JP2017181239A - 温度計測装置及び温度計測方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】迅速に被測定部の温度推定を行うことが可能な温度計測装置及び温度計測方法を提供する。【解決手段】温度計測装置1は、測定対象物10の内部に存在する被測定部11の温度T0を計測する際に、測定対象物10の表面10aに接触し、被測定部11と表面10aとの間の熱流W1を検出する熱流センサ2と、熱流センサ2の温度T2を検出する温度センサ3と、熱流センサ2により検出される測定対象物10の熱流W1と、温度センサ3により検出される熱流センサ2の温度T2とに基づいて、被測定部11の温度T0を算出する制御部4と、を備える。【選択図】図1
Description
本発明は、測定対象物の内部に存在する被測定部の温度を計測するための温度計測装置及び温度計測方法に関する。
測定対象物の内部に存在し、測定対象物の外部から温度を直接計測することができない被測定部について、この被測定部の温度を間接的に計測する温度計測装置が提案されている。例えば特許文献1には、一方の面を測定対象物の表面に接触させる基材と、この基材の他方の面上に設けられる熱流束センサ及び温度センサとを備える内部温度センサ(温度計測装置)について記載されている。熱流束センサは、第1測温部及び第2測温部を有し、第1測温部と第2測温部との間の温度差を検出するサーモパイルが形成されている薄膜部を含む。熱流束センサは、基材を介して流入する測定対象物からの熱を第2測温部に伝導する熱伝導性部材により、第1測温部と基材との間に空間が存在し、且つ、基材に対して平行となるように薄膜部が指示されている。温度センサは、基材の熱伝導性部材と接触している部分の温度又は薄膜部の第2測温部の温度を測定する。この内部温度センサは、熱流束センサにより計測された第1測温部と第2測温部との間の温度差と、温度センサにより計測された温度とから、所定の導出式を用いて、測定対象物の内部温度を算出することができる。
特許文献1に記載されるような従来の測定対象物の内部温度計測手法では、一般に、測定対象物に接触させた内部温度センサが熱平衡状態となっていることが、内部温度を算出するための要件となる。熱平衡状態とは、特許文献1の構成の場合、熱流束センサの薄膜部内を第2測温部から第1測温部に向かって単位時間内に流れる熱量と、熱流束センサの支持部(熱伝導性部材)に測定対象物側から単位時間内に流入する熱量とがほぼ一致し、熱流束センサの各部の温度が安定している状態である。
すなわち、従来手法では、温度計測装置内部の温度精度を上げるために、測定対象物への接触後に、ある程度の時間をかけて装置全体の温度を安定化させる必要があるため、実際に被測定部の温度を算出するまでに時間がかかるという問題があった。
本発明はこのような課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、迅速に被測定部の温度推定を行うことが可能な温度計測装置及び温度計測方法を提供することにある。
上記課題を解決するために、本発明に係る温度計測装置(1,1A)は、測定対象物(10)の内部に存在する被測定部(11)の温度(T0)を計測する際に、前記測定対象物の表面(10a)に接触し、前記測定対象物の前記被測定部と前記表面との間の熱流(W1)を検出する熱流検出部(2)と、前記熱流検出部の温度(T2)を検出する温度検出部(3,3A)と、前記熱流検出部により検出される前記測定対象物の前記熱流と、前記温度検出部により検出される前記熱流検出部の前記温度とに基づいて、前記被測定部の前記温度を算出する制御部(4)と、を備える。
同様に、上記課題を解決するために、本発明に係る温度計測方法は、測定対象物(10)の内部に存在する被測定部(11)の温度(T0)を計測する温度計測方法であって、熱流検出部(2)が、前記測定対象物の表面(10a)に接触する接触ステップ(S102,S202)と、前記熱流検出部が、前記被測定部と前記表面との間の熱流(W1)を検出する熱流検出ステップ(S103,S204)と、温度検出部(3)が、前記熱流検出部の温度(T2)を検出する温度検出ステップ(S104,S205)と、制御部(4)が、前記熱流検出ステップにて前記熱流検出部により検出された前記測定対象物の前記熱流と、前記温度検出ステップにて前記温度検出部により検出された前記熱流検出部の前記温度とに基づいて、前記被測定部の前記温度を算出する温度算出ステップ(S105,S206)と、を含む。
これらの構成により、温度検出部により検出される熱流検出部の温度を基準として、測定対象物の被測定部と表面との間の温度差と相関する熱流を考慮することにより、被測定部の温度を精度良く推定することができる。また、測定対象物や温度計測装置の温度が全体に亘り安定化しなくても被測定部の温度の算出を行えるので、熱流検出部を測定対象物に接触した後に即座に温度の推定を実施できる。
本発明によれば、迅速に被測定部の温度推定を行うことが可能な温度計測装置及び温度計測方法を提供することができる。
以下、添付図面を参照しながら本発明の実施形態について説明する。説明の理解を容易にするため、各図面において同一の構成要素に対しては可能な限り同一の符号を付して、重複する説明は省略する。
[第1実施形態]
図1及び図2を参照して第1実施形態を説明する。まず図1を参照して、第1実施形態に係る温度測定装置1の構成について説明する。
図1及び図2を参照して第1実施形態を説明する。まず図1を参照して、第1実施形態に係る温度測定装置1の構成について説明する。
温度測定装置1は、測定対象物10の内部に存在する被測定部11の温度T0を計測するための装置である。被測定部11は、例えば図1に示すようにその周囲を伝熱材12によって被覆される、または、筐体によって包囲される、などの測定対象物10の構造上の都合により外部から温度T0を直接計測することができない。
このような測定対象物10として、特に本実施形態では圧力センサを想定している。圧力センサは、その内部に被測定部11としての受圧部を備え、この受圧部を含む内部空間を他部品により包囲して構成される。このような圧力センサは、例えば歪ゲージ式、薄膜式などのダイアフラムゲージが挙げられる。ダイアフラムゲージは、受圧部の隔膜(ダイアフラム)に加わる圧力を、隔膜の変形量に応じた電圧値として検出することができる。
このような圧力センサは、周囲の温度環境によって隔膜の変形量が変わるため、温度に応じてセンサ出力が変わるという温度特性を有する。この温度特性は、センサの形状やサイズなどによって決まるものである。したがって、圧力センサは、予め温度特性を調べ、温度特性に応じた出力補正を設定しておくことによって(温度特性調整工程)、同一圧力に対するセンサ出力を温度特性の影響を受けずに一定にすることができる。
第1実施形態の温度計測装置1は、このような圧力センサの温度特性調整工程に適用することができる。この工程では、圧力センサ(測定対象物10)の内部に設けられる受圧部(被測定部11)が高温や低温などの所定の温度帯となるようセンサが加温または冷却され、このときのセンサ出力に基づき、温度に基づく出力補正などの各種調整が行われる。温度計測装置1は、直接計測できない圧力センサ内部の受圧部の温度を推定することができるので、圧力センサの温度特性調整工程に温度計測装置1を適用することによって、受圧部の温度が所定の温度帯に入っているか否かを高精度に判定できる。
図1に示すように、温度測定装置1は、熱流センサ2(熱流検出部)と、温度センサ3(温度検出部)と、制御部4とを備える。
熱流センサ2は、測定対象物10の内部に存在する被測定部11の温度T0を計測する際に、測定対象物10の表面10aに接触し、被測定部11と表面10aとの間の熱流W1を検出する。熱流センサ2が計測する熱流W1は、(1)被測定部11の温度T0が表面10aの温度T1より高温の場合には、測定対象物10の内部から表面10aへ放出される熱流であり、また、(2)測定対象物10の表面10aの温度T1が被測定部11の温度T0より高温の場合には、測定対象物10の表面10aから内部へ吸収される熱流である。熱流センサ2は、相互に対向する一対の主面2a,2bを有し、測定対象物10の熱流W1を検出する際には、一対の主面2a,2bのうち一方の主面2aが測定対象物10の表面10aに密着して取り付けられる。
温度センサ3は、測定対象物10の被測定部11の温度T0を計測する際に、熱流センサ2の温度を検出する。温度センサ3は、例えば、抵抗測温体や熱電対などの温度測定系を適用することができる。温度検出部3は、熱流センサ2の一対の主面2a,2bのうち、測定対象物10と接触していない側の他方の主面2bの表面温度T2を検出する。
なお、本実施形態では、測定対象物10の表面10aと接触する熱流センサ2の一方の主面2aの表面温度(すなわち測定対象物10の表面10aの温度T1)と、その反対側に位置する他方の主面2bの表面温度T2とは略同一となるとの前提のもとで、温度センサ3が熱流センサ2の主面2bの表面温度を検出する構成をとる。つまり、温度センサ3の温度計測位置は主面2bに限られず、主面2a、側面部、内部などの熱流センサ2の他の部位とすることもできる。
制御部4は、熱流センサ2により検出される測定対象物10の熱流W1と、温度センサ3により検出される熱流センサ2の温度T2とに基づいて、被測定部11の温度T0を算出する。温度T0の算出方法の詳細については図2を参照して後述する。制御部4は、熱流センサ2及び温度センサ3と電気的に接続され、熱流センサ2及び温度センサ3から熱流W1及び温度T2に関する情報を取得する。また、制御部4は、測定対象物10の被測定部11の温度T0を計測する際に、熱流センサ2を測定対象物10の表面10aに取り付けるよう熱流センサ2の位置制御を行うこともできる。
制御部4は、物理的には、CPU(Central Processing Unit)、RAM(Random Access Memory)及びROM(Read Only Memory)などを有するコンピュータである。図2を参照して後述する制御部4の各機能の全部または一部は、ROMに保持されるアプリケーションプログラムをRAMにロードしてCPUで実行することによって、RAMやROMにおけるデータの読み出し及び書き込みを行うことで実現される。
次に、図2を参照して、温度計測装置1が行う被測定部11の温度推定手法について説明する。図2に示すフローチャートの処理が、第1実施形態に係る温度計測方法に相当する。なお、図2のフローチャートは、上述の圧力センサ(測定対象物10)の温度特性調整工程に温度計測装置1を適用する場合の、圧力センサ内部の受圧部(被測定部11)の温度を推定する手順を、温度計測方法の一例として例示するものである。
ステップS101では、測定対象物10が所定温度帯に調整される。上述のように、圧力センサの温度特性調整工程では、圧力センサの内部に設けられる受圧部が高温や低温などの所定の温度帯となるようセンサが加温または冷却され、このときのセンサ出力に基づき、温度に基づく出力補正などの各種調整が行われる。本ステップでは、このうちの任意の1つの温度帯となるように測定対象物10の温度が調整される。本ステップの処理は、測定対象物10を室温より高温に調整する場合には、例えば、内部温度が所定の温度帯に維持されている炉の中に測定対象物10を投入し、所定時間経過後に炉から取り出すことによって実施することができる。また、測定対象物10を室温より低温に調整する場合には、例えば冷却装置に測定対象物10を投入することによって実施することができる。ステップS101の処理が完了すると、ステップS102に進む。
ステップS102(接触ステップ)では、ステップS101にて所定温度帯に調整された測定対象物10の表面10aに、熱流センサ2が取り付けられる。本ステップの処理は、制御部4が熱流センサ2を測定対象物10に取り付ける位置制御を行うことにより実施することができるし、または、作業者が手動または機器操作によって取り付けることもできる。ステップS102の処理が完了するとステップS103に進む。
ステップS103(熱流検出ステップ)では、ステップS102にて測定対象物10に取り付けられた熱流センサ2により、測定対象物10の内部の被測定部11と、測定対象物10の表面10aとの間の熱流W1が計測される。熱流センサは、計測した熱流W1の情報を制御部4に出力する。ステップS103の処理が完了するとステップS104に進む。
ステップS104(温度検出ステップ)では、温度センサ3により、熱流センサ2の主面2bの表面温度T2が計測される。温度センサ3は、予め熱流センサ2に取り付けられていてもよいし、ステップS102にて熱流センサ2が測定対象物10に取り付けられた後に熱流センサ2に取り付けられてもよい。温度センサ3は、計測した表面温度T2の情報を制御部4に出力する。ステップS104の処理が完了するとステップS105に進む。
ステップS105(温度算出ステップ)では、制御部4により、ステップS103,S104にて取得された熱流W1及び表面温度T2を用いて、被測定部11の温度T0が算出される。制御部4は、熱流センサ2により検出される測定対象物10の熱流値W1に、測定対象物10の表面10aと測定対象物10の内部の被測定部11との間の熱抵抗値Cを乗算し、さらに、温度センサ3により検出される熱流センサ2の温度値T2を加算することにより、測定対象物10の内部に設けられる被測定部11の温度T0を算出する。具体的には、制御部4は下記の(1)式を用いて被測定部11の温度T0を算出することができる。
T0=T2+C×W1 ・・・(1)
T0=T2+C×W1 ・・・(1)
ここで熱抵抗値Cは、測定対象物10の表面10aに取り付けられた状態の熱流センサ2と、測定対象物10の内部の被測定部11との間に介在する領域の構成に依存して決まる固定値である。図1に示す本実施形態の構成では、熱抵抗値Cは、熱流センサ2と被測定部11との間の領域を占めている伝熱材12の材質等によって決まる。また、熱流値W1は、図1に矢印で示すように、測定対象物10の内部から表面10aに向かって流れる場合を正の値とし、図1とは反対に測定対象物10の表面10aから内部側に向かって流れる場合を負の値とする。制御部4は、算出した被測定部11の温度T0を出力する。ステップS105の処理が完了すると本制御フローを終了する。
次に、第1実施形態に係る温度計測装置1及び温度計測方法の効果について説明する。
第1実施形態の温度計測装置1は、測定対象物10の内部に存在する被測定部11の温度T0を計測する際に、測定対象物10の表面10aに接触し、被測定部11と表面10aとの間の熱流W1を検出する熱流センサ2と、熱流センサ2の温度T2を検出する温度センサ3と、熱流センサ2により検出される測定対象物10の熱流W1と、温度センサ3により検出される熱流センサ2の温度T2とに基づいて、被測定部11の温度T0を算出する制御部4と、を備える。
同様に、第1実施形態に係る温度計測方法は、測定対象物10の内部に存在する被測定部11の温度T0を計測する温度計測方法であって、温度計測装置1の熱流センサ2が、測定対象物10の表面10aに接触するステップS102(接触ステップ)と、熱流センサ2が、被測定部11と表面10aとの間の熱流W1を検出するステップS103(熱流検出ステップ)と、温度計測装置1の温度センサ3が、熱流センサ2の温度T2を検出するステップS104(温度検出ステップ)と、温度計測装置1の制御部4が、ステップS103(熱流検出ステップ)にて熱流センサ2により検出された測定対象物10の熱流W1と、ステップS104(温度検出ステップ)にて温度センサ3により検出された熱流センサ2の温度T2とに基づいて、被測定部11の温度T0を算出するステップS105(温度算出ステップ)と、を含む。
熱流センサ2により検出される熱流W1は、測定対象物10の内部にある被測定部11の温度T0と、測定対象物10の表面10aの温度T1との温度差と相関する。両者の温度差が大きいほど熱流W1は増加し、温度差が小さいほど熱流W1は減少する傾向にある。測定対象物10の表面10aの温度T1は、温度センサ3により検出される熱流センサ2の温度T2と略同一である。したがって、熱流センサ2の温度T2を基準として、測定対象物10の被測定部11と表面10aとの間の温度差と相関する熱流W1を考慮することにより、被測定部11の温度T0を精度良く推定することができる。また、被測定部11の温度T0の推定に用いる熱流W1は、被測定部11の温度T0と、測定対象物10の表面10aの温度T1との相対的な偏差に基づくパラメータであるので、被測定部11の温度T0が定常状態であることを要しない。したがって、制御部4は、被測定部11の実際の温度T0が逐次変動する環境下においても、熱流W1と温度T2に基づき、その瞬間の温度T0を精度良く算出することができる。これにより、測定対象物10や温度計測装置1の温度が全体に亘り安定化しなくても被測定部11の温度T0の算出を行えるので、熱流センサ2を測定対象物10に接触した後に即座に温度T0の推定を実施できる。以上より、第1実施形態に係る温度計測装置1及び温度計測方法は、測定対象物10への接触後に迅速に被測定部11の温度推定を行うことができる。
ここで、特許文献1に記載されるような従来の測定対象物の内部温度計測手法(以下「従来手法」という)に対する本実施形態の手法の利点についてさらに説明する。上述のとおり、従来手法では、温度計測装置内部の温度精度を上げるために、測定対象物への接触後に、ある程度の時間をかけて装置全体の温度を安定化させる必要があるため、実際に被測定部の温度を算出するまでに時間がかかるという問題があった。この問題は、従来は重要なものではなかった。従来手法の主な測定対象は、人体などの生体の深部体温であり、被測定部の温度が一定であることが前提だったため、上記のように装置温度が安定化するまで待ってから計測を開始したとしても、装置が算出する内部温度への影響は少なかったからである。
ここで、従来手法の測定対象を拡張すべく、本実施形態で例示したように、圧力センサの温度特性調整工程において温度計測装置を適用することを考える。この工程では、圧力センサの内部に設けられる受圧部が高温や低温などの所定の温度帯となるようセンサが加温または冷却され、このときのセンサ出力に基づき、温度に基づく出力補正などの各種調整が行われる。つまり、測定対象物や被測定部の温度が不安定な状態で、被測定部の温度推定を行う必要がある。
このような適用の場面では、測定対象物(圧力センサ)の加温や冷却が完了した後に、被測定部(受圧部)の実際の温度が所定の温度帯から外れる前までに、温度計測装置を測定対象物に接触させた後にできるだけ早く被測定部の温度推定を行うことが望ましい。しかしながら、従来手法では、上述のとおり装置を測定対象物へ接触した後にある程度の待ち時間が必要であるため、充分な精度で被測定部の温度推定ができない場合が起こり得る。
これに対して、本実施形態の手法は、本実施形態で例示した圧力センサの温度特性調整工程のように、被測定部11の実際の温度T0が逐次変動する環境下においても、熱流W1と温度T2に基づき、その瞬間の温度T0を精度良く算出することができる。つまり、測定対象物10や温度計測装置1の温度が全体に亘り安定化しなくても被測定部11の温度T0の算出を行うことができるので、従来手法に対して内部温度を計測する測定対象物の対象を拡張できるという利点がある。
また、第1実施形態の温度計測装置1において、制御部4は、熱流センサ2により検出される測定対象物10の熱流値W1に、測定対象物10の表面10aと測定対象物10の内部の被測定部11との間の熱抵抗値Cを乗算し、さらに、温度センサ3により検出される熱流センサ2の温度値T2を加算することにより、測定対象物10の内部に設けられる被測定部11の温度T0を算出する。より詳細には、制御部4は、(1)式を用いて、熱流値W1及び温度値T2に基づき被測定部11の温度T0を算出する。
この構成により、熱流値W1が正の値の場合、すなわち、測定対象物10の内部から表面10aへ放出される熱流が生じる場合には、被測定部11の温度T0が表面10aの温度T1より高温となるよう、熱流センサ2の温度値T2に熱流値W1に応じた値が加算される。また、熱流値W1が負の値の場合、すなわち、測定対象物10の表面10aから内部へ吸収される熱流が生じる場合には、測定対象物10の表面10aの温度T1が被測定部11の温度T0より高温となるよう、熱流センサ2の温度値T2から熱流値W1に応じた値が減算される。これにより、測定対象物10の熱流値W1及び熱流センサ2の温度値T2に基づき、被測定部11の温度T0を精度良く推定できる。
また、第1実施形態の温度計測装置1において、熱流センサ2は、相互に対向する一対の主面2a,2bを有し、測定対象物10の熱流W1を検出する際には、一対の主面2a,2bのうち一方の主面2aが測定対象物10の表面10aに密着して取り付けられる。温度センサ3は、熱流センサ2の一対の主面2a,2bのうち他方の主面2bの表面温度T2を検出する。この構成により、熱流センサ2及び温度センサ3が、熱流値W1及び表面温度T2をそれぞれ好適に検出することができる。
また、第1実施形態の温度計測装置1において、測定対象物10が、圧力センサであり、被測定部11が、圧力センサの内部に設けられる受圧部であるのが好ましい。
上述のとおり、圧力センサの受圧部の温度を計測する処理は、圧力センサの温度特性調整工程において実施される。この工程では、測定対象物10が所定温度帯に調整され、被測定部11が所定の温度帯に入っている短期間に被測定部11の温度T0を推定する必要がある。上述のように、温度計測装置1は、被測定部11の実際の温度T0が逐次変動する環境下においても被測定部11の温度T0を精度よく算出できるので、測定対象物10を圧力センサとする場合に特に有効と考えられる。
[第2実施形態]
図3及び図4を参照して第2実施形態を説明する。図3に示すように、第2実施形態に係る温度計測装置1Aは、被測定部11の温度T0を計測する際に、測定対象物10の表面10aに接触した状態の熱流センサ2に接触するよう設けられる治具5を備える点で、第1実施形態の温度計測装置1と異なる。
図3及び図4を参照して第2実施形態を説明する。図3に示すように、第2実施形態に係る温度計測装置1Aは、被測定部11の温度T0を計測する際に、測定対象物10の表面10aに接触した状態の熱流センサ2に接触するよう設けられる治具5を備える点で、第1実施形態の温度計測装置1と異なる。
治具5は、測定対象物10の表面10aと測定対象物10の内部の被測定部11との間の熱抵抗、図3の例では伝熱材12の熱抵抗値Cに対して相対的に低い熱抵抗を有する材質(例えば金属)で形成される。治具5は、被測定部11の温度T0を計測する際に、熱流センサ2の一対の主面2a,2bのうち、測定対象物10と接触していない側の他方の主面2bと密着して取り付けられる。
温度センサ3Aは、第1実施形態の温度センサ3と同様に、熱流センサ2の主面2bの表面温度T2を検出する。また、温度センサ3Aは、第1実施形態の温度センサ3と異なり、熱流センサ2の主面2b上には設けられず、熱流センサ2や治具5から離間して配置されている。しかしながら、第2実施形態においても、第1実施形態の温度センサ3と同様の構成を用いることもできる。すなわち、熱流センサ2と治具5との間に温度センサ3を挟持する構成としてもよい。
第2実施形態の温度計測装置1Aは、例えば図4に示すフローチャートにしたがって被測定部11の温度推定を行うことができる。図4のフローチャートのうちステップS201〜S202,S205〜S206の各処理は、図2のフローチャートのステップS101〜S103,S105の処理と同様であるので説明を省略する。
ステップS203(治具接触ステップ)では、ステップS202にて熱流センサ2が測定対象物10の表面10aに取り付けられた熱流センサ2に、治具5が取り付けられる。治具5は、その端面が熱流センサ2の主面2bと密着して取り付けられる。本ステップの処理は、制御部4が治具5を熱流センサ2に取り付ける位置制御を行うことにより実施することができるし、または、作業者が手動または機器操作によって取り付けることもできる。ステップS203の処理が完了するとステップS204に進む。
ステップS204では、ステップS102にて測定対象物10に取り付けられ、かつ、ステップS103にて治具5が取り付けられた熱流センサ2により、測定対象物10の内部の被測定部11と、測定対象物10の表面10aとの間の熱流W1が計測される。ステップS204の処理が完了するとステップS205に進む。
第2実施形態の温度計測装置1Aでは、このような治具5を備えることによって、また、第2実施形態の温度計測方法ではステップS203にて、測定対象物10の表面10aに接触した状態の熱流センサ2に治具5を設置することによって、図3に示すように、熱流センサ2を介して測定対象物10の表面10aと治具5との間で熱伝導が可能な状態となる。特に、図3に示すように、被測定部11の温度T0が表面10aの温度T1より高温であり、測定対象物10の内部から表面10aへ放出される熱流W1が発生する場合には、治具5の熱抵抗が伝熱材12の熱抵抗Cより小さいため、被測定部11と表面10aとの間で発生している熱流を治具5に進入するように集約させることができる。これにより、測定対象物10の内部から熱流センサ2に向かう熱量が大きくなり、S/N比を大きくすることができる。この結果、さらに高精度な被測定部11の温度T0の計測が可能となる。
なお、上記実施形態では、治具5が熱流センサ2と離脱可能に構成され、被測定部11の内部温度計測時に、測定対象物10の表面10aに接触した状態の熱流センサ2に取り付けられる構成を例示したが、予め治具5が熱流センサ2と一体的に組み合わせられる構成でもよい。この場合、図4のフローチャートのステップS202,S203は、「治具5を取り付けられた熱流センサ2が測定対象物10の表面10aに取り付けられる」という1つのステップに纏められる。いずれの場合でも、ステップS203に相当する治具5を熱流センサ2に接触させる処理は、少なくともステップS204(熱流検出ステップ)の前に実行されればよい。
以上、具体例を参照しつつ本発明の実施の形態について説明した。しかし、本発明はこれらの具体例に限定されるものではない。すなわち、これら具体例に、当業者が適宜設計変更を加えたものも、本発明の特徴を備えている限り、本発明の範囲に包含される。例えば、前述した各具体例が備える各要素及びその配置、材料、条件、形状、サイズなどは、例示したものに限定されるわけではなく適宜変更することができる。また、前述した各実施の形態が備える各要素は、技術的に可能な限りにおいて組み合わせることができ、これらを組み合わせたものも本発明の特徴を含む限り本発明の範囲に包含される。
1,1A:温度計測装置
2:熱流センサ(熱流検出部)
3,3A:温度センサ(温度検出部)
4:制御部
5:治具
10:測定対象物
11:被測定部
T0:被測定部の温度
T2:熱流センサの温度
W1:測定対象物の被測定部と表面との間の熱流
C:熱抵抗値
S102,S202:接触ステップ
S103,S204:熱流検出ステップ
S104,S205:温度検出ステップ
S105,S206:温度算出ステップ
S203:治具接触ステップ
2:熱流センサ(熱流検出部)
3,3A:温度センサ(温度検出部)
4:制御部
5:治具
10:測定対象物
11:被測定部
T0:被測定部の温度
T2:熱流センサの温度
W1:測定対象物の被測定部と表面との間の熱流
C:熱抵抗値
S102,S202:接触ステップ
S103,S204:熱流検出ステップ
S104,S205:温度検出ステップ
S105,S206:温度算出ステップ
S203:治具接触ステップ
Claims (7)
- 測定対象物(10)の内部に存在する被測定部(11)の温度(T0)を計測する際に、前記測定対象物の表面(10a)に接触し、前記測定対象物の前記被測定部と前記表面との間の熱流(W1)を検出する熱流検出部(2)と、
前記熱流検出部の温度(T2)を検出する温度検出部(3,3A)と、
前記熱流検出部により検出される前記測定対象物の前記熱流と、前記温度検出部により検出される前記熱流検出部の前記温度とに基づいて、前記被測定部の前記温度を算出する制御部(4)と、
を備える温度計測装置(1,1A)。 - 前記制御部は、前記熱流検出部により検出される前記測定対象物の前記熱流(W1)に、前記測定対象物の前記表面と前記測定対象物の内部の前記被測定部との間の熱抵抗(C)を乗算し、さらに、前記温度検出部により検出される前記熱流検出部の前記温度(T2)を加算することにより、前記測定対象物の内部に設けられる前記被測定部の前記温度(T0)を算出する、
請求項1に記載の温度計測装置。 - 前記熱流検出部は、相互に対向する一対の主面(2a,2b)を有し、前記測定対象物の前記熱流を検出する際には、前記一対の主面のうち一方の主面(2a)が前記測定対象物の前記表面に密着して取り付けられ、
前記温度検出部は、前記熱流検出部の前記一対の主面のうち他方の主面(2b)の表面温度(T2)を検出する、
請求項1または2に記載の温度計測装置。 - 前記被測定部の前記温度を計測する際に、前記測定対象物の前記表面に接触した状態の前記熱流検出部に接触するよう設けられ、前記測定対象物の前記表面と前記測定対象物の内部の前記被測定部との間の熱抵抗に対して相対的に低い熱抵抗を有する材質で形成される治具(5)を備える、
請求項1〜3のいずれか1項に記載の温度計測装置(1A)。 - 前記測定対象物が、圧力センサであり、
前記被測定部が、前記圧力センサの内部に設けられる受圧部である、
請求項1〜4のいずれか1項に記載の温度計測装置(1,1A)。 - 測定対象物(10)の内部に存在する被測定部(11)の温度(T0)を計測する温度計測方法であって、
熱流検出部(2)が、前記測定対象物の表面(10a)に接触する接触ステップ(S102,S202)と、
前記熱流検出部が、前記被測定部と前記表面との間の熱流(W1)を検出する熱流検出ステップ(S103,S204)と、
温度検出部(3)が、前記熱流検出部の温度(T2)を検出する温度検出ステップ(S104,S205)と、
制御部(4)が、前記熱流検出ステップにて前記熱流検出部により検出された前記測定対象物の前記熱流と、前記温度検出ステップにて前記温度検出部により検出された前記熱流検出部の前記温度とに基づいて、前記被測定部の前記温度を算出する温度算出ステップ(S105,S206)と、
を含む温度計測方法。 - 前記熱流検出ステップ(S204)の前に、前記測定対象物の前記表面と前記測定対象物の内部の前記被測定部との間の熱抵抗(C)に対して相対的に低い熱抵抗を有する材質で形成される治具(5)が、前記熱流検出部に接触する治具接触ステップ(S203)を含み、
前記熱流検出ステップは、前記治具が取り付けられた前記熱流検出部が、前記被測定部と前記表面との間の熱流(W1)を検出する、
請求項6に記載の温度計測方法。
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JP2016067373A JP2017181239A (ja) | 2016-03-30 | 2016-03-30 | 温度計測装置及び温度計測方法 |
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Citations (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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JP2015114291A (ja) * | 2013-12-13 | 2015-06-22 | オムロン株式会社 | 内部温度センサ |
-
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- 2016-03-30 JP JP2016067373A patent/JP2017181239A/ja active Pending
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