JP2017178162A - 乗物用座席 - Google Patents
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・背当リクライニングの途中で、着座者の胴部と大腿部の回転中心であるヒップポイントが上又は下に動いて、違和感を感じたり座り心地が変化したりすることがあった。
・背当リクライニングと座チルトにより、前記開き角の増加を緩和することはできても、リクライニングする背当によって上半身に着た衣服(シャツやワンピースの上部)が上へ引っ張られることがあった。
・背当リクライニングと座チルトと座背当スライドとを兼ね備えるために、複数のアクチュエータを必要とするものがあった。
本発明のさらなる目的は、リクライニングする背当によって上半身に着た衣服(シャツやワンピース上部)が上へ引っ張られないようにすることにある。
本発明のさらなる目的は、背当リクライニングと座チルトと座背当スライドとを一つのアクチュエータで実現することにある。
背当の背当枠に前方へ延びる背当アームが設けられ、
背当アームの前端部が側枠に対してリクライニング中心軸(A)により背当リクライニングのために回動可能に軸着されており、
リクライニング中心軸(A)は、側面視で、背当のアップライト時におけるヒップポイントを中心とする半径30mmの円内範囲に配されており、
背当枠の下端部に設けられた背当枠下端軸(F)を前方へ引くことにより背当リクライニングさせることを特徴とする。
ここで、背当のアップライト時におけるヒップポイントとは、JIS D0024−1985「自動車におけるH点の決め方」に準拠して3次元マネキンを座席に着座させて測定される胴部と大腿部の回転中心点をいう。これは、3次元マネキンの両側にある照準点間の中央に位置する。
本発明により、背当リクライニングの途中で着座者のヒップポイントが上又は下にほとんど動かないようになる。
リクライニング中心軸(A)は、側面視で、背当のアップライト時におけるヒップポイントに配されていることが最も好ましいが、同ヒップポイントを中心とする半径30mm(より好ましくは20mm)の円内範囲に配されていれば、同ヒップポイントに配されている場合とほぼ同様に作用が得られる。
背当アームと座枠とを連結するチルト用連結レバーが設けられ、チルト用連結レバーの上端部は、背当アームの前後方向中間部に対して中間軸(D)により回動可能に軸着され、チルト用連結レバーの下端部は、座枠の後端部に対して座枠後端軸(E)により回動可能に軸着されており、
もって背当リクライニングに座チルトが連動することが好ましい。
背当アームは後部ほど大きく下降するので、背当アームの前後方向中間部の中間軸(D)に連結されたチルト用連結レバーは、座枠後端軸(E)を背当枠下端軸(F)の下降量よりも小さく下降させる(座チルト)。よって、背当のリクライニング角度(アップライト時に対する変化量)が大きくなるほど、側面視で、背当枠下端軸(F)と座枠後端軸(E)との距離が接近する。
基台に回動可能に軸着された回動軸(R)と、回動軸(R)に止着されて下方へ突出し、アクチュエータの前進後退するロッドに対して結合された入力アームと、回動軸(R)に止着されて上方へ突出し、第1長孔を備えたリクライニング用出力アームと、回動軸(R)に止着されて上方へ突出し、第2長孔を備えたスライド用出力アームとからなる入出力アームアセンブリが設けられ、
リクライニング用出力アームと背当アームとを連結するリクライニング用連結レバーが設けられ、
リクライニング用連結レバーの前端部のリクライニング伝力軸(B)は、リクライニング用出力アームの第1長孔にスライド可能かつ回動可能に係入しており、リクライニング用連結レバーの後端部は背当枠下端軸(F)により回動可能に軸着されており、
座背当スライドのために、支持枠に設けられたスライド伝力軸(G)が、スライド用出力アームの第2長孔に摺動可能かつ回動可能に係入しており、
もって背当リクライニング及び座チルトに座背当スライドが連動することが好ましい。
アクチュエータは、入力アームに作用して、入出力アームアセンブリを回動させる。
スライド用出力アームは、スライド伝力軸(G)によりスライド用連結部を介して支持枠を前進させ、前進する支持枠は、支持部のチルト中心軸(C)により座枠を前進させるとともに、側枠のリクライニング中心軸(A)により背当アームを介して背当枠を前進させる(座背当スライド)。
リクライニング用出力アームは、リクライニング伝力軸(B)及びリクライニング用連結レバーを介して背当枠下端軸(F)を前進させる。この背当枠下端軸(F)の前進により、背当枠はリクライニング中心軸(A)を中心にしてリクライニングし、これに前記のとおり座チルトが連動する。
さらに、請求項2〜5に係る発明によれば、リクライニングする背当によって上半身に着た衣服(シャツやワンピース上部)が上へ引っ張られないようにすることができる。
さらに、請求項6〜12に係る発明によれば、背当リクライニングと座チルトと座背当スライドとを一つのアクチュエータで実現することができる。
・チルト中心軸(C)の前後位置は、リクライニング中心軸(A)の前後位置に対して前へ20mmから100mm(より好ましくは40mmから80mm)の範囲に配されていることが好ましい。
・中間軸(D)は、リクライニング中心軸(A)と背当枠下端軸(F)との距離を三等分した中央部分の範囲にあることが好ましい。
・背当のリクライニング角度が大きくなるほど、側面視で、背当枠下端軸(F)と座枠後端軸(E)との距離が接近することが好ましい。
・リクライニング中心軸(A)とチルト中心軸(C)とスライド伝力軸(G)は、側面視で、座背当スライドにより支持枠と共に前後に動くが、上下には動かないことが好ましい。
・リクライニング伝力軸(B)の前後位置は、アップライト時に側面視で、リクライニング中心軸(A)の前後位置に対して前へ20mmから後ろへ20mmの範囲に配されていることが好ましい。
・リクライニング伝力軸(B)と背当枠下端軸(F)との距離は、リクライニング中心軸(A)と背当枠下端軸(F)との距離に対して10mm短い距離から40mm長い距離の範囲であることが好ましい。
・側面視で、入力軸(T)と回動軸(R)との距離よりも、リクライニング伝力軸(B)と回動軸(R)との距離の方が長いことが好ましい。
・背当枠16は、正面視で略四角形状の枠であり、その左右辺の下端部から前方へ、側面視で、背当15のアップライト時におけるヒップポイントHP(定義は前述のとおり)をやや超えて延びる一対の背当アーム17を備えている。背当アーム17の前端部は、支持枠6の各側枠10に対して、側面視で、同ヒップポイントHPに位置するリクライニング中心軸Aにより(背当リクライニングのために)回動可能に軸着されている。また、背当アーム17の後部に設けられた側方へ突出するピン18が、支持枠6の各側枠10にリクライニング中心軸Aを中心とする円弧状に形成されたスリット19に係入しており、背当リクライニング時にスリット19内を移動するようになっている。
・背当面部材20は、その前面が背当面(着座者の背が当たる面)を形成するものであり、可撓性を持たせるために、表面シート、クッション、バネ、緊張膜等の1つ又は2以上を用いて構成される。
・座枠23は、平面視で四角形状の枠であり、その左右辺の各前後方向中間部が支持枠6の各支持部12に対して(座チルトのために)チルト中心軸Cにより回動可能に軸着されている。
・座面部材24は、その上面が座面(着座者の尻が当たる面)を形成するものであり、可撓性を持たせるために、表面シート、クッション、バネ、緊張膜等の1つ又は2以上を用いて構成される。
・回動軸Rは、基台1の台枠3の下方で左右方向に延びており、台枠3の前下部に対して回動可能に軸着されている。
・入力アーム32は、回動軸Rの中央部に止着されて下方へ突出したものであり、アクチュエータ26のロッド28の先端部に対して入力軸Tにより回動可能に軸着されている。
・リクライニング用出力アーム33は、回動軸Rの左右端部に止着されて上方へ突出した一対のものである。各リクライニング用出力アーム33には上下方向に延びる第1長孔34が形成されている。第1長孔34とリクライニング用連結レバー37との関係については後述する。
・スライド用出力アーム35は、回動軸Rの中央部と左右端部との間に止着されて上方へ突出した一対のものである。各スライド用出力アーム35には上下方向に延びる第2長孔36が形成されている。支持枠6の各スライド用連結部11に設けられたスライド伝力軸Gは、各第2長孔36に摺動可能かつ回動可能に係入している。
リクライニング中心軸Aは、前述のとおり側面視で、背当のアップライト時におけるヒップポイントHPに配されているが、同ヒップポイントHPの近傍、具体的には同ヒップポイントHPを中心とする半径30mmの円内範囲(図3にその円Hを太線で示す)に配されていてもよい。
リクライニング伝力軸Bの前後位置は、アップライト時に側面視で、リクライニング中心軸Aの前後位置に近いこと、具体的にはリクライニング中心軸Aの前後位置に対して前へ20mmから後ろへ20mmの範囲に配されることが好ましい(図示例では前へ6mmの位置である)。
リクライニング伝力軸Bと背当枠下端軸Fとの距離は、リクライニング中心軸Aと背当枠下端軸Fとの距離に近いこと、具体的にはリクライニング中心軸Aと背当枠下端軸Fとの距離に対して10mm短い距離から40mm長い距離の範囲であることが好ましい(図示例では16mm長い)。背当枠下端軸Fが低くなりすぎないようにして、リクライニング角度(アップライト時に対する変化量)を大きくとることができるからである。
中間軸Dは、背当アーム17の前後方向中間部(リクライニング中心軸Aと背当枠下端軸Fとの距離を三等分した中央部分の範囲にある。後述するように、座枠後端軸Eを背当枠下端軸Fの下降量よりも小さく下降させる際、その割合が適切になるからである。
側面視で、リクライニング伝力軸Bと回動軸Rとの距離は、入力軸Tと回動軸Rとの距離よりも長い。
側面視で、リクライニング伝力軸Bと回動軸Rとの距離は、スライド伝力軸Gと回動軸Rとの距離よりも長い。
支軸Sと回動軸Rは、常に前後にも上下にも動かない。
リクライニング中心軸Aと、チルト中心軸Cと、スライド伝力軸Gは、支持枠6と共に前後に動くが、上下には動かない。
リクライニング伝力軸Bは、スライド伝力軸Gよりも大きく前後に動くが、上下には動かない。
・図3は、背当が最も起きて(アップライト:リクライニング角度は0度)、座チルトも座背当スライドもしない状態の乗物用座席を示している。このとき、アクチュエータ26のロッド28は最も前進(本体27から最も繰出)している。
・図4は、中間的に背当リクライニング(中間位置:リクライニング角度は例えば12度)し、中間的に座チルトし、中間的に座背当スライドした状態の乗物用座席を示している。このとき、アクチュエータ26のロッド28は前進後退の中間位置にある。
・図5は、最大に背当リクライニング(フルリクライニング:リクライニング角度は例えば25度)し、最大に座チルトし、最大に座背当スライドした状態の乗物用座席を示している。このとき、アクチュエータ26のロッド28は最も後退(本体27に最も退入)する。
これら図3→図4→図5の変化に示されているように、アクチュエータ26を作動させてロッド28を後退させていくと、入力アーム32が後ろへ、リクライニング用出力アーム33及びスライド用出力アーム35が前へ、回動軸Rとともに回動する。
2 脚
3 台枠
4 レール
6 支持枠
7 スライダ
8 柱
9 下枠
10 側枠
11 スライド用連結部
12 支持部
15 背当
16 背当枠
17 背当アーム
18 ピン
19 スリット
20 背当面部材
22 座
23 座枠
24 座面部材
26 アクチュエータ
27 本体
28 ロッド
30 連動機構
31 入出力アームアセンブリ
32 入力アーム
33 リクライニング用出力アーム
34 第1長孔
35 スライド用出力アーム
36 第2長孔
37 リクライニング用連結レバー
38 チルト用連結レバー
A リクライニング中心軸
B リクライニング伝力軸
C チルト中心軸
D 中間軸
E 座枠後端軸
F 背当枠下端軸
G スライド伝力軸
H 円
HP ヒップポイント
R 回動軸
S 支軸
T 入力軸
Claims (12)
- 座の座枠よりも側方に、座枠に対して前後に動かない側枠が配され、
背当の背当枠に前方へ延びる背当アームが設けられ、
背当アームの前端部が側枠に対してリクライニング中心軸(A)により背当リクライニングのために回動可能に軸着されており、
リクライニング中心軸(A)は、側面視で、背当のアップライト時におけるヒップポイントを中心とする半径30mmの円内範囲に配されており、
背当枠の下端部に設けられた背当枠下端軸(F)を前方へ引くことにより背当リクライニングさせることを特徴とする乗物用座席。 - 側枠に対して座枠の前後方向中間部が座チルトのためにチルト中心軸(C)により回動可能に軸着されており、
背当アームと座枠とを連結するチルト用連結レバーが設けられ、チルト用連結レバーの上端部は、背当アームの前後方向中間部に対して中間軸(D)により回動可能に軸着され、チルト用連結レバーの下端部は、座枠の後端部に対して座枠後端軸(E)により回動可能に軸着されており、
もって背当リクライニングに座チルトが連動する請求項1記載の乗物用座席。 - チルト中心軸(C)の前後位置は、リクライニング中心軸(A)の前後位置に対して前へ20mmから100mmの範囲に配されている請求項2記載の乗物用座席。
- 中間軸(D)は、リクライニング中心軸(A)と背当枠下端軸(F)との距離を三等分した中央部分の範囲にある請求項2又は3記載の乗物用座席。
- 背当のリクライニング角度が大きくなるほど、側面視で、背当枠下端軸(F)と座枠後端軸(E)との距離が接近する請求項2、3又は4記載の乗物用座席。
- 側枠と、座枠よりも下方に配された下枠とを含む支持枠が、基台に対して前後にスライド可能に係合され、
基台に回動可能に軸着された回動軸(R)と、回動軸(R)に止着されて下方へ突出し、アクチュエータの前進後退するロッドに対して結合された入力アームと、回動軸(R)に止着されて上方へ突出し、第1長孔を備えたリクライニング用出力アームと、回動軸(R)に止着されて上方へ突出し、第2長孔を備えたスライド用出力アームとからなる入出力アームアセンブリが設けられ、
リクライニング用出力アームと背当アームとを連結するリクライニング用連結レバーが設けられ、
リクライニング用連結レバーの前端部のリクライニング伝力軸(B)は、リクライニング用出力アームの第1長孔にスライド可能かつ回動可能に係入しており、リクライニング用連結レバーの後端部は背当枠下端軸(F)により回動可能に軸着されており、
座背当スライドのために、支持枠に設けられたスライド伝力軸(G)が、スライド用出力アームの第2長孔に摺動可能かつ回動可能に係入しており、
もって背当リクライニング及び座チルトに座背当スライドが連動する請求項1〜5のいずれか一項に記載の乗物用座席。 - リクライニング中心軸(A)とチルト中心軸(C)とスライド伝力軸(G)は、側面視で、座背当スライドにより支持枠と共に前後に動くが、上下には動かない請求項6記載の乗物用座席。
- リクライニング伝力軸(B)の前後位置は、アップライト時に側面視で、リクライニング中心軸(A)の前後位置に対して前へ20mmから後ろへ20mmの範囲に配されている請求項6又は7記載の乗物用座席。
- リクライニング伝力軸(B)と背当枠下端軸(F)との距離は、リクライニング中心軸(A)と背当枠下端軸(F)との距離に対して10mm短い距離から40mm長い距離の範囲である請求項6、7又は8記載の乗物用座席。
- 側面視で、入力軸(T)と回動軸(R)との距離よりも、スライド伝力軸(G)と回動軸(R)の距離の方が長い請求項6〜9のいずれか一項に記載の乗物用座席。
- 側面視で、入力軸(T)と回動軸(R)との距離よりも、リクライニング伝力軸(B)と回動軸(R)との距離の方が長い請求項6〜10のいずれか一項に記載の乗物用座席。
- 側面視で、スライド伝力軸(G)と回動軸(R)との距離よりも、リクライニング伝力軸(B)と回動軸(R)との距離の方が長い請求項11記載の乗物用座席。
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