JP2017170922A - 水陸両用車 - Google Patents

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Abstract

【課題】水上航行時に車体底部の航行抵抗をより一層低減することができるようにした水陸両用車を提供する。【解決手段】水上及び陸上を移動可能な車両本体10と、車両本体10の底部11に設けられた走行装置20と、走行装置20の下方を被覆する使用位置と、走行装置20の下方から離脱した格納位置との間で移動可能に設けられ、平板で形成されたカバープレート30とを備えている。【選択図】図1

Description

本発明は、水上及び陸上を移動可能な水陸両用車に関するものである。
水陸両用車では、陸上走行時に使用する車輪や履帯といった走行装置が車両本体底部に装備されている。このため、車両本体底部における走行装置や走行装置の周辺は、複雑な凹凸形状を有している。この車体底部の凹凸形状は、水上航行時には、摩擦抵抗,造波抵抗及び粘性圧力抵抗といった航行抵抗を増大させる大きな抵抗要素となる。そこで、水陸両用車において水上航行時の車両本体底部の航行抵抗を低減させる技術が提案されている。
例えば特許文献1には、車輪を走行可能に露出させたままで、車両本体底面の走行装置の周辺を部分的に覆うリアアンダーカバーを設け、車両本体底部の凹凸を減少させて水上航行時の航行抵抗を低減させる技術が開示されている。
また、特許文献2には、船底から下方に出ている履帯を持ち上げ、車体内に収納することにより、車両本体底部を履帯が下方に突出することのない状態にして水上航行時の航行抵抗を抑える技術が開示されている。
特開2013−199217号公報 特開2015−155267号公報
しかしながら、特許文献1のように、車輪を走行可能に露出させたままで車両本体底部の走行装置の周辺をリアアンダーカバーで部分的に覆う技術では、車輪自体は露出したままであるため、水上航行時の航行抵抗を十分に低減することは困難である。
また、特許文献1のように履帯を持ち上げる技術では、履帯が車両本体底部から下方に突出しないため航行抵抗を抑えることができるが、履帯そのものの下面は微小であるが凹凸形状であるため、これによる航行抵抗が生じる。このため、航行抵抗低減の余地がある。
本発明は、かかる課題に鑑み創案されたもので、水上航行時に車両本体底部の航行抵抗をより低減することができるようにした、水陸両用車を提供することを目的としている。
(1)上記の目的を達成するために、本発明の水陸両用車は、水上及び陸上を移動可能な車両本体と、前記車両本体の底部に設けられ、陸上を移動する際に用いる走行装置と、前記走行装置の下方を被覆する使用位置と、前記走行装置の下方から離脱した格納位置との間で移動可能に設けられ、平板で形成されたカバープレートと、を備えていることを特徴としている。
(2)前記走行装置は、前記車両本体の底部両側部にそれぞれ設けられ、前記カバープレートは、前記走行装置のそれぞれに対して個別に備えられていることが好ましい。
(3)前記走行装置のそれぞれに対して備えられた前記カバープレートは、前記走行装置の下方を被覆する前記使用位置と、当該使用位置に対して前記車両本体の前記底部の車幅方向中間部寄りの前記格納位置との間で、スライド移動可能であることが好ましい。
(4)前記カバープレートを前記使用位置と前記格納位置との間で移動させる第1移動機構を備えていることが好ましい。
(5)前記カバープレートは、前記使用位置において前記走行装置の直下を被覆する主プレート部と、使用位置において前記主プレート部の側部外方に位置する補助プレート部とを有していることが好ましい。
(6)前記補助プレート部は、前記主プレート部とは別個に可動であって、前記主プレート部は、前記第1移動機構により移動され、前記補助プレート部を、前記主プレート部に対して独立して前記使用位置と前記格納位置との間で移動させる第2移動機構を備えていることが好ましい。
(7)前記車両本体の前方に、水上航行時に前記車両本体の前部に流入する水流を前記車両本体の底部に向けて案内する前フラップが備えていることが好ましい。
(8)前記車両本体の後方に、水上航行時に前記車両本体の底部から流出する水流の前記車両本体の後部への巻き込みを抑えるように案内する後フラップが備えていることが好ましい。
(9)前記走行装置を前記車両本体に対して昇降させる昇降機構を備え、水上航行時には、前記昇降機構によって、前記走行装置の下面が前記車両本体の底部以上の上昇位置に設定されることも好ましい。
本発明にかかる水陸両用車によれば、水上を移動する際には、平板で形成されたカバープレートを、車両本体の底部に設けられた走行装置の下方を被覆する使用位置にすることにより、走行装置の下面の凹凸形状による航行抵抗の発生が抑えられ、航行抵抗を軽減し、航行燃費の向上及び航行速度の向上を実現することができる。
また、水陸両用車が陸上を移動する際には、カバープレートを格納位置に移動させて走行装置を用いて支障なく陸上移動を実施することができる。
本発明の第1実施形態に係る水陸両用車を示す図であり、(a)はその水上航行状態における側面図、(b)はその水上航行状態における正面図(ただし、フラップは省略)、(c)はその陸上走行状態における正面図である。 本発明の第1実施形態に係る水陸両用車の底部を示す下面図であり、(a)はカバープレートの使用状態を示し、(b)はカバープレートの格納状態を示す。 本発明の第1実施形態に係る水陸両用車の対比例としてのカバープレートを備えない水陸両用車の水上航行状態を示す図であり、(a)はその側面図、(b)はその正面図(ただし、フラップは省略)である。 本発明の第2実施形態に係る水陸両用車を説明する図であり、(a)はその低速水上航行状態を示す正面図、(b)はその高速水上航行状態を示す正面図、(c)はそのカバープレートの平面図である。 本発明の第2実施形態に係る水陸両用車を説明する斜視図である。 本発明の第2実施形態に係るカバープレートの変形例を示す平面図であり、(a)は第1変形例を、(b)は第2変形例を、(c)は第3変形例を、それぞれ示す。
以下、図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。
なお、以下の説明では、鉛直上方を上又は上方とし、鉛直下方を下又は下方とし、車両本体の側面において、車両本体の幅方向中央の中心線に向く方向を内方又は内側とし、その反対側、中心線から離れる方向を外方又は外側として説明する。
また、以下に示す各実施形態はあくまでも例示に過ぎず、以下の実施形態で明示しない種々の変形や技術の適用を排除する意図はない。以下の実施形態の各構成は、それらの趣旨を逸脱しない範囲で種々変形して実施することができるとともに、必要に応じて取捨選択することができ、あるいは適宜組み合わせることが可能である。
〔第1実施形態〕
まず、第1実施形態を説明する。
(構成)
図1(a),(b)に示すように、第1実施形態にかかる水陸両用車1は、車両本体10と、車両本体10の底部11の両側部に設けられ、陸上を移動する際に用いる走行装置としての履帯20と、各履帯20の下方を被覆可能なカバープレート30とを備えている。本実施形態では、走行装置として履帯20を備えているが、走行装置は車輪であってもよい。
また、図示しないが、水陸両用車1は、履帯20の作動に用いるエンジン(内燃機関)や電動モータなどの駆動装置と、水上を移動する際に用いる航行装置が備えられている。航行装置には、それぞれ駆動装置で駆動されるスクリュープロペラやウォータージェットなどの推進器を適用できる。
かかる水陸両用車1は、車両の移動モードとして陸上走行モードと水上航行モードとを備える。陸上走行モードでは、航行装置が陸上走行に支障のない状態とされ、履帯20を使用して走行する。水上航行モードでは、航行装置が水上航行に使用できる状態とされ、航行装置を使用して走行する。なお、本実施形態では、移動モードの切り替えは、車両に装備された移動モード選択スイッチ(図示略)に応じて行なうこととする。
カバープレート30は、例えば炭素繊維強化プラスチック(CFRP)などのカーボン材料や、例えば鉄等の金属材料など、剛性が高く撓み難い材料を用いた平板で形成される。このため、カバープレート30については平板カバーとも称する。特に、カバープレート30が後述の使用位置にある場合に下方を向く面は平面で構成されている。
本実施形態のカバープレート30は、履帯20の下面21全域を覆うように、履帯20の下面21の幅以上の幅と、履帯20の下面21の長さ以上の長さとを有し、それぞれの履帯20毎に1枚ずつ装備されている。
このカバープレート30は、図1(a),(b)に実線で示すように履帯20の下方を被覆する使用位置と、図1(b)に二点鎖線で示すように履帯20の下方から離脱した格納位置との間で移動可能に設けられている。つまり、カバープレート30は、図示しないが、移動ガイドと移動用アクチュエータとからなるプレート移動機構によって使用位置と格納位置との間で移動される。つまり、カバープレート30は、移動ガイドによって、使用位置と格納位置との間で移動可能に案内され、移動用アクチュエータによって使用位置と格納位置との間で移動される。
本実施形態では、カバープレート30は、図2(a)に示す使用位置と、図2(b)に示す格納位置との間で、水平にスライドしながら移動するようになっている。
なお、車両本体10と履帯20との間には、履帯20を車両本体10に対して昇降させる昇降機構50が装備されており、水上航行時には履帯20を上昇させ、陸上走行時には履帯20を下降させて車両の運行を行なう。この昇降機構50の構成は特に限定されないが、例えば、履帯20を保持し案内する各転輪を昇降駆動する油圧シリンダ等のアクチュエータを用いて昇降機構50を構成することができる。
つまり、水上航行時には、図1(b)に示すように、履帯20の下面21が車両本体10の底部11以上の高さ位置に上昇操作される。これにより、カバープレート30は履帯20と干渉することなく格納位置と使用位置との間で水平移動させることができる。
一方、陸上走行時には、図1(c)に示すように、履帯20の下面21が車両本体10の底部11よりも下方に下降操作される。これにより、車両本体10の底部11やこの底部11に格納されるカバープレート30が路面と干渉することなく陸上走行を実施することができる。
また、図示しないが、カバープレート30を使用位置に固定する固定機構と、カバープレート30を格納位置に固定する固定機構とが備えられている。ここでは、各固定機構は、カバープレート30を固定する固定状態とカバープレート30を解除する解除状態とを固定切替用アクチュエータにより切り替えられるようになっている。
さらに、図示しないが、各移動用アクチュエータと各固定切替用アクチュエータとの作動を制御する制御装置が備えられ、移動用アクチュエータは制御装置によってカバープレート30を使用位置又は格納位置へと移動させ、各固定切替用アクチュエータは制御装置によってカバープレート30を使用位置又は格納位置に固定又は固定解除する。
この制御装置による各アクチュエータの制御は、車両に各アクチュエータ用の操作スイッチを装備して、操作スイッチの操作状態に応じて行なってもよいが、本実施形態では、上記の移動モード選択スイッチに連動して行なうようになっている。
つまり、移動モード選択スイッチで陸上走行モードが選択されれば、制御装置はカバープレート30が格納位置に固定されるように各アクチュエータを制御し、移動モード選択スイッチで水上航行モードが選択されれば、制御装置はカバープレート30が使用位置に固定されるように各アクチュエータを制御する。
さらに、本実施形態では、図1(a)に示すように、車両本体10の前部12には、前フラップ41が備えられ、車両本体10の後部13には、後フラップ42が備えられている。これらの前フラップ41及び後フラップ42も、図1(a)に示すように、水上航行時に使用する使用位置と、陸上走行時に支障がないように格納される格納位置(図示略)との間で移動可能となっている。
前フラップ41は、平板で構成されており、使用位置において、車両本体10の前部12と底部11との角部に基端を位置させて、先端が前方及び上方を向くように傾斜して配置される。本実施形態の前フラップ41は、中間部が屈曲した2つの平板部で構成され、使用位置において、基端側の平板部に対して先端側の平板部の方が、傾斜角度が大きくなるように構成されている。
後フラップ42も、平板で構成されており、使用位置において、車両本体10の後部12と底部11との角部に基端を位置させて、先端が後方及び下方を向くように傾斜して配置される。本実施形態の後フラップ42は、屈曲部のない1枚の平板で構成される。
なお、前フラップ41及び後フラップ42は、使用位置において、車両本体10の幅方向全域に対応して配置できるように、車両本体10の幅と同様の幅を有している。
そして、前フラップ41を使用位置と格納位置との間で移動させるフラップ移動機構(図示略)と、後フラップ42を使用位置と格納位置との間で移動させるフラップ移動機構(図示略)とが設けられ、各フラップ41,42は適宜使用位置又は格納位置に移動される。また、各フラップ41,42を使用位置及び格納位置に固定する固定機構(図示略)がそれぞれ備えられ、適宜固定及び固定解除が行われる。
本実施形態では、制御装置によって、上記の移動モード選択スイッチに連動して各フラップ41,42の移動及び固定等を行なうようになっている。
つまり、移動モード選択スイッチで陸上走行モードが選択されれば、制御装置は各フラップ41,42が格納位置に固定されるようにフラップ移動機構,固定機構を制御し、移動モード選択スイッチで水上航行モードが選択されれば、制御装置は各フラップ41,42が使用位置に固定されるようにフラップ移動機構,固定機構を制御する。
(作用及び効果)
本実施形態にかかる水陸両用車1は、上述のように構成されているので、以下のように作動する。
まず、陸上走行する際には、陸上走行モードが選択され、カバープレート30及び各フラップ41,42が格納位置に固定され、航行装置が陸上走行に支障のない状態とされて、履帯30を使用して陸上を走行する。
一方、水上航行する際には、水上航行モードが選択され、航行装置が水上航行に使用できる状態とされ、カバープレート30及び各フラップ41,42が使用位置に固定されて、航行装置を使用して水上を航行する。
この水上航行時には、車両本体10の前部12に流入する水は、前フラップ41によって車両本体10の底部11に滑らかに案内されるため、車両本体10の前部12による造波抵抗が軽減される。
また、車両本体10の後部13から流出する水は、後フラップ42によって車両本体10から滑らかに離隔するため、車両本体10後方の渦流の発生が抑制され車両本体10の後部13の水の圧力低下が抑制されるため、粘性圧力抵抗が軽減される。
そして、車両本体10の底部11に滑らかに案内された水流は、カバープレート30の平面状の下面に沿って流れるため、摩擦抵抗が軽減される。
つまり、図3(a),(b)に示すように、車両本体10にカバープレート30を装備しない場合には、図3(a)に示すように、前フラップ41によって車両本体10の底部11に滑らかに案内された水流は、履帯20の凹凸面に沿って流れる。このため、この凹凸面の影響を受けて、図3(a)に示すような渦流を発生するなどして大きな摩擦抵抗が発生する。これに対し、本水陸両用車1は、履帯20の下面が、凹凸の無い平面状下面を有するカバープレート30で被覆されるため、水流は、図1(a)に矢印で示すようにカバープレート30の下面に沿って流れ、渦流の発生が抑えられ摩擦抵抗が軽減されるのである。
本実施形態の場合、水上航行時には、図1(b)に示すように、昇降機構50により、履帯20の下面21が車両本体10の底部11以上の高さ位置に上昇操作されるので、履帯20が車両本体10の底部11よりも下方に突出している場合よりも、造波抵抗が、粘性圧力抵抗、摩擦抵抗が軽減されるため、本水陸両用車1の航行抵抗が一層軽減される。
なお、本実施形態では、前フラップ41及び後フラップ42を用いているが、カバープレート30を単独で用いても、車両本体10の底部11において、履帯20の凹凸面による渦流の発生が抑えられ摩擦抵抗が軽減される効果は得られる。
また、昇降機構50を備えずに、履帯20が車両本体10の底部11よりも下方に突出した陸上走行時の状態のままで水上航行した場合にも、履帯20の下面が、凹凸の無い平面状下面を有するカバープレート30で被覆されることによって渦流の発生が抑えられるため、摩擦抵抗が軽減される効果はある。
また、走行装置が履帯20でなく、車輪であった場合にも、摩擦抵抗が軽減される効果は得られる。例えば、車両の底部の両側それぞれに、前後方向に複数並んだ車輪を装備した場合、複数の車輪で形成される凹凸が摩擦抵抗を増大させるが、前後方向に複数並んだ各車輪列に対してそれぞれカバープレート30で被覆すれば、水流は、カバープレート30の平面状の下面に沿って流れるため、摩擦抵抗が軽減される。
〔第2実施形態〕
次に、第2実施形態を説明する。
(構成)
図4(a),(b)及び図5に示すように、第2実施形態にかかる水陸両用車1Aは、車両本体10Aと、車両本体10Aの底部11に設けられ、陸上を移動する際に用いる走行装置としての履帯20と、履帯20の下方を被覆可能なカバープレート30Aとを備えている。また、本実施形態でも、走行装置として履帯20を備えているが、走行装置は車輪であってもよい。
本実施形態のカバープレート30Aは、使用位置において履帯20を被覆する主プレート部31と、使用位置において主プレート部31の側部外方に位置する補助プレート部32とから構成されている。ここでは、補助プレート部32は、主プレート部31の全長に対応する長さを有し、少なくとも使用位置においては、補助プレート部32と主プレート部31との対向する縁部が全長に亘って接合又は微小隙間を介して接近するように構成される。
また、本実施形態では、補助プレート部32は、主プレート部31とは別個に移動可能に構成されている。また、主プレート部31を使用位置と格納位置との間で移動させる第1プレート移動機構(図示略)と、補助プレート部32を、主プレート部31とは独立して使用位置と格納位置との間で移動させる第2プレート移動機構(図示略)とを備えている。
第1プレート移動機構は、第1実施形態のカバープレート30のプレート移動機構と同様に、主プレート部31を、図4(a),(b),図5に実線で示す使用位置と、図4(a),(b)に二点鎖線で示す格納位置との間で移動させる。また、主プレート部31は、図示しない固定機構によって各位置で固定される。
第2プレート移動機構は、補助プレート部32を、図4(b),図5に実線で示す使用位置と、図4(a)に実線で図4(b)に二点鎖線で示す格納位置との間で移動させる。また、補助プレート部32は、図示しない固定機構によって各位置で固定される。
本実施形態では、補助プレート部32は、プレート状のアーム部材33によって車両本体10Aの側部13に揺動可能に装備され、第2プレート移動機構は、補助プレート部32及びアーム部材33を揺動させて使用位置と格納位置との間で移動させる。なお、プレート状のアーム部材33は、使用位置において車両本体10Aの側部13外方に向く面は平面で構成される。
なお、本実施形態では、アーム部材33が補助プレート部32及び主プレート部31(即ち、カバープレート30A)の全長に亘って延びたプレート状に形成されるが、アーム部材33にはロッドを適用してもよい。この場合、車両本体10Aの側部13に、複数のロッド状のアーム部材33を車両前後方向に複数並べて配置して、補助プレート部32を揺動可能に支持する。
また、図4(c),図5に示すように、本実施形態では、補助プレート部32は、前端(車両の進行方向F側の端部)及び後端(車両の逆行方向R側の端部)の端縁角部に、面取りされたように傾斜した傾斜縁部34,34が形成されている。また、補助プレート部32は、これらの傾斜縁部34,34を除くと、幅寸法(車幅方向の寸法)が一定に形成されている。
さらに、図5には示さないが、本実施形態にかかる水陸両用車1Aにも、第1実施形態と同様に、前フラップ41及び後フラップ42が装備され、これらのフラップ41,42を使用位置と格納位置との間で移動させる移動機構、及び、各フラップ41,42を使用位置及び格納位置に固定する固定機構がそれぞれ備えられる〔図1(a)参照〕。
また、本実施形態でも、第1実施形態と同様に、制御装置によって、移動モード選択スイッチに連動してカバープレート30A及び各フラップ41,42の移動及び固定等が行なわれる。
つまり、移動モード選択スイッチで陸上走行モードが選択されれば、制御装置はカバープレート30Aが格納位置に固定されるように各アクチュエータを制御し、移動モード選択スイッチで水上航行モードが選択されれば、制御装置はカバープレート30Aが使用位置に固定されるように各アクチュエータを制御する。
ただし、カバープレート30Aのうち、主プレート部31は、水上航行モードが選択されたら格納位置から使用位置に移動され固定されるが、補助プレート部32は、水上航行モードが選択され且つ推進器の出力が所定レベル以上に高くなるなどにより水上航行速度が低速領域から高速領域に上昇する(即ち、基準速度以上に上昇する)条件が成立したら格納位置から使用位置に移動され固定される。
したがって、補助プレート部32は、水上航行時に使用位置にある場合に、水上航行速度が高速領域から低速領域に低下したら(即ち、基準速度未満に低下したら)使用位置から格納位置に移動され固定される。
また、移動モード選択スイッチで陸上走行モードが選択されれば、制御装置は各フラップ41,42が格納位置に固定されるようにフラップ移動機構,固定機構を制御し、移動モード選択スイッチで水上航行モードが選択されれば、制御装置は各フラップ41,42が使用位置に固定されるようにフラップ移動機構,固定機構を制御する。
(作用及び効果)
本実施形態にかかる水陸両用車1Aは、上述のように構成されているので、第1実施形態のものと同様に、陸上走行及び水上航行を実施することができ、第1実施形態のものに加えて以下のような作用効果が付加される。
つまり、補助プレート部32は、水上航行モードが選択され且つ水上航行速度が低速領域から高速領域に上昇したら(即ち、基準速度以上に上昇したら)、図4(a)に実線で示す格納位置から図4(b)に実線で示す使用位置に移動され固定される。
これにより、水上航行時に、車両本体10Aの底部11において水から圧力を受ける面積(受圧面積)が補助プレート部32の下面の分だけ増大し、車両本体10Aが浮上するため、摩擦抵抗が軽減される。
ただし、車両本体10Aの浮上効果は、航行速度が大きいほど大きくなり、航行速度が小さい場合は、受圧面積を増大させても車両本体10Aの浮上効果は少なく、むしろ、浮上による摩擦抵抗の軽減よりも補助プレート部32の表面で受ける摩擦抵抗の増加の方が大きくなるので、水陸両用車1Aの低速航行時には、補助プレート部32は使用しない。
なお、本実施形態の補助プレート部32は、前端及び後端の端縁角部にそれぞれ傾斜縁部34が形成されているので、この分、補助プレート部32の前端による造波抵抗が軽減され、補助プレート部32の前端で受ける摩擦抵抗が軽減される効果や、補助プレート部32の後端における粘性圧力抵抗が軽減される効果がある。
また、本実施形態では、補助プレート部32を揺動支持するアーム部材33がプレート状に構成され、使用位置において車両本体10Aの側部13外方に向くアーム部材33の面は平面で構成される。このため、補助プレート部32が使用位置にある際には履帯20の側部の凹凸がアーム部材33で覆われる。したがって、車両本体10Aの側部13の水流はアーム部材33の平面に沿って滑らかに流れ、側部13における摩擦抵抗が軽減される効果もある。
なお、補助プレート部32の形状は、本実施形態のものに限定されない。例えば、図6(a)〜(c)に示すような平面視形状としてもよい。
例えば図6(a)に示す変形例は、補助プレート部32Bの前縁35aも後縁35bも外側に行くにしたがって後方に傾斜しており、前縁35aでの造波抵抗や摩擦抵抗の軽減、及び、後縁35bでの粘性圧力抵抗の軽減を図ることができる。
また、図6(b)に示す変形例は、補助プレート部32Cの外側縁36が、前端から後端に行くにしたがって履帯20から次第に離隔するように傾斜している。これにより、補助プレート部32Cの前部での造波抵抗や摩擦抵抗の軽減や、後部での粘性圧力抵抗の軽減を図ることができる。
また、図6(c)に示す変形例は、補助プレート部32Dの外側縁37が、前端から中間部に行くにしたがって履帯20から次第に離隔し、中間部から後端に行くにしたがって履帯20に次第に接近するように形成される。ここでは、外縁37は滑らかな曲線上に形成される。これにより、補助プレート部32Dの前部での造波抵抗や摩擦抵抗の軽減や、後部での粘性圧力抵抗の軽減を図ることができる。
以上、本発明の第2実施形態とその変形例を説明したが、カバープレート30A〜30Dにおいて、補助プレート部32,32B〜32Dを主プレート31と同期させて移動させてもよい。
また、カバープレート30A〜30Dを、使用位置において履帯20を被覆する主プレート部31と、使用位置において主プレート部31の側部外方に位置する補助プレート部32とから構成し、主プレート部31と補助プレート部32,32B〜32Dとを一体に構成してもよい。
この場合、第1実施形態のカバープレート30を主プレート部31と補助プレート部32,32B〜32Dとを組み合わせて構成したものと同等になるが、補助プレート部32,32B〜32Dの形状や大きさによっては航行速度が低速であっても補助プレート部によってトータルでの航行抵抗を軽減できる可能性もある。
〔その他〕
以上、本発明に係る実施形態を説明したが、本発明は上記の実施形態を適宜変更して実施することができる。
例えば、上記各実施形態では、カバープレートがその長手方向(車長方向)に1枚もので形成されるが、長手方向に分割形成し、使用状態では長手方向に1枚に連続するように形成してもよい。
カバープレートを主プレート部と補助プレート部とから構成する場合も、主プレート部及び補助プレート部の何れか一方又は両方を長手方向に分割形成し、使用状態では長手方向に1枚に連続するように形成してもよい。
また、上記各実施形態では、カバープレートが履帯20の下面全域を覆うように、履帯20の下面の幅以上の幅と、履帯20の下面の長さ以上の長さとを有しているが、例えば、履帯20の下面の後端部寄りを除く領域を覆うようにカバープレートを構成するなど、履帯20の下面の一部のみを覆うようにカバープレートを構成しても一定の効果はある。
1,1A 水陸両用車
10,10A 車両本体
11 車両本体10,10Aの底部
12 車両本体10,10Aの前部
20 走行装置としての履帯
21 履帯20の下面
30,30A,30B,30C,30D カバープレート
31 主プレート部
32,32B,32C,32D 補助プレート部
36 補助プレート部32Cの外側縁
35a 補助プレート部32Bの前縁
35b 補助プレート部32Bの後縁
36 補助プレート部32Cの外側縁
37 補助プレート部32Dの外側縁
41 前フラップ
42 後フラップ
50 昇降機構

Claims (9)

  1. 水上及び陸上を移動可能な車両本体と、
    前記車両本体の底部に設けられ、陸上を移動する際に用いる走行装置と、
    前記走行装置の下方を被覆する使用位置と、前記走行装置の下方から離脱した格納位置との間で移動可能に設けられ、平板で形成されたカバープレートと、を備えている
    ことを特徴とする、水陸両用車。
  2. 前記走行装置は、前記車両本体の底部両側部にそれぞれ設けられ、
    前記カバープレートは、前記走行装置のそれぞれに対して個別に備えられている
    ことを特徴とする、請求項1記載の水陸両用車。
  3. 前記走行装置のそれぞれに対して備えられた前記カバープレートは、前記走行装置の下方を被覆する前記使用位置と、当該使用位置に対して前記車両本体の底部中間部寄りの前記格納位置との間で、スライド移動可能である
    ことを特徴とする、請求項2記載の水陸両用車。
  4. 前記カバープレートを前記使用位置と前記格納位置との間で移動させる第1移動機構を備えている
    ことを特徴とする、請求項1〜3の何れか1項に記載の水陸両用車。
  5. 前記カバープレートは、前記使用位置において前記走行装置の直下を被覆する主プレート部と、使用位置において前記主プレート部の側部外方に位置する補助プレート部とを有している
    ことを特徴とする、請求項4記載の水陸両用車。
  6. 前記補助プレート部は、前記主プレート部とは別個に可動であって、
    前記主プレート部は、前記第1移動機構により移動され、
    前記補助プレート部を、前記主プレート部に対して独立して前記使用位置と前記格納位置との間で移動させる第2移動機構を備えている
    ことを特徴とする、請求項5記載の水陸両用車。
  7. 前記車両本体の前方に、水上航行時に前記車両本体の前部に流入する水流を前記車両本体の底部に向けて案内する前フラップが備えている
    ことを特徴とする、請求項1〜6の何れか1項に記載の水陸両用車。
  8. 前記車両本体の後方に、水上航行時に前記車両本体の底部から流出する水流の前記車両本体の後部への巻き込みを抑えるように案内する後フラップが備えている
    ことを特徴とする、請求項1〜7の何れか1項に記載の水陸両用車。
  9. 前記走行装置を前記車両本体に対して昇降させる昇降機構を備え、
    水上航行時には、前記昇降機構によって、前記走行装置の下面が前記車両本体の底部以上の上昇位置に設定される
    ことを特徴とする、請求項1〜8の何れか1項に記載の水陸両用車。
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