JP2017171855A - 粘着シート - Google Patents

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祐一 南部
Yuichi Nambu
祐一 南部
孝史 冨永
Takashi Tominaga
孝史 冨永
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Abstract

【課題】高い耐傷性を有する粘着シートを提供する。
【解決手段】粘着シート1は、フィルム層3と、フィルム層3の両面にそれぞれ形成された粘着剤層4と、表面保護層2とを備えている。フィルム層3は第1の紫外線吸収剤と樹脂材料として立体規則性の高いポリプロピレンとを含み、粘着剤層4は第2の紫外線吸収剤を含み、表面保護層2は第3の紫外線吸収剤を含んでいる。フィルム層3は、立体規則性の高いポリプロピレンを95重量%以上100重量%以下含有することが好ましい。フィルム層3の厚さは60μm以上100μm以下であることが好ましい。第1の紫外線吸収剤は、第2の紫外線吸収剤と異なる紫外線吸収波長領域を有し、第2の紫外線吸収剤よりも長波長側の紫外線を吸収することが好ましい。第3の紫外線吸収剤は、第1及び第2の紫外線吸収剤の紫外線吸収波長領域の双方と重複する紫外線吸収波長領域を有することが好ましい。
【選択図】 図1

Description

本発明は、被接着体に接着可能な粘着シートに関する。
従来から、例えば鉄道車両、自動車、自動販売機等の表面に貼付して用いられる、マーキング用フィルムが用いられている。このマーキング用フィルムの表面には、表面保護、光沢工場、変退色・劣化防止等を目的としたオーバーレイフィルムが貼付される場合がある。このようなオーバーレイフィルムや、外装看板の表面保護用フィルムとして用いられる粘着シートには、高い耐候性が要求される。
例えば以下の特許文献1及び特許文献2には、化粧シートや樹脂フィルムが高い耐候性を実現するために、樹脂層に紫外線吸収剤等の耐候安定剤が添加されて作製されている。樹脂層に紫外線吸収剤や光安定剤等の耐候安定剤が添加されることが記載されている。
特開2008−114560号公報 特開2005−015557号公報
しかしながら、上述した粘着シート等では、耐傷性が十分でない場合があった。
本発明は、上述したような点に着目してなされたもので、高い耐傷性を有する粘着シートを提供することを目的としている。
課題を解決するために、本発明の一態様に係る粘着シートは、フィルム層と、前記フィルム層の一方の面に形成された粘着剤層と、前記フィルム層の他方の面に形成された表面保護層と、を備え、前記フィルム層は、樹脂材料として立体規則性の高いポリプロピレンと第1の紫外線吸収剤とを含み、前記粘着剤層は、第2の紫外線吸収剤を含み、前記表面保護層は、第3の紫外線吸収剤を含むことを特徴とする。
本発明の一態様によれば、高い耐傷性を有する粘着シートを得ることができる。
本発明に基づく実施形態に係る粘着シートの構成を説明する断面図である。面図である。
以下、本発明の実施形態について、図面を参照して説明する。
図1は、本実施形態に係る粘着シート1を模式的に示す断面図であり、厚さと平面寸法との関係、各層の厚さの比率等は現実のものとは異なる。また、以下に示す実施形態は、本発明の技術的思想を具体化するための構成を例示するものであって、本発明の技術的思想は、構成部品の材質、形状、構造等が下記のものに特定するものでない。本発明の技術的思想は、特許請求の範囲に記載された請求項が規定する技術的範囲内において、種々の変更を加えることができる。
図1に示すように、本実施形態の粘着シート1は、フィルム層3と、フィルム層3の一方の面に形成された粘着剤層4と、フィルム層3の他方の面(粘着剤層4形成面と反対側の面)に形成された表面保護層2と、を備えている。
以下、図1を参照して、粘着シート1の各層について詳細に説明する。
<フィルム層>
フィルム層3は、耐候性を向上させるための第1の紫外線吸収剤を含む熱可塑性樹脂等の樹脂材料により形成されたフィルムである。フィルム層3は、透明であってもよく不透明であってもよい。また、フィルム層3は、着色されていても良く、未着色であってもよい。フィルム層3には、樹脂材料自体の光・熱・水などによる劣化を防止するために光安定剤が添加されていてもよい。
フィルム層3は、樹脂材料として、立体規則性の高いポリプロピレンを含む。「立体規則性の高いポリプロピレン」とは、具体的にはアイソタクチックポリプロピレンであり、プロピレン側鎖のメチル基がすべて同じ方向を向いており、かつプロピレンが頭-尾結合している構造をいう。
また、フィルム層3は、樹脂材料として、立体規則性の低いポリプロピレンを含んでいてもよい。「立体規則性の低いポリプロピレン」とは、具体的にはシンジオタクチックポリプロピレンであり、プロピレン側鎖のメチル基が規則正しく交互に異なる方向を向いている構造をいう。」
さらに、フィルム層3は、樹脂材料として、ポリエチレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリ塩化ビニル等や、これらの混合物、変性物、重合物等の熱可塑性樹脂を含んでいてもよい。
これにより、フィルム層3の表面の硬度を向上させ、粘着シート1全体として耐傷性を向上させることができる。また、フィルム層3の寸法安定性を向上させることができる。さらに、フィルム層3の角部が捲れ上がりにくくすることができるため、粘着層4が被接着体から剥がれることを抑制することができる。このため、本実施形態の粘着シート1は、使用時における安定性が非常に高くなる。特に、被接着体が平面である場合に、粘着シート1の使用時における安定性が顕著に高くなる。
また、フィルム層3は、樹脂材料中、立体規則性の高いポリプロピレンを95重量%以上100重量%以下含有することが好ましい。この範囲内で立体規則性の高いポリプロピレンを含有することにより、フィルム層3の表面の硬度がより向上し、粘着シート1全体の耐傷性がより向上する。
フィルム層3に添加される第1の紫外線吸収剤としては、粘着剤層4に添加される第2の紫外線吸収剤の紫外線吸収波長領域と異なる紫外線吸収波長領域を有する材料が挙げられる。フィルム層3に添加される第1の紫外線吸収剤は、粘着剤層4に添加される第2の紫外線吸収剤と異なる波長領域(粘着剤層4で吸収されにくい波長領域)の紫外線を吸収することができる。
第1の紫外線吸収剤は、第2の紫外線吸収剤よりも長波長側の紫外線を吸収する材料であることが好ましい。第1の紫外線吸収剤は、少なくとも波長350nm以上370nm以下の紫外線を吸収することが好ましい。
このような第1の紫外線吸収剤として、例えばベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤を用いることが好ましい。ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤としては、2−(2−ヒドロキシ−5−t−ブチルフェニル)−2H−ベンゾトリアゾール、2−(5−メチル−2−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール、2−[2−ヒドロキシ−3,5−ビス(α,α−ジメチルベンジル)フェニル]−2H−ベンゾトリアゾール、2−(3,5−ジ−t−ブチル−2−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(3−t−ブチル−5−メチル−2−ヒドロキシフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(3,5−ジ−t−ブチル−2−ヒドロキシフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(3,5−ジ−t−アミル−2−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−5’−オクチルフェニル)ベンゾトリアゾール等やこれらの混合物、変性物、重合物、誘導体が挙げられる。
第1の紫外線吸収剤の添加部数は、フィルム層3の材料である樹脂材料に対して0.1質量%以上50質量%以下、好ましくは0.5質量%以上30質量%以下である。紫外線吸収効果を十分に発揮するとともに、紫外線吸収剤のブリードアウトを抑制することができるためである。
また、フィルム層3に添加される光安定剤としては、ヒンダードアミン系光安定剤が用いられることが好ましい。
ヒンダードアミン系光安定剤としては、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジニル)〔[3,5−ビス(1,1−ジメチルエチル)−4−ヒドロキシフェニル]メチル〕ブチルマロネート、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジニル)セバケート、メチル(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジニル)セバケート、デカン二酸ビス[2,2,6,6−テトラメチル−1−オクチルオキシ)−4−ピペリジニル]エステル等やこれらの混合物、変性物、重合物、誘導体などが挙げられる。
フィルム層3は、所望の厚さに形成することが可能であるが、例えば厚さが60μm以上100μm以下であることが好ましい。粘着フィルム1が特に高い耐傷性、強度及び耐候性を備え、かつフィルム層3の製造時における生産性がより良好であるためである。
このようなフィルム層3は、波長領域が310nm以上370nm以下の紫外線領域の光透過率が0.5%以下となる。したがって、フィルム層3の紫外線による劣化を抑制することができる。
<粘着剤層>
粘着剤層4は、耐候性を向上させるための第2の紫外線吸収剤を含む接着剤により形成されている。また、粘着剤層4には、接着剤自体の光・熱・水などによる劣化を防止するために光安定剤が添加されていてもよい。接着剤としては、アクリル系接着剤、ゴム系接着剤、エポキシ系接着剤及びイソシアネート系接着剤等が挙げられるが、アクリル系接着剤が用いられることが好ましい。
アクリル系接着剤としては、(メタ)アクリル酸n−ブチル、(メタ)アクリル酸ヘキシル、(メタ)アクリル酸2−ジエチルブチル、(メタ)アクリル酸イソオクチル、(メタ)アクリル酸2−メトキシエチル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸デシル、(メタ)アクリル酸ドデシル、(メタ)アクリル酸トリデシル等の(メタ)アクリル酸エステルの1種または2種以上と、それら(メタ)アクリル酸エステルと共重合可能な(メタ)アクリル酸、イタコン酸、マレイン酸、無水マレイン酸、アクリル酸ヒドロキシエチル、アクリル酸ヒドロキシプロピル、アクリルアミド、ジメチルアクリルアミド、メタクリル酸メチルアミノエチル、(メタ)アクリル酸メトキシエチル等の官能性モノマーとの共重合物等が挙げられる。
ゴム系接着剤としては、例えば、天然ゴム系、イソプレンゴム系、スチレン−ブタジエン系、再生ゴム系、ポリイソブチレン系のものや、スチレン−イソプレン−スチレン、スチレン−ブタジエン−スチレン等のゴムを含むブロック共重合体を主とする接着剤等が挙げられる。
エポキシ系接着剤としては、脂肪鎖変性エポキシ樹脂、シクロペンタジエン変性エポキシ樹脂やナフタレン変性エポキシ樹脂等の炭化水素変性エポキシ樹脂、エラストマー変性エポキシ樹脂、シリコーン変性エポキシ樹脂等が挙げられる。
イソシアネート系接着剤としては、カプロラクタム系ブロックドイソシアネート、フェノール系ブロックドイソシアネート、トルエンジイソシアネート系等が挙げられる。
以上のような接着剤は、非架橋型、架橋型のいずれのものも使用可能である。後者の場合、必要に応じ、架橋剤を添加することができる。架橋剤としては、例えば、エポキシ系化合物、イソシアネート系化合物、金属キレート化合物、金属アルコキシド、金属塩、アミン化合物、ヒドラジン化合物、アルデヒド系化合物等を、単独で又は2種以上混合して用いることができる。
粘着剤層4に添加される第2の紫外線吸収剤としては、フィルム層3に添加される第1の紫外線吸収剤の紫外線吸収波長領域と異なる紫外線吸収波長領域を有する材料等が挙げられる。粘着剤層4に添加される第2の紫外線吸収剤は、フィルム層3に添加される第1の紫外線吸収剤と異なる波長領域(フィルム層3で吸収されにくい波長領域)の紫外線を吸収することができる。
第2の紫外線吸収剤は、第1の紫外線吸収剤よりも短波長側の紫外線を吸収する材料であることが好ましい。第2の紫外線吸収剤は、少なくとも波長310nm以上350nm以下の紫外線を吸収することが好ましい。
このような第2の紫外線吸収剤として、例えばトリアジン系紫外線吸収剤を用いることが好ましい。トリアジン系紫外線吸収剤としては、2−(4,6−ジフェニル−1,3,5−トリアジン−2−イル)−5−[(ヘキシル)オキシ]−フェノール、2−〔4−[(2−ヒドロキシ−3−ドデシルオキシプロピル)オキシ]−2−ヒドロキシフェニル〕−4,6−ビス(2,4−ジメチルフェニル)−1,3,5−トリアジン、2−〔4−[(2−ヒドロキシ−3−トリデシルオキシプロピル)オキシ]−2−ヒドロキシフェニル〕−4,6−ビス(2,4−ジメチルフェニル)−1,3,5−トリアジン、2,4−ビス(2,4−ジメチルフェニル)−6−(2−ヒドロキシ−4−イソ−オクチルオキシフェニル)−s−トリアジンなどやこれらの混合物、変性物、重合物、誘導体等が挙げられる。
第2の紫外線吸収剤の添加部数は、粘着剤層4の材料である接着剤に対して0.1質量%以上50質量%以下、好ましくは0.5質量%以上30質量%以下である。紫外線吸収効果を十分に発揮するとともに、紫外線吸収剤のブリードアウトを抑制することができるためである。
また、粘着剤層4に添加される光安定剤としては、フィルム層3に添加される光安定剤と同様のヒンダードアミン系光安定剤が用いられることが好ましい。
粘着剤層4は、所望の厚さに形成することが可能であるが、例えば厚さが20μm以上40μm以下であることが好ましい。粘着フィルム1がより高い強度及び耐候性を備え、かつ粘着剤層4の製造時における生産性がより良好であるためである。
このような粘着剤層4は、波長領域が310nm以上370nm以下の紫外線領域の光透過率が0.5%以下となる。したがって、フィルム層3の紫外線による劣化を抑制することができる。
<表面保護層>
表面保護層2は、耐候性を向上させるための第3の紫外線吸収剤を含む熱可塑性樹脂等の樹脂材料により形成されている。表面保護層2は、フィルム層3が視認できる程度に透明な層である。
また、表面保護層2には、光安定剤が添加されていてもよい。表面保護層2に用いられる熱可塑性樹脂としては、フィルム層3との密着性考慮して選定され、ポリプロピレン、ポリエチレン等のポリオレフィン系樹脂、アクリル系樹脂等や、これらの混合物、変性物、重合物等が挙げられる。
表面保護層2に添加される第3の紫外線吸収剤としては、フィルム層3に添加される第1の紫外線吸収剤の紫外線吸収波長領域の少なくとも一部及び粘着剤層4に添加される第2の紫外線吸収剤の紫外線吸収波長領域の少なくとも一部の双方と重複する紫外線吸収波長領域を有する紫外線吸収剤等が挙げられる。
第3の紫外線吸収剤は、少なくとも波長340nm以上360nm以下の紫外線を吸収することが好ましく、波長310nm以上370nm以下の紫外線を吸収することがより好ましい。
このような第3の紫外線吸収剤として、例えば第1の紫外線吸収剤と同様のベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤を用いることが好ましい。
第3の紫外線吸収剤の添加部数は、表面保護層3の材料である樹脂材料に対して0.1質量%以上50質量%以下、好ましくは0.5質量%以上30質量%以下である。紫外線吸収効果を十分に発揮するとともに、紫外線吸収剤のブリードアウトを抑制することができるためである。
また、表面保護層2に添加される光安定剤としては、フィルム層3に添加される光安定剤と同様のヒンダードアミン系光安定剤が用いられることが好ましい。
表面保護層2は、所望の厚さに形成することが可能であるが、例えば厚さが8μm以上15μm以下であることが好ましい。表面保護層2の厚さが上記範囲にある場合、粘着シート1の耐候性が十分に高くなり、かつ表面保護層2が厚すぎないために製造時において表面保護層2の乾燥性が低下してブロッキングが発生することを防止する。これにより、粘着シート製造時の生産スピードの低下や歩留まりの低下を抑制し、粘着シート1の生産性を向上させることができる。
<効果>
以上のような本実施形態に係る粘着層は、以下の効果を有する。
(1)フィルム層が樹脂材料として立体規則性の高いポリプロピレンを含むことにより、フィルム層の表面の硬度を向上させ、粘着シート全体として耐傷性を向上させることができる。
(2)フィルム層が樹脂材料として立体規則性の高いポリプロピレンを含むことにより、フィルム層の寸法安定性を向上させることができる。
(3)フィルム層が樹脂材料として立体規則性の高いポリプロピレンを含むことにより、フィルム層の角部が捲れ上がりにくくすることができるため、粘着層が被接着体から剥がれることを抑制することができる。
(4)フィルム層が、樹脂材料中、立体規則性の高いポリプロピレンを95重量%以上100重量%以下含有することにより、フィルム層の表面の硬度がより向上し、粘着シート全体の耐傷性がより向上する。
(5)フィルム層の厚さを60μm以上100μm以下とすることにより、粘着フィルムが特に高い耐傷性、強度及び耐候性を備え、かつフィルム層の製造時における生産性がより良好となる。
(6)フィルム層、粘着剤層及び表面保護層の各層に紫外線吸収剤を添加することで、各層において紫外線の吸収波長を異ならせることができ、いずれかの層で吸収されにくい波長領域の紫外線を他の層で吸収することができる。すなわち、各層が互いに紫外線の吸収波長を補うことができる。
(7)一つの層(例えば表面保護層)のみでなく、他の層(例えばフィルム層と粘着剤層)にも紫外線吸収剤が添加されることにより、紫外線吸収剤のブリードアウトの抑制にもつながる。
(8)第1の紫外線吸収剤の紫外線吸収波長領域と第2の紫外線吸収剤の紫外線吸収波長領域とが異なることで、フィルム層と粘着剤層とが互いに紫外線の吸収波長を補うことができる。
(9)第3の紫外線吸収剤が、第1の紫外線吸収剤の紫外線吸収波長領域及び第2の紫外線吸収剤の紫外線吸収波長領域の双方と重複する。これにより、粘着シートの紫外線の入射面となりやすい表面保護層において、広範囲の波長の紫外線を吸収し、フィルム層及び粘着剤層に入射される紫外線を低減することができる。これにより、フィルム層及び粘着剤層の劣化をより抑制し、粘着剤層が劣化して外壁や窓等の被接着体から剥がれたり、フィルム層及び粘着剤層の少なくとも一方の劣化によるフィルム層及び粘着剤層の剥離をより防止することができる。
(10)フィルムが熱可塑性樹脂を含むことにより、外壁や窓等が高温になった場合の粘着シートの劣化が抑制される。
以下、本実施形態における粘着シートについて、具体的な実施例及び比較例を挙げて説明する。なお、本実施形態は以下の実施例及び比較例によって制限されるものではない。
<実施例1>
(フィルムの形成)
溶融したポリプロピレン樹脂A(株式会社プライムポリマー製、プライムポリプロ E−2000GV(登録商標))に少なくとも波長350nm以上370nm以下の紫外線を吸収するベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤及びヒンダードアミン系光安定剤を添加し混錬した。続いて、上述の紫外線吸収剤及び光安定剤を混錬した溶融樹脂を、押し出し機を用いて厚さ80μmで押し出し、透明のフィルム(以下、透明フィルムと記載する)を形成した。ここで、ポリプロピレン樹脂Aは、上述した「立体規則性が高い」ポリプロピレン樹脂に該当する。
(粘着層の形成)
2液架橋型のアクリル系接着剤(東洋インキ株式会社製、アリバイン BPS 6316)に、透明フィルムに添加したベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤と異なる、より短波長側の紫外線を吸収するトリアジン系紫外線吸収剤及びヒンダードアミン系光安定剤を添加し混錬した。続いて、上述の紫外線吸収剤及び光安定剤を混錬したアクリル系接着剤を、透明フィルムの他方の面(表面保護層形成面とは異なる面)に乾燥後の厚さが30μmとなるように塗工量を調整して塗工した。最後に、塗工したアクリル系接着剤を乾燥させて、厚さ30μmの粘着層を形成した。
(表面保護層の形成)
溶融した熱硬化型の多官能アクリルウレタン樹脂(DICグラフィックス株式会社製)に、透明フィルムに添加したベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤と同等波長の紫外線及び粘着層に添加したトリアジン系紫外線吸収剤と同等波長の紫外線を吸収するベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤及びヒンダードアミン系光安定剤を添加し混錬した。続いて、上述の紫外線吸収剤及び光安定剤を混錬した多官能アクリルウレタン樹脂を、透明フィルムの一方の表面上に乾燥後の厚さが9μmとなるように塗工量を調整して塗工した。最後に、塗工した多官能アクリルウレタン樹脂を乾燥させて、厚さ9μmの表面保護層を形成した。
以上により、透明フィルムの一方の面に表面保護層が形成され、透明フィルムの他方の面に粘着層が形成された粘着シートを作製した。
<実施例2>
透明のフィルムの厚さを60μmとした以外は実施例1と同様にして、実施例2の粘着シートを作製した。
<実施例3>
透明のフィルムの厚さを100μmとした以外は実施例1と同様にして、実施例3の粘着シートを作製した。
<実施例4>
透明のフィルムの厚さを40μmとした以外は実施例1と同様にして、実施例4の粘着シートを作製した。
<実施例5>
透明のフィルムの厚さを120μmとした以外は実施例1と同様にして、実施例5の粘着シートを作製した。
<比較例1>
透明フィルム形成時に用いるポリプロピレン樹脂Aの代わりに、ポリプロピレン樹脂B(株式会社プライムポリマー製、プライムTPO F−3900)を用いた以外は実施例1と同様にして、比較例1の粘着シートを作製した。ここで、ポリプロピレン樹脂Bは、上述した「立体規則性が低い」ポリプロピレン樹脂に該当する。
[評価]
上述した実施例1から実施例5及び比較例1の粘着シートについて、以下の評価を行った。
(耐傷性試験)
各実施例及び各比較例の粘着シートに対して、鉛筆硬度試験を行い、各粘着シートの耐傷性の評価を行った。なお、鉛筆硬度試験は、日本工業規格のJIS K 5600に示される引っかき硬度(鉛筆法)に準じて行った。
耐傷性試験では、塗膜が剥がれない最高硬度がB以上である場合を「○」、塗膜が剥がれない最高硬度が2B以上であり、かつ凹みの付かない最高硬度が3B以下の場合を「△」、塗膜が剥がれない最高硬度が4B以下の場合を「×」として評価した。
(促進耐候性試験)
各実施例及び各比較例の粘着シートに対して、以下の条件で促進耐候性試験を行った。
(条件)
試験機:メタルウェザー試験機(ダイプラ・ウィンテス株式会社製 ダイプラ・メタルウェザー KU−R5DC1−A)
条件:照度65mW/cm2、Light(53℃、50%RH)20時間の後、Dew(30℃、95%RH)4時間
散水条件:Dewの前後に30s
以上の処理を1サイクルとして、実施例及び比較例の各粘着シートに対して促進耐候性試験を144時間実施した。
試験後、粘着シート表面のひび割れ・クラックの確認及び被着物の変退色の有無の確認を行った。
促進耐候性試験では、粘着シートの非接着体からの剥がれがなかった場合を「○」、粘着シートが非接着体からやや剥がれた場合を「△」、粘着シートの角部が大きく捲れ上がり非接着体から大きく剥がれた場合を「×」として評価した。
(粘着シートの生産性の評価)
各実施例及び各比較例の粘着シートについて、生産性の評価を行った。
生産性の評価について、生産性が良好であった場合を「○」、生産性が劣る(例えば粘着性シートの製造が不可能である)場合を「×」とした。
以下の表1に、実施例及び比較例の構成を示す。また、以下の表2に、評価結果を示す。
Figure 2017171855
Figure 2017171855
(考察)
表1から分かるように、透明フィルムを形成する際に、立体規則性の高いポリプロピレンであるポリプロピレンAを用いた実施例1から実施例5の粘着シートは、立体規則性の低いポリプロピレンであるポリプロピレンBを用いた比較例1の粘着シートと比較して、耐傷性が顕著に向上するとともに、耐候性も向上した。
また、実施例1から実施例3及び実施例5と実施例4との比較から、フィルム層の厚さが60μm以上の場合、厚さが40μmの場合と比較して耐傷性がより高くなった。これは、フィルム層の厚さが一定以上となることによりひっかきに対する強度が向上したためであると考えられる。
また、実施例1から実施例4と実施例5との比較から、フィルム層の厚さが100μm以下の場合、厚さが120μmの場合と比較して生産性が向上した。これは、フィルム層の厚さが一定以下となることにより、フィルム層形成時の硬化が早くなるとともに取り扱いが容易となるためであると考えられる。
以上のように、本実施形態の粘着シートは、実施例1から実施例5の粘着シートのように、立体規則性の高いポリプロピレンを含んでいる。また、本実施形態の粘着シートは、実施例1から実施例3の粘着シートのように、フィルム層の厚さが60μm以上100μm以下であることが、耐傷性、耐候性及び生産性を両立する観点から好ましい。
[その他]
本発明の範囲は、図示され記載された例示的な実施形態に限定されるものではなく、本発明が目的とするものと均等な効果をもたらす全ての実施形態をも含む。さらに、本発明の範囲は、請求項により画される発明の特徴の組み合わせに限定されるものではなく、全ての開示されたそれぞれの特徴のうち特定の特徴のあらゆる所望する組み合わせによって画されうる。
1 粘着シート
2 表面保護層
3 フィルム層
4 粘着剤層

Claims (6)

  1. フィルム層と、
    前記フィルム層の一方の面に形成された粘着剤層と、
    前記フィルム層の他方の面に形成された表面保護層と、
    を備え、
    前記フィルム層は、第1の紫外線吸収剤と樹脂材料として立体規則性の高いポリプロピレンとを含み、
    前記粘着剤層は、第2の紫外線吸収剤を含み、
    前記表面保護層は、第3の紫外線吸収剤を含む
    ことを特徴とする粘着シート。
  2. 前記フィルム層は、樹脂材料中、立体規則性の高いポリプロピレンを95重量%以上100重量%以下含有する
    請求項1に記載の粘着シート。
  3. 前記フィルム層の厚さは、60μm以上100μm以下であることを特徴とする請求項1又は2に記載の粘着シート。
  4. 前記第1の紫外線吸収剤の紫外線吸収波長領域は、前記第2の紫外線吸収剤の紫外線吸収波長領域と異なることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の粘着シート。
  5. 前記第1の紫外線吸収剤は、前記第2の紫外線吸収剤よりも長波長側の紫外線を吸収することを特徴とする請求項4に記載の粘着シート。
  6. 前記第3の紫外線吸収剤は、前記第1の紫外線吸収剤の紫外線吸収波長領域及び前記第2の紫外線吸収剤の紫外線吸収波長領域の双方と重複する紫外線吸収波長領域を有することを特徴とする請求項1から5のいずれか1項に記載の粘着シート。
JP2016062558A 2016-03-25 2016-03-25 粘着シート Pending JP2017171855A (ja)

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* Cited by examiner, † Cited by third party
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DE112018004936T5 (de) 2017-09-07 2020-06-04 Isuzu Motors Limited Agr-system

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