JP2017179064A - 電子部品用接着剤 - Google Patents

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幹人 鈴木
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雄太 五味渕
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Akikuni Sei
章訓 清
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Abstract

【課題】 プレス圧着時に流出しにくく、かつ貼り付け加工性、半田耐熱性に優れる電子部品用接着剤の提供。
【解決手段】 グリシジル基を有し、質量平均分子量が30万〜150万であるアクリル共重合体(A)と、該アクリル共重合体(A)を架橋させる架橋成分(B)と、レゾール型フェノール樹脂(C)とを含み、前記アクリル共重合体(A)のグリシジル基の少なくとも一部が前記架橋成分(B)により架橋されている電子部品用接着剤。
【選択図】なし

Description

本発明は、フレキシブルプリント配線板等に用いられる電子部品用接着剤に関する。
電子機器等に使用されるフレキシブルプリント配線板(FPC)は薄いため、FPC単体で用いるには強度が不十分である。そのため、通常、FPCは接着剤を介して補強板(スティフナー)に固定して用いられる。
また、接着剤を介してFPC同士を積層し、多層FPCとして用いることもある。
FPCに用いられる接着剤としては、エポキシ樹脂を含むものが知られている(例えば、特許文献1〜3参照)。
特開2004−72038号公報 特開2007−13113号公報 特開2009−203295号公報
ところで、FPCと補強版やFPC同士は、接着剤を介して貼り合された後、所定の温度および圧力でプレス圧着される。さらに所定の温度および時間で接着剤を加熱硬化した後、半田付けなどの処理が行われる。
しかし、従来の接着剤の場合、プレス圧着の際にFPCと補強版、あるいはFPC同士の積層体の側面から接着剤が流れ出てしまうことがあった。そのため、接着剤にはプレス圧着時に流出しにくいことが求められる。その一方で、接着剤には、加熱により軟化してFPCや補強版に対する濡れ性を高めたり、FPCや補強版の表面形状(凹凸形状)に追従したりして、貼り合せを高めることも求められる。すなわち、接着剤には、FPCと補強板やFPC同士を貼り合せる際には適度な貼り付け加工性(濡れ性、凹凸追従性)を発現できるが、プレス圧着時に流出しにくいことが求められる。
また、従来の接着剤の場合、半田付け処理において、リフロー炉の通過時や半田浴にフロートしたときに、接着剤が膨れてしまうことがあった。接着剤が膨れてしまうとFPCとしての性能や品質が低下してしまう。そのため、接着剤には半田耐熱性にも優れることが求められる。
これまで、プレス圧着時に流出しにくく、かつ貼り付け加工性、半田耐熱性に優れる接着剤は知られていない。
本発明は上記事情に鑑みてなされたもので、プレス圧着時に流出しにくく、かつ貼り付け加工性、半田耐熱性に優れる接着剤を提供することを目的とする。
本発明は以下の態様を有する。
[1] グリシジル基を有し、質量平均分子量が30万〜150万であるアクリル共重合体(A)と、該アクリル共重合体(A)を架橋させる架橋成分(B)と、レゾール型フェノール樹脂(C)とを含み、前記アクリル共重合体(A)のグリシジル基の少なくとも一部が前記架橋成分(B)により架橋されていることを特徴とする電子部品用接着剤。
[2] 前記架橋成分(B)がアミン系硬化剤であることを特徴とする[1]に記載の電子部品用接着剤。
[3] 前記アミン系硬化剤が、1分子内に2個以上の1級乃至2級アミノ基を有するアミンであって、複素脂環式アミン乃至芳香族アミンであることを特徴とする[2]に記載の電子部品用接着剤。
[4] 前記アクリル共重合体(A)のガラス転移温度が−15〜50℃であることを特徴とする[1]〜[3]のいずれか一項に記載の電子部品用接着剤。
[5] 前記アクリル共重合体(A)が、グリシジル(メタ)アクリレート単位とアクリロニトリル単位とを含むことを特徴とする[1]〜[4]のいずれか一項に記載の電子部品用接着剤。
[6] 前記アクリル共重合体(A)は、グリシジル(メタ)アクリレート単位を0.01〜15質量%含むことを特徴とする[5]に記載の電子部品用接着剤。
[7] 前記アクリル共重合体(A)は、アクリロニトリル単位を5〜50質量%含むことを特徴とする[5]または[6]に記載の電子部品用接着剤。
[8] 160℃における貯蔵弾性率が2×10〜1×10Paであることを特徴とする[1]〜[7]のいずれか一項に記載の電子部品用接着剤。
本発明の電子部品用接着剤は、プレス圧着時に流出しにくく、かつ貼り付け加工性、半田耐熱性に優れる。
[電子部品用接着剤]
本発明の電子部品用接着剤(以下、単に接着剤という)は、グリシジル基を有し、質量平均分子量が30万〜150万であるアクリル共重合体(A)と、該アクリル共重合体(A)を架橋させる架橋成分(B)と、レゾール型フェノール樹脂(C)とを含む。
以下、各成分について説明する。
<アクリル共重合体(A)>
アクリル共重合体(A)は、グリシジル基を有する。接着剤中で、アクリル共重合体(A)のグリシジル基の少なくとも一部は、後述する架橋成分(B)により架橋されている。グリシジル基の少なくとも一部が架橋成分(B)により架橋されていることで、樹脂の流動性が抑制され、プレス圧着時に接着剤が流出しにくくなる。
しかし、グリシジル基の少なくとも一部が架橋しただけでは、半田耐熱性を向上させることは困難である。
そこで、本発明では特定の熱硬化性成分、すなわち後述するレゾール型フェノール樹脂(C)を接着剤中に共存させることで、半田耐熱性を向上させている。
また、レゾール型フェノール樹脂を用いることで、貼付け加工性が向上する。
ところで、樹脂の流動性を抑制するという観点では、アクリル共重合体に反応性官能基を導入させ、この反応性官能基を架橋させればよく、グリシジル基以外の反応性官能基を有するアクリル共重合体を用いることも考えられる。
アクリル共重合体に導入させる反応性官能基としては、グリシジル基の他に、ヒドロキシ基、カルボキシ基などが一般的である。
しかし、ヒドロキシ基を有するアクリル共重合体の場合、通常、架橋成分(B)としてイソシアネート等の硬化剤を用いて架橋させることになる。イソシアネートはレゾール型フェノール樹脂(C)とも反応するため、アクリル共重合体とイソシアネートの反応(架橋反応)と、レゾール型フェノール樹脂(C)とイソシアネートの反応とが同時に進行してしまう。その結果、アクリル共重合体の架橋反応が阻害されてしまい、樹脂の流動性が抑制されにくくなる。加えて、貼り付け加工性や半田耐熱性の向上効果も得られにくくなる。また、接着剤中にOHやNHなどの活性水素が存在していると、イソシアネートは活性水素とも反応してしまうため、アクリル共重合体の架橋反応がさらに阻害され、樹脂の流動性が抑制されにくくなる。
カルボキシ基を有するアクリル共重合体の場合、架橋成分(B)としてイソシアネートやエポキシ樹脂等の硬化剤を用いて架橋させる。
架橋成分(B)としてイソシアネートを用いる場合は、ヒドロキシ基を有するアクリル共重合体と同様の問題が生じる。
架橋成分(B)としてエポキシ樹脂を用いる場合、樹脂の流動性を抑制しつつ、半田耐熱性を発現させることが困難である。また、接着剤の常温(25℃)での保管性も低下する傾向にある。さらに、接着性が低下しやすくなる傾向にもある。
樹脂の流動性を抑制しつつ、貼り付け加工性および半田耐熱性を向上させるためには、アクリル共重合体(A)の架橋反応とレゾール型フェノール樹脂(C)の硬化反応とが、互いの反応の進行を妨げないことが重要である。すなわち、所定の温度および時間で接着剤を加熱硬化させる前までは、レゾール型フェノール樹脂(C)の硬化反応は進行せず、アクリル共重合体(A)の架橋反応が阻害されることなく進行することが重要である。
上述したように、ヒドロキシ基を有するアクリル共重合体やカルボキシ基を有するアクリル共重合体を用いると、アクリル共重合体(A)の架橋反応とレゾール型フェノール樹脂(C)の硬化反応とが、互いの反応の進行を妨げてしまうため、レゾール型フェノール樹脂(C)を接着剤中に共存させることが困難となる。
しかし、グリシジル基を有するアクリル共重合体(A)の場合、該アクリル共重合体(A)を架橋させる架橋成分(B)はレゾール型フェノール樹脂(C)と反応しにくい。よって、アクリル共重合体(A)の架橋反応とレゾール型フェノール樹脂(C)の硬化反応とが、互いの反応の進行を妨げることなく、各反応が所定のタイミングにて進行する。すなわち、所定の温度および時間で接着剤を加熱硬化させる前までは、レゾール型フェノール樹脂(C)の反応は進行しにくく、アクリル共重合体(A)の架橋反応が進行してグリシジル基の少なくとも一部が架橋成分(B)により架橋された状態となる。そして、接着剤を所定の温度および時間で加熱硬化すると、レゾール型フェノール樹脂(C)の硬化反応が進行する。従って、プレス圧着時に流れ出しにくく、かつ貼り付け加工性および半田耐熱性に優れる接着剤が得られる。
また、グリシジル基を有するアクリル共重合体(A)を用いれば、接着剤の接着性、常温保管性が向上する。加えてタックも抑制されるので、作業性(取り扱い性)も良好となる。
アクリル共重合体(A)の質量平均分子量は、30万〜150万であり、50万〜120万が好ましい。質量平均分子量が30万以上であれば、樹脂の流動性を抑制でき、半田耐熱性にも優れる。一方、質量平均分子量が150万以下であれば、貼り付け加工性が向上する。
ところで、詳しくは後述するが、本発明の接着剤は、例えばアクリル共重合体(A)、架橋成分(B)およびレゾール型フェノール樹脂(C)の混合物を溶剤で所望の濃度に希釈して塗料組成物とし、該塗料組成物を基材上に塗布し、乾燥させて溶剤を除去することで得られる。アクリル共重合体(A)の質量平均分子量が150万以下であれば、塗料組成物の粘度が上昇するのを抑制でき、基材上に塗料組成物を容易に塗布できる。
アクリル共重合体(A)の質量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)にて、ポリスチレンを標準として測定した値である。
アクリル共重合体(A)のガラス転移温度は、−15〜50℃が好ましく、−5〜40℃がより好ましい。ガラス転移温度が−15℃以上であれば、タックを抑制できる。一方、ガラス転移温度が50℃以下であれば、貼り付け加工性がより向上する。
アクリル共重合体(A)のガラス転移温度は、示差走査熱量計(DSC)を用い、JIS K 7121に準拠して測定される値である。
アクリル共重合体(A)は、グリシジル(メタ)アクリレート単位とアクリロニトリル単位とを含むことが好ましい。アクリル共重合体(A)がグリシジル(メタ)アクリレート単位とアクリロニトリル単位とを含むことで、半田耐熱性に優れ、接着性が向上するとともに、タックを抑制できる。
なお、本発明において「(メタ)アクリレート」とは、アクリレートおよびメタクリレートの総称である。
グリシジル(メタ)アクリレート単位の含有量は、アクリル共重合体(A)を構成する全ての単量体単位の合計100質量%中、0.01〜15質量%が好ましく、0.1〜10質量%がより好ましい。グリシジル(メタ)アクリレート単位の含有量が0.1質量%以上であれば、樹脂の流動性やタックをより抑制できるとともに、半田耐熱性がより向上する。一方、グリシジル(メタ)アクリレート単位の含有量が15質量%以下であれば、貼り付け加工性がより向上する。また、塗料組成物の粘度が上昇するのを抑制でき、基材上に塗料組成物を容易に塗布できる。
アクリロニトリル単位の含有量は、アクリル共重合体(A)を構成する全ての単量体単位の合計100質量%中、5〜50質量%が好ましく、15〜40質量%がより好ましい。アクリロニトリル単位の含有量が5質量%以上であれば、樹脂の流動性をより抑制できるとともに、半田耐熱性がより向上する。また、タックも抑制できる。一方、アクリロニトリル単位の含有量が50質量%以下であれば、貼り付け加工性がより向上する。また、塗料組成物の粘度が上昇するのを抑制でき、基材上に塗料組成物を容易に塗布できる。
アクリル共重合体(A)は、グリシジル(メタ)アクリレートとアクリロニトリルとを含む単量体混合物を公知の方法で共重合することで得られる。
単量体混合物には、グリシジル(メタ)アクリレートおよびアクリロニトリル以外の単量体(他の単量体)が含まれていてもよい。
他の単量体としては、グリシジル(メタ)アクリレート、アクリロニトリルと共重合可能であれば特に制限されないが、例えばメチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート等の直鎖状アルキル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレート等の分岐鎖状(メタ)アクリレートなどが挙げられる。また、耐熱性、凝集力等の向上の為に、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸等のカルボキシル基含有モノマー、無水マレイン酸等の酸無水物基含有モノマー、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート等のヒドロキシル基含有モノマー、エポキシ基含有アクリル系モノマー、スチレン等のビニル系モノマー、メタクリロニトリル等のシアノアクリレートモノマー、スチレンスルホン酸等のスルホン酸基含有モノマー、2‐ヒドロキシエチルアクリロイルホスフェート等のリン酸基含有モノマー、(メタ)アクリルアミド等の(N-置換)アミド系モノマー、(メタ)アクリル酸アミノエチル等の(メタ)アクリル酸アルコキシアルキル系モノマー、N‐フェニルマレイミドなどのマレイミド系モノマー、N‐エチルイタコンイミド等のイタコンイミド系モノマー、スクシンイミド系モノマー、N‐ビニルカルボン酸アミド類、グリコール系アクリルエステルモノマー、イソプレン等のオレフィン系モノマー、ビニルエーテル系モノマー、ウレタンアクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート等の他官能モノマーなどが挙げられる。これらの中でも、接着性がより向上する点で、エチル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレートが好ましい。これらは1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
他の単量体単位の含有量は、アクリル共重合体(A)を構成する全ての単量体単位の合計100質量%中、35.0〜94.99質量%が好ましく、50.0〜84.9質量%がより好ましく、55〜80質量%がさらに好ましい。
<架橋成分(B)>
架橋成分(B)は、アクリル共重合体(A)を架橋させる硬化剤であり、架橋成分(B)によってアクリル共重合体(A)のグリシジル基の少なくとも一部が架橋する。
架橋成分(B)としては、グリシジル基を有するアクリル共重合体(A)を架橋させるものであれば特に制限されないが、アミン系硬化剤、酸無水物系硬化剤、イミダゾール系硬化剤、チオール系硬化剤などが挙げられる。これらの中でも、常温保管性や接着性が向上する点で、アミン系硬化剤が好ましい。
1分子中に2個以上の1級乃至2級アミノ基を有するものが好ましく、複素脂環式アミン乃至芳香族アミンが好ましい。複素脂環式アミンおよび芳香族アミンは、単独で用いてもよいし、併用してもよい。
複素脂環式アミンは求核反応性が高く、アクリル共重合体(A)の架橋反応を制御しやすい。特に、2級のアミノ基を有する複素脂環式アミンは求核反応性により優れる。また、複素脂環式アミンは、アクリル共重合体(A)のグリシジル基と反応した後、求核性のアミノ基が消失する。また、アクリル共重合体(A)のグリシジル基との反応によりアミノ基の運動が失われ、触媒作用が低下する。その結果、常温保管性が向上する。
複素脂環式アミンとしては、例えば1,3−ジ−4−ピペリジルプロパン、セバシン酸ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)等の化合物が挙げられる。
これらは1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
芳香族アミンは複素脂環式アミンに比べると求核反応性は低いが、加熱によりアクリル共重合体(A)のグリシジル基と反応する。よって、アクリル共重合体(A)の架橋反応をより制御しやすい。また、芳香族アミンも、アクリル共重合体(A)のグリシジル基と反応した後、アミノ基が消失する。また、アクリル共重合体(A)のグリシジル基との反応によりアミノ基の運動が失われ、触媒作用が低下する。その結果、常温保管性が向上する。
芳香族アミンとしては、例えば4,4‘‐ジアミノジフェニルメタン、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]スルフォン等の1分子中に1級アミノ基2個以上有する化合物;これらは1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
酸無水物系硬化剤としては、分子内に1個以上のカルボン酸無水物基を持つものであれば良く、例えばコハク酸無水物、1,2,3,6−テトラヒドロ無水フタル酸、ピロメリット酸二無水物などが挙げられる。これらは1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
イミダゾール系硬化剤としては、例えば1−メチルイミダゾール、2−エチル−4−メチルイミダゾール、2,4−ジアミノ−6−[2‘−メチルイミダゾリル−(1’)]−エチル−s−トリアジン イソシアヌル酸付加物などが挙げられる。これらは1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
チオール系硬化剤としては、ペンタエリスリトールテトラキス(3−メルカプトプロピオネート)、トリス‐[(3−メルカプトプロピオニルオキシ)−エチル]−イソシアヌレート、トリス-[(3-メルカプトプロピオニルオキシ)-エチル]-イソシアヌレート、4,4‘−チオビスベンゼンチオール、昭和電工社製 カレンズMT PE1、等が上げられる。これらは、1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
架橋成分(B)の融点は30℃以上が好ましく、50℃以上がより好ましい。融点が30℃以上であれば、タックを抑制できる。融点の上限値については特に制限されない。
架橋成分(B)の融点は、示差走査熱量計(DSC)を用い、JIS K 7121に準拠して測定される値である。
架橋成分(B)の配合量は、アクリル共重合体(A)100質量部に対して、0.01〜10質量部が好ましい。架橋成分(B)の配合量が多くなるほど、樹脂の流動性を抑制でき、プレス圧着時に接着剤が流出しにくくなる傾向にある。架橋成分(B)の配合量が少なくなるほど、貼り付け加工性がより向上する傾向にある。
また、架橋成分(B)としてアミン系硬化剤を用いる場合、その配合量は、アクリル共重合体(A)のグリシジル基に対して、アミン系硬化剤のアミノ基が0.005〜0.9等量となる量が好ましく、0.01〜0.65等量となる量がより好ましい。
なお、アミン系硬化剤の配合量は、アクリル共重合体(A)の質量平均分子量や、グリシジル基の量に影響される。例えば、アクリル共重合体(A)の質量平均分子量が85万であり、グリシジル(メタ)アクリレート単位を3質量%含む場合、グリシジル基に対して、アミン系硬化剤のアミノ基は0.08〜0.7等量が好ましい。
<レゾール型フェノール樹脂(C)>
上述したように、アクリル共重合体(A)のグリシジル基の少なくとも一部が架橋成分(B)により架橋しただけでは、貼り付け加工性や半田耐熱性を向上させることは困難である。そのため、プレス圧着後に加熱して接着剤を硬化させることで、半田耐熱性を高める必要がある。また、FPCと補強版やFPC同士を貼り合せる際に、接着剤に適度な貼り付け加工性(濡れ性、凹凸追従性)を発現させるためには、貼り合せ時の温度やプレス圧着程度ではほぼ硬化反応せず、所定の温度および時間で加熱処理することで硬化反応が進行することが重要である。
レゾール型フェノール樹脂(C)は、貼り合せ時の温度やプレス圧着程度では硬化反応はほぼ進行せず、所定の温度および時間で加熱処理することで硬化反応が進行する樹脂である。よって、レゾール型フェノール樹脂(C)を用いることで、貼り付け加工性や半田耐熱性が向上する。加えて、接着剤の常温保管性も向上する。
なお、接着剤を硬化させるという観点では、レゾール型フェノール樹脂(C)以外の熱硬化性樹脂(例えばエポキシ樹脂等)を用いることも考えられる。
しかし、レゾール型フェノール樹脂(C)以外の熱硬化性樹脂を用いると、アクリル共重合体(A)と架橋成分(B)との反応(架橋反応)が阻害され、樹脂の流動性の制御が困難になる。その結果、プレス圧着時に接着剤が充分に流動せず貼付け加工性が損なわれたり、または、プレス圧着時に接着剤が流出しやすくなる。
レゾール型フェノール樹脂(C)の軟化点は30℃以上が好ましく、50℃以上がより好ましい。軟化点が30℃以上であれば、タックを抑制できる。軟化点の上限値については特に制限されないが、180℃以下が好ましく、150℃以下がより好ましい。
なお、「軟化点」とは、フロー軟化点のことであり、高化式フローテスターを用い、プランジャー:1cm2 、ダイの直径:1mm、ダイの長さ:1mm、荷重:20kgf、予熱温度:50〜80℃、予熱時間:300秒、昇温速度:6℃/分の測定条件において、プランジャーの降下開始から終了までの移動距離の1/2の位置の温度を測定した値である。
レゾール型フェノール樹脂(C)の配合量は、アクリル共重合体(A)100質量部に対して、0.5〜20質量部が好ましく、1〜10質量部がより好ましく、3〜7質量部がさらに好ましい。レゾール型フェノール樹脂(C)の配合量が多くなるほど、半田耐熱性がより向上する傾向にある。レゾール型フェノール樹脂(C)の配合量が少なくなるほど、接着性が向上する傾向にある。
<任意成分>
本発明の接着剤は、本発明の効果を損なわない範囲内であれば、種々の特性を調整する目的のため、アクリル共重合体(A)、架橋成分(B)、レゾール型フェノール樹脂(C)以外の成分(任意成分)を含んでいてもよい。
任意成分としては、必要に応じて公知の難燃剤、反応促進剤、重合禁止剤、カップリング剤、熱硬化性樹脂、熱可塑性樹脂、染料、顔料、増粘剤、滑剤、消泡剤、紫外線吸収剤等を添加できる。
<充填材>
本発明の接着剤組成物には、機械的強度の改善、溶融挙動の調整、表面タックの抑制、めっき性の向上、導電ペーストの接着性向上、難燃性向上、誘電特性の調整、等のため、充填材を添加しても良い。充填材としては、樹脂粒子、無機粒子、または無機繊維である充填材が挙げられ、公知の充填材を使用できる。
上記の具体的な充填材としては、樹脂粒子として、アクリル樹脂、ポリスチレン樹脂、スチレン−アクリル共重合体、ポリエチレン樹脂、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、ポリフッ化ビニリデン、ポリテトラフルオルエチレン、ジビニルベンゼン樹脂、フェノール樹脂、ウレタン樹脂、酢酸セルロース、ナイロン、セルロース、ベンゾグアナミン樹脂、メラミン樹脂等;無機粒子として、シリカ、酸化チタン、酸化アルミニウム、酸化亜鉛、酸化マグネシウム、炭化ケイ素、窒化珪素、窒化硼素、硫酸バリウム、硫酸マグネシウム、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、窒化ホウ素等の金属塩、カオリン、クレー、タルク、亜鉛華、鉛白、ジークライト、石英、ケイソウ土、パーライト、ベントナイト、雲母、合成雲母等;および、繊維状充填材として、ガラス繊維、アラミド繊維、炭化ケイ素繊維、アルミナ繊維等が挙げられる。
上記の充填材は、1種を単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。配合量については、接着剤組成物の体積を100とした場合、充填材の配合量は0.1〜200体積部、好ましくは0.5〜150体積部、より好ましくは1〜100体積部である。
<形態>
本発明の接着剤の形態としては、シート状などが挙げられる。以下、シート状の接着剤を「接着剤シート」ともいう。
接着剤シートは、例えばアクリル共重合体(A)、架橋成分(B)およびレゾール型フェノール樹脂(C)と、必要に応じて任意成分との混合物を溶剤で所望の濃度に希釈して塗料組成物とし、該塗料組成物を基材上に塗布し、塗膜を乾燥させて溶剤を除去することで得られる。
基材としてはプラスチックフィルム、紙、織布、不織布、金属箔等、これらの一面または両面に離型処理を施したもので特に限定されないが、例えばポリエチレンフィルム、ポリプロピレンフィルム、ポリプロピレンコート紙、シリコーン等で離型処理されたポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム、ポリプロピレンコート紙などが挙げられる。基材の厚さは特に制限されない。
溶剤としては、接着剤組成物が可溶なものであれば特に制限はなく、接着剤組成物を溶解しない溶剤であっても、均一な分散状態が得られる溶剤であれば使用可能である。具体的には、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、シクロペンタノン、トルエン、キシレン、酢酸エチル、酢酸ブチル、テトラヒドロフラン、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N-ジメチルアセトアミド、N-メチル-2-ピロリドン、ジメチルスルホキサイド、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールジメチルエーテル、ベンゼンジオキサン、シクロペンチルメチルエーテル、塩化メチレン、クロロホルム、1,2-ジクロロエタン、γ-ブチロラクトン、セロソルブ、ブチルセロソブル、カルビトール、ブチルカルビトールなどが挙げられる。
塗膜から溶剤を除去する際には、レゾール型フェノール樹脂(C)の硬化が進行しにくい温度(必要であれば例示で200℃以下)で塗膜を乾燥させる。塗膜を乾燥している間や接着剤を保管している間に、アクリル共重合体(A)の架橋反応が進行し、グリシジル基の少なくとも一部が架橋成分(B)により架橋される。乾燥時間や保管時間が長くなるほど、架橋されたグリシジル基の割合が増える。
接着剤シートの厚さは、任意で設定でき、特に制限されない。
なお、接着剤シートの露出面(基材とは反対側の面)には、埃等の汚れが付着するのを防ぐ目的で、接着剤シートを使用するまでの間、剥離可能な保護フィルムが貼着されていてもよい。
また、基材上に接着剤シートが積層した状態で基材を外側にして巻回し、使用するまでの間、巻回体として保管してもよい。
<物性>
接着剤の160℃における貯蔵弾性率は、2×10〜1×10Paが好ましく、6×10〜4×10Paがより好ましい。貯蔵弾性率が2×10Pa以上であれば、樹脂の流動性をより抑制でき、プレス圧着時に接着剤がより流出しにくくなる。一方、貯蔵弾性率が1×10Pa以下であれば、貼り付け加工性がより向上する。
ここで、「接着剤の貯蔵弾性率」とは、レゾール型フェノール樹脂(C)が硬化する前の接着剤の貯蔵弾性率のことであり、動的粘弾性測定における温度160℃での測定値である。接着剤の貯蔵弾性率は、具体的には以下のようにして測定される。
まず、アクリル共重合体(A)と、架橋成分(B)と、レゾール型フェノール樹脂(C)と、必要に応じて任意成分とを混合し、得られた混合物を溶剤で所望の濃度に希釈して塗料組成物を調製する。
得られた塗料組成物を基材上に塗布し、塗膜を乾燥させて溶剤を除去し、基材上に積層した接着剤シートを得る。
次いで、接着剤シートから基材を剥離し、接着剤シートの単体を動的粘弾性測定機に設置し、−100℃から昇温速度10℃/分で昇温し、160℃での動的粘弾性の測定値を求める。
また、接着剤のガラス転移温度は、20〜120℃が好ましく、30〜100℃がより好ましい。ガラス転移温度が20℃以上であれば、タックを抑制できる。一方、ガラス転移温度が120℃以下であれば、貼り付け加工性が向上する。
ここで、「接着剤のガラス転移温度」とは、レゾール型フェノール樹脂(C)が硬化する前の接着剤のガラス転移温度のことであり、動的粘弾性測定を行い、その結果を温度と損失係数(tanδ)との関係のグラフとしたときの、tanδが最大となる温度である。接着剤のガラス転移温度は、具体的には以下のようにして測定される。
接着剤の貯蔵弾性率を測定する場合と同様に、接着剤シートの単体を動的粘弾性測定機に設置し、−100℃から200℃まで昇温速度10℃/分で昇温し、温度と損失係数の関係を求め、tanδが最大となる温度を接着剤のガラス転移温度とする。
<作用効果>
以上説明した本発明の接着剤は、アクリル共重合体(A)のグリシジル基の少なくとも一部が架橋成分(B)により架橋されているので、樹脂の流動性が抑制され、プレス圧着時に接着剤が流出しにくい。また、本発明の接着剤はレゾール型フェノール樹脂(C)を含むので、貼り付け加工性および半田耐熱性にも優れる。しかも、アクリル共重合体(A)、架橋成分(B)、レゾール型フェノール樹脂(C)の組み合わせは、アクリル共重合体(A)の架橋反応と、レゾール型フェノール樹脂(C)の硬化反応とが互いに阻害されにくい。よって、本発明の接着剤は、プレス圧着時に流出しにくく、かつ貼り付け加工性、半田耐熱性に優れる。
しかも、アクリル共重合体(A)には、反応性官能基としてグリシジル基が導入されているので、本発明の接着剤は、接着性、常温保管性にも優れ、タックも抑制される。
<用途>
本発明の接着剤は、フレキシブルプリント配線板(FPC)用のボンディングシートとして好適である。具体的には、FPCと補強版(スティフナー)とを貼り合せたり、FPC同士を貼り合せたりするためのボンディングシートとして好適である。
接着の対象となるFPCや補強版の接着剤と接する面の材質は、ポリイミド(PI)、アルミニウム(Al)、ステンレス鋼(SUS)、FR−4等のエポキシ樹脂含浸ガラス繊維積層体(GE)など様々である。
しかし、本発明の接着剤であれば、様々な材質のFPCや補強版に対しても十分な接着性を発現できる。
ところで、FPCは、例えばポリイミドと銅箔とを積層した銅張積層板(CCL:Copper Clad Laminate)の銅箔上に、接着剤を介してカバーレイが積層されて構成される。本発明の接着剤は、このポリイミドと銅箔の積層や、CCLとカバーレイとの積層に用いる接着剤としても使用できる。
以下、本発明の効果を実施例および比較例により具体的に示すが、本発明はその要旨を超えない限り、以下の実施例に何ら限定されるものではない。
各例で使用した原料は以下の通りである。
[使用原料]
<成分A:アクリル共重合体(A)またはその代替品>
・A−1:グリシジルメタクリレート(GMA)3質量部と、アクリロニトリル(AN)35質量部と、n−ブチルアクリレート(BA)27質量部と、エチルアクリレート(EA)35質量部とを共重合した共重合体(質量平均分子量85万、ガラス転移温度3℃)。
・A−2:グリシジルメタクリレート(GMA)3質量部と、アクリロニトリル(AN)35質量部と、n−ブチルアクリレート(BA)27質量部と、エチルアクリレート(EA)35質量部とを共重合した共重合体(質量平均分子量55万、ガラス転移温度3℃)。
・A−3:グリシジルメタクリレート(GMA)3質量部と、アクリロニトリル(AN)35質量部と、n−ブチルアクリレート(BA)27質量部と、エチルアクリレート(EA)35質量部とを共重合した共重合体(質量平均分子量120万、ガラス転移温度3℃)。
・A−4:グリシジルメタクリレート(GMA)3質量部と、アクリロニトリル(AN)35質量部と、n−ブチルアクリレート(BA)27質量部と、エチルアクリレート(EA)35質量部とを共重合した共重合体(質量平均分子量5万、ガラス転移温度3℃)。
・A−5:グリシジルメタクリレート(GMA)10質量部と、アクリロニトリル(AN)35質量部と、n−ブチルアクリレート(BA)24質量部と、エチルアクリレート(EA)35質量部とを共重合した共重合体(質量平均分子量160万、ガラス転移温度9℃)。
・A−6:グリシジルメタクリレート(GMA)3質量部と、アクリロニトリル(AN)30質量部と、n−ブチルアクリレート(BA)32質量部と、エチルアクリレート(EA)35質量部とを共重合した共重合体(質量平均分子量90万、ガラス転移温度−4℃)。
・A−7:グリシジルメタクリレート(GMA)6質量部と、アクリロニトリル(AN)40質量部と、n−ブチルアクリレート(BA)5質量部と、エチルアクリレート(EA)20質量部と、メチルアクリレート(MA)29質量部とを共重合した共重合体(質量平均分子量50万、ガラス転移温度30℃)。
・A−8:グリシジルメタクリレート(GMA)0.1質量部と、アクリロニトリル(AN)35質量部と、n−ブチルアクリレート(BA)29.9質量部と、エチルアクリレート(EA)35質量部とを共重合した共重合体(質量平均分子量110万、ガラス転移温度0℃)。
・A−9:グリシジルメタクリレート(GMA)10質量部と、アクリロニトリル(AN)25質量部と、n−ブチルアクリレート(BA)30質量部と、エチルアクリレート(EA)25質量部と、メチルアクリレート(MA)10質量部とを共重合した共重合体(質量平均分子量55万、ガラス転移温度−1℃)。
・A−10:グリシジルメタクリレート(GMA)8質量部と、アクリロニトリル(AN)15質量部と、n−ブチルアクリレート(BA)30質量部と、エチルアクリレート(EA)15質量部と、メチルアクリレート(MA)32質量部とを共重合した共重合体(質量平均分子量100万、ガラス転移温度−5℃)。
・A−11:グリシジルメタクリレート(GMA)3質量部と、アクリロニトリル(AN)40質量部と、n−ブチルアクリレート(BA)27質量部と、エチルアクリレート(EA)30質量部とを共重合した共重合体(質量平均分子量50万、ガラス転移温度7℃)。
・A−12:グリシジルメタクリレート(GMA)0.05質量部と、アクリロニトリル(AN)18質量部と、n−ブチルアクリレート(BA)45質量部と、エチルアクリレート(EA)36.95質量部とを共重合した共重合体(質量平均分子量40万、ガラス転移温度−21℃)。
・A−13:グリシジルメタクリレート(GMA)8質量部と、アクリロニトリル(AN)40質量部と、エチルアクリレート(EA)10質量部と、メチルアクリレート(MA)27質量部と、メチルメタクリレート(MMA)15質量部とを共重合した共重合体(質量平均分子量55万、ガラス転移温度53℃)。
・A−14:グリシジルメタクリレート(GMA)0.001質量部と、アクリロニトリル(AN)35質量部と、n−ブチルアクリレート(BA)29.999質量部と、エチルアクリレート(EA)35質量部とを共重合した共重合体(質量平均分子量65万、ガラス転移温度0℃)。
・A−15:グリシジルメタクリレート(GMA)20質量部と、アクリロニトリル(AN)25質量部と、n−ブチルアクリレート(BA)20質量部と、エチルアクリレート(EA)35質量部とを共重合した共重合体(質量平均分子量10万、ガラス転移温度7℃)。
・A−16:グリシジルメタクリレート(GMA)1質量部と、アクリロニトリル(AN)10質量部と、n−ブチルアクリレート(BA)20質量部と、エチルアクリレート(EA)24質量部と、メチルアクリレート(MA)45質量部とを共重合した共重合体(質量平均分子量80万、ガラス転移温度−5℃)。
・A−17:グリシジルメタクリレート(GMA)1質量部と、アクリロニトリル(AN)55質量部と、n−ブチルアクリレート(BA)20質量部と、エチルアクリレート(EA)24質量部とを共重合した共重合体(重合液中でゲルが生じ不均一となり、生成物は溶剤に不溶であったので質量平均分子量及び、ガラス転移温度を測定できなかった)。
・A−18:2−ヒドロキシエチルアクリレート(2HEA)3質量部と、アクリロニトリル(AN)30質量部と、n−ブチルアクリレート(BA)32質量部と、エチルアクリレート(EA)35質量部とを共重合した共重合体(質量平均分子量80万、ガラス転移温度−5℃)。
・A−19:アクリル酸(AAc)3質量部と、アクリロニトリル(AN)20質量部と、n−ブチルアクリレート(BA)25質量部と、エチルアクリレート(EA)35質量部と、メチルアクリレート(MA)17質量部とを共重合した共重合体(質量平均分子量50万、ガラス転移温度−4℃)。
・A−20:住友化学社製 エチレン‐アクリル共重合体(「ボンドファースト7M」)(樹脂中の組成比率)グリシジルメタクリレート6wt%、メチルアクリレート27wt%、エチレン67wt%(質量平均分子量12万、ガラス転移温度−30℃)
なお、アクリル共重合体の質量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)にて、ポリスチレンを標準として測定した。
また、アクリル共重合体のガラス転移温度は、示差走査熱量計(DSC)を用い、JIS K 7121に準拠して測定した。
<成分B:架橋成分(B)>
・B−1:1,3−ジ−4−ピペリジルプロパン(融点65〜68℃)。
・B−2:2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン(融点128〜131℃)。
・B−3:ピロメリット酸二無水物(融点280℃以上)。
・B−4:2−エチル−4−メチルイミダゾール(融点35〜40℃)。
・B−5:1,12−ジアミノドデカン(融点70〜72℃)。
・B−6:2,4,6−トリス(ジメチルアミノメチル)フェノール(融点0℃以下)。
・B−7:イソブチルアミン(融点−85℃)。
・B−8:旭化成ケミカルズ社製 デュラネート 24A−100(常温液状)。
なお、架橋成分の融点は、示差走査熱量計(DSC)を用い、JIS K 7121に準拠して測定した。
<成分C:レゾール型フェノール樹脂(C)またはその代替品>
・C−1:レゾール型フェノール樹脂(昭和電工株式会社製、「CKM−908」、軟化点70〜90℃)。
・C−2:レゾール型フェノール樹脂(昭和電工株式会社製、「CKM−1282」、軟化点83〜93℃)。
・C−3:ノボラック型フェノール樹脂(昭和電工株式会社製、「CKM−2400」、軟化点140〜155℃)。
なお、フェノール樹脂の融点は、高化式フローテスターを用い、プランジャー:1cm2 、ダイの直径:1mm、ダイの長さ:1mm、荷重:20kgf、予熱温度:50〜80℃、予熱時間:300秒、昇温速度:6℃/分の測定条件において、プランジャーの降下開始から終了までの移動距離の1/2の位置の温度を測定して求めた。
<成分D:エポキシ樹脂>
・D−1:エポキシ樹脂(日本化薬社製、「NC−3000H」、軟化点65〜75℃)
[実施例1〜18、比較例1〜20]
表1〜6に示す組成に従って、成分Aと成分Bと成分Cと成分D、さらに溶剤としてメチルエチルケトンを混合し塗料組成物を調製した。
得られた塗料組成物を乾燥後の厚さが25μmとなるように離型処理されたPETフィルム上にコーティングし、100℃で乾燥して溶剤を除去し、離型処理されたPETフィルムを被覆しシート状の接着剤(接着剤シート)を得た。
得られた塗料組成物について、以下のようにして塗料性を評価した。結果を表1〜6に示す。
また、得られた接着剤シートについて、以下のようにして貯蔵弾性率を測定し、タック性、貼り付け加工性、流出防止性、接着性、半田耐熱性、常温保管性を評価した。結果を表1〜6に示す。
<貯蔵弾性率の測定>
PETフィルムで被覆された接着剤シートからPETフィルムを剥離し、接着剤シートの単体を動的粘弾性測定装置(オリエンテック社製、動的粘弾性試験機レオバイブロンDDV−01FP)を用い、サンプル間距離40.0mm、昇温速度10℃/分、静的張力1.0gf(0.029N)、加振周波数10Hz、測定温度範囲−100℃〜200℃にて貯蔵弾性率の測定を行い、160℃における貯蔵弾性率(Pa)を求めた。
また、接着剤シートが薄いために取り扱いが困難な場合には、熱ラミネート等を用いて複数の接着剤シートを積層することによって取り扱いが容易になる。測定に用いる接着剤シートの厚みは特に制限されないが、100〜200μm程度が好ましい。
<塗料性の評価>
塗料組成物を密閉容器に入れ、25℃で24時間静置した。静置後の塗料を目視にて観察し、以下の評価基準にて評価した。
○:各成分の分離や増粘等、コーティングに支障を来たす明らかな変化が認められない。
×:各成分の分離や増粘等、コーティングに支障を来たす明らかな変化が認められた。
<タック性の評価>
PETフィルムで被覆された接着剤シートを50mm×100mmにカットし、タック性評価用サンプルとした。
温度25℃、湿度65%RHの環境で、ポリイミドと銅箔とを積層した銅張積層板(新日鉄住金化学社製:エスパネックス MC12−25−00CEM)とタック性評価用サンプルとを、ポリイミド面と接着剤シート側の面とが接するように貼り合せ、PETフィルム側から2kgfのロール荷重を加えた。その後、目視にて接着剤シートとCCLのポリイミドとの間に濡れの発生の有無を確認した。
<貼り付け加工性の評価>
PETフィルムで被覆された接着剤シートを20mm×20mmにカットし、貼り付け加工性評価用サンプルとした。
ロールラミネーター(温度60℃、線圧10N/cm、速度1.0m/分)を用いて、CCL(新日鉄住金化学社製:エスパネックス MC12−25−00CEM)と貼り付け加工性評価用サンプルとを、ポリイミド面と接着剤シート側の面とが接するように貼り合せた後、PETフィルムを剥離したときの状態について、以下の評価基準にて評価した。
○:PETフィルムのみを剥離できた。
×:一部分でも接着剤シートが剥がれた。
<流出防止性の評価>
表1〜6に示す組成に従って、成分Aと成分Bと成分Cと成分D、さらに溶剤としてメチルエチルケトンを混合し塗料組成物を調製した。
得られた塗料組成物を乾燥後の厚さが50μmとなるように離型処理されたPETフィルム上にコーティングし、100℃で乾燥して溶剤を除去し、離型処理されたPETフィルムを被覆しシート状の接着剤(接着剤シート)を得た。
得られた接着剤シートより、φ6.0mmの円形にサンプルを打ち抜き、流出防止性評価サンプルとした。流出防止性評価サンプルの 一方のPETフィルムを除去し、ロールラミネーター(温度120℃、線圧10N/cm、速度1.0m/分)を用いて、CCL(新日鉄住金化学社製:エスパネックス MC12−25−00CEM)と片面がPETフィルムで被覆された接着剤シートとを、ポリイミド面と接着剤シート側の面とが接するように貼り合せた。
貼り合せたサンプルの残っているPETフィルムを剥離し、ロールラミネーター(温度120℃、線圧10N/cm、速度1.0m/分)を用いて、露出した接着剤シート面にポリイミドフィルム(東レデュポン社製 カプトン100H)を貼り合せた。これを流出防止性試験ピースとした。
プレス機のヒータブロック上に下から、東京特殊紙業社製クッション紙(厚さ:0.3mm)、銅板(厚さ:0.125mm)、流出防止性試験ピース、銅板(厚さ:0.125mm)の順に載せ、温度160℃、圧力10MPaの条件で10秒間プレスして、圧着させた。流出防止性評価用サンプルの側面から流出した(はみ出した)接着剤の距離を測定し、最大値を求め、下記評価基準にて評価した。
測定は、測定顕微鏡を用い、プレス圧着前後の流出防止性評価サンプルの円の直径を計測する。得られた、プレス圧着後の流出防止性評価サンプルの円の直径(φ2)から、プレス圧着前の流出防止性評価サンプルの円の直径(φ1)を除した値を接着剤の流出距離とした。
流出距離=プレス圧着後の流出防止性評価サンプルの円の直径(φ2)−プレス圧着前の流出防止性評価サンプルの円の直径(φ1)
○:流出した接着剤の距離の最大値が1.00mm以下である。
×:流出した接着剤の距離の最大値が1.01mm以上である。
<接着性の評価>
ロールラミネーター(温度120℃、線圧10N/cm、速度1.0m/分)を用いて、CCL(新日鉄住金化学社製:エスパネックス MC12−25−00CEM)と片面がPETフィルムで被覆された接着剤シートとを、ポリイミド面と接着剤シート側の面とが接するように貼り合せた後、2mm幅の短冊状にカットした。
次いで、PETフィルムを剥離し、ロールラミネーター(温度120℃、線圧10N/cm、速度1.0m/分)を用いて、露出した接着剤シート面にCCL(新日鉄住金化学社製:エスパネックス MC12−25−00CEM)のポリイミド面、またはステンレス鋼板(SUS304)を貼り合せた。
次いで、プレス機を用いて温度160℃、圧力3MPaの条件で1秒間プレスして、圧着させた。引き続き、オーブン内にて160℃で1時間加熱硬化させ、接着性評価用サンプルとした。
硬化後の接着性評価用サンプルについて、接着性評価用サンプルを温度40℃、湿度90%RHの環境で96時間放置した後、万能引張試験機を用い、50mm/分の条件で90度剥離試験を行い、剥離強度を測定し、下記評価基準にて評価した。
○:剥離強度が10N/cm以上である。
×:剥離強度が10N/cm未満である。
<半田耐熱性の評価>
ロールラミネーター(温度120℃、線圧10N/cm、速度1.0m/分)を用いて、CCL(新日鉄住金化学社製:エスパネックス MC12−25−00CEM)と片面がPETフィルムで被覆された接着剤シートとを、ポリイミド面と接着剤シート側の面とが接するように貼り合せた。
次いで、PETフィルムを剥離し、ロールラミネーター(温度120℃、線圧10N/cm、速度1.0m/分)を用いて、露出した接着剤シート面にCCL(新日鉄住金化学社製:エスパネックス MC12−25−00CEM)のポリイミド面、またはステンレス鋼板(SUS304)を貼り合せた。
次いで、プレス機を用いて温度160℃、圧力3MPaの条件で1秒間プレスして、圧着させた。引き続き、オーブン内にて160℃で1時間加熱硬化させた。これを20mm×20mmにカットし、半田耐熱性評価用サンプルとした。
加熱硬化後の半田耐熱性評価用サンプルを温度40℃、湿度90%RHの環境で96時間放置した後、半田浴にフロートさせ、発泡の有無を確認した。半田浴の温度は230℃〜260℃の範囲で10℃毎に設定し、60秒間発泡が起こらない最大温度を耐熱温度とし、下記評価基準にて評価した。
○:耐熱温度が240℃以上である。
×:耐熱温度が230℃以下である。
<常温保管性の評価>
片面がPETフィルムで被覆された接着剤シートを、温度25℃、湿度65%RHの環境で6ヶ月放置した。放置後の接着剤シートについて、接着性の評価と同様にして接着性評価用サンプルを作製してCCL面の剥離強度を測定し、放置前の接着剤シートを用いて測定した剥離強度に対する低下率を求め、下記評価基準にて評価した。
○:低下率が30%未満である。
×:低下率が30%以上である。
Figure 2017179064
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上記表の結果から明らかなように、実施例1〜18で得られた接着剤は、プレス圧着時に流出しにくく、かつ貼り付け加工性、半田耐熱性、塗料性、接着性に優れ、タックも抑制できた。
一方、比較例1〜20の場合、貼り付け加工性、流出防止性、半田耐熱性のいずれかの項目において劣るものであった。また、塗料性、タック性、接着性のいずれかの項目にも劣るものであった。

Claims (8)

  1. グリシジル基を有し、質量平均分子量が30万〜150万であるアクリル共重合体(A)と、該アクリル共重合体(A)を架橋させる架橋成分(B)と、レゾール型フェノール樹脂(C)とを含み、前記アクリル共重合体(A)のグリシジル基の少なくとも一部が前記架橋成分(B)により架橋されていることを特徴とする電子部品用接着剤。
  2. 前記架橋成分(B)がアミン系硬化剤であることを特徴とする請求項1に記載の電子部品用接着剤。
  3. 前記アミン系硬化剤が、1分子内に2個以上の1級乃至2級アミノ基を有するアミンであって、複素脂環式アミン乃至芳香族アミンであることを特徴とする請求項2に記載の電子部品用接着剤。
  4. 前記アクリル共重合体(A)のガラス転移温度が−15〜50℃であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の電子部品用接着剤。
  5. 前記アクリル共重合体(A)が、グリシジル(メタ)アクリレート単位とアクリロニトリル単位とを含むことを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の電子部品用接着剤。
  6. 前記アクリル共重合体(A)は、グリシジル(メタ)アクリレート単位を0.01〜15質量%含むことを特徴とする請求項5に記載の電子部品用接着剤。
  7. 前記アクリル共重合体(A)は、アクリロニトリル単位を5〜50質量%含むことを特徴とする請求項5または6に記載の電子部品用接着剤。
  8. 160℃における貯蔵弾性率が2×10〜1×10Paであることを特徴とする請求項1〜7のいずれか一項に記載の電子部品用接着剤。
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