JP2013109236A - 感光性樹脂組成物、感光性フィルム及び電子部品 - Google Patents

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禎明 加藤
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祐樹 中村
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一行 満倉
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直己 渡辺
Shu Hashimoto
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Abstract

【課題】赤外線の吸収が可能であり、厚膜においてもパターン形成することが可能であり、低温硬化が可能である感光性樹脂組成物、フィルム及び電子部品を提供する。
【解決手段】(A)少なくとも1つのエチレン性不飽和基を有する光重合性化合物、(B)光重合開始剤、及び(C)カーボンフィラーを含む感光性樹脂組成物であって、前記(A)少なくとも1つのエチレン性不飽和基を有する光重合性化合物が、アクリレート化合物及び/又はメタクリレート化合物を含む感光性樹脂組成物。この感光性樹脂組成物をフィルム状に成形してなる感光性フィルム。絶縁膜と、前記絶縁膜の内部に配設された配線とを有した配線層を含む電子部材であって、前記絶縁膜の少なくとも一部が上記の感光性樹脂組成物又は感光性フィルムを用いて形成されたものである電子部品。
【選択図】なし

Description

本発明は、赤外線を吸収する厚膜形成可能な感光性樹脂組成物、感光性フィルム及び電子部材に関する。
従来、CMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor、相補型金属酸化膜半導体)素子の構造としては、光が配線層を介して受光部へ入る「表面照射型」構造が主流であった(特許文献1)。この表面照射型構造においては、受光部を備えた基板の表面側に、配線層及びカラーフィルタを介してオンチップレンズが形成されている。従って、オンチップレンズに入射した光は、カラーフィルタ及び配線層を通り、受光部で受信される。なお、この配線層は、透光性の絶縁膜と、その内部に配設された銅等の配線とからなっている。
ところが、近年のCMOS素子の小型化・高画質化に伴う配線層の多層化により、受光部へ届く光が減衰する問題が顕著になってきたことから、感度が低下しないよう基板の裏面側から光を入れる「裏面照射型」構造が注目されている(特許文献2)。この裏面照射型構造においては、受光部を備えた基板の表面側に配線層が形成されていると共に、基板の裏面側にカラーフィルタを介してオンチップレンズが形成されている。この裏面照射型構造によると、オンチップレンズに入射した光が、配線層を通ることなく受光部で受光されるため、配線層による光の減衰が回避される。
ところで、近赤外線等が外部から侵入したり外部へ漏れたりすることを防止するために、遮蔽フィルム等を設けることが行われている。
例えば、特許文献3には、近赤外線領域に吸収極大波長を有するフタロシアニン化合物を含む着色剤(A)、バインダー樹脂(B)、光重合性化合物(C)、光重合開始剤(D)及び溶剤(E)を含む近赤外線吸収用感光性樹脂組成物が記載されている。また同文献には、この組成物を用いて得られた光学フィルタが、CCDを構成する各画素の受光部とマイクロレンズとの間に配置される近赤外吸収フィルタとして用いることができると記載されている。
また、特許文献4の請求項1には、金属酸化物半導体と近赤外線吸収剤と紫外線吸収剤とを可視光に対して透明な合成樹脂に均一に混合してフィルム状に成形してなる紫外線・赤外線遮蔽体が記載されている。また同文献には、近赤外線吸収剤としてイミニウム系色素等の有機色素が記載されている。更に同文献には、この遮蔽体からなるフィルムを建築物や自動車の窓ガラスに貼ることが記載されている。
更に特許文献5には、アルカリ可溶性樹脂(A)と、光重合開始剤(B)又は光酸発生剤(C)と、最大吸収波長が800nm以上2500nm以下の範囲内にある赤外線吸収剤(D)と、を含む感光性樹脂組成物が記載されている。また同文献には、赤外線吸収剤(D)として金属ホウ化物、酸化チタン等の無機化合物が挙げられている。更に同文献には、この感光性樹脂組成物を、CMOS素子が搭載されているシリコン基板の下面に設けられるソルダーレジストに用いることが記載されている。
特開2007−281375号 特開2005−142221号 特開2010−160380号 特開2004−37768号 WO2011/118171
特許文献2のようにCMOS素子を裏面照射型にした場合、配線層や貫通電極から近赤外線が侵入してノイズの原因となり、解像度が低下するという問題が考えられる。特に近赤外線は長波長であるため、配線層や貫通電極から侵入し易い。
この問題を解決するために、特許文献3〜5のような樹脂組成物を用いてCMOS素子の絶縁膜を製造することが考えられる。
しかしながら、特許文献3のように近赤外線吸収成分としてフタロシアニン化合物のような有機染料を用いる場合、熱に弱く、光吸収の波長によるばらつきが大きいという問題がある。すなわち、フタロシアニン化合物のような染料は熱に弱く、加熱時に色あせるという問題がある。また、フタロシアニン化合物は800〜1000nmに比べて1000〜1200nmの透過率が高くなる傾向にあり、近赤外領域全体の吸収率は高くない。更に、リフロー工程などの熱履歴を経た後に、赤外領域の透過率が著しく高くなり、特に800〜1000nmの吸収がほとんどなくなる。
また、特許文献4の樹脂組成物を用いた場合、感光機能を有しないため、精度よく所望の形にパターン形成することができない。
なお、特許文献5のように近赤外線吸収成分として無機顔料を用いる場合、特許文献3のような有機染料を用いた場合のような問題はない。しかし、このような無機顔料は近赤外線と共に可視光領域の光も同程度に吸収するため、この無機顔料を含有する感光性樹脂組成物の光硬化時に光が通り難くなり、硬化し難くなる。また、特許文献5のように光酸発生剤を用いる場合、ラジカル重合反応と比較して光反応性が乏しいため、薄膜にしかパターニングができず、厚膜による配線部の断線防止の要求に応えることができない。
更に絶縁膜の製造時に高温で加熱する必要があると、基板に反りが生じたり、デバイスによってはプロセス上限温度の制約により用いることができないという問題もある。
本発明は、上記のような問題を解決するためになされたものであって、赤外線の吸収が可能であり、厚膜においてもパターン形成することが可能であり、低温硬化が可能である感光性樹脂組成物、フィルム及び電子部品を提供することを目的とする。
本発明者らは鋭意検討した結果、光重合性化合物として(メタ)アクリレート樹脂を採用し、近赤外線吸収物質としてカーボンフィラーを採用し、これらを組み合せて用いることによって上記目的を達成できることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち本発明は以下の[1]〜[10]を提供するものである。
[1](A)少なくとも1つのエチレン性不飽和基を有する光重合性化合物、(B)光重合開始剤、及び(C)カーボンフィラーを含む感光性樹脂組成物であって、前記(A)少なくとも1つのエチレン性不飽和基を有する光重合性化合物が、アクリレート化合物及び/又はメタクリレート化合物を含む感光性樹脂組成物。
[2]前記アクリレート化合物及び/又はメタクリレート化合物が、炭素−窒素結合を有するものである[1]に記載の感光性樹脂組成物。
[3]前記アクリレート化合物及び/又はメタクリレート化合物が、アミド結合を有する化合物を含む[1]又は[2]に記載の感光性樹脂組成物。
[4]前記アクリレート化合物及び/又はメタクリレート化合物が、一般式(1)で表される化合物を含む[1]〜[3]のいずれかに記載の感光性樹脂組成物。
Figure 2013109236
[一般式(1)中、R31、R32及びR33は各々独立に2価の有機基を示し、R34は水素原子又はメチル基を示し、R35及びR36は各々独立に水素原子、炭素数1〜4のアルキル基又はフェニル基を示す。]
[5]前記アクリレート化合物及び/又はメタクリレート化合物が、ウレタン結合を有するアクリレート化合物及び/又はメタクリレート化合物を含む[1]〜[4]のいずれかに記載の感光性樹脂組成物。
[6]前記アクリレート化合物及び/又はメタクリレート化合物が、アミド結合を有するアクリレート化合物及び/又はメタクリレート化合物と、ウレタン結合を有するアクリレート化合物及び/又はメタクリレート化合物とを含む[1]〜[5]のいずれかに記載の感光性樹脂組成物。
[7]前記アクリレート化合物及び/又はメタクリレート化合物が、一般式(1)で表される化合物と、ウレタン結合を有するアクリレート化合物及び/又はメタクリレート化合物とを含む[1]〜[6]のいずれかに記載の感光性樹脂組成物。
[8][1]〜[7]のいずれかに記載の感光性樹脂組成物をフィルム状に成形してなる感光性フィルム。
[9]絶縁膜と、前記絶縁膜の内部に配設された配線とを有した配線層を含む電子部材であって、前記絶縁膜の少なくとも一部が[1]〜[7]のいずれかに記載の感光性樹脂組成物又は[8]に記載の感光性フィルムを用いて形成されたものである電子部品。
[10]CMOS素子である[9]に記載の電子部品。
本発明によれば、赤外線の吸収が可能であり、厚膜においてもパターン形成することが可能であり、低温硬化が可能である感光性樹脂組成物、フィルム及び電子部品が得られる。
実施の形態に係るCMOS素子の製造方法を説明する断面図である。 実施の形態に係るCMOS素子の製造方法を説明する断面図である。
[感光性樹脂組成物]
本発明の感光性樹脂組成物は、(A)少なくとも1つのエチレン性不飽和基を有する光重合性化合物(以下、「(A)成分」と称することがある)、(B)光重合開始剤(以下、「(B)成分」と称することがある)、及び(C)カーボンフィラー(以下、「(C)成分」と称することがある)を含む感光性樹脂組成物であって、前記(A)少なくとも1つのエチレン性不飽和基を有する光重合性化合物が、アクリレート化合物及び/又はメタクリレート化合物(以下、アクリレート及び/又はメタクリレートのことを「(メタ)アクリレート」と称することがある)を含むものである。
本発明の感光性樹脂組成物によると、(C)カーボンフィラーが近赤外領域である800〜1200nmの波長領域の近赤外線(IR)を吸収するため、IR透過率を抑制することが可能となる。
また、本発明の感光性樹脂組成物によると、微細なパターンを形成することが可能となる。この理由として、本願発明者らは次のように考える。一般に、カーボンブラックはIR領域の光のみならず可視−紫外光領域の光も吸収する。そのため、カーボンフィラーを添加した感光性樹脂組成物を露光すると、光がカーボンフィラーによって吸収されてしまうことになり、フォトリソグラフィーによるパターン形成は困難である。しかしながら、本発明によると、(メタ)アクリレート化合物が可視−紫外領域の光透過性に優れているため、ブロードバンド光照射による僅かな光エネルギーでも十分にラジカル重合が進行するため、良好にパターン形成できるものと考える。
<(A)(メタ)アクリレートを含む化合物>
(メタ)アクリレートを含む化合物((メタ)アクリレート化合物)としては、例えば、(i)多価アルコールにα,β−不飽和カルボン酸を反応させて得られる化合物、(ii)アミド結合を有する(メタ)アクリレート化合物、(iii)ビスフェノールA系(メタ)アクリレート化合物、(iv)グリシジル基含有化合物にα,β−不飽和カルボン酸を反応させて得られる化合物、(v)(メタ)アクリロイル基を有するウレタン系化合物のモノマー及び/又はオリゴマー、(vi)(メタ)アクリル酸アルキルエステルの共重合体でエチレン性不飽和基が導入された化合物等が挙げられる。これらは単独で又は2種以上を併用して使用することができる。
ここで、「(メタ)アクリル」とは、「アクリル及び/又はメタクリル」を意味する。また、「(メタ)アクリロイル基」とは、「アクリロイル基及び/又はメタクリロイル基」を意味する。
≪(i)多価アルコールにα,β−不飽和カルボン酸を反応させて得られる化合物≫
多価アルコールにα,β−不飽和カルボン酸を反応させて得られる化合物としては、例えば、エチレン基の数が2〜14であるポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレン基の数が2〜14であるポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、エチレン基の数が2〜14でありプロピレン基の数が2〜14であるポリエチレン・ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、エチレンオキシド(EO)変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、プロピレンオキシド(PO)変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、EO,PO変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、テトラメチロールメタントリ(メタ)アクリレート、テトラメチロールメタンテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート等が挙げられる。これらは単独で又は2種以上を併用して使用される。
≪(ii)アミド結合を有する(メタ)アクリレート化合物≫
アミド結合を有する(メタ)アクリレート化合物としては、下記一般式(1)で表される化合物が好ましい。
Figure 2013109236
[式(1)中、R31、R32及びR33は各々独立に、2価の有機基を示し、R34は水素原子又はメチル基を示し、R35及びR36は各々独立に、水素原子、炭素数1〜4のアルキル基又はフェニル基を示す。]
上記一般式(1)で表される(メタ)アクリレート化合物を用いることで、解像度と密着性が向上する。
上記一般式(1)で表される重合性化合物は、オキサゾリン基含有化合物とカルボキシル基含有化合物及び/又はフェノール性水酸基含有化合物とを反応させて得られる、アミド結合を有するジ(メタ)アクリレートであることが好ましい。かかる上記一般式(1)で表される重合性化合物は、例えば、下記一般式(2)で表されるビスオキサゾリンと、1分子中にフェノール性水酸基を2つ有する化合物と、(メタ)アクリル酸とを反応させることにより得ることができる。
Figure 2013109236
一般式(2)中、Y4は2価の有機基を示すが、置換基を有していてもよいフェニレン基、置換基を有していてもよいピリジレン基、又は炭素数1〜10の枝分かれしていてもよいアルキレン基であることが好ましい。また、R45及びR46は各々独立に、水素原子、炭素数1〜4のアルキル基又はフェニル基を示す。
上記一般式(2)で表されるビスオキサゾリンとしては、例えば、2,2’−(1,3−フェニレン)ビス−2−オキサゾリン、2,6−ビス(4−イソプロピル−2−オキサゾリン−2−イル)ピリジン、2−2’−イソプロピリデンビス(4−フェニル−2−オキサゾリン)、2−2’−イソプロピリデンビス(4−ターシャリーブチル−2−オキサゾリン)等が挙げられる。これらは、1種を単独で又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
上記1分子中にフェノール性水酸基を2つ有する化合物としては、ビフェノール、テトラメチルビフェノール、ジヒドロキシナフタレン、ジヒドロキシメチルナフタレン、ジヒドロキシジメチルナフタレン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)ケトン、ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)ケトン、ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジクロロフェニル)ケトン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルホン、ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)スルホン、ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジクロロフェニル)スルホン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン、ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)ヘキサフルオロプロパン、ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジクロロフェニル)ヘキサフルオロプロパン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)ジメチルシラン、ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)ジメチルシラン、ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジクロロフェニル)ジメチルシラン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)メタン、ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジクロロフェニル)メタン、ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジブロモフェニル)メタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジクロロフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−クロロフェニル)プロパン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)エーテル、ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)エーテル、ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジクロロフェニル)エーテル、9,9−ビス(4−ヒドロキシフェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−ヒドロキシ−3−クロロフェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−ヒドロキシ−3−ブロモフェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−ヒドロキシ−3−フルオロフェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−ヒドロキシ−3−メトキシフェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジクロロフェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジブロモフェニル)フルオレン等が挙げられる。これらの中でも特に、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジクロロフェニル)プロパンが好ましい。これらは、1種を単独で又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
フェノール性水酸基含有化合物及び/又はカルボキシル基含有化合物とオキサゾリン基含有化合物との反応は、反応温度50〜200℃で行うことが好ましい。反応温度が50℃未満では反応が遅くなり、反応温度が200℃以上では副反応が多く生じる傾向がある。場合により、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド等の極性有機溶剤中で反応を行ってもよい。
上述した分子内にアミド結合を有する(メタ)アクリレート化合物は、1種を単独で又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
≪(iii)ビスフェノールA系(メタ)アクリレート化合物≫
ビスフェノールA系(メタ)アクリレート化合物としては、例えば、2,2−ビス(4−((メタ)アクリロキシポリエトキシ)フェニル)プロパン、2,2−ビス(4−((メタ)アクリロキシポリプロポキシ)フェニル)プロパン、2,2−ビス(4−((メタ)アクリロキシポリブトキシ)フェニル)プロパン、2,2−ビス(4−((メタ)アクリロキシポリエトキシポリプロポキシ)フェニル)プロパン等が挙げられる。これらは単独で又は2種以上を併用して使用することができる。
≪(iv)グリシジル基含有化合物にα,β−不飽和カルボン酸を反応させて得られる化合物≫
グリシジル基含有化合物にα,β−不飽和カルボン酸を反応させて得られる化合物としては、例えば、ノボラック型エポキシ樹脂、ビスフェノール型エポキシ樹脂、サリチルアルデヒド型エポキシ樹脂等のエポキシ樹脂と、(メタ)アクリル酸と、を反応させて得られるエポキシアクリレート化合物などが挙げられる。また、上記エポキシアクリレート化合物のOH基に、テトラヒドロフタル酸無水物等の酸無水物を反応させて得られる酸変性エポキシアクリレート化合物を用いることもできる。このような酸変性エポキシアクリレート化合物としては、例えば、下記一般式(3)で表されるEA−6340(新中村化学製、商品名)が商業的に入手可能である。
Figure 2013109236
[式中、mとnとの比は、100/0〜0/100である。]
≪(v)(メタ)アクリロイル基を有するウレタン系化合物のモノマー又はオリゴマー≫
(メタ)アクリロイル基を有するウレタン系化合物のモノマー又はオリゴマーとしては、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート等のβ位にOH基を有する(メタ)アクリルモノマーと、イソホロンジイソシアネート、2,6−トルエンジイソシアネート、2,4−トルエンジイソシアネート、1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート等のジイソシアネート化合物との付加反応物;EO変性ウレタンジ(メタ)アクリレート;EO又はPO変性ウレタンジ(メタ)アクリレート;カルボキシル基含有ウレタン(メタ)アクリレート;ジオール化合物、分子内に2つの水酸基と2つの少なくとも1つのエチレン性不飽和基を有する2官能エポキシ(メタ)アクリレートとポリイソシアネートとの反応物等が挙げられる。
≪(vi)(メタ)アクリル酸アルキルエステルの共重合体でエチレン性不飽和基が導入された化合物≫
(メタ)アクリル酸アルキルエステルの共重合体でエチレン性不飽和基が導入された化合物としては、例えば、(メタ)アクリル酸メチルエステル、(メタ)アクリル酸エチルエステル、(メタ)アクリル酸ブチルエステル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシルエステル等の共重合体でエチレン性不飽和基が導入された化合物が挙げられる。これらは単独で又は2種以上を併用して使用することができる。
これら(i)〜(vi)の(メタ)アクリレート化合物のうち、光重合反応性が高く、厚膜形成性とパターン形成性等の感光特性に優れるという観点から、炭素−窒素結合を有する(メタ)アクリレート化合物が好ましく、アミド結合を有する(メタ)アクリレート化合物及び/又はウレタン結合を有する(メタ)アクリレート化合物がより好ましい。
また、上記の一分子中に(メタ)アクリロイル基を有するウレタン系化合物(ウレタン結合を有する(メタ)アクリレート化合物)は、光重合反応性が高く、厚膜形成性とパターン形成性等の感光特性に優れるだけではなく、樹脂硬化物の高耐熱化と高接着化を両立できる構造を有するため、信頼性向上に寄与する光重合性化合物である。そのため、本発明の感光性樹脂組成物は、一分子中に(メタ)アクリロイル基を有するウレタン系化合物及びアミド結合を有する(メタ)アクリレート化合物の両方を含むことがより好ましい。
本発明の(A)少なくとも1つのエチレン性不飽和基を有する光重合性化合物として、上記のアミド基を有する(メタ)アクリレート化合物と、上記の(メタ)アクリロイル基を有するウレタン系化合物とを併用する場合は、両者を合わせた配合量を当該(A)成分全量に対して50質量%以上にすることが好ましい。(A)成分全量に対して50質量%以上であれば、感光特性に優れるだけではなく、信頼性向上を実現できる感光性樹脂組成物を得ることができる。密着性の観点から50〜100質量%であることがより好ましく、解像度の観点から60〜90質量%であることが更に好ましい。
<(B)光重合開始剤>
上記(B)光重合開始剤は、活性光線により遊離ラジカルを生成するものであれば特に制限はなく、例えば、芳香族ケトン、アシルフォスフィンオキサイド、オキシムエステル類、キノン類、ベンゾインエーテル化合物、ベンジル誘導体、2,4,5−トリアリールイミダゾール二量体、アクリジン誘導体、N−フェニルグリシン、N−フェニルグリシン誘導体、クマリン系化合物が挙げられる。
芳香族ケトンとしては、例えば、ベンゾフェノン、N,N'−テトラメチル−4,4'−ジアミノベンゾフェノン(すなわちミヒラーケトン)、N,N'−テトラエチル−4,4'−ジアミノベンゾフェノン、4−メトキシ−4'−ジメチルアミノベンゾフェノン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタン−1−オン、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルフォリノ−プロパン−1−オンが挙げられる。
アシルフォスフィンオキサイドとしては、例えば、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルホスフィンオキシド、2,4,6−トリメチルベンゾイル−ジフェニル−フォスフィンオキシドが挙げられる
オキシムエステル類としては、例えば、1,2−オクタンジオン−1−[4−(フェニルチオ)−2−(O−ベンゾイルオキシム)]が挙げられる。
キノン類としては、例えば、2−エチルアントラキノン、フェナントレンキノン、2−tert−ブチルアントラキノン、オクタメチルアントラキノン、1,2−ベンズアントラキノン、2,3−ベンズアントラキノン、2−フェニルアントラキノン、2,3−ジフェニルアントラキノン、1−クロロアントラキノン、2−メチルアントラキノン、1,4−ナフトキノン、9,10−フェナントラキノン、2−メチル−1,4−ナフトキノン、2,3−ジメチルアントラキノンが挙げられる。
ベンゾインエーテル化合物としては、例えば、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインフェニルエーテルが挙げられる。
ベンジル誘導体としては、例えば、ベンゾイン、メチルベンゾイン、エチルベンゾイン等のベンゾイン化合物、ベンジルジメチルケタールが挙げられる。
2,4,5−トリアリールイミダゾール二量体としては、例えば、2−(2−クロロフェニル)−1−〔2−(2−クロロフェニル)−4,5−ジフェニル−1,3−ジアゾール−2−イル〕−4,5−ジフェニルイミダゾール等の2−(o−クロロフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾール二量体、2−(o−クロロフェニル)−4,5−ジ(メトキシフェニル)イミダゾール二量体、2−(o−フルオロフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾール二量体、2−(o−メトキシフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾール二量体、2−(p−メトキシフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾール二量体が挙げられる。
アクリジン誘導体としては、例えば、9−フェニルアクリジン、1,7−ビス(9,9'−アクリジニル)ヘプタンが挙げられる。
(B)光重合開始剤は、常法によって合成してもよく、市販のものを入手してもよい。入手可能な(B)光重合開始剤としては、例えば、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタノン−1(商品名:イルガキュア−369)、2−メチル−1−(4−メチルチオフェニル)−2−モルフォリノプロパン−1−オン(商品名:イルガキュア−907)、2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン(商品名:イルガキュア−651)、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルフォスフィンオキサイド(商品名:イルガキュア−819)、(以上、いずれもチバスペシャリティーケミカルズ(株)製)、オキシムエステル結合を有する化合物等が挙げられる。
上述した(B)光重合開始剤の中でも、特に光硬化性の向上や高感度化の観点から、オキシムエステル結合を有する化合物が好ましい。オキシムエステル結合を有する化合物としてより具体的には、下記式(4)で示される1,2−オクタンジオン−1−[4−(フェニルチオ)−2−(O−ベンゾイルオキシム)](商品名:OXE−01、チバスペシャルティーケミカルズ社製)、1−[9−エチル−6−(2−メチルベンゾイル)−9H−カルバゾール−3−イル]エタノン1−(O−アセチルオキシム)(商品名:OXE−02、チバスペシャルティーケミカルズ社製)、1−フェニル−1,2−プロパンジオン−2−[O−(エトキシカルボニル)オキシム](商品名:Quantacure−PDO、日本化薬社製)等が挙げられる。
Figure 2013109236
上記(B)光重合開始剤は、1種を単独で又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
上記(B)光重合開始剤の含有量は、(A)成分の固形分全量(すなわち溶剤以外の成分量)100質量部に対して、0.1〜20質量部であることが好ましく、0.5〜10質量部であることがより好ましく、1〜5質量部であることが特に好ましい。(B)光重合開始剤の含有量を0.1〜20質量部とすることで、感光性樹脂組成物の感度と光硬化性を向上させ、レジスト形状の悪化を防ぐと共に、形成されるパターンの形状が良好となる。
<(C)カーボンフィラー>
上記(C)カーボンフィラーは、常法によって作製してもよく、市販のものを入手してもよい。入手可能な(C)カーボンフィラーとしては、例えば、XN−100−01M(日本グラファイトファイバー株式会社製)、ランプブラック101(エボニックデグサジャパン株式会社製)、シーストS(東海カーボン株式会社製)、シースト116(東海カーボン株式会社製)、旭#50(旭カーボン株式会社)、T−1(日本黒鉛工業株式会社)、J−CPB(日本黒鉛工業株式会社)、KS15(ロンザ社製)等が挙げられる。
上述した(C)カーボンフィラーの中でも、特に解像度と赤外線吸収率の観点から、ランプブラック101(エボニックデグサジャパン株式会社製)、シーストS(東海カーボン株式会社製)、シースト116(東海カーボン株式会社製)が好ましい。
上記(C)カーボンフィラーは、1種を単独で又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
上記(C)カーボンフィラーの含有量は、(A)成分の固形分全量(すなわち溶剤以外の成分量)100質量部に対して、0.1〜20質量部であることが好ましく、0.5〜10質量部であることがより好ましく、1〜5質量部であることが特に好ましい。(C)カーボンフィラーの含有量を0.1〜20質量部とすることで、感光性樹脂組成物のパターン形状の悪化を防ぐと共に、赤外線吸収率を向上させることができる。
<任意成分>
本発明の感光性樹脂組成物は、上記(A)〜(C)成分の作用効果を阻害しない限りにおいて、他の成分を含有していてもよい。
≪(D)熱ラジカル発生剤≫
たとえば、上記の感光性樹脂組成物は更に(D)熱ラジカル発生剤(以下、「(D)成分」と称することがある)を含有していてもよい。(D)熱ラジカル発生剤としては、例えば、t−ブチルクミルパーオキサイド(パーブチルC)、n−ブチル4,4−ジ−(t−ブチルパーオキシ)バレレート(パーヘキサV)、ジクミルパーオキサイド(パークミルD)などの過酸化物が挙げられる。
上記(D)熱ラジカル発生剤の配合量は、(A)成分100質量部に対して0.1〜30質量部が好ましく、0.2〜20質量部がより好ましく、0.5〜10質量部がさらに好ましい。
≪(E)接着助剤≫
また、感光性樹脂組成物には、必要に応じて、感光性樹脂組成物と基板との接着性を向上させるために、接着助剤を添加してもよい。接着助剤としては、例えば、γ−グリシドキシシラン、アミノシラン、γ−ウレイドシラン等のシランカップリング剤等が挙げられる。
上記(E)接着助剤の配合量は、(A)成分100質量部に対して0.1〜30質量部が好ましく、0.2〜20質量部がより好ましく、0.5〜10質量部がさらに好ましい。
<感光性樹脂組成物の製造方法>
本発明の感光性樹脂組成物は、上述した上記(A)〜(C)成分及び必要に応じて(D)〜(E)成分を、溶媒とともに混合することにより好適に得ることができる。
溶媒としては特に制限されないが、例えば、N−メチル−2−ピロリドン、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートなどを主成分とする極性溶媒や、γ−ブチロラクトンなどの溶媒が挙げられる。これらの溶媒は1種を単独で又は2種以上の混合物として用いられる。
[感光性フィルム]
本発明の感光性フィルムは、上記の感光性樹脂組成物をフィルム状に成形することにより製造することができる。
たとえば、ポリエチレンテレフタレートなどの有機フィルムを支持フィルムとして、その表面に上記の感光性樹脂組成物を公知の種々の方法により塗布し、乾燥して溶剤を除去することにより、支持フィルム上に感光性樹脂層を形成してなる2層構造の感光性フィルム(ドライフィルムレジスト)とすることができる。また、この2層構造の感光性フィルムの感光性樹脂層側の面に保護フィルムとしてポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンフィルム、ポリプロピレンフィルム等を積層して、3層構造の感光性フィルムとしてもよい。また、感光性樹脂層に自己支持性があれば上記2層構造の感光性フィルムから支持フィルムを剥がして1層構造の感光性フィルムとすることも可能である。
感光性フィルムの厚みに特に制限はないが、CMOS素子の配線層用の絶縁膜として用いる場合には、好ましくは1〜500μmである。
支持フィルム及び保護フィルムの厚みにも特に制限はないが、支持フィルムは10μm〜3mmが好ましく、保護フィルムは10〜200μmが好ましい。
[感光性フィルムパターンの形成方法]
次に、前記の感光性樹脂組成物又は感光性フィルムを用いた感光性フィルムパターンの形成方法の一例について説明する。本パターン形成方法においては、前記の感光性樹脂組成物又は感光性フィルムを用いて形成される感光性樹脂層(感光性樹脂膜)を基板上に積層する積層工程と、該感光性樹脂層の所定部分にマスクを通して活性光線を照射して露光部を光硬化せしめる露光工程と、感光性樹脂層の前記露光部以外の部分を現像液を用いて除去する除去工程と、感光性樹脂層の前記露光部を熱硬化させて樹脂硬化物を形成する熱硬化工程とを含む。
以下、各工程について説明する。
<積層工程>
上記積層工程においては、上述の感光性樹脂組成物支持基板上に塗布及び乾燥することにより、または、上述の感光性フィルムを支持基板上に積層することにより、感光性樹脂膜を形成することができる。支持基板としては、例えば、ガラス基板、半導体、金属酸化物絶縁体(例えばTiO2、SiO2等)、窒化ケイ素、セラミック圧電基板等が挙げられる。また、感光性樹脂組成物の塗布方法としては、スピンナーを用いた回転塗布、スプレー塗布、浸漬塗布、ロールコーティング等の方法が挙げられるが、これらに限定されない。感光性フィルムの場合は、ラミネーター等を用いて積層することができる。
感光性樹脂組成物の塗布膜厚は、塗布手段、感光性樹脂組成物の固形分濃度及び粘度等によって異なるが、通常、乾燥後の被膜(感光性樹脂層)の膜厚が1〜500μm、好適には1〜300μmになるように塗布される。乾燥後の被膜の膜厚が1〜300μmになるようにするためには、上述の感光性樹脂組成物を溶剤で溶解させ、粘度を0.5〜20Pa・sに調節することが好ましく、1〜10Pa・sに調節することがより好ましい。また、感光性樹脂組成物の固形分濃度は、20〜80質量%にすることが好ましく、30〜70質量%にすることがより好ましい。得られる被膜の膜厚が、特に300μm以下であると、解像度が良好である。
感光性フィルムを使用する場合は、感光性樹脂層の膜厚を予め上記の膜厚となるように形成しておくことができる。
その後、ホットプレート、オーブンなどを用いて60〜120℃の範囲で1分〜1時間乾燥することにより、支持基板上に感光性樹脂膜を形成することができる。
<露光工程>
次に、露光工程では、支持基板上で被膜となった感光性樹脂膜に、必要に応じて所望のパターンを有するネガマスクを介して所定部分に活性光線を照射し、露光部を光硬化せしめる。
この露光工程において、前述のとおり(メタ)アクリレート化合物が可視−紫外領域の光透過性に優れているため、ブロードバンド光照射による僅かな光エネルギーでも十分にラジカル重合が進行するため、良好に光硬化できるものと考えられる。
ここで、露光に用いられる活性光線としては、紫外線、可視光線、電子線、X線等が挙げられる。これらの中でも特に、紫外線、可視光線が好ましい。また、露光工程時に、支持基板上の感光性樹脂組成物による塗布膜の温度を上げて、露光を行っても良い。塗布膜の温度は、塗布膜の物性変化を抑制できる温度であればよく、加熱方法や加熱装置に応じて100℃以下に設定することができる。その際、温度調整は、塗布膜を有する支持基板の温度を上げても良いし、塗布膜の上方から温風等による加熱や、露光雰囲気全体の温度を上げる方法を使用しても良い。それによって、光照射部の重合反応による硬化が光ラジカル発生剤を含まない場合よりも進行するため、後に述べる除去工程(現像工程)においてパターンのダレや欠け等の発生が抑制され、パターン形成性と解像度の向上がみられる。
<除去工程>
次に、除去工程として、感光性樹脂層の露光部以外の部分(未露光部)を有機溶剤系若しくはアルカリ水溶液系の現像液を用いて除去することによりパターンを形成した後、感光性樹脂層の露光部を熱硬化させ、樹脂硬化物からなるパターンを形成する。
ここで、現像液としては、N−メチルピロリドン、エタノール、シクロヘキサノン、シクロペンタノン、プロピレングリコールメチルエーテルアセテートのような有機溶剤を使用することができる。また、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、ケイ酸ナトリウム、アンモニア、エチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、トリエタノールアミン、テトラメチルアンモニウムヒドロキシドなどのアルカリ水溶液を使用することができる。これらの中でも、現像速度の点から、プロピレングリコールメチルエーテルアセテートを用いることが好ましい。
また、現像後、必要に応じて、水や、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコールなどのアルコールや、n-ブチルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールジメチルエーテルアセテート等でリンスすることが好ましい。
<熱硬化工程>
さらに、前記感光性樹脂層の前記露光部を熱硬化させて樹脂硬化物を形成する熱硬化工程を行う。現像後の熱硬化(キュア)は、温度を選択して段階的に昇温しながら1〜2時間実施することが好ましい。熱硬化は、120〜240℃で行うことが好ましい。加熱温度を段階的に昇温する場合、例えば、120℃、160℃で各10〜50分(好ましくは約30分間)熱処理した後、180℃で30〜100分(好ましくは約60分間)熱処理を行うことが好ましい。
[CMOS素子(電子部材)]
次に、本発明の電子部材の一例として、裏面照射型のCMOS素子について説明する。図1(a)〜(c)及び図2(a)〜(c)は、実施の形態に係るCMOS素子の製造方法を説明する断面図である。
<CMOS素子の概略構造>
図2(c)に示す通り、本実施の形態に係るCMOS素子は、基板20Aと、この基板20Aの表面に設けられた配線層10Aと、この基板20Aの裏面に設けられたカラーフィルター41〜43と、このカラーフィルター41〜43に設けられたオンチップレンズ51〜53とを有する裏面照射型のCMOS素子である。
この基板20Aは、3つのフォトダイオード21〜23を有している。この基板20Aはシリコンからなっており、フォトダイオード21〜23は、特許文献2に記載されているとおり、このシリコンにイオン注入してn型領域及びp型領域を形成することによって形成されたものである。
この基板20Aの裏面のうちこれらフォトダイオード21〜23と対面する位置に、カラーフィルター41〜43が設置されている。このカラーフィルター41〜43の裏面に、オンチップレンズ51〜53が設置されている。
また、上記の配線層10Aは、基板20Aの表面に設置された第1の絶縁膜14と、この絶縁膜13の表面に設置された第2の絶縁膜16とを有している。この第1の絶縁膜14の内部には、第1〜第3の配線パターン11〜13が配設されており、またこの第1の絶縁膜14の裏面には、上記のフォトダイオードからの信号を受信するための端子が露出している。
この第1の絶縁膜14は、特許文献1,3に記載されているとおり、無機絶縁膜であっても有機絶縁膜であってもよい。また、配線パターン11〜13としては、銅線等が用いられる。なお、第2の絶縁膜14は、後述するとおり、前記の感光性フィルムパターンからなっている。
<CMOS素子の製造方法>
次に、上記のCMOS素子の製造方法について説明する。
先ず、図1(a)に示すとおり、配線層本体部10と、その裏面に接合された基板20とからなる積層体を用意する。この配線層本体部10は、第1の絶縁膜14と、この第1の絶縁膜14内に配設された配線パターン11〜13とからなる。また、この基板20のうち配線層本体部10側には、フォトダイオード21〜23が設けられている。
次いで、図1(b)に示すとおり、この配線層本体部10の表面に第2の絶縁膜(感光性フィルムパターン)16を積層する。これら配線層本体部10と第2の絶縁膜16とにより、配線層10Aが構成される。なお、この第2の絶縁膜16は、前記の感光性フィルムパターンの形成方法に従い、積層工程、露光工程、除去工程及び熱硬化工程を実施することにより形成できる。
その後、図2(a)に示すように上下を反転する。そして、バックグラインド法、CMP(化学的機械的研磨)法、ウェットエッチング法等により、基板20の上部側を除去し、フォトダイオード21〜23を露出させる(図2(b))。
これらフォトダイオード21〜23の露出面に対して、カラーフィルタ41〜43及びオンチップレンズ51〜53を順次形成することにより、裏面照射型のCMOS素子が得られる。
このようにして得られた裏面照射型のCMOS素子において、裏面側からの光は、オンチップレンズ51〜53によって集光され、カラーフィルタ21〜23を通った後にフォトダイオード21〜23で受光されて電気信号に変換され、端子15を通って出力される。
一方、CMOS素子の表面側からの光(例えば赤外線、特に近赤外線)は、第2の絶縁膜16によって遮光されるため、この第2の絶縁膜16を通り、更に第1の絶縁膜14を通ってフォトダイオード21〜23で受光されることが防止され、ノイズの発生が防止される。
<その他の構造>
上記の実施の形態では、第2の絶縁膜16のみが本発明の感光性フィルムパターンからなっていたが、この第2の絶縁膜16を省略すると共に第1の絶縁膜14を本発明の感光性フィルムパターンとしてもよく、また、第1の絶縁膜14及び第2の絶縁膜16の両方を本発明の感光性フィルムパターンとしてもよい。
第1の絶縁膜14を本発明の感光性フィルムパターンとする方法には特に制限はない。例えば、支持基板上に端子15を形成した後、この端子15を被覆するようにして、上記の感光性フィルムパターンの形成方法に従って下層側絶縁膜を形成し、その上に下層側配線パターンを形成する。同様の要領で、中層側絶縁層、中層側配線パターン、上層側絶縁層、上層側配線パターン、及び最上層側絶縁層を形成することにより、本発明の感光性フィルムパターンからなる第1の絶縁膜14を製造することができる。
<その他の電子部品>
上記の実施の形態では電子部品としてCMOS素子を例示したが、本発明の電子部品はCMOS素子に限定されるものではなく、CCD素子等であってもよい。
以下、実施例及び比較例に基づいて本発明をより具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
[実施例1〜15及び比較例1〜4]
<感光性樹脂組成物の溶液の調製>
(A)〜(E)成分及びIR吸収剤を、それぞれ下記表1に示す配合割合(質量部)で混合し、実施例1〜15及び比較例1〜4の感光性樹脂組成物の溶液を得た。なお、表1中の数字は固形分の質量部を示している。
≪原料成分≫
表1中の各成分(市販品及び合成物)は、以下のとおりである。
(1)(メタ)アクリロイル基を有するウレタン系化合物
UN−952(ウレタンアクリレートオリゴマー、官能基:アクリレート、
官能基数:10、重量平均分子量:6500〜11000)
UN−2600(ウレタンアクリレートオリゴマー、官能基:アクリレート、
官能基数:2、重量平均分子量:2500)
UN−9200A(ウレタンアクリレートオリゴマー、官能基:アクリレート、
官能基数:2、重量平均分子量:15000)
M−215(イソシアヌル骨格含有ウレタンアクリレート、官能基数:2)
M−315(イソシアヌル骨格含有ウレタンアクリレート、官能基数:3)
(UN−952、UN−2600、UN−9200Aは根上工業株式会社製。M−215、M−313、M−315はそれぞれ東亞合成株式会社製。)
(2)その他の(A)成分
EA−6340(テトラヒドロ無水フタル酸変性ビニル基含有フェノール型エポキシ
樹脂、中村化学工業株式会社製)
FA−321M(ビスフェノールA型2官能アクリレート、日立化成工業株式会社製)
A−BPEF(フルオレン骨格含有ジアクリレート、新中村化学工業株式会社製)
(3)(B)光重合開始剤
OXE−02:
1−[9−エチル−6−(2−メチルベンゾイル)−9H−カルバゾール−3−イル]エタノン1−(O−アセチルオキシム)(チバスペシャルティーケミカルズ社製)
OXE−01:
(1,2−オクタンジオン−1−[4−(フェニルチオ)−2−(O−ベンゾイルオキシム)]、チバスペシャリティーケミカルズ株式会社製)
(4)(C)カーボンフィラー
ランプブラック101(エボニックデグサジャパン株式会社製)
シースト116(東海カーボン株式会社製)
T−1(日本黒鉛工業株式会社)
(5)IR吸収剤
(IR吸収色素)
KAYASORB CY−2674(M)(日本化薬製、シアニン系化合物)
(IR吸収無機フィラー)
CR−63(石原産業社製、シリカ/アルミナ/有機物処理チタニア)
(6)(D)熱ラジカル発生剤
ジクミルパーオキサイド(日油株式会社製、商品名:パークミルD)
(7)(E)接着助剤
シランカップリング剤(東レ・ダウコーニング製、商品名:AY43−031)
≪アミドメタクリレートの合成≫
温度計、撹拌装置の付いた1リットルの反応容器に、1,3−フェニレンビスオキサゾリン380.0g(2.0mol)とビスフェノールA228.0g(1.0mol)を入れ、150℃で10時間撹拌した。
その後、メトキノン500ppmと、メタクリル酸172.0g(2.0mol)を加えて100℃で6時間撹拌し、ジメチルアセトアミド190gを滴下し、さらに100℃で6時間撹拌し、酸価が1.1mgKOH/gになったところで撹拌を止めて、光重合性不飽和化合物である下記式(5)で表される化合物の溶液を得た。得られた溶液の固形分は80質量%であった。
Figure 2013109236
≪アミドアクリレートの合成≫
メタクリル酸の代わりにアクリル酸144.0g(2モル)を用いた他は、上記のアミドメタクリレートの場合と同じ方法によってアミドアクリレートを合成した。得られた溶液の固形分は80質量%であった。
≪ウレタンアクリレートの合成≫
温度計、撹拌装置の付いた1リットルの反応容器に、1,4-シクロヘキサンジメタノールを72.0g、m−キシリレンジイソシアネート193.0g、シクロヘキサノン380gを仕込み、窒素ガス気流下で攪拌しながら90℃〜100℃に加熱して、1時間反応させた。次いで、ペンタエリスリトールトリアクリレート306.0gを加え、赤外分光分析でイソシアネートの吸収が消失するまで反応を行い、下記式(6)で表されるウレタンアクリレート化合物の溶液を得た。得られた溶液の固形分は60質量%であった。
Figure 2013109236
<解像度の評価>
実施例及び比較例の感光性樹脂組成物の溶液を、シリコン基板上にスピンコーターを用いて均一に塗布し、90℃のホットプレートで5分間乾燥し、乾燥後の膜厚20μm(ただし、参考例2では膜厚10μm)の感光性樹脂層を形成した。
この感光性樹脂層を形成した試験基板について、ホール径80μmφの開口パターンを有するネガマスクを介して、ウシオ電機社製のプロキシミティー露光機(商品名:UX−1000SM)を用い、ブロードバンド光を露光量200mJ/cm2にて照射し、感光性樹脂組成物層の露光を行った。この試験基板を、有機溶剤系現像液であるプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートに3分間浸漬して現像を行った。現像後のレジストパターンをn-ブチルアセテートで洗浄し、乾燥後に観察を行い、下記の基準に基づいて耐溶剤性を評価した。その結果を表2に示す。
A:ホール径80μmφが開口しており、開口部は矩形であり現像後の残渣もない。
B:ホール径80μmφは開口しているが、開口部に現像後残渣が見られる。
C:ホール径80μmφが開口しておらず、ビア埋まりとなっている。
<IR透過率の評価>
実施例及び比較例の感光性樹脂組成物の溶液を、薄ガラス上にスピンコーターを用いて均一に塗布し、90℃のホットプレートで5分間乾燥し、乾燥後の膜厚20μm(ただし、参考例2では膜厚10μm)の感光性樹脂層を形成した。次いで、ウシオ電機社製のプロキシミティー露光機(商品名:UX−1000SM)を用い、ブロードバンド光を露光量200mJ/cm2にて照射し、感光性樹脂組成物層の露光を行った。この試験基板を120℃で30分、160℃で30分、180℃で60分の順に加熱して硬化させた。
この試験基板の800〜1200nmの波長領域における透過率の極大値をIR透過率とした。その結果を表2に示す。
<体積抵抗率の評価>
実施例及び比較例の感光性樹脂組成物の溶液を、SUS板上にスピンコーターを用いて均一に塗布し、90℃のホットプレートで5分間乾燥し、乾燥後の膜厚20μm(ただし、参考例2では膜厚10μm)の感光性樹脂層を形成した。次いで、ウシオ電機社製のプロキシミティー露光機(装置名:UX−1000SM)を用い、ブロードバンド光を露光量200mJ/cm2にて照射し、感光性樹脂組成物層の露光を行った。この試験基板を120℃で30分、160℃で30分、180℃で60分の順に加熱して硬化させた。
この試験基板にアルミ蒸着により電極を形成し、ADCMT製の体積抵抗率測定装置(装置名:8340A ULTRA HIGH RESISTANCE METER)を用いて体積抵抗率を測定した。
体積抵抗率が1.0×1013(Ω・m)以上の場合をA、1.0×1013(Ω・m)未満の場合をBとしてランク分けした。これらランク分けの結果を表2に示す。
<耐湿熱性の評価>
実施例及び比較例の感光性樹脂組成物の溶液を、銅メッキ形成済み基板上にスピンコーターを用いて均一に塗布し、90℃のホットプレートで5分間乾燥し、乾燥後の膜厚20μm(ただし、参考例2では膜厚10μm)の感光性樹脂組成物層を形成した。この感光性樹脂組成物層を形成した試験基板について、ウシオ電機社製のプロキシミティー露光機(商品名:UX−1000SM)を用い、ブロードバンド光を露光量200mJ/cm2にて照射し、感光性樹脂組成物層の露光を行い、光硬化させた。その後、感光性樹脂組成物層を、120℃で30分、160℃で30分、180℃で60分の順に加熱して更に熱硬化させた。この試験基板を、85℃、85%RH条件下に48時間放置した後、260℃ホットプレートで加熱し、外観を観察した。評価基準は以下の通りである。その結果を、耐湿熱性として表2に示す。
A:硬化膜に膜表面荒れ、剥離、膨れ、クラックが見られない。
B:硬化膜に剥離、膨れ、クラックは無いが、膜表面荒れが見られる。
C:硬化膜に剥離、膨れ、クラックのどれか一つでも見られる。
<密着性の評価>
実施例及び比較例の感光性樹脂組成物の溶液を、Cuメッキ付ウエハ上にスピンコーターを用いて均一に塗布し、90℃のホットプレートで5分間乾燥し、乾燥後の膜厚20μmの感光性樹脂層を形成した。この感光性樹脂層を形成した試験基板について、ウシオ電機社製のプロキシミティー露光機(商品名:UX−1000SM)を用いて露光量200mJ/cm2で感光性樹脂組成物層の露光を行い、光硬化させた。その後、この試験基板を120℃で30分、160℃で30分、180℃で60分加熱して硬化させた。この試験基板を、85℃、85%RHの条件下に100時間放置した後、JIS K5400(1990年)に準拠した碁盤目試験(100マス)にて密着性を評価した。評価基準は以下の通りである。
A:剥離が見られない
B:僅かでも剥離が見られる
Figure 2013109236
Figure 2013109236
得られた感光性樹脂組成物は微細なパターンを形成することが可能であり、また比較的低い硬化温度(160℃)で硬化させることができた。さらに硬化後においては波長800〜1200nmの近赤外線を吸収することができることが確認できた。
10 配線層
10A 配線層本体部
11,12,13 配線パターン
14 第1の絶縁膜
15 端子
16 第2の絶縁膜
20,20A 基板
21〜23 フォトダイオード
41〜43 カラーフィルター
51〜53 オンチップレンズ

Claims (10)

  1. (A)少なくとも1つのエチレン性不飽和基を有する光重合性化合物、
    (B)光重合開始剤、及び
    (C)カーボンフィラー
    を含む感光性樹脂組成物であって、
    前記(A)少なくとも1つのエチレン性不飽和基を有する光重合性化合物が、アクリレート化合物及び/又はメタクリレート化合物を含む感光性樹脂組成物。
  2. 前記アクリレート化合物及び/又はメタクリレート化合物が、炭素−窒素結合を有するものである請求項1に記載の感光性樹脂組成物。
  3. 前記アクリレート化合物及び/又はメタクリレート化合物が、アミド結合を有する化合物を含む請求項1又は2に記載の感光性樹脂組成物。
  4. 前記アクリレート化合物及び/又はメタクリレート化合物が、一般式(1)で表される化合物を含む請求項1〜3のいずれか1項に記載の感光性樹脂組成物。
    Figure 2013109236
    [一般式(1)中、R31、R32及びR33は各々独立に2価の有機基を示し、R34は水素原子又はメチル基を示し、R35及びR36は各々独立に水素原子、炭素数1〜4のアルキル基又はフェニル基を示す。]
  5. 前記アクリレート化合物及び/又はメタクリレート化合物が、ウレタン結合を有するアクリレート化合物及び/又はメタクリレート化合物を含む請求項1〜4のいずれか1項に記載の感光性樹脂組成物。
  6. 前記アクリレート化合物及び/又はメタクリレート化合物が、アミド結合を有するアクリレート化合物及び/又はメタクリレート化合物と、ウレタン結合を有するアクリレート化合物及び/又はメタクリレート化合物とを含む請求項1〜5のいずれか1項に記載の感光性樹脂組成物。
  7. 前記アクリレート化合物及び/又はメタクリレート化合物が、一般式(1)で表される化合物と、ウレタン結合を有するアクリレート化合物及び/又はメタクリレート化合物とを含む請求項1〜6のいずれか1項に記載の感光性樹脂組成物。
  8. 請求項1〜7のいずれか1項に記載の感光性樹脂組成物をフィルム状に成形してなる感光性フィルム。
  9. 絶縁膜と、前記絶縁膜の内部に配設された配線とを有した配線層を含む電子部材であって、前記絶縁膜の少なくとも一部が請求項1〜7のいずれか1項に記載の感光性樹脂組成物又は請求項8に記載の感光性フィルムを用いて形成されたものである電子部品。
  10. CMOS素子である請求項9に記載の電子部品。
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