以下では、本発明の実施の形態に係る太陽電池セル、太陽電池モジュール、および太陽電池セルの製造方法について、図面を用いて詳細に説明する。以下に説明する実施の形態は、いずれも本発明の好ましい一具体例を示すものである。したがって、以下の実施の形態で示される数値、形状、材料、構成要素、構成要素の配置、接続形態および工程などは、一例であり、本発明を限定する趣旨ではない。よって、以下の実施の形態における構成要素のうち、本発明の最上位概念を示す独立請求項に記載されていない構成要素については、任意の構成要素として説明される。
各図は、模式図であり、必ずしも厳密に図示されたものではない。また、各図において、同じ構成部材については同じ符号を付している。
本明細書において、太陽電池セルの「表面」とは、その反対側の面である「裏面」に比べ、光が多く内部へ入射可能な面を意味(50%超過〜100%の光が表面から内部に入射する)し、「裏面」側から光が内部に全く入らない場合も含む。また太陽電池モジュールの「表面」とは、太陽電池セルの「表面」側の光が入射可能な面を意味し、太陽電池モジュールの「裏面」とは、その反対側の面を意味する。また、「第1の部材上に第2の部材を設ける」などの記載は、特に限定を付さない限り、第1および第2の部材が直接接触して設けられる場合のみを意図しない。即ち、この記載は、第1および第2の部材の間に他の部材が存在する場合を含む。また、「略**」との記載は、「略同一」を例に挙げて説明すると、全く同一はもとより、実質的に同一と認められるものを含む意図である。
(実施の形態)
[1.太陽電池モジュールの構成]
まず、実施の形態1に係る太陽電池モジュール1の概略構成について、図1および図2を用いて説明する。
図1は、実施の形態に係る太陽電池モジュール1を裏面側から見た平面図である。また、図2は、図1のII−II線における太陽電池モジュール1の断面図である。
図1に示すように、太陽電池モジュール1は、太陽電池ストリング10a、10b、10c、10d、10e、および10fを備える。太陽電池ストリング10a〜10fのそれぞれは、6つの太陽電池セル20を有している。
図2に示すように、太陽電池ストリング10a〜10fは、表面保護部材11と、裏面保護部材12との間に配されている。表面保護部材11は、太陽電池セル20の受光面20a側に位置している。裏面保護部材12は、太陽電池セル20の裏面20b側に位置している。裏面保護部材12は、可撓性を有する。表面保護部材11と裏面保護部材12との間には封止材層13が設けられている。封止材層13により複数の太陽電池セル20が封止されている。
表面保護部材11は、例えば、ガラス基板、樹脂基板等の透光性を有する部材で形成される。裏面保護部材12は、例えば、樹脂シート、金属箔を介在させた樹脂シート等の可撓性を有する部材で形成される。封止材層13は、例えば、エチレン・酢酸ビニル共重合体(EVA)、ポリビニルブチラール(PVB)、ポリエチレン(PE)、ポリウレタン(PU)などの樹脂で形成される。
太陽電池ストリング10a〜10fのそれぞれは、太陽電池ストリング10a〜10fの配列方向であるY軸方向(第1の方向)に対して直交するX軸方向(第2の方向)に沿って配された複数の太陽電池セル20を有する。
図3は、実施の形態に係る太陽電池セルを裏面側から見た平面図である。図3に示すように、太陽電池セル20は、光電変換部23と、第1電極21と、第2電極22とを有する。
光電変換部23は、主として第1主面および第2主面を有するn型の半導体基板で形成されている。半導体基板は、例えば、結晶シリコンなどの結晶半導体等で形成される。光電変換部23の第1主面が太陽電池セル20の裏面20bに相当し、光電変換部23の第2主面が太陽電池セル20の受光面20aに相当する。
光電変換部23は、受光した際に正孔や電子などのキャリアを生成させる部材である。光電変換部23は、受光面20aにおいて受光したときキャリアを生成させる。
光電変換部23の裏面20bの上には、キャリア(電子)を収集する第1電極21と、キャリア(正孔)を収集する第2電極22とが形成されている。この構成より、本実施の形態に係る太陽電池セル20は、裏面接合型の太陽電池となっている。
第1電極21は、裏面20bを平面視した場合に、くし歯形状を構成する複数のフィンガー電極21aとバスバー電極21bとを有している。第2電極22は、裏面20bを平面視した場合に、くし歯形状を構成する複数のフィンガー電極22aとバスバー電極22bとを有している。また、第1電極21と第2電極22とは、互いに間挿し合うように配置されている。複数のフィンガー電極21aおよび22aは、X軸方向に沿って延びた複数の電極線状部であり、Y軸方向に沿って相互に間隔をおいて配置されている。
複数のフィンガー電極21aは、バスバー電極21bに電気的に接続されている。バスバー電極21bは、複数のフィンガー電極21aのX軸方向における一方側に配置されている。同様に、複数のフィンガー電極22aは、バスバー電極22bに電気的に接続されている。バスバー電極22bは、複数のフィンガー電極22aのX軸方向における他方側に配置されている。
図1に示すように、太陽電池ストリング10a〜10fのそれぞれにおいて、X軸方向において隣り合う太陽電池セル20は、配線材31によって電気的に接続されている。具体的には、X軸方向において隣接する太陽電池セル20の一方の太陽電池セル20の第1電極21と他方の太陽電池セル20の第2電極22とが配線材31によって電気的に接続されている。
配線材31の材料は、例えば、金属箔、金属箔の積層体、表面が半田等で覆われた金属箔、絶縁性フィルム上に配された配線を有するフレキシブルプリント基板(FPC:Flexible Printed Circuit)などである。金属箔および配線は、例えば、Ag、Cu等で構成される。
配線材31と太陽電池セル20の裏面20bとは、図示しない接着層によって接着されている。接着層の材料は、例えば、樹脂接着剤の硬化物、導電材が分散混入している樹脂接着剤の硬化物、半田等である。
太陽電池ストリング10a〜10fは、配線材32により電気的に接続されている。具体的には、太陽電池ストリング10aの最もX軸負方向側に位置している太陽電池セル20の第1電極21と太陽電池ストリング10bの最もX軸負方向側に位置している太陽電池セル20の第2電極22とが、配線材32により電気的に接続されている。また、太陽電池ストリング10cの最もX軸負方向に位置している太陽電池セル20の第1電極21と太陽電池ストリング10dの最もX軸負方向側に位置している太陽電池セル20の第2電極22とが、配線材32により電気的に接続されている。また、太陽電池ストリング10eの最もX軸負方向側に位置している太陽電池セル20の第1電極21と太陽電池ストリング10fの最もX軸負方向側に位置している太陽電池セル20の第2電極22とが、配線材32により電気的に接続されている。
また、太陽電池ストリング10bの最もX軸正方向側に位置している太陽電池セル20の第1電極21と太陽電池ストリング10cの最もX軸正方向側に位置している太陽電池セル20の第2電極22とが、配線材32によって電気的に接続されている。また、太陽電池ストリング10dの最もX軸正方向側に位置している太陽電池セル20の第1電極21と太陽電池ストリング10eの最もX軸正方向側に位置している太陽電池セル20の第2電極22とが、配線材32によって電気的に接続されている。
X軸正方向側に位置している配線材32の一部は、引き出し電極41を構成している。図2に示すように、引き出し電極41の先端部は、裏面保護部材12の外側に引き出されている。
配線材32は、2つの配線材32aと、配線材32bとを有する。2つの配線材32aのそれぞれは、接着層により太陽電池セル20に接着されており、第1電極21または第2電極22に電気的に接続されている。配線材32bは、2つの配線材32aを電気的に接続している。
配線材32aは、樹脂フィルムと配線とを有するフレキシブルプリント基板で構成されている。樹脂フィルムは、例えば、ポリイミド(PI)や、ポリエチレンテレフタレート(PET)などの樹脂で形成されている。配線は、第1電極21または第2電極22と電気的に接続され、例えば、CuおよびAgなどの少なくとも一種の金属からなる金属箔で形成されている。また、配線材32bも、例えば、CuおよびAgなどの少なくとも一種の金属からなる金属箔で形成されている。
太陽電池ストリング10aの最もX軸正方向側に位置している太陽電池セル20の第2電極22、および、太陽電池ストリング10fの最もX軸正方向側に位置している太陽電池セル20の第1電極21は、配線材33に接続されている。
配線材33は、配線材32aと、配線材33bとを有する。配線材33の一部を構成している配線材32aは、配線材32の一部を構成している配線材32aと実質的に同様の構成を有する。配線材33bは、配線材33の一部を構成している配線材32aに電気的に接続されている。配線材33bの一部は、引き出し電極42を構成している。図2に示すように、引き出し電極42の先端部は、裏面保護部材12の外側に引き出されている。配線材33bは、例えば、CuおよびAgなどの少なくとも一種の金属からなる金属箔で形成されている。
金属箔で形成されている配線材32bおよび33bならびに引き出し電極41および42と、太陽電池セル20の裏面20bとの間には、絶縁性シート60が配置されている。これにより、配線材32bおよび33bならびに引き出し電極41および42と、第1電極21および第2電極22との短絡を抑制することができる。なお、絶縁性シート60の材料は、例えば、樹脂フィルムとして用いられるPIや、PETなどの樹脂の他、封止材層13として用いられるEVA、PVB、PE、PUなどの樹脂などである。
以上の構成を有する太陽電池モジュール1では、2次元配置された複数の太陽電池セル20のそれぞれが、受光によりキャリアを生成するための光電変換部23の構成要素を用いて、バイパスダイオードを形成している。このため、受光効率を低減させることなく低コストでホットスポットの発生を抑制できる裏面接合型の太陽電池モジュール1を提供することが可能となる。
以下では、本実施の形態に係る太陽電池セル20が、(1)受光面20a上に入射した光により生成されたキャリアを裏面20b上で収集する機能、(2)太陽電池セル20に逆バイアス電圧が印加される状態となった場合にバイパス電流を流す機能、の双方を有するための構成を詳細に説明する。
[2.太陽電池セルの構成]
図4は、実施の形態に係る太陽電池セル20の裏面側から見た拡大平面図である。具体的には、図4は、図3に示された領域Lを拡大した平面図である。なお、図4の拡大平面図は、X軸方向よりもY軸方向の拡大率を高くして表されている。太陽電池セル20は、裏面20bにおいて、受光面20a上に入射した光により生成されたキャリア(電荷)を収集する第1領域と、当該第1領域に逆バイアス電圧が印加される状態となった場合にバイパス電流が流れる第2領域とを含んでいる。以下、第1領域および第2領域の構造について、図5A、5Bおよび5Cを用いて説明する。
図5Aは、図4のVA−VA線における実施の形態に係る太陽電池セル20の断面図である。また、図5Bは、図4のVB−VB線における実施の形態に係る太陽電池セル20の断面図である。また、図5Cは、図4のVC−VC線における実施の形態に係る太陽電池セル20の断面図である。
まず、図5Bを用いて、第1領域の構造について説明する。
太陽電池セル20は、n型(一導電型)の半導体基板26を有する。具体的には、半導体基板26は、例えば、n型の結晶シリコンからなるウエハ状の基板である。なお、結晶シリコンとは、単結晶シリコン、または多結晶シリコンを含むものとする。なお、半導体基板26は、p型(他導電型)であってもよい。また、半導体基板26の材料は、GaAsやInP等の化合物半導体であってもよい。なお、半導体基板26の厚みは、50μm〜300μmであることが好ましい。
半導体基板26は、前述したように、受光面20aと裏面20bとを有し、裏面20b上には、半導体層21inと、半導体層22ipとが形成されている。
半導体層21inは、半導体基板26と同じ導電型のn型非晶質半導体層と、第1パッシベーション層とが積層された第1非晶質半導体層である。n型非晶質半導体層は、n型のドーパントを含む非晶質の半導体層である。n型非晶質半導体層は、例えば、n型ドーパントを含むアモルファスシリコンで形成される。n型非晶質半導体層の厚みは、1nm〜40nmであることが好ましい。n型非晶質半導体層は、半導体基板26との間で、受光により半導体基板26内で発生したキャリアのうちn型非晶質半導体層側へ拡散する少数キャリアを半導体基板26側へ押し戻すための電界を形成する。
第1パッシベーション層は、n型非晶質半導体層と裏面20bとの間に配置されている。第1パッシベーション層は、例えば、真性アモルファスシリコンで形成される。第1パッシベーション層の厚みは、発電に実質的に寄与しない程度の厚みであって、かつ、半導体基板26の表面のキャリアの再結合中心を低減できる限りにおいて特に限定されない。第1パッシベーション層の厚みは、例えば、数Å〜250Å程度である。
半導体層22ipは、半導体基板26とは異なる導電型のp型非晶質半導体層と、第2パッシベーション層とが積層された第2非晶質半導体層である。p型非晶質半導体層は、p型のドーパントを含む非晶質の半導体層である。p型非晶質半導体層は、例えば、p型ドーパントを含むアモルファスシリコンで形成される。p型非晶質半導体層の厚みは、2nm〜50nmであることが好ましい。p型非晶質半導体層は、半導体基板26との間で、受光により半導体基板26内で発生したキャリアを分離するための電界を形成する。
第2パッシベーション層は、p型非晶質半導体層と裏面20bとの間に配置されている。第2パッシベーション層は、例えば、真性アモルファスシリコンで形成される。第2パッシベーション層の厚みは、発電に実質的に寄与しない程度の厚みであって、かつ、半導体基板26の表面のキャリアの再結合中心を低減できる限りにおいて特に限定されない。第2パッシベーション層の厚みは、例えば、数Å〜250Å程度である。
なお、半導体層21inおよび22ipの少なくとも一方は、水素を含むことが好ましい。半導体層に水素を含ませることにより、半導体層によるキャリアの再結合抑制効果を高めることができる。
ここで、真性アモルファスシリコンとは、ドーパントの含有率が1×1019cm−3未満であるアモルファスシリコンをいう。また、n型半導体層とは、n型ドーパントの含有率が5×1019cm−3以上である半導体層をいう。また、p型半導体層とは、p型ドーパントの含有率が5×1019cm−3以上である半導体層をいう。また、非晶質半導体層は、微結晶を含んでいてもよい。
第1パッシベーション層および第2パッシベーション層は、半導体基板26の表面のキャリアの再結合中心を低減できる薄膜であればよく、SiO2などの酸化ケイ素、SiNなどの窒化ケイ素、SiONなどの酸窒化ケイ素を用いてもよい。
半導体層21inおよび半導体層22ipは、その上方に形成された複数のフィンガー電極21aおよび22aと同様に、X軸方向に沿って延びる複数の線状部を有する。Y軸方向に隣り合うフィンガー電極21aおよび22aは、それぞれ、図5Bに示すように、半導体層21inまたは半導体層22ipに接続されており、半導体層21inおよび半導体層22ipは、裏面20bを実質的に覆っている。
半導体層21inの上には、フィンガー電極21aが形成され、半導体層21inに接合されている。一方、半導体層22ipの上には、フィンガー電極22aが形成され、半導体層22ipに接合されている。フィンガー電極21aおよび22aの間には、半導体層22ipが介在している。
フィンガー電極21aおよび22aの幅は、例えば、それぞれ、50μm〜2000μmである。
フィンガー電極21aは、図4に示すように、バスバー電極21bに接続され、第1電極21はくし歯状に形成されている。また、フィンガー電極22aは、バスバー電極22bに接続され、第2電極22はくし歯状に形成されている。
第1電極21および第2電極22は、例えば、Cu、Agなどの金属、およびそれらの金属のうちの一種以上を含む合金などで形成される。また、第1電極21および第2電極22は、例えば、ITO(インジウム錫酸化物)などのTCO(Transparent Conductive Oxide:透光性導電酸化物)等で形成されていてもよい。また、第1電極21および第2電極22は、上記金属、合金またはTCOからなる複数の導電層の積層体で形成されていてもよく、半導体層21inまたは半導体層22ipに接する側にTCOを設け、その上に金属または合金を設けてもよい。
フィンガー電極21aおよび22aのY軸方向における中央部を除く両端部の下には、絶縁層25が形成されている。一方、フィンガー電極21aおよび22aのY軸方向における中央部は、絶縁層25から露出している。絶縁層25により、フィンガー電極21aの端部において、半導体層21inのY軸方向における端部と半導体層22ipのY軸方向における端部とが、Z軸方向に絶縁されている。
絶縁層25の材質は、特に限定されない。絶縁層25は、例えば、SiO2などの酸化ケイ素、SiNなどの窒化ケイ素、SiONなどの酸窒化ケイ素で形成される。また、絶縁層25は、酸化チタン、酸化タンタルなどの金属酸化物で形成されてもよい。特に、絶縁層25は、窒化ケイ素で形成されていることが好ましい。また、絶縁層25は、水素を含んでいることが好ましい。
つまり、第1領域では、半導体層21inおよび半導体層22ipは、それぞれ、裏面20b上に形成され、X軸方向に延びる複数の線状部を有している。ここで、半導体層21inは第1電極21の一部であるフィンガー電極21aに接合され(図5BのC、nコンタクト)、半導体層22ipは第2電極22の一部であるフィンガー電極22aに接合されている(図5BのD、pコンタクト)。
これにより、太陽電池セル20は、受光面20aから入射した光により半導体基板26内で生成されたキャリア(電子)を、半導体層21inを介して(図5BのC、nコンタクト)フィンガー電極21aに収集する。一方、受光面20aから入射した光により半導体基板26内で生成されたキャリア(正孔)を、半導体層22ipを介して(図5BのD、pコンタクト)フィンガー電極22aに収集する。つまり、裏面接合型の太陽電池セル20では、受光面20a側に電極を設ける必要がないので、受光面積を損なうことが無く、光電変換効率を高めることができる。
また、半導体層21inおよび22ipが、それぞれ、半導体基板26との間に第1パッシベーション層および第2パッシベーション層を有していることにより、キャリアの再結合による消失を、さらに効果的に抑制することができる。よって、さらに改善された光電変換効率を得ることができる。
なお、図5A〜図5Cには図示していないが、半導体基板26の受光面20a側には、半導体基板26と同じ導電型のn型半導体層が形成されている。n型半導体層は、n型のドーパントを含む半導体層である。n型半導体層は、例えば、n型ドーパントを含むアモルファスシリコンで形成される。なお、n型半導体層の厚みは、1nm〜40nmであることが好ましい。
受光面20aとn型半導体層との間には、パッシベーション層が配置されている。パッシベーション層は、例えば、i型アモルファスシリコンで形成される。パッシベーション層の厚みは、発電に実質的に寄与しない程度の厚みである限りにおいて特に限定されない。パッシベーション層の厚みは、例えば、数Å〜250Å程度である。また、パッシベーション層は、i型アモルファスシリコンに代わって、SiO2などの酸化ケイ素、SiNなどの窒化ケイ素、SiONなどの酸窒化ケイ素で形成されてもよい。
n型半導体層の上には、反射防止膜としての機能と保護膜としての機能とを兼ね備えた絶縁膜が形成されている。絶縁膜は、例えば、SiO2などの酸化ケイ素、SiNなどの窒化ケイ素、SiONなどの酸窒化ケイ素で形成される。絶縁膜の厚みは、付与しようとする反射防止膜の反射防止特性などに応じて適宜設定される。絶縁膜の厚みは、例えば、80nm〜1μm程度である。
なお、受光面20a上には、金属層等の遮光物を設けていない。これにより、受光面20a全面での受光が可能となる。
次に、図5Aおよび図5Cを用いて、第2領域の構造について説明する。
第2領域において、半導体基板26の裏面20b上には、半導体層21inと、半導体層22ipとが形成されている。第2領域の半導体層21inは、図5Cを参照して解るように、第1領域における光電変換部23を形成する半導体層21inである。また、第2領域の半導体層22ipは、図5Cを参照して解るように、第1領域における光電変換部23を形成する半導体層22ipである。
ここで、第2領域では、半導体基板26と半導体層21inとの間に、絶縁層24が形成されている。なお、絶縁層24は、半導体基板26の受光面20aの構造を形成する際に形成される犠牲層であり、第2領域におけるバイパスダイオードの形成のために新たに設けられたものでなくてよい。絶縁層24の材質は、特に限定されない。絶縁層24は、例えば、SiO2などの酸化ケイ素、SiNなどの窒化ケイ素、SiONなどの酸窒化ケイ素で形成される。また、絶縁層24は、酸化チタン、酸化タンタルなどの金属酸化物で形成されてもよい。特に、絶縁層24は、窒化ケイ素で形成されていることが好ましい。また、絶縁層24は、水素を含んでいることが好ましい。
半導体層21inは、絶縁層24の上に形成されている。半導体層21inは、第1電極21の一部であるフィンガー電極21aの下方では、半導体層22ipと接合され、pn接合を形成している。また、半導体層21inは、第2電極22の一部であるバスバー電極22bの下方では、バスバー電極22bと接合されている(図5AのB、nコンタクト)。
半導体層22ipは、第1電極21の一部であるフィンガー電極21aの下方では、上述したように半導体層21inと接合されてpn接合を形成しているとともに、フィンガー電極21aと接合されている(図5AのA、pコンタクト)。
つまり、第2領域では、半導体層21in、半導体層22ip、および第1電極21が、裏面20bの法線方向にこの順で積層されており、半導体層21inおよび第2電極22が、当該法線方向にこの順で積層されている。すなわち、半導体層21inと半導体層22ipとが接合され、半導体層21inは第2電極22に接合され、半導体層22ipは第1電極21に接合されている。また、半導体層21inは、裏面20bを平面視した場合に、第1電極21(フィンガー電極21a)と第2電極22(バスバー電極22b)とを跨ぐように形成されている。なお、半導体層22ipは、半導体層21inよりも高抵抗であり、電極21aから半導体層22ipを通って電極22bに流れる電流はほぼゼロである。また、半導体層21inと半導体基板26との間には、絶縁層24が介在している。
これにより、太陽電池セル20は、図5Aに示すように、第2領域において、第1電極21(フィンガー電極21a)→半導体層22ip→半導体層21in→第2電極22(バスバー電極22b)という、バイパスダイオードの順方向経路を形成する。つまり、太陽電池セル20は、第2領域において、バイパスダイオードを形成する。
図6は、実施の形態に係る太陽電池セル20の等価回路図である。同図に示すように、太陽電池セル20には、第1領域において、太陽電池本来の機能を有する光電変換ダイオードが形成されている。一方、第2領域において、逆バイアス時にバイパス電流を流す向きに、バイパスダイオードが形成されている。
ここで、バイパスダイオードが、太陽電池ストリングごとではなく、本実施の形態のように太陽電池セルごとに形成された場合の効果について説明する。
図7Aは、比較例に係る太陽電池ストリング100のバイパス機能を説明する回路図である。また、図7Bは、実施の形態に係る太陽電池ストリング10のバイパス機能を説明する回路図である。
図7Aに示された太陽電池ストリング100では、太陽電池セル20A、20Bおよび20Cは、それぞれ、光電変換部23A、23Bおよび23Cを有しているが、バイパスダイオード50は、太陽電池ストリング100に並列に、1つ外付けされている。図1に示された太陽電池モジュール1で説明すれば、引き出し電極41および42の間に各1つずつバイパスダイオード50が外付けされていることに相当する。この場合、例えば、太陽電池セル20Bが、遮光または汚れの付着により高抵抗となり逆バイアス状態となったとする。この場合には、バイパスダイオード50が作動してバイパス電流を流すが、正常に光電変換動作をしている太陽電池セル20Aおよび20Cの出力を取り出すことができない。
これに対して、図7Bに示された太陽電池ストリング10では、太陽電池セル20A、20Bおよび20Cごとに、バイパスダイオード50A、50Bおよび50Cが形成されている。この場合、例えば、太陽電池セル20Bが、遮光または汚れの付着により高抵抗となり逆バイアス状態となったとする。この場合には、バイパスダイオード50Bのみが作動してバイパス電流を流すが、正常に光電変換動作をしている太陽電池セル20Aおよび20Cの出力を取り出すことが可能となる。よって、太陽電池セル20ごとにバイパスダイオードが機能するため、ホットスポット発生時の光電変換効率を向上させることが可能となる。
従来、裏面接合型の太陽電池セルが2次元状に配列されて構成された太陽電池モジュールにおいて、例えば、一部の太陽電池セルが遮光される、または、汚れが付着すると、当該太陽電池セルは逆バイアスされ発熱する(ホットスポット)。太陽電池セルが逆バイアスにより発熱すると、故障する可能性が高くなる。
これに対して、本実施の形態に係る太陽電池セル20によれば、太陽電池セル20ごとに、バイパスダイオードが形成される。よって、太陽電池セル20ごとにバイパスダイオードが機能するため、ホットスポットによる受光効率の低下を太陽電池セル単位で抑制できるので、ホットスポット発生時の光電変換効率を相対的に向上させることが可能となる。
また、このバイパスダイオードを形成する各構成要素は、元来、第1領域における光電変換部23を構成する半導体層21inおよび22ip、第1電極21、第2電極22、ならびに絶縁層24および25を兼用させたものである。さらに、半導体層21inおよび22ipは、非晶質の半導体層であるため、低温プロセスを採用することができる。このため、半導体層21inおよび22ipと積層される他層が劣化するような高温プロセスを新たに適用する必要がない。よって、バイパスダイオードを形成するための製造工程を簡素化でき、低コスト化できる。
[3.太陽電池セルの製造方法]
次に、図8を参照しながら、本実施の形態に係る太陽電池セル20の製造方法について説明する。なお、図8では、第2領域におけるバイパスダイオードの製造工程を示しており、第1領域における光電変換部の製造工程を省略している。
まず、半導体基板26を準備する。具体的には、半導体基板26の受光面20aおよび裏面20bの洗浄を行う。半導体基板26の洗浄は、例えば、HF水溶液などを用いて行う。
次に、図8の(a)に示すように、半導体基板26の裏面20b全体に、絶縁層24aを形成する。絶縁層24aの形成方法は特に限定されないが、絶縁層24aは、例えば、スパッタリング法やCVD(Chemical Vapor Deposition)法等の薄膜形成法などにより形成される。
その後、半導体基板26の受光面20aに、複数の角錐が2次元状に配列されたテクスチャ構造を形成する。このとき、絶縁層24aは、裏面20bへのテクスチャ構造の形成を防止する犠牲層として機能する。受光面20aへのテクスチャ構造の形成方法としては、アルカリ水溶液を含むエッチング液に半導体基板26を浸漬する。アルカリ水溶液は、例えば、水酸化ナトリウム(NaOH)、水酸化カリウム(KOH)、および水酸化テトラメチルアンモニウム(TMAH)の少なくとも1つを含むアルカリ水溶液が挙げられる。また、エッチング液に含まれるアルカリ水溶液の濃度は、例えば、0.1〜10重量%である。
次に、図8の(b)に示すように、絶縁層24aを、第2領域のみに残すパターニング形成を行う。絶縁層24aのパターニング形成は、例えば、HF水溶液などを用いたエッチングにより行う。本工程は、半導体基板26の裏面20b上の第2領域に、絶縁層24を形成する工程である。
その後、裏面20b側に、半導体層21inを形成し、半導体層21in上に絶縁層25aを形成する。半導体層21in形成方法は、特に限定されないが、半導体層21inは、例えば、プラズマCVD法やスパッタリング法等の薄膜形成法により形成される。また、絶縁層25aの形成方法は特に限定されないが、絶縁層25aは、例えば、スパッタリング法やCVD法等の薄膜形成法などにより形成される。本工程は、第1領域の半導体基板26上、および、第2領域の絶縁層24上に、n型の半導体層21inを形成する工程である。
次に、図8の(c)に示すように、第2領域において、絶縁層24、半導体層21in、および絶縁層25aをパターニングする。また、第1領域において、半導体層21inおよび絶縁層25aをパターニングする。
次に、図8の(d)に示すように、第1領域および第2領域において、半導体層22ipを形成する。半導体層22ipの形成方法は、特に限定されないが、半導体層22ipは、例えば、プラズマCVD法やスパッタリング法等の薄膜形成法により形成される。本工程は、第1領域の半導体基板26上、および、第2領域の半導体層21in上に、p型の半導体層22ipを形成する工程である。
次に、図8の(e)に示すように、第2領域において、絶縁層25および半導体層22ipを除去して、半導体層21inが露出した領域を形成する。
最後に、図8の(f)に示すように、第2領域において、半導体層22ipの上にフィンガー電極21aを形成し、露出させた半導体層21inの上にバスバー電極22bを形成する。また、第1領域において、半導体層21inの上にフィンガー電極21aを形成し、半導体層22ipの上にバスバー電極22bを形成する。本工程は、第1領域の半導体層21in上、および、第2領域の半導体層22ip上に、第1電極21を形成し、第1領域の半導体層22ip上、および、第2領域の半導体層21in上に、第2電極22を形成する工程である。
なお、受光面20a上へのパッシベーション層、n型半導体層、および絶縁膜の積層形成は、受光面20aにテクスチャ構造が形成された後、かつ、絶縁層24が形成される前に実行してもよい(図8の(a)の後かつ図8の(b)の前)。あるいは、裏面20b上にバイパスダイオードが形成された後に実行してもよい(図8の(f)の後)。あるいは、パッシベーション層の形成は、第1パッシベーション層または第2パッシベーション層の形成と同時に行ってもよい。また、n型半導体層の形成は、半導体層21inの形成と同時に行ってもよい。また、絶縁膜の形成は、絶縁層25の形成と同時に行ってもよい。
太陽電池セル20の上記製造方法によれば、太陽電池セル20ごとに、バイパスダイオードが形成される。よって、太陽電池セル20ごとにバイパスダイオードが機能するため、ホットスポットによる受光効率の低下を太陽電池セル単位で抑制できるので、ホットスポット発生時の光電変換効率を相対的に向上させることが可能となる。
また、第2領域にバイパスダイオードを形成する工程は、第1領域における光電変換部23を構成する半導体層21inおよび22ip、第1電極21、第2電極22、ならびに絶縁層24および25を形成する工程と同じ工程を適用する。さらに、半導体層21inおよび22ipは、非晶質の半導体層であるため、低温プロセスを採用することができる。このため、半導体層21inおよび22ipと積層される他層が高温により劣化することを抑制するための複雑なプロセスを適用する必要がない。よって、バイパスダイオードを形成するための製造工程を簡素化でき、低コスト化できる。
[4.バイパスダイオードの配置]
図9は、実施の形態に係る太陽電池セル20の第2領域の配置を説明する図である。太陽電池セル20は、各半導体膜および絶縁膜の成膜分布に起因して、面内に光電変換特性の分布を有し、特に、周辺部の光電変換性能は中央部のそれよりも劣る傾向にある。従って、光電変換部23を有する有効領域である第1領域は、中央部に配置されることが優先されるが、バイパスダイオードは、光電変換部ほど高性能が要求されない。
第1領域と第2領域との要求性能のバランスを考慮し、バイパスダイオードが形成された第2領域は、基板平面視において、第1領域の外周部に配置されていることが好ましい。さらに、第2領域は、基板平面視において、半導体基板26のコーナー部に配置されていることが好ましい。
これにより、バイパスダイオードを形成するにあたり、光電変換機能を維持しつつ半導体基板26上の領域を有効活用でき省面積化を達成できる。
また、第2領域は、第1領域におけるフィンガー電極21aおよび21bの周期性を阻害することなく、半導体基板26上の隙間領域に配置されることが好ましい。このため、バイパスダイオードの寸法は、フィンガー電極21aおよび21bの電極幅以下とすることが好ましい。この観点から、第2領域は、半導体基板26の裏面20b上に、複数箇所配置されていることが好ましい。例えば、半導体基板26における4箇所のコーナー部に配置されていることが好ましい。
これにより、バイパスダイオードを形成するにあたり、光電変換機能を維持しつつ半導体基板26上の領域を有効活用でき省面積化を達成できる。
なお、バイパス電流を大きく確保することが要求される場合には、外周部に、1つのバイパスダイオードを大型化して配置してもよい。
[5.効果など]
本実施の形態に係る太陽電池セル20は、受光面20aおよび裏面20bを有するn型の半導体基板26と、裏面20b側に形成されたn型かつ非晶質の半導体層21inと、裏面20b側に形成されたp型かつ非晶質の半導体層22ipと、裏面20b側に形成された第1電極21および第2電極22とを備える。太陽電池セル20は、裏面20b上において、受光面20a上に入射した光により生成された電荷を収集する第1領域と、当該第1領域に逆バイアス電圧が印加される状態となった場合にバイパス電流が流れる第2領域とを含む。第1領域では、半導体層21inおよび半導体層22ipのそれぞれは、裏面20b上に形成され、半導体基板26を平面視した場合に、複数の線状部を有している。また、半導体層21inは第1電極21に接続され、半導体層22ipは第2電極22に接続されている。一方、第2領域では、半導体層21inと半導体層22ipとが接合され、半導体層21inは第2電極22に接続され、半導体層22ipは第1電極21に接続されている。
これにより、第1領域では、受光面20aから入射した光により半導体基板26内で生成された電子を、半導体層21inを介してフィンガー電極21aに収集する。一方、受光面20aから入射した光により半導体基板26内で生成された正孔を、半導体層22ipを介してフィンガー電極21aに収集する。つまり、裏面接合型の太陽電池セル20では、受光面20a側に電極を設ける必要がないので、光電変換効率を高めることができる。また、第2領域では、太陽電池セルごとにバイパスダイオードが形成される。よって、太陽電池セルごとにバイパスダイオードが機能するため、ホットスポットによる受光効率の低下を太陽電池セル単位で抑制できるので、ホットスポット発生時の光電変換効率を相対的に向上させることが可能となる。また、このバイパスダイオードを形成する各構成要素は、元来、第1領域における光電変換部23を構成する半導体層21inおよび22ip、第1電極21、第2電極22、ならびに絶縁層24および25を兼用させたものである。さらに、半導体層21inおよび22ipは、非晶質の半導体層であるため、低温プロセスを採用することができる。このため、半導体層21inおよび22ipと積層される他層が高温により劣化することを抑制するための複雑なプロセスを適用する必要がない。よって、バイパスダイオードを形成するための製造工程を簡素化でき、低コスト化できる。
また、第2領域では、半導体基板26と、半導体層21inとの間に、絶縁層24が形成されていてもよい。
これにより、第2領域において、バイパス電流が半導体基板26に漏れることなく、第1電極21→半導体層22ip→半導体層21in→第2電極22という、ダイオードの順方向経路が形成される。
また、半導体基板26は、受光面20aに、複数の角錐が2次元状に配列されたテクスチャ構造を有していてもよい。
これにより、上記テクスチャ構造を形成する際に犠牲層として形成した絶縁層を、第2領域における絶縁層24として兼用することができる。よって、第2領域にバイパスダイオードを形成するための製造工程を簡素化でき、低コスト化できる。
また、第2領域では、半導体層21in、半導体層22ip、および第1電極21が、基板面の法線方向にこの順で積層されており、半導体層21inおよび第2電極22が、当該法線方向にこの順で積層されており、半導体層21inは、基板面の平面視において、第1電極21と第2電極22とを跨ぐように形成されていてもよい。
また、半導体層22ipは、半導体層21inよりも高抵抗であってもよい。
これにより、第2領域において、バイパス電流が、半導体層22ipよりも低抵抗である半導体層21inを経由して、第1電極21から第2電極22へと流れるので、バイパス電流が流れた際の発熱および消費電力を抑えることが可能となる。
半導体層22ipの形成前に、半導体層21inが形成された半導体基板26が熱処理されることが好適である。熱処理されることによって、21in層が低抵抗化し、バイパス電流による発熱を抑制することが可能になる。熱処理は、200℃以上の熱処理温度で行うことが好ましいが、熱処理温度が高すぎると非晶質半導体21inの多結晶化が進行し太陽電池セル20の特性が劣化することがある。したがって、熱処理は、200℃〜700℃の熱処理温度が望ましい。
また、第2領域は、上記平面視において、第1領域の外周部に配置されていてもよい。
また、第2領域は、裏面20b上に、複数箇所配置されていてもよい。
これにより、バイパスダイオードを形成するにあたり、光電変換機能を維持しつつ半導体基板26上の領域を有効活用でき省面積化を達成できる。
また、本実施の形態に係る太陽電池モジュール1は、半導体基板26の基板面と平行なY軸方向に配置された太陽電池ストリング10a〜10fを備え、太陽電池ストリング10a〜10fのそれぞれは、上記基板面においてY軸方向と交差するX軸方向に配置され、電気的に直列接続された、上記記載の太陽電池セル20を複数有し、太陽電池ストリング10a〜10fのそれぞれは、電気的に直列接続または並列接続されている。
これにより、太陽電池セルごとに、バイパスダイオードが配置される。この場合、いずれか1つの太陽電池セル20が、遮光または汚れの付着により高抵抗となり逆バイアス状態となったとしても、高抵抗となった太陽電池セル20のバイパスダイオードのみが作動してバイパス電流を流す。このため、正常に光電変換動作をしている太陽電池セル20の出力を取り出すことが可能となる。つまり、太陽電池セル20ごとにバイパスダイオードが機能するため、ホットスポット発生時の光電変換効率を向上させることが可能となる。また、太陽電池モジュール1の製造工程を簡素化でき、低コスト化できる。
また、本実施の形態に係る太陽電池セルの製造方法は、n型の半導体基板26の裏面20b上の第2領域において絶縁層24を形成する工程と、第1領域の裏面20b上および第2領域の絶縁層24上にn型の半導体層21inを形成する工程と、第1領域の裏面20b上および第2領域の半導体層21in上にp型の半導体層22ipを形成する工程と、第1領域の半導体層21in上および第2領域の半導体層22ip上に第1電極21を形成し、第1領域の半導体層22ip上および第2領域の半導体層21in上に第2電極22を形成する工程とを含む。
これによれば、ホットスポットによる受光効率の低下を太陽電池セル単位で抑制できるので、ホットスポット発生時の光電変換効率を相対的に向上させることが可能となる。
また、このバイパスダイオードを形成する工程は、第1領域における光電変換部23を形成する工程と同じ工程を適用できる。さらに、半導体層21inおよび22ipは、非晶質の半導体層であるため、低温プロセスを採用することができる。よって、バイパスダイオードを形成するための製造工程を簡素化でき、低コスト化できる。
また、裏面20b上に絶縁層24を形成する工程は、裏面20bの全面に絶縁膜を形成した状態で、受光面20aにテクスチャ構造を形成する工程と、当該テクスチャ構造を形成する工程の後、当該絶縁膜を第2領域のみに残すパターニングをすることで絶縁層24を形成する工程とを含んでもよい。
これにより、バイパスダイオードを形成する工程で形成される絶縁層24は、第1領域における受光面20aのテクスチャ構造を形成する際に形成される絶縁膜を兼用できる。よって、バイパスダイオードを形成するための製造工程を簡素化でき、低コスト化できる。
(その他の変形例等)
以上、本発明に係る太陽電池セル、太陽電池モジュール、および太陽電池セルの製造方法について、実施の形態に基づいて説明したが、本発明は、上記実施の形態に限定されるものではない。各実施の形態に対して当業者が思いつく各種変形を施して得られる形態や、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で各実施の形態における構成要素および機能を任意に組み合わせることで実現される形態も本発明に含まれる。