本発明は、複数枚の家庭用薄葉紙からなる束が柔軟なフィルムによって包装されている家庭用薄葉紙包装体に関する。
複数枚の家庭用薄葉紙の束が収納容器に収納されている家庭用薄葉紙製品はよく知られる。このような家庭用薄葉紙の代表例はティシュペーパーであり、複数枚のティシュペーパーの束が収納容器に収納されているティシュペーパー製品の中には、汎用タイプ、汎用品などと称される、特に低価格であることが重視される商品カテゴリーがある。
このようなティシュペーパー製品では、より安価にすべく原紙の低坪量化や、一枚のシート寸法を縮小化するなど、使用感を維持しつつ原料費を減らすことが行われてきた。
また、ティシュペーパー製品の多くは、収納容器がコートボール紙など比較的剛性のある紙製収納箱とされているが、汎用タイプのティシュペーパー製品の中には、このような収納容器に係る資材費をより削減した、安価な樹脂製のフィルムによって束を包装したものがあり、その市場が拡大しつつある。
他方で、ティシュペーパー製品の価格に影響するコストのなかには、上記の原料費や資材費に加えて主要なものに輸送費がある。
ティシュペーパーは、繊維間に空気を多く含む細孔状構造であり、ティシュペーパーのシート寸法を縮小化したり、フィルム包装に変更しただけでは、ティシュペーパーの束自体の嵩がさほど小さくならない。このためティシュペーパー製品は、一回に輸送できる輸送数を多くすることが難しく、コストに対する輸送効率が悪い。
ここで、ティシュペーパー製品の中でも上記の束を樹脂製のフィルムで包装したティシュペーパー包装体の形態を採るものにおいては、束に対してフィルムを密着させるようにしてタイトに包装することで、束の嵩をある程度低下させることができるものの、ティシュペーパーの束は柔らかく、また、樹脂製の包装フィルムからティシュペーパーを取り出すためのミシン目開封部分から空気が入ることなどにより、束の形状を維持したまま包装することが難しい。そして、特に、このような汎用タイプのティシュペーパー包装体では、3個や5個を積み重ねて纏め、多パック化して市販することが一般的であり、このような束形状の崩れは、製造時に束パック化することを困難とするとともに、店舗で市販する際の陳列にも難が出てしまう。
特許第5478092号公報
特許第4436925号公報
特開2015−189491号公報
そこで、本発明の主たる課題は、輸送時や陳列時の間など、未開封時における嵩を輸送しやすい形状で低下でき、輸送や陳列のためのコストを低減でき、そのうえで使用時には通常の嵩に戻して使用することができる、家庭用薄葉紙包装体を提供することにある。
上記課題を解決するための手段及びそれらの作用効果は次記のとおりである。
〔請求項1記載の発明〕
複数枚の家庭用薄葉紙を折り畳み重ねてなる束が、柔軟性のある包装フィルムによって包装されている家庭用薄葉紙包装体であって、
包装内にある気体を包装内から包装外へ排気可能であるとともに、包装外から包装内へ気体が流入しない気体逆止部を有し、この気体逆止部以外の部分が未開封時において気密となっている、ことを特徴とする家庭用薄葉紙包装体。
〔請求項2記載の発明〕
気体逆止部が、複数の家庭用薄葉紙の縁が並ぶ重層面に対面する位置にある、請求項1記載の家庭用薄葉紙包装体。
〔請求項3記載の発明〕
気体逆止部が、包装フィルムの重ね合わせ部分を熱融着加工してなる縁片部に形成された、包装内外に連通する熱融着していない導通部分である、請求項1又は2記載の家庭用薄葉紙包装体。
〔請求項4記載の発明〕
包装フィルムは、束の最上位又は最底位の家庭用薄葉紙に対面する位置に、開封口又は開封用のミシン目が形成され、その開封口又は開封用ミシン目が、剥離可能なシール材によって被覆されて気密にされている、請求項1〜3の何れか1項に記載の家庭用薄葉紙包装体。
本発明によれば、輸送時や陳列時の間など、未開封時における嵩を輸送しやすい形状で低下でき、輸送や陳列のためのコストを低減でき、そのうえで使用時には通常の嵩に戻して使用することができる、家庭用薄葉紙包装体が提供される。
本発明の実施形態のティシュペーパー包装体の斜視図である。
本発明の実施形態のティシュペーパー包装体の束について説明するための斜視図である。
本発明の実施形態のティシュペーパー包装体の気体逆止部を説明するための図である。
本発明の実施形態のティシュペーパー包装体の圧縮と開封による戻りを説明するための図である。
本発明の他の実施形態のティシュペーパー包装体の斜視図である。
本発明の別の実施形態のティシュペーパー包装体の斜視図である。
以下、本発明の実施形態を図1〜図6を参照しながら説明する。以下に図面を参照しながら説明する実施形態は、特に好適な形態である家庭用薄葉紙がティシュペーパーである例について説明する。ただし、本発明における家庭用薄葉紙は、ティシュペーパーに限らず、いわゆるキッチンペーパーやペーパータオルであってもよい。
本実施形態に係るティシュペーパー包装体1は、複数枚のティシュペーパー2を折り畳み重ねてなる柔らかで変形可能なティシュペーパー2の束20が、柔軟性のある包装フィルム3によって包装されているものである。そして、特に内外に通ずる導通部分4又は導通部材4’を有しており、それ以外の部分が気密となっている。この導通部分4等は包装内にある気体Gを包装内から包装外へ排気可能であり、かつ、包装外から包装内への気体の流入を止める逆止構造を有する気体逆止部40となっている。
したがって、この実施形態に係るティシュペーパー包装体1は、特に図4に示すように、包装フィルム外からティシュペーパー2の束20にある程度の外力を加えると、包装フィルム内の内圧が高まり気体逆止部40から包装内の気体Gが排気されるとともに束が圧縮され、その外力を加えることを止めると気体逆止部40からの気体Gの再流入が行われずに束20が圧縮されて嵩が低くなった状態が維持される。特に圧縮の際に束20のティシュペーパー積み重ね方向(図中Y方向)の厚みTを薄くするように圧縮操作を行えば、束20の圧縮前の形状を概ね維持したまま、その厚みTのみを薄くすることができる。そして、包装フィルム3を開封するなどして、包装内と包装外との気密性が失われると、ティシュペーパー2の束20が有する復元力によって、束20の嵩が圧縮前の状態に戻る。
実施形態のティシュペーパー2の束20は、方形のティシュペーパー2が二つ折りされ、その折り返し片の縁が上下に隣接するティシュペーパーの折り返し内面に位置するようにして、互い違いに重なり合いつつ積層されたものであり、最上位に位置する一枚の折り返し片を上方に引き上げると、その直下で隣接する他の一枚の折り返し片が、上方に引きずられて持ち上げられる所謂ポップアップ式の束20となっている。このような束20は、マルチスタンド式、ロータリ式の既知のインターフォルダにより製造することができる。但し、本発明の束20は、このようなポップアップ式の束20に限定されず、二つ折りに畳んだ方形のティシュペーパーを単に積み重ねたものであってもよい。これらの束20は、その形状が概ね直方体形状となる。このような直方体形状の束20では、圧縮の際に束20を積み重ね方向Yの厚みTを薄くするように圧縮操作を行うと、束20の概ね直方体形状が維持されたまま、その厚みTのみが薄くなるため、搬送、陳列に適する形状のまま包装体1の嵩を低減することができる。
束20を構成するティシュペーパー2の枚数は限定されるものではないが、ティシュペーパー製品では、一般的には2プライ(2枚重ね)を1組として120〜240組であり、本実施形態のティシュペーパー包装体1でも同様に120〜240組とすることができる。
ティシュペーパー2の束20を構成する個々のティシュペーパー2は、クレープを有する2枚〜3枚の薄葉紙が積層されて組とされたプライ構造を有する。このティシュペーパー2は、乾燥されたドライタイプのものであり、薬液が含浸されている所謂ウェットタイプのものではない。したがって、ティシュペーパー2により形成される上記の束20は多くの空気を含むものである。なお、ドライタイプのティシュペーパー2においても、保湿剤等が付与されている薬液付与タイプのものがあるが、本発明は特に保湿剤などが塗布されていない非保湿の汎用タイプのティシュペーパー2に適する。
ティシュペーパー2を構成する薄葉紙の原料パルプとしては、NBKPとLBKPとを配合したものである。古紙パルプが配合されていてもよいが、風合いなどの点で、NBKPとLBKPのみから構成されているのがよい。配合割合としては、NBKP:LBKP=20:80〜80:20がよく、特に、NBKP:LBKP=30:70〜60:40がよい。
ティシュペーパー2の各プライを構成する薄葉紙1枚あたりの坪量は10〜25g/m2である。本実施形態のティシュペーパー2において好ましい汎用タイプのものは、11〜16g/m2である。ここでの坪量は、JIS P 8124(1998)の測定方法によるものをいう。また、ティシュペーパー2の紙厚は、2プライの状態で100〜170μm、より好ましくは100〜140μmである。ここでの紙厚は、試験片をJIS P 8111(1998)の条件下で十分に調湿した後、同条件下でダイヤルシックネスゲージ(厚み測定器)「PEACOCK G型」(尾崎製作所製)を用いて2プライの状態で測定した値をいう。なお、衛生薄葉紙がキッチンペーパーやペーパータオルである場合には、坪量は20〜50g/m2であり、紙厚は2プライのもので100〜170μm、1プライのもので80〜150μmである。
ティシュペーパー包装体1の包装形態は、既知の包装種から選択される。例えば、三方閉じ包装、四方閉じ包装、ガゼット包装、ピロー包装が例示できる。最も適する包装形態は、図示のピロー包装である。ピロー包装は、束20の複数のティシュペーパー2の縁が並ぶ重層面21に対面する位置に、フィルムの重ね合わせ部分が熱融着されてなる縁片部30が位置する。このピロー包装は、一般的には、被包装物である束20を樹脂製のフィルムで巻き込むように包み、その巻き込み方向において重畳するフィルムの縁部同士を熱融着加工し、巻き込み方向と直交する方向において束を越えて延出する二箇所の部分も融着加工して閉じて形成される。この二箇所の部分が融着加工してなる縁片部30,30となる。
本実施形態のティシュペーパー包装体1では、束20を包装している包装フィルム3の、特に束20の最上位のティシュペーパーに対面する位置に、内部のティシュペーパー2を取り出すための開口が形成されるようになっている。特に図1に示す形態では、包装フィルム3の束20の最上位のティシュペーパーに対面する位置に内外に連通する開封口50が形成されているとともに、この開封口50が剥離可能なシール材60によって被覆されて開封口50が気密になっている。使用時には、前記シール材60を剥離することで、開封口50が露出し、内部のティシュペーパー2を取り出すための開口が形成される。図示の形態では、シール材60の縁から延出するように包装フィルム3に対して自由な摘み部61が設けられており、シール材60が剥がしやすくなっている。なお、シール材60は、包装フィルム3に対して再接着可能としてもよい。この場合には、開封口50を再度、封止することができる。また、完全に分離されるものであってもよいし、包装フィルム3に一部が剥離不能に接着されていてもよい。
また、特に図5に示す他の実施形態のティシュペーパー包装体1では、包装フィルム3の束20の最上位のティシュペーパーに対面する位置に開封用ミシン目51が形成されており、その開封用ミシン目51が剥離可能なシール材60によって被覆されて気密にされている。シール材60を剥離することで、開封用ミシン目51が露出し、この開封用ミシン目51を裂開することで、内部のティシュペーパー2を取り出すためのスリット状の開口が形成される。包装フィルム3とシール材60とを剥離可能に接着する粘着剤や接着剤は公知のなかから適宜に選択すればよい。
本実施形態では、束20がポップアップ式であるため、開口の形成により束の最上位のティシュペーパーを引き出すと、その直近下方に位置する次のティシュペーパーの一部が開口より露出されるものとなる。但し、本発明においては、必ずしもこのような開口が形成されるようにする必要はない。使用時に包装フィルム3を除去して束20のみ使用してもよい。
包装フィルム3を構成する具体的な柔軟性のある樹脂製のフィルム材は、ポリエチレンフィルム、ポリプロピレンフィルム、ポリエステルフィルム、ポリエチレンテレフタレートフィルム、ナイロンフィルム、塩化ビニリデンフィルム、エチレンビニルアルコール共重合体の単層フィルム、または、それらのフィルムを含む適宜積層されたラミネートフィルムや、それらのフィルムにアルミ蒸着などの表面処理を施したガスバリアフィルムが例示できる。但し、コストの観点からはポリプロピレンフィルム、ポリエチレンフィルムが好適である。フィルム材の厚さは、柔軟性、コスト、気体透過度、包装時における熱融着性を考慮して適宜に選択する。フィルムの気密性は高い方が好ましいが、JIS K 7126(B)(等圧法)に基づく、23℃、65%RHでの酸素透過度が5000cc/m2・day・atm以下あれば十分である。
包装フィルム3に開封口50や開封用ミシン目51を形成した場合に、これらを気密に封止するシール材60についても前記包装フィルム3と同様のフィルム材を用いることができる。但し、シール材については、包装フィルム3ほどの柔軟性や熱融着性は必ずしも必要ではない。
次いで、気体逆止部40の好ましい一つの形態は、特に図3に示す。図3中Aは、ティシュペーパー包装体1の気体逆止部40近傍の拡大図である。この気体逆止部40は、ピロー包装において形成される、束20の複数のティシュペーパーの縁が並ぶ重層面21に対面する位置にある縁片部30に形成されている。この気体逆止部40は、包装フィルム3の重ね合わせ部分を熱融着加工してなる前記縁片部30において、包装内外に連通する熱融着していない導通部分4となっている。この導通部分4は、ティシュペーパー包装体1を圧縮しようとする外圧が加わりティシュペーパー包装体1内の内圧が高まった際に、気体Gが包装外へ出ようとする作用によって重ね合わさっているフィルム間が開いて排気がされる。その一方で、ティシュペーパー包装体1に外圧が加わっていない大気圧環境下における通常状態では、重ね合わさっている包装フィルム同士が密着した状態を維持し、包装外から包装内への気体の流入がされないようになっている。導通部分4における包装フィルム3同士が密着した状態の維持は、縁片部30及び包装フィルム3自身が有する通常の剛性や包装フィルム3の有するスリップ性による。また、図示の形態では、特に導通部分4が、略S字状にカーブする部分を有するように蛇行して形成され、縁片部30に種々の方向からの外力によって変形が生じても逆止効果が維持されるようになっている。但し、導通部分4の形状は、この略S字状に限定されない。導通部分4の形状、幅、長さはフィルムの柔軟性や排気の程度を考慮して適宜に定めればよい。
よって、図4に示すように、ティシュペーパー包装体1を圧縮しようとする外圧が加わりティシュペーパー包装体1内の内圧が高まった際に、縁片部30の気体逆止部40より気体Gが包装外へ排気されることで圧縮され、方向Yの厚みTが小さくなり、シール材60を剥離することで包装内へ気体Gが入り、方向Yの厚みTが大きくなり、復元する。
ピロー包装等における熱融着加工による縁片部30に気体逆止部40を形成するには、例えば、ピロー包装等における熱融着加工時に用いるシール鏝のフィルムに接する部分に、導通部分4に対応する形状の溝部分を形成しておけば、熱融着加工による包装の封止を行うとともに同時に簡易に形成することができる。但し、気体逆止部40の形成方法は包装方法によることができる。フィルム材が袋状に成形されているガゼット包装などの包装形態の場合は、予め気体逆止部が形成されたフィルム材を用いてもよい。
気体逆止部40の他の形態は、図6に示す。図6に示す形態は、内部に逆止弁(図示しない)が組み込まれた筒型の導通部材4’をピロー包装の縁片部30に設けて気体逆止部40を構成したものである。導通部材4’は、熱融着されている包装フィルムの重ね合わせ部分間に挿通されており、熱融着加工によって縁片部30と一体化されている。導通部材4’は、内部の逆止弁によって、包装内にある気体を包装内から包装外へ排気可能であり、かつ、包装外から包装内への気体の流入を止めるようになっている。逆止弁は公知の構造が採用できる。
図3及び図5に示す実施形態のように、気体逆止部40は、複数のティシュペーパーの縁が並ぶ重層面に対面する位置にあるのが望ましい。束20のティシュペーパー積み重ね方向Yの厚みTを小さくするようにして嵩を圧縮する場合、束20内に含まれる気体は、ティシュペーパー2の積層間、つまり重層面21から排出されやすいため、気体逆止部40が複数のティシュペーパーの縁が並ぶ重層面21に対面する位置にあると、包装外への排気が効果的に行われる。また、好適なピロー包装等の熱融着加工による縁片部を形成する態様においては、上記のとおりシール鏝を加工・変更するだけで簡易に製造することができる利点もある。
本発明に係るティシュペーパー包装体1の好適な圧縮状態は、圧縮前の束20の積み重ね方向Yの厚みT(高さ)を50〜90%に圧縮した状態である。この程度であれば、開封後に直ちに(30秒程度)で元の高さに復元する。つまり本発明に係るティシュペーパー包装体1は、開封後30秒に束20の積み重ね方向Yの厚みTに対して、50〜90%に圧縮された厚みにあるのが望ましい。なお、本発明に係るティシュペーパー包装体1の圧縮状態は、圧縮後の嵩が圧縮前の35%以下となるような所謂真空パックのような過度の圧縮状態とはしない。このような過度の圧縮を行うと開封しても復元に過度の時間を要することになる。また、輸送に適した束の形状、例えば直方体形状を維持したままの圧縮状態とすることが難しい。
本実施形態に係るティシュペーパー包装体1では、圧縮前の束20の積み重ね方向Yの厚みT(高さ)を50〜90%に圧縮するのであれば、製造時に工程として圧縮操作を行わなくとも、コンベア搬送過程やケーサー等によって仕分けや箱詰め作業を行う過程における、包装体への外力によって包装内の空気が排気されて容易に達成される。本実施形態のティシュペーパー包装体では、真空ポンプ等を用いて包装体内の気体を外部に排出することなく、これまでの製造工程と変わらない取り扱いを行うだけも束20の積み重ね方向Yの厚さT(高さ)を50〜90%に圧縮することができる。
なお、図示の実施の形態では、気体逆止部は、一箇所のみに設けた形態であるが、ティシュペーパー包装体1は、複数の気体逆止部を有していてもよい。
1…ティシュペーパー包装体、2…ティシュペーパー、3…包装フィルム、4…導通部分、4’…導通部材、40…気体逆止部、30…縁片部、50…開封口、51…開封用ミシン目、60…シール材、61…摘み部、Y…ティシュペーパー積み重ね方向、T…ティシュペーパー包装体の厚み、20…ティシュペーパーの束、21…ティシュペーパー束の重層面、G…気体。
本発明は、複数枚の家庭用薄葉紙からなる束が柔軟なフィルムによって包装されている家庭用薄葉紙包装体に関する。
複数枚の家庭用薄葉紙の束が収納容器に収納されている家庭用薄葉紙製品はよく知られる。このような家庭用薄葉紙の代表例はティシュペーパーであり、複数枚のティシュペーパーの束が収納容器に収納されているティシュペーパー製品の中には、汎用タイプ、汎用品などと称される、特に低価格であることが重視される商品カテゴリーがある。
このようなティシュペーパー製品では、より安価にすべく原紙の低坪量化や、一枚のシート寸法を縮小化するなど、使用感を維持しつつ原料費を減らすことが行われてきた。
また、ティシュペーパー製品の多くは、収納容器がコートボール紙など比較的剛性のある紙製収納箱とされているが、汎用タイプのティシュペーパー製品の中には、このような収納容器に係る資材費をより削減した、安価な樹脂製のフィルムによって束を包装したものがあり、その市場が拡大しつつある。
他方で、ティシュペーパー製品の価格に影響するコストのなかには、上記の原料費や資材費に加えて主要なものに輸送費がある。
ティシュペーパーは、繊維間に空気を多く含む細孔状構造であり、ティシュペーパーのシート寸法を縮小化したり、フィルム包装に変更しただけでは、ティシュペーパーの束自体の嵩がさほど小さくならない。このためティシュペーパー製品は、一回に輸送できる輸送数を多くすることが難しく、コストに対する輸送効率が悪い。
ここで、ティシュペーパー製品の中でも上記の束を樹脂製のフィルムで包装したティシュペーパー包装体の形態を採るものにおいては、束に対してフィルムを密着させるようにしてタイトに包装することで、束の嵩をある程度低下させることができるものの、ティシュペーパーの束は柔らかく、また、樹脂製の包装フィルムからティシュペーパーを取り出すためのミシン目開封部分から空気が入ることなどにより、束の形状を維持したまま包装することが難しい。そして、特に、このような汎用タイプのティシュペーパー包装体では、3個や5個を積み重ねて纏め、多パック化して市販することが一般的であり、このような束形状の崩れは、製造時に束パック化することを困難とするとともに、店舗で市販する際の陳列にも難が出てしまう。
特許第5478092号公報
特許第4436925号公報
特開2015−189491号公報
そこで、本発明の主たる課題は、輸送時や陳列時の間など、未開封時における嵩を輸送しやすい形状で低下でき、輸送や陳列のためのコストを低減でき、そのうえで使用時には通常の嵩に戻して使用することができる、家庭用薄葉紙包装体を提供することにある。
上記課題を解決するための手段及びそれらの作用効果は次記のとおりである。
〔請求項1記載の発明〕
複数枚の家庭用薄葉紙を折り畳み重ねてなる束が、柔軟性のある包装フィルムによって包装されている家庭用薄葉紙包装体であって、
包装内にある気体を包装内から包装外へ排気可能であるとともに、包装外から包装内へ気体が流入しない気体逆止部を有し、この気体逆止部以外の部分が未開封時において気密となっており、
前記未開封時において前記気体逆止部から包装内にある気体を包装内から包装外へ排気可能であるとともに、包装体が圧縮された状態にあり、かつ、開封時において包装体の圧縮が復元される、ことを特徴とする家庭用薄葉紙包装体。
〔請求項2記載の発明〕
気体逆止部が、複数の家庭用薄葉紙の縁が並ぶ重層面に対面する位置にある、請求項1記載の家庭用薄葉紙包装体。
〔請求項3記載の発明〕
気体逆止部が、包装フィルムの重ね合わせ部分を熱融着加工してなる縁片部に形成された、包装内外に連通する熱融着していない導通部分である、請求項1又は2記載の家庭用薄葉紙包装体。
〔請求項4記載の発明〕
包装フィルムは、束の最上位又は最底位の家庭用薄葉紙に対面する位置に、開封口又は開封用のミシン目が形成され、その開封口又は開封用ミシン目が、剥離可能なシール材によって被覆されて気密にされている、請求項1〜3の何れか1項に記載の家庭用薄葉紙包装体。
本発明によれば、輸送時や陳列時の間など、未開封時における嵩を輸送しやすい形状で低下でき、輸送や陳列のためのコストを低減でき、そのうえで使用時には通常の嵩に戻して使用することができる、家庭用薄葉紙包装体が提供される。
本発明の実施形態のティシュペーパー包装体の斜視図である。
本発明の実施形態のティシュペーパー包装体の束について説明するための斜視図である。
本発明の実施形態のティシュペーパー包装体の気体逆止部を説明するための図である。
本発明の実施形態のティシュペーパー包装体の圧縮と開封による戻りを説明するための図である。
本発明の他の実施形態のティシュペーパー包装体の斜視図である。
本発明の別の実施形態のティシュペーパー包装体の斜視図である。
以下、本発明の実施形態を図1〜図6を参照しながら説明する。以下に図面を参照しながら説明する実施形態は、特に好適な形態である家庭用薄葉紙がティシュペーパーである例について説明する。ただし、本発明における家庭用薄葉紙は、ティシュペーパーに限らず、いわゆるキッチンペーパーやペーパータオルであってもよい。
本実施形態に係るティシュペーパー包装体1は、複数枚のティシュペーパー2を折り畳み重ねてなる柔らかで変形可能なティシュペーパー2の束20が、柔軟性のある包装フィルム3によって包装されているものである。そして、特に内外に通ずる導通部分4又は導通部材4’を有しており、それ以外の部分が気密となっている。この導通部分4等は包装内にある気体Gを包装内から包装外へ排気可能であり、かつ、包装外から包装内への気体の流入を止める逆止構造を有する気体逆止部40となっている。
したがって、この実施形態に係るティシュペーパー包装体1は、特に図4に示すように、包装フィルム外からティシュペーパー2の束20にある程度の外力を加えると、包装フィルム内の内圧が高まり気体逆止部40から包装内の気体Gが排気されるとともに束が圧縮され、その外力を加えることを止めると気体逆止部40からの気体Gの再流入が行われずに束20が圧縮されて嵩が低くなった状態が維持される。特に圧縮の際に束20のティシュペーパー積み重ね方向(図中Y方向)の厚みTを薄くするように圧縮操作を行えば、束20の圧縮前の形状を概ね維持したまま、その厚みTのみを薄くすることができる。そして、包装フィルム3を開封するなどして、包装内と包装外との気密性が失われると、ティシュペーパー2の束20が有する復元力によって、束20の嵩が圧縮前の状態に戻る。
実施形態のティシュペーパー2の束20は、方形のティシュペーパー2が二つ折りされ、その折り返し片の縁が上下に隣接するティシュペーパーの折り返し内面に位置するようにして、互い違いに重なり合いつつ積層されたものであり、最上位に位置する一枚の折り返し片を上方に引き上げると、その直下で隣接する他の一枚の折り返し片が、上方に引きずられて持ち上げられる所謂ポップアップ式の束20となっている。このような束20は、マルチスタンド式、ロータリ式の既知のインターフォルダにより製造することができる。但し、本発明の束20は、このようなポップアップ式の束20に限定されず、二つ折りに畳んだ方形のティシュペーパーを単に積み重ねたものであってもよい。これらの束20は、その形状が概ね直方体形状となる。このような直方体形状の束20では、圧縮の際に束20を積み重ね方向Yの厚みTを薄くするように圧縮操作を行うと、束20の概ね直方体形状が維持されたまま、その厚みTのみが薄くなるため、搬送、陳列に適する形状のまま包装体1の嵩を低減することができる。
束20を構成するティシュペーパー2の枚数は限定されるものではないが、ティシュペーパー製品では、一般的には2プライ(2枚重ね)を1組として120〜240組であり、本実施形態のティシュペーパー包装体1でも同様に120〜240組とすることができる。
ティシュペーパー2の束20を構成する個々のティシュペーパー2は、クレープを有する2枚〜3枚の薄葉紙が積層されて組とされたプライ構造を有する。このティシュペーパー2は、乾燥されたドライタイプのものであり、薬液が含浸されている所謂ウェットタイプのものではない。したがって、ティシュペーパー2により形成される上記の束20は多くの空気を含むものである。なお、ドライタイプのティシュペーパー2においても、保湿剤等が付与されている薬液付与タイプのものがあるが、本発明は特に保湿剤などが塗布されていない非保湿の汎用タイプのティシュペーパー2に適する。
ティシュペーパー2を構成する薄葉紙の原料パルプとしては、NBKPとLBKPとを配合したものである。古紙パルプが配合されていてもよいが、風合いなどの点で、NBKPとLBKPのみから構成されているのがよい。配合割合としては、NBKP:LBKP=20:80〜80:20がよく、特に、NBKP:LBKP=30:70〜60:40がよい。
ティシュペーパー2の各プライを構成する薄葉紙1枚あたりの坪量は10〜25g/m2である。本実施形態のティシュペーパー2において好ましい汎用タイプのものは、11〜16g/m2である。ここでの坪量は、JIS P 8124(1998)の測定方法によるものをいう。また、ティシュペーパー2の紙厚は、2プライの状態で100〜170μm、より好ましくは100〜140μmである。ここでの紙厚は、試験片をJIS P 8111(1998)の条件下で十分に調湿した後、同条件下でダイヤルシックネスゲージ(厚み測定器)「PEACOCK G型」(尾崎製作所製)を用いて2プライの状態で測定した値をいう。なお、衛生薄葉紙がキッチンペーパーやペーパータオルである場合には、坪量は20〜50g/m2であり、紙厚は2プライのもので100〜170μm、1プライのもので80〜150μmである。
ティシュペーパー包装体1の包装形態は、既知の包装種から選択される。例えば、三方閉じ包装、四方閉じ包装、ガゼット包装、ピロー包装が例示できる。最も適する包装形態は、図示のピロー包装である。ピロー包装は、束20の複数のティシュペーパー2の縁が並ぶ重層面21に対面する位置に、フィルムの重ね合わせ部分が熱融着されてなる縁片部30が位置する。このピロー包装は、一般的には、被包装物である束20を樹脂製のフィルムで巻き込むように包み、その巻き込み方向において重畳するフィルムの縁部同士を熱融着加工し、巻き込み方向と直交する方向において束を越えて延出する二箇所の部分も融着加工して閉じて形成される。この二箇所の部分が融着加工してなる縁片部30,30となる。
本実施形態のティシュペーパー包装体1では、束20を包装している包装フィルム3の、特に束20の最上位のティシュペーパーに対面する位置に、内部のティシュペーパー2を取り出すための開口が形成されるようになっている。特に図1に示す形態では、包装フィルム3の束20の最上位のティシュペーパーに対面する位置に内外に連通する開封口50が形成されているとともに、この開封口50が剥離可能なシール材60によって被覆されて開封口50が気密になっている。使用時には、前記シール材60を剥離することで、開封口50が露出し、内部のティシュペーパー2を取り出すための開口が形成される。図示の形態では、シール材60の縁から延出するように包装フィルム3に対して自由な摘み部61が設けられており、シール材60が剥がしやすくなっている。なお、シール材60は、包装フィルム3に対して再接着可能としてもよい。この場合には、開封口50を再度、封止することができる。また、完全に分離されるものであってもよいし、包装フィルム3に一部が剥離不能に接着されていてもよい。
また、特に図5に示す他の実施形態のティシュペーパー包装体1では、包装フィルム3の束20の最上位のティシュペーパーに対面する位置に開封用ミシン目51が形成されており、その開封用ミシン目51が剥離可能なシール材60によって被覆されて気密にされている。シール材60を剥離することで、開封用ミシン目51が露出し、この開封用ミシン目51を裂開することで、内部のティシュペーパー2を取り出すためのスリット状の開口が形成される。包装フィルム3とシール材60とを剥離可能に接着する粘着剤や接着剤は公知のなかから適宜に選択すればよい。
本実施形態では、束20がポップアップ式であるため、開口の形成により束の最上位のティシュペーパーを引き出すと、その直近下方に位置する次のティシュペーパーの一部が開口より露出されるものとなる。但し、本発明においては、必ずしもこのような開口が形成されるようにする必要はない。使用時に包装フィルム3を除去して束20のみ使用してもよい。
包装フィルム3を構成する具体的な柔軟性のある樹脂製のフィルム材は、ポリエチレンフィルム、ポリプロピレンフィルム、ポリエステルフィルム、ポリエチレンテレフタレートフィルム、ナイロンフィルム、塩化ビニリデンフィルム、エチレンビニルアルコール共重合体の単層フィルム、または、それらのフィルムを含む適宜積層されたラミネートフィルムや、それらのフィルムにアルミ蒸着などの表面処理を施したガスバリアフィルムが例示できる。但し、コストの観点からはポリプロピレンフィルム、ポリエチレンフィルムが好適である。フィルム材の厚さは、柔軟性、コスト、気体透過度、包装時における熱融着性を考慮して適宜に選択する。フィルムの気密性は高い方が好ましいが、JIS K 7126(B)(等圧法)に基づく、23℃、65%RHでの酸素透過度が5000cc/m2・day・atm以下あれば十分である。
包装フィルム3に開封口50や開封用ミシン目51を形成した場合に、これらを気密に封止するシール材60についても前記包装フィルム3と同様のフィルム材を用いることができる。但し、シール材については、包装フィルム3ほどの柔軟性や熱融着性は必ずしも必要ではない。
次いで、気体逆止部40の好ましい一つの形態は、特に図3に示す。図3中Aは、ティシュペーパー包装体1の気体逆止部40近傍の拡大図である。この気体逆止部40は、ピロー包装において形成される、束20の複数のティシュペーパーの縁が並ぶ重層面21に対面する位置にある縁片部30に形成されている。この気体逆止部40は、包装フィルム3の重ね合わせ部分を熱融着加工してなる前記縁片部30において、包装内外に連通する熱融着していない導通部分4となっている。この導通部分4は、ティシュペーパー包装体1を圧縮しようとする外圧が加わりティシュペーパー包装体1内の内圧が高まった際に、気体Gが包装外へ出ようとする作用によって重ね合わさっているフィルム間が開いて排気がされる。その一方で、ティシュペーパー包装体1に外圧が加わっていない大気圧環境下における通常状態では、重ね合わさっている包装フィルム同士が密着した状態を維持し、包装外から包装内への気体の流入がされないようになっている。導通部分4における包装フィルム3同士が密着した状態の維持は、縁片部30及び包装フィルム3自身が有する通常の剛性や包装フィルム3の有するスリップ性による。また、図示の形態では、特に導通部分4が、略S字状にカーブする部分を有するように蛇行して形成され、縁片部30に種々の方向からの外力によって変形が生じても逆止効果が維持されるようになっている。但し、導通部分4の形状は、この略S字状に限定されない。導通部分4の形状、幅、長さはフィルムの柔軟性や排気の程度を考慮して適宜に定めればよい。
よって、図4に示すように、ティシュペーパー包装体1を圧縮しようとする外圧が加わりティシュペーパー包装体1内の内圧が高まった際に、縁片部30の気体逆止部40より気体Gが包装外へ排気されることで圧縮され、方向Yの厚みTが小さくなり、シール材60を剥離することで包装内へ気体Gが入り、方向Yの厚みTが大きくなり、復元する。
ピロー包装等における熱融着加工による縁片部30に気体逆止部40を形成するには、例えば、ピロー包装等における熱融着加工時に用いるシール鏝のフィルムに接する部分に、導通部分4に対応する形状の溝部分を形成しておけば、熱融着加工による包装の封止を行うとともに同時に簡易に形成することができる。但し、気体逆止部40の形成方法は包装方法によることができる。フィルム材が袋状に成形されているガゼット包装などの包装形態の場合は、予め気体逆止部が形成されたフィルム材を用いてもよい。
気体逆止部40の他の形態は、図6に示す。図6に示す形態は、内部に逆止弁(図示しない)が組み込まれた筒型の導通部材4’をピロー包装の縁片部30に設けて気体逆止部40を構成したものである。導通部材4’は、熱融着されている包装フィルムの重ね合わせ部分間に挿通されており、熱融着加工によって縁片部30と一体化されている。導通部材4’は、内部の逆止弁によって、包装内にある気体を包装内から包装外へ排気可能であり、かつ、包装外から包装内への気体の流入を止めるようになっている。逆止弁は公知の構造が採用できる。
図3及び図5に示す実施形態のように、気体逆止部40は、複数のティシュペーパーの縁が並ぶ重層面に対面する位置にあるのが望ましい。束20のティシュペーパー積み重ね方向Yの厚みTを小さくするようにして嵩を圧縮する場合、束20内に含まれる気体は、ティシュペーパー2の積層間、つまり重層面21から排出されやすいため、気体逆止部40が複数のティシュペーパーの縁が並ぶ重層面21に対面する位置にあると、包装外への排気が効果的に行われる。また、好適なピロー包装等の熱融着加工による縁片部を形成する態様においては、上記のとおりシール鏝を加工・変更するだけで簡易に製造することができる利点もある。
本発明に係るティシュペーパー包装体1の好適な圧縮状態は、圧縮前の束20の積み重ね方向Yの厚みT(高さ)を50〜90%に圧縮した状態である。この程度であれば、開封後に直ちに(30秒程度)で元の高さに復元する。つまり本発明に係るティシュペーパー包装体1は、開封後30秒の束20の積み重ね方向Yの厚みTに対して、50〜90%に圧縮された厚みにあるのが望ましい。なお、本発明に係るティシュペーパー包装体1の圧縮状態は、圧縮後の嵩が圧縮前の35%以下となるような所謂真空パックのような過度の圧縮状態とはしない。このような過度の圧縮を行うと開封しても復元に過度の時間を要することになる。また、輸送に適した束の形状、例えば直方体形状を維持したままの圧縮状態とすることが難しい。
本実施形態に係るティシュペーパー包装体1では、圧縮前の束20の積み重ね方向Yの厚みT(高さ)を50〜90%に圧縮するのであれば、製造時に工程として圧縮操作を行わなくとも、コンベア搬送過程やケーサー等によって仕分けや箱詰め作業を行う過程における、包装体への外力によって包装内の空気が排気されて容易に達成される。本実施形態のティシュペーパー包装体では、真空ポンプ等を用いて包装体内の気体を外部に排出することなく、これまでの製造工程と変わらない取り扱いを行うだけも束20の積み重ね方向Yの厚さT(高さ)を50〜90%に圧縮することができる。
なお、図示の実施の形態では、気体逆止部は、一箇所のみに設けた形態であるが、ティシュペーパー包装体1は、複数の気体逆止部を有していてもよい。
1…ティシュペーパー包装体、2…ティシュペーパー、3…包装フィルム、4…導通部分、4’…導通部材、40…気体逆止部、30…縁片部、50…開封口、51…開封用ミシン目、60…シール材、61…摘み部、Y…ティシュペーパー積み重ね方向、T…ティシュペーパー包装体の厚み、20…ティシュペーパーの束、21…ティシュペーパー束の重層面、G…気体。
本発明は、複数枚の家庭用薄葉紙からなる束が柔軟なフィルムによって包装されている家庭用薄葉紙包装体に関する。
複数枚の家庭用薄葉紙の束が収納容器に収納されている家庭用薄葉紙製品はよく知られる。このような家庭用薄葉紙の代表例はティシュペーパーであり、複数枚のティシュペーパーの束が収納容器に収納されているティシュペーパー製品の中には、汎用タイプ、汎用品などと称される、特に低価格であることが重視される商品カテゴリーがある。
このようなティシュペーパー製品では、より安価にすべく原紙の低坪量化や、一枚のシート寸法を縮小化するなど、使用感を維持しつつ原料費を減らすことが行われてきた。
また、ティシュペーパー製品の多くは、収納容器がコートボール紙など比較的剛性のある紙製収納箱とされているが、汎用タイプのティシュペーパー製品の中には、このような収納容器に係る資材費をより削減した、安価な樹脂製のフィルムによって束を包装したものがあり、その市場が拡大しつつある。
他方で、ティシュペーパー製品の価格に影響するコストのなかには、上記の原料費や資材費に加えて主要なものに輸送費がある。
ティシュペーパーは、繊維間に空気を多く含む細孔状構造であり、ティシュペーパーのシート寸法を縮小化したり、フィルム包装に変更しただけでは、ティシュペーパーの束自体の嵩がさほど小さくならない。このためティシュペーパー製品は、一回に輸送できる輸送数を多くすることが難しく、コストに対する輸送効率が悪い。
ここで、ティシュペーパー製品の中でも上記の束を樹脂製のフィルムで包装したティシュペーパー包装体の形態を採るものにおいては、束に対してフィルムを密着させるようにしてタイトに包装することで、束の嵩をある程度低下させることができるものの、ティシュペーパーの束は柔らかく、また、樹脂製の包装フィルムからティシュペーパーを取り出すためのミシン目開封部分から空気が入ることなどにより、束の形状を維持したまま包装することが難しい。そして、特に、このような汎用タイプのティシュペーパー包装体では、3個や5個を積み重ねて纏め、多パック化して市販することが一般的であり、このような束形状の崩れは、製造時に束パック化することを困難とするとともに、店舗で市販する際の陳列にも難が出てしまう。
特許第5478092号公報
特許第4436925号公報
特開2015−189491号公報
そこで、本発明の主たる課題は、輸送時や陳列時の間など、未開封時における嵩を輸送しやすい形状で低下でき、輸送や陳列のためのコストを低減でき、そのうえで使用時には通常の嵩に戻して使用することができる、家庭用薄葉紙包装体を提供することにある。
上記課題を解決するための手段及びそれらの作用効果は次記のとおりである。
〔参考発明〕
複数枚の家庭用薄葉紙を折り畳み重ねてなる束が、柔軟性のある包装フィルムによって包装されている家庭用薄葉紙包装体であって、
包装内にある気体を包装内から包装外へ排気可能であるとともに、包装外から包装内へ気体が流入しない気体逆止部を有し、この気体逆止部以外の部分が未開封時において気密となっており、
前記未開封時において前記気体逆止部から包装内にある気体を包装内から包装外へ排気可能であるとともに、包装体が圧縮された状態にあり、かつ、開封時において包装体の圧縮が復元される、ことを特徴とする家庭用薄葉紙包装体。
〔請求項1記載の発明〕
複数枚の家庭用薄葉紙を折り畳み重ねてなる束が、柔軟性のある包装フィルムによって包装されている家庭用薄葉紙包装体であって、
包装内にある気体を包装内から包装外へ排気可能であるとともに、包装外から包装内へ気体が流入しない気体逆止部を有し、この気体逆止部以外の部分が未開封時において気密となっており、
前記未開封時において前記気体逆止部から包装内にある気体を包装内から包装外へ排気可能であるとともに、包装体が圧縮された状態にあり、かつ、開封時において包装体の圧縮が復元され、
前記包装体の圧縮状態における束の厚みが開封後30秒経過した包装体の復元後の束の厚みの50〜90%である、ことを特徴とする家庭用薄葉紙包装体。
〔請求項2記載の発明〕
複数枚の家庭用薄葉紙を折り畳み重ねてなる束が、柔軟性のある包装フィルムによって包装されている家庭用薄葉紙包装体であって、
包装内にある気体を包装内から包装外へ排気可能であるとともに、包装外から包装内へ気体が流入しない気体逆止部を有し、この気体逆止部以外の部分が未開封時において気密となっており、
前記気体逆止部が、包装フィルムの重ね合わせ部分を熱融着加工してなる縁片部に形成された、包装内外に連通する熱融着していない導通部分であり、この導通部分は、重ね合わさっている包装フィルム間が開くことで排気がなされ、重ね合わさっている包装フィルム同士が密着した状態が維持されることで包装外から包装内への気体の流入がされないようにするものであり、
前記未開封時において前記気体逆止部から包装内にある気体を包装内から包装外へ排気可能であるとともに、包装体が圧縮された状態にあり、かつ、開封時において包装体の圧縮が復元される、
ことを特徴とする家庭用薄葉紙包装体。
〔請求項3記載の発明〕
気体逆止部が、複数の家庭用薄葉紙の縁が並ぶ重層面に対面する位置にある、請求項1又は2記載の家庭用薄葉紙包装体。
〔請求項4記載の発明〕
気体逆止部が、包装フィルムの重ね合わせ部分を熱融着加工してなる縁片部に形成された、包装内外に連通する熱融着していない導通部分であり、この導通部分は、重ね合わさっている包装フィルム間が開くことで排気がなされ、重ね合わさっている包装フィルム同士が密着した状態が維持されることで包装外から包装内への気体の流入がされないようにするものである、請求項1記載の家庭用薄葉紙包装体
〔請求項5記載の発明〕
包装フィルムは、束の最上位又は最底位の家庭用薄葉紙に対面する位置に、開封口又は開封用のミシン目が形成され、その開封口又は開封用ミシン目が、剥離可能なシール材によって被覆されて気密にされている、請求項1〜4の何れか1項に記載の家庭用薄葉紙包装体。
本発明によれば、輸送時や陳列時の間など、未開封時における嵩を輸送しやすい形状で低下でき、輸送や陳列のためのコストを低減でき、そのうえで使用時には通常の嵩に戻して使用することができる、家庭用薄葉紙包装体が提供される。
本発明の実施形態のティシュペーパー包装体の斜視図である。
本発明の実施形態のティシュペーパー包装体の束について説明するための斜視図である。
本発明の実施形態のティシュペーパー包装体の気体逆止部を説明するための図である。
本発明の実施形態のティシュペーパー包装体の圧縮と開封による戻りを説明するための図である。
本発明の他の実施形態のティシュペーパー包装体の斜視図である。
本発明の別の実施形態のティシュペーパー包装体の斜視図である。
以下、本発明の実施形態を図1〜図6を参照しながら説明する。以下に図面を参照しながら説明する実施形態は、特に好適な形態である家庭用薄葉紙がティシュペーパーである例について説明する。ただし、本発明における家庭用薄葉紙は、ティシュペーパーに限らず、いわゆるキッチンペーパーやペーパータオルであってもよい。
本実施形態に係るティシュペーパー包装体1は、複数枚のティシュペーパー2を折り畳み重ねてなる柔らかで変形可能なティシュペーパー2の束20が、柔軟性のある包装フィルム3によって包装されているものである。そして、特に内外に通ずる導通部分4又は導通部材4’を有しており、それ以外の部分が気密となっている。この導通部分4等は包装内にある気体Gを包装内から包装外へ排気可能であり、かつ、包装外から包装内への気体の流入を止める逆止構造を有する気体逆止部40となっている。
したがって、この実施形態に係るティシュペーパー包装体1は、特に図4に示すように、包装フィルム外からティシュペーパー2の束20にある程度の外力を加えると、包装フィルム内の内圧が高まり気体逆止部40から包装内の気体Gが排気されるとともに束が圧縮され、その外力を加えることを止めると気体逆止部40からの気体Gの再流入が行われずに束20が圧縮されて嵩が低くなった状態が維持される。特に圧縮の際に束20のティシュペーパー積み重ね方向(図中Y方向)の厚みTを薄くするように圧縮操作を行えば、束20の圧縮前の形状を概ね維持したまま、その厚みTのみを薄くすることができる。そして、包装フィルム3を開封するなどして、包装内と包装外との気密性が失われると、ティシュペーパー2の束20が有する復元力によって、束20の嵩が圧縮前の状態に戻る。
実施形態のティシュペーパー2の束20は、方形のティシュペーパー2が二つ折りされ、その折り返し片の縁が上下に隣接するティシュペーパーの折り返し内面に位置するようにして、互い違いに重なり合いつつ積層されたものであり、最上位に位置する一枚の折り返し片を上方に引き上げると、その直下で隣接する他の一枚の折り返し片が、上方に引きずられて持ち上げられる所謂ポップアップ式の束20となっている。このような束20は、マルチスタンド式、ロータリ式の既知のインターフォルダにより製造することができる。但し、本発明の束20は、このようなポップアップ式の束20に限定されず、二つ折りに畳んだ方形のティシュペーパーを単に積み重ねたものであってもよい。これらの束20は、その形状が概ね直方体形状となる。このような直方体形状の束20では、圧縮の際に束20を積み重ね方向Yの厚みTを薄くするように圧縮操作を行うと、束20の概ね直方体形状が維持されたまま、その厚みTのみが薄くなるため、搬送、陳列に適する形状のまま包装体1の嵩を低減することができる。
束20を構成するティシュペーパー2の枚数は限定されるものではないが、ティシュペーパー製品では、一般的には2プライ(2枚重ね)を1組として120〜240組であり、本実施形態のティシュペーパー包装体1でも同様に120〜240組とすることができる。
ティシュペーパー2の束20を構成する個々のティシュペーパー2は、クレープを有する2枚〜3枚の薄葉紙が積層されて組とされたプライ構造を有する。このティシュペーパー2は、乾燥されたドライタイプのものであり、薬液が含浸されている所謂ウェットタイプのものではない。したがって、ティシュペーパー2により形成される上記の束20は多くの空気を含むものである。なお、ドライタイプのティシュペーパー2においても、保湿剤等が付与されている薬液付与タイプのものがあるが、本発明は特に保湿剤などが塗布されていない非保湿の汎用タイプのティシュペーパー2に適する。
ティシュペーパー2を構成する薄葉紙の原料パルプとしては、NBKPとLBKPとを配合したものである。古紙パルプが配合されていてもよいが、風合いなどの点で、NBKPとLBKPのみから構成されているのがよい。配合割合としては、NBKP:LBKP=20:80〜80:20がよく、特に、NBKP:LBKP=30:70〜60:40がよい。
ティシュペーパー2の各プライを構成する薄葉紙1枚あたりの坪量は10〜25g/m2である。本実施形態のティシュペーパー2において好ましい汎用タイプのものは、11〜16g/m2である。ここでの坪量は、JIS P 8124(1998)の測定方法によるものをいう。また、ティシュペーパー2の紙厚は、2プライの状態で100〜170μm、より好ましくは100〜140μmである。ここでの紙厚は、試験片をJIS P 8111(1998)の条件下で十分に調湿した後、同条件下でダイヤルシックネスゲージ(厚み測定器)「PEACOCK G型」(尾崎製作所製)を用いて2プライの状態で測定した値をいう。なお、衛生薄葉紙がキッチンペーパーやペーパータオルである場合には、坪量は20〜50g/m2であり、紙厚は2プライのもので100〜170μm、1プライのもので80〜150μmである。
ティシュペーパー包装体1の包装形態は、既知の包装種から選択される。例えば、三方閉じ包装、四方閉じ包装、ガゼット包装、ピロー包装が例示できる。最も適する包装形態は、図示のピロー包装である。ピロー包装は、束20の複数のティシュペーパー2の縁が並ぶ重層面21に対面する位置に、フィルムの重ね合わせ部分が熱融着されてなる縁片部30が位置する。このピロー包装は、一般的には、被包装物である束20を樹脂製のフィルムで巻き込むように包み、その巻き込み方向において重畳するフィルムの縁部同士を熱融着加工し、巻き込み方向と直交する方向において束を越えて延出する二箇所の部分も融着加工して閉じて形成される。この二箇所の部分が融着加工してなる縁片部30,30となる。
本実施形態のティシュペーパー包装体1では、束20を包装している包装フィルム3の、特に束20の最上位のティシュペーパーに対面する位置に、内部のティシュペーパー2を取り出すための開口が形成されるようになっている。特に図1に示す形態では、包装フィルム3の束20の最上位のティシュペーパーに対面する位置に内外に連通する開封口50が形成されているとともに、この開封口50が剥離可能なシール材60によって被覆されて開封口50が気密になっている。使用時には、前記シール材60を剥離することで、開封口50が露出し、内部のティシュペーパー2を取り出すための開口が形成される。図示の形態では、シール材60の縁から延出するように包装フィルム3に対して自由な摘み部61が設けられており、シール材60が剥がしやすくなっている。なお、シール材60は、包装フィルム3に対して再接着可能としてもよい。この場合には、開封口50を再度、封止することができる。また、完全に分離されるものであってもよいし、包装フィルム3に一部が剥離不能に接着されていてもよい。
また、特に図5に示す他の実施形態のティシュペーパー包装体1では、包装フィルム3の束20の最上位のティシュペーパーに対面する位置に開封用ミシン目51が形成されており、その開封用ミシン目51が剥離可能なシール材60によって被覆されて気密にされている。シール材60を剥離することで、開封用ミシン目51が露出し、この開封用ミシン目51を裂開することで、内部のティシュペーパー2を取り出すためのスリット状の開口が形成される。包装フィルム3とシール材60とを剥離可能に接着する粘着剤や接着剤は公知のなかから適宜に選択すればよい。
本実施形態では、束20がポップアップ式であるため、開口の形成により束の最上位のティシュペーパーを引き出すと、その直近下方に位置する次のティシュペーパーの一部が開口より露出されるものとなる。但し、本発明においては、必ずしもこのような開口が形成されるようにする必要はない。使用時に包装フィルム3を除去して束20のみ使用してもよい。
包装フィルム3を構成する具体的な柔軟性のある樹脂製のフィルム材は、ポリエチレンフィルム、ポリプロピレンフィルム、ポリエステルフィルム、ポリエチレンテレフタレートフィルム、ナイロンフィルム、塩化ビニリデンフィルム、エチレンビニルアルコール共重合体の単層フィルム、または、それらのフィルムを含む適宜積層されたラミネートフィルムや、それらのフィルムにアルミ蒸着などの表面処理を施したガスバリアフィルムが例示できる。但し、コストの観点からはポリプロピレンフィルム、ポリエチレンフィルムが好適である。フィルム材の厚さは、柔軟性、コスト、気体透過度、包装時における熱融着性を考慮して適宜に選択する。フィルムの気密性は高い方が好ましいが、JIS K 7126(B)(等圧法)に基づく、23℃、65%RHでの酸素透過度が5000cc/m2・day・atm以下あれば十分である。
包装フィルム3に開封口50や開封用ミシン目51を形成した場合に、これらを気密に封止するシール材60についても前記包装フィルム3と同様のフィルム材を用いることができる。但し、シール材については、包装フィルム3ほどの柔軟性や熱融着性は必ずしも必要ではない。
次いで、気体逆止部40の好ましい一つの形態は、特に図3に示す。図3中Aは、ティシュペーパー包装体1の気体逆止部40近傍の拡大図である。この気体逆止部40は、ピロー包装において形成される、束20の複数のティシュペーパーの縁が並ぶ重層面21に対面する位置にある縁片部30に形成されている。この気体逆止部40は、包装フィルム3の重ね合わせ部分を熱融着加工してなる前記縁片部30において、包装内外に連通する熱融着していない導通部分4となっている。この導通部分4は、ティシュペーパー包装体1を圧縮しようとする外圧が加わりティシュペーパー包装体1内の内圧が高まった際に、気体Gが包装外へ出ようとする作用によって重ね合わさっているフィルム間が開いて排気がされる。その一方で、ティシュペーパー包装体1に外圧が加わっていない大気圧環境下における通常状態では、重ね合わさっている包装フィルム同士が密着した状態を維持し、包装外から包装内への気体の流入がされないようになっている。導通部分4における包装フィルム3同士が密着した状態の維持は、縁片部30及び包装フィルム3自身が有する通常の剛性や包装フィルム3の有するスリップ性による。また、図示の形態では、特に導通部分4が、略S字状にカーブする部分を有するように蛇行して形成され、縁片部30に種々の方向からの外力によって変形が生じても逆止効果が維持されるようになっている。但し、導通部分4の形状は、この略S字状に限定されない。導通部分4の形状、幅、長さはフィルムの柔軟性や排気の程度を考慮して適宜に定めればよい。
よって、図4に示すように、ティシュペーパー包装体1を圧縮しようとする外圧が加わりティシュペーパー包装体1内の内圧が高まった際に、縁片部30の気体逆止部40より気体Gが包装外へ排気されることで圧縮され、方向Yの厚みTが小さくなり、シール材60を剥離することで包装内へ気体Gが入り、方向Yの厚みTが大きくなり、復元する。
ピロー包装等における熱融着加工による縁片部30に気体逆止部40を形成するには、例えば、ピロー包装等における熱融着加工時に用いるシール鏝のフィルムに接する部分に、導通部分4に対応する形状の溝部分を形成しておけば、熱融着加工による包装の封止を行うとともに同時に簡易に形成することができる。但し、気体逆止部40の形成方法は包装方法によることができる。フィルム材が袋状に成形されているガゼット包装などの包装形態の場合は、予め気体逆止部が形成されたフィルム材を用いてもよい。
気体逆止部40の他の形態は、図6に示す。図6に示す形態は、内部に逆止弁(図示しない)が組み込まれた筒型の導通部材4’をピロー包装の縁片部30に設けて気体逆止部40を構成したものである。導通部材4’は、熱融着されている包装フィルムの重ね合わせ部分間に挿通されており、熱融着加工によって縁片部30と一体化されている。導通部材4’は、内部の逆止弁によって、包装内にある気体を包装内から包装外へ排気可能であり、かつ、包装外から包装内への気体の流入を止めるようになっている。逆止弁は公知の構造が採用できる。
図3及び図5に示す実施形態のように、気体逆止部40は、複数のティシュペーパーの縁が並ぶ重層面に対面する位置にあるのが望ましい。束20のティシュペーパー積み重ね方向Yの厚みTを小さくするようにして嵩を圧縮する場合、束20内に含まれる気体は、ティシュペーパー2の積層間、つまり重層面21から排出されやすいため、気体逆止部40が複数のティシュペーパーの縁が並ぶ重層面21に対面する位置にあると、包装外への排気が効果的に行われる。また、好適なピロー包装等の熱融着加工による縁片部を形成する態様においては、上記のとおりシール鏝を加工・変更するだけで簡易に製造することができる利点もある。
本発明に係るティシュペーパー包装体1の好適な圧縮状態は、圧縮前の束20の積み重ね方向Yの厚みT(高さ)を50〜90%に圧縮した状態である。この程度であれば、開封後に直ちに(30秒程度)で元の高さに復元する。つまり本発明に係るティシュペーパー包装体1は、開封後30秒の束20の積み重ね方向Yの厚みTに対して、50〜90%に圧縮された厚みにあるのが望ましい。なお、本発明に係るティシュペーパー包装体1の圧縮状態は、圧縮後の嵩が圧縮前の35%以下となるような所謂真空パックのような過度の圧縮状態とはしない。このような過度の圧縮を行うと開封しても復元に過度の時間を要することになる。また、輸送に適した束の形状、例えば直方体形状を維持したままの圧縮状態とすることが難しい。
本実施形態に係るティシュペーパー包装体1では、圧縮前の束20の積み重ね方向Yの厚みT(高さ)を50〜90%に圧縮するのであれば、製造時に工程として圧縮操作を行わなくとも、コンベア搬送過程やケーサー等によって仕分けや箱詰め作業を行う過程における、包装体への外力によって包装内の空気が排気されて容易に達成される。本実施形態のティシュペーパー包装体では、真空ポンプ等を用いて包装体内の気体を外部に排出することなく、これまでの製造工程と変わらない取り扱いを行うだけも束20の積み重ね方向Yの厚さT(高さ)を50〜90%に圧縮することができる。
なお、図示の実施の形態では、気体逆止部は、一箇所のみに設けた形態であるが、ティシュペーパー包装体1は、複数の気体逆止部を有していてもよい。
1…ティシュペーパー包装体、2…ティシュペーパー、3…包装フィルム、4…導通部分、4’…導通部材、40…気体逆止部、30…縁片部、50…開封口、51…開封用ミシン目、60…シール材、61…摘み部、Y…ティシュペーパー積み重ね方向、T…ティシュペーパー包装体の厚み、20…ティシュペーパーの束、21…ティシュペーパー束の重層面、G…気体。