JP2009180220A - 高圧酸素噴射式内燃機関 - Google Patents

高圧酸素噴射式内燃機関 Download PDF

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    • Y02T10/12Improving ICE efficiencies

Abstract

【課題】従来の内燃機関の各種損失、即ちポンプ損失や摩擦損失、不整燃焼による損失等、更にはクランク室圧縮やルーツブロワ駆動の為の損失などをなくして熱効率の大幅改善を図ること。
更には空気を作動流体としない事によってNOxの発生を根絶すること。
【解決手段】既燃ガスの流通、遮断を司どるポペット弁22を備えた内燃機関において、酸素供給容器15を備えると共にここからの酸素を圧縮上死点付近で燃焼室20内の既燃ガス中へ噴射する酸素噴射弁29と、燃料を噴射する燃料噴射弁28とを備え、ポペット弁22の閉弁時期及び開弁時期の内の少なくともいずれか一方を可変動弁装置4によってエンジンの運転状態に応じて変化させて実圧縮比及び実膨張比の内の少なくともいずれか一方を可変化させる様にする。
【選択図】図1

Description

発明の詳細な説明
産業上の利用分野
本発明は酸素ボンベ等の酸素供給容器を備え、圧縮上死点付近で酸素を燃焼室内の既燃ガス中に噴射する酸素噴射式内燃機関に関するものである。
一般に火花点火式4サイクル機関では吸入空気をスロットル弁により絞って出力を制御している為、ポンプ損失が大であり、圧縮着火式4サイクル機関では圧縮比が高く、各部を頑丈に作らなければならず、摩擦損失が大きい欠点があった。他方、火花点火式2サイクル機関ではエンジンアイドル時や低負荷域では不整燃焼が発生し、更にクランク室圧縮やルーツブロワ駆動の為に動力が消費され、圧縮着火式2サイクル機関でも同じくルーツブロワ駆動の為に動力が消費され、圧縮比が高い為、摩擦損失が大で、以上の理由により熱効率の大幅低下が避けられなかった。更にはこれらの内燃機関では空気を作動流体として使っている為、NOxの発生は避けられず、大気汚染の元凶となっていた。
発明が解決しようとする問題点
本発明の目的は、従来の内燃機関の各種損失、即ちポンプ損失や摩擦損失、不整燃焼による損失時、更にクランク室圧縮やルーツブロワ駆動の為の損失などをなくす事によって熱効率の大幅改善を図る事であり、空気を作動流体としない事によってNOxの発生を根源から断ち切る事である。
問題点を解決する為の手段
本発明は上記目的を達成する為、既燃ガスの流通、遮断を司どるポペット弁を備えた内燃機関において、酸素供給容器を備え、この酸素供給容器からの酸素を圧縮上死点付近で燃焼室内の既燃ガス中へ噴射する酸素噴射弁と燃料を噴射する燃料噴射弁とを備え、前記ポペット弁の閉弁時期及び開弁時期の内の少なくともいずれか一方を可変動弁装置によってエンジンの運転状態に応じて変化させて実圧縮比及び実膨張比の内の少なくともいずれか一方を可変化させる様にした。
図1(イ)は本発明による高圧酸素噴射式内燃機関(2サイクル機関)の一実施例で、ここでは多気筒機関とし、その1断面を図1(ロ)に、図1(ロ)を上方から見て図1(ハ)に排気弁22(ポペット弁)、点火プラグ27、燃料噴射弁28、酸素噴射弁29などのレイアウトを示す。1は高圧酸素噴射式内燃機関本体である。酸素供給容器15(例えば700気圧程度に圧縮された酸素が充填された酸素ボンベから成る)からの酸素はプレッシャーレギュレーター16によって一定圧力に調整された後にサージタンク17に到り、更に酸素噴射弁29からシリンダー内に噴射される。サージタンク17には圧力センサー18が取り付けられ、酸素噴射弁29へ供給する酸素圧力を検出する手段として用いられる。シリンダーヘッドには排気弁22、シリンダー内へ燃料を噴射する燃料噴射弁28、酸素を噴射する酸素噴射弁29、シリンダー内(燃焼室20内)に形成された混合気に火花点火する点火プラグ27が備えられ、排気弁22はカム軸24に形成されたカム25により例えばピボット式ロッカーアーム26を介して、駆動される。ピストン19の下降行程では燃焼室20内の高圧燃焼ガスによりピストン19は膨張仕事を行ない、下死点前の所定のクランク角度で排気弁22が開き(排気ブローダウン開始)、下死点後の所定のクランク角度で排気弁22が閉じる様になっている(多量の既燃ガスがシリンダー内に閉じ込められる)。酸素噴射弁29からの酸素噴射及び燃料噴射弁28からの燃料噴射は圧縮上死点付近(通常は圧縮上死点の若干手前)で燃焼室20内の既燃ガス中に噴射される。但し、エンジン高負荷・高速回転域では圧縮行程のかなり早い段階で燃料を噴射しても良い。この場合、燃料及び酸素は互いに良く混合し合う様に噴射し、点火プラグ27の周辺に着火可能な可燃混合気を形成する様にする。即ち、ピストン19が上死点に近づくと、スキッシュ流により燃焼室20内には矢印の如く回る渦流が形成されるから、燃焼室20の壁面21と平行に燃料及び酸素を(混合させつつ)噴射すれば(矢印Fの方向に噴射する)点火プラグ27の周辺に可燃混合気が形成され、点火プラグ27による火花点火燃焼が可能となる(点火プラグ27の点火時期は燃料及び酸素の噴射開始の一定クランク角後とする)。この場合、図1(ニ)の如くピストン19の頂部に浅溝30を形成しておけば、浅溝30から噴出するスキッシュ流により燃焼室20内にはスワルが形成されるから、この様な構成としても燃料及び酸素をこのスワールに乗せる如く噴射すす事により点火プラグ27周辺に可燃混合気を形成する事ができる。膨張行程では(ピストン19は下降)燃焼室20内の高温・高圧の燃焼ガスが膨張し、かくしてクランク軸1回転毎に1回の膨張仕事が得られる。4は開弁期間は変えずに排気弁22の開閉時期を変化させる公知のバルブタイミング可変装置(可変動弁装置)で、ハウジング6とローター7とから成り、ハウジング6はプーリー5(又はスプロケット)とボルトにより結合・一体化され、ローター7はカム軸24とボルトにより結合・一体化されており、プーリー5はクランク軸2によりベルト3(又はチェーン)を介して回転比1/1で駆動される。ハウジング6及びローター7により進角室8と遅角室9とが形成され、油圧制御弁10からの作動油が供給される。油圧制御弁10は図示しない油圧ポンプからの油圧が供給され、後述する電子制御ユニット14(以後ECU14)からの出力信号により軸方向への移動量が電磁ソレノイドにより駆動制御されるプランジャー11とスプール弁12とバネ13とを有しており、バネ13の反発力とプランジャー11の押圧力とが均衡する位置でスプール弁12が位置決めされる様になっている。
ECU14には所定のクランク角毎にクランク角信号を出力するクランク角センサーからの信号、所定のカム角毎にカム角信号を出力するカム角センサーからの信号が入力され、ECU14はカム角センサーから出力される回転角パルスとクランク角センサーから出力される回転角パルスとの間の出力位相差に基づきカム位相角を検出する事ができる。ECU14はローター7の、即ちカム軸24のクランク軸2に対する位相角が目標値となる様に油圧制御弁10に制御信号を出力する。そしてECU14は検出したカム位相角をフィードバック信号として取り込み、その制御上の目標位相角との間の偏差に応じて、油圧制御弁10の駆動デューティ比率をフィードバック制御する。油圧制御弁10はECU14から指示されるデューティ比率に応じて電磁ソレノイドを駆動し、進角室8、遅角室9に対する油圧の給排を調整してカム軸24を目標位相角まで進角又は遅角、或いは中立に保持する(任意のカム位相角に固定)。ECU14はROM、RAM、CPU、入力ポート、出力ポート等から成るマイクロコンピューターを中心として構成され、これらは双方向性バスによって相互に接続されている。ECU14にはエンジンの運転状態の把握に必要なパラメーター用の各種センサー、例えば所定のクランク角毎にクランク角を出力するクランク角センサー、所定のカム角毎にカム角信号を出力するカム角センサー、アクセル開度を検出するアクセルセンサー、エンジン冷却水温を検出する水温センサー、大気圧センサー、サージタンク17内の酸素圧力を検出する圧力センサー18、排ガス中の酸素濃度を検出するOセンサー、ノックセンサー等からの各信号が対応するA/Dコンバーターを介して入力ポートに送信される。尚、エンジン回転速度は前記クランク角センサーからの出力信号により知る事ができる。又、出力ポートは燃料噴射弁28、酸素噴射弁29、点火プラグ27、プレッシャーレギュレーター16、油圧制御弁10等と各々対応する駆動回路を介して接続され、各々の制御信号を送信する。ROMには燃料噴射弁28や酸素噴射弁29の噴射量や噴射時期を決定する為の制御ルーチン、点火プラグ27への通電を制御する為の制御ルーチン等のエンジンを制御する為の制御ルーチンやそれらに用いられる制御値を含むマップが記憶されている。RAMに記憶されている各種データーはエンジン回転速度センサーが信号を出力する度に最新のデータに書き換えられる。CPUはROMに記憶されたアプリケーションプログラムに従って動作し、燃料や酸素の噴射制御、点火時期制御等を実行する。図2は排気弁22の開閉時期変化を示す図である。エンジンアイドル状態や低負荷域では排気弁22の閉弁時期、開弁時期を例えば各々下死点後95°CA、下死点前85°CAとして実圧縮比、実膨張比を各々11、13程度とする。エンジン中負荷域では燃料及び酸素の噴射量が多くなって燃焼条件も良くなるので(排ガス温度も上昇する)、排気弁22の開閉時期を遅らせて、例えば実圧縮比を9程度とし(この時、実膨張比は従属的に15位となる)、高膨張比化して熱効率の大幅改善を図る。エンジン高負荷域では燃焼条件も良く、ノック回避と更なる熱効率の大幅改善を図る為に、排気弁22の開閉時期を更に遅らせて、例えば実圧縮比を7程度(この時、実膨張比は従属的に17位となる)として高膨張比化する(従来ではこの様にするとシリンダー内空気量減少により出力低下を招いたが、本発明ではこれに無関係に酸素とこれに見合った燃料を噴射すれば良いから、出力低下はない)。エンジン高負荷域では酸素噴射量も多く、上死点付近で噴射される為、これによるシリンダー内圧力上昇もあり、この分余計に高膨張比化して熱効率改善を図る(酸素を圧縮して酸素供給容器15に充填した動力の一部を回収した事になる)。この場合、燃料が気圧燃料である場合は酸素の他にこの燃料の噴射によるシリンダー内圧力上昇も加わり、この分更に余計に高膨張比化する事が望ましい(特に燃料が水素である場合は水素は単位発熱量当りの体積が大きいので、効果が大である)。燃料が水素(圧縮されたもの、又は液体のもの)の場合は水素−酸素の燃焼は非常に激しくなると予想され、ノックの発生が懸念されるから(水素以外の燃料でも酸素濃度が高い為、燃焼は激しくなると予想される)、燃料及び酸素の噴射を上死点付近で複数回、例えば2〜3回に分けて噴射し(点火プラグ27による点火は1回で良い)、急激過ぎる燃焼圧力上昇を防ぐ様にする(酸素の噴射を1回とし、燃料を2〜3回に分けて噴射しても良い)。この場合、燃料及び酸素の噴射を上死点後とすると(点火プラグ27の点火時期も)、ノックが効果的に回避されるだけでなく、燃焼期間の短縮及び燃焼温度の低下により冷却損失が大幅に減少し、更なる熱効率の改善効果が現われる。上死点後に燃焼させる様にしても圧縮比に対して膨張比が非常に大なので、不完全膨張による損失はない。この様な考え方からエンジンアイドル状態や低・中負荷域においても燃料及び酸素の噴射、点火時期を上死点後とすると、同じ理由により冷却損失が減少し、熱効率の改善が図られると考えられる。但し、膨張比は十分に高膨張比化しておく(低・中負荷域では熱料及び酸素の噴射は1回で済ませる事ができる)。以上は水素以外の燃料の場合にも適用される(低・中負荷域では燃料及び酸素の噴射を1回で済ませる事ができる)。機関本体1が圧縮着火式4サイクル機関(ディーゼル機関)である場合は、実圧縮比は13〜15位と全般的に高く(もちろん実膨張比も高く)設定する(排気弁22の開弁時には多量の高温既燃ガスがシリンダー内に閉じ込められるから、ディーゼル機関としてはこの様な低圧縮比としても燃焼は良好である)。エンジン始動時や冷態時は実圧縮比を17位と従来と同等程度に高く設定する事は言うまでもない。
次に本発明において高負荷域を考えると、排気弁閉時にシリンダー内に閉じ込められた既燃ガスの温度が高い為、燃焼ガスが高温となり、冷却損失が増大すると予想される。そこで第1の方法としてこの様な運転領域では図3(イ)に示す様に排気通路23からの既燃ガスを冷却器33で十分に冷却し、これをブロワ(ルーツ式、ファン式)32により導入弁31(排気弁22が開いて、シリンダー内圧力が十分に低下してから開弁する)を介して再びシリンダー内へ導入し、シリンダー内を全部又は部分的に掃気して圧縮始めのガス温度を下げる事が考えられる。ブロワ32はクランク軸により直接駆動するか、電動式とし、後者を採用すればON・OFF制御(不要な時は停止させる)や回転速度制御(流量制御)が容易である利点がある。第2の方法としては図3(ロ)に示す様にシリンダー内から排出された排ガスを冷却器34により十分に冷却し(100°C以下に)、この冷却によって凝縮した水を集めて水ポンプ35により図示しない水噴射弁に導びき、シリンダ内に噴射して、その気化熱によりシリンダー内ガス温度を下げる方法がある。この方法は水素を燃料とする場合に適しており、前記水噴射弁の噴射時期、噴射量はECU14からの制御信号によって決定される(この方法は必要があれば図4に示す本発明にも適用され、冷却器40を利用する事により容易に実施できる)。
図4(イ)は本発明によるもう1つの高圧酸素噴射式内燃機関を示し、4サイクル式であり、その1断面を図4(ロ)に、図4(ロ)を上方から見て図4(ハ)に排気弁48、吸気弁52(共にポペット弁)、点火プラグ27′、燃料噴射弁28′、酸素噴射弁29′などのレイアウトを示す。15は酸素供給容器、16はプレッシャーレギュレーター、17はサージタンク、10′は油圧制御弁、14′はECU、4′は可変動弁装置で、これらは図1で説明した通りなので省略する。但し、4サイクル式であるから、可変動弁装置4′はクランク軸2′の回転の1/2に減速して、駆動される。排気弁48はカム軸49に形成されたカム50により駆動され、吸気弁52は同じくカム軸49に形成された図示しないカムによってロッカーアーム51を介して駆動される。排気行程(ピストンは上昇)では排気弁48は開いており、シリンダー内の既燃ガスは排出通路36(各気筒に備えられている)、連絡通路41(各気筒共通)を介してサージタンク46の方へ流れ、少量の部分が放出通路38の方へ流れる様になっている(大気放出)。続く吸気行程(ピストンは下降)では排気弁48は閉じ、吸気弁52が開いて、連絡通路41を介してサージタンク46に導入された既燃ガスが吸入通路47(各気筒毎に備えられている)、吸気弁52を介してシリンダー内に吸入され、圧縮行程では(ピストンは上昇)吸気弁52も閉じて、シリンダー内に閉じ込められた既燃ガスがピストンによって圧縮される。酸素噴射弁29′、燃料噴射弁28′からの各噴射は圧縮上死点付近(通常は圧縮上死点の若干手前)で燃焼室20′内の既燃ガス中に行なわれる。但し、エンジン高負荷・高速域では圧縮行程のかなり早い時期で燃料を噴射しても良い。この場合、燃料及び酸素は互いに良く混合し合う様に噴射し、点火プラグ27′の周辺に着火可能な可燃混合気を形成する様にする。即ち、ピストン19′が上死点に近づくと、スキッシュ流によって燃焼室20′内には矢印の如く回る渦流が形成されるから、燃焼室20′の壁面21′と平行に燃料及び酸素を(混合させつつ)噴射すれば(矢印Fの方向に噴射)点火プラグ27′の周辺に可燃混合気が形成され、点火プラグによる火花点火燃焼が可能となる(点火プラグ27′の点火は燃料及び酸素の噴射の一定クランク角後とする)。この場合、図1(ニ)の方法によっても点火プラグ27′の周辺に可燃混合気を形成する事ができる事は言うまでもない。この後は膨張行程(ピストンは下降)に移り、燃焼室20′内の高温・高圧の燃焼ガスが膨張し、かくしてクランク軸2回転毎に1回の膨張仕事が得られる。冷却器40は排出通路36、サージタンク37からの既燃ガスが通る多数のパイプを有し、それらの周囲をクーラントが取り囲む構造で、この既燃ガスをクーラントとの熱交換により冷却して吸入通路47の方へ送る為のもので、冷却器40をバイパスするバイパス通路42及び制御弁44(冷却器40の入口部39に備えられている)、制御弁43が備えられ、制御弁43、44の開度を調整する事によって吸入通路47、吸入弁52を介してシリンダー内に吸入される既燃ガスの温度を制御する様になっている。即ち、制御弁43、44は例えばリンク機構により互いに連結されており、制御弁44の開度を大として制御弁43の開度を小とする程、吸入通路47からシリンダー内に吸入される既燃ガスの温度は低下する。ECU14′は予め与えられた特性に基づいて制御弁43の開度を演算し、電動アクチュエーター45の回転角を制御する。これにより制御弁43、44の開度はエンジン負荷、回転速度、冷却水温等によって最適制御される。図5は吸気弁52(ポペット弁)、排気弁48(ポペット弁)の開閉時期変化を示す図である(但し、図はクランク角で示してあり、4サイクル機関であるから、クランク軸2回転毎に1回の開閉動作を繰り返す)、エンジンアイドル時や低負荷域では吸気弁52は下死点後95°CAで開弁し(上死点前10°CAで開弁)、排気弁48は下死点前85°CAで開弁し(上死点前10°CAで開弁)、これにより実圧縮比、実膨張比は図1と同様に各々11、13程度となる。エンジン中負荷域では吸気弁52、排気弁48の開閉時期を遅らせて、実圧縮比、実膨張比は図1と同様に各々9、15程度となり、エンジン高負荷域では図1と同様に各々7、17程度となる様に制御される。この他、燃料及び酸素の噴射を上死点後として(点火時期も)ノックを回避したり、冷却損失を減少させる制御法、燃料及び酸素の噴射を複数回(2〜3回)に分けて噴射する制御法などは図1で既に説明した通りであるから、省略する。制御弁43についてはエンジンアイドル時や低負荷域(冷態時も)では開度を大きく(制御弁44は開度を小さく)して吸気弁52を介して吸入される既燃ガスの温度を高めるが、負荷の上昇に従って制御弁43の開度を小さく(制御弁44は開度を大きく)して、十分に冷却する様にする。但し、制御弁44、43は必要不可欠なものではない(冷却器40は必要)。図4において機関本体1′が圧縮着火式4サイクル機関(ディーゼル機関)である場合は、実圧縮比を13〜15位として全般的に高く、もちろん実膨張比も高く設定する(吸気弁52の閉弁時には多量の高温既燃ガスがシリンダー内に閉じ込められるから、ディーゼル機関としてはこの様な低圧縮比としても燃焼は良好である)。エンジン始動時や冷態時は実圧縮比を17位と従来と同等に高く設定する事は言うまでもない。
ところで本発明では吸気弁52や排気弁48、22の開閉時期を変化させて実圧縮比や実膨張比を可変化しているが、図1に示したものの他に公知の多くの可変動弁装置を用いる事ができる。例えば特開平8−177434号公報にはヘリカルスプラインを軸方向に移動させてカム位相角を変えるものが開示され、電磁式又は電動式にカム位相角を変えるものが特開2001−164951号公報、特開2003−278514号公報、特開2007−100681号公報に開示されている。これらはいずれも開弁期間は変えずに開閉時期を変えるものである。更には立体カム(平面カムを多段に並べたものも含む)を用い、これを油圧式又は電磁式アクチュエーターによりECU14(14′)からの制御信号によって軸方向にスライドさせる方法(公知である)も考えられる。図6(イ)は電磁式可変動弁装置を示すもので、ハウジングにはリング状に形成された電磁石54、55が弁軸と一体となったプランジャー53を挟んで対向した状態で配置されている。電磁石54、55の中空部にはバネ56、57がプランジャー53を挟む様に取り付けられ、この為排気弁22はバネ56、57の力のバランスによって弁リフトの中間位置で静止する。電磁石54が磁励されるとプランジャー53が上方へ引き付けられて排気弁は閉弁し、電磁石55が磁励されるとプランジャー53が下方へ引き付けられて排気弁22は開弁する。ドライバー58は排気弁22の開閉時期(弁リフトの情報も含めても良い)を指定するECU14からの制御信号に応じて電磁石54、55に交互に励磁電流を供給する。これによると排気弁22の開弁時期や閉弁時期を互いに独立的に設定でき、自由度が増す。
次に図4に示す本発明では吸気弁52、及び排気弁48の開閉時期を互いに独立的に設定できる様にすると、実圧縮比と実膨張比とを互いに独立的に可変化できるので自由度が増して効果が大きい。これは既に述べた立体カムや図6(イ)の電磁式可変動弁装置により可能である。図6(ロ)は図4の可変動弁装置4′を用いた実施例を示す。即ち図6(ロ)において排気弁48はカム軸49Aで、吸気弁52はカム軸49Bで各々駆動され、排気弁48、吸気弁52は可変動弁装置4′A、4′Bにより各々の開閉時期を互いに独立的に設定できる様に構成され、これにより実膨張比、実圧縮比を互いに独立的に可変化できる様になる。10′A、10′Bは各々の可変動弁装置4′A、4′Bへ油圧を供給する油圧制御弁である。以上は図1にも適用される(図1(ハ)で上側の排気弁を可変動弁装置4′Aによりその閉弁時期を制御すれば実圧縮比が可変化し、下側の排気弁を可変動弁装置4′Bによりその開弁時期を制御すれば実膨張比が可変化する)。
本発明では既燃ガスの流通、遮断を司どるポペット弁(吸気弁52、排気弁48、22)の閉弁時期及び開弁時期の内の少なくともいずれか一方を可変動弁装置によって変化させて、実圧縮比及び実膨張比の内の少なくともいずれか一方を可変化させる事を特徴としている。例えば図6(ロ)において可変動弁装置4′Aを除去し、可変動弁装置4′Bのみを使えば実圧縮比のみを可変とする事ができ、具体的には図5において実膨張比を常に18として固定し、実圧縮比を図5(イ)では13、図5(ロ)では10、図5(ハ)では7程度に可変化する様に制御するのである。又、図6(ロ)において可変動弁装置4′Bを除去し、可変動弁装置4′Aのみを使えば実膨張比のみを可変とする事ができ、例えば図5において実圧縮比を7と常に固定しておき、実膨張比を図5(イ)では10、図5(ロ)では14、図5(ハ)では18程度に可変化する様に制御するのである。
図1、4ではポペット弁の開閉時期を固定しておくこと(可変動弁装置は使わない)、実圧縮比を例えば常に7程度に、実膨張比を例えば常に18程度に固定しておく事も考えられ、こうしても前者に対して後者は非常に大であるから、熱効率の大幅改善を図る事が出来る。又、高負荷域でのノックを防ぐ事ができる。但し、エンジンアイドル時など低負荷域では過膨張(大気圧以下の圧力まで膨張させること)による損失が発生すると考えられるから、これには燃料及び酸素の噴射時期、更には点火時期を上死点後として損失を回避する様な手段を講ずるものとする。
発明の効果
本発明では燃料及び酸素を良く混合させる如く上死点付近で燃焼室内の既燃ガス中に噴射するので、点火プラグ周辺には常に必ず可燃混合気が形成され(上死点付近で噴射するから、余り拡散せず、ほぼ理論混比の塊になっている)、多量の既燃ガス中に燃料及び酸素を噴射しているが、着火は確実であり、従って通常の2サイクル機関の様な不整燃焼は起らず、従来の4サイクル機関の様に空気をスロットル弁により絞って出力を制御する必要がないので(燃料と酸素の噴射量で出力制御)、ポンプ損失はない。又、噴射された燃料と酸素との混合気は塊となって(既燃ガスに包まれた形となって)点火プラグ囲りに存在するので、火炎伝播距離は短かく、急速燃焼と同等になる。更に本発明では高負荷域では点火プラグにより点火された火炎の中へ燃料と酸素とが良い混合した状態で噴射され、かつ燃焼するので、シリンダー径が大きなものにもノック発生の制約を受ける事なく適用できる。本発明が圧縮着火式(ディーゼル機関)の場合でも上死点付近で燃料及び酸素は良く混合されて噴射される為、PMは発生せず、シリンダー内に多量に閉じ込められる既燃ガスにより圧縮端温度は十分に高まり、低圧縮比化により摩擦損失を減らす事ができる。更には従来の2サイクル機関の様な掃気の為のクランク室圧縮やルーツブロワ等の駆動々力が不要であり、可変動弁装置により実圧縮比に対して実膨張比を非常に大として(実圧縮比の2.5倍位に、更には3〜4倍程度にする事も考えられる)高膨張比化する事ができる。以上により熱効率の飛躍的改善を図る事ができる。又、本発明では酸素を上死点付近で噴射する為、これによるシリンダー内圧力上昇があり、膨張比をこの分余計に大きくする事によって膨張仕事を増加させ、酸素供給容器に酸素を充填するに要した動力を一部回収する事ができる特徴がある。更には本発明では既燃ガス中に燃料と酸素とを混合させる如く噴射する為、火炎を既燃ガスが包む形で燃焼が行なわれ、冷却損失が減少すると共にエンジン負荷に依らずほぼ理論混合比での燃焼が行なわれる為、これらも熱効率の改善効果を生む(圧縮着火式ではエンジン部分負荷域では希薄混合気の燃焼であり、燃焼速度が遅い)。本発明では空気を作動流体として使っていない為、NOxの発生は0で、高価な三元触媒やリーン型NOx触媒は不要である。又、本発明ではシリンダー内に多量の既燃ガスが内部EGRとして閉じ込められ(特に図4に示す本発明では冷却器40により排ガスが冷却されて体積縮小が起り、更に多量の既燃ガスをシリンダー内に閉じ込める事ができる)、燃焼により生じたHC、COもこの中に大部分が閉じ込められて再燃焼が可能なので、結果的に排出されるHC、COは非常に少ない。
本発明による高圧酸素噴射式内燃機関の図。 排気弁の開閉時期変化を示す図。 本発明による高圧酸素噴射式内燃機関の各実施例を示す図。 本発明による高圧酸素噴射式内燃機関(4サイクル式)の図。 吸・排気弁の開閉時期変化を示す図。 本発明による高圧酸素噴射式内燃機関の各種実施例を示す図。
符号の説明
1・1′は内燃機関本体、2・2′はクランク軸、3はベルト(チェーン)、4・4′は可変動弁装置、5はプーリー、6はハウジング、7はローター、8は進角室、9は遅角室、10・10′10′A・10′Bは油圧制御弁、11はプランジャー、12はスプール弁、13はバネ、14・14′は電子制御ユニット(ECU)、15は酸素供給容器、16はプレッシャーレギュレーター、17はサージタンク、18は圧力センサー、19・19′はピストン、20・20′は燃焼室、21・21′は燃焼室の壁面、22は排気弁、23は排気通路、24・49・49A・49Bはカム軸、25・50はカム、26・51はロッカーアーム、27・27′は点火プラグ、28・28′は燃料噴射弁、29・29′は酸素噴射弁、30は浅溝、31は導入弁、32はブロワ、33は冷却器、34は冷却器、35は水ポンプ、36は排出通路、37・46はサージタンク、38は放出通路、39は冷却器の入口部、40は冷却器、41は連絡通路、42はバイパス通路、43・44は制御弁、45は電動アクチュエーター、47は吸入通路、48は排気弁、52は吸気弁、53はプランジャー、54・55は電磁石、56・57はバネ、58はドライバーである。

Claims (3)

  1. 既燃ガスの流通、遮断を司どるポペット弁を備えた内燃機関において、酸素供給容器を備えると共にこの酸素供給容器からの酸素を圧縮上死点付近で燃焼室内の既燃ガス中へ噴射する酸素噴射弁と燃料を噴射する燃料噴射弁とを備え、前記ポペット弁の閉弁時期及び開弁時期の内の少なくともいずれか一方を可変動弁装置によってエンジンの運転状態に応じて変化させて実圧縮比及び実膨張比の内の少なくともいずれか一方を可変化させる様にした事を特徴とする高圧酸素噴射式内燃機関。
  2. 圧縮上死点付近で燃料を複数回に分けて噴射する様にした請求項1記載の高圧酸素噴射式内燃機関。
  3. 燃料及び酸素を圧縮上死点後に噴射する様にした請求項1又は2記載の高圧酸素噴射式内燃機関。
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