JP2017183335A - フェライト焼結磁石の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】Ca−La−Co系フェライト焼結磁石のBrをさらに向上させることを可能にする。【解決手段】特定組成のCa−La−Co系フェライト焼結磁石を製造する方法であって、原料粉末混合工程、仮焼工程、第一の粉砕工程、熱処理工程、第二の粉砕工程、成形工程、焼結工程を含み、第一の粉砕工程によって得られる第一の粉末の平均粒径が0.7μm以下であり、熱処理工程における熱処理温度が850℃以上1000℃以下であり、熱処理工程後の第二の粉末の平均粒径が0.9μm以上であり、第二の粉砕工程によって得られる第三の粉末の平均粒径が0.7μm以上0.9μm未満であり、仮焼工程後、成形工程前に、仮焼体または粉末100質量%に対して0.2質量%以上0.35質量%以下のSiO2を焼結助剤として添加する。【選択図】図1

Description

本発明は、フェライト焼結磁石の製造方法に関する。
フェライト焼結磁石は最大エネルギー積が希土類系焼結磁石(例えばNdFeB系焼結磁石)の1/10にすぎないが、主成分が安価な酸化鉄であることからコストパフォーマンスに優れており、化学的に極めて安定であるという特徴を有している。そのため、世界的な生産重量は現在でも磁石材料の中で最大である。
モータやスピーカなどフェライト焼結磁石が用いられている様々な用途の中で高性能材の要望が強いのは自動車電装用モータや家電用モータなどである。近年、希土類原料の価格高騰や調達リスクの顕在化を背景に、これまで希土類系焼結磁石しか用いられていなかった産業用モータや電気自動車用(EV、HV、PHVなど)駆動モータ・発電機などにもフェライト焼結磁石の応用が検討されている。
代表的なフェライト焼結磁石は、マグネトプランバイト構造を有するSrフェライトであり、基本組成はSrFe1219で表される。1990年代後半にSrFe1219のSr2+の一部をLa3+で置換し、Fe3+の一部をCo2+で置換したSr−La−Co系フェライト焼結磁石が実用化されたことによりフェライト磁石の磁石特性は大きく向上した。また、2007年には、磁石特性をさらに進化させたCa−La−Co系フェライト焼結磁石が開発され、現在実用化されているが、上記用途に供するためには、Ca−La−Co系フェライト焼結磁石においてもさらなる高性能化が必要である。
本発明者らの研究グループは先に、Ca−La−Co系フェライト焼結磁石において、焼結助剤として、一般的に添加されているCaCoを添加せずに、SiOのみを0.2質量%以上0.35質量%という極少量添加することで、主相比率を増加させ、残留磁束密度(以下、「B」という場合がある)を向上させたCa−La−Co系フェライト焼結磁石を提案した(特許文献1)。
また、製造方法の改良によって高性能化を図ることも提案されており、Ca−La−Co系フェライト焼結磁石の製造方法において、第一の微粉砕工程と、前記第一の微粉砕工程によって得られた粉末に熱処理を施す工程と、前記熱処理が施された粉末を再度粉砕する第二の微粉砕工程とからなる粉砕工程(以下「熱処理再粉砕工程」という)を行うことによって、結晶粒子の粒径を小さくするとともに磁石の密度を高め、さらに、結晶粒子の形状を制御することによって磁石特性を向上させることが提案されている(特許文献2)。
国際公開第2014/050433号 国際公開第2008/105449号
特許文献1や2などによって、Ca−La−Co系フェライト焼結磁石の高性能化が図られているものの、Ca−La−Co系フェライト焼結磁石にはまだまだ未知な部分が多く、それらが解明されるにつれ、既知の各提案あるいは各提案の組み合わせだけでは、Ca−La−Co系フェライト焼結磁石本来のポテンシャルを十分に引き出せているとは言えなかった。
本開示の実施形態は、Ca−La−Co系フェライト焼結磁石のBをさらに向上させることを可能にする。
本開示の限定的ではない例示的なフェライト焼結磁石の製造方法は、Ca、La、Fe及びCoの金属元素の原子比率を示す一般式:Ca1−xLaFe2n−yCoにおいて、前記x及びy、並びにモル比を表わすnが、0.5≦x≦0.7、0.35≦y≦0.5、及び3≦n≦6を満足するように原料粉末を混合し、混合原料粉末を得る原料粉末混合工程、前記原料粉末を仮焼し、仮焼体を得る仮焼工程、前記仮焼体を粉砕し、第一の粉末を得る第一の粉砕工程、前記第一の粉末を熱処理し、第二の粉末を得る熱処理工程、前記第二の粉末を粉砕し、第三の粉末を得る第二の粉砕工程、前記第三の粉末を成形し、成形体を得る成形工程、前記成形体を焼成し、焼結体を得る焼成工程、及び前記仮焼工程後、前記成形工程前に、焼結助剤を添加する工程を含み、前記第一の粉末の平均粒径が0.7μm以下であり、前記熱処理工程における熱処理温度が850℃以上1000℃以下であり、前記第二の粉末の平均粒径が0.9μm以上であり、前記第三の粉末の平均粒径が0.7μm以上0.9μm未満であり、前記焼結助剤がSiOを必須に含みCaCOを含まず、前記SiOの添加量が、添加する対象となる仮焼体または粉末100質量%に対して0.2質量%以上0.35質量%以下である。
ある実施形態において、前記第一の粉末の平均粒径が0.6μm以下である。
ある実施形態において、第二の粉末の平均粒径が1μm以上である。
本開示の実施形態によれば、Ca−La−Co系フェライト焼結磁石のBをさらに向上させることが可能となる。
実験例の表1のBの測定結果をグラフにしたものである。
以下に、本開示の実施形態のフェライト焼結磁石の製造方法を詳細に説明する。なお、以下の説明において、各粉末の平均粒径(平均粒度)は全て空気透過法によるものである。
(1)原料粉末混合工程
Ca、La、Fe及びCoの金属元素の原子比率を示す一般式:Ca1−xLaFe2n−yCoにおいて、前記x及びy、並びにモル比を表わすnが、0.5≦x≦0.7、0.35≦y≦0.5、及び3≦n≦6を満足するように原料粉末を準備する。
Laの含有量(x)は、0.5≦x≦0.7である。xが0.5未満または0.7を超えるとBが低下するため好ましくない。また、1−x<x(Ca<La)であることがより好ましい。Laは、Laを除く希土類元素の少なくとも一種でその一部を置換してもよい。置換量はモル比でLaの50%以下であるのが好ましい。
Coの含有量(y)は、0.35≦y≦0.5である。yが0.35未満ではCoの添加による磁石特性の向上効果が得られない。yが0.5を超えるとCoを多く含む異相が生成して磁石特性が低下するため好ましくない。既知のCa−La−Co系フェライト焼結磁石におけるCoの含有量は0.3近傍であった。本開示の実施形態ではCoの含有量(y)を0.35以上とする点が第一の特徴である。
nは(Fe+Co)と(Ca+La)とのモル比を反映する値で、2n=(Fe+Co)/(Ca+La)で表される。モル比nは3≦n≦6である。nが3未満または6を超えると磁石特性が低下するため好ましくない。
LaとCoとのモル比x/yの値は、1≦x/y≦3であるのが好ましい。より好ましい範囲は1.2≦x/y≦2である。これらの値を満たす組成を選択することにより、磁石特性をより向上させることができる。また、La含有量>Co含有量であるとき、すなわち、x>yであるとき、磁石特性の向上効果が大きい。
前記の組成は、金属元素の原子比率で示したが、例えば、前添加法の場合、酸素(O)を含む組成は、一般式:Ca1−xLaFe2n−yCoαにおいて、前記x及びy、並びにモル比を表わすnが、0.5≦x≦0.7、0.35≦y≦0.5、及び3≦n≦6を満たし、LaとFeが3価でCoが2価であり、x=yでかつn=6の時の化学量論組成比を示した場合はα=19である、と表すことができる。
前記酸素(O)を含めたフェライト焼結磁石の組成において、酸素のモル数αは、Fe及びCoの価数、n値などによって異なってくる。また、還元性雰囲気で焼成した場合の酸素の空孔(ベイカンシー)、フェライト相におけるFeの価数の変化、Coの価数の変化等により金属元素に対する酸素の比率が変化する。従って、実際の酸素のモル数αは19からずれる場合がある。そのため、本発明においては、最も組成が特定し易い金属元素の原子比率で組成を表記している。
原料粉末としては、価数にかかわらず、それぞれの金属の酸化物、炭酸塩、水酸化物、硝酸塩、塩化物等を使用することができる。原料粉末を溶解した溶液であってもよい。Caの化合物としては、Caの炭酸塩、酸化物、塩化物等が挙げられる。Laの化合物としては、La等の酸化物、La(OH)等の水酸化物、La(CO・8HO等の炭酸塩等が挙げられる。鉄の化合物としては、酸化鉄、水酸化鉄、塩化鉄、ミルスケール等が挙げられる。Coの化合物としては、CoO、Co等の酸化物、CoOOH、Co(OH)、Co・mO(mは正の数である)等の水酸化物、CoCO等の炭酸塩、及びmCoCO・mCo(OH)・mO等の塩基性炭酸塩(m、m、mは正の数である)が挙げられる。
仮焼時の反応促進のため、必要に応じてB、HBO等のBを含む化合物を1質量%程度まで添加しても良い。特にHBOの添加は、HcJ及びBのさらなる向上に有効である。HBOの添加量は、0.3質量%以下であるのが好ましく、0.2質量%程度が最も好ましい。HBOの添加量が0.1質量%よりも少ないとBの向上効果が小さく、0.3質量%よりも多いとBが低下する。またHBOは、焼結時に結晶粒の形状やサイズを制御する効果も有するため、仮焼後(微粉砕前や焼結前)に添加してもよく、仮焼前及び仮焼後の両方で添加してもよい。
準備したそれぞれの原料粉末を混合し、混合原料粉末とする。原料粉末の配合、混合は、湿式及び乾式のいずれで行ってもよい。スチールボール等の媒体とともに撹拌すると原料粉末をより均一に混合することができる。湿式の場合は、分散媒に水を用いるのが好ましい。原料粉末の分散性を高める目的でポリカルボン酸アンモニウム、グルコン酸カルシウム等の公知の分散剤を用いてもよい。混合した原料スラリーはそのまま仮焼してもよいし、原料スラリーを脱水した後、仮焼してもよい。
(2)仮焼工程
乾式混合又は湿式混合することによって得られた混合原料粉末は、電気炉、ガス炉等を用いて加熱することで、固相反応により、六方晶のM型マグネトプランバイト構造のフェライト化合物を形成する。このプロセスを「仮焼」と呼び、得られた化合物を「仮焼体」と呼ぶ。
本開示の実施形態のフェライト焼結磁石の製造方法によって得られるフェライト焼結磁石(Ca−La−Co系フェライト焼結磁石)を構成する主相は、六方晶のM型マグネトプランバイト構造を有するフェライト相である。一般に、磁性材料、特に焼結磁石は、複数の化合物から構成されており、その磁性材料の特性(物性、磁石特性など)を決定づけている化合物が「主相」と定義される。
「六方晶のM型マグネトプランバイト構造を有する」とは、フェライト仮焼体のX線回折を一般的な条件で測定した場合に、六方晶のM型マグネトプランバイト構造のX線回折パターンが主として観察されることを言う。
仮焼工程は、酸素濃度が5体積%以上の雰囲気中で行うのが好ましい。酸素濃度が5体積%未満であると、異常粒成長、異相の生成等を招く。より好ましい酸素濃度は20体積%以上である。
仮焼工程では、温度の上昇とともにフェライト相が形成される固相反応が進行する。仮焼温度が1100℃未満では、未反応のヘマタイト(酸化鉄)が残存するため磁石特性が低くなる。一方、仮焼温度が1450℃を超えると結晶粒が成長し過ぎるため、粉砕工程において粉砕に多大な時間を要することがある。従って、仮焼温度は1100℃〜1450℃であるのが好ましく、1200℃〜1350℃であるのがより好ましい。仮焼時間は0.5時間〜5時間であるのが好ましい。仮焼前にHBOを添加した場合は、フェライト化反応が促進されるため、1100℃〜1300℃で仮焼を行うことができる。仮焼後の仮焼体はハンマーミルなどによって粗粉砕することが好ましい。
(3)第一の粉砕工程
仮焼体を、振動ミル、ジェットミル、ボールミル、アトライター等によって粉砕し、第一の粉末とする。第一の粉末の平均粒径は0.7μm以下とする。より好ましくは0.6μm以下である。粉砕工程は、乾式粉砕及び湿式粉砕のいずれでもよく、双方を組み合わせてもよい。湿式粉砕の場合は、分散媒として水および/または非水系溶剤(アセトン、エタノール、キシレン等の有機溶剤)を用いて行う。
(4)熱処理工程
第一の粉砕工程によって得られた第一の粉末に対して、850℃〜1000℃で熱処理を行う。本開示の実施形態では、熱処理温度を850℃〜1000℃で実施し、第一の粉末を積極的に粒成長させ、平均粒径が0.9μm以上、より好ましくは1μm以上の第二の粉末を得る点が第二の特徴である。このように平均粒径を0.9μm以上、より好ましくは1μm以上に積極的に粒成長させた後、後述する第二の粉砕工程によって平均粒径が0.7μm以上0.9μm未満の粉末(第三の粉末)を得て、所要の焼結助剤を添加し、成形、焼成することによって、Ca−La−Co系フェライト焼結磁石のBを向上させることができる。熱処理時間は1秒〜100時間が好ましく、1時間〜10時間程度がより好ましい。熱処理雰囲気は大気中であってよい。
前述した特許文献2では、粉末熱処理工程(本開示の熱処理工程に相当)では、第1の微粉砕材(本開示の第一の粉末に相当)を600℃〜1200℃、より好ましくは700℃〜1000℃で加熱すると記載されている。しかし、特許文献2の実施例では800℃(熱処理時間は1時間)しか実施されておらず、850℃〜1000℃で熱処理を実施した結果は開示されていない。また、粉末熱処理工程は、第1の微粉砕工程(本開示の第一の粉砕工程に相当)を経て生じた超微粉同士、ならびに超微粉とそれよりも粒径の大きな微粉(例えば粒径が0.1μm〜0.2μm程度の微粉)を反応させて、超微粉の量を減少させることを目的としており、第1の微粉砕材(本開示の第一の粉末に相当)を積極的に粒成長させることを示唆する記載は無い。
本発明者の実験によれば、熱処理温度が800℃では、第一の粉末(特許文献2の第1の微粉砕材に相当)はほとんど粒成長せず、850℃以上から粒成長が顕著になることが分かった。特許文献2では、粉末熱処理工程(本開示の熱処理工程に相当)後の第2の微粉砕工程(本開示の第二の粉砕工程に相当)は、粒度調整やネックグロースの除去、添加物の分散性向上を目的としており、第1の微粉砕工程による粉砕条件よりも穏やかである、と記載されている。それらの記載からして、特許文献2の粉末熱処理工程が第1の微粉砕材(本開示の第一の粉末に相当)を積極的に粒成長させることを意図していないことが分かる。換言すれば、積極的に粒成長させないために、実施例で、800℃で1時間加熱するという粉末熱処理工程を採用しているのではないかと考えられる。
(5)第二の粉砕工程
第一の粉末を積極的に粒成長させ、平均粒径を0.9μm以上、より好ましくは1μm以上となした第二の粉末に対して第二の粉砕工程を実施することにより、平均粒径(平均粒度)が0.7μm以上0.9μm未満の第三の粉末を作製する。この第三の粉末の平均粒径は従来の粉砕工程によって得られる粉末の平均粒径に比べ比較的大きい。本開示の実施形態では第三の粉末の平均粒径を0.7μm以上0.9μm未満とする点が第三の特徴である。第二の粉砕工程は、第一の粉砕工程と同様に、振動ミル、ジェットミル、ボールミル、アトライター等を用いて実施する。粉砕工程は、乾式粉砕及び湿式粉砕のいずれでもよく、双方を組み合わせてもよい。湿式粉砕の場合は、分散媒として水および/または非水系溶剤(アセトン、エタノール、キシレン等の有機溶剤)を用いて行う。典型的には、水(分散媒)と前記第三の粉末とを含むスラリーを生成する。スラリーには公知の分散剤及び/又は界面活性剤を固形分比率で0.2質量%〜2質量%を添加してもよい。湿式粉砕後は、スラリーを濃縮してもよい。
(6)成形工程
成形工程は、典型的には、前記第二の粉砕工程によって得られたスラリーを成形装置の金型内に注入し、分散媒を排出しながら磁界中でプレス成形する。
(7)焼成工程
焼成工程は、プレス成形により得られた成形体を、必要に応じて脱脂した後、焼成(焼結)する。焼成は電気炉、ガス炉等を用いて行う。焼成は酸素濃度が10体積%以上の雰囲気中で行うことが好ましい。より好ましくは20体積%以上であり、最も好ましくは100体積%である。焼成温度は1150℃〜1250℃が好ましい。焼成時間は0.5時間〜2時間が好ましい。これらの実施形態に代えて、国際公開第2014/021149号に開示される、1100℃から焼成温度までの温度範囲での昇温速度を1℃/分〜4℃/分、及び焼成温度から1100℃までの温度範囲での降温速度を6℃/分以上とする焼成工程を採用してもよい。焼成工程の後は、加工工程、洗浄工程、検査工程等の公知の製造プロセスを経て、最終的にフェライト焼結磁石を製造する。
(8)焼結助剤を添加する工程
前記仮焼工程後、前記成形工程前に、SiO2を必須に含みCaCOを含まない焼結助剤を添加する。焼結助剤は、添加する対象となる仮焼体または粉末(第一の粉末、第二の粉末および第三の粉末のうち少なくとも一つ)100質量%に対して0.2質量%以上0.35質量%以下添加する。SiOの添加量が0.35質量%を超えると、粒界相の含有比率が増加し、Bが低下するため好ましくない。SiOの添加量が0.2質量%未満ではHcJが低下するため好ましくない。より好ましい範囲は0.2質量%以上0.3質量%以下である。SiOの添加は、例えば、仮焼工程によって得られた仮焼体にSiOを添加した後第一の粉砕工程を実施する、第一の粉砕工程の途中あるいは第二の粉砕工程でSiOを添加する、あるいは第二の粉砕工程後の第三の粉末にSiOを添加、混合した後成形工程を実施する、などの方法を採用することができる。
フェライト焼結磁石において、従来は、SiOとCaCOの両方を添加するのが一般的であった。しかし、Ca−La−Co系フェライト焼結磁石に限っては、CaCOを添加せずに、SiOのみの添加で、しかも 0.2質量%以上0.35質量%以下という極めて少ない添加量で、優れた磁石特性が得られることを本発明者らの研究グループが知見した。これは、Ca−La−Co系フェライト焼結磁石においては、主相成分としてCaが含まれており、そのCaが焼結時に液相成分の一部となる(主相から液相へCaが移動している)ためであると考えられる。
本開示の実施形態によれば、焼結助剤の添加量を従来に比べ大幅に少なくできる。従って、焼結体における粒界相の含有比率が減少し、主相の含有比率が増加し、その結果、高いBが得られる。また、第三の粉末の平均粒径を比較的大きくしても磁石特性が低下しないという特徴を有する。すなわち、平均粒径を大きくしても、従来のCa−La−Co系フェライト焼結磁石と同等の磁石特性を得ることができる。これらの焼結助剤による磁石特性向上に加え、上述した本開示の実施形態の第一から第三の特徴によって、Bをさらに向上させることができる。その上、焼結助剤の添加量が少なくなるので、原料コストを低減できる。また、プレス成形時における脱水時間、すなわちプレスサイクルの短縮を図ることができるため、工程費を削減することができる。また、プレスサイクルの短縮によりプレス成形時の金型寿命を延ばすことができる。
本開示の実施形態を実施例によりさらに詳細に説明するが、本開示の実施形態はそれらに限定されるものではない。
実験例
組成式Ca1−xLaFe2n−yCoにおいて、x=0.6、 y=0.4及びn=5.2になるようにCaCO粉末、La(OH)粉末、Fe粉末及びCo粉末を配合し、配合後の粉末の合計100質量%に対してHBO粉末を0.1質量%添加、混合し、混合原料粉末を準備した。前記混合原料粉末を湿式ボールミルで4時間混合し、乾燥して整粒した。次いで、大気中において1300℃で3時間仮焼し、得られた仮焼体をハンマーミルで粗粉砕して仮焼体粉末を得た。
前記仮焼体粉末を、水を分散媒とした湿式ボールミルで第一の粉砕工程を実施し、表1に示す6種類の平均粒径(0.604μm、0.643μm、0.732μm、0.817μm、1.014μm、0.450μm)の第一の粉末を含むスラリーを得た。なお、試料No.1〜5については、第一の粉砕工程の前に、前記仮焼体粉末に、焼結助剤としてSiOを仮焼体粉末100質量%に対して0.3質量%添加した。試料No.1〜5は従来の粉砕工程を再現する例であり、第一の粉砕工程後の熱処理工程、第二の粉砕工程は実施していない。
平均粒径が0.450μmの第一の粉末を含むスラリーを濃縮した後、大気中、120℃で8時間乾燥後、整粒し、第一の粉末を得た。乾燥後の第一の粉末を用いて、表1に示す温度(700℃、800℃、850℃、900℃、1000℃)で、大気中で5時間熱処理する熱処理工程を実施し、冷却後解砕して、5種類の第二の粉末を得た。それぞれの第二の粉末の平均粒径を表1に示す。
前記5種類の第二の粉末それぞれに、焼結助剤としてSiOを第二の粉末100質量%に対して0.3質量%添加した後、それぞれについて水を分散媒とした湿式ボールミルで第二の粉砕工程を実施し、表1に示す12種類(試料No.6〜17)の第三の粉末を含むスラリーを得た。
なお、試料No.6〜8は、熱処理工程における温度が700℃であったため、第一の粉末があまり粒成長せず、得られた第二の粉末の平均粒径が0.620μmであり、第二の粉砕工程の時間を比較的短くしても、0.7μm以上の第三の粉末を得ることができなかった。同様に、試料No.9、10についても、熱処理工程における温度が800℃であったため、第一の粉末がそれほど粒成長せず、得られた第二の粉末の平均粒径が0.818μmであり、第二の粉砕工程の時間を比較的短くしても、0.734μm(試料No.10)を超える第三の粉末を得ることができなかった。
一方、熱処理工程における温度が850℃、900℃、1000℃である試料No.11〜17は、熱処理工程により第一の粉末が顕著に粒成長し、得られた第二の粉末の平均粒径は1.029μm(850℃)、1.549μm(900℃)、2.542μm(1000℃)であり、第二の粉砕工程によって本開示の実施形態である、平均粒径が比較的大きい0.7μm以上0.9μm未満の第三の粉末を容易に得ることができた。
前記の試料No.1〜5の第一の粉末を含むスラリーおよび試料No.6〜17の第三の粉末を含むスラリーを用いて成形工程を実施した。成形工程は、加圧方向と磁界方向とが平行である平行磁界成形機(縦磁界成形機)を用いた。具体的には、直径25mm、充填深さ30mmのキャビティに約1.3Tの磁界を印加し、前記キャビティにスラリーを充填し、スラリー充填完了後、下パンチを上方へ移動させて、分散媒を上パンチ側から除去しながら、最終的に50MPaの圧力で成形し、直径25mmの円柱状の成形体を得た。
成形工程において得られた試料No.1〜17のそれぞれの成形体を、焼成炉内に装入し、大気中で、1190℃で1時間焼成し、フェライト焼結磁石を得た。得られたフェライト焼結磁石のB、HcJ、HおよびH/HcJの測定結果を表1に示す。表1において、試料No.の横に*印を付したもの(試料No.11、14、15、17)が本開示の実施形態に基づく実験例であり、*印を付していないものが従来の粉砕工程(試料No.1〜5)および比較例(試料No.6〜10、12、13、16)を示す実験例である。また、表1のBの測定結果をグラフにしたものを図1に示す。図1において、横軸は第三の粉末の平均粒径(μm)、縦軸はB(T)の値を示す。また、菱形のプロットが試料No.1〜5であり、四角形のプロットが試料No.6〜8であり、丸いプロットが試料No.9、10であり、プラス印(+印)のプロットが試料No.11であり、三角形のプロットが試料No.12〜16であり、ばつ印(×印)が試料No.17である。なお、試料No.1〜5(菱形のプロット)については、横軸は第三の粉末の平均粒径ではなく第一の粉末の平均粒径(μm)を示している。表1におけるHは、J(磁化の大きさ)−H(磁界の強さ)曲線の第2象限において、Jが0.95×J(Jは残留磁化、J=B)の値になる位置のHの値である。
Figure 2017183335
表1に示すように、本開示の実施形態を全て満足するフェライト焼結磁石の製造方法によって得られた試料No.11、14、15、17のCa−La−Co系フェライト焼結磁石は、従来の粉砕工程によって得られたCa−La−Co系フェライト焼結磁石あるいは比較例によるCa−La−Co系フェライト焼結磁石に比べ、粉末(第三の粉末)の平均粒径が比較的大きい0.7μm以上0.9μm未満であるにもかかわらず、同等以上のBが得られる。また、本開示の実施形態によれば、第三の粉末の平均粒径を0.7μm以上0.9μm未満とするので、プレス成形時における脱水時間、すなわちプレスサイクルの短縮を図ることができ、工程費を削減することができる。また、プレスサイクルの短縮によりプレス成形時の金型寿命を延ばすことができるという効果も有する。
本開示の実施形態によるフェライト焼結磁石の製造方法は、フェライト焼結磁石の残留磁束密度をさらに向上させることが可能となるので、産業用モータや電気自動車用(EV、HV、PHVなど)駆動モータ・発電機などに好適に利用することができ、特に、それら部品の小型・軽量化、高能率化に寄与できる。

Claims (3)

  1. Ca、La、Fe及びCoの金属元素の原子比率を示す一般式:Ca1−xLaFe2n−yCoにおいて、前記x及びy、並びにモル比を表わすnが、
    0.5≦x≦0.7、
    0.35≦y≦0.5、及び
    3≦n≦6
    を満足するように原料粉末を混合し、混合原料粉末を得る原料粉末混合工程、
    前記原料粉末を仮焼し、仮焼体を得る仮焼工程、
    前記仮焼体を粉砕し、第一の粉末を得る第一の粉砕工程、
    前記第一の粉末を熱処理し、第二の粉末を得る熱処理工程、
    前記第二の粉末を粉砕し、第三の粉末を得る第二の粉砕工程、
    前記第三の粉末を成形し、成形体を得る成形工程、
    前記成形体を焼成し、焼結体を得る焼成工程、及び
    前記仮焼工程後、前記成形工程前に、焼結助剤を添加する工程を含み、
    前記第一の粉末の平均粒径が0.7μm以下であり、
    前記熱処理工程における熱処理温度が850℃以上1000℃以下であり、
    前記第二の粉末の平均粒径が0.9μm以上であり、
    前記第三の粉末の平均粒径が0.7μm以上0.9μm未満であり、
    前記焼結助剤がSiOを必須に含みCaCOを含まず、前記SiOの添加量が、添加する対象となる仮焼体または粉末100質量%に対して0.2質量%以上0.35質量%以下である、
    ことを特徴とするフェライト焼結磁石の製造方法。
  2. 第一の粉末の平均粒径が0.6μm以下であることを特徴とする請求項1に記載のフェライト焼結磁石の製造方法。
  3. 第二の粉末の平均粒径が1μm以上であることを特徴とする請求項1または2に記載のフェライト焼結磁石の製造方法。
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