JP2017183355A - 強磁性トンネル接合体の製造方法、強磁性トンネル接合体及び磁気抵抗効果素子 - Google Patents

強磁性トンネル接合体の製造方法、強磁性トンネル接合体及び磁気抵抗効果素子 Download PDF

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Abstract

【課題】十分な酸化膜厚を有する強磁性トンネル接合体及びその製造方法を提供することを目的とする。【解決手段】本発明の一態様に係る強磁性トンネル接合体の製造方法は、第1強磁性金属層と、トンネルバリア層と、第2強磁性金属層と、を順に積層する段階を有し、前記トンネルバリア層を積層する段階が、組成式Mg1−xAlx(0<x<1)で表記される複数の金属層を積層する金属層積層工程と、前記金属層積層工程の間に少なくとも1つの金属層を酸化する酸化工程とを有する。【選択図】図2

Description

本発明は、強磁性トンネル接合体の製造方法、強磁性トンネル接合体及び磁気抵抗効果素子に関する。
強磁性層と非磁性層の多層膜からなる巨大磁気抵抗(GMR)素子、及び、非磁性層に絶縁層(トンネルバリア層、バリア層)を用いたトンネル磁気抵抗(TMR)素子が知られている。一般に、TMR素子は、GMR素子と比較して素子抵抗が高いものの、TMR素子の磁気抵抗(MR)比は、GMR素子のMR比より大きい。そのため、磁気センサ、高周波部品、磁気ヘッド及び不揮発性ランダムアクセスメモリ(MRAM)用の素子として、TMR素子に注目が集まっている。
TMR素子は、電子のトンネル伝導のメカニズムの違いによって2種類に分類することができる。一つは、強磁性層間の波動関数の滲み出し効果(トンネル効果)のみを利用したTMR素子である。もう一つは、トンネル効果を生じた際にトンネルする非磁性絶縁層の特定の軌道の伝導を利用したコヒーレントトンネル(特定の波動関数の対称性を有する電子のみがトンネルする)が支配的なTMR素子である。コヒーレントトンネルが支配的なTMR素子は、トンネル効果のみを利用したTMR素子と比較して、大きいMR比が得られることが知られている。
コヒーレントトンネル効果を引き起こすためには、二つの強磁性金属層とトンネルバリア層が互いに結晶質であり、二つの強磁性金属層とトンネルバリア層の界面が結晶学的に連続になっている必要がある。
コヒーレントトンネル効果を得ることができるトンネルバリア層としてはMgOが知られている。また、二つの強磁性金属層とトンネルバリア層の格子不整合をより小さくする目的で、トンネルバリア層にMg−Al−Oが用いられている(例えば、特許文献1、特許文献2、非特許文献1)。非特許文献1に記載のMg−Al−O層は、MgAl合金を積層した後に、誘導結合プラズマ(ICP)や自然酸化を用いて積層された外表面側から酸化することで作製されている。
特許第5586028号公報 特開2013−175615号公報
Applied Physics Letters、105,092403(2014).
しかしながら、非特許文献1に記載の手法では、積層されたMgAl合金の膜厚と、外表面から酸化される酸化膜厚との整合性を得ることが難しい。そのため、充分な酸化膜厚を得ることができず、高いMR比を得ることができないという問題がある。
本発明は上記問題に鑑みてなされたものであり、十分な酸化膜厚を有する強磁性トンネル接合体及びその製造方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、MgAl合金を複数回に分けて積層し、積層毎に酸化処理を施すことで、積層された金属層の両面から酸素を拡散させ、充分な酸化膜厚を得ることができることを見出し、本発明を完成させた。
すなわち、本発明は、上記課題を解決するため、以下の手段を提供する。
(1)本発明の一態様に係る強磁性トンネル接合体の製造方法は、第1強磁性金属層と、トンネルバリア層と、第2強磁性金属層と、を順に積層する段階を有し、前記トンネルバリア層を積層する段階が、組成式Mg1−xAl(0<x<1)で表記される複数の金属層を積層する金属層積層工程と、前記金属層積層工程の間に少なくとも1つの金属層を酸化する酸化工程とを有する。
(2)上記(1)に記載の強磁性トンネル接合体の製造方法において、前記トンネルバリア層を積層した後に、前記トンネルバリア層を熱処理してもよい。
(3)上記(1)又は(2)のいずれかに記載の強磁性トンネル接合体の製造方法の前記金属層積層工程において、先に積層される金属層のマグネシウム濃度を、後に積層される金属層のマグネシウム濃度より濃くしてもよい。
(4)上記(3)に記載の強磁性トンネル接合体の製造方法において、前記先に積層される金属層が、最初に積層される金属層であってもよい。
(5)上記(1)〜(4)のいずれか一つに記載の強磁性トンネル接合体の製造方法において、前記金属層積層工程の前に、前記金属層積層工程において積層されるいずれの金属層よりマグネシウム濃度が濃く、組成式Mg1−xAl(0≦x<1)で表記される金属からなる酸素吸引層を積層する工程をさらに有してもよい。なお、酸素吸引層は、導入された酸素の第1強磁性金属層側への拡散を促すことを目的とする層である。
(6)上記(1)〜(5)のいずれか一つに記載の強磁性トンネル接合体の製造方法において、前記金属層の厚みが、0.1nm以上1.5nm以下であってもよい。
(7)上記(5)に記載の強磁性トンネル接合体の製造方法において、前記酸素吸引層の厚みが、0.1nm以上0.6nm以下であってもよい。
(8)本発明の一態様に係る強磁性トンネル接合体は、第1強磁性金属層と、第2強磁性金属層と、前記第1強磁性金属層と前記第2強磁性金属層の間に挟まれるトンネルバリア層とを有し、前記トンネルバリア層は、組成式Mg1−xAl(0<x<1、0.35≦y≦1.7)で表記される非磁性酸化物からなり、前記トンネルバリア層の第2強磁性金属層側の面から第1強磁性金属層側の面に至る厚み方向において、高酸素濃度領域を有する。
(9)本発明の一態様に係る磁気抵抗効果素子は、上記(8)に記載の強磁性トンネル接合体を備える。
本発明の一態様に係る強磁性トンネル接合体の製造方法によれば、積層するMgAl合金の厚みと、酸化膜厚のバランスを容易に得ることができる。
本発明の一態様に係る強磁性トンネル接合体及び磁気抵抗効果素子によれば、トンネルバリア層における酸化領域の厚みを厚くすることができ、高いMR比を実現することができる。
本発明の一態様に係る強磁性トンネル接合体の断面模式図である。 本発明の一態様に係る強磁性トンネル接合体の要部を拡大した断面模式図である。 本発明の一態様に係る強磁性トンネル接合体の要部の別の例を拡大した断面模式図である。 本発明の一態様に係る磁気抵抗効果素子の平面模式図である。 実施例1及び比較例1の強磁性トンネル接合体のトンネルバリア層の厚みに対するMR比の推移を示す図である。
以下、本発明について、図を適宜参照しながら詳細に説明する。以下の説明で用いる図面は、本発明の特徴をわかりやすくするために便宜上特徴となる部分を拡大して示している場合があり、各構成要素の寸法比率などは実際とは異なっていることがある。以下の説明において例示される材料、寸法等は一例であって、本発明はそれらに限定されるものではなく、その要旨を変更しない範囲で適宜変更して実施することが可能である。
本発明の一態様に係る強磁性トンネル接合体の製造方法は、第1の強磁性金属層と、トンネルバリア層と、第2の強磁性金属層と、を順に積層する段階を有し、トンネルバリア層を積層する段階が、組成式Mg1−xAl(0<x<1)で表記される複数の金属層を積層する金属層積層工程と、金属層積層工程の間に少なくとも1つの金属層を酸化する酸化工程とを有する。
ここで、「順に積層する」とは、第1の強磁性金属層とトンネルバリア層と第2の強磁性金属層をこの順に積層することを意味し、間にその他の層を積層してもよい。
図1は、本発明の一態様に係る強磁性トンネル接合体の断面模式図である。先に積層される強磁性金属層を第1強磁性金属層1とし、後に積層される強磁性金属層を第2強磁性金属層2とする。
第1強磁性金属層1及び第2強磁性金属層2は、それぞれ強磁性の金属を有し、いずれか一方はもう一方より大きい保磁力を有する。保磁力が大きい側の強磁性金属層は固定層または参照層と呼ばれ、保磁力が小さい側の強磁性金属層は自由層または記録層と呼ばれる。固定層の磁化は一方向に固定され、自由層の磁化の向きが固定層の磁化の向きに対して相対的に変化する。
第1強磁性金属層1と第2強磁性金属層2は、いずれが固定層又は自由層であってもよい。以下では、第2強磁性金属層2を固定層として説明する。
(第1強磁性金属層の作製)
まず、基板上に第1強磁性金属層1を積層する。
基板は、平坦性に優れることが好ましい。平坦性に優れた表面を得るために、材料として例えば、Si、SiGe、SiC、AlTiC、MgO単結晶、MgAl単結晶等を用いることができる。例えば、強磁性トンネル接合体10をMRAMもしくは磁気センサとして用いる場合、Si基板で形成された回路が必要であり、Si基板を用いることが好ましい。また、磁気ヘッドとして強磁性トンネル接合体10を用いる場合は、加工しやすいAlTiC基板を用いることが好ましい。また、強磁性トンネル接合体10を(001)配向させることを重視する場合は、MgO単結晶基板、MgAl単結晶基板、Si基板を用いることが好ましい。
第1強磁性金属層1には、コヒーレントトンネルを形成することができる公知の材料を用いることができる。例えば、Cr、Mn、Co、Fe及びNiからなる群から選択される金属及びこれらの金属を1種以上含み強磁性を示す合金を用いることができる。またこれらの金属と、B、C、及びNの少なくとも1種以上の元素とを含む合金を用いることもできる。具体的には、FeやCo−Fe等が挙げられる。
またより高い出力を得るためにはCoFeSiなどのホイスラー合金を用いることが好ましい。ホイスラー合金は、XYZの化学組成をもつ金属間化合物を含み、Xは、周期表上でCo、Fe、Ni、あるいはCu族の遷移金属元素または貴金属元素であり、Yは、Mn、V、CrあるいはTi族の遷移金属でありXの元素種をとることもでき、Zは、III族からV族の典型元素である。例えば、CoFeSi、CoMnSiやCoMn1−aFeAlSi1−bなどが挙げられる。
さらに第1強磁性金属層1の磁化の向きを積層面に対して垂直にする場合には、CoとPtの積層膜を用いることが好ましい。具体的には、第1強磁性金属層1は[Co(0.24nm)/Pt(0.16nm)]/Ru(0.9nm)/[Pt(0.16nm)/Co(0.16nm)]/Ta(0.2nm)/FeB(1.0nm)とすることができる。
第1強磁性金属層1の積層方法は、公知の方法を用いることができる。例えば、スパッタ装置を用いた成膜方法等を用いることができる。またこのほか、蒸着法、レーザアブレーション法、MBE法等の薄膜作成法を用いることができる。
基板と第1強磁性金属層1との間には、下地層を形成してもよい。下地層を設けると、基板上に積層される第1強磁性金属層1を含む各層の結晶配向性、結晶粒径等の結晶性を制御することができる。下地層は、第1強磁性金属層1と同様の方法で積層することができる。
下地層は、導電性および絶縁性のいずれでもよいが、下地層に通電する場合は導電性材料を用いることが好ましい。
例えば1つの例として、下地層には(001)配向したNaCl構造を有し、Ti,Zr,Nb,V,Hf,Ta,Mo,W,B,Al,Ceの群から選択される少なくとも1つの元素を含む窒化物の層を用いることができる。
別の例として、下地層にはABOの組成式で表される(002)配向したペロブスカイト系導電性酸化物の層を用いることができる。ここで、サイトAはSr、Ce、Dy、La、K、Ca、Na、Pb、Baの群から選択された少なくとも1つの元素を含み、サイトBはTi、V、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Ga、Nb、Mo、Ru、Ir、Ta、Ce、Pbの群から選択された少なくとも1つの元素を含む。
別の例として、下地層には(001)配向したNaCl構造を有し、かつMg、Al、Ceの群から選択される少なくとも1つの元素を含む酸化物の層を用いることができる。
別の例として、下地層には(001)配向した正方晶構造または立方晶構造を有し、かつAl、Cr、Fe、Co、Rh、Pd、Ag、Ir、Pt、Au、Mo、Wの群から選択される少なくとも1つの元素を含む層を用いることができる。
また下地層は一層に限られず、上述の例の層を複数層積層してもよい。下地層の構成を工夫することにより強磁性トンネル接合体10の各層の結晶性を高め、磁気特性の改善が可能となる。
(トンネルバリア層の作製)
次いで、積層された第1強磁性金属層1上にトンネルバリア層3を積層する。
トンネルバリア層3は、組成式Mg1−xAl(0<x<1、0.35≦y≦1.7)で表記される非磁性絶縁材料からなる。トンネルバリア層3を構成する非磁性絶縁材料は、化学量論的組成であるMgAlである必要はなく、発明の効果を奏する範囲で組成のずれがあってもよい。例えば、酸素欠損が生じたり、あるいは酸素が過剰であったりしてもよい。
トンネルバリア層3の膜厚は、一般的に3nm以下の厚さである。金属材料によってトンネルバリア層3を挟み込むと金属材料の原子が持つ電子の波動関数がトンネルバリア層3を超えて広がり、絶縁体が存在するにも関わらず電流が流れる。
強磁性トンネル接合体10には、通常のトンネル効果を利用したものとトンネル時の軌道が限定されるコヒーレントトンネル効果が支配的なものがある。通常のトンネル効果では強磁性材料のスピン分極率によって磁気抵抗効果が得られるが、コヒーレントトンネルではトンネル時の軌道が限定される。そのため、コヒーレントトンネルが支配的な磁気抵抗効果素子では強磁性金属材料のスピン分極率以上の効果が期待できる。コヒーレントトンネル効果は、強磁性金属材料及びトンネルバリア層3が結晶化し、特定の方位で接合すると発現する。
強磁性金属層に広く用いられるFe、CoFeAl、CoFe及びCoFeSiと、トンネルバリア層に広く用いられるMgOとは、格子定数は4%程度異なることが知られている。トンネルバリア層がMgOからなる場合は、酸素欠損により強磁性金属層とトンネルバリア層の間の格子定数の違いを多少緩和することができる。しかしながら、酸素欠損による格子定数の違いはわずかであり、充分に強磁性金属層とトンネルバリア層の間の格子不整合を低減することができない。その結果、コヒーレントトンネル効果が局所的に低減する。
これに対して、トンネルバリア層3では、2価のイオン(Mg2+)の一部が、3価のイオン(Al3+イオン)によって置換されている。所定のイオンが異なるイオン半径を有するイオンに置換されると、トンネルバリア層3を構成する結晶の格子定数は大きく変化する。また置換量を変えることで、自由にトンネルバリア層3を構成する結晶の格子定数を制御することができる。その結果、第1強磁性金属層1とトンネルバリア層3の間の格子不整合を低減することができ、コヒーレントトンネル効果を広範囲に得ることができる。
より優れたコヒーレントトンネル効果を得るためには、トンネルバリア層3の結晶構造はスピネル構造であることが好ましい。さらに好ましくは、トンネルバリア層3の結晶構造は不規則スピネル構造であることが好ましい。ここで不規則スピネル構造とは、O原子の配列はスピネル構造とほぼ同等の最密立方格子を取っているものの、MgとAlの原子配列が乱れた構造を持ち、全体として立方晶である構造を指す。またトンネルバリア層3の結晶構造は、(001)方向に配向していることが好ましい。
トンネルバリア層3は、組成式Mg1−xAl(0<x<1)で表記される複数の金属層を積層する金属層積層工程と、金属層積層工程の間に少なくとも一つの金属層を酸化する酸化工程に従って作製される。複数の金属層を酸化する場合は、金属層を積層する工程と金属層を酸化する工程を多段で行う多段酸化工程を行う。
図2は、本発明の一態様に係る強磁性トンネル接合体のトンネルバリア層を拡大した断面模式図である。
具体的には、まず積層された第1強磁性金属層1上に、金属層bを積層する。金属層bは、第1強磁性金属層1と同様に、スパッタ法、蒸着法、レーザアブレーション法、MBE法等の公知の薄膜作成法を用いて積層する。
金属層bの厚みは、0.1nm〜1.5nmであることが好ましく、0.1nm〜0.6nmであることが好ましい。
1回目の金属層積層工程で積層される金属層bの厚みの上限を1.5nmとすると、作製されるトンネルバリア層3の厚みが厚くなりすぎることが避けられ、優れたコヒーレントトンネル効果が得られる。一方で、金属層bを構成するアルミニウム及びマグネシウムの原子サイズは、0.1nm程度である。1回目の金属層積層工程で積層される金属層bの厚みの下限を0.1nmとすることで、金属層bの均一性が高まる。
次いで、積層された金属層bを酸化する。酸化は、プラズマ酸化あるいは酸素導入による自然酸化等を用いて行う。導入された酸素は、金属層bの第1強磁性金属層1と反対側の面から拡散する。導入した酸素を酸素導入面から反対側の面まで充分拡散させるためには、1回目の金属層積層工程で積層される金属層bの厚みを0.1nm〜0.6nmとすることが好ましい。
そして、金属層積層工程及び酸化工程を1回行った後に、これらの工程を繰り返す。各金属層積層工程を代表して、任意のm回目の金属層積層工程で積層される金属層bについて説明する。
金属層bは、既に酸化工程を行った後の金属層bm−1上に積層される。そのため、金属層bm−1と金属層bの界面には酸素が存在する。また金属層bは、積層された後に酸化工程が行われる。すなわち、金属層bは積層方向両面から酸化される。
金属層bを積層方向両面から酸化することで、厚み方向に必要な酸素の拡散量が少ない場合でも、金属層bの厚み方向中央まで酸素が拡散する。その結果、金属層bの厚み方向全体に渡って十分に酸化することができる。
また、得られるトンネルバリア層3は、充分に内部まで酸化された金属層b〜bが積層されたものである。すなわち、トンネルバリア層3全体として充分な厚みの非磁性酸化膜が得られる。非磁性酸化膜の厚みが充分となれば、コヒーレントトンネル効果以外の原因で流れる電流モードが排除され、高いMR比が得られる。
これに対し、一度に金属層を形成すると、酸素は金属層の基板とは反対側の面からしか導入できない。すなわち、基板側まで酸素を充分拡散させることができず、充分な膜厚の非磁性酸化膜が得られない。
任意のm回目の金属層積層工程で積層される金属層bの厚みは、0.1nm〜1.5nmであることが好ましい。後述する加熱等の種々の条件によって異なるが、酸素の拡散長を0.65nm程度とする報告がある(非特許文献1)。金属層bは、両面から酸化されるため、厚みが1.5nm程度であれば、充分内部まで酸化することができる。また金属層bを構成する原子サイズを考慮すると、金属層bの厚み下限を0.1nmとすることで、金属層bの均一性が高まる。
金属層積層工程及び酸化工程は、2回以上30回以下行うことが好ましい。一般に総厚3nm程度のトンネルバリア層3を2回に分けて積層及び酸化すれば、各回で積層される金属層の厚み方向中央まで酸素を充分届けることができる。また繰り返し回数が30回以下であれば、1回に積層される金属層の厚みの下限が0.1nmであることを考慮すると、トンネルバリア層3の厚みが厚くなりすぎることが避けられる。
ここで、任意のm回目の金属層積層工程で積層される金属層bと、任意のm−1回目の金属層積層工程で積層される金属層bm−1を比較すると、金属層bm−1のマグネシウム濃度が金属層bのマグネシウム濃度より濃いことが好ましい。すなわち、先に積層される金属層のマグネシウム濃度を、後に積層される金属層のマグネシウム濃度より濃くすることが好ましい。
また、金属層積層工程で積層される金属層同士の比較だけでなく、先に積層される金属層の中に後に積層される金属層の平均マグネシウム濃度より濃い領域があってもよい。すなわち、任意のm回目の金属層積層工程で積層される金属層bと、任意のm−1回目の金属層積層工程で積層される金属層bm−1を比較すると、金属層bm−1の少なくとも一部に、金属層bの平均マグネシウム濃度より濃い領域を含んでいてもよい。
金属層を構成するマグネシウムとアルミニウムを比較すると、イオン化傾向の関係からマグネシウム原子の方が酸化されやすい。そのため、トンネルバリア層3全体として、第1強磁性金属層1側の金属層のマグネシウム濃度を高くすると、導入された酸素の第1強磁性金属層1側への拡散がより促される。その結果、トンネルバリア層3内の非磁性酸化膜の厚みを充分厚くすることができ、高いMR比が得られる。
このようなイオン化傾向の違いを用いた酸素の拡散量制御は、金属層に2種以上の金属を用いた場合に効果を示す。
また、同様の観点から、1回目の金属層積層工程で積層される金属層bのマグネシウム濃度は、それ以降に積層される他の金属層b〜bのマグネシウム濃度より濃いことが好ましい。1層目のマグネシウム濃度を濃くすることで、導入された酸素の第1強磁性金属層1側への拡散をさらに促すことができる。
また金属層b〜bを積層する前に、図3に示すように、酸素吸引層bを積層してもよい。酸素吸引層bは、Mg1−xAl(0≦x<1)で表記される金属である。x=0を含む点が金属層b〜bと異なる。酸素吸引層bのマグネシウム濃度は、金属層b〜bのマグネシウム濃度より濃い。
酸素吸引層bを設けることで、導入された酸素の第1強磁性金属層1側への拡散をより促すことができる。
酸素吸引層bの厚みは、導入した酸素を酸素導入面から反対側の面まで充分拡散させるためには、0.1nm〜0.6nmとすることが好ましい。
また酸素吸引層bがx=0(すなわち、Mg単体)の場合でも、酸素吸引層bの厚みは十分薄いため、第1強磁性金属層1及びトンネルバリア層3との格子整合もする。
なお、上記ではトンネルバリア層3を形成する前に酸素吸引層bを設けるとしたが、トンネルバリア層3における1回目の金属層積層工程で積層される金属層bを酸素吸引層bに置き換えてもよい。
また上述の説明では、金属層を積層する毎に酸化工程を行った場合を説明したが、全ての金属層を積層する毎に酸化を施さなくてもよい。
(第2強磁性金属層の作製)
トンネルバリア層3を作製した後に、第2強磁性金属層2を積層する。
第2強磁性金属層2は、第1強磁性金属層1と同様に、スパッタ法、蒸着法、レーザアブレーション法、MBE法等の公知の薄膜作成法を用いて積層する。
第2強磁性金属層2の材料として、強磁性材料、特に軟磁性材料を適用できる。例えば、Cr、Mn、Co、Fe及びNiからなる群から選択される金属、これらの金属を1種以上含む合金、これらの金属とB、C、及びNの少なくとも1種以上の元素とが含まれる合金等を用いることができる。具体的には、Fe、Co−Fe等が挙げられる。
第2強磁性金属層2の磁化の向きを積層面に対して垂直にする場合には、第2強磁性金属層2の厚みを2.5nm以下とすることが好ましい。第2強磁性金属層2とトンネルバリア層の界面で、第2強磁性金属層2に垂直磁気異方性を付加することができる。また、垂直磁気異方性は第2強磁性金属層2の膜厚を厚くすることによって効果が減衰するため、第2強磁性金属層2の膜厚は薄い方が好ましい。
第2強磁性金属層2の第1強磁性金属層1に対する保磁力をより大きくするために、第2強磁性金属層2と接する材料としてIrMn,PtMnなどの反強磁性材料を用いても良い。さらに、第2強磁性金属層2の漏れ磁場を第1強磁性金属層1に影響させないようにするため、シンセティック強磁性結合の構造としても良い。さらに、第2強磁性金属層2に一軸磁気異方性を付与するための磁場中熱処理を行ってもよい。
磁気センサとして磁気抵抗効果素子を活用させるためには、外部磁場に対して抵抗変化が線形に変化することが好ましい。一般的な強磁性層の積層膜では磁化の方向が形状異方性によって積層面内に向きやすい。この場合、例えば外部から磁場を印加して、第1強磁性金属層と第2強磁性金属層の磁化の向きを直交させることによって外部磁場に対して抵抗変化が線形に変化する。しかしながらこの場合、磁気抵抗効果素子の近くに磁場を印加させる機構が必要であり、集積を行う上で望ましくない。そのため強磁性金属層自体が垂直な磁気異方性を持つことが好ましい。
(熱処理)
熱処理は、トンネルバリア層3を積層した後に行う。熱処理は、第2強磁性金属層2の積層前に行ってもよいし、積層後に行ってもよい。熱処理を行うことで、トンネルバリア層3内での酸素拡散が促進される。また熱処理は、トンネルバリア層3の結晶化を進める効果も有する。尚、熱処理は、トンネルバリア層3の作製工程に限らず、必要に応じて下地層、第1強磁性層1、第2強磁性層2、後述する電極層11および電極層12の各作製工程に適用してもよいし、磁気抵抗効果素子を構成するすべての層を積層した後に一括で行ってもよい。
結晶化の観点からは、熱処理は第2強磁性金属層2を積層する前に行うことが好ましい。第2強磁性金属層2が積層されると、トンネルバリア層3は第1強磁性金属層1及び第2強磁性金属層によって挟持され、トンネルバリア層3内の結晶化の自由度が低下する。第2強磁性金属層2を積層する前に、熱処理を行うことで、第1強磁性金属層1とトンネルバリア層3との間の格子の整合性を高めることができる。
一方で、熱処理は、酸化工程を施す毎に行うことは避けることが好ましい。酸化工程ごとに熱処理を行うと、それぞれが酸化工程毎に結晶化する。それぞれが結晶化すると、酸素濃度の不均一性や格子の不整合等を、トンネルバリア層3全体として均一化することができない。その結果、酸素濃度の不均一性や格子の不整合等が充分解消できず、高いMR比を得ることができない。
上述のように、本発明の一態様に係る強磁性トンネル接合体の製造方法によれば、トンネルバリア層の厚み方向内部まで充分酸化できる。そのため、トンネルバリア層における非磁性酸化膜の厚みを厚くすることができ、コヒーレントトンネル効果以外の原因で流れる電流モードを排除でき、高いMR比を有する強磁性トンネル接合体を作製することができる。
(強磁性トンネル接合体)
上記の製造方法によって作製された強磁性トンネル接合体10は、第1強磁性金属層1と、第2強磁性金属層2と、第1強磁性金属層1と第2強磁性金属層2の間に挟まれるトンネルバリア層3とを有し、トンネルバリア層3は、組成式Mg1−xAl(0<x<1、0.35≦y≦1.7)で表記される非磁性酸化物からなる。
トンネルバリア層3は、トンネルバリア層3の第2強磁性金属層2側の面から第1強磁性金属層1側の面に至る厚み方向において、酸素濃度が濃くなる領域を有する。
一度に金属層を形成すると、酸素は第2強磁性金属層2側の面からしか導入できない。すなわち、第2強磁性金属層2から第1強磁性金属層1に向けて酸素濃度は段階的に薄くなる。
これに対し、上述の工程で作製されたトンネルバリア層3は、金属層積層工程と酸化工程を行い形成されている。そのため、酸化工程が設けられている部分で、酸素濃度は高くなる。すなわち、トンネルバリア層3の第2強磁性金属層2側の面から第1強磁性金属層1側の面までの厚みを横軸とし、酸素濃度を縦軸とした場合に、酸素濃度が凸の曲線を描く。この凸の曲線を描く領域が高酸素濃度領域であり、例えば、凸の曲線の頂点を挟んで、凹の曲線から凸の曲線に代わる二つの変曲点の間を高酸素濃度領域とすることができる。
またトンネルバリア層3は、金属層積層工程と酸化工程を交互に繰り返して作製する場合もある。この場合、トンネルバリア層3は、高酸素濃度領域と、高酸素濃度領域より酸素濃度が低い低酸素濃度領域とを交互に有する。
積層されている原子が層になっていること及び酸素濃度の違いは、透過型電子顕微鏡(TEM)を用いた原子マッピングを用いて行うことができる。
酸素濃度は、厚み方向の断面において、原子マッピングにより酸素濃度のグラデーションを確認することができる。また高酸素濃度領域と低酸素濃度領域が明確に検出できる場合だけでなく、断面において明確に検出できない場合であっても、トンネルバリア層3を表面からエッチングして削っていった際に、エッチング前後の表面の酸素濃度を測ってもよい。すなわち、トンネルバリア層3を表面からエッチングして削っていった際に、エッチング前後の表面の酸素濃度が高くなる場合も、高酸素濃度領域を有する場合に含む。
また面内方向で酸素濃度が均一な場合だけでなく、面内方向で酸素濃度の濃淡があっても、層全体で比較した際に酸素濃度が異なる場合も含む。
上述のように、本発明の一態様に係る強磁性トンネル接合体は、充分酸化されたトンネルバリア層の厚みが厚く、高いMR比を得ることができる。そのため、この強磁性トンネルバリア層を用いた磁気抵抗効果素子は、磁気センサ、高周波部品、磁気ヘッド及び不揮発性ランダムアクセスメモリ(MRAM)用の素子として優れた特性を示す。
(使用時の構成)
図4は、磁気抵抗効果素子を積層方向から平面視した模式図である。磁気抵抗効果素子20は、強磁性トンネル接合体10と、二つの電極層11、12と、電源13と、電圧計14とからなる。強磁性トンネル接合体10は、二つの電極層11、12の間に配置される。電極層11は図1に示す強磁性トンネル接合体10の第2強磁性金属層2に接続され、電極層12は図1に示す強磁性トンネル接合体10の第1強磁性金属層1に接続されている。二つの電極層11、12は、電源13と電圧計14に接続されている。電源13が電圧を印加すると、強磁性トンネル接合体10の積層方向(図3の紙面に垂直な方向)に電流が流れ、この際の印加電圧は電圧計14でモニターされる。
電極層11は第2強磁性層2の保護層としての機能も兼ね備えることができる。また、電極層12は第1強磁性層1の下地層としての機能も兼ね備えることができる。
二つの電極層11、12として、Ru、Ta、Cu、Cr、Auの群から選択される少なくとも1つの元素を含む導電層を用いることができる。
また二つの電極層11、12は一層に限られず、上述の層を複数層積層してもよい。
(評価方法)
磁気抵抗効果素子の評価方法について、図4を例に説明する。電源13から一定の電流を磁気抵抗効果素子に印加する。電圧を外部から磁場を掃引しながら測定することによって、磁気抵抗効果素子の抵抗変化を電圧計14で観測することができる。
磁気抵抗効果素子の他の評価方法として、12端子プローブを用いたCurrent−In−Plane−Tunneling(CIPT)法を用いることができる。
MR比は、一般的に以下の式で表される。
MR比(%)=(RAP−R)/R×100
は第1強磁性金属層1と第2強磁性金属層2の磁化の向きが平行の場合のトンネル抵抗であり、RAPは第1強磁性金属層1と第2強磁性金属層2の磁化の向きが反平行の場合のトンネル抵抗である。
以上、本発明の好ましい実施の形態について詳述したが、本発明は特定の実施の形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲内に記載された本発明の要旨の範囲内において、種々の変形・変更が可能である。
(実施例1)
MgO(001)基板上に、スパッタ法を用いた成膜により、磁気抵抗効果素子の各層を作製した。
まず、下地層(兼電極層12)としてCrを40nm積層し、第1強磁性金属層として、Feを30nm積層した。
次いで、得られた第1強磁性金属層上に、トンネルバリア層を以下の手順で作製した。まず、酸素吸引層として単体のMgを0.2nm積層した。
そして、酸素吸引層上にトンネルバリア層を、金属層積層工程と酸化工程を2回繰り返して作製した。トンネルバリア層の厚みは、種々変更した。
金属層積層工程において金属層は、MgAl組成のターゲットを用いてスパッタ法を用いて積層した。
酸化工程は、積層された金属層を純酸素雰囲気、5Paの環境に600秒間さらして、自然酸化により行った。
次いで、金属層積層工程及び酸化工程を2回行った後に、真空中、400℃の環境下で15分加熱し、トンネルバリア層を得た。
次いで、トンネルバリア層上に、第2強磁性金属層としてFeを6nm成膜し、強磁性トンネル接合体を得た。
次いで、反強磁性層のIrMnを12nm成膜し、電極層11としてRuを20nm成膜した。
最後に5kOeの磁場を印加しながら175℃の温度で熱処理し、第2強磁性金属層に一軸磁気異方性を付与した。
(比較例1)
トンネルバリア層を2回に分けて作製しなかった点が実施例1と異なる。
具体的には、第1強磁性金属層を積層後に、MgAl層を一度に成膜した。そして、成膜後のMgAl層を、純酸素雰囲気、5Paの環境に600秒間さらして、自然酸化を行った。その後、実施例1と同条件で加熱処理し、第2強磁性金属層、反強磁性層、電極層11をさらに積層した。
実施例1及び比較例1の強磁性トンネル接合体のMR比を図5に示す。尚、実施例1及び比較例1のいずれもCIPT法を用いた測定結果である。図5において、横軸はトンネルバリア層の厚みであり、縦軸はMR比である。
図5に示すように、実施例1及び比較例1の強磁性トンネル接合体のMR比は、トンネルバリア層の厚みが0.5nmまでは同じような推移を示し、0.5nm以上で異なる推移を示している。
比較例1の強磁性トンネル接合体は、トンネルバリア層の厚みが0.5nm〜0.6nm前後でMR比の最大値(130%)を示した。そして、厚みを厚くするに従い、MR比は徐々に低下した。
つまり、トンネルバリア層の厚みが薄い段階では、酸化工程で導入された酸素が、第1強磁性体側まで拡散できている。これに対し、トンネルバリア層の厚みが厚くなると、酸素が第1強磁性金属側まで到達できなくなる。そのため、トンネルバリア層の厚みがある程度の厚み以上になると、コヒーレントトンネル効果を生み出すことができる非磁性酸化膜(Mg1−xAl)の厚みが変化せず、MR比は向上しない。さらに、非磁性酸化膜(Mg1−xAl)の厚みが変化せず、トンネルバリア層の厚みが厚くなるということは、二つの強磁性金属層の間に不要な金属層(MgAl層)が残存することを意味する。この不要な金属層の厚みが厚くなることで、MR比は徐々に低下する。
これに対し、実施例1の強磁性トンネル接合体は、トンネルバリア層の厚みが、0.6nm前後でMR比の最大値(180%)を示し、その後MR比は高いまま推移した。
つまり、トンネルバリア層の厚みが厚くなっても、酸素が第1強磁性金属側まで到達し、不要な金属層は形成されていない。そのため、トンネルバリア層の全体がコヒーレントトンネル効果を生み出すことができる非磁性酸化膜(Mg1−xAl)からなり、MR比が低下せず高いまま推移していると考えられる。
また比較例1では実現することができなかった膜厚の非磁性酸化膜(Mg1−xAl)を得ることができ、高いMR比を実現することができた。
10…強磁性トンネル接合体、1…第1強磁性金属層、2…第2強磁性金属層、3…トンネルバリア層、b〜b…金属層、b…酸素吸引層、20…磁気抵抗効果素子、11,12…電極層、13…電源、14…電圧計

Claims (9)

  1. 第1強磁性金属層と、トンネルバリア層と、第2強磁性金属層と、を順に積層する段階を有し、
    前記トンネルバリア層を積層する段階が、組成式Mg1−xAl(0<x<1)で表記される複数の金属層を積層する金属層積層工程と、前記金属層積層工程の間に少なくとも1つの金属層を酸化する酸化工程とを有する強磁性トンネル接合体の製造方法。
  2. 前記トンネルバリア層を積層した後に、前記トンネルバリア層を熱処理する請求項1に記載の強磁性トンネル接合体の製造方法。
  3. 前記金属層積層工程において、先に積層される金属層のマグネシウム濃度を、後に積層される金属層のマグネシウム濃度より濃くする請求項1又は2のいずれかに記載の強磁性トンネル接合体の製造方法。
  4. 前記先に積層される金属層が、最初に積層される金属層である請求項3に記載の強磁性トンネル接合体の製造方法。
  5. 前記金属層積層工程の前に、前記金属層積層工程において積層されるいずれの金属層よりマグネシウム濃度が濃く、組成式Mg1−xAl(0≦x<1)で表記される金属からなる酸素吸引層を積層する工程をさらに有する請求項1〜4のいずれか一項に記載の強磁性トンネル接合体の製造方法。
  6. 前記金属層の各々の厚みが、0.1nm以上1.5nm以下である請求項1〜5のいずれか一項に記載の強磁性トンネル接合体の製造方法。
  7. 前記酸素吸引層の厚みが、0.1nm以上0.6nm以下である請求項5に記載の強磁性トンネル接合体の製造方法。
  8. 第1強磁性金属層と、第2強磁性金属層と、前記第1強磁性金属層と前記第2強磁性金属層の間に挟まれるトンネルバリア層とを有し、
    前記トンネルバリア層は、組成式Mg1−xAl(0<x<1、0.35≦y≦1.7)で表記される非磁性酸化物からなり、
    前記トンネルバリア層の第2強磁性金属層側の面から第1強磁性金属層側の面に至る厚み方向において、高酸素濃度領域を有する強磁性トンネル接合体。
  9. 請求項8に記載の強磁性トンネル接合体を備えた磁気抵抗効果素子。
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