JP2017178659A - エチレン性二重結合含有シリカ粒子及びその製造方法 - Google Patents

エチレン性二重結合含有シリカ粒子及びその製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】本発明は、エチレン性二重結合を有するシランカップリング剤で処理した場合にも、シリカ粒子の凝集を抑制できる製造方法を提供することを課題とする。【解決手段】本発明のエチレン性二重結合含有シリカ粒子の製造方法は、シリカ粒子とエチレン性二重結合含有シランカップリング剤とを含む混合物を調製する工程、及び該混合物を静置した状態で温度100℃以上に加熱する工程とを含むことを特徴とする。【選択図】なし

Description

本発明は、エチレン性二重結合含有シリカ粒子及びその製造方法に関する。
シリカ粒子は、強度・耐熱性等に優れることから、例えば、ポリエステルフィルム、ポリイミドフィルム、フッ素樹脂フィルム等の各種フィルムのアンチブロッキング剤や滑り性付与剤;液晶表示素子用面内スペーサー、液晶表示素子用シール部スペーサー、EL表示素子用スペーサー、タッチパネル用スペーサー、セラミックスやプラスチック等の各種基板間の隙間保持剤等のスペーサー;半導体用封止剤、液晶用シール剤、LED発光素子用封止剤等の各種電子部品用封止剤;光拡散フィルム、光拡散板、導光板、防眩フィルム等に用いられる光拡散剤;白色体質顔料等の化粧品用添加剤;歯科材料等に多用されている。
シリカ粒子の樹脂や各種媒体中における分散性を高めるために有効な手段として、シリカ粒子の表面をシランカップリング剤で表面処理することが知られており、例えば特許文献1、2では焼成シリカ粒子とシランカップリング剤とを混合攪拌しながら加熱処理を行っている。特許文献3、4では攪拌機中でシリカの粉末とシランカップリング剤とを攪拌し熱処理を行っている。
特開2008−137854号公報 国際公開第2015/119283号 特開平6−100313号公報 特開2001−188109号公報
ところが特許文献1、2に記載されているように、シリカ粒子を攪拌しながらエチレン性二重結合を有するシランカップリング剤で処理すると凝集が発生し、シランカップリング剤で処理した後に、解砕や分級が必要となる場合があった。また特許文献3、4に記載されているように、シリカ粒子とシランカップリング剤とを混合した後にそのまま引き続いて熱処理すると、シリカ粒子が凝集する場合があった。本発明は、こうした事情に鑑みてなされたものであり、エチレン性二重結合を有するシランカップリング剤で処理した場合にも、シリカ粒子の凝集を抑制できる製造方法を提供することを課題とする。
本発明者らは、前記課題を解決するために鋭意研究を重ねた。その結果、シリカ粒子の凝集を抑制するためには、シランカップリング剤処理の際に攪拌するのが一般的には望ましいとされているところ、シランカップリング剤にエチレン性二重結合が含まれている場合には、この攪拌によってエチレン性二重結合の重合が促進され、凝集が引き起こされることを見出した。そして、シリカ粒子とシランカップリング剤との混合物を加熱する際、加熱条件に偏りがあると局所的な過加熱が生じ、この局所的な過加熱が凝集の原因となっていることをつきとめた。さらに、シリカ粒子とシランカップリング剤とを混合して、これを均一な加熱が可能になるような条件下で且つ静置した状態で加熱すると、攪拌しなくとも均等に加熱処理を行うことができ、局所的な過加熱を防ぐことができること、その結果、意外なことに、攪拌を行う場合よりもシランカップリング剤の重合が抑制され、得られるエチレン性二重結合含有シリカ粒子の凝集を抑制できることを見出して、本発明を完成した。
すなわち本発明は、以下の発明を含む。
[1]シリカ粒子とエチレン性二重結合含有シランカップリング剤とを含む混合物を調製する工程、及び該混合物を静置した状態で温度100℃以上に加熱する工程とを含むエチレン性二重結合含有シリカ粒子の製造方法。
[2]前記混合物を静置する前に、水平面を底面とする容器に前記混合物を収容する工程を含む[1]に記載の製造方法。
[3]前記加熱温度が150℃以下である[1]又は[2]に記載の製造方法。
[4]前記エチレン性二重結合含有シランカップリング剤が、(メタ)アクリロイル基含有シランカップリング剤である[1]〜[3]のいずれかに記載の製造方法。
[5]前記エチレン性二重結合含有シランカップリング剤の量が、下記式で表される理論被覆量の1倍以上である[1]〜[4]のいずれかに記載の製造方法。
理論被覆量(g)=シリカ粒子の質量(g)×シリカ粒子の比表面積(g/m2)/エチレン性二重結合含有シランカップリング剤の最小被覆面積(m2/g)
[6]エチレン性二重結合含有シリカ粒子であって、固体13C−NMRでシリカ粒子表面の有機基を測定した時、下記式(A1)で表した(メタ)アクリロイル基の番号1及び番号2の炭素(C1及びC2)に帰属されるピークの積分値の合計(IA)に対する、
下記式(B1)で表したオリゴマー化(メタ)アクリロイル基の番号3及び番号4の炭素(C3及びC4)に帰属されるピークの積分値の合計IBとの比(IB/IA)が、0.1以下であるエチレン性二重結合含有シリカ粒子。
Figure 2017178659

[式中、R1は、水素原子又はメチル基を表す。R2は、−Si(R32−、−CO−、−CH2−又はフェニレン基を表す。R3は、同一でも異なっていてもよく、ハロゲン原子、アルキル基又はアルコキシ基を表す。*は結合手を表す。]
[7]下記測定方法により求められる凝集物の含有割合が10,000ppm(質量基準)以下である[6]に記載のシリカ粒子。
[測定方法]
シリカ粒子10gと、水90gと、界面活性剤としてのドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム2gを、300秒間以上超音波分散させて得られた分散液を、25±3℃において、目開き20μmの篩に通した場合に篩上に残るシリカ粒子の質量をW(g)としたとき、下記式で求められる値を凝集物の含有割合とする。
凝集物の含有割合(ppm)=(W(g)/10(g))×106
本発明の製造方法では、シリカ粒子とエチレン性二重結合含有シランカップリング剤とを混合し、該混合物を静置した状態で温度100℃以上に加熱しているため、得られるエチレン性二重結合含有シリカ粒子の凝集を抑制することができる。
本発明の製造方法は、シリカ粒子とエチレン性二重結合含有シランカップリング剤(以下、単に「二重結合含有シランカップリング剤」という場合がある)とを含む混合物を調製する工程(混合工程)、及び該混合物を静置した状態で温度100℃以上に加熱する工程(加熱工程)とを含む。これにより、二重結合を有するシランカップリング剤を用いた場合でも、シランカップリング剤に含まれる二重結合の重合が抑制される結果、凝集が抑制されており、解砕・分級をしなくとも凝集物が少ないエチレン性二重結合含有シリカ粒子を製造することができる。
なお、以下に例示する各成分及び官能基は、それぞれ、単独で、或いは組み合わせて使用することができる。
前記二重結合含有シランカップリング剤は、エチレン性二重結合を有するものであればよく、(メタ)アクリロイル基を有することがより好ましく、アクリロイル基を有することがさらに好ましい。
なおシランカップリング剤は一般に、加水分解性基がケイ素原子に結合している基(加水分解性ケイ素基)を有するものであり、前記加水分解性基としては、水素原子;塩素原子等のハロゲン原子;水酸基;炭素数1〜4のアルコキシ基;炭素数2〜5のアシロキシ基等が挙げられる。
前記二重結合含有シランカップリング剤としては、具体的には、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルメチルジメトキシシラン、ビニルメチルジエトキシシラン、ビニルトリクロロシラン、ビニルジクロロメチルシラン、p−スチリルトリメトキシシラン、p−スチリルトリエトキシシラン、p−スチリルメチルジメトキシシラン、p−スチリルメチルジエトキシシラン等のビニル基含有シランカップリング剤;3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン等のメタクリロイル基含有シランカップリング剤;3−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−アクリロキシプロピルトリエトキシシラン、3−アクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、3−アクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン等のアクリロイル基含有シランカップリング剤;が挙げられ、(メタ)アクリロイル基含有シランカップリング剤が好ましく、アクリロイル基含有シランカップリング剤が特に好ましい。
二重結合含有シランカップリング剤の量は、下記式で表される理論被覆量の1倍以上であることが好ましく、より好ましくは1.0倍以上、さらに好ましくは1.5倍以上、よりいっそう好ましくは1.8倍以上であり、5倍以下であることが好ましく、より好ましくは4倍以下、さらに好ましくは3倍以下である。
理論被覆量(g)=シリカ粒子の質量(g)×シリカ粒子の比表面積(g/m2)/シランカップリング剤の最小被覆面積(m2/g)
ただし前記シランカップリング剤の最小被覆面積は、下記式で求められる値である。
最小被覆面積(m2/g)=(6.02×1023×13×10-20)/シランカップリング剤の分子量
本発明の製造方法によれば、二重結合含有シランカップリング剤のエチレン性二重結合の重合を抑制できるため、シランカップリング剤の量を増やしても、得られるエチレン性二重結合含有シリカ粒子の凝集を抑制することが容易である。
また、前記混合物には、前記二重結合含有シランカップリング剤の他に、他のシランカップリング剤が含まれていてもよい。
他のシランカップリング剤としては、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトライソプロポキシシラン、テトラブトキシシラン、ジメトキシジエトキシシラン等のテトラアルコキシシラン;メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、トリメチルメトキシシラン、トリメチルエトキシシラン等のアルキル基含有アルコキシシラン;3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン等のグリシジル基含有アルコキシシラン;3−クロロプロピルメチルジメトキシシラン、3−クロロプロピルトリメトキシシラン等のハロゲン化アルキル基含有アルコキシシラン;3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン等のメルカプト基含有アルコキシシラン;3−(2−アミノエチルアミノ)プロピルトリメトキシシラン等のアミノ基含有アルコキシシラン;フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、ジフェニルジエトキシシラン等のアリール基含有アルコキシシラン;メチルトリクロロシラン、ジメチルジクロロシラン、トリメチルクロロシラン、フェニルトリクロロシラン、ジフェニルジクロロシラン、メチルジフェニルクロロシラン等のクロロシラン;テトラアセトキシシラン、メチルトリアセトキシシラン、フェニルトリアセトキシシラン、ジメチルジアセトキシシラン、ジフェニルジアセトキシシラン、トリメチルアセトキシシラン等のアシロキシシラン;ジメチルシランジオール、ジフェニルシランジオール、トリメチルシラノール等のヒドロキシシラン;等が挙げられる。
前記混合物に含まれる二重結合含有シランカップリング剤及び必要に応じて用いる他のシランカップリング剤(以下、これらを「シランカップリング剤」と総称する。)100質量%中、二重結合含有シランカップリング剤は、90質量%以上であることが好ましく、より好ましくは95質量%以上、さらに好ましくは99質量%以上である。
また前記シリカ粒子とシランカップリング剤とを混合する際、さらに希釈剤(アルコール類、ジオール類)を用いてもよい。希釈剤を用いることで、シランカップリング剤による被覆の均一性を高めやすくなり、得られる二重結合含有シリカ粒子の凝集をさらに抑制することができる。前記アルコール類としては、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロピルアルコール、n−ブチルアルコール、t−ブチルアルコール、ペンチルアルコール等が挙げられ、ジオール類としては、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール等が挙げられる。中でもアルコール類が好ましく、シランカップリング剤のアルコキシ基に相当するアルコール(アルコキシ基に水素原子を結合させたアルコール)であることが特に好ましい。なお前記シリカ粒子とシランカップリング剤とを混合する際、水が共存していてもよい。
希釈剤の量は、シランカップリング剤の合計100質量部に対して、10質量部以上であることが好ましく、より好ましくは20質量部以上、さらに好ましくは30質量部以上であり、200質量部以下であることが好ましく、より好ましくは150質量部以下、さらに好ましくは120質量部以下である。希釈剤が多いほど、シランカップリング剤を均一に被覆しやすくなり、また希釈剤が少ないほど、被覆速度が向上する。
上記シランカップリング剤並びに必要に応じて用いる希釈剤は、適当な順でシリカ粒子と混合することができ、少なくともその一部、好ましくは全部をあらかじめ混合して予備混合物を調製した後、シリカ粒子と混合することが好ましい。混合に際しては、シリカ粒子に予備混合物を加えてもよく、予備混合物にシリカ粒子を加えてもよく、シリカ粒子に予備混合物を加えることが好ましい。予備混合物の添加方法としては、滴下、噴霧等が挙げられ、噴霧が好ましい。
シリカ粒子とシランカップリング剤とを混合して上記混合物を調製する際には、羽根式混合機(好ましくはヘンシェルミキサ)を好ましく使用できる。
混合物を調製する際の混合物の温度は、100℃未満であり、好ましくは60℃以下、より好ましくは40℃以下であり、0℃以上であることが好ましく、より好ましくは10℃以上である。
また、混合時間は30分以上であることが好ましく、より好ましくは60分以上であり、200分以下であることが好ましく、より好ましくは120分以下、さらに好ましくは100分以下である。
続いて、得られた混合物を底面が水平面である容器に前記混合物を収容することが好ましい。収容容器の底面が水平面であると、混合物の厚さを均等にしやすくなるため、熱処理の際、攪拌しなくとも均等に加熱処理でき、さらには局所的な過加熱を防ぐことも容易となる。
前記収容された混合物の最大厚さは、100mm以下であることが好ましく、より好ましくは70mm以下、さらに好ましくは50mm以下であり、1mm以上であることが好ましく、5mm以上であることがより好ましい。混合物の最大厚さが小さいほど混合物の加熱条件を均一にすることが容易となる。
また、混合物の重量と、混合物及び収容容器の接触面積との比率(混合物の重量/混合物及び収容容器の接触面積)は、100kg/m2以下であることが好ましく、より好ましくは70kg/m2以下、さらに好ましくは60kg/m2以下である。前記比率(混合物の重量/混合物及び収容容器の接触面積)がこの範囲にあることで、加熱条件を均一にすることが容易となる。
さらに、混合物の重量と、収容容器の断面積(底面と水平方向の断面積の平均値を意味する)との比率(混合物の重量/収容容器の断面積)は120kg/m2以下であることが好ましく、より好ましくは100kg/m2以下、さらに好ましくは70kg/m2以下である。前記比率(混合物の重量/収容容器の断面積)がこの範囲にあることで、加熱条件を均一にすることが容易となる。
収容容器の底面積は、0.001m2以上であることが好ましく、より好ましくは0.01m2以上、さらに好ましくは0.05m2以上であり、6m2以下であることが好ましく、より好ましくは1m2以下、さらに好ましくは0.5m2以下である。
収容容器底面の短径は、200cm以下であることが好ましく、より好ましくは120cm以下、さらに好ましくは70cm以下であり、2cm以上であることが好ましく、より好ましくは10cm以上、さらに好ましくは15cm以上である。
また収容容器底面の長径は、例えば300cm以下であることが好ましく、より好ましくは150cm以下、100cmであり、5cm以上であることが好ましく、より好ましくは15cm以上、さらに好ましくは20cm以上である。
さらに、収容容器底面の長径と短径の比(長径/短径)は、1以上であることが好ましく、より好ましくは1.2以上であり、例えば2以下であってもよく、より好ましくは1.7以下であってもよい。
なお収容容器底面の長径は、収容容器底面の最も長い部分の長さを意味し、短径は、長径と直交する方向において、最も長い部分の長さを意味する。
また、混合物の加熱条件を均一にする観点から、前記収容された混合物の上面は、水平面であることが好ましい。
収容容器の底面形状は、面積を有する形状であればよく、中でも多角形、楕円形、円形であることが好ましく、多角形(好ましくは四角形(長方形又は正方形))であることがより好ましい。なお収容容器の底面が水平面であるとは、収容容器の底面に攪拌羽根等の凸部が存在せず、底面全体が平面であることを意味するものとする。
前記底面には、高低差が好ましくは5cm以下、より好ましくは3cm以下、さらに好ましくは1cm以下の凹凸が設けられていてもよい。
また、前記底面には、曲率が好ましくは10m-1以下、より好ましくは1m-1以下、さらに好ましくは0.1m-1以下の曲面部が設けられていてもよい。
さらに、前記底面には、水平面とのなす角(傾斜角度)が10°以下、より好ましくは5°以下、さらに好ましくは3°以下である傾斜部が設けられていてもよい。
容器の底面に上記範囲の凹凸や曲面部、或いは傾斜部が設けられている場合でも、本発明にいう水平面に包含される。
次に、前記混合物(必要に応じて底面が水平面である容器に収容されていてもよい)を静置した状態で温度100℃以上に加熱する。混合物を加熱条件が均一になるように静置した状態で加熱すると、反応の制御が容易になるためか、二重結合含有シランカップリング剤の二重結合の重合が抑制される結果、得られる二重結合含有シリカ粒子の凝集を抑制できる。
なお、混合物が静置された状態とは、混合物にせん断応力、圧縮応力等の応力が印加されないことを意味する。
加熱温度は、105℃以上であることが好ましく、より好ましくは110℃以上であり、150℃以下であることが好ましく、より好ましくは130℃以下、さらに好ましくは120℃以下である。加熱温度は、一定でも変動していてもよい。なお加熱温度は、混合物内部の温度を意味するものとする。
加熱時間は、例えば、10分〜5時間であることが好ましく、30分〜2時間であることがより好ましい。なお加熱工程において、加熱時間は、加熱温度が上記範囲にある時間を意味するものとする。
また、本発明の製造方法では、送風乾燥することが好ましい。送風乾燥する場合の風速は、0.1m/s以上であることが好ましく、より好ましくは0.5m/s以上であり、10m/s以下であることが好ましく、より好ましくは5m/s以下、さらに好ましくは3m/s以下である。
本発明の製造方法では混合物を静置したまま加熱するため加熱効率が高く、上記加熱温度及び加熱時間の範囲でシリカ粒子とシランカップリング剤との反応を充分に進行させることができる。
加熱方法としては、シリカ粒子を静置した状態で行うことが可能であればよく、通気式加熱、輻射式加熱のいずれでもよい。また、加熱装置としては、棚段式加熱装置、コンベア式加熱装置が好ましく、棚段式加熱装置がより好ましい。
また加熱工程は、大気圧下で行うことができる。
上記の製造方法により得られた二重結合含有シリカ粒子は、凝集が抑制されており、解砕・分級をしなくとも凝集物が少ないものとなる。具体的には、解砕・分級を経ていない二重結合含有シリカ粒子においても、下記測定方法により求められる凝集物の含有割合が20,000ppm(質量基準)以下であることが好ましく、より好ましくは15,000ppm(質量基準)以下、さらに好ましくは10,000ppm(質量基準)以下であり、凝集物の含有割合は少ないほど好ましいが、例えば100ppm(質量基準)以上、さらには500ppm(質量基準)以上となることも許容される。
[測定方法]
シリカ粒子10gと、水90gと、界面活性剤としてのドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム2gを、300秒間以上超音波分散させて得られた分散液を、25±3℃において、目開き20μmの篩に通した場合に篩上に残るシリカ粒子の質量をW(g)としたとき、下記式で求められる値を凝集物の含有割合とする。
凝集物の含有割合(ppm)=(W(g)/10(g))×106
また、シランカップリング剤としてエチレン性二重結合含有シランカップリング剤を用いた場合、得られるエチレン性二重結合含有シリカ粒子を固体13C−NMRでシリカ粒子表面の有機基を測定した時、下記式(A1)で表したエチレン性二重結合の番号1及び番号2の炭素(C1及びC2)に帰属されるピークの積分値の合計(IA)に対する、下記式(B1)で表したオリゴマー化エチレン性二重結合の番号3及び番号4の炭素(C3及びC4)に帰属されるピークの積分値との合計IBとの比(IB/IA)が、0.1以下であることが好ましい。前記比(IB/IA)は、より好ましくは0.05以下であり、さらに好ましくは0.01以下である。
Figure 2017178659
[式中、R1は、水素原子又はメチル基を表す。R2は、−Si(R32−、−CO−、−CH2−又はフェニレン基を表す。R3は、同一でも異なっていてもよく、ハロゲン原子、アルキル基又はアルコキシ基を表す。*は結合手を表す。]
3で表されるハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子が挙げられ、好ましくは塩素原子が挙げられる。
3で表されるアルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基等の炭素数1〜3のアルキル基が挙げられ、好ましくはメチル基が挙げられる。
3で表されるアルコキシ基としては、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基等の炭素数1〜3のアルコキシ基が挙げられ、好ましくはメトキシ基又はエトキシ基が挙げられる。
前記C1及びC2に帰属されるピークは、通常、化学シフト(δ)110〜140ppm付近に観察され、C3及びC4に帰属されるピークは、通常、化学シフト(δ)20〜50ppm付近に観察される。
特に、シランカップリング剤として(メタ)アクリロイル基含有シランカップリング剤を用いた場合、得られる(メタ)アクリロイル基含有シリカ粒子を固体13C−NMRでシリカ粒子表面の有機基を測定した時、下記式(A2)で表した(メタ)アクリロイル基の番号6及び番号7の炭素(C6及びC7)に帰属されるピークの積分値と、番号5の炭素(C5)に帰属されるピークの積分値との合計(IC)に対する、下記式(B2)で表したオリゴマー化(メタ)アクリロイル基の番号9及び番号10の炭素(C9及びC10)に帰属されるピークの積分値と、番号8の炭素(C8)に帰属されるピークの積分値との合計IDの比(ID/IC)が、0.1以下であることが好ましい。前記比(ID/IC)は、より好ましくは0.05以下であり、さらに好ましくは0.01以下である。
Figure 2017178659
[式中、R4は、水素原子又はメチル基を表す。*は結合手を表す。]
前記C5に帰属されるピークは、通常、化学シフト(δ)160〜170ppm付近に観察され、C6及びC7に帰属されるピークは、通常、化学シフト(δ)120〜140ppm付近に観察され、C8に帰属されるピークは、通常、化学シフト(δ)170〜180ppm付近に観察され、C9及びC10に帰属されるピークは、通常、化学シフト(δ)30〜50ppm付近に観察される。
前記二重結合含有シリカ粒子のシランカップリング剤による被覆率は、X線光電子分光測定による炭素原子とケイ素原子のモル比(C/Si比)で評価した場合、0.1以上であることが好ましく、より好ましくは0.2以上、さらに好ましくは0.5以上である。前記C/Si比は、高いほど好ましいが、例えば15以下であってもよい。C/Si比を高くすることによって有機溶剤中での分散性を高めることができる。C/Si比は、X線光電子分光分析(XPS)によりCおよびSi原子の存在率(モル%)の測定を行い、シリカ粒子表面におけるC/Siの比に基づいて評価できる。
本発明の二重結合含有シリカ粒子は、解砕・分級をしなくとも凝集物が少ないため、解砕・分級に起因する鉄分の混入が抑制されている。そのため、二重結合含有シリカ粒子に含まれる鉄分の含有量は、20ppm以下であることが好ましく、より好ましくは10ppm以下、さらに好ましくは2ppm以下であり、1ppm以下であることが特に好ましい。
鉄分の含有量は、例えば高周波プラズマ発光分光分析法(ICP法)により測定することができる。
本発明の二重結合含有シリカ粒子の一次平均粒子径は、個数基準で、5μm以下であることが好ましく、より好ましくは3μm以下、さらに好ましくは2μm以下、特に好ましくは1μm以下であり、例えば0.001μm以上であってもよく、好ましくは0.005μm以上、より好ましくは0.01μm以上、さらに好ましくは0.03μm以上、よりいっそう好ましくは0.05μm以上、特に好ましくは0.07μm以上であってもよい。
また、二重結合含有シリカ粒子の粒子径の変動係数は、30%以下であることが好ましく、より好ましくは20%以下、さらに好ましくは16%以下であり、小さいほど好ましいが、例えば0.1%以上であることも許容される。
粒子径の変動係数は、一次平均粒子径(個数基準)と一次平均粒子径の標準偏差を用い、下記式に基づいて算出することができる。
変動係数(%)=(一次平均粒子径の標準偏差/一次平均粒子径(個数基準))×100
二重結合含有シリカ粒子の一次平均粒子径(個数基準)は、任意に採取した二重結合含有シリカ粒子を、1視野に含まれるシリカ粒子の数が2,000〜3,000個となる測定倍率で走査型電子顕微鏡を用いて観察し、得られた5視野以上の走査型電子顕微鏡像において、走査型電子顕微鏡像に含まれる全粒子の一次粒子径の平均値として求めることができる。
本発明の製造方法に供されるシリカ粒子は、シロキサン骨格(Si−O−Si)により形成されたものであればよく、例えばシリカ含有量が90質量%以上の粒子であればよい。前記シリカ含有量は、好ましくは95質量%以上、より好ましくは99質量%以上である。
シリカ含有量は、焼成シリカ粒子中のSi成分以外の成分の含有量(百分率)の和を100から差し引くことにより求めることができる。Si成分以外の成分は、Ag,Al,As,Au,B,Ba,Be,Bi,Ca,Cd,Co,Cr,Cu,Fe,Ga,Ge,K,La,Mg,Mn,Mo,Nb,Nd,Ni,Na,P,Pb,Pd,Pt,Sb,Sc,Se,Sn,Sr,Ta,Te,Ti,Tl,V,Zn,Zr,Yの各元素を意味する。前記各元素の含有量は、JIS K 0116のICP発光分光分析により得られた元素単体としての含有量値である。
また前記シリカ粒子におけるシロキサン結合率は、60%以上が好ましく、より好ましくは65%以上、さらに好ましくは68%以上、よりいっそう好ましくは70%以上、特に好ましくは72%以上であり、好ましくは90%以下、より好ましくは80%以下、さらに好ましくは76%以下、特に好ましくは74%以下である。
前記シリカ粒子におけるシロキサン結合率は、シリカ粒子を、29Si−固体NMR装置(例えば、BRUKER社製、AVANCE400)により測定し、化学シフト(δ)−130ppm〜−80ppmの範囲の全シグナルの面積を100%としたとき、化学シフト(δ)−111.4ppmにピークを有するシグナルの面積の割合をシロキサン結合率として求めることができる。
前記シリカ粒子における単位表面積あたりのシラノール基量は、0.010mmol/m2以上であることが好ましく、より好ましくは0.020mmol/m2以上、さらに好ましくは0.025mmol/m2以上であり、0.065mmol/m2以下であることが好ましく、より好ましくは0.060mmol/m2以下、さらに好ましくは0.055mmol/m2以下、特に好ましくは0.050mmol/m2以下である。
また、前記シリカ粒子表面のシラノール基濃度(mmol/g)は、例えば、0.01mmol/g以上が好ましく、より好ましくは0.05mmol/g以上であり、0.60mmol/g以下が好ましく、より好ましくは0.50mmol/g以下である。
前記単位表面積あたりのシラノール基量は、シリカ粒子表面のシラノール基濃度(mmol/g)を粒子の比表面積(m2/g)で除することで求めることができる。またシリカ粒子表面のシラノール基濃度は、非晶質シリカ粒子を所定の条件(例えば、圧力6.6kPa以下、温度120℃、1時間以上)で充分に乾燥した後、溶媒(例えばジオキサンなど)中で水素化リチウムアルミニウムと反応させ、発生する水素量を測定することにより、シラノール基濃度を定量する方法(水素化アルミニウムリチウム法)により求めることができる。
さらに、シリカ粒子の比表面積は、1〜300m2/gであることが好ましく、より好ましくは2〜200m2/g、さらに好ましくは3〜150m2/gである。
また、前記シリカ粒子は、不純物としての金属(Fe等の遷移金属;Na等のアルカリ金属;Ca等のアルカリ土類金属;等)の含有量が低減されていることが好ましく、例えば、不純物金属の含有量は、シリカ粒子中0.1質量%以下であることが好ましく、より好ましくは0.01質量%以下、さらに好ましくは0.001質量%以下である。
シリカ粒子の一次平均粒子径は、個数基準で、5μm以下であることが好ましく、より好ましくは3μm以下、さらに好ましくは2μm以下、特に好ましくは1μm以下であり、例えば0.001μm以上であってもよく、好ましくは0.01μm以上、より好ましくは0.03μm以上、さらに好ましくは0.05μm以上、よりいっそう好ましくは0.07μm以上であってもよい。シリカ粒子の一次平均粒子径(個数基準)は、任意に採取した二重結合含有シリカ粒子を、1視野に含まれるシリカ粒子の数が2,000〜3,000個となる測定倍率で走査型電子顕微鏡を用いて観察し、得られた5視野以上の走査型電子顕微鏡像において、走査型電子顕微鏡像に含まれる全粒子の一次粒子径の平均値として求めることができる。
また、シリカ粒子の粒子径の変動係数は、30%以下であることが好ましく、より好ましくは20%以下、さらに好ましくは15%以下であり、小さいほど好ましいが、例えば0.1%以上であることも許容される。
また、シリカ粒子中、粗大粒子の含有量は、0.05質量%以下であることが好ましく、より好ましくは0.02質量%以下、さらに好ましくは0.01質量%以下、特に好ましくは0.005質量%以下であり、樹脂や樹脂原料に対する分散性の観点からは、粗大粒子の含有量が少ないほど好ましいが、例えば0.0001質量%以上であることも許容される。粗大粒子の含有量は、シリカ粒子を目開き20μmの篩にかけたとき、篩上に残るシリカ粒子の質量を測定に供したシリカ粒子の全質量で割った値とする。
シリカ粒子は、通常、中実の粒子であり、その形状は、例えば、球状、回転楕円体状等のいずれでもよいが、球状が好ましく、特に真球状が好ましい。粒子径の長径に対する短径の比(短径/長径)は、0.90以上であることが好ましく、より好ましくは0.92以上、さらに好ましくは0.95以上、特に好ましくは0.98以上である。
前記シリカ粒子分散液は、例えば、加水分解が可能なケイ素化合物を、加水分解、縮合することによって湿潤シリカ粒子を得て、この湿潤シリカ粒子を乾燥することにより製造することができる。本発明の製造方法に供する前に、得られた乾燥シリカ粒子をさらに焼成しておくことが好ましい。
前記加水分解が可能なケイ素化合物(以下、単に「ケイ素化合物」ということがある。)としては、上記二重結合含有シランカップリング剤及び他のシランカップリング剤として挙げた化合物と同様の化合物を用いることができ、テトラアルコキシシラン又はアルキル基含有アルコキシシランが好ましく、テトラアルコキシシランがより好ましく、テトラメトキシシラン又はテトラエトキシシランが特に好ましい。1分子中に含まれるアルコキシシランの官能数(アルコキシ基の数)が多いほど、得られるシリカ粒子中に不純物が混入しにくくなる。用いられるケイ素化合物のうち、テトラアルコキシシラン(好ましくはテトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン)が90質量%以上であることが好ましく、より好ましくは95質量%以上、さらに好ましくは98質量%以上であり、上限は100質量%である。
ケイ素化合物を加水分解・縮合する反応液中、ケイ素化合物の濃度は、0.05mmol/g以上であることが好ましく、より好ましくは0.1mmol/g以上であり、上限は特に限定されないが、例えば3mmol/g以下であることが好ましく、1mmol/g以下であることがより好ましい。反応液中、ケイ素化合物の濃度がこの範囲にあると、反応速度の制御が容易となり、粒子径を均一にすることができる。
また、前記反応液中、水の濃度は、1mmol/g以上であることが好ましく、より好ましくは1.5mmol/g以上であり、25mmol/g以下であることが好ましく、より好ましくは15mmol/g以下、さらに好ましくは10mmol/g以下である。ただし、ケイ素化合物の加水分解・縮合により水の量は変化するので、仕込み時(加水分解・縮合の開始前)の量を基準とする。水とケイ素化合物のモル比(水/ケイ素化合物)は、2以上が好ましく、より好ましくは4以上であり、20以下が好ましく、より好ましくは15以下である。
ケイ素化合物を加水分解・縮合する際、触媒を共存させることが好ましい。ケイ素化合物は、触媒が存在しない場合でも加水分解・縮合しうるが、触媒を用いることで、反応の制御が容易となり、粒子径やシラノール基の残存量を調整できる。触媒としては、反応速度を高める観点から、塩基性触媒が好ましく、塩基性触媒としては、アンモニア類、アミン類、第4級アンモニウム化合物等が挙げられる。前記アンモニア類としては、アンモニア;尿素等のアンモニア発生剤;等が挙げられる。また、前記アミン類としては、メチルアミン、エチルアミン、プロピルアミン、n−ブチルアミン、ジメチルアミン、ジブチルアミン、トリメチルアミン、トリブチルアミン等の脂肪族アミン;シクロヘキシルアミン等の脂環式アミン;ベンジルアミン等の芳香族アミン;モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン等のアルカノールアミン;等が挙げられる。また、前記第4級アンモニウム化合物としては、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、テトラメチルアンモニウムクロリド等が挙げられる。
中でも、粒子径の制御が容易である観点から、アンモニア類、アミン類が好ましい。また、得られるシリカ粒子の純度を高める観点からは、シリカ中から除去が容易な触媒であることが好ましく、具体的には、アンモニア類、アミン類が好ましく、アンモニア、脂肪族アミンがより好ましい。また、触媒効果と除去容易性を兼ね備える観点からは、アンモニア類が好ましく、アンモニアが特に好ましい。
反応液中、触媒の濃度は、0.8mmol/g〜9.4mmol/gであることが好ましい。また、触媒と水の合計に対する触媒の質量比(触媒/(触媒+水))は、0.1以上であることが好ましく、より好ましくは0.2以上であり、0.4以下であることが好ましく、0.32以下であることがより好ましい。
さらに、ケイ素化合物を加水分解・縮合する際は、反応希釈剤を共存させることが好ましい。反応希釈剤を含有することで、疎水性のケイ素化合物と水とが混合しやすくなり、反応液中でケイ素化合物の加水分解・縮合の進行度合いを均一にすることができるとともに、得られる未焼成シリカの分散性が向上する。反応希釈剤としては適当な水溶性有機溶媒を使用でき、アルコール類、ジオール類が好ましく、アルコール類が好ましい。
反応希釈剤は、ケイ素化合物と水の合計100質量部に対して、150質量部以上であることが好ましく、より好ましくは200質量部以上であり、2500質量部以下であることが好ましく、より好ましくは1000質量部以下、さらに好ましくは500質量部以下である。
希釈剤が多いほど、反応の進行度合いを均一にしやすくなり、また、希釈剤が少ないと、反応速度を高めることができる。
また、反応液には、アセトン、メチルエチルケトン等のケトン類;酢酸エチル等のエステル類;イソオクタン、シクロヘキサン等のパラフィン類;ジオキサン、ジエチルエーテル、等のエーテル類;ベンゼン、トルエン等の芳香族炭化水素類;等の疎水性有機溶媒が含まれていてもよい。これらの疎水性有機溶媒を用いる場合、分散性を向上させるため界面活性剤を添加してもよい。
上記各成分は、適当な順で混合してもよいが、例えば、少なくとも上記各成分の一部(例えば、水、触媒、希釈剤等)を予め混合したシリカ粒子調製用予備混合液を調製した後、ケイ素化合物と混合してもよい。また、シリカ粒子調製用予備混合物にケイ素化合物を添加することが好ましく、添加方法としては一括添加、逐次添加(連続添加、断続的添加)のいずれでもよいが、逐次添加することが好ましい。ケイ素化合物は、予め希釈剤と混合した後、予備混合物と混合してもよい。
ケイ素化合物を加水分解・縮合する際、反応温度は、0〜100℃が好ましく、10〜60℃がより好ましく、10〜40℃がさらに好ましい。また、加水分解・縮合継続時間は、30分〜100時間であることが好ましく、50分〜20時間がより好ましく、1〜10時間がさらに好ましい。
上記のようにして得られた湿潤シリカ粒子を乾燥することにより、乾燥シリカ粒子を得ることができる。乾燥時の凝集・固着を抑制する観点から、濾過、遠心分離、溶媒蒸発(濃縮)等により反応液から湿潤シリカ粒子を分離しておいてもよく、特に、溶媒蒸発(濃縮)により分離しておくことが好ましい。また反応液から湿潤シリカ粒子を分離するに先立って、反応液をフィルターで濾過しておいてもよい。
湿潤シリカ粒子を乾燥するためには、例えば、気流乾燥方式を採用することが好ましい。気流乾燥方式では、乾燥中の湿潤シリカ粒子が、気流により分散され、或いは、乾燥装置の内壁と衝突するため、乾燥しつつシリカ粒子の凝集を抑制することができる。気流乾燥方式で反応液(濃縮液)を乾燥する場合、直接加熱方式(加熱した気流を用いる方法)、間接加熱方式(乾燥装置の伝熱板(好ましくは乾燥装置の内壁)を加熱)のいずれを選択してもよい。直接加熱方式を採用すると、熱風発生炉等から発生した高温気流が反応液(濃縮液)と接触することで溶媒を蒸発させ湿潤シリカ粒子が乾燥されると同時に、高温気流により乾燥中の湿潤シリカ粒子が解砕され、乾燥シリカ粒子の凝集を抑制することができる。また、間接加熱方式を採用すると、伝熱板(好ましくは内壁)を介して反応液(濃縮液)が加熱されることで溶媒が蒸発し湿潤シリカ粒子が乾燥されると同時に、外部から導入された気流又は内部で循環している気流によって乾燥中の湿潤シリカ粒子が解砕され、乾燥シリカ粒子の凝集が抑制される。中でも、間接加熱方式が好ましい。
前記乾燥装置は、管状の構造であってもよく、缶などの容器構造であってもよく、乾燥管と乾燥容器とを組み合わせた構造であってもよい。乾燥中の湿潤シリカ粒子の解砕性を高め、乾燥シリカ粒子の凝集を抑制する観点からは、管状の伝熱板(好ましくは内壁)を有する構造(以下、乾燥管という)を乾燥装置とすることが好ましい。特に、乾燥管は、直線部側(入口側)から反応液(濃縮液)を供給しつつ、屈曲部側(出口側)から真空排気できるものであることがより好ましい。
また、乾燥管の内径は、6mm以上であることが好ましく、より好ましくは7mm以上、さらに好ましくは8mm以上であり、20mm以下であることが好ましい。乾燥管の全長は、800mm以上、9600mm以下であることが好ましい。
乾燥温度は、150〜200℃であることが好ましい。前記乾燥温度は、直接加熱方式の場合は気流の温度を意味し、間接加熱方式の場合は、乾燥管の温度を意味する。また、乾燥時の圧力(減圧度)は、30〜300torrであることが好ましく、40〜250torrであることがより好ましい。
気流乾燥方式(間接加熱方式)で乾燥することができる装置としては、瞬間真空乾燥装置「クラックス・システム8B型」(ホソカワミクロン株式会社製)が挙げられる。
得られた乾燥シリカ粒子を温度30℃、相対湿度90%の雰囲気下において24時間放置した後の含水率は、30質量%以下であることが好ましく、より好ましくは20質量%以下、さらに好ましくは15質量%以下、特に好ましくは10質量%以下であり、例えば0.05質量%以上、さらには0.1質量%以上であってもよい。
含水率は、以下の測定方法により測定することができる。すなわち乾燥シリカ粒子5gを、直径10cmの時計皿に載せ、均一に薄く広げる。その後、温度30℃、相対湿度90%の雰囲気下において24時間放置する。放置後のシリカの含水量を、カールフィッシャー法により測定し、含水量とすることができる。
乾燥シリカ粒子を焼成することにより、本発明のシリカ粒子を得ることができる。焼成温度は、800〜1200℃であり、900〜1100℃であることが好ましい。焼成により、シリカ粒子に残留するシラノール基が低減されやすくなる。
焼成時の雰囲気は、例えば、空気、窒素−酸素混合ガスなどの酸化性雰囲気;窒素ガス、アルゴンガス、ヘリウムガスなどの不活性雰囲気;等が挙げられ、酸化性雰囲気であることが好ましい。これにより、シラノール基やアルコキシ基等を除去しやすくなる。
焼成後は乾式粉砕しなくてよいが、必要であれば、乾式粉砕してもよい。乾式粉砕条件は焼成前における乾式粉砕と同様の条件を採用することができる。
本発明の製造方法により得られるエチレン性二重結合含有シリカ粒子は、シランカップリング剤で被覆されつつ凝集が抑制されており、樹脂中での分散性が良好である。このため、例えば、ポリエステルフィルム、ポリイミドフィルム、フッ素樹脂フィルム等の各種フィルムのアンチブロッキング剤や滑り性付与剤;液晶表示素子用面内スペーサー、液晶表示素子用シール部スペーサー、EL表示素子用スペーサー、タッチパネル用スペーサー、セラミックスやプラスチック等の各種基板間の隙間保持剤等のスペーサー;半導体用封止材、液晶用シール材、LED発光素子用封止材等の各種電子部品用封止材;光拡散フィルム、光拡散板、導光板、防眩フィルム等の光拡散剤;白色体質顔料等の化粧品用添加剤;歯科材料等への適用が可能である。特に、半導体用封止材、液晶用シール剤、LED発光素子用封止材等の各種電子部品用封止材用のフィラーとして有用である。
以下、実施例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、本発明はもとより下記実施例によって制限を受けるものではなく、前・後記の趣旨に適合し得る範囲で適当に変更を加えて実施することも勿論可能であり、それらはいずれも本発明の技術的範囲に包含される。
なお、以下においては、特に断りのない限り、「部」は「質量部」を、「%」は「質量%」を意味する。
<固体13C−NMRスペクトル>
BRUKER社製「AVANCE400」を用い、下記の条件で固体13C−NMR測定を行った。そして、下記式(A1)で表したアクリロイル基の番号1及び番号2の炭素C1及びC2に帰属されるピーク(化学シフト(δ):110〜140ppm)の積分値の合計(IA)、及び下記式(B1)で表したオリゴマー化(メタ)アクリロイル基の番号3及び番号4の炭素C3及びC4に帰属されるピーク(化学シフト(δ):20〜50ppm)の積分値の合計IBをそれぞれ求め、比(IB/IA)を算出した。
Figure 2017178659

[式中、R1は水素原子を表す。R2は、−CO−を表す。*は結合手を表す。]
同様に、下記式(A2)で表したアクリロイル基の番号6及び番号7の炭素C6及びC7に帰属されるピーク(化学シフト(δ):120〜140ppm)の積分値と、番号5の炭素C5に帰属されるピーク(化学シフト(δ):160〜170ppm)の積分値との合計(IC)、及び下記式(B2)で表したオリゴマー化(メタ)アクリロイル基の番号9及び番号10の炭素C9及びC10に帰属されるピーク(化学シフト(δ):30〜50ppm)の積分値と、番号8の炭素C8に帰属されるピーク(化学シフト(δ):170〜180ppm)の積分値の合計IDをそれぞれ求め、比(ID/IC)を算出した。
Figure 2017178659

[式中、R4は、水素原子を表す。*は結合手を表す。]
13C−NMRの測定条件>
装置:BRUKER社製「AVANCE400」
試料管:7mm径 ジルコニア製回転数:6kHz
観測核:13
観測核共鳴周波数:100.625MHz
パルスプログラム:CP/MAS(クロスポーラリゼーション法)
コンタクトタイム:2m秒
繰り返し時間:10秒
積算回数:8192回
観測温度:室温
基準物質化学シフト値:グリシン(カルボニルピーク 176.03ppm)外部基準
<凝集物の含有割合>
シリカ粒子に含まれる凝集物の含有量は、以下の測定方法により求めた。すなわちシリカ粒子10gと、水90gと、界面活性剤としてのドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウムを2g加えて形成した混合物を、超音波分散を1時間行うことによって分散液にした後、25±3℃において、該分散液を直径75mm×高さ20mm、目開き20μmの篩(金属メッシュ(JIS規格))に通し、110℃で1時間乾燥後、網を通過しなかった凝集物の質量をW(g)として、下記式で求められる値を凝集物の含有割合とした。凝集物の含有割合の検出下限は10ppmであった。
凝集物の含有割合(ppm)=(W(g)/10(g))×106
以下に示す実施例および比較例では、上記凝集物の含有量は、測定数を10としたときの平均値とした。
<一次平均粒子径、変動係数及び粗大粒子の個数割合>
任意に採取したシリカ粒子を、1視野に含まれるシリカ粒子の個数が2,000〜3,000個となる測定倍率で、走査型電子顕微鏡を用い、5ヶ所場所を変えて観察した。このとき、得られた5視野の走査型電子顕微鏡像のそれぞれに含まれる2,000個のシリカ粒子の一次粒子径をノギスで測定し、その全ての個数平均を一次平均粒子径とした。また、一次平均粒子径と、一次粒子径の標準偏差を用い、下記式に基づいて一次粒子径の変動係数を算出した。
変動係数(%)=(一次粒子径の標準偏差/一次平均粒子径)×100
<含水率の測定>
乾燥シリカ粒子5gを、直径10cmの時計さらに載せ、均一に薄く広げた。その後、温度30℃、相対湿度90%の雰囲気下において24時間放置した。放置後のシリカの含水量を、カールフィッシャー法により測定して含水量とした。
<シリカ含有量の測定>
シリカ含有量は、焼成シリカ粒子中のSi成分以外の成分の含有量(百分率)の和を100から差し引くことにより求めた。Si成分以外の成分は、Ag,Al,As,Au,B,Ba,Be,Bi,Ca,Cd,Co,Cr,Cu,Fe,Ga,Ge,K,La,Mg,Mn,Mo,Nb,Nd,Ni,Na,P,Pb,Pd,Pt,Sb,Sc,Se,Sn,Sr,Ta,Te,Ti,Tl,V,Zn,Zr,Yの各元素を意味する。前記各元素の含有量は、JIS K 0116のICP発光分光分析により得られた元素単体としての含有量値である。
[実施例1]
撹拌機、滴下装置および温度計を備えた容量200Lの反応器に、メチルアルコール67.54kgと、28質量%アンモニア水(水および触媒)26.33kgとを仕込み、撹拌しながら液温を33±0.5℃に調節した。一方、滴下装置に、テトラメトキシシラン13.45kgをメチルアルコール5.59kgに溶解させた溶液を仕込んだ。反応器中の液温を33±0.5℃に保持しながら、滴下装置から前記溶液を1時間かけて滴下し、滴下終了後、さらに1時間、液温を前記温度に保持しながら撹拌することにより、テトラメトキシシランの加水分解および縮合を行い、シリカ粒子前駆体を含有する分散液を得た。
前記分散液を、瞬間真空蒸発装置により気流乾燥させることにより、乾燥シリカ粒子を得た。瞬間真空蒸発装置としては、クラックス・システム8B型(ホソカワミクロン株式会社製)を使用した。乾燥条件として、加熱管温度175℃、減圧度200torr(27kPa)を採用した。瞬間真空蒸発装置は、加熱水蒸気が供給されるジャケットで覆われた内径8mm、長さ9mのステンレス鋼管と、前記鋼管の一端部にシリカ粒子前駆体を含有する分散液を供給する供給部と、鋼管の他端部に接続された、粉体と蒸気とを分離するバグフィルタが設けられた減圧状態の粉体捕集室とを備えている。鋼管内では、供給部から供給されたシリカ粒子前駆体を含有する分散液が間接加熱されることにより、溶媒が蒸発するとともに、粉体捕集側が減圧されることにより作り出された気流により、シリカ粒子前駆体を含有する分散液の分散とシリカ粒子前駆体の解砕が促進される。粉体は、粉体捕集側が減圧されることにより作り出された気流により鋼管内を移送され、バグフィルタにより捕集される。蒸気は、バグフィルタ通過後、凝縮された後、装置外に排出される。
得られた乾燥シリカ粒子をルツボに入れ、電気炉を用いて1050℃で1時間焼成した後、冷却して、次いで粉砕機を用いて粉砕することにより、焼成シリカ粒子を得た。なお、焼成温度は、電気炉内の雰囲気温度を計測した値である。得られた焼成シリカのシリカ含有量は99.9%であった。
焼成シリカ粒子(比表面積20m2/g)5kgを、加熱ジャケットを備えた容量20Lのヘンシェルミキサ(三井鉱山株式会社製FM20J型)に仕込んだ。ヘンシェルミキサには、被混合物を入れる容器と、撹拌羽根が付いた回転軸が容器底部に備わっているとともに、壁面付着物の掻き落とし装置として、壁面に沿うように設置された板状の羽根が付いた回転軸が容器上面に設置されている。焼成シリカ粒子を撹拌しているところに、常温(約25℃)で、シランカップリング剤である3−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン(信越化学工業株式会社製KBM−5103、最小被覆面積333m2/g)600gを、メチルアルコール250gに溶解させた溶液を滴下して混合した。なお、3−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン600gは、焼成シリカ粒子(比表面積20m2/g)5kgに対するシランカップリング剤理論被覆量の2.0倍に相当する。
次いで、得られた混合物をトレイに移し、混合物の最大厚さが20mm、混合物の上面が水平面となるように調整した。トレイの底面は水平面であり、底面形状は長方形(長径35cm、短径25cm)であった。さらに、このトレイを棚段式乾燥機(エスペック社製「PV−212」)に収容し、大気圧下、120℃まで約1時間かけて昇温し、120℃で1時間保持して加熱処理を行った。乾燥時の風速は1.5m/sであった。なお、120℃の温度数値は、焼成シリカとシランカップリング剤の混合物中の温度を計測した値である。加熱処理は、焼成シリカ粒子とシランカップリング剤の混合物を静置しながら行った。
[実施例2]
実施例1において、混合物の最大厚さを20mmとする代わりに40mmとし、混合物を収容したトレイを大気圧下、120℃まで約1時間かけて昇温し、120℃で1時間保持して加熱処理を行う代わりに、大気圧下、110℃まで約1時間かけて昇温し、110℃で1時間保持して加熱処理を行うこと以外は実施例1と同様にして、エチレン性二重結合含有シリカ粒子を得た。
[比較例1]
実施例1で得られた焼成シリカ粒子(比表面積20m2/g)5kgを、加熱ジャケットを備えた容量20Lのヘンシェルミキサ(三井鉱山株式会社製FM20J型)に仕込んだ。ヘンシェルミキサには、被混合物を入れる容器と、撹拌羽根が付いた回転軸が容器底部に備わっているとともに、壁面付着物の掻き落とし装置として、壁面に沿うように設置された板状の羽根が付いた回転軸が容器上面に設置されている。焼成シリカ粒子を撹拌しているところに、常温(約25℃)で、シランカップリング剤である3−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン(信越化学工業株式会社製KBM-5103、最小被覆面積333m2/g)600gを、メチルアルコール250gに溶解させた溶液を滴下して混合した。なお、3−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン600gは、焼成シリカ粒子(比表面積20m2/g)5kgに対するシランカップリング剤理論被覆量の2.0倍に相当する。その後、焼成シリカ粒子とシランカップリング剤の混合物を120℃まで約1時間かけて昇温し、120℃で3時間保持して加熱処理を行った。なお、120℃の温度数値は、焼成シリカとシランカップリング剤の混合物中の温度を計測した値である。加熱処理は、焼成シリカ粒子とシランカップリング剤の混合物を混合撹拌しながら行った。加熱処理では、掻き落とし装置を撹拌羽根とは逆方向に常時回転させながら、壁面付着物の掻き落としを行った。また、適宜、へらを用いて壁面付着物を掻き落とすことも行った。
[比較例2]
実施例1で得られた焼成シリカ粒子(比表面積20m2/g)5kgを、加熱ジャケットを備えた容量20Lのヘンシェルミキサ(三井鉱山株式会社製FM20J型)に仕込んだ。ヘンシェルミキサには、被混合物を入れる容器と、撹拌羽根が付いた回転軸が容器底部に備わっているとともに、壁面付着物の掻き落とし装置として、壁面に沿うように設置された板状の羽根が付いた回転軸が容器上面に設置されている。焼成シリカ粒子を撹拌しているところに、常温(約25℃)で、シランカップリング剤である3−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン(信越化学工業株式会社製KBM-5103、最小被覆面積333m2/g)600gを、メチルアルコール250gに溶解させた溶液を滴下して混合した。なお、3−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン250gは、シランカップリング剤理論被覆量の2.0倍に相当する。その後、焼成シリカ粒子とシランカップリング剤の混合物を120℃まで約1時間かけて昇温し、120℃で1時間保持して加熱処理を行った。なお、120℃の温度数値は、焼成シリカとシランカップリング剤の混合物中の温度を計測した値である。加熱処理は、焼成シリカ粒子とシランカップリング剤の混合物を混合撹拌しながら行った。加熱処理では、掻き落とし装置を撹拌羽根とは逆方向に常時回転させながら、壁面付着物の掻き落としを行った。また、適宜、へらを用いて壁面付着物を掻き落とすことも行った。
実施例1〜2及び比較例1〜2で得られたエチレン性二重結合含有シリカ粒子の一次平均粒子径、一次粒子径の変動係数、凝集物の含有割合、含水率及び13C−NMRにより求められる比(IB/IA)、(ID/IC)を表1に示す。
Figure 2017178659
表1に示されるように、シリカ粒子とアクリロイル基含有シランカップリング剤とを混合し、水平面を底面とする容器にこの混合物を収容して、該混合物を静置した状態で温度110℃又は120℃に加熱した実施例1、2では、解砕・分級をしなくとも凝集物の含有割合が抑制されていた。これに対して、シリカ粒子とアクリロイル基含有シランカップリング剤との混合物を攪拌しながら加熱した比較例1、2では、エチレン性二重結合含有シリカ粒子が凝集していることが確認された。
本発明の製造方法により得られるエチレン性二重結合含有シリカ粒子は、シランカップリング剤で被覆されつつ凝集が抑制されており、樹脂中での分散性が良好である。このため、例えば、ポリエステルフィルム、ポリイミドフィルム、フッ素樹脂フィルム等の各種フィルムのアンチブロッキング剤や滑り性付与剤;液晶表示素子用面内スペーサー、液晶表示素子用シール部スペーサー、EL表示素子用スペーサー、タッチパネル用スペーサー、セラミックスやプラスチック等の各種基板間の隙間保持剤等のスペーサー;半導体用封止剤、液晶用シール剤、LED発光素子用封止剤等の各種電子部品用封止剤;光拡散フィルム、光拡散板、導光板、防眩フィルム等の光拡散剤;白色体質顔料等の化粧品用添加剤;歯科材料等への適用が可能である。特に、半導体用封止剤、液晶用シール剤、LED発光素子用封止剤等の各種電子部品用封止剤用のフィラーとして有用である。

Claims (7)

  1. シリカ粒子とエチレン性二重結合含有シランカップリング剤とを含む混合物を調製する工程、及び
    該混合物を静置した状態で温度100℃以上に加熱する工程とを含むエチレン性二重結合含有シリカ粒子の製造方法。
  2. 前記混合物を静置する前に、水平面を底面とする容器に前記混合物を収容する工程を含む請求項1に記載の製造方法。
  3. 前記加熱温度が150℃以下である請求項1又は2に記載の製造方法。
  4. 前記エチレン性二重結合含有シランカップリング剤が、(メタ)アクリロイル基含有シランカップリング剤である請求項1〜3のいずれかに記載の製造方法。
  5. 前記エチレン性二重結合含有シランカップリング剤の量が、下記式で表される理論被覆量の1倍以上である請求項1〜4のいずれかに記載の製造方法。
    理論被覆量(g)=シリカ粒子の質量(g)×シリカ粒子の比表面積(g/m2)/エチレン性二重結合含有シランカップリング剤の最小被覆面積(m2/g)
  6. エチレン性二重結合含有シリカ粒子であって、固体13C−NMRでシリカ粒子表面の有機基を測定した時、下記式(A1)で表した(メタ)アクリロイル基の番号1及び番号2の炭素(C1及びC2)に帰属されるピークの積分値の合計(IA)に対する、
    下記式(B1)で表したオリゴマー化(メタ)アクリロイル基の番号3及び番号4の炭素(C3及びC4)に帰属されるピークの積分値の合計IBの比(IB/IA)が、0.1以下であるエチレン性二重結合含有シリカ粒子。
    Figure 2017178659

    [式中、R1は、水素原子又はメチル基を表す。R2は、−Si(R32−、−CO−、−CH2−又はフェニレン基を表す。R3は、同一であっても異なっていてもよく、ハロゲン原子、アルキル基又はアルコキシ基を表す。*は結合手を表す。]
  7. 下記測定方法により求められる凝集物の含有割合が10,000ppm(質量基準)以下である請求項6に記載のシリカ粒子。
    [測定方法]
    シリカ粒子10gと、水90gと、界面活性剤としてのドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム2gを、300秒間以上超音波分散させて得られた分散液を、25±3℃において、目開き20μmの篩に通した場合に篩上に残るシリカ粒子の質量をW(g)としたとき、下記式で求められる値を凝集物の含有割合とする。
    凝集物の含有割合(ppm)=(W(g)/10(g))×106
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