JP2010031686A - 火花点火式内燃機関 - Google Patents
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Abstract
【課題】新気の吹き抜けを抑制しつつ、既燃ガスの掃気を行うことにより、充填効率及び耐ノッキング性能を向上できる火花点火式内燃機関を提供する。
【解決手段】過給機を備えた火花点火式内燃機関であって、燃焼室5の直線cを挟んだ一側には一対の吸気弁6,6が、他側には排気弁7が配設され、前記各吸気弁6の中心を結ぶ直線aより気筒軸線Aから離れた部位に掃気用吸気弁33が設けられており、少なくとも過給運転域では、前記掃気用吸気弁33は吸気弁6より先に開く。
【選択図】 図4
【解決手段】過給機を備えた火花点火式内燃機関であって、燃焼室5の直線cを挟んだ一側には一対の吸気弁6,6が、他側には排気弁7が配設され、前記各吸気弁6の中心を結ぶ直線aより気筒軸線Aから離れた部位に掃気用吸気弁33が設けられており、少なくとも過給運転域では、前記掃気用吸気弁33は吸気弁6より先に開く。
【選択図】 図4
Description
本発明は、空気を圧縮して燃焼室に供給する過給機を備えた火花点火式内燃機関に関する。
この種の過給機を備えた内燃機関として、例えば、特許文献1には、低負荷運転時におけるオーバーラップ期間において吸気通路の圧力が排気通路の圧力より高くなるように過給するようにしたものが提案されている。
特開平10−274069号公報
ところで、前記従来の内燃機関では、吸気管内圧力が排気圧力より高くなるように過給を行うことから、オーバーラップ期間に新気の一部が燃焼に利用されないまま排気通路に排出されてしまう場合がある。この排気通路に吹き抜けた新気は、燃料と余剰酸素を含んでいることから、触媒の熱負荷を増大させるとともに、燃費を悪化させる。このため十分なオーバーラップ期間を設けることができず、出力性能を向上させる場合の制約となっている。また、オーバーラップ期間を短くすると、既燃ガスの排出も不十分となり、その結果、充填効率が低下し、さらに気筒内に残留する高温の既燃ガスにより耐ノッキング性能が低下するという問題が生じる。
本発明は、前記従来の状況に鑑みてなされたもので、新気の吹き抜けを抑制しつつ、既燃ガスの掃気を行うことにより、充填効率及び耐ノッキング性能を向上できる火花点火式内燃機関を提供することを課題としている。
請求項1の発明は、空気を圧縮して燃焼室に供給する過給機を備えた火花点火式内燃機関であって、気筒軸線方向に見たとき、前記燃焼室の、前記気筒軸線を通るクランク軸と平行な直線を挟んだ一側に一対の吸気弁が、他側に排気弁がそれぞれ配設され、前記各吸気弁の中心を結ぶ直線より気筒軸線から離れる部位に、掃気用吸気弁が配設されており、少なくとも過給運転域では、前記掃気用吸気弁は吸気弁より先に開くことを特徴としている。
請求項2の発明は、請求項1に記載の火花点火式内燃機関において、前記排気弁は、気筒軸線を挟んで前記掃気用吸気弁と略対向する位置に配置されていることを特徴としている。
請求項3の発明は、請求項1に記載の火花点火式内燃機関において、前記掃気用吸気弁の開閉タイミングを可変とする吸気可変バルブタイミング機構を備え、該吸気可変バルブタイミング機構は、前記掃気用吸気弁の無過給運転域での開時期を過給運転域での開時期より遅らせることを特徴としている。
請求項4の発明は、請求項1に記載の火花点火式内燃機関において、前記排気弁の開閉タイミングを可変とする排気可変バルブタイミング機構を備え、該排気可変バルブタイミング機構は、前記排気弁の過給運転域での閉時期を無過給運転域での閉時期より遅らせることを特徴としている。
請求項5の発明は、請求項1ないし4の何れかに記載の火花点火式内燃機関において、前記吸気通路には、吸気制御弁が配設され、かつ該吸気制御弁をバイパスするバイパス通路が設けられ、該バイパス通路の下流端開口は、前記掃気用吸気弁と吸気開口との隙間に指向するよう配設されていることを特徴としている。
請求項1の発明に係る内燃機関によれば、掃気用吸気弁を吸気弁の中心を結ぶ直線より気筒軸線から離れる部位に配置し、過給運転域では掃気用吸気弁を吸気弁より先に開くようにしたので、排気弁から最も離れた位置にある掃気用吸気弁が吸気弁より先に開くこととなり、新気の吹き抜けによる排出を抑制しつつ、既燃ガスの掃気を効率よく行うことができる。その結果、充填効率を向上できるとともに、圧縮混合気の過度の温度上昇を抑制することができ、耐ノッキング性能を向上でき、ひいては出力性能を向上できる。
さらに適切な点火時期でもって運転することが可能となるので、それだけ排気ガス温度を低くすることができ、触媒への熱負荷を低減でき、品質に対する信頼性を高めることができる。
請求項2の発明では、排気弁を掃気用吸気弁と略対向する位置に配置したので、新気の流出を抑制しつつ、既燃ガスの掃気を効率よく行うことができる。過給運転域では、掃気用吸気弁と排気弁とがオーバーラップする期間において、吸気通路内圧力が気筒内圧力より高くなり、またこのときピストンは上死点付近に位置している。そのため掃気用吸気弁と排気弁とをできるだけ離して配置することにより、新気は前記圧力により気筒内に押し込まれ、既燃ガスはピストン上昇時の慣性により気筒から押し出され易く、その結果、新気の流出を抑制しつつ既燃ガスを効率良く掃気することができる。
請求項3の発明では、掃気用吸気弁の無過給運転域での開時期を過給運転域での開時期より遅らせたので、無過給運転域においては、掃気用吸気弁と排気弁とのオーバーラップ期間が短くなり、既燃ガスの逆流を抑制でき、燃焼が不安定になるのを防止できる。
即ち、前述のように、掃気が行われる運転域は、吸気通路内圧力が気筒内圧力より高い過給運転域であり、このような運転条件下では、十分なオーバーラップ期間を設けることで、気筒内の既燃ガスを効率よく掃気することができる。ところが掃気が行われるバルブタイミングでは、特にアイドリング時を含む極低負荷域において、掃気用吸気弁から過量な既燃ガスが吸気通路に逆流し、燃焼が不安定となり易く、場合によっては失火するおそれがある。このような既燃ガスの逆流を防止するために、無過給運転域では、掃気用吸気弁の開くタイミングを遅らせることで、オーバーラップ期間を減じる制御を行う。この場合、1つのカム軸で掃気用吸気弁と吸気弁とを開閉駆動することにより、可変バルブタイミング機構の構造を簡単にでき、コスト的に有利である。
請求項4の発明では、過給運転域では、排気弁を無過給運転時の閉時期より遅れて閉じるようにしたので、必要なオーバーラップ期間を確保することができ、良好な火炎伝播を維持することができる。
請求項5の発明では、吸気通路に吸気制御弁を設けるとともに、該吸気制御弁をバイパスするバイパス通路を設け、該バイパス通路により燃焼室に横渦又は縦渦の吸気渦流を生成させるようにしたので、過大なオーバーラップ期間を設けることなく、安定した燃焼を行うことが可能となる。即ち、過給運転時の効果を十分に発揮するには、オーバーラップ期間を大きくすることが有効である。しかしながら、オーバーラップ期間を単に大きくすると、部分負荷運転域では、既燃ガスの増加に伴う燃焼の悪化が生じ易くなる。例えば、可変バルブタイミング機構を用いる場合でも、バルブタイミングの可変範囲を大きくする必要があり、制御の遅れが生じ易い。
本発明では、吸気通路をバイパスするバイパス通路を設けたので、燃焼室内で横渦,縦渦の吸気渦流が生成されることから、点火直前の圧縮混合気の十分なミキシングと強いタービュレンスを得ることができ、効率のよい急速燃焼を行うことができる。これにより、過大なオーバーラップ期間を設けることなく低負荷運転域での燃焼を安定化でき、可変バルブタイミング機構の簡素化も可能となり、制御の応答性を向上できる。なお、本発明において、オーバーラップ期間を大きくした場合でも燃焼を安定化できるのは言うまでもない。
以下、本発明の実施の形態を添付図面に基づいて説明する。
図1ないし図7は、本発明の第1実施形態による火花点火式内燃機関を説明するための図であり、図1は火花点火式内燃機関の概略構成図、図2は内燃機関の断面図、図3は内燃機関のシリンダヘッドの断面図、図4はシリンダヘッドの断面平面図、図5〜図7は内燃機関の掃気用吸気弁,吸気弁,排気弁の開閉タイミング図である。
図において、1は4サイクル多気筒火花点火式内燃機関を示している。該内燃機関1は、4つのシリンダボア(気筒)2aが形成されたシリンダブロック2に、各シリンダボア2aに対向するよう4つの燃焼凹部3aが形成されたシリンダヘッド3を接続し、前記各シリンダボア2a内にピストン4を摺動自在に挿入配置した概略構造を有する。
前記シリンダボア2a,燃焼凹部3a及びピストン4の頂面で囲まれた空間により燃焼室5が形成されている。また前記ピストン4はコンロッド4aによりクランク軸(不図示)に連結されている。
前記シリンダヘッド3の各燃焼凹部3aには、燃焼室5に連通する2つの吸気開口3b,3bと、1つの排気開口3cとが形成されている。この各吸気開口3bは、気筒軸方向に見たとき、気筒軸線Aを通り、クランク軸に平行な直線cを挟んだ一側に配置され、前記排気開口3cは前記直軸線cを挟んだ他側に配置されている。
前記各吸気開口3b及び排気開口3cには、それぞれ吸気弁6,6及び排気弁7が配設され、該各吸気弁6は吸気カム軸8により、排気弁7は排気カム軸9により開閉駆動される。
前記シリンダヘッド3の各シリンダボア2aには、3本の第1〜第3点火プラグ10a〜10cが燃焼凹部3a内に臨むよう装着されている。該第1点火プラグ10aは、シリンダボア2aの略中心で、かつ前記直線cより僅かに吸気弁6側に偏位させて配置され、第2,第3点火プラグ10b,10cは、排気弁7の両外側の直線cより排気弁7側に僅かに偏位させて配置されている。
前記各吸気開口3bは、吸気ポート3dによりシリンダヘッド3の一側壁に導出され、排気開口3cは、排気ポート3eによりシリンダヘッド3の他側壁に導出されている。
前記各排気ポート3eには、排気管13が接続されている。該各排気管13の下流端には、各気筒共通の排気合流管14が接続されており、該排気合流管14の下流端にはマフラ15が接続されている。前記排気合流管14の中途部には、排気ガスを浄化する触媒16が介設されている。
前記各吸気ポート3dには、吸気管17が接続されている。該各吸気管17の上流端には、各気筒共通のサージタンク18が接続されている。該サージタンク18には、吸気導入管19が接続され、該吸気導入管19の上流端にはエアクリーナ20が接続されている。
前記吸気導入管19の下流端部には、各気筒共通のスロットル弁21が配設されている。該スロットル弁21は、前記吸気導入管19のサージタンク18接続部近傍に配置されている。
前記各吸気管17には、吸気制御弁22が配設されている。該各吸気制御弁22は、1本の弁軸22aにより連結され、該弁軸22aに接続された駆動モータ23により一体に開閉駆動される。前記吸気制御弁22は、前記吸気管17の上流端の、前記サージタンク18の接続部近傍に配置されている。これにより、吸気管17の吸気弁6から吸気制御弁22までの通路容積を大きくしている。
前記各吸気管17の下流端部には、燃料噴射弁25が吸気ポート3dの軸芯に臨むよう装着されている。該燃料噴射弁25は、燃料を前記吸気弁6の弁裏中心部に向けて噴射するよう配置されている。
前記内燃機関1は、前記エアクリーナ20からの空気を圧縮して燃焼室5に供給する過給機26を備えている。
該過給機26は、前記排気合流管14と吸気導入管19とに架け渡して介設されたタービン27と、前記吸気導入管19に介設されたインタークーラ28とを備えている。
前記排気合流管14を流れる排気ガスによりタービン27が回転駆動され、該タービン27の回転によりエアクリーナ20からの空気が圧縮される。該圧縮空気がインタークーラ28により冷却されてサージタンク18に導入され、該サージタンク18から吸気管17を通って燃焼室5に供給される。
前記内燃機関1は、排気ガスの一部を燃焼室5に還流させて再燃焼させるEGR装置40を備えている。
該EGR装置40は、前記排気合流管14のタービン27の上流側に接続されたEGR導入管41と、該EGR導入管41の途中に介設されたEGR冷却器42と、前記EGR導入管41のEGR冷却器42の下流側に介設されたEGR制御弁43と、前記EGR導入管41のEGR冷却器42の上流側に介設され、EGRガスに混入するカーボン等の微粒子を除去する微粒子トラップ44とを備えている。
前記EGR導入管41の下流端導入口41aは、前記吸気導入管19のスロットル弁21の下流側に接続されている。またEGR導入管41の導入口41aの上流側近傍には、EGRガスの導入量を制御するEGR逆止弁45が介設されている。このEGR逆止弁45は、EGRガスのサージタンク18への流れのみを許容し、逆方向への流れを阻止する。
前記内燃機関1は、前記各吸気管17に吸気制御弁22をバイパスするよう配設されたバイパス通路30と、各バイパス通路30に介設された吸気逆止弁31とを備えている。
前記各バイパス通路30は、吸気制御弁22の全閉時に、シリンダボア2a内で横渦又は縦渦の空気流が生成するよう吸気を方向付けして噴出させるものであり、前記吸気管17の下側にこれに沿うように形成されている。
前記各バイパス通路30の下流端30aは、前記吸気ポート3dの下流端部に接続されており、上流端部30bは、前記サージタンク16に接続されている。
前記吸気逆止弁31は、吸気の気筒側への流れのみを許容し、逆方向の流れを阻止するリード弁型のものであり、前記上流端部30bのサージタンク18の接続部近傍に配置されている。
前記シリンダヘッド3の燃焼凹部3aには、吸気ポート3dと燃焼室5とを連通する掃気開口3fが形成されている。該掃気開口3fには、掃気用吸気弁33が配設されており、該掃気用吸気弁33は、前記吸気カム軸8により吸気弁6とともに開閉駆動される。
前記掃気用吸気弁33は、気筒軸方向に見て、両吸気弁6,6の間で、かつ吸気弁6の中心を結ぶ直線aより気筒軸線Aから離れる部位、つまりクランク軸直角方向外側に配置されている(図4参照)。また前記掃気用吸気弁33は、前記排気弁7とクランク軸直角方向に対向する位置に配置されている。これにより掃気用吸気弁33は、排気弁7から最も離れた位置に配置されている。
前記バイパス通路30の下流端部は左,右通路30a,30aに分岐され、吸気弁33の弁軸を避けた左,右部分を通って前記掃気用吸気弁33の掃気開口3fとの弁隙間sの前記直線c寄りの内側部分を指向するように配置されている。
前記内燃機関1は、吸気弁6,排気弁7及び掃気用吸気弁33の開閉時期を変化させる可変バルブタイング機構35を備えている。
該可変バルブタイミング機構35は、前記吸気カム軸8を介して各吸気弁6及び掃気用吸気弁33の開閉タイミングを連続的に変化させる吸気側アクチュエータ36と、排気カム軸9を介して排気弁7の開閉タイミングを連続的に変化させる排気側アクチュエータ37と、該各アクチュエータ36,37を運転状態に応じて駆動制御するECU38とを備えている。
前記ECU38は、中負荷時の過給運転域では、図5に示すように、吸気弁6と排気弁7とのオーバーラップ期間をクランク角度で例えば6°程度と小さくするとともに、掃気用吸気弁33については、吸気弁6の開時期よりクランク角度で例えば28°程度先に開くようバルブタイミングを固定する。これにより、排気弁7と掃気用吸気弁33とのオーバーラップ期間がクランク角度で例えば34°と大きくなり、掃気開口3fから流入した圧縮空気により既燃ガスの掃気が行われる。
高負荷時の過給運転域では、図6に示すように、排気弁7の閉じ時期をクランク角度で例えば20°程度遅らせるとともに、掃気用吸気弁33を前記中負荷時と同様に吸気弁6より例えば28°先に開く。これにより排気弁7と掃気用吸気弁33とのオーバーラップ期間が例えば54°と最も大きくなり、新気の充填効率が高くなり、かつ既燃ガスの掃気が効率良く行われる。
アイドリング時を含む極低負時の無過給運転域では、図7に示すように、吸気弁6の開時期を過給運転時より例えば20°程度遅らせるとともに、掃気用吸気弁33を過給運転時より例えば22°程度遅らせる。これにより掃気用吸気弁33と排気弁7とのオーバーラップ期間がクランク角度で12°程度と小さくなり、既燃ガスの吸気側への逆流が抑制される。
前記ECU38は、低,中負荷時の部分負荷運転域では、吸気制御弁22を全閉にする。これにより、バイパス通路30から横渦,縦渦の強い吸気渦流が燃焼室5に噴出される。高負荷運転域では、吸気制御弁11を全開にする。これにより、新気は吸気管17から燃焼室5に供給される。
このように本実施形態によれば、掃気用吸気弁33を各吸気弁6,6の中心を結ぶ直線aより気筒軸線Aから離れる部位、つまり外側に配置し、中,高負荷時の過給運転域では、掃気用吸気弁33を吸気弁6より先に開くようにしたので、排気弁7から最も離れた位置に配置した掃気用吸気弁33が吸気弁6より先に開くことにより、新気の吹き抜けによる排出を抑制しつつ、既燃ガスの掃気を効率よく行うことができる。その結果、圧縮混合気の温度を低くすることができ、耐ノッキング性能及び充填効率を向上でき、ひいては出力性能を向上できる。
さらに適切な点火時期でもって運転することが可能となるので、それだけ排気ガス温度を低くすることができ、触媒への熱負荷を低減でき、品質に介する信頼性を高めることができる。
本実施形態では、前記排気弁7と掃気用吸気弁33とを、直線cと直交する方向に対向するよう配置したので、新気の排出を抑制しつつ、既燃ガスの掃気を効率よく行うことができる。即ち、掃気用吸気弁33と排気弁7とがオーバーラップする期間において、吸気圧力が気筒内圧力より高くなる過給運転域では、掃気用吸気弁33と排気弁7とをできるだけ離すことにより、効率良く掃気を行うことができる。即ち、燃焼室5の対向する位置に掃気用吸気弁33と排気弁7とを対向配置することにより、ピストン4が上死点付近にある排気行程で、新気を排出することなく、既燃ガスを効率よく掃気することができる。
本実施形態では、アンドリング時を含む極低負荷時の無過給運転域では、掃気用吸気弁33を過給運転時の開時期より遅れて開くようにしたので、排気弁7とのオーバーラップ期間が短くなることから、既燃ガスの逆流を抑制でき、燃焼が不安定になるのを防止できる。
即ち、前述のように、掃気が行われる運転域は、吸気圧力が気筒内圧力より高い過給運転域であり、このような運転条件下では、十分なオーバーラップ期間を設けることで、気筒内の既燃ガスを効率よく掃気することができる。ところで、掃気が行われるバルブタイミングでは、特にアイドリング時を含む極低負荷域において、掃気用吸気弁33から多量な既燃ガスが吸気管17側に逆流し、燃焼が不安定となり、場合によっては失火するおそれがある。このような既燃ガスの逆流を防止するために、無過給運転域では、掃気用吸気弁33の開くタイミングを遅らせることで、オーバーラップ期間を減じる制御を行う。この場合、1本の吸気カム軸8で掃気用吸気弁33と吸気弁6とを開閉駆動するので、可変バルブタイミング機構35の構造を簡単にでき、コストの上昇を抑制できる。
本実施形態では、過給運転域では、排気弁7を無過給運転時の閉時期より遅れて閉じるようにしたので、必要なオーバーラップ期間を確保することができ、良好な火炎伝播を維持することができる。
本実施形態では、各吸気管17に吸気制御弁22を設けるとともに、該吸気制御弁22をバイパスするようバイパス通路30を設け、該バイパス通路30により燃焼室5に横渦又は縦渦の吸気流を生成させるようにしたので、過大なオーバーラップ期間を設けることなく、安定した燃焼を行うことが可能となる。即ち、過給運転時の効果を十分に発揮するには、オーバーラップ期間を大きくすることが有効である。しかしながら、オーバーラップ期間を単に大きくすると、部分負荷運転域では、既燃ガスの増加に伴う燃焼の悪化が生じ易くなる。例えば、可変バルブタイミング機構を用いる場合でも、バルブタイミングの可変範囲を大きくする必要があり、制御の遅れが生じ易い。
本実施形態では、吸気管17をバイパスするバイパス通路30を設けたので、燃焼室5内で横渦,縦渦の吸気流が生成されることとなり、点火直前の圧縮混合気に十分なミキシングと強いタービュレンスを得ることができ、効率のよい急速燃焼を行うことができる。これにより、過大なオーバーラップ期間を設けることなく低負荷運転域での燃焼を安定化でき、可変バルブタイミング機構の縮小化も可能となり、制御の応答性を向上できる。
なお、前記実施形態では、可変バルブタイミング機構35により、吸気弁6と排気弁7の両方の開閉タイミングを変化させたが、本発明は、図8に示すように、排気弁の開閉タイミングのみを変化させるようにしてもよい。即ち、吸気弁及び掃気用吸気弁の開閉タイミングを固定し、排気弁を過給運転域では、極低負荷運転域の閉時期よりクランク角度で21度程度遅らせて閉じる。このように、過給運転域では、排気弁7を無過給運転時の閉時期より遅れて閉じることにより、必要なオーバーラップ期間を確保することができ、第1実施形態と同様の効果が得られる。また可変バルブタイミング機構を排気カム軸側に設けるだけで済み、コストを低減できる。
図9,図10は、本発明の第2実施形態による過給機を備えた火花点火式内燃機関を説明するための図である。図中、図1及び図4と同一符号は同一又は相当部分を示す。
本第2実施形態の内燃機関は、燃焼室5の直線cを挟んだ一側に一対の吸気弁6,6を配置し、他側に一対の排気弁7,7を配置するとともに、該各排気弁7と対向するよう掃気吸気弁33を配置し、さらに各燃焼室5に配置された左,右の点火プラグ10b,10cを前記直線cから僅かに排気側に偏位させて配置し、中央の点火プラグを前記直線cから僅かに吸気側に偏位させて配置した例であり、他の部分は第1実施形態と同様の構造である。
第2実施形態においても、掃気用吸気弁33を各吸気弁6,6の中心を結ぶ直線aより外側に配置し、過給運転域では、掃気用吸気弁33を吸気弁6より先に開くことにより、第1実施形態と同様の効果が得られる。
なお、前記第1,第2実施形態では、吸気管17に吸気制御弁22を配設するとともに、該吸気制御弁22をバイパスするバイパス通路30を設けた場合を説明したが、本発明は、図11に示すように、吸気制御弁及びバイパス通路を設けていない内燃機関にも適用できる。
即ち、図11は、本発明の第3実施形態による過給機を備えた火花点火式内燃機関を説明するための図である。図中、図9と同一符号は同一又は相当部分を示す。
本第3実施形態の内燃機関においても、掃気用吸気弁33を各吸気弁6,6の中心を結ぶ直線aより外側に配置し、過給運転域では、掃気用吸気弁33を吸気弁6より先に開くことにより、第1実施形態と同様の効果が得られる。
1 火花点火式内燃機関
5 燃焼室
6 吸気弁
7 排気弁
17 吸気管(吸気通路)
20 エアクリーナ
22 吸気制御弁
30 バイパス通路
33 掃気用吸気弁
35 可変バルブタイミング機構
a 吸気弁を結ぶ直線
c 直線
s 弁隙間
5 燃焼室
6 吸気弁
7 排気弁
17 吸気管(吸気通路)
20 エアクリーナ
22 吸気制御弁
30 バイパス通路
33 掃気用吸気弁
35 可変バルブタイミング機構
a 吸気弁を結ぶ直線
c 直線
s 弁隙間
Claims (5)
- 空気を圧縮して燃焼室に供給する過給機を備えた火花点火式内燃機関であって、
気筒軸線方向に見たとき、前記燃焼室の、気筒軸線を通りクランク軸と平行な直線を挟んだ一側に一対の吸気弁が、他側に排気弁がそれぞれ配設され、
前記各吸気弁の中心を結ぶ直線より前記気筒軸線から離れる部位に、掃気用吸気弁が配設されており、
少なくとも過給運転域では、前記掃気用吸気弁は前記吸気弁より先に開く
ことを特徴とする火花点火式内燃機関。 - 請求項1に記載の火花点火式内燃機関において、
前記排気弁は、気筒軸線を挟んで前記掃気用吸気弁と略対向する位置に配置されている
ことを特徴とする火花点火式内燃機関。 - 請求項1に記載の火花点火式内燃機関において、
前記掃気用吸気弁の開閉タイミングを可変とする吸気可変バルブタイミング機構を備え、
該吸気可変バルブタイミング機構は、前記掃気用吸気弁の無過給運転域での開時期を過給運転域での開時期より遅らせる
ことを特徴とする火花点火式内燃機関。 - 請求項1に記載の火花点火式内燃機関において、
前記排気弁の開閉タイミングを可変とする排気可変バルブタイミング機構を備え、
該排気可変バルブタイミング機構は、前記排気弁の過給運転域での閉時期を無過給運転域での閉時期より遅らせる
ことを特徴とする火花点火式内燃機関。 - 請求項1ないし4の何れかに記載の火花点火式内燃機関において、
前記過給機が配設された吸気通路には、吸気制御弁が配設され、かつ該吸気制御弁をバイパスするバイパス通路が設けられ、
該バイパス通路の下流端開口は、前記掃気用吸気弁と吸気開口との隙間に指向するよう配設されている
ことを特徴とする火花点火式内燃機関。
Priority Applications (1)
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JP2008192480A JP2010031686A (ja) | 2008-07-25 | 2008-07-25 | 火花点火式内燃機関 |
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-
2008
- 2008-07-25 JP JP2008192480A patent/JP2010031686A/ja not_active Withdrawn
Cited By (2)
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JP2018003779A (ja) * | 2016-07-06 | 2018-01-11 | トヨタ自動車株式会社 | 内燃機関の制御装置 |
US10107147B2 (en) | 2016-07-06 | 2018-10-23 | Toyota Jidosha Kabushiki Kaisha | Control device for internal combustion engine |
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