JP2017179654A - 難燃性ポリエステル繊維およびその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】本発明は、ポリエステル繊維の製造時において製糸性が良好であり、低リン濃度で優れた難燃性を有すると共に、従来品に比べて強度、タフネスに優れた難燃性ポリエステル繊維を提供することを目的とする。【解決手段】上記課題はポリエステル繊維重量に対して、リン原子の含有量が1000〜16000ppmとなるように下記一般式(1)で表されるリン化合物と、0.005wt%〜1.5wt%となるように鎖伸長剤が配合されているポリエステル繊維であって、固有粘度が0.5〜1.3dL/gであり、末端カルボキシル基量が10〜45eq/Tであることを特徴とするポリエステル繊維によって解決することができる。【化1】【選択図】なし

Description

本発明は、難燃性ポリエステル繊維に関するものである。さらに詳しくは低リン濃度でありながら優れた難燃性を有すると共に、従来に比べて強度、伸度、タフネスに優れた難燃性ポリエステル繊維に関するものである。
ポリエステルはその機能性の有用さから多目的に用いられており、例えば、衣料用、資材用、医療用に用いられている。その中でも、汎用性、実用性の点でポリアルキレンテレフタレートが優れ、好適に使用されている。さて、火災予防等の観点から、種々のポリエステル成形品には難燃性を付与することが要望されている。特にポリエステル繊維は、衣料、寝具、カーテン、カーペット等に多く用いられているものの、難燃性の面では不十分であることから、この点の改良について様々な努力が払われてきた。共重合またはブレンドする方法、成形品の製造時に難燃剤を練り込む方法、さらにはポリエステルからの成形品を後加工し、成形品の表面あるいは内部まで難燃剤を付着あるいはしみこませる方法などが提案されており、繊維の場合にもこれらの方法が用いられる。
上記の方法のうち、後加工により難燃性を付与する方法は、風合いが粗雑になったり、洗濯、摩擦により難燃剤が脱落して性能が低下したりする欠点がある。また難燃剤を練り込む方法では、成形物の製造工程において難燃剤のしみだしが起こり、トラブルを引き起こす原因となる。それに対してポリマー製造時に難燃剤を共重合させる方法は、上述したような欠点を克服できる。この難燃剤を共重合する方法としては、これまでにも多くの方法が提案されており、例えば、リン化合物としてリン酸エステルをポリエステルに共重合することが開示されているが(例えば、特許文献1参照。)、目的とする物性の共重合ポリエステルを得るには重合反応が必要であり、また目的とする難燃性を付与させる量までリン化合物を配合すると、繊維にしたときの物性が著しく低下する。
また、リン系難燃剤を練り込む方法としては、ポリエステル繊維に特定の有機リン含有化合物を配合することによって、難燃性が発現することが開示されている(例えば、特許文献2〜4参照。)。具体的にはポリアルキレンテレフタレートと特定の有機リン化合物を混合して繊維を得て、この繊維を織物とし、その難燃性(例えば酸素指数)が僅かに向上する例が記載されている。この公報に記載された技術は、ポリアルキレンテレフタレート繊維の難燃化に関し教示しており、糸物性についての記載はない。
特許文献2には、実施例として、難燃剤の添加濃度が20wt%、リン原子の含有量に換算して30000ppmにもなる高濃度の難燃繊維が記載されている。一般的に、20wt%もの添加物が入ったポリアルキレンテレフタレートは流動性や粘度などの物性が大きくかわり、一般的に広く用いられる10テックス前後以下の糸をひくのは困難であり、その使用用途は制限される。実際、特許文献2でも100テックスもの太い糸径のものしか実施例の記載がなく、この糸物性についても全く触れていない。
また、(1)式の難燃剤を使用することによって難燃性が発現する樹脂組成物の例が記載されている(例えば、特許文献5参照。)。しかし高伸度が合わせて要求される用途に必要な高タフネスを有する難燃性ポリエステル繊維は提案されていない。
特許文献6には、ポリエステル繊維の製法として、あらかじめ(1)式の難燃剤の濃度を任意に調整したポリエステル組成物を溶融紡糸することが記載されているが、この方法では、後からの濃度の調整が効かず、最適な難燃剤濃度を決めるために、都度、ポリエステル組成物の作成に遡って検討する必要があり、効率的ではなかった。
また、糸・不織布の製造工程や設備の種類によっては、加工温度や加熱時間などの条件が合わないために、ポリエステル組成物の粘度低下もしくはIV低下が発生し、紡糸や延伸といった加工における加工性の悪化や糸強度の低下が発生する場合があり(例えば、特許文献6参照。)、設備の種類によらず安定的に加工できるものが求められてきた。
特公昭55−041610号公報 特開昭52−012329号公報 独国特許出願公開第2630693号明細書 英国特許出願公開第1515223号明細書 特許第4653373号公報 特願2014−249862号公報
本発明の目的は上記従来の問題を解消し、ポリエステルに難燃剤を溶融混練することにより難燃ポリエステルを得ると共に、低リン濃度で優れた難燃性を有し、従来品に比べて高強度、高伸度、高タフネスを合わせもつ難燃性ポリエステル繊維を提供することにある。
本発明者らは、鋭意研究を重ねた結果、リン原子の含有量が1000〜16000ppmとなるよう特定のリン化合物と、鎖伸長剤を溶融混練して得られるポリエステル繊維が、難燃性と糸物性に優れることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明によれば、発明の課題は、下記により達成される。
<1>ポリエステル繊維重量に対して、リン原子の含有量が1000〜16000ppmとなるように下記一般式(1)で表されるリン化合物と、紡糸前のポリエステル樹脂重量に対して、0.005wt%〜1.5wt%となるように鎖伸長剤が配合されているポリエステル繊維であって、固有粘度が0.5〜1.3dL/gであり、末端カルボキシル基量が10〜45eq/Tであることを特徴とするポリエステル繊維。
Figure 2017179654
<2>前記の下記一般式(1)で表されるリン化合物の各物性が以下の要件を満たすことを特徴とする<1>記載のポリエステル繊維。
(ア)有機純度が97.0%以上100%以下
(イ)塩素含有量が0ppmを超え1000ppm以下
(ウ)pH変動値(ΔpH)が0以上1.0以下
(エ)残存溶媒量が0ppmを超え1000ppm以下
Figure 2017179654
<3>破断引張強度が2.0〜6.5cN/dtex、破断伸度が20〜80%、(破断引張強度)×(破断伸度)0.5で表されるタフネスが19〜30であることを特徴とする<1>〜<2>のいずれか1項に記載のポリエステル繊維。
<4>リン原子化合物が1000〜16000ppmとなるように下記一般式(1)で表されるリン化合物が配合されている固有粘度が0.5〜1.3dL/gのポリエステル組成物を溶融紡糸法により紡糸速度が800〜4000m/分で引き取り、紡糸後の総延伸倍率が2.5〜6.0倍であることを特徴とする<1>〜<3>のいずれか1項に記載のポリエステル繊維の製造方法。
<5>リン原子含有量が7500〜45000ppmとなるように一般式(1)で表されるリン化合物が配合されている0.4〜0.6dl/gのポリエステル組成物を、任意のポリエステル樹脂と、リン原子含有量が1000〜16000ppmになるようにブレンドし、さらに溶融紡糸時に樹脂総重量に対して0.005wt%〜1.5wt%の鎖伸長剤を添加した上で溶融紡糸法により、紡糸速度が800〜4000m/分でひきとり、紡糸後の総伸倍率が2.5〜6.0倍であることを特徴とする<1>〜<3>のいずれか1項に記載のポリエステル繊維の製造方法。
<6>リン原子含有量が7500〜45000ppmとなるように一般式(1)で表されるリン化合物と、樹脂総重量に対して0.005wt%〜1.5wt%の鎖伸長剤が配合されている0.4〜0.6dlg/gのポリエステル組成物を、任意のポリエステル樹脂と、リン原子含有量が1000〜16000ppmになるようにブレンドした上で溶融紡糸法により、紡糸速度が800〜4000m/分でひきとり、紡糸後の総伸倍率が2.5〜6.0倍であることを特徴とする<1>〜<3>のいずれか1項に記載のポリエステル繊維の製造方法。
Figure 2017179654
<7><1>〜<3>のいずれか1項に記載のポリエステル繊維を含む、繊維構造体。
<8><7>に記載の繊維構造体が、糸、編物、不織布、織物、およびその他の繊維構造体からなる群より選ばれる少なくとも1種の構造物であることを特徴とする繊維構造体。
本発明によれば、リン系難燃剤の溶融混練により低リン濃度でありながら優れた難燃性を有すると共に、従来に比べて、加工性に優れ、強度、伸度、タフネスといった糸物性に優れた難燃性ポリエステル繊維を提供することができる。
以下、本発明を詳細に説明する。
(ポリエステル樹脂)
本発明の難燃性ポリエステル繊維製造に用いるポリエステル樹脂としては、芳香族ジカルボン酸またはそのエステル形成性誘導体と、ジオールおよびそのエステル形成性誘導体とを主たる出発原料として得られるポリエステルを主とするものである。ジカルボン酸またはそのエステル形成性誘導体として、具体的には、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、2,7−ナフタレンジカルボン酸、1,5−ナフタレンジカルボン酸、4,4−ジフェニルジカルボン酸、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、5−ナトリウムスルホイソフタル酸、5−カリウムスルホイソフタル酸、5−テトラブチルホスホニウムスルホイソフタル酸、アントラセンジカルボン酸、フェナントレンジカルボン酸、ジフェニルエーテルジカルボン酸、ジフェニルスルホンジカルボン酸、ベンゾフェノンジカルボン酸、ジフェノキシエタンジカルボン酸、シクロヘキサンジカルボン酸、デカリンジカルボン酸、トリシクロデカンジカルボン酸等のジカルボン酸及びそのエステル形成性誘導体などをあげることができる。エステル形成性誘導体としては、上記のジカルボン酸のジメチルエステル、ジエチルエステル、ジプロピルエステル、ジブチルエステル、ジペンチルエステル、ジヘキシルエステル、ジフェニルエステル、ジカルボン酸の酸ハロゲン化物をあげることができる。これらの化合物の1種または2種以上を併用してもよいが、テレフタル酸またはそのエステル形成性誘導体を用いることが好ましく、より好ましくは、テレフタル酸またはそのエステル形成性誘導体を得られるポリエステルにおける全ジカルボン酸成分に対して80モル%以上を用いることが耐熱性の点から好ましい。
ジオールおよびそのエステル形成性誘導体として、具体的には、エチレングリコール、トリメチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、テトラメチレングリコール、ネオペンチルグリコール、ヘキサメチレングリコール、シクロヘキサンジメタノール、オクタメチレングリコール、デカンジオール、ドデカンジオール、トリシクロ[5.2.1.02,6]デカンジメタノール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、1,4−ビス(β−ヒドロキシエトキシ)ベンゼン、2,2−ビス(p−β−ヒドロキシエトキシフェニル)プロパン、ビス(p−β−ヒドロキシエトキシフェニル)スルホンのジヒドロキシ化合物などをあげることができる。
本発明の構成要件および目的を損なわない範囲で従来公知のジカルボン酸成分、グリコ−ル成分以外の化合物を添加してもよい。添加する第三成分としては、脂肪族オキシカルボン酸(ω−ヒドロキシカプロン酸等)、芳香族オキシカルボン酸(p−ヒドロキシ安息香酸等)等がある。又、1個又は3個以上のエステル形成性官能基を有する化合物(アルコール、安息香酸等又はグリセリン、ペンタエリスリトール、トリメシン酸、トリメリット酸等)も重合体が実質的に線状である範囲内で使用することが出来る。
ポリエステル繊維の固有粘度(IV)が0.5〜1.3dL/gとするのが、ポリエステル繊維の引張破断強度、破断伸度を確保するため、あるいはポリエステル繊維の生産性の点から好ましい。0.5dL/g未満となるようなポリエステル繊維では、溶融紡糸が難しく、また、高強度、高伸度の物性が両立しないため高タフネスを有するポリエステル繊維が得られない。また、1.3dL/gを超える場合では、ポリエステルの溶融粘度が高いため、前記リン化合物をポリエステルを溶融混練する際に前記リン化合物を均一に混合することが困難であったり、溶融紡糸法を初めとする各種の紡糸方法において紡糸性が低下するので好ましくないことがある。
カルボキシル末端基量(以下、CV量という。)は、10〜45eq/T(当量/10g)とするのが、紡糸時におけるIV低下の抑制、さらには染色工程等の高次加工における糸強度低下抑制等の点から好ましく、11〜40eq/Tがより好ましく、更により好ましくは12〜39eq/Tであり、特に更により好ましくは15〜38.5eq/Tである。
本発明における難燃ポリエステル繊維に用いられるリン原子の含有量はポリエステル繊維重量に対して1000〜16000ppmであることが必要であり、1000ppm未満であると難燃性能に劣るばかりか、難燃剤の溶融混練による高伸度化(高タフネス)の効果の発現が乏しくなる。また、16000ppmを超えるとリン原子を含有するリン化合物の混合を多くする必要があり、その結果、ポリマーのIVが低下し、紡糸が困難となるばかりか、得られた繊維の破断引張強度、タフネスも低下するため好ましくないことがある。好ましくは1500〜15300ppmであり、より好ましくは1800〜15000ppmであり、更により好ましくは2000〜14900ppmであり、最も好ましくは3500〜8000ppmである。
(有機リン化合物)
本発明の難燃ポリエステル繊維に用いるリン系難燃剤として、下記一般式(1)で示されるリン化合物を使用する。
Figure 2017179654
前記式(1)で表されるリン化合物は、当該ポリエステル繊維に対して極めて優れた難燃効果を発現する。本発明者らが知る限り、従来当該ポリエステル繊維のハロゲンフリーによる難燃化において、少量の難燃剤を添加することや、共重合することでの難燃化は困難であり、実用上多くの問題点があった。
ところが本発明によれば、前記の一般式(1)で表されるリン化合物は驚くべきことにそれ自体単独の少量使用により当該ポリエステル繊維の難燃化が容易に達成され、ポリエステル繊維本来の特性(強度、伸度、結節強度、沸水収縮率等)を損なうことが少ない。しかし本発明では前記式(1)で表されるリン化合物の他に、他のリン化合物、フッ素含有樹脂または他の添加剤を、前記リン化合物の使用割合の低減、ポリエステル繊維の難燃性の改善、ポリエステル繊維の物理的性質の改良、ポリエステル繊維の化学的性質の向上またはその他の目的のために当然配合することができる。本発明においては、上記式(1)の化学構造式で表されるリン化合物がポリエステル繊維重量に対してリン原子の濃度として上記の数値範囲を満たすように配合されている必要があるが、これは上記のリン化合物がポリエステル中に分散され、組成物を形成している状態を示すものであり、上記のリン化合物そのもの乃至はその一部が分解したリン化合物がポリエステル主鎖に対して共重合されている状態を含むものではない。
次に本発明における前記リン化合物の合成法について説明する。前記リン化合物は、以下に代表的な製造方法を示したが、本発明のポリエステル繊維中に配合するリン化合物は以下に説明する方法以外の方法によって製造されたものであってもよい。前記リン化合物は例えばペンタエリスリトールに三塩化リンを反応させ、続いて酸化させた反応物を、ナトリウムメトキシド等のアルカリ金属化合物により処理し、次いでベンジルハライドを反応させることにより得られる。
また、ペンタエリスリトールにアラルキルホスホン酸ジクロリドを反応させる方法や、ペンタエリスリトールに三塩化リンを反応させることによって得られた化合物にベンジルアルコールを反応させ、次いで高温でArbuzov転移を行う方法により得ることもできる。後者の反応は、例えば米国特許第3,141,032号明細書、特開昭54−157156号公報、特開昭53−39698号公報に開示されている。
前記リン化合物の具体的合成法を以下説明するが、この合成法は単に説明のためであって、本発明において使用される前記リン化合物は、これら合成法のみならず、その改変およびその他の合成法で合成されたものであってもよい。より具体的な合成法は後述する調製例に説明される。
(前記一般式(1)のリン化合物の合成法)
ペンタエリスリトールに三塩化リンを反応させ、次いでターシャリーブタノールにより酸化させた反応物を、ナトリウムメトキシドにより処理し、ベンジルブロマイドを反応させることにより得ることができる。また別法としては、ペンタエリスリトールに三塩化リンを反応させ、得られた生成物とベンジルアルコールの反応生成物を触媒共存下で加熱処理する事により得られる。
前記リン化合物は、HPLCにて測定された有機純度が、好ましくは97.0%以上100%以下、より好ましくは98.0%以上99.99%以下、さらに好ましくは99.0%以上99.9%以下のものが使用される。有機純度がこの範囲の前記リン化合物を使用することにより、高度な難燃性と良好な物性を両立するポリエステル繊維を得ることが可能となる。特に有機純度は得られたポリエステル繊維の難燃性に影響し、有機純度が低い場合、高度な難燃性が得られない。さらに、有機純度の低い前記リン化合物は、不純物の影響により得られたポリエステル繊維の色相悪化や物性の低下、特に耐熱性の低下が発現することがある。
ここで前記リン化合物のHPLCによる有機純度の測定は、以下の方法を用いることにより効果的に測定が可能となる。カラムは野村化学(株)製Develosil ODS−7 300mm×4mmφを用い、カラム温度は40℃とした。溶媒としてはアセトニトリルと水の6:4(容量比)の混合溶液を用い、5μlを注入した。検出器はUV−264nmを用いた。
前記リン化合物中の不純物を除去し、有機純度を向上させる方法としては、水、炭素数1〜6のアルコール、または炭素数1〜6のケトン化合物等の溶剤でリパルプ洗浄(溶剤で洗浄、ろ過を数回繰り返す操作を表す。)を行う方法が最も効果的で、且つコスト的にも有利である。ここで炭素数1〜6のアルコールとしては、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、ノルマルプロピルアルコール、ブタノール、ペンチルアルコール、またはヘキシルアルコールを挙げることができ、炭素数1〜6のケトン化合物としては、アセトン、メチルエチルケトン、ジエチルケトン、またはエチルプロピルケトンを挙げることができる。これらの化合物の中でも入手が容易な水、エタノールがより好ましい。洗浄時に前記リン化合物と溶剤の混合物を加熱しながら撹拌を行うことによって、さらに効果的な洗浄が可能である。通常の再結晶、蒸留といった精製方法では困難である。
また、前記リン化合物は、その塩素含有量が0ppmを超え1000ppm以下のものが好ましく、より好ましくは1ppm以上500ppm以下のもの、さらに好ましくは10pm以上100ppm以下のものが好適に使用できる。本発明の目的の一つとしては、ノンハロゲン難燃性ポリエステル繊維を提供することが挙げられるため、塩素含有量がこの範囲の前記リン化合物を用いることが好ましい。さらに塩素含有量がこの範囲の前記リン化合物を用いることにより、熱安定性の良好なポリエステル繊維が得られ、かつ色相に優れたポリエステル繊維が得られる。塩素含有量がこの範囲を超える場合、ポリエステル繊維の熱安定性が低下し、高温成形時のヤケ発生による色相の低下が発現することがある。前記リン化合物の塩素含有量は、ASTM D5808に準拠し、燃焼法にて分析を行い、滴定法にて検出することにより効果的に測定が可能となる。
前記リン化合物は、そのpH変動値(ΔpH)が0以上1.0以下のものが好ましく、より好ましくは0.001以上0.8以下のもの、さらに好ましくは0.01以上0.5以下のもの、特に好ましくは0.05以上0.3以下のものが好適に使用できる。△pHがこの範囲の前記リン化合物を用いることにより、pHが変動するような微量の不純物の含有量が少ないために、熱安定性の良好なポリエステル繊維が得られ、かつ色相に優れたポリエステル繊維が得られる。△pHがこの範囲を超える場合、ポリエステル繊維の熱安定性が低下し、高温成形時のヤケ発生による色相の低下が発現することがある。
前記リン化合物のpH変動値(ΔpH)は、以下の方法を用いることにより効果的に測定が可能となる。すなわち、蒸留水99gと分散剤1gを混合し、1分間撹拌後、pH計にてpHを測定する(得られたpH値をpH1とする)。前記蒸留水と分散剤の混合溶液に前記リン化合物1gを添加し、1分間撹拌する。撹拌後の混合物を濾過し、濾液のpHをpH計にて測定する(得られたpH値をpH2とする)。本発明の△pHは下記式(α)により算出できる。
△pH=|pH1−pH2| ・・・・・・(α)
すなわち、pH変動値(△pH)とは上記のpH1とpH2の差の絶対値である。
さらに前記リン化合物は、その残存溶媒量が0ppmを超え1000ppm以下のものが好ましく、より好ましくは1ppm以上800ppm以下のもの、さらに好ましくは5ppm以上500ppm以下のもの、特に好ましくは10ppm以上100ppm以下のものが好適に使用できる。残存溶媒量がこの範囲の前記リン化合物を用いることにより、高度な難燃性を有するポリエステル繊維を得ることができる。ポリオレフィン系樹脂は一般に難燃性が低く、残存溶媒量がこの範囲を超える前記リン化合物を用いた場合、所望の難燃性を得ることが困難となる。前記リン化合物の残存溶媒量は、HPLCを用いて有機純度測定方法と同様の方法にて効果的に測定が可能となる。
これらの、有機純度、塩素含有量、pH変動値、残存溶媒量といった前記リン化合物の特性を所定の数値範囲にするには、上述した合成法の最終段階で十分に精製することが好ましく、具体的には、最終段階以外の製造工程においては、未反応物の原料化合物や、副反応生成物を洗浄、濾過、再結晶、蒸留といった精製手段を用いて生成した前記リン化合物から十分に除去することが好ましく選択することができる。より好ましくは上述したリパルプ洗浄の方法を採用することである。しかし、最終段階の精製工程においては、上述したリパルプ洗浄の方法を採用することが重要である。
前記リン化合物は、そのリン化合物を含むポリエステル組成物重量に対して0.01〜30重量%、好ましくは0.5〜25重量%、より好ましくは1〜20重量%の範囲で配合される。前記リン化合物の配合割合は、所望する難燃性レベル、ポリエステル樹脂の種類などによりその好適範囲が決定される。これら組成物を構成するポリエステル樹脂および前記リン系化合物以外であっても必要に応じて他の成分を本発明の目的を損なわない限り使用することができ、他の難燃剤、難燃助剤、フッ素含有樹脂の使用によっても前記リン系化合物の配合量を変えることができ、多くの場合、これらの使用により前記リン系化合物の配合割合を低減することができる。
本発明のポリエステル繊維を製造する際には、ポリエステル繊維度同様に、上記式(1)で表されるリン化合物を、ポリエステル組成物の重量に対して1000〜16000ppmとなるように配合されているポリエステル組成物を用いることが好ましい。
(鎖伸長剤)
鎖伸長剤とは、ポリエステルの製造・加工過程において、熱や外力によってポリエステルの分子鎖が短くなり粘度が低下し、製品の加工性や強度が落ちることを抑制するために、ポリエステル分子の末端同士をつないでみかけのポリエステル分子鎖の長さを維持するという目的で添加される物質である。ポリエステル分子の末端基は、カルボキシル基もしくは、ヒドロキシル基となっていることが多いため、本発明に用いる鎖伸長剤としては、カルボキシル基またはヒドロキシル基と反応する反応性官能基を有する化合物であることが好ましい。具体的には、ポリエステルの末端官能基と鎖延長を伴う反応性を有する官能基、例えばイソシアネート基、エポキシ基、カルボジイミド基、オキサゾリン基、メラミン構造、シランカップリング剤などが挙げられる。
鎖伸長剤として使用できるエポキシ基含有化合物としては、メタクリル酸グリシジルエーテル、エチレングリコールジグリシジルエーテル、ブタンジオールジグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、ポリグリセロールポリグリシジルエーテル、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル、トリメチロールプロパンポリグリシジルエーテル、ポリプロピレングリコールジグリシジルエーテル、アリルグリシジルエーテル、ベンジルグリシジルエーテル、9,9−ビス(4−グリシジルオキシフェニル)フルオレン等のグリシジルエーテル化合物、グリシジルメタクリレート、グリセリンジメタクリレート、2−ヒドロキシ−3−アクリロイロキシプロピルメタクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、ジエチレングリコールジメタクリレート、ポリエチレングリコールジメタクリレート、ポリエチレングリコールジアクリレート、ポリプロピレングリコールジメタクリレート、ポリプロピレングリコールジアクリレート、ポリテトラメチレングリコールジメタクリレート、ポリテトラメチレングリコールジアクリレート、ポリ(エチレングリコール−テトラメチレングリコール)ジメタクリレート、ポリ(エチレングリコール−テトラメチレングリコール)ジアクリレート、ポリ(プロピレングリコール−テトラメチレングリコール)ジメタクリレート、ポリ(プロピレングリコール−テトラメチレングリコール)ジアクリレート、ポリエチレングリコール−ポリプロピレングリコールジメタクリレート、ポリエチレングリコール−ポリプロピレングリコールジアクリレート等のグリシジルエステル等を挙げることができる。化合物中にリン原子が含まれていても良い。
エポキシ基含有化合物である鎖伸長剤としては、DSM社Allinco、BASF製のADR−4300−S(エポキシ基含有アクリル/スチレン共重合体)等が挙げられる。
また、カルボジイミド基含有化合物は、分子内に少なくとも1つのカルボジイミド基(−N=C=N−)を有する化合物である。具体的には、ジメチルカルボジイミド、ジエチルカルボジイミド、ジプロピルカルボジイミド、N,N’−ジシクロヘキシルカルボジイミド、ビス(トリメチルシリル)カルボジイミド、ビス(2,2−ジメチル−1,3−ジオキソラン−4−イルメチル)カルボジイミド、ビス(2,6−ジイソプロピルフェニル)カルボジイミドを挙げることができる。更に、多価イソシアネート化合物を用いた(共)重合体であることが好ましい。上記多価イソシアネートの具体例としては、例えばヘキサメチレンジイソシアネート、キシレンジイソシアネート、シクロヘキサンジイソシアネート、ピリジンジイソシアネート、2,4−トリレジンシソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネート、4,4−ジフェニルメタンジイソシアネート、p−フェニレンジシソシアネート、m−フェニレンジシソシアネート、1,5−ナフチレンジイソシアネート等が挙げられる。その中でもシクロヘキサンジイソシアネート、2,4−トリレンジイソシアネートが好ましく使用される。
鎖伸長剤としては、日清紡績ケミカル(株)製のカルボジライト(登録商標)HMV−8CA(商品名)やカルボジライト(同上)LA−1(商品名)等が挙げられる。
カルボジイミド基含有化合物は、環状構造を有する化合物も好適に使われる。
環状カルボジイミド化合物は、環状構造を複数有していてもよい。その環状構造は、カルボジイミド基(−N=C=N−)を1個有しその第一窒素原子と第二窒素原子とが結合基により結合されている構造である。一つの環状構造中には、1個のカルボジイミド基のみを有する。環状構造中の原子数は8〜50であり、好ましくは10〜30、より好ましくは10〜20、最も好ましいのは10〜15である。環状構造としては、下記式(5)で表される構造である。
Figure 2017179654
上記式(5)中、Qは下記式(5−1)、(5−2)または(5−3)で表される2〜4価の結合基である。
Figure 2017179654
上記式中、ArおよびArは各々独立に、それぞれヘテロ原子ならびに置換基を含んでいてもよい、2〜4価の炭素数5〜15の芳香族基である。
芳香族基として、それぞれへテロ原子を含んで複素環構造を持っていてもよい、炭素数5〜15のアリーレン基、炭素数5〜15のアレーントリイル基、炭素数5〜15のアレーンテトライル基が挙げられる。アリーレン基(2価)として、フェニレン基、ナフタレンジイル基などが挙げられる。アレーントリイル基(3価)として、ベンゼントリイル基、ナフタレントリイル基などが挙げられる。アレーンテトライル基(4価)として、ベンゼンテトライル基、ナフタレンテトライル基などが挙げられる。これらの芳香族基は置換基を含んでいてもよく、置換基として、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数6〜15のアリール基、ハロゲン原子、ニトロ基、アミド基、ヒドロキシル基、エステル基、エーテル基、アルデヒド基などが挙げられる。
およびRは各々独立に、それぞれヘテロ原子ならびに置換基を含んでいてもよい、2〜4価の炭素数1〜20の脂肪族基、2〜4価の炭素数3〜20の脂環族基、およびこれらの組み合わせ、またはこれら脂肪族基、脂環族基と2〜4価の炭素数5〜15の芳香族基の組み合わせである。
脂肪族基として、炭素数1〜20のアルキレン基、炭素数1〜20のアルカントリイル基、炭素数1〜20のアルカンテトライル基などが挙げられる。アルキレン基として、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基、ペンチレン基、ヘキシレン基、へプチレン基、オクチレン基、ノニレン基、デシレン基、ドデシレン基、へキサデシレン基などが挙げられる。アルカントリイル基として、メタントリイル基、エタントリイル基、プロパントリイル基、ブタントリイル基、ペンタントリイル基、ヘキサントリイル基、ヘプタントリイル基、オクタントリイル基、ノナントリイル基、デカントリイル基、ドデカントリイル基、ヘキサデカントリイル基などが挙げられる。アルカンテトライル基として、メタンテトライル基、エタンテトライル基、プロパンテトライル基、ブタンテトライル基、ペンタンテトライル基、ヘキサンテトライル基、ヘプタンテトライル基、オクタンテトライル基、ノナンテトライル基、デカンテトライル基、ドデカンテトライル基、ヘキサデカンテトライル基などが挙げられる。これらの脂肪族基は置換基を含んでいてもよく、置換基として、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数6〜15のアリール基、ハロゲン原子、ニトロ基、アミド基、ヒドロキシル基、エステル基、エーテル基、アルデヒド基などが挙げられる。
脂環族基として、炭素数3〜20のシクロアルキレン基、炭素数3〜20のシクロアルカントリイル基、炭素数3〜20のシクロアルカンテトライル基が挙げられる。シクロアルキレン基として、シクロプロピレン基、シクロブチレン基、シクロペンチレン基、シクロヘキシレン基、シクロへプチレン基、シクロオクチレン基、シクロノニレン基、シクロデシレン基、シクロドデシレン基、シクロへキサデシレン基などが挙げられる。シクロアルカントリイル基として、シクロプロパントリイル基、シクロブタントリイル基、シクロペンタントリイル基、シクロヘキサントリイル基、シクロヘプタントリイル基、シクロオクタントリイル基、シクロノナントリイル基、シクロデカントリイル基、シクロドデカントリイル基、シクロヘキサデカントリイル基などが挙げられる。シクロアルカンテトライル基として、シクロプロパンテトライル基、シクロブタンテトライル基、シクロペンタンテトライル基、シクロヘキサンテトライル基、シクロヘプタンテトライル基、シクロオクタンテトライル基、シクロノナンテトライル基、シクロデカンテトライル基、シクロドデカンテトライル基、シクロヘキサデカンテトライル基などが挙げられる。これらの脂環族基は置換基を含んでいてもよく、置換基として、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数6〜15のアリール基、ハロゲン原子、ニトロ基、アミド基、ヒドロキシル基、エステル基、エーテル基、アルデヒド基などが挙げられる。
芳香族基として、それぞれへテロ原子を含んで複素環構造を持っていてもよい、炭素数5〜15のアリーレン基、炭素数5〜15のアレーントリイル基、炭素数5〜15のアレーンテトライル基が挙げられる。アリーレン基として、フェニレン基、ナフタレンジイル基などが挙げられる。アレーントリイル基(3価)として、ベンゼントリイル基、ナフタレントリイル基などが挙げられる。アレーンテトライル基(4価)として、ベンゼンテトライル基、ナフタレンテトライル基などが挙げられる。これら芳香族基は置換基を含んでいてもよく、置換基として、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数6〜15のアリール基、ハロゲン原子、ニトロ基、アミド基、ヒドロキシル基、エステル基、エーテル基、アルデヒド基などが挙げられる。
およびXは各々独立に、それぞれヘテロ原子ならびに置換基を含んでいてもよい、2〜4価の炭素数1〜20の脂肪族基、2〜4価の炭素数3〜20の脂環族基、2〜4価の炭素数5〜15の芳香族基、またはこれらの組み合わせである。
脂肪族基として、炭素数1〜20のアルキレン基、炭素数1〜20のアルカントリイル基、炭素数1〜20のアルカンテトライル基などが挙げられる。アルキレン基として、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基、ペンチレン基、ヘキシレン基、へプチレン基、オクチレン基、ノニレン基、デシレン基、ドデシレン基、へキサデシレン基などが挙げられる。アルカントリイル基として、メタントリイル基、エタントリイル基、プロパントリイル基、ブタントリイル基、ペンタントリイル基、ヘキサントリイル基、ヘプタントリイル基、オクタントリイル基、ノナントリイル基、デカントリイル基、ドデカントリイル基、ヘキサデカントリイル基などが挙げられる。アルカンテトライル基として、メタンテトライル基、エタンテトライル基、プロパンテトライル基、ブタンテトライル基、ペンタンテトライル基、ヘキサンテトライル基、ヘプタンテトライル基、オクタンテトライル基、ノナンテトライル基、デカンテトライル基、ドデカンテトライル基、ヘキサデカンテトライル基などが挙げられる。これらの脂肪族基は置換基を含んでいてもよく。置換基として、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数6〜15のアリール基、ハロゲン原子、ニトロ基、アミド基、ヒドロキシル基、エステル基、エーテル基、アルデヒド基などが挙げられる。
脂環族基として、炭素数3〜20のシクロアルキレン基、炭素数3〜20のシクロアルカントリイル基、炭素数3〜20のシクロアルカンテトライル基が挙げられる。シクロアルキレン基として、シクロプロピレン基、シクロブチレン基、シクロペンチレン基、シクロヘキシレン基、シクロへプチレン基、シクロオクチレン基、シクロノニレン基、シクロデシレン基、シクロドデシレン基、シクロへキサデシレン基などが挙げられる。アルカントリイル基として、シクロプロパントリイル基、シクロブタントリイル基、シクロペンタントリイル基、シクロヘキサントリイル基、シクロヘプタントリイル基、シクロオクタントリイル基、シクロノナントリイル基、シクロデカントリイル基、シクロドデカントリイル基、シクロヘキサデカントリイル基などが挙げられる。アルカンテトライル基として、シクロプロパンテトライル基、シクロブタンテトライル基、シクロペンタンテトライル基、シクロヘキサンテトライル基、シクロヘプタンテトライル基、シクロオクタンテトライル基、シクロノナンテトライル基、シクロデカンテトライル基、シクロドデカンテトライル基、シクロヘキサデカンテトライル基などが挙げられる。これらの脂環族基は置換基を含んでいてもよく、置換基として、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数6〜15のアリール基、ハロゲン原子、ニトロ基、アミド基、ヒドロキシル基、エステル基、エーテル基、アルデヒド基などが挙げられる。
芳香族基として、それぞれへテロ原子を含んで複素環構造を持っていてもよい、炭素数5〜15のアリーレン基、炭素数5〜15のアレーントリイル基、炭素数5〜15のアレーンテトライル基が挙げられる。アリーレン基として、フェニレン基、ナフタレンジイル基などが挙げられる。アレーントリイル基(3価)として、ベンゼントリイル基、ナフタレントリイル基などが挙げられる。アレーンテトライル基(4価)として、ベンゼンテトライル基、ナフタレンテトライル基などが挙げられる。これらの芳香族基は置換基を含んでいてもよく、置換基として、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数6〜15のアリール基、ハロゲン原子、ニトロ基、アミド基、ヒドロキシル基、エステル基、エーテル基、アルデヒド基などが挙げられる。
式(5−1)、(5−2)においてs、kは0〜10の整数、好ましくは0〜3の整数、より好ましくは0〜1の整数である。sおよびkが10を超えると、環状カルボジイミド化合物は合成上困難となり、コストが大きく上昇する場合が発生するためである。かかる観点より整数は好ましくは0〜3の範囲が選択される。なお、sまたはkが2以上であるとき、繰り返し単位としてのX、あるいはXが、他のX、あるいはXと異なっていてもよい。
は、それぞれヘテロ原子ならびに置換基を含んでいてもよい、2〜4価の炭素数1〜20の脂肪族基、2〜4価の炭素数3〜20の脂環族基、2〜4価の炭素数5〜15の芳香族基、またはこれらの組み合わせである。
脂肪族基として、炭素数1〜20のアルキレン基、炭素数1〜20のアルカントリイル基、炭素数1〜20のアルカンテトライル基などが挙げられる。アルキレン基として、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基、ペンチレン基、ヘキシレン基、へプチレン基、オクチレン基、ノニレン基、デシレン基、ドデシレン基、へキサデシレン基などが挙げられる。アルカントリイル基として、メタントリイル基、エタントリイル基、プロパントリイル基、ブタントリイル基、ペンタントリイル基、ヘキサントリイル基、ヘプタントリイル基、オクタントリイル基、ノナントリイル基、デカントリイル基、ドデカントリイル基、ヘキサデカントリイル基などが挙げられる。アルカンテトライル基として、メタンテトライル基、エタンテトライル基、プロパンテトライル基、ブタンテトライル基、ペンタンテトライル基、ヘキサンテトライル基、ヘプタンテトライル基、オクタンテトライル基、ノナンテトライル基、デカンテトライル基、ドデカンテトライル基、ヘキサデカンテトライル基などが挙げられる。これら脂肪族基は置換基を含んでいてもよく、置換基として、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数6〜15のアリール基、ハロゲン原子、ニトロ基、アミド基、ヒドロキシル基、エステル基、エーテル基、アルデヒド基などが挙げられる。
脂環族基として、炭素数3〜20のシクロアルキレン基、炭素数3〜20のシクロアルカントリイル基、炭素数3〜20のシクロアルカンテトライル基が挙げられる。シクロアルキレン基として、シクロプロピレン基、シクロブチレン基、シクロペンチレン基、シクロヘキシレン基、シクロへプチレン基、シクロオクチレン基、シクロノニレン基、シクロデシレン基、シクロドデシレン基、シクロへキサデシレン基などが挙げられる。アルカントリイル基として、シクロプロパントリイル基、シクロブタントリイル基、シクロペンタントリイル基、シクロヘキサントリイル基、シクロヘプタントリイル基、シクロオクタントリイル基、シクロノナントリイル基、シクロデカントリイル基、シクロドデカントリイル基、シクロヘキサデカントリイル基などが挙げられる。アルカンテトライル基として、シクロプロパンテトライル基、シクロブタンテトライル基、シクロペンタンテトライル基、シクロヘキサンテトライル基、シクロヘプタンテトライル基、シクロオクタンテトライル基、シクロノナンテトライル基、シクロデカンテトライル基、シクロドデカンテトライル基、シクロヘキサデカンテトライル基などが挙げられる。これら脂環族基は置換基を含んでいてもよく、置換基として、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数6〜15のアリーレン基、ハロゲン原子、ニトロ基、アミド基、ヒドロキシル基、エステル基、エーテル基、アルデヒド基などが挙げられる。
芳香族基として、それぞれへテロ原子を含んで複素環構造を持っていてもよい、炭素数5〜15のアリーレン基、炭素数5〜15のアレーントリイル基、炭素数5〜15のアレーンテトライル基が挙げられる。アリーレン基として、フェニレン基、ナフタレンジイル基などが挙げられる。アレーントリイル基(3価)として、ベンゼントリイル基、ナフタレントリイル基などが挙げられる。アレーンテトライル基(4価)として、ベンゼンテトライル基、ナフタレンテトライル基などが挙げられる。これらの芳香族基は置換基を含んでいてもよく、置換基として、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数6〜15のアリール基、ハロゲン原子、ニトロ基、アミド基、ヒドロキシル基、エステル基、エーテル基、アルデヒド基などが挙げられる。
また、Ar、Ar、R、R、X、XおよびXはヘテロ原子を含有していてもよい、また、Qが2価の結合基であるときは、Ar、Ar、R、R、X、XおよびXは全て2価の基である。Qが3価の結合基であるときは、Ar、Ar、R、R、X、XおよびXの内の一つが3価の基である。Qが4価の結合基であるときは、Ar、Ar、R、R、X、XおよびXの内の一つが4価の基であるか、二つが3価の基である。
本発明で用いる環状カルボジイミドとして、前記式(5)、(7)および(8)で表される化合物が挙げられる。
<環状カルボジイミド(2)>
Figure 2017179654
上記式中、Qは、下記式(6−1)、(6−2)または(6−3)で表される2価の結合基である。
Figure 2017179654
上記式中、Ar およびAr は各々独立に、2価の炭素数5〜15の芳香族基である。R およびR は各々独立に、2価の炭素数1〜20の脂肪族基、2価の炭素数3〜20の脂環族基、およびこれらの組み合わせ、またはこれら脂肪族基、脂環族基と2価の炭素数5〜15の芳香族基の組み合わせである。saは0〜10の整数である。kaは0〜10の整数である。X およびX は各々独立に、2価の炭素数1〜20の脂肪族基、2価の炭素数3〜20の脂環族基、2価の炭素数5〜15の芳香族基、またはこれらの組み合わせである。X は、2価の炭素数1〜20の脂肪族基、2価の炭素数3〜20の脂環族基、2価の炭素数5〜15の芳香族基、またはこれらの組み合わせである。但し、Ar 、Ar 、R 、R 、X 、X およびX はヘテロ原子を含有していてもよい。かかる環状カルボジイミド化合物(2)としては、以下の化合物が挙げられる。
Figure 2017179654
Figure 2017179654
Figure 2017179654
Figure 2017179654
Figure 2017179654
Figure 2017179654
Figure 2017179654
Figure 2017179654
Figure 2017179654
Figure 2017179654
Figure 2017179654
Figure 2017179654
Figure 2017179654
Figure 2017179654
<環状カルボジイミド(3)>
Figure 2017179654
上記式中、Q(bは下付、以下同様)は、下記式(7−1)、(7−2)または(7−3)で表される3価の結合基であり、Yは環状構造を担持する担体である。
Figure 2017179654
上記式中、Ar 、Ar 、R 、R 、X 、X 、X 、sおよびkは、各々式(5−1)〜(5−3)のAr、Ar、R、R、X、X、X、sおよびkと同じである。但しこれらの内の一つは3価の基である。
Yは、単結合、二重結合、原子、原子団またはポリマーである。Yは結合部であり、複数の環状構造がYを介して結合し、式(7)で表される構造を形成している。かかる環状カルボジイミド化合物(7)としては、下記化合物が挙げられる。
Figure 2017179654
Figure 2017179654
Figure 2017179654
Figure 2017179654
<環状カルボジイミド(4)>
Figure 2017179654
上記式中、Q(cは下付、以下同様)は、下記式(8−1)、(8−2)または(8−3)で表される4価の結合基であり、ZおよびZは環状構造を担持する担体である。ZおよびZは、互いに結合して環状構造を形成していてもよい。
Figure 2017179654
Ar 、Ar 、R 、R 、X 、X 、X 、sおよびkは、各々式(5−1)〜(5−3)の、Ar、Ar、R、R、X、X、X、sおよびkと同じである。但し、Ar 、Ar 、R 、R 、X 、X およびX は、これらの内の一つが4価の基であるか、二つが3価の基である。
およびZは各々独立に、単結合、二重結合、原子、原子団またはポリマーである。ZおよびZは結合部であり、複数の環状構造がZおよびZを介して結合し、式(8)で表される構造を形成している。かかる環状カルボジイミド化合物(8)としては、下記化合物が挙げられる。
Figure 2017179654
Figure 2017179654
Figure 2017179654
上記のカルボジイミド化合物の中でも、化合物1分子当たりカルボジイミド基を含む環が2つ以上ある化合物を用いることが鎖伸長効果が大きい観点から好ましい。
(オキサゾリン化合物)
またオキサゾリン化合物としては、オキサゾリン基を含有する重合体が好ましい。このような重合体は、付加重合性オキサゾリン基含有モノマー単独もしくは他のモノマーとの重合によって作成できる。付加重合性オキサゾリン基含有モノマーは、2−ビニル−2−オキサゾリン、2−ビニル−4−メチル−2−オキサゾリン、2−ビニル−5−メチル−2−オキサゾリン、2−イソプロペニル−2−オキサゾリン、2−イソプロペニル−4−メチル−2−オキサゾリン、2−イソプロペニル−5−エチル−2−オキサゾリン等を挙げることができ、これらの1種または2種以上の混合物を使用することができる。これらの中で2−イソプロペニル−2−オキサゾリンが工業的にも入手しやすく好適であり、オキサゾリン基の重合体における含有量が1〜10ミリモル/gとなる割合で共重合することが接着性の点から好ましい。他のモノマーは、付加重合性オキサゾリン基含有モノマーと共重合可能なモノマーであれば制限なく、例えばアルキルアクリレート、アルキルメタクリレート(アルキル基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、t−ブチル基、2−エチルヘキシル基、シクロヘキシル基)等のア(メタ)クリル酸エステル類;アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、マレイン酸、フマール酸、クロトン酸、スチレンスルホン酸及びその塩(ナトリウム塩、カリウム塩、アンモニウム塩、第三級アミン塩等)等の不飽和カルボン酸類;アクリロニトリル、メタクリロニトリル等の不飽和ニトリル類;アクリルアミド、メタクリルアミド、N−アルキルアクリルアミド、N−アルキルメタクリルアミド、N、N−ジアルキルアクリルアミド、N、N−ジアルキルメタクリレート(アルキル基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、t−ブチル基、2−エチルヘキシル基、シクロヘキシル基等)等の不飽和アミド類;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル等のビニルエステル類;メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル等のビニルエーテル類;エチレン、プロピレン等のα−オレフィン類;塩化ビニル、塩化ビニリデン、フッ化ビニル等の含ハロゲンα、β−不飽和モノマー類;スチレン、α−メチルスチレン等のα、β−不飽和芳香族モノマー等を挙げることができ、これらの1種または2種以上のモノマーを使用することができる。
メラミン化合物としては、メラミンとホルムアルデヒドを縮合して得られるメチロールメラミン誘導体およびこれらに低級アルコールとしてメチルアルコール、エチルアルコール、イソプロピルアルコール等を反応させてエーテル化した化合物及びそれらの混合物が好ましい。メチロールメラミン誘導体としては、例えば、モノメチロールメラミン、ジメチロールメラミン、トリメチロールメラミン、テトラメチロールメラミン、ペンタメチロールメラミン、ヘキサメチロールメラミン等が挙げられる。
イソシアネート化合物としては、例えば、トリレンジイソシアネート、ジフェニルメタン−4,4´−ジイソシアネート、メタキシリレンジイソシアネート、ヘキサメチレン−1,6−ジイソシアネート、トリレンジイソシアネートとヘキサントリオールの付加物、トリレンジイソシアネートとトリメチロールプロパンの付加物、ポリオール変性ジフェニルメタン−4、4´−ジイソシアネート、カルボジイミド変性ジフェニルメタン−4,4´−ジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、1,5−ナフタレンジイソシアネート、3,3´−ビトリレン−4,4´−ジイソシアネート、3,3´−ジメチルジフェニルメタン−4,4´−ジイソシアネート、メタフェニレンジイソシアネート等が挙げられる。
カップリング剤としては、例えば一般式YRSiWで示されるシランカップリング剤を挙げることができる。ここで、Yはビニル基、エポキシ基、アミノ基、メルカプト基等の如き有機官能基、Rはメチレン、エチレン、プロピレン基の如きアルキレン基、Wはメトキシ基、エトキシ基等の如き加水分解基またはアルキル基(分子中の少なくとも1つのXは加水分解基である)である。Y部分がエポキシ基であることが特に好ましい。具体的に好ましいシランカップリング剤としては、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン等を挙げることができる。他にはジルコニウム、チタン、アルミニウム等の金属を含む有機金属化合物はアルコキシド、キレート、アシレート系に分類されるものが好ましい。具体例を挙げると、ジルコニウムテトラアセチルアセトネート、ジルコニウムアセテート、チタンアセチルアセトネート、トリエタノールアミンチタネート、チタンラクテート等であり、これらに限定されるものではない。
鎖伸長剤の含有量は、ポリエステル繊維重量に対して、0.005〜1.5wt%となるように配合する必要がある。好ましくはポリエステル繊維重量に対して、0.01〜1.2wt%であり、より好ましくは0.03〜1.0wt%、更により好ましくは0.004〜0.8重量%である。含有量が0.005wt%未満の場合、ポリエステル繊維を構成するポリエステル樹脂の固有粘度増加の効果が極めて小さくなり加工性の良化が見られない。一方、1.5wt%を超えるとポリエステル組成物の溶融粘度が増加し過ぎてかえって加工性能が悪化する。
なお、本発明のポリエステル繊維を製造するに際しては溶融紡糸法を行い、次いで延伸操作を行う方法にて製造することが好ましい。例えば、上記のポリエステル、式(1)で表されるリン化合物、鎖伸長剤をドライブレンドした後に押出機により、200〜300℃の温度で溶融混練してポリエステル組成物を得て、これを溶融紡糸工程に導入することができる。この際に、例えばリン原子含有量が1000〜16000ppmとなるように前記式(1)で表されるリン化合物が配合されている固有粘度が0.5〜1.3dL/gのポリエステル組成物を用い、紡糸後、未延伸糸を巻き取り別途延伸する方法、未延伸糸をいったん巻き取ることなく連続して延伸を行う方法、溶融紡糸後、凝固浴中で未延伸糸を冷却固化させた後、加熱媒体中又は加熱ローラー等の接触加熱下、あるいは非接触型ヒーターで延伸する方法などが採用される。
紡糸速度については、紡糸速度800〜4000m/分で引き取られる。紡糸速度が800m/分未満では、比較的高配向度の未延伸糸を得る事が出来ず、紡糸速度が4000m/分を超える場合には、未延伸糸の配向結晶化が促進され、高強力化に適さない。
ここで、溶融紡糸した未延伸糸を延伸する際に、トータル延伸倍率(総延伸倍率)が2.5〜6.0倍の範囲内となるように設定すれば、最終的に得られる繊維の引張強度を高い水準にて達成させることができると共に、延伸工程における断糸率も低く、生産性が更に向上する。該トータル延伸倍率は更に好ましくは2.8〜5.5倍の範囲であり、特に好ましくは3.0〜5.0倍の範囲である。該延伸工程は一段延伸のみでも、また二段以上の延伸段階を経ても良く、例えば二段延伸する方法を採用する場合は一段目の延伸倍率を2.0〜5.5倍、二段目の延伸倍率を1.0〜2.0倍程度とし、トータル延伸倍率を2.5〜6.0倍に調整すればよい。
鎖伸長剤の添加方法としては、溶融紡糸時に鎖伸長剤を直接ポリエステル組成物に投入する方法や、あらかじめ、7500〜45000ppmの濃度の濃いポリエステル樹脂を作る際に、鎖伸長剤も添加しておく、という方法もある。この場合は、希釈後に鎖伸長剤の効果がでるように、希釈倍率を考慮して添加量を決める必要がある。
このような操作にて製造された本発明のポリエステル繊維は、その破断引張強度が2.0〜6.5cN/dtex、好ましくは2.1〜6.1cN/dtex、より好ましくは2.2〜6.0cN/dtex、更に好ましくは3.0〜5.8cN/dtexである。またポリエステル繊維の破断伸度が20〜80%、好ましくは22〜75%、より好ましくは24〜73%、更に好ましくは25〜50%である。更に、(破断引張強度)×(破断伸度)0.5=(破断引張強度)√(破断伸度)で計算されるタフネスが19.0〜30.0、好ましくは19.5〜29.7、より好ましくは19.6〜29.5、更に好ましくは20.5〜28.0である。
この様にして得られるポリエステル繊維は、そのまま、あるいは嵩高加工を施した後に織編用途等に用いても、他の繊維と混繊あるいは複合加工した後に織編用途等に用いてもよい。また、これらポリエステル繊維中には少量の他の任意の重合体や酸化防止剤、制電剤、染色改良剤、染料、顔料、艶消し剤その他の添加剤が含有されていても良い。
本発明におけるポリエステル繊維はそのまま、あるいは上記の加工を施した後に、そのポリエステル繊維を含む各種の繊維構造体用途等に用いることができる。その、繊維構造体とは、糸、繊維状、紐状、織物、編物、不織布、フェルト、抄紙、三次元網状、綿状、シート状物など繊維の取りうる構造体は全て好ましく使用できる。中でも好ましくは、糸、紐、加工糸、網、編物、不織布および織物からなる群より選ばれる少なくとも1種の繊維構造物であることを特徴とする繊維構造体である。これらの繊維楮体としては、通常当業者間で知られている製造方法の中から目的に応じて任意に選択することができる。
本発明のポリエステル繊維は上記の様にして製造することができるが、用いる上記式(1)で表さるリン化合物を配合したポリエステル組成物は、はじめから1000〜16000ppmにする必要はない。別の方法として、7500〜45000ppmの範囲でさらにリン原子の濃度の濃いポリエステル組成物を作成し、ポリエステル繊維の製造の際に、そのポリエステル組成物と任意の種類のポリエステルと所定量ブレンドすることにより、全体としてのリン化合物濃度を1000−16000ppmになるようにして紡糸機に導入するという方法も好適に用いられる。この方法であれば、ポリエステル繊維製品の目付や形状によって必要な難燃性能が変わっても、リン含有量の調整が容易に行えると言う利点がある。また、顔料や機能性剤などの添加剤によって当初想定していたリン含有割合よりも減ってしまうという事態が回避できるので、ハンドリング性が高いという利点も有する。更に、溶融紡糸の際に上記の「任意の種類のポリエステル」が長時間溶融状態に晒される懸念が少なくなり、得られる繊維の色相等が良好であると言う利点も有する。また、このリン原子濃度の濃いポリエステル組成物の製造の際に、リン化合物と一緒に鎖伸長剤も添加することができる。
7500〜45000ppmの濃度の濃いポリエステル樹脂を作る方法は1種類には限定されないが、例えば、ベント付の二軸押出し機を用いて、200〜300℃の条件下にて、ポリエステルの樹脂を溶融させたところに、粉体のリン化合物を投入し、混練する方法があげられる。しかし方法はこれに限らず、例えば、あらかじめ、ポリエステルの樹脂とリン化合物をドライブレンドした上で、二軸押出し機に投入する方法なども用いられる。溶融混練する際の温度は201〜250℃とすることが好ましい。より好ましくは210〜235℃とすることである。
以下に実施例を挙げて本発明を説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。なお、評価は下記の方法で行った。
(A)有機純度
カラムは野村化学(株)製Develosil ODS−7 300mm×4mmφを用い、カラム温度は40℃とした。溶媒としてはアセトニトリルと水の6:4(容量比)の混合溶液を用い、5μLを注入した。検出器はUV−264nmを用いた。測定結果より、面積比をもって有機純度とした。
(B)塩素含有量
ASTM D5808に準拠し、燃焼法にて分析を行い、滴定法にて検出した。
(C)△pH
蒸留水99gと分散剤(エタノール)1gを混合し、1分間撹拌後、pH計にてpHを測定する(得られたpH値を「pH1」とする)。前記蒸留水と分散剤の混合溶液に、前記の有機リン化合物1gを添加し、1分間撹拌する。撹拌後の混合物を濾過し、濾液のpHをpH計にて測定する(得られたpH値を「pH2」とする)。△pHは下記式(α)により算出した。
△pH=|pH1−pH2| ……(α)
(D)残存溶媒量
カラムは野村化学(株)製Develosil ODS−7 300mm×4mmφを用い、カラム温度は40℃とした。溶媒としてはアセトニトリルと水の6:4(容量比)の混合溶液を用い、5μLを注入した。検出器はUV−264nmを用いた。別途作成した検量線を用い、残存溶媒量を算出した。
(E)酸素指数(LOI評価)
JIS−K−7201に準拠して行った。数値が高いほど難燃性に優れる。
(F)固有粘度(IV)
固有粘度数は、チップまたはポリエステル繊維サンプルを一定量計量し、o−クロロフェノールに0.012g/mlの濃度に溶解した後、一旦冷却させ、その溶液をウベローデ式粘度計を用いて35℃の温度条件で測定した溶液粘度から算出した。
(G)含有リン元素濃度
筒状にした編物から蛍光X線(理学製、Rataflex RU200)で定法により測定した。
(H)化学構造の特定
本発明により得られたポリエステル繊維を構成するポリエステルの一次構造は、ポリエステル繊維サンプルをヘキサフルオロイソプロパノールに溶解し、日本電子製JEOLA−600を用いてH−NMRを測定し、得られたスペクトルから帰属した。また配合されているリン化合物は、ポリエステル繊維サンプルをヘキサフルオロイソプロパノール等の良溶媒に溶解し、ジメチルホルムアミド(DMF)等の貧溶媒にて再沈処理を行い、溶液成分からリン化合物を抽出し、同様にH−NMRを測定し、得られたスペクトルから帰属し、化学構造を特定した。
(I)引張強度、伸度、タフネス、繊度
日本工業規格、JIS L1013:1999 8.5に記載の方法に準拠して破断引張強度、伸度(破断伸度)の測定を行った。更に下記式により、破断引張強度と伸度からタフネスを求めた。タフネスは、簡易的にポリエステル繊維の破壊強度のエネルギーを表す指標となりうる。繊度はJIS L1013:1999 8.3に記載の方法に準拠して測定を行った。
(タフネス)=(破断引張強度:cN/dtex)×√(破断伸度:%)=(破断引張強
度)×(破断伸度)0.5
(J)末端カルボキシシル基量(CV量)
得られたポリエステル組成物からなるポリエステル繊維を、窒素雰囲気下、200℃でベンジルアルコールに溶解させた後、滴定法により、ポリエステル重量1t当りの当量数として、末端カルボキシル基量(当量/10g=eq/T)を測定した。
(K)紡糸性の評価
紡糸性は、紡糸時の糸切れの回数によって評価できる。
パックから糸状に樹脂が出始めた時点を起点(0分)とし、60分間で何回、糸切れが発生したかをカウントする。糸切れの回数が0〜1回を紡糸性良好(○)とし、2〜5回を紡糸性不安定(△)、6回以上を紡糸不可(×)として、評価した。2〜5回を紡糸性不安定(△)とした理由は、紡糸条件の変更で改善する可能性があるからである。
(L)鎖伸長剤含有量の定量方法
鎖伸長剤がイソシアネート基、カルボジイミド基、オキサゾリン基、メラミン構造を有する場合には、ポリエステル繊維の蛍光X線測定を行い、窒素原子含有量を測定・評価することにより、シランカップリング剤を用いている場合には、同じくポリエステル繊維の蛍光X線測定を行い、ケイ素原子含有量を測定・評価することにより、定量した。
鎖伸長剤がエポキシ基含有化合物である場合、ポリエステル繊維サンプルを重トリフルオロ酢酸と重クロロホルムの1:1の混合溶媒(体積比)約0.6mLに溶解し、H−NMR測定を行った。得られたスペクトルからアルキル基の帰属とされるδ=0.6〜2.0ppmのピーク群の積分値より繊維中の存在量を定量した。
[製造例1]2,4,8,10−テトラオキサ−3,9−ジホスファスピロ[5.5]
ウンデカン,3,9−ジベンジル−3,9−ジオキサイド(FR−1)の製造
攪拌機、温度計、コンデンサーを有する反応容器に、3,9−ジベンジロキシ−2,4,8,10−テトラオキサ−3,9−ジホスファスピロ[5.5]ウンデカン22.55g(0.055モル)、ベンジルブロマイド19.01g(0.11モル)およびキシレン33.54g(0.32モル)を充填し、室温下攪拌しながら、乾燥窒素をフローさせた。次いでオイルバスで加熱を開始し、還流温度(約130℃)で4時間加熱、攪拌した。加熱終了後、室温まで放冷し、キシレン20mLを加え、さらに30分攪拌した。析出した結晶をろ過により分離し、キシレン40mLで2回洗浄した。得られた粗精製物とメタノール50mLをコンデンサー、攪拌機を備えた反応容器に入れ、約3時間還流した。室温まで冷却後、結晶をろ過により分離し、メタノール20mLで2回洗浄した後、得られたろ取物を120℃、1.33×10Paで20時間乾燥し、白色の鱗片状結晶を得た。生成物は質量スペクトル分析、H、31P核磁気共鳴スペクトル分析および元素分析でビスベンジルペンタエリスリトールジホスホネートであることを確認した。収量は19.76g、収率は88%、31P−NMR純度は99%であった。また、本文記載の方法で測定した有機純度は99.5%であった。塩素含有量は51ppmであった。△pHは0.1であった。残留溶媒量は47ppmであった。
[製造例2]2,4,8,10−テトラオキサ−3,9−ジホスファスピロ[5.5]ウンデカン,3,9−ジベンジル−3,9−ジオキサイド(FR−2)の調製
キシレン40mlで2回洗浄とメタノール還流洗浄の操作を省略した他は、調製例1と同様の調製方法にて調製した。
収量は21.33g、収率は95%、31P−NMR純度は95%であった。また、本文記載の方法で測定した有機純度は94.0%であった。塩素含有量は2500ppmであった。△pHは1.5であった。残留溶媒量は1100ppmであった。
[鎖伸長剤]
CE−1;BASF社製 エポキシ基含有アクリル−スチレン共重合体、商品名:ADR4300−S
CE−2;帝人株式会社製 環状カルボジイミド基含有化合物
下記の化学構造式で表される化合物であり、以下に示す操作により環状カルボジイミド化合物を製造し、化合物同定を以下の操作により行った。
(M)環状カルボジイミド構造のNMRによる同定
合成した環状カルボジイミド化合物はH−NMR、13C−NMRによって確認した。NMRは日本電子(株)製JNR−EX270を使用した。溶媒は重クロロホルムを用いた。
(N)環状カルボジイミドのカルボジイミド骨格のIRによる同定
合成した環状カルボジイミド化合物のカルボジイミド骨格の有無は、FT−IRによりカルボジイミドに特徴的な2100〜2200cm−1の確認を行った。FT−IRはサーモニコレー製Magna−750を使用した。
[製造例3]環状カルボジイミドCC1の製造
Figure 2017179654
o−ニトロフェノール(0.11mol)と1,2−ジブロモエタン(0.05mol)、炭酸カリウム(0.33mol)、N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)200mlを攪拌装置および加熱装置を設置した反応装置にN雰囲気下仕込み、130℃で12時間反応後、DMFを減圧により除去し、得られた固形物をジクロロメタン200mlに溶かし、水100mlで3回分液を行った。有機層を硫酸ナトリウム5gで脱水し、ジクロロメタンを減圧により除去し、中間生成物A(ニトロ体)を得た。
次に中間生成物A(0.1mol)と5%パラジウムカーボン(Pd/C)(1g)、エタノール/ジクロロメタン(70/30)200mlを、攪拌装置を設置した反応装置に仕込み、水素置換を5回行い、25℃で水素を常に供給した状態で反応させ、水素の減少がなくなったら反応を終了する。Pd/Cを回収し、混合溶媒を除去すると中間生成物B(アミン体)が得られた。
次に攪拌装置および加熱装置、滴下ロートを設置した反応装置に、N雰囲気下、トリフェニルホスフィンジブロミド(0.11mol)と1,2−ジクロロエタン150mlを仕込み攪拌させる。そこに中間生成物B(0.05mol)とトリエチルアミン(0.25mol)を1,2−ジクロロエタン50mlに溶かした溶液を25℃で徐々に滴下した。滴下終了後、70℃で5時間反応させた。その後、反応溶液をろ過し、ろ液を水100mlで5回分液を行った。有機層を硫酸ナトリウム5gで脱水し、1,2−ジクロロエタンを減圧により除去し、中間生成物C(トリフェニルホスフィン体)が得られた。
次に、攪拌装置および滴下ロートを設置した反応装置に、N雰囲気下、ジ−tert−ブチルジカーボネート(0.11mol)とN,N−ジメチル−4−アミノピリジン(0.055mol)、ジクロロメタン150mlを仕込み攪拌させた。そこに、25℃で中間生成物C(0.05mol)を溶かしたジクロロメタン100mlをゆっくりと滴下させた。滴下後、12時間反応させた。その後、ジクロロメタンを除去し得られた固形物を精製することで、CC1を得た。CC1の構造はNMR,IRにより確認した。
[製造例4]環状カルボジイミドCC2の製造
Figure 2017179654
o−ニトロフェノール(0.11mol)とペンタエリトリチルテトラブロミド(0.025mol)、炭酸カリウム(0.33mol)、N,N−ジメチルホルムアミド200mlを攪拌装置および加熱装置を設置した反応装置にN雰囲気下仕込み、130℃で12時間反応後、DMFを減圧により除去し、得られた固形物をジクロロメタン200mlに溶かし、水100mlで3回分液を行った。有機層を硫酸ナトリウム5gで脱水し、ジクロロメタンを減圧により除去し、中間生成物D(ニトロ体)を得た。
次に中間生成物D(0.1mol)と5%パラジウムカーボン(Pd/C)(2g)、エタノール/ジクロロメタン(70/30)400mlを、攪拌装置を設置した反応装置に仕込み、水素置換を5回行い、25℃で水素を常に供給した状態で反応させ、水素の減少がなくなったら反応を終了した。Pd/Cを回収し、混合溶媒を除去すると中間生成物E(アミン体)が得られた。
次に攪拌装置および加熱装置、滴下ロートを設置した反応装置に、N雰囲気下、トリフェニルホスフィンジブロミド(0.11mol)と1,2−ジクロロエタン150mlを仕込み攪拌させた。そこに中間生成物E(0.025mol)とトリエチルアミン(0.25mol)を1,2−ジクロロエタン50mlに溶かした溶液を25℃で徐々に滴下した。滴下終了後、70℃で5時間反応させる。その後、反応溶液をろ過し、ろ液を水100mlで5回分液を行った。有機層を硫酸ナトリウム5gで脱水し、1,2−ジクロロエタンを減圧により除去し、中間生成物F(トリフェニルホスフィン体)が得られた。
次に、攪拌装置および滴下ロートを設置した反応装置に、N雰囲気下、ジ−tert−ブチルジカーボネート(0.11mol)とN,N−ジメチル−4−アミノピリジン(0.055mol)、ジクロロメタン150mlを仕込み攪拌させる。そこに、25℃で中間生成物F(0.025mol)を溶かしたジクロロメタン100mlをゆっくりと滴下させた。滴下後、12時間反応させる。その後、ジクロロメタンを除去し得られた固形物を、精製することで、CC2を得た。CC2の構造はNMR、IRにより確認した。
[実施例1〜3、5、比較例1]
表1に記載の種類とIV(固有粘度)を有するポリエステルとリン化合物と鎖伸長剤(CE−1、CE−2(上記のCC2))を表1記載の量(ポリエステル繊維の重量を100%とした場合の重量%)で配合し、ベント付き二軸押出機により、230℃で溶融混練し、表1に記載の固有粘度のポリエステル組成物を得た(難燃ポリエステル組成物)。このポリエステル組成物を雰囲気温度250〜280℃中に口金より紡出せしめ、引取り速度1000m/分で引き取った。引き続き1段、または2段で4.0±0.5倍になるように延伸し、80〜88デシテックスのフィラメントを得た。このフィラメントヤーンの各物性を表2に示した。結果を表1および表2に示した。実施例1におけるLOI値は25.5であった。
[実施例4]
IVが0.684dL/gのPETを用いること、酸化チタンをポリエステル組成物の重量当たり0.3wt%添加すること、鎖伸長剤の配合量を0.1重量%とすること以外は実施例1と同様にして難燃ポリエステル組成物を得て、繊維を得た。結果を表1および表2に示した。
[比較例2]
リン化合物の配合量を10wt%に増加し、鎖伸長剤を配合しない以外は実施例1と同様にして難燃ポリエステル組成物を得て、繊維を得た。各物性を表1に示し、結果を表1および表2に示した。
比較例1,2に示したように、鎖伸長剤の配合量が多い場合(比較例1)や、リン化合物の配合量が多く(リン原子濃度が高く)、かつ、鎖伸長剤をいれない場合(比較例2)は紡糸性が悪く、物性を測定するに足りる延伸糸を得ることができなかった。
[比較例3]
リン化合物の配合量を5wt%に変更した以外は比較例2と同様にして難燃ポリエステル組成物を得て、繊維を得た。各物性を表1に示し、結果を表1および表2に示した。
[比較例4]
IVが0.600dL/gのPETを用いること、更にリン化合物の配合量を10wt%に増加し、鎖伸長剤の配合量を0.1重量%に変更すること以外は実施例1と同様にして難燃ポリエステル組成物を得て、繊維を得た。各物性を表1に示し、結果を表1および表2に示した。
[比較例5]
リン化合物および鎖伸長剤を配合しない以外は実施例1と同様にして難燃ポリエステル組成物を得て、繊維を得た。各物性を表1に示し、結果を表1および表2に示した。
[参考例1]
表1記載の種類とIV(固有粘度)が0.900のポリエステルとリン化合物と鎖伸長剤を表1に記載の量(ポリエステル組成物の重量を100%とした場合の重量%)で配合し、ベント付き二軸押出機により、230℃で溶融混練し、表1に記載の固有粘度が0.572のポリエステル組成物を得た(難燃ポリエステル組成物、参考例1のマスターチップと称する。)。
[実施例6]
参考例1に記載のマスターチップと、表1に記載の種類とIV(固有粘度)を有するポリエステルをドライブレンドし、雰囲気温度250〜280℃中に口金より紡出せしめ、引取り速度1000m/分で引き取った。引き続き1段、または2段で4.0±0.5倍になるように延伸し、80〜85デシテックスのフィラメントを得た。このフィラメントヤ−ンの各物性を表2に示す。このフィラメントヤ−ンを用いて筒編を作製し、LOI値を測定した。LOIは25であった。結果を表1および表2に示した。
[参考例2]
参考例1において、鎖伸長剤を配合しない以外は、参考例1と同様の操作にて、表1に記載の固有粘度が0.521のポリエステル組成物を得た(難燃ポリエステル組成物、参考例2のマスターチップと称する。)。
[実施例7]
参考例2に記載のマスターチップと、表1に記載の種類とIV(固有粘度)を有するポリエステル、さらに鎖伸長剤を表1記載の量(重量部)でドライブレンドした後、雰囲気温度250〜280℃中に口金より紡出せしめ、引取り速度1000m/分で引き取った。引き続き1段、または2段で4.0±0.5倍になるように延伸し、80〜85デシテックスのフィラメントを得た。このフィラメントヤ−ンの各物性を表2に示す。このフィラメントヤ−ンを用いて筒編を作製し、LOI値を測定した。LOIは25.0であった。結果を表1および表2に示した。
Figure 2017179654
Figure 2017179654
[実施例8]
上記の実施例1で得られた繊維を下記操作に沿って各種の繊維構造体を製造し、LOI評価を行った。結果を表3に示した。
(織物)
実施例1で得られたポリエステル繊維を経糸および緯糸に全量を配し、通常の製織方法により平組織の織物を得た。
(編物)
実施例1で得られたポリエステル繊維を、フロント筬、ミドル筬、バック筬に用い、通常の経編機を使用して編物を得た。
(不織布)
実施例1で得られた難燃ポリエステル組成物を250〜280℃で溶融紡糸し、エジェクターで高速で引き取った長繊維を、移動するネットコンベア上に連続的に供給して搬送し、エンボスローラで熱圧着(100〜200℃)し、長繊維不織布を得た。
Figure 2017179654
本発明によれば、リン系難燃剤の溶融混練により低リン濃度でありながら優れた難燃性を有すると共に、従来に比べて糸物性に優れた難燃性ポリエステル繊維を提供することができる。

Claims (8)

  1. ポリエステル繊維重量に対して、リン原子の含有量が1000〜16000ppmとなるように下記一般式(1)で表されるリン化合物と、0.005wt%〜1.5wt%となるように鎖伸長剤が配合されているポリエステル繊維であって、固有粘度が0.5〜1.3dL/gであり、末端カルボキシル基量が10〜45eq/Tであることを特徴とするポリエステル繊維。
    Figure 2017179654
  2. 前記の下記一般式(1)で表されるリン化合物の各物性が以下の要件を満たすことを特徴とする請求項1記載のポリエステル繊維。
    (ア)有機純度が97.0%以上100%以下
    (イ)塩素含有量が0ppmを超え1000ppm以下
    (ウ)pH変動値(ΔpH)が0以上1.0以下
    (エ)残存溶媒量が0ppmを超え1000ppm以下
    Figure 2017179654
  3. 破断引張強度が2.0〜6.5cN/dtex、破断伸度が20〜80%、(破断引張強度)×(破断伸度)0.5で表されるタフネスが19.0〜30.0であることを特徴とする請求項1または2のいずれかに記載のポリエステル繊維。
  4. リン原子含有量が1000〜16000ppmとなるように下記一般式(1)で表されるリン化合物が配合されている固有粘度が0.5〜1.3dL/gのポリエステル組成物を溶融紡糸法により紡糸速度が800〜4000m/分で引き取り、紡糸後の総延伸倍率が2.5〜6.0倍であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のポリエステル繊維の製造方法。
  5. リン原子含有量が7500〜45000ppmとなるように一般式(1)で表されるリン化合物が配合されている0.4〜0.6dL/gのポリエステル組成物を、任意のポリエステル樹脂と、リン原子含有量が1000〜16000ppmになるようにブレンドし、さらに溶融紡糸時に樹脂総重量に対して0.005wt%〜1.5wt%の鎖伸長剤を添加した上で溶融紡糸法により、紡糸速度が800〜4000m/分でひきとり、紡糸後の総伸倍率が2.5〜6.0倍であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のポリエステル繊維の製造方法。
  6. リン原子含有量が7500〜45000ppmとなるように一般式(1)で表されるリン化合物と、樹脂総重量に対して0.005wt%〜1.5wt%の鎖伸長剤が配合されている0.4〜0.6dL/gのポリエステル組成物を、任意のポリエステル樹脂と、リン原子含有量が1000〜16000ppmになるようにブレンドした上で溶融紡糸法により、紡糸速度が800〜4000m/分でひきとり、紡糸後の総伸倍率が2.5〜6.0倍であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のポリエステル繊維の製造方法。
  7. 請求項1〜3のいずれか1項に記載のポリエステル繊維を含む、繊維構造体。
  8. 前記繊維構造体が、糸、紐、加工糸、網、編物、不織布および織物からなる群より選ばれる少なくとも1種の繊維構造物であることを特徴とする請求項7に記載の繊維構造体。
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