JP2017179665A - ボトム衣類 - Google Patents

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【課題】裾部を有するボトム衣類において、脚部の動き易さの確保及び着崩れの抑制と、腹部周りを包み込む安定感とを両立できるボトム衣類を提供する。【解決手段】このボトム衣類1は、腹部11、左右の臀部上部12,12、及び腰部13を含む衣類上部2と、股部21、左右の鼠径溝部22,22、左右の臀部下部23,23、及び左右の裾部24,24を含む衣類下部3と、を備え、衣類上部2は、二重の伸縮性生地31によって構成され、衣類下部3は、一重の伸縮性生地32によって構成され、二重の伸縮性生地31と一重の伸縮性生地32との境界ラインLが、左右の鼠径溝部22,22の最も高い位置P,Pをそれぞれ通っている。【選択図】図1

Description

本発明は、ボトム衣類に関する。
従来のボトム衣類として、例えば特許文献1に記載のショーツがある。この従来のショーツは、ハイウエスト部とパンティ部とを有している。ハイウエスト部は、弾性糸を編み込んだ二重編地で構成され、パンティ部は弾性糸を編み込んだ一重編地で構成されている。また、例えば特許文献2に記載のタイツでは、パンティ部の左右身頃の上部が強緊締性の二重編地で構成され、パンティ部の左右身頃の下部が脚部上部に至るまで弱緊締性の一重編地で構成されている。また、前身頃において、一重編地と二重編地との間が中緊締性の編地で構成されている。
登録実用新案第3033322号公報 特開平8−188902号公報
上述したようなボトム衣類の着用部位には、着用者の運動による皮膚の伸縮が生じ易い部位と生じ易い部位とが存在している。例えば着用者が腿上げを行った場合、体の正面側では鼠径溝の付近で皮膚が大きく収縮し、体の背面側では臀溝の付近で鼠径溝の2倍程度も皮膚が伸展する。したがって、裾部を有するボトム衣類の下部では、運動時の皮膚の収縮・伸展を考慮し、脚部の動き易さの確保及び着崩れの抑制が必要となる。一方、着用者の腹部及び腰部周りでは、運動による皮膚の収縮・伸展は殆ど生じない。このため、ボトム衣類の上部では、腹部周りを包み込む安定感が求められる。
本発明は、上記課題の解決のためになされたものであり、裾部を有するボトム衣類において、脚部周りの動き易さの確保及び着崩れの抑制と、腹部周りを包み込む安定感とを両立できるボトム衣類を提供することを目的とする。
本発明の一側面に係るボトム衣類は、腹部、左右の臀部上部、及び腰部を含む衣類上部と、股部、左右の鼠径溝部、左右の臀部下部、及び左右の裾部を含む衣類下部と、を備え、衣類上部は、二重の伸縮性生地によって構成され、衣類下部は、一重の伸縮性生地によって構成され、二重の伸縮性生地と一重の伸縮性生地との境界ラインが、左右の鼠径溝部の最も高い位置をそれぞれ通っている。
このボトム衣類では、衣類上部が二重の伸縮性生地によって構成されている。相対的に伸縮パワーが高く且つ伸度が低い二重の伸縮性生地が着用者の腹部周りに宛がわれることで、腹部周りがしっかりと包み込まれ、着用時の安定感が奏される。また、このボトム衣類では、衣類下部が一重の伸縮性生地によって構成され、二重の伸縮性生地と一重の伸縮性生地との境界ラインが、左右の鼠径溝部の最も高い位置をそれぞれ通っている。相対的に伸縮パワーが低く且つ伸度が高い一重の伸縮性生地が運動時に皮膚の収縮が生じ易い鼠径溝の付近と、運動時に皮膚の伸展が生じ易い臀溝の付近とに宛がわれることで、脚部の動き易さの確保及び着崩れの抑制を実現できる。
また、衣類背面側において、左右の臀部上部同士は、衣類上部及び衣類下部の後中心に沿う接ぎ線で接合されており、境界ラインと接ぎ線との交点が、股部よりも上方に位置していてもよい。この構成によれば、接ぎ線が二重の伸縮性生地及び一重の伸縮性生地の伸縮の起点となることで、周方向への生地の伸縮が安定する。したがって、着用時の安定感を一層高められる。
また、ボトム衣類は、衣類上部の上縁において、二重の伸縮性生地の折返部を有していてもよい。この構成によれば、二重の伸縮性生地のうち、肌側の方の生地が着用時に人体に密着し、衣類上部の上縁に位置する折返部を肌側に引っ張るように作用する。したがって、腹部周り及び腰部周りの着崩れを効果的に抑制できる。
また、衣類正面側において、境界ラインは、左右の鼠径溝部の最も高い位置同士を結ぶように直線状に延びていてもよい。このような構成は、編み機を用いた袋編みによって二重の伸縮性生地を構成する場合に有用である。
また、衣類正面側において、境界ラインは、前記左右の鼠径溝部の少なくとも一部に沿うように延びていてもよい。このような構成は、一重の伸縮性生地を折り返し、折り返し部分の先端を折り返し元に縫着して二重の伸縮性生地を構成する場合に有用である。
本発明によれば、裾部を有するボトム衣類において、脚部の動き易さの確保及び着崩れの抑制と、腹部周りを包み込む安定感とを両立できる。
ボトム衣類の正面図である。 ボトム衣類の背面図である。 (a)(b)は、いずれも衣類上部及び衣類下部の概略断面図である。 ボトム衣類の着用状態を示す正面図である。 ボトム衣類の着用状態を示す背面図である。 ボトム衣類の変形例を示す正面図である。
以下、図面を参照しながら、本発明の一側面に係るボトム衣類の好適な実施形態について詳細に説明する。なお、以下の説明では、便宜上、ボトム衣類の着用状態を想定して「上」「下」等の用語を使用する。
図1は、ボトム衣類の正面図である。また、図2は、その背面図である。図1及び図2に示すボトム衣類1は、例えば妊婦用ショーツとして構成されており、通常のショーツとしての機能に加えて、妊婦の腹部を包み込んで保持する機能を有している。ボトム衣類1は、腹部の保持部として機能する衣類上部2と、ショーツとして機能する衣類下部3とを備えている。
衣類上部2は、着用者の腹部に宛がわれる腹部11、着用者の臀部上側に宛がわれる左右の臀部上部12,12、及び着用者の腰部に宛がわれる左右の腰部13,13を含んで構成されている。衣類正面側の腹部11と、衣類背面側の臀部上部12,12及び腰部13,13とは、衣類両脇側で互いに連続し、着用者の胴回りを包囲するように筒状をなしている。本実施形態では、衣類上部2が着用者の胴回りを臍部よりも上方の位置まで覆う、いわゆるハイウエストタイプのボトム衣類1となっている。また、衣類上部2の両脇側の外形は、人体における腹部・腰部のくびれ形状に合わせて緩やかに凹状に湾曲していてもよい。
左右の臀部上部12,12同士及び左右の腰部13,13同士は、図2に示すように、衣類上部2及び衣類下部3の後中心に沿う接ぎ線14によって互いに縫着されている。接ぎ線14は、衣類背面側において、衣類上部2の上縁部2aと股部21の上縁部21bとを結ぶように、縦方向(上下方向)に一直線状に形成されている。
一方、衣類下部3は、着用者の股間に宛がわれる股部21、着用者の鼠径溝付近に宛がわれる左右の鼠径溝部22,22、着用者の臀部下側に宛がわれる左右の臀部下部23,23、及び着用者の大腿部に宛がわれる左右の裾部24,24を含んで構成されている。本実施形態では、衣類下部3において、着用者の下腹部に宛がわれる略逆二等辺三角形状の鼠径部25が設けられており、左右の鼠径溝部22,22は、鼠径部25の一部となっている。鼠径部25、左右の臀部下部23,23、及び左右の裾部24,24は、衣類正面側及び衣類両脇側で互いに連続し、全体として、着用者の股間周りを包むように筒状をなしている。
股部21は、衣類下部3の中央部分において、衣類正面側から衣類背面側にかけて延在し、鼠径部25、左右の臀部下部23,23、及び左右の裾部24,24に対して縫着されている。左右の鼠径溝部22,22は、略逆二等辺三角形状の鼠径部25の斜辺部分に相当している。左右の鼠径溝部22,22は、衣類正面側において、着用者の鼠径溝に沿うように、衣類脇側と股部21の上縁部21aとを結ぶように直線状に延びている。
左右の臀部下部23,23同士は、図2に示すように、衣類上部2及び衣類下部3の後中心に沿う接ぎ線14によって互いに縫着されている。左右の裾部24,24は、左右の鼠径溝部22,22及び左右の臀部下部23,23からそれぞれ下方に延びている。裾部24の長さ(すなわち丈の長さ)は、特に制限はないが、裾部24の下縁部24aが股部21の最下点よりも下方に位置する長さとなっている。
次に、上述した衣類上部2及び衣類下部3の生地構成について説明する。
ボトム衣類1では、図3に示すように、衣類上部2は、二重の伸縮性生地31によって構成され、衣類下部3は、一重の伸縮性生地32によって構成されている。つまり、ボトム衣類1では、腹部11、臀部上部12、及び腰部13がいずれも二重の伸縮性生地31によって構成され、股部21、鼠径溝部22を含む鼠径部25、臀部下部23、及び裾部24がいずれも一重の伸縮性生地32によって構成されている。
本実施形態では、一重の伸縮性生地32及び二重の伸縮性生地31は、同一の生地となっている。一重の伸縮性生地32及び二重の伸縮性生地31に用いる生地としては、例えば緯編機によって編成される天竺、フライス等の横編地、丸編地、経編機によって編成されるトリコット等の経編地が挙げられる。
二重の伸縮性生地31及び一重の伸縮性生地32は、例えば図3(a)に示すように、一重の伸縮性生地32を折り返し、折り返し部分の先端32aを折り返し元に縫着することによって形成される。これにより、二重の伸縮性生地32は、衣類正面側から衣類背面側にかけて連続する袋状となっている。すなわち、二重の伸縮性生地32における肌側の方の生地と外側の方の生地とは、二重の伸縮性生地32の上縁、下縁、及び接ぎ線14を除いて互いにフリーな状態となっている。また、一重の伸縮性生地32及び二重の伸縮性生地31は、例えば図3(b)に示すように、編み機を用いた袋編みによって連続的に形成してもよい。袋編みによって二重の伸縮性生地31を形成する場合、縫着の手間が省かれるため、ボトム衣類1の製造工程の簡素化が図られる。
いずれの場合も、二重の伸縮性生地31の折返部33は、衣類上部2の上縁部2aに位置することとなる。このような始末は、いわゆるワサ始末と称され、テープなどを用いて上縁部2aの始末を行う場合と比べて、着用時の腹部周り及び腰部周りの締め付け感を低減することが可能となる。
ボトム衣類1では、図1及び図2に示すように、一重の伸縮性生地32及び二重の伸縮性生地31の境界ラインLが、左右の鼠径溝部22,22の最も高い位置P,Pをそれぞれ通っている。この位置Pは、ボトム衣類1の側中心上に位置しており、着用時において着用者の大転子の位置付近に宛がわれる。
本実施形態では、境界ラインLは、衣類正面側及び衣類背面側のいずれにおいても、左右の鼠径溝部22,22の最も高い位置P,Pを最短で結ぶように横方向(水平方向)に一直線状に連続している。また、図2に示すように、衣類背面側において、境界ラインLと接ぎ線14との交点Qは、股部21の上縁部21bよりも上方に位置している。この交点Qの位置は、着用時において着用者の尾てい骨の位置に宛がわれる。
図4は、ボトム衣類の着用状態を示す正面図である。また、図5は、その背面図である。上述したように、ボトム衣類1では、衣類上部2が二重の伸縮性生地31によって構成されている。伸縮性生地が二重であることで、二重の伸縮性生地31は、一重の伸縮性生地32に対して伸縮パワーが高く且つ伸度が低くなる。このように、相対的に伸縮パワーが高く且つ伸度が低い二重の伸縮性生地が着用者の腹部周りに宛がわれることで、腹部周りがしっかりと包み込まれ、着用時の安定感が奏される。
一方、ボトム衣類1では、衣類下部3が一重の伸縮性生地32によって構成されている。また、二重の伸縮性生地31と一重の伸縮性生地32との境界ラインLが、左右の鼠径溝部22,22の最も高い位置P,Pをそれぞれ通っている。伸縮性生地が一重であることで、一重の伸縮性生地32は、二重の伸縮性生地31に対して伸縮パワーが低く且つ伸度が高くなる。
境界ラインLが、左右の鼠径溝部22,22の最も高い位置P,Pをそれぞれ通るように一直線状に連続していることで、相対的に伸縮パワーが低く且つ伸度が高い一重の伸縮性生地32が、運動時に皮膚の収縮が生じ易い鼠径溝の付近(図4における領域A)と、運動時に皮膚の伸展が生じ易い臀溝の付近(図5における領域B)とにそれぞれ宛がわれる。したがって、生地の薄さと伸度の高さにより、脚部の動き易さの確保及び着崩れの抑制を実現できる。
また、ボトム衣類1では、衣類背面側において、左右の臀部上部12,12同士が衣類上部2及び衣類下部3の後中心に沿う接ぎ線14で接合され、境界ラインLと接ぎ線14との交点Qが、股部21の上縁部21bよりも上方に位置している(図2参照)。この構成によれば、接ぎ線14の位置で伸縮性生地が留められるため、接ぎ線14が二重の伸縮性生地31及び一重の伸縮性生地32の伸縮の起点となり、周方向(横方向)への生地の伸縮が安定する。したがって、ボトム衣類1の着用時の安定感を一層高められる。
また、ボトム衣類1では、図3に示したように、衣類上部2の上縁部2aにおいて、二重の伸縮性生地31の折返部33が位置している。この構成によれば、二重の伸縮性生地31のうち、肌側の方の生地が着用時に人体に密着し、衣類上部2の上縁部2aに位置する折返部33を肌側に引っ張るように作用する。この引っ張り力が着用時に折返部33に常に加わることにより、衣類上部2の上縁部2aが外側に折れることを防ぎ、腹部周り及び腰部周りの着崩れを効果的に抑制できる。ボトム衣類1では、別々の2枚の伸縮性生地を縫着して二重の伸縮性生地31を構成するのではなく、衣類上部2の上縁部2aに折返部33が位置している。このため、肌側の方の生地からの引っ張り力の伝達がより確実なものとなる。
本発明は、上記実施形態に限られるものではない。例えば上記実施形態では、境界ラインLが左右の鼠径溝部22,22の最も高い位置P,Pを最短で結ぶように横方向(水平方向)に一直線状に連続しているが、境界ラインLは、必ずしも一直線状でなくてもよく、上方或いは下方に向かって緩やかに湾曲していてもよい。衣類背面側の接ぎ線14は、必ずしも形成されていなくてもよい。
また、境界ラインLは、左右の鼠径溝部22,22の少なくとも一部に沿うように延びていてもよい。この場合、例えば図6に示すように、境界ラインLは、衣類正面側において、左右の鼠径溝部22,22の脇側部分に沿うように一定の長さで傾斜して直線状に延びる左右の脇側部分La,Laと、左右の脇側部分La,Laの下端同士を最短で結ぶように横方向(水平方向)に直線状に延びる中央部分Lbとを有していてもよい。
このような構成によれば、着用者の鼠径溝を挟んで上側に二重の伸縮性生地31が宛がわれ、下側に一重の伸縮性生地32が宛がわれる。このため、脚部の動き易さを確保しつつ、ボトム衣類1の着用時の安定感が高められる。なお、境界ラインLを一直線状以外の形状で形成する場合には、図3(a)に示したように、一重の伸縮性生地32を折り返し、折り返し部分の先端を折り返し元に縫着する手法を用いることが好適である。
また、上記実施形態では、ボトム衣類として妊婦用のショーツを例示したが、本発明は、男性用・女性用を問わず、裾部の長さを更に伸ばしたロングタイプのパンツ、タイツ、ステテコといった他のボトム衣類にも適用可能である。また、衣類上部が着用者の胴回りを臍部よりも上方の位置まで覆う、いわゆるハイウエストタイプのボトム衣類であってもよい。
1…ボトム衣類、2…衣類上部、3…衣類下部、11…腹部、12…臀部上部、13…腰部、14…接ぎ線、21…股部、22…鼠径溝部、23…臀部下部、24…裾部、31…二重の伸縮性生地、32…一重の伸縮性生地、33…折返部、L…境界ライン、P…鼠径溝部の最も高い位置、Q…交点。

Claims (5)

  1. 腹部、左右の臀部上部、及び腰部を含む衣類上部と、
    股部、左右の鼠径溝部、左右の臀部下部、及び左右の裾部を含む衣類下部と、を備え、
    前記衣類上部は、二重の伸縮性生地によって構成され、
    前記衣類下部は、一重の伸縮性生地によって構成され、
    前記二重の伸縮性生地と前記一重の伸縮性生地との境界ラインが、前記左右の鼠径溝部の最も高い位置をそれぞれ通っているボトム衣類。
  2. 衣類背面側において、
    前記左右の臀部上部同士は、前記衣類上部及び前記衣類下部の後中心に沿う接ぎ線で接合されており、
    前記境界ラインと前記接ぎ線との交点が、前記股部よりも上方に位置している請求項1記載のボトム衣類。
  3. 前記衣類上部の上縁において、前記二重の伸縮性生地の折返部を有している請求項1又は2記載のボトム衣類。
  4. 衣類正面側において、
    前記境界ラインは、前記左右の鼠径溝部の最も高い位置同士を結ぶように直線状に延びている請求項1〜3のいずれか一項記載のボトム衣類。
  5. 衣類正面側において、
    前記境界ラインは、前記左右の鼠径溝部の少なくとも一部に沿うように延びている請求項1〜3のいずれか一項記載のボトム衣類。
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