JP2017178905A - 乗り物酔い抑制用芳香剤組成物 - Google Patents

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あゆみ 木村
Ayumi Kimura
あゆみ 木村
慧記 唐澤
Satoki Karasawa
慧記 唐澤
道香 佐々木
Michika Sasaki
道香 佐々木
光司 坂本
Koji Sakamoto
光司 坂本
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Abstract

【課題】本発明の目的は、乗り物酔いを抑制し得る芳香剤組成物を提供することである。【解決手段】ヘキシルアセテートを0.01重量%以上、ゲラニルアセテートを0.2重量%以下含有することを特徴とする乗り物酔い抑制用芳香剤組成物。【選択図】なし

Description

本発明は、乗り物酔い抑制用芳香剤組成物に関する。
動揺病(乗り物酔い)は、年代を問わず多くの人が悩まされている病的状態である。動揺病は、乗り物の揺れや加減速などにより、三半規管や前庭が刺激されることによって、平衡感覚の乱れや自律神経の失調により、頭痛、めまい、吐き気等がもよおされる不快な症状である。過去の調査より、小中学生の約40%が動揺病に対する易罹患性を有することが報告されており、特に団体での移動や旅行等の機会の多い子供にとって乗り物酔いは深刻な問題となる。
乗り物酔いを防止又は解消する方法として、市販の酔い止め薬を服用する方法がある。しかしながら、市販品の酔い止め薬には、抗ヒスタミン剤や抗アセチルコリン剤が用いられることが多く、これらの薬は服用すると眠気を引き起こし、活動のレベルを低下させるといった問題がある。
乗り物酔いを防止する他の方法として、香気を利用する方法が考えられている。
香気はリラックス効果を与え、気分を良好にし得る。動揺病が自律神経の失調に起因するものであるため、リラックス効果を与える香気が、自律神経を正常化する作用があると考えられている。
例えば、特許文献1には、β−カリオレフィンを有効成分として含有する通常不安軽減用組成物が開示されている。芳香物質であるβ−カリオレフィンを含む空気を吸入することで、乗り物酔い等の不安感を軽減できることが開示されている。
このように、香気による乗り物酔いの抑制作用が示唆されているが、実際乗り物酔いの抑制効果の有無については検討されていない。また乗り物酔いを抑制し得る具体的な香料成分についても未だ明らかになっていない。香気により乗り物酔いを抑制することができれば、酔い止め薬を服用する必要もなく、眠気等の副作用の問題も生じないので、より安全な乗り物酔いの抑制手段として提供することができる。
特開2006−342062号公報
本発明は、上記現状に鑑みて、香気により乗り物酔いを抑制し得る芳香剤組成物を提供することを課題とする。
本発明者らは、前記課題を解決するために鋭意研究を行ったところ、ヘキシルアセテートとゲラニルアセテートの香料成分を所定範囲量で含む芳香剤組成物の香気によって乗り物酔いを抑制できることを見出した。また、本発明者らは、ヘキシルアセテートとゲラニルアセテートを所定範囲量で含む芳香剤組成物は子供に好まれる香気を放ち、その香気によって子供の乗り物酔いを抑制することができることを見出した。また、本発明の芳香剤組成物は香気によって乗り物酔いを抑制することができるので、従来の酔い止め薬を服用した場合の眠気等の副作用の問題がないことを見出した。
本発明は、これらの知見に基づいて更に検討を重ねることにより完成したものである。
即ち、本発明は、下記に掲げる態様の発明を提供する。
項1. ヘキシルアセテートを0.01重量%以上、ゲラニルアセテートを0.2重量%以下含有することを特徴とする乗り物酔い抑制用芳香剤組成物。
項2. ヘキシルアセテート100重量部に対し、ゲラニルアセテートが0〜10重量部である、項1に記載の乗り物酔い抑制用芳香剤組成物。
項3. 前記ヘキシルアセテートが2〜4重量%であり、前記ゲラニルアセテートが0.02重量%以下である、項2に記載の乗り物酔い抑制用芳香剤組成物。
項4. 車載用である、項1〜3のいずれかに記載の乗り物酔い抑制用芳香剤組成物。
本発明の乗り物酔い抑制用芳香剤組成物は、香気により乗り物酔いを抑制することができる。本発明の乗り物酔い抑制用芳香剤組成物は、香気により乗り物酔いを抑制できるので、従来の酔い止め薬を服用することによる眠気などの副作用の問題がない。本発明によれば、車載用の乗り物酔い抑制用芳香剤組成物を提供することができる。
実施例の動揺病模擬実験の実験空間を示す写真である。 実施例の動揺病模擬実験で用いた車窓動画の写真である。 実施例の動揺病模擬実験で用いた静止画の写真である。
本発明の乗り物酔い抑制用芳香剤組成物は、ヘキシルアセテートを0.01重量%以上、ゲラニルアセテートを0.2重量%以下含有することを特徴とする。以下、本発明芳香剤組成物について詳述する。
芳香剤組成物
本発明の乗り物酔い抑制用芳香剤組成物は、ヘキシルアセテートを0.01重量%以上、ゲラニルアセテートを0.2重量%以下含有する。
(ヘキシルアセテート)
ヘキシルアセテートは、下記式で示される化合物であり、リンゴやフローラル様香気を有する合成香料として公知である。
本発明の乗り物酔い抑制用芳香剤組成物において、ヘキシルアセテートの含有量は0.01重量%以上である。本発明の乗り物酔い抑制用芳香剤組成物は、ヘキシルアセテートと後述するゲラニルアセテートを所定範囲量で含有することにより、香気により乗り物酔いを抑制することができる。乗り物酔いを更に抑制するという観点から、ヘキシルアセテートの含有量としては、好ましくは0.01〜4重量%、より好ましくは0.1〜4重量%、更に好ましくは2〜4重量%が挙げられる。
(ゲラニルアセテート)
ゲラニルアセテートは、下記式で示される化合物であり、ゼラニウムや甘いローズ様香気を有する香料として公知である。
ゲラニルアセテートとしては、例えば、レモン等の精油から、常法により単離精製したものを用いてもよいし、市販品を用いてもよい。
本発明の乗り物酔い抑制用芳香剤組成物において、ゲラニルアセテートの含有量は0.2重量%以下である。本発明の乗り物酔い抑制用芳香剤組成物は、前述のヘキシルアセテートとゲラニルアセテートを所定範囲量で含有することにより、香気により乗り物酔いを抑制することができる。乗り物酔いを更に抑制できるという観点から、ゲラニルアセテートの含有量としては、好ましくは0〜0.2重量%、より好ましくは0〜0.02重量%が挙げられる。
本発明の乗り物酔い抑制用芳香剤組成物において、乗り物酔いを更に一層抑制できるという観点から、ヘキシルアセテートの含有量が2〜4重量%であり、ゲラニルアセテートの含有量が0.02重量%以下であることがより好ましい。
本発明の乗り物酔い抑制用芳香剤組成物において、ヘキシルアセテートに対するゲラニルアセテートの含有比としては特に限定されないが、例えば、ヘキシルアセテート100重量部に対して、ゲラニルアセテートが0〜100重量部、好ましくは0〜60重量部、より好ましくは0〜10重量部が挙げられる。
本発明の乗り物酔い抑制用芳香剤組成物は、本発明の効果を損なわない範囲で、前述のヘキシルアセテートとゲラニルアセテート以外に他の香料成分を含んでいてもよい。本発明の乗り物酔い抑制用芳香剤組成物に含まれてもよい他の香料成分としては、天然香料、天然香料から分離された単離香料、合成香料のいずれであってもよく、従来公知の香料から本発明の乗り物酔い抑制用芳香剤組成物に所望の香気を付与するように適宜選択して使用することができる。このような香料としては、例えば、リモネン、α−ピネン、カンフェン、p−サイメン、フェンチェン等の炭化水素系香料;1,8−シネオール、ローズオキサイド、セドロールメチルエーテル(セドランバー)、p−クレジルメチルエーテル、イソアミルフエェニルエチルエーテル、4−フェニル−2,4,6−トリメチル−1,3−ジオキサン、アネトール等のエーテル系香料;エチルアセテート、エチルプロピオネート、メチルブチレート、エチルイソブチレート、エチルブチレート、ブチルアセテート、エチル2−メチルブチレート、イソアミルアセテート、エチル2−メチルペンタノエート(マンザネート)、ヘキシルアセテート、アリルヘキサノエート、トリシクロデセニルプロピオネート(VERTOPRO;フロロシクレン)、アリルヘプタノエート、イソボルニルアセテート、リナリルアセテート、シトロネリルアセテート、2−ter−ブチルシクロヘキシルアセテート(ナルシドール)等のエステル香料;リナノール、3−オクタノール、2,6−ジメチル−ヘプタノール、10−ウンデセノール、ゲラニオール、ネロール、シトロネロール、メントール、ロジノール、ミルセノール、テトラヒドロリナロール、ターピネオール、セドロール、2,4−ジメチル−3−シクロヘキサン−1−メタノール、4−イソプロピルシクロヘキサノール、ネロリドール、9−デセノール、シス−3−ヘキセノール、トランス−2−ヘキセノール、オイゲノール等のアルコール系香料;シトロネラール、パラアルデハイド、ベンズアルデヒド、アルデヒドC−6、アルデヒドC−7、アルデヒドC−8、アルデヒドC−9、アルデヒドC−10、トリプラール、p−エチルジメチルヒドロシンナミックアルデヒド(フローラゾン)、2−トリデセナール、アルデヒドC11等のアルデヒド系香料等が挙げられる。
また、他の香料成分として、精油等の天然香料を使用することもできる。精油としては、例えば、ペパーミント油、ペリラ油、プチグレン油、パイン油、ローズ油、ローズマリー油、しょう脳油、芳油、スパイクラベンダー油、クラリーセージ油、サンダルウッド油、スペアミント油、スターアニス油、ラバンジン油、ラベンダー油、レモン油、レモングラス油、ライム油、ネロリ油、オークモス油、オコチア油、パチュリ油、タイム油、トンカ豆チンキ、シダーウッド油、オレンジ油、テレピン油、バジル油、ナツメグ油、シトロネラ油、クローブ油、ボアドローズ油、カナンガ油、カルダモン油、カシア油、マンダリン油、タンジェリン油、アニス油、ベイ油、コリアンダー油、エレミ油、ユーカリ油、フェンネル油、ガルバナム油、ゼラニウム油、ヒバ油、桧油、ジャスミン油、ベチバー油、ベルガモット油、イランイラン油、グレープフルーツ油、ゆず油、チュベローズ油等が挙げられる。なお、これらの精油に、ゲラニルアセテート、ヘキシルアセテートが含まれる場合は、その量を考慮した上で精油の添加量を適宜調整するとよい。
これらの香料は、1種単独で使用してもよく、また2種以上を任意に組み合わせて調香して使用することもできる。
本発明の乗り物酔い抑制用芳香剤組成物において、これらの他の香料成分の総含有量としては、本発明の効果を損なわない範囲であれば特に限定されないが、例えば、1〜20重量%、好ましくは10〜20重量%が挙げられる。
本発明の乗り物酔い抑制用芳香剤組成物はまた、本発明の効果を損なわない範囲で、一般的に芳香剤組成物において含有させることができる成分、例えば、水;非イオン界面活性剤(ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレン硬化ひまし油)、アニオン界面活性剤、両界面活性剤等の界面活性剤;1,2−ベンズイソチアゾリン−3−オン、2n−オクチル−イソチアゾリン−3−オン等の防腐剤;酸化防止剤;紫外線吸収剤;キレート剤;色素等の添加剤を含有してもよい。これらの成分の含有量としては、例えば、前述の他の香料成分と合わせて、合計で80〜99重量%、好ましくは80〜90重量%が挙げられる。
本発明の乗り物酔い抑制用芳香剤組成物の形態としては、特に限定されず、液剤、エアゾル剤、固形剤、ゲル剤等、公知の製品形態が挙げられる。また、製品形態に応じて、その製品形態に一般的に含有される成分を芳香剤組成物に適宜含有させてもよい。
本発明の乗り物酔い抑制用芳香剤組成物が液剤である場合は、本発明の芳香剤組成物は溶剤を含んでもよい。溶剤としては、従来公知のものから適宜選択して用いることができるが、例えば水;メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール、イソブタノール、sec−ブタノール、t−ブタノール、ペンタノール、ヘキサノール、シクロヘキサノール、ベンジルアルコール等のアルコール類;エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、ブチレングリコール、ヘキサンジオール、ペンタンジオール、グリセリン、ヘキサントリオール、チオジグリコール等の多価アルコール類;エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールジアセテート、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテートトリエチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノフェニルエーテル等のグリコール誘導体;エタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、N−メチルジエタノールアミン、N−エチルジエタノールアミン、モルホリン、N−エチルモルホリン、エチレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、ポリエチレンイミン、テトラメチルプロピレンジアミン等のアミン;ホルムアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、スルホラン、2−ピロリドン、N−メチル−2−ピロリドン、N−ビニル−2−ピロリドン、2−オキサゾリドン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、アセトニトリル、アセトン等が挙げられる。また、イソパラフィン系溶剤を使用することもできる。イソパラフィン系溶剤として好ましくは沸点が100〜300℃、好ましくは150〜250℃のものを挙げることができる。これらの溶剤は、1種単独で使用してもよいし、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
本発明の乗り物酔い抑制用芳香剤組成物がゲル剤である場合は、本発明の芳香剤組成物はゲル化剤を含んでいてもよい。ゲル化剤としては、一般に芳香剤組成物に適用される公知のゲル化剤であれば特に限定されないが、例えば、カラギーナン、ゼラチン、ペクチン、寒天、ペクチン、ジェランガム等が挙げられる。これらのゲル化剤は、1種単独で使用してもよいし、2種以上を組み合わせて使用してもよい。ゲル化剤の含有量としては、特に限定されないが、例えば、芳香剤組成物の通常0.01〜5重量%、好ましくは0.1〜3重量%が挙げられる。
本発明の乗り物酔い抑制用芳香剤組成物を調製する方法は特に限定されず、前述の各成分を所定量混合することにより調製することができる。混合の方法や順序は特に限定されず、配合する成分の特性に応じて公知の方法を適宜選択して調製するとよい。
本発明の乗り物酔い抑制用芳香剤組成物を使用する対象としては、通常は人であるが、犬や猫等の哺乳動物であってもよい。また、本発明の乗り物酔い抑制用芳香剤組成物を使用する対象としては、子供が好ましい。子供は成人よりも乗り物に酔いやすく、投薬もあまり望ましくない。従って、香気により乗り物酔いを抑制することができる本発明の芳香剤組成物は、特に子供の乗り物酔いに対して好適に適用される。
本発明の乗り物酔い抑制用芳香剤組成物の設置場所としては、特に限定されないが、本発明の乗り物酔い抑制用芳香剤組成物は香気により乗り物酔いを抑制し得ることから、乗り物酔いが発症しやすい場所に設置するのが好ましい。乗り物酔いが発症しやすい場所としては、特に限定されず、車、電車、船、飛行機等の乗り物内の閉鎖された空間等が挙げられる。なかでも、本発明の乗り物酔い抑制用芳香剤組成物の設置場所としては、空間が広すぎず本発明の効果を奏しやすく、また日常の移動手段として多用される点で、車内が好ましい。従って、本発明の乗り物酔い抑制用芳香剤組成物は、車載用(自動車用)として好適に使用される。
このように、本発明の乗り物酔い抑制用芳香剤組成物は、香気により乗り物酔いを抑制することができる。また、本発明の乗り物酔い抑制用芳香剤組成物は、好ましくは車載用であり、子供の乗り物酔いに対して好適に適用される。
次に、本発明を実施例により、さらに詳細に説明するが、本発明は、これらの例によってなんら限定されるものではない。
動揺病模擬実験
本実験は、大阪大学工業大学ライフサイエンス倫理委員会の審査に基づき、大阪工業大学学長の承認を得て実施した。
1.被験者
被験者については、2段階のスクリーニングを行った。まずアンケート調査で8歳から12歳の男子、女子について保護者からみた子供の車への酔いやすさについて、「とても気分が悪くなりやすい」、「気分が悪くなりやすい」、「どちらかといえば気分が悪くなりやすい」、「ごくまれに気分が悪くなる」の4段階のうち、「ごくまれに気分が悪くなる」の回答者を除き70名を選抜した。次に、この70名に、車窓のデモ映像を視聴させたときの行動観察、車内空間の模擬悪臭と4つの芳香剤組成物のへの嗜好性評価により51名を選抜した。
更に、この51名について、2群の等質性を保つため、年齢(8〜12歳)、性別(男、女)、車内模擬悪臭への嗜好性調査(好き、ふつう、嫌い、検知できない、の4段階で評価)が同等に分布するように、「コントロール群」(25名)と「香りあり群」(26名)の2群に分けた。
2.実験装置
横1.5m、縦3m、高さ1.5mの空間の周囲を市販の半透明のビニル、天井を黒幕のカーテンで覆った閉鎖空間内に、椅子と香気を流入させるためのパイプと映像を映すためのスクリーンを設置した。椅子を、一の壁面に設置されたスクリーンから1.2mの位置に設置した。香気を流入させるパイプ(アクリル製、径9cm、長さ90cm)を、被験者が椅子に座った際にパイプの流出口が鼻元から10〜15cmの位置となるように設置した。また、パイプのもう一方の口を縦50cm、横50cm、高さ50cmのアクリル製の箱型ケースと連結させた。箱型ケース内には、模擬悪臭用の車シートを設置した。芳香剤組成物(ゲル状、45g)を、バイプとアクリル製箱型ケースとの連結部から15cmの位置のパイプ内に設置した。香りを流入させる時は、電動の小型ファン(マジクールマイファンモバイル、大作商事株式会社製)を連結部に設置し、ファンを作動させた。また、実験空間の前方にカメラを設置し、実験中は被験者を観察できるようにした。実験装置の写真を図1に示す。
3.芳香剤組成物
下記の4つの芳香剤組成物を調製した。
(芳香剤組成物1)
配合組成
ヘキシルアセテート 4重量%
ゲラニルアセテート 0.02重量%
イソアミルアセテート 2重量%
エチルアセテート 2重量%
イソブチルアセテート 1重量%
リナロール 0.02重量%
2−tert−ブチルシクロヘキシルアセテート(OTBCHA) 2重量%
ジプロピレングリコール(DPG) 9.0重量%
ゲル化剤(ジェランガム) 0.65重量%
乳酸カルシウム 0.1重量%
プロピレングリコール 8重量%
ノニオン活性剤(ポリオオキシエチレンひまし油エーテル) 2重量%
水 残部
(計100重量%)
(芳香剤組成物2)
配合組成
ヘキシルアセテート 0.1重量%
ゲラニルアセテート 0重量%
シトロネロール 1重量%
トリシクロデセニルアセテート 1重量%
Dihydro Myrcenol 1重量%
リナロール 4重量%
o−t−ブチルシクロヘキシルアセテート 1重量%
DPG 11.9重量%
ゲル化剤(ジェランガム) 0.65重量%
乳酸カルシウム 0.1重量%
プロピレングリコール 8重量%
ノニオン活性剤(ポリオオキシエチレンひまし油エーテル) 2重量%
水 残部
(計100重量%)
(芳香剤組成物3)
配合組成
ヘキシルアセテート 0.1重量%
ゲラニルアセテート 0.2重量%
ベンジルアセテート 2重量%
アリルヘプタノエート 1重量%
ジエチルマロネート 1重量 %
リナロール 2重量%
OTBCHA 2重量%
DPG 1.7重量%
ゲル化剤(ジェランガム) 0.65重量%
乳酸カルシウム 0.1重量%
プロピレングリコール 8重量%
ノニオン活性剤(ポリオオキシエチレンひまし油エーテル) 2重量%
水 残部
(計100重量%)
(芳香剤組成物4)
配合組成
ヘキシルアセテート 0.5重量%
ゲラニルアセテート 0.3重量%
y−デカラクトン 1重量%
y−ウンデカラクトン 1重量%
イソアミルアセテート 0.5重量%
エチルアセテート 0.01重量%
リナロール 2重量%
OTBCHA 1重量%
DPG 3.7重量%
ゲル化剤(ジェランガム) 0.65重量%
乳酸カルシウム 0.1重量%
プロピレングリコール 8重量%
ノニオン活性剤(ポリオオキシエチレンひまし油エーテル) 2重量%
水 残部
(計100重量%)
4.香りの条件の選択
車内のシート素材(シートクッションカバー(71073−8K00−C0、シートスポンジ(71551−28660)、TOYOTA純正部品))を起因とする車内模擬悪臭をコントロールとして、模擬悪臭のみを提示するコントロール条件と、これに前述の芳香剤組成物1〜4による香りを付加した「香りあり」条件の、2条件とした。香りあり条件に用いた香りは、被験者に事前に香りの嗜好調査を行い、芳香剤組成物1〜4を試験空間内でアクリル製のパイプを通してランダムに提示して比較させ、「もっとも好き」と答えた1の芳香剤組成物を実験に用いた。なお、実験時の香りの強度は認知できる程度に鼻元のアクリルパイプの開口面積を調節した。
5.実験方法
被験者を前述の実験装置内にて、椅子に座わらせ、生理計測用のセンサを取り付け、パイプから香りを流入させた状態で前方に映し出された映像を視聴させた。具体的には、被験者の前方に山道走行中の車窓動画(ミニバンサイズの自動車に乗車し、運転席の後ろの席から撮影した走行音つきの映像)を横幅1.5m程度の画面サイズになるようにプロジェクタで投影し、12分間視聴させた。比較のため、視聴の前後に3分ずつ静止画を視聴させた。使用した車窓動画の写真を図2に示し、静止画の写真を図3に示す。
6.酔いの評価
被験者の状態は、主観評価と生理指標の両面から判断した。
主観評価は、車窓映像前の静止画0分、3分、車窓動画の開始3分、6分、8分、10分、12分、車窓動画提示後の静止画3分時点で評価を行った。主観評価のタイミングは、車窓動画上に主観評価を求める指示を提示し、その指示が出たタイミングで、被験者に酔いの程度を4段階(平気、やや気分が悪い、とても気分が悪い、中止したいほど気分が悪い)で評定させた。実験を通じて動画再生中に一度でも「平気」以外の評価を出した場合は「酔いあり」、「平気」のみであった場合を「酔いなし」と判定した。
生理指標として、実験中に被験者の心電図と、皮膚コンダクタンス、呼吸を計測した。
これらの計測は、「子供の動揺病低減に対する香の効果検証(木村あゆみ、唐澤慧記、佐々木道香、坂本光司、松宗憲彦、大須賀美恵子、自動車技術会秋季大会、2015年、学術講演会講演予稿集配布DVD、790-794頁)」に記載の測定方法と同様の方法で行った。すなわち、心電図は、ディスポーサブル電極(エールローデSMP−300m、積水化成品工業社製)を胸部3か所に装着し、4チャンネル生体アンプ(polyam4、ニホンサンテク社製)を用いて時定数3sで計測した。皮膚コンダクタンスは、ディスポーサブル電極(PPS−EDAm、積水化成天理社製)を非利き手(全員左)の第2、3指の中節に装着し、皮膚コンダクタンス計測装置(AP−U030m、ニホンサンテク社製)とアンプ(MaP1720CA,ニホンサンテク社製)を用いて計測した。呼吸は、腹部に伸縮により電気抵抗値が変わる呼吸ピックアップ(43560m、ニホンサンテク社製)を装着し携帯用呼吸用アンプ(polyyam4−RESP、ニホンサンテク社製)を用いて計測した。これらの指標について、実験開始前と実験中での変化の有無を調べた。
本動揺病模擬実験中における酔いについて、主観評価と生理指標が一致したものだけを選択し、下記表1にその人数をまとめた。なお、主観評価と生理指標が一致するとは、主観評価において実験開始時から変化があった場合に、心電図、皮膚コンダクタンス、及び呼吸の少なくとも1の生理指標に持続的変化が見られた場合をいう。
表1から、ヘキシルアセテートを0.01重量%以上、かつ、ゲラニルアセテートを0.2重量%以下で含有する芳香剤組成物1、2及び3では、酔っていないと答えた人数が、酔っていると答えた人数より多く、乗り物酔い抑制効果が認められた。一方、ゲラニルアセテートを0.2重量以上含む芳香剤組成物4では、酔っていないと答えた人が0名であり、乗り物酔い抑制効果が認められなかった。また、ヘキシルアセテートに対するゲラニルアセテートの含有比(重量)が0〜10%である芳香剤組成物1及び2では、ヘキシルアセテートに対するゲラニルアセテートの含有比が200%である芳香剤組成物3に比べて、酔っていないと答えた人数が酔っていると答えた人数より更に多く、より高い乗り物酔い抑制効果が認められた(芳香剤組成物1及び2)。更に、ヘキシルアセテートの含有量が4重量%である芳香剤組成物1は、酔っていると答えた人数が0であり、全員が酔っていないと答え、ヘキシルアセテートの含有量が0.1重量%である芳香剤組成物2よりも更に優れた乗り物酔い抑制効果が認められた。

Claims (4)

  1. ヘキシルアセテートを0.01重量%以上、ゲラニルアセテートを0.2重量%以下含有することを特徴とする乗り物酔い抑制用芳香剤組成物。
  2. ヘキシルアセテート100重量部に対し、ゲラニルアセテートが0〜10重量部である、請求項1に記載の乗り物酔い抑制用芳香剤組成物。
  3. 前記ヘキシルアセテートが2〜4重量%であり、
    前記ゲラニルアセテートが0.02重量%以下である、請求項2に記載の乗り物酔い抑制用芳香剤組成物。
  4. 車載用である、請求項1〜3のいずれかに記載の乗り物酔い抑制用芳香剤組成物。
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