壁層22の形成工程においてさらに、隔壁層22の表面を所定のアルカリ性溶液や水、有機溶媒等によって表面処理したり、プラズマ処理を施してもよい。隔壁層22の表面処理は、開口部22aに塗布するインクに対する接触角を調節したり、隔壁層22の表面に撥液性を付与する目的で行われる。
そして、マスク蒸着法やインクジェットによる塗布法によって、ホール注入層12の材料を成膜し、焼成することによって、図13(d)に示すようにホール注入層12を形成する。
次に、隔壁層22が規定する開口部22aに対し、ホール輸送層13の構成材料を含むインクを塗布し、焼成(乾燥)を経て、図13(e)に示すようにホール輸送層13を形成する。
同様に、発光層14の材料を含むインクを塗布し、焼成(乾燥)することにより、図13(f)に示すように発光層14を形成する。
続いて、図14(a)に示すように、発光層14の上に、真空蒸着法などにより、電子輸送層15を膜厚10nm〜100nmの膜厚で成膜する。電子輸送層15は隔壁層22の上にも形成される。そして、図14(b)に示すように、電子輸送層15の上に、真空蒸着法などにより電子注入層16を成膜する。
続いて、図14(c)に示すように、電子注入層16の上に、金属材料等を、真空蒸着法、スパッタ法等で成膜することにより、陰極17を形成する。
そして、陰極17の上に、SiN、SiON等の光透過性材料を、スパッタ法、CVD法等で成膜することによって、図14(d)に示すように封止層23を形成する。
以上の工程を経ることにより、有機EL素子1が完成すると共に、複数の有機EL素子1を備えた有機EL表示パネル100ができあがる。なお、封止層23の上にカラーフィルタや上部基板を貼り合せてもよい。
[3.有機EL表示装置の全体構成]
図15は、有機EL表示装置1000の構成を示す模式ブロック図である。当図に示すように、有機EL表示装置1000は、有機EL表示パネル100と、これに接続された駆動制御部200とを有している。駆動制御部200は、4つの駆動回路210〜240と制御回路250とから構成されている。
なお、実際の有機EL表示装置1000では、有機EL表示パネル100に対する駆動制御部200の配置については、これに限られない。
<その他の変形例>
以上、第1の実施形態、および第2の実施形態について説明したが、本発明は各実施形態に限定されることはなく、例えば以下に示すような変形例を実施することも出来る。
(1)各実施形態における有機EL素子1は、ホール注入層12、電子注入層16を備えていたが、これらのうち1つ以上の層を備えない構成の有機EL素子も同様に実施することができる。
(2)上記第2の実施形態における膜厚の範囲についての条件は、必ずしも開口部22aで規定されるサブピクセルの全領域で満たさなくてとも、サブピクセルの一部の領域で満たせばよい。例えば、サブピクセルの中央部での膜厚が、上記説明における膜厚の条件を満たしていればよい。
(3)上記第2の実施形態においては、有機EL素子1の基材は、絶縁材料としてガラスを用いた例について説明したが、これに限られない。基材を構成する絶縁材料として、例えば、樹脂やセラミック等を用いてもよい。基材に用いるセラミックとしては、例えばアルミナが挙げられる。基材に用いる樹脂としては、例えば、ポリイミド系樹脂、アクリル系樹脂、スチレン系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、エポキシ系樹脂、ポリエーテルサルフォン、ポリエチレン、ポリエステル、シリコーン系樹脂等の絶縁性材料が挙げられる。基材に樹脂を用いると、フレキシブル性を有する有機EL素子を実現することができる。
(4)上記第2の実施形態においては、トップエミッション型であって、陽極11が光反射性の材料からなり、陰極17が光透過性の材料からなる構成であったが、逆に、陽極11が光透過性の材料からなり、陰極17が光反射性の材料からなるボトムエミッション型の構成でも実施できる。
(5)上記第2の実施形態においては、ホール輸送層13、発光層14をインク塗布で成膜しているが、ホール輸送層13、発光層14の成膜方法は、これに限らない。例えば、ホール輸送層13、発光層14の両方、もしくは何れか一方を蒸着法によって成膜することで有機EL素子1を製造することができる。
本発明の有機EL素子は、家庭用、公共施設、あるいは業務用の各種表示装置、テレビジョン装置、携帯型電子機器用ディスプレイ、照明等に利用可能である。
1 有機EL素子
11 陽極
12 ホール注入層
13 ホール輸送層
14 発光層
15 電子輸送層
16 電子注入層
17 陰極

Claims (13)

  1. 陽極と、
    前記陽極の上方に配され、最高被占軌道(HOMO)と最低空軌道(LUMO)を有する第1有機半導体を含有するホール輸送層と、
    前記ホール輸送層上に配され、HOMOとLUMOを有する第2有機半導体を含有する発光層と、
    前記発光層上に配され、HOMOとLUMOを有する第3有機半導体を含有する電子輸送層と、
    前記電子輸送層の上方に配された陰極とを備え、
    前記第2有機半導体の電子移動度は、前記第2有機半導体のホール移動度よりも大きく、
    前記第1有機半導体のLUMOのエネルギー準位と前記第2有機半導体のLUMOのエネルギー準位の差ΔE1[eV]と、前記第1有機半導体の電子移動度μe1と、前記第2有機半導体の電子移動度μe2とが、
    μe1<μe2において、
    Figure 2017183510
    の関係式を満たし、
    μe1≧μe2において、
    Figure 2017183510
    の関係式を満たし、
    前記第2有機半導体のLUMOのエネルギー準位と前記第3有機半導体のLUMOのエネルギー準位の差ΔE2[eV]と、前記第2有機半導体の電子移動度μe2と、前記第3有機半導体の電子移動度μe3とが、
    μe2<μe3において、
    Figure 2017183510
    の関係式を満たし、
    μe2≧μe3において、
    Figure 2017183510
    の関係式を満たし、
    前記第2有機半導体のHOMOのエネルギー準位と前記第3有機半導体のHOMOのエネルギー準位の差ΔH[eV]と、前記第2有機半導体のホール移動度μh2と、前記第3有機半導体のホール移動度μh3とが、
    μh3<μh2において、
    Figure 2017183510
    の関係式を満たし、
    μh3≧μh2において、
    Figure 2017183510
    の関係式を満たす
    有機EL素子。
  2. 前記第2有機半導体のLUMOのエネルギー準位と前記第3有機半導体のLUMOのエネルギー準位の差ΔE2[eV]と、前記第2有機半導体の電子移動度μe2と、前記第3有機半導体の電子移動度μe3とがさらに、
    μe2<μe3において、
    Figure 2017183510
    の関係式を満たし、
    μe2≧μe3において、
    Figure 2017183510
    の関係式を満たす
    請求項1に記載の有機EL素子。
  3. 前記第2有機半導体のLUMOのエネルギー準位と前記第3有機半導体のLUMOのエネルギー準位の差ΔE2[eV]と、前記第2有機半導体の電子移動度μe2と、前記第3有機半導体の電子移動度μe3とがさらに、
    μe2<μe3において、
    Figure 2017183510
    の関係式を満たし、
    μe2≧μe3において、
    Figure 2017183510
    の関係式を満たす
    請求項2に記載の有機EL素子。
  4. 前記第1有機半導体のLUMOのエネルギー準位と前記第2有機半導体のLUMOのエネルギー準位の差ΔE1[eV]と、前記第1有機半導体の電子移動度μe1と、前記第2有機半導体の電子移動度μe2とが、
    μe1<μe2において、
    Figure 2017183510
    の関係式を満たし、
    μe1≧μe2において、
    Figure 2017183510
    の関係式を満たす
    請求項1乃至3の何れかに記載の有機EL素子。
  5. 前記第2有機半導体のHOMOのエネルギー準位と前記第3有機半導体のHOMOのエネルギー準位の差ΔH[eV]と、前記第2有機半導体のホール移動度μh2と、前記第3有機半導体のホール移動度μh3とが、
    μh3<μh2において、
    Figure 2017183510
    の関係式を満たし、
    μh3≧μh2において、
    Figure 2017183510
    の関係式を満たす
    請求項1乃至4の何れかに記載の有機EL素子。
  6. 陽極と、
    前記陽極の上方に配され、最高被占軌道(HOMO)と最低空軌道(LUMO)を有する第1有機半導体を含有するホール輸送層と、
    前記ホール輸送層上に配され、HOMOとLUMOを有する第2有機半導体を含有する発光層と、
    前記発光層上に配され、HOMOとLUMOを有する第3有機半導体を含有する電子輸送層と、
    前記電子輸送層の上方に配された陰極とを備え、
    前記第2有機半導体のホール移動度は、前記第2有機半導体の電子移動度よりも大きく、
    前記第3有機半導体のHOMOのエネルギー準位と前記第2有機半導体のHOMOのエネルギー準位の差ΔH1[eV]と、前記第3有機半導体のホール移動度μh3と、前記第2有機半導体のホール移動度μh2とが、
    μh3<μh2において、
    Figure 2017183510
    の関係式を満たし、
    μh3≧μh2において、
    Figure 2017183510
    の関係式を満たし、
    前記第2有機半導体のHOMOのエネルギー準位と前記第1有機半導体のHOMOのエネルギー準位の差ΔH2[eV]と、前記第2有機半導体のホール移動度μh2と、前記第1有機半導体のホール移動度μh1とが、
    μh2<μh1において、
    Figure 2017183510
    の関係式を満たし、
    μh2≧μh1において、
    Figure 2017183510
    の関係式を満たし、
    前記第2有機半導体のLUMOのエネルギー準位と前記第1有機半導体のLUMOのエネルギー準位の差ΔE[eV]と、前記第2有機半導体の電子移動度μe2と、前記第1有機半導体の電子移動度μe1とが、
    μe1<μe2において、
    Figure 2017183510
    の関係式を満たし、
    μe1≧μe2において、
    Figure 2017183510
    の関係式を満たす
    有機EL素子。
  7. 前記第2有機半導体のHOMOのエネルギー準位と前記第1有機半導体のHOMOのエネルギー準位の差ΔH2[eV]と、前記第2有機半導体のホール移動度μh2と、前記第1有機半導体のホール移動度μh1とがさらに、
    μh2<μh1において、
    Figure 2017183510
    の関係式を満たし、
    μh2≧μh1において、
    Figure 2017183510
    の関係式を満たす
    請求項6に記載の有機EL素子。
  8. 前記第2有機半導体のHOMOのエネルギー準位と前記第1有機半導体のHOMOのエネルギー準位の差ΔH2[eV]と、前記第2有機半導体のホール移動度μh2と、前記第1有機半導体のホール移動度μh1とがさらに、
    μh2<μh1において、
    Figure 2017183510
    の関係式を満たし、
    μh2≧μh1において、
    Figure 2017183510
    の関係式を満たす
    請求項7に記載の有機EL素子。
  9. 前記第3有機半導体のHOMOのエネルギー準位と前記第2有機半導体のHOMOのエネルギー準位の差ΔH1[eV]と、前記第3有機半導体のホール移動度μh3と、前記第2有機半導体のホール移動度μh2とが、
    μh3<μh2において、
    Figure 2017183510
    の関係式を満たし、
    μh3≧μh2において、
    Figure 2017183510
    の関係式を満たす
    請求項6乃至8の何れかに記載の有機EL素子。
  10. 前記第2有機半導体のLUMOのエネルギー準位と前記第1有機半導体のLUMOのエネルギー準位の差ΔE[eV]と、前記第2有機半導体の電子移動度μe2と、前記第1有機半導体の電子移動度μe1とが、
    μe1<μe2において、
    Figure 2017183510
    の関係式を満たし、
    μe1≧μe2において、
    Figure 2017183510
    の関係式を満たす
    請求項6乃至9の何れかに記載の有機EL素子。
  11. 陽極と、
    前記陽極の上方に配され、最高被占軌道(HOMO)と最低空軌道(LUMO)を有する第1有機半導体を含有するホール輸送層と、
    前記ホール輸送層上に配され、HOMOとLUMOを有する第2有機半導体を含有する発光層と、
    前記発光層上に配され、HOMOとLUMOを有する第3有機半導体を含有する電子輸送層と、
    前記電子輸送層の上方に配された陰極とを備え、
    前記第2有機半導体の電子移動度と、前記第2有機半導体のホール移動度とが同等であり、
    前記第1有機半導体のLUMOのエネルギー準位と前記第2有機半導体のLUMOのエネルギー準位の差ΔE[eV]と、前記第1有機半導体の電子移動度μe1と、前記第2有機半導体の電子移動度μe2とが、
    μe1<μe2において、
    Figure 2017183510
    の関係式を満たし、
    μe1≧μe2において、
    Figure 2017183510
    の関係式を満たし、
    前記第2有機半導体のHOMOのエネルギー準位と前記第3有機半導体のHOMOのエネルギー準位の差ΔH[eV]と、前記第2有機半導体のホール移動度μh2と、前記第3有機半導体のホール移動度μh3とが、
    μh3<μh2において、
    Figure 2017183510
    の関係式を満たし、
    μh3≧μh2において、
    Figure 2017183510
    の関係式を満たす
    有機EL素子。
  12. 前記第1有機半導体のLUMOのエネルギー準位と前記第2有機半導体のLUMOのエネルギー準位の差ΔE[eV]と、前記第1有機半導体の電子移動度μe1と、前記第2有機半導体の電子移動度μe2とが、
    μe1<μe2において、
    Figure 2017183510
    の関係式を満たし、
    μe1≧μe2において、
    Figure 2017183510
    の関係式を満たす
    請求項11に記載の有機EL素子。
  13. 前記第2有機半導体のHOMOのエネルギー準位と前記第3有機半導体のHOMOのエネルギー準位の差ΔH[eV]と、前記第2有機半導体のホール移動度μh2と、前記第3有機半導体のホール移動度μh3とが、
    μh3<μh2において、
    Figure 2017183510
    の関係式を満たし、
    μh3≧μh2において、
    Figure 2017183510
    の関係式を満たす
    請求項11または12に記載の有機EL素子。
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