JP2017179654A - 難燃性ポリエステル繊維およびその製造方法 - Google Patents
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Abstract
Description
特許文献6には、ポリエステル繊維の製法として、あらかじめ(1)式の難燃剤の濃度を任意に調整したポリエステル組成物を溶融紡糸することが記載されているが、この方法では、後からの濃度の調整が効かず、最適な難燃剤濃度を決めるために、都度、ポリエステル組成物の作成に遡って検討する必要があり、効率的ではなかった。
すなわち、本発明によれば、発明の課題は、下記により達成される。
(ア)有機純度が97.0%以上100%以下
(イ)塩素含有量が0ppmを超え1000ppm以下
(ウ)pH変動値(ΔpH)が0以上1.0以下
(エ)残存溶媒量が0ppmを超え1000ppm以下
<4>リン原子化合物が1000〜16000ppmとなるように下記一般式(1)で表されるリン化合物が配合されている固有粘度が0.5〜1.3dL/gのポリエステル組成物を溶融紡糸法により紡糸速度が800〜4000m/分で引き取り、紡糸後の総延伸倍率が2.5〜6.0倍であることを特徴とする<1>〜<3>のいずれか1項に記載のポリエステル繊維の製造方法。
<5>リン原子含有量が7500〜45000ppmとなるように一般式(1)で表されるリン化合物が配合されている0.4〜0.6dl/gのポリエステル組成物を、任意のポリエステル樹脂と、リン原子含有量が1000〜16000ppmになるようにブレンドし、さらに溶融紡糸時に樹脂総重量に対して0.005wt%〜1.5wt%の鎖伸長剤を添加した上で溶融紡糸法により、紡糸速度が800〜4000m/分でひきとり、紡糸後の総伸倍率が2.5〜6.0倍であることを特徴とする<1>〜<3>のいずれか1項に記載のポリエステル繊維の製造方法。
<6>リン原子含有量が7500〜45000ppmとなるように一般式(1)で表されるリン化合物と、樹脂総重量に対して0.005wt%〜1.5wt%の鎖伸長剤が配合されている0.4〜0.6dlg/gのポリエステル組成物を、任意のポリエステル樹脂と、リン原子含有量が1000〜16000ppmになるようにブレンドした上で溶融紡糸法により、紡糸速度が800〜4000m/分でひきとり、紡糸後の総伸倍率が2.5〜6.0倍であることを特徴とする<1>〜<3>のいずれか1項に記載のポリエステル繊維の製造方法。
<8><7>に記載の繊維構造体が、糸、編物、不織布、織物、およびその他の繊維構造体からなる群より選ばれる少なくとも1種の構造物であることを特徴とする繊維構造体。
(ポリエステル樹脂)
本発明の難燃性ポリエステル繊維製造に用いるポリエステル樹脂としては、芳香族ジカルボン酸またはそのエステル形成性誘導体と、ジオールおよびそのエステル形成性誘導体とを主たる出発原料として得られるポリエステルを主とするものである。ジカルボン酸またはそのエステル形成性誘導体として、具体的には、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、2,7−ナフタレンジカルボン酸、1,5−ナフタレンジカルボン酸、4,4−ジフェニルジカルボン酸、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、5−ナトリウムスルホイソフタル酸、5−カリウムスルホイソフタル酸、5−テトラブチルホスホニウムスルホイソフタル酸、アントラセンジカルボン酸、フェナントレンジカルボン酸、ジフェニルエーテルジカルボン酸、ジフェニルスルホンジカルボン酸、ベンゾフェノンジカルボン酸、ジフェノキシエタンジカルボン酸、シクロヘキサンジカルボン酸、デカリンジカルボン酸、トリシクロデカンジカルボン酸等のジカルボン酸及びそのエステル形成性誘導体などをあげることができる。エステル形成性誘導体としては、上記のジカルボン酸のジメチルエステル、ジエチルエステル、ジプロピルエステル、ジブチルエステル、ジペンチルエステル、ジヘキシルエステル、ジフェニルエステル、ジカルボン酸の酸ハロゲン化物をあげることができる。これらの化合物の1種または2種以上を併用してもよいが、テレフタル酸またはそのエステル形成性誘導体を用いることが好ましく、より好ましくは、テレフタル酸またはそのエステル形成性誘導体を得られるポリエステルにおける全ジカルボン酸成分に対して80モル%以上を用いることが耐熱性の点から好ましい。
本発明の難燃ポリエステル繊維に用いるリン系難燃剤として、下記一般式(1)で示されるリン化合物を使用する。
ペンタエリスリトールに三塩化リンを反応させ、次いでターシャリーブタノールにより酸化させた反応物を、ナトリウムメトキシドにより処理し、ベンジルブロマイドを反応させることにより得ることができる。また別法としては、ペンタエリスリトールに三塩化リンを反応させ、得られた生成物とベンジルアルコールの反応生成物を触媒共存下で加熱処理する事により得られる。
△pH=|pH1−pH2| ・・・・・・(α)
すなわち、pH変動値(△pH)とは上記のpH1とpH2の差の絶対値である。
鎖伸長剤とは、ポリエステルの製造・加工過程において、熱や外力によってポリエステルの分子鎖が短くなり粘度が低下し、製品の加工性や強度が落ちることを抑制するために、ポリエステル分子の末端同士をつないでみかけのポリエステル分子鎖の長さを維持するという目的で添加される物質である。ポリエステル分子の末端基は、カルボキシル基もしくは、ヒドロキシル基となっていることが多いため、本発明に用いる鎖伸長剤としては、カルボキシル基またはヒドロキシル基と反応する反応性官能基を有する化合物であることが好ましい。具体的には、ポリエステルの末端官能基と鎖延長を伴う反応性を有する官能基、例えばイソシアネート基、エポキシ基、カルボジイミド基、オキサゾリン基、メラミン構造、シランカップリング剤などが挙げられる。
カルボジイミド基含有化合物は、環状構造を有する化合物も好適に使われる。
芳香族基として、それぞれへテロ原子を含んで複素環構造を持っていてもよい、炭素数5〜15のアリーレン基、炭素数5〜15のアレーントリイル基、炭素数5〜15のアレーンテトライル基が挙げられる。アリーレン基(2価)として、フェニレン基、ナフタレンジイル基などが挙げられる。アレーントリイル基(3価)として、ベンゼントリイル基、ナフタレントリイル基などが挙げられる。アレーンテトライル基(4価)として、ベンゼンテトライル基、ナフタレンテトライル基などが挙げられる。これらの芳香族基は置換基を含んでいてもよく、置換基として、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数6〜15のアリール基、ハロゲン原子、ニトロ基、アミド基、ヒドロキシル基、エステル基、エーテル基、アルデヒド基などが挙げられる。
R1およびR2は各々独立に、それぞれヘテロ原子ならびに置換基を含んでいてもよい、2〜4価の炭素数1〜20の脂肪族基、2〜4価の炭素数3〜20の脂環族基、およびこれらの組み合わせ、またはこれら脂肪族基、脂環族基と2〜4価の炭素数5〜15の芳香族基の組み合わせである。
X1およびX2は各々独立に、それぞれヘテロ原子ならびに置換基を含んでいてもよい、2〜4価の炭素数1〜20の脂肪族基、2〜4価の炭素数3〜20の脂環族基、2〜4価の炭素数5〜15の芳香族基、またはこれらの組み合わせである。
X3は、それぞれヘテロ原子ならびに置換基を含んでいてもよい、2〜4価の炭素数1〜20の脂肪族基、2〜4価の炭素数3〜20の脂環族基、2〜4価の炭素数5〜15の芳香族基、またはこれらの組み合わせである。
Yは、単結合、二重結合、原子、原子団またはポリマーである。Yは結合部であり、複数の環状構造がYを介して結合し、式(7)で表される構造を形成している。かかる環状カルボジイミド化合物(7)としては、下記化合物が挙げられる。
Z1およびZ2は各々独立に、単結合、二重結合、原子、原子団またはポリマーである。Z1およびZ2は結合部であり、複数の環状構造がZ1およびZ2を介して結合し、式(8)で表される構造を形成している。かかる環状カルボジイミド化合物(8)としては、下記化合物が挙げられる。
またオキサゾリン化合物としては、オキサゾリン基を含有する重合体が好ましい。このような重合体は、付加重合性オキサゾリン基含有モノマー単独もしくは他のモノマーとの重合によって作成できる。付加重合性オキサゾリン基含有モノマーは、2−ビニル−2−オキサゾリン、2−ビニル−4−メチル−2−オキサゾリン、2−ビニル−5−メチル−2−オキサゾリン、2−イソプロペニル−2−オキサゾリン、2−イソプロペニル−4−メチル−2−オキサゾリン、2−イソプロペニル−5−エチル−2−オキサゾリン等を挙げることができ、これらの1種または2種以上の混合物を使用することができる。これらの中で2−イソプロペニル−2−オキサゾリンが工業的にも入手しやすく好適であり、オキサゾリン基の重合体における含有量が1〜10ミリモル/gとなる割合で共重合することが接着性の点から好ましい。他のモノマーは、付加重合性オキサゾリン基含有モノマーと共重合可能なモノマーであれば制限なく、例えばアルキルアクリレート、アルキルメタクリレート(アルキル基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、t−ブチル基、2−エチルヘキシル基、シクロヘキシル基)等のア(メタ)クリル酸エステル類;アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、マレイン酸、フマール酸、クロトン酸、スチレンスルホン酸及びその塩(ナトリウム塩、カリウム塩、アンモニウム塩、第三級アミン塩等)等の不飽和カルボン酸類;アクリロニトリル、メタクリロニトリル等の不飽和ニトリル類;アクリルアミド、メタクリルアミド、N−アルキルアクリルアミド、N−アルキルメタクリルアミド、N、N−ジアルキルアクリルアミド、N、N−ジアルキルメタクリレート(アルキル基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、t−ブチル基、2−エチルヘキシル基、シクロヘキシル基等)等の不飽和アミド類;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル等のビニルエステル類;メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル等のビニルエーテル類;エチレン、プロピレン等のα−オレフィン類;塩化ビニル、塩化ビニリデン、フッ化ビニル等の含ハロゲンα、β−不飽和モノマー類;スチレン、α−メチルスチレン等のα、β−不飽和芳香族モノマー等を挙げることができ、これらの1種または2種以上のモノマーを使用することができる。
ここで、溶融紡糸した未延伸糸を延伸する際に、トータル延伸倍率(総延伸倍率)が2.5〜6.0倍の範囲内となるように設定すれば、最終的に得られる繊維の引張強度を高い水準にて達成させることができると共に、延伸工程における断糸率も低く、生産性が更に向上する。該トータル延伸倍率は更に好ましくは2.8〜5.5倍の範囲であり、特に好ましくは3.0〜5.0倍の範囲である。該延伸工程は一段延伸のみでも、また二段以上の延伸段階を経ても良く、例えば二段延伸する方法を採用する場合は一段目の延伸倍率を2.0〜5.5倍、二段目の延伸倍率を1.0〜2.0倍程度とし、トータル延伸倍率を2.5〜6.0倍に調整すればよい。
このような操作にて製造された本発明のポリエステル繊維は、その破断引張強度が2.0〜6.5cN/dtex、好ましくは2.1〜6.1cN/dtex、より好ましくは2.2〜6.0cN/dtex、更に好ましくは3.0〜5.8cN/dtexである。またポリエステル繊維の破断伸度が20〜80%、好ましくは22〜75%、より好ましくは24〜73%、更に好ましくは25〜50%である。更に、(破断引張強度)×(破断伸度)0.5=(破断引張強度)√(破断伸度)で計算されるタフネスが19.0〜30.0、好ましくは19.5〜29.7、より好ましくは19.6〜29.5、更に好ましくは20.5〜28.0である。
カラムは野村化学(株)製Develosil ODS−7 300mm×4mmφを用い、カラム温度は40℃とした。溶媒としてはアセトニトリルと水の6:4(容量比)の混合溶液を用い、5μLを注入した。検出器はUV−264nmを用いた。測定結果より、面積比をもって有機純度とした。
ASTM D5808に準拠し、燃焼法にて分析を行い、滴定法にて検出した。
蒸留水99gと分散剤(エタノール)1gを混合し、1分間撹拌後、pH計にてpHを測定する(得られたpH値を「pH1」とする)。前記蒸留水と分散剤の混合溶液に、前記の有機リン化合物1gを添加し、1分間撹拌する。撹拌後の混合物を濾過し、濾液のpHをpH計にて測定する(得られたpH値を「pH2」とする)。△pHは下記式(α)により算出した。
△pH=|pH1−pH2| ……(α)
カラムは野村化学(株)製Develosil ODS−7 300mm×4mmφを用い、カラム温度は40℃とした。溶媒としてはアセトニトリルと水の6:4(容量比)の混合溶液を用い、5μLを注入した。検出器はUV−264nmを用いた。別途作成した検量線を用い、残存溶媒量を算出した。
JIS−K−7201に準拠して行った。数値が高いほど難燃性に優れる。
固有粘度数は、チップまたはポリエステル繊維サンプルを一定量計量し、o−クロロフェノールに0.012g/mlの濃度に溶解した後、一旦冷却させ、その溶液をウベローデ式粘度計を用いて35℃の温度条件で測定した溶液粘度から算出した。
筒状にした編物から蛍光X線(理学製、Rataflex RU200)で定法により測定した。
本発明により得られたポリエステル繊維を構成するポリエステルの一次構造は、ポリエステル繊維サンプルをヘキサフルオロイソプロパノールに溶解し、日本電子製JEOLA−600を用いて1H−NMRを測定し、得られたスペクトルから帰属した。また配合されているリン化合物は、ポリエステル繊維サンプルをヘキサフルオロイソプロパノール等の良溶媒に溶解し、ジメチルホルムアミド(DMF)等の貧溶媒にて再沈処理を行い、溶液成分からリン化合物を抽出し、同様に1H−NMRを測定し、得られたスペクトルから帰属し、化学構造を特定した。
日本工業規格、JIS L1013:1999 8.5に記載の方法に準拠して破断引張強度、伸度(破断伸度)の測定を行った。更に下記式により、破断引張強度と伸度からタフネスを求めた。タフネスは、簡易的にポリエステル繊維の破壊強度のエネルギーを表す指標となりうる。繊度はJIS L1013:1999 8.3に記載の方法に準拠して測定を行った。
(タフネス)=(破断引張強度:cN/dtex)×√(破断伸度:%)=(破断引張強
度)×(破断伸度)0.5
得られたポリエステル組成物からなるポリエステル繊維を、窒素雰囲気下、200℃でベンジルアルコールに溶解させた後、滴定法により、ポリエステル重量1t当りの当量数として、末端カルボキシル基量(当量/106g=eq/T)を測定した。
紡糸性は、紡糸時の糸切れの回数によって評価できる。
パックから糸状に樹脂が出始めた時点を起点(0分)とし、60分間で何回、糸切れが発生したかをカウントする。糸切れの回数が0〜1回を紡糸性良好(○)とし、2〜5回を紡糸性不安定(△)、6回以上を紡糸不可(×)として、評価した。2〜5回を紡糸性不安定(△)とした理由は、紡糸条件の変更で改善する可能性があるからである。
鎖伸長剤がイソシアネート基、カルボジイミド基、オキサゾリン基、メラミン構造を有する場合には、ポリエステル繊維の蛍光X線測定を行い、窒素原子含有量を測定・評価することにより、シランカップリング剤を用いている場合には、同じくポリエステル繊維の蛍光X線測定を行い、ケイ素原子含有量を測定・評価することにより、定量した。
鎖伸長剤がエポキシ基含有化合物である場合、ポリエステル繊維サンプルを重トリフルオロ酢酸と重クロロホルムの1:1の混合溶媒(体積比)約0.6mLに溶解し、1H−NMR測定を行った。得られたスペクトルからアルキル基の帰属とされるδ=0.6〜2.0ppmのピーク群の積分値より繊維中の存在量を定量した。
ウンデカン,3,9−ジベンジル−3,9−ジオキサイド(FR−1)の製造
攪拌機、温度計、コンデンサーを有する反応容器に、3,9−ジベンジロキシ−2,4,8,10−テトラオキサ−3,9−ジホスファスピロ[5.5]ウンデカン22.55g(0.055モル)、ベンジルブロマイド19.01g(0.11モル)およびキシレン33.54g(0.32モル)を充填し、室温下攪拌しながら、乾燥窒素をフローさせた。次いでオイルバスで加熱を開始し、還流温度(約130℃)で4時間加熱、攪拌した。加熱終了後、室温まで放冷し、キシレン20mLを加え、さらに30分攪拌した。析出した結晶をろ過により分離し、キシレン40mLで2回洗浄した。得られた粗精製物とメタノール50mLをコンデンサー、攪拌機を備えた反応容器に入れ、約3時間還流した。室温まで冷却後、結晶をろ過により分離し、メタノール20mLで2回洗浄した後、得られたろ取物を120℃、1.33×102Paで20時間乾燥し、白色の鱗片状結晶を得た。生成物は質量スペクトル分析、1H、31P核磁気共鳴スペクトル分析および元素分析でビスベンジルペンタエリスリトールジホスホネートであることを確認した。収量は19.76g、収率は88%、31P−NMR純度は99%であった。また、本文記載の方法で測定した有機純度は99.5%であった。塩素含有量は51ppmであった。△pHは0.1であった。残留溶媒量は47ppmであった。
キシレン40mlで2回洗浄とメタノール還流洗浄の操作を省略した他は、調製例1と同様の調製方法にて調製した。
収量は21.33g、収率は95%、31P−NMR純度は95%であった。また、本文記載の方法で測定した有機純度は94.0%であった。塩素含有量は2500ppmであった。△pHは1.5であった。残留溶媒量は1100ppmであった。
[鎖伸長剤]
CE−1;BASF社製 エポキシ基含有アクリル−スチレン共重合体、商品名:ADR4300−S
CE−2;帝人株式会社製 環状カルボジイミド基含有化合物
下記の化学構造式で表される化合物であり、以下に示す操作により環状カルボジイミド化合物を製造し、化合物同定を以下の操作により行った。
合成した環状カルボジイミド化合物は1H−NMR、13C−NMRによって確認した。NMRは日本電子(株)製JNR−EX270を使用した。溶媒は重クロロホルムを用いた。
合成した環状カルボジイミド化合物のカルボジイミド骨格の有無は、FT−IRによりカルボジイミドに特徴的な2100〜2200cm−1の確認を行った。FT−IRはサーモニコレー製Magna−750を使用した。
表1に記載の種類とIV(固有粘度)を有するポリエステルとリン化合物と鎖伸長剤(CE−1、CE−2(上記のCC2))を表1記載の量(ポリエステル繊維の重量を100%とした場合の重量%)で配合し、ベント付き二軸押出機により、230℃で溶融混練し、表1に記載の固有粘度のポリエステル組成物を得た(難燃ポリエステル組成物)。このポリエステル組成物を雰囲気温度250〜280℃中に口金より紡出せしめ、引取り速度1000m/分で引き取った。引き続き1段、または2段で4.0±0.5倍になるように延伸し、80〜88デシテックスのフィラメントを得た。このフィラメントヤーンの各物性を表2に示した。結果を表1および表2に示した。実施例1におけるLOI値は25.5であった。
IVが0.684dL/gのPETを用いること、酸化チタンをポリエステル組成物の重量当たり0.3wt%添加すること、鎖伸長剤の配合量を0.1重量%とすること以外は実施例1と同様にして難燃ポリエステル組成物を得て、繊維を得た。結果を表1および表2に示した。
リン化合物の配合量を10wt%に増加し、鎖伸長剤を配合しない以外は実施例1と同様にして難燃ポリエステル組成物を得て、繊維を得た。各物性を表1に示し、結果を表1および表2に示した。
リン化合物の配合量を5wt%に変更した以外は比較例2と同様にして難燃ポリエステル組成物を得て、繊維を得た。各物性を表1に示し、結果を表1および表2に示した。
IVが0.600dL/gのPETを用いること、更にリン化合物の配合量を10wt%に増加し、鎖伸長剤の配合量を0.1重量%に変更すること以外は実施例1と同様にして難燃ポリエステル組成物を得て、繊維を得た。各物性を表1に示し、結果を表1および表2に示した。
リン化合物および鎖伸長剤を配合しない以外は実施例1と同様にして難燃ポリエステル組成物を得て、繊維を得た。各物性を表1に示し、結果を表1および表2に示した。
表1記載の種類とIV(固有粘度)が0.900のポリエステルとリン化合物と鎖伸長剤を表1に記載の量(ポリエステル組成物の重量を100%とした場合の重量%)で配合し、ベント付き二軸押出機により、230℃で溶融混練し、表1に記載の固有粘度が0.572のポリエステル組成物を得た(難燃ポリエステル組成物、参考例1のマスターチップと称する。)。
参考例1に記載のマスターチップと、表1に記載の種類とIV(固有粘度)を有するポリエステルをドライブレンドし、雰囲気温度250〜280℃中に口金より紡出せしめ、引取り速度1000m/分で引き取った。引き続き1段、または2段で4.0±0.5倍になるように延伸し、80〜85デシテックスのフィラメントを得た。このフィラメントヤ−ンの各物性を表2に示す。このフィラメントヤ−ンを用いて筒編を作製し、LOI値を測定した。LOIは25であった。結果を表1および表2に示した。
参考例1において、鎖伸長剤を配合しない以外は、参考例1と同様の操作にて、表1に記載の固有粘度が0.521のポリエステル組成物を得た(難燃ポリエステル組成物、参考例2のマスターチップと称する。)。
参考例2に記載のマスターチップと、表1に記載の種類とIV(固有粘度)を有するポリエステル、さらに鎖伸長剤を表1記載の量(重量部)でドライブレンドした後、雰囲気温度250〜280℃中に口金より紡出せしめ、引取り速度1000m/分で引き取った。引き続き1段、または2段で4.0±0.5倍になるように延伸し、80〜85デシテックスのフィラメントを得た。このフィラメントヤ−ンの各物性を表2に示す。このフィラメントヤ−ンを用いて筒編を作製し、LOI値を測定した。LOIは25.0であった。結果を表1および表2に示した。
上記の実施例1で得られた繊維を下記操作に沿って各種の繊維構造体を製造し、LOI評価を行った。結果を表3に示した。
(織物)
実施例1で得られたポリエステル繊維を経糸および緯糸に全量を配し、通常の製織方法により平組織の織物を得た。
(編物)
実施例1で得られたポリエステル繊維を、フロント筬、ミドル筬、バック筬に用い、通常の経編機を使用して編物を得た。
(不織布)
実施例1で得られた難燃ポリエステル組成物を250〜280℃で溶融紡糸し、エジェクターで高速で引き取った長繊維を、移動するネットコンベア上に連続的に供給して搬送し、エンボスローラで熱圧着(100〜200℃)し、長繊維不織布を得た。
Claims (8)
- 破断引張強度が2.0〜6.5cN/dtex、破断伸度が20〜80%、(破断引張強度)×(破断伸度)0.5で表されるタフネスが19.0〜30.0であることを特徴とする請求項1または2のいずれかに記載のポリエステル繊維。
- リン原子含有量が1000〜16000ppmとなるように下記一般式(1)で表されるリン化合物が配合されている固有粘度が0.5〜1.3dL/gのポリエステル組成物を溶融紡糸法により紡糸速度が800〜4000m/分で引き取り、紡糸後の総延伸倍率が2.5〜6.0倍であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のポリエステル繊維の製造方法。
- リン原子含有量が7500〜45000ppmとなるように一般式(1)で表されるリン化合物が配合されている0.4〜0.6dL/gのポリエステル組成物を、任意のポリエステル樹脂と、リン原子含有量が1000〜16000ppmになるようにブレンドし、さらに溶融紡糸時に樹脂総重量に対して0.005wt%〜1.5wt%の鎖伸長剤を添加した上で溶融紡糸法により、紡糸速度が800〜4000m/分でひきとり、紡糸後の総伸倍率が2.5〜6.0倍であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のポリエステル繊維の製造方法。
- リン原子含有量が7500〜45000ppmとなるように一般式(1)で表されるリン化合物と、樹脂総重量に対して0.005wt%〜1.5wt%の鎖伸長剤が配合されている0.4〜0.6dL/gのポリエステル組成物を、任意のポリエステル樹脂と、リン原子含有量が1000〜16000ppmになるようにブレンドした上で溶融紡糸法により、紡糸速度が800〜4000m/分でひきとり、紡糸後の総伸倍率が2.5〜6.0倍であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のポリエステル繊維の製造方法。
- 請求項1〜3のいずれか1項に記載のポリエステル繊維を含む、繊維構造体。
- 前記繊維構造体が、糸、紐、加工糸、網、編物、不織布および織物からなる群より選ばれる少なくとも1種の繊維構造物であることを特徴とする請求項7に記載の繊維構造体。
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JP2016068735A JP6629657B2 (ja) | 2016-03-30 | 2016-03-30 | 難燃性ポリエステル繊維およびその製造方法 |
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