JP2017182503A - 制御装置 - Google Patents
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Abstract
Description
一方で、本願出願人は、応答遅れが大きな系に対しても、所定時刻後に目標値と実測値を確実に一致させることのできる応答遅れ系の制御技術に関する技術を開発している(特許文献2)。
すなわち、応答遅れが大きな系に対して、所定時刻後に目標値と実測値を一致させるPFC制御において、目標値が変化する過渡状態において、目標値と実測値との乖離が発生するといった問題が顕著化しており、このため、応答遅れが大きな系に対して、従来手法に基づいたPFC制御を適用できないといった問題が存在した。
しかしながら、上記した特許文献2の技術にも、若干の問題点があることが現場の実績として明らかとなってきている。
例えば、図1には、従来から行われている制御手法をブロック図で示したものが開示されている。すなわち、図1では、応答遅れが大きな制御対象に対して、PFC制御などに代表されるモデル予測制御を適用した場合が示されている。この制御ブロックにおいては、指令値(物温指令値)yd(t)がモデル予測制御に入力され、その結果、モデル予測制御から所定時間後の指令値(te時間後指令値)ukが出力される。この出力値は制御対象(加熱源)に適用され、制御対象(正確には、加熱物の物温y(t))が制御される。物温y(t)は、モデル予測制御へフィードバックされる。
本発明に係る制御装置は、所定時間後の制御対象の出力目標値を与える目標値設定部と、前記出力目標値が付与された場合における所定時間後の制御対象の出力を、前記制御対象の動特性モデルに基づいて予測する予測部と、前記予測部が予測した所定時間後の制御対象の出力の予測値と前記目標値設定部で与えられた出力目標値とが一致するような入力を、モデル予測制御に基づいて決定する入力決定部と、備えていて、前記予測部が予測した所定時間後の制御対象の出力の予測値と前記目標値設定部で与えられた出力目標値との位相差を補償すべく、前記目標値設定部が出力した出力目標値と、当該出力目標値の微分値とに基づき、前記入力決定部に対する入力値を算出する位相進み補償部と、を有していることを特徴とする。
好ましくは、前記モデル予測制御がPFC制御の場合、ランプ目標値に対する位相進みtmは(T・e-(te-L)/T+te-T-L)×dyd(t)/dtとされ、前記位相進み補償部は、次式に基づいて、前記入力決定部に対する入力値を算出するように構成されるとよい。
好ましくは、前記補正部にて、所定時間taだけ位相進める補正を行うと共に、前記位相進み補償部においても、所定時間taだけ位相進める補正を行うとよい。
値と実測値を位相差を持つことなく確実に一致させることが可能となる。
本実施形態の制御装置1が制御する対象としては、圧延工程において鋳片を所定の温度まで加熱する加熱炉20や、高圧処理を行う物品に対する前処理として、当該物品を所定の温度まで加熱する加熱炉20などが想定される。
加熱炉20には、炉内の雰囲気温度を適切に制御し、被加熱物Wの温度(以下、単に物温と呼ぶこともある)をコントロールするための制御装置(従来の制御装置101)が設けられている。
PFC制御は所定時間後の目標値と実出力が一致するように入力を決定する予測制御の一種で、モデル予測制御といわれる制御の一種である。PFC制御は、予測に用いるモデルは「むだ時間系」+「一次遅れ系」の簡単な近似モデルで与えるだけで、応答が遅い系において良好な制御が実現されることから多くの事例に対して適用が進んでいる。
図8の制御装置101(PFC制御を行う制御装置)は、加熱炉20などの制御対象109を一次遅れ系とむだ時間系で近似できるものとし、この制御対象109に、所定時間後の制御対象109の出力目標値を与えるようにする。すなわち、出力目標値yd(t+te)を設定する目標値設定部102が設けられると共に、制御対象109の入側に積算部103が設けられ、この積算部103でuk=uk-1+akで算出された指令値を入力するようにしている。ここで、ukはyd(t+te)-ye(t+te)、akは、一次遅れ系のステップ応答の逆数で与えられるものとしている。
また、積算部103からの出力は、分岐してステップ応答部105へと入力される。ステップ応答部105は一次遅れ系のステップ応答の一定時間後のゲイン特性を有している。また、予測部104の出力はインパルス応答部106へと入力される。インパルス応答部106は、一次遅れ系のインパルス応答の一定時間後のゲイン特性を有するものとなっている。インパルス応答部106の出力はステップ応答部105の出力に加算された上で、制御対象109の出力に加算され、推定誤差を加味した未来時刻teでの物温の予測値ye(t+te)となる。つまり、予測部104の出力がむだ時間部110を通過した後の値が制御対象109の出力に加えられると共に、ステップ応答部105の出力とインパルス応答部106の出力とが加算された値が制御対象109の出力に加えられ、積算部103の入側へネガティブフィードバックされる。
以上述べたような制御装置101は、所定の評価時刻te後の出力実測値y(t+te)と目標値yd(t+te)が一致するように制御するもので、入力uk(=u(t))を一定にホールドした際のte時刻後の出力y(t+te)の予測値ye(t+te)をモデルから予測し、ye(t+te)とyd(t+te)が一致するように、ukをサンプリング周期毎に決定するものとなっている。
図1の制御ブロック図においては、指令値(物温指令値)yd(t)がモデル予測制御に入力され、その結果、モデル予測制御から所定時間後の指令値(te時間後指令値)ukが出力される。この出力値は制御対象(加熱源)に適用され、制御対象(正確には、加熱物の物温y(t))が制御される。物温y(t)は、モデル予測制御へフィードバックされる。
[第1実施形態]
そこで、本実施形態では、上記した問題点を克服した応答遅れ系に対する制御装置1を有するものとなっている。
図3の制御ブロック図においては、指令値(物温指令値)yd(t)が、まずは位相進み補償部12へと入力される。
位相進み補償部12においては、制御による位相進み時間tmと未来時間teを加味したtc分だけ、位相に対して補償を行った信号yc(t)を出力する。この出力yc(t)は、モデル予測制御(PFC制御)に入力され、その結果、モデル予測制御から所定時間後の指令値(te時間後の未来時間指令値)ukが出力される。この出力値は制御対象(加熱源22)に適用され、制御対象(正確には、加熱物Wの物温y(t))が制御される。物温y(t)は、モデル予測制御へネガティブフィードバックされる。
図4から明らかなように、物温指令値yd(t)と、加熱物の物温y(t)とが、一致する状況、すなわち適切な制御が行われている状況となっている。
[第2実施形態]
次に、本発明の制御装置1にかかる第2実施形態について説明をする。
例えば、通常のモデル予測制御(MPC制御)としては、図9に示すブロック図で表されものがある。
評価関数は事前に与えられている yd(i)に加え、出力の未来予測値 ye(i)を予測する必要がある。今、プラントの離散モデルが式(a4)で与えられた場合を考える。
図5には、制御対象として、一次遅れ系(1/(1+s))の場合を考える。また現時刻 t に対して0〜2秒先の区間を評価区間{t+0≦τ≦t+2}とした場合の結果を示す。この図は、このような制御対象に対して、図1で示すような従来の制御を行った結果(ランプ入力時)を示したものである。
図6は、一次遅れ系で示される制御対象に対して、位相進みtmを加味し、図3で示すような本発明の制御を行った結果(ランプ入力時)を示したものである。
すなわち、式(4)を基にtc(t)を算出して、tc(t)分だけ位相補償を行う。
[第3実施形態]
次に、本発明の制御装置1にかかる第3実施形態について説明をする。
本実施形態においても、第1実施形態と同様に、図3で示す制御ブロック図による制御が制御装置1において実行される。ここでは、モデル予測制御はPFC制御とされている。
詳しくは、図7に示す如く、加熱炉20などの制御対象を一次遅れ系とむだ時間系で近似できるものとし、この制御対象に、所定時間後の制御対象の出力目標値を与えるようにする。すなわち、出力目標値yd(t+te)を設定する目標値設定部2が設けられると共に、制御対象の入側に積算部3が設けられ、この積算部3でuk=uk-1+akで算出された指令値を、出力目標値が付与された場合における所定時間後の制御対象の出力を制御対象の動特性モデルに基づいて予測する制御対象9へ入力するようにしている。ここで、ukはyd(t+te)-ye(t+te)、akは、一次遅れ系のステップ応答の逆数で与えられるものとしている。
一方、積算部3からの分岐された出力ukは、さらに、ステップ応答部5へと入力される。ステップ応答部5は一次遅れ系のステップ応答の一定時間後のゲイン特性を有している。また、予測部4の出力はインパルス応答部6へと入力される。インパルス応答部6は、一次遅れ系のインパルス応答の一定時間後のゲイン特性を有するものとなっている。インパルス応答部6の出力はステップ応答部5の出力に加算された上で、制御対象9の出力に加算され、推定誤差を加味した未来時刻teでの物温の予測値ye(t+te)となる。
さらに、制御装置1は、補正部7(未来入力算出部)を有し、この補正部7の出力(ta×dya/dt)が、積算部3の出力側へネガティブフィードバックされる信号ye(t)に加算されyf(t)となっている。すなわち、第3実施形態の制御装置1においては、補正部7にて、所定時間taだけ位相進める補正を行うと共に、位相進み補償部12においても、所定時間taだけ位相進める補正を行うこととしている。
以上述べたように、本発明の制御装置1は、所定時間後の制御対象9の出力目標値を与える目標値設定部2と、出力目標値が付与された場合における所定時間後の制御対象9の出力を、制御対象9の動特性モデルに基づいて予測する予測部4と、予測部4が予測した所定時間後の制御対象9の出力の予測値と目標値設定部2で与えられた出力目標値とが一致するような入力を、モデル予測制御に基づいて決定する入力決定部8とを備えていて、予測部4が予測した所定時間後の制御対象9の出力の予測値と目標値設定部2で与えられた出力目標値との位相差を補償すべく、目標値設定部2が出力した出力目標値と、当該出力目標値の微分値とに基づき、入力決定部8に対する入力値(位相補正値)を算出する位相進み補償部12を有している。この制御装置1によれば、応答遅れが大きな系に対しても、所定時刻後に目標値と実測値を位相差を持つことなく確実に一致させることのできる応答遅れ系の制御を実現することができる。
2 目標値設定部
3 積算部
4 予測部
5 ステップ応答部
6 インパルス応答部
7 補正部
8 入力決定部
9 制御対象
10 むだ時間部
20 加熱炉
21 炉体
22 加熱源(ヒータ)
23 温度計
101 従来からの制御装置(PFC制御)
W 被加熱物
Claims (5)
- 所定時間後の制御対象の出力目標値を与える目標値設定部と、
前記出力目標値が付与された場合における所定時間後の制御対象の出力を、前記制御対象の動特性モデルに基づいて予測する予測部と、
前記予測部が予測した所定時間後の制御対象の出力の予測値と前記目標値設定部で与えられた出力目標値とが一致するような入力を、モデル予測制御に基づいて決定する入力決定部と、備えていて、
前記予測部が予測した所定時間後の制御対象の出力の予測値と前記目標値設定部で与えられた出力目標値との位相差を補償すべく、前記目標値設定部が出力した出力目標値と、当該出力目標値の微分値とに基づき、前記入力決定部に対する入力値を算出する位相進み補償部と、
を有していることを特徴とする制御装置。 - 前記位相進み補償部は、未来時刻teと制御による位相進みtmとから補正すべき位相進みtcを算出し、算出されたtc又は当該tcをフィルタリングしたtfと、前記目標値設定部が出力した所定時間後の出力目標値の微分値に基づいて、前記入力決定部に対する入力値を算出するように構成されている
ことを特徴とする請求項1に記載の制御装置。 - 前記モデル予測制御がPFC制御の場合、
ランプ目標値に対する位相進みtmは(T・e-(te-L)/T+te-T-L)×dyd(t)/dtとされ、
前記位相進み補償部は、次式に基づいて、前記入力決定部に対する入力値を算出することを特徴とする請求項2に記載の制御装置。
- 前記入力決定部から出力される信号を補正する補正部を有することを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の制御装置。
- 前記補正部にて、所定時間taだけ位相進める補正を行うと共に、前記位相進み補償部においても、所定時間taだけ位相進める補正を行うことを特徴とする請求項4に記載の制御装置。
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