JP2017171556A - カバーガラス - Google Patents
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Abstract
【課題】平坦部のみならず、側面部の端部(末端)の強度にも優れたカバーガラスを提供する。
【解決手段】平坦部及び前記平坦部の外周縁に設けられた側面部を有するガラス板と、前記ガラス板に積層された無機物からなる無機膜とを含むカバーガラスであって、前記無機膜は、前記ガラス板の前記平坦部の表面側の全面に積層され、かつ、前記側面部の少なくとも一部の領域において表面側から裏面側にかけて連続的に積層されている、カバーガラス。
【選択図】図5
【解決手段】平坦部及び前記平坦部の外周縁に設けられた側面部を有するガラス板と、前記ガラス板に積層された無機物からなる無機膜とを含むカバーガラスであって、前記無機膜は、前記ガラス板の前記平坦部の表面側の全面に積層され、かつ、前記側面部の少なくとも一部の領域において表面側から裏面側にかけて連続的に積層されている、カバーガラス。
【選択図】図5
Description
本発明はカバーガラスに関し、特に、カバーガラスの側面の強度も向上したカバーガラスに関する。
デジタルカメラ、携帯電話または携帯情報端末PDA(Personal Digital Assistants)等のフラットパネルディスプレイ装置やタッチパネルディスプレイ装置において、ディスプレイの保護および美観を高めるために、画像表示部分よりも広い領域となるように薄い板状のカバーガラスをディスプレイの前面に配置することが行われている。ガラスは理論強度が高いものの、傷が付くことで強度が大幅に低下するため、強度が求められるカバーガラスには、イオン交換等によりガラス表裏面に圧縮応力層を形成した化学強化ガラスが用いられている。
カバーガラスの表面に高い硬度や耐傷性が求められる場合、耐衝撃性を有する層がその最表層に成膜されることがある。例えば、強化ガラスの表面に非対称耐衝撃性を有するコーティングを備えた強化ガラス積層体が知られている(特許文献1)。
特許文献1に記載の強化ガラス積層体は自動車又は航空機の窓への応用を想定しており、厚いガラス板が用いられ、主面が強化されていればよい。一方で、携帯電話または携帯情報端末PDAといった電子端末用のカバーガラスや、車載表示装置用のカバーガラスにおいては、近年、電子端末や表示装置の筐体よりも前面にはみ出し、端部に曲面加工がなされた、2.5Dタイプや擬似3Dタイプ、3Dタイプ等と呼ばれる形状のカバーガラスが上市されている。該カバーガラスは平坦部のみならず、その外周縁にある側面部も表面に露出している。そのため、該側面部も平坦部と同様に強化処理がなされる必要がある。
しかしながら、強度向上のためのコーティングは従来スパッタリングによって形成されることが一般的であり、該スパッタリングはガラス板主面に対して正面方向にターゲット材料が位置する。そのため、ターゲット粒子のガラス板への堆積方向はガラス板の主面に対して垂直となり、側面部の端部(末端)まで覆われるようにコーティングすることはできなかった。そのため、コーティングされなかったガラス板の側面部の端部における強度が低く、例えば電子端末や表示装置を落とした場合に、強度の低い当該箇所を起点に破損することが多い。
そこで本発明では、平坦部のみならず、平坦部の外周縁に設けられた側面部の端部(末端)の強度にも優れたカバーガラスを提供することを目的とする。
本発明者らは鋭意研鑽を積んだ結果、カバーガラスの平坦部の全面と平坦部の外周縁に設けられた側面部の表面側から裏面側にかけて連続的に無機膜を積層することにより、平坦部のみならず、側面部の端部(末端)の強度にも優れたカバーガラスが得られることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は下記<1>〜<7>に関するものである。
<1>
平坦部及び前記平坦部の外周縁に設けられた側面部を有するガラス板と、前記ガラス板に積層された無機物からなる無機膜とを含むカバーガラスであって、
前記無機膜は、前記ガラス板の前記平坦部の表面側の全面に積層され、かつ、前記側面部の少なくとも一部の領域において表面側から裏面側にかけて連続的に積層されている、カバーガラス。
<2>
前記側面部が面取りされた形状である、前記<1>に記載のカバーガラス。
<3>
前記側面部が裏面側に湾曲している、前記<1>に記載のカバーガラス。
<4>
前記無機膜がSi、Al、Ti、Ta及びZrからなる群より選ばれる少なくとも1の窒化物、酸化物又は酸窒化物からなる膜である、前記<1>〜<3>のいずれか1に記載のカバーガラス。
<5>
前記ガラス板が表層に圧縮応力層を有する化学強化ガラス板である、前記<1>〜<4>のいずれか1に記載のカバーガラス。
<6>
電子端末用である、前記<1>〜<5>のいずれか1に記載のカバーガラス。
<7>
車載表示装置用である、前記<1>〜<5>のいずれか1に記載のカバーガラス。
<1>
平坦部及び前記平坦部の外周縁に設けられた側面部を有するガラス板と、前記ガラス板に積層された無機物からなる無機膜とを含むカバーガラスであって、
前記無機膜は、前記ガラス板の前記平坦部の表面側の全面に積層され、かつ、前記側面部の少なくとも一部の領域において表面側から裏面側にかけて連続的に積層されている、カバーガラス。
<2>
前記側面部が面取りされた形状である、前記<1>に記載のカバーガラス。
<3>
前記側面部が裏面側に湾曲している、前記<1>に記載のカバーガラス。
<4>
前記無機膜がSi、Al、Ti、Ta及びZrからなる群より選ばれる少なくとも1の窒化物、酸化物又は酸窒化物からなる膜である、前記<1>〜<3>のいずれか1に記載のカバーガラス。
<5>
前記ガラス板が表層に圧縮応力層を有する化学強化ガラス板である、前記<1>〜<4>のいずれか1に記載のカバーガラス。
<6>
電子端末用である、前記<1>〜<5>のいずれか1に記載のカバーガラス。
<7>
車載表示装置用である、前記<1>〜<5>のいずれか1に記載のカバーガラス。
本発明によれば、カバーガラスの平坦部のみならず、側面部の端部(末端)の強度も向上することができる。そのため、電子端末や表示装置の筐体よりも前面にはみ出し、端部に曲面加工がなされた、2.5Dタイプや擬似3Dタイプ、3Dタイプ等と呼ばれる形状のカバーガラスであって、表面に露出している面の全面の強度に優れたカバーガラスを提供することができる。
以下、本発明を詳細に説明するが、本発明は以下の実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、任意に変形して実施することができる。
また本明細書において数値範囲を示す「〜」とは、その前後に記載された数値を下限値及び上限値として含む意味で使用される。
また本明細書において数値範囲を示す「〜」とは、その前後に記載された数値を下限値及び上限値として含む意味で使用される。
<カバーガラス>
本発明に係るカバーガラスは、平坦部及び前記平坦部の外周縁に設けられた側面部を有するガラス板と、前記ガラス板に積層された無機物からなる無機膜とを含むカバーガラスであって、前記無機膜は、前記ガラス板の前記平坦部の表面側の全面に積層され、かつ、前記側面部の少なくとも一部の領域において表面側から裏面側にかけて連続的に積層されたことを特徴とする。
なお本明細書では、筐体にカバーガラスが取り付けられた際に表面に露出する側を、「表面側」と称し、筐体側に位置する側を「裏面側」と称する。
本発明に係るカバーガラスは、平坦部及び前記平坦部の外周縁に設けられた側面部を有するガラス板と、前記ガラス板に積層された無機物からなる無機膜とを含むカバーガラスであって、前記無機膜は、前記ガラス板の前記平坦部の表面側の全面に積層され、かつ、前記側面部の少なくとも一部の領域において表面側から裏面側にかけて連続的に積層されたことを特徴とする。
なお本明細書では、筐体にカバーガラスが取り付けられた際に表面に露出する側を、「表面側」と称し、筐体側に位置する側を「裏面側」と称する。
例えばカバーガラスが面取りされていない矩形のガラス板からなる場合、本発明に係るカバーガラスは表面側の第1主面と裏面側の第2主面と4つの端面とを有し、第1主面の全面が無機膜で覆われ、さらに、4つの端面の少なくとも一部の領域において表面側から裏面側にかけて連続して無機膜で覆われている。この場合、平坦部とは第1主面及び第2主面を意味し、側面部とは4つの端面を意味する。
カバーガラスは、側面部が面取りされた形状、又は、側面部が裏面側に湾曲している形状が好ましい。
側面部が面取りされた形状のカバーガラス3としては、例えば図1に示すような曲面を有する形状(2.5Dタイプ)が挙げられる。この場合、「平坦部」とは、図1における上方の平坦部分である符号aよりも中心側を意味し、「側面部」とは曲面部分である符号aからbにかけての領域を意味する。この側面部は、平坦部の表面側の外周縁に設けられる。矩形のカバーガラス3からなる場合、この側面部は4つ存在し、少なくとも一つの側面部が面取り加工されている。
その他、テーパー状や、曲線と直線の組合せにより面取りされた形状等が挙げられる。
側面部が面取りされた形状のカバーガラス3としては、例えば図1に示すような曲面を有する形状(2.5Dタイプ)が挙げられる。この場合、「平坦部」とは、図1における上方の平坦部分である符号aよりも中心側を意味し、「側面部」とは曲面部分である符号aからbにかけての領域を意味する。この側面部は、平坦部の表面側の外周縁に設けられる。矩形のカバーガラス3からなる場合、この側面部は4つ存在し、少なくとも一つの側面部が面取り加工されている。
その他、テーパー状や、曲線と直線の組合せにより面取りされた形状等が挙げられる。
側面部が裏面側に湾曲しているカバーガラス3とは、例えば図2に示すような形状(擬似3Dタイプ、3Dタイプ)が挙げられる。この場合、「平坦部」とは、図2における上方の平坦部分である符号aよりも中心側を意味し、「側面部」とは曲面部分のうち、符号aからbにかけての領域を意味する。この側面部は、平坦部の表面側の外周縁に設けられる。矩形のカバーガラス3からなる場合、この側面部は4つ存在し、少なくとも一つの側面部が裏面側に湾曲加工されている。
また、図2において湾曲している曲面が、直角に曲がっていてもよい。
また、図2において湾曲している曲面が、直角に曲がっていてもよい。
(ガラス)
本発明に係るカバーガラスを構成するガラス板の厚さは、その用途から1mm以下が好ましく、0.8mm以下が好ましく、0.6mm以下がより好ましい。
また下限は0.2mm以上が好ましく、0.3mm以上がより好ましい。
本発明に係るカバーガラスを構成するガラス板の厚さは、その用途から1mm以下が好ましく、0.8mm以下が好ましく、0.6mm以下がより好ましい。
また下限は0.2mm以上が好ましく、0.3mm以上がより好ましい。
ガラス板のガラスの種類は特に限定されないが、化学強化(イオン交換)処理を行い、表層に圧縮応力層を有する化学強化ガラス板とすることが好ましい。イオン交換を行う場合、ガラス板はリチウム及びナトリウムの少なくともいずれか一方を含むことが好ましく、ナトリウムを含むことがより好ましい。これは、化学強化処理におけるイオン交換する工程において、ガラスの表面をイオン交換し、圧縮応力が残留する表面層を形成させるためである。
具体的には、ガラス転移点以下の温度でイオン交換によりガラス板表面のイオン半径が小さなアルカリ金属イオン(Liイオン、Naイオン)をイオン半径のより大きいアルカリイオン(Naイオン、Kイオン)に置換する。これにより、ガラスの表層に圧縮応力が残留し、ガラスの面強度が向上する。
ガラス板のガラス組成は特に限定されないが、例えばアルミシリケートガラス、アルミノボロシリケートガラス又はソーダライムガラス等を好ましく用いることができる。
具体的なガラス組成を以下に示す。
具体的なガラス組成を以下に示す。
(i)モル%で表示した組成で、SiO2を50〜80%、Al2O3を2〜25%、Li2Oを0〜10%、Na2Oを0〜18%、K2Oを0〜10%、MgOを0〜15%、CaOを0〜5%およびZrO2を0〜5%を含むガラス、
(ii)モル%で表示した組成が、SiO2を50〜74%、Al2O3を1〜10%、Na2Oを6〜14%、K2Oを3〜11%、MgOを2〜15%、CaOを0〜6%およびZrO2を0〜5%含有し、SiO2およびAl2O3の含有量の合計が75%以下、Na2OおよびK2Oの含有量の合計が12〜25%、MgOおよびCaOの含有量の合計が7〜15%であるガラス、
(iii)モル%で表示した組成が、SiO2を68〜80%、Al2O3を4〜10%、Na2Oを5〜15%、K2Oを0〜1%、MgOを4〜15%およびZrO2を0〜1%含有するガラス、
(iv)モル%で表示した組成が、SiO2を67〜75%、Al2O3を0〜4%、Na2Oを7〜15%、K2Oを1〜9%、MgOを6〜14%およびZrO2を0〜1.5%含有し、SiO2およびAl2O3の含有量の合計が71〜75%、Na2OおよびK2Oの含有量の合計が12〜20%であり、CaOを含有する場合その含有量が1%未満であるガラス、
(v)質量%で表示した組成が、SiO2を65〜75%、Al2O3を0.1〜5%、MgOを1〜6%、CaOを1〜15%含有し、Na2O+K2Oが10〜18%であるガラス、
(vi)質量%で表示した組成が、SiO2を65〜72%、Al2O3を3.4〜8.6%、MgOを3.3〜6%、CaOを6.5〜9%、Na2Oを13〜16%、K2Oを0〜1%、TiO2を0〜0.2%、Fe2O3を0.01〜0.15%、SO3を0.02〜0.4%含有し、(Na2O+K2O)/Al2O3が1.8〜5.0であるガラス、
(vii)質量%で表示した組成が、SiO2を60〜72%、Al2O3を1〜10%、MgOを5〜12%、CaOを0.1〜5%、Na2Oを13〜19%、K2Oを0〜5%含有し、RO/(RO+R2O)が0.20以上、0.42以下(式中、ROとはアルカリ土類金属酸化物、R2Oはアルカリ金属酸化物を示す。)であるガラス。
(ii)モル%で表示した組成が、SiO2を50〜74%、Al2O3を1〜10%、Na2Oを6〜14%、K2Oを3〜11%、MgOを2〜15%、CaOを0〜6%およびZrO2を0〜5%含有し、SiO2およびAl2O3の含有量の合計が75%以下、Na2OおよびK2Oの含有量の合計が12〜25%、MgOおよびCaOの含有量の合計が7〜15%であるガラス、
(iii)モル%で表示した組成が、SiO2を68〜80%、Al2O3を4〜10%、Na2Oを5〜15%、K2Oを0〜1%、MgOを4〜15%およびZrO2を0〜1%含有するガラス、
(iv)モル%で表示した組成が、SiO2を67〜75%、Al2O3を0〜4%、Na2Oを7〜15%、K2Oを1〜9%、MgOを6〜14%およびZrO2を0〜1.5%含有し、SiO2およびAl2O3の含有量の合計が71〜75%、Na2OおよびK2Oの含有量の合計が12〜20%であり、CaOを含有する場合その含有量が1%未満であるガラス、
(v)質量%で表示した組成が、SiO2を65〜75%、Al2O3を0.1〜5%、MgOを1〜6%、CaOを1〜15%含有し、Na2O+K2Oが10〜18%であるガラス、
(vi)質量%で表示した組成が、SiO2を65〜72%、Al2O3を3.4〜8.6%、MgOを3.3〜6%、CaOを6.5〜9%、Na2Oを13〜16%、K2Oを0〜1%、TiO2を0〜0.2%、Fe2O3を0.01〜0.15%、SO3を0.02〜0.4%含有し、(Na2O+K2O)/Al2O3が1.8〜5.0であるガラス、
(vii)質量%で表示した組成が、SiO2を60〜72%、Al2O3を1〜10%、MgOを5〜12%、CaOを0.1〜5%、Na2Oを13〜19%、K2Oを0〜5%含有し、RO/(RO+R2O)が0.20以上、0.42以下(式中、ROとはアルカリ土類金属酸化物、R2Oはアルカリ金属酸化物を示す。)であるガラス。
ガラス板の製造方法は特に限定されず、所望のガラス原料を連続溶融炉に投入し、ガラス原料を好ましくは1500〜1600℃で加熱溶融し、清澄した後、成形装置に供給した上で溶融ガラスを板状に成形し、徐冷することにより製造することができる。
図1に示すような側面部が面取りされた形状とする場合には、得られた板状のガラス板に対して、面取り機を用いて研磨すること、ブラシ研磨すること等により面取りすることができる。
図2に示すような、側面部が一方の側に湾曲している形状とする場合には、溶融ガラスを成形する際に、板状ではなく型に入れて成形、徐冷を行ってもよいし、研削機を用いて研削することにより成形してもよい。
図1に示すような側面部が面取りされた形状とする場合には、得られた板状のガラス板に対して、面取り機を用いて研磨すること、ブラシ研磨すること等により面取りすることができる。
図2に示すような、側面部が一方の側に湾曲している形状とする場合には、溶融ガラスを成形する際に、板状ではなく型に入れて成形、徐冷を行ってもよいし、研削機を用いて研削することにより成形してもよい。
なお、ガラスの成形には種々の方法を採用することができる。例えば、ダウンドロー法(例えば、オーバーフローダウンドロー法、スロットダウン法およびリドロー法等)、フロート法、ロールアウト法およびプレス法等の様々な成形方法を採用することができる。
(無機膜)
本発明に係るカバーガラス3は、図5及び図6に示すように、ガラス板1の平坦部の表面側の全面と、側面部の少なくとも一部の領域において表面側から裏面側にかけて(符号aからbにかけて)連続的に、無機物からなる無機膜2が積層されている。
「側面部の少なくとも一部の領域において表面側から裏面側にかけて連続的に無機膜2が積層されている」とは、無機膜2が表面側から裏面側に少なくとも一部の領域で途切れることなく、符号aからbにかけて形成されていることを意味する。よって、無機膜2が側面部の長手方向の総ての領域で形成されている必要は必ずしもない。もちろん、無機膜2は平坦部の外周縁のすべて(平面視矩形のガラス板1の場合は4つの端面のすべて)に形成されてもよいし、側面部の長手方向(外周縁に沿った方向)における一部に形成されてもよい。例えば、矩形のガラス板1において、4つの端面のうち1面、2面、又は3面のみの全面に形成されてもよい。また端面のうち1面の長手方向に沿った一部の領域に形成されてもよいが、その場合においても、無機膜2は該領域の符号aからbにかけて連続的に形成されている。
本発明に係るカバーガラス3は、図5及び図6に示すように、ガラス板1の平坦部の表面側の全面と、側面部の少なくとも一部の領域において表面側から裏面側にかけて(符号aからbにかけて)連続的に、無機物からなる無機膜2が積層されている。
「側面部の少なくとも一部の領域において表面側から裏面側にかけて連続的に無機膜2が積層されている」とは、無機膜2が表面側から裏面側に少なくとも一部の領域で途切れることなく、符号aからbにかけて形成されていることを意味する。よって、無機膜2が側面部の長手方向の総ての領域で形成されている必要は必ずしもない。もちろん、無機膜2は平坦部の外周縁のすべて(平面視矩形のガラス板1の場合は4つの端面のすべて)に形成されてもよいし、側面部の長手方向(外周縁に沿った方向)における一部に形成されてもよい。例えば、矩形のガラス板1において、4つの端面のうち1面、2面、又は3面のみの全面に形成されてもよい。また端面のうち1面の長手方向に沿った一部の領域に形成されてもよいが、その場合においても、無機膜2は該領域の符号aからbにかけて連続的に形成されている。
無機膜はカバーガラスを電子端末や表示装置等の筐体に取り付けた際に、該筐体よりも前面にはみ出して露出している面の全面が無機膜で覆われていることが好ましい。すなわち、平坦部の表面側と、平坦部の外周縁に設けられた側面部のすべての領域が露出する場合には、平坦部の表面側の全面と側面部の全面に、無機膜が積層されていることが好ましい。また、平坦部の表面側と、側面部の一部の領域が露出する場合には、平坦部の表面側の全面と側面部の該露出している領域の表面側から裏面側にかけて連続的に、無機膜が積層されていることが好ましい。
無機物からなる膜としては、好ましくはSi、Al、Ti、Ta及びZrからなる群より選ばれる1以上の窒化物又は酸化物からなる膜が挙げられる。これらは単独で用いても、2種以上を用いてもよく、また、無機膜は単層が積層されていても複数層が積層されていてもよい。
無機膜を積層することにより、該無機膜で積層された部分の耐擦傷性を向上し、強度を向上することができる。また、無機膜の組成によって、カバーガラスの反射率を低下させるなどの効果を付与することもできる。
カバーガラス表面に積層されている無機膜の有無は走査型電子顕微鏡(SEM)でガラスの断面を観察することによって、確認することができる。
無機膜を積層することにより、該無機膜で積層された部分の耐擦傷性を向上し、強度を向上することができる。また、無機膜の組成によって、カバーガラスの反射率を低下させるなどの効果を付与することもできる。
カバーガラス表面に積層されている無機膜の有無は走査型電子顕微鏡(SEM)でガラスの断面を観察することによって、確認することができる。
カバーガラスの耐擦傷性の向上の観点から、窒化ケイ素(SiNX)がより好ましく用いられる。また、カバーガラスへの低反射性の付与の観点から、さらに酸化ケイ素(SiO2)を含むことがさらに好ましい。
無機膜は単層が積層された単膜であっても、複数層が積層された積層膜であってもよい。該膜の合計の厚みは400〜3000nmが好ましい。400nm以上とすることにより、優れた耐擦傷性を得ることができる。該膜の合計の厚みは850nm以上がより好ましく、1000nm以上とすることがさらに好ましい。また、カバーガラスに求められる光透過率を得る観点から、2000nm以下がより好ましい。
複数層が積層された積層膜である場合、各層の厚みは5〜250nmの膜が3層以上積層されることが好ましい。各層の厚みが250nm超であると、各層あたりの圧縮応力または引張応力が大きくなりカバーガラスに反りが生じやすくなる。一方、各層の厚みが250nm以下とすると、各層あたりの圧縮応力または引張応力が小さくなり、それら各層が複数積層されても、カバーガラスに反りが生じにくい。
また積層数はガラスの割れ抑制効果の点から20層以上が好ましく、40層以上がより好ましい。また積層膜の分布制御の点から100層以下が好ましく、80層以下がより好ましい。
積層膜を構成する各単層の組成や厚みは同一でも異なっていてもよい。
なお、無機膜の厚みや単層ごとの厚みはX線反射率法(X−ray−Reflectometry:XRR)によって測定した周期(Δθ)から求めることができる。簡易的には走査型電子顕微鏡(SEM)でガラスの断面を観察することによって、層の厚みを確認することも可能である。
無機膜の組成はX線光電子分光法(X−ray Photoelectron Spectroscopy)により同定することができる。
また積層数はガラスの割れ抑制効果の点から20層以上が好ましく、40層以上がより好ましい。また積層膜の分布制御の点から100層以下が好ましく、80層以下がより好ましい。
積層膜を構成する各単層の組成や厚みは同一でも異なっていてもよい。
なお、無機膜の厚みや単層ごとの厚みはX線反射率法(X−ray−Reflectometry:XRR)によって測定した周期(Δθ)から求めることができる。簡易的には走査型電子顕微鏡(SEM)でガラスの断面を観察することによって、層の厚みを確認することも可能である。
無機膜の組成はX線光電子分光法(X−ray Photoelectron Spectroscopy)により同定することができる。
無機膜の成膜方法は特に制限されず、例えばスパッタ法や後反応スパッタ法等を用いることができる。
後反応スパッタ法としては、例えば、ラジカルアシストスパッタ法(米国特許第6103320号明細書参照)やメタモード法(特許第5783613号公報参照)等が挙げられる。
スパッタ法を用いる際、従来のスパッタリングのみを行うと、図3又は図4に示したように、カバーガラス3におけるガラス板1の側面部の端部側に無機膜2を十分に積層することができない。すなわち、符号aからcの領域については無機膜2が積層されるものの、符号cからbの領域にかけては、無機膜2を積層することができない。
そのため、スパッタ法により無機膜を成膜する場合には、前処理を行う。前処理としては、大気圧プラズマ処理による大気でのプラズマ処理、ICP(誘導結合型プラズマ)によるプラズマ処理やLIS(リニア・イオン・ソース)によるプラズマ処理によりガラス基板表面を洗浄することが好ましい。中でもLIS処理が好ましい。
後反応スパッタ法や、前処理を伴うスパッタ法により、ガラス板1の側面部の表面側から裏面側にかけて連続的に無機膜2を積層することができるようになる。すなわち、符号aからbの領域全体に渡って、連続的に無機膜2を積層することができるようになる(図5及び図6参照。)。
後反応スパッタ法としては、例えば、ラジカルアシストスパッタ法(米国特許第6103320号明細書参照)やメタモード法(特許第5783613号公報参照)等が挙げられる。
スパッタ法を用いる際、従来のスパッタリングのみを行うと、図3又は図4に示したように、カバーガラス3におけるガラス板1の側面部の端部側に無機膜2を十分に積層することができない。すなわち、符号aからcの領域については無機膜2が積層されるものの、符号cからbの領域にかけては、無機膜2を積層することができない。
そのため、スパッタ法により無機膜を成膜する場合には、前処理を行う。前処理としては、大気圧プラズマ処理による大気でのプラズマ処理、ICP(誘導結合型プラズマ)によるプラズマ処理やLIS(リニア・イオン・ソース)によるプラズマ処理によりガラス基板表面を洗浄することが好ましい。中でもLIS処理が好ましい。
後反応スパッタ法や、前処理を伴うスパッタ法により、ガラス板1の側面部の表面側から裏面側にかけて連続的に無機膜2を積層することができるようになる。すなわち、符号aからbの領域全体に渡って、連続的に無機膜2を積層することができるようになる(図5及び図6参照。)。
無機膜として、例えば窒化ケイ素膜をスパッタ法により成膜する場合には、ICP処理による前処理を行い、シリコンターゲットとしてp−SiやSi−Alターゲットを用い、窒素雰囲気下でスパッタリングを行う。スパッタリングの成膜時間やスパッタ電力、ガス流量、基板温度を変えることにより、得られる膜の膜厚や結晶構造、特性等が変化するので、適宜調整して最適な条件にて行う。
<カバーガラスの評価方法>
本発明に係るカバーガラスは、フラットパネルディスプレイ装置やタッチパネルディスプレイ装置におけるカバーガラスに好適に用いることができる。特に携帯電話や携帯情報端末PDAといった電子端末用のカバーガラスや、車載表示装置用のカバーガラスにより好適に用いることができ、中でも筐体よりも前面にはみ出し、側面部の表面側から裏面側にかけて、すなわち、側面部の端部(末端)まで曲面加工がなされた、2.5Dタイプや擬似3Dタイプ、3Dタイプ等と呼ばれる形状のカバーガラスによりさらに好適に用いることができる。
本発明に係るカバーガラスは、フラットパネルディスプレイ装置やタッチパネルディスプレイ装置におけるカバーガラスに好適に用いることができる。特に携帯電話や携帯情報端末PDAといった電子端末用のカバーガラスや、車載表示装置用のカバーガラスにより好適に用いることができ、中でも筐体よりも前面にはみ出し、側面部の表面側から裏面側にかけて、すなわち、側面部の端部(末端)まで曲面加工がなされた、2.5Dタイプや擬似3Dタイプ、3Dタイプ等と呼ばれる形状のカバーガラスによりさらに好適に用いることができる。
(耐擦傷性)
カバーガラスの耐擦傷性はトラバース式摩耗試験機を用いて行うことができる。具体的には、研磨布(G#320(JIS R6251:2006規格適合品))を貼り付けた試験子と試料との間に接触荷重を与えて往復運動摩擦を行い、膜表面への傷の有無を確認する。傷の有無は目視で傷を観察することで評価することができる。観察の結果、傷は3本以下が好ましく、傷がないことがより好ましい。
往復の幅は40mmで、往復の数は50回、荷重は100g、摩耗面積は1cm2として実施する。
カバーガラスの耐擦傷性はトラバース式摩耗試験機を用いて行うことができる。具体的には、研磨布(G#320(JIS R6251:2006規格適合品))を貼り付けた試験子と試料との間に接触荷重を与えて往復運動摩擦を行い、膜表面への傷の有無を確認する。傷の有無は目視で傷を観察することで評価することができる。観察の結果、傷は3本以下が好ましく、傷がないことがより好ましい。
往復の幅は40mmで、往復の数は50回、荷重は100g、摩耗面積は1cm2として実施する。
(試験条件)
研磨布:G#320(JIS R6251:2006規格適合品)、
荷重:100g、
往復の幅:40mm、
往復の数:50回、
摩耗面積:1cm2。
研磨布:G#320(JIS R6251:2006規格適合品)、
荷重:100g、
往復の幅:40mm、
往復の数:50回、
摩耗面積:1cm2。
(耐割性)
カバーガラスの耐割性は、砂セット落下法によって評価する。実験方法は、ステンレススチールの上に砂を敷き詰めた上に、デバイスに膜付きのガラスを組み込んだ構造にして、ガラス面を下にして高さ100cmから5セットを落下させる。このとき割れるセット数は1セット以下が好ましく、全セット割れないことがより好ましい。
カバーガラスの耐割性は、砂セット落下法によって評価する。実験方法は、ステンレススチールの上に砂を敷き詰めた上に、デバイスに膜付きのガラスを組み込んだ構造にして、ガラス面を下にして高さ100cmから5セットを落下させる。このとき割れるセット数は1セット以下が好ましく、全セット割れないことがより好ましい。
以下に実施例を挙げ、本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されない。
本実施例における各種評価は上述の評価方法により行った。
本実施例における各種評価は上述の評価方法により行った。
<実施例1>
(化学強化ガラスの準備)
ステンレススチール(SUS)製のカップに硝酸カリウム9700g、炭酸カリウム890g、硝酸ナトリウム400gを加え、マントルヒーターで450℃まで加熱して、炭酸カリウム濃度が6mol%、ナトリウム濃度が10000重量ppmの溶融塩を調製した。
100mm×100mm×0.56mmのアルミノシリケートガラスA(比重2.48)を用意し、200〜400℃に予熱した後、450℃の溶融塩に2時間浸漬し、イオン交換処理した後、室温付近まで冷却することにより化学強化処理を行った。得られた化学強化ガラスは水洗いし、次の工程に供した。
ガラス組成(モル%表示):SiO2 64.4%、Al2O3 8.0%、Na2O 12.5%、K2O 4.0%、MgO 10.5%、CaO 0.1%、SrO 0.1%、BaO 0.1%、ZrO2 0.5%
(化学強化ガラスの準備)
ステンレススチール(SUS)製のカップに硝酸カリウム9700g、炭酸カリウム890g、硝酸ナトリウム400gを加え、マントルヒーターで450℃まで加熱して、炭酸カリウム濃度が6mol%、ナトリウム濃度が10000重量ppmの溶融塩を調製した。
100mm×100mm×0.56mmのアルミノシリケートガラスA(比重2.48)を用意し、200〜400℃に予熱した後、450℃の溶融塩に2時間浸漬し、イオン交換処理した後、室温付近まで冷却することにより化学強化処理を行った。得られた化学強化ガラスは水洗いし、次の工程に供した。
ガラス組成(モル%表示):SiO2 64.4%、Al2O3 8.0%、Na2O 12.5%、K2O 4.0%、MgO 10.5%、CaO 0.1%、SrO 0.1%、BaO 0.1%、ZrO2 0.5%
次いで6.0重量%の硝酸をビーカーに用意し、ウォーターバスを用いて40℃に温度調整を行った。前記化学強化工程で得られたガラスを、調製した硝酸中に120秒間浸漬させ、酸処理を行った。その後、該ガラスは水洗いした。
次に、4.0重量%の水酸化ナトリウム水溶液をビーカーに用意し、ウォーターバスを用いて40℃に温度調整を行った。酸に接触させる工程の後に洗浄したガラスを、調製した水酸化ナトリウム水溶液中に120秒間浸漬させ、アルカリ処理を行った。その後、該ガラスは水洗いした。その後、エアブローにより乾燥した。
以上により、化学強化ガラス板を得た。
以上により、化学強化ガラス板を得た。
(面取り加工・湾曲加工)
面取り機を用いて、得られた化学強化ガラスの外周縁に対して研磨を行い、面取り加工を行い、側面部を形成した。
面取り機を用いて、得られた化学強化ガラスの外周縁に対して研磨を行い、面取り加工を行い、側面部を形成した。
(無機膜の形成)
次いで、得られた化学強化ガラス板の表面側の平坦部と、外周縁に設けられた側面部に後反応スパッタ法により窒化ケイ素膜の成膜を実施した。
窒化ケイ素膜の各単膜の厚みは6〜162nmとして、窒化ケイ素膜の成膜を複数回おこない、窒化ケイ素膜5層からなる合計の膜厚が450nmの無機膜が積層されたカバーガラスを得た。
次いで、得られた化学強化ガラス板の表面側の平坦部と、外周縁に設けられた側面部に後反応スパッタ法により窒化ケイ素膜の成膜を実施した。
窒化ケイ素膜の各単膜の厚みは6〜162nmとして、窒化ケイ素膜の成膜を複数回おこない、窒化ケイ素膜5層からなる合計の膜厚が450nmの無機膜が積層されたカバーガラスを得た。
窒化ケイ素膜の成膜時の後反応スパッタ条件は下記のとおりである。
・後反応スパッタ装置:アルバック社製、商品名 ULDis
・ターゲット:p−Siターゲット
・成膜ガス:Ar (流量50sccm)
・スパッタ電力:6kW
・窒化源ガス:N2 (流量100sccm)
・窒化源電力:1kW
・基板温度:常温
・成膜レート:0.2nm/min.
・後反応スパッタ装置:アルバック社製、商品名 ULDis
・ターゲット:p−Siターゲット
・成膜ガス:Ar (流量50sccm)
・スパッタ電力:6kW
・窒化源ガス:N2 (流量100sccm)
・窒化源電力:1kW
・基板温度:常温
・成膜レート:0.2nm/min.
上記方法で得られた窒化ケイ素膜は、カバーガラスの平坦部の表面側前面に積層され、かつ、外周縁に設けられた側面部にも表面側から裏面側にかけて連続的に成膜され、膜を耐擦傷性よく成膜されていた。
<実施例2>
実施例1と同じ方法で得られた化学強化ガラス板の表面側の平坦部と、外周縁に設けられた側面部にLIS処理をおこなった後に、実施例1と同じ方法により窒化ケイ素膜の成膜を実施した。
窒化ケイ素膜の各単膜の厚みは6〜162nmとして、窒化ケイ素膜の成膜を複数回おこない、窒化ケイ素膜5層からなる合計の膜厚が450nmの無機膜が積層されたカバーガラスを得た。
実施例1と同じ方法で得られた化学強化ガラス板の表面側の平坦部と、外周縁に設けられた側面部にLIS処理をおこなった後に、実施例1と同じ方法により窒化ケイ素膜の成膜を実施した。
窒化ケイ素膜の各単膜の厚みは6〜162nmとして、窒化ケイ素膜の成膜を複数回おこない、窒化ケイ素膜5層からなる合計の膜厚が450nmの無機膜が積層されたカバーガラスを得た。
窒化ケイ素膜の成膜時のLIS処理条件は下記のとおりである。
・LIS処理装置(AIRCO社製、インラインスパッタ装置)に下記リニアイオンソースとDCスパッタ用のp−Siカソードを配置して基板を搬送しながら成膜を実施した。
・LIS処理装置(AIRCO社製、インラインスパッタ装置)に下記リニアイオンソースとDCスパッタ用のp−Siカソードを配置して基板を搬送しながら成膜を実施した。
<リニアイオンソース>
・リニアイオンソース:AE(アドバンストエナジー社(米国))社製LIS
・圧力:0.3Pa
・電圧:1800V
・ガス:Arガス 100sccm
<マグネトロンスパッタカソード>
・ターゲット:p−Siターゲット
・成膜ガス:Ar/N2 (流量100sccm/300sccm)
・スパッタ電力:3kW
・基板温度:常温
・成膜レート:0.2nm/min.
・リニアイオンソース:AE(アドバンストエナジー社(米国))社製LIS
・圧力:0.3Pa
・電圧:1800V
・ガス:Arガス 100sccm
<マグネトロンスパッタカソード>
・ターゲット:p−Siターゲット
・成膜ガス:Ar/N2 (流量100sccm/300sccm)
・スパッタ電力:3kW
・基板温度:常温
・成膜レート:0.2nm/min.
上記方法で得られた窒化ケイ素膜は、カバーガラスの平坦部の表面側前面に積層され、かつ、外周縁に設けられた側面部にも表面側から裏面側にかけて連続的に成膜され、膜を耐擦傷性よく成膜されていた。
<実施例3>
実施例1と同じ方法で得られた化学強化ガラス板の表面側の平坦部と、外周縁に設けられた側面部に後反応スパッタ法により窒化ケイ素膜と酸化ケイ素膜の積層成膜を実施した。
窒化ケイ素膜の各単膜の厚みは6〜162nmとし、酸化ケイ素膜の各単膜の厚みは5〜42nmとした。酸化ケイ素膜と窒化ケイ素膜の成膜を複数回交互に行い、これらが交互に成膜された、酸化ケイ素膜45層、窒化ケイ素膜45層からなる合計の膜厚が500nmの無機膜が積層されたカバーガラスを得た。
実施例1と同じ方法で得られた化学強化ガラス板の表面側の平坦部と、外周縁に設けられた側面部に後反応スパッタ法により窒化ケイ素膜と酸化ケイ素膜の積層成膜を実施した。
窒化ケイ素膜の各単膜の厚みは6〜162nmとし、酸化ケイ素膜の各単膜の厚みは5〜42nmとした。酸化ケイ素膜と窒化ケイ素膜の成膜を複数回交互に行い、これらが交互に成膜された、酸化ケイ素膜45層、窒化ケイ素膜45層からなる合計の膜厚が500nmの無機膜が積層されたカバーガラスを得た。
高屈折率材料からなる膜(窒化ケイ素膜)成膜時の後反応スパッタ条件は下記に示す。
・後反応スパッタ装置:アルバック社製、商品名 ULDis
・ターゲット:p−Siターゲット
・成膜ガス:Ar (流量50sccm)
・スパッタ電力:6kW
・窒化源ガス:N2 (流量100sccm)
・窒化源電力:1kW
・基板温度:常温
・成膜レート:0.2nm/min.
・後反応スパッタ装置:アルバック社製、商品名 ULDis
・ターゲット:p−Siターゲット
・成膜ガス:Ar (流量50sccm)
・スパッタ電力:6kW
・窒化源ガス:N2 (流量100sccm)
・窒化源電力:1kW
・基板温度:常温
・成膜レート:0.2nm/min.
低屈折率材料からなる膜(酸化ケイ素膜)成膜時の後反応スパッタ条件を下記に示す。
・ターゲット:p−Siターゲット
・成膜ガス:Ar (流量40sccm)
・スパッタ電力:6kW
・酸化源ガス:O2 (流量100sccm)
・酸化源電力:1kW
・基板温度:常温
・成膜レート:0.3nm/min.
・ターゲット:p−Siターゲット
・成膜ガス:Ar (流量40sccm)
・スパッタ電力:6kW
・酸化源ガス:O2 (流量100sccm)
・酸化源電力:1kW
・基板温度:常温
・成膜レート:0.3nm/min.
<比較例1>
実施例1と同じ方法で得られた化学強化ガラス板の表面側の平坦部と、外周縁に設けられた側面部に、次の方法により窒化ケイ素膜の成膜を実施した。
窒化ケイ素膜の各単膜の厚みは6〜162nmとして、窒化ケイ素膜の成膜を複数回おこない、窒化ケイ素膜5層からなる合計の膜厚が450nmの無機膜が積層されたカバーガラスを得た。
実施例1と同じ方法で得られた化学強化ガラス板の表面側の平坦部と、外周縁に設けられた側面部に、次の方法により窒化ケイ素膜の成膜を実施した。
窒化ケイ素膜の各単膜の厚みは6〜162nmとして、窒化ケイ素膜の成膜を複数回おこない、窒化ケイ素膜5層からなる合計の膜厚が450nmの無機膜が積層されたカバーガラスを得た。
窒化ケイ素膜からなる膜(窒化ケイ素膜)成膜時の成膜条件を下記に示す。
<マグネトロンスパッタカソード>
・ターゲット:p−Siターゲット
・成膜ガス:Ar/N2 (流量100sccm/300sccm)
・スパッタ電力:3kW
・基板温度:常温
・成膜レート:0.2nm/min.
<マグネトロンスパッタカソード>
・ターゲット:p−Siターゲット
・成膜ガス:Ar/N2 (流量100sccm/300sccm)
・スパッタ電力:3kW
・基板温度:常温
・成膜レート:0.2nm/min.
この方法で得られた窒化ケイ素膜は、カバーガラスの平坦部の表面側前面に積層されていた。しかしながら、得られたカバーガラスを割断しSEM観察を実施した結果、図1のbの部分の膜が適切に基板に密着せず、連続した膜を得ることができなかった。
上記で得られたカバーガラスについて各種評価を行なった。カバーガラスにおける平坦部の表面側の耐擦傷性、側面部の表面側の耐擦傷性、及び膜の耐割性の評価結果を表1に示す。表中、耐擦傷性が◎とは、(耐擦傷性)に記載した観察の結果、膜表面への傷が無いことを示し、○とは傷が3本以下であることを示す。耐割性が◎とは、(耐割性)に記載した試験の結果、5セット全て割れないことを示し、○とは1セット割れること、×とは全セット割れることをそれぞれ示す。また着膜端あり/なしにおいて○とは、ガラス板の端部にも無機膜が積層されたことを示し、×とは積層されなかったことを示す。
以上の結果より、通常のスパッタ方式では、端部の面に対して、スパッタ粒子が表面接線に対して低角度で入射する成分が増加して、着膜しづらくなる。一方、基板に対してプラズマ処理を含んだプロセスで成膜を実施すると、端部といえども密着性が向上し、膜が端部にむけて連続的に堆積し、そうしてできた成膜基板は耐割性の強いカバーガラスとなった。
本発明によれば、フラットパネルディスプレイ装置やタッチパネルディスプレイ装置におけるカバーガラスに好適に用いることができる。特に携帯電話や携帯情報端末PDAといった電子端末用のカバーガラスや、車載表示装置用のカバーガラスにより好適に用いることができ、側面部に面取り加工や湾曲加工がなされた、2.5Dタイプや擬似3Dタイプ、3Dタイプ等と呼ばれる形状のカバーガラスにおいて、筐体よりも前面にはみ出した面の全面の強度に優れたカバーガラスを得ることができる。
1 ガラス板
2 無機膜
3 カバーガラス
2 無機膜
3 カバーガラス
Claims (7)
- 平坦部及び前記平坦部の外周縁に設けられた側面部を有するガラス板と、前記ガラス板に積層された無機物からなる無機膜とを含むカバーガラスであって、
前記無機膜は、前記ガラス板の前記平坦部の表面側の全面に積層され、かつ、前記側面部の少なくとも一部の領域において表面側から裏面側にかけて連続的に積層されている、カバーガラス。 - 前記側面部が面取りされた形状である、請求項1に記載のカバーガラス。
- 前記側面部が裏面側に湾曲している、請求項1に記載のカバーガラス。
- 前記無機膜がSi、Al、Ti、Ta及びZrからなる群より選ばれる少なくとも1の窒化物又は酸化物からなる膜である、請求項1〜3のいずれか1項に記載のカバーガラス。
- 前記ガラス板が表層に圧縮応力層を有する化学強化ガラス板である、請求項1〜4のいずれか1項に記載のカバーガラス。
- 電子端末用である、請求項1〜5のいずれか1項に記載のカバーガラス。
- 車載表示装置用である、請求項1〜5のいずれか1項に記載のカバーガラス。
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KR20200130160A (ko) | 2019-05-08 | 2020-11-18 | 맥셀 홀딩스 가부시키가이샤 | 진공 프로세스용 점착 테이프 |
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WO2015174428A1 (ja) * | 2014-05-15 | 2015-11-19 | 旭硝子株式会社 | ガラス物品、及びガラス物品の製造方法 |
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- 2016-03-25 JP JP2016062199A patent/JP2017171556A/ja active Pending
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