JP2017180252A - エンジンの排気装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】エンジンの低負荷領域において、安定したCI運転を可能にする。
【解決手段】エンジンの排気装置は、吸気行程中に排気ガスの一部を排気ポート21を通じて気筒2内に導入する内部EGR制御を実行する。エンジンの排気装置における排気ポート21は、第1の排気バルブが設けられた第1の排気ポート23と、第2の排気バルブが設けられた第2の排気ポート24と、第1及び第2の排気バルブを開閉駆動する第1及び第2排気側動弁機構と、を有し、第1の排気ポート23の平均流路断面積は、第2の排気ポート24の平均流路断面積よりも大きく形成されており、上記エンジンは、上記内部EGR制御において、第1の排気ポート23を通じて排気ガスを気筒2内に導入されるよう第1排気側動弁機構を駆動させるように構成されている。
【選択図】図3

Description

本発明は、エンジンの排気装置に関する。
従来より、吸気行程中に排気ガスの一部を、排気ポートを通じて気筒内に導入する内部EGR制御を実行するエンジンが知られている。
特許文献1には、燃焼室に形成された混合気に火花点火により燃焼させる火花点火燃焼モード(SIモード)と、上記混合気を圧縮着火により燃焼させる圧縮着火燃焼モード(CIモード)と、を切り換え可能な内燃機関(エンジン)あって、上記火花点火燃焼モードから上記圧縮着火燃焼モードへ切り換える際に、内部EGR制御における内部EGR量を増加させるとともに、上記混合気に火花を点火する時期を早期化させ、かつ上記混合気の形成に用いられる内部EGRに含まれる酸素濃度が高くなるように、燃焼室への燃焼噴射量を減量させる内燃機関が開示されている。
特開2015−98786号公報
ところで、一般的に、エンジンに対して圧縮着火燃焼運転(以下、CI運転という)を安定して実行するためには、燃焼室を所定温度よりも高い高温状態にしておく必要がある。特許文献1に記載のようなエンジンでは、内部EGR制御によって排気ガスの一部を、排気ポートを通じて気筒内に導入することで、燃焼室内の温度が上昇しにくいエンジンの低負荷領域でも、安定したCI運転に必要な燃焼室の温度環境を確保するようにしている。
しかしながら、一般的に、エンジンの排気ポートの周囲には、高負荷運転時に該排気ポートを冷却したりヒータなどの熱交換器へ熱を供給したりするためのエンジン冷却水が流通するウォータジャケットが形成されており、気筒内(燃焼室内)から排気ポート内に流入した排気ガスは、上記エンジン冷却水に熱を奪われてしまう。そのため、単純に内部EGR制御を実行すると、上記エンジン冷却水に熱を奪われて、温度の低下した排気ガスを気筒内に導入することになる。すなわち、単に内部EGR制御を実行するだけでは、安定したCI運転に必要な燃焼室の温度環境を確保し難く、エンジンの低負荷領域でCI運転を実行することが困難になってしまう。
本発明は、斯かる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、内部EGR制御において出来る限り温度の高い排気ガスを気筒内に導入して、エンジンの低負荷領域において、安定したCI運転を可能にすることにある。
上記課題を解決するために、本発明は、吸気行程中に排気ガスの一部を、シリンダヘッド内に形成された排気ポートを通じて気筒内に導入する内部EGR制御を実行するエンジンの排気装置を対象として、上記気筒毎に設けられ、各気筒内から排気ガスをそれぞれ排出するための、第1の排気口及び第2の排気口と、上記第1の排気口に接続され、上記第1の排気口を通じて上記気筒内から排出された排気ガスを上記シリンダヘッドの外部に排出するための第1の排気ポートと、上記第2の排気口に接続され、上記第2の排気口を通じて上記気筒内から排出された排気ガスを上記シリンダヘッドの外部に排出するための第2の排気ポートと、上記第1の排気ポート及び上記第2の排気ポートにそれぞれ設けられ、上記第1の排気口及び上記第2の排気口を開閉するための排気バルブと、上記エンジンの回転に連動して回転するカムの作用によって、上記排気バルブを開閉駆動させるための動弁機構と、を備え、上記第1の排気ポートは、上記第1の排気ポート全体の流路断面積の平均値が、上記第2の排気ポート全体の流路断面積の平均値よりも大きくなるように形成されており、上記エンジンは、上記内部EGR制御において、上記第1の排気ポート及び上記第2の排気ポートのうちの上記第1の排気ポートのみを通じて排気ガスが上記気筒内に導入されるよう上記動弁機構を駆動させるように構成されている、ものとした。
この構成によると、上記内部EGR制御において、上記第2の排気ポートよりも全体の流路断面積の平均値(以下、平均流路断面積ということがある)が大きい上記第1の排気ポートを通じて排気ガスを上記気筒内に導入するよう上記動弁機構を駆動するため、相対的に温度の高い排気ガスが上記気筒内に導入される。
具体的には、排気ガスから、排気ポートにおける、シリンダヘッドのウォータジャケット(以下、ヘッド側WJということがある)に隣接した壁部に移動する熱量は、以下の計算式で表される。
Q=A・α・Δt
上記計算式において、Qは排気ガスから上記壁部に移動する熱量、Aは排気ガスが接触する上記壁部の面積、αは熱伝達率、Δtは排気ガスの温度と上記壁部の温度との差である。尚、熱伝達率αは、排気ガスの流速と相関関係があり、排気ガスの流速が高いほど該熱伝達率αが大きくなる。また、上記壁部の温度は、ヘッド側WJ内を流れるエンジン冷却水の温度と相関関係がある。
排気行程においては、先ず、上記第1の排気口及び上記第2の排気口を通じて、気筒から上記第1の排気ポート内及び上記第2の排気ポート内へと排気ガスが排出され、各排気ポート内を流通する。排気ガスが各排気ポート内を流通するときには、排気ポートの流路断面積が大きいほど管路抵抗が小さくなるため、排気ポートの流路断面積が大きいほど排気ガスの流速が遅くなる傾向がある。すなわち、上記第1の排気ポートの方が、上記第2の排気ポートと比べて平均流路断面積の大きいため、上記第1の排気ポート内を流通する排気ガスの流速の方が、上記第1の排気ポート内を流通する排気ガスの流速よりも遅くなる。そのため、上記計算式によると、第1の排気ポート内を流れる、流速がより遅い排気ガスの方が、上記熱伝達率αが小さくなるため、上記壁部を通じてヘッド側WJを流れるエンジン冷却水に奪わる熱量が小さくなり、上記第1の排気ポート内の排気ガスの方が、上記第2の排気ポート内の排気ガスよりも高温に維持される。
したがって、上記内部EGR制御において、上記第1の排気ポート内の排気ガスを上記気筒内に導入するようにすることによって、相対的に温度の高い排気ガスを気筒内に導入することができる。これにより、エンジンの低負荷運転時であっても、内部EGR制御によって出来る限り温度の高い排気ガスを気筒内(厳密には気筒内の燃焼室)に導入することができ、気筒内の温度環境を、安定したCI運転に必要な温度環境にしやすくなる。この結果、エンジンの低負荷領域において、安定したCI運転を実行できるようになる。
また、上記第2の排気ポート内に排出された排気ガスについては、上記第2の排気ポートにおける壁部を通じて、排気ガスの熱を上記エンジン冷却水に積極的に供給することができるため、熱交換器への熱供給を積極的に実行することができる。この結果、上記エンジンの低負荷領域における安定したCI運転の実現と熱交換器への熱供給とを両立できるようになる。
上記エンジンの排気装置の一実施形態において、上記第1の排気ポートは、反気筒側に向かうにつれて、その流路断面積が徐々に拡大するように構成されている、ことが望ましい。
例えば、上記エンジンを高負荷領域で運転させる時には、排気ガスの温度が高くなりすぎることがある。一般的に、排気ガスは排気浄化装置内の排気浄化触媒によって浄化されてから、上記エンジンが搭載された車両の外部に排出されるところ、排気ガスの温度が高くなりすぎると、上記排気浄化触媒の活性化温度の上限値を超える温度の排気ガスが、上記排気浄化装置内に導入されてしまい、上記排気浄化触媒による排気浄化性能が悪化してしまうおそれがある。そのため、上記エンジンの低負荷領域における安定したCI運転のために、上記第1の排気ポート内の排気ガスの温度を維持する必要がある一方で、上記エンジンの高負荷領域において、排気ガスを十分に冷却することも考慮する必要がある。
仮に、上記第1の排気ポートの流路断面積が急激に拡大するような構成であると、排気ガスが、上記第1の排気口を通じて上記第1の排気ポート内に排出された瞬間に、該排気ガスが上記第1の排気ポート内に広がるため、該排気ガスが上記第1の排気ポート内で乱流状態となる。このように、排気ガスが乱流状態になると、排気ガスがスムーズに流れにくくなる。また、流路断面積が急劇に拡大することで、排気ガスが、上記第1の排気ポートの壁面から剥離しやすくなる。これにより、上記熱伝達率αや上記接触面積Aが減少するため、排気ガスから上記壁部に移動する熱量については減少する。しかしながら、この構成では、上記第1の排気ポートの冷却性能については損なわれるため、上記エンジンを高負荷領域で運転させる際に、上記第1の排気ポート内で排気ガスを十分に冷却することができない。
一方で、上記第1の排気ポートを、その流路断面積が上記気筒と反対側に向かうにつれて徐々に拡大するような構成にすると、排気ガスは、上記第1の排気ポート内で徐々に広がる。これにより、排気ガスが乱流状態になりにくくなるとともに、排気ガスが上記第1の排気ポートの壁面から剥離しにくくなる。そのため、上記第1の排気ポートにおける流路断面の中央付近の排気ガスは冷却されにくい一方で、上記第1の排気ポートにおけるヘッド側WJと隣接した壁部と接触する排気ガスについては、上記第1の排気ポート内で十分に冷却される。この結果、上記エンジンの低負荷領域において、安定したCI運転を実行しやすくなるとともに、上記エンジンの高負荷領域では、排気ガスの冷却を十分に行うことができる。
上記エンジンの排気装置において、上記第1の排気ポート全体の流路断面積の平均値は、上記第2の排気ポート全体の流路断面積の平均値の1.05倍以上の値である、ことが望ましい。
この構成によると、上記第1の排気ポート全体の流路断面積の平均値を、上記第2の排気ポート全体の流路断面積の平均値の1.05倍以上の値にすることによって、上記エンジンの低負荷領域において、気筒内の温度を、CI運転を実行するのに充分な温度にすることができ、安定したCI運転をより確実に実行することができる。
上記エンジンの排気装置において、上記第1の排気ポート及び上記第2の排気ポートは、上記シリンダヘッドの内部で、それぞれの下流側の端部が互いに合流して1つの集合排気ポートとなった状態で、上記シリンダヘッドの外部に臨む排気開口に接続されている、ことが望ましい。
この構成によると、上記排気開口を1つとすることができ、上記第1の排気ポート及び上記第2の排気ポートのように、流路断面積の異なる複数の排気ポートが上記シリンダヘッド内に形成されていたとしても、排気ポート毎に径の異なる排気管を接続する必要が無くなり、部材コストや部材数、組立作業性等の効率化を図ることができる。
上記エンジンの排気装置において、上記排気バルブは、上記第1の排気口を開閉するための第1の排気バルブと、上記第2の排気口を開閉するための第2の排気バルブと、によって構成され、上記第1の排気バルブを開閉動作させる動弁機構は、バルブのリフト量を連続的に変更可能な可変動弁機構である、ことが望ましい。
すなわち、上記内部EGR制御を実行する際に、最適な燃焼を実現して燃費の向上等を図るためには、エンジン負荷に応じて、排気バルブの開閉量(リフト量)をきめ細かく調整し、導入する排気ガスの量(以下、内部EGR量という)を円滑に変化させることが望ましい。
そこで、上記内部EGR制御において、排気二度開き動作が行われる第1の排気バルブに対して、バルブのリフト量を連続的に変更させる可変動弁機構を設けることにより、最適な燃焼を実現して最適な燃焼を実現して燃費の向上を図ることができる。
また、上記内部EGR量を円滑に変化させることができるため、気筒内の温度環境を制御しやすくなり、CI運転が実行可能なエンジン負荷領域の拡大を図ることもできる。
上記エンジンの排気装置において、上記シリンダヘッド内に設けられ、上記第1の排気ポート及び上記第2の排気ポートを横切るように形成され、上記シリンダヘッドを冷却するヘッド側ウォータジャケットをさらに備え、上記ヘッド側ウォータジャケットは、各気筒における上記第1の排気ポートと隣接する各領域が、各気筒における上記第2の排気ポートと隣接する各領域よりも狭くなるように構成されている、ことが望ましい。
この構成によると、上記ヘッド側WJにおいて、上記第1の排気ポートと隣接する領域が、上記第2の排気ポートと隣接する領域よりも狭くなるように構成されているため、上記第1の排気ポートにおける上記接触面積Aが、上記第2の排気ポートにおける上記接触面積Aよりも狭くなる。これにより、上記第1の排気ポート内を流通する排気ガスの温度低下をより抑えることができ、上記内部EGR制御においてより高温の排気ガスが気筒内に導入される。この結果、上記エンジンの低負荷領域において、安定したCI運転をより確実に実行することができる。
以上説明したように、本発明のエンジンの排気装置によれば、上記第1の排気ポートの流路断面積は、上記第2の排気ポートの流路断面積よりも大きく形成されており、上記エンジンは、内部EGR制御によって、上記第1の排気ポート及び上記第2の排気ポートのうちの上記第1の排気ポートのみを通じて排気ガスが上記気筒内に導入されるよう上記動弁機構を駆動させるように構成されているため、相対的に温度の高い排気ガスを気筒内に導入することができる。これにより、エンジンの低負荷運転時であっても、内部EGR制御によって出来る限り温度の高い排気ガスを気筒内に導入することができ、気筒内の温度環境を、安定したCI運転に必要な温度環境にしやすくなる。この結果、エンジンの低負荷領域において、安定したCI運転を実行できるようになる。
本発明の実施形態に係る排気装置を有するエンジンを示す概略図である。 エンジンの吸排気ポートの構成を示す概略上面図である。 気筒の上部を下方から見た概略図である。 吸気ポート及び排気ポートを気筒列方向から見た図である。 図4のV−V線における断面図である。 図2のVI−VI線における概略断面図である。 エンジン回転数及びエンジン負荷に基づいて、SI運転又はCI運転を選択するためのマップである。 排気ポート径の拡大率と内部EGR制御を実行したときの気筒内のガス温度との関係を示すグラフである。 排気ポートの周囲に設けられたヘッド側WJを示す図である。 エンジンの作動領域と最適なガス割合との関係を表したマップである。 排気バルブの開閉パターンを示す図である。
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。
図1に、本実施形態に係る排気装置が設けられたエンジン1を示す。このエンジン1は、1番気筒乃至4番気筒が順に図1の紙面に垂直な方向(以下、気筒列方向という)に互いに隣接して直列に配置された直列4気筒ガソリンエンジンであって、自動車等の車両に搭載される。
エンジン1は、シリンダブロック1a、シリンダブロック1aの上に組み付けられたシリンダヘッド1b、シリンダブロック1aの下側に組み付けられたオイルパン1c、エンジン1から回転動力を出力するクランクシャフト1dなどで構成されている。
シリンダブロック1aの上部とシリンダヘッド1bとの双方にわたる部分に、クランクシャフト1dと直交する方向に延びる円筒形状の気筒2(図1では1つのみ表示)が設けられている。各気筒2の内部には、コネクティングロッド3を介してクランクシャフト1dに連結されたピストン4がスライド自在に収容されていて、ピストン4の頂面と気筒2の上部とによって燃焼室5が区画されている。
各気筒2の上部には、吸気口10と排気口20とが各々2つずつ形成されている(図1では1つずつ表示)。これら吸気口10及び排気口20は、それぞれ、吸気ポート11及び排気ポート21を通じてシリンダヘッド1bの外部に連通している。シリンダヘッド1bには、これら吸気口10及び排気口20を開閉する吸気バルブ12及び排気バルブ22と、これら吸気バルブ12及び排気バルブ22を開閉動作させるための動弁機構40,51,52とが設置されている。
また、シリンダヘッド1bには、燃焼室5に燃料を噴射するインジェクタ6や、燃焼室5で火花を点火する点火プラグが、気筒2毎に設けられている。インジェクタ6は、その噴射口が燃焼室5の上部に位置するように配置され、通常は圧縮行程上死点付近で燃料を噴射するように設定されている。
エンジン1の一方の側部には、吸気ポート11に連通する吸気通路15が接続されており、エンジン1の他方の側部には、燃焼室5から排気ガスを排出する排気通路25が接続されている。吸気通路15には、各気筒2へ供給する空気(新気)量を調節するスロットル弁16が設置されており、吸気通路15は、サージタンク17を介して各気筒2の吸気ポート11の各々と接続されている。
排気通路25は、排気マニホールドを介して各気筒2の排気ポート21の各々と接続されている。排気通路25の排気下流側には、排気ガス中の有害成分を浄化する排気浄化装置27とサイレンサ28とが配設されている。
排気浄化装置27は、1つのケース内に収容された状態で上流側から順に並ぶ、排気浄化触媒27aと、ガソリンパティキュレートフィルタ(GPF27b)とを有している。それにより、排気ガスは、排気浄化触媒27aによって浄化され、含有する煤等の微粒子がGPF27bで捕集され、浄化された後にサイレンサ28を通じて排出される。
エンジン1の作動は、コントロールユニット100によって包括的に制御されており、スロットル弁16、後述する各動弁機構40,50,51、インジェクタ6、点火プラグ7等の作動も、コントロールユニット100によって制御されている。
次に、エンジン1の吸気ポート11及び排気ポート21の構成について、図2〜図5を参照しながら説明する。尚、図2において、上側が排気側、下側が吸気側である。また、図2における右側には変速機(図示省略)があり、各気筒2は、該変速機側とは反対側(図2の左側)から変速機側(図2の右側)に向かって、1番気筒2a、2番気筒2b、3番気筒2c及び4番気筒2dとなっている。また、図3において、左側が排気側、右側が吸気側である。
図2及び図3に示すように、吸気口10は、気筒2毎に2つずつ設けられている。また、排気口20も気筒2毎に2つずつ設けられている。2つの吸気口10はそれぞれ同一径の円形開口からなり、エンジン1の一方の側部に沿って横並びに配置されている。一方、2つの排気口もそれぞれ同一径の円形開口からなり、エンジン1の他方の側面に沿って横並びに配置されている。尚、以下の説明では、後述する第1の排気ポート23が設けられる排気口を第1の排気口20a、後述する第2の排気ポート24が設けられる排気口を第2の排気口20bと区別することがある。
図2に示すように、それぞれの吸気口10には、吸気ポート11がそれぞれ設けられている。2つの吸気ポート11は、その流路断面積が流路全体で互いに等しくなるように設計されている。尚、流路断面積とは、ポート(ここでは、吸気ポート11)の中心線に垂直な面で切ったときの、該ポートの断面積のことを意味する。以下の説明でも、単に「流路断面積」といったときには、同様の断面積のことを意味する。
それに対し、図2及び図3に示すように、それぞれの排気口20にも、排気ポート21がそれぞれ設けられている。詳しくは、第1の排気口20aに対しては第1の排気ポート23が設けられる一方、第2の排気口20bに対しては、第2の排気ポート24が設けられている。尚、以下の説明において、これらを区別しない場合には、単に排気ポート21ということがある。
図2に示すように、1番気筒2aにおける第1の排気ポート23と2番気筒2bにおける第1の排気ポート23は互いに隣り合うように配置されており、3番気筒2cにおける第1の排気ポート23と4番気筒2dにおける第1の排気ポート23も互いに隣り合うように配置されている。すなわち、例えば、1番気筒2aと2番気筒2bとを1つの気筒グループとしたときに、第1の排気ポート23が内側(図2では、1番気筒2aの右側及び2番気筒2bの左側)、第2の排気ポート24が外側(図2では、1番気筒2aの左側及び2番気筒2bの右側)に配置される。3番気筒2c及び4番気筒2dの第1及び第2の排気ポート23,24についても同様である。
また、図2に示すように、第1の排気ポート23及び第2の排気ポート24は、それぞれの下流側の端部が、互いにシリンダヘッド1bの内部の連結部21aで連結されて、1つの集合排気ポート30となって、排気開口29からシリンダヘッド1bの外部に望む、V字状ないしY字状の集合排気ポートになっている。
第1及び第2の排気口20a,20bから連結部21aまでの第1及び第2の排気ポート23,24の構造について、図3〜図5を参照しながら説明すると、図3及び図4に示すように、第1の排気ポート23は、反気筒2側へ向かうにつれて、すなわち、第1の排気口20aから連結部21a(図3にのみ記載)に向かうにつれて、その流路断面積が徐々に拡大する構造となっている一方、第2の排気ポート24は、その流路断面積が第2の排気口20bから連結部21aまで略一定となるような構造となっている。つまり、図5に示すように、第1の排気ポート23における、第1の排気口20aから所定距離離間した位置における流路断面積は、第2の排気ポート24における、第2の排気口20bから上記所定距離離間した位置における流路断面積よりも大きくなる。このことから、第1の排気ポート23全体の流路断面積の平均値(以下、平均流路断面積という)、すなわち、第1の排気ポート23における第1の排気口20aから連結部21aまでの平均流路断面積は、第2の排気ポート24における第2の排気口20bから連結部21aまでの平均流路断面積よりも大きくなる。
このように、第1の排気ポート23と第2の排気ポート24とで流路断面積がそれぞれ異なる場合であっても、排気ポート21を、シリンダヘッド1bの内部で互いに集合する集合排気ポートとすることで、各気筒に対応する排気開口29の開口面積を互いにそろえることができ、シリンダヘッド1bの外部に配置される排気管の径を互いにそろえることができる。そのため、第1の排気ポート23と第2の排気ポート24とで異なる径の排気管を接続する必要が無くなり、部材コストや部材数、組立作業性等の効率化が図ることができる。
また、図2に示すように、排気開口29は、第1の排気口20aからの排気が、第2の排気口20bからの排気よりも排出され易いように、第2の排気口20bよりも第1の排気口20aの側に偏って配置されている。さらに、第1の排気ポート23は、第1の排気口20aから連結部21aに向かうまでにほとんど曲げられず、ストレートにつながるような構造となっている。これにより、第1の排気ポート23の長さが相対的に短くなるため、第1の排気ポート23内を流通する排気ガスは、第2の排気ポート24内を流通する排気ガスよりも冷却されにくくなる。
2つ吸気口10には、2つの吸気口10と略同径の吸気バルブ12がそれぞれ設置され、第1の排気口20aには、第1の排気口20aと略同径の第1の排気バルブ22aが配置され、第2の排気口20bには、第2の排気口20bと略同径の第2の排気バルブ22bが配置されている。各バルブ12,22a,22bは、閉じる方向にスプリングで付勢されており、そのスプリングの付勢力に抗して吸気バルブ12等が燃焼室5に突出することで吸気口10等が開かれる。尚、以下の説明において、第1及び第2の排気バルブ22a,22bについては、これらを区別しない場合には、単に排気バルブ22ということがある。
図6に示すように、エンジン1の各気筒2には、吸気バルブ12を開閉動作させるための吸気側動弁機構40、第1の排気バルブ22aを開閉動作させるための第1排気側動弁機構51及び第2の排気バルブ22bを開閉動作させるための第2排気側動弁機構52がそれぞれ設置されている。
吸気側動弁機構40、第1及び第2排気側動弁機構51,52はそれぞれ、図示は省略するが、吸気カムシャフト及び排気カムシャフトを有する。これらのカムシャフトは、図示は省略するが、タイミングチェーンを介してクランクシャフト1dに駆動連結される。上記吸気カムシャフト及び上記排気カムシャフトはそれぞれ、エンジン1の回転に連動して、詳しくはクランクシャフト1dの回転に連動して回転する。
各動弁機構40,51,52には、吸気バルブ12等のリフト量を変える可変バルブリフト機構(以下、Variable Valve Liftを略してVVLという)や吸気バルブ12等の開閉タイミングを変える可変バルブタイミング機構(以下、Variable Valve Timingを略してVVTという)が設けられている。特に、第1排気側動弁機構51には、第1の排気バルブ22aのリフト量を連続的に変更可能な可変動弁機構である連続可変バルブリフト機構(以下、Continuous Variable Valve Liftを略してCVVLという)やカムシャフトの回転によって回転するカムの動力を、液圧を介してバルブに伝達する液圧駆動式可変バルブ開閉機構などが設けられている。第1排気側動弁機構51は、図では明示していないが、コントロールユニット100からの信号を受けて、第1の排気バルブ22aのリフト量及び第1の排気バルブ22aの開弁期間を変更するようになっている。尚、VVL、VVT及びCVVLは油圧式や電動式など公知の構造を採用することができるため、その詳細な説明は省略する。また、液圧駆動式可変バルブ開閉機構ついても公知の構造を採用することができるため、その詳細な説明を省略する。
また、図6に示すように、シリンダヘッド1bにおける第1及び第2の排気ポート23,24の周囲には、エンジン冷却水が流れるヘッド側ウォータジャケット60(以下、ヘッド側WJ60という)が設けられている。ヘッド側WJ60は、各気筒2における各第1及び第2の排気ポート23,24を横切るように気筒列方向に延びており、シリンダヘッド1bを冷却するともに、各第1及び第2の排気ポート23,24内の排気ガスから吸収した熱を車両のヒータなどの熱交換器に供給する役割を有している。尚、図示は省略しているが、シリンダブロック1aにもブロック側ウォータジャケットが形成されている。
次に、図7を参照しながらエンジン1の燃焼動作制御について説明する。
図7は、横軸にエンジン回転数、縦軸にエンジン負荷をとったエンジン1の制御マップを示している。エンジン1では、点火プラグ7による点火を行わずに燃焼室5内の混合気を圧縮して自着火させる圧縮着火燃焼運転(以下、Compression Ignitionを略してCI運転という)が行われる。しかしながら、エンジン負荷が所定負荷より大きい運転領域である高負荷領域では、混合気の温度が高く燃焼が急峻になり燃焼騒音等の問題となる。そのため、エンジン1では、エンジン負荷が所定負荷より高い領域である高負荷領域では、点火プラグ7によって点火する火花点火燃焼運転(以下、Spark Ignitionを略してSI運転という)が行われる。すなわち、エンジン1では、エンジン負荷が所定負荷以下の運転領域である低負荷領域では、CI運転が実行される一方、エンジン負荷が所定負荷より大きい運転領域である高負荷領域では、SI運転が実行される。
CI運転では、混合気を圧縮して自着火させるため、安定してCI運転を行うには、気筒2内(厳密には、気筒2の燃焼室5)の温度を、混合気が自着火可能な温度になる程度に高温状態にしておく必要がある。しかしながら、エンジン負荷が低負荷の状態では、単純にエンジン1を動作させるだけでは、気筒2内が温まりにくい。そこで、本実施形態に係るエンジンでは、エンジン負荷が所定負荷以下の低負荷領域において、吸気行程中に排気バルブ22を開いて、排気ガスの一部を、排気ポート21を通じて気筒2内に導入する内部EGR制御を実行する。これにより、高温の排気ガスが気筒2内に導入されるため、気筒2内及び気筒2内の混合気の温度を上昇させることができ、安定したCI運転が期待できる。
しかしながら、上述したように、排気ポート21の周囲にはヘッド側WJ60が形成されており、エンジン1の燃焼行程後に、気筒2内から排気ポート21内へ排出された排気ガスの熱の一部は、排気ポート21におけるヘッド側WJ60と隣接した壁部を通じて、ヘッド側WJ60を流れるエンジン冷却水に奪われてしまう。そのため、単純に内部EGR制御を実行するだけでは、上記エンジン冷却水によって冷却された後の排気ガスを気筒2内に導入することとなり、安定したCI運転に必要な気筒2の温度環境を確保し難く、エンジンの低負荷領域で安定したCI運転を実行することが困難である。
そこで、本実施形態では、第1の排気ポート23の平均流路断面積を第2の排気ポート24の平均流路断面積の1.05倍にするとともに、内部EGR制御において、第1及び第2の排気ポート23,24のうちの第1の排気ポート23のみを通じて排気ガスが気筒2内に導入されるように各動弁機構40,51,52を駆動するようにエンジン1を構成している。
具体的に、排気ポート21からヘッド側WJ60のエンジン冷却水に奪われる熱量Qは、以下の計算式で求められる。
Q=A・α・Δt
上記計算式において、Qは排気ガスから第1の排気ポート21における上記壁部に移動する熱量、Aは排気ガスが接触する上記壁部の面積、αは熱伝達率、Δtは排気ガスの温度と上記壁部の温度との差である。尚、熱伝達率αは、排気ガスの流速と相関関係があり、排気ガスの流速が高いほど該熱伝達率αが大きくなる。また、上記壁部の温度は、ヘッド側WJ60内を流れるエンジン冷却水の温度と相関関係がある。
排気行程においては、先ず、気筒2の燃焼室5から第1及び第2の排気ポート23,24へと排気ガスが導入される。このとき、第1の排気バルブ20aのバルブ径と第2の排気バルブ20bのバルブ径とは、略同じであるため、第1及び第2の排気ポート23,24に導入される排気ガスの流量は等しくなる。
排気ガスは、第1及び第2の排気ポート23,24へ導入された後、第1及び第2の排気ポート23,24内を流通する。排気ガスが各排気ポート23,24内を流通するときには、排気ポート21の流路断面積が大きいほど管路抵抗が小さくなるため、排気ポート21の流路断面積が大きいほど排気ガスの流速が遅くなる傾向がある。上述したように、第1の排気ポート22の平均流路断面積は、第2の排気ポート24の平均流路断面積の1.05倍であるため、第1の排気ポート23内を流通する排気ガスの流速は、第2の排気ポート24内を流通する排気ガスの流速よりも低くなる。これにより、第1の排気ポート23内を流通する排気ガスにおける熱伝達率αが、第2の排気ポート24内を流通する排気ガスにおける熱伝達率αよりも小さくなる。これにより、第1の排気ポート23内を流通する排気ガスは、第2の排気ポート24内を流通する排気ガスよりもエンジン冷却水に奪われる熱量Qが少なくなる。この結果、第1の排気ポート23内を流通する排気ガスの温度は、第2の排気ポート24内を流通する排気ガスの温度よりも高くなる。
したがって、内部EGR制御において、第1及び第2の排気ポート23,24のうちの第1の排気ポート23のみを通じて排気ガスが気筒2内に導入されるよう各動弁機構40,51,52を駆動するようにエンジン1を構成していれば、上記内部EGR制御において、気筒2内に、相対的に温度の高い排気ガスを導入することができるようになる。これにより、エンジン1の低負荷運転時であっても、気筒2内の温度環境を、安定したCI運転に適切な温度環境にしやすくなる。
図8には、第2の排気ポート24の平均流路断面積に対して、第1の排気ポート23の平均流路断面積を拡大させかつ上記内部EGR制御を第1の排気ポート23に対してのみ行った場合の、気筒2内の温度をシミュレーションによって算出した結果を示している。図8において、縦軸は上記内部EGR制御を実行したときの気筒2内のガス温度であり、横軸は第2の排気ポート24の平均流路断面積に対する第1の排気ポート23の平均流路断面積の比率、換言すると、第1の排気ポート23の平均流路断面積の拡大率である。図8内で横軸と平行に引かれた実線は、安定したCI運転を実行するために望ましい気筒2内のガス温度(以下、所望ガス温度という)を表している。また、このシミュレーションでは、エンジン回転数を1000rpm、エンジン負荷を低負荷、エンジン冷却水の水温を300K、外気温を300Kとして計算している。
図8を参照すると、第1の排気ポート23の平均流路断面積の拡大率が1.0、つまり、第1の排気ポート22の平均流路断面積と第2の排気ポート24の平均流路断面積とが同じときには、気筒2内のガス温度が所望ガス温度に到達していない。これは、第1の排気ポート23内を流通する排気ガスの熱がエンジン冷却水に奪われてしまうためである。
これに対して、第1の排気ポート23の平均流路断面積の拡大率を増大させていくと、気筒2内のガス温度が上昇し、上記拡大率が1.1のときには、上記所望ガス温度を上回る温度になることが分かる。そして、各算出結果を結ぶ直線を求め、該直線と上記所望ガス温度を示す実線との交点を求めると、該交点における上記拡大率は1.05となる。すなわち、上記拡大率が1.05以上のときに、気筒2内のガス温度が上記所望ガス温度に到達することが算出される。
したがって、第1の排気ポート23の平均流路断面積の拡大率が1.05以上であれば、上記内部EGR制御を実行したときの気筒2内のガス温度を所望ガス温度することが可能であり、このことから、本実施形態では、第1の排気ポート23の平均流路断面積の拡大率を1.05として、上記内部EGR制御を実行したときの気筒2内のガス温度が、上記所望ガス温度に到達するようにしている。尚、第1の排気ポート23として、平均流路断面積の拡大率が1.05以上のものを用いてもよい。ただし、第1の排気ポート23の平均流路断面積を大きくしすぎると、シリンダヘッド1bのレイアウトが困難になることから、拡大率は1.05〜1.2にすることが望ましい。
上述のように、第1の排気ポート23の平均流路断面積を第2の排気ポート24の平均流路断面積よりも大きくすることで、第1の排気ポート23内を流通する排気ガスの温度を維持することができ、エンジン1の低負荷運転時であっても、気筒2内の温度環境を、安定したCI運転に適切な温度環境にすることができる。しかしながら、エンジン1の高負荷運転時には、排気ガスの温度が高くなりすぎることがあり、このときには、排気ガスを排気ポート21内で十分に冷却することが求められる。
すなわち、排気ガスは、排気浄化装置27内の排気浄化触媒27aによって浄化されてから、エンジン1が搭載された車両の外部に排出されるところ、エンジン1の高負荷運転時等において、排気ガスの温度が高くなりすぎると、排気浄化触媒27aの活性化温度の上限値を超える温度の排気ガスが、排気浄化装置27内に導入されてしまい、排気浄化触媒27aによる排気浄化性能が悪化してしまうおそれがある。そのため、エンジン1の低負荷運転時における安定したCI運転のために、第1の排気ポート23内を流通する排気ガスの温度を出来る限り高い温度に維持する必要がある一方で、エンジン1の高負荷運転時において、上記排気ガスを十分に冷却することも考慮する必要がある。
そこで、本実施形態では、第1の排気ポート23は、その流路断面積が、反気筒2側に向かうにつれて、すなわち、第1の排気口20aから連結部21aに向かうにつれて徐々に拡大する構造としている。
仮に、第1の排気ポート23の流路断面積が急激に拡大するような構成であると、排気ガスが、第1の排気口20aから第1の排気ポート23内に導入された瞬間に、第1の排気ポート23内に広がるため、該排気ガスが第1の排気ポート23内で乱流状態となる。このように、排気ガスが乱流状態になると、排気ガスがスムーズに流れにくくなる。また、流路断面積が急劇に拡大することで、排気ガスが、第1の排気ポート23の壁面から剥離しやすくなる。これにより、上記熱伝達率αや上記接触面積Aが減少するため、排気ガスから第1排気ポート23の壁部に移動する熱量については減少する。しかしながら、この構成では、第1の排気ポート23の冷却性能については損なわれるため、エンジン1の高負荷運転時に、第1の排気ポート23内で排気ガスを十分に冷却することができない。
一方で、本実施形態のように、第1の排気ポート23を、その流路断面積が反気筒2側に向かうにつれて徐々に拡大するような構成にすると、排気ガスは、第1の排気ポート23内で徐々に広がる。これにより、排気ガスが乱流状態になりにくくなるとともに、排気ガスが第1の排気ポート23の壁面から剥離しにくくなる。そのため、第1の排気ポート23内における流路断面の中央付近の排気ガスは冷却されにくい一方で、第1の排気ポート23内におけるヘッド側WJ60と隣接した壁部と接触する排気ガスについては、第1の排気ポート23内で十分に冷却される。この結果、エンジン1の低負荷運転時において、上記内部EGR制御によって、第1の排気ポート23を通じて相対的に温度の高い排気ガスが気筒2内に導入されることで、安定したCI運転を実行しやすくなるとともに、エンジン1の高負荷運転時において、第1の排気ポート23内で、排気ガスの冷却を十分に行うことができる。
さらに、本実施形態では、ヘッド側WJ60を、第1の排気ポート23と隣接する領域が、第2の排気ポート24と隣接する領域よりも狭くなるように構成している。
図9に、排気ポート22に隣接するヘッド側WJ60の流路を示す。排気ポート21に隣接するヘッド側WJ60は、排気ポート21の上側を通る上側水路61と、排気ポートの下側に形成された下側水路62と、を有している。
図9では、下側水路62における排気ポート21と隣接する領域については、上側水路61と重なって見えていないが、下側水路62における排気ポート21と隣接する領域は、第1の排気ポート23と第2の排気ポート24とで同じ広さである。一方で、上側水路61における排気ポート22と隣接する領域は、第1の排気ポート23と第2の排気ポート24とで異なっており、上側水路61における、1番気筒2aと2番気筒2bとの間の領域及び3番気筒2cと4番気筒2dとの間の領域に孔63が形成されることによって、第1の排気ポート23における上側水路61と隣接する領域が、第2の排気ポート24における上側水路61と隣接する領域よりも狭くなるようになっている。この孔63は、上側水路61内の水圧を上げてエンジン冷却水に流れを発生させるためのものであり、一般に、ヘッド側WJ60に設けられるものである。つまり、該孔63を上述の領域に形成することで、各気筒2における第1の排気ポート23における上側水路61と隣接する各領域が、各気筒2における第2の排気ポート24における上側水路61と隣接する各領域よりも狭くなるようにしている。
このように、第1の排気ポート23と隣接する水路が、第2の排気ポート24と隣接する水路よりも狭くなるように構成することで、第1の排気ポート23を流れる排気ガスと第1の排気ポート23におけるヘッド側WJ60と隣接した壁部との接触面積(すなわち、上記接触面積A)が減少するため、第1の排気ポート23に導入された排気ガスの温度は、より高温状態に維持されやすくなる。これにより、上記内部EGR制御においてより高温の排気ガスが気筒2内に導入されるため、より確実に、気筒2内の温度環境をCI運転に適した温度環境にすることができる
次に、図10及び図11を参照しながら、上記内部EGR制御を実行する際の、吸気バルブ12等の開閉制御について説明する。
図10に、エンジン1の作動領域と最適なガス割合との関係を表したマップの一例を示す。上述したように、エンジン1では、低負荷領域でCI燃焼が行われ、高負荷領域でSI燃焼が行われるように設定されており、上記内部EGR制御は低負荷領域で行われる。
上記内部EGR制御において気筒2内に導入する排気ガスの量である内部EGR量の割合は、概ね、エンジン1の負荷が小さいほど高くなっており、エンジン負荷が大きくなるに従って次第に減少するようになっている。これは、上述したように、高負荷領域では、気筒2内の温度が高いために、圧縮自着火を行うと燃焼騒音等の問題が発生するため、高温の排気ガスの導入量を抑えて、気筒2内の温度を適切な温度に保つためである。
図10に示すように、エンジン負荷に合わせて上記内部EGR量の割合を減少させるには、上記内部EGR量を、円滑に連続して減少させる必要がある。エンジン1では、上記内部EGR制御によって排気二度開きを行う排気ポートである第1の排気ポート23に、CVVLや液圧式可変バルブ開閉機構などのバルブリフト量を連続的に変化させることができる第1排気側動弁機構51が設けられているため、バルブリフト量を調整することで上記内部EGR量が制御できるので、そのようなきめ細かな調整であっても安定して行うことができる。
図11に、第1の排気バルブ22a及び第2の排気バルブ22bの開閉パターンの一例を示す。上段の実線が第1の排気バルブ22aの開閉パターンを表しており、下段の実線が第2の排気バルブ22bの開閉パターンを表している。各段の破線は吸気バルブ12の開閉パターンを表している。
先ず、排気行程では、第1及び第2の排気バルブ22a,22bともに、開閉タイミング及び開閉量が同期して開閉され、次の吸気行程では、第1の排気バルブ22aだけが開閉される。
吸気行程では、必要な内部EGR量を安定して導入することが求められるため、第1の排気バルブ22aは、吸気行程の初期段階で開閉される。特に、排気行程の開閉動作に連続して(つまり、間隔を空けることなく)吸気行程の開閉動作を行うのが好ましい。これにより、時間的余裕をもって内部EGR(排気ガス)を気筒2内に導入することができるので、必要な内部EGR量を安定して気筒2内に導入することができる。
吸気バルブ12の開き動作は、吸気側動弁機構40のVVTによって、第2の排気バルブ22bの開き動作に遅れて開始される。これにより、新気が気筒2内に導入される前に、内部EGRが気筒2内に導入されるので、内部EGRの割合が高い状態で、ガス割合のばらつきを効果的に抑制できる。特に、第1の排気バルブ22aの閉弁動作中に吸気バルブ12が開弁動作するように制御すれば、円滑に新気を導入することができ、ガス割合のばらつきをより効果的に抑制できる。
また、内部EGRはピストン4が降下するときに生じる負圧によって気筒2内に導入されるため、ピストン4の降下速度が速いほど増加する。ピストン4の降下速度が速い期間は、通常、吸気行程の初期段階、すなわち、吸気行程開始時の上死点(TDC)と、そこからクランク角が90度となる点までの間にあるため、図11に示すように、吸気行程開始時の上死点と、そこからクランク角が90度となる点までの間に二度目の第2の排気バルブの開き動作を行うことで、効率よく内部EGRを気筒2内に導入することができる。
したがって、本実施形態では、第1の排気ポート23の平均流路断面積が第2の排気ポート24の平均流路断面積よりも大きく形成されており、内部EGR制御において、第1の排気ポート23及び第2の排気ポート24のうちの第1の排気ポート23からのみ排気ガスが気筒2内に導入されるよう第1排気側動弁機構51を駆動させるように構成されているため、内部EGR制御によって、ポート内での排気ガスの流速が遅く、排気ガスの熱がヘッド側WJ60を流れるエンジン冷却水に奪われにくい、第1の排気ポート23を通じて、出来る限り温度の高い排気ガスを気筒2内に取り込むことができる。これにより、エンジン1の低負荷運転時であっても、内部EGR制御において出来る限り温度の高い排気ガスを気筒2内に導入することができ、気筒2内の温度環境を、安定したCI運転に必要な温度環境にしやすくなる。この結果、エンジン1の低負荷領域において、安定したCI運転を実行できるようになる。
本発明は、上記実施形態に限られるものではなく、請求の範囲の主旨を逸脱しない範囲で代用が可能である。
例えば、上述の実施形態では、第1排気側動弁機構50のみに、CVVLや液圧駆動式可変バルブ開閉機構が設けられていたが、これに限らず、吸気動弁機構40や第2排気側動弁機構51にもCVVLや液圧駆動式可変バルブ開閉機構を設けるようにしてもよい。
また、上述の実施形態では、第2の排気ポート24は、第2の排気口20bから接続部21aまでの流路断面積が一定であったが、これに限らず、第2の排気ポート24の平均流路断面積が、第1の排気ポート23の平均流路断面積よりも小さければ、途中で流路断面積が変化するようになっていてもよい。特に、第2の排気ポートを、第2の排気口20bから接続部21aに向かうにつれて、その流路断面積が徐々に拡大するように形成すれば、第2の排気ポート24内を流通する排気ガスが、第2の排気ポート内で効率的に冷却されるという効果が期待される。
上述の実施形態は単なる例示に過ぎず、本発明の範囲を限定的に解釈してはならない。本発明の範囲は請求の範囲によって定義され、請求の範囲の均等範囲に属する変形や変更は、全て本発明の範囲内のものである。
本発明は、吸気行程中に排気ガスの一部を排気ポートを通じて気筒内に導入する内部EGR制御を実行するエンジンのシリンダヘッド内に形成され、上記気筒毎に、第1の排気ポートと、第2の排気ポートとを備えた、エンジンの排気装置として有用である。
1 エンジン
1b シリンダヘッド
2 気筒
20 排気口
20a 第1の排気口
20b 第2の排気口
21 排気ポート
22 排気バルブ
22a 第1の排気バルブ
22b 第2の排気バルブ
23 第1の排気ポート
24 第2の排気ポート
29 排気開口
30 集合排気ポート
51 第1排気側動弁機構(第1の排気バルブを開閉動作させる動弁機構)
60 ヘッド側ウォータジャケット

Claims (6)

  1. 吸気行程中に排気ガスの一部を、シリンダヘッド内に形成された排気ポートを通じて気筒内に導入する内部EGR制御を実行するエンジンの排気装置であって、
    上記気筒毎に設けられ、各気筒内から排気ガスをそれぞれ排出するための、第1の排気口及び第2の排気口と、
    上記第1の排気口に接続され、上記第1の排気口を通じて上記気筒内から排出された排気ガスを上記シリンダヘッドの外部に排出するための第1の排気ポートと、
    上記第2の排気口に接続され、上記第2の排気口を通じて上記気筒内から排出された排気ガスを上記シリンダヘッドの外部に排出するための第2の排気ポートと、
    上記第1の排気ポート及び上記第2の排気ポートにそれぞれ設けられ、上記第1の排気口及び上記第2の排気口を開閉するための排気バルブと、
    上記エンジンの回転に連動して回転するカムの作用によって、上記排気バルブを開閉駆動させるための動弁機構と、を備え、
    上記第1の排気ポートは、上記第1の排気ポートの全体の流路断面積の平均値が、上記第2の排気ポートの全体の流路断面積の平均値よりも大きくなるように形成されており、
    上記エンジンは、上記内部EGR制御において、上記第1の排気ポート及び上記第2の排気ポートのうちの上記第1の排気ポートのみを通じて排気ガスが上記気筒内に導入されるよう上記動弁機構を駆動させるように構成されている
    ことを特徴とするエンジンの排気装置。
  2. 請求項1に記載のエンジンの排気装置において、
    上記第1の排気ポートは、反気筒側に向かうにつれて、その流路断面積が徐々に拡大するように構成されている
    ことを特徴とするエンジンの排気装置。
  3. 請求項1又は2に記載のエンジンの排気装置において、
    上記第1の排気ポートの全体の流路断面積の平均値は、上記第2の排気ポートの全体の流路断面積の平均値の1.05倍以上の値である
    ことを特徴とするエンジンの排気装置。
  4. 請求項1〜3のいずれか1つに記載のエンジンの排気装置において、
    上記第1の排気ポート及び上記第2の排気ポートは、上記シリンダヘッドの内部で、それぞれの下流側の端部が互いに合流して1つの集合排気ポートとなった状態で、上記シリンダヘッドの外部に臨む排気開口に接続されている
    ことを特徴とするエンジンの排気装置。
  5. 請求項1〜4のいずれか1つに記載のエンジンの排気装置において、
    上記排気バルブは、
    上記第1の排気口を開閉するための第1の排気バルブと、
    上記第2の排気口を開閉するための第2の排気バルブと、によって構成され、
    上記第1の排気バルブを開閉動作させる動弁機構は、バルブのリフト量を連続的に変更可能な可変動弁機構である
    ことを特徴とするエンジンの排気装置。
  6. 請求項1〜5のいずれか1つに記載のエンジンの排気装置において、
    上記シリンダヘッド内に設けられ、上記第1の排気ポート及び上記第2の排気ポートを横切るように形成され、上記シリンダヘッドを冷却するヘッド側ウォータジャケットをさらに備え、
    上記ヘッド側ウォータジャケットは、各気筒における上記第1の排気ポートと隣接する各領域が、各気筒における上記第2の排気ポートと隣接する各領域よりも狭くなるように構成されている
    ことを特徴とするエンジンの排気装置。
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