JP2017172150A - 玄関の天井部構造 - Google Patents

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一正 福田
Kazumasa Fukuda
一正 福田
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Abstract

【課題】玄関の下足収納部の収納量を増加させることのできる玄関の天井部構造を提供する。
【解決手段】玄関(1)の天井部(2)は、玄関天井(12)と、天井裏空間(13)と、開閉部材(32)とを備える。玄関天井(12)は、玄関空間(11)の上方に位置し、かつ、上下方向に貫通する開口(31)を有する。天井裏空間(13)内の開口(31)の周辺部には、分電盤(51)および通信用配線設備(50)の少なくとも一方が設置される。開閉部材(32)は、開口(31)を開閉可能に設けられ、水平方向に延在する下面を有する。開閉部材(32)は、開口(31)を閉鎖した通常状態において、下面が玄関天井(12)の天井面よりも高い位置に位置することによって折り上げ天井を構成する。
【選択図】図1

Description

本発明は、玄関の天井部構造に関し、特に、下足収納部が設けられた玄関の天井部の構造に関する。
従来から、天井の一部分を開閉可能に構成することで、天井裏空間に設置された配管等の点検を可能とした住宅が多く存在する。
たとえば特開2002−322802号公報(特許文献1)には、玄関の天井面の少なくとも一部分に折り上げ格天井が形成され、この折り上げ格天井の少なくとも一区画を取り外し可能とすることで天井点検口を形成した天井点検口構造が開示されている。
特開2002−322802号公報
今般、分電盤および通信用配線設備は、玄関の下足収納部にまとめて設けることを標準とした集合住宅が存在する。しかし、この場合、下足収納部の収納量が減少してしまうという問題がある。
特許文献1には、玄関の天井に点検口を形成することが開示されているが、特許文献1において点検対象の設備は、排気管など、天井裏空間に設置されることが一般的な天井内設備である。そのため、特許文献1の天井点検構造を有する住宅では、分電盤および通信用配線設備の設置スペースが別途必要である。したがって、特許文献1の住宅においても、下足収納部の収納量の減少という問題が生じ得る。
本発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであって、その目的は、下足収納部の収納量を増加させることのできる玄関の天井部構造を提供することである。
この発明のある局面に従う玄関の天井部構造は、住宅の玄関における天井部の構造であって、玄関天井と、天井裏空間と、開閉部材とを備える。玄関天井は、玄関空間の上方に位置し、かつ、上下方向に貫通する開口を有する。天井裏空間は、玄関天井の裏側に位置する。天井裏空間内の開口の周辺部には、分電盤および通信用配線設備の少なくとも一方が設置される。開閉部材は、開口を開閉可能に設けられ、水平方向に延在する下面を有する。開閉部材は、開口を閉鎖した通常状態において、下面が玄関天井の天井面よりも高い位置に位置することによって折り上げ天井を構成する。
好ましくは、玄関の天井部構造は、天井裏空間に配置され、開閉部材をスライド移動可能に保持するための保持部材をさらに備える。
好ましくは、開閉部材の下面の色および素材の少なくとも一方が、玄関天井の天井面と同じである。
玄関空間は、下足収納部が配置された土間部を含む。開口は、土間部の上方位置であって、平面視において下足収納部と重ならない位置に配置されていることが望ましい。
好ましくは、玄関の天井部構造は、玄関天井の開口側端部から開閉部材の下面付近まで上方に立ち上がる立上り部をさらに備える。玄関天井は、立上り部よりも開口側へ突出する突出部を有しており、玄関天井の突出部の上に、玄関空間を間接的に照らすための照明具が取付けられていることが望ましい。
住宅の玄関部構造は、下足収納部が配置された玄関空間と、玄関天井と、天井裏空間と、開閉部材とを備える。玄関天井は、玄関空間の上方に位置し、かつ、上下方向に貫通する開口を有する。天井裏空間は、玄関天井の裏側に位置する。天井裏空間内の開口の周辺部には、分電盤および通信用配線設備の少なくとも一方が設置される。開閉部材は、開口を開閉可能に設けられ、水平方向に延在する下面を有する。開閉部材は、開口を閉鎖した通常状態において、下面が玄関天井の天井面よりも高い位置に位置することによって折り上げ天井を構成する。
本発明によれば、玄関の下足収納部に、分電盤または通信用配線設備を設置する必要がないため、下足収納部の収納量を増加させることができる。
本発明の実施の形態における住宅の玄関構造を模式的に示す断面図である。 図1の矢印II方向から見た玄関の天井部構造を模式的に示す見上げ図である。 本発明の実施の形態における玄関の天井部構造を拡大して示す模式断面図である。 (A)は比較例における下足収納部の収納量を概念的に示す図であり、(B)は本発明の実施の形態における下足収納部の収納量を概念的に示す図である。 本発明の実施の形態の変形例における玄関の天井部構造を示す模式断面図である。
本発明の実施の形態について図面を参照しながら詳細に説明する。なお、図中同一または相当部分には同一符号を付してその説明は繰返さない。
(玄関構造の概要について)
はじめに、図1〜図3を参照して、本実施の形態における集合住宅の玄関構造の概要について説明する。集合住宅には、各階に1以上の住戸が設けられている。
集合住宅の各住戸における玄関1は、玄関天井(以下「天井」と略す)12と、天井12を境として配置された玄関空間11と天井裏空間13とを含む。玄関空間11は、住戸内への出入りの際に通過する空間であり、玄関扉10に隣接する土間部21と、土間部21の奥に位置する玄関ホール部22とを含む。玄関ホール部22は、土間部21との間に仕切りなく配置されている。
土間部21の一対の側壁部のうちの一方には、下足収納部23が配置されている。下足収納部23は、たとえば埋め込み型の収納部であり、下足収納部23の扉の表面と土間部21または玄関ホール部22の側壁面とが略面一となっている。
特に分譲マンションなどの集合住宅において、玄関1の天井12の高さは、玄関1より奥に位置する住空間の天井高さに比べて低く設定されることがある。図2に示されるように、玄関1の天井裏空間13には、玄関1前の共用廊下3側にまで延びる排気ダクト15が設けられているからである。
ところで、今般の集合住宅においては、図4(A)に示されるように、玄関の下足収納部123内に、分電盤51、および、LAN(local area network)パネルやルータ等の通信用配線設備50を収納することがある。この場合、分電盤51の点検や修理、あるいは、通信用配線設備50の接続作業の際に、作業者が住空間に立ち入ることなく、玄関1の土間部21において作業を行うことができるため、居住者のプライバシーを保護できるメリットがある。
しかしながら、集合住宅の下足収納部123の容量は限られている。そのため、下足収納部123内にこのような設備を設置すると、本来収納したい靴の収納量が減ってしまう。そうすると、玄関1の土間部21に収納し切れない靴が散乱し、玄関1の美観を損ねてしまう可能性がある。
そこで、本実施の形態では、玄関1の天井裏空間13における空きスペース(典型的には、排気ダクト15の横のスペース)に、分電盤51および通信用配線設備50をまとめて配置することとした。以下に、本実施の形態における玄関1の天井部2の構造について詳細に説明する。天井部2は、天井12と天井裏空間13とを含む部分である。
(玄関の天井部構造について)
図1および図3を参照して、玄関空間11の上方に位置する天井12は、上下方向に貫通する開口31を有している。以下の説明では、理解を容易にするために、天井12のうち、開口31を除く所定高さの天井部分を「基準天井30」と表現する。
開口31は、土間部21の上部に位置している。平面視において開口31は土間部21の領域内に完全に収まっていることが望ましい。平面視における開口31の形状は、たとえば矩形状であり、開口31の各辺の寸法は、たとえば600mm程度である。
天井部2には、開口31を開閉可能な開閉部材32が設けられている。開閉部材32は、典型的には板状であり、その下面32aが、基準天井30の天井面30a(以下「基準天井面30a」という)と平行である。つまり、開閉部材32は、水平方向に延在する下面32aを有している。開閉部材32の下面32aの高さは、基準天井面30aよりも60mm以上高く、望ましくは100mm程度高い。そのため、開口31を閉鎖した「通常状態」において、開閉部材32は、天井12(基準天井30)よりも高い天井、すなわち折り上げ天井を構成する。
基準天井30の開口31側の端部には、開閉部材32の下面32a付近まで上方に立ち上がる立上り部33が設けられている。具体的には、立上り部33の上端部と開閉部材32の下面32aとが当接または近接している。立上り部33は、開口31を取り囲むように配置されていることが望ましい。本実施の形態では、基準天井30と立上り部33とがL字状に交差(直交)している。
基準天井面30aおよび立上り部33の表面(開口31側を向く側面)は、共通の壁面シートなどによって一体的に形成されている。つまり、立上り部33の表面の色および素材は、基準天井面30aと同じである。開閉部材32の下面32aの色および素材も、基準天井面30aおよび立上り部33の表面と同じであることが望ましい。このように構成されることで、開閉部材32が通常状態である場合に、開閉部材32を、通常の(開閉できない)折り上げ天井のように見せることができる。なお、開閉部材32の下面32aの色および素材の少なくとも一方が、基準天井面30aと同じであればよい。
天井裏空間13のうち、開口31の周辺部に、分電盤51と、通信用配線設備50としてのLANパネル52、ルータ53、およびONU(光回線終端装置)54とが設置される。これらは、排気ダクト15に接触しない位置に配置される。
具体的には、比較的大きい分電盤51およびLANパネル52は、天井裏空間13の上部に位置する躯体部14に、取付け部材55を介して下向きに取付けられる。分電盤51およびLANパネル52は、平面視において、少なくとも一部が開口31に重なる位置に取り付けられる。比較的小さいルータ53およびONU54は、開口31近くにある基準天井30の上部に載置される。このように、分電盤51および通信用配線設備50が開口31の周辺部に配置されるため、開口31を介したこれら設備の作業を容易に行うことができる。
本実施の形態では、天井裏空間13に、開閉部材32をスライド移動可能に保持する保持部材41が設けられている。つまり、開閉部材32の水平方向の移動により、開口31の開閉が可能である。この場合、開閉部材32を押し上げたり、取り外したりする必要がないため、開口31の開閉を容易に行うことができる。なお、ルータ53およびONU54は、開閉部材32のスライド方向とは反対側の基準天井30の上部に載置される。
開閉部材32は、たとえば、玄関1の手前から奥へ向かってスライド移動可能となっている。この場合、開閉部材32の下面32aの玄関扉10側に、たとえば回転引手42が設けられる。
この場合、保持部材41の一部が、玄関ホール部22の上方に位置していてもよい。つまり、保持部材41は、平面視において、土間部21と玄関ホール部22とに跨って配置されていてもよい。これにより、天井裏空間13の空きスペースをより有効に活用することができる。
本実施の形態のように、分電盤51および通信用配線設備50を天井裏空間13に設置することで、図4(B)に示されるように、下足収納部23の収納量を増やすことができる。一例として、図4(A)に示す比較例の下足収納部123では34足しか収納できなかったのに対し、本実施の形態の下足収納部23では、比較例よりも棚板を増やすことで、約23%収納量が向上している(42足収納可能)。
また、未利用であった天井裏空間13の空きスペースを利用するため、他の収納空間や住空間への影響がない。また、分電盤51および通信用配線設備50がまとめて配置されるため、配線工事が容易となる。
また、開口31が土間部21の上方に位置しているため、本実施の形態においても、インターネット接続業者などの作業者が、玄関ホール部22またはその先の住空間に立ち入ることなく、土間部21において作業を完結することができる。
また、上述のように、開閉部材32が玄関1の手前から奥へ向かってスライド移動させられる構成の場合、通常状態において、玄関扉10から土間部21に入る際に、回転引手42の存在が目立たず、開閉部材32が開閉可能となっていることが推測され難い。よって、天井12の美観を維持することができる。それどころか、開閉可能な開閉部材32が折り上げ天井として形成されているため、玄関空間11のインテリア性の向上にも寄与する。
(変形例)
図5は、本実施の形態の変形例に係る天井部2Aの構造を示す模式断面図である。図5では、開閉部材32のスライド移動により開口31が開放された状態が示されている。
この変形例では、立上り部33が、基準天井30の開口31側端縁よりも少し退いた位置に配置されている。つまり、基準天井30(天井12)は、立上り部33よりも開口31側(内側)へ突出する突出部34を有している。
図5に示されるように、この突出部34の上に、玄関空間11を間接的に照らすための照明具43が取付けられている。照明具43による照射方向は、真下ではなく、上方または内側方向である。照明具43は、通常状態において、折り上げ天井(開閉部材32)の周囲に設けられた間接照明として機能する。
このように、開口31の周囲に間接照明としての照明具43を設置することで、通常状態において、玄関空間11のインテリア性をより十分に向上させることができる。また、上述のような回転引手42が開閉部材32に設けられる場合であっても、回転引手42が照明具43の照射光に紛れるため、その存在を目立たなくさせることができる。
さらに、分電盤51および通信用配線設備50の作業の際に、開閉部材32が開放されて開口31が開状態となった場合には、照明具43は、天井裏空間13内を照らす作業灯として機能する。したがって、作業者は、懐中電灯等を用いなくても、容易に設備の作業を行うことができる。
なお、本実施の形態および変形例では、開閉部材32はスライド移動可能に取付けられていることとしたが、限定的ではなく、たとえば上下方向に回転可能に取付けられていてもよい。
また、本実施の形態および変形例では、天井裏空間13に、分電盤51および通信用配線設備50の双方が設置されることとしたが、一方だけが設置されてもよい。
また、本実施の形態および変形例では、下足収納部23が埋め込み型の収納部であることとしたが、限定的ではない。その場合であっても、開口31は、土間部21の上方位置であって、平面視において下足収納部23と重ならない位置に配置されていることが望ましい。
また、本実施の形態および変形例においては、集合住宅を例に説明したが、戸建住宅に適用してもよい。
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
1 玄関、2,2A 天井部、3 共用廊下、10 玄関扉、11 玄関空間、12 天井部、13 天井裏空間、14 躯体部、15 排気ダクト、21 土間部、22 玄関ホール部、23,123 下足収納部、30 基準天井、31 開口、32 開閉部材、33 立上り部、34 突出部、41 保持部材、42 回転引手、43 照明具、50 通信用配線設備、51 分電盤、52 LANパネル、53 ルータ、55 取付け部材。

Claims (6)

  1. 住宅の玄関における天井部の構造であって、
    玄関空間の上方に位置し、かつ、上下方向に貫通する開口を有する玄関天井と、
    前記玄関天井の裏側に位置し、かつ、前記開口の周辺部に、分電盤および通信用配線設備の少なくとも一方が設置される天井裏空間と、
    前記開口を開閉可能に設けられ、水平方向に延在する下面を有する開閉部材とを備え、
    前記開閉部材は、前記開口を閉鎖した通常状態において、前記下面が前記玄関天井の天井面よりも高い位置に位置することによって折り上げ天井を構成する、玄関の天井部構造。
  2. 前記天井裏空間に配置され、前記開閉部材をスライド移動可能に保持するための保持部材をさらに備える、請求項1に記載の玄関の天井部構造。
  3. 前記開閉部材の下面の色および素材の少なくとも一方が、前記玄関天井の天井面と同じである、請求項1または2に記載の玄関の天井部構造。
  4. 前記玄関空間は、下足収納部が配置された土間部を含み、
    前記開口は、前記土間部の上方位置であって、平面視において前記下足収納部と重ならない位置に配置されている、請求項1〜3のいずれかに記載の玄関の天井部構造。
  5. 前記玄関天井の前記開口側端部から前記開閉部材の下面付近まで上方に立ち上がる立上り部をさらに備え、
    前記玄関天井は、前記立上り部よりも前記開口側へ突出する突出部を有しており、
    前記玄関天井の前記突出部の上に、前記玄関空間を間接的に照らすための照明具が取付けられている、請求項1〜4のいずれかに記載の玄関の天井部構造。
  6. 下足収納部が配置された玄関空間と、
    前記玄関空間の上方に位置し、かつ、上下方向に貫通する開口を有する玄関天井と、
    前記玄関天井の裏側に位置し、かつ、前記開口の周辺部に、分電盤および通信用配線設備の少なくとも一方が設置される天井裏空間と、
    前記開口を開閉可能に設けられ、水平方向に延在する下面を有する開閉部材とを備え、
    前記開閉部材は、前記開口を閉鎖した通常状態において、前記下面が前記玄関天井の天井面よりも高い位置に位置することによって折り上げ天井を構成する、住宅の玄関構造。
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