JP2017180493A - ダンパ及びこのダンパを備えた転倒防止装置 - Google Patents

ダンパ及びこのダンパを備えた転倒防止装置 Download PDF

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Abstract

【課題】全ストローク範囲で減衰力を発生するダンパを提供する。
【解決手段】ダンパ10は、第1シリンダ部20、第2シリンダ部30、仕切部材40、ロッドガイド50、第1ピストン60、ロッド70、及び第2ピストン80を備えている。仕切部材40は第1シリンダ部20と第2シリンダ部30との境界部に設けられている。また、仕切部材40は第1シリンダ部20と第2シリンダ部30とを連通する第1連通路43を有している。第1ピストン60は作動油Yが充填された第1シリンダ部20内に摺動自在に収納されている。また、第1ピストン60は第1シリンダ部20内を第1室C1と第2室C2とに区画している。第2ピストン80は第2シリンダ部30内に摺動自在に収納されている。また、第2ピストン80は第2室C2に連通して作動油Yが充填された第3室C3とガスGが充填された第4室C4とに第2シリンダ部30内を区画している。
【選択図】図2

Description

本発明はダンパ及びこのダンパを備えた転倒防止装置に関するものである。
特許文献1は従来のダンパを備えた転倒防止装置を開示している。このダンパは、シリンダ、ロッドガイド、ピストン、及びロッドを備えている。シリンダは有底筒状である。ロッドガイドはシリンダの開口部を封鎖している。ピストンはシリンダ内に摺動自在に収納されている。ロッドは、基端部がピストンに連結され、ロッドガイドを摺動自在に挿通し、先端側がシリンダの外部へ突出している。また、ダンパはシリンダ内に作動油及び圧縮ガスを封入している。このダンパは家具の上面と天井との間に取り付けられる転倒防止装置を構成している。この転倒防止装置は、ダンパのシリンダの底部が開口部よりも下方に位置し、ロッドがシリンダから上方に突出し、シリンダ及びロッドの中心軸が水平面に対して所定の角度に傾斜した状態で、家具の上面と天井との間に取り付けられる。この転倒防止装置は、地震等の揺れによって家具が傾いた際、ダンパのピストンが作動油内で移動することによって発生する減衰力が家具に作用して、家具の傾きを抑制し、家具の転倒を防止することができる。
特開2015−6330号公報
しかし、このダンパのピストンは、作動油内のみでなく、作動油よりも上方に封入された圧縮ガス内も移動し得る。ダンパは圧縮ガス内でピストンが移動しても減衰力を発生することができない。つまり、このダンパは全ストローク範囲で減衰力を発生することができない。
また、このダンパを備えた転倒防止装置は、家具の上面と天井との間隔が広いと、ピストンが作動油よりも上方に封入された圧縮ガス内に配置された状態で、家具の上面と天井との間に取り付けられるおそれがある。転倒防止装置は、ピストンが圧縮ガス内に配置された状態で取り付けられると、地震等の揺れによって家具が傾いた際、ダンパが収縮してピストンが作動油内に移動するまでダンパが減衰力を発生しない。このため、この転倒防止装置はダンパの減衰力が家具に有効に作用せずに家具が転倒するおそれがある。
本発明は、上記従来の実情に鑑みてなされたものであって、全ストローク範囲で減衰力を発生するダンパを提供するとともに、このダンパを備えることによって、物品の転倒を良好に防止することができる転倒防止装置を提供することを解決すべき課題としている。
第1発明のダンパは、第1シリンダ部、第2シリンダ部、仕切部材、ロッドガイド、第1ピストン、ロッド、及び第2ピストンを備えている。第1シリンダ部は筒状である。第2シリンダ部は第1シリンダ部に一方の端部が連通している。また、第2シリンダ部は他方の端部が閉鎖した筒状である。仕切部材は第1シリンダ部と第2シリンダ部との境界部に設けられている。また、仕切部材は第1シリンダ部と第2シリンダ部とを連通する連通路を有している。ロッドガイドは第1シリンダ部の端部に開口した開口部を封鎖している。第1ピストンは作動液体が充填された第1シリンダ部内に摺動自在に収納されている。また、第1ピストンは第1シリンダ部内を第1室と第2室とに区画している。ロッドは基端部が第1ピストンに連結されている。また、ロッドはロッドガイドを摺動自在に挿通して先端側が第1シリンダ部の外部へ突出している。第2ピストンは第2シリンダ部内に摺動自在に収納されている。また、第2ピストンは第2室に連通して作動液体が充填された第3室とガスが充填された第4室とに第2シリンダ部内を区画している。
第2発明のダンパは、第1シリンダ部、第2シリンダ部、仕切部材、ロッドガイド、第1ピストン、ロッド、及び袋体を備えている。第1シリンダ部は筒状である。第2シリンダ部は記第1シリンダ部に一方の端部が連通している。また、第2シリンダ部は他方の端部が閉鎖した筒状である。仕切部材は第1シリンダ部と第2シリンダ部との境界部に設けられている。また、仕切部材は第1シリンダ部と第2シリンダ部とを連通する連通路を有している。ロッドガイドは第1シリンダ部の端部に開口した開口部を封鎖している。第1ピストンは作動液体が充填された第1シリンダ部内に摺動自在に収納されている。また、第1ピストンは第1シリンダ部内を第1室と第2室とに区画している。ロッドは基端部が第1ピストンに連結されている。また、ロッドはロッドガイドを摺動自在に挿通して先端側が第1シリンダ部の外部へ突出している。袋体は第2シリンダ部内に収納されている。また、袋体は内部にガスを充填している。
これらダンパは、収縮動作すると、ロッドが第1シリンダ部内へ入り込むことにより第1シリンダ部内のロッドが占める体積が増加するため、その体積と等しい量の作動液体が、仕切部材の連通路を通って第1シリンダ部から第2シリンダ部内に流入する。第2シリンダ部内の作動液体が増加するに従い、第2ピストンが第4室側に押されて第4室に充填されたガス、又は第2シリンダ部内に収納されたガスが充填された袋体が圧縮されるため、これらの膨張力が増加し、作動液体を第2シリンダ部内から第1シリンダ部へ押し返す力が増加する。つまり、これらダンパは、収縮すると、第4室内に充填されたガス、又はガスが充填された袋体が圧縮され、これらの膨張力が伸長する方向に作用する。また、これらダンパは、伸長動作する際、作動液体が仕切部材の連通路を通って第2シリンダ部から第1シリンダ部内に移動する。このように、このダンパは、第2シリンダ部が体積補償部として作用する。このため、これらダンパは、第1シリンダ部内に作動液体が充填された状態を保ち、作動液体が充填された第1シリンダ部内をピストンが移動するため、常に減衰力を発生することができる。ここで、ダンパの伸長動作とは、第1シリンダ部からのロッドの突出長さ及びダンパの長さが長くなっていく動作を意味する。また、ダンパの収縮動作とは、第1シリンダ部からのロッドの突出長さ及びダンパの長さが短くなっていく動作を意味する。
したがって、これらダンパは全ストローク範囲で減衰力を発生することができる。
本発明のダンパは、第1シリンダ部と第2シリンダ部とが並列配置されるように、第1シリンダ部と第2シリンダ部とを連通する連通部を備え得る。この場合、ダンパは全長を短くすることができる。
本発明のダンパにおいて、仕切部材の連通路は、第1シリンダ部と第2シリンダ部との間を流れる作動液体に抵抗を付与する第1連通路と、第2シリンダ部から第1シリンダ部への作動液体の流れのみを許容する逆止弁が設けられた第2連通路とを有し得る。また、第1ピストンは、第1室と第2室との間を流れる作動液体に抵抗を付与する第3連通路と、第1室から第2室への作動液体の流れのみを許容する逆止弁が設けられた第4連通路とを有し得る。この場合、このダンパは、収縮動作する際の全ストロークにおいて、減衰力を発生することができる。一方、このダンパは、伸長動作する際に作動液体が第2連通路及び第4連通路を流れるため、伸長方向に抵抗がなく第4室内に充填されたガス、又はガスが充填された袋体の膨張力によってスムーズに伸長することができる。このため、このダンパを設置面上に設置された物品の上面と天井との間に取り付けると、地震等の揺れによる物品の傾きに確実に追随することができる。
本発明の転倒防止装置は前記ダンパを備えている。このダンパはロッドが第1シリンダから上方に突出し、第1シリンダ及びロッドの中心軸が水平面に対して所定の角度に傾斜した状態で設置面上に設置された物品の上面と天井との間に取り付けられる。
この転倒防止装置は、ダンパが全ストローク範囲で減衰力を発生するため、地震等の揺れによって物品が傾いた際、常にダンパの減衰力が物品に作用し、物品の転倒を防止することができる。ここで、所定角度とは、物品の転倒を良好に防止することができる65°〜75°である。また、物品は、家具、複数の寝台を上下方向に連結したベッド、大型テレビ、冷蔵庫、書棚、ショーケース、サーバーラック等、地震の揺れ等によって転倒するおそれのあるものが含まれる。
実施形態1の転倒防止装置を家具の上面と天井との間に取り付けた状態を示す側面図である。 実施形態1の転倒防止装置を示す断面図である。 実施形態2の転倒防止装置を示す断面図である。 実施形態3の転倒防止装置を示す断面図である。 実施形態4の転倒防止装置を示す断面図である。
本発明のダンパを備えた転倒防止装置を具体化した実施形態1〜4について、図面を参照しつつ説明する。
<実施形態1>
実施形態1の転倒防止装置は、図1及び図2に示すように、ダンパ10、一対のベース部1A,1Bを備えている。この転倒防止装置は、家具Fの上面と天井Tとの間に少なくとも1個以上が取り付けられる。この家具Fは、床面(図示せず)から鉛直方向に伸びた壁面Wに背面を対向させて床面上に設置されている。また、この家具Fは、直方体形状であり、正面(図1における右側面)に図示しない扉や引き出し等を有し、内部に衣類や装身具等を収納することができる。家具Fは、水平断面形状が左右方向(図1において奥行き方向)に長い長方形状である。この家具Fは、転倒防止装置が取り付けられていない場合、地震等の揺れによって、前方向(図1において右方向)に傾いて転倒するおそれがある。
ダンパ10は、図2に示すように、第1シリンダ部20、第2シリンダ部30、仕切部材40、ロッドガイド50、第1ピストン60、ロッド70、第2ピストン80、及び両端の設けられた2個のジョイント部90A,90Bを備えている。第1シリンダ部20及び第2シリンダ部30は、一端部が開口し、他端部が閉鎖した円筒状のシリンダ部材21によって形成されている。シリンダ部材21は軸方向の中間部に仕切部材40が取り付けられている。シリンダ部材21は、仕切部材40を境界にしてシリンダ部材21の開口した一端部側に第1シリンダ部20を形成し、閉鎖した他端部側に第2シリンダ部30を形成している。つまり、第1シリンダ部20は円筒状である。また、第2シリンダ部30は、第1シリンダ部20に一方の端部が連続し、他方の端部が閉鎖した円筒状である。第1シリンダ部20は作動油Yが充填されている。
仕切部材40は、上述したように、第1シリンダ部20と第2シリンダ部30との境界部に設けられている。仕切部材40は円盤状である。仕切部材40は外径がシリンダ部材21(第1シリンダ部20及び第2シリンダ部30)の内径と略等しい。仕切部材40は外周面を一周するように中心軸方向に凹んだ凹部41が形成されている。シリンダ部材21は仕切部材40が設けられた部分の周壁部を一周するように内側に凹ませた絞り部23が形成されている。仕切部材40は外周面に形成された凹部41にシリンダ部材21の絞り部23を嵌め込んで固定されている。仕切部材40は第1シリンダ部20と第2シリンダ部30とを連通する第1連通路43を有している。第1連通路43は第1シリンダ部20と第2シリンダ部30との間を流れる作動油Yに抵抗を付与する。また、仕切部材40は第1シリンダ部20と第2シリンダ部30とを連通する第2連通路45を有している。第2連通路45はダンパ10の伸長動作に伴う第2シリンダ部30から第1シリンダ部20への作動油Yの流れのみを許容する逆止弁47が設けられている。このため、このダンパ10は、仕切部材40によっても、伸長動作時よりも収縮動作時に大きな減衰力が発生する。
ロッドガイド50は第1シリンダ部20の一端部に開口した開口部25を封鎖している。ロッドガイド50は円環状である。ロッドガイド50は外径が第1シリンダ部20の開口部25の内径と略等しい。ロッドガイド50は、中央に貫通した貫通孔51の内径がロッド70の外径よりも僅かに大きく、ロッド70を摺動自在に挿通している。ロッドガイド50は貫通孔51の内周面を一周する溝部が設けられている。ロッドガイド50は、貫通孔51の内周面に設けられた溝部に環状のオイルシール53がはめ込まれている。このように、このダンパ10は、第1シリンダ部20に作動油Yが充填されており、オイルシール53によって、ロッドガイド50とロッド70との間をシールするため、ロッドガイド50とロッド70との間の摩擦を抑えて摺動性が良く、微振幅の応答が良好である。
第1ピストン60は円盤状である。第1ピストン60は外径が第1シリンダ部20の内径よりも僅かに小さい。第1ピストン60は作動油Yが充填された第1シリンダ部20内に摺動自在に収納されている。第1ピストン60は第1シリンダ部20内を第1室C1と第2室C2とに区画している。第1ピストン60は第1室C1と第2室C2とを連通する第3連通路61を有している。第3連通路61は第1室C1と第2室C2との間を流れる作動油Yに抵抗を付与する。また、第1ピストン60は第1室C1と第2室C2とを連通する第4連通路63を有している。第4連通路63はダンパ10の伸長動作に伴う第1室C1から第2室C2への作動油Yの流れのみを許容する逆止弁65が設けられている。このため、このダンパ10は伸長動作時よりも収縮動作時に大きな減衰力を発生する。このように、このダンパ10は、第1ピストン60及び仕切部材40によって、伸長動作時よりも収縮動作時に大きな減衰力が発生する圧効きダンパである。
ロッド70は円柱状である。このロッド70は基端部が第1ピストン60に連結されている。また、ロッド70は、上述したように、ロッドガイド50の貫通孔51を摺動自在に挿通している。ロッド70は先端側が第1シリンダ部20の外部へ突出している。
第2ピストン80は円盤状である。第2ピストン80は第2シリンダ部30内を第3室C3と第4室C4とに区画している。第3室C3は第2室C2に連通して作動油Yが充填されている。第4室C4はガスGが充填されている。第2ピストン80は外周面を一周する溝部が形成されている。第2ピストン80は溝部に嵌まり込む環状パッキン81を有している。このため、第2シリンダ部30は、第3室C3内に充填された作動油Yが第4室C4に流入したり、第4室C4内に充填されたガスGが第3室C3内に流入したりすることを防止している。
各ジョイント部90A,90Bは、平板状の金具を折り曲げて形成されている。また、各ジョイント部90A,90Bはシリンダ部材21の閉鎖した他端部とロッド70の先端部に接続されている。各ジョイント部90A,90Bはダンパ10の軸線に直交する方向に貫通した貫通孔91が形成されている。
一対のベース部1A,1Bは、シリンダ部材21の他端部に接続されたジョイント部90Aに連結した第1ベース部1Aであり、ロッド70の先端部に接続されたジョイント部90Bに連結した第2ベース部1Bである。第1ベース部1Aは家具Fの上面に当接して載置され、第2ベース部1Bは天井Tに当接する。第1ベース部1A及び第2ベース部1Bは同じ形態及び構造である。各ベース部1A,1Bは、ベース部本体3、回動軸部材5、及び滑り止め部7を有している。
家具Fの上面に当接して載置された状態で第1ベース部1Aを上方から見た平面視において、ベース部本体3は長方形状の外形である(以下、この平面視におけるベース部本体3の外形において長辺が延びている方向を「長辺方向」と言い、短辺が延びている方向を「短辺方向」と言う。)。また、家具Fの上面に当接して載置された状態で第1ベース部1Aを短辺方向に見た側面視において、ベース部本体3は、下端縁が家具Fの上面に平行に直線状に伸びており、上端縁が下端縁の両側から上方に膨らんだ円弧状の外形である(図1参照)。
家具Fの上面に当接して載置された状態の第1ベース部1Aにおいて、ベース部本体3は、長辺方向の中央部の両側に窪み部9が形成されている。この窪み部9は上方向と短辺方向の外方向に開口している。また、この窪み部9は短辺方向に貫通した挿通孔が側面に開口している。回動軸部材5は、ベース部本体3の挿通孔の一方から挿入され、中心軸が各ベース部1A,1Bにおけるダンパ10の回動軸になる。
滑り止め部7は、ベース部本体3の外形に僅かに大きい相似形(長方形状)の外形である。滑り止め部7は弾性体である。また、滑り止め部7は、家具Fの上面に当接して載置された状態の第1ベース部1Aにおいて、ベース部本体3の下端開口に嵌合されている。また、滑り止め部7は略平板である。詳しくは、滑り止め部7は、家具Fの上面又は天井Tに当接する面が平坦である。滑り止め部7はその弾性力によってベース部本体3に着脱自在に取り付けられている。
このような構成を有する転倒防止装置は、ロッド70がシリンダ部材21(第1シリンダ部20)から上方に突出し、シリンダ部材21(第1シリンダ部20及び第2シリンダ部30)及びロッド70の中心軸が水平面に対して65°〜75°の間の角度に傾斜するように、家具Fの上面と天井Tとの間に取り付けられる。
このように家具Fの上面と天井Tとの間に取り付けられた転倒防止装置は、地震等の揺れによって家具Fが傾き、ダンパ10が収縮動作すると、第2室C2に充填された作動油Yが第1ピストン60の第3連通路61を流れて第1室C1に流入する。また、ダンパ10が収縮動作すると、ロッド70が第1シリンダ部20内へ入り込むことにより第1シリンダ部20内のロッド70が占める体積が増加するため、その体積と等しい量の作動油Yが、第2室C2から仕切部材40の第1連通路43を流れて第2シリンダ部30に形成された第3室C3にも流入する。これによって、このダンパ10は減衰力が発生する。
また、このダンパ10は、第3室C3内の作動油Yが増加するに従い、第2ピストン80が第4室C4側に押されて第4室C4に充填されたガスGが圧縮される。このため、この転倒防止装置は、ダンパ10が収縮動作すると、第4室C4内に充填されたガスGの膨張力が増加し、作動油Yを第2シリンダ部30の第3室C3から第1シリンダ部20の第2室C2へ押し返す力が増加する。このように、この転倒防止装置は、ダンパ10が収縮すると、伸長方向へガスGの膨張力が作用する。
また、この転倒防止装置は、ダンパ10が伸長動作すると、第1室C1に充填された作動油Yが第1ピストン60の第3連通路61及び逆止弁が設けられた第4連通路63を流れて、第2室C2に流入する。また、ダンパ10が伸長動作すると、ロッド70が第1シリンダ部20内から退出することにより第1シリンダ部20内のロッド70が占める体積が減少するため、その体積と等しい量の作動油Yが、第3室C3から仕切部材40の第1連通路43及び逆止弁47が設けられた第2連通路45を通って第2室C2に流入する。このように、この転倒防止装置のダンパ10は、第2シリンダ部30が体積補償部として作用し、第1シリンダ部20内は作動油Yが充填された状態が保持される。また、この転倒防止装置のダンパ10は、伸長動作する際に作動油Yが第2連通路45及び第4連通路63を流れるため、伸長方向に抵抗がなく第4室C4内に充填されたガスGの膨張力によってスムーズに伸長することができる。このため、この転倒防止装置のダンパ10は、地震等の揺れによる家具Fの傾きに確実に追随することができる。
このように、この転倒防止装置は、作動油Yが充填された第1シリンダ部20内を第1ピストン60が移動するため、ダンパ10が常に減衰力を発生することができる。よって、この転倒防止装置は、地震等の揺れによって家具Fが傾いた際、ダンパ10が全ストローク範囲で減衰力を発生し、常にダンパ10の減衰力が家具Fに作用して、家具Fの転倒を防止することができる。
以上説明したように、実施形態1の転倒防止装置を構成するダンパ10は、第1シリンダ部20、第2シリンダ部30、仕切部材40、ロッドガイド50、第1ピストン60、ロッド70、及び第2ピストン80を備えている。第1シリンダ部20は円筒状である。第2シリンダ部30は第1シリンダ部20に一方の端部が連続している。また、第2シリンダ部30は他方の端部が閉鎖した円筒状である。仕切部材40は第1シリンダ部20と第2シリンダ部30との境界部に設けられている。また、仕切部材40は第1シリンダ部20と第2シリンダ部30とを連通する第1連通路43を有している。ロッドガイド50は第1シリンダ部20の端部に開口した開口部25を封鎖している。第1ピストン60は作動油Yが充填された第1シリンダ部20内に摺動自在に収納されている。また、第1ピストン60は第1シリンダ部20内を第1室C1と第2室C2とに区画している。ロッド70は基端部が第1ピストン60に連結されている。また、ロッド70はロッドガイド50を摺動自在に挿通して先端側が第1シリンダ部20の外部へ突出している。第2ピストン80は第2シリンダ部30内に摺動自在に収納されている。また、第2ピストン80は第2室C2に連通して作動油Yが充填された第3室C3とガスGが充填された第4室C4とに第2シリンダ部30内を区画している。
このダンパ10は、上述したように、第2シリンダ部30が体積補償部として作用し、第1シリンダ部20内を作動油Yが充填された状態を保持し、作動油Yが充填された第1シリンダ部20内をピストンが移動するため、常に減衰力を発生することができる。
したがって、このダンパ10は全ストローク範囲で減衰力を発生することができる。
また、このダンパ10において、仕切部材40の連通路は、第1シリンダ部20と第2シリンダ部30との間を流れる作動油Yに抵抗を付与する第1連通路43と、第2シリンダ部30から第1シリンダ部20への作動油Yの流れのみを許容する逆止弁47が設けられた第2連通路45とを有している。また、第1ピストン60は、第1室C1と第2室C2との間を流れる作動油Yに抵抗を付与する第3連通路61と、第1室C1から第2室C2への作動油Yの流れのみを許容する逆止弁65が設けられた第4連通路63とを有している。このため、このダンパ10は、収縮動作する際の全ストロークにおいて、減衰力を発生することができる。一方、このダンパ10は、伸長動作する際に作動油Yが第2連通路45及び第4連通路63を流れるため、伸長方向に抵抗がなく第4室内C4に充填されたガスGの膨張力によってスムーズに伸長することができる。このため、このダンパ10を床面上に設置された家具Fの上面と天井Tとの間に取り付けると、地震等の揺れによる家具Fの傾きに確実に追随することができる。
<実施形態2>
実施形態2の転倒防止装置は、図3に示すように、ダンパ110の第2シリンダ部30に第2ピストン80が収納されず、ガスGを充填した袋体180が収納されている点が実施形態1と相違する。他の構成は実施形態1と同様であり、同一の構成は同一の符号を付し詳細な説明を省略する。
この転倒防止装置のダンパ110は第2シリンダ部30の閉鎖した端部側にガスGを充填した袋体180が収納されている。袋体180は第2シリンダ部30の閉鎖した端部に固定されている。袋体180は伸縮性を有している。このため、このダンパ110は、最も伸長した状態で第2シリンダ部30の内部空間のほとんどを袋体180が占める。また、この転倒防止装置は、地震等の揺れによって家具Fが傾き、ダンパ110が収縮動作すると、第2室C2に充填された作動油Yが第1ピストン60の第3連通路61を流れて第1室C1に流入する。また、ダンパ110が収縮動作すると、ロッド70が第1シリンダ部20内へ入り込むことにより第1シリンダ部20内のロッド70が占める体積の増加するため、その体積と等しい量の作動油Yが、第2室C2から仕切部材40の第1連通路43を流れて袋体180と仕切部材40との間に流入する。
また、この転倒防止装置は、袋体180と仕切部材40との間の作動油Yが増加するに従い、ガスGが充填された袋体180が圧縮される。このため、この転倒防止装置は、ダンパ110が収縮動作すると、袋体180の膨張力が増加し、作動油Yを第2シリンダ部30から第1シリンダ部20の第2室C2へ押し返す力が増加する。このように、この転倒防止装置は、ダンパ110が収縮すると、伸長方向へ袋体180の膨張力が作用する。
また、この転倒防止装置は、ダンパ110が伸長動作すると、第1室C1に充填された作動油Yが第1ピストン60の第3連通路61及び逆止弁が設けられた第4連通路63を流れて、第2室C2に流入する。また、ダンパ110が伸長動作すると、ロッド70が第1シリンダ部20内から退出することにより第1シリンダ部20内のロッド70が占める体積の減少するため、その体積と等しい量の作動油Yが、袋体180と仕切部材40との間から仕切部材40の第1連通路43及び逆止弁47が設けられた第2連通路45を通って、第2室C2に流入する。このように、この転倒防止装置のダンパ110は、第2シリンダ部30が体積補償部として作用し、第1シリンダ部20内は作動油Yが充填された状態が保持される。また、この転倒防止装置のダンパ110は、伸長動作する際に作動油Yが第2連通路45及び第4連通路63を流れるため、伸長方向に抵抗がなくガスGが充填された袋体180の膨張力によってスムーズに伸長することができる。このため、この転倒防止装置のダンパ110は、地震等の揺れによる家具Fの傾きに確実に追随することができる。
このように、この転倒防止装置は、作動油Yが充填された第1シリンダ部20内を第1ピストン60が移動するため、ダンパ110が常に減衰力を発生することができる。よって、この転倒防止装置は、地震等の揺れによって家具Fが傾いた際、ダンパ110が全ストローク範囲で減衰力を発生し、常にダンパ110の減衰力が家具Fに作用して、家具Fの転倒を防止することができる。
以上説明したように、実施形態2の転倒防止装置を構成するダンパ110は、第1シリンダ部20、第2シリンダ部30、仕切部材40、ロッドガイド50、第1ピストン60、ロッド70、及び第2ピストン80を備えている。第1シリンダ部20は円筒状である。第2シリンダ部30は第1シリンダ部20に一方の端部が連続している。また、第2シリンダ部30は他方の端部が閉鎖した円筒状である。仕切部材40は第1シリンダ部20と第2シリンダ部30との境界部に設けられている。また、仕切部材40は第1シリンダ部20と第2シリンダ部30とを連通する第1連通路43を有している。ロッドガイド50は第1シリンダ部20の端部に開口した開口部25を封鎖している。第1ピストン60は作動油Yが充填された第1シリンダ部20内に摺動自在に収納されている。また、第1ピストン60は第1シリンダ部20内を第1室C1と第2室C2とに区画している。ロッド70は基端部が第1ピストン60に連結されている。また、ロッド70はロッドガイド50を摺動自在に挿通して先端側が第1シリンダ部20の外部へ突出している。袋体180は第2シリンダ部30内に収納されている。また、袋体180は内部にガスGを充填している。
このダンパ110は、上述したように、第2シリンダ部30が体積補償部として作用し、第1シリンダ部20内を作動油Yが充填された状態を保持し、作動油Yが充填された第1シリンダ部20内をピストンが移動するため、常に減衰力を発生することができる。
したがって、このダンパ110は全ストローク範囲で減衰力を発生することができる。
また、このダンパ110において、仕切部材40の連通路は、第1シリンダ部20と第2シリンダ部30との間を流れる作動油Yに抵抗を付与する第1連通路43と、第2シリンダ部30から第1シリンダ部20への作動油Yの流れのみを許容する逆止弁47が設けられた第2連通路45とを有している。また、第1ピストン60は、第1室C1と第2室C2との間を流れる作動油Yに抵抗を付与する第3連通路61と、第1室C1から第2室C2への作動油Yの流れのみを許容する逆止弁65が設けられた第4連通路63とを有している。このため、このダンパ110は、収縮動作する際の全ストロークにおいて、減衰力を発生することができる。一方、このダンパ110は、伸長動作する際に作動油Yが第2連通路45及び第4連通路63を流れるため、伸長方向に抵抗がなくガスGが充填された袋体180の膨張力によってスムーズに伸長することができる。このため、このダンパ110を床面上に設置された家具Fの上面と天井Tとの間に取り付けると、地震等の揺れによる家具Fの傾きに確実に追随することができる。
<実施形態3>
実施形態3の転倒防止装置は、図4に示すように、ダンパ210の第1シリンダ部220と第2シリンダ部230とが並列配置されている点が実施形態1と相違する。他の構成は実施形態1と同様であり、同一の構成は同一の符号を付し詳細な説明を省略する。
この転倒防止装置のダンパ210は、第1シリンダ部220、仕切部材40、連通部R、第2シリンダ部230の順に設けられている。このように、仕切部材40と連通部Rは第1シリンダ部220と第2シリンダ部230との境界部に設けられている。連通部Rは仕切部材40の第1連通路43及び第2連通路45を介して第1シリンダ部220と第2シリンダ部230とを連通している。第1シリンダ部220と第2シリンダ部230とは並列配置されている。つまり、連通部Rは、転倒防止装置を家具Fの上面と天井Tとの間に取り付けた状態で、第1シリンダ部220の下側の端部と第2シリンダ部230の下側の端部とを連通している。
連通部Rは第1シリンダ部220及びロッド70の中心軸に直交する接続面225を形成している。転倒防止装置は、第1シリンダ部220及びロッド70の中心軸線上にジョイント部90Aの貫通孔91の中心が位置するように、一方のジョイント部90Aを接続面225に接続している。転倒防止装置は他方のジョイント部90Bをロッド70の先端部に接続している。
このような構成を有する転倒防止装置は、ロッド70が第1シリンダ部220から上方に突出し、第1シリンダ部220及びロッド70の中心軸が水平面に対して65°〜75°の間の角度に傾斜するように、家具Fの上面と天井Tとの間に取り付けられる。
このように家具Fの上面と天井Tとの間に取り付けられた転倒防止装置は、地震等の揺れによって家具Fが傾き、ダンパ210が収縮動作すると、第2室C2に充填された作動油Yが第1ピストン60の第3連通路61を流れて第1室C1に流入する。また、ダンパ210が収縮動作すると、ロッド70が第1シリンダ部220内へ入り込むことにより第1シリンダ部220内のロッド70が占める体積の増加するため、その体積と等しい量の作動油Yが、第2室C2から仕切部材40の第1連通路43及び連通部Rを流れて第2シリンダ部230に形成された第3室C3に流入する。これによって、このダンパ210は減衰力が発生する。
また、このダンパ210は、第3室C3内の作動油Yが増加するに従い、第2ピストン80が第4室C4側に押されて第4室C4に充填されたガスGが圧縮される。このため、この転倒防止装置は、ダンパ210が収縮動作すると、第4室C4内に充填されたガスGの膨張力が増加し、作動油Yを第2シリンダ部230の第3室C3から第1シリンダ部220の第2室C2へ押し返す力が増加する。このように、この転倒防止装置は、ダンパ210が収縮すると、伸長方向へガスGの膨張力が作用する。
また、この転倒防止装置は、ダンパ210が伸長動作すると、第1室C1に充填された作動油Yが第1ピストン60の第3連通路61及び逆止弁65が設けられた第4連通路63を流れて、第2室C2に流入する。また、ダンパ210が伸長動作すると、ロッド70が第1シリンダ部220内から退出することにより第1シリンダ部220内のロッド70が占める体積が減少するため、その体積と等しい量の作動油Yが、第3室C3から連通部Rと、仕切部材40の第1連通路43及び逆止弁47が設けられた第2連通路45とを通って第2室C2に流入する。このように、この転倒防止装置のダンパ210は、第2シリンダ部230が体積補償部として作用し、第1シリンダ部220内は作動油Yが充填された状態が保持される。また、この転倒防止装置のダンパ210は、伸長動作する際に作動油Yが第2連通路45及び第4連通路63を流れるため、伸長方向に抵抗がなく第4室C4内に充填されたガスGの膨張力によってスムーズに伸長することができる。このため、この転倒防止装置のダンパ210は、地震等の揺れによる家具Fの傾きに確実に追随することができる。
このように、この転倒防止装置は、作動油Yが充填された第1シリンダ部220内を第1ピストン60が移動するため、ダンパ210が常に減衰力を発生することができる。よって、この転倒防止装置は、地震等の揺れによって家具Fが傾いた際、ダンパ210が全ストローク範囲で減衰力を発生し、常にダンパ210の減衰力が家具Fに作用して、家具Fの転倒を防止することができる。
以上説明したように、実施形態3の転倒防止装置を構成するダンパ210は、第1シリンダ部220、第2シリンダ部230、仕切部材40、ロッドガイド50、第1ピストン60、ロッド70、及び第2ピストン80を備えている。第1シリンダ部220は円筒状である。第2シリンダ部230は第1シリンダ部220に一方の端部が連続している。また、第2シリンダ部230は他方の端部が閉鎖した円筒状である。仕切部材40は第1シリンダ部220と第2シリンダ部230との境界部に設けられている。また、仕切部材40は第1シリンダ部220と第2シリンダ部230とを連通する第1連通路43を有している。ロッドガイド50は第1シリンダ部220の端部に開口した開口部を封鎖している。第1ピストン60は作動油Yが充填された第1シリンダ部220内に摺動自在に収納されている。また、第1ピストン60は第1シリンダ部220内を第1室C1と第2室C2とに区画している。ロッド70は基端部が第1ピストン60に連結されている。また、ロッド70はロッドガイド50を摺動自在に挿通して先端側が第1シリンダ部220の外部へ突出している。第2ピストン80は第2シリンダ部230内に摺動自在に収納されている。また、第2ピストン80は第2室C2に連通して作動油Yが充填された第3室C3とガスGが充填された第4室C4とに第2シリンダ部230内を区画している。
このダンパ210は、上述したように、第2シリンダ部230が体積補償部として作用し、第1シリンダ部220内を作動油Yが充填された状態を保持し、作動油Yが充填された第1シリンダ部220内をピストンが移動するため、常に減衰力を発生することができる。
したがって、このダンパ210は全ストローク範囲で減衰力を発生することができる。
また、このダンパ210は、第1シリンダ部220と第2シリンダ部230とが並列配置されるように、第1シリンダ部220と第2シリンダ部230とを連通する連通部Rを備えている。このため、このダンパ210は全長を短くすることができる。
また、このダンパ210において、仕切部材40の連通路は、第1シリンダ部220と第2シリンダ部230との間を流れる作動油Yに抵抗を付与する第1連通路43と、第2シリンダ部230から第1シリンダ部220への作動油Yの流れのみを許容する逆止弁47が設けられた第2連通路45とを有している。また、第1ピストン60は、第1室C1と第2室C2との間を流れる作動油Yに抵抗を付与する第3連通路61と、第1室C1から第2室C2への作動油Yの流れのみを許容する逆止弁65が設けられた第4連通路63とを有している。このため、このダンパ210は、収縮動作する際の全ストロークにおいて、減衰力を発生することができる。一方、このダンパ210は、伸長動作する際に作動油Yが第2連通路45及び第4連通路63を流れるため、伸長方向に抵抗がなく第4室内C4に充填されたガスGの膨張力によってスムーズに伸長することができる。このため、このダンパ10を床面上に設置された家具Fの上面と天井Tとの間に取り付けると、地震等の揺れによる家具Fの傾きに確実に追随することができる。
<実施形態4>
実施形態4の転倒防止装置は、図5に示すように、ダンパ310の第2シリンダ部230に第2ピストン80が収納されず、ガスGを充填した袋体380が収納されている点が実施形態3と相違する。他の構成は実施形態3と同様であり、同一の構成は同一の符号を付し詳細な説明を省略する。
この転倒防止装置のダンパ310は第2シリンダ部230の閉鎖した端部側にガスGを充填した袋体380が収納されている。袋体380は、ガスGが充填されているため、転倒防止装置が家具Fの上面と天井Tとの間に取り付けられた状態で、浮力によって第2シリンダ部230の閉鎖した端部に密着する。このように、この転倒防止装置は、袋体380を第2シリンダ部230の閉鎖した端部に固定する手間を要しない。袋体380は伸縮性を有している。
このダンパ310は、最も伸長した状態で第2シリンダ部230の内部空間のほとんどを袋体380が占める。また、この転倒防止装置は、地震等の揺れによって家具Fが傾き、ダンパ310が収縮動作すると、第2室C2に充填された作動油Yが第1ピストン60の第3連通路61を流れて第1室C1に流入する。また、ダンパ310が収縮動作すると、ロッド70が第1シリンダ部220内へ入り込むことにより第1シリンダ部220内のロッド70が占める体積が増加するため、その体積と等しい量の作動油Yが、第2室C2から仕切部材40の第1連通路43及び連通部Rを流れて袋体380を圧縮しながら第2シリンダ部230内に流入する。
このように、この転倒防止装置は、第2シリンダ部230内の作動油Yが増加するに従い、ガスGが充填された袋体380が圧縮される。このため、この転倒防止内は、ダンパ310が収縮動作すると、袋体380の膨張力が増加し、作動油Yを第2シリンダ部230から第1シリンダ部220の第2室C2へ押し返す力が増加する。このように、この転倒防止装置は、ダンパ310が収縮すると、伸長方向へ袋体380の膨張力が作用する。
また、この転倒防止装置は、ダンパ310が伸長動作すると、第1室C1に充填された作動油Yが第1ピストン60の第3連通路61及び逆止弁65が設けられた第4連通路63を流れて、第2室C2に流入する。また、ダンパ310が伸長動作すると、ロッド70が第1シリンダ部220内から退出することにより第1シリンダ部220内のロッド70が占める体積の減少するため、その体積と等しい量の作動油Yが、第2シリンダ部230から連通部Rと仕切部材40の第1連通路43及び逆止弁47が設けられた第2連通路45とを通って、第2室C2に流入する。このように、この転倒防止装置のダンパ310は、第2シリンダ部230が体積補償部として作用し、第1シリンダ部220内は作動油Yが充填された状態が保持される。また、この転倒防止装置のダンパ310は、伸長動作する際に作動油Yが第2連通路45及び第4連通路63を流れるため、伸長方向に抵抗がなくガスGが充填された袋体180の膨張力によってスムーズに伸長することができる。このため、この転倒防止装置のダンパ310は、地震等の揺れによる家具Fの傾きに確実に追随することができる。
このように、この転倒防止装置は、作動油Yが充填された第1シリンダ部220内を第1ピストン60が移動するため、ダンパ310が常に減衰力を発生することができる。よって、この転倒防止装置は、地震等の揺れによって家具Fが傾いた際、ダンパ310が全ストローク範囲で減衰力を発生し、常にダンパ310の減衰力が家具Fに作用して、家具Fの転倒を防止することができる。
以上説明したように、実施形態4の転倒防止装置を構成するダンパ310は、第1シリンダ部220、第2シリンダ部230、仕切部材40、ロッドガイド50、第1ピストン60、ロッド70、及び第2ピストン80を備えている。第1シリンダ部220は円筒状である。第2シリンダ部230は第1シリンダ部220に一方の端部が連続している。また、第2シリンダ部230は他方の端部が閉鎖した円筒状である。仕切部材40は第1シリンダ部220と第2シリンダ部230との境界部に設けられている。また、仕切部材40は第1シリンダ部220と第2シリンダ部230とを連通する第1連通路43を有している。ロッドガイド50は第1シリンダ部220の端部に開口した開口部を封鎖している。第1ピストン60は作動油Yが充填された第1シリンダ部220内に摺動自在に収納されている。また、第1ピストン60は第1シリンダ部220内を第1室C1と第2室C2とに区画している。ロッド70は基端部が第1ピストン60に連結されている。また、ロッド70はロッドガイド50を摺動自在に挿通して先端側が第1シリンダ部220の外部へ突出している。袋体380は第2シリンダ部230内に収納されている。また、袋体380は内部にガスGを充填している。
このダンパ310は、上述したように、第2シリンダ部230が体積補償部として作用し、第1シリンダ部220内を作動油Yが充填された状態を保持し、作動油Yが充填された第1シリンダ部220内をピストンが移動するため、常に減衰力を発生することができる。
したがって、このダンパ310は全ストローク範囲で減衰力を発生することができる。
また、このダンパ310は、第1シリンダ部220と第2シリンダ部230とが並列配置されるように、第1シリンダ部220と第2シリンダ部230とを連通する連通部Rを備えている。このため、このダンパ310は全長を短くすることができる。
また、このダンパ310において、仕切部材40の連通路は、第1シリンダ部220と第2シリンダ部230との間を流れる作動油Yに抵抗を付与する第1連通路43と、第2シリンダ部230から第1シリンダ部220への作動油Yの流れのみを許容する逆止弁47が設けられた第2連通路45とを有している。また、第1ピストン60は、第1室C1と第2室C2との間を流れる作動油Yに抵抗を付与する第3連通路61と、第1室C1から第2室C2への作動油Yの流れのみを許容する逆止弁65が設けられた第4連通路63とを有している。このため、このダンパ310は、収縮動作する際の全ストロークにおいて、減衰力を発生することができる。一方、このダンパ310は、伸長動作する際に作動油Yが第2連通路45及び第4連通路63を流れるため、伸長方向に抵抗がなくガスGが充填された袋体380の膨張力によってスムーズに伸長することができる。このため、このダンパ310を床面上に設置された家具Fの上面と天井Tとの間に取り付けると、地震等の揺れによる家具Fの傾きに確実に追随することができる。
本発明は上記記述及び図面によって説明した実施形態1〜4に限定されるものではなく、例えば次のような実施形態も本発明の技術的範囲に含まれる。
(1)実施形態1〜4では、シリンダ内に作動油を封入したが、作動油に限らず液体であればよい。
(2)実施形態1及び3では、第4室にガスを充填したが、第4室にガスを圧縮して充填してもよい。
(3)実施形態2及び4では、袋体にガスを充填したが、袋体にガスを圧縮して充填してもよい。
(4)実施形態1〜4では、圧効きダンパであったが、両利き、又は伸び効きダンパであってもよい。この場合、第1ピストンと仕切部材に設けられた逆止弁等を変更する。
(5)実施形態3及び4では、第1シリンダ部と第2シリンダ部とを並列配置したが、第1シリンダ部と第2シリンダ部の夫々の中心軸が交差するように配置してもよい。
10,110,210,310…ダンパ、20,220…第1シリンダ部、30,230…第2シリンダ部、40…仕切部材、43,45…連通路(43…第1連通路、45…第2連通路)、50…ロッドガイド、60…第1ピストン、70…ロッド、80…第2ピストン、180、380…袋体、C1…第1室、C2…第2室、C3…第3室、C4…第4室、F…家具(物品)、G…ガス、R…連通部、T…天井、Y…作動油(作動液体)

Claims (5)

  1. 筒状の第1シリンダ部と、
    前記第1シリンダ部に一方の端部が連通し、他方の端部が閉鎖した筒状の第2シリンダ部と、
    前記第1シリンダ部と前記第2シリンダ部との境界部に設けられ、前記第1シリンダ部と前記第2シリンダ部とを連通する連通路を有した仕切部材と、
    前記第1シリンダ部の端部に開口した開口部を封鎖したロッドガイドと、
    作動液体が充填された前記第1シリンダ部内に摺動自在に収納され、前記第1シリンダ部内を第1室と第2室とに区画した第1ピストンと、
    基端部が前記第1ピストンに連結されており、前記ロッドガイドを摺動自在に挿通して先端側が前記第1シリンダ部の外部へ突出したロッドと、
    前記第2シリンダ部内に摺動自在に収納され、前記第2室に連通して作動液体が充填された第3室とガスが充填された第4室とに前記第2シリンダ部内を区画した第2ピストンと、
    を備えていることを特徴とするダンパ。
  2. 筒状の第1シリンダ部と、
    前記第1シリンダ部に一方の端部が連通し、他方の端部が閉鎖した筒状の第2シリンダ部と、
    前記第1シリンダ部と前記第2シリンダ部との境界部に設けられ、第1シリンダ部と第2シリンダ部とを連通する連通路を有した仕切部材と、
    前記第1シリンダ部の端部に開口した開口部を封鎖したロッドガイドと、
    作動液体が充填された前記第1シリンダ部内に摺動自在に収納され、前記第1シリンダ部内を第1室と第2室とに区画した第1ピストンと、
    基端部が前記第1ピストンに連結されており、前記ロッドガイドを摺動自在に挿通して先端側が前記第1シリンダ部の外部へ突出したロッドと、
    前記第2シリンダ部内に収納され、内部にガスを充填した袋体と、
    を備えていることを特徴とするダンパ。
  3. 前記第1シリンダ部と前記第2シリンダ部とが並列配置されるように、前記第1シリンダ部と前記第2シリンダ部とを連通する連通部を備えていることを特徴とする請求項1又は2記載のダンパ。
  4. 前記連通路は、前記第1シリンダ部と前記第2シリンダ部との間を流れる作動液体に抵抗を付与する第1連通路と、前記第2シリンダ部から前記第1シリンダ部への作動液体の流れのみを許容する逆止弁が設けられた第2連通路とを有し、
    前記第1ピストンは、前記第1室と前記第2室との間を流れる作動液体に抵抗を付与する第3連通路と、前記第1室から前記第2室への作動液体の流れのみを許容する逆止弁が設けられた第4連通路とを有していることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項記載のダンパ。
  5. 前記ロッドが前記第1シリンダから上方に突出し、前記第1シリンダ及び前記ロッドの中心軸が水平面に対して所定の角度に傾斜した状態で設置面上に設置された物品の上面と天井との間に取り付けられる請求項1乃至4のいずれか1項記載のダンパを備えていることを特徴とする転倒防止装置。
JP2016063346A 2016-03-28 2016-03-28 ダンパ及びこのダンパを備えた転倒防止装置 Pending JP2017180493A (ja)

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