以下、本発明の好適な実施の形態として、液体吐出装置をインクジェットプリンタに適用し、図面を参照しつつ説明する。インクジェットプリンタ101は、図1に示すように、インクジェットヘッド1(以下、ヘッド1)、搬送機構20、プラテン25、用紙トレイ26、用紙センサ29、温度センサ40(図4参照)及び制御装置100を備えている。
搬送機構20は、図1中左方から右方に向かう搬送方向に沿ってヘッド1に対して用紙Rを搬送する搬送機構であり、第1搬送部21及び第2搬送部22を有している。第1搬送部21及び第2搬送部22は、用紙Rの搬送方向に関してヘッド1を挟むように配置されている。
第1搬送部21は、一対の搬送ローラ21a,21bと、搬送ローラ21a,21bを回転駆動する第1モータ21c(図4参照)を有している。一対の搬送ローラ21a,21bは、第1モータ21cにより互いに異なる方向(図中矢印参照)に回転されることで、給紙ユニット(不図示)から供給された用紙Rを搬送方向に挟持搬送する。また、搬送ローラ21aの回転軸には、ロータリーエンコーダ28が設置されている。ロータリーエンコーダ28は、搬送ローラ21aの回転に伴って、この回転に関連付けられたパルス信号を制御装置100に出力する。制御装置100は、このロータリーエンコーダ28から出力されたパルス信号に基づいて、ヘッド1からのインク滴の吐出タイミングを制御する。
第2搬送部22は、搬送ローラ21a,21bと同一の径を有する一対の搬送ローラ22a,22bと、搬送ローラ22a,22bを回転駆動する第2モータ22c(図4参照)を有している。搬送ローラ22a,22bは、第2モータ22cにより互いに異なる方向(図中矢印参照)に回転されることで、第1搬送部21により搬送されている用紙Rを受け取って、当該用紙Rを搬送方向にさらに挟持搬送して、用紙トレイ26に排出する。
プラテン25は、ヘッド1の後述する吐出面2aに対向配置されており、搬送機構20により搬送されている用紙Rを下方から支持する。このとき、プラテン25の上面と吐出面2aとの間には、画像記録に適した所定の間隙が形成される。
次に、図2及び図3を参照しつつ、ヘッド1について説明する。なお、ヘッド本体2の下面図である図2(a)では、説明の都合上、模式的に6列の吐出口列11のみ示している。また、図3(a)では、アクチュエータユニット30の下側にあって破線で示すべき圧力室92、及び吐出口8を実線で示している。
ヘッド1は、図2に示すように、主走査方向に長尺な略直方体形状を有し、その下方で支持枠3(図1参照)に固定されている。つまり、このインクジェットプリンタ101はライン式のプリンタである。ヘッド1は、その下面に複数の吐出口8(図2(a)参照)が開口した吐出面2aが形成されたヘッド本体2と、ヘッド本体2に供給されるインクを貯留するためのリザーバユニット(図示せず)を有している。カートリッジから供給されるインクは、このリザーバユニットに一時的に貯留される。ここで、主走査方向とは、搬送機構20により搬送される用紙Rの搬送方向(副走査方向)と直交し、且つ、その搬送機構20の搬送面に平行な方向である。
図2(a)に示すように、ヘッド本体2においては、8つのヘッドユニット5が形成されている。ヘッドユニット5は、台形の区画を有しており、その区画内において、複数の吐出口8がマトリクス状に且つ主走査方向に関して互いに異なる位置に配置されている。本実施形態では、1つのヘッドユニット5には、664個の吐出口8が形成されている。
8つのヘッドユニット5に係る全ての吐出口8(即ち、ヘッド1の全ての吐出口8)は、これらを主走査方向に延びた任意の仮想線上に垂直に射影してできたすべての射影点が解像度600dpiに対応する等間隔で配列されるような位置関係を有している。そのため、用紙Rに記録された画像においては、搬送方向(副走査方向)に沿った複数のドット(インクが着弾していない不吐出ドットを含む)から構成されたドット列が1つの吐出口8に対応することになる。
ヘッド1は、制御装置100の制御により、副走査方向に600dpiの間隔で吐出口8からのインク滴が用紙R上に着弾するように、インクの吐出間隔(吐出周期)が制御される。即ち、本実施形態においては、主走査方向解像度及び副走査方向解像度はいずれも600dpiであり、用紙R上には、主走査方向と副走査方向とにそれぞれ1/600インチ間隔の格子状に区画された複数のドット形成領域が規定される。また、本実施形態において、用紙Rに画像を形成するために、一吐出周期内にヘッド1の吐出口8から吐出可能なインクの吐出量(インク滴の体積)は4種類(大滴、中滴、小滴、非吐出)である。従って、用紙R上に形成されるドットによって表現可能なのは、インクの吐出量に応じた4段階の濃度である。このように、本実施形態のインクジェットプリンタ101では、用紙R上に規定された各ドット形成領域に対して4階調記録を行うことが可能である。ここで、吐出周期とは、副走査方向解像度に対応する単位距離だけ用紙Rが搬送されるのに要する時間であり、例えば、50μSである。
次に、ヘッドユニット5の具体的な構成について説明する。8つのヘッドユニット5は、互いに同じ構成であり、それぞれ、流路ユニット9、流路ユニット9の上面9aに固定されたアクチュエータユニット30、及びドライバIC35(図3(b)参照)を含む。流路ユニット9の上面9aには、リザーバユニットに接続されたインク供給口91bが開口している。流路ユニット9の内部には、インク供給口91bを一端とするインク流路が形成されている。インク流路は、上流側の共通インク流路と下流側の複数の個別インク流路93とから構成される。共通インク流路は、マニホールド流路91及びこれから分岐した複数の副マニホールド流路91aからなる。マニホールド流路91は、一端にインク供給口91bを持つ。個別インク流路93は、副マニホールド流路91aの出口から圧力室92を経て吐出口8に至る。流路ユニット9の下面は吐出面2aとなっており、多数の吐出口8が配置されている。また、圧力室92は、流路ユニット9におけるアクチュエータユニット30の固定面において、吐出口8と同様に多数配置されている。
各ヘッドユニット5において、吐出口8は、主走査方向に配列された16列の吐出口列11が搬送方向に並ぶように配置されている。この16列の吐出口列11は、副マニホールド流路91aとの位置関係によって、図3(a)に示すように、第1吐出口列11a、及び第2吐出口列11bに分類される。本実施形態では、2つの第1吐出口列11a及び2つの第2吐出口列11bが1つの副マニホールド流路91aを共有し、これら4つの吐出口列に含まれる吐出口8は、圧力室92を介して当該副マニホールド流路91aと連通している。
次に、アクチュエータユニット30について説明する。アクチュエータユニット30は、各圧力室92に対向した複数のアクチュエータを含んでいる。各アクチュエータは、圧力室92内のインクに、時間的に連続する時間の単位である吐出周期毎に選択的に吐出エネルギーを付与する。具体的には、アクチュエータユニット30は、強誘電性を有するチタン酸ジルコン酸鉛(PZT)系のセラミックス材料からなる3枚の圧電シートから構成されている。各圧電シートは、いずれも複数の圧力室92に跨るサイズを有した連続平板である。最上層の圧電シート上における圧力室92に対向する位置のそれぞれには、個別電極33が形成されている。最上層の圧電シートとその下側の圧電シートとの間にはシート全面にわたって共通電極34が介在している。
共通電極34は、すべての圧力室92に対応する領域において等しくグランド電位に保持されている。一方、個別電極33は、ドライバIC35と電気的に接続されている。さらに、このドライバIC35は、制御装置100と接続されている。
後ほど詳述するが、ドライバIC35は、制御装置100から6種類の波形信号を受信するとともに、この6種類の波形信号のうちの何れかを示す選択信号をアクチュエータ(個別電極33)毎に受信する。そして、ドライバIC35は、アクチュエータユニット30のアクチュエータそれぞれについて、この6種類の波形信号のなかから選択信号が示す一つの波形信号を選択し、当該選択した波形信号の波形に対応した駆動波形を有する駆動信号を生成して出力する。これにより、駆動信号の駆動波形に応じて、個別電極33の電位が、パルス高さに相当する所定の駆動電位とグランド電位の間で切り換えられる。その結果、圧力室92内のインクに圧力(吐出エネルギー)が付与され、吐出口8からインク滴を吐出させる。このように、アクチュエータユニット30において、個別電極33と圧力室92とで挟まれた部分が、個別のアクチュエータとして働き、圧力室92の数に対応した複数のアクチュエータが作り込まれている。
なお、本実施形態においては、個別電極33に予め所定の駆動電位を付与しておき、吐出要求があるごとに一旦個別電極33にグランド電位を付与し、その後所定のタイミングにて再び所定の駆動電位を個別電極33に付与するような駆動信号をドライバIC35から出力させる。この場合、個別電極33がグランド電位になるタイミングで、圧力室92内のインクの圧力が降下してマニホールド流路91から個別インク流路93へとインクが吸い込まれる。その後、個別電極33が再び駆動電位になるタイミングで、圧力室92内のインクの圧力が上昇し、吐出口8からインク滴が吐出される。
図1に戻って、ヘッド1よりも搬送方向上流側には用紙センサ29が配置されている。用紙センサ29は、搬送経路上におけるヘッド1よりも搬送方向上流側の位置を検出位置として、当該検出位置に用紙Rが存在するか否かを検出するための検出センサである。制御装置100は、用紙センサ29からの検出信号に基づき、ヘッド1からのインク吐出開始タイミングを決定する。具体的には、制御装置100は、用紙センサ29により用紙Rの先端が検出された時点から、検出位置とヘッド1(詳細には最も搬送方向上流にある吐出口8)との距離を用紙Rの搬送速度で除算して得られる時間が経過した時点をインク吐出開始タイミングと決定する。
温度センサ40(図4参照)は、インクジェットプリンタ101の環境温度を検出するためのセンサである。
以上の構成において、搬送機構20によって搬送方向に搬送される用紙Rは、吐出面2aと対向する領域を通過する際において、ヘッド1の吐出面2aに形成された吐出口8から吐出されたインク滴によってドットが形成される(画像が記録される)。画像が記録された用紙Rは、搬送機構20によってさらに搬送され、用紙トレイ26に排出される。
次に、図4を参照しつつ、制御装置100について説明する。制御装置100は、インクジェットプリンタ101全体の動作を司る主制御回路50、画像処理を行う画処理回路60、並びに、ヘッド1及び搬送機構20を制御する記録処理回路70を備えている。
主制御回路50は、ネットワークインターフェース51、CPU(Central Processing Unit)52、ROM(Read Only Memory)53、RAM(Random Access Memory)54、印刷データ記憶メモリ55、RIPCPU56、多値データ記憶メモリ57、及び多値データ送信回路58を有している。
ネットワークインターフェース51は、LAN等を介して、PC等の外部端末装置200に接続されている。この外部端末装置200には、印刷用のデータを作成可能なアプリケーションソフト、及びインクジェットプリンタ101の処理条件の設定等を行うプリンタドライバ等が記憶されている。外部端末装置200は、プリンタドライバを起動して、アプリケーションソフトにより作成されたデータを、PDL(page description language)などで記述された印刷データに変換する。そして、外部端末装置200は、変換した印刷データをインクジェットプリンタ101に送信する。
ROM53には、CPU52やRIPCPU56が実行する各種プログラムが記憶される。RAM54は、CPU52及びRIPCPU56の作業領域として使用される。印刷データ記憶メモリ55には、ネットワークインターフェース51を介して外部端末装置200から受信した印刷データが記憶される。
RIPCPU56は、CPU52からの指示に従って、印刷データ記憶メモリ55に記憶された印刷データに対して公知のRIP(Raster Image Processing)処理を行うことで、多値の画像データ(以下、多値データ)を生成する。多値データは、図5(a)に示すように、ヘッド1の複数の吐出口8から吐出されたインクが着弾してドットが形成される用紙R上の領域において、搬送方向に沿って配列された複数のドットに対応する複数のドット要素が、これら複数のドット要素に対応する複数のドットの形成順序にしたがった配列順にしたがった配列順序に配列されたドット要素列を吐出口8毎に有する画像データである。本実施形態では、多値データの各ドット要素には、256階調で表された濃度値が設定されている。RIPCPU56により生成された多値データは多値データ記憶メモリ57に記憶される。
多値データ送信回路58は、CPU52からの指示に従って、多値データ記憶メモリ57に記憶された多値データを、画処理回路60に送信する。
画処理回路60は、主制御回路50から受信した多値データに対して公知の誤差拡散処理(量子化処理)などの画像処理を行うことで、吐出データを生成する回路である。吐出データは、各ドット要素について、4階調で表された濃度値が設定された4値データである。図5(b)に示す吐出データでは、各ドット要素に対して設定される4種類の濃度値それぞれを、「00」、「01」、「10」、「11」として示している。この4種類の濃度値は、一吐出周期内にヘッド1の吐出口8から吐出可能なインクの4種類の吐出量に対応している。具体的には、「00」の濃度値は「非吐出」に対応しており、「01」の濃度値は「小滴」に対応しており、「10」の濃度値は「中滴」に対応しており、「11」の濃度値は「大滴」に対応している。このように、吐出データは、ヘッド1の複数の吐出口8それぞれの吐出量を規定したデータである。なお、吐出口8から吐出されるインクの吐出量は、「大滴」、「中滴」、「小滴」、「非吐出」の順に多い。画処理回路60は、生成した吐出データを記録処理回路70に出力する。
図4に戻って、記録処理回路70は、画処理回路60から受信した4値データに基づいて、用紙Rに画像を記録する画像記録処理を行う回路であり、受信回路71、エリア別ドットカウント回路72、並替回路73、機構系駆動制御回路74、及びヘッド制御回路75を有している。
受信回路71は、画処理回路60から送信された吐出データを受信する回路である。エリア別ドットカウント回路72は、受信回路71が受信した吐出データの「11」の濃度値が設定されたドット要素の数をエリア別にカウントすることで、1ページの用紙Rに対してヘッド1から吐出されるエリア別の「大滴」に係るインクの総吐出量を算出する回路である。具体的には、エリア別ドットカウント回路72は、1ページの吐出データを複数のエリア(例えば、1つのエリアは、16×16のドット要素からなる領域)に分割し、この各エリアの「11」の濃度値が設定されたドット要素をカウントすることで、各エリアの「大滴」に係るインクの総吐出量を算出する。なお、本実施形態では、同じエリアに属するドット要素に対応する吐出口8は、同じヘッドユニット5に属している。エリア別ドットカウント回路72は、そのページ毎に算出したエリア別の「大滴」に係るインクの総吐出量をヘッド制御回路75に出力する。並替回路73は、受信回路71が受信した吐出データをヘッド1の吐出口8の配列に合わせたデータに並べ替える。
機構系駆動制御回路74は、CPU52からの制御信号に基づいて、搬送機構20の第1モータ21c及び第2モータ22cを制御して、用紙Rを搬送方向に沿って搬送する回路である、
ヘッド制御回路75は、CPU52からの制御信号に基づいて、それぞれの波形の長さが1つの吐出周期の長さに等しい6種類の波形信号と、この6種類の波形信号のなかから1つをドライバIC35に選択させるための選択信号とをドライバIC35に出力する回路である。
ヘッド制御回路75からドライバIC35に出力する6種類の波形信号各々は、ドライバIC35が個別電極33に対して出力する上記駆動信号の基礎となる信号である。この6種類の波形信号は、吐出データにおける4種類の濃度値のうちの何れかに対応している。即ち、6種類の波形信号は、一吐出周期内にヘッド1の吐出口8から吐出可能なインクの4種類の吐出量の何れかに対応している。
この6種類の波形信号は、図6に示すように、吐出口8から液体を吐出させるための駆動パルスPの数が3未満の第1波形信号群と、駆動パルスPの数が3以上の第2波形信号群とに分類される。
第1波形信号群は、駆動パルスPの数が零である1つの非吐出波形信号(図6(a)参照)、駆動パルスPの数が1つである1つの小滴吐出波形信号(図6(b)参照)、及び駆動パルスPの数が2つである1つの中滴吐出波形信号(図6(c)参照)の計3つの波形信号から構成されている。一吐出周期内にヘッド1の吐出口8から吐出可能なインクの4種類の吐出量において、非吐出波形信号は「非吐出」に対応しており、小滴吐出波形信号は「小滴」に対応しており、中滴吐出波形信号は「中滴」に対応している。このように、第1波形信号群に分類される波形信号は、それぞれ、対応する吐出量が互いに異なっている。
一方で、第2波形信号群は、駆動パルスPの数が3である、3種類の大滴吐出波形信号A〜C(図6(d)〜(f)参照)からなる1つの波形信号組から構成されている。この同じ波形信号組に属する3種類の大滴吐出波形信号A〜Cは、共に、一吐出周期内に吐出口8から吐出可能なインクの4種類の吐出量のうちの「大滴」に対応しており、対応する吐出量が互いに同じである。また、この3種類の大滴吐出波形信号A〜Cは、駆動パルスPの数が互いに同じであるが、駆動パルスPの立ち上がり及び立ち上がりの遷移時間が互いに重なっていない。本実施形態では、大滴吐出波形信号Bの波形は、大滴吐出波形信号Aを所定時間遅延させた波形信号と同じ波形であり、大滴吐出波形信号Cの波形は、大滴吐出波形信号Bを上記所定時間遅延させた波形信号と同じ波形である。
ここで、駆動パルスPの立ち上がり及び立ち上がりの遷移時間とは、図6(e)に示すように、駆動パルスPの瞬時値が、規定された下限値から規定された上限値に到達するまでの遷移時間と、駆動パルスPの瞬時値が、規定された上限値から規定された下限値に到達するまでの遷移時間とを含む時間である。本実施形態では、上限値は駆動パルスPのピーク値VOの90%の値に規定しており、下限値は駆動パルスPのピーク値VOの10%として規定している。
以下、上記のように「大滴」に対応する波形信号として、駆動パルスPの遷移時間が互いに重ならない3種類の大滴吐出波形信号A〜Cを生成する理由を説明するにあたり、本願発明者が知見した「大滴」に対応する波形信号が1種類しか生成していない場合に生じ得る問題点について説明する。
ドライバIC35が、駆動信号をアクチュエータ(個別電極33)に出力する際において、その駆動信号の駆動パルスの立ち上がり及び立ち下りにおいてドライバIC35の回路には充放電に係る大きな電流が流れる。特に、ドライバIC35が、「大滴」に対応する波形信号を基礎とした駆動信号が、同一吐出周期に多くのアクチュエータに出力される際には、駆動信号それぞれの駆動パルスの遷移時間が互いに重なることで、ドライバIC35の回路に過大な電流が生じる。その結果として、ドライバIC35に誤作動が生じて、吐出異常が生じ得る。
また、インクジェットプリンタ101の環境温度が低い場合には、インクの粘度が高くなるため、規定量のインクを吐出口8から吐出させるためには、ドライバIC35から出力する駆動信号の駆動電圧を高くする必要がある。加えて、環境温度が低い場合には、ドライバIC35の回路内の抵抗成分が小さくなる。このため、インクジェットプリンタ101の環境温度が低い場合には、ドライバIC35の回路により過大な電流が集中して流れる。その結果として、ドライバIC35に誤作動が生じて、吐出異常が生じる可能性が高い。
本願発明者は、この問題を解決すべく鋭意研究の結果、ヘッド制御回路75が、「大滴」に係る駆動信号の基礎となる大滴吐出波形信号として、上記3種類の大滴吐出波形信号A〜Cを生成して、同一吐出周期において駆動パルスPの遷移時間が互いに重なる「大滴」に係る駆動信号が出力されるアクチュエータの数を減らすようにヘッド1を制御することで、ドライバIC35の回路に過大な電流が集中して流れることを防ぐことができ、その結果として、ドライバIC35に誤作動が生じることを抑制することができることを発見した。
本実施形態では、ヘッドユニット5各々に形成された664個の吐出口8(アクチュエータ)それぞれに対して、3種類の大滴吐出波形信号A〜Cのうちの何れか1つが予め割り当てられている。そして、ヘッド制御回路75は、吐出口8から「大滴」のインク量のインクを吐出させる際には、3種類の大滴吐出波形信号A〜Cのうちの、当該吐出口8に割り当てられた大滴吐出波形信号を基礎とした駆動信号を当該吐出口8に対応するアクチュエータに出力するようにドライバIC35を制御する割当処理を実行する。
なお、本実施形態では、この割当処理は、ドライバIC35の誤作動が生じる可能性が高い誤作動条件が成立しているときのみ行われる。具体的には、温度センサ40により検出されるインクジェットヘッド1の環境温度が所定温度(例えば、10度)未満の場合には、上述したように低温によりドライバIC35に回路内に大きな電流が流れやすい。また、エリア別ドットカウント回路72により算出された何れかのエリアの「大滴」に係るインクの総吐出量が所定量以上の場合には、同一タイミングで多数の吐出口8から「大滴」のインクが吐出される可能性が高く、ドライバIC35の回路内に大きな電流が流れやすい。そこで、本実施形態では、温度センサ40により検出されるインクジェットヘッド1の環境温度が所定温度未満であり、且つ、エリア別ドットカウント回路72により算出された何れかのエリアの「大滴」に係るインクの総吐出量が所定量以上の場合には、ドライバIC35の回路が誤作動する可能性が高いとして、誤作動条件が成立しているとする。
また、ヘッド制御回路75が、誤作動条件が成立していない場合において、吐出口8から「大滴」のインク量のインクを吐出させる際にアクチュエータに出力する駆動信号は、全アクチュエータ一律の駆動信号(本実施形態では、大滴吐出波形信号Aを基礎とした駆動信号)である。以下、ヘッド制御回路75の具体的な構成について説明する。
ヘッド制御回路75は、図4に示すように、波形記憶回路81、波形信号生成回路82、選択回路83、及び割当テーブル記憶回路84を含む。
波形記憶回路81は、各吐出口8から吐出させる吐出周期毎のインクの吐出量を規定する上記6種類の波形信号を記憶している。波形信号生成回路82は、波形記憶回路81に記憶されている6種類の波形信号を生成して、ドライバIC35に繰り返し出力する。
ここで、本実施形態では、圧力室92の容積変化に伴う流体的なクロストークについても抑制すべく、第1吐出口列11aに属する吐出口8に対応するアクチュエータ(個別電極33)に出力する駆動信号と、第2吐出口列11bに属する吐出口8に対応するアクチュエータに出力する駆動信号とでは、互いに位相が異なるように構成されている。以下、具体的に説明する。
アクチュエータユニット30の複数のアクチュエータを、第1吐出口列11aに係るアクチュエータ群と、第2吐出口列11bに係るアクチュエータ群との2つのアクチュエータ群に区分けする。波形信号生成回路82は、図7に示すように、上記6種類の波形信号を1つの信号セットとして、第1吐出口列11aに係るアクチュエータ群に対応する第1信号セットと、第2吐出口列11bに係るアクチュエータ群に対応する第2信号セットの2つの信号セットを生成して、ドライバIC35に出力する。なお、図7では、各信号セットにおける大滴吐出波形信号A〜Cのみを図示している。
第2信号セットに属する波形信号各々は、第1信号セットに属する波形信号各々を所定時間(例えば、18μS)だけ遅延させた信号である。従って、異なる2つの信号セットの間では、信号セットにそれぞれ属する6種類の波形信号における最初の駆動パルスPの位相が互いに異なることになる。
ドライバIC35では、第1吐出口列11aに係るアクチュエータ群に属するアクチュエータ各々に対しては、対応する第1信号セットの6種類の波形信号のなかから選択信号に応じて選択した波形信号を基礎とした駆動信号を出力する。また、ドライバIC35では、第2吐出口列11bに係るアクチュエータ群に属するアクチュエータ各々に対しては、対応する第2信号セットの6種類の波形信号のなかから選択信号に応じて選択した波形信号を基礎とした駆動信号を出力する。
以上の構成により、第1吐出口列11aに係る複数の個別インク流路93内、及び第2吐出口列11bに係る複数の個別インク流路93内に、副マニホールド流路91a内のインクが同時に吸い込まれることがない。その結果として、流体的なクロストークを抑制することができる。
なお、波形信号生成回路82は、図7に示すように、異なる2つの信号セットの間では、信号セットにそれぞれ属する3種類の大滴吐出波形信号A〜Cが、それぞれ、駆動パルスPの立ち上がり及び立下りの遷移時間が互いに重ならないように波形信号を生成する。これにより、2つの信号セットの間で、大滴吐出波形信号同士の遷移時間が互いに重なることを抑制することができるので、ドライバIC35に過大電流が生じるのをより抑制するこができる。
割当テーブル記憶回路84には、図8に示す割当テーブルが記憶されている。この割当テーブルは、ヘッドユニット5の吐出口8(換言すれば、アクチュエータ)それぞれの、3種類の大滴吐出波形信号A〜Cの何れかへの割り当てを規定したテーブルである。割当テーブルでは、3種類の大滴吐出波形信号A〜Cそれぞれに割り当てられる吐出口8の数が略均等となるように設定されている。また、本実施形態では、割当テーブルは、同じ吐出口列11に属する吐出口8に対しては、同じ種類の大滴吐出波形信号が割り当てられている。
選択回路83は、吐出データに応じて、上記6種類の波形信号のうちの何れか一つをドライバIC35に選択させるための選択信号をアクチュエータ毎に生成して、ドライバIC35に出力する。
具体的には、選択回路83は、吐出データにおいて、複数のドット要素の各々に設定された濃度値に基づき、複数のドット要素それぞれに対して、上記6種類の波形信号のなかから一つを選択する選択処理を行う。このドット要素の各々に対して選択される波形信号は、当該ドット要素に対応するドットを用紙R上に形成する際に各吐出口8に対応する個別電極33に対して出力される駆動信号の基礎となる波形信号である。
この選択処理において、選択回路83は、上記誤作動条件が成立しているか否かに関わらず、「00」の濃度値が設定されたドット要素に対しては非吐出波形信号、「01」の濃度値が設定されたドット要素に対しては小滴吐出波形信号、「10」の濃度値が設定されたドット要素に対しては中滴吐出波形信号を選択する。
これに対して、選択回路83は、「11」の濃度値が設定されたドット要素に対しては、誤作動条件が成立しているか否かに応じて、選択方法を変える。すなわち、選択回路83は、誤作動条件が成立している場合には、3種類の大滴吐出波形信号A〜Cのなかから、割当テーブル記憶回路84に記憶された割当テーブルを参照して、当該ドット要素に対応する吐出口8に割り当てられた大滴吐出波形信号を選択する。一方で、選択回路83は、誤作動条件が成立していない場合には、「11」の濃度値が設定されたドット要素に対しては、標準波形信号である大滴吐出波形信号Aを選択する。
選択回路83は、以上のようにして、選択した波形信号を示す選択信号をアクチュエータ毎に生成して、ドライバIC35に出力する。
以下、選択回路83の選択処理に係る動作について、図9を参照しつつ簡単に説明する。なお、以下では、便宜上、1つのヘッドユニット5に関する選択処理について説明する。
まず、選択回路83は、温度センサ40により検出されたインクジェットプリンタ101の環境温度が所定温度未満であるか否かを判断する(S1)。そして、環境温度が所定温度以上であると判断した場合(S1:NO)には、選択回路83は、誤作動条件が成立していないと判断してS3の処理に移る。一方で、環境温度が所定温度未満であると判断した場合(S1:YES)には、選択回路83は、エリア別ドットカウント回路72により算出された、当該ヘッドユニット5に対応する何れかのエリアの「大滴」に係るインクの総吐出量が所定量以上であるか否かを判断する(S2)。何れかのエリアの「大滴」に係るインクの総吐出量が所定量以上であると判断した場合(S2:YES)には、選択回路83は、誤作動条件が成立しているとしてS4の処理に移る。一方で、全てのエリアの「大滴」に係るインクの総吐出量が所定量未満であると判断した場合(S2:NO)には、選択回路83は、誤作動条件が成立していないとしてS3の処理に移る。
S3の処理では、選択回路83は、吐出データにおいて、複数のドット要素の各々に設定された濃度値に基づき、複数のドット要素それぞれに対して、上記6種類の波形信号のなかから一つを選択する。このとき、「11」の濃度値が設定されたドット要素に対しては、標準波形信号である大滴吐出波形信号Aを選択する。この処理が終了すると、本処理を終了する。
S4の処理では、選択回路83は、吐出データにおいて、複数のドット要素の各々に設定された濃度値に基づき、複数のドット要素それぞれに対して、上記6種類の波形信号のなかから一つを選択する。このとき、選択回路83は、「11」の濃度値が設定されたドット要素に対しては、3種類の大滴吐出波形信号A〜Cのなかから、割当テーブルを参照して、当該ドット要素に対応する吐出口8に割り当てられた大滴吐出波形信号を選択する。この処理が終了すると、本処理を終了する。
以上のようにして、ヘッド制御回路75から6種類の波形信号を1つの信号セットとした2組の信号セットと、選択信号とがドライバIC35に出力される。
ドライバIC35は、シフトレジスタ、ラッチ回路、マルチプレクサ、ドライブバッファ(共に不図示)などの回路を含む。シフトレジスタは、制御装置100から受信した選択信号に係る吐出口8毎のシリアルデータをパラレルデータに変換し、当該パラレルデータを、ラッチ回路に入力する。ラッチ回路は、所謂D−フリップフロップであり、シフトレジスタから入力されたパラレルデータを、一斉にマルチプレクサに入力する。マルチプレクサは、ラッチ回路から入力されたデータに基づいて駆動信号の基礎となる波形信号を6種類の波形信号のなかから選択して、当該波形信号をドライブバッファに入力する。なお、このとき、マルチプレクサは、第1吐出口列11aに対応するアクチュエータ群に属するアクチュエータ各々に対しては、当該第1吐出口列11aに対応する第1信号セットに属する6種類の波形信号のなかから1つの波形信号を選択する。また、第2吐出口列11bに対応するアクチュエータ群に属するアクチュエータ各々に対しては、当該第2吐出口列11bに対応する第2信号セットに属する6種類の波形信号のなかから1つの波形信号を選択する。ドライブバッファは、マルチプレクサから入力された波形信号を増幅して駆動信号を生成し、当該駆動信号をアクチュエータユニット30のアクチュエータのそれぞれに出力する。
以上、本実施形態によると、波形信号生成回路82において、駆動信号の基礎となる波形信号を生成するときに、駆動パルスPが3以上の大滴吐出波形信号については、3種類の波形信号をドライバIC35に出力する。そして、選択回路83において、吐出データにより規定された吐出量が、「大滴」である場合には、3種類の大滴吐出波形信号A〜Cのなかから1つを選択し、当該選択した波形信号をドライバIC35に選択させる。これにより、多くの吐出口8から「大滴」に対応するインク量のインクを同時に吐出させる場合には、これらの吐出口8に対応するアクチュエータに対しては、駆動パルスPの遷移時間が互いに異なる3種類の大滴吐出波形信号A〜Cのいずれか1つを選択的に出力することができる。つまり、駆動パルスPの遷移時間が互いに重なる駆動信号が出力されるアクチュエータの数を減らすことができるため、ドライバIC35に過大電流が生じるのを抑制することができ、その結果として、吐出異常が生じることを抑制することができる。また、この3種類の大滴吐出波形信号A〜Cのなかから1つの波形信号の選択の際に、割当テーブル記憶回路84に記憶された割当テーブルを利用することで、当該選択を簡易に行うことができる。
また、第1吐出口列11aに対応するアクチュエータ群と、第2吐出口列11bに対応するアクチュエータ群とでは、互いに異なる信号セットに属する波形信号を基礎とした駆動信号が出力されることになるため、流体的なクロストークが生じるのを抑制することができる。また、このとき、同じ吐出口列11に属するそれぞれの吐出口列11に対応する個別電極33に対しては、同じ信号セットの波形信号を基礎にした駆動信号が出力されることになる。その結果として、同じ吐出口列11に属する吐出口列11の間では吐出タイミングを同じにすることができる。
また、上記誤作動条件が成立していないときには、同一吐出周期内において、「大滴」のインクを吐出する吐出タイミングを同じにすることができるため、用紙Rに記録される画像の品質を向上させることができる。
以上、本発明の好適な実施の形態について説明したが、本発明は上述の実施の形態に限られるものではなく、特許請求の範囲に記載した限りにおいて様々な変更が可能なものである。
選択回路83は上記割当処理を常に行うように構成されていてもよい。即ち、温度センサ40により検出されるインクジェットヘッド1の環境温度が所定温度以上であり、エリア別ドットカウント回路72により算出された全てのエリアの「大滴」に係るインクの総吐出量が所定量未満の場合においても、「11」の濃度値が設定されたドット要素に対しては、大滴吐出波形信号A〜Cの波形信号のなかから1つの波形信号を選択するように構成されていてもよい。また、温度センサ40により検出されるインクジェットヘッド1の環境温度が所定温度以上である条件、及び、エリア別ドットカウント回路72により算出された何れかのエリアの「大滴」に係るインクの総吐出量が所定量以上である条件の少なくとも何れか一方のみ成立している場合に、選択回路83は上記割当処理を行うように構成されていてもよい。
また、上述の実施形態では、波形信号生成回路82は、「大滴」に対応する波形信号として3種類の大滴吐出波形信号A〜Cを生成するように構成されていたが、特にこれに限定されるものではなく、2種類以上の大滴吐出波形信号を生成するものであればよい。
また、上述の実施形態では、第2波形信号群として、3種類の大滴吐出波形信号からなる1組の波形信号組から構成されていたが、2組以上の波形信号組から構成されていてもよい。例えば、第2波形信号群は、「大滴」よりも吐出量が多い「特大滴」に対応する、駆動パルスPの数が4つである複数の特大滴吐出波形信号からなる波形信号組をさらに備えていてもよい。この複数の特大滴吐出波形信号についても、駆動パルスPの遷移時間が互いに重なっていない。この場合、インクジェットプリンタ101では、用紙R上に規定された各ドット形成領域に対して5階調記録を行うことが可能となる。従って、波形信号生成回路82は、上述の6種類の波形信号に加えて、この複数の特大滴吐出波形信号を生成して、ドライバIC35に出力する。また、割当テーブル記憶回路84に記憶された割当テーブルでは、吐出口8それぞれの、3種類の大滴吐出波形信号のいずれかの割り当てに加えて、この複数種類の特大滴吐出波形信号のいずれかの割り当ても記憶している。そして、選択回路83において、吐出データ(5値データ)において、ドット要素に設定された濃度値が「特大滴」に対応する濃度値である場合には、割当テーブルを参照して、複数種類の特大滴吐出波形信号のなかから、当該ドット要素に対応する吐出口8に割り当てられた特大滴吐出波形信号を選択すればよい。なお、ドライバIC35の回路に過大な電流が生じることを抑制する観点から、3種類の大滴吐出波形信号と、複数の特大滴吐出波形信号との間でも、駆動パルスPの遷移時間が互いに重なっていないことが好ましい。
また、上述の実施形態では、流体的なクロストークを抑制すべく、アクチュエータユニット30の複数のアクチュエータは、2種類のアクチュエータ群に区分けされていたが、3種類以上のアクチュエータ群に区分けされていてもよい。この場合、波形信号生成回路82は、3種類以上のアクチュエータ群各々に対応して、3種類以上の信号セットを生成してドライバIC35に出力する。そして、ドライバIC35では、アクチュエータ群それぞれに属するアクチュエータ各々に対しては、対応する信号セットの6種類の波形信号のなかから選択信号に応じて選択した波形信号を基礎とした駆動信号を出力する。なお、異なる信号セットの間では、信号セットにそれぞれ属する6種類の波形信号における最初の駆動パルスPの位相が互いに異なっている。このとき、ドライバIC35の回路に過大な電流が生じることを抑制する観点から、異なる信号セットの間では、少なくとも大滴吐出波形信号A〜C同士は、それぞれ、遷移時間が互いに重なっていないことが好ましい。
また、上述の実施形態では、第1波形信号群は駆動パルスPの数が3未満の波形信号から構成され、第2波形信号群は駆動パルスPの数が3異常の波形信号から構成されていたが、特にこれに限定されるものではない。例えば、駆動パルスPの数が2つの駆動信号の駆動パルスPの遷移時間が互い重なることで吐出異常が生じ得るのであれば、第1波形信号群は駆動パルスPの数が2未満の波形信号から構成し、第2波形信号群は駆動パルスPの数が2以上の波形信号から構成してもよい。即ち、「中滴」に対応する中滴吐出量波形信号についても、駆動パルスPの遷移時間が互いに重ならない複数種類の吐出量波形信号を用意してもよい。
また、波形信号生成回路82が生成する波形信号は、駆動パルスPに加えて、キャンセルパルスなどの付加パルスを有していてもよい。キャンセルパルスは、駆動パルスPによるインクを吐出後に圧力室92内に残留する残留圧力を除去するためのパルスである。また、波形信号生成回路82は、駆動パルスPの数は同じであるが、駆動パルスPのパルス幅を互いに異なせることで、対応する吐出量が互いに異なる複数の波形信号を生成してもよい。また、上述の説明では、「小滴」に対応する波形信号は駆動パルスの数が1つであり、「中滴」に対応する波形信号は駆動パルスの数が2つであり、「大滴」に対応する波形信号は駆動パルスの数が3つであり、「特大滴」に対応する波形信号は駆動パルスの数が4つであったが、駆動パルスPの数は特にこれに限定されるものではない。
上述の実施形態では、割当テーブル記憶回路84に記憶された割当テーブルにおいて、同じ吐出口列11に属する吐出口8に対しては、同じ種類の大滴吐出波形信号が割り当てられていたが、特にこれに限定されるものではない。例えば、割当テーブルは、同じ吐出口列11に属する複数の吐出口8に割り当てられる波形信号が、配列方向に従って、大滴吐出波形信号A、大滴吐出波形信号B、大滴吐出波形信号C、大滴吐出波形信号A・・・の順に切り替わるように割当テーブルは規定されていてもよい。また、ドライバIC35の回路の抵抗を考慮して、同一の吐出周期において全ての吐出口8から「大滴」を吐出した場合に、ドライバIC35の回路に生じる電流の値が最も小さくなるように、割当テーブルは規定されていてもよい。また、割当テーブル記憶回路84に記憶された割当テーブルは、ネットワークインターフェース51を介して外部端末装置200等から適宜変更可能に構成されていてもよい。
また、上述の実施形態では、選択回路83は、3種類の大滴吐出波形信号A〜Cのなかから1つの波形信号を選択する際に、割当テーブル記憶回路84に記憶された割当テーブルを参照することで、当該選択を行っていたが、特にこれに限定されるものではない。例えば、選択回路83は、3種類の大滴吐出波形信号A〜Cのなかからランダムに1つの波形信号を選択するように構成されていてもよい。また、選択回路83は、同一吐出周期において大滴吐出波形信号を基礎とした駆動信号が出力されるアクチュエータを、均等に3つのアクチュエータ群に分割して、3つのアクチュエータ群各々のアクチュエータに対して、互いに異なる大滴吐出波形信号を基礎とした駆動信号が出力されるように、波形信号を選択してもよい。
また、エリア別ドットカウント回路72は、吐出データにおける、各ドット要素に設定された濃度値をエリア別にカウントすることで、1ページの用紙Rに対してヘッド1から吐出されるエリア別のインクの総吐出量を算出するように構成されていてもよい。この場合、選択回路83は、この算出された各エリアの総吐出量が所定量以上であるか否かを判断することで、上記誤作動条件が成立しているか否かを判断することになる。また、エリア別ドットカウント回路72は、制御を簡素化するために、「11」が設定された濃度値を1ページ単位でカウントすることで、1ページの用紙Rに対してヘッド1から吐出される1ページ当たりの「大滴」に係るインクの総吐出量を算出するように構成されていてもよい。また、エリア別ドットカウント回路72は、各ドット要素に設定された濃度値を1ページ単位でカウントすることで、1ページの用紙Rに対してヘッド1から吐出されるインクの総吐出量を算出するように構成されていてもよい。これらの場合、選択回路83は、この算出された1ページ当たりの総吐出量が所定量以上であるか否かを判断することで、上記誤作動条件が成立しているか否かを判断することになる。
また、上述の実施形態では、インクジェットプリンタ101は、ヘッド1を固定した状態で画像の記録を行うライン式プリンタであったが、用紙Rの搬送方向と交差する方向にヘッドを走査しながら記録を行ういわゆるシリアル式プリンタにも適用可能である。
本発明は、インク以外の液体を吐出する液体吐出装置にも適用可能である。さらに、プリンタに限定されず、ファクシミリやコピー機などにも適用可能である。