JP2017171825A - ハイドロゲル及びその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】高い機械的強度と復元性を有するハイドロゲルを提供することを課題とする。【解決手段】水及び多価イオン含有化合物と、それらを含有した高分子マトリックスとから構成されたハイドロゲルであって、前記高分子マトリックスは、1個のエチレン性不飽和基を有する単官能性モノマーと2〜6個のエチレン性不飽和基を有する多官能性モノマーとの共重合体とを含み、前記単官能性モノマーは、親水基を有し、前記ハイドロゲルは、その100重量部中に、高分子マトリックスと多価イオン含有化合物の合計含有量が20重量部となるように水を含ませた場合、30kPa以上の引張り破断強度、200%以上の引張り破断伸びを示すことを特徴とするハイドロゲルにより上記課題を解決する。【選択図】なし

Description

本発明は、ハイドロゲル及びその製造方法に関する。本発明のハイドロゲルは、アルカリ二次電池、電気防食工程のバックフィル、再アルカリ化用部材、脱塩用部材等の強度や耐アルカリ性を求められる用途に好適に使用できる。
ハイドロゲルは、親水性高分子鎖間が架橋された三次元ネットワーク構造を持つ高分子マトリックスに水や保湿剤等を含むものである。また、電解質を含む水溶液を含有・保持することで導電性を付与することができ、例えば、生体電極や電池の電解質等に使用することができ、医療分野や工業分野において幅広い用途を有する。特にアルカリ二次電池の分野では、安全性を高めるために、ハイドロゲルを用いたアルカリ電解質のゲル化が古くから注目されている。
一般に、ハイドロゲルは優れた圧縮強度を有するが、引張り破断強度が低く、自立膜として使用することが困難である。このため、一般的なアルカリ電解質としてのハイドロゲルの使用は、増粘を目的としたゲル化剤として添加することに留まり、十分な機械的強度を持った自立膜としてのハイドロゲルはほとんど開発されていなかった。
機械的強度を有する高分子ハイドロゲル電解質としては、例えば、特開2005−322635号公報(特許文献1)記載のポリビニルアルコールとアニオン性架橋共重合体とからなる重合体組成物に、水酸化アルカリを含有させてなるアルカリ電池用高分子ハイドロゲル電解質が開示されている。
特開2005−322635号公報
しかしながら、特許文献1では、イオン伝導を担うアルカリ水溶液の含水率が低いため、電池に使用した場合、十分な放電特性が得られていなかった。また、この重合体組成物には架橋物であるアニオン性架橋共重合体の含有量が低く、またハイドロゲルが架橋ポリマーゲルの集合体により構成されている。そのため、架橋度が低く、且つゲル間の相互作用が小さく、伸びが無く脆いゲルである。そのため、イオン伝導度を確保するために、よりアルカリ水溶液を含ませた場合、ハイドロゲルが膨潤し、膨潤に伴って機械的強度は著しく低下してしまう。結果として、十分な機械的強度が得られず、自立膜として使用できない課題があった。
かくして本発明によれば、水及び多価イオン含有化合物と、それらを含有した高分子マトリックスとから構成されたハイドロゲルであって、
前記高分子マトリックスは、1個のエチレン性不飽和基を有する単官能性モノマーと2〜6個のエチレン性不飽和基を有する多官能性モノマーとの共重合体とを含み、
前記単官能性モノマーは、親水基を有し、
前記ハイドロゲルは、その100重量部中に、高分子マトリックスと多価イオン含有化合物の合計含有量が20重量部となるように水を含ませた場合、30kPa以上の引張り破断強度、200%以上の引張り破断伸びを示すことを特徴とするハイドロゲルが提供される。
また、本発明によれば、上記ハイドロゲルを製造する方法であって、
水、多価イオン含有化合物、1個のエチレン性不飽和基を有する単官能性モノマー、2〜6個のエチレン性不飽和基を有する多官能性モノマー及び重合開始剤を含むハイドロゲル前駆体を調製する工程と、
前記単官能性モノマー及び多官能性モノマーを重合させることによりハイドロゲルを得る工程とを含むことを特徴とするハイドロゲルの製造方法が提供される。
本発明のハイドロゲルは、それ自体がミクロゲルの集合体ではなく、1つのバルクゲルで構成されており、架橋ポリマーゲルの集合体に比べて、含水率が高い状態でも高い機械的な強度(例えば、小さい定伸長引張り永久ひずみ、優れた引張り破断強度等)を有している。また、本発明のハイドロゲルは、多価イオン含有化合物を含有していないハイドロゲルより、高い機械的強度と復元性を有している。本発明の発明者によれば、この理由は、重合時に化学架橋剤による不可逆性の架橋構造と多価イオン含有化合物による可逆性のイオン架橋構造の二種類を、同時にハイドロゲルが有しているためであると考えている。
また、本発明によれば、以下の構成を有する場合、含水率が高い状態でもより高い機械的な強度(例えば、小さい定伸長引張り永久ひずみ、優れた引張り破断強度等)を有したハイドロゲルを提供できる。
(1)親水基が、少なくともカルボキシル基を含む。
(2)高分子マトリックスが、ハイドロゲル100重量部中に、1〜30重量部含まれ、
多官能性モノマー由来の重合体が、共重合体100重量部中に、0.1〜5重量部の割合で含まれ、
多価イオン含有化合物が、ハイドロゲル100重量部中に、0.5〜15重量部含まれる。
(3)ハイドロゲルが、10%以下の100%定伸長引張り永久ひずみを有する。
(4)多価イオン含有化合物が、Alを含む、メタケイ酸化合物、(メタ)ケイ酸塩鉱物、硫化鉱物、酸化鉱物、水酸化鉱物、炭酸塩鉱物、硝酸塩鉱物、ホウ酸塩鉱物、硫酸塩鉱物、クロム酸塩鉱物、リン酸塩鉱物、ヒ酸塩鉱物、バナジン酸塩鉱物、タングステン酸塩鉱物及びモリブデン酸塩鉱物からなる群から選択される。
(5)ハイドロゲルが、前記水に溶解したアルカリ成分を更に含む。
更に、本発明によれば、ハイドロゲルが、水に溶解したアルカリ成分を更に含み、
アルカリ成分が、重合後のハイドロゲルをアルカリ水溶液に浸漬することで水に溶解される場合、上記ハイドロゲルをより簡便に製造できる。
(ハイドロゲル)
ハイドロゲルは、水及び多価イオン含有化合物と、それらを含有した高分子マトリックスとから構成される。
(1)高分子マトリックス
高分子マトリックスが、1個のエチレン性不飽和基を有する単官能性モノマーと2〜6個のエチレン性不飽和基を有する多官能性モノマーとの共重合体とを含む。
高分子マトリックスは、ハイドロゲル100重量部中に1〜30重量部含まれることが好ましい。含有量が1重量部未満の場合、ハイドロゲルの強度が低くなり、シート形状を保てなくなることがある。30重量部より多いと、重合速度が速くなり、高分子マトリックスが低分子量化するため、強度が低くなり、破断強度が低下してしまうことがある。また、重合時の反応熱が非常に高くなり、高分子マトリックスが解重合することで、破断強度が低下することがある。また、電池の電解質として使用した場合、インピーダンスが高く、望む電池特性が出ないことがある。含有量は、2〜27重量部であることがより好ましく、5〜25重量部であることが更に好ましい。
共重合体は、その主鎖に結合する親水性基を有している。親水性基としては、カルボキシル基、水酸基、アミノ基、スルホ基等が挙げられる。少なくともカルボキシル基を含むことが好ましい。親水性基の数は、高分子マトリックスを構成する単官能性モノマーの親水性官能基当量(官能基1つあたりの分子量)が300g/mol以下であることが好ましい。
共重合体は、高分子マトリックス100重量部中に80〜100重量部含まれることが好ましい。含有量が80重量部未満の場合、ハイドロゲルの強度が低くなることがある。高分子マトリックスは共重合体のみからなっていることがより好ましい。
(a)単官能性モノマー
単官能性モノマーは、1個のエチレン性不飽和基を有する限り特に限定されない。単官能性モノマーは、水に対して可溶性を有するモノマーが好ましい。ここで、可溶性とは、100gの水に1g以上溶解することを意味する。また、単官能性モノマーは、親水基(例えば、カルボキシル基)を有することが好ましい。例えば、単官能性モノマーとしては、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸ナトリウム、(メタ)アクリル酸カリウム、(メタ)アクリル酸亜鉛、イタコン酸、メサコン酸、シトラコン酸等が挙げられる。単官能性モノマーは、1種のみであってもよく、複数種の混合物であってもよい。
(b)多官能性モノマー
多官能性モノマーは、2〜6個のエチレン性不飽和基を有する限り特に限定されない。例えば、多官能性モノマーとしては、ジビニルベンゼン、ジビニルベンゼンスルホン酸ナトリウム、ジビニルビフェニル、ジビニルスルホン、ジエチレングリコールジビニルエーテル、ペンタエリスリトールトリアリルエーテル、ペンタエリスリトールテトラアリルエーテル、ジメチルジアリルアンモニウムクロリド、ジメチルジアリルアンモニウムクロライド、N,N’−メチレンビス(メタ)アクリルアミド、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、グリセリントリ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリグリセリンジ(メタ)アクリレート等が挙げられる。多官能性モノマーは、1種のみであってもよく、複数種の混合物であってもよい。
(c)多官能性モノマーの割合
多官能性モノマー由来の重合体は、共重合体100重量部に対して、0.1〜5重量部の割合で含まれることが好ましい。0.1重量部未満の場合、復元性が悪くなり、引張り永久ひずみが大きくなることがある。5重量部より多い場合、ゲルが硬くなりすぎるため、脆くなり引張り破断伸びが低下することがある。多官能性モノマー由来の重合体の含有量は、0.2〜3重量部であることがより好ましく、0.4〜1.5重量部であることが更に好ましい。
共重合体中の多官能性モノマー由来の重合体の含有量は、熱分解GCにより測定できる。熱分解GCによる測定は、例えば、以下の手順で行うことができる。
(多官能性モノマーとしてのジビニルベンゼン由来重合体のジビニルベンゼン含有量測定)
重合後のハイドロゲル約0.05gをできるだけ小さな大きさにカット後、遠沈管に精秤し、メタノール約10mlを加えて10hr以上常温静置する。約15分間超音波洗浄抽出して再度よく混合した後、3,500rpm×30min遠心分離し、上澄み液を捨てて沈殿物を取り出し、沈殿物を絶乾することでハイドロゲルに含まれる共重合体樹脂成分の分離を行い、これを測定試料とする。
試料を0.1〜0.5mg精秤し、キューリー点が590℃の強磁性金属体(パイロホイル:日本分析工業社製)に圧着するように包み、キューリーポイントパイロライザーJPS−700型(日本分析工業社製)熱分解装置で下記条件にて測定して生成したジビニルベンゼンモノマーをガスクロマトグラフ GC7820(アジレント・テクノロジー社製)(検出器:FID)を用いて測定し、ジビニルベンゼン単独重合体を同様に測定して得られたジビニルベンゼンモノマーピーク面積を使用して予め準備した検量線より含有量を算出する。
(測定条件)
・加熱(590℃−5sec)
・オーブン温度(300℃)
・ニードル温度(300℃)
・カラム(GRACE社製 EC−5(φ0.25mm×30m×膜厚0.25μm))
(カラム温度条件)
・温度条件(50℃で0.5分保持後、200℃まで10℃/分で昇温し、更に320℃まで20℃/分で昇温し320℃にて0.5分保持)
・キャリアーガス(He)
・He流量(39.553ml/分)
・注入口圧力(100kPa)
・注入口温度(300℃)
・検出器温度(300℃)
・スプリット比(1/50)
検量線作成用標準試料は、積水化成品工業社製のジビニルベンゼン単独重合体を使用する。
ジビニルベンゼン単独重合体粒子は、以下の方法に作製したものを使用した。
即ち、攪拌機、温度計を備えた重合器にラウリル硫酸ナトリウム0.2重量部を溶解させた脱イオン水2000重量部を入れ、そこへ第三リン酸カルシウム200重量部を分散させた。これに予め調製しておいたジビニルベンゼン(商品名「DVB−810」新日鉄住金化学社製)1000重量部に2,2’-アゾビス(2,4-ジメチルバレロニトリル)10重量部を溶解させた混合液を入れて、その液をT.Kホモミキサー(特殊機化工業社製)にて4000rpmで10分間攪拌して重合器を65℃に加熱して攪拌しながら懸濁重合を行った後、室温まで冷却した。ここで得られた懸濁液を吸引濾過により10000重量部の脱イオン水で洗浄した後、乾燥してジビニルベンゼン重合体粒子を得た。粒度分布測定装置Multisizer3(ベックマン・コールター社製)で測定したジビニルベンゼン単独重合体粒子の平均粒子径は11.5μmであった。
多官能性モノマー由来の重合体の割合が0.1重量部未満の場合、架橋密度が低くなることがある。5重量部より多い場合、多官能性モノマー由来の重合体が相分離してしまい、架橋構造が不均一なハイドロゲルとなることがある。重合体の割合は0.2〜3重量部であることがより好ましく、0.4〜1.5重量部であることが更に好ましい。
なお、共重合体は、単官能性モノマーと多官能性モノマーに由来する成分からなるが、共重合体製造時の各モノマーの使用量と、共重合体中の各成分の含有量とは、ほぼ同じである。
(d)他のモノマー
本発明の効果を阻害しない範囲で、上記単官能性モノマーと多官能性モノマー以外のほかのモノマー由来の成分が共重合体に上記単官能性モノマー及び/又は多官能性モノマーと共重合する形態で含まれていてもよい。他のモノマーとしては、(メタ)アクリルアミド、ジメチル(メタ)アクリルアミド、ビニルスルホン酸、ビニルスルホン酸のナトリウム又はカリウム塩、p−スチレンスルホン酸、p−スチレンスルホン酸のナトリウム又はカリウム塩、アリルスルホン酸、アリルスルホン酸のナトリウム又はカリウム塩、2−(メタ)アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸のナトリウム又はカリウム塩、3−((メタ)アクリロイルオキシ)−1−プロパンスルホン酸、3−((メタ)アクリロイルオキシ)−1−プロパンスルホン酸のナトリウム又はカリウム、3−((メタ)アクリロイルオキシ)−2−メチル−1−プロパンスルホン酸、3−((メタ)アクリロイルオキシ)−2−メチル−1−プロパンスルホン酸のナトリウム又はカリウム、N−ビニルアセトアミド及びN−ビニルホルムアミド、アリルアミン、2−ビニルピリジン、4−ビニルピリジン等が挙げられる。
全モノマー100重量部中に占める他のモノマーの割合は、25重量部以下であることが好ましい。全モノマーが上記単官能性モノマーと多官能性モノマーからなることがより好ましい。
(e)他の重合体
また、本発明の効果を阻害しない範囲で、上記単官能性モノマーと多官能性モノマーの共重合体以外の他の重合体が、前記共重合体と重合しない形態で高分子マトリックスに含まれていてもよい。他の重合体としては、ポリビニルアルコール系重合体、セルロース誘導体等が挙げられる。高分子マトリックス100重量部中に占める他の重合体の割合は、20重量部未満であることが好ましい。
(2)水
水は、ハイドロゲル100重量部中に5〜99重量部含まれることが好ましい。含有量が5重量部未満の場合、アルカリ成分を含有できる量が少なくなり、電池の電解質として使用した場合、インピーダンスが高く、望む電池特性が得られないことがある。99重量部より多いと、ハイドロゲルの強度が低くなることがある。より好ましい含有量は10〜95重量部であり、更に好ましい含有量は20〜90重量部である。
水にはアルカリ成分が溶解していてもよい。アルカリ成分が溶解していることで、二次電池用のゲル電解質やコンクリートの再アルカリ化工法に使用可能となる。アルカリ成分としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウム、水酸化バリウム、水酸化リチウム、水酸化ルビジウム、水酸化セシウム、水酸化テトラメチルアンモニウム、水酸化テトラエチルアンモニウム等が挙げられる。アルカリ成分の溶解量は、水100重量部に対して、70重量部までの量であることが好ましい。溶解量が70重量部より多い場合、電解質濃度が高くなりすぎるため、インピーダンスが高くなることがある。溶解量は、ゲル電解質の用途では4〜70重量部、再アルカリ化工法の用途では20〜70重量部とすればよい。
また、用途によっては、水に酸成分が溶解していてもよい。
(3)多価イオン含有化合物
多価イオン含有化合物は、単官能性モノマーの親水基との間で可逆性のイオン架橋構造を形成していると発明者は考えている。
多価イオン含有化合物中の多価イオンとしては、Be、Mg、Ca、Sr、Cr、Mo、Mn、Tc、Fe、Ru、Co、Ni、Cu、Zn、B、Al、Ga、In等の金属のイオンが挙げられる。多価イオンは、Ca、Mg、Zn及びAlの金属のイオンであることが好ましく、Alの金属のイオンであることがより好ましい。
多価イオン含有化合物は、上記多価イオンを含む化合物であり、例えば、ケイ酸化合物、アルミン酸化合物、メタケイ酸化合物、硫酸化合物、硝酸化合物、リン酸化合物、水酸化物、層状複水酸化物、粘土化合物等が挙げられる。この内、嵩高い構造単位を持つ多価イオン含有化合物を使用することが好ましい。嵩高い構造単位を持つ多価イオン含有化合物を使用した場合、特に引張り破断強度及び伸びが高いハイドロゲルを得ることができる。嵩高い構造単位を持つ多価イオン含有化合物としては、制酸剤として使用されるメタケイ酸アルミン酸マグネシウムやハイドロタルサイト等が挙げられる。
上記多価イオン含有化合物は、1種のみであってもよく、複数種の混合物であってもよい。
多価イオン含有化合物は、ハイドロゲル100重量部中に、0.5〜15重量部含まれることが好ましい。含有量が0.5重量部未満の場合、架橋構造が取れずシート形状を保てなくなることがある。15重量部より多い場合、多価イオン含有化合物が完全にゲル前駆体に相溶せず、架橋構造が不均一なハイドロゲルとなることがある。含有量は、1〜12重量部であることがより好ましく、3〜10重量部であることが更に好ましい。
(4)多価アルコール
ハイドロゲルは、多価アルコールを含んでいてもよい。これを含むことで、ハイドロゲルの保水性を向上できる。
多価アルコールとしては、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブタンジオール等のジオールの他、グリセリン、ペンタエリスリトール、ソルビトール等の多価アルコール類、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ジグリセリン、ポリグリセリン等の多価アルコール縮合体、ポリオキシエチレングリセリン等の多価アルコール変成体が挙げられる。多価アルコールは、1種のみであってもよく、複数種の混合物であってもよい。
多価アルコールの含有量は、ハイドロゲル100重量部に対して、1〜70重量部であることが好ましい。1重量部より少ないと、多価アルコール添加による保水性向上の効果が得られないことがある。70重量部より多いと、高分子マトリックスが保持できる多価アルコールの量を超えてしまうことがあるため、多価アルコールがブリードアウトして物性変動が生じることがある。より好ましい含有量は5〜65重量部であり、更に好ましい含有量は20〜60重量部である。
(5)その他の成分
(a)支持材
ハイドロゲルは、織布、不織布、多孔質シート等の支持材を含んでいてもよい。支持材を含むことで、ハイドロゲルの形状を容易に維持できる。支持材の材質としては、セルロース、絹、麻等の天然繊維やポリエステル、ナイロン、レーヨン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリウレタン等の合成繊維、それらの混紡が挙げられる。アルカリ成分を含ませる場合、アルカリ成分により分解する成分を持たないレーヨン、ポリエチレン、ポリプロピレン等の合成繊維、それらの混紡が好ましい。支持材は、ハイドロゲルの表面、裏面及び中間のいずれに位置していてもよい。
(b)保護フィルム
ハイドロゲルは、その表面及び/又は裏面に保護フィルムを備えていてもよい。保護フィルムをセパレーターとして用いる場合は、離型処理されていることが好ましい。表面及び裏面の両方に保護フィルムを備える場合、表裏異なる剥離強度に調整してもよい。また、保護フィルムを支持材として用いる場合は離型処理の必要はない。
保護フィルムとしては、ポリエステル、ポリオレフィン、ポリスチレン、ポリウレタン、紙、樹脂フィルム(例えば、ポリエチレンフィルム、ポリプロピレンフィルム)をラミネートした紙等からなるフィルムが挙げられる。離型処理としては、熱又は紫外線で架橋、硬化反応させる焼き付け型のシリコーンコーティングが挙げられる。
(c)添加剤
ハイドロゲルは、必要に応じて添加剤を含んでいてもよい。添加剤としては、電解質、防腐剤、殺菌剤、防黴剤、防錆剤、酸化防止剤、消泡剤、安定剤、香料、界面活性剤、着色剤、薬効成分(例えば、抗炎症剤、ビタミン剤、美白剤等)が挙げられる。
例えば、電解質を含むことで導電性のハイドロゲルが得られる。導電性のハイドロゲルは、例えば、心電図測定用電極、低周波治療器用電極、各種アース電極等の生体電極として使用可能である。
また、アクリル系エマルジョンやリン酸エステル型界面活性剤等の粘着剤を添加することで、ハイドロゲルに粘着性を付与することができる。粘着性のハイドロゲルは、例えば、電気防食工程のバックフィル、再アルカリ化用部材、脱塩用部材として使用可能である。
(5)ハイドロゲルの物性
ハイドロゲルはその100重量部中に、高分子マトリックスと多価イオン含有化合物の合計含有量が20重量部となるように水を含ませた場合、30kPa以上の引張り破断強度を有する。30kPa以上の破断強度を有することで、ハンドリング性を向上できる。好ましい破断強度は30〜300kPaである。
また、ハイドロゲルはその100重量部中に、高分子マトリックスと多価イオン含有化合物の合計含有量が20重量部となるように水を含む場合、200%以上の引張り破断伸びを有する。200%以上の破断伸びを有することで、ハンドリング性を向上できる。好ましい破断伸びは200〜1200%である。
更に、ハイドロゲルは、10%以下の100%定伸張引張り永久ひずみを示すことが好ましい。このひずみが10%より大きい場合、ハンドリング時に形状が変化してしまい、ゲル内の厚みばらつきが生じ引張り破断強度及び破断伸びが低下することがある。このひずみは、8%以下であることがより好ましく、5%以下であることが更に好ましい。下限は0%である。
(ハイドロゲルの製造方法)
ハイドロゲルは、例えば、
(i)水、多価イオン含有化合物、1個のエチレン性不飽和基を有する単官能性モノマー、2〜6個のエチレン性不飽和基を有する多官能性モノマー及び重合開始剤を含むハイドロゲル前駆体を調製する工程(成形工程)
(ii)単官能性モノマー及び多官能性モノマーを重合させることによりハイドロゲルを得る工程(重合工程)
を経ることにより製造できる。
(1)成形工程
この工程での重合開始剤には、熱重合開始剤及び光重合開始剤のいずれも使用できる。この内、重合前後での成分の変化の少ない光重合開始剤を使用することが好ましい。光重合開始剤としては、例えば、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−プロパン−1−オン(製品名:イルガキュア1173,BASF・ジャパン社製)、1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン(製品名:イルガキュア184,BASF・ジャパン社製)、1−[4−(2−ヒドロキシエトキシ)−フェニル]−2−ヒドロキシ−2−メチル−プロパン−1−オン(製品名:イルガキュア2959,BASF・ジャパン社製)、2−メチル−1−[(メチルチオ)フェニル]−2−モルフォリノプロパン−1−オン(製品名:イルガキュア907,BASF・ジャパン社製)、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタン−1−オン(製品名:イルガキュア369,BASF・ジャパン社製)等が挙げられる。重合開始剤は、1種のみであってもよく、複数種の混合物であってもよい。
重合開始剤の使用量は、全モノマー(単官能性モノマー、多官能性モノマー及び任意に他のモノマー)の合計100重量部に対して、0.1〜5重量部であることが好ましい。使用量が0.1重量部未満の場合、重合反応が十分に進行せず、得られたハイドロゲル中に、未重合のモノマーが残存することがある。5重量部より多いと、重合反応後の重合開始剤の残物により、臭気を帯びたり、残物の影響により物性が低下したりすることがある。より好ましい使用量は0.2〜3重量部であり、更に好ましい使用量は0.4〜1.5重量部である。
シート状のハイドロゲルを製造する場合、ハイドロゲル前駆体のシート状への成形は、例えば、(i)ハイドロゲル前駆体を型枠に注入する方法、(ii)保護フィルム間にハイドロゲル前駆体を流し込み、一定の厚みに保持する方法、(iii)保護フィルム上にハイドロゲル前駆体をコーティングする方法、等が挙げられる。方法(i)は、任意の形状のハイドロゲルを得ることができる利点がある。方法(ii)及び(iii)は、比較的薄いハイドロゲルを得ることができる利点がある。支持材を含むハイドロゲルは、方法(i)により製造することが適切である。
なお、ハイドロゲル前駆体には、上記の他のモノマー、添加剤等が含まれていてもよい。
(2)重合工程
ハイドロゲル前駆体を熱付与又は光照射により重合させることでハイドロゲルを得ることができる。熱付与及び光照射の条件は、ハイドロゲルを得ることができる限り、特に限定されず、一般的な条件を採用できる。
(3)その他の工程
その他の工程として、アルカリ成分含有工程が挙げられる。アルカリ成分含有工程では、重合後のハイドロゲルをアルカリ水溶液に浸漬することで、ハイドロゲル中の水にアルカリ水溶液中のアルカリ成分が溶解される。この浸漬は、所望するアルカリ成分量のハイドロゲルを得るための条件下で行われる。例えば、浸漬温度としては、4〜80℃の冷却、常温(約25℃)及び加温下で行うことができる。浸漬時間は、常温下では、6〜336時間とすることができる。
浸漬後に、ハイドロゲルを乾燥させることで、含水量の調整を行ってもよい。その調整としては、例えば、浸漬前後のハイドロゲルの重量をほぼ同一にすることが挙げられる。
また、ハイドロゲルを電気防食工程のバックフィル、再アルカリ化用部材、脱塩用部材のシートに用いる場合、粘着性があることが好ましい。粘着性を付与するには、アクリル系エマルジョンやリン酸エステル型界面活性剤等の粘着剤を成型工程で添加すればよい。
(ハイドロゲルの用途)
ハイドロゲルは、アルカリ二次電池、電気防食工程のバックフィル、再アルカリ化用部材、脱塩用部材等の強度や耐アルカリ性を求められる用途に使用できる。また、ハイドロゲルに導電性を付与すれば、生体電極として使用できる。
(1)アルカリ二次電池
ここでのアルカリ二次電池は、正極及び負極間の電解質層としてハイドロゲルを使用し得る二次電池である。そのような二次電池としては、ニッケル−水素二次電池やニッケル−亜鉛二次電池が挙げられる。これら二次電池は、電解液としてアルカリ水溶液を使用しているため、二次電池からの液漏れをハイドロゲルにより防止できる。
アルカリ二次電池の構成は、電解質層としてハイドロゲルを使用すること以外は、特に限定されず、一般的な構成をいずれも使用できる。例えば、ニッケル−水素二次電池の正極としてはニッケル又はニッケル合金を、負極としては白金触媒を、ニッケル−亜鉛二次電池の正極としてはニッケル又はニッケル合金を、負極としては亜鉛又は酸化亜鉛を使用できる。正極及び負極は、ニッケル、アルミニウム等からなる集電体上に形成されていてもよい。
ハイドロゲルは、セパレーターの役割を兼ねていてもよい。この場合、ハイドロゲルは支持材を備えていることが好ましい。
(2)電気防食工程のバックフィル
ここでのバックフィルは、鋼材を含むコンクリート構造物において、鋼材の腐食によりコンクリート構造物にひび割れのような劣化が発生することを抑制する部材を意味する。この用途では、鋼材に防食電流を流すために、ハイドロゲルに導電性が付与されていることが好ましい。また、ハイドロゲルは、それを鋼材及び防食電流を流す電極と電気的に接触させることを容易にするために、粘着性が付与されていることが好ましい。
(3)再アルカリ化用部材及び脱塩用部材
再アルカリ化及び脱塩は、コンクリート構造物において求められている。これまでの再アルカリ化及び脱塩は、そのための組成物を現場で塗布することで行われていたため、作業効率を上げることが望まれている。本発明のハイドロゲルを使用すれば、現場でシートを貼るのみであるから、作業効率をこれまでより格段に上げることができる。再アルカリ化及び脱塩部材用のハイドロゲルには、粘着性が付与されていることが好ましい。
以下、実施例によって本発明を更に具体的に説明するが、本発明はこれらにより何ら制限されるものではない。まず、実施例で測定する各種物性の測定方法を記載する。
(アルカリ水溶液の吸収量)
まず、アルカリ水溶液浸漬前のハイドロゲルを計量する。その後、250メッシュのポリエチレン製ティーバッグにハイドロゲルを入れ、ティーバッグをアルカリ水溶液に24時間浸漬し、ティーバッグを引き上げて10分間水切りをしたものを計量する。吸収量は以下のように求める。吸収量は、24時間アルカリ水溶液に浸漬したハイドロゲルが入っていないティーバッグの重量をブランクとし、アルカリ浸漬により膨潤したハイドロゲルが入ったティーバッグの重量から、ブランクと浸漬前のハイドロゲルの重量を減じた値を、浸漬前のハイドロゲルの重量で除して、100を掛けた値を吸収量とする。また、水切り時にハイドロゲルが柔らかくなってメッシュを通り抜ける場合は、「液状化」したと記載する。
(100%定伸張引張り永久ひずみ)
JIS K6273 2006に準じて測定する。
実施例及び比較例で得られたハイドロゲルを6mm×50mm×2mm厚に切り取り、試験片とする。引っ張り試験機として、テクスチャーアナライザーTA.XT Plus(英弘精機社製)を用いる。上下の冶具に6mm×20mm×2mm部を挟み込み、厚みが1mmになるように固定する。引張り速度5mm/secでハイドロゲルを標点間距離分(10mm)伸長し、10分保持する。10分後、10mm/secで収縮させ、上下の冶具から試験片を取り外し、木製の平たんな非粘着性の台上に試験片を30分間静置し、収縮した後の標点間距離を測定する。また、100%伸長時にハイドロゲルが壊れてしまった場合は、「測定不可」と記載する。
100%定伸長引張り永久ひずみTSは以下のように求める。
TS =100×(L−L)/(L−L)(%)
:伸長前の標点間距離(=10mm)
:伸長後の標点間距離(=20mm)
:収縮後の標点間距離
(引張り試験での破断強度及び破断伸び)
ハイドロゲル100重量部中の、高分子マトリックスと多価イオン含有化合物の合計含有量が20重量部より少ないとき、乾燥させて水の含有量を減らすことで、高分子マトリックスと多価イオン含有化合物の合計含有量が20重量部となるように調製する。また、ハイドロゲル全量100重量部中の、高分子マトリックスと多価イオン含有化合物の合計含有量が20重量部より多いとき、高分子マトリックスと多価イオン含有化合物の合計含有量が20重量部となるように、イオン交換水を添加し、72時間静置して完全に浸透させる。
上記高分子マトリックスと多価イオン含有化合物の合計含有量を調整したハイドロゲルを20mm×50mm×2mm厚に切り取り、試験片とする。引っ張り試験機として、テクスチャーアナライザーTA.XT Plus(英弘精機社製)を用いる。上下の冶具に20mm×20mm×2mm部を挟み込み、厚みが1mmになるように固定する。引張り速度0.5mm/secでハイドロゲルを破断するまで引っ張る。
破断強度及び破断伸びは以下のように求める。
破断強度 σu=Pu/A0(kPa)
u:破断時の荷重(N)
0:シートの断面積(=20mm×2mm=40mm2
破断伸び φ=100×(L−L)(%)
:破断時の標点間距離(mm)
:試験前の標点間距離(=10mm)
<実施例1>
アクリル酸(日本触媒社製)20重量部、ジビニルベンゼンスルホン酸ナトリウム(東ソー有機化学社製)0.30重量部、メタケイ酸アルミン酸マグネシウム(富士化学工業社製)1重量部、イオン交換水78.70重量部、重合開始剤としてイルガキュア1173(BASF・ジャパン社製)0.20重量部を混合し、ハイドロゲル前駆体を作製した。次に、剥離性PETフィルム上に2mm厚のシリコン枠を置き、枠内にハイドロゲル前駆体を流し込んだ。この後、ハイドロゲル前駆体上に剥離性PETフィルムを載せることで、シート状のハイドロゲル前駆体を得た。その後、小型UV重合機(JATEC社製、J−cure1500、メタルハライドランプ型名MJ−1500L)にてコンベアー速度0.4m/min、ワーク間距離150mmの条件で1500mJ/cmの紫外線を照射する工程を3回行うことで、2mm厚のハイドロゲルを作製した。
重合後のハイドロゲルを4Mの水酸化カリウム水溶液に室温で24時間浸漬したところ、520重量部の水酸化カリウム水溶液を吸収した、アルカリ成分を含有したハイドロゲルを得た。
<実施例2>
ジビニルベンゼンスルホン酸ナトリウムに代えてペンタエリスリトールトリアリルエーテル(大阪ソーダ社製)を0.30重量部使用したこと以外は実施例1と同様にしてハイドロゲルを得た。
重合後のハイドロゲルを4Mの水酸化カリウム水溶液に室温で24時間浸漬したところ、982重量部の水酸化カリウム水溶液を吸収した、アルカリ成分を含有したハイドロゲルを得た。
<実施例3>
メタケイ酸アルミン酸マグネシウムに代えてハイドロタルサイト(和光純薬社製)を使用し、ジビニルベンゼンスルホン酸ナトリウムの使用量を0.20重量部、イオン交換水を78.80重量部使用したこと以外は実施例1と同様にしてハイドロゲルを得た。
重合後のハイドロゲルを4Mの水酸化カリウム水溶液に室温で24時間浸漬したところ、530重量部の水酸化カリウム水溶液を吸収した、アルカリ成分を含有したハイドロゲルを得た。
<実施例4>
アクリル酸に代えてイタコン酸(和光純薬社製)を使用し、ジビニルベンゼンスルホン酸ナトリウムを0.15重量部、メタケイ酸アルミン酸マグネシウムを0.6重量部、イオン交換水を79.25重量部使用したこと以外は実施例1と同様にしてハイドロゲルを得た。
重合後のハイドロゲルを4Mの水酸化カリウム水溶液に室温で24時間浸漬したところ、460重量部の水酸化カリウム水溶液を吸収した、アルカリ成分を含有したハイドロゲルを得た。
<実施例5>
ジビニルベンゼンスルホン酸ナトリウムに代えてジビニルベンゼン(新日鉄住金化学社製)を0.08重量部、イオン交換水を18.92重量部使用し、更にグリセリンをハイドロゲル前駆体に60重量部添加したこと以外は実施例1と同様にしてハイドロゲルを得た。
重合後のハイドロゲルを4Mの水酸化カリウム水溶液に室温で24時間浸漬したところ、640重量部の水酸化カリウム水溶液を吸収した、アルカリ成分を含有したハイドロゲルを得た。
<実施例6>
アクリル酸20重量部に代えてアクリル酸18重量部と2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸2.0重量部を使用し、ジビニルベンゼンスルホン酸ナトリウムの使用量を0.20重量部、イオン交換水を78.80重量部使用したこと以外は実施例1と同様にしてハイドロゲルを得た。
重合後のハイドロゲルを4Mの水酸化カリウム水溶液に室温で24時間浸漬したところ、321重量部の水酸化カリウム水溶液を吸収した、アルカリ成分を含有したハイドロゲルを得た。
<比較例1>
メタケイ酸アルミン酸マグネシウムを使用せず、イオン交換水を79.70重量部にしたこと以外は、実施例1と同様にしてハイドロゲルを得た。
重合後のハイドロゲルを4Mの水酸化カリウム水溶液に室温で24時間浸漬したところ、332重量部の水酸化カリウム水溶液を吸収した、アルカリ成分を含有したハイドロゲルを得た。
<比較例2>
ジビニルベンゼンスルホン酸ナトリウムを使用せず、イオン交換水を79.00重量部にしたこと以外は、実施例1と同様にしてハイドロゲルを得た。
重合後のハイドロゲルを4Mの水酸化カリウム水溶液に室温で24時間浸漬したところ、ハイドロゲルが液状化した。
<比較例3>
粒径20〜50μmの微粉末からなる架橋型ポリアクリル酸粒子(東亜合成社製、ジュンロンPW−120)20重量部、イオン交換水600重量部を混合し、72時間攪拌することで、架橋型ポリアクリル酸希薄水溶液を作製した。この水溶液をシリコン枠に流し込み、イオン交換水が80重量部になるまで自然乾燥し、プレス機で2mm厚になるように圧延することでハイドロゲルを得た。
アルカリ浸漬工程を実施例1と同様にして行ったところ、312重量部の水酸化カリウム水溶液を吸収した、アルカリ成分を含有したハイドロゲルを得た。
<比較例4>
20重量%のポリアクリル酸水溶液(東亜合成社製、ジュリマーAC−20H)100量部とメタケイ酸アルミン酸マグネシウム1.0重量部とを混合し、5分攪拌後に混合液をシリコン枠に流し込み、プレス機で2mm厚になるように圧延して72時間静置することでメタケイ酸アルミン酸マグネシウムによる架橋構造が導入されたハイドロゲルを得た。
アルカリ浸漬工程を実施例1と同様にして行ったところ、323重量部の水酸化カリウム水溶液を吸収したところ、ハイドロゲルが液状化した。
上記実施例及び比較例の原料の構成量及び結果をまとめて表1及び2に示す。
Figure 2017171825
Figure 2017171825
表1及び2から、実施例1〜6のハイドロゲルは、10%以下の100%定伸長引張り永久ひずみ、30kPa以上の引張り破断強度、200%以上の引張り破断伸びを示すことが分かる。

Claims (8)

  1. 水及び多価イオン含有化合物と、それらを含有した高分子マトリックスとから構成されたハイドロゲルであって、
    前記高分子マトリックスは、1個のエチレン性不飽和基を有する単官能性モノマーと2〜6個のエチレン性不飽和基を有する多官能性モノマーとの共重合体とを含み、
    前記単官能性モノマーは、親水基を有し、
    前記ハイドロゲルは、その100重量部中に、高分子マトリックスと多価イオン含有化合物の合計含有量が20重量部となるように水を含ませた場合、30kPa以上の引張り破断強度、200%以上の引張り破断伸びを示すことを特徴とするハイドロゲル。
  2. 前記親水基が、少なくともカルボキシル基を含む請求項1記載のハイドロゲル。
  3. 前記高分子マトリックスが、前記ハイドロゲル100重量部中に、1〜30重量部含まれ、
    前記多官能性モノマー由来の重合体が、前記共重合体100重量部中に、0.1〜5重量部の割合で含まれ、
    前記多価イオン含有化合物が、前記ハイドロゲル100重量部中に、0.5〜15重量部含まれる請求項1又は2記載のハイドロゲル。
  4. 前記ハイドロゲルが、10%以下の100%定伸長引張り永久ひずみを有する請求項1〜3のいずれか1つに記載のハイドロゲル。
  5. 前記多価イオン含有化合物が、Alを含む、メタケイ酸化合物、(メタ)ケイ酸塩鉱物、硫化鉱物、酸化鉱物、水酸化鉱物、炭酸塩鉱物、硝酸塩鉱物、ホウ酸塩鉱物、硫酸塩鉱物、クロム酸塩鉱物、リン酸塩鉱物、ヒ酸塩鉱物、バナジン酸塩鉱物、タングステン酸塩鉱物及びモリブデン酸塩鉱物からなる群から選択される請求項1〜4のいずれか1つに記載のハイドロゲル。
  6. 前記ハイドロゲルが、前記水に溶解したアルカリ成分を更に含む請求項1〜5のいずれか1つに記載のハイドロゲル。
  7. 請求項1〜6のいずれか1つに記載のハイドロゲルを製造する方法であって、
    水、多価イオン含有化合物、1個のエチレン性不飽和基を有する単官能性モノマー、2〜6個のエチレン性不飽和基を有する多官能性モノマー及び重合開始剤を含むハイドロゲル前駆体を調製する工程と、
    前記単官能性モノマー及び多官能性モノマーを重合させることによりハイドロゲルを得る工程とを含むことを特徴とするハイドロゲルの製造方法。
  8. 前記ハイドロゲルが、前記水に溶解したアルカリ成分を更に含み、
    前記アルカリ成分が、重合後のハイドロゲルをアルカリ水溶液に浸漬することで前記水に溶解される請求項7に記載のハイドロゲルの製造方法。
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