JP2017172735A - セラミックス転動体およびその製造法、並びに転がり軸受 - Google Patents

セラミックス転動体およびその製造法、並びに転がり軸受 Download PDF

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康武 早川
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晃也 大平
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Abstract

【課題】可視光下または紫外光で相互に認識できる窒化ケイ素セラミックス転動体を提供する。【解決手段】セラミックスの成形体からなり、転がり軸受の円環状の軌道上に配置される、玉、円筒ころ、針状ころ、球面ころ、または円錐ころセラミックス転動体であって、セラミックスの成形体は、鏡面研磨表面を有し、焼結体Aの相と、この焼結体Aの相に対して可視光または紫外光照射下において相の模様が識別可能に配置された焼結体Bの相とを鏡面研磨表面に有する。【選択図】図1

Description

本発明は、セラミックス転動体に関し、特に運動状態が観測可能な窒化ケイ素セラミックス製の転動体に関する。
従来、軸受転動体の変移量や回転角度などの挙動観測方法として、球、ころ等などの転動体を磁化して計測する方法が用いられている。例えば、軸受に関する実験報告では、転動体を磁化して、転動体の自転による誘起電圧発生の原理を利用し、その自転角度を非接触で計測している(非特許文献1)。
一方で、軽量化や絶縁用途を目的として、近年セラミックス転動体が普及し始めているが、このセラミックスは非磁性体であり、誘起電圧発生の原理を利用する方法での計測が不可能である。
その中でいくつかの解決策が提示されてきた。例えば、蒸着により磁性体薄膜をセラミックス転動体表面に形成し、誘起電圧発生の原理により観測する方法が知られている(特許文献1、特許文献2)。
また、転がり軸受の内輪を嵌合させた回転軸の端面、および転がり軸受の転動体の、軸受外部から軸方向に見て観察できる面にマークを施し、回転軸を回転させた状態で、ビデオカメラにより回転軸の端面のマークおよび転動体のマークを撮影し、この撮影した画像から得られるマークの軌跡より、回転軸の回転速度、転動体の公転速度および自転速度を算出する方法が知られている(特許文献3)。
特開2000−356531号公報 特許3712535号公報 特許5739232号公報
平野等、「玉軸受の玉の運動について」潤滑、1960、第五巻、No.3、175−180頁
しかしながら、非特許文献1の方法では転動体が磁性を有する場合に限定されるという問題がある。
特許文献2の方法では、蒸着膜を成膜する成膜工程において転動体表面のいずれか一部分は接地面となり、成膜不可の部位がある。また転動体は球面ないしは曲面を有しているため、均一成膜が困難である。これらから、真円度や表面粗さといった転動体に必要な仕様を満たさないため、測定方法が実使用環境とは大きく異なっているという問題がある。
特許文献3の方法では、マークを施す位置が転動体の外周縁に設けると、測定時にマークが保持器と摺接して不測に消えるおそれがあるため、マークを施す位置に制約を受けるという問題がある。
本発明はこのような問題に対処するためになされたものであり、セラミックス研磨面を特定の組成を有する2種類以上のセラミックスを組み合わせとすることで、可視光下または紫外光で相互に認識できる窒化ケイ素セラミックス転動体の提供を目的とする。
本発明のセラミックス転動体は、セラミックスの成形体からなり、転がり軸受の円環状の軌道上に配置されるセラミックス転動体であって、
上記セラミックスの成形体は、鏡面研磨表面を有し、焼結体Aの相と、この焼結体Aの相に対して可視光または紫外光照射下において相の模様が識別可能に配置された焼結体Bの相とを鏡面研磨表面に有することを特徴とする。
特に、上記セラミックス転動体は、焼結体Aおよび焼結体Bの複合体からなる、玉、円筒ころ、針状ころ、球面ころ、または円錐ころであることを特徴とする。
上記セラミックスの成形体を構成する焼結体Aは窒化ケイ素セラミックスであり、
同焼結体Bは、可視光下において相の模様が識別可能となる焼結体B1、または、紫外光下において相の模様が識別可能となる焼結体B2であり、
上記焼結体B1は遷移金属元素の化合物を含み、残部を少なくとも65質量%超の窒化ケイ素とするセラミックスであり、
上記焼結体B2はランタノイド元素の化合物を含み、残部を少なくとも65質量%超の窒化ケイ素とするセラミックスであり、
上記遷移金属元素の化合物が酸化物、窒化物、酸窒化物、または炭化物であり、ランタノイド元素の化合物が酸化物または窒化物であることを特徴とする。
本発明の転がり軸受は、内外輪と、これら内外輪円環状の軌道上に配置される本発明のセラミックス転動体とを備える転がり軸受であることを特徴とする。
本発明のセラミックス転動体の製造方法は、上記焼結体Aおよび焼結体Bの原料粉末をそれぞれ成形体とする工程と、上記焼結体Aの成形体および上記焼結体Bの成形体を所定の表面模様となるように組み合わせる工程と、等方圧加圧法を用いて一体化することを特徴とする。
本発明のセラミックス転動体は、焼結体Aの相と識別可能に配置された焼結体Bの相とを鏡面研磨表面に有するので、転動体表面にマークを施したり、磁性膜を形成する必要がなくなることから、このセラミックス転動体を用いた転がり軸受は、実使用環境を模擬した試験での回転挙動の観測ができる。
セラミックス転動体を構成する焼結体Aおよび焼結体Bが窒化ケイ素を主成分とするセラミックスであるので、両者を組み合わせて得られる焼結体は窒化ケイ素セラミックスと略同等の機械的特性を有する。その結果、本発明の転動体は、実使用環境を模擬した試験での回転挙動の観測ができると共に、機械的強度および表面硬度に優れ、表面にキズがついたり、割れたり、凹んだりしない。また、耐候性、耐食性、耐熱性、絶縁性、非磁性などに優れる。
本発明のセラミックス転動体の製造方法は、焼結体Aの成形体および焼結体Bの成形体を所定の表面模様となるように組み合わせる工程と、等方圧加圧法を用いて一体化するので、簡易な方法で窒化ケイ素セラミックス単体と略同等の機械的特性が得られる。
セラミックス製玉の平面図である。
本発明のセラミックス転動体の一例を図1に示す。図1(a)〜(e)は玉の平面図である。
図1(a)に示すように、玉1は、1aで表される焼結体Aと、1bで表される焼結体Bとの複合体である。焼結体Bは母材となる焼結体Aの表面に円形の表面模様を形成する。この円形の表面模様は真円であっても楕円であってもよく、円の直径は焼結体Aの直径未満であればよい。またこれら円形の表面模様は平面図および裏面図に形成されていてもよい。
図1(b)に示すように、玉2は、2aで表される焼結体Aと、2bで表される焼結体Bとの複合体である。焼結体Bは母材となる焼結体Aの表面に方形の表面模様を形成する。この方形の表面模様は正方形であっても長方形であってもよく、対角線の長さが焼結体Aの直径未満であればよい。またこれら方形の表面模様は平面図および裏面図に形成されていてもよい。なお、焼結体Bは、正方形または長方形以外に多角形とすることができる。
図1(c)に示すように、玉3は、3a〜3a'''で表される焼結体Aと、3bで表される焼結体Bとの複合体である。焼結体Bは焼結体Aの表面に、平面視十字形状の表面模様を形成する。3a〜3a'''で表される焼結体Aは全て同一材質であっても異なった材質であってもよい。また十字形状の表面模様は平面図および裏面図に形成されている。
図1(d)に示すように、玉4は、4aおよび4a'で表される焼結体Aと、4bで表される焼結体Bとの複合体である。焼結体Bは焼結体Aの表面に、帯状の表面模様を形成する。4aおよび4a'で表される焼結体Aは全て同一材質であっても異なった材質であってもよい。また帯状の表面模様は平面図および裏面図に形成されている。
図1(e)に示すように、玉5は、5aで表される半球体の焼結体Aと、5bで表される半球体の焼結体Bとの複合体である。焼結体Aと焼結体Bとの半球体同士を結合させて球体にしている。
玉1〜5において、玉の表面を鏡面研磨表面としたときに、焼結体Aの表面相と焼結体Bの表面相とは、可視光(波長が400〜800nm)下において相互に模様が識別可能となっている。すなわち、自然光または白色蛍光灯下にて目視で識別される模様となっている。また、焼結体Aおよび焼結体Bの材質を特定の材料に変更することにより、自然光または白色蛍光灯下にて目視で識別はできないが、紫外光(波長が400nm未満)照射下において相の模様が識別できる組み合わせとすることができる。相の模様を識別できることにより、玉の回転挙動の観測が容易にできる。
図1は転動体が玉の場合について説明したが、円筒ころ、針状ころ、球面ころ、または円錐ころであるころ転動体においても焼結体Aと焼結体Bとの複合体とすることができ、転動体の表面を鏡面研磨表面したときに、相の模様を識別できる転動体とすることができる。
焼結体Aおよび焼結体Bは、可視光または紫外光照射下において相の模様が識別できる組み合わせであればよい。例えば焼結体Aまたは焼結体Bのセラミック粉末にセラミック顔料を配合して作製した焼結体を用いることができる。セラミック粉末としては、窒化ケイ素を主成分とするセラミック、アルミナを主成分とするセラミック、ジルコニアを主成分とするセラミック、炭化ケイ素を主成分とするセラミック等が挙げられる。
転動体としての機能をより発揮するためには、焼結体Aおよび焼結体Bは、略同一組成のセラミック粉末の焼結体であることが好ましい。そのような焼結体として、窒化ケイ素を主成分とするセラミックスが挙げられる。
焼結体Aは窒化ケイ素セラミックスであることが好ましい。窒化ケイ素は、Si34で表されるケイ素の窒化物である。窒化ケイ素は共有結合性の強い物質であり、粉末系の表面エネルギーの総和から粒界形成に伴う粒界エネルギーの総和を差し引いて表現される焼結の駆動力は小さく、また構成元素の拡散係数も小さい。このため、窒化ケイ素単独では焼結体を得ることが困難であり、結晶粒界ガラス相の形成を促進する焼結助材を添加することが好ましい。焼結助材としては、Al23、Y23、MgOなどが挙げられる。本発明においては、Al23およびY23を併用することが好ましい。
焼結助材の添加量は数質量%〜10数質量%である。好ましくは2〜10質量%である。2質量%未満では焼結が困難であり、10質量%を超えると結晶粒界ガラス相が成長し機械的特性が低下する。なお、Y23は遷移金属元素の酸化物および焼結助材として重複するが、窒化ケイ素焼結体の焼結助材と遷移金属元素の酸化物とは目的および用途において区別されて配合される。
焼結体B1は、遷移金属元素の化合物を含み、残部を少なくとも65質量%超の窒化ケイ素とするセラミックスである。焼結助材を含まない窒化ケイ素単体が65質量%以下であると、転動体とするときに割れやカケが発生するため成形加工性に劣る。
遷移金属元素の化合物は着色用添加物としての役割を果たす。遷移金属元素の化合物を配合することで、窒化ケイ素セラミックスである焼結体Aに対して、表面の色相、彩度、明度で表される色合いの異なる窒化ケイ素を主成分とするセラミックス焼結体B1が得られる。
ここで遷移金属元素とは中性原子または普通のイオンのd亜殻の電子が不完全にしか満たされていない元素をいい、具体的には21番元素のスカンジウム(Sc)から29番元素の銅(Cu)、39番元素のイットリウム(Y)から47番元素の銀(Ag)、57番元素のランタン(La)、72番元素のハフニウム(Hf)から79番元素の金(Au)をいう。
遷移金属元素の化合物としては、酸化物、窒化物、酸窒化物、または炭化物である。
上記金属元素と酸素とからなる化合物が酸化物であり、窒素とからなる化合物が窒化物であり、酸素と窒素とからなる化合物が酸窒化物であり、炭素とからなる化合物が炭化物である。
遷移金属元素の化合物の例としては、窒化ジルコニウム、窒化チタン、酸化コバルト、酸化クロム、酸化マンガン、炭化ジルコニウム、炭化ハフニウム、炭化タングステン、窒化ニオブ、窒化バナジウム、窒化ハフニウム、窒化アルミニウム、窒化クロム、酸化ランタン、酸化モリブデン等が挙げられる。
遷移金属元素の化合物の配合割合は、窒化ケイ素セラミックス全体に対して、5質量%以上25質量%未満、好ましくは5〜20質量%である。5質量%未満の場合十分な着色効果が表れない。また25質量%以上の場合、焼結性が低下して、切断・研磨等の後加工に必要な強度を発現しない。焼結体B1の残部は焼結助材を含む窒化ケイ素である。
焼結体B2は、ランタノイド元素の化合物を含み、残部を少なくとも65質量%超の窒化ケイ素とするセラミックスである。窒化ケイ素が65質量%以下であると、転動体とするときに割れやカケが発生するため成形加工性に劣る。
焼結体B2は、ランタノイド元素の化合物を含む焼結体である。ランタノイド元素の化合物は発光用添加物であり、焼結体B2が紫外光下において蛍光反応を発現できる。ここで、ランタノイド元素とは、57番元素のランタン(La)から71番元素のルテチウム(Lu)までの元素をいう。化合物とは、酸化物または窒化物である。
ランタノイド元素の化合物例としては、酸化ユーロピウム、酸化プラセオジム、酸化ネオジウム、酸化エルビウム、酸化イッテルビウム、酸化ディスプロジウム、酸化ホルミウム、酸化セリウム等が挙げられる。
ランタノイド元素の化合物の配合割合は、窒化ケイ素セラミックス全体に対して、1質量%以上25質量%未満、好ましくは1〜20質量%である。ランタノイド元素の化合物が1質量%未満では紫外光照射下において十分な蛍光反応が表れない。25質量%以上の場合、蛍光反応の効果が飽和し、また価格の高い原料を多量に用いることになり製造コストがかかることにより工業的利用が困難になる。また25質量%以上の場合、焼結性が低下して、切断・研磨等の後加工に必要な強度を発現しない。焼結体B2の残部は焼結助材を含む窒化ケイ素であることが好ましい。
なお、焼結体Aおよび焼結体B2に、上述した遷移金属元素の化合物を配合することができる。これら遷移金属元素の化合物を配合することにより、窒化ケイ素セラミックスの表面の色相、彩度、明度で表される色合いが焼結体Aおよび焼結体B2で同じになり、焼結体B2が配置されていることを可視光下目視で認識できなくなるが、紫外光下において焼結体B2の配置を視認できる。
焼結体A、焼結体B1および焼結体B2は、それぞれの配合原料となる粉末に成形用バインダーを加えて、例えばボールミルなどにより十分に混合し、スプレードライヤーなどを用いて、好ましくは50〜80μmに造粒して成形原料とする。この成形原料を組み合わせてプレス成形したものに冷間または熱間等方圧加圧処理を施し、その後研磨加工して、例えば、JIS B 1501に規定される、3/8”(9.525mm)の玉が得られる。
プレス成形により成形体とする方法、またはプレス成形体を組み合わせて表面模様とする方法としては以下の方法が挙げられる。
(i)焼結体Aを構成する粉末(以下、A粉末という)のみ、もしくはこのA粉末上に焼結体B1を構成する粉末(以下、B1粉末という)または焼結体B2を構成する粉末(以下、B2粉末という)を所定の形状に配置してプレス成形する方法;
(ii)A粉末と、B1粉末またはB2粉末とをそれぞれ別の手法で成形し、それらを嵌合してプレス成形する方法;
(iii)A粉末をプレス成形により球状に成形し、当該成形体を工具で削ることで形成された所望の形状の凹みにB1粉末またはB2粉末を投入してプレス成形する方法;
(iv)A粉末をプレス成形により球状に成形し、B1粉末またはB2粉末をエタノール中に分散させ、スラリー状にしたものをインクジェットによって、当該球成形体表面上に描画する方法。
上記の方法で得られた複合成形体を600℃で熱処理してバインダーを除去してから、約0.8MPa窒素雰囲気中、1700〜1800℃で4〜8hの常圧焼結を施し、常圧焼結後に約200MPa窒素雰囲気中、1700〜1800℃で1〜3hの熱間等方加圧処理を施し、球研磨機等を用いて鏡面研磨することで、玉が得られる。
本発明のセラミックス転動体を用いた転がり軸受は、実使用環境を模擬した試験での回転挙動の観測が容易にできる。回転挙動の観測は、例えば、上述した特許文献3(特許5739232号公報)に記載の方法を用いることができる。
A粉末およびB粉末の調製
表1に示す原料粉配合物をボールミルで混合し、スプレードライヤーにて50〜80μmの粒子径に造粒した。
なお、窒化ケイ素はデンカ社製SN9−FWSを用いた。焼結助材としてのアルミナは住友化学社製AKP−30を、イットリアはH.C.Stark社製GradeCをそれぞれ用いた。また、着色用添加物は共立マテリアル株式会社製の窒化チタンをB1粉末として、蛍光用添加物は株式会社フジミインコーポレーテッド製の酸化セリウムをB2粉末としてそれぞれ用いた。なお、表1に示す原料成分の配合割合は質量%である。また、バインダー、溶媒等の焼結により除去される成分は省略してある。
Figure 2017172735
実施例1
表1に示すA粉末を用いて、中心を通る円筒空間(円筒の直径3mm)を有する球体を作製し、この円筒空間にB1−1粉末を充填して全体をプレス成形した。成形の方法は上述した(i)の方法である。プレス成形圧の条件は200kgf/cmである。その後、600℃で熱処理してバインダーを除去してから、0.8MPa窒素雰囲気中、1700〜1800℃で6hの常圧焼結を施し、常圧焼結後に200MPa窒素雰囲気中、1700℃で1hの熱間等方加圧処理を施し、球研磨機等で鏡面研磨して3/8”(9.525mm)の玉を得た。表2にA粉末とB粉末との組み合わせを成形方法と共に示す。
得られた窒化ケイ素セラミックス製の玉を以下の方法で評価した。結果を表2に示す。
[球加工性評価]
球研磨機によって加工した後の試験片に、割れやカケが発生しているかを拡大鏡(20倍)で観察した。割れやカケの発生がなく加工が完了した場合を可とし、割れやカケが発生している場合を加工不可とした。
[回転挙動の観測性評価]
得られた窒化ケイ素セラミックス製の玉を6206軸受に組み込み、スピンドルを用いて1000〜3000rpmで回転させながら、可視光(一般的な蛍光灯)または紫外光(波長254〜365nm)を照射し、ハイスピードカメラで撮影を行なった。得られた動画について、動作解析ソフトウェアを用いて回転挙動の観測可否を判断した。動作解析ソフトウェアは特許文献3に記載のものを用いた。
実施例2
B1−1粉末の代わりに、B1−2粉末を用いる以外は、実施例1と同様にして3/8”(9.525mm)の玉を得た。表2にA粉末とB粉末との組み合わせを成形方法と共に示す。得られた玉を実施例1と同様にして評価した。結果を表2に示す。
実施例3
表1に示すA粉末を用いて、中心を通る円筒空間(円筒の直径3mm)を有する球体を作製し、B1−1粉末を用いて上記円筒空間に嵌合できる円柱体を作製した。A粉末を用いた球体にB1−1粉末を用いた円柱体を嵌合させて成形体とした。この成形体を実施例1と同様にして3/8”(9.525mm)の玉を得た。表2にA粉末とB粉末との組み合わせを成形方法と共に示す。得られた玉を実施例1と同様にして評価した。結果を表2に示す。
実施例4
表1に示すA粉末をプレス成形により球状に成形した。この球体を削ることにより、球体の中心を通る円筒空間(円筒の直径3mm)を形成した。この円筒空間にB1−1粉末を投入してプレス成形した。この成形体を実施例1と同様にして3/8”(9.525mm)の玉を得た。表2にA粉末とB粉末との組み合わせを成形方法と共に示す。得られた玉を実施例1と同様にして評価した。結果を表2に示す。
実施例5
表1に示すA粉末をプレス成形により球状に成形した。また、表1に示すB1−1粉末をエタノール中に分散させてスラリー状に調製した。このスラリー液を用いて、インクジェット法により上記球状体の表面に帯状の模様(帯の幅の長さ3mm)を描き、エタノールが揮発した後にプレス成形した。この成形体を実施例1と同様にして3/8”(9.525mm)の玉を得た。表2にA粉末とB粉末との組み合わせを成形方法と共に示す。得られた玉を実施例1と同様にして評価した。結果を表2に示す。
実施例6
表1に示すA粉末を用いて、中心を通る円筒空間(円筒の直径3mm)を有する形状に作製し、この円筒空間にB2−1粉末を充填して全体をプレス成形した。プレス成形の条件は200kgf/cmである。その後、600℃で熱処理してバインダーを除去してから、0.8MPa窒素雰囲気中、1700〜1800℃で6hの常圧焼結を施し、常圧焼結後に200MPa窒素雰囲気中、1700℃で1hの熱間等方加圧処理を施し、球研磨機等で鏡面研磨して3/8”(9.525mm)の玉を得た。表2にA粉末とB粉末との組み合わせを成形方法と共に示す。得られた玉を実施例1と同様にして評価した。結果を表2に示す。
実施例7
B2−1粉末の代わりに、B2−2粉末を用いる以外は、実施例6と同様にして3/8”(9.525mm)の玉を得た。表2にA粉末とB粉末との組み合わせを成形方法と共に示す。得られた玉を実施例1と同様にして評価した。結果を表2に示す。
実施例8
表1に示すA粉末を用いて、中心を通る円筒空間(円筒の直径3mm)を有する球体を作製し、B2−1粉末を用いて上記円筒空間に嵌合できる円柱体を作製した。A粉末を用いた球体にB2−1粉末を用いた円柱体を嵌合させて成形体とした。この成形体を実施例1と同様にして3/8”(9.525mm)の玉を得た。表2にA粉末とB粉末との組み合わせを成形方法と共に示す。得られた玉を実施例1と同様にして評価した。結果を表2に示す。
実施例9
表1に示すA粉末をプレス成形により球体に成形した。この球体を削ることにより、球体の中心を通る円筒空間(円筒の直径3mm)を形成した。この円筒空間にB2−1粉末を投入してプレス成形した。この成形体を実施例1と同様にして3/8”(9.525mm)の玉を得た。表2にA粉末とB粉末との組み合わせを成形方法と共に示す。得られた玉を実施例1と同様にして評価した。結果を表2に示す。
実施例10
表1に示すA粉末をプレス成形により球体に成形した。また、表1に示すB2−1粉末をエタノール中に分散させてスラリー状に調製した。このスラリー液を用いて、インクジェット法により上記球状体の表面に帯状の模様(帯の幅の長さ3mm)を描き、エタノールが揮発した後にプレス成形した。この成形体を実施例1と同様にして3/8”(9.525mm)の玉を得た。表2にA粉末とB粉末との組み合わせを成形方法と共に示す。得られた玉を実施例1と同様にして評価した。結果を表2に示す。
比較例1
表1に示すA粉末を用いて実施例1と同一のプレス成形、常圧焼結等を施して3/8”(9.525mm)の玉を得た。得られた玉を実施例1と同様にして評価した。結果を表2に示す。
比較例2
比較例1で得られた玉の表面にスパッタリング法により磁性薄膜を形成した。得られた玉を実施例1と同様にして評価した。結果を表2に示す。
比較例3および比較例4
A粉末およびB粉末を表2に示す組み合わせとして、実施例1と同様にして3/8”(9.525mm)の玉を製造した。得られた玉を実施例1と同様にして評価した。結果を表2に示す。
Figure 2017172735
各実施例は、球研磨機によって加工した後の試験片に、割れやカケの発生が見られなかった。一方、B粉末の配合割合が多い、比較例3および比較例4は、割れやカケの発生が見られた。
A粉末とB1粉末とを用いて作製した実施例1〜5の玉は、蛍光灯照射下で、いずれの成形方法においても回転挙動の観測が可能であったが、紫外光照射下では観測不可能であった。また、A粉末とB2粉末とを用いて作製した実施例6〜10の玉は、紫外光照射下で、いずれの成形方法においても回転挙動の観測が可能であったが、蛍光灯照射下では観測不可能であった。軸受運転時に用いる油やグリースなどの潤滑剤の色相が、蛍光灯照射下での観測を阻害する場合があり、その場合、紫外光照射下での観測が可能な実施例6〜10の玉の使用が好ましくなる。一方、比較例1および比較例2では、回転挙動の観測ができなかった。
本発明のセラミックス転動体、およびこの転動体を用いた転がり軸受は、表面が平滑なセラミックスであり、可視光下または紫外光下で識別可能な模様を表面に有しているので、実使用環境を模擬した試験での回転挙動の観測が可能である。その結果、転がり軸受の開発、実使用環境下での評価等に応用できる。
1〜5 セラミックス製玉
1a、2a、3a、4a、5a 焼結体A
1b、2b、3b、4b、5b 焼結体B

Claims (5)

  1. セラミックスの成形体からなり、転がり軸受の円環状の軌道上に配置されるセラミックス転動体であって、
    前記成形体は、鏡面研磨表面を有し、焼結体Aの相と、この焼結体Aの相に対して可視光または紫外光照射下において相の模様が識別可能に配置された焼結体Bの相とを前記鏡面研磨表面に有することを特徴とするセラミックス転動体。
  2. 前記セラミックス転動体は、前記焼結体Aおよび前記焼結体Bの複合体からなる、玉、円筒ころ、針状ころ、球面ころ、または円錐ころであることを特徴とする請求項1記載のセラミックス転動体。
  3. 前記焼結体Aは窒化ケイ素セラミックスであり、
    前記焼結体Bは、可視光下において相の模様が識別可能となる焼結体B1、または、紫外光下において相の模様が識別可能となる焼結体B2であり、
    前記焼結体B1は遷移金属元素の化合物を含み、残部を少なくとも65質量%超の窒化ケイ素とするセラミックスであり、
    前記焼結体B2はランタノイド元素の化合物を含み、残部を少なくとも65質量%超の窒化ケイ素とするセラミックスであり、
    前記遷移金属元素の化合物が酸化物、窒化物、酸窒化物、または炭化物であり、ランタノイド元素の化合物が酸化物または窒化物であることを特徴とする請求項1または請求項2記載のセラミックス転動体。
  4. 内外輪と、これら内外輪円環状の軌道上に配置されるセラミックス転動体とを備えてなる転がり軸受であって、
    前記セラミックス転動体は請求項1、請求項2、または請求項3記載のセラミックス転動体であることを特徴とする転がり軸受。
  5. 請求項1、請求項2、または請求項3記載のセラミックス転動体の製造方法であって、
    前記焼結体Aおよび焼結体Bの原料粉末をそれぞれプレス成形して成形体とする工程と、
    前記焼結体Aの成形体および前記焼結体Bの成形体を所定の表面模様となるように組み合わせて複合体とする工程と、
    等方圧加圧法を用いて前記複合体を一体化することを特徴とするセラミックス転動体の製造方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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WO2018235495A1 (ja) * 2017-06-19 2018-12-27 Ntn株式会社 ストレージ蛍光体、ストレージ蛍光体の製造方法、放射線検出素子、個人被曝線量計及びイメージングプレート

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