JP2017171955A - アルミニウム合金製ブレージングシート - Google Patents
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Abstract
【課題】板厚200μm未満の薄肉材であっても、ろう付後強度、耐食性に優れ、ろう材側と犠牲材側の両面におけるろう付性にも優れたアルミニウム合金製ブレージングシートを提供する。
【解決手段】心材2と、心材2の一方の面に設けられたAl−Si系合金からなるろう材3と、心材2の他方の面に設けられたAl−Zn系合金からなる第1犠牲材4と、第1犠牲材4と心材2との間に設けられたAl−Zn−Mg系合金からなる第2犠牲材5とを備えるアルミニウム合金製ブレージングシート1であって、ブレージングシート1は、板厚が200μm未満であり、心材2は、Mn、Cuを所定量含有し、残部がAlおよび不可避的不純物からなり、第1犠牲材4は、Znを所定量含有し、Mgが所定量未満であり、残部がAlおよび不可避的不純物からなり、第2犠牲材5は、Zn、Mgを所定量含有し、残部がAlおよび不可避的不純物からなることを特徴とする。
【選択図】図1
【解決手段】心材2と、心材2の一方の面に設けられたAl−Si系合金からなるろう材3と、心材2の他方の面に設けられたAl−Zn系合金からなる第1犠牲材4と、第1犠牲材4と心材2との間に設けられたAl−Zn−Mg系合金からなる第2犠牲材5とを備えるアルミニウム合金製ブレージングシート1であって、ブレージングシート1は、板厚が200μm未満であり、心材2は、Mn、Cuを所定量含有し、残部がAlおよび不可避的不純物からなり、第1犠牲材4は、Znを所定量含有し、Mgが所定量未満であり、残部がAlおよび不可避的不純物からなり、第2犠牲材5は、Zn、Mgを所定量含有し、残部がAlおよび不可避的不純物からなることを特徴とする。
【選択図】図1
Description
本発明は、自動車用の熱交換器等に用いられるアルミニウム合金製ブレージングシートに関する。
近年、自動車用熱交換器はさらに、軽量化、小型化の傾向にあり、それに伴い熱交換器の質量の多くを占めるチューブ材を構成するブレージングシートの薄肉化が望まれている。そして、薄肉化のためには、薄肉化に相当するだけの高強度化、高耐食化を図ることが必要である。
そこで、例えば、特許文献1には、高強度、高耐食性であり、ろう付性に優れたブレージングシート(アルミニウム合金複合材)が開示されている。このブレージングシートは、クラッド材の犠牲材(皮材)に所定量のMgを添加させることで、ろう付加熱時の元素拡散を利用し、犠牲材に添加したMgとろう材のSiを心材に拡散させている。これにより、心材内部でMg-Si系金属間化合物を生成させることで、クラッド材のろう付後強度を向上させている。また、犠牲材に添加したMgがろう材層まで到達しないことにより、ろう付性の低下を回避させている。また、ラジエータチューブのような用途では、この犠牲材により耐食性を著しく向上させている。
特許文献2には、ブレージングシートの心材にMgを添加したAl−Si−Fe−Cu−Mn−Mg系合金を使用した、ろう付性やろう付後強度に優れたブレージングシートが開示されている。
特許文献2には、ブレージングシートの心材にMgを添加したAl−Si−Fe−Cu−Mn−Mg系合金を使用した、ろう付性やろう付後強度に優れたブレージングシートが開示されている。
しかしながら、従来の技術においては、以下の問題がある。
特許文献1に記載のブレージングシートでは、犠牲材にMgを添加しているため、犠牲材側のろう付性を必要としない電縫溶接チューブ等として適用されている。しかしながら、特許文献1に記載のブレージングシートでは、犠牲材側をろう付するチューブ形状には適用が難しい。
また、特許文献2に記載のブレージングシートでは、さらなる高強度化のため、これ以上、心材にMgを添加すると、ろう材側のろう付性が低下してしまう。
また、ブレージングシートにおいては、さらなる薄肉化のため、ろう付性を維持しつつ、強度、耐食性のさらなる向上が望まれている。
特許文献1に記載のブレージングシートでは、犠牲材にMgを添加しているため、犠牲材側のろう付性を必要としない電縫溶接チューブ等として適用されている。しかしながら、特許文献1に記載のブレージングシートでは、犠牲材側をろう付するチューブ形状には適用が難しい。
また、特許文献2に記載のブレージングシートでは、さらなる高強度化のため、これ以上、心材にMgを添加すると、ろう材側のろう付性が低下してしまう。
また、ブレージングシートにおいては、さらなる薄肉化のため、ろう付性を維持しつつ、強度、耐食性のさらなる向上が望まれている。
本発明は、前記問題を解決するものであり、板厚200μm未満の薄肉材であっても、ろう付後強度、耐食性に優れ、ろう材側と犠牲材側の両面におけるろう付性にも優れたアルミニウム合金製ブレージングシートを提供することを課題とする。
本発明は、板厚200μm未満の薄肉ラジエーター等のろう付チューブ材として用いる、ろう付性を維持しつつ、ろう付後の高強度、高耐食性を有するアルミニウム合金製ブレージングシートを開発したものである。
本発明者らは、上記課題を解決するために、アルミニウム合金製ブレージングシート(以下、適宜、ブレージングシートという)について、板厚200μm未満に適用するためにさらなる高強度化、高ろう付性、高耐食性の全てを達成する難点を克服するために鋭意検討を重ねた。その結果、犠牲材を2層構造とし、表層側の第1犠牲材のMg含有量を一定未満に規制し、心材側の第2犠牲材を一定量のMg含有量とすることで、犠牲材側のろう付性を確保できることに加えて、心材の強度向上とろう材側のろう付性も両立させることができることを見出した。これは、第1犠牲材が第2犠牲材のMg拡散抑制層の役割となり、犠牲材側のろう付性を確保できることに加えて、第2犠牲材のMgを心材方向に拡散させて、心材のろう付後の強度向上とろう材側のろう付性が維持されることによるものである。
本発明者らは、さらに、心材のCu添加量を比較的高くすることで、ろう付熱処理後の強度をさらに向上させることができることを見出した。
なお、第2犠牲材のMgが心材方向に拡散するのはろう付の熱処理中であり、心材がMg拡散抑制層の役割を果たすことでろう材側のろう付性を低下させることなく、心材にMgが拡散することで心材のろう付後強度が向上する。
本発明者らは、上記課題を解決するために、アルミニウム合金製ブレージングシート(以下、適宜、ブレージングシートという)について、板厚200μm未満に適用するためにさらなる高強度化、高ろう付性、高耐食性の全てを達成する難点を克服するために鋭意検討を重ねた。その結果、犠牲材を2層構造とし、表層側の第1犠牲材のMg含有量を一定未満に規制し、心材側の第2犠牲材を一定量のMg含有量とすることで、犠牲材側のろう付性を確保できることに加えて、心材の強度向上とろう材側のろう付性も両立させることができることを見出した。これは、第1犠牲材が第2犠牲材のMg拡散抑制層の役割となり、犠牲材側のろう付性を確保できることに加えて、第2犠牲材のMgを心材方向に拡散させて、心材のろう付後の強度向上とろう材側のろう付性が維持されることによるものである。
本発明者らは、さらに、心材のCu添加量を比較的高くすることで、ろう付熱処理後の強度をさらに向上させることができることを見出した。
なお、第2犠牲材のMgが心材方向に拡散するのはろう付の熱処理中であり、心材がMg拡散抑制層の役割を果たすことでろう材側のろう付性を低下させることなく、心材にMgが拡散することで心材のろう付後強度が向上する。
すなわち、本発明のアルミニウム合金製ブレージングシートは、心材と、前記心材の一方の面に設けられたAl−Si系合金からなるろう材と、前記心材の他方の面に設けられたAl−Zn系合金からなる第1犠牲材と、前記第1犠牲材と前記心材との間に設けられたAl−Zn−Mg系合金からなる第2犠牲材とを備えるアルミニウム合金製ブレージングシートであって、前記アルミニウム合金製ブレージングシートは、板厚が200μm未満であり、前記心材は、Mn:0.50質量%以上2.0質量%以下、Cu:1.20質量%を超え2.70質量%以下を含有し、残部がAlおよび不可避的不純物からなり、前記第1犠牲材は、Zn:2.0質量%以上12.0質量%以下を含有し、Mg:0.05質量%未満(0質量%を含む)であり、残部がAlおよび不可避的不純物からなり、前記第2犠牲材は、Zn:1.0質量%以上7.0質量%以下、Mg:0.05質量%以上3.0質量%以下を含有し、残部がAlおよび不可避的不純物からなることを特徴とする。
かかる構成を有することによって、本発明のアルミニウム合金製ブレージングシートは、ろう付後強度、耐食性およびろう付性をバランスよく、かつ高いレベルで満足させることが可能となる。
また、本発明のアルミニウム合金製ブレージングシートの心材は、Si:0.05質量%以上0.50質量%以下をさらに含有することが好ましい。
かかる構成を有することによって、さらに、ろう付後強度を向上させることができる。
かかる構成を有することによって、さらに、ろう付後強度を向上させることができる。
また、本発明のアルミニウム合金製ブレージングシートの心材は、Mg:0.05質量%以上0.50質量%以下をさらに含有することが好ましい。
かかる構成を有することによって、さらに、ろう付後強度を向上させることができる。
かかる構成を有することによって、さらに、ろう付後強度を向上させることができる。
また、本発明のアルミニウム合金製ブレージングシートの心材は、Cr:0.01質量%以上0.30質量%以下、Zr:0.01質量%以上0.30質量%以下、およびTi:0.05質量%以上0.30質量%以下からなる群から選択された少なくとも1種以上をさらに含有することが好ましい。
かかる構成を有することによって、さらに、ろう付後強度や耐食性を向上させることができる。
かかる構成を有することによって、さらに、ろう付後強度や耐食性を向上させることができる。
また、本発明のアルミニウム合金製ブレージングシートの第1犠牲材は、Si:0.20質量%以上1.0質量%以下をさらに含有することが好ましい。
かかる構成を有することによって、SiがAl、Mnと共に金属間化合物を形成して、さらに、ろう付後強度を向上させることができる。
かかる構成を有することによって、SiがAl、Mnと共に金属間化合物を形成して、さらに、ろう付後強度を向上させることができる。
また、本発明のアルミニウム合金製ブレージングシートの第1犠牲材は、Mn:0.10質量%以上2.0質量%以下をさらに含有することが好ましい。
かかる構成を有することによって、MnがAl、Siと共に金属間化合物を形成して、さらに、ろう付後強度を向上させることができる。
かかる構成を有することによって、MnがAl、Siと共に金属間化合物を形成して、さらに、ろう付後強度を向上させることができる。
また、本発明のアルミニウム合金製ブレージングシートの第1犠牲材は、Ti:0.01質量%以上0.30質量%以下、Cr:0.01質量%以上0.30質量%以下、およびZr:0.01質量%以上0.30質量%以下からなる群から選択された少なくとも1種以上をさらに含有することが好ましい。
かかる構成を有することによって、さらに、耐食性やろう付後強度を向上させることができる。
かかる構成を有することによって、さらに、耐食性やろう付後強度を向上させることができる。
また、本発明のアルミニウム合金製ブレージングシートの第2犠牲材は、Si:0.20質量%以上1.0質量%以下をさらに含有することが好ましい。
かかる構成を有することによって、SiがMgと析出相を形成して、さらに、ろう付後強度を向上させることができる。
かかる構成を有することによって、SiがMgと析出相を形成して、さらに、ろう付後強度を向上させることができる。
また、本発明のアルミニウム合金製ブレージングシートの第2犠牲材は、Mn:0.10質量%以上2.0質量%以下をさらに含有することが好ましい。
かかる構成を有することによって、固溶体を形成して、さらに、ろう付後強度を向上させることができる。
かかる構成を有することによって、固溶体を形成して、さらに、ろう付後強度を向上させることができる。
また、本発明のアルミニウム合金製ブレージングシートの第2犠牲材は、Ti:0.01質量%以上0.30質量%以下、Cr:0.01質量%以上0.30質量%以下、およびZr:0.01質量%以上0.30質量%以下からなる群から選択された少なくとも1種以上をさらに含有することが好ましい。
かかる構成を有することによって、さらに、耐食性やろう付後強度を向上させることができる。
かかる構成を有することによって、さらに、耐食性やろう付後強度を向上させることができる。
本発明に係るアルミニウム合金製ブレージングシートは、板厚200μm未満の薄肉材であっても、ろう付後強度、耐食性に優れ、ろう材側と犠牲材側の両面におけるろう付性にも優れている。
以下、本発明のアルミニウム合金製ブレージングシートを実施するための形態について詳細に説明する。
図1に示すように、アルミニウム合金製ブレージングシート1は、心材2と、心材2の一方の面に設けられたAl−Si系合金からなるろう材3と、心材2の他方の面に設けられたAl−Zn系合金からなる第1犠牲材4と、第1犠牲材4と心材2との間に設けられたAl−Zn−Mg系合金からなる第2犠牲材5とを備えており、板厚が200μm未満である。
本発明のアルミニウム合金製ブレージングシート1を構成する心材2、ろう材3、第1犠牲材4および第2犠牲材5について、以下順次、説明する。
<心材>
本発明の心材2は、Mn、Cuを所定量含有し、残部がAlおよび不可避的不純物からなる。
また、本発明の心材2は、Siをさらに所定量含有することが好ましい。また、本発明の心材2は、Mgをさらに所定量含有することが好ましい。また、本発明の心材2は、Cr、Zr、およびTiからなる群から選択された少なくとも1種以上をさらに所定量含有することが好ましい。
本発明の心材2を構成する各元素について、以下に説明する。なお、各成分の含有量は、心材2全体についての含有量である。
本発明の心材2は、Mn、Cuを所定量含有し、残部がAlおよび不可避的不純物からなる。
また、本発明の心材2は、Siをさらに所定量含有することが好ましい。また、本発明の心材2は、Mgをさらに所定量含有することが好ましい。また、本発明の心材2は、Cr、Zr、およびTiからなる群から選択された少なくとも1種以上をさらに所定量含有することが好ましい。
本発明の心材2を構成する各元素について、以下に説明する。なお、各成分の含有量は、心材2全体についての含有量である。
(心材のMn:0.50質量%以上2.0質量%以下)
Mnは、Al、Siと共に金属間化合物を形成し、結晶粒の粒内に微細に分布して分散強化に寄与し、ろう付後強度を向上させる。Mnの含有量が0.50質量%未満では、金属間化合物数が減少するため、金属間化合物による分散強化が向上せず、ろう付後強度が低下する。一方、Mnの含有量が2.0質量%を超えると、粗大な金属間化合物が多数生成し、圧延自体が困難となり、ブレージングシート1の製造が困難となる。したがって、心材2のMnの含有量は、0.50質量%以上2.0質量%以下とする。Mnの含有量は、前記効果をより向上させる観点から、好ましくは0.70質量%以上、より好ましくは0.90質量%以上である。また、粗大な金属間化合物の生成をより抑制する観点から、好ましくは1.8質量%以下、より好ましくは1.7質量%以下である。
Mnは、Al、Siと共に金属間化合物を形成し、結晶粒の粒内に微細に分布して分散強化に寄与し、ろう付後強度を向上させる。Mnの含有量が0.50質量%未満では、金属間化合物数が減少するため、金属間化合物による分散強化が向上せず、ろう付後強度が低下する。一方、Mnの含有量が2.0質量%を超えると、粗大な金属間化合物が多数生成し、圧延自体が困難となり、ブレージングシート1の製造が困難となる。したがって、心材2のMnの含有量は、0.50質量%以上2.0質量%以下とする。Mnの含有量は、前記効果をより向上させる観点から、好ましくは0.70質量%以上、より好ましくは0.90質量%以上である。また、粗大な金属間化合物の生成をより抑制する観点から、好ましくは1.8質量%以下、より好ましくは1.7質量%以下である。
(心材のCu:1.20質量%を超え2.70質量%以下)
Cuは、固溶強化によりろう付後の強度向上に寄与する。Cuの含有量が1.20質量%以下では、板厚200μm未満のブレージングシート1の場合、ろう付後に残存するCu量が不足し、ろう付後強度が不十分となる。一方、Cuの含有量が2.70質量%を超えると、心材2の固相線温度が低下し、ろう付時に溶融を生じるおそれがある。したがって、心材2のCuの含有量は、1.20質量%を超え2.70質量%以下とする。Cuの含有量は、前記効果をより向上させる観点から、好ましくは1.3質量%以上、より好ましくは1.4質量%以上である。また、心材2の固相線温度の低下をより抑制する観点から、好ましくは2.6質量%以下、より好ましくは2.5質量%以下である。
Cuは、固溶強化によりろう付後の強度向上に寄与する。Cuの含有量が1.20質量%以下では、板厚200μm未満のブレージングシート1の場合、ろう付後に残存するCu量が不足し、ろう付後強度が不十分となる。一方、Cuの含有量が2.70質量%を超えると、心材2の固相線温度が低下し、ろう付時に溶融を生じるおそれがある。したがって、心材2のCuの含有量は、1.20質量%を超え2.70質量%以下とする。Cuの含有量は、前記効果をより向上させる観点から、好ましくは1.3質量%以上、より好ましくは1.4質量%以上である。また、心材2の固相線温度の低下をより抑制する観点から、好ましくは2.6質量%以下、より好ましくは2.5質量%以下である。
(心材のSi:0.05質量%以上0.50質量%以下)
Siは、Al、Mnと共に金属間化合物を形成し、結晶粒の粒内に微細に分布して分散強化に寄与し、ろう付後強度を向上させる。Siの含有量が0.05質量%未満では、ろう付後強度の向上効果が不十分となる。一方、Siの含有量が0.50質量%を超えると、心材2の固相線温度が低下するため、ろう付加熱時に心材2が溶融するおそれがある。したがって、心材2にSiを含有させる場合には、Siを含有させる効果を得るために、Siの含有量は、0.05質量%以上0.50質量%以下とする。Siの含有量は、前記効果をより向上させる観点から、好ましくは0.10質量%以上、より好ましくは0.15質量%以上である。また、心材2の固相線温度の低下をより抑制する観点から、好ましくは0.45質量%以下、より好ましくは0.40質量%以下である。なお、Siの含有量は0質量%であってもよい。
Siは、Al、Mnと共に金属間化合物を形成し、結晶粒の粒内に微細に分布して分散強化に寄与し、ろう付後強度を向上させる。Siの含有量が0.05質量%未満では、ろう付後強度の向上効果が不十分となる。一方、Siの含有量が0.50質量%を超えると、心材2の固相線温度が低下するため、ろう付加熱時に心材2が溶融するおそれがある。したがって、心材2にSiを含有させる場合には、Siを含有させる効果を得るために、Siの含有量は、0.05質量%以上0.50質量%以下とする。Siの含有量は、前記効果をより向上させる観点から、好ましくは0.10質量%以上、より好ましくは0.15質量%以上である。また、心材2の固相線温度の低下をより抑制する観点から、好ましくは0.45質量%以下、より好ましくは0.40質量%以下である。なお、Siの含有量は0質量%であってもよい。
(心材のMg:0.05質量%以上0.50質量%以下)
Mgは、Siと共にMg2Siの微細な析出相を形成し、ろう付後強度を向上させる効果がある。Mgの含有量が0.05質量%未満では、ろう付後強度の向上効果が不十分となる。一方、Mgの含有量が0.50質量%を超えると、非腐食性フラックスを用いたろう付をする場合にフラックスとMgが反応し、ろう付が出来なくなるおそれがある。したがって、心材2にMgを含有させる場合には、Mgを含有させる効果を得るために、Mgの含有量は、0.05質量%以上0.50質量%以下とする。Mgの含有量は、前記効果をより向上させる観点から、好ましくは0.07質量%以上、より好ましくは0.10質量%以上である。また、ろう付性をより向上させる観点から、好ましくは0.45質量%以下、より好ましくは0.40質量%以下である。なお、Mgの含有量は0質量%であってもよい。
Mgは、Siと共にMg2Siの微細な析出相を形成し、ろう付後強度を向上させる効果がある。Mgの含有量が0.05質量%未満では、ろう付後強度の向上効果が不十分となる。一方、Mgの含有量が0.50質量%を超えると、非腐食性フラックスを用いたろう付をする場合にフラックスとMgが反応し、ろう付が出来なくなるおそれがある。したがって、心材2にMgを含有させる場合には、Mgを含有させる効果を得るために、Mgの含有量は、0.05質量%以上0.50質量%以下とする。Mgの含有量は、前記効果をより向上させる観点から、好ましくは0.07質量%以上、より好ましくは0.10質量%以上である。また、ろう付性をより向上させる観点から、好ましくは0.45質量%以下、より好ましくは0.40質量%以下である。なお、Mgの含有量は0質量%であってもよい。
(心材のCr:0.01質量%以上0.30質量%以下)
Crは、AlとAl3Cr金属間化合物を形成して、ろう付後強度を向上させる効果がある。Crの含有量が0.01質量%未満では、ろう付後強度の向上効果が不十分である。一方、Crの含有量が0.30質量%を超えると、鋳造中に粗大な金属間化合物を形成し、圧延時に割れが発生するおそれがある。したがって、心材2にCrを含有させる場合には、Crを含有させる効果を得るために、Crの含有量は、0.01質量%以上0.30質量%以下とする。Crの含有量は、前記効果をより向上させる観点から、好ましくは0.05質量%以上、より好ましくは0.07質量%以上である。また、粗大な金属間化合物の生成をより抑制する観点から、好ましくは0.25質量%以下、より好ましくは0.20質量%以下である。なお、Crの含有量は0質量%であってもよい。
Crは、AlとAl3Cr金属間化合物を形成して、ろう付後強度を向上させる効果がある。Crの含有量が0.01質量%未満では、ろう付後強度の向上効果が不十分である。一方、Crの含有量が0.30質量%を超えると、鋳造中に粗大な金属間化合物を形成し、圧延時に割れが発生するおそれがある。したがって、心材2にCrを含有させる場合には、Crを含有させる効果を得るために、Crの含有量は、0.01質量%以上0.30質量%以下とする。Crの含有量は、前記効果をより向上させる観点から、好ましくは0.05質量%以上、より好ましくは0.07質量%以上である。また、粗大な金属間化合物の生成をより抑制する観点から、好ましくは0.25質量%以下、より好ましくは0.20質量%以下である。なお、Crの含有量は0質量%であってもよい。
(心材のZr:0.01質量%以上0.30質量%以下)
Zrは、AlとAl3Zr金属間化合物を形成して、分散強化することで、ろう付後強度を向上させる効果がある。Zrの含有量が0.01質量%未満では、ろう付後強度の向上効果が十分ではない。一方、Zrの含有量が0.30質量%を超えると、鋳造時に粗大なAl3Zr金属間化合物を形成し、圧延時に割れが発生し易くなる。したがって、心材2にZrを含有させる場合には、Zrを含有させる効果を得るために、Zrの含有量は、0.01質量%以上0.30質量%以下とする。Zrの含有量は、前記効果をより向上させる観点から、好ましくは0.03質量%以上、より好ましくは0.05質量%以上である。また、粗大なAl3Zr金属間化合物の生成をより抑制する観点から、好ましくは0.25質量%以下、より好ましくは0.20質量%以下である。なお、Zrの含有量は0質量%であってもよい。
Zrは、AlとAl3Zr金属間化合物を形成して、分散強化することで、ろう付後強度を向上させる効果がある。Zrの含有量が0.01質量%未満では、ろう付後強度の向上効果が十分ではない。一方、Zrの含有量が0.30質量%を超えると、鋳造時に粗大なAl3Zr金属間化合物を形成し、圧延時に割れが発生し易くなる。したがって、心材2にZrを含有させる場合には、Zrを含有させる効果を得るために、Zrの含有量は、0.01質量%以上0.30質量%以下とする。Zrの含有量は、前記効果をより向上させる観点から、好ましくは0.03質量%以上、より好ましくは0.05質量%以上である。また、粗大なAl3Zr金属間化合物の生成をより抑制する観点から、好ましくは0.25質量%以下、より好ましくは0.20質量%以下である。なお、Zrの含有量は0質量%であってもよい。
(心材のTi:0.05質量%以上0.30質量%以下)
Tiは、Al合金中に層状に分布することによって、板厚方向への腐食の進行速度を低減させることができるため、耐食性の向上に寄与する。Tiの含有量が0.05質量%未満では、Tiの層状分布が不十分であり、耐食性の向上の効果が十分には得られない。一方、Tiの含有量が0.30質量%を超えると、鋳造時に粗大なAl3Ti金属間化合物を形成し易くなり、加工性が低下するため、圧延時に割れが発生し易くなる。したがって、心材2にTiを含有させる場合には、Tiを含有させる効果を得るために、Tiの含有量は、0.05質量%以上0.30質量%以下とする。Tiの含有量は、前記効果をより向上させる観点から、好ましくは0.07質量%以上、より好ましくは0.10質量%以上である。また、粗大なAl3Ti金属間化合物の生成をより抑制する観点から、好ましくは0.25質量%以下、より好ましくは0.20質量%以下である。なお、Tiの含有量は0質量%であってもよい。
Tiは、Al合金中に層状に分布することによって、板厚方向への腐食の進行速度を低減させることができるため、耐食性の向上に寄与する。Tiの含有量が0.05質量%未満では、Tiの層状分布が不十分であり、耐食性の向上の効果が十分には得られない。一方、Tiの含有量が0.30質量%を超えると、鋳造時に粗大なAl3Ti金属間化合物を形成し易くなり、加工性が低下するため、圧延時に割れが発生し易くなる。したがって、心材2にTiを含有させる場合には、Tiを含有させる効果を得るために、Tiの含有量は、0.05質量%以上0.30質量%以下とする。Tiの含有量は、前記効果をより向上させる観点から、好ましくは0.07質量%以上、より好ましくは0.10質量%以上である。また、粗大なAl3Ti金属間化合物の生成をより抑制する観点から、好ましくは0.25質量%以下、より好ましくは0.20質量%以下である。なお、Tiの含有量は0質量%であってもよい。
(心材の残部:Alおよび不可避的不純物)
心材2の成分は前記の他に残部がAlおよび不可避的不純物からなる。なお、不可避的不純物としては、例えば、Fe、Zn、In、Sn、Ni等が挙げられる。Feは0.30質量%以下(好ましくは0.25質量%以下)、Znは0.15質量%以下(好ましくは0.10質量%以下)、In、Sn、Niは、それぞれ0.05質量%以下(好ましくは0.03質量%以下)の含有量であれば、本発明の効果を妨げず、心材2に含有させることが許容される。また、前記したSi、Mg、Zr、Ti、Crについては、それぞれ下限値を下回って含有する場合は、不可避的不純物とみなすことができる。
そして、Fe、Zn、In、Sn、Ni等については、前記した所定の含有量を超えなければ、不可避的不純物として含有される場合だけではなく、積極的に添加される場合であっても、本発明の効果を妨げない。
心材2の成分は前記の他に残部がAlおよび不可避的不純物からなる。なお、不可避的不純物としては、例えば、Fe、Zn、In、Sn、Ni等が挙げられる。Feは0.30質量%以下(好ましくは0.25質量%以下)、Znは0.15質量%以下(好ましくは0.10質量%以下)、In、Sn、Niは、それぞれ0.05質量%以下(好ましくは0.03質量%以下)の含有量であれば、本発明の効果を妨げず、心材2に含有させることが許容される。また、前記したSi、Mg、Zr、Ti、Crについては、それぞれ下限値を下回って含有する場合は、不可避的不純物とみなすことができる。
そして、Fe、Zn、In、Sn、Ni等については、前記した所定の含有量を超えなければ、不可避的不純物として含有される場合だけではなく、積極的に添加される場合であっても、本発明の効果を妨げない。
心材2の厚さについては特に規定されるものではないが、強度を向上させる観点から、好ましくはクラッド率50%以上である。
<ろう材>
本発明のろう材3は、Al−Si系合金からなる。Al−Si系合金としては、一般的なJIS合金、例えば4343、4045等が挙げられる。ここで、Al−Si系合金とは、Siを含有したAl合金の他に、さらにZnを含有したAl合金も含むものである。すなわち、Al−Si系合金としては、Al−Si系合金、またはAl−Si−Zn系合金が挙げられる。そして、例えば、Si:5質量%以上13質量%以下を含有したAl−Si系合金を使用することができる。
本発明のろう材3は、Al−Si系合金からなる。Al−Si系合金としては、一般的なJIS合金、例えば4343、4045等が挙げられる。ここで、Al−Si系合金とは、Siを含有したAl合金の他に、さらにZnを含有したAl合金も含むものである。すなわち、Al−Si系合金としては、Al−Si系合金、またはAl−Si−Zn系合金が挙げられる。そして、例えば、Si:5質量%以上13質量%以下を含有したAl−Si系合金を使用することができる。
ろう材3の厚さについては特に規定されるものではないが、接合部におけるろう材量をより適度にする観点から、好ましくは15μm以上、好ましくは50μm以下である。
<第1犠牲材>
本発明の第1犠牲材4は、Znを所定量含有し、Mgを所定量未満とし、残部がAlおよび不可避的不純物からなる。
本発明の第1犠牲材4は、Znを所定量含有し、Mgを所定量未満とし、残部がAlおよび不可避的不純物からなる。
また、本発明の第1犠牲材4は、Siをさらに所定量含有することが好ましい。また、本発明の第1犠牲材4は、Mnをさらに所定量含有することが好ましい。また、本発明の第1犠牲材4は、Ti、Cr、およびZrからなる群から選択された少なくとも1種以上をさらに所定量含有することが好ましい。
本発明の第1犠牲材4を構成する各元素について、以下に説明する。なお、各成分の含有量は、第1犠牲材4全体についての含有量である。
本発明の第1犠牲材4を構成する各元素について、以下に説明する。なお、各成分の含有量は、第1犠牲材4全体についての含有量である。
(第1犠牲材のZn:2.0質量%以上12.0質量%以下)
Znは、第1犠牲材4の電位を卑化させることで、心材2との電位差を生じさせることにより、耐食性の向上に寄与する。Znの含有量が2.0質量%未満では、心材2との電位差が不足して、耐食性を確保するのが困難になる。一方、Znの含有量が12.0質量%を超えると、第1犠牲材4が早期消耗し、耐食性が低下する。したがって、第1犠牲材4のZnの含有量は、2.0質量%以上12.0質量%以下とする。Znの含有量は、前記効果をより向上させる観点から、好ましくは2.5質量%以上、より好ましくは3.0質量%以上である。また、耐食性の低下をより抑制する観点から、好ましくは11.0質量%以下、より好ましくは10.0質量%以下である。
Znは、第1犠牲材4の電位を卑化させることで、心材2との電位差を生じさせることにより、耐食性の向上に寄与する。Znの含有量が2.0質量%未満では、心材2との電位差が不足して、耐食性を確保するのが困難になる。一方、Znの含有量が12.0質量%を超えると、第1犠牲材4が早期消耗し、耐食性が低下する。したがって、第1犠牲材4のZnの含有量は、2.0質量%以上12.0質量%以下とする。Znの含有量は、前記効果をより向上させる観点から、好ましくは2.5質量%以上、より好ましくは3.0質量%以上である。また、耐食性の低下をより抑制する観点から、好ましくは11.0質量%以下、より好ましくは10.0質量%以下である。
(第1犠牲材のMg:0.05質量%未満(0質量%を含む))
第1犠牲材4のMgの含有量が0.05質量%以上であると、第1犠牲材4側のろう付性を大きく低下させてしまう。したがって、第1犠牲材4側のろう付性を確保するために、第1犠牲材4のMgの含有量は、0.05質量%未満に規制する。Mgの含有量は、第1犠牲材4側のろう付性の低下をより抑制する観点から、好ましくは0.04質量%以下、より好ましくは0.03質量%以下である。なお、下限値については0質量%であることが好ましいが、0質量%とすることは困難なため、0.005質量%を下限値とすればよい。ただし、0質量%とすることができれば、0質量%とすればよい。
第1犠牲材4のMgの含有量が0.05質量%以上であると、第1犠牲材4側のろう付性を大きく低下させてしまう。したがって、第1犠牲材4側のろう付性を確保するために、第1犠牲材4のMgの含有量は、0.05質量%未満に規制する。Mgの含有量は、第1犠牲材4側のろう付性の低下をより抑制する観点から、好ましくは0.04質量%以下、より好ましくは0.03質量%以下である。なお、下限値については0質量%であることが好ましいが、0質量%とすることは困難なため、0.005質量%を下限値とすればよい。ただし、0質量%とすることができれば、0質量%とすればよい。
(第1犠牲材のSi:0.20質量%以上1.0質量%以下)
Siは、Al、Mnと共に金属間化合物を形成し、結晶粒の粒内に微細に分布して分散強化に寄与し、ろう付後強度を向上させる。Siの含有量が0.20質量%未満では、ろう付後強度の向上効果が不十分となる。一方、Siの含有量が1.0質量%を超えると、固相線温度が低下し、ろう付時に第1犠牲材4が溶融するおそれがある。したがって、第1犠牲材4にSiを含有させる場合には、Siを含有させる効果を得るために、Siの含有量は、0.20質量%以上1.0質量%以下とする。Siの含有量は、前記効果をより向上させる観点から、好ましくは0.25質量%以上、より好ましくは0.30質量%以上である。また、固相線温度の低下をより抑制する観点から、好ましくは0.90質量%以下、より好ましくは0.80質量%以下である。なお、Siの含有量は0質量%であってもよい。
Siは、Al、Mnと共に金属間化合物を形成し、結晶粒の粒内に微細に分布して分散強化に寄与し、ろう付後強度を向上させる。Siの含有量が0.20質量%未満では、ろう付後強度の向上効果が不十分となる。一方、Siの含有量が1.0質量%を超えると、固相線温度が低下し、ろう付時に第1犠牲材4が溶融するおそれがある。したがって、第1犠牲材4にSiを含有させる場合には、Siを含有させる効果を得るために、Siの含有量は、0.20質量%以上1.0質量%以下とする。Siの含有量は、前記効果をより向上させる観点から、好ましくは0.25質量%以上、より好ましくは0.30質量%以上である。また、固相線温度の低下をより抑制する観点から、好ましくは0.90質量%以下、より好ましくは0.80質量%以下である。なお、Siの含有量は0質量%であってもよい。
(第1犠牲材のMn:0.10質量%以上2.0質量%以下)
Mnは、Al、Siと共に金属間化合物を形成し、結晶粒の粒内に微細に分布して分散強化に寄与し、ろう付後強度を向上させる。Mnの含有量が0.10質量%未満では、ろう付後強度の向上効果が不十分である。一方、Mnの含有量が2.0質量%を超えると、鋳造時に粗大な金属間化合物を形成し、加工性が低下するため、圧延時に割れが発生し易くなる。したがって、第1犠牲材4にMnを含有させる場合には、Mnを含有させる効果を得るために、Mnの含有量は、0.10質量%以上2.0質量%以下とする。Mnの含有量は、前記効果をより向上させる観点から、好ましくは0.20質量%以上、より好ましくは0.30質量%以上である。また、粗大な金属間化合物の生成をより抑制する観点から、好ましくは1.5質量%以下、より好ましくは1.3質量%以下である。なお、Mnの含有量は0質量%であってもよい。
Mnは、Al、Siと共に金属間化合物を形成し、結晶粒の粒内に微細に分布して分散強化に寄与し、ろう付後強度を向上させる。Mnの含有量が0.10質量%未満では、ろう付後強度の向上効果が不十分である。一方、Mnの含有量が2.0質量%を超えると、鋳造時に粗大な金属間化合物を形成し、加工性が低下するため、圧延時に割れが発生し易くなる。したがって、第1犠牲材4にMnを含有させる場合には、Mnを含有させる効果を得るために、Mnの含有量は、0.10質量%以上2.0質量%以下とする。Mnの含有量は、前記効果をより向上させる観点から、好ましくは0.20質量%以上、より好ましくは0.30質量%以上である。また、粗大な金属間化合物の生成をより抑制する観点から、好ましくは1.5質量%以下、より好ましくは1.3質量%以下である。なお、Mnの含有量は0質量%であってもよい。
(第1犠牲材のTi:0.01質量%以上0.30質量%以下)
Tiは、Al合金中に層状に分布することによって、腐食形態が層状化し、板厚方向への腐食の進行速度を低減させることができる。そのため、耐食性の向上に寄与する。Tiの含有量が0.01質量%未満では、耐食性向上の効果が十分には得られない。一方、Tiの含有量が0.30質量%を超えると、鋳造時に粗大なAl3Ti金属間化合物を形成し易くなり、加工性が低下するため、圧延時に割れが発生し易くなる。したがって、第1犠牲材4にTiを含有させる場合には、Tiを含有させる効果を得るために、Tiの含有量は、0.01質量%以上0.30質量%以下とする。Tiの含有量は、前記効果をより向上させる観点から、好ましくは0.03質量%以上、より好ましくは0.05質量%以上である。また、粗大なAl3Ti金属間化合物の生成をより抑制する観点から、好ましくは0.25質量%以下、より好ましくは0.20質量%以下である。なお、Tiの含有量は0質量%であってもよい。
Tiは、Al合金中に層状に分布することによって、腐食形態が層状化し、板厚方向への腐食の進行速度を低減させることができる。そのため、耐食性の向上に寄与する。Tiの含有量が0.01質量%未満では、耐食性向上の効果が十分には得られない。一方、Tiの含有量が0.30質量%を超えると、鋳造時に粗大なAl3Ti金属間化合物を形成し易くなり、加工性が低下するため、圧延時に割れが発生し易くなる。したがって、第1犠牲材4にTiを含有させる場合には、Tiを含有させる効果を得るために、Tiの含有量は、0.01質量%以上0.30質量%以下とする。Tiの含有量は、前記効果をより向上させる観点から、好ましくは0.03質量%以上、より好ましくは0.05質量%以上である。また、粗大なAl3Ti金属間化合物の生成をより抑制する観点から、好ましくは0.25質量%以下、より好ましくは0.20質量%以下である。なお、Tiの含有量は0質量%であってもよい。
(第1犠牲材のCr:0.01質量%以上0.30質量%以下)
Crは、AlとAl3Cr金属間化合物を形成して、分散強化することで、ろう付後の強度向上に寄与する。Crの含有量が0.01質量%未満では、ろう付後強度の向上効果が不十分である。一方、Crの含有量が0.30質量%を超えると、粗大なAl3Cr金属間化合物を形成して、圧延時に割れが発生しやすくなる。したがって、第1犠牲材4にCrを含有させる場合には、Crを含有させる効果を得るために、Crの含有量は、0.01質量%以上0.30質量%以下とする。Crの含有量は、前記効果をより向上させる観点から、好ましくは0.03質量%以上、より好ましくは0.05質量%以上である。また、粗大なAl3Cr金属間化合物の生成をより抑制する観点から、好ましくは0.25質量%以下、より好ましくは0.20質量%以下である。なお、Crの含有量は0質量%であってもよい。
Crは、AlとAl3Cr金属間化合物を形成して、分散強化することで、ろう付後の強度向上に寄与する。Crの含有量が0.01質量%未満では、ろう付後強度の向上効果が不十分である。一方、Crの含有量が0.30質量%を超えると、粗大なAl3Cr金属間化合物を形成して、圧延時に割れが発生しやすくなる。したがって、第1犠牲材4にCrを含有させる場合には、Crを含有させる効果を得るために、Crの含有量は、0.01質量%以上0.30質量%以下とする。Crの含有量は、前記効果をより向上させる観点から、好ましくは0.03質量%以上、より好ましくは0.05質量%以上である。また、粗大なAl3Cr金属間化合物の生成をより抑制する観点から、好ましくは0.25質量%以下、より好ましくは0.20質量%以下である。なお、Crの含有量は0質量%であってもよい。
(第1犠牲材のZr:0.01質量%以上0.30質量%以下)
Zrは、AlとAl3Zr金属間化合物を形成して、分散強化することで、ろう付後の強度向上に寄与する。Zrの含有量が0.01質量%未満では、ろう付後強度の向上効果が十分には得られない。一方、Zrの含有量が0.30質量%を超えると、鋳造時に粗大なAl3Zr金属間化合物を形成して、加工性が低下し、圧延時に割れが発生し易くなる。したがって、第1犠牲材4にZrを含有させる場合には、Zrを含有させる効果を得るために、Zrの含有量は、0.01質量%以上0.30質量%以下とする。Zrの含有量は、前記効果をより向上させる観点から、好ましくは0.03質量%以上、より好ましくは0.05質量%以上である。また、粗大なAl3Zr金属間化合物の生成をより抑制する観点から、好ましくは0.25質量%以下、より好ましくは0.20質量%以下である。なお、Zrの含有量は0質量%であってもよい。
Zrは、AlとAl3Zr金属間化合物を形成して、分散強化することで、ろう付後の強度向上に寄与する。Zrの含有量が0.01質量%未満では、ろう付後強度の向上効果が十分には得られない。一方、Zrの含有量が0.30質量%を超えると、鋳造時に粗大なAl3Zr金属間化合物を形成して、加工性が低下し、圧延時に割れが発生し易くなる。したがって、第1犠牲材4にZrを含有させる場合には、Zrを含有させる効果を得るために、Zrの含有量は、0.01質量%以上0.30質量%以下とする。Zrの含有量は、前記効果をより向上させる観点から、好ましくは0.03質量%以上、より好ましくは0.05質量%以上である。また、粗大なAl3Zr金属間化合物の生成をより抑制する観点から、好ましくは0.25質量%以下、より好ましくは0.20質量%以下である。なお、Zrの含有量は0質量%であってもよい。
(第1犠牲材の残部:Alおよび不可避的不純物)
第1犠牲材4の成分は前記の他、残部がAlおよび不可避的不純物からなる。なお、不可避的不純物としては、例えば、Fe、In、Sn、Ni等が挙げられる。Feは0.30質量%以下(好ましくは0.25質量%以下)、In、Sn、Niは、それぞれ0.05質量%以下(好ましくは0.03質量%以下)の含有量であれば、本発明の効果を妨げず、第1犠牲材4に含有させることが許容される。また、前記したSi、Mn、Ti、Cr、Zrについては、それぞれ下限値を下回って含有する場合は、不可避的不純物とみなすことができる。また、前記したMgについては、不可避的不純物として前記した所定量含まれていてもよい。
そして、Fe、In、Sn、Ni等については、前記した所定の含有量を超えなければ、不可避的不純物として含有される場合だけではなく、積極的に添加される場合であっても、本発明の効果を妨げない。
第1犠牲材4の成分は前記の他、残部がAlおよび不可避的不純物からなる。なお、不可避的不純物としては、例えば、Fe、In、Sn、Ni等が挙げられる。Feは0.30質量%以下(好ましくは0.25質量%以下)、In、Sn、Niは、それぞれ0.05質量%以下(好ましくは0.03質量%以下)の含有量であれば、本発明の効果を妨げず、第1犠牲材4に含有させることが許容される。また、前記したSi、Mn、Ti、Cr、Zrについては、それぞれ下限値を下回って含有する場合は、不可避的不純物とみなすことができる。また、前記したMgについては、不可避的不純物として前記した所定量含まれていてもよい。
そして、Fe、In、Sn、Ni等については、前記した所定の含有量を超えなければ、不可避的不純物として含有される場合だけではなく、積極的に添加される場合であっても、本発明の効果を妨げない。
第1犠牲材4の厚さについては特に規定されるものではないが、犠牲陽極材として内面の耐食性を向上させる観点から、好ましくは15μm以上である。また、クラッドにおける圧着性を向上させる観点から、好ましくは50μm以下である。
<第2犠牲材>
本発明の第2犠牲材5は、Zn、Mgを所定量含有し、残部がAlおよび不可避的不純物からなる。
本発明の第2犠牲材5は、Zn、Mgを所定量含有し、残部がAlおよび不可避的不純物からなる。
また、本発明の第2犠牲材5は、Siをさらに所定量含有することが好ましい。また、本発明の第2犠牲材5は、Mnをさらに所定量含有することが好ましい。また、本発明の第2犠牲材5は、Ti、Cr、およびZrからなる群から選択された少なくとも1種以上をさらに所定量含有することが好ましい。
本発明の第2犠牲材5を構成する各元素について、以下に説明する。なお、各成分の含有量は、第2犠牲材5全体についての含有量である。
本発明の第2犠牲材5を構成する各元素について、以下に説明する。なお、各成分の含有量は、第2犠牲材5全体についての含有量である。
(第2犠牲材のZn:1.0質量%以上7.0質量%以下)
Znは、第2犠牲材5の電位を卑化させることで、心材2との電位差を生じさせることにより、耐食性の向上に寄与する。Znの含有量が1.0質量%未満では、心材2との電位差が不足して、耐食性を確保するのが困難になる。一方、Znの含有量が7.0質量%を超えると、固相線温度が低下し、ろう付時に第2犠牲材5が溶融するおそれがある。したがって、第2犠牲材5のZnの含有量は、1.0質量%以上7.0質量%以下とする。Znの含有量は、前記効果をより向上させる観点から、好ましくは2.0質量%以上、より好ましくは2.5質量%以上である。また、固相線温度の低下をより抑制する観点から、好ましくは6.0質量%以下、より好ましくは5.0質量%以下である。
Znは、第2犠牲材5の電位を卑化させることで、心材2との電位差を生じさせることにより、耐食性の向上に寄与する。Znの含有量が1.0質量%未満では、心材2との電位差が不足して、耐食性を確保するのが困難になる。一方、Znの含有量が7.0質量%を超えると、固相線温度が低下し、ろう付時に第2犠牲材5が溶融するおそれがある。したがって、第2犠牲材5のZnの含有量は、1.0質量%以上7.0質量%以下とする。Znの含有量は、前記効果をより向上させる観点から、好ましくは2.0質量%以上、より好ましくは2.5質量%以上である。また、固相線温度の低下をより抑制する観点から、好ましくは6.0質量%以下、より好ましくは5.0質量%以下である。
(第2犠牲材のMg:0.05質量%以上3.0質量%以下)
Mgは、ろう付時に心材2に拡散して、ろう付後の心材2の強度向上に寄与する。また、心材2がSiを含有する場合は、Siと析出相を形成して析出強化することで、ろう付後強度のさらなる向上に寄与する。Mgの含有量が0.05質量%未満では、ろう付後強度の向上効果が不十分である。一方、Mgの含有量が3.0質量%を超えると、心材2と第2犠牲材5との圧着性が低下するおそれがある。したがって、第2犠牲材のMgの含有量は、0.05質量%以上3.0質量%以下とする。Mgの含有量は、前記効果をより向上させる観点から、好ましくは0.20質量%以上、より好ましくは0.40質量%以上である。また、心材2と第2犠牲材5との圧着性の低下をより抑制する観点から、好ましくは2.7質量%以下、より好ましくは2.5質量%以下である。
Mgは、ろう付時に心材2に拡散して、ろう付後の心材2の強度向上に寄与する。また、心材2がSiを含有する場合は、Siと析出相を形成して析出強化することで、ろう付後強度のさらなる向上に寄与する。Mgの含有量が0.05質量%未満では、ろう付後強度の向上効果が不十分である。一方、Mgの含有量が3.0質量%を超えると、心材2と第2犠牲材5との圧着性が低下するおそれがある。したがって、第2犠牲材のMgの含有量は、0.05質量%以上3.0質量%以下とする。Mgの含有量は、前記効果をより向上させる観点から、好ましくは0.20質量%以上、より好ましくは0.40質量%以上である。また、心材2と第2犠牲材5との圧着性の低下をより抑制する観点から、好ましくは2.7質量%以下、より好ましくは2.5質量%以下である。
(第2犠牲材のSi:0.20質量%以上1.0質量%以下)
Siは、Mgと析出相を形成し析出強化することで、ろう付後強度のさらなる向上に寄与する。Siの含有量が0.20質量%未満では、Mgとの析出相の形成によるろう付後強度の向上効果が不十分である。一方、Siの含有量が1.0質量%を超えると、固相線温度が低下し、ろう付時に第2犠牲材5が溶融するおそれがある。したがって、第2犠牲材5にSiを含有させる場合には、Siを含有させる効果を得るために、Siの含有量は、0.20質量%以上1.0質量%以下とする。Siの含有量は、前記効果をより向上させる観点から、好ましくは0.22質量%以上、より好ましくは0.25質量%以上である。また、固相線温度の低下をより抑制する観点から、好ましくは0.90質量%以下、より好ましくは0.80質量%以下である。なお、Siの含有量は0質量%であってもよい。
Siは、Mgと析出相を形成し析出強化することで、ろう付後強度のさらなる向上に寄与する。Siの含有量が0.20質量%未満では、Mgとの析出相の形成によるろう付後強度の向上効果が不十分である。一方、Siの含有量が1.0質量%を超えると、固相線温度が低下し、ろう付時に第2犠牲材5が溶融するおそれがある。したがって、第2犠牲材5にSiを含有させる場合には、Siを含有させる効果を得るために、Siの含有量は、0.20質量%以上1.0質量%以下とする。Siの含有量は、前記効果をより向上させる観点から、好ましくは0.22質量%以上、より好ましくは0.25質量%以上である。また、固相線温度の低下をより抑制する観点から、好ましくは0.90質量%以下、より好ましくは0.80質量%以下である。なお、Siの含有量は0質量%であってもよい。
(第2犠牲材のMn:0.10質量%以上2.0質量%以下)
Mnは、固溶体強化により、ろう付後の強度向上に寄与する。Mnの含有量が0.10質量%未満では、ろう付後強度の向上効果が不十分である。一方、Mnの含有量が2.0質量%を超えると、鋳造時に粗大な金属間化合物を形成し、加工性が低下するため、圧延時に割れが発生し易くなる。したがって、第2犠牲材5にMnを含有させる場合には、Mnを含有させる効果を得るために、Mnの含有量は、0.10質量%以上2.0質量%以下とする。Mnの含有量は、前記効果をより向上させる観点から、好ましくは0.20質量%以上、より好ましくは0.30質量%以上である。また、粗大な金属間化合物の生成をより抑制する観点から、好ましくは1.5質量%以下、より好ましくは1.2質量%以下である。なお、Mnの含有量は0質量%であってもよい。
Mnは、固溶体強化により、ろう付後の強度向上に寄与する。Mnの含有量が0.10質量%未満では、ろう付後強度の向上効果が不十分である。一方、Mnの含有量が2.0質量%を超えると、鋳造時に粗大な金属間化合物を形成し、加工性が低下するため、圧延時に割れが発生し易くなる。したがって、第2犠牲材5にMnを含有させる場合には、Mnを含有させる効果を得るために、Mnの含有量は、0.10質量%以上2.0質量%以下とする。Mnの含有量は、前記効果をより向上させる観点から、好ましくは0.20質量%以上、より好ましくは0.30質量%以上である。また、粗大な金属間化合物の生成をより抑制する観点から、好ましくは1.5質量%以下、より好ましくは1.2質量%以下である。なお、Mnの含有量は0質量%であってもよい。
(第2犠牲材のTi:0.01質量%以上0.30質量%以下)
Tiは、Al合金中に層状に分布することによって、腐食形態が層状化し、板厚方向への腐食の進行速度を低減させることができる。そのため、耐食性の向上に寄与する。Tiの含有量が0.01質量%未満では、耐食性向上の効果が十分には得られない。一方、Tiの含有量が0.30質量%を超えると、鋳造時に粗大なAl3Ti金属間化合物を形成し易くなり、加工性が低下するため、圧延時に割れが発生し易くなる。したがって、第2犠牲材5にTiを含有させる場合には、Tiを含有させる効果を得るために、Tiの含有量は、0.01質量%以上0.30質量%以下とする。Tiの含有量は、前記効果をより向上させる観点から、好ましくは0.03質量%以上、より好ましくは0.05質量%以上である。また、粗大なAl3Ti金属間化合物の生成をより抑制する観点から、好ましくは0.25質量%以下、より好ましくは0.20質量%以下である。なお、Tiの含有量は0質量%であってもよい。
Tiは、Al合金中に層状に分布することによって、腐食形態が層状化し、板厚方向への腐食の進行速度を低減させることができる。そのため、耐食性の向上に寄与する。Tiの含有量が0.01質量%未満では、耐食性向上の効果が十分には得られない。一方、Tiの含有量が0.30質量%を超えると、鋳造時に粗大なAl3Ti金属間化合物を形成し易くなり、加工性が低下するため、圧延時に割れが発生し易くなる。したがって、第2犠牲材5にTiを含有させる場合には、Tiを含有させる効果を得るために、Tiの含有量は、0.01質量%以上0.30質量%以下とする。Tiの含有量は、前記効果をより向上させる観点から、好ましくは0.03質量%以上、より好ましくは0.05質量%以上である。また、粗大なAl3Ti金属間化合物の生成をより抑制する観点から、好ましくは0.25質量%以下、より好ましくは0.20質量%以下である。なお、Tiの含有量は0質量%であってもよい。
(第2犠牲材のCr:0.01質量%以上0.30質量%以下)
Crは、AlとAl3Cr金属間化合物を形成して、分散強化することで、ろう付後の強度向上に寄与する。Crの含有量が0.01質量%未満では、ろう付後強度の向上効果が不十分である。一方、Crの含有量が0.30質量%を超えると、粗大なAl3Cr金属間化合物を形成して、圧延時に割れが発生しやすくなる。したがって、第2犠牲材5にCrを含有させる場合には、Crを含有させる効果を得るために、Crの含有量は、0.01質量%以上0.30質量%以下とする。Crの含有量は、前記効果をより向上させる観点から、好ましくは0.03質量%以上、より好ましくは0.05質量%以上である。また、粗大なAl3Cr金属間化合物の生成をより抑制する観点から、好ましくは0.25質量%以下、より好ましくは0.20質量%以下である。なお、Crの含有量は0質量%であってもよい。
Crは、AlとAl3Cr金属間化合物を形成して、分散強化することで、ろう付後の強度向上に寄与する。Crの含有量が0.01質量%未満では、ろう付後強度の向上効果が不十分である。一方、Crの含有量が0.30質量%を超えると、粗大なAl3Cr金属間化合物を形成して、圧延時に割れが発生しやすくなる。したがって、第2犠牲材5にCrを含有させる場合には、Crを含有させる効果を得るために、Crの含有量は、0.01質量%以上0.30質量%以下とする。Crの含有量は、前記効果をより向上させる観点から、好ましくは0.03質量%以上、より好ましくは0.05質量%以上である。また、粗大なAl3Cr金属間化合物の生成をより抑制する観点から、好ましくは0.25質量%以下、より好ましくは0.20質量%以下である。なお、Crの含有量は0質量%であってもよい。
(第2犠牲材のZr:0.01質量%以上0.30質量%以下)
Zrは、AlとAl3Zr金属間化合物を形成して、分散強化することで、ろう付後の強度向上に寄与する。Zrの含有量が0.01質量%未満では、ろう付後強度の向上効果が十分には得られない。一方、Zrの含有量が0.30質量%を超えると、鋳造時に粗大なAl3Zr金属間化合物を形成して、加工性が低下し、圧延時に割れが発生し易くなる。したがって、第2犠牲材5にZrを含有させる場合には、Zrを含有させる効果を得るために、Zrの含有量は、0.01質量%以上0.30質量%以下とする。Zrの含有量は、前記効果をより向上させる観点から、好ましくは0.03質量%以上、より好ましくは0.05質量%以上である。また、粗大なAl3Zr金属間化合物の生成をより抑制する観点から、好ましくは0.25質量%以下、より好ましくは0.20質量%以下である。なお、Zrの含有量は0質量%であってもよい。
Zrは、AlとAl3Zr金属間化合物を形成して、分散強化することで、ろう付後の強度向上に寄与する。Zrの含有量が0.01質量%未満では、ろう付後強度の向上効果が十分には得られない。一方、Zrの含有量が0.30質量%を超えると、鋳造時に粗大なAl3Zr金属間化合物を形成して、加工性が低下し、圧延時に割れが発生し易くなる。したがって、第2犠牲材5にZrを含有させる場合には、Zrを含有させる効果を得るために、Zrの含有量は、0.01質量%以上0.30質量%以下とする。Zrの含有量は、前記効果をより向上させる観点から、好ましくは0.03質量%以上、より好ましくは0.05質量%以上である。また、粗大なAl3Zr金属間化合物の生成をより抑制する観点から、好ましくは0.25質量%以下、より好ましくは0.20質量%以下である。なお、Zrの含有量は0質量%であってもよい。
(第2犠牲材の残部:Alおよび不可避的不純物)
第2犠牲材5の成分は前記の他、残部がAlおよび不可避的不純物からなる。なお、不可避的不純物としては、例えば、Fe、In、Sn、Ni等が挙げられる。Feは0.30質量%以下(好ましくは0.25質量%以下)、In、Sn、Niは、それぞれ0.05質量%以下(好ましくは0.03質量%以下)の含有量であれば、本発明の効果を妨げず、第2犠牲材5に含有させることが許容される。また、前記したSi、Mn、Ti、Cr、Zrについては、それぞれ下限値を下回って含有する場合は、不可避的不純物とみなすことができる。
そして、Fe、In、Sn、Ni等については、前記した所定の含有量を超えなければ、不可避的不純物として含有される場合だけではなく、積極的に添加される場合であっても、本発明の効果を妨げない。
第2犠牲材5の成分は前記の他、残部がAlおよび不可避的不純物からなる。なお、不可避的不純物としては、例えば、Fe、In、Sn、Ni等が挙げられる。Feは0.30質量%以下(好ましくは0.25質量%以下)、In、Sn、Niは、それぞれ0.05質量%以下(好ましくは0.03質量%以下)の含有量であれば、本発明の効果を妨げず、第2犠牲材5に含有させることが許容される。また、前記したSi、Mn、Ti、Cr、Zrについては、それぞれ下限値を下回って含有する場合は、不可避的不純物とみなすことができる。
そして、Fe、In、Sn、Ni等については、前記した所定の含有量を超えなければ、不可避的不純物として含有される場合だけではなく、積極的に添加される場合であっても、本発明の効果を妨げない。
第2犠牲材5の厚さについては特に規定されるものではないが、犠牲陽極材として内面の耐食性を向上させる観点から、好ましくは15μm以上である。また、クラッドにおける圧着性を向上させる観点から、好ましくは50μm以下である。
<ブレージングシートの板厚>
ブレージングシート1の板厚は200μm未満である。ブレージングシート1の板厚が200μm未満であることによって、自動車等の熱交換器のさらなる軽量化を可能とすることができる。ブレージングシート1の板厚は、熱交換器の軽量化の観点から、好ましくは180μm以下、より好ましくは170μm以下である。また、強度や耐食性の確保の観点から、好ましくは80μm以上、より好ましくは90μm以上である。
ブレージングシート1の板厚は200μm未満である。ブレージングシート1の板厚が200μm未満であることによって、自動車等の熱交換器のさらなる軽量化を可能とすることができる。ブレージングシート1の板厚は、熱交換器の軽量化の観点から、好ましくは180μm以下、より好ましくは170μm以下である。また、強度や耐食性の確保の観点から、好ましくは80μm以上、より好ましくは90μm以上である。
<ブレージングシートの製造方法>
本発明のアルミニウム合金製ブレージングシートの材料である心材、第1犠牲材、第2犠牲材およびろう材は、常法によって製造することができる。この心材、第1犠牲材、第2犠牲材およびろう材の製造方法は特に限定されない。例えば、以下の方法によって製造することができる。
前記した組成の心材用アルミニウム合金を所定の鋳造温度で鋳造した後、得られた鋳塊を必要に応じて面削し、均質化熱処理することで、心材用鋳塊を製造することができる。また、前記した組成の第1犠牲材用アルミニウム合金、第2犠牲材用アルミニウム合金およびろう材用アルミニウム合金を所定の鋳造温度で鋳造した後、得られた鋳塊を必要に応じて面削し、均質化熱処理する。その後、熱間圧延することで、第1犠牲材用部材、第2犠牲材用部材およびろう材用部材を製造することができる。
本発明のアルミニウム合金製ブレージングシートの材料である心材、第1犠牲材、第2犠牲材およびろう材は、常法によって製造することができる。この心材、第1犠牲材、第2犠牲材およびろう材の製造方法は特に限定されない。例えば、以下の方法によって製造することができる。
前記した組成の心材用アルミニウム合金を所定の鋳造温度で鋳造した後、得られた鋳塊を必要に応じて面削し、均質化熱処理することで、心材用鋳塊を製造することができる。また、前記した組成の第1犠牲材用アルミニウム合金、第2犠牲材用アルミニウム合金およびろう材用アルミニウム合金を所定の鋳造温度で鋳造した後、得られた鋳塊を必要に応じて面削し、均質化熱処理する。その後、熱間圧延することで、第1犠牲材用部材、第2犠牲材用部材およびろう材用部材を製造することができる。
その後、心材用鋳塊の一側面にろう材用部材を重ね、他の側面に第2犠牲材用部材および第1犠牲材用部材を重ね、熱間圧延を施すことによって、圧着・圧延させて板材とする。そして、当該板材に対して、冷間圧延を施すことで、所定板厚のアルミニウム合金クラッド材を製造し、ブレージングシートとする。当該板材は冷間圧延の途中、または冷間圧延後に必要に応じて焼鈍工程を経ても良い。
本発明のアルミニウム合金製ブレージングシートおよびその製造方法は、以上説明したとおりであるが、本発明を行うにあたり、明示していない条件等については、従来公知のものを適用することができる。前記条件によって得られる効果を奏する限りにおいて、他の条件等は限定されない。
次に、本発明を実施例に基づいてさらに詳細に説明する。
表1〜表4に示す組成の心材用アルミニウム合金、第1犠牲材用アルミニウム合金、第2犠牲材用アルミニウム合金およびろう材用アルミニウム合金を、常法によって、溶解し、鋳造し、均質化熱処理を行い、心材用鋳塊(心材用部材)、第1犠牲材用鋳塊、第2犠牲材用鋳塊、ろう材用鋳塊を得た。第1犠牲材用鋳塊、第2犠牲材用鋳塊およびろう材用鋳塊については、それぞれ所定の厚さに熱間圧延して、第1犠牲材用部材、第2犠牲材用部材およびろう材用部材を得た。そして、心材用部材の一面側にろう材用部材、他面側に第2犠牲材用部材および第1犠牲材用部材を、表5、表6に示す種々の組み合わせとなるように重ね合わせ、熱間圧延により圧着して板材とした。その後、冷間圧延を行い、所定の板厚のブレージングシート(試験材No.1〜71)とした。
なお、表1〜表4において、成分を含有しないものは空欄で示し、本発明の要件を満たさない数値については、数値に下線を引いて示した。
前記作製したブレージングシートについて、ろう付後強度、ろう付性、犠牲材側の耐食性の評価を下記に示す方法で行った。
<ろう付後強度>
供試材を、ドロップ試験方式で、ろう付を模擬した条件で熱処理(露点が−40℃、酸素濃度が200ppm以下の窒素雰囲気中で、590℃以上(最大600℃)の温度で5分間加熱)した後に、JIS Z2241:2011に規定のJIS5号試験片に加工した(各供試材につき3片ずつ作製)。この試験片を、室温(25℃)で1週間放置した後、JIS Z2241:2011の規定に準じて引張り試験を行い、引張強度を測定し、ろう付後強度とした。3つの試験片のろう付後強度の平均値が220MPa以上のものを最も良好(◎)、200MPa以上のものを良好(○)と評価し、200MPa未満のものを不良(×)と評価した。
供試材を、ドロップ試験方式で、ろう付を模擬した条件で熱処理(露点が−40℃、酸素濃度が200ppm以下の窒素雰囲気中で、590℃以上(最大600℃)の温度で5分間加熱)した後に、JIS Z2241:2011に規定のJIS5号試験片に加工した(各供試材につき3片ずつ作製)。この試験片を、室温(25℃)で1週間放置した後、JIS Z2241:2011の規定に準じて引張り試験を行い、引張強度を測定し、ろう付後強度とした。3つの試験片のろう付後強度の平均値が220MPa以上のものを最も良好(◎)、200MPa以上のものを良好(○)と評価し、200MPa未満のものを不良(×)と評価した。
<ろう付性>
図2は、本発明に係るアルミニウム合金製ブレージングシートのろう材側同士のろう付性を評価するための評価用試験片の断面図である。図3は、本発明に係るアルミニウム合金製ブレージングシートのろう材側と犠牲材側のろう付性を評価するための評価用試験片の断面図である。
供試材から、面寸法が25mm×20mmの試験片を2枚切り出した。これら2枚の試験片をそれぞれ図2に示すように、長手方向の中央が突起し、その際にろう材側表面12が凸側となるように成形した。成形された2枚の試験片10の天辺(長手方向の中央の突起した部分の凸側表面全面)にそれぞれ、非腐食性のフラックスを10(±0.2)g/m2で塗布した。天辺同士を図2に示すように重ね合わせ、ろう付を模擬した熱処理条件(露点が−40℃、酸素濃度が200ppm以下の窒素雰囲気中で、590℃以上(最大600℃)の温度で5分間加熱)でろう付した。ろう付後の試験片を切断して、フィレット14が3mm以上形成している場合を最も良好(◎)である、フィレット14が3mm未満形成している場合をろう付性が良好である(○)と判断した。フィレット14が形成していない場合に、ろう付性が不良である(×)と判断した。なお、ろう付性の評価は、ろう付後強度の評価が良好なものに対してのみ実施した。
図2は、本発明に係るアルミニウム合金製ブレージングシートのろう材側同士のろう付性を評価するための評価用試験片の断面図である。図3は、本発明に係るアルミニウム合金製ブレージングシートのろう材側と犠牲材側のろう付性を評価するための評価用試験片の断面図である。
供試材から、面寸法が25mm×20mmの試験片を2枚切り出した。これら2枚の試験片をそれぞれ図2に示すように、長手方向の中央が突起し、その際にろう材側表面12が凸側となるように成形した。成形された2枚の試験片10の天辺(長手方向の中央の突起した部分の凸側表面全面)にそれぞれ、非腐食性のフラックスを10(±0.2)g/m2で塗布した。天辺同士を図2に示すように重ね合わせ、ろう付を模擬した熱処理条件(露点が−40℃、酸素濃度が200ppm以下の窒素雰囲気中で、590℃以上(最大600℃)の温度で5分間加熱)でろう付した。ろう付後の試験片を切断して、フィレット14が3mm以上形成している場合を最も良好(◎)である、フィレット14が3mm未満形成している場合をろう付性が良好である(○)と判断した。フィレット14が形成していない場合に、ろう付性が不良である(×)と判断した。なお、ろう付性の評価は、ろう付後強度の評価が良好なものに対してのみ実施した。
同様に、供試材から、面寸法が25mm×20mmの試験片を2枚切り出した。2枚の試験片のうちの1枚については、図3の上に示すように、長手方向の中央が突起し、その際にろう材側表面12が凸側となるように成形し、成形された試験片10とした。一方、2枚の試験片のうちの他の1枚については、図3の下に示すように、長手方向の中央が突起し、その際に犠牲材側表面13が凸側となるように成形し、成形された試験片11とした。成形された2枚の試験片10、11の天辺(長手方向の中央の凸起した部分の凸側表面)にそれぞれ、非腐食性のフラックスを10(±0.2)g/m2で塗布した。天辺同士を図3に示すように重ね合わせ、ろう付を模擬した熱処理条件で上記説明と同様にろう付した。以下、図2についての上記説明と同様に操作して、ろう付性を評価した。
<耐食性>
供試材を、ドロップ試験方式で、ろう付を模擬した条件で熱処理(露点が−40℃、酸素濃度が200ppm以下の窒素雰囲気中で、590℃以上(最大600℃)の温度で5分間加熱)した後、幅50mm×長さ60mmの大きさに切断して、評価用の供試材とした。幅60mm×長さ70mmの大きさのマスキング用シールによって、ろう材面の全面をシールで覆い、さらに当該シールを犠牲材面側に折り返して、犠牲材面において四辺から5mmの縁部についてもシールで覆った。
この試験片を、Na+:118ppm、Cl−:58ppm、SO4 2−:60ppm、Cu2+:1ppm、Fe3+:30ppmを含む試験液に浸漬(88℃×8時間)させ、浸漬した状態で室温まで自然冷却した後、室温状態で16時間保持するというサイクルを75サイクル行う耐食試験を実施した。犠牲材面の腐食状況を観察し、残存厚さ50%以上のものを最も良好(◎)と評価し、未貫通腐食のものを良好(○)と評価し、貫通腐食が発生したものを不良(×)と評価した。なお、耐食性の評価は、ろう付後強度、ろう付性の評価が全て良好なものに関してのみ実施した。
供試材を、ドロップ試験方式で、ろう付を模擬した条件で熱処理(露点が−40℃、酸素濃度が200ppm以下の窒素雰囲気中で、590℃以上(最大600℃)の温度で5分間加熱)した後、幅50mm×長さ60mmの大きさに切断して、評価用の供試材とした。幅60mm×長さ70mmの大きさのマスキング用シールによって、ろう材面の全面をシールで覆い、さらに当該シールを犠牲材面側に折り返して、犠牲材面において四辺から5mmの縁部についてもシールで覆った。
この試験片を、Na+:118ppm、Cl−:58ppm、SO4 2−:60ppm、Cu2+:1ppm、Fe3+:30ppmを含む試験液に浸漬(88℃×8時間)させ、浸漬した状態で室温まで自然冷却した後、室温状態で16時間保持するというサイクルを75サイクル行う耐食試験を実施した。犠牲材面の腐食状況を観察し、残存厚さ50%以上のものを最も良好(◎)と評価し、未貫通腐食のものを良好(○)と評価し、貫通腐食が発生したものを不良(×)と評価した。なお、耐食性の評価は、ろう付後強度、ろう付性の評価が全て良好なものに関してのみ実施した。
これらの試験結果を表5、表6に示した。なお、表5、表6において、犠牲材を備えないものや、評価不能だったもの、または評価しなかったものは「−」で示し、本発明の要件を満たさないものについては、数値等に下線を引いて示した。なお、ろう付性の評価では、ろう材側同士の評価は「ろう材−ろう材」という欄に結果を記載した。また、ろう材側と犠牲材側の評価は「ろう材−犠材」という欄に結果を記載した。
表5、表6に示すように、本発明の要件を満足するアルミニウム合金からなる心材(心材No.S1〜S14)、ろう材(ろう材No.R1〜R3)、第1犠牲材(第1犠牲材No.F1〜F10)、第2犠牲材(第2犠牲材No.G1〜G11)を用いて製造され、板厚が200μm未満を満足する実施例のブレージングシート(試験材No.1〜43)は、ろう付後強度、ろう付性、耐食性において、いずれも優れていた。
一方、比較例である試験材No.44〜71は、本発明の要件を満たさないため、以下の結果となった。
試験材No.44は心材Cu量が少なく、ろう付後強度の評価が不良となった。
試験材No.45は心材Cu量が多く、ろう付時に心材が溶融してしまった。
試験材No.46は心材Mn量が少なく、ろう付後強度の評価が不良となった。
試験材No.47は心材Mn量が多く、圧延時に割れが発生し、供試材を作製できなかった。
試験材No.45は心材Cu量が多く、ろう付時に心材が溶融してしまった。
試験材No.46は心材Mn量が少なく、ろう付後強度の評価が不良となった。
試験材No.47は心材Mn量が多く、圧延時に割れが発生し、供試材を作製できなかった。
試験材No.48は心材Si量が多く、ろう付時に心材が溶融してしまった。
試験材No.49は心材Mg量が多く、ろう材側と犠牲材側のろう付性、および、ろう材側同士のろう付性が不十分であった。
試験材No.50は心材Cr量が多く、圧延時に割れが生じ、供試材を作製できなかった。
試験材No.51は心材Zr量が多く、圧延時に割れが生じ、供試材を作製できなかった。
試験材No.52は心材Ti量が多く、圧延時に割れが生じ、供試材を作製できなかった。
試験材No.49は心材Mg量が多く、ろう材側と犠牲材側のろう付性、および、ろう材側同士のろう付性が不十分であった。
試験材No.50は心材Cr量が多く、圧延時に割れが生じ、供試材を作製できなかった。
試験材No.51は心材Zr量が多く、圧延時に割れが生じ、供試材を作製できなかった。
試験材No.52は心材Ti量が多く、圧延時に割れが生じ、供試材を作製できなかった。
試験材No.53は第2犠牲材Zn量が少なく、耐食性の評価が不良となった。
試験材No.54は第2犠牲材Zn量が多く、ろう付時に第2犠牲材が溶融してしまった。
試験材No.55は第2犠牲材Mg量が少なく、ろう付後強度の評価が不良となった。
試験材No.56は第2犠牲材Mg量が多く、圧着性が低下し、供試材を作製できなかった。
試験材No.54は第2犠牲材Zn量が多く、ろう付時に第2犠牲材が溶融してしまった。
試験材No.55は第2犠牲材Mg量が少なく、ろう付後強度の評価が不良となった。
試験材No.56は第2犠牲材Mg量が多く、圧着性が低下し、供試材を作製できなかった。
試験材No.57は第2犠牲材Si量が多く、ろう付時に第2犠牲材が溶融してしまった。
試験材No.58は第2犠牲材Mn量が多く、圧延時に割れが生じ、供試材を作製できなかった。
試験材No.59は第2犠牲材Ti量が多く、圧延時に割れが生じ、供試材を作製できなかった。
試験材No.60は第2犠牲材Cr量が多く、圧延時に割れが生じ、供試材を作製できなかった。
試験材No.61は第2犠牲材Zr量が多く、圧延時に割れが生じ、供試材を作製できなかった。
試験材No.58は第2犠牲材Mn量が多く、圧延時に割れが生じ、供試材を作製できなかった。
試験材No.59は第2犠牲材Ti量が多く、圧延時に割れが生じ、供試材を作製できなかった。
試験材No.60は第2犠牲材Cr量が多く、圧延時に割れが生じ、供試材を作製できなかった。
試験材No.61は第2犠牲材Zr量が多く、圧延時に割れが生じ、供試材を作製できなかった。
試験材No.62は第1犠牲材Zn量が少なく、耐食性の評価が不良となった。
試験材No.63は第1犠牲材Zn量が多く、第1犠牲材が早期消耗し、耐食性の評価が不良となった。
試験材No.64は第1犠牲材Mg量が多く、ろう材側と犠牲材側のろう付性が不十分であった。
試験材No.63は第1犠牲材Zn量が多く、第1犠牲材が早期消耗し、耐食性の評価が不良となった。
試験材No.64は第1犠牲材Mg量が多く、ろう材側と犠牲材側のろう付性が不十分であった。
試験材No.65は第1犠牲材Si量が多く、ろう付時に第1犠牲材が溶融してしまった。
試験材No.66は第1犠牲材Mn量が多く、圧延時に割れが生じ、供試材を作製できなかった。
試験材No.67は第1犠牲材Ti量が多く、圧延時に割れが生じ、供試材を作製できなかった。
試験材No.68は第1犠牲材Cr量が多く、圧延時に割れが生じ、供試材を作製できなかった。
試験材No.69は第1犠牲材Zr量が多く、圧延時に割れが生じ、供試材を作製できなかった。
試験材No.66は第1犠牲材Mn量が多く、圧延時に割れが生じ、供試材を作製できなかった。
試験材No.67は第1犠牲材Ti量が多く、圧延時に割れが生じ、供試材を作製できなかった。
試験材No.68は第1犠牲材Cr量が多く、圧延時に割れが生じ、供試材を作製できなかった。
試験材No.69は第1犠牲材Zr量が多く、圧延時に割れが生じ、供試材を作製できなかった。
試験材No.70は第1犠牲材を設けていないため、ろう材側と犠牲材側のろう付性が不十分であった。
試験材No.71は第2犠牲材を設けていないため、ろう付後強度の評価が不良となった。
試験材No.71は第2犠牲材を設けていないため、ろう付後強度の評価が不良となった。
1 アルミニウム合金製ブレージングシート(ブレージングシート)
2 心材
3 ろう材
4 第1犠牲材
5 第2犠牲材
10、11 成形された試験片
12 ろう材側表面
13 犠牲材側表面
14 フィレット
2 心材
3 ろう材
4 第1犠牲材
5 第2犠牲材
10、11 成形された試験片
12 ろう材側表面
13 犠牲材側表面
14 フィレット
Claims (10)
- 心材と、前記心材の一方の面に設けられたAl−Si系合金からなるろう材と、前記心材の他方の面に設けられたAl−Zn系合金からなる第1犠牲材と、前記第1犠牲材と前記心材との間に設けられたAl−Zn−Mg系合金からなる第2犠牲材とを備えるアルミニウム合金製ブレージングシートであって、
前記アルミニウム合金製ブレージングシートは、板厚が200μm未満であり、
前記心材は、Mn:0.50質量%以上2.0質量%以下、Cu:1.20質量%を超え2.70質量%以下を含有し、残部がAlおよび不可避的不純物からなり、
前記第1犠牲材は、Zn:2.0質量%以上12.0質量%以下を含有し、Mg:0.05質量%未満(0質量%を含む)であり、残部がAlおよび不可避的不純物からなり、
前記第2犠牲材は、Zn:1.0質量%以上7.0質量%以下、Mg:0.05質量%以上3.0質量%以下を含有し、残部がAlおよび不可避的不純物からなることを特徴とするアルミニウム合金製ブレージングシート。 - 前記心材は、Si:0.05質量%以上0.50質量%以下をさらに含有することを特徴とする請求項1に記載のアルミニウム合金製ブレージングシート。
- 前記心材は、Mg:0.05質量%以上0.50質量%以下をさらに含有することを特徴とする請求項1または請求項2に記載のアルミニウム合金製ブレージングシート。
- 前記心材は、Cr:0.01質量%以上0.30質量%以下、Zr:0.01質量%以上0.30質量%以下、およびTi:0.05質量%以上0.30質量%以下からなる群から選択された少なくとも1種以上をさらに含有することを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のアルミニウム合金製ブレージングシート。
- 前記第1犠牲材は、Si:0.20質量%以上1.0質量%以下をさらに含有することを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載のアルミニウム合金製ブレージングシート。
- 前記第1犠牲材は、Mn:0.10質量%以上2.0質量%以下をさらに含有することを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載のアルミニウム合金製ブレージングシート。
- 前記第1犠牲材は、Ti:0.01質量%以上0.30質量%以下、Cr:0.01質量%以上0.30質量%以下、およびZr:0.01質量%以上0.30質量%以下からなる群から選択された少なくとも1種以上をさらに含有することを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載のアルミニウム合金製ブレージングシート。
- 前記第2犠牲材は、Si:0.20質量%以上1.0質量%以下をさらに含有することを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載のアルミニウム合金製ブレージングシート。
- 前記第2犠牲材は、Mn:0.10質量%以上2.0質量%以下をさらに含有することを特徴とする請求項1〜8のいずれか1項に記載のアルミニウム合金製ブレージングシート。
- 前記第2犠牲材は、Ti:0.01質量%以上0.30質量%以下、Cr:0.01質量%以上0.30質量%以下、およびZr:0.01質量%以上0.30質量%以下からなる群から選択された少なくとも1種以上をさらに含有することを特徴とする請求項1〜9のいずれか1項に記載のアルミニウム合金製ブレージングシート。
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