JP2017181958A - 感光性樹脂組成物、感光性樹脂フィルム、硬化物の製造方法、積層体、及び電子部品 - Google Patents
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Abstract
Description
また、近年、さらなる高性能化のために、金属イオン希薄層のうち、選択的にめっき成長させたい方向に存在する層をめっき液により破壊しながらめっき処理をすることで、導体層を厚み150μm程度まで厚く形成することが試みられている(特許文献3参照)。
[2]上記[1]に記載の感光性樹脂組成物を用いた感光層を有する、感光性樹脂フィルム。
[3]基板上に、上記[1]に記載の感光性樹脂組成物、又は、上記[2]に記載の感光性樹脂フィルムを用いて、感光層を形成する工程、
該感光層の少なくとも一部に活性光線を照射して、光硬化部を形成する工程、
該感光層の光硬化部以外の少なくとも一部を除去し、樹脂パターンを形成する工程、を順に有する、硬化物の製造方法。
[4]上記[1]に記載の感光性樹脂組成物の硬化物を備える積層体。
[5]上記[1]に記載の感光性樹脂組成物の硬化物を備える電子部品。
本明細書において、「〜」を用いて示された数値範囲は、「〜」の前後に記載される数値をそれぞれ最小値及び最大値として含む範囲を示す。また、本明細書中に段階的に記載されている数値範囲において、ある段階の数値範囲の上限値又は下限値は、他の段階の数値範囲の上限値又は下限値に置き換えてもよい。本明細書中に記載されている数値範囲において、その数値範囲の上限値又は下限値は、実施例に示されている値に置き換えてもよい。
「(メタ)アクリル酸」とは、「アクリル酸」及びそれに対応する「メタクリル酸」の少なくとも一方を意味し、(メタ)アクリレート等の他の類似表現についても同様である。
本開示における実施形態に係る(以後、単に本実施形態と称する場合がある。)感光性樹脂組成物は、(A)成分:光重合性官能基及び炭素−窒素結合を有する高分子量体(以下、単に「高分子量体」と称することがある。)と、(B)成分:光重合性官能基を有する低分子量体(以下、単に「低分子量体」と称することがある。)と、(C)成分:光重合開始剤と、を含有し、該(B)成分が、(B1)成分:光重合性官能基とイソシアヌル環骨格とを有する低分子量体を含有する、感光性樹脂組成物である。
本明細書において、「固形分」とは、感光性樹脂組成物に含まれる水、溶媒等の揮発する物質を除いた不揮発分のことであり、該樹脂組成物を乾燥させた際に、揮発せずに残る成分を示し、また室温で液状、水飴状、及びワックス状のものも含む。ここで、本明細書において室温とは25℃を示す。以下、各成分について、説明する。
本実施形態の感光性樹脂組成物は、(A)成分として光重合性官能基及び炭素−窒素結合を有する高分子量体を含む。「高分子量体」とは、重量平均分子量(Mw)が2,500以上である化合物を意味する。なお、本明細書における重量平均分子量の値は、ゲルパーミエーションクロマトグラフ(GPC)法によって、テトラヒドロフラン(THF)を用いて測定した値である。
(A)成分に含まれる光重合性官能基としては、例えば、(メタ)アクリロイル基;ビニル基、アリル基等のアルケニル基などのエチレン性不飽和基が挙げられる。すなわち、(A)成分は、これらの官能基を少なくとも1つ、かつ炭素−窒素結合を少なくとも1つ有するものである。
(A)成分は、パターン形成性を向上させる観点から、光重合性官能基として(メタ)アクリロイル基を有する高分子量体を含んでもよく、更に、炭素−窒素結合としてウレタン結合を有する高分子量体を含んでもよい。
(メタ)アクリロイル基を有する高分子量体としては、例えば、(メタ)アクリレートが挙げられ、炭素−窒素結合としてウレタン結合を有するものとしては、例えば、ウレタン結合を有する(メタ)アクリレート(以下、「ウレタン(メタ)アクリレート」と称することがある。)が挙げられる。
(A)成分が有する光重合性官能基の数としては、2〜24、また得られる硬化物の物性及び特性を安定化させる観点から、4〜15、又は、6〜12から適宜選択すればよい。
光重合性官能基数が2以上であれば、パターン形成性とともに、耐熱性、高温における硬化物の剛性を向上させることができる。一方、光重合性官能基数が24以下であれば、硬化物の剛性が向上し、かつ基板等との密着性が向上する。また、適度な粘度を有する樹脂組成物とすることができ、塗布性が向上し、塗布後の樹脂組成物に対して光照射を行った場合に、表面部分だけが急速に光硬化しやすく内部は光硬化が十分に進行しないといった現象を抑制できる。その結果、優れた解像度が得られるので、厚い感光層を形成した場合であっても優れたパターン形成性が得られる。更に、光硬化及び熱硬化の少なくとも一方の硬化を行った後、未反応の光重合性官能基の残存をより少なくし、得られる硬化物の物性及び特性の変動をより抑制することができる。
該(A)成分は、鎖状炭化水素骨格、脂環式骨格、及び芳香環骨格からなる群から選ばれる少なくとも1種の骨格を有する高分子量体を含んでもよい。
水酸基を有する(メタ)アクリレートとしては、例えば、1分子中に水酸基を少なくとも1つ、及び(メタ)アクリロイル基を少なくとも1つ有する化合物が挙げられる。より具体的には、例えば、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、3−クロロ−2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−3−(o−フェニルフェノキシ)プロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−3−(1−ナフトキシ)プロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−3−(2−ナフトキシ)プロピル(メタ)アクリレート等の単官能(メタ)アクリレート、これらのエトキシ化体、これらのプロポキシ化体、これらのエトキシ化プロポキシ化体、及びこれらのカプロラクトン変性体;トリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート、グリセリンジ(メタ)アクリレート、ビス(2−(メタ)アクリロイロキシエチル)(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレート等の2官能(メタ)アクリレート、これらのエトキシ化体、これらのプロポキシ化体、これらのエトキシ化プロポキシ化体、及びこれらのカプロラクトン変性体;シクロヘキサンジメタノール型エポキシジ(メタ)アクリレート、トリシクロデカンジメタノール型エポキシジ(メタ)アクリレート、水添ビスフェノールA型エポキシジ(メタ)アクリレート、水添ビスフェノールF型エポキシジ(メタ)アクリレート、ヒドロキノン型エポキシジ(メタ)アクリレート、レゾルシノール型エポキシジ(メタ)アクリレート、カテコール型エポキシジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールA型エポキシジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールF型エポキシジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAF型エポキシジ(メタ)アクリレート、ビフェノール型エポキシジ(メタ)アクリレート、フルオレンビスフェノール型エポキシジ(メタ)アクリレート、イソシアヌル酸モノアリル型エポキシジ(メタ)アクリレート等の2官能エポキシ(メタ)アクリレート;ジトリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート等の3官能以上の(メタ)アクリレート、これらのエトキシ化体、これらのプロポキシ化体、これらのエトキシ化プロポキシ化体、及びこれらのカプロラクトン変性体;フェノールノボラック型エポキシ(メタ)アクリレート、クレゾールノボラック型エポキシポリ(メタ)アクリレート、イソシアヌル酸型エポキシトリ(メタ)アクリレート等の3官能以上のエポキシ(メタ)アクリレート;トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート等のヒドロキシプロピル化体、などが挙げられる。
これらは、単独で、又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
また、カプロラクトン変性体は、例えば、上記(メタ)アクリレートの原料となるアルコール化合物(又はフェノール化合物)をε−カプロラクトンで変性したものを原料として用いて得られるものである。
以上のイソシアネート化合物は、単独で、又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
以上のジオール化合物は、単独で、又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
また、脂環式骨格を有するジオール化合物としては、パターン形成性を向上させ、また重合後のガラス転移点(Tg)を高くして耐水性を向上させる観点から、炭素数5〜20、5〜18、又は、6〜16の脂環式骨格を有するジオール化合物から適宜選択すればよく、より具体的には、1,3−シクロヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジオール等の各種シクロヘキサンジオール、1,3−シクロヘキサンジメタノール、1,4−シクロヘキサンジメタノール等の各種シクロヘキサンジメタノールから適宜選択すればよい。
パターン形成性を向上させ、また樹脂組成物の透明性、耐水性、及び耐湿性をバランスよく向上させる観点から、X1は、脂環式骨格を有する2価の有機基、中でも、下記式(2)で示されるイソホロンジイソシアネートの残基である、脂環式骨格を有する2価の有機基であってもよい。
中でも、パターン形成性を向上させ、また重合後のガラス転移点(Tg)を高くして耐水性を向上させる観点から、鎖状炭化水素骨格を有する2価の有機基としては、炭素数1〜20、2〜16、又は、2〜14の飽和ジオール化合物から水酸基を除いた残基から適宜選択すればよく、より具体的には、エチレングリコール、オクタデカンジオールから水酸基を除いた残基から適宜選択すればよい。また、これと同じ観点から、脂環式骨格を有する2価の有機基としては、炭素数5〜20、5〜18、又は、6〜16の脂環式骨格を有するジオール化合物から水酸基を除いた残基から適宜選択すればよく、より具体的には、1,3−シクロヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジオール等の各種シクロヘキサンジオール、1,3−シクロヘキサンジメタノール、1,4−シクロヘキサンジメタノール等の各種シクロヘキサンジメタノールから水酸基を除いた残基から適宜選択すればよい。
また、上記一般式(1)で表される構造単位を有するウレタンメタクリレートを含む市販品としては、例えば、UN−6060PTM(官能基数:2、Mw:6,000、商品名、根上工業株式会社製)等が挙げられる。なお、以上の記載において、括弧内の官能基数、及びMwは、各々ウレタン(メタ)アクリレートに含まれる(メタ)アクリロイル基の総数、及び重量平均分子量である。
これらの中でも、パターン形成性、及び感光性の観点から、UN−952が特に好ましい。
重量平均分子量が2,500以上であれば、基板上に塗布した際に、塗布した樹脂組成物のだれの発生が抑制できるため、優れたパターン形成性が得られる。また、厚い感光層を形成しやすく、硬化収縮による樹脂の応力が大きくなって信頼性が低下するという問題も抑えることができる。
一方、重量平均分子量が40,000以下であれば、塗布性が向上し、厚い感光層を形成しやすくなり、パターン形成性が向上する。また、現像液に対する溶解性も良好となるため、優れた解像度を発現させることができる。更に、硬化物の透明性が向上し、透明材料として要求される優れた透過率を有する硬化物を得ることができる。
得られる樹脂組成物のパターン形成性、塗布性、及び樹脂組成物の硬化物に要求する物性及び特性を考慮すると、(A)成分の含有量の上限値は、感光性樹脂組成物の固形分全量を基準として、95質量%以下、85質量%以下、又は、75質量%以下から適宜選択すればよい。
また、(A)成分中のウレタン(メタ)アクリレートの含有量は、パターン形成性を向上させる観点から、(A)成分の固形分全量を基準として、70〜100質量%、80〜100質量%、90〜100質量%、95〜100質量%、又は、100質量%(全量)から適宜選択すればよい。
本実施形態の感光性樹脂組成物は、(B)成分として、光重合性官能基を有する低分子量体を含有し、該(B)成分は、(B1)成分として、光重合性官能基とイソシアヌル環骨格とを有する低分子量体を含有する。「低分子量体」とは、重量平均分子量が2,500未満である化合物を意味する。
(B)成分に含まれる光重合性官能基としては、例えば、(メタ)アクリロイル基;ビニル基、アリル基等のアルケニル基などのエチレン性不飽和基が挙げられる。パターン形成性を向上させる観点から、(B)成分は、光重合性官能基として(メタ)アクリロイル基を有していてもよい。
本実施形態の感光性樹脂組成物は、(B1)成分として、光重合性官能基とイソシアヌル環骨格とを有する低分子量体を含有することにより、電子部品の基材等との密着性が向上し、優れたパターン形成性が得られる。
(B1)成分は、パターン形成性を向上させる観点から、光重合性官能基を2つ以上有する低分子量体を含んでいてもよく、光重合性官能基を2〜5つ有する低分子量体を含んでいてもよく、光重合性官能基を2つ又は3つ有する低分子量体を含んでいてもよい。また、パターン形成性を向上させる観点から、3つ以上の光重合性官能基とイソシアヌル環骨格とを有する低分子量体の含有量は、(B1)成分の固形分全量100質量部を基準として、65質量部以上、75質量部以上、又は、80質量部以上から適宜選択してもよい。
(B1)成分が有する光重合性官能基は、前述の(B)成分に含まれる光重合性官能基として説明されたものであり、パターン形成性を向上させる観点から、光重合性官能基として(メタ)アクリロイル基を有していてもよい。
(B1)成分は、オキシアルキレン基からなる構造単位又はカプロラクトンに由来する構造単位を有していてもよい。(B1)成分が有する前記構造単位の数は、パターン形成性の中でも、スペース領域の除去性を向上する観点から、0以上、1以上、又は、2以上から適宜選択すればよく、また、9以下、6以下、又は、3以下から選択すればよい。
オキシアルキレン基としては、例えば、エチレンオキシ基、プロピレンオキシ基、ブチレンオキシ等が挙げられ、パターン形成性を向上させる観点から、エチレンオキシ基であってもよい。
(B1)成分としては、例えば、下記一般式(7)で表される化合物が挙げられる。
(一般式(7)中、R4、R5及びR6は、各々独立に炭素数1〜6のアルキレン基を示し、R7及びR8は、各々独立に水素原子又はメチル基を示し、R9は水素原子又は(メタ)アクリロイル基を示す。)
炭素数1〜6のアルキレン基としては、例えば、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基、イソプロピレン基、イソブチレン基、t−ブチレン基、ペンチレン基、ヘキシレン基等が挙げられ、これらの中でも、パターン形成性を向上させる観点から、エチレン基であってもよい。
一般式(7)中、R7及びR8は、各々独立に水素原子又はメチル基を示し、パターン形成性を向上させる観点から、水素原子であってもよい。
一般式(7)中、R9は水素原子又は(メタ)アクリロイル基を示し、パターン形成性を向上させる観点から、(メタ)アクリロイル基であってもよい。
(B1)成分は、単独で、又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
(B1)成分以外の光重合性官能基を有する低分子量体としては、例えば、(B2)成分:光重合性官能基及びウレタン結合を有する低分子量体が挙げられる。
(B2)成分は、光重合性官能基及びウレタン結合を有する低分子量体であり、パターン形成性を向上させる観点から、光重合性官能基を2つ以上有していてもよく、光重合性官能基を2〜6つ有していてもよく、光重合性官能基を2〜4つ有していてもよく、光重合性官能基を2つ有していてもよい。
(B2)成分が有する光重合性官能基は、前述の(B)成分に含まれる光重合性官能基として説明されたものであり、パターン形成性を向上させる観点から、光重合性官能基として(メタ)アクリロイル基を有していてもよい。
この反応生成物としては、例えば、下記一般式(8)で表される構造単位を有するウレタン(メタ)アクリレートが挙げられる。
パターン形成性を向上させ、また樹脂組成物の透明性、耐水性、及び耐湿性をバランスよく向上させる観点から、X2は、鎖状炭化水素骨格を有する2価の有機基、枝分かれ状の鎖状炭化水素骨格を有する2価の有機基、枝分かれ状の炭素数2〜12のアルキレン基、例えば、上記脂肪族ジイソシアネート化合物の残基から適宜選択すればよい。また、同じ観点から、Y2は脂環式骨格を有する2価の有機基、例えば、上記脂環式骨格を有するジオール化合物の残基から適宜選択すればよい。
上記一般式(9)で表されるウレタンアクリレートのうち、上記一般式(8)のX2が鎖状炭化水素骨格を有する2価の有機基であるトリメチルヘキサメチレンジイソシアネートの残基であり、Y2が脂環式骨格を有する2価の有機基のシクロヘキサンジメタノールの残基である構造単位を有する、ウレタンアクリレートを含む市販品としては、例えば、TMCH−5R(商品名、官能基数:2、Mw:950、日立化成株式会社製)等が挙げられる。
また、上記一般式(8)で表される構造単位を有するウレタン(メタ)アクリレートを含む市販品としては、KRM8452(官能基数:10、Mw:1,200、ダイセル・オルネクス株式会社製)、UN−3320HA(官能基数:6、Mw:1,500、根上工業株式会社製)、UN−3320HC(官能基数:6、Mw:1,500、根上工業株式会社製)等が挙げられる。なお、以上の記載において、括弧内の官能基数、及びMwは、各々ウレタン(メタ)アクリレートに含まれる(メタ)アクリロイル基の総数、及び重量平均分子量である。
(A)成分の固形分全量100質量部を基準とした(B)成分の含有量は、パターン形成性、硬化物の剛性を向上させる観点から、20〜120質量部、25〜110質量部、又は、30〜100質量部から適宜選択すればよい。
(A)成分の固形分全量100質量部を基準とした(B1)成分の含有量は、パターン形成性、硬化物の剛性を向上させる観点から、20〜120質量部、25〜110質量部、又は、30〜100質量部から適宜選択すればよい。
(B)成分が(B2)成分を含有する場合、(B)成分の固形分全量中における(B2)成分の含有量は、10〜80質量%、30〜75質量%、又は、40〜70質量%から適宜選択すればよい。
本実施形態の感光性樹脂組成物は、(C)成分として光重合開始剤を含む。(C)成分としては、(A)成分と(B)成分の少なくともいずれか一方を重合させることができるものであれば特に制限はなく、通常用いられる光重合開始剤から適宜選択することができる。パターン形成性を向上させる観点から、活性光線により遊離ラジカルを生成するもの、例えば、アシルホスフィンオキサイド系、オキシムエステル系、芳香族ケトン系、キノン系、アルキルフェノン系、イミダゾール系、アクリジン系、フェニルグリシン系、クマリン系等の光重合開始剤が挙げられる。
(一般式(10)中、R12、R13及びR14は、各々独立に、水素原子、炭素数1〜8のアルキル基、又は炭素数1〜8のアルコキシ基を示し、R15及びR16は、各々独立に、水素原子、炭素数1〜8のアルキル基、炭素数1〜8のアルコキシ基、又は炭素数6〜12のアリール基を示す。水素原子以外のR12〜R16は、各々置換基を有していてもよい。)
(一般式(11)中、R17は、水酸基、炭素数1〜8のアルコキシ基、又はアミノ基を示し、R18及びR19は、各々独立に、水素原子、炭素数1〜8のアルキル基、炭素数1〜8のアルコキシ基、又は炭素数6〜12のアリール基を示す。R18とR19は、互いに結合して、炭素数3〜16の環状構造を形成していてもよい。水酸基及び水素原子以外のR17〜R19は、各々置換基を有していてもよく、置換基を有するアミノ基は、置換基同士が互いに結合して、炭素数3〜12の環状構造を形成していてもよい。R20は、各々独立に、水素原子、ハロゲン原子、水酸基、アミノ基、メルカプト基、又は酸素原子、窒素原子及び硫黄原子から選ばれる1種以上の原子を含んでいてもよい炭素数1〜10の有機基を示す。)
R12、R13及びR14が表す炭素数1〜8のアルキル基は、炭素数1〜4のアルキル基であってもよく、炭素数1又は2のアルキル基であってもよい。アルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、tert−ブチル基、n−ヘプチル基、n−ヘキシル基、n−オクチル基等が挙げられる。
R12、R13及びR14が表す炭素数1〜8のアルコキシ基は、炭素数1〜4のアルコキシ基であってもよく、炭素数1又は2のアルコキシ基であってもよい。アルコキシ基としては、例えば、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、イソプロポキシ基、n−ブトキシ基、tert−ブトキシ基、n−ヘプチルオキシ基、n−ヘキシルオキシ基、n−オクチルオキシ等が挙げられる。
これらの基の中でも、R12、R13及びR14は、パターン形成性を向上させる観点から、メチル基であってもよい。
R15及びR16が表す炭素数1〜8のアルキル基及び炭素数1〜8のアルコキシ基は、R12、R13及びR14の場合と同様に説明される。
R15及びR16が表す炭素数6〜12のアリール基は、炭素数6〜10のアリール基であってもよく、炭素数6〜8のアリール基であってもよい。アリール基としては、例えば、フェニル基、ナフチル基等が挙げられる。
R17が表すアルコキシ基は、一般式(10)におけるR12、R13及びR14の場合と同様に説明される。
これらの基の中でも、R17は、パターン形成性を向上させる観点から、水酸基であってもよい。
R18及びR19が表すアルキル基、アルコキシ基及びアリール基は、一般式(10)におけるR12〜R16の場合と同様に説明される。
R18とR19は、互いに結合して、炭素数3〜16の環状構造を形成していてもよい。
前記環状構造は、炭素数4〜10の環状構造であってもよく、炭素数5〜8の環状構造であってもよい。
前記環状構造は、パターン形成性を向上させる観点から、脂環式構造であってもよく、脂環式構造としては、シクロペンタン構造、シクロヘキサン構造、シクロヘプタン構造、シクロオクタン構造等が挙げられる。また、これらの脂環式構造は、R18及びR19が共に直接結合する炭素原子を含んでいてもよい。
ただし、置換基を有するアミノ基は、置換基同士が互いに結合して、炭素数3〜12の環状構造を形成していてもよい。
アミノ基の置換基が形成する環状構造は、炭素数3〜10の環状構造であってもよく、炭素数3〜5の環状構造であってもよい。
前記環状構造は、アミノ基の窒素原子を含む5〜10員環であってもよく、アミノ基の窒素原子を含む5〜7員環であってもよく、アミノ基の窒素原子を含む6員環であってもよい。さらに、これらの環状構造は、酸素原子等の窒素原子以外のヘテロ原子を含んでいてもよい。アミノ基の置換基が形成する環状構造の具体例としては、下記式(12)で表される構造が挙げられる。
R20が表す炭素数1〜10の有機基は、炭素数1〜6の有機基であってもよく、炭素数1〜4の有機基であってもよい。
R20が表す炭素数1〜10の有機基としては、アルキル基、アルケニル基、アリール基等の炭化水素基であってもよい。これらのアルキル基、アルケニル基及びアリール基としては、前記一般式(10)におけるR12〜R16が表すアルキル基、アルケニル基及びアリール基と同様に説明される。
R20が表す酸素原子を含む炭素数1〜10の有機基としては、例えば、アルコキシ基等が挙げられる。
R20が表す窒素原子を含む炭素数1〜10の有機基としては、例えば、前記式(12)で表される基が挙げられる。
R20が表す硫黄原子を含む炭素数1〜10の有機基としては、例えば、メチルチオ基等のアルキルチオ基などが挙げられる。
また、本実施形態の感光性樹脂組成物は、更に(D)シラン化合物を含有することができる。
(D)成分としては、公知のシランカップリング剤を用いることができる。(D)成分は、電子部品の基板との接着性を向上させることができ、特に、該基板がケイ素を含有する基板(例えば、ガラス基板、シリコンウエハ、エポキシ樹脂含浸ガラスクロス基板等)の場合は有効である。シランカップリング剤としては、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン等のアルコキシシラン;(メタ)アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、(メタ)アクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン等の(メタ)アクリロイル基含有アルコキシシラン;γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−フェニル−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−トリエトキシシリル−N−(1,3−ジメチルブチリデン)プロピルアミン等のアミン系アルコキシシラン;γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、グリシドキシプロピルメチルジイソプロペノキシシラン等のグリシドキシ基含有アルコキシシラン;2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン等の脂環式エポキシ基含有アルコキシシラン;3−ウレイドプロピルトリエトキシシラン等のウレイド基含有アルコキシシラン;3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3−メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン等のメルカプト基含有アルコキシシラン;トリエトキシシリルプロピルエチルカルバメート等のカルバメート基含有アルコキシシラン;3−(トリエトキシシリル)プロピルコハク酸無水物等の多塩基酸無水物基含有アルコキシシランなどが挙げられる。これらは、単独で、又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
より接着性を向上させる観点から、(メタ)アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、(メタ)アクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン等の(メタ)アクリロイル基含有アルコキシシラン、グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、グリシドキシプロピルメチルジイソプロペノキシシラン等のグリシドキシ基含有アルコキシシランなどの、分子中にエチレン性不飽和基を有するシランカップリング剤を用いてもよい。
また、本実施形態の感光性樹脂組成物は、更に(E)熱ラジカル重合開始剤を含有することができる。(E)成分としては、特に制限はなく、例えば、α,α’−ビス(t−ブチルパーオキシ)ジイソプロピルベンゼン、ジクミルパーオキシド、t−ブチルクミルパーオキシド、ジ−t−ブチルパーオキシド等のジアルキルパーオキシド;メチルエチルケトンパーオキシド、シクロヘキサノンパーオキシド、メチルシクロヘキサノンパーオキシド等のケトンパーオキシド;1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)シクロヘキサン、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)−2−メチルシクロヘキサン、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、1,1−ビス(t−ヘキシルパーオキシ)シクロヘキサン、1,1−ビス(t−ヘキシルパーオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン等のパーオキシケタール;p−メンタンヒドロパーオキシド等のヒドロパーオキシド;オクタノイルパーオキシド、ラウロイルパーオキシド、ステアリルパーオキシド、ベンゾイルパーオキシド等のジアシルパーオキシド;ビス(4−t−ブチルシクロヘキシル)パーオキシジカーボネート、ジ−2−エトキシエチルパーオキシジカーボネート、ジ−2−エチルヘキシルパーオキシジカーボネート、ジ−3−メトキシブチルパーオキシカーボネート等のパーオキシカーボネート;t−ブチルパーオキシピバレート、t−ヘキシルパーオキシピバレート、1,1,3,3−テトラメチルブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、2,5−ジメチル−2,5−ビス(2−エチルヘキサノイルパーオキシ)ヘキサン、t−ヘキシルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、t−ブチルパーオキシイソブチレート、t−ヘキシルパーオキシイソプロピルモノカーボネート、t−ブチルパーオキシ−3,5,5−トリメチルヘキサノエート、t−ブチルパーオキシラウリレート、t−ブチルパーオキシイソプロピルモノカーボネート、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキシルモノカーボネート、t−ブチルパーオキシベンゾエート、t−ヘキシルパーオキシベンゾエート、2,5−ジメチル−2,5−ビス(ベンゾイルパーオキシ)ヘキサン、t−ブチルパーオキシアセテート等のパーオキシエステルなどの過酸化物系重合開始剤、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビス(4−メトキシ−2’−ジメチルバレロニトリル)等のアゾ系重合開始剤などが挙げられる。
本実施形態の感光性樹脂組成物は、感光性樹脂組成物と基板との接着性、耐熱性、硬化物の剛性等の諸特性を更に向上させる目的で、(F)無機フィラを含有することができる。
(F)成分としては、例えば、シリカ(SiO2)、アルミナ(Al2O3)、チタニア(TiO2)、酸化タンタル(Ta2O5)、ジルコニア(ZrO2)、窒化ケイ素(Si3N4)、チタン酸バリウム(BaO・TiO2)、炭酸バリウム(BaCO3)、炭酸マグネシウム(MgCO3)、水酸化アルミニウム(Al(OH)3)、水酸化マグネシウム(Mg(OH)2)、チタン酸鉛(PbO・TiO2)、チタン酸ジルコン酸鉛(PZT)、チタン酸ジルコン酸ランタン鉛(PLZT)、酸化ガリウム(Ga2O3)、スピネル(MgO・Al2O3)、ムライト(3Al2O3・2SiO2)、コーディエライト(2MgO・2Al2O3・5SiO2)、タルク(3MgO・4SiO2・H2O)、チタン酸アルミニウム(TiO2・Al2O3)、イットリア含有ジルコニア(Y2O3・ZrO2)、ケイ酸バリウム(BaO・8SiO2)、窒化ホウ素(BN)、炭酸カルシウム(CaCO3)、硫酸バリウム(BaSO4)、硫酸カルシウム(CaSO4)、酸化亜鉛(ZnO)、チタン酸マグネシウム(MgO・TiO2)、ハイドロタルサイト、雲母、焼成カオリン、カーボン(C)等を使用することができる。これらの無機フィラは、単独で、又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
本実施形態の感光性樹脂組成物は、必要に応じて、更に、増感剤、耐熱性高分子量体、熱架橋剤、前記(D)成分以外の接着助剤等の添加剤を含有することができる。
本実施形態の感光性樹脂組成物には、必要に応じて希釈剤を使用することができる。希釈剤としては、例えば、イソプロパノール、イソブタノール、t−ブタノール等の炭素数1〜6のアルコール類;N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドン等のアミド類;ジメチルスルホキシド、スルホラン等の硫黄原子含有類;γ−ブチロラクトン、炭酸ジメチル等のエステル類;セロソルブアセテート、エチルセロソルブアセテート、ブチルセロソルブアセテート、カルビトールアセテート、エチルカルビトールアセテート、ブチルカルビトールアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート等のエステル類、などの極性溶媒が挙げられる。これらは、単独で、又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
また、例えば、70μm以上という厚みの感光層を形成しようとする場合、感光層の形成しやすさを考慮して、感光性樹脂組成物の25℃における粘度が0.5〜20Pa・s、又は、1〜10Pa・sとなる量とすることができる。
液状として使用する場合、本実施形態の感光性樹脂組成物の塗布方法は特に制限はないが、例えば、印刷法、スピンコート法、スプレーコート法、ジェットディスペンス法、インクジェット法、浸漬塗布法等の各種塗布方法が挙げられる。これらの中でも、厚い感光層をより容易に形成する観点から、印刷法、又は、スピンコート法から適宜選択すればよい。
また、フィルム状として用いる場合は、例えば、後述する感光性樹脂フィルムの形態で用いることができ、この場合はラミネータ等を用いて積層することで所望の厚みの感光層を形成することができる。
本実施形態の感光性樹脂フィルムは、本実施形態の感光性樹脂組成物を用いた感光層を有する。本実施形態の感光性樹脂フィルムは、キャリアフィルムを有していてもよい。
本明細書において、「層」との用語は、平面図として観察したときに、全面に形成されている形状の構造に加え、一部に形成されている形状の構造も包含される。
キャリアフィルムの厚みは、取り扱い性等を考慮して、10μm〜3mm、又は、10〜200μmから適宜選択すればよい。
本実施形態の硬化物の製造方法は、基板上に本実施形態の感光性樹脂組成物、又は感光性樹脂フィルムを用いて感光層を設ける工程(感光層形成工程)、該感光層の少なくとも一部に活性光線を照射して、光硬化部を形成する工程(露光工程)、及び、該感光層の光硬化部以外の少なくとも一部を除去し、樹脂パターンを形成する工程(除去工程)を順に有する。また、所望に応じて、更に、前記樹脂パターンを加熱処理する工程(加熱工程)を有する。本実施形態の硬化物の製造方法により、所望のパターン形成が可能となり、また、例えば、70μm以上という厚い感光層を形成した場合であっても優れたパターン形成性を有するという本実施形態の感光性樹脂組成物の特徴をいかし、例えば、70μm以上という厚い硬化物によって所望のパターン形成が可能となる。本明細書において、「工程」との語は、独立した工程だけではなく、他の工程と明確に区別できない場合であっても、その工程の所期の作用が達成されれば、「工程」に含まれる。
感光層形成においては、本実施形態の感光性樹脂組成物、又は感光性樹脂フィルムを、各々基板上に塗布、又は積層することにより、感光層を形成することができる。
基板としては、例えば、ガラス基板、シリコンウエハ、TiO2、SiO2等の金属酸化物絶縁体、窒化ケイ素、セラミック圧電基板、エポキシ樹脂含浸ガラスクロス基板などが挙げられる。
また、感光性樹脂フィルムを用いる場合は、ラミネータ等を用いた積層方法により感光層を形成することができる。
本実施形態の硬化物の製造方法においては、本実施形態の感光性樹脂組成物を用いて感光層を形成するため、厚い感光層を形成することが可能となる。例えば、150μm以上という厚みの感光層を形成する場合、一度の塗布(及び、必要に応じて乾燥)、又は積層によって形成せず、所望の厚みとなるまで複数回にわたって塗布(及び、必要に応じて乾燥)、又は積層を繰り返して行ってもよい。
露光工程では、感光層形成工程にて基板上に設けた感光層に対して、必要に応じて少なくとも一部に活性光線を照射し、露光部を光硬化させて硬化部を形成する。活性光線を照射する際に、所望のパターンを有するマスクを介して感光層に活性光線を照射してもよく、また、LDI(Laser Direct Imaging)露光法、DLP(Digital Light Processing)露光法等の直接描画露光法により活性光線を照射してもよい。
また、パターン形成性を向上させる観点で、露光後、ホットプレート、乾燥機等を用いて露光後加熱(PEB:Post exposure bake)を行ってもよい。乾燥条件は特に制限はないが、60〜120℃、又は、70〜110℃の温度で、15秒〜5分、又は、30秒〜3分の時間で行えばよい。
除去工程では、露光工程で形成した感光層の硬化部以外の部分(未露光部)の少なくとも一部を除去し、樹脂パターンを形成する。未露光部の除去は、例えば、有機溶剤等の現像液を用いて行えばよい。
有機溶剤としては、例えば、エタノール、シクロヘキサノン、シクロペンタノン、プロピレングリコールメチルエーテルアセテート、N−メチルピロリドン等が挙げられる。中でも、現像速度の観点から、シクロペンタノンを用いることができる。これらは、単独で、又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
また、現像液として用いられる有機溶剤中には、通常用い得る各種添加剤を添加してもよい。
加熱工程は、必要に応じて採用される工程であり、除去工程で形成した樹脂パターンを加熱処理し、硬化物を形成する工程である。加熱処理は、加熱温度を選択して段階的に昇温しながら、1〜2時間実施することが好ましい。加熱温度は、120〜240℃、140〜230℃、又は、150〜220℃から適宜選択すればよい。また、段階的に昇温する場合は、例えば、120℃前後、160℃前後の少なくとも一方で、10〜50分間、又は、20〜40分間、加熱処理した後、220℃前後で、30〜100分間、又は、50〜70分間、加熱処理を行えばよい。
本実施形態の積層体は、本実施形態の感光性樹脂組成物の硬化物を備えるものであり、例えば、上記の硬化物の製造方法に用いられる基板、感光性樹脂フィルムのキャリアフィルム等の各種支持体の上に該硬化物を備えるものが挙げられる。本実施形態の感光性樹脂組成物の硬化物は、例えば、上記の本実施形態の硬化物の製造方法により形成することができる。
よって、本実施形態の積層体は、例えば、携帯電話等のモバイル端末における電子回路基板などの電子部品として用いられる。
メタクリル酸メチル635g、アクリル酸ブチル30g、メタクリル酸ブチル245g、及びメタクリル酸2−ヒドロキシエチル75gを混合し、単量体混合物を得た。得られた単量体混合物に、2、2’−アゾジイソブチロニトリル0.9gを溶解させて、混合液とした。撹拌機及びコンデンサを備えた1Lのオートクレーブに、溶媒としてプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート1030gを加えて撹拌しながら、上記混合液を加えた。次いで、撹拌回転数100min−1、窒素雰囲気下において90℃で6時間重合させ、アクリル樹脂(樹脂P−1)溶液を得た。得られたアクリル樹脂の重量平均分子量は、43,370であった。ここで、重量平均分子量は、以下の装置を用い、GPC法標準ポリスチレン換算により求めた値であり、ポリマー0.5mgをテトラヒドロフラン(THF)1mLに溶かした溶液を用いて測定した。
装置名:東ソー株式会社製 HLC−8320GPC
カラム:Gelpack R−420、R−430、及びR−440(3本つなぎ)
検出器:RI検出器
カラム温度:40℃
溶離液:THF
流速:1ml/分
標準物質:ポリスチレン
表1に示す配合組成(表中の数値の単位は質量部であり、溶液の場合は固形分換算量である。)に従って組成物を配合し、3本ロールミルで混練し感光性樹脂組成物を調製した。固形分濃度が60質量%になるようにN,N−ジメチルアセトアミドを加えて、感光性樹脂組成物を得た。
厚み50μmのポリエチレンテレフタレートフィルム(帝人株式会社製、商品名:A−4100)をキャリアフィルムとし、該キャリアフィルム上に、実施例及び比較例の樹脂組成物を、乾燥後の厚みが50μmとなるように均一に塗布した。次いで、熱風対流式乾燥機を用いて100℃で15分間加熱して乾燥することにより感光層を形成し、キャリアフィルムと感光層とを有する感光性樹脂フィルムを作製した。
上記の[感光性樹脂フィルムの作製]で得られた感光性樹脂フィルムについて、感光層の厚み(乾燥後の厚み)50μmにおける、波長365nmの光に対する吸光度を測定した。具体的には、紫外可視分光光度計(製品名:「U−3310 Spectrophotometer」、株式会社日立ハイテクノロジーズ製)を用いて、波長365nmの吸光度(Abs)を測定した。リファレンスには、ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム単体を用いた。測定結果を表1に示す。
ガラスエポキシ基板(MCL−E−679F(商品名、日立化成株式会社製)の銅をエッチングして得たもの)上に、感光性樹脂フィルムを、感光層が該ガラスエポキシ基板側に位置する向きにして積層し、キャリアフィルムを除去した。積層は、ラミネータを用いて60℃にて行った。次いで、感光層上に、上記の方法で、感光性樹脂フィルムを再度積層し、キャリアフィルムを除去し、これを3回繰り返すことで、ガラスエポキシ基板上に厚み200μmの感光層とキャリアフィルムとを備える積層体を得た。
積層体のキャリアフィルム上に、露光部として図1に示すパターン形状を有する解像度評価用マスク(ライン幅は、5μm、8μm、10μm、15μm、20μm、25μmの6種類、ラインスペースは200μmの1種類)を置き、更にi−線フィルタ(朝日分光株式会社製:HB−0365)をのせ、高精度平行露光機(ミカサ株式会社製)を用いて、露光した。この際、積層体を4つの領域に分けて、4つの領域を異なる露光量(300、600、1,000、1,400mJ/cm2)で、波長365nm(i線)の光で露光した。露光後のサンプルは、90℃のホットプレート上で、1分間の露光後加熱を行った。
その後、キャリアフィルムを除去し、現像液(シクロペンタノン)に20分間浸漬することで現像した。現像後のパターンを室温にて30分間乾燥させ、金属顕微鏡を用いて観察することで、パターン形成性を評価した。評価は、下記の基準で行った。ここで、形成可能とは、未露光部がきれいに除去され、ライン部分(露光部)に倒れ等の不良がないことを意味する。評価結果を表1に示す。
A:5〜10μmのライン幅で形成可能であった。
B:5〜10μmのライン幅で形成できなかったが、15〜20μmのライン幅で形成可能であった。
C:20μm以下のライン幅で形成できなかった、又は、現像後に感光層が剥離した。
絶縁信頼性は、高温高湿バイアス試験で評価した。評価デバイスであるTEG(Test Element Group)(商品名:WALTS−KIT EM0101JY、WALTS社製、L/S=40μm/15μm)の、くし型銅電極上に、実施例1〜15で得られた厚み50μmの感光性樹脂フィルムを、感光層がくし型銅電極側に位置する向きにして、ラミネータを用いて60℃で貼り付けた。次いで、i線で1000mJ/cm2の露光量で露光した後、90℃のホットプレート上で1分間加熱してから、キャリアフィルムを除去した。さらに、200℃のオーブンで1時間加熱した後、室温まで冷却して測定試料を得た。
得られた測定試料のTEG電極部に、ハンダでリード線を取り付け、高温高湿バイアス試験を行った(電圧;5V(直流)、試験時間;100時間、85℃、85%RH(高温高湿機(ESPEC社製)を使用))。その結果、実施例1〜15の感光性樹脂フィルムを用いて得られた測定試料は、いずれも試験時間(100時間)中に抵抗値が1.0×107Ω以上を保っており、充分に絶縁信頼性に優れることが確認できた。
[(A)成分]
・UN−952:ウレタンアクリレート(根上工業株式会社製、商品名、官能基数:10、重量平均分子量:9,000、水酸基を有するアクリレートとジイソシアネート化合物との反応生成物であり、分子内にアクリロイル基(光重合性官能基)、ウレタン結合(炭素−窒素結合)、鎖状炭化水素骨格、及び脂環式炭化水素骨格を有する。)
・UN−954:ウレタンアクリレート(根上工業株式会社製、商品名、官能基数:6、重量平均分子量:4,500)
・UN−953:ウレタンアクリレート(根上工業株式会社製、商品名、官能基数:20、重量平均分子量:18,000)
・H−219:ウレタンアクリレート(根上工業株式会社製、商品名、官能基数:9、重量平均分子量:36,000)
[(A’)成分]
・樹脂P−1:合成例1で作製したアクリル樹脂(重量平均分子量:43,370)
・Z250:サイクロマーP(ACA)Z250(ダイセル・オルネクス株式会社製、商品名、分子内にアクリロイル基(光重合性官能基)を有するが、炭素−窒素結合を有しない。)
[(B)成分]
・M−215:イソシアヌル酸エチレンオキサイド変性ジアクリレート(東亞合成株式会社製、商品名、前記式(7−2)で表される化合物であり(B1)成分に該当する。)
・A−9300:イソシアヌル酸エチレンオキサイド変性トリアクリレート(新中村化学工業株式会社製、商品名、分子量:423、前記式(7−1)で表される化合物であり(B1)成分に該当する。)
・A−9300−3CL:イソシアヌル酸エチレンオキサイド変性カプロラクトン変性トリアクリレート(新中村化学工業株式会社製、商品名、カプロラクトンに由来する構造単位及びオキシエチレン基からなる構造単位をそれぞれ3つ有する化合物であり(B1)成分に該当する。)
・UA−21:イソシアヌル酸エチレンオキサイド変性トリウレタンアクリレート(新中村化学工業株式会社製、商品名、オキシエチレン基からなる構造単位を21つ有する化合物であり(B1)成分に該当する。)
・TMCH−5R:ウレタンアクリレート(日立化成株式会社製、商品名、官能基数:2、重量平均分子量:950、分子内にアクリロイル基(光重合性官能基)、ウレタン結合(炭素−窒素結合)、鎖状炭化水素骨格、及び脂環式炭化水素骨格を有する化合物であり、(B2)成分に該当する。)
・FA−324A:EO変性ビスフェノールAジアクリレート(日立化成株式会社製、商品名、官能基数:2、重量平均分子量:512)
・KBM−503:メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン(信越化学工業株式会社製、商品名)
[(C)成分]
・TPO:2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイドである「IRGACURE−TPO」(BASF社製、商品名)
・I−184:1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトンである「IRGACURE−184」(BASF社製、商品名)
・I−819:ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルホスフィンオキサイドである「IRGACURE−819」(BASF社製、商品名)
[(D)成分]
・KBM−803:3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン(信越化学工業株式会社製、商品名)
Claims (16)
- (A)成分:光重合性官能基及び炭素−窒素結合を有する高分子量体と、(B)成分:光重合性官能基を有する低分子量体と、(C)成分:光重合開始剤と、を含有し、該(B)成分が、(B1)成分:光重合性官能基とイソシアヌル環骨格とを有する低分子量体を含有する、感光性樹脂組成物。
- 前記(A)成分が、光重合性官能基として(メタ)アクリロイル基を有する高分子量体を含有する、請求項1に記載の感光性樹脂組成物。
- 前記(A)成分が、炭素−窒素結合としてウレタン結合を有する高分子量体を含有する、請求項1又は2に記載の感光性樹脂組成物。
- 前記(A)成分が、鎖状炭化水素骨格、脂環式骨格、及び芳香環骨格からなる群から選ばれる少なくとも1種の骨格を有する高分子量体を含有する、請求項1〜3のいずれか1項に記載の感光性樹脂組成物。
- 前記(B1)成分が、光重合性官能基を少なくとも2つ有する低分子量体を含有する、請求項1〜4のいずれか1項に記載の感光性樹脂組成物。
- 前記(B1)成分が、光重合性官能基を少なくとも3つ有する低分子量体を含有する、請求項1〜5のいずれか1項に記載の感光性樹脂組成物。
- (A)成分、(B1)成分、(C)成分の含有量が、感光性樹脂組成物中の固形分全量を基準として、各々10〜95質量%、3〜70質量%、0.05〜20質量%である、請求項1〜6のいずれか1項に記載の感光性樹脂組成物。
- 前記(B)成分が、(B2)成分:光重合性官能基及びウレタン結合を有する低分子量体、を更に含有する、請求項1〜7のいずれか1項に記載の感光性樹脂組成物。
- 前記(B)成分が、光重合性官能基として(メタ)アクリロイル基を有する低分子量体を含有する、請求項1〜8のいずれか1項に記載の感光性樹脂組成物。
- 請求項1〜9のいずれか1項に記載の感光性樹脂組成物を用いた感光層を有する、感光性樹脂フィルム。
- 基板上に、請求項1〜9のいずれか1項に記載の感光性樹脂組成物、又は、請求項10に記載の感光性樹脂フィルムを用いて、感光層を形成する工程、
該感光層の少なくとも一部に活性光線を照射して、光硬化部を形成する工程、
該感光層の光硬化部以外の少なくとも一部を除去し、樹脂パターンを形成する工程、を順に有する、硬化物の製造方法。 - 更に、前記樹脂パターンを加熱処理する工程を有する、請求項11に記載の硬化物の製造方法。
- 前記樹脂パターンの厚みが、70〜300μmである、請求項11又は12に記載の硬化物の製造方法。
- 請求項1〜9のいずれか1項に記載の感光性樹脂組成物の硬化物を備える積層体。
- 前記硬化物の厚みが、70〜300μmである、請求項14に記載の積層体。
- 請求項1〜9のいずれか1項に記載の感光性樹脂組成物の硬化物を備える電子部品。
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