JP2017172077A - 紙の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】 良好な湿潤摩擦強度と内部結合強度とを有し水彩画用紙として好適な紙の製造方法を提供すること。
【解決手段】 パルプスラリーにポリアミドエピクロロヒドリン系のエポキシ樹脂と、アニオン性または両性であるグァガムと、硫酸バンドとを添加して調整された原料で抄紙を行う工程を有し、前記ポリアミドエピクロロヒドリン系のエポキシ樹脂と前記アニオン性または両性であるグァガムとの添加比率が重量比率で1:1〜1:2の範囲であり、前記アニオン性または両性であるグァガムに対する前記硫酸バンドの添加比率が0.1〜0.5倍であることを特徴とする。
【選択図】図3

Description

本発明は紙の製造方法に係り、特に、高度な湿潤強度と内部結合強度を有し水彩画用紙としても好適な紙の製造方法に関する。
従来より、水彩画用紙には様々な適性が求められている。例えば、水の吸収性、発色性、色再現性といった一般的な適性、さらには絵具塗布、拭き取り時の紙面の強度などがあげられる。このような特性を付与するために水彩画用紙に関する様々な提案がなされている。例えば、特許文献1には、水性絵具の水が速やかに紙の内部に吸収され、画線がにじまず、均一な発色性を持ち、経時により紙が変色したり、強度劣化したりしにくい高級水彩紙を得る方法が提案されている。また特許文献2ではケミカルパルプに無緊張状態でマーセライズ処理したマリー麻繊維を混抄することによって、水彩画用紙中のセルロース繊維上に吸着される色素粒子の密度を増加させ、色素の深度効果を達成し、絵具の画用紙上での色再現性が測れる水彩画用紙を得る方法が提案されている。
特許文献3ではパルプスラリーにグァガムとポリアミドエピクロロヒドリン樹脂を重量比率で0.5:1〜1:1の範囲で添加して抄紙することによって良好な湿潤強度と耐アルカリ性を有する紙の製造方法が提案されている。また特許文献4ではパルプ系繊維に複合合成繊維を混合して湿潤時の強力及び寸法安定性の優れた高湿潤強力紙を提供する提案がされている。さらに特許文献5では原料調成時と抄紙直前の二度に分けて湿潤紙力剤を添加することによって遮蔽性、填料OPARを維持した状態で十分な湿潤強度が発現するような化粧板原紙の製造方法が提案されている。特許文献6ではパルプを主成分とし、表層と裏層とを含む2層以上の紙層からなる多層抄き紙であって、前記表層に含まれるパルプのうち70〜100質量%がLBKPであり、多層抄き紙全体に含まれるパルプのうち40〜70質量%がNBKPであり、坪量が100〜300g/m2であり、湿潤紙力増強剤が含まれることを特徴とする、高温多湿の環境下でも破れ難く、且つ熱転写方式、凸版印刷、グラビア印刷などの印刷適性を満足できる程度の表面平滑性を有する多層抄き紙が提案されている。
さらに、特許文献7では主成分に広葉樹クラフトパルプを用い、アクリルアミドを基剤とする紙力増強剤の存在下で抄紙され、蓋材用基材を離解した離解後パルプのフリーネスが350〜500ccであり、離解後パルプの重量平均繊維長が0.5〜1.0mmであり、離解後パルプのうち90重量%以上を繊維長1.5mm以下の繊維が占め、蓋材用基材の幅方向と流れ方向におけるインターナルボンドの平均値が、200mJ以上であることを特徴とする蓋材用基材が提案されている。
特開平10−018195号公報 特開平10−168779号公報 特開平06−294094号公報 特開昭62−090400号公報 特開2011−219874号公報 特開2015−218422号公報 特開2010−149881号公報
この様に湿潤紙力と内部結合強度を向上させる提案が種々されているものの、高い湿潤紙力と内部結合強度を要求される水彩画用紙では、従来の技術だけでは満足できる紙基材を得ることができなった。また、水彩画用紙では絵具適性を向上させるために主成分とするパルプとしてコットンパルプを選択することがあるが、コットンパルプを多量に配合すると湿潤紙力が低下する傾向にあり、濡れた筆で何度も擦られることに対する耐性については不十分であった。
本発明はこのような問題を鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、濡れた状態でも良好な耐擦り強度(以下、「湿潤摩擦強度」ということがある)と内部結合強度をもつ紙の製造方法を提供することにある。なお、ここで「濡れた状態での耐擦り強度」「湿潤摩擦強度」とは、濡れた状態での紙表面の擦り強さを見る評価である。
本発明の他の目的とするところは、先の特徴に加え、良好な絵具適性を有する水彩画用紙の製造方法を提供することにある。
また、本発明の更に他の目的並びに作用効果については、以下の記述を参照することにより、当業者であれば容易に理解されるであろう。
本発明に係る紙の製造方法は、パルプスラリーにポリアミドエピクロロヒドリン系のエポキシ樹脂と、アニオン性または両性であるグァガムと、硫酸バンドとを添加して調整された原料で抄紙を行う工程を有し、前記ポリアミドエピクロロヒドリン系のエポキシ樹脂と前記アニオン性または両性であるグァガムとの添加比率が重量比率で1:1〜1:2の範囲であり、前記アニオン性または両性であるグァガムに対する前記硫酸バンドの添加比率が0.1〜0.5倍であることを特徴とする。
このような構成によれば、比湿潤引張強度、内部結合強度、湿潤摩擦強度に優れ、濡れた筆で何度も塗り重ねるような場合であっても十分な強度を有し、水彩画用紙としても好適な紙を製造することができる。
また、本発明の好ましい実施の形態においては、前記パルプスラリーには、パルプ全量に対してコットンリンターパルプが20質量%以上含まれてもよい。
このような構成によれば、絵具の広がりが向上し、描画適性に優れた紙を製造することができる。
本発明の好ましい実施の形態においては、前記パルプスラリー中のパルプの濾水度が350〜750mlCSFであってもよい。
このような構成によれば、紙表面の地合いが整いやすくなり、より水彩画に適した紙面を有する紙を製造することができる。
本発明の好ましい実施の形態においては、前記ポリアミドエピクロロヒドリン系のエポキシ樹脂の添加率が、パルプの絶乾重量に対して1〜4質量%であってもよい。
このような構成によれば、湿潤摩擦強度と内部結合強度に優れ、抄紙系内等も汚さないバランスの取れた紙を製造することができる。
本発明の好ましい実施の形態においては、前記水彩画用紙のJIS P 8135:1998に準拠する比湿潤引張強度が6.0Nm/g以上であり、且つ、JAPAN TAPPI No.18−2に規定された内部結合強度が125mJ以上であってもよい。
このような構成によれば、十分な湿潤摩擦強度と内部結合強度が担保され、濡れた筆で何度も紙面を擦った場合でも、紙面の荒れと紙粉の脱落が起こらず水彩画用紙として好適な紙を製造することができる。
本発明の好ましい実施の形態においては、前記紙が水彩画用紙として使用されてもよい。
このような構成によれば、十分な湿潤摩擦強度と内部結合強度、良好な絵具適性を有する水彩画用紙を提供することができる。
本発明によれば、優れた湿潤摩擦強度と内部結合強度をもつ紙を提供することができ、絵具を塗り重ねる際に濡れた筆で何度も紙面を擦られるような場合でも紙面の荒れや紙粉の脱落等が起こらない紙を提供することが可能となる。
また、本発明の好ましい実施の形態によれば、上述の特徴に加えて、更に良好な絵具適性をも有し、水彩画用紙として好適な紙を提供することが可能となる。
実施例及び比較例における紙の組成を示す図表(その1)である。 実施例及び比較例における紙の組成を示す図表(その2)である。 実施例及び比較例における紙の物性を示す図表である。
本発明において用いるパルプは特に限定するものではなく、針葉樹晒クラフトパルプ(NBKP)、針葉樹晒サルファイトパルプ(NBSP)、広葉樹晒クラフトパルプ(LBKP)、広葉樹晒サルファイトパルプ(LBSP)に代表される木材漂白化学パルプを使用することができる。また、必要に応じて、GP(砕木パルプ)、TMP(サーモメカニカルパルプ)、BCTMP(晒ケミサーモメカニカルパルプ)等の機械パルプ、古紙パルプ、更には、木材パルプ以外の楮、三椏、雁皮、麻、バガス、ケナフ、竹、コットンリンターなどの非木材パルプ、合成パルプ、合成繊維なども適宜選択して使用することができる。これらの中でも、描画適性の向上の点から、コットンリンターパルプを含有させることが好ましい。
本発明においては、パルプスラリーにコットンリンターパルプを含ませることで、描画適性に優れた水彩画用紙としても好適な紙を得ることができる。コットンリンターパルプは木材パルプ等に比べて比較的繊維長が長いため、毛管現象により用紙表面における絵具の広がりを適度に向上させることができる。このため、コットンリンターパルプを配合した紙は、水性絵具に対する優れた描画適正(以下、「絵具適正」ということがある)を有し、水彩画用紙としてより好適なものとなる。
本発明においてコットンリンターパルプの配合量は特に限定するものではないが、全パルプに対し、20質量%以上であることが好ましく、50質量%以上であればより好ましく、70質量%以上であれば更に好ましい。基本的にはコットンリンターパルプの配合量が多くなるほど紙の絵具適正は向上する。
尚、コットンリンターパルプは、他の木材パルプ(例えばLBKP)に比べて、湿潤摩擦強度が得られ難い問題があり、LBKPと併用する場合であっても、コットンリンターパルプの配合量が多くなるほど湿潤摩擦強度は低下する傾向にある。つまり、コットンリンターパルプを配合することによる絵具適正の付与と湿潤摩擦強度とはトレードオフの関係にあり、両立させることは困難であった。しかしながら、本発明によれば、エポキシ樹脂と、アニオン性または両性であるグァガムと、硫酸バンドとを併用したことにより、コットンリンターパルプを用いても、高度な湿潤摩擦強度と内部結合強度を有する紙が得られ、絵具適正と湿潤摩擦強度とを両立させることができる。そして、高度な湿潤摩擦強度と内部結合強度、絵具適性に優れるため、本発明に係る紙は、絵具を重ね塗りするなどの際に濡れた筆などで何度も擦られても紙表面が毛羽立ちにくく、水彩画用紙として好適に用いることができる。
本発明において用いられるパルプの濾水度は特に限定するものではないが、それぞれのパルプについてカナダ標準濾水度(フリーネス)(JIS P 8121:1995「パルプのろ水度試験方法」)で、350〜750mlCSFとすることが好ましく、より好ましくは400〜700mlである。濾水度をこの範囲とすることで地合いを整えることが容易となり、地合いが整い適度な吸収性を有する水彩画に適した紙面を得やすくなる。パルプの濾水度が400mlCSF未満となると、吸水性が乏しくなり、絵具適正を満足できないおそれがある。逆に750mlCSFを超えると地合が悪化するおそれがある。
本発明において用いられるポリアミドエピクロロヒドリン系のエポキシ樹脂は、一例として、飽和二塩基酸とポリアルキレンポリアミンを縮合させてポリアミドを生成し、次いでエピクロロヒドリンを反応させることで作ることができる。このようなエポキシ樹脂は、水溶性、陽イオン性、熱硬化性であり、弱酸性からアルカリ性の広いpH領域で紙に湿潤及び乾燥強度を付与する薬剤である。
本発明において用いられるポリアミドエピクロロヒドリン系のエポキシ樹脂の添加率は、パルプの絶乾重量当たり1〜4質量%とすることが好ましい。添加率が1質量%未満になると、エポキシ樹脂による効果が十分に得られず湿潤摩擦強度及び内部結合強度が十分に向上しないおそれがある。一方、添加率が4質量%を超えると、湿潤摩擦強度及び内部結合強度の向上が頭打ちとなることに加え、ポリアミドエピクロロヒドリン系のエポキシ樹脂の過剰な添加による抄紙系内の汚れが懸念され、経済的にも不利となる。
本発明において用いられるグァガムは多糖類の一種であり、主成分はマンノガラクタンである。インドやアメリカで栽培されるグァー(クラスタマメ)の木の種の胚乳から得られるもので、強度特性を高める為にビーター添加剤やウェットエンド添加剤、表面紙力剤などとして使用される。本発明において用いるグァガムとしては、アニオン性または両性のグァガムが有効である。これはカチオン性のポリアミドエピクロロヒドリン系のエポキシ樹脂と好適に結合し紙力を向上させる為である。
本発明においては、パルプスラリーに、ポリアミドエピクロロヒドリン系のエポキシ樹脂とグァガムとを重量比率で1:1〜1:2の範囲で添加する。グァガムの添加率がこの範囲より少なくなると湿潤摩擦強度の向上効果が不足する。逆に、グァガムの添加率がこの範囲より多くなると、パルプスラリーの電位が過剰なマイナスに偏ることで原料薬品の定着悪化につながり、結果として湿潤引張強度と内部結合強度の低下を及ぼす。
本発明において硫酸バンドの添加量は、パルプスラリー中のグァガムに対し0.1〜0.5倍とする。なおここで硫酸バンドの添加量は、硫酸アルミニウム16水和物換算の値である。グァガムに対して硫酸バンドを上述の範囲で添加することで、紙の湿潤摩擦強度と内部結合強度が大幅に向上する。グァガムに対する硫酸バンドの添加量が0.1倍より小さくなると、硫酸バンドの添加量が不十分であるため硫酸バンドによる湿潤摩擦強度と内部結合強度の向上効果が十分に得られない。逆にグァガムに対する硫酸バンドの添加量が0.5倍より大きくなると、湿潤摩擦強度と内部結合強度の向上効果が頭打ちとなることに加え、パルプスラリーがカチオン性に偏ることで抄紙系内の汚れが懸念され、経済的にも不利となる。
硫酸バンドを添加することで湿潤摩擦強度と内部結合強度が向上するのは次のような作用機序によるものと考えられる。水彩画用紙として使用される際の使用状況を想定すると、絵具での描画時に水分が紙に浸透して濡れることによる強度低下が生じ、さらに筆等で擦られることによって紙層内のメクレや紙面の荒れ、紙粉の脱落が生じる。その為湿潤摩擦強度の強弱には、湿潤引張強度だけではなく内部結合強度も関連していると考えられる。本発明において硫酸バンドを添加することにより湿潤摩擦強度と内部結合強度が大幅に向上するのは、グァガムにより電位がマイナスに傾斜したパルプスラリーを硫酸バンドがカチオンで中和することでグァガムやエポキシ樹脂を含む抄紙薬品全般の定着が向上するためと考えられる。
尚、ポリアミドエピクロロヒドリン系のエポキシ樹脂と、アニオン性または両性であるグァガムと、硫酸バンドとの添加順は特に限定するものではないが、一例として、水中にパルプを分散させた後、ポリアミドエピクロロヒドリン系のエポキシ樹脂と、アニオン性または両性であるグァガムとを所定量添加して分散させ、その後に硫酸バンドを添加するという順番が考えられる。
本発明において、パルプスラリーには、本発明の目的とする効果を損なわない範囲で、填料、サイズ剤、紙力剤、歩留まり向上剤、等の各種製紙用資材を含有させることができる。填料としては、水和珪酸、ホワイトカーボン、タルク、カオリン、クレー、炭酸カルシウム、酸化チタン、アルミノケイ酸塩、焼成クレー、硫酸バリウム、合成樹脂填料などの公知の填料を1種以上使用することができ、この中でも炭酸カルシウムは、紙の保存性向上に効果がある。
本発明においてサイズ剤を用いる場合には、内添で良好なサイズ性を発揮するものが好ましく、例えば、パラフィンワックス系サイズ剤、マイクロクリスタリンワックス系サイズ剤、カルナウバ(カルナバワックス)系サイズ剤、アルキルケテンダイマーワックス系サイズ剤、ロジン系サイズ剤、アルケニル無水コハク酸サイズ剤等を1種以上使用することができる。紙力剤としては、澱粉、カチオン化澱粉、その他変性澱粉、ポリアクリルアミド系樹脂、尿素ホルマリン樹脂、メラミンホルマリン樹脂、植物ガム、ポリビニルアルコール、変性ポリビニルアルコール、ゴム系ラテックス、ポリエチレンオキサイド、ポリアミド樹脂などを1種以上使用することができる。紙力剤としては、これらの中でも表面強度と層間強度との向上に効果の高いカチオン化澱粉、ポリアクリルアミドを用いることが好ましい。
また本発明においては、必要に応じて紙の表面にサイズプレスで各種助剤を塗布することもできる。例えば、絵具の定着性や表面強度を向上させるためにサイズプレスでゼラチン、澱粉、ポリビニルアルコール、ポリアクリルアミド等の紙力剤を塗布することができる。他には、サイズ性を向上させる目的でスチレンアクリル系樹脂、アルキルケテンダイマー等の表面サイズ剤を塗布してもよい。
本発明において紙の抄紙方法は特に限定するものではなく、円網抄紙機、短網抄紙機、長網抄紙機、これらの抄紙機のコンビネーション抄紙機など従来から周知の抄紙機を使用して、単層または抄合わせにて抄造できる。抄合わせとする場合には抄合わせ各層の層間剥離を防止するために層間用澱粉等の紙力剤をスプレー塗布しても良い。
先にも述べたように、本発明に係る紙は湿潤摩擦強度と内部結合強度に優れたものである。なお、湿潤摩擦強度についてはJIS P 8135:1998(紙及び板紙−湿潤引張強さ試験方法)に準拠して測定された比湿潤引張強度が6.0Nm/g以上、内部結合強度についてはJAPAN TAPPI No.18−2(紙及び板紙−内部結合強さ試験方法−第2部:インターナルボンドテスタ法)に規定された方法で測定された内部結合強度が125mJ以上であれば本発明の目的を満足し、紙面の荒れや紙粉の脱落が生じない紙となる。
次に、実施例及び比較例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれらの例に限定されるものではない。また、例中の「部」、「%」は、特に断らない限りそれぞれ固形分換算での質量部又は質量%を示す。また、硫酸バンドについては硫酸アルミニウム16水和物としての固形分部数を示す。
(実施例1)
コットンリンターパルプ(フリーネス574mlCSF)100部を水中に分散してパルプスラリーとし、該パルプスラリーにポリアミドエピクロロヒドリン系のエポキシ樹脂(商品名:ポリフィックス259、昭和電工株式会社製)1.0部、アニオン性のグァガム(商品名:メイプロイド840/D0、Danisco−Zaandam−BV社製)1.0部、硫酸バンド(テクノ北越製)0.5部をそれぞれ添加し紙料を得た後、その紙料を用い実験用手抄き装置(十研式角型抄紙装置)にて抄紙して坪量95g/m2の紙を得た。
(実施例2)
アニオン性のグァガムの添加率を2.0部とした以外は、実施例1と同様にして紙を得た。
(実施例3)
硫酸バンドの添加率を0.2部とした以外は、実施例2と同様にして紙を得た。
(実施例4)
硫酸バンドの添加率を1.0部とした以外は、実施例2と同様にして紙を得た。
(実施例5)
アニオン性のグァガム2.0部を両性のグァガム(商品名:メイプロイドK、Danisco−Zaandam−BV社製)2.0部に変更した以外は、実施例2と同様にして紙を得た。
(実施例6)
ポリアミドエピクロロヒドリン系のエポキシ樹脂の添加率を2.0部に変更した以外は、実施例4と同様にして紙を得た。
(実施例7)
使用するパルプをコットンリンターパルプ(フリーネス574mlCSF)50部とNBSP(フリーネス495mlCSF)50部に変更した以外は、実施例1と同様にして紙を得た。
(実施例8)
使用するパルプをコットンリンターパルプ(フリーネス574mlCSF)50部とLBKP(フリーネス501mlCSF)50部に変更した以外は、実施例1と同様にして紙を得た。
(実施例9)
使用するパルプをNBSP(フリーネス495mlCSF)100部に変更した以外は、実施例1と同様にして紙を得た。
(実施例10)
使用するパルプをLBKP(フリーネス501mlCSF)100部に変更した以外は、実施例1と同様にして紙を得た。
(参考例1)
硫酸バンドの添加率を2.0部に変更した以外は、実施例2と同様にして紙を得た。
(比較例1)
硫酸バンドを無添加に変更した以外は、実施例1と同様にして紙を得た。
(比較例2)
硫酸バンドを無添加に変更した以外は、実施例2と同様にして紙を得た。
(比較例3)
アニオン性のグァガムの添加率を4.0部に変更した以外は、実施例1と同様にして紙を得た。
(比較例4)
アニオン性のグァガム1.0部をノニオン性のグァガム(商品名:メイプロイド5306、Danisco−Zaandam−BV社製)1.0部に変更した以外は、実施例1と同様にして紙を得た。
(比較例5)
アニオン性のグァガム1.0部をカチオン性のグァガム(商品名:メイプボンド111、Danisco−Zaandam−BV社製)1.0部に変更した以外は、実施例1と同様にして紙を得た。
(比較例6)
アニオン性のグァガムの添加率を0.5部に変更した以外は、実施例1と同様にして紙を得た。
(比較例7)
硫酸バンドを無添加に変更した以外は、実施例9と同様にして紙を得た。
各実施例、参考例及び比較例における紙料構成の概要を図1,2に、得られた紙の評価結果を図3にそれぞれ示す。尚、評価についてはそれぞれ以下の方法で行った。
<比湿潤引張強度>
JIS P 8135:1998(紙及び板紙−湿潤引張強さ試験方法)に準拠して紙の一辺に沿う方向(縦方向)と、直角に対向する方向(横方向)のそれぞれについて湿潤引張強度を測定し、その平均値を米坪(g/m2)の値によって除した数値を比湿潤引張強度の値とした。
<内部結合強度(インターナルボンド)>
JAPAN TAPPI No.18−2(紙及び板紙−内部結合強さ試験方法−第2部:インターナルボンドテスタ法)に規定された方法で測定した。
<湿潤摩擦強度>
摩擦部の重量が300gになるように錘で調整した学振型摩擦堅牢度試験機(JIS P 8136準拠 テスター産業株式会社製)を用い、実施例及び比較例で得られた紙の一方の面が試験面となるように試験機に固定する。摩擦部に、綿100%のバイアステープ(商品名:CP25 Hi−コットンCP34 ピュアコットン 色290、キャプテン株式会社製)を23℃に調温した蒸留水に1分以上浸漬した後、バイアステープを搾らずに取り付ける。摩擦部を紙の試験面に接触させながら5往復させた後、紙及び摩擦部バイアステープを試験機から取り外す。取り外した紙及び摩擦部バイアステープを十分に乾燥後、紙の試験面の荒れや紙粉の脱落度合いについて、紙の試験面とバイアステープの摩擦した部分の両方を目視により確認し、以下の4段階で評価した。
◎:紙面の荒れ、紙粉の脱落が認められない。合格。
○:紙面の荒れ、紙粉の脱落がわずかに認められるが実用上問題ない。合格。
△:紙面の荒れ、紙粉の脱落が認められ実用上問題あり。不合格。
×:紙面の荒れ、紙粉の脱落が著しく実用上問題あり。不合格。
<絵具適性>
水彩画用紙では塗布した絵具が均一に広がることが機能として重視されている。この絵具適性の評価では絵具の広がり具合を目視で確認した。具体的には、紙の一方の面が試験面となるように木製のパネル板に固定し、23℃に調温した蒸留水を平筆にて試験面に光沢が出るまで均一に塗布する。塗布した水が紙への吸収及び蒸発により半乾き(水による光沢が無くなった状態)になった後、直ちに、紙面から1cmの高さから水彩用絵具(商品名:コバルトブルー、ホルベイン工業株式会社製)を蒸留水で10倍に希釈した絵具水溶液を1mlシリンジで1滴落下させ、自然乾燥させた後、絵具の広がり具合を目視にて確認し、以下の4段階で評価した。
◎:放射状に均一に滴下液端面から2cm以上広がる。合格。
○:放射状にほぼ均一に滴下液端面から1.5cm〜2cm広がる。合格。
△:放射状に滴下液端面から1cm以上広がるが、広がり方が不均一であり、実用上問題あり。不合格。
×:1cm未満しか広がらず、実用上問題あり。不合格。
図3から明らかなように、本発明の各実施例で得られた紙は、比湿潤引張強度(縦)が6.0Nm/g以上かつ内部結合強度(インターナルボンド)が125mJ以上であり、湿潤摩擦強度についても実用上問題無いものであった。また、コットンリンターパルプを配合した実施例1〜8の紙は、絵具適正にも優れ水彩画用紙として好適な紙であった。
これに対して、硫酸バンドを添加しなかった比較例1,2,7の紙は、絵具適性はあるものの、湿潤摩擦強度、内部結合強度、湿潤引張強度の何れについても実用に適さないものであった。これは、硫酸バンドを添加しなかったことにより各種抄紙薬品による効果が十分に得られなかったことが理由であると考えられる。
また、実施例4と参考例1の結果から明らかなように、グァガムに対して0.5倍よりも多い量の硫酸バンドを添加しても湿潤摩擦強度、内部結合強度、湿潤引張強度の更なる向上は見られないことに加え、抄紙系内がカチオン性に偏ることにより汚れの要因となることから、操業性と経済面の双方から好ましくないことが明らかである。
また、実施例1,2と比較例3,6の結果から、ポリアミドエピクロロヒドリン系のエポキシ樹脂とグァガムの添加比率は、重量比率で1:1〜1:2の範囲であることが好ましい。比較例6のようにグァガムの添加率がポリアミドエピクロロヒドリン系のエポキシ樹脂の添加率に対し重量比率で1より少なくなると、湿潤摩擦強度、内部結合強度、湿潤引張強度の何れについても劣るものとなる。逆に、比較例3のようにグァガムの添加率がポリアミドエピクロロヒドリン系のエポキシ樹脂の添加率に対し重量比率で2を超えると、パルプスラリーの電位が過剰なマイナスに偏り原料薬品の定着が悪化し、特に、内部結合強度の低下につながった。
さらに、実施例2,5と比較例4,5の結果から明らかなように、ポリアミドエピクロロヒドリン系のエポキシ樹脂との併用にはアニオン性又は両性のグァガムが必要となる。これは、カチオン性であるポリアミドエピクロロヒドリン系のエポキシ樹脂とアニオン性又は両性であるグァガムとが好適に結合し紙力を向上させる為である。
本発明によれば、良好な湿潤摩擦強度と内部結合強度とを有する紙を製造することができ、このような紙は水彩画用紙としても好適である。

Claims (6)

  1. パルプスラリーにポリアミドエピクロロヒドリン系のエポキシ樹脂と、アニオン性または両性であるグァガムと、硫酸バンドとを添加して調整された原料で抄紙を行う工程を有し、
    前記ポリアミドエピクロロヒドリン系のエポキシ樹脂と前記アニオン性または両性であるグァガムとの添加比率が重量比率で1:1〜1:2の範囲であり、
    前記アニオン性または両性であるグァガムに対する前記硫酸バンドの添加比率が0.1〜0.5倍であることを特徴とする紙の製造方法。
  2. 前記パルプスラリーには、パルプ全量に対してコットンリンターパルプが20質量%以上含まれることを特徴とする請求項1記載の紙の製造方法。
  3. 前記パルプスラリー中のパルプの濾水度が350〜750mlCSFであることを特徴とする請求項1又は2に記載の紙の製造方法。
  4. 前記ポリアミドエピクロロヒドリン系のエポキシ樹脂の添加率が、パルプの絶乾重量に対して1〜4質量%であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の紙の製造方法。
  5. 前記紙のJIS P 8135:1998に準拠する比湿潤引張強度が6.0Nm/g以上であり、且つ、JAPAN TAPPI No.18−2に規定された内部結合強度が125mJ以上であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の紙の製造方法。
  6. 前記紙が水彩画用紙であることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の紙の製造方法。
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